説明

ジオキサン廃棄物量の少ないポリエステルポリオールの製造方法

本発明は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルもしくは芳香族ジカルボン酸の無水物と、少なくとも1種のα,ω-ジオールから調製されるポリエステルポリオールの製造および使用に関し、ジエチレングリコールからの1,4-ジオキサンの生成が、特定の反応制御を用いることにより大きく抑制されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のα,ω-ジオールと、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくはそれらの混合物、もしくはそれらのアルキルエステルもしくはそれらの無水物と、ジエチレングリコールから構成されるポリエステルポリオールの製造および使用に関し、ジエチレングリコールからの1,4-ジオキサンの生成が、特定の反応制御を用いることにより大きく抑制されることを特徴とする。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルポリオールは、種々の発泡ポリウレタン系および非発泡ポリウレタン系における重要な成分である。ポリウレタンの生成に使用されるポリエステルポリオールは、イソシアネート基との更なる反応に使用できる、ヒドロキシル末端基を大部分に有する。一般に、ポリエステルポリオールの分子量は、200〜5000ダルトンの範囲である。それらの生成は、主に、ポリカルボン酸(特にジカルボン酸)とポリオール(特にジオール)の重縮合によって行われ、エステル基の生成を伴う脱水条件下にてカルボキシル基とヒドロキシルを反応させることにより行われる。あるいは、ポリカルボン酸の無水物、例えば、無水フタル酸、または内部無水物(internal anhydride)すなわちラクトンを使用できる。
【0003】
脱水条件は、例えば、真空を施すこと、不活性ガス流を用いて反応における水を吹き飛ばすこと、または共沸剤を用いる共沸蒸留によって行うことができる。(Houben-Weyl, Methoden der organishen Chemie, 第14/2巻、Makromolekulare Stoffe, Thieme Verlag Stuttgart,ed.E.Muller,第1〜第47頁、1963年)
【0004】
芳香族ポリカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸もしくはフタル酸など(通常、無水フタル酸形態で使用される)と、ジエチレングリコールのエステル化の間に、所望されない1,4-ジオキサンが副生成物として生成されることは、当業者において既知である。工業プラントでの製造の間に生成されるジオキサンは、反応における水と共に排出され、その後、例えば水処理プラントで分解しなければならないか、濃縮後に焼却しなければならない。この更なるプロセス工程は、ポリエステルポリオールの製造コストを増加させている。
【0005】
副生成物として生成された1,4-ジオキサンも、所望の生成物の収率を減少させる。何故ならば、使用されるジエチレングリコールの一部が、生成されるポリエステル内に取り込まれずに、上記のように1,4-ジオキサン形態で反応混合物から除去されるからである。したがって、1,4-ジオキサンの生成は、深刻な経済的損失をもたらす。
【0006】
さらに、生産プラントにおける生産可能な1,4-ジオキサンの量は、認可値によって制限される。したがって、このような場合、ジオキサン量を制限することは、ポリエステルポリオールを調製するためのプラントの生産能力を間接的に制限する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Houben-Weyl, Methoden der organishen Chemie, 第14/2刊、Makromolekulare Stoffe, Thieme Verlag Stuttgart,ed.E.Muller,第1〜第47頁、1963年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、先行技術の欠点に打ち勝つ、少なくとも1種のα,ω-ジオールと、テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、ジエチレングリコールから構成されるポリエステルポリオールを調製する方法を提供することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、少なくとも1種のα,ω-ジオールと、テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、ジエチレングリコールからポリエステルポリオールを調製する間に使用されるジエチレングリコール量との関連で生成されるジオキサンの量を制限することである。この場合、ジオキサン量は、使用されるジエチレングリコール1kgあたり、20g未満、好ましくは10g未満に制限できる。
【0010】
本発明の更なる目的は、少なくとも1種のα,ω-ジオールと、テレフタル酸および/またはイソフタル酸と、ジエチレングリコールからポリエステルポリオールを調製する間に生成されるポリエステルポリオール量との関連で生成されるジオキサンの量を減少させることである。この場合におけるジオキサン量は、生成されるポリエステルポリオール1kgあたり、4g未満、好ましくは3g未満に制限できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明による方法によってもたらされる。
【0012】
本発明は、下記工程a)〜c)を1段階でおこなうことを特徴とする、ポリエステルポリオールの製造方法であって、工程b)において得られたポリエステルポリオールは、工程c)において得られたポリエステルポリオールよりもより高い分子量を有することを特徴とする、該方法に関する:
a)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルもしくは芳香族ジカルボン酸の無水物(A)と、少なくとも1種のα,ω-ジオール(B)を混合し、
ただし、成分(B):(A)モル比は、20:1〜1.05:1の範囲であり、
成分(A)と成分(B)の重量比が合計で、工程c)において得られる混合物の重量に基づき55〜99wt%の間の範囲にあり、ポリエステルポリオールの生成を伴い、次いで、
b)工程a)で添加された少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルもしくは芳香族ジカルボン酸の無水物(A)に対する無水フタル酸成分(C)のモル比が、0:1〜2:1、好ましくは0.1:1〜1.5:1の範囲で、無水フタル酸(C)を、工程a)において得られたポリエステルポリオールに添加し、ポリエステルポリオールの生成を伴い、次いで、
c)混合物の重量に基づき1〜35wt%の重量比で、ジエチレングリコール(D)を、工程b)で得られたポリエステルポリオールに添加し、ポリエステルポリオールを形成する。
【0013】
もちろん、工程a)で添加された少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸(A)に対する、成分(C)のモル比の値が0で有る場合、工程b)は省略される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
工程c)で得られる混合物の重量に基づき100wt%量で表わされる場合、工程a)において欠如する成分を、工程b)および/またはc)において添加できるが、工程a)および/またはb)および/またはc)における成分(A)(B)(C)または(D)に加えて、更なる成分(E)として添加できる。従って、工程a)〜c)において添加された成分またはそれらの反応生成物を含有する、工程c)において得られる混合物は、重量データの基準となる。好ましくは、これらの更なる成分(E)は、低分子量ポリオール、例えば、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールもしくはグリセロール、または分岐ポリエーテルおよび/または2よりも大きい数平均官能価を有するポリエステルポリオールである。好ましくは、付加的な成分(E)は、工程a)において添加される。
【0015】
カルボン酸(A)は、芳香族であると共に、異性体フタル酸、すなわち、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸あるいはそれらの混合物の少なくとも1種である。芳香族カルボン酸または芳香族カルボン酸との混合物の代わりに、それらのアルキルエステルまたは無水物(特に無水フタル酸)を使用することも可能である。好ましくは、アルキルエステルは、カルボキシル基が共にエステル化されたジエステルである。この場合、2つのエステル基は、同一であってもよく、異なっていてもよい。ここで、アルキルは、好ましくはC〜C20アルキルを意味し、特に好ましくはメチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、それらの異性体を含むペンチル、それらの異性体を含むヘキシル、それらの異性体を含むヘプチル、それらの異性体を含むオクチル、それらの異性体を含むノニル、それらの異性体を含むデシルおよび、いずれの場合も、それらの異性体を含むC11,C12,C13,C14,C15,C16,C17,C18,C19,C20である。
【0016】
好ましくは、芳香族ジカルボン酸(A)は、テレフタル酸およびイソフタル酸から成る群から選択され、最も特に好ましくは、芳香族ジカルボン酸は、それらのジアルキルエステルを含む、テレフタル酸であり、この場合、水に代わり、アルキルアルコールが縮合生成物として形成される。
【0017】
α,ω-ジオール(B)として、ジエチレングリコールを除くすべてのジ第一級ジオール(di-primary diols)が適当である。
【0018】
好ましいα,ω-ジオール(B)は、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、および150〜410g/モルの数平均分子量を有するそれらの高級同族体である。
【0019】
本発明によると、工程c)におけるジエチレングリコール(D)の添加と、ポリエステル平衡に対する平衡は、ポリエステルポリオールの個々のオリゴマーの分布が、Floryオリゴマー分布関数(P.J. Flory、Principles of Polymer Chemistry、Cornell University Press、Ithaca 1953年、第317頁以降参照)に一致するようにおこなわれる。Flory平衡における、特定種のポリエステルポリオールは、常に同じオリゴマー分布を有するので、それらから製造されるポリウレタン材料は、一貫した材料特性がもたらされる。
【0020】
工程c)における、ジエチレングリコール(D)の添加は、任意温度の、工程b)もしくは所望により工程a)から得られるポリエステルポリオールと、任意温度の、添加されるジエチレングリコールをもちいて行われる。好ましくは、続いて添加されるジエチレングリコールは、室温(20℃)〜60℃の温度を有し、工程b)もしくは所望により工程a)から得られるポリエステルポリオールは、120℃〜200℃に昇温させる。ジエチレングリコール(D)は、実験室条件下の場合、窒素向流状態で添加され、好ましくは、工業条件下は、真空を施すことにより、容器内に吸引される。
【0021】
等量の同一原料が使用される場合、本発明に従い調製されるポリエステルポリオールの性質は、収率の観点だけでなく、それらの性能の観点においても、本発明に従わずに調製されたポリエステルポリオールとは異なる。このような条件下において、例えば、本発明によるポリエステルポリオールのヒドロキシル価は、本発明による方法を用いることなく調製されたポリエステルポリオールのヒドロキシル価よりも大きく、または本発明によるポリエステルポリオールの分子量は、その分子量よりも小さい。本発明に係るポリエステルポリオールから調製されたポリウレタン(PUR)にも同様のことが当てはまる。このことは、本発明に従わない場合において、ジエチレングリコールから生成されたジオキサンに起因する。
【0022】
もちろん、本発明に従わない場合であっても、予め、ジオキサンとして損失したジエチレングリコール量を補うことによりまたは、後ほど添加することによって、ジエチレングリコールの部分的な喪失を補償できる。この場合、同様なポリエステルが得られる。しかし、その結果、供給原料、特にジエチレングリコールの量に関する配合が異なり、それによって、本発明によらない方法の場合、同じ全体組成を用いて、所定量のポリエステルポリオールを合成するのに必要な供給原料は、不都合なほどに増加する。
【0023】
添加されるジエチレングリコール(D)の量は、工程b)または所望により工程a)から得られる生成物のOH価と、望ましい最終生成物のOH価およびバッチサイズから、下記式に従い決定される。
【0024】
添加するジエチレングリコール(D)(単位g)=(Z−Y)×M/(1058−Z)
式中、
Zは、工程c)後の目標OH価であり、
Yは、工程b)または所望により工程a)から得られるOH価であり、
Mは、工程b)または所望により工程a)からのポリステル量(単位g)であり、
1058は、ジエチレングリコールのOH価である。
【0025】
ジエチレングリコール(D)の後添加は、長期に亘って分配でき、例えば1時間〜5時間かけて、連続的、均一的または非均一的、あるいは一回で行うことができる。
【0026】
成分(B):(A)のモル比は、好ましくは、1.1:1.0〜10.0:1.0の範囲である。
【0027】
工程a)から得られるポリエステルポリオールのOH価は、好ましくは28〜560KOH/kgの範囲であり、好ましくは、37〜450KOH/kgの範囲である。
【0028】
工程a)から得られるポリエステルポリオールの分子量は、好ましくは4000〜200の範囲、好ましくは3000〜250g/モルの範囲である。
【0029】
工程b)から得られるポリエステルポリオールのOH価は、好ましくは25〜190g KOH/kgの範囲であり、好ましくは、28〜160g KOH/kgの範囲である。
【0030】
工程b)から得られるポリエステルポリオールの分子量は、好ましくは4500〜600の範囲、好ましくは4000〜700g/モルの範囲である。
【0031】
工程b)から得られるポリエステルポリオールの粘度は、温度25℃にて、好ましくは400〜20000mPasの範囲であり、好ましくは、450〜15000mPasの範囲である。
【0032】
混合物の重量に基づく、工程a)における成分(A)と(B)の重量比が合計で、好ましくは60〜90wt%の範囲である。
【0033】
工程b)において、無水フタル酸(C)は、工程a)において添加された少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸(A)に対する成分(C)のモル比が0:1〜1.5:1の範囲となるように、工程a)で得られたポリエステルポリオールに好ましく添加される。
【0034】
OH価は、まず、ポリエステルポリオールサンプル中のヒドロキシル末端基と、所定の過剰量の無水物(例えば、無水酢酸)を反応させ、過剰量の無水物を加水分解させ、強塩基、例えば水酸化ナトリウムを用いる直接滴定によって遊離カルボキシル基の含有量を測定することによって決定される。無水物形態で導入されたカルボキシル基と、実験的に定義されたカルボキシル基の差が、サンプル中のヒドロキシル基数の大きさである。この値は、不完全なエステル化の結果として、元のサンプル中に含有されるカルボキシル基の数(すなわち、酸価)によって補正され、OH価が得られることを表わす。一般に、水酸化ナトリウムを用いて行われる滴定は、等量の水酸化カリウムに変換され、酸価およびヒドロキシル価は、単位g KOH/kgで表わされる。下記の算術的な関係は、ヒドロキシル価(OH#)と数平均分子量(M)から表わされる:M=(56100×F)/OH#。式中、Fは、数平均官能価を意味し、極めて近似の状態で、公式からもたらすことができる。
【0035】
粘度は、ゼロ剪断率を外挿する、コーン-プレート粘度計、例えばAnton Paar社製の、Physica MCR51を用いて測定される。本発明に係るポリオールは、大部分において、本質的に粘性がない。
【0036】
好ましくは、工程c)から得られるポリエステルポリオールは、0.5〜3.5の範囲の酸価を有する。
【0037】
好ましくは、真空プロセスは、1.1bar〜5mbar、特に好ましくは1.0bar〜10mbarの範囲の絶対圧、および100〜250℃、好ましくは180〜240℃の範囲の温度でおこなわれ、本発明によるポリエステルポリオールを生成する。
【0038】
本発明に係るポリエステルポリオールを製造する方法は、好ましくは、工程a)における成分(B)を最初に充填し、まず、第1に、好ましくは、1.0〜1.1barの絶対圧にて、保護ガスを用い、100℃〜240℃の範囲の温度(特に好ましくは、180℃〜240℃の温度範囲)にて、攪拌させながら成分(A)を添加し、フタル酸、無水フタル酸、テレフタル酸および/またはイソフタル酸および/またはそれらのアルキルエステルが溶解して透明な溶液を形成するまで濃縮させることにより行われる。次いで、所望によりエステル化触媒を添加した後、好ましくは、絶対圧を1〜4時間の間に100mbar未満へ減少させ、最後に、180〜240℃の範囲の温度および好ましくは10〜100mbarの範囲の絶対圧にて、5g KOH/kg未満の酸価が得られるまで重縮合が行われる。
【0039】
本発明によるポリエステルポリオールを調製するのに、当業者において既知の触媒を使用できる。塩化スズ(II)およびチタニウムテトラアルコキシレートが好ましく使用される。
【0040】
好ましくは、本発明によるポリエステルポリオールを調製する成分の反応は、溶媒を用いることなく行われる。
【0041】
あるいは、ポリエステルポリオールは、窒素流によって縮合物を反応容器から放出させる窒素発泡法によっても調製できる(J.H.サンダズ、H.Tフリッシュによる「ポリウレタン:化学および技術、第1部、化学」、John Wiley and Sons インターサイエンス出版社、ニューヨーク、1962年、第45ページ)。
【0042】
本発明は、本発明による方法によって得ることができるポリエステルポリオールにも関する。
【0043】
好ましくは、本発明による方法によって調製されるポリエステルポリオールは、ポリウレタンの製造に使用される。ポリウレタンは、多くの範囲において使用される多目的材料である。使用できる原料の多種多様性に起因して、極めて幅広い性質を備える製品を製造でき、例えば、断熱材用の硬質発泡体、マットレス用の軟質ブロック発泡体、車両の座席およびシートクッション用の成形軟質発泡体、防音用の吸音発泡体、熱可塑性発泡体、靴用発泡体または微小細胞発泡体、ならびに、小型の一体成型品(compact casting system)および熱可塑性ポリウレタンが含まれる。
【0044】
また、本発明は、所望によりポリイソシアヌレート基を含有し得るポリウレタン発泡体(PUR-PIR発泡体)を製造する方法を提供する。該方法は、以下のことを含む:
a)本発明による方法によってポリエステルポリオールが調製され、次いで、その結果得られたポリエステルポリオールを、
b)少なくとも1種のポリイソシアネート含有成分と反応させ、
c)該反応は、1種以上の発泡剤の存在下で行われ、
d)該反応は、1種以上の触媒の存在下で行われ、および
e)該反応は、所望により1種以上の難燃剤と所望により別の補助剤および添加剤の存在下で行われ、ならびに
f)工程a)から得られるポリエステルポリオールとは異なる、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の化合物と、所望により反応させる。
【0045】
また、本発明は、本発明による方法によって得ることができるPUR-PIR発泡体にも関する。
【0046】
ポリイソシアネート含有成分として、常套の脂肪族、脂環式、および特に芳香族ジおよび/またはポリイソシアネートが適当である。トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)および、特にジフェニルメタンジイソシアネートとポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリマーMDI)の混合物が好ましく使用される。また、例えば、ウレトジオン(uretdione)、カルバメート、イソシアヌレート、カルボジイミド、アロファネートおよび特にウレタン基を包含することにより変性させてもよい。硬質ポリウレタン発泡体の製造に関して、特にポリマーMDIが使用される。先行技術において、イソシアヌレート形成は、実質的に発泡反応の間にのみ行われ、難燃性のPUR/PIR発泡体をもたらす。該発泡体は、好ましくは、工業的な硬質発泡体、例えば、断熱板、サンドイッチ要素、パイプ断熱およびトラックボディとしての建築部門において使用される。
【0047】
少なくとも2つのイソシアネート反応性基(すなわち、イソシアネート基と反応する少なくとも2つの水素原子)を備える化合物として、一般に、下記一般用語で記載される化合物を使用できる。
【0048】
少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する化合物として、特に、分子中に、OH基、SH基、NH基、NH、およびCH-酸性基、例えば、β-ジケト基などから選択される2以上の反応性基を有する化合物が適当である。硬質ポリウレタン発泡体を製造は、本発明による方法によって製造され、特に、2〜8個のOH基を有する化合物が使用される。ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールが好ましく使用される。使用されるポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールのヒドロキシル価は、硬質ポリウレタン発泡体を製造する場合、好ましくは25〜850mg KOH/g、特に好ましくは25〜550mg KOH/gであり、分子量は、好ましくは300g/モルよりも大きい。好ましくは、成分(f)はポリエーテルポリオールを含有し、該ポリオールは、既知の方法によって調製され、例えば、アニオン重合であって、触媒として、アルカリ性水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムもしくは水酸化カリウムなど)またはアルカリ性アルコレート(例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムもしくはカリウムエチラート、カリウムイソプロピレートなど)を用いると共に、2〜8個、好ましくは2〜6個の結合した反応性水素原子を含有する少なくとも1種の出発分子を添加する該アニオン重合によって調製でき、あるいは、カチオン重合であって、ルイス酸(例えば五塩化アンチモン、ボロンフロライドエーテレート(boron fluoride-etherate)など)を用い、または触媒としての漂白土を用い、アルキレン残基中に2〜4個の炭素原子を有する一種以上のアルキレンオキシドを用いる該カチオン重合によって調製できる。さらに、ポリエーテルポリオールの調製は、二重金属シアニド触媒によって行うことができ、この場合、連続操作も可能である。
【0049】
適当なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3-プロピレンオキシド、1,2-および2,3-ブチレンオキシド、スチレンオキシド、および好ましくはエチレンオキシドおよび1,2-プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドを単独で使用してもよく、あるいは、遷移状態で使用してもよく、または混合物として使用してもよい。適当な出発分子は、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、スクロース、ソルビトール、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ベンジルアミン、アニリン、トルイジン、トルエンジアミン、ナフチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、4,4'-メチレンジアニリン、1,3-プロパンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよび他の二価アルコールまたは多価アルコールであり、言い換えれば、オリゴエーテルポリオールもしくはモノ-もしくは多価アミン、および水であってもよい。
【0050】
さらに、成分(f)は、所望によりポリエステルポリオール、連鎖延長剤および/または架橋剤を含有してもよい。連鎖延長剤および/または架橋剤として、特に、二官能性もしくは三官能性アミンおよびアルコール、特に、400g/モル未満(好ましくは60〜300)の分子量を有するジオールおよび/またはトリオールが使用される。好ましくは、成分(f)として、160よりも大きいヒドロキシル価、特に好ましくは200mg KOH/gよりも大きいヒドロキシル価を有し、特に好ましくは2.9〜8の間の官能価を有する、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールが使用される。特に好ましくは、400g/モル未満、好ましくは200g/モル未満の当量(すなわち分子量割る官能価)を有するポリエーテルポリオールが、イソシアネート反応性化合物(f)として使用される。化合物(f)は、一般に、液体形態で存在する。
【0051】
発泡剤成分(c)として、炭化水素が好ましく使用される。これらは、水および/または更なる物理的な発泡剤との混合状態で使用できる。これらは、ポリウレタン製造用の供給原料中に溶解または乳化され、ポリウレタン形成の条件下にて蒸発する化合物を意味する。例えば、それらは、炭化水素、ハロゲン化炭化水素および他の化合物、例えば全フッ素置換されたアルカン(例えば、ペルフルオロヘキサンなど)、クロロフルオロカーボン、およびエーテル、エステル、ケトンおよび/またはアセタールである。
【0052】
発泡剤成分(c)は、成分(b)〜(f)の総重量に基づき、2〜45wt%、好ましくは3〜30wt%、特に好ましくは4〜20wt%の量で好ましく使用される。1好ましい実施態様において、発泡剤混合物(c)は、炭化水素、特にn-ペンタンおよび/またはシクロペンタン、および水を含有する。特に好ましい炭化水素は、n-ペンタン、シクロペンタン、イソ-ペンタンおよび/または異性体の混合物である。特に、シクロペンタンおよび/またはn-ペンタンが発泡剤(c)として使用される。
【0053】
本発明によるポリウレタン発泡体およびポリイソシアヌレート発泡体を製造するための触媒(d)として、常套で既知のポリウレタン形成触媒またはポリイソシアヌレート形成触媒が使用され、例えば、以下のものが含まれる:有機スズ化合物、例えばスズ二酢酸、スズジオクテート、ジブチルスズジラウレートなど、および/または強塩基性のアミン、例えば、2,2,2-ジアザビシクロオクタン、トリエチルアミンもしくは好ましくはトリエチレンジアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミンまたはビス(N,N-ジメチルアミノエチル)エーテル、およびPIR反応を触媒する酢酸カリウム、カリウムオクトエート、および脂肪族第四級アンモニウム塩。
【0054】
触媒は、全成分の総重量に基づき、0.05wt%〜3wt%、好ましくは0.06〜2wt%の量で好ましく使用される。
【0055】
上記成分の反応は、所望により添加剤(e)、例えば、難燃剤、充填剤、気泡調節剤、発泡安定剤、界面活性化合物および/または酸化、熱もしくは微生物分解または老化に対する安定剤、好ましくは、難燃剤および/または発泡安定剤の存在下で行われる。発泡体を形成する間に均一な気泡構造の形成を促進する物質が、発泡安定剤と称される。以下のものが例として記載される:シリコーン含有発泡安定剤、例えば、シロキサン-オキシアルキレンコポリマーおよび他の有機ポリシロキサンなど、脂肪アルコールのアルコキシル化生成物、オキソアルコール、脂肪アミン、アルキルフェノール、ジアルキルフェノール、アルキルクレゾール、アルキルレソルシノール、ナフトール、アルキルナフトール、ナフチルアミン、アニリン、アルキルアニリン、トルイジン、ビスフェノールA、アルキル化ビスフェノールA、ポリビニルアルコール、および、更に、ホルムアルデヒドとアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとジアルキルフェノール、ホルムアルデヒドとアルキルクレソール、ホルムアルデヒドとアルキルレソルシノール、ホルムアルデヒドとアニリン、ホルムアルデヒドとトルイジン、ホルムアルデヒドとナフトール、ホルムアルデヒドとアルキルナフトール、およびホルムアルデヒドとビスフェノールAの縮合生成物のアルコキシル化生成物。アルコキシル化試薬として、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ポリ-THFおよび高級同族体を使用できる。
【0056】
難燃剤として、一般に、先行技術において既知の難燃剤を使用できる。適当な難燃剤は、例えば臭素化エーテル(例えば、Ixol(登録商標)B251)、臭素化アルコール、例えば、ジブロモネオペンチルアルコール、トリブロモネオペンチルアルコールおよびPHT-4-ジオールなど、および塩素化ホスフェート、例えばtris(2-クロロエチル)ホスフェート、tris(2-クロロイソプロピル)ホスフェート(TCPP)、tris(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、tris(2,3-ジブロモプロピル)ホスフェートおよびテトラキス(2-クロロエチル)エチレンジホスフェートなど。同様に、既に記載したハロゲン置換ホスフェート、無機難燃剤、例えば赤リン、赤リンを含有する生成物、酸化アルミニウム水和物、アンチモントリオキシド、アンモニウムポリホスフェートおよび硫酸カルシウム、またはシアヌル酸誘導体、例えば、メラミンなど、または少なくとも2つの難燃剤混合物、例えば、アンモニウムポリホスフェートとメラミンの混合物、および所望により、デンプンを使用して、本発明による硬質PURまたはPUR/PIR発泡体を難燃性にできる。更なる液体のハロゲンフリー難燃剤として、ジエチルエタンホスホネート(DEEP)、トリエチルホスフェート(TEP)、ジメチルプロピルホスホネート(DMPP)、ジフェニルクレシルホスフェート(DPK)などを使用できる。難燃剤は、成分(b)〜(e)総重量に基づき、好ましくは0〜30wt%、特に好ましくは2〜25wt%、特に2.5〜15wt%の量で、本発明における組成において使用される。
【0057】
上記および他の出発物質の更なる詳細は、専門書、例えばKunstoffhandbuch,第VII巻、ポリウレタン、カールハンサーバーグ社、ミュンヘン、ウイーン、第1版、第2版および第3版1966年、1983年および1993年から引用できる。
【0058】
硬質ポリウレタン発泡体を製造するために、発泡体のイソシアネート指数が90〜600、好ましくは150〜500、特に好ましくは180〜450となるような量で、ポリイソシアネート(b)および成分(a)および所望による(f)を反応させる。
【0059】
硬質ポリウレタン発泡体は、既知の方法を用いて回分式または連続的に調製できる。当業者に既知の方法には、とりわけ、1成分系(回分式)および成形絶縁発泡体(回分式)において使用する、ブロック発泡体の形成法(連続式および回分式)が含まれる。ここに記載される本発明は、全ての方法に関連するが、好ましくは、可撓性材料および/または剛体材料を被覆層として使用できる、連続二重ベルト法に関する。
【0060】
好ましくは、本発明による硬質ポリウレタン発泡体は、90%よりも大きい密閉セル比(closed cell ratio)、特に好ましくは95%よりも大きい密閉セル比を有する。
【0061】
好ましくは、本発明によるPURおよびPUR/PIR発泡体は、28g/m〜300g/m、特に好ましくは30g/m〜50g/mの密度を有する。
【0062】
本発明による硬質ポリウレタン発泡体は、特に断熱用に使用され、例えば、冷却装置、容器または建造物、例えば断熱管、サンドイッチ要素、断熱板または冷却装置において使用される。
【0063】
本特許出願に包含されるポリウレタンは、例えば、イソシアネート基とそれ自身、例えばイソシアヌレート基との反応によって生成されるもの、または、イソシアネート基と、ヒドロキシル基以外の基(一般に、該基は、ウレタン基と共にポリマー中に存在する)との反応によって生成されるもののように、ウレタン基に加えて別の基を含有する、ポリマーイソシアネート付加物も含むものと理解される。
【0064】
更に本発明は、ポリウレタンの調製に関する上記方法によって製造される、ポリエステルポリオールの使用を提供する。ポリウレタンは、多くの分野において使用される多目的材料である。使用される原料の多様性に起因して、極めて多様な性質を有する製品を製造でき、例えば、断熱材用の硬質発泡体、マットレス用の軟質ブロック発泡体、車両の座席およびシートクッション用の成形軟質発泡体、防音用の吸音発泡体、熱可塑性発泡体、靴用発泡体または微小細胞発泡体、ならびに、小型の一体成型品(compact casting system)および熱可塑性ポリウレタンが含まれる。
【0065】
本発明は、下記実施例を用いて説明される。
【実施例】
【0066】
実施例において使用される原料リスト
テレフタル酸:Interquisa製
無水フタル酸(PA):Lanxess製の工業PA
ジエチレングリコール(DEG):Ineos製のDEG
塩化スズ(II)二水和物:アルドリッチ製
ポリエチレングリコール(PEG200):Ineos製のPEG200
【0067】
使用した装置および分析法
粘度計:Anton Paar製のMCR51
ヒドロキシル価:DIN53240基準に基づく
酸価:DIN53402基準に基づく
【0068】
ポリエステルポリオールの製造
実施例A−1(本発明に係る):
Pilzマントルヒーターと、機械式攪拌子と、内部温度計と、40cmの充填コラムと、コラムヘッドと、下降高効率凝縮器と、ドライアイスで冷却した容器と、ならびに膜真空ポンプを備える、4リットルの4つ口フラスコ中に、窒素雰囲気下140℃にて、最初に2134g(10.67モル)のPEG200を充填し、1106g(6.66モル)のテレフタル酸をその中に添加して攪拌し、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加した。反応温度を230℃まで上昇させ、混合物を標準圧力条件下で22時間かけて攪拌した。この間、反応により生じた、ジオキサンを含有しない水を分離した。さらに、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加し、圧力を、3時間にわたって30mbarまで減圧し、さらに17時間かけて反応を完了させた。酸価およびヒドロキシル価を測定したところ、それぞれ0.2および130mg KOH/gであり、次いで、403(3.8モル)のジエチレングリコールを添加し、窒素雰囲気下、標準圧力および200℃にて5時間かけて混合物を攪拌した。この間、反応による水はもはや分離されなかった。
【0069】
ポリエステルポリオールの分析:
ヒドロキシル価:243.8mg KOH/g
酸価:0.2mg KOH/g
粘度:1210mPas(25℃)
【0070】
反応により生成した水中における1,4-ジオキサンの量を、ガスクロマトグラフィによって測定した結果0wt%であり、その結果、0.1wt%のポリエステルが生じた。
【0071】
実施例A-2(本発明に係る)
A-1に記載した方法を用いた。使用量は表1を参照されたい。
【0072】
実施例A-3(本発明に係る)
実施例A-1における反応装置を用い、窒素雰囲気下140℃にて、最初に2134g(10.67モル)のPEG200を充填し、553g(3.33モル)のテレフタル酸をその中に添加して攪拌し、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加した。反応温度を230℃まで上昇させ、混合物を標準圧力条件下で4時間かけて攪拌した。この間、反応により生じた、ジオキサンを含有しない水を分離した。温度を180℃まで減少させ、493g(3.33モル)のPAを添加し、反応を、標準圧力にて更に3時間継続させた。さらに、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加し、圧力を、3時間にわたって30mbarまで減圧し、さらに15時間かけて反応を完了させた。酸価およびヒドロキシル価を測定したところ、それぞれ0.9および133.1mg KOH/gであり、次いで、395(3.73モル)のジエチレングリコールを添加し、窒素雰囲気下、標準圧力および200℃にて5時間かけて混合物を攪拌した。この間、反応による水はもはや分離されなかった。
【0073】
ポリエステルポリオールの分析:
ヒドロキシル価:242.9mg KOH/g
酸価:0.7mg KOH/g
粘度:1300mPas(25℃)
【0074】
反応により生成した水中における1,4-ジオキサンの量を、ガスクロマトグラフィによって測定した結果0wt%であり、その結果、0.1wt%のポリエステルが生じた。
【0075】
実施例A-4(本発明に係る)
A-3において記載した方法を用いた。使用量は表1を参照されたい。
【0076】
【表1】

【0077】
実施例A-5(C)(比較)
実施例A-1における反応装置を用い、窒素雰囲気下140℃にて、最初に441g(2.98モル)PAを充填し、次いで285g(2.69モル)のジエチレングリコールを徐々に添加し、その後、混合物を1時間攪拌した。次いで、2087g(10.44モル)のPEG200と495g(2.98モル)のテレフタル酸を添加して攪拌すると共に、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加した。温度を230℃まで上昇させ、5時間にわたり標準圧力にて、反応による水を蒸留除去した。次いで、さらに、78mgの塩化スズ(II)二水和物を添加し、圧力を徐々に低下させ80mbarの最終値まで減圧した。これらの条件下にて、さらに15時間かけて反応を完了させた。
【0078】
反応の全体を通じて、ドライアイスで冷却した容器中に、留出物を回収した。ガスクロマトグラフィによって、生成した1,4-ジオキサンの量を測定したところ、12.8gであった。
【0079】
ポリエステルポリオールの分析
ヒドロキシル価:232.7mg KOH/g
酸価:0.2mg KOH/g
粘度:1160mPas(25℃)
生成されたポリエステルポリオールの量:3135.2g
使用したジエチレングリコール量に基づくジオキサンの量
12.8g/0.285kg=44.9g ジオキサン/kgジエチレングリコール
【0080】
実施例A-6(C)(比較例)
A-5(C)に記載した方法を用いた。使用量は表2を参照されたい。
【0081】
【表2】

【0082】
表1と表2の比較によると、ジオキサンに変換されるジエチレングリコールの割合は、同程度の配合物を用いる場合、選択される方法に強く依存することが明かである。本発明を用いない方法は、使用したDEG1kgあたり、それぞれ44.9gと39.9gのジオキサンを生じる。その一方で、本発明による改良例は、これに関して0.84〜1.37の値を有する。
【0083】
硬質発泡体用の原料
a.)ポリエステル:実施例A-1、A-2、A-3、A-4、A-5(C)およびA-6(C)から得られる、
発泡体添加剤:b.)〜f.)から成る
b.)TCPP:Lanxess製のtris(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート、
c.)TEP:Lanxess製のトリエチルホスフェート、
d.)添加剤1132:バイエルマテリアルサイエンス社
e.)PET V 657:約660Da.の分子量を有する三官能性ポリエーテルポリオール、バイエルマテリアルサイエンスAG社製
f.)ポリエーテル-ポリシロキサンコポリマー安定剤、Evonik社製
g.)活性剤:Desmorapid VP.PU 30HB13A、BMS製
h.)Desmodur VP.PU44V70L:ポリイソシアネート、バイエルマテリアルサイエンス社製、
i.)n-ペンタン、Kremer&Martin社
【0084】
実験室規模において、ポリイソシアネート成分を除く、硬質発泡体配合物用の全ての原料を、23℃の温度に調整しながら、紙コップ内で秤量し、Pendraulik社製の実験室用ミキサー(例えば、Pendraulik社のLM-34型)を用いて混合し、所望による揮発性の発泡剤(ペンタン)を添加した。次いで、攪拌させながら、ポリイソシアネート成分(23℃の温度に調整した)をポリオール混合物へ添加した。これを激しく混合し、反応混合物を金型内へ注入した。粘着性および欠陥を測定するために、金属被覆層(コラス製)を備える金型を使用する。発泡体の硬度を、規定重量を用いて、2.5分後に、浸入深さ(単位mm)を測定することにより決定した。反応を、少なくとも更に24時間、23℃にて継続させ、次いで、下記の性能を測定した。
【0085】
防炎性:カントナル火災保険協会(Vereinigung Kantonaler Feuerversicherungen)による建築材料の可燃性を測定するスイス基礎試験に従い、BVD試験をおこなった(1988年版、1990年、1994年、1995年および2005年に補完有り、カントナル火災保険協会、Bundesstr.20、3011ベルン、スイス)
【0086】
接着性:発泡被覆層を剥離し、バネ計りを用いて剥離に必要な力を算出する。
【0087】
欠陥:気泡形成に関する目視評価。気泡形成に関する特徴を、「なし、若干、適度および著しい」の間で評価した。
【0088】
【表3】

【0089】
表3は、全ての発泡体は炎分類5を充足し、ほぼ同程度の特性を有することを示す。
【0090】
しかしながら、本発明によるポリエステルポリオールに基づくB-1〜B-4は、とりわけ、該ポリエステルポリオールを調製する間に副生成物としてジオキサンが実質的に生成されないことを特徴とする。発泡体B-5(C)およびB-6(C)は、この観点において著しく副生成物を生成するポリエステルポリオールに基づく。したがって、本発明に基づく発泡体は、それらの製造における全体像において重要な利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程a)〜c)を1段階で行うことを特徴とする、ポリエステルポリオールの製造方法であって、工程b)において得られたポリエステルポリオールは、工程c)において得られたポリエステルポリオールよりもより高い分子量を有することを特徴とする、該方法:
a)少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルもしくは芳香族ジカルボン酸の無水物(A)と、少なくとも1種のα,ω-ジオール(B)を混合し、
ただし、該成分(A)に対する該成分(B)のモル比が、20:1〜1.05:1の範囲であり、該成分(A)と該成分(B)の重量比が合計で、工程c)において得られる混合物の重量に基づき、55〜99wt%の範囲にあり、ポリエステルポリオールの生成を伴い、次いで、
b)工程a)で添加された該少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸もしくは芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルもしくは芳香族ジカルボン酸の無水物(A)に対する成分(C)のモル比が0:1〜2:1の範囲となるように、無水フタル酸(C)を、工程a)において得られた該ポリエステルポリオールに添加して、ポリエステルポリオールの生成を伴い、次いで、
c)混合物の重量に基づき1〜35wt%の重量比で、ジエチレングリコール(D)を、工程b)で得られた該ポリエステルポリオールに添加して、ポリエステルポリオールを生成する。
【請求項2】
芳香族ジカルボン酸(A)が、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
α,ω-ジオール(B)が、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールおよび150〜410g/モルの数平均分子量を有するそれらの高級同族体から成る群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
成分(B):(A)のモル比が、1.1:1.0〜10.0:1.0の範囲であることを特徴とする、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
工程a)から得られたポリエステルポリオールの分子量が、4000〜200g/モルの範囲、好ましくは3000〜250g/モルの範囲であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程a)から得られたポリエステルポリオールのOH価が、28〜560KOH/kgの範囲であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
工程b)から得られたポリエステルポリオールの分子量が、4500〜600g/モルの範囲、好ましくは4000〜700g/モルの範囲であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程b)から得られたポリエステルポリオールのOH価が、25〜190g KOH/kgの範囲であることを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
25℃の温度における、工程b)から得られたポリエステルポリオールの粘度が、400〜20000mPasの範囲、好ましくは450〜15000mPasの範囲であることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
成分(A)と成分(B)の重量比が合計で、混合物の重量に基づき、60〜90wt%の範囲であることを特徴とする、請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の方法よって得ることができるポリエステルポリオール。
【請求項12】
ポリイソシアヌレート基を所望により含有できるポリウレタン発泡体を製造する方法であって、下記のことを含む該方法:
a)本発明による方法によってポリエステルポリオールが調製され、次いで、このようにして得られた該ポリエステルポリオールを、
b)少なくとも1種のポリイソシアネート含有成分と反応させ、
c)該反応は、1種以上の発泡剤の存在下で行われ、
d)該反応は、1種以上の触媒の存在下で行われ、および
e)該反応は、所望により1種以上の難燃剤と所望により別の補助剤および添加剤の存在下で行われ、ならびに
f)工程a)から得られる該ポリエステルポリオールとは異なる、少なくとも2つのイソシアネート反応性基を有する少なくとも1種の化合物と、所望により反応させる。
【請求項13】
請求項12に記載の方法によって得ることができ、ポリイソシアヌレート基を所望により含有できる、ポリウレタン発泡体。
【請求項14】
金属複合材要素を製造するための、請求項13に記載された、ポリイソシアヌレート基を所望により含有できるポリウレタンフォームの使用。

【公表番号】特表2012−529542(P2012−529542A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514374(P2012−514374)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2010/003359
【国際公開番号】WO2010/142399
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】