ジオデート送達媒体
【課題】ジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)、ならびにその製造方法および投与方法の提供。
【解決手段】疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含む媒体であり、これは、エマルジョンもしくはその他の混合物の一部であることができ、またはさらに脂質層に配置することができる。また、疎水性ドメインの周りに配置された脂質層を含む媒体である。媒体は、種々の医薬、食品調製、および個人ケア製品に組み込まれ、カーゴ部分を送達し、または安定化することができる。また、カーゴ部分を後から付加するためのパックされた送達媒体も想定される。
【解決手段】疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含む媒体であり、これは、エマルジョンもしくはその他の混合物の一部であることができ、またはさらに脂質層に配置することができる。また、疎水性ドメインの周りに配置された脂質層を含む媒体である。媒体は、種々の医薬、食品調製、および個人ケア製品に組み込まれ、カーゴ部分を送達し、または安定化することができる。また、カーゴ部分を後から付加するためのパックされた送達媒体も想定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年11月1日に出願された米国仮特許出願第60/422,989号、2003年1月14日に出願された第60/440,284号、および2003年9月29日に出願された第60/507,361号の恩典を主張するものであり、本出願は参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
リポソームは、文献に広く記載されており、これらの構造は周知である。典型的には、これらは、水性材料によって互いに間隔を開けた複数の脂質二重層を含むタマネギ様の多層状の構造を有する。リポソームのもう一つの種類は、単層のリポソームであり、ときに小胞と称される、水性材料の周りに配置された単一の脂質二重層である。
【0003】
薬物のための担体または媒体としてリポソームを使用することが知られており、種々の方法によって達成することができる。1つの方法は、有機溶剤、たとえばクロロホルム中の溶液からの蒸発によって脂質のフィルムをキャストし、次いで適切な水性媒体中にフィルムを分散させることを含む。脂溶性の生物学的に活性な化合物、すなわちリポソームの水相よりもむしろ脂質複層と結合するものの場合、化合物は、一般的な有機溶剤を使用してリン脂質と共にフィルムにキャストすることができる。この方法の不利な点は、脂質二重層に組み込むことができる活性化合物の量が制限されるということである。さらに、キャスティング法は、大きなバッチに対応するためにスケールアップすることができない。水溶性の生物学的に活性な化合物の場合、化合物は、典型的には化合物を可溶化させる水溶液と共にキャスト脂質フィルムを分散させることによってリポソームと結合される。この方法の不利な点は、小胞中に活性化合物の十分な量を組み込むことが困難なこと、および分散の不安定性および貯蔵寿命を含む。この方法のもう一つの不利な点は、小胞の作製に使用する微量の溶媒の存在である。
【0004】
リポソームから外部の水性媒体へと生物学的に活性な化合物が減少することは、実用的な剤形としてのこれらの調製物の可能性を制限するもう一つの要因である。これは、特に低分子量の水溶性化合物の場合だけでなく、脂溶性の化合物の場合にもあり、これらの両者は、平衡に達するまで外部の水性媒体に分配され得る。化合物の濃度が低い場合、および/または外部の水性媒体の量が多い場合、この減少は、リポソーム内の生物学的に活性な化合物の総量の有意な割合を示しうる。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は、安定かつ活性な薬剤の所望の量を送達することができるカーゴ部分(cargo moiety)のための新たな送達媒体を供する。本発明は、少なくとも部分的に、疎水性ドメインの周りに形成された脂質単層を含むジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)を形成することができるという発見に基づいている。疎水性ドメインは、疎水性薬剤をリポソームの二重層に組み込むことによって、以前には到達不能な濃度で、1つまたは複数のカーゴ部分を含むことができる。
【0006】
また、本発明は、一部において、送達媒体を、陽イオンおよび脂質シート層を交互にさせた結晶層内に留めることができるという発見に基づいている。外層は、任意に投与前に除去することができ、または外皮で覆われた状態で投与することができる。本発明は、エマルジョンおよび結晶化形態の媒体を含む送達媒体の製造の新規方法をさらに提供する。外皮で覆われたか、または結晶化された媒体は、食品などのさらなる調製物に便利に、かつ安定に添加され、摂取されるまでこれらの完全性を保持し、安定な非劣化状態でカーゴ部分を保持することができる。また、投与および取り込みの方法も開示される。
【0007】
従って、一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層および脂質単層の周りに配置された脂質複層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体であって、脂質単層がリン脂質を含む媒体を提供する。
【0008】
一部の態様において、本発明のジオデート送達媒体は、水性環境において懸濁化される。さらに、または代わりに、ジオデート送達媒体は、エマルジョンに懸濁化される。もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、粉末形態である。
【0009】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、ジオデート送達媒体と結合したカーゴ部分を含む。一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインと結合されている。もう一つの態様において、疎水性ドメインは、カーゴ部分である。第三の態様において、カーゴ部分は、脂質単層または脂質複層と結合されている。第四の態様において、疎水性ドメインは、油または脂肪と結合したカーゴ部分を含む。好ましい態様において、カーゴ部分は、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット(microbistat)、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドまたはその他の多環構造、糖類、金属、代謝毒、抗原、イメージング剤、ポルフィリン、テトラピロール色素、または薬物である。
【0010】
本発明の一つの側面において、脂質は、負に荷電したリン脂質を含む。好ましくは、脂質は、少なくとも約50%の負に荷電した脂質を含み、およびより好ましくは、脂質は、少なくとも約75%の負に荷電した脂質を含む。
【0011】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、凝集阻害剤を含む。好ましくは、凝集阻害剤は、カゼインまたはメチルセルロースである。
【0012】
一つの側面において、本発明は、カーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされたジオデート送達媒体を提供する。もう一つの側面において、本発明は、媒体を食品、飲料、または個人ケア製品に添加するための説明書と共にパックされたジオデート送達媒体を提供する。
【0013】
もう一つの側面において、本発明は、ジオデート送達媒体を含む食品を提供する。食品は、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品であることができる。
【0014】
さらにもう一つの側面において、本発明は、ジオデート送達媒体を含む個人ケア製品を提供する。個人ケア製品は、ヘアケア製品または皮膚ケア製品であることができる。
【0015】
その他の態様において、本発明は、ジオデート送達媒体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
もう一つの側面において、本発明は、カーゴ部分の投与による恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法を提供する。投与の経路は、粘膜、全身、経口、鼻腔、眼内、直腸内、腟内、肺内、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、または皮内であることができる。一部の態様において、カーゴ部分は、炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、糖尿病、不眠症、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良を治療するために投与される。その他の態様において、被検者は、栄養素の投与により恩典を受けることができ、かつカーゴ部分は栄養素である。
【0017】
もう一つの態様において、本発明は、脂質単層が疎水性ドメインの周りに配置されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合することによってカーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法を提供する。もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、加えて、カーゴ部分を含むことができる。さらにもう一つの態様において、脂質複層を、多価陽イオンを添加することによって、脂質単層の周りに形成することができる。好ましくは、多価陽イオンは、カルシウムを含む。
【0018】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、乾燥されて粉末の形態である。その他の態様において、ジオデート送達媒体は、薬学的に許容される担体と結合されている。さらに他の態様において、ジオデート送達媒体は、食品または個人ケア製品に添加される。
【0019】
また、本発明は、ジオデート送達媒体が形成されるように、疎水性材料とリン脂質を含む脂質を混合することによってカーゴ部分のためにジオデート送達媒体を形成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従ったジオデート送達媒体を製造する例示的な方法を図示する。
【図2】図2A-Dは、水性緩衝液と相互作用するジオレオイル・ホスファチジルセリン(DOPS)およびオリーブ油の4つの画像である。
【図3】図3A-Bは、オリーブ油中のアンホテリシンBの周りに配置されたDOPS単層を含む例示的なジオデート送達媒体の2つの画像である。
【図4】オリーブ油と相互作用する蛍光アンホテリシンBの周りのDOPS単層を含むDOPSジオデート送達媒体の画像である。
【図5】オリーブ油を覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識したDOPSを含む画像である。
【図6】オリーブ油を覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識したDOPSを含む画像である。
【図7】脂質複層から放出された後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【図8】脂質複層から放出された後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【図9】本発明に従ったジオデート送達媒体を製造するもう一つの例示的な方法を図示する。
【図10】図10AおよびBは、水性媒体中の安定なβカロテン/油/脂質エマルジョンの2つの画像である。
【図11】水性環境に分散されたダイズ油および脂質中のβカロテンの安定なエマルジョンの画像である。
【図12】図12AおよびBは、本発明に従って作製されるβカロテン-油ジオードの2つの画像である。
【図13】図13A-Dは、本発明に従って調製されるβカロテン・ジオードの画像である。図13Aおよび13Bは、懸濁液中のジオードを示し、図13Cおよび13Dは、EDTAを添加後の同じ製剤を示す。
【図14】図14A-Dは、市販の乾燥装置中の懸濁液から抽出されたβカロテン・ジオードの画像である。図14Aおよび14Dは、噴霧乾燥によって抽出されたジオードの画像であり、図14Bおよび14Cは、流動床乾燥によって抽出されたジオードの画像である。
【図15】噴霧乾燥の後、および流動床乾燥後の、懸濁液中のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。
【図16】20日間にわたる種々のβカロテン・ジオード製剤の安定性を示す2つのグラフである。
【図17】懸濁液中の、および噴霧乾燥後のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。
【図18】βカロテン・ジオードを含むマフィンの画像である。
【図19】局所的に手掌に適用されたβカロテン・ジオードの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な記載
本発明は、一部において、脂質単層が疎水性ドメインの周りに形成されること、およびこの構造が種々のカーゴ部分を送達するために使用することができるという発見に基づいている。
【0022】
本発明の一つの利点は、カーゴ部分を高濃度でジオデート送達媒体に組み込むことができることである。本発明のもう一つの利点は、複数のカーゴ部分を1つのジオデート送達媒体に組み込む能力である。また、ジオデート送達媒体への組み込みは、環境、たとえば水および酸素、また胃の両方からカーゴ部分の保護を与えるので、有利である。さらに、ジオデート送達媒体は、カーゴ部分から胃を保護する。ジオデート送達媒体の製剤は溶媒を含まないので、本発明は有利である。結果として生じるジオデート送達媒体は非常に安定であり、たとえば、これらは、温度限界および圧力に耐えることができるので、本発明はまた、有利である。本発明のもう一つの利点は、ジオデート送達媒体がカーゴ部分の風味および/または匂いをマスキングする能力である。
【0023】
特許請求の範囲の主題をより明らかに、かつ簡潔に記載するために、以下の定義は、以下の明細書、実施例、および添付の請求の範囲に使用する特定の用語の意味に関して案内を提供することが意図される。
【0024】
「ジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)」の用語は、カーゴ部分のための送達媒体をいう。ジオデート送達媒体は、一般に、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含む。「疎水性ドメイン」は、その周囲の脂質単層を形成させるために十分に疎水性の性質である組成物である。疎水性ドメインは、それ自体で1つもしくは複数のカーゴ部分であることができ、またはカーゴ部分と結合した油もしくは脂肪などの疎水性の組成物を含むことができ、これは、たとえば疎水性または両親媒性薬剤であることができる。
【0025】
「脂質単層」の用語は、一般に1分子の厚さの脂質を含む層(2分子の厚さの脂質二重層と対比される)をいう。脂質単層は、コレステロール、ステロイド、またはタンパク質などのさらなるエレメントを含むことができる。対照的に、「リポソーム」は、単層または多層の構造の脂質二重層(2分子の厚さ)によって定義される小胞をいう。
【0026】
本発明の一つの側面において、脂質単層は、主に負に荷電した脂質を含むか、および/またはから構成される。脂質複層が形成されると、多価陽イオンは、単層中の負に荷電した脂質とリポソーム中の負に荷電した脂質との間に陽イオン性の連絡を形成する。もう一つの態様において、脂質単層は、主に正に荷電した脂質から構成される。この場合、頭部は、複層中の負に荷電した脂質と相互作用する。さらにもう一つの態様において、脂質単層は、主に中性脂質から構成される。被覆された疎水性ドメインは、この態様では、脂質複層中に閉じ込められているが、複層とイオン相互作用しない。
【0027】
「脂質複層」の用語は、陽イオン性と脂質シート様の層との交互の構造をいう。脂質複層は、リポソームを含むエマルジョンに陽イオンを導入して形成することができる。脂質複層は、ジオデート脂質単層内に疎水性ドメインを閉じこめるだけでなく、それ自体でカーゴ部分と結合することができる(たとえば、親水性薬剤は、脂質複層内に配置される)。一つの態様において、脂質複層は、疎水性ドメインを閉じ込める。もう一つにおいて、脂質複層は、脂質単層内に配置された疎水性ドメインを閉じ込める。
【0028】
「カーゴ部分(cargo moiety)」の用語は、生物学的な関心対象の性質を有する任意の化合物をいう。薬剤は、たとえば有機または無機の、単量体または重合体の、宿主生物に対して内因性かまたはそうでないか、天然に存在するかまたはインビトロなどにおいて合成されるか、などであってもよい。従って、例には、ビタミン、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドおよびその他の多環構造、糖類、金属、医薬、タンパク質、マーカー化合物、イメージング剤、抗原、ポルフィリン、テトラピロール色素、代謝毒、および薬物などが含まれる。
【0029】
本発明の方法は、特に疎水性のカーゴ部分、およびたとえば疎水性の媒体に結合するか、または混合することによって、疎水性の相に結合することができ、および/または組み込むことができる薬剤の場合に有用である。また、カーゴ部分を、本発明の脂質複層に組み込むことができる。従って、併用療法では、疎水性ドメインと結合された1つまたは複数の活性な薬剤(たとえば、疎水性および両親媒性薬剤)と、脂質複層と結合された1つまたは複数の活性な薬剤(たとえば、親水性薬剤)を送達することによって使用することができる。
【0030】
一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインに配置された脂質単層、および脂質単層の周りに配置された脂質複層を含む、カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインに配置された脂質単層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体であって、脂質単層が少なくとも1つのリン脂質を含む送達媒体を提供する。
【0031】
一つの態様において、ジオデート送達媒体は、水性環境、たとえばエマルジョンに懸濁化することができる。別の実施例において、ジオデート送達媒体は、粉末形態である。
【0032】
疎水性ドメインは、1つもしくは複数のカーゴ部分、またはカーゴ部分もしくは薬剤自体のための担体であることができる疎水性の組成物である。すなわち、疎水性ドメインは、カーゴ部分(たとえば、アンホテリシンなどの抗真菌薬、ローダミンなどのマーカー化合物、および/またはβカロテンおよびαトコフェロールなどの栄養素)と結合された疎水性の担体(たとえば、オリーブ油またはダイズ油)であることができる。または、疎水性ドメインは、カーゴ部分自体、たとえばオメガ3脂肪酸または疎水性薬物などの栄養素であることができる。または、疎水性ドメインは、さらにカーゴ部分のための担体として作用する1つまたは複数のカーゴ部分であることができる。
【0033】
一つの態様において、疎水性ドメインは、ジオードの最終組成物の重量の約1%〜約99%の間、好ましくは約1%〜約75%の間、より好ましくは、約10%〜約30%の間の範囲で存在する。
【0034】
「外皮で覆われた」、「結晶化された」、および「結晶質」の用語は、通常1つまたは複数の疎水性ドメインの周りに形成された固体または半固体の脂質複層をいう。
【0035】
本明細書において使用されるものとして、「食品」の用語は、ヒトまたはヒト以外の動物によって消費するために適した任意の対象または対象群をいう。
【0036】
「送達(delivery)」の用語は、本明細書に使用されるものとして、カーゴ部分を宿主、食品、製剤、薬学的組成物、または他の何らかの系に導き、または輸送する任意の手段であって、カーゴ部分は、これが最初にジオデート構造で製剤化された場合に、少なくとも活性な部分を維持している手段をいう。従って、たとえばβ-カロテン・ジオードでは、βカロテンは、使用するまでジオード内でいくらかの活性を保持する。
【0037】
本発明の送達媒体は、安定媒体にカプセル化されたか、または閉じこめられた疎水性ドメインに向けられる。一つの側面において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を特徴とし、これは、安定なエマルジョンの一部であるか、および/または脂質複層に閉じこめることができる。もう一つの側面において、ジオデート送達媒体は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質複層を特徴とし、脂質単層は任意である。
【0038】
疎水性ドメインは、それ自体で1つもしくは複数のカーゴ部分であることができ、またはカーゴ部分(これは、たとえば疎水性または両親媒性薬剤であることができる)と結合した疎水性の組成物(たとえば、油または脂肪)を含むことができる。薬剤が両親媒性である場合、疎水性ドメインおよび脂質の両者と結合することができる。また、さらなるカーゴ部分を、脂質複層とこれらを結合させることによって送達することができ、したがって、併用療法を遂行することができる。カーゴ部分は、疎水性ドメイン、脂質単層、および/または脂質複層と結合することができる。
【0039】
カーゴ部分は、イメージング剤などの診断用薬であることができる。イメージング剤は、核薬剤およびポルフィリンを含む。ポルフィリンは、テトラピロールの薬剤または色素を含む。このようなテトラピロール薬剤は、疎水性の可視スペクトル(黒紫色)で高い吸光を有する蛍光分子である亜鉛テトラ-フェニルポルフィリン(Zinc Tetra-Phenyl Porphyrin:ZnTPP)である。
【0040】
カーゴ部分は、生物学的に活性なポリペプチドまたはポリヌクレオチドを産生するために発現されるポリヌクレオチドであってもよい。従って、ポリペプチドは、免疫原として役立ってもよく、またはたとえば酵素活性を有していてもよい。ポリヌクレオチドは、触媒活性を有してもよく、たとえばリボソームであってもよく、または転写もしくは翻訳の阻害剤として役立ってもよく、たとえば低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)であってもよい。ポリヌクレオチドは、モルホリノ・アンチセンス分子などの修飾されたアンチセンス分子を含むアンチセンス分子であることができる。ポリヌクレオチドは、修飾することができ、たとえばモルホリノバックボーンを有するように合成することができる。発現される場合、ポリヌクレオチドは、当技術分野において既知のように、好ましくはプロモーターなどの必要な調節エレメントを含む。ポリペプチドの具体例は、インスリンである。カーゴ部分は、水性媒体中で疎水性である有機分子であることができる。カーゴ部分は、水溶性の多価の陽イオン分子であることができる。
【0041】
カーゴ部分は、タンパク質、小ペプチド、生物活性ポリヌクレオチド、抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤、または血管拡張薬などの薬物であることができる。また、薬物は、任意の一般用の(処方箋のいらない)医薬であることができる。例には、アンホテリシンB、アシクロビル、アドリアマイシン、カルバマゼピン、イベルメクチン、メルファラン、ニフェジピン、インドメタシン、クルクミン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ケトプロフィン、メロキシカム、ナブメトン、エストロゲン、テストステロン、ステロイド、フェニトイン、エルゴタミン、カンナビノイド、ラパマイシン、プロパニジド、プロポフォール、アルファジオン、エキノマイシン、硝酸ミコナゾール、テニポシド、ヘキサメチルメラミン、タキソール、タキソテール、18-ヒドロキシ・デオキシコルチコステロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ピロキシカム、ジアゼパム、ベラパミル、バンコマイシン、トブラマイシン、ナイスタチン、リファンピン、ゲルダナマイシン、チルホスチン、グルカン合成阻害剤、ビタミンA酸、メサラミン、リセドロネート、ニトロフラントイン、ダントロレン、エチドロネート、カスポファンギン、ニコチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、シタロプラム、ドスレピン、ドキセピン、フルオキセチン、イミプラミン、ロフェプラミン、ミルタザピン(mirtazapine)、ノルトリプチリン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(venlafaxine)、ドーパミン、セントジョンーズワート(St. John's wort)、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、アマスタチン(amastatin)、アンチパイン、ベスタチン、ベンズアミジン、キモスタチン、3,4-ジクロロイソクマリン、エラスタチナール、ロイペプチン、ペプスタチン、1,10-フェナントロリン、ホスホラミドン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ラモトリジン、レビチラセタム(levitiracetam)、メフェニトイン、メトスクシミド、オキスカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェンスクシミド、プリミドン、トピラメート、トリメタジオン、ゾニサミド、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、またはアンプレナビルが含まれる。
【0042】
薬物は、シクロスポリン、アンギオテンシンI、IIまたはIII、エンケファリンおよびこれらの類似体、ACTH、抗炎症性ペプチドI、IIまたはIII、ブラジキニン、カルシトニン、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、ロイコキニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、ニューロキニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、甲状腺放出ホルモン(TRH)、ならびにバソプレッシンなどのポリペプチドであってもよい。
【0043】
薬物は、抗原であってもよいが、タンパク質抗原に限定されない。抗原は、また、炭水化物またはDNAであることができる。抗原タンパク質の例は、膜タンパク質、炭水化物、ウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質、動物細胞タンパク質、植物細胞タンパク質、細菌タンパク質、および寄生虫タンパク質を含む。
【0044】
抗原は、既知の方法によって供与源の粒子、細胞、組織、または生物体から抽出することができる。抗原の生物活性を維持する必要はない。しかし、いくつかの例(たとえば、タンパク質が、免疫系によって認識される膜融合もしくはリガンド結合の活性、または複雑な高次構造を有する場合)には、生物活性を維持することが望ましい。これらの例では、膜タンパク質の生物活性を破壊しない洗浄剤を含む抽出緩衝液を使用する。適切な洗浄剤は、コール酸塩、デオキシコール酸塩などのイオン性清浄剤、またはTween、BRIGもしくはTritonなどの異成分のポリオキシエチレン洗浄剤を含む。
【0045】
カーゴ部分は、リコピン、植物化学物質または動物化学物質などの微量栄養素、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、アミノ酸、魚油、魚油抽出物、および糖類、ビタミン、ハーブ製品、精油、またはミネラルを含む、栄養素であってよいが、これらに限定されない。具体例は、ビタミンA、B、B1、B2、B3、B12、B6、B-複合体、C、D、E、およびK、ビタミン前駆体、カロテノイド、およびβカロテン、リスベラトロール、ビオチン、コリン、イノシトール、ギンコ、ルテイン、ゼアキサンチン、ケルセチン、シリビニン(silibinin)、ペリリルアルコール、ゲニステイン、スルフォラファン、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸、ハーブ、スパイス、および鉄を含む。ミネラルは、ホウ素、クロミウム、コロイド性ミネラル、コロイド銀、銅、マンガン、カリウム、セレン、バナジウム、硫酸バナジル、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、および亜鉛を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において使用されるものとして、「微量栄養素」は、体が外部の供与源から得なければならない栄養素である。通常、微量栄養素は、少量が体に必須である。
【0047】
カーゴ部分は、糖類または甘味料、たとえばサッカリン、イソマルト、マルトデキストリン、アスパルテーム、グルコース、マルトース、ブドウ糖、フルクトース、およびショ糖であることができる。風味物質は、油、精油、または抽出物を含み、シナモン、バニラ、アーモンド、ペパーミント、スペアミント、カモミール、ゼラニウム、ショウガ、グレープフルーツ、ヤナギハッカ、ジャスミン、ラベンダー、レモン、レモングラス、マヨラナ、ライム、ナツメグ、オレンジ、ローズマリー、セージ、バラ、タイム、アニス、バジル、黒コショウ、茶または茶抽出物、ハーブ、柑橘類、スパイス、または種子の油および抽出物を含むが、これらに限定されない。
【0048】
一つの態様において、カーゴ部分は、最終組成物の約1%〜約99%の間の範囲で存在する。一つの態様において、カーゴ部分は、ジオードの最終組成物の約1%〜約30重量%の間の範囲で存在する。もう一つの態様において、さらに、第2のカーゴ部分が、ジオードの最終組成物の約0.1%〜約90重量%の間の範囲でジオード構造に組み込まれる。一つの態様において、第2のカーゴ部分は、約1%〜約10%の間、より好ましくは、約1%〜約5%の間の範囲で存在する。
【0049】
一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインの約0.1%〜約99%の間の範囲で疎水性ドメインに組み込まれる。好ましい態様において、範囲は、約0.1%〜約50%の間である。より好ましくは、比率は、約1%〜約25%の間である。もう一つの態様において、第2のカーゴ部分は、また、約1%〜約90%の間の範囲で疎水性ドメインに組み込まれる。もう一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインである。
【0050】
一つの態様において、疎水性ドメインは、総組成物の約1%〜約99%の間の範囲で存在する。好ましい態様において、疎水性ドメインは、総組成物の約1%〜約50%の範囲で存在する。より好ましくは、疎水性ドメインは、約5%〜約35%の範囲で存在する。
【0051】
脂質単層を形成するために使用される適切な脂質(および下記で論議されるリポソーム)は、ダイズレシチン、部分的に精製されたレシチン、水素付加されたリン脂質、リゾホスフェート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、スフィンゴ脂質、ガングリオシド、セレブロシド、セラミド、ダイズリン脂質、ホスファチジルコリンのその他のエステル類似体、合成リン脂質、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、および部分的または完全にフッ化された脂肪酸鎖を有するリン脂質などのリン脂質を含むが、これらに限定されない。好ましくは、脂質は、ホスファチジルセリンなどの負に荷電したリン脂質である。好ましいホスファチジルセリンは、ダイズPSおよびジオレオイルPS(DOPS)を含む。また、脂質には、蛍光リン脂質を含むことができる。
【0052】
さらに、ヒドロキシル基、分枝の炭素鎖、シクロ誘導体、芳香族の誘導体、エーテル、アミド、ポリ不飽和の誘導体、ハロゲン化誘導体などの変化された脂肪族部分か、または炭水化物、グリコール、ホスフェート、ホスホナート、第四級アミン、サルフェート、スルホナート、カルボキシ、アミン、スルフヒドリル、イミダゾール基、およびこのような基の組み合わせを含む変化された親水性部分のいずれかを含む合成リン脂質を、リン脂質、および当業者に既知のその他のものと置換し、または混在させることができる。
【0053】
好ましくは、本発明に使用される脂質は、1つまたは複数の負に荷電した脂質を含む。本明細書において使用されるものとして、「負に荷電した脂質」の用語は、酸性または生理的pHで水溶液中で形式的に負電荷を有する頭部を有する脂質を含み、また、双性イオン頭部を有する脂質を含む。
【0054】
一つの態様において、脂質は、少なくとも50%の負に荷電した脂質を含む脂質の混合物である。もう一つの態様において、脂質は、少なくとも75%の負に荷電した脂質を含む。その他の態様において、脂質は、少なくとも85%、90%、95%、またはさらに99%の負に荷電した脂質を含む。40%〜100%の間の全ての範囲および値の負に荷電した脂質が本明細書に含まれるものと定められる。
【0055】
好ましい態様において、疎水性ドメインの周りに形成される脂質単層は、主に負に荷電した脂質単層である。好ましい態様において、脂質複層は、エマルジョンに陽イオンを付加することによって形成することができる。
【0056】
もう一つの態様において、疎水性ドメインの周りに形成される脂質単層は、主に正に荷電した脂質単層である。もう一つの態様において、脂質複層は、エマルジョンに陰イオンを付加することによって形成されてもよい。
【0057】
送達媒体を安定なエマルジョンに懸濁化する場合、エマルジョンをさらに安定化するために、たとえばエマルジョン内の凝集もしくは合体を減少させ、または除去するために、溶液にはリポソームまたはその他の脂質構造を含むことができる。また、凝集を防止するために、疎水性ドメインとカーゴ部分の結合を助けるために、および/または活性薬剤が本発明の送達媒体から移動することを防止するために、溶液はさらなる添加物を含むことができる。脂質複層が、エマルジョンの疎水性ドメインの周りに形成される場合、媒体を、エマルジョンで利用するか、またはペーストもしくは粉などの固体または半固体の形態で利用するために抽出することができる。
【0058】
大きなおよび/または荷電した分子では、脂質単層を通過するのが困難であるので、脂質単層は有利である。したがって、カーゴ部分が単層を通ってドメインから出てしまうのが阻害され、または防止される。脂質複層は、典型的にはこれが、その中に固定されているか、または疎水性ドメインにおいてこれによってトラップされているカーゴ部分が通れないので、有利である。単層および脂質複層の両者についてのもう一つの利点は、カーゴ部分が環境から保護されているということ、および環境がカーゴ部分によって保護されていることである。エマルジョンおよび脂質複層の両者は、安定であり、したがって、薬剤の貯蔵および送達に便利になるだけでなく、食品または薬学的組成物などの組成物にこれを組み込むのに便利な手段となる。
【0059】
脂質複層は、リポソームおよび陽イオンを含み、陽イオンに対する曝露によってリポソームから形成することができる。陽イオンおよびリポソームは整列して、積み重なり、または丸まった構造を形成し、これが1つまたは複数の疎水性のドメインを捕え、保持し、または外皮で覆う。陽イオンは、好ましくは多価陽イオンである。陽イオンは、Ca++、Zn++、Ba++、およびMg++などの二価の陽イオンであってもよい。また、陽イオンは、多価のカーゴ部分であってもよい。
【0060】
疎水性ドメインは、該疎水性ドメインの周りに分散された脂質単層の有無にかかわらず、必要に応じてEDTA、アスコルビン酸、および/またはクエン酸などのキレート薬に対して結晶脂質構造を曝露することにより、脂質複層から放出させることができる。キレート薬は、結晶構造を崩壊させる役割を果たし、疎水性の小球をカプセル化する外皮で覆われなくなった脂質単層を与える。キレート薬は、乾燥粉末に添加し、貯蔵することができ、その結果、加水により、キレート薬は、外殻に作用して被包性のドメインを放出する。
【0061】
カーゴ部分は、たとえば媒体が脂質複層および/またはエマルジョンであるかどうかに応じて、異なる速度で送達することができる。また、陽イオン、脂質、および疎水性ドメイン構造の選択により、送達の速度および時間に影響を及ぼすことができる。従って、これと共に含まれるカーゴ部分の放出速度が変化し、たとえば脂質複層が最初にインビボで溶解した場合に、第1の薬剤を送達し、続いて疎水性ドメインと結合した第2の薬剤を送達するように互い違いに配置することさえもできる。従って、本明細書に記載されている媒体の成分および構造を制御することによって、遅延性に全期間にわたって所望の量のカーゴ部分を放出する媒体を入手することができる。
【0062】
従って、本発明の組成物は、疎水性ドメイン、脂質単層、脂質複層、安定なエマルジョン(たとえば、リポソームもしくは水性培地の)、もしくはこれらのいずれかの組み合わせの中に存在するか、または結合する1つまたは複数のカーゴ部分を含んでいてもよい。加えて、いくつかの沈着層を1つまたは複数のカーゴ部分が結合したジオデート送達媒体の周りに形成し、または周りを外皮で覆うことができる。従って、本発明は、併用薬物療法、および/または連続もしくは同時の放出プロフィール、たとえばパルスまたは長期間にわたる放出のために使用してもよい。たとえば、胃を保護する薬物を最初の層のための脂質複層に製剤化することができ、1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症薬を、胃を保護する薬物が放出されたあとに放出するための疎水性ドメイン内に製剤化することができる。
【0063】
本発明の媒体に組み込まれるカーゴ部分の量を変化させることができる。媒体の有利な性質、たとえば媒体に閉じ込められる薬剤の安定性により、既知の送達手段の使用、たとえば食品に薬剤を直接添加することと比較して、同じ結果を達成するためにより少ない量の薬剤を用いることができる。
【0064】
一つの態様において、本発明のジオデート送達媒体は小さく、たとえばマイクロメートルまたはナノメートルの範囲である。このようなジオデート送達媒体は、たとえば小さなサイズであるために経口有効性が増大するので、特に有利である。加えて、静脈内投与のためには、小さなサイズが好ましく、時に必要となる。本発明のジオデート送達媒体は、凝集阻害剤(たとえば、カゼイン)を導入することによって超微粉砕または脱凝集することができる。しかし、好ましくは、ジオデート送達媒体は、所望のサイズの範囲に形成され、および/または懸濁液は、陽イオンの添加の前に超微粉砕することができる。このような態様において、凝集阻害剤は、所望のサイズの範囲にジオデート送達媒体を形成するために使用することができる。
【0065】
好ましい態様において、本発明のジオデート送達媒体は、凝集阻害剤をさらに含む。一つの態様において、凝集阻害剤は、所望のサイズのジオデート送達媒体を得るために使用される。「凝集阻害剤」の用語は、本明細書に使用されるものとして、脂質複層の有無にかかわらず、およびエマルジョンの有無にかかわらず、ジオデート送達媒体の凝集を阻害する薬剤をいう。凝集阻害剤は、典型的には少なくともジオデート送達媒体の表面上に存在し、ジオデート送達媒体の表面上に存在するだけであってもよい(たとえば、凝集阻害剤を沈澱後に導入する場合)。凝集阻害剤は、ジオデート送達媒体形成の前、後、または間に添加することができる。凝集阻害剤は、部分的には、凝集が阻害されるようにジオデート送達媒体の表面特性を修飾することによって作用する。凝集は、たとえばジオデート送達媒体構造の立体的な大きさおよび/または性質の変化、たとえば表面疎水性および/または表面電荷の変化によって阻害することができる。凝集阻害剤を、製造のいずれの時点(たとえば、凝集の前に)でも、および/または製造後に(たとえば、沈殿サイズを安定化し、および/または沈殿を脱凝集させるために)添加することができる。
【0066】
好ましい態様において、本発明の沈殿は、1つまたは複数の凝集阻害剤を含む。凝集阻害剤は、沈澱の前、間、および/または後に添加することができる。凝集阻害剤の種類および/または量は、所望の沈殿サイズおよび/または分布を得るように調整することができる。さらに、または代わりに、凝集阻害剤は、沈殿の凝集を最小限にし、または除去するように、粒子サイズおよび/または粒度分布を安定化するために使用することができる。
【0067】
本発明に従って使用することができる適切な凝集阻害剤は、以下の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない:カゼイン、κ-カゼイン、ミルク、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、トラガカントゴム、ガーゴム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メタアクリル酸メチル共重合体、カルボキシビニル重合体、アミロース、高アミロース澱粉、ヒドロキシプロピル化高アミロース澱粉、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン(elsinan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、カラゲナン、カルナウバ蝋、セラック、ラテックス重合体、乳タンパク質単離物、ダイズタンパク質単離物、ホエータンパク質単離物、およびこれらの混合物。
【0068】
好ましい凝集阻害剤は、カゼインである。カゼインは、高度にリン酸化されたカルシウム結合タンパク質である。いずれの特定の理論に拘束されることは望まないが、カルシウムは、負に荷電した脂質(たとえば、PS)とカゼインの間の相互作用を媒介し、これにより凝集が阻害されるように沈殿の表面特性を変えるものと考えられている。もう一つの好ましい凝集阻害剤は、ミルクおよびハーフ・アンド・ハーフ、クリームなどのその他の乳製品である。もう一つの好ましい凝集阻害剤は、メチルセルロースである。
【0069】
1つより多い凝集阻害剤を本発明の組成物に使用してもよい。たとえば、ミルクおよびメチルセルロースを凝集阻害剤として使用してもよい。
【0070】
一つの態様において、本発明の沈殿組成物は、凝集阻害剤対脂質の比率が重量において約0.5:1〜約4:1の間である凝集阻害剤を含む。好ましくは、凝集阻害剤対脂質の比率は約1:1である。当業者であれば、ルーチン試験だけで、所望のサイズの沈殿を形成させるために必要とされる凝集阻害剤の量を容易に決定することができるであろう。
【0071】
本発明の送達媒体を組み込んでいる薬学的製剤は、タブレット、カプセル、ピル、原体、または単位用量粉を含む固体の形態、および顆粒または溶液、液体エマルジョン、流体懸濁液、半流動などを含む液体形態であることができる。結晶構造は、その環境から薬剤を、およびその逆を保護するので、これは、特に脂質複層を含む媒体の使用にあてはまる。活性成分に加えて、製剤は、適切な技術分野で認識された希釈液、担体、充填材、結合剤、乳化剤、界面活性物質、水溶性媒体、緩衝液、可溶化剤、および防腐剤を含む。
【0072】
本発明の送達媒体を組み込んでいる薬学的製剤は、治療用または栄養飲料、ヨーグルト、ミルク、サラダドレッシング、湿性の動物食品などの食品を含む液体または準液体形態であることができる。本発明の安定なエマルジョンは、このような製剤に直接添加することができる。
【0073】
本発明の媒体の利点は、特にダイズに基づいた脂質が使用されるときの組成物の安定性および安全性である。従って、ジオデート送達媒体は、懸念なく経口的に、または滴下によって、ならびに局所的、皮下、皮内、筋肉内などのより慣習的経路によって投与することができる。粘膜の表面に対する直接適用は、送達媒体によって可能となる魅力的な送達手段である。
【0074】
当業者であれば、本発明を実施する治療を遂行するために最も有効かつ治療的な手段を決定することができる。また、たとえば「Goodman & Gilman's, The Pharmaceutical Basis for Therapeutics」、(6th Ed., Goodman, et al., eds., MacMillan Publ. Co., New York, 1980)を含む多数の当局および参照を参照することができる。
【0075】
また、本発明のジオデート送達媒体は、壊れやすいカーゴ部分を宿主に送達するための優れた手段として役立つ。このようなカーゴ部分は、栄養素、ビタミンA、D、EまたはKなどのビタミン、補因子、酵素、ポリ不飽和形態などの脂肪酸、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄またはバリウムなどの二価の陽イオンを含むミネラル、香料などを含む。カーゴ部分は、非水溶環境において媒体中に含まれているので、薬剤は、本質的に安定化され、かつ保存される。疎水性分子は、ジオデート送達構造の一部を作製することができるが、本発明の脂質単層が疎水性ドメインの周りに形成されるであろうという若干の問題を有する。
【0076】
ジオデート送達媒体は、ヒトまたはその他の動物によって消費される食品および飲料に薬剤を送達するために特に有利であり得る。たとえば、イヌおよびネコの食品は、安定にビタミン、香料、ミネラル、またはその他の栄養素、ならびに薬物、たとえばアレルギー薬を送達するために、本発明の媒体を含むことができる。同様に、本発明のジオデート送達媒体は、魚用食品および家禽、ウシ、およびウマのための食物などのペットまたは家畜の飼料に添加することができる。媒体は、調製のいずれの工程で添加することもできる。たとえば、媒体は、国際公開公報第02/44026号(参照として本明細書において組み込まれる)に記載されている方法のいずれの時点で添加することもできる。同様に、本発明の組成物および方法は、ヒトが消費するための食品または飲料に、たとえば栄養バーまたは飲料、穀類、パン、およびスナック食品に使用することができる。従って、本発明の調製物により、ファーストフードなどの加工食品中の微量栄養素の安定な、便利な調製物の生産が可能になる。典型的には、潜在的に有益な微量栄養素、たとえばオメガ脂肪酸および抗酸化物は、食品製造および貯蔵の間に破壊され得る。本発明の送達媒体は、微量栄養素およびその他のカーゴ部分を保護し、したがって食品の栄養的および/または医薬的な価値を増大させる。
【0077】
これらの増大された安定性により、本発明の組成物および方法は、特にケーキ、マフィン、パスタ麺、スープ、穀類、チップ、キャンディ、およびクッキーなどの焼いた食品または調理した食品に有用である。好ましい態様において、組成物は、キャンディーバー、たとえばチョコレートバーなどのキャンディに使用される。たとえば、オメガ脂肪酸ジオードをチョコレートバーに組み込むことができる。
【0078】
ジオデート送達媒体は、製造工程のいずれかの段階で結晶化またはエマルジョンにされた形態で食品、たとえばファーストフード製品に添加することができる。食品は、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜動物用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品であることができる。
【0079】
これらは、好ましくは送達媒体の完全性が、摂取または消費者による食品の最終的な調製まで維持される段階で添加される。しかし、もう一つの変形例では、製品に組み入れるまで薬剤の安定性を維持する媒体を使用することができ、こうして、活性を貯蔵および輸送の間に維持することができる。さらにもう一つの変形例では、使用者が要求するように濃度を変化させることができるように、媒体それ自体を食品、たとえば薬物、栄養素の結晶、添加物、補助食品、またはエマルジョンに直接添加するために消費者または専門家に分配することである。
【0080】
また、媒体は、皮膚上の局所治療として使用するための担体に添加することができる。適切な担体は、その全期間にわたって皮膚上に残り、汗または水の浸入に抵抗性である。従って、たとえば、媒体を薬物、モイスチャライザー、脱臭剤、バルサム、芳香剤、日焼け止めなどの局所適用に添加してもよい。
【0081】
本発明のジオデート送達媒体を含むを含むことができる製剤のさらなる例は、ヘアケア製品、皮膚ケア製品、個人ケア製品、個人清浄製品、ローション剤、芳香剤、スプレー、香水、化粧品、歯みがき、歯漂白剤、クリーナー、固形石鹸、液状石鹸、体の洗浄剤、乳児洗浄剤、化粧品、ヘアカラー、シャンプー、コンディショナー、スタイリング製品、バルサム、クリーム、溶液、ゲル類、および固体を含むが、これらに限定されない。従って、たとえば、シャンプー、コンディショナーなどは、ビタミン、モイスチャライザー、香水、薬物、その他を詰めたジオデート送達媒体を含んでいてもよい。
【0082】
また、媒体は、皮膚と直接接触しないクレンザーに添加することができる。これらの製剤は、すなわち香水、モイスチャライザー、またはその他のこのようなカーゴ部分を布地に組み入れるために、または抗菌薬を皿に導入するために有利である。例には、洗濯用洗剤、前処理製剤、乾燥器シート、織物柔軟剤、および皿洗い洗剤を含むが、限定されない。
【0083】
また、ジオデート送達媒体は、カーゴ部分の皮膚への局所適用のための紙製品に添加することができる。本発明のジオデート送達媒体を含むことができる紙製品の例は、乳児ケア製品、すなわちおむつまたは乳児ワイプ、ティッシュ、トイレットペーパー、抗菌薬または制汗性のペーパータオル、ナプキン、ペーパータオル、バンドエイド、ガーゼパッド、および女性の衛生製品を含む。
【0084】
当業者であれば、特定の目的のためのカーゴ部分および/または疎水性ドメインに対する最適な脂質の比率を過度の実験なしに決めることができる。ジオデート送達媒体の形成は、容易にモニターされる。次いで、投与された組成物に対する生物学的な反応の性質および傾向を確認するために、調製物を標的化される宿主に投与することができる。使用するいずれのもののための最適化された比率も、高比率から、たとえば珍しいカーゴ部分の使用を最小限までで変動して、媒体中のカーゴ部分の最大の量を得るために低比率にしてもよいことは、明らかなはずである。本媒体は、カーゴ部分の大きな荷を受け入れることができるため、カーゴ部分の量は、必要に応じて大きく変化させることができる。
【0085】
また、本発明は、カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法を提供する。本方法は、一般に、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含むジオデート送達媒体が形成されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む。
【0086】
ジオデート送達媒体を形成する別の方法は、1つまたは複数のジオデート送達媒体が形成されるように、たとえば混練によって脂質および疎水性材料を混合する工程を含む。この方法は、たとえば水性環境が要求されないときに有利であり得る。脆弱なカーゴ部分はしばしば水分に感受性であり、遷延被曝によって分解を引き起こし得る。従って、ジオデート送達媒体を形成するための非水溶方法が望ましい。
【0087】
疎水性ドメイン比率に対して低脂質であると、脂質は、水中でミセルを形成する傾向があり;さらに高い濃度では、脂質は、疎水性の小球の周りに脂質単層を形成する。好ましくは、脂質対疎水性ドメインの比率が5:1〜約10:1の間である。
【0088】
本方法は、疎水性ドメインと結合されたカーゴ部分を添加する工程をさらに含むことができる。本薬剤は、疎水性ドメインの周りに脂質単層を形成するために、混合物を乳状にする前、または後に添加することができる。または、疎水性ドメインは、それ自体がカーゴ部分、たとえば魚油であってもよい。
【0089】
本発明の方法は、ジオデート送達媒体の周りに脂質複層を形成するために、陽イオンをエマルジョンに添加する工程を含むことができる。脂質複層は、エマルジョンに維持することができる。選択的に、本方法は、エマルジョンから沈殿を抽出して、固体または半固体、たとえば粉末を形成させる工程を含むことができる。ジオデート送達媒体は、濾過、遠心分離、またはその他の技術によって懸濁液から回収し、粉末に乾燥することができる。以下に示すように、ジオデートを、市販の大規模な、または大きなバッチ装置、たとえば噴霧乾燥器もしくは流動床乾燥器を使用して懸濁液から抽出することができる。このような装置で回収されるジオードは、ジオード構造またはそのカーゴを劣化させることなく長期間極度な温度、たとえば400°Fを受けることができる。
【0090】
または、ジオデートを、粉末を形成するための高圧および熱気を使用する装置を使用して乾燥することができる。高圧によりジオデート懸濁液から霧を生じさせ、これを上部からチャンバーに入れる。熱気は、一番下からチャンバーに入れて、チャンバーの中心の種晶に吹きつける。霧と種晶が出合うときに、ジオデートが種晶を被覆し、粉末を形成する。
【0091】
本発明の送達媒体、たとえばジオードの使用により、従来の食品または薬物の調製によって達成することができるものに対して、送達される活性成分の量を増大させることができる。たとえば、本発明の送達媒体は、薬物、食品、飲料などの調製に直接カーゴを使用することに対して、送達される活性(分解されていない)成分の20%、40%、50%、60%、100%、200%...、1000%...、10,000%増大させることができる。
【0092】
図1は、本発明のジオデート送達媒体を製造する例示的な方法を図示する。脂質(たとえば、リン脂質)は、白丸としてリポソームに表してあり、個々に、および親水性の頭部および典型的なリン脂質の疎水性の末尾部分を示すヘアピン様の構造として脂質単層配置に表してある。疎水性ドメイン(たとえば、油滴)は、影をつけた円によって表してある。脂質複層は、ハッチングによって表してある。リン脂質および油滴は乳状にされ、リポソーム、およびそれぞれが油の液滴の周りに配置された脂質単層を含むジオデート送達媒体を含む、安定なエマルジョンを生じる。陽イオン(たとえば、カルシウム)を添加すると、リポソームは、リポソーム二重層およびカルシウム層が交互になった複層に折りたたまれる。図1には、いくつかの結晶を示してあり、それぞれのものが、いくつかのジオデート送達媒体を捕獲する。任意に、結晶は、懸濁液から除去することができる(図示せず)。
【0093】
本発明をさらに図示するために、図2A〜Dは、水性緩衝液中で相互作用するDOPSおよびオリーブ油の4つの画像を含む。図3AおよびBは、オリーブ油中でアンホテリシンBの周りに配置されたDOPS単層を含むジオデート送達媒体の2つの画像である。図4は、オリーブ油と相互作用する蛍光アンホテリシンBの周りにDOPS単層を含むDOPSジオデート送達媒体の画像である。図5および図6は、オリーブ油を外皮で覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識されたDOPSである。図7および図8は、カルシウムで形成された脂質複層をキレート薬によって除去した後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【0094】
本発明の調製物の天然の組成物は、非天然の化学製品を使用する方法または感染性のウイルスベクター系を使用する方法などのその他の送達方法に付随するリスクを減少させる。本調製物は、比較的容易に、および安価に製造され、広範囲にわたってカーゴ部分と互換性を持つ。本調製物は、懸濁液または食品媒体などの媒体(たとえば、液体または固体の食品)で経口的に送達することができる。従って、本発明の調製物により、痛みを伴い、かつ困難な注射の必要がなくなるであろう。そのうえ、本調製物は、処方薬に制限されないが、一般用医薬またはビタミン、ミネラル、もしくはその他の栄養素などのその他の薬剤を送達するためにも使用してもよい。
【0095】
このようなカーゴ部分の例は、魚油およびその他の魚製品において主に見いだされるオメガ-3脂肪酸である。オメガ-3脂肪酸は、動物における耐病性の増大および生殖力に関与しており、これらは、ヒトのコレステロールおよび全心血管の健康に対して有意に陽性の効果を有することが示されている。たとえば、Daviglus et al. N Engl J Med. 336:1046-1053 (1997)を参照されたい。しかし、これらを直接食品に取り込むことの問題の1つは、これらの著しい匂いおよび味である。
【0096】
本発明は、オメガ-3脂肪酸と関係するものなどの風味および匂いを、脂質複層内にカプセル化することによってマスキングする手段を提供する。たとえば、オメガ-3脂肪酸-ジオードは、豆乳などの飲料、ミルク、液体ヨーグルト、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、スムージー、スポーツ飲料、清涼飲料、茶、コーヒー、およびアイスコーヒーに添加されてきた。それぞれのケースにおいて、味の変化または飲料の匂いはなく、すなわちオメガ-3脂肪酸の特徴的な魚の匂いは、認識されなかった。同様に、オメガ-3脂肪酸ジオードは、ケーキ、マフィン、パスタ麺、スープ、およびクッキーなどの商品に使用して、味もしくは匂いの変化を伴わずに焼くか、または料理することができる。
【0097】
また、本発明は、βカロテンなどの不安定なカーゴ部分の送達のために特に有利である。βカロテンは、一重項酸素およびその他のフリーラジカルをクエンチすることによって抗酸化物として作用する。残念なことに、βカロテンおよびその他のカロテノイドは、体に取り込む前の酸化に対して非常に感受性である。この現象は、濃橙色の着色料の漂白として観察される。Britton, FASEB J. 9: 1551-1558 (1995)。
【0098】
本発明は、使用前に貯蔵するための無酸素の環境でβカロテンに提供する。驚くべきことに、βカロテンは、通常これを分解させる温度限界および圧力に対して曝露した後でさえも活性を維持した。図18は、約20分間、約350°Fで焼いたマフィン内に含まれるβカロテン・ジオードの画像である。活性は、マフィン内に観察される赤橙色の着色料によって示される。さらに、βカロテン・ジオードを、その他の焼かれるかまたは料理される材料および飲料に組み込むことができる。
【0099】
もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、非ステロイド系抗炎症薬(nonsteroidal antiinflammatory drug:NSAID)を送達するために使用することができ、典型的には炎症、肉離れ、および高熱を治療するために使用される。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ-1(COX1)およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX2)を阻害することによって機能する。COX1酵素は、胃の裏打ちを保護する役割を果たし、COX2酵素は、炎症工程に重要なプロスタグランジンの産生を担う。残念ながら、市販のNSAID調製物は、COX1およびCOX2に対して活性であり、従って、潰瘍、胃の不調、または嘔気などの不必要な副作用を有する。
【0100】
イブプロフェンおよびナプロキセンは、疼痛および熱を軽減するために一般的に用いられる、広く使用されかつ周知の2つのNSAIDである。低用量のイブプロフェンは、疼痛を制御するために使用されるが、炎症では、より高い用量でなくては調節することができず、これにより、たいてい胃の不調、下痢、めまい、傾眠、ガス、胸やけ、または頭痛、および時に腎臓毒性もしくは黄疸などのより重大な副作用を引き起こす。ナプロキセンは、疼痛および炎症の両方を治療するために使用されるが;下痢、便秘、めまい、傾眠、ガス、胸やけ、嘔気、嘔吐、頭痛、日焼けに対する感受性の増大および耳鳴りが、一般的な副作用である。従って、送達媒体によって、首尾よくこのようなNSAIDを不必要な副作用のないマクロファージに送達することが必要である。
【0101】
マクロファージは、細菌、真菌、および寄生虫の取り込みに重要であり、炎症反応においても重要な役割を果たす。食作用を行うことに加えて、マクロファージは、細胞サイズの増大、リソソーム酵素レベルの増大、より活発な代謝、および摂取された微生物を食菌し、死滅させるより優れた能力を生じる工程が活性化される可能性を有する。活性化の後、マクロファージは、多種多様な生物学的に活性な産物を分泌し、抑制されなければ組織傷害および慢性炎症を生じてしまう。分泌された産物のうちの1つの一酸化窒素(NO)が、炎症のメディエータとして最前線に入ってくる。
【0102】
誘導性のNOSによって産生された一酸化窒素(NO)は、炎症、細菌病原体の死滅、および組織修復に重要な役割を果たす。NO形成は、炎症の間に(すなわち、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、およびクローン病において)増大し、いくつかの古典的な炎症性の症状(すなわち、紅斑、および脈管虚弱)は、NOS阻害剤によって逆転される。また、一酸化窒素は、免疫系において広範な役割を果たすものであると認識されてきた。これは、感染症、腫瘍、自己免疫性工程、および慢性変性疾患の病原および制御に関与している。
【0103】
イブプロフェンおよびナプロキセンなどのNSAIDの作用および副作用の機序は、部分的には、iNOSからのNOの生成によるものと説明される。本発明のジオデート送達媒体を使用することによるiNOS発現の阻害およびNO産生は、これらの薬物の炎症作用を治療的に減少させる方法となり得る。
【0104】
本発明のもう一つの側面は、本発明の調製物の投与方法である。従って、本発明は、カーゴ部分の投与の恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法を提供する。本発明の調製物は、真菌感染を治療するために(たとえば、アンホテリシンBなどの抗真菌薬の送達によって)、HIV感染症を治療または予防するために(たとえば、細胞性免疫を誘導するワクチンまたはペプチドの送達によって)、黄斑変性症を治療するために(たとえば、栄養補助食品の送達によって)、炎症を治療するために(たとえば、抗炎症の送達によって)、細菌感染を治療するために(たとえば、抗生物質の送達によって)、および栄養素を提供するために(たとえば、ビタミン、ミネラルまたは油の送達によって)、使用することができる。
【0105】
従って、本発明は、1つまたは複数のカーゴ部分によって治療することができる、障害のリスクにさらされている(もしくは感受性である)か、または障害を有する被検者を治療する予防的および治療的な方法を提供する。
【0106】
「治療」または「治療すること」は、本明細書に使用されるものとして、患者に対する治療薬(たとえば、NSAID)の適用または投与、または疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する者の単離された組織または細胞株に対して、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を治癒し、回復し、軽減し、楽にし、変化させ、治療し、寛解させ、改善し、または、影響を及ぼすことを目的とした本発明の治療薬ジオードの適用または投与として定義する。「治療された」とは、本明細書に使用されるものとして、疾患または障害を治癒し、回復し、軽減し、楽にし、変化させ、治療し、寛解させ、改善し、または、影響を及ぼすことをいう。
【0107】
本発明の方法は、被検者または宿主に、本発明のジオデート送達媒体と結合されたカーゴ部分を投与する方法を含む。本発明のジオデート送達媒体は、経口的、経鼻、局所的、静脈内、経皮的、頬側、舌下、直腸、膣、または非経口的に投与されてもよい。
【0108】
本発明は、本発明の組成物の投与による恩典を受ける被検者を治療する方法を提供する。カーゴ部分、たとえば薬物または栄養素による恩典を受けるいずれの治療的な徴候も、本発明の方法によって治療することができる。従って、本発明は、たとえばタンパク質、小ペプチド、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤および/もしくは血管拡張薬で治療することができる疾患もしくは障害のリスクにさらされる被検者、またはこのような疾患もしくは障害を有する被検者を治療する方法を提供する。本方法は、疾患または障害が治療されるように、本発明の組成物を被検者に投与する工程を含む。疾患または障害は、たとえば炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良であることができる。
【0109】
本発明のジオデート送達媒体は、頭痛、関節炎、慢性関節リウマチ、骨関節炎、急性の痛風、たとえばスポーツ傷害と関連した急性または慢性の軟部組織損傷、テニス肘、滑液包炎、腱炎、椎間板ヘルニアなどの急性または慢性の背痛、手根管圧迫症候群、糸球体腎炎、心臓炎、潰瘍性大腸炎、喘息、敗血症、および足底の筋膜炎を含む種々の炎症を治療するために使用することができる。また、本発明のジオデート送達媒体は、手術またはその他の医学技法から生じる疼痛を軽減するために使用することができる。本発明のジオデート送達媒体は、カンジダ、たとえば酵母感染症、白癬、たとえば水虫、粃糠疹、腔カンジダ症、クリプトコックス性髄膜炎、ヒストプラスマ症、およびブラストミセス症を含む種々の真菌感染を治療するためにさらに使用することができる。
【0110】
また、本発明のジオデート送達媒体は、中度から重度の下気道感染症、皮膚感染、胆管感染、骨感染症、抗生物質予防、偽膜全腸炎、中枢神経系感染症(たとえば、髄膜炎および脳室炎)、腹腔内感染症(たとえば、腹膜炎)、肺炎、敗血症、軟部組織感染症、好中球減少性の敗血症、関節感染症、感染性心内膜症、および尿路感染症を含む(しかし、これらに限定されない)種々の細菌感染を治療するために使用することができる。
【0111】
本発明の抗生物質製剤によって治療することができる例示的な細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、D群連鎖球菌(Streptococcus group D)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coil)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むが、これらに限定されない。
【0112】
上記方法は、その他の治療をすることなく、またはその他の治療と組み合わせて使用することができる。このような治療は、本発明の組成物の投与の前に、並行して、または後に開始することができる。従って、本発明の方法は、たとえば疾患もしくは障害のための、またはその他の治療の副作用を改善するための第2の治療などの第2の治療を投与する工程をさらに含むことができる。このような第2の治療は、たとえば放射線、化学療法、輸血、手術(たとえば、腫瘍を除去するための切除)、および遺伝子治療を含むことができる。さらに、または代わりに、さらなる治療は、疾患をさらに治療するため、または疾患もしくはその他の治療の副作用を治療するための薬物(たとえば、制吐薬)の投与を含むことができる。
【0113】
予防的および治療的な治療方法に関して、このような治療は、特に、薬理ゲノミクスの分野から得られる知識に基づいて、目的に合わせ、または修飾してもよい。「薬理ゲノミクス」は、本明細書に使用されるものとして、遺伝子シーケンシング、統計遺伝学、および遺伝子発現解析などのゲノム科学技術を、臨床開発で、および市場で薬物に適用することをいう。
【0114】
より詳細には、本用語は、患者の遺伝子が、どのように患者の薬物に対する反応を決定するか(たとえば、患者の「薬物反応表現型」、または「薬物反応遺伝子型」)の研究をいう。従って、本発明の別の態様は、個体の薬物反応遺伝子型に従って個体の予防的または治療的な治療を目的に合わせるための方法を提供する。薬理ゲノミクスにより、臨床家または医師が、治療により最も恩典を受ける患者に対して予防的または治療的な治療を標的化し、患者が中毒性薬物に関連する副作用を受ける治療を回避することができる。
【0115】
「治療上有効な量」の専門用語は、所望の生理的な反応を生じさせるために必要な、または十分な量である。有効な量は、被検者のサイズおよび重量、または特定の化合物などの因子に応じて変化してもよい。有効な量は、細胞培養または実験動物での標準的な薬学的手順、たとえばLD50(集団の50%に致命的な用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定するためのものによって、化合物の毒性および治療の有効性を考慮することによって決定してもよい。中毒と治療的な効果との間の用量比が治療係数であり、それは比率LD50/ED50として表されてもよい。大きな治療指標を示す化合物が好ましい。中毒性の副作用を示す化合物を使用してもよいが、無影響の細胞に対するダメージの可能性を最小限にし、これにより、副作用を減少させるために、このような化合物を患部組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意がなされるべきである。
【0116】
さらにもう一つの側面において、本発明は、キットまたはさもなければパックされたジオデート送達媒体を提供する。一つの態様において、本発明は、食品、飲料、または個人ケア製品に加えるための説明書と共にパックされた本発明のジオデート送達媒体を含む、パックされたジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、パックされたジオデート送達媒体は、ジオデート送達媒体にカーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされる。
【0117】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0118】
実施例
材料および方法
ジオードの画像化
懸濁液、渦巻形、およびジオードを、蛍光を用いて、および用いずに画像化するために、位相差光学顕微鏡および共焦点の顕微鏡観察(Olympus)を使用した。これは、たとえば細胞取り込み、ならびに蛍光標識されたジオードおよびカーゴ部分の細胞内分布の将来の研究に使用することができる。共焦点顕微鏡観察は、三次元デジタル画像形成デバイスであり、効率的に細胞培養のスライスを見るために使用することができるので、特に有利である。
【0119】
細胞株および培養条件
マウス・マクロファージJ774A.1細胞株は、ATCCから得た。マクロファージ細胞は、10%のFBSを補った5mLのDMEMを含む60mm2ペトリ皿(Corning)内で37℃において5%CO2を有する加湿空気中で、単層で培養した。実験のために、細胞をこすることで回収し、5×105細胞の密度で96穴プレートに播種した。
【0120】
実施例1:カーゴ部分の脂質単層調製物
第1の容器において、乾燥アンホテリシンB(真菌薬)およびローダミン(蛍光マーキング薬)をオリーブ油と共に、アンホテリシンおよびローダミンがオリーブ油と一体として混合されるまでボルテックスすることによって、疎水性の組成物を調製した。別の容器において、乾燥脂質を水に激しく混合してリポソームの水溶液の懸濁液を得た。次いで、疎水性の組成物を、約10:1および約5:1の脂質-対-オイルの比率のリポソーム懸濁液の2つの部分に添加し、激しく混合して安定なエマルジョンを形成させた。顕微鏡下で両方のエマルジョンの検査では、脂質単層およびリポソームによってカプセル化された疎水性の組成物の形成が明らかとなった(図2A〜D、図3A〜Bおよび図4は同様のエマルジョンを示す)。エマルジョンは安定しており、疎水性ドメインは、癒着しなかった。このような安定なエマルジョンを図1に示してあり、安定なエマルジョンには、疎水性ドメイン(暗い陰線)の周りに形成された脂質単一層を含むジオデート送達媒体、およびリポソームを含む。
【0121】
実施例2:脂質複層にトラップされたカーゴ部分の脂質単層調製物
カルシウムを実施例1のエマルジョンに添加した。結晶構造は、脂質単層の周りに形成することが観察された。結晶構造は、カルシウムおよびリポソームを含むと考えられる。それぞれの結晶は、図1に図式的に示したとおり、いくつかのカプセル化された疎水性ドメインを包囲した。(図5および図6は同様の構造を示す)。
【0122】
実施例3:層からの脂質単層調製物の放出
EDTAを実施例2のエマルジョンに添加した。結晶構造は劣化することが観察され、その結果カプセル化されたドメインが残り、もはや結晶構造によって外皮で覆わていない。(図7および図8は同様のエマルジョンを示す)。
【0123】
実施例4:ジオデート送達媒体内のβカロテンの調製
500mgのダイズホスファチジルセリン(PS)、250mgの20%βカロテンダイズ油溶液、10mgのαトコフェロール(ビタミンE)、および240mgのダイズ油をガラス管内で重量測定した。試料を45℃で激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。光学顕微鏡によって検査すると、大部分のβカロテンが、油滴内に取り込まれていることが観察された。図10A、図10B、および図11は、安定なβカロテン、油、および脂質エマルジョンを示す。
【0124】
4.5mlの滅菌水をガラス管に添加して激しく混合した。鏡検では、βカロテンを有する多くの異なるサイズの油滴、小量のフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子と共に安定なエマルジョンが明らかになった。
【0125】
3.3mlの0.1Mのカルシウムを激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、βカロテンを含む油滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。図9は、使用した方法およびこの実験で観察された結果を模式的に図示する。
【0126】
実施例5:カゼインを伴ったβカロテン・ジオデート送達媒体
12gのダイズホスファチジルセリン(PS)、3gの20%βカロテンダイズ油溶液、および0.2gのαトコフェロール(ビタミンE)をガラス管内で重量測定した。ゆっくりと30〜40mlの滅菌水を加えると共に、試料を室温で激しく混合することによって、滑らかなエマルジョンを調製した。光学顕微鏡によって検査すると、大部分のβカロテンが油滴に組み込まれていることが観察された。
【0127】
4.8gのカゼインをエマルジョンに添加し、続いて滅菌水(滴下して加えた)をさらに60〜70ml添加した。鏡検では、βカロテンを有する多くの異なるサイズの油滴を有する安定なエマルジョン、小量のフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子が明らかになった。
【0128】
60mlの0.5Mの塩化カルシウムを激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、βカロテンを含む油滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。最終組成物は、以下の最終組成物と算出された。
【0129】
最終組成物:
60%のホスファチジルセリン
24%のカゼイン
1%のトコフェロール
3%のβカロテン
12%のダイズ油
100mlの滅菌水
60mlの0.5M Ca+2
【0130】
図12Aおよび図12Bは、微粉化の前および後のβカロテン・ジオードを示す。図13Aおよび図13Bは、懸濁液中のβカロテン・ジオードを示す。βカロテンを放出させるために、EDTAを懸濁液に添加することができる。図13Cおよび図13Dは、それぞれEDTAの添加後の懸濁液13Aおよび13Bを示す。
【0131】
実施例6:カゼインを有する魚油ジオデート送達媒体の調製
12gのダイズホスファチジルセリン(PS)、3gの30%魚油、オリーブ油、および0.2gのαトコフェロール(ビタミンE)をガラス管内で重量測定した。ゆっくりと30〜40mlの滅菌水を加えると共に、試料を45℃で激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。
【0132】
4.8gのカゼインをエマルジョンに添加し、続いて滅菌水(滴下して加えた)をさらに60〜70ml添加した。鏡検では、多くの異なるサイズの魚油の液滴を有する安定なエマルジョンが明らかになった。
【0133】
60mlの0.5Mの塩化カルシウムを、激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、魚油液滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。最終組成物は、以下のとおりであった。
【0134】
カゼインを有する魚油ジオードの最終組成物
30%の魚油
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0135】
オリーブ油およびトコフェロールを有する魚油/カゼイン・ジオード
30%の魚油(10%のオリーブ油、1%のトコフェロール)
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0136】
オリーブ油、ニンニク、クルクミンおよびトコフェロールを有する魚油/カゼイン・ジオード
30%の魚油(ニンニクおよびクルクミンを有する10%のオリーブ油、1%のトコフェロール)
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0137】
実施例7:βカロテン・ジオードを含むマフィンの調製
βカロテン・ジオードを、実施例4に記載したとおりに調製した。これらのジオードをBETTY CROCKER SUPERMOISTホワイトケーキ・ミックスに添加した。混合物を20分間350°Fで料理した。マフィンは、焼いた後の少なくとも12日間、明橙色のジオードのクラスターを示した(図18を参照)。
【0138】
実施例8:魚油ジオードを含むマフィンの調製
魚油/オリーブ油/ビタミンEジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。これらのジオードをBETTY CROCKER SUPERMOISTホワイトケーキ・ミックスに添加した。混合物を20分間375°Fで料理した。マフィンは、明緑色のジオードのクラスターを示し、焼いた後の少なくとも24時間、目立つ匂いはなかった。
【0139】
魚油だけを含み、オリーブ油またはビタミンEを含まないジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。ジオードをホワイトケーキ・ミックスに添加し、茶色まで電子レンジで料理した(フルパワー、約45〜50秒)。マフィンは、料理の直後〜24時間後において匂いまたは悪い味はなかった。
【0140】
実施例9:魚油ジオードを含む豆乳懸濁液の調製
魚油ジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。茶さじ一杯の魚油ジオードを3オンスのYOPLAIT豆乳に添加した。振盪することにより、魚油ジオードを懸濁状態のままにした。豆乳は、目立つ匂いまたは味を示さなかった。
【0141】
実施例10:βカロテン・ジオードの局所適用
βカロテン・ジオードを、実施例4に記載したとおりに調製し、ワセリンに添加して、手掌の表面に適用した。コーティングは、水に抵抗性であった(図19を参照)。任意の特定の理論に拘束されることは望まないが、ジオードは、表皮の角質層と融合したであろうと思われる。
【0142】
実施例11:CaCl2粉末を使用する、カゼインおよび5%のトコフェロールを含む魚油ジオードの調製
10gのトコフェロール(ビタミンE-Roche)および50gの魚油(Roche ROPUFA)を大きなKITCHENAIDブレンダーに入れ、低速で撹拌することによって完全に混合した。次いで、120gのダイズPS(Degussa)を魚油/V-E混合物に添加し、続いていくつかの少ない一定分量の滅菌水を添加した。次いで、20gのカゼインを魚/V-Eエマルジョンを含む容器に添加して、滅菌水を合計2000mlの水が添加されるまで、一定の低速で撹拌しながらゆっくりと添加した。鏡検では、多くの異なるサイズの油滴および多くの小さな可動粒子を有する安定なエマルジョンを示した。35.5gの塩化カルシウム粉末を容器に添加し、一方で常に低速で撹拌した。その後、懸濁液をさらに30分間撹拌し、その後で、試料を無菌の琥珀瓶に移して、さらに使用するまでエマルジョンとして貯蔵した。魚油ジオードを粉末にするために、噴霧乾燥器および流動床乾燥器を使用した。
【0143】
最終組成物:
【0144】
実施例12:CaCl2粉末を使用する、カゼインおよび0.8%のトコフェロールを含むβカロテン・ジオードの調製
2.6gのトコフェロール(Roche)および39gの20%βカロテンのオリーブ油溶液(Cognis)を大きなKITCHENAIDブレンダーに入れ、低速で撹拌することによって完全に混合した。156gのダイズPS(Degussa)をβ-カロテン/ビタミンEを有する容器に添加し、続いていくつかの少ない一定分量の滅菌水を添加した。試料を激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。次いで、62.4gのカゼインをβカロテン・エマルジョンを有する容器に添加し、続いて2080mlの合計体積に達するまで、滅菌水をゆっくりと添加した。鏡検では、βカロテンを含む多くの異なるサイズ油滴、いくつかのフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子を有する安定なエマルジョンを示した。57.3gの塩化カルシウム粉を容器にゆっくり添加し、懸濁液を完全に混合した。その後、懸濁液を低速でさらなる30分間撹拌した。2.0mlの最終調製物の一定分量をHPLCアッセイ法のために50mlの無菌の管に入れた。アッセイでは、試料中のβカロテンの90%以上が、ジオード内に含まれたことを示した。次いで、さらに使用するまで、エマルジョンを無菌の琥珀瓶に移した。
【0145】
ジオードが、市販の大規模な装置を使用して、かつその中に配置される活性薬剤を損なうことのなく首尾よく粉末(懸濁液から除かれたもの)に乾燥することができるかどうか決定するために、1つのバッチをGlatt Air Techniques, Inc.(Ramsey, NJ)による流動床乾燥装置を使用し、他方をSpray-Tech (Ontario, CA)による噴霧乾燥装置を使用して乾燥した。図15、図16および図17は、流動床乾燥および噴霧乾燥の後のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。図15は、理論上の100%と比較して、流動床乾燥後、および噴霧乾燥後の懸濁液中のジオード製剤内のβカロテンの量を示す。図17は、噴霧乾燥の後、および噴霧乾燥ジオードの2つのバッチ処理したものの組み合わせ後の、懸濁液中のβカロテン・ジオードについての同様のデータを示す。乾燥後のβカロテンの濃度は、おそらくその他の成分のいくつかが減少することによって、出発原料に存在する量に基づいて予想されるものよりもわずかに高い。ジオード内の油滴において、他のβカロテンと比較して高いβカロテンの回収が観察された。図16は、光の存在下および非存在で20日間貯蔵したジオードの種々の製剤の濃度を示すグラフである。下のグラフは、製剤の比較を行うことができるように、1の開始濃度に標準化した。貯蔵による粉末の濃度の減少は、吸湿性のジオード粉末が水を吸うために悪化されるであろう。
【0146】
いくつかの例では(ジオードが処理装置にくっついた場所で)数時間に、流動層法では、ジオードは少なくとも85℃の温度を受け、噴霧乾燥法では、ジオードは最高375°F〜400°Fの温度を受けた。ジオード内のβカロテン(処理設備から除去されたジオードを含む)は、試料が赤黄色によって示されるとおり、両バッチについて活性なままであった。
【0147】
ジオードの画像は、ジオードが首尾よく調製され、βカロテンがなおも活性であったことを示した(図14A〜D)。図14Aおよび図14Dは、噴霧乾燥によって抽出されるジオードの画像であり、図14Bおよび図14Cは、流動床乾燥によって抽出されるジオードの画像である。
【0148】
ジオードの試料は、その後に2 1/2日間、光および空気に曝露されたが、βカロテンの分解は観察されなかった。
【0149】
最終組成物:
【0150】
実施例13:NSAIDジオードの調製
NSAID(イブプロフェンおよび/またはナプロキセン)をオリーブ油中に完全に混合した(総ジオード混合物重量の5%〜10%)。脂質対薬物の比率が10:1である脂質中のダイズPSを試験管に添加した。次いで、NSAID/オリーブ油の混合物を粉末にしたダイズPSを含むチューブに添加し、スパーテルを使用して完全に粉末と油を混合した。
【0151】
均一なペーストが形成されたら、TES緩衝液(pH 7.4)をチューブにゆっくりと添加し、10〜15分間ボルテックスして、さらに懸濁液を混合した。試料を光学顕微鏡下で観察し、NSAID結晶が懸濁液になくなったが、油中に含まれることを確認した。脂質に対して2:1の比率の塩化カルシウムを安定なエマルジョンに添加した。再度試料を暗視野光学顕微鏡検査下で観察して、ジオードが形成され、かつ水性環境中にNSAID結晶がないことを決定した。次いで、結晶をさらに使用するまで4℃の窒素下で貯蔵した。
【0152】
予想される実施例:亜硝酸の濃度のためのアッセイ法
培地中に蓄積された亜硝酸塩(NO2-)は、グリース反応に基づいて自動化された比色アッセイ法を使用して測定される。Swierkosz, T.A., et al. Br. J. Pharmacol.; 114 (7): 1335-42, 1995. Gross, S., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 823-829, 1991. Ryu, Y.S., et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 272, 758-764, 2000。J774A.1マウスのマクロファージを遊離のイブプロフェン、イブプロフェン渦巻形(ibuprofen cochleate)、実施例13で調製したイブプロフェン・ジオード、遊離のナプロキセン、ナプロキセン渦巻形(naproxen cochleate)、実施例13で調製したナプロキセン・ジオード、および15時間の空の渦巻形の存在下または非存在下で、LPS(1μg/ml)プラスIFN-γ(10μg/ml)と共にインキュベートする。100μlの試料を10分間室温でグリース試薬と作用させる。次いで、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定することによってNO2-を決定する。既知の濃度の亜硝酸ナトリウムを使用して標準曲線を得る。全ての実験において、培地のみを含むウェルのNO2-濃度もブランク対照として測定する。
【0153】
等価物
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の特定の態様に対する多くの等価物を認識し、またはルーチン試験だけを使用して確認することができるであろう。このような等価物は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2002年11月1日に出願された米国仮特許出願第60/422,989号、2003年1月14日に出願された第60/440,284号、および2003年9月29日に出願された第60/507,361号の恩典を主張するものであり、本出願は参照として本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
背景
リポソームは、文献に広く記載されており、これらの構造は周知である。典型的には、これらは、水性材料によって互いに間隔を開けた複数の脂質二重層を含むタマネギ様の多層状の構造を有する。リポソームのもう一つの種類は、単層のリポソームであり、ときに小胞と称される、水性材料の周りに配置された単一の脂質二重層である。
【0003】
薬物のための担体または媒体としてリポソームを使用することが知られており、種々の方法によって達成することができる。1つの方法は、有機溶剤、たとえばクロロホルム中の溶液からの蒸発によって脂質のフィルムをキャストし、次いで適切な水性媒体中にフィルムを分散させることを含む。脂溶性の生物学的に活性な化合物、すなわちリポソームの水相よりもむしろ脂質複層と結合するものの場合、化合物は、一般的な有機溶剤を使用してリン脂質と共にフィルムにキャストすることができる。この方法の不利な点は、脂質二重層に組み込むことができる活性化合物の量が制限されるということである。さらに、キャスティング法は、大きなバッチに対応するためにスケールアップすることができない。水溶性の生物学的に活性な化合物の場合、化合物は、典型的には化合物を可溶化させる水溶液と共にキャスト脂質フィルムを分散させることによってリポソームと結合される。この方法の不利な点は、小胞中に活性化合物の十分な量を組み込むことが困難なこと、および分散の不安定性および貯蔵寿命を含む。この方法のもう一つの不利な点は、小胞の作製に使用する微量の溶媒の存在である。
【0004】
リポソームから外部の水性媒体へと生物学的に活性な化合物が減少することは、実用的な剤形としてのこれらの調製物の可能性を制限するもう一つの要因である。これは、特に低分子量の水溶性化合物の場合だけでなく、脂溶性の化合物の場合にもあり、これらの両者は、平衡に達するまで外部の水性媒体に分配され得る。化合物の濃度が低い場合、および/または外部の水性媒体の量が多い場合、この減少は、リポソーム内の生物学的に活性な化合物の総量の有意な割合を示しうる。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
本発明は、安定かつ活性な薬剤の所望の量を送達することができるカーゴ部分(cargo moiety)のための新たな送達媒体を供する。本発明は、少なくとも部分的に、疎水性ドメインの周りに形成された脂質単層を含むジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)を形成することができるという発見に基づいている。疎水性ドメインは、疎水性薬剤をリポソームの二重層に組み込むことによって、以前には到達不能な濃度で、1つまたは複数のカーゴ部分を含むことができる。
【0006】
また、本発明は、一部において、送達媒体を、陽イオンおよび脂質シート層を交互にさせた結晶層内に留めることができるという発見に基づいている。外層は、任意に投与前に除去することができ、または外皮で覆われた状態で投与することができる。本発明は、エマルジョンおよび結晶化形態の媒体を含む送達媒体の製造の新規方法をさらに提供する。外皮で覆われたか、または結晶化された媒体は、食品などのさらなる調製物に便利に、かつ安定に添加され、摂取されるまでこれらの完全性を保持し、安定な非劣化状態でカーゴ部分を保持することができる。また、投与および取り込みの方法も開示される。
【0007】
従って、一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層および脂質単層の周りに配置された脂質複層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体であって、脂質単層がリン脂質を含む媒体を提供する。
【0008】
一部の態様において、本発明のジオデート送達媒体は、水性環境において懸濁化される。さらに、または代わりに、ジオデート送達媒体は、エマルジョンに懸濁化される。もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、粉末形態である。
【0009】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、ジオデート送達媒体と結合したカーゴ部分を含む。一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインと結合されている。もう一つの態様において、疎水性ドメインは、カーゴ部分である。第三の態様において、カーゴ部分は、脂質単層または脂質複層と結合されている。第四の態様において、疎水性ドメインは、油または脂肪と結合したカーゴ部分を含む。好ましい態様において、カーゴ部分は、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット(microbistat)、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドまたはその他の多環構造、糖類、金属、代謝毒、抗原、イメージング剤、ポルフィリン、テトラピロール色素、または薬物である。
【0010】
本発明の一つの側面において、脂質は、負に荷電したリン脂質を含む。好ましくは、脂質は、少なくとも約50%の負に荷電した脂質を含み、およびより好ましくは、脂質は、少なくとも約75%の負に荷電した脂質を含む。
【0011】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、凝集阻害剤を含む。好ましくは、凝集阻害剤は、カゼインまたはメチルセルロースである。
【0012】
一つの側面において、本発明は、カーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされたジオデート送達媒体を提供する。もう一つの側面において、本発明は、媒体を食品、飲料、または個人ケア製品に添加するための説明書と共にパックされたジオデート送達媒体を提供する。
【0013】
もう一つの側面において、本発明は、ジオデート送達媒体を含む食品を提供する。食品は、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品であることができる。
【0014】
さらにもう一つの側面において、本発明は、ジオデート送達媒体を含む個人ケア製品を提供する。個人ケア製品は、ヘアケア製品または皮膚ケア製品であることができる。
【0015】
その他の態様において、本発明は、ジオデート送達媒体および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物を提供する。
【0016】
もう一つの側面において、本発明は、カーゴ部分の投与による恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法を提供する。投与の経路は、粘膜、全身、経口、鼻腔、眼内、直腸内、腟内、肺内、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、または皮内であることができる。一部の態様において、カーゴ部分は、炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、糖尿病、不眠症、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良を治療するために投与される。その他の態様において、被検者は、栄養素の投与により恩典を受けることができ、かつカーゴ部分は栄養素である。
【0017】
もう一つの態様において、本発明は、脂質単層が疎水性ドメインの周りに配置されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合することによってカーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法を提供する。もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、加えて、カーゴ部分を含むことができる。さらにもう一つの態様において、脂質複層を、多価陽イオンを添加することによって、脂質単層の周りに形成することができる。好ましくは、多価陽イオンは、カルシウムを含む。
【0018】
一部の態様において、ジオデート送達媒体は、乾燥されて粉末の形態である。その他の態様において、ジオデート送達媒体は、薬学的に許容される担体と結合されている。さらに他の態様において、ジオデート送達媒体は、食品または個人ケア製品に添加される。
【0019】
また、本発明は、ジオデート送達媒体が形成されるように、疎水性材料とリン脂質を含む脂質を混合することによってカーゴ部分のためにジオデート送達媒体を形成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に従ったジオデート送達媒体を製造する例示的な方法を図示する。
【図2】図2A-Dは、水性緩衝液と相互作用するジオレオイル・ホスファチジルセリン(DOPS)およびオリーブ油の4つの画像である。
【図3】図3A-Bは、オリーブ油中のアンホテリシンBの周りに配置されたDOPS単層を含む例示的なジオデート送達媒体の2つの画像である。
【図4】オリーブ油と相互作用する蛍光アンホテリシンBの周りのDOPS単層を含むDOPSジオデート送達媒体の画像である。
【図5】オリーブ油を覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識したDOPSを含む画像である。
【図6】オリーブ油を覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識したDOPSを含む画像である。
【図7】脂質複層から放出された後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【図8】脂質複層から放出された後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【図9】本発明に従ったジオデート送達媒体を製造するもう一つの例示的な方法を図示する。
【図10】図10AおよびBは、水性媒体中の安定なβカロテン/油/脂質エマルジョンの2つの画像である。
【図11】水性環境に分散されたダイズ油および脂質中のβカロテンの安定なエマルジョンの画像である。
【図12】図12AおよびBは、本発明に従って作製されるβカロテン-油ジオードの2つの画像である。
【図13】図13A-Dは、本発明に従って調製されるβカロテン・ジオードの画像である。図13Aおよび13Bは、懸濁液中のジオードを示し、図13Cおよび13Dは、EDTAを添加後の同じ製剤を示す。
【図14】図14A-Dは、市販の乾燥装置中の懸濁液から抽出されたβカロテン・ジオードの画像である。図14Aおよび14Dは、噴霧乾燥によって抽出されたジオードの画像であり、図14Bおよび14Cは、流動床乾燥によって抽出されたジオードの画像である。
【図15】噴霧乾燥の後、および流動床乾燥後の、懸濁液中のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。
【図16】20日間にわたる種々のβカロテン・ジオード製剤の安定性を示す2つのグラフである。
【図17】懸濁液中の、および噴霧乾燥後のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。
【図18】βカロテン・ジオードを含むマフィンの画像である。
【図19】局所的に手掌に適用されたβカロテン・ジオードの画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な記載
本発明は、一部において、脂質単層が疎水性ドメインの周りに形成されること、およびこの構造が種々のカーゴ部分を送達するために使用することができるという発見に基づいている。
【0022】
本発明の一つの利点は、カーゴ部分を高濃度でジオデート送達媒体に組み込むことができることである。本発明のもう一つの利点は、複数のカーゴ部分を1つのジオデート送達媒体に組み込む能力である。また、ジオデート送達媒体への組み込みは、環境、たとえば水および酸素、また胃の両方からカーゴ部分の保護を与えるので、有利である。さらに、ジオデート送達媒体は、カーゴ部分から胃を保護する。ジオデート送達媒体の製剤は溶媒を含まないので、本発明は有利である。結果として生じるジオデート送達媒体は非常に安定であり、たとえば、これらは、温度限界および圧力に耐えることができるので、本発明はまた、有利である。本発明のもう一つの利点は、ジオデート送達媒体がカーゴ部分の風味および/または匂いをマスキングする能力である。
【0023】
特許請求の範囲の主題をより明らかに、かつ簡潔に記載するために、以下の定義は、以下の明細書、実施例、および添付の請求の範囲に使用する特定の用語の意味に関して案内を提供することが意図される。
【0024】
「ジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)」の用語は、カーゴ部分のための送達媒体をいう。ジオデート送達媒体は、一般に、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含む。「疎水性ドメイン」は、その周囲の脂質単層を形成させるために十分に疎水性の性質である組成物である。疎水性ドメインは、それ自体で1つもしくは複数のカーゴ部分であることができ、またはカーゴ部分と結合した油もしくは脂肪などの疎水性の組成物を含むことができ、これは、たとえば疎水性または両親媒性薬剤であることができる。
【0025】
「脂質単層」の用語は、一般に1分子の厚さの脂質を含む層(2分子の厚さの脂質二重層と対比される)をいう。脂質単層は、コレステロール、ステロイド、またはタンパク質などのさらなるエレメントを含むことができる。対照的に、「リポソーム」は、単層または多層の構造の脂質二重層(2分子の厚さ)によって定義される小胞をいう。
【0026】
本発明の一つの側面において、脂質単層は、主に負に荷電した脂質を含むか、および/またはから構成される。脂質複層が形成されると、多価陽イオンは、単層中の負に荷電した脂質とリポソーム中の負に荷電した脂質との間に陽イオン性の連絡を形成する。もう一つの態様において、脂質単層は、主に正に荷電した脂質から構成される。この場合、頭部は、複層中の負に荷電した脂質と相互作用する。さらにもう一つの態様において、脂質単層は、主に中性脂質から構成される。被覆された疎水性ドメインは、この態様では、脂質複層中に閉じ込められているが、複層とイオン相互作用しない。
【0027】
「脂質複層」の用語は、陽イオン性と脂質シート様の層との交互の構造をいう。脂質複層は、リポソームを含むエマルジョンに陽イオンを導入して形成することができる。脂質複層は、ジオデート脂質単層内に疎水性ドメインを閉じこめるだけでなく、それ自体でカーゴ部分と結合することができる(たとえば、親水性薬剤は、脂質複層内に配置される)。一つの態様において、脂質複層は、疎水性ドメインを閉じ込める。もう一つにおいて、脂質複層は、脂質単層内に配置された疎水性ドメインを閉じ込める。
【0028】
「カーゴ部分(cargo moiety)」の用語は、生物学的な関心対象の性質を有する任意の化合物をいう。薬剤は、たとえば有機または無機の、単量体または重合体の、宿主生物に対して内因性かまたはそうでないか、天然に存在するかまたはインビトロなどにおいて合成されるか、などであってもよい。従って、例には、ビタミン、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドおよびその他の多環構造、糖類、金属、医薬、タンパク質、マーカー化合物、イメージング剤、抗原、ポルフィリン、テトラピロール色素、代謝毒、および薬物などが含まれる。
【0029】
本発明の方法は、特に疎水性のカーゴ部分、およびたとえば疎水性の媒体に結合するか、または混合することによって、疎水性の相に結合することができ、および/または組み込むことができる薬剤の場合に有用である。また、カーゴ部分を、本発明の脂質複層に組み込むことができる。従って、併用療法では、疎水性ドメインと結合された1つまたは複数の活性な薬剤(たとえば、疎水性および両親媒性薬剤)と、脂質複層と結合された1つまたは複数の活性な薬剤(たとえば、親水性薬剤)を送達することによって使用することができる。
【0030】
一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインに配置された脂質単層、および脂質単層の周りに配置された脂質複層を含む、カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、本発明は、疎水性ドメインに配置された脂質単層を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体であって、脂質単層が少なくとも1つのリン脂質を含む送達媒体を提供する。
【0031】
一つの態様において、ジオデート送達媒体は、水性環境、たとえばエマルジョンに懸濁化することができる。別の実施例において、ジオデート送達媒体は、粉末形態である。
【0032】
疎水性ドメインは、1つもしくは複数のカーゴ部分、またはカーゴ部分もしくは薬剤自体のための担体であることができる疎水性の組成物である。すなわち、疎水性ドメインは、カーゴ部分(たとえば、アンホテリシンなどの抗真菌薬、ローダミンなどのマーカー化合物、および/またはβカロテンおよびαトコフェロールなどの栄養素)と結合された疎水性の担体(たとえば、オリーブ油またはダイズ油)であることができる。または、疎水性ドメインは、カーゴ部分自体、たとえばオメガ3脂肪酸または疎水性薬物などの栄養素であることができる。または、疎水性ドメインは、さらにカーゴ部分のための担体として作用する1つまたは複数のカーゴ部分であることができる。
【0033】
一つの態様において、疎水性ドメインは、ジオードの最終組成物の重量の約1%〜約99%の間、好ましくは約1%〜約75%の間、より好ましくは、約10%〜約30%の間の範囲で存在する。
【0034】
「外皮で覆われた」、「結晶化された」、および「結晶質」の用語は、通常1つまたは複数の疎水性ドメインの周りに形成された固体または半固体の脂質複層をいう。
【0035】
本明細書において使用されるものとして、「食品」の用語は、ヒトまたはヒト以外の動物によって消費するために適した任意の対象または対象群をいう。
【0036】
「送達(delivery)」の用語は、本明細書に使用されるものとして、カーゴ部分を宿主、食品、製剤、薬学的組成物、または他の何らかの系に導き、または輸送する任意の手段であって、カーゴ部分は、これが最初にジオデート構造で製剤化された場合に、少なくとも活性な部分を維持している手段をいう。従って、たとえばβ-カロテン・ジオードでは、βカロテンは、使用するまでジオード内でいくらかの活性を保持する。
【0037】
本発明の送達媒体は、安定媒体にカプセル化されたか、または閉じこめられた疎水性ドメインに向けられる。一つの側面において、本発明は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を特徴とし、これは、安定なエマルジョンの一部であるか、および/または脂質複層に閉じこめることができる。もう一つの側面において、ジオデート送達媒体は、疎水性ドメインの周りに配置された脂質複層を特徴とし、脂質単層は任意である。
【0038】
疎水性ドメインは、それ自体で1つもしくは複数のカーゴ部分であることができ、またはカーゴ部分(これは、たとえば疎水性または両親媒性薬剤であることができる)と結合した疎水性の組成物(たとえば、油または脂肪)を含むことができる。薬剤が両親媒性である場合、疎水性ドメインおよび脂質の両者と結合することができる。また、さらなるカーゴ部分を、脂質複層とこれらを結合させることによって送達することができ、したがって、併用療法を遂行することができる。カーゴ部分は、疎水性ドメイン、脂質単層、および/または脂質複層と結合することができる。
【0039】
カーゴ部分は、イメージング剤などの診断用薬であることができる。イメージング剤は、核薬剤およびポルフィリンを含む。ポルフィリンは、テトラピロールの薬剤または色素を含む。このようなテトラピロール薬剤は、疎水性の可視スペクトル(黒紫色)で高い吸光を有する蛍光分子である亜鉛テトラ-フェニルポルフィリン(Zinc Tetra-Phenyl Porphyrin:ZnTPP)である。
【0040】
カーゴ部分は、生物学的に活性なポリペプチドまたはポリヌクレオチドを産生するために発現されるポリヌクレオチドであってもよい。従って、ポリペプチドは、免疫原として役立ってもよく、またはたとえば酵素活性を有していてもよい。ポリヌクレオチドは、触媒活性を有してもよく、たとえばリボソームであってもよく、または転写もしくは翻訳の阻害剤として役立ってもよく、たとえば低分子干渉RNA(small interfering RNA:siRNA)であってもよい。ポリヌクレオチドは、モルホリノ・アンチセンス分子などの修飾されたアンチセンス分子を含むアンチセンス分子であることができる。ポリヌクレオチドは、修飾することができ、たとえばモルホリノバックボーンを有するように合成することができる。発現される場合、ポリヌクレオチドは、当技術分野において既知のように、好ましくはプロモーターなどの必要な調節エレメントを含む。ポリペプチドの具体例は、インスリンである。カーゴ部分は、水性媒体中で疎水性である有機分子であることができる。カーゴ部分は、水溶性の多価の陽イオン分子であることができる。
【0041】
カーゴ部分は、タンパク質、小ペプチド、生物活性ポリヌクレオチド、抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤、または血管拡張薬などの薬物であることができる。また、薬物は、任意の一般用の(処方箋のいらない)医薬であることができる。例には、アンホテリシンB、アシクロビル、アドリアマイシン、カルバマゼピン、イベルメクチン、メルファラン、ニフェジピン、インドメタシン、クルクミン、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、アセトアミノフェン、ロフェコキシブ、ジクロフェナク、ケトプロフィン、メロキシカム、ナブメトン、エストロゲン、テストステロン、ステロイド、フェニトイン、エルゴタミン、カンナビノイド、ラパマイシン、プロパニジド、プロポフォール、アルファジオン、エキノマイシン、硝酸ミコナゾール、テニポシド、ヘキサメチルメラミン、タキソール、タキソテール、18-ヒドロキシ・デオキシコルチコステロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ピロキシカム、ジアゼパム、ベラパミル、バンコマイシン、トブラマイシン、ナイスタチン、リファンピン、ゲルダナマイシン、チルホスチン、グルカン合成阻害剤、ビタミンA酸、メサラミン、リセドロネート、ニトロフラントイン、ダントロレン、エチドロネート、カスポファンギン、ニコチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、シタロプラム、ドスレピン、ドキセピン、フルオキセチン、イミプラミン、ロフェプラミン、ミルタザピン(mirtazapine)、ノルトリプチリン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(venlafaxine)、ドーパミン、セントジョンーズワート(St. John's wort)、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、アマスタチン(amastatin)、アンチパイン、ベスタチン、ベンズアミジン、キモスタチン、3,4-ジクロロイソクマリン、エラスタチナール、ロイペプチン、ペプスタチン、1,10-フェナントロリン、ホスホラミドン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ラモトリジン、レビチラセタム(levitiracetam)、メフェニトイン、メトスクシミド、オキスカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェンスクシミド、プリミドン、トピラメート、トリメタジオン、ゾニサミド、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、またはアンプレナビルが含まれる。
【0042】
薬物は、シクロスポリン、アンギオテンシンI、IIまたはIII、エンケファリンおよびこれらの類似体、ACTH、抗炎症性ペプチドI、IIまたはIII、ブラジキニン、カルシトニン、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、ロイコキニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、ニューロキニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、甲状腺放出ホルモン(TRH)、ならびにバソプレッシンなどのポリペプチドであってもよい。
【0043】
薬物は、抗原であってもよいが、タンパク質抗原に限定されない。抗原は、また、炭水化物またはDNAであることができる。抗原タンパク質の例は、膜タンパク質、炭水化物、ウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質、動物細胞タンパク質、植物細胞タンパク質、細菌タンパク質、および寄生虫タンパク質を含む。
【0044】
抗原は、既知の方法によって供与源の粒子、細胞、組織、または生物体から抽出することができる。抗原の生物活性を維持する必要はない。しかし、いくつかの例(たとえば、タンパク質が、免疫系によって認識される膜融合もしくはリガンド結合の活性、または複雑な高次構造を有する場合)には、生物活性を維持することが望ましい。これらの例では、膜タンパク質の生物活性を破壊しない洗浄剤を含む抽出緩衝液を使用する。適切な洗浄剤は、コール酸塩、デオキシコール酸塩などのイオン性清浄剤、またはTween、BRIGもしくはTritonなどの異成分のポリオキシエチレン洗浄剤を含む。
【0045】
カーゴ部分は、リコピン、植物化学物質または動物化学物質などの微量栄養素、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、アミノ酸、魚油、魚油抽出物、および糖類、ビタミン、ハーブ製品、精油、またはミネラルを含む、栄養素であってよいが、これらに限定されない。具体例は、ビタミンA、B、B1、B2、B3、B12、B6、B-複合体、C、D、E、およびK、ビタミン前駆体、カロテノイド、およびβカロテン、リスベラトロール、ビオチン、コリン、イノシトール、ギンコ、ルテイン、ゼアキサンチン、ケルセチン、シリビニン(silibinin)、ペリリルアルコール、ゲニステイン、スルフォラファン、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸、ハーブ、スパイス、および鉄を含む。ミネラルは、ホウ素、クロミウム、コロイド性ミネラル、コロイド銀、銅、マンガン、カリウム、セレン、バナジウム、硫酸バナジル、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、および亜鉛を含むが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書において使用されるものとして、「微量栄養素」は、体が外部の供与源から得なければならない栄養素である。通常、微量栄養素は、少量が体に必須である。
【0047】
カーゴ部分は、糖類または甘味料、たとえばサッカリン、イソマルト、マルトデキストリン、アスパルテーム、グルコース、マルトース、ブドウ糖、フルクトース、およびショ糖であることができる。風味物質は、油、精油、または抽出物を含み、シナモン、バニラ、アーモンド、ペパーミント、スペアミント、カモミール、ゼラニウム、ショウガ、グレープフルーツ、ヤナギハッカ、ジャスミン、ラベンダー、レモン、レモングラス、マヨラナ、ライム、ナツメグ、オレンジ、ローズマリー、セージ、バラ、タイム、アニス、バジル、黒コショウ、茶または茶抽出物、ハーブ、柑橘類、スパイス、または種子の油および抽出物を含むが、これらに限定されない。
【0048】
一つの態様において、カーゴ部分は、最終組成物の約1%〜約99%の間の範囲で存在する。一つの態様において、カーゴ部分は、ジオードの最終組成物の約1%〜約30重量%の間の範囲で存在する。もう一つの態様において、さらに、第2のカーゴ部分が、ジオードの最終組成物の約0.1%〜約90重量%の間の範囲でジオード構造に組み込まれる。一つの態様において、第2のカーゴ部分は、約1%〜約10%の間、より好ましくは、約1%〜約5%の間の範囲で存在する。
【0049】
一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインの約0.1%〜約99%の間の範囲で疎水性ドメインに組み込まれる。好ましい態様において、範囲は、約0.1%〜約50%の間である。より好ましくは、比率は、約1%〜約25%の間である。もう一つの態様において、第2のカーゴ部分は、また、約1%〜約90%の間の範囲で疎水性ドメインに組み込まれる。もう一つの態様において、カーゴ部分は、疎水性ドメインである。
【0050】
一つの態様において、疎水性ドメインは、総組成物の約1%〜約99%の間の範囲で存在する。好ましい態様において、疎水性ドメインは、総組成物の約1%〜約50%の範囲で存在する。より好ましくは、疎水性ドメインは、約5%〜約35%の範囲で存在する。
【0051】
脂質単層を形成するために使用される適切な脂質(および下記で論議されるリポソーム)は、ダイズレシチン、部分的に精製されたレシチン、水素付加されたリン脂質、リゾホスフェート、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、スフィンゴ脂質、ガングリオシド、セレブロシド、セラミド、ダイズリン脂質、ホスファチジルコリンのその他のエステル類似体、合成リン脂質、ホスファチジルエタノールアミン誘導体、および部分的または完全にフッ化された脂肪酸鎖を有するリン脂質などのリン脂質を含むが、これらに限定されない。好ましくは、脂質は、ホスファチジルセリンなどの負に荷電したリン脂質である。好ましいホスファチジルセリンは、ダイズPSおよびジオレオイルPS(DOPS)を含む。また、脂質には、蛍光リン脂質を含むことができる。
【0052】
さらに、ヒドロキシル基、分枝の炭素鎖、シクロ誘導体、芳香族の誘導体、エーテル、アミド、ポリ不飽和の誘導体、ハロゲン化誘導体などの変化された脂肪族部分か、または炭水化物、グリコール、ホスフェート、ホスホナート、第四級アミン、サルフェート、スルホナート、カルボキシ、アミン、スルフヒドリル、イミダゾール基、およびこのような基の組み合わせを含む変化された親水性部分のいずれかを含む合成リン脂質を、リン脂質、および当業者に既知のその他のものと置換し、または混在させることができる。
【0053】
好ましくは、本発明に使用される脂質は、1つまたは複数の負に荷電した脂質を含む。本明細書において使用されるものとして、「負に荷電した脂質」の用語は、酸性または生理的pHで水溶液中で形式的に負電荷を有する頭部を有する脂質を含み、また、双性イオン頭部を有する脂質を含む。
【0054】
一つの態様において、脂質は、少なくとも50%の負に荷電した脂質を含む脂質の混合物である。もう一つの態様において、脂質は、少なくとも75%の負に荷電した脂質を含む。その他の態様において、脂質は、少なくとも85%、90%、95%、またはさらに99%の負に荷電した脂質を含む。40%〜100%の間の全ての範囲および値の負に荷電した脂質が本明細書に含まれるものと定められる。
【0055】
好ましい態様において、疎水性ドメインの周りに形成される脂質単層は、主に負に荷電した脂質単層である。好ましい態様において、脂質複層は、エマルジョンに陽イオンを付加することによって形成することができる。
【0056】
もう一つの態様において、疎水性ドメインの周りに形成される脂質単層は、主に正に荷電した脂質単層である。もう一つの態様において、脂質複層は、エマルジョンに陰イオンを付加することによって形成されてもよい。
【0057】
送達媒体を安定なエマルジョンに懸濁化する場合、エマルジョンをさらに安定化するために、たとえばエマルジョン内の凝集もしくは合体を減少させ、または除去するために、溶液にはリポソームまたはその他の脂質構造を含むことができる。また、凝集を防止するために、疎水性ドメインとカーゴ部分の結合を助けるために、および/または活性薬剤が本発明の送達媒体から移動することを防止するために、溶液はさらなる添加物を含むことができる。脂質複層が、エマルジョンの疎水性ドメインの周りに形成される場合、媒体を、エマルジョンで利用するか、またはペーストもしくは粉などの固体または半固体の形態で利用するために抽出することができる。
【0058】
大きなおよび/または荷電した分子では、脂質単層を通過するのが困難であるので、脂質単層は有利である。したがって、カーゴ部分が単層を通ってドメインから出てしまうのが阻害され、または防止される。脂質複層は、典型的にはこれが、その中に固定されているか、または疎水性ドメインにおいてこれによってトラップされているカーゴ部分が通れないので、有利である。単層および脂質複層の両者についてのもう一つの利点は、カーゴ部分が環境から保護されているということ、および環境がカーゴ部分によって保護されていることである。エマルジョンおよび脂質複層の両者は、安定であり、したがって、薬剤の貯蔵および送達に便利になるだけでなく、食品または薬学的組成物などの組成物にこれを組み込むのに便利な手段となる。
【0059】
脂質複層は、リポソームおよび陽イオンを含み、陽イオンに対する曝露によってリポソームから形成することができる。陽イオンおよびリポソームは整列して、積み重なり、または丸まった構造を形成し、これが1つまたは複数の疎水性のドメインを捕え、保持し、または外皮で覆う。陽イオンは、好ましくは多価陽イオンである。陽イオンは、Ca++、Zn++、Ba++、およびMg++などの二価の陽イオンであってもよい。また、陽イオンは、多価のカーゴ部分であってもよい。
【0060】
疎水性ドメインは、該疎水性ドメインの周りに分散された脂質単層の有無にかかわらず、必要に応じてEDTA、アスコルビン酸、および/またはクエン酸などのキレート薬に対して結晶脂質構造を曝露することにより、脂質複層から放出させることができる。キレート薬は、結晶構造を崩壊させる役割を果たし、疎水性の小球をカプセル化する外皮で覆われなくなった脂質単層を与える。キレート薬は、乾燥粉末に添加し、貯蔵することができ、その結果、加水により、キレート薬は、外殻に作用して被包性のドメインを放出する。
【0061】
カーゴ部分は、たとえば媒体が脂質複層および/またはエマルジョンであるかどうかに応じて、異なる速度で送達することができる。また、陽イオン、脂質、および疎水性ドメイン構造の選択により、送達の速度および時間に影響を及ぼすことができる。従って、これと共に含まれるカーゴ部分の放出速度が変化し、たとえば脂質複層が最初にインビボで溶解した場合に、第1の薬剤を送達し、続いて疎水性ドメインと結合した第2の薬剤を送達するように互い違いに配置することさえもできる。従って、本明細書に記載されている媒体の成分および構造を制御することによって、遅延性に全期間にわたって所望の量のカーゴ部分を放出する媒体を入手することができる。
【0062】
従って、本発明の組成物は、疎水性ドメイン、脂質単層、脂質複層、安定なエマルジョン(たとえば、リポソームもしくは水性培地の)、もしくはこれらのいずれかの組み合わせの中に存在するか、または結合する1つまたは複数のカーゴ部分を含んでいてもよい。加えて、いくつかの沈着層を1つまたは複数のカーゴ部分が結合したジオデート送達媒体の周りに形成し、または周りを外皮で覆うことができる。従って、本発明は、併用薬物療法、および/または連続もしくは同時の放出プロフィール、たとえばパルスまたは長期間にわたる放出のために使用してもよい。たとえば、胃を保護する薬物を最初の層のための脂質複層に製剤化することができ、1つまたは複数の非ステロイド系抗炎症薬を、胃を保護する薬物が放出されたあとに放出するための疎水性ドメイン内に製剤化することができる。
【0063】
本発明の媒体に組み込まれるカーゴ部分の量を変化させることができる。媒体の有利な性質、たとえば媒体に閉じ込められる薬剤の安定性により、既知の送達手段の使用、たとえば食品に薬剤を直接添加することと比較して、同じ結果を達成するためにより少ない量の薬剤を用いることができる。
【0064】
一つの態様において、本発明のジオデート送達媒体は小さく、たとえばマイクロメートルまたはナノメートルの範囲である。このようなジオデート送達媒体は、たとえば小さなサイズであるために経口有効性が増大するので、特に有利である。加えて、静脈内投与のためには、小さなサイズが好ましく、時に必要となる。本発明のジオデート送達媒体は、凝集阻害剤(たとえば、カゼイン)を導入することによって超微粉砕または脱凝集することができる。しかし、好ましくは、ジオデート送達媒体は、所望のサイズの範囲に形成され、および/または懸濁液は、陽イオンの添加の前に超微粉砕することができる。このような態様において、凝集阻害剤は、所望のサイズの範囲にジオデート送達媒体を形成するために使用することができる。
【0065】
好ましい態様において、本発明のジオデート送達媒体は、凝集阻害剤をさらに含む。一つの態様において、凝集阻害剤は、所望のサイズのジオデート送達媒体を得るために使用される。「凝集阻害剤」の用語は、本明細書に使用されるものとして、脂質複層の有無にかかわらず、およびエマルジョンの有無にかかわらず、ジオデート送達媒体の凝集を阻害する薬剤をいう。凝集阻害剤は、典型的には少なくともジオデート送達媒体の表面上に存在し、ジオデート送達媒体の表面上に存在するだけであってもよい(たとえば、凝集阻害剤を沈澱後に導入する場合)。凝集阻害剤は、ジオデート送達媒体形成の前、後、または間に添加することができる。凝集阻害剤は、部分的には、凝集が阻害されるようにジオデート送達媒体の表面特性を修飾することによって作用する。凝集は、たとえばジオデート送達媒体構造の立体的な大きさおよび/または性質の変化、たとえば表面疎水性および/または表面電荷の変化によって阻害することができる。凝集阻害剤を、製造のいずれの時点(たとえば、凝集の前に)でも、および/または製造後に(たとえば、沈殿サイズを安定化し、および/または沈殿を脱凝集させるために)添加することができる。
【0066】
好ましい態様において、本発明の沈殿は、1つまたは複数の凝集阻害剤を含む。凝集阻害剤は、沈澱の前、間、および/または後に添加することができる。凝集阻害剤の種類および/または量は、所望の沈殿サイズおよび/または分布を得るように調整することができる。さらに、または代わりに、凝集阻害剤は、沈殿の凝集を最小限にし、または除去するように、粒子サイズおよび/または粒度分布を安定化するために使用することができる。
【0067】
本発明に従って使用することができる適切な凝集阻害剤は、以下の少なくとも1つを含むが、これらに限定されない:カゼイン、κ-カゼイン、ミルク、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、キサンタンガム、トラガカントゴム、ガーゴム、アカシアゴム、アラビアゴム、ポリアクリル酸、メタアクリル酸メチル共重合体、カルボキシビニル重合体、アミロース、高アミロース澱粉、ヒドロキシプロピル化高アミロース澱粉、デキストリン、ペクチン、キチン、キトサン、レバン、エルシナン(elsinan)、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、カラゲナン、カルナウバ蝋、セラック、ラテックス重合体、乳タンパク質単離物、ダイズタンパク質単離物、ホエータンパク質単離物、およびこれらの混合物。
【0068】
好ましい凝集阻害剤は、カゼインである。カゼインは、高度にリン酸化されたカルシウム結合タンパク質である。いずれの特定の理論に拘束されることは望まないが、カルシウムは、負に荷電した脂質(たとえば、PS)とカゼインの間の相互作用を媒介し、これにより凝集が阻害されるように沈殿の表面特性を変えるものと考えられている。もう一つの好ましい凝集阻害剤は、ミルクおよびハーフ・アンド・ハーフ、クリームなどのその他の乳製品である。もう一つの好ましい凝集阻害剤は、メチルセルロースである。
【0069】
1つより多い凝集阻害剤を本発明の組成物に使用してもよい。たとえば、ミルクおよびメチルセルロースを凝集阻害剤として使用してもよい。
【0070】
一つの態様において、本発明の沈殿組成物は、凝集阻害剤対脂質の比率が重量において約0.5:1〜約4:1の間である凝集阻害剤を含む。好ましくは、凝集阻害剤対脂質の比率は約1:1である。当業者であれば、ルーチン試験だけで、所望のサイズの沈殿を形成させるために必要とされる凝集阻害剤の量を容易に決定することができるであろう。
【0071】
本発明の送達媒体を組み込んでいる薬学的製剤は、タブレット、カプセル、ピル、原体、または単位用量粉を含む固体の形態、および顆粒または溶液、液体エマルジョン、流体懸濁液、半流動などを含む液体形態であることができる。結晶構造は、その環境から薬剤を、およびその逆を保護するので、これは、特に脂質複層を含む媒体の使用にあてはまる。活性成分に加えて、製剤は、適切な技術分野で認識された希釈液、担体、充填材、結合剤、乳化剤、界面活性物質、水溶性媒体、緩衝液、可溶化剤、および防腐剤を含む。
【0072】
本発明の送達媒体を組み込んでいる薬学的製剤は、治療用または栄養飲料、ヨーグルト、ミルク、サラダドレッシング、湿性の動物食品などの食品を含む液体または準液体形態であることができる。本発明の安定なエマルジョンは、このような製剤に直接添加することができる。
【0073】
本発明の媒体の利点は、特にダイズに基づいた脂質が使用されるときの組成物の安定性および安全性である。従って、ジオデート送達媒体は、懸念なく経口的に、または滴下によって、ならびに局所的、皮下、皮内、筋肉内などのより慣習的経路によって投与することができる。粘膜の表面に対する直接適用は、送達媒体によって可能となる魅力的な送達手段である。
【0074】
当業者であれば、本発明を実施する治療を遂行するために最も有効かつ治療的な手段を決定することができる。また、たとえば「Goodman & Gilman's, The Pharmaceutical Basis for Therapeutics」、(6th Ed., Goodman, et al., eds., MacMillan Publ. Co., New York, 1980)を含む多数の当局および参照を参照することができる。
【0075】
また、本発明のジオデート送達媒体は、壊れやすいカーゴ部分を宿主に送達するための優れた手段として役立つ。このようなカーゴ部分は、栄養素、ビタミンA、D、EまたはKなどのビタミン、補因子、酵素、ポリ不飽和形態などの脂肪酸、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄またはバリウムなどの二価の陽イオンを含むミネラル、香料などを含む。カーゴ部分は、非水溶環境において媒体中に含まれているので、薬剤は、本質的に安定化され、かつ保存される。疎水性分子は、ジオデート送達構造の一部を作製することができるが、本発明の脂質単層が疎水性ドメインの周りに形成されるであろうという若干の問題を有する。
【0076】
ジオデート送達媒体は、ヒトまたはその他の動物によって消費される食品および飲料に薬剤を送達するために特に有利であり得る。たとえば、イヌおよびネコの食品は、安定にビタミン、香料、ミネラル、またはその他の栄養素、ならびに薬物、たとえばアレルギー薬を送達するために、本発明の媒体を含むことができる。同様に、本発明のジオデート送達媒体は、魚用食品および家禽、ウシ、およびウマのための食物などのペットまたは家畜の飼料に添加することができる。媒体は、調製のいずれの工程で添加することもできる。たとえば、媒体は、国際公開公報第02/44026号(参照として本明細書において組み込まれる)に記載されている方法のいずれの時点で添加することもできる。同様に、本発明の組成物および方法は、ヒトが消費するための食品または飲料に、たとえば栄養バーまたは飲料、穀類、パン、およびスナック食品に使用することができる。従って、本発明の調製物により、ファーストフードなどの加工食品中の微量栄養素の安定な、便利な調製物の生産が可能になる。典型的には、潜在的に有益な微量栄養素、たとえばオメガ脂肪酸および抗酸化物は、食品製造および貯蔵の間に破壊され得る。本発明の送達媒体は、微量栄養素およびその他のカーゴ部分を保護し、したがって食品の栄養的および/または医薬的な価値を増大させる。
【0077】
これらの増大された安定性により、本発明の組成物および方法は、特にケーキ、マフィン、パスタ麺、スープ、穀類、チップ、キャンディ、およびクッキーなどの焼いた食品または調理した食品に有用である。好ましい態様において、組成物は、キャンディーバー、たとえばチョコレートバーなどのキャンディに使用される。たとえば、オメガ脂肪酸ジオードをチョコレートバーに組み込むことができる。
【0078】
ジオデート送達媒体は、製造工程のいずれかの段階で結晶化またはエマルジョンにされた形態で食品、たとえばファーストフード製品に添加することができる。食品は、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜動物用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品であることができる。
【0079】
これらは、好ましくは送達媒体の完全性が、摂取または消費者による食品の最終的な調製まで維持される段階で添加される。しかし、もう一つの変形例では、製品に組み入れるまで薬剤の安定性を維持する媒体を使用することができ、こうして、活性を貯蔵および輸送の間に維持することができる。さらにもう一つの変形例では、使用者が要求するように濃度を変化させることができるように、媒体それ自体を食品、たとえば薬物、栄養素の結晶、添加物、補助食品、またはエマルジョンに直接添加するために消費者または専門家に分配することである。
【0080】
また、媒体は、皮膚上の局所治療として使用するための担体に添加することができる。適切な担体は、その全期間にわたって皮膚上に残り、汗または水の浸入に抵抗性である。従って、たとえば、媒体を薬物、モイスチャライザー、脱臭剤、バルサム、芳香剤、日焼け止めなどの局所適用に添加してもよい。
【0081】
本発明のジオデート送達媒体を含むを含むことができる製剤のさらなる例は、ヘアケア製品、皮膚ケア製品、個人ケア製品、個人清浄製品、ローション剤、芳香剤、スプレー、香水、化粧品、歯みがき、歯漂白剤、クリーナー、固形石鹸、液状石鹸、体の洗浄剤、乳児洗浄剤、化粧品、ヘアカラー、シャンプー、コンディショナー、スタイリング製品、バルサム、クリーム、溶液、ゲル類、および固体を含むが、これらに限定されない。従って、たとえば、シャンプー、コンディショナーなどは、ビタミン、モイスチャライザー、香水、薬物、その他を詰めたジオデート送達媒体を含んでいてもよい。
【0082】
また、媒体は、皮膚と直接接触しないクレンザーに添加することができる。これらの製剤は、すなわち香水、モイスチャライザー、またはその他のこのようなカーゴ部分を布地に組み入れるために、または抗菌薬を皿に導入するために有利である。例には、洗濯用洗剤、前処理製剤、乾燥器シート、織物柔軟剤、および皿洗い洗剤を含むが、限定されない。
【0083】
また、ジオデート送達媒体は、カーゴ部分の皮膚への局所適用のための紙製品に添加することができる。本発明のジオデート送達媒体を含むことができる紙製品の例は、乳児ケア製品、すなわちおむつまたは乳児ワイプ、ティッシュ、トイレットペーパー、抗菌薬または制汗性のペーパータオル、ナプキン、ペーパータオル、バンドエイド、ガーゼパッド、および女性の衛生製品を含む。
【0084】
当業者であれば、特定の目的のためのカーゴ部分および/または疎水性ドメインに対する最適な脂質の比率を過度の実験なしに決めることができる。ジオデート送達媒体の形成は、容易にモニターされる。次いで、投与された組成物に対する生物学的な反応の性質および傾向を確認するために、調製物を標的化される宿主に投与することができる。使用するいずれのもののための最適化された比率も、高比率から、たとえば珍しいカーゴ部分の使用を最小限までで変動して、媒体中のカーゴ部分の最大の量を得るために低比率にしてもよいことは、明らかなはずである。本媒体は、カーゴ部分の大きな荷を受け入れることができるため、カーゴ部分の量は、必要に応じて大きく変化させることができる。
【0085】
また、本発明は、カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法を提供する。本方法は、一般に、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含むジオデート送達媒体が形成されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む。
【0086】
ジオデート送達媒体を形成する別の方法は、1つまたは複数のジオデート送達媒体が形成されるように、たとえば混練によって脂質および疎水性材料を混合する工程を含む。この方法は、たとえば水性環境が要求されないときに有利であり得る。脆弱なカーゴ部分はしばしば水分に感受性であり、遷延被曝によって分解を引き起こし得る。従って、ジオデート送達媒体を形成するための非水溶方法が望ましい。
【0087】
疎水性ドメイン比率に対して低脂質であると、脂質は、水中でミセルを形成する傾向があり;さらに高い濃度では、脂質は、疎水性の小球の周りに脂質単層を形成する。好ましくは、脂質対疎水性ドメインの比率が5:1〜約10:1の間である。
【0088】
本方法は、疎水性ドメインと結合されたカーゴ部分を添加する工程をさらに含むことができる。本薬剤は、疎水性ドメインの周りに脂質単層を形成するために、混合物を乳状にする前、または後に添加することができる。または、疎水性ドメインは、それ自体がカーゴ部分、たとえば魚油であってもよい。
【0089】
本発明の方法は、ジオデート送達媒体の周りに脂質複層を形成するために、陽イオンをエマルジョンに添加する工程を含むことができる。脂質複層は、エマルジョンに維持することができる。選択的に、本方法は、エマルジョンから沈殿を抽出して、固体または半固体、たとえば粉末を形成させる工程を含むことができる。ジオデート送達媒体は、濾過、遠心分離、またはその他の技術によって懸濁液から回収し、粉末に乾燥することができる。以下に示すように、ジオデートを、市販の大規模な、または大きなバッチ装置、たとえば噴霧乾燥器もしくは流動床乾燥器を使用して懸濁液から抽出することができる。このような装置で回収されるジオードは、ジオード構造またはそのカーゴを劣化させることなく長期間極度な温度、たとえば400°Fを受けることができる。
【0090】
または、ジオデートを、粉末を形成するための高圧および熱気を使用する装置を使用して乾燥することができる。高圧によりジオデート懸濁液から霧を生じさせ、これを上部からチャンバーに入れる。熱気は、一番下からチャンバーに入れて、チャンバーの中心の種晶に吹きつける。霧と種晶が出合うときに、ジオデートが種晶を被覆し、粉末を形成する。
【0091】
本発明の送達媒体、たとえばジオードの使用により、従来の食品または薬物の調製によって達成することができるものに対して、送達される活性成分の量を増大させることができる。たとえば、本発明の送達媒体は、薬物、食品、飲料などの調製に直接カーゴを使用することに対して、送達される活性(分解されていない)成分の20%、40%、50%、60%、100%、200%...、1000%...、10,000%増大させることができる。
【0092】
図1は、本発明のジオデート送達媒体を製造する例示的な方法を図示する。脂質(たとえば、リン脂質)は、白丸としてリポソームに表してあり、個々に、および親水性の頭部および典型的なリン脂質の疎水性の末尾部分を示すヘアピン様の構造として脂質単層配置に表してある。疎水性ドメイン(たとえば、油滴)は、影をつけた円によって表してある。脂質複層は、ハッチングによって表してある。リン脂質および油滴は乳状にされ、リポソーム、およびそれぞれが油の液滴の周りに配置された脂質単層を含むジオデート送達媒体を含む、安定なエマルジョンを生じる。陽イオン(たとえば、カルシウム)を添加すると、リポソームは、リポソーム二重層およびカルシウム層が交互になった複層に折りたたまれる。図1には、いくつかの結晶を示してあり、それぞれのものが、いくつかのジオデート送達媒体を捕獲する。任意に、結晶は、懸濁液から除去することができる(図示せず)。
【0093】
本発明をさらに図示するために、図2A〜Dは、水性緩衝液中で相互作用するDOPSおよびオリーブ油の4つの画像を含む。図3AおよびBは、オリーブ油中でアンホテリシンBの周りに配置されたDOPS単層を含むジオデート送達媒体の2つの画像である。図4は、オリーブ油と相互作用する蛍光アンホテリシンBの周りにDOPS単層を含むDOPSジオデート送達媒体の画像である。図5および図6は、オリーブ油を外皮で覆っている脂質複層の画像であって、脂質は、ローダミンで標識されたDOPSである。図7および図8は、カルシウムで形成された脂質複層をキレート薬によって除去した後の、オリーブ油の周りに配置された蛍光DOPS単層を含むジオデート送達媒体の画像である。
【0094】
本発明の調製物の天然の組成物は、非天然の化学製品を使用する方法または感染性のウイルスベクター系を使用する方法などのその他の送達方法に付随するリスクを減少させる。本調製物は、比較的容易に、および安価に製造され、広範囲にわたってカーゴ部分と互換性を持つ。本調製物は、懸濁液または食品媒体などの媒体(たとえば、液体または固体の食品)で経口的に送達することができる。従って、本発明の調製物により、痛みを伴い、かつ困難な注射の必要がなくなるであろう。そのうえ、本調製物は、処方薬に制限されないが、一般用医薬またはビタミン、ミネラル、もしくはその他の栄養素などのその他の薬剤を送達するためにも使用してもよい。
【0095】
このようなカーゴ部分の例は、魚油およびその他の魚製品において主に見いだされるオメガ-3脂肪酸である。オメガ-3脂肪酸は、動物における耐病性の増大および生殖力に関与しており、これらは、ヒトのコレステロールおよび全心血管の健康に対して有意に陽性の効果を有することが示されている。たとえば、Daviglus et al. N Engl J Med. 336:1046-1053 (1997)を参照されたい。しかし、これらを直接食品に取り込むことの問題の1つは、これらの著しい匂いおよび味である。
【0096】
本発明は、オメガ-3脂肪酸と関係するものなどの風味および匂いを、脂質複層内にカプセル化することによってマスキングする手段を提供する。たとえば、オメガ-3脂肪酸-ジオードは、豆乳などの飲料、ミルク、液体ヨーグルト、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、スムージー、スポーツ飲料、清涼飲料、茶、コーヒー、およびアイスコーヒーに添加されてきた。それぞれのケースにおいて、味の変化または飲料の匂いはなく、すなわちオメガ-3脂肪酸の特徴的な魚の匂いは、認識されなかった。同様に、オメガ-3脂肪酸ジオードは、ケーキ、マフィン、パスタ麺、スープ、およびクッキーなどの商品に使用して、味もしくは匂いの変化を伴わずに焼くか、または料理することができる。
【0097】
また、本発明は、βカロテンなどの不安定なカーゴ部分の送達のために特に有利である。βカロテンは、一重項酸素およびその他のフリーラジカルをクエンチすることによって抗酸化物として作用する。残念なことに、βカロテンおよびその他のカロテノイドは、体に取り込む前の酸化に対して非常に感受性である。この現象は、濃橙色の着色料の漂白として観察される。Britton, FASEB J. 9: 1551-1558 (1995)。
【0098】
本発明は、使用前に貯蔵するための無酸素の環境でβカロテンに提供する。驚くべきことに、βカロテンは、通常これを分解させる温度限界および圧力に対して曝露した後でさえも活性を維持した。図18は、約20分間、約350°Fで焼いたマフィン内に含まれるβカロテン・ジオードの画像である。活性は、マフィン内に観察される赤橙色の着色料によって示される。さらに、βカロテン・ジオードを、その他の焼かれるかまたは料理される材料および飲料に組み込むことができる。
【0099】
もう一つの態様において、ジオデート送達媒体は、非ステロイド系抗炎症薬(nonsteroidal antiinflammatory drug:NSAID)を送達するために使用することができ、典型的には炎症、肉離れ、および高熱を治療するために使用される。NSAIDは、シクロオキシゲナーゼ-1(COX1)およびシクロオキシゲナーゼ-2(COX2)を阻害することによって機能する。COX1酵素は、胃の裏打ちを保護する役割を果たし、COX2酵素は、炎症工程に重要なプロスタグランジンの産生を担う。残念ながら、市販のNSAID調製物は、COX1およびCOX2に対して活性であり、従って、潰瘍、胃の不調、または嘔気などの不必要な副作用を有する。
【0100】
イブプロフェンおよびナプロキセンは、疼痛および熱を軽減するために一般的に用いられる、広く使用されかつ周知の2つのNSAIDである。低用量のイブプロフェンは、疼痛を制御するために使用されるが、炎症では、より高い用量でなくては調節することができず、これにより、たいてい胃の不調、下痢、めまい、傾眠、ガス、胸やけ、または頭痛、および時に腎臓毒性もしくは黄疸などのより重大な副作用を引き起こす。ナプロキセンは、疼痛および炎症の両方を治療するために使用されるが;下痢、便秘、めまい、傾眠、ガス、胸やけ、嘔気、嘔吐、頭痛、日焼けに対する感受性の増大および耳鳴りが、一般的な副作用である。従って、送達媒体によって、首尾よくこのようなNSAIDを不必要な副作用のないマクロファージに送達することが必要である。
【0101】
マクロファージは、細菌、真菌、および寄生虫の取り込みに重要であり、炎症反応においても重要な役割を果たす。食作用を行うことに加えて、マクロファージは、細胞サイズの増大、リソソーム酵素レベルの増大、より活発な代謝、および摂取された微生物を食菌し、死滅させるより優れた能力を生じる工程が活性化される可能性を有する。活性化の後、マクロファージは、多種多様な生物学的に活性な産物を分泌し、抑制されなければ組織傷害および慢性炎症を生じてしまう。分泌された産物のうちの1つの一酸化窒素(NO)が、炎症のメディエータとして最前線に入ってくる。
【0102】
誘導性のNOSによって産生された一酸化窒素(NO)は、炎症、細菌病原体の死滅、および組織修復に重要な役割を果たす。NO形成は、炎症の間に(すなわち、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、およびクローン病において)増大し、いくつかの古典的な炎症性の症状(すなわち、紅斑、および脈管虚弱)は、NOS阻害剤によって逆転される。また、一酸化窒素は、免疫系において広範な役割を果たすものであると認識されてきた。これは、感染症、腫瘍、自己免疫性工程、および慢性変性疾患の病原および制御に関与している。
【0103】
イブプロフェンおよびナプロキセンなどのNSAIDの作用および副作用の機序は、部分的には、iNOSからのNOの生成によるものと説明される。本発明のジオデート送達媒体を使用することによるiNOS発現の阻害およびNO産生は、これらの薬物の炎症作用を治療的に減少させる方法となり得る。
【0104】
本発明のもう一つの側面は、本発明の調製物の投与方法である。従って、本発明は、カーゴ部分の投与の恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法を提供する。本発明の調製物は、真菌感染を治療するために(たとえば、アンホテリシンBなどの抗真菌薬の送達によって)、HIV感染症を治療または予防するために(たとえば、細胞性免疫を誘導するワクチンまたはペプチドの送達によって)、黄斑変性症を治療するために(たとえば、栄養補助食品の送達によって)、炎症を治療するために(たとえば、抗炎症の送達によって)、細菌感染を治療するために(たとえば、抗生物質の送達によって)、および栄養素を提供するために(たとえば、ビタミン、ミネラルまたは油の送達によって)、使用することができる。
【0105】
従って、本発明は、1つまたは複数のカーゴ部分によって治療することができる、障害のリスクにさらされている(もしくは感受性である)か、または障害を有する被検者を治療する予防的および治療的な方法を提供する。
【0106】
「治療」または「治療すること」は、本明細書に使用されるものとして、患者に対する治療薬(たとえば、NSAID)の適用または投与、または疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を有する者の単離された組織または細胞株に対して、疾患もしくは障害、疾患もしくは障害の症状、または疾患もしくは障害の素因を治癒し、回復し、軽減し、楽にし、変化させ、治療し、寛解させ、改善し、または、影響を及ぼすことを目的とした本発明の治療薬ジオードの適用または投与として定義する。「治療された」とは、本明細書に使用されるものとして、疾患または障害を治癒し、回復し、軽減し、楽にし、変化させ、治療し、寛解させ、改善し、または、影響を及ぼすことをいう。
【0107】
本発明の方法は、被検者または宿主に、本発明のジオデート送達媒体と結合されたカーゴ部分を投与する方法を含む。本発明のジオデート送達媒体は、経口的、経鼻、局所的、静脈内、経皮的、頬側、舌下、直腸、膣、または非経口的に投与されてもよい。
【0108】
本発明は、本発明の組成物の投与による恩典を受ける被検者を治療する方法を提供する。カーゴ部分、たとえば薬物または栄養素による恩典を受けるいずれの治療的な徴候も、本発明の方法によって治療することができる。従って、本発明は、たとえばタンパク質、小ペプチド、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性抗炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤および/もしくは血管拡張薬で治療することができる疾患もしくは障害のリスクにさらされる被検者、またはこのような疾患もしくは障害を有する被検者を治療する方法を提供する。本方法は、疾患または障害が治療されるように、本発明の組成物を被検者に投与する工程を含む。疾患または障害は、たとえば炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良であることができる。
【0109】
本発明のジオデート送達媒体は、頭痛、関節炎、慢性関節リウマチ、骨関節炎、急性の痛風、たとえばスポーツ傷害と関連した急性または慢性の軟部組織損傷、テニス肘、滑液包炎、腱炎、椎間板ヘルニアなどの急性または慢性の背痛、手根管圧迫症候群、糸球体腎炎、心臓炎、潰瘍性大腸炎、喘息、敗血症、および足底の筋膜炎を含む種々の炎症を治療するために使用することができる。また、本発明のジオデート送達媒体は、手術またはその他の医学技法から生じる疼痛を軽減するために使用することができる。本発明のジオデート送達媒体は、カンジダ、たとえば酵母感染症、白癬、たとえば水虫、粃糠疹、腔カンジダ症、クリプトコックス性髄膜炎、ヒストプラスマ症、およびブラストミセス症を含む種々の真菌感染を治療するためにさらに使用することができる。
【0110】
また、本発明のジオデート送達媒体は、中度から重度の下気道感染症、皮膚感染、胆管感染、骨感染症、抗生物質予防、偽膜全腸炎、中枢神経系感染症(たとえば、髄膜炎および脳室炎)、腹腔内感染症(たとえば、腹膜炎)、肺炎、敗血症、軟部組織感染症、好中球減少性の敗血症、関節感染症、感染性心内膜症、および尿路感染症を含む(しかし、これらに限定されない)種々の細菌感染を治療するために使用することができる。
【0111】
本発明の抗生物質製剤によって治療することができる例示的な細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、表皮ブドウ球菌(Staphylococcus epidermidis)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、D群連鎖球菌(Streptococcus group D)、ウェルチ菌(Clostridium perfringens)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、大腸菌(Escherichia coil)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、および肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)を含むが、これらに限定されない。
【0112】
上記方法は、その他の治療をすることなく、またはその他の治療と組み合わせて使用することができる。このような治療は、本発明の組成物の投与の前に、並行して、または後に開始することができる。従って、本発明の方法は、たとえば疾患もしくは障害のための、またはその他の治療の副作用を改善するための第2の治療などの第2の治療を投与する工程をさらに含むことができる。このような第2の治療は、たとえば放射線、化学療法、輸血、手術(たとえば、腫瘍を除去するための切除)、および遺伝子治療を含むことができる。さらに、または代わりに、さらなる治療は、疾患をさらに治療するため、または疾患もしくはその他の治療の副作用を治療するための薬物(たとえば、制吐薬)の投与を含むことができる。
【0113】
予防的および治療的な治療方法に関して、このような治療は、特に、薬理ゲノミクスの分野から得られる知識に基づいて、目的に合わせ、または修飾してもよい。「薬理ゲノミクス」は、本明細書に使用されるものとして、遺伝子シーケンシング、統計遺伝学、および遺伝子発現解析などのゲノム科学技術を、臨床開発で、および市場で薬物に適用することをいう。
【0114】
より詳細には、本用語は、患者の遺伝子が、どのように患者の薬物に対する反応を決定するか(たとえば、患者の「薬物反応表現型」、または「薬物反応遺伝子型」)の研究をいう。従って、本発明の別の態様は、個体の薬物反応遺伝子型に従って個体の予防的または治療的な治療を目的に合わせるための方法を提供する。薬理ゲノミクスにより、臨床家または医師が、治療により最も恩典を受ける患者に対して予防的または治療的な治療を標的化し、患者が中毒性薬物に関連する副作用を受ける治療を回避することができる。
【0115】
「治療上有効な量」の専門用語は、所望の生理的な反応を生じさせるために必要な、または十分な量である。有効な量は、被検者のサイズおよび重量、または特定の化合物などの因子に応じて変化してもよい。有効な量は、細胞培養または実験動物での標準的な薬学的手順、たとえばLD50(集団の50%に致命的な用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を決定するためのものによって、化合物の毒性および治療の有効性を考慮することによって決定してもよい。中毒と治療的な効果との間の用量比が治療係数であり、それは比率LD50/ED50として表されてもよい。大きな治療指標を示す化合物が好ましい。中毒性の副作用を示す化合物を使用してもよいが、無影響の細胞に対するダメージの可能性を最小限にし、これにより、副作用を減少させるために、このような化合物を患部組織の部位に標的化する送達系を設計するように注意がなされるべきである。
【0116】
さらにもう一つの側面において、本発明は、キットまたはさもなければパックされたジオデート送達媒体を提供する。一つの態様において、本発明は、食品、飲料、または個人ケア製品に加えるための説明書と共にパックされた本発明のジオデート送達媒体を含む、パックされたジオデート送達媒体を提供する。もう一つの態様において、パックされたジオデート送達媒体は、ジオデート送達媒体にカーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされる。
【0117】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示されるが、限定するものとして解釈されるべきでない。
【実施例】
【0118】
実施例
材料および方法
ジオードの画像化
懸濁液、渦巻形、およびジオードを、蛍光を用いて、および用いずに画像化するために、位相差光学顕微鏡および共焦点の顕微鏡観察(Olympus)を使用した。これは、たとえば細胞取り込み、ならびに蛍光標識されたジオードおよびカーゴ部分の細胞内分布の将来の研究に使用することができる。共焦点顕微鏡観察は、三次元デジタル画像形成デバイスであり、効率的に細胞培養のスライスを見るために使用することができるので、特に有利である。
【0119】
細胞株および培養条件
マウス・マクロファージJ774A.1細胞株は、ATCCから得た。マクロファージ細胞は、10%のFBSを補った5mLのDMEMを含む60mm2ペトリ皿(Corning)内で37℃において5%CO2を有する加湿空気中で、単層で培養した。実験のために、細胞をこすることで回収し、5×105細胞の密度で96穴プレートに播種した。
【0120】
実施例1:カーゴ部分の脂質単層調製物
第1の容器において、乾燥アンホテリシンB(真菌薬)およびローダミン(蛍光マーキング薬)をオリーブ油と共に、アンホテリシンおよびローダミンがオリーブ油と一体として混合されるまでボルテックスすることによって、疎水性の組成物を調製した。別の容器において、乾燥脂質を水に激しく混合してリポソームの水溶液の懸濁液を得た。次いで、疎水性の組成物を、約10:1および約5:1の脂質-対-オイルの比率のリポソーム懸濁液の2つの部分に添加し、激しく混合して安定なエマルジョンを形成させた。顕微鏡下で両方のエマルジョンの検査では、脂質単層およびリポソームによってカプセル化された疎水性の組成物の形成が明らかとなった(図2A〜D、図3A〜Bおよび図4は同様のエマルジョンを示す)。エマルジョンは安定しており、疎水性ドメインは、癒着しなかった。このような安定なエマルジョンを図1に示してあり、安定なエマルジョンには、疎水性ドメイン(暗い陰線)の周りに形成された脂質単一層を含むジオデート送達媒体、およびリポソームを含む。
【0121】
実施例2:脂質複層にトラップされたカーゴ部分の脂質単層調製物
カルシウムを実施例1のエマルジョンに添加した。結晶構造は、脂質単層の周りに形成することが観察された。結晶構造は、カルシウムおよびリポソームを含むと考えられる。それぞれの結晶は、図1に図式的に示したとおり、いくつかのカプセル化された疎水性ドメインを包囲した。(図5および図6は同様の構造を示す)。
【0122】
実施例3:層からの脂質単層調製物の放出
EDTAを実施例2のエマルジョンに添加した。結晶構造は劣化することが観察され、その結果カプセル化されたドメインが残り、もはや結晶構造によって外皮で覆わていない。(図7および図8は同様のエマルジョンを示す)。
【0123】
実施例4:ジオデート送達媒体内のβカロテンの調製
500mgのダイズホスファチジルセリン(PS)、250mgの20%βカロテンダイズ油溶液、10mgのαトコフェロール(ビタミンE)、および240mgのダイズ油をガラス管内で重量測定した。試料を45℃で激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。光学顕微鏡によって検査すると、大部分のβカロテンが、油滴内に取り込まれていることが観察された。図10A、図10B、および図11は、安定なβカロテン、油、および脂質エマルジョンを示す。
【0124】
4.5mlの滅菌水をガラス管に添加して激しく混合した。鏡検では、βカロテンを有する多くの異なるサイズの油滴、小量のフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子と共に安定なエマルジョンが明らかになった。
【0125】
3.3mlの0.1Mのカルシウムを激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、βカロテンを含む油滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。図9は、使用した方法およびこの実験で観察された結果を模式的に図示する。
【0126】
実施例5:カゼインを伴ったβカロテン・ジオデート送達媒体
12gのダイズホスファチジルセリン(PS)、3gの20%βカロテンダイズ油溶液、および0.2gのαトコフェロール(ビタミンE)をガラス管内で重量測定した。ゆっくりと30〜40mlの滅菌水を加えると共に、試料を室温で激しく混合することによって、滑らかなエマルジョンを調製した。光学顕微鏡によって検査すると、大部分のβカロテンが油滴に組み込まれていることが観察された。
【0127】
4.8gのカゼインをエマルジョンに添加し、続いて滅菌水(滴下して加えた)をさらに60〜70ml添加した。鏡検では、βカロテンを有する多くの異なるサイズの油滴を有する安定なエマルジョン、小量のフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子が明らかになった。
【0128】
60mlの0.5Mの塩化カルシウムを激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、βカロテンを含む油滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。最終組成物は、以下の最終組成物と算出された。
【0129】
最終組成物:
60%のホスファチジルセリン
24%のカゼイン
1%のトコフェロール
3%のβカロテン
12%のダイズ油
100mlの滅菌水
60mlの0.5M Ca+2
【0130】
図12Aおよび図12Bは、微粉化の前および後のβカロテン・ジオードを示す。図13Aおよび図13Bは、懸濁液中のβカロテン・ジオードを示す。βカロテンを放出させるために、EDTAを懸濁液に添加することができる。図13Cおよび図13Dは、それぞれEDTAの添加後の懸濁液13Aおよび13Bを示す。
【0131】
実施例6:カゼインを有する魚油ジオデート送達媒体の調製
12gのダイズホスファチジルセリン(PS)、3gの30%魚油、オリーブ油、および0.2gのαトコフェロール(ビタミンE)をガラス管内で重量測定した。ゆっくりと30〜40mlの滅菌水を加えると共に、試料を45℃で激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。
【0132】
4.8gのカゼインをエマルジョンに添加し、続いて滅菌水(滴下して加えた)をさらに60〜70ml添加した。鏡検では、多くの異なるサイズの魚油の液滴を有する安定なエマルジョンが明らかになった。
【0133】
60mlの0.5Mの塩化カルシウムを、激しく混合しながらエマルジョンに液滴で添加した。顕微鏡下でのこの調製物の調査により、脂質複層内に捕獲され、または外皮で覆われた、魚油液滴の周りに形成されたPS単一層を含む媒体が明らかになった。最終組成物は、以下のとおりであった。
【0134】
カゼインを有する魚油ジオードの最終組成物
30%の魚油
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0135】
オリーブ油およびトコフェロールを有する魚油/カゼイン・ジオード
30%の魚油(10%のオリーブ油、1%のトコフェロール)
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0136】
オリーブ油、ニンニク、クルクミンおよびトコフェロールを有する魚油/カゼイン・ジオード
30%の魚油(ニンニクおよびクルクミンを有する10%のオリーブ油、1%のトコフェロール)
60%のダイズホスファチジルセリン
10%のカゼイン
50mlの滅菌水
60mlの0.1M Ca+2
【0137】
実施例7:βカロテン・ジオードを含むマフィンの調製
βカロテン・ジオードを、実施例4に記載したとおりに調製した。これらのジオードをBETTY CROCKER SUPERMOISTホワイトケーキ・ミックスに添加した。混合物を20分間350°Fで料理した。マフィンは、焼いた後の少なくとも12日間、明橙色のジオードのクラスターを示した(図18を参照)。
【0138】
実施例8:魚油ジオードを含むマフィンの調製
魚油/オリーブ油/ビタミンEジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。これらのジオードをBETTY CROCKER SUPERMOISTホワイトケーキ・ミックスに添加した。混合物を20分間375°Fで料理した。マフィンは、明緑色のジオードのクラスターを示し、焼いた後の少なくとも24時間、目立つ匂いはなかった。
【0139】
魚油だけを含み、オリーブ油またはビタミンEを含まないジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。ジオードをホワイトケーキ・ミックスに添加し、茶色まで電子レンジで料理した(フルパワー、約45〜50秒)。マフィンは、料理の直後〜24時間後において匂いまたは悪い味はなかった。
【0140】
実施例9:魚油ジオードを含む豆乳懸濁液の調製
魚油ジオードを、実施例6に記載したとおりに調製した。茶さじ一杯の魚油ジオードを3オンスのYOPLAIT豆乳に添加した。振盪することにより、魚油ジオードを懸濁状態のままにした。豆乳は、目立つ匂いまたは味を示さなかった。
【0141】
実施例10:βカロテン・ジオードの局所適用
βカロテン・ジオードを、実施例4に記載したとおりに調製し、ワセリンに添加して、手掌の表面に適用した。コーティングは、水に抵抗性であった(図19を参照)。任意の特定の理論に拘束されることは望まないが、ジオードは、表皮の角質層と融合したであろうと思われる。
【0142】
実施例11:CaCl2粉末を使用する、カゼインおよび5%のトコフェロールを含む魚油ジオードの調製
10gのトコフェロール(ビタミンE-Roche)および50gの魚油(Roche ROPUFA)を大きなKITCHENAIDブレンダーに入れ、低速で撹拌することによって完全に混合した。次いで、120gのダイズPS(Degussa)を魚油/V-E混合物に添加し、続いていくつかの少ない一定分量の滅菌水を添加した。次いで、20gのカゼインを魚/V-Eエマルジョンを含む容器に添加して、滅菌水を合計2000mlの水が添加されるまで、一定の低速で撹拌しながらゆっくりと添加した。鏡検では、多くの異なるサイズの油滴および多くの小さな可動粒子を有する安定なエマルジョンを示した。35.5gの塩化カルシウム粉末を容器に添加し、一方で常に低速で撹拌した。その後、懸濁液をさらに30分間撹拌し、その後で、試料を無菌の琥珀瓶に移して、さらに使用するまでエマルジョンとして貯蔵した。魚油ジオードを粉末にするために、噴霧乾燥器および流動床乾燥器を使用した。
【0143】
最終組成物:
【0144】
実施例12:CaCl2粉末を使用する、カゼインおよび0.8%のトコフェロールを含むβカロテン・ジオードの調製
2.6gのトコフェロール(Roche)および39gの20%βカロテンのオリーブ油溶液(Cognis)を大きなKITCHENAIDブレンダーに入れ、低速で撹拌することによって完全に混合した。156gのダイズPS(Degussa)をβ-カロテン/ビタミンEを有する容器に添加し、続いていくつかの少ない一定分量の滅菌水を添加した。試料を激しく混合することによって滑らかなエマルジョンを調製した。次いで、62.4gのカゼインをβカロテン・エマルジョンを有する容器に添加し、続いて2080mlの合計体積に達するまで、滅菌水をゆっくりと添加した。鏡検では、βカロテンを含む多くの異なるサイズ油滴、いくつかのフリーの油滴、および多くの小さな可動粒子を有する安定なエマルジョンを示した。57.3gの塩化カルシウム粉を容器にゆっくり添加し、懸濁液を完全に混合した。その後、懸濁液を低速でさらなる30分間撹拌した。2.0mlの最終調製物の一定分量をHPLCアッセイ法のために50mlの無菌の管に入れた。アッセイでは、試料中のβカロテンの90%以上が、ジオード内に含まれたことを示した。次いで、さらに使用するまで、エマルジョンを無菌の琥珀瓶に移した。
【0145】
ジオードが、市販の大規模な装置を使用して、かつその中に配置される活性薬剤を損なうことのなく首尾よく粉末(懸濁液から除かれたもの)に乾燥することができるかどうか決定するために、1つのバッチをGlatt Air Techniques, Inc.(Ramsey, NJ)による流動床乾燥装置を使用し、他方をSpray-Tech (Ontario, CA)による噴霧乾燥装置を使用して乾燥した。図15、図16および図17は、流動床乾燥および噴霧乾燥の後のβカロテン・ジオードの安定性を示すグラフである。図15は、理論上の100%と比較して、流動床乾燥後、および噴霧乾燥後の懸濁液中のジオード製剤内のβカロテンの量を示す。図17は、噴霧乾燥の後、および噴霧乾燥ジオードの2つのバッチ処理したものの組み合わせ後の、懸濁液中のβカロテン・ジオードについての同様のデータを示す。乾燥後のβカロテンの濃度は、おそらくその他の成分のいくつかが減少することによって、出発原料に存在する量に基づいて予想されるものよりもわずかに高い。ジオード内の油滴において、他のβカロテンと比較して高いβカロテンの回収が観察された。図16は、光の存在下および非存在で20日間貯蔵したジオードの種々の製剤の濃度を示すグラフである。下のグラフは、製剤の比較を行うことができるように、1の開始濃度に標準化した。貯蔵による粉末の濃度の減少は、吸湿性のジオード粉末が水を吸うために悪化されるであろう。
【0146】
いくつかの例では(ジオードが処理装置にくっついた場所で)数時間に、流動層法では、ジオードは少なくとも85℃の温度を受け、噴霧乾燥法では、ジオードは最高375°F〜400°Fの温度を受けた。ジオード内のβカロテン(処理設備から除去されたジオードを含む)は、試料が赤黄色によって示されるとおり、両バッチについて活性なままであった。
【0147】
ジオードの画像は、ジオードが首尾よく調製され、βカロテンがなおも活性であったことを示した(図14A〜D)。図14Aおよび図14Dは、噴霧乾燥によって抽出されるジオードの画像であり、図14Bおよび図14Cは、流動床乾燥によって抽出されるジオードの画像である。
【0148】
ジオードの試料は、その後に2 1/2日間、光および空気に曝露されたが、βカロテンの分解は観察されなかった。
【0149】
最終組成物:
【0150】
実施例13:NSAIDジオードの調製
NSAID(イブプロフェンおよび/またはナプロキセン)をオリーブ油中に完全に混合した(総ジオード混合物重量の5%〜10%)。脂質対薬物の比率が10:1である脂質中のダイズPSを試験管に添加した。次いで、NSAID/オリーブ油の混合物を粉末にしたダイズPSを含むチューブに添加し、スパーテルを使用して完全に粉末と油を混合した。
【0151】
均一なペーストが形成されたら、TES緩衝液(pH 7.4)をチューブにゆっくりと添加し、10〜15分間ボルテックスして、さらに懸濁液を混合した。試料を光学顕微鏡下で観察し、NSAID結晶が懸濁液になくなったが、油中に含まれることを確認した。脂質に対して2:1の比率の塩化カルシウムを安定なエマルジョンに添加した。再度試料を暗視野光学顕微鏡検査下で観察して、ジオードが形成され、かつ水性環境中にNSAID結晶がないことを決定した。次いで、結晶をさらに使用するまで4℃の窒素下で貯蔵した。
【0152】
予想される実施例:亜硝酸の濃度のためのアッセイ法
培地中に蓄積された亜硝酸塩(NO2-)は、グリース反応に基づいて自動化された比色アッセイ法を使用して測定される。Swierkosz, T.A., et al. Br. J. Pharmacol.; 114 (7): 1335-42, 1995. Gross, S., et al. Biochem. Biophys. Res. Commun. 178, 823-829, 1991. Ryu, Y.S., et al. Biochem. Biophys. Res. Comm. 272, 758-764, 2000。J774A.1マウスのマクロファージを遊離のイブプロフェン、イブプロフェン渦巻形(ibuprofen cochleate)、実施例13で調製したイブプロフェン・ジオード、遊離のナプロキセン、ナプロキセン渦巻形(naproxen cochleate)、実施例13で調製したナプロキセン・ジオード、および15時間の空の渦巻形の存在下または非存在下で、LPS(1μg/ml)プラスIFN-γ(10μg/ml)と共にインキュベートする。100μlの試料を10分間室温でグリース試薬と作用させる。次いで、マイクロプレートリーダーで540nmの吸光度を測定することによってNO2-を決定する。既知の濃度の亜硝酸ナトリウムを使用して標準曲線を得る。全ての実験において、培地のみを含むウェルのNO2-濃度もブランク対照として測定する。
【0153】
等価物
当業者であれば、本明細書に記載されている本発明の特定の態様に対する多くの等価物を認識し、またはルーチン試験だけを使用して確認することができるであろう。このような等価物は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層;および
脂質単層の周りに配置された脂質層
とを含む、カーゴ(cargo)部分のためのジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)。
【請求項2】
疎水性ドメインの周りに配置された、リン脂質を含む脂質単層
を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体。
【請求項3】
ジオデート送達媒体が水性環境において懸濁化される、請求項1または2記載のジオデート送達媒体。
【請求項4】
ジオデート送達媒体がエマルジョンにおいて懸濁化される、請求項3記載のジオデート送達媒体。
【請求項5】
ジオデート送達媒体が粉末形態である、請求項1または2記載のジオデート送達媒体。
【請求項6】
ジオデート送達媒体に結合されたカーゴ部分をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項7】
カーゴ部分が疎水性ドメインと結合されている、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項8】
疎水性ドメインがカーゴ部分である、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項9】
脂質単層または脂質層と結合されたカーゴ部分を含む、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項10】
疎水性ドメインが油または脂肪と結合されたカーゴ部分を含む、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項11】
脂質が負に荷電したリン脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項12】
脂質が少なくとも約50%の負に荷電した脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項13】
脂質が少なくとも約75%の負に荷電した脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項14】
カーゴ部分が、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット(microbistat)、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドまたはその他の多環構造、糖類、金属、代謝毒、抗原、イメージング剤、ポルフィリン、テトラピロール色素、および薬物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項15】
薬物が、タンパク質、小ペプチド、生物活性ポリヌクレオチド、抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤、または血管拡張薬からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項16】
薬物が、アンホテリシンB、アシクロビル、アドリアマイシン、カルバマゼピン、イベルメクチン、メルファラン、ニフェジピン、インドメタシン、クルクミン、イブプロフェン、ナプロキセン、エストロゲン、テストステロン、ステロイド、フェニトイン、エルゴタミン、カンナビノイド、ラパマイシン、プロパニジド、プロポフォール、アルファジオン、エキノマイシン、硝酸ミコナゾール、テニポシド、ヘキサメチルメラミン、タキソール、タキソテール、18-ヒドロキシ・デオキシコルチコステロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ピロキシカム、ジアゼパム、ベラパミル、バンコマイシン、トブラマイシン、ゲルダナマイシン、アセトアミノフェン、アスピリン、ナイスタチン、リファンピン、ビタミンA酸、メサラミン、リセドロネート、ニトロフラントイン、ダントロレン、エチドロネート、カスポファンギン、ニコチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、シタロプラム、ドスレピン、ドキセピン、フルオキセチン、イミプラミン、ロフェプラミン、ミルタザピン(mirtazapine)、ノルトリプチリン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(venlafaxine)、ドーパミン、セントジョーンズウォルト(St. John's wort)、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、アマスタチン(amastatin)、アンチパイン、ベスタチン、ベンズアミジン、キモスタチン、3,4-ジクロロイソクマリン、エラスタチナール、ロイペプチン、ペプスタチン、1,10-フェナントロリン、ホスホラミドン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ラモトリジン、レビチラセタム(levitiracetam)、メフェニトイン、メトスクシミド、オキスカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェンスクシミド、プリミドン、トピラメート、トリメタジオン、ゾニサミド、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、またはアンプレナビルからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項17】
ポリヌクレオチドが、デオキシリボ核酸(DNA)分子、リボ核酸(RNA)分子、siRNA、リボザイム、アンチセンス分子、モルホリノ、およびプラスミドからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項18】
ポリペプチドが、シクロスポリン、アンギオテンシンI、IIまたはIII、エンケファリンおよびこれらの類似体、ACTH、抗炎症性ペプチドI、IIまたはIII、ブラジキニン、カルシトニン、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、ロイコキニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、ニューロキニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、甲状腺放出ホルモン(TRH)、ならびにバソプレッシンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項19】
抗原が、炭水化物、ウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質、動物細胞膜タンパク質、植物細胞膜タンパク質、細菌膜タンパク質、および寄生虫膜タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項20】
栄養素が、微量栄養素、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、アミノ酸、魚油、魚油抽出物、リスベラトロール、ビオチン、コリン、イノシトール、ギンコ(ginko)、および糖類からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項21】
栄養素が、植物化学物質または動物化学物質である、請求項20記載のジオデート送達媒体。
【請求項22】
栄養素が、βカロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、ケルセチン、シリビニン(silibinin)、ペリリルアルコール、ゲニステイン、スルフォラファン、リコピン、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項23】
ビタミンが、ビタミンA、B、B1、B2、B3、B12、B6、B-複合体、C、D、EおよびK、ビタミン前駆体、カロテノイド、ならびにβ-カロテンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項24】
ミネラルが、ホウ素、クロミウム、コロイド性ミネラル、コロイド銀、銅、マンガン、カリウム、セレン、バナジウム、硫酸バナジル、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、および亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項25】
脂肪酸が、モノ不飽和、多価不飽和、および飽和脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項26】
糖類または甘味料が、サッカリン、イソマルト、マルトデキストリン、アスパルテーム、グルコース、マルトース、ブドウ糖、フルクトース、およびショ糖からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項27】
風味物質が、シナモン、バニラ、アーモンド、ペパーミント、スペアミント、カモミール、ゼラニウム、ショウガ、グレープフルーツ、ヤナギハッカ、ジャスミン、ラベンダー、レモン、レモングラス、マヨラナ、ライム、ナツメグ、オレンジ、ローズマリー、セージ、バラ、タイム、アニス、バジル、黒コショウ、茶または茶抽出物、ハーブ、柑橘類、スパイス、および種子の油および抽出物からなる群より選択される少なくとも1つの油または抽出物である、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項28】
凝集阻害剤をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項29】
凝集阻害剤が、カゼインまたはメチルセルロースを含む、請求項28記載のジオデート送達媒体。
【請求項30】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体であって、食品、飲料、または個人ケア製品に添加するための説明書と共にパックされる媒体
を含む、パックされたジオデート送達媒体。
【請求項31】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体を含む食品。
【請求項32】
食品が、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品である、請求項31記載の食品。
【請求項33】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体を含む個人ケア製品。
【請求項34】
個人ケア製品が、ヘアケア製品または皮膚ケア製品である、請求項33記載の個人ケア製品。
【請求項35】
カーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされた請求項1〜5のいずれか1項記載のジオデート送達媒体
を含む、パックされたジオデート送達媒体。
【請求項36】
請求項1〜29のいずれか1項記載のジオデート送達媒体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
カーゴ部分の投与による恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法。
【請求項38】
投与経路が、粘膜、全身、経口、鼻腔、眼内、直腸内、腟内、肺内、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、および皮内からなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
カーゴ部分が、炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、糖尿病、不眠症、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良を治療するために投与される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
被検者が栄養素の投与による恩典を受けることができ、かつカーゴ部分が栄養素である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法であって、該ジオデート送達媒体が、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含んで形成されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む方法。
【請求項42】
ジオデート送達媒体が、カーゴ部分と結合した疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含んで形成されるように、カーゴ部分、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
多価陽イオンを添加することによって脂質単層の周りに脂質層を形成する工程を含む、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
多価陽イオンがカルシウムを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
粉末を形成させるためにジオデート送達媒体を乾燥させる工程を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
ジオデート送達媒体を薬学的に許容される担体と結合させる工程を含む、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
ジオデート送達媒体を食品または個人ケア製品に添加する工程を含む、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を形成する方法であって、ジオデート送達媒体が形成されるように、リン脂質および疎水性材料を含む脂質を混合する工程を含む方法。
【請求項1】
疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層;および
脂質単層の周りに配置された脂質層
とを含む、カーゴ(cargo)部分のためのジオデート送達媒体(geodate delivery vehicle)。
【請求項2】
疎水性ドメインの周りに配置された、リン脂質を含む脂質単層
を含むカーゴ部分のためのジオデート送達媒体。
【請求項3】
ジオデート送達媒体が水性環境において懸濁化される、請求項1または2記載のジオデート送達媒体。
【請求項4】
ジオデート送達媒体がエマルジョンにおいて懸濁化される、請求項3記載のジオデート送達媒体。
【請求項5】
ジオデート送達媒体が粉末形態である、請求項1または2記載のジオデート送達媒体。
【請求項6】
ジオデート送達媒体に結合されたカーゴ部分をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項7】
カーゴ部分が疎水性ドメインと結合されている、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項8】
疎水性ドメインがカーゴ部分である、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項9】
脂質単層または脂質層と結合されたカーゴ部分を含む、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項10】
疎水性ドメインが油または脂肪と結合されたカーゴ部分を含む、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項11】
脂質が負に荷電したリン脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項12】
脂質が少なくとも約50%の負に荷電した脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項13】
脂質が少なくとも約75%の負に荷電した脂質を含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項14】
カーゴ部分が、ビタミン、ミネラル、栄養素、微量栄養素、アミノ酸、毒素、殺菌薬、マイクロビスタット(microbistat)、補因子、酵素、ポリペプチド、ポリペプチド凝集体、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、ヌクレオチド、澱粉、色素、脂肪酸、モノ不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、風味物質、風味をつけた精油または抽出物、ホルモン、サイトカイン、ウイルス、細胞小器官、ステロイドまたはその他の多環構造、糖類、金属、代謝毒、抗原、イメージング剤、ポルフィリン、テトラピロール色素、および薬物からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項6記載のジオデート送達媒体。
【請求項15】
薬物が、タンパク質、小ペプチド、生物活性ポリヌクレオチド、抗生物質、抗ウイルス剤、麻酔薬、抗感染薬、抗真菌薬、抗癌剤、免疫抑制薬、ステロイド性炎症薬、非ステロイド性抗炎症薬、抗酸化物、合成もしくは天然に由来し得る抗うつ薬、精神的機能を支援もしくは増強するか、または痴呆を阻害する物質、抗痙攣薬、HIVプロテアーゼ阻害剤、非求核性の逆転写酵素阻害剤、サイトカイン、精神安定剤、または血管拡張薬からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項16】
薬物が、アンホテリシンB、アシクロビル、アドリアマイシン、カルバマゼピン、イベルメクチン、メルファラン、ニフェジピン、インドメタシン、クルクミン、イブプロフェン、ナプロキセン、エストロゲン、テストステロン、ステロイド、フェニトイン、エルゴタミン、カンナビノイド、ラパマイシン、プロパニジド、プロポフォール、アルファジオン、エキノマイシン、硝酸ミコナゾール、テニポシド、ヘキサメチルメラミン、タキソール、タキソテール、18-ヒドロキシ・デオキシコルチコステロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、ピロキシカム、ジアゼパム、ベラパミル、バンコマイシン、トブラマイシン、ゲルダナマイシン、アセトアミノフェン、アスピリン、ナイスタチン、リファンピン、ビタミンA酸、メサラミン、リセドロネート、ニトロフラントイン、ダントロレン、エチドロネート、カスポファンギン、ニコチン、アミトリプチリン、クロミプラミン、シタロプラム、ドスレピン、ドキセピン、フルオキセチン、イミプラミン、ロフェプラミン、ミルタザピン(mirtazapine)、ノルトリプチリン、パロキセチン、レボキセチン、セルトラリン、トラゾドン、ベンラファキシン(venlafaxine)、ドーパミン、セントジョーンズウォルト(St. John's wort)、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、アマスタチン(amastatin)、アンチパイン、ベスタチン、ベンズアミジン、キモスタチン、3,4-ジクロロイソクマリン、エラスタチナール、ロイペプチン、ペプスタチン、1,10-フェナントロリン、ホスホラミドン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、フォスフェニトイン(fosphenytoin)、ラモトリジン、レビチラセタム(levitiracetam)、メフェニトイン、メトスクシミド、オキスカルバゼピン(oxcarbazepine)、フェノバルビタール、フェンスクシミド、プリミドン、トピラメート、トリメタジオン、ゾニサミド、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、またはアンプレナビルからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項17】
ポリヌクレオチドが、デオキシリボ核酸(DNA)分子、リボ核酸(RNA)分子、siRNA、リボザイム、アンチセンス分子、モルホリノ、およびプラスミドからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項18】
ポリペプチドが、シクロスポリン、アンギオテンシンI、IIまたはIII、エンケファリンおよびこれらの類似体、ACTH、抗炎症性ペプチドI、IIまたはIII、ブラジキニン、カルシトニン、β-エンドルフィン、ダイノルフィン、ロイコキニン、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、インスリン、ニューロキニン、ソマトスタチン、サブスタンスP、甲状腺放出ホルモン(TRH)、ならびにバソプレッシンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項19】
抗原が、炭水化物、ウイルス由来のエンベロープ糖タンパク質、動物細胞膜タンパク質、植物細胞膜タンパク質、細菌膜タンパク質、および寄生虫膜タンパク質からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項20】
栄養素が、微量栄養素、ビタミン、ミネラル、脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、アミノ酸、魚油、魚油抽出物、リスベラトロール、ビオチン、コリン、イノシトール、ギンコ(ginko)、および糖類からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項21】
栄養素が、植物化学物質または動物化学物質である、請求項20記載のジオデート送達媒体。
【請求項22】
栄養素が、βカロテン、ルテイン、ゼアキサンチン、ケルセチン、シリビニン(silibinin)、ペリリルアルコール、ゲニステイン、スルフォラファン、リコピン、オメガ-3およびオメガ-6脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項23】
ビタミンが、ビタミンA、B、B1、B2、B3、B12、B6、B-複合体、C、D、EおよびK、ビタミン前駆体、カロテノイド、ならびにβ-カロテンからなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項24】
ミネラルが、ホウ素、クロミウム、コロイド性ミネラル、コロイド銀、銅、マンガン、カリウム、セレン、バナジウム、硫酸バナジル、カルシウム、マグネシウム、バリウム、鉄、および亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項25】
脂肪酸が、モノ不飽和、多価不飽和、および飽和脂肪酸からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項26】
糖類または甘味料が、サッカリン、イソマルト、マルトデキストリン、アスパルテーム、グルコース、マルトース、ブドウ糖、フルクトース、およびショ糖からなる群より選択される少なくとも1つのメンバーである、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項27】
風味物質が、シナモン、バニラ、アーモンド、ペパーミント、スペアミント、カモミール、ゼラニウム、ショウガ、グレープフルーツ、ヤナギハッカ、ジャスミン、ラベンダー、レモン、レモングラス、マヨラナ、ライム、ナツメグ、オレンジ、ローズマリー、セージ、バラ、タイム、アニス、バジル、黒コショウ、茶または茶抽出物、ハーブ、柑橘類、スパイス、および種子の油および抽出物からなる群より選択される少なくとも1つの油または抽出物である、請求項14記載のジオデート送達媒体。
【請求項28】
凝集阻害剤をさらに含む、前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体。
【請求項29】
凝集阻害剤が、カゼインまたはメチルセルロースを含む、請求項28記載のジオデート送達媒体。
【請求項30】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体であって、食品、飲料、または個人ケア製品に添加するための説明書と共にパックされる媒体
を含む、パックされたジオデート送達媒体。
【請求項31】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体を含む食品。
【請求項32】
食品が、動物用食品、ヒト用食品、栄養バー、スナック食品、飲料、家畜用食品、魚用食品、家禽用飼料、ペット用食品、イヌ用食品、またはネコ用食品である、請求項31記載の食品。
【請求項33】
前記請求項のいずれか1項記載のジオデート送達媒体を含む個人ケア製品。
【請求項34】
個人ケア製品が、ヘアケア製品または皮膚ケア製品である、請求項33記載の個人ケア製品。
【請求項35】
カーゴ部分を組み込むための説明書と共にパックされた請求項1〜5のいずれか1項記載のジオデート送達媒体
を含む、パックされたジオデート送達媒体。
【請求項36】
請求項1〜29のいずれか1項記載のジオデート送達媒体および薬学的に許容される担体を含む、薬学的組成物。
【請求項37】
カーゴ部分の投与による恩典を受けることができる被検者を治療する方法であって、被検者にカーゴ部分を含むジオデート送達媒体を投与する工程を含む方法。
【請求項38】
投与経路が、粘膜、全身、経口、鼻腔、眼内、直腸内、腟内、肺内、静脈内、筋肉内、皮下、経皮、および皮内からなる群より選択される、請求項37記載の方法。
【請求項39】
カーゴ部分が、炎症、疼痛、感染、真菌感染、細菌感染、ウイルス感染、寄生性障害、免疫不全、遺伝障害、変性障害、癌、糖尿病、不眠症、増殖障害、肥満、うつ病、髪減少、不能症、高血圧、低血圧、痴呆、老年痴呆、または栄養不良を治療するために投与される、請求項37記載の方法。
【請求項40】
被検者が栄養素の投与による恩典を受けることができ、かつカーゴ部分が栄養素である、請求項37記載の方法。
【請求項41】
カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を製造する方法であって、該ジオデート送達媒体が、疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含んで形成されるように、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む方法。
【請求項42】
ジオデート送達媒体が、カーゴ部分と結合した疎水性ドメインの周りに配置された脂質単層を含んで形成されるように、カーゴ部分、脂質、水溶液、および疎水性材料を混合する工程を含む、請求項41記載の方法。
【請求項43】
多価陽イオンを添加することによって脂質単層の周りに脂質層を形成する工程を含む、請求項41または42記載の方法。
【請求項44】
多価陽イオンがカルシウムを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
粉末を形成させるためにジオデート送達媒体を乾燥させる工程を含む、請求項44記載の方法。
【請求項46】
ジオデート送達媒体を薬学的に許容される担体と結合させる工程を含む、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項47】
ジオデート送達媒体を食品または個人ケア製品に添加する工程を含む、請求項41〜45のいずれか1項記載の方法。
【請求項48】
カーゴ部分のためのジオデート送達媒体を形成する方法であって、ジオデート送達媒体が形成されるように、リン脂質および疎水性材料を含む脂質を混合する工程を含む方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−72138(P2012−72138A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201666(P2011−201666)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2005−502267(P2005−502267)の分割
【原出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【出願人】(509019783)バイオデリバリー サイエンシーズ インターナショナル インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2005−502267(P2005−502267)の分割
【原出願日】平成15年11月3日(2003.11.3)
【出願人】(509019783)バイオデリバリー サイエンシーズ インターナショナル インコーポレイティッド (4)
【Fターム(参考)】
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