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ジオール化合物とその製造方法および樹脂
説明

ジオール化合物とその製造方法および樹脂

【課題】
バイオマス資源より副産物として得られる5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを原料として用いた、新規のプラスチック材料を提供する。
【解決手段】
5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを、アセタール化反応および水素添加反応させて合成される化合物が、重合性官能基を1分子内に2つ有するジオール化合物であり、該ジオール化合物を原料として製造される樹脂が、バイオマス資源より得られるプラスチック材料である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジオール化合物および樹脂に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題やエネルギー資源問題に関心が高まる中、プラスチック材料についても、現在汎用品として広く用いられている石油等の化石燃料資源由来のプラスチック材料から植物等のバイオマス資源より得られる原料を用いたプラスチック材料への転換が図られようとしている。
【0003】
セルロースを酸により加水分解し糖を生成する糖化反応については、以前より研究されており、特に近年は、得られた糖をさらに発酵させてエタノール等に転化し、エネルギーとして活用する試みが盛んに検討されている。これら糖化反応の際には、フルフラール類が副産物として生成することが知られ(非特許文献1、2)、その一例として、5−ヒドロキシメチルフルフラールが挙げられる。5−ヒドロキシメチルフルフラールはヒドロキシル基とアルデヒド基とを1分子内に有する化合物で、5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化して得られる2,5−フランジカルボン酸をテレフタル酸の代替物質として使用したり、非特許文献3のように、5−ヒドロキシメチルフルフラールを還元・水素化分解して2,5−ジメチルフランへと変換しバイオ燃料として用いたりすること(非特許文献3)などが検討されている。さらに、イオン液体中で触媒として塩化クロムを用い、5−ヒドロキシメチルフルフラールを70%もの高収率で得る新たな合成法が報告され(非特許文献4)、5−ヒドロキシメチルフルフラールの活用についての関心がますます高まっていた。
【0004】
他方、19世紀末頃より、落花生油などの生物由来油脂からグリセリンをエステル交換により取り除き、脂肪酸メチルエステル(バイオディーゼル)を得る研究が行われてきたが、近年の環境・エネルギー資源問題の高まりを受け、再度その技術開発が活発化している。だが、バイオディーゼルがますます脚光を浴びる傍らで、副産物として得られるグリセリンについては、現在供給過剰状態であるため売却、処分が困難という状況だと言われている。
【非特許文献1】ユーリ ロマン−レスコフ(Yuriy Roman−Leshko)ら、サイエンス(Science)、2006年、312巻、p.1933−1937.
【非特許文献2】「ニュー プロセス メイクス ディーゼル フューエル、インダストリアル ケミカルズ フロム シンプル シュガー(New process makes diesel fuel, industrial chemicals from simple sugar)」、ウイスコン−マジスン大学、プレスリリース、2006年6月29日
【非特許文献3】ユーリ ロマン−レスコフ(Yuriy Roman−Leshkov)ら、ネイチャー(Nature)、2007年、447巻、p.982−985.
【非特許文献4】ハイボ チョウ(Haibo Zhao)ら、サイエンス(Science)、2007年、316巻、p.1597−1600.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バイオマス資源より副産物として得られる5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを原料として用いた、新規のプラスチック材料およびその原料化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ね、5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを、アセタール化反応および水素添加反応させて合成される化合物が、重合性官能基を1分子内に2つ有するジオール化合物であり、該ジオール化合物を原料として製造される樹脂が、バイオマス資源より得られるプラスチック材料であることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]下記式(1)で示されるジオール化合物。
【0008】
【化1】

【0009】
[2][1]に記載のジオール化合物の製造方法であって、5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを原料として、アセタール化反応および水素添加反応させて製造することを特徴とするジオール化合物の製造方法。
[3]前記アセタール化反応を無溶媒下で反応させることを特徴とする[2]に記載のジオール化合物の製造方法。
[4]下記式(2)で示されるジオール残基を含む樹脂。
【0010】
【化2】

【0011】
により構成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によりバイオマス資源より製造される新たなプラスチック材料を提供できることから、環境負荷低減効果によって持続可能な社会構造の構築に大きく寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明のジオール化合物とその製造方法および樹脂について、具体的に説明する。
【0014】
本発明のジオール化合物とは、上記式(1)で表される化合物である。本発明のジオール化合物を得る方法の一例としては、5−ヒドロキシメチルフルフラールとグリセリンとを、アセタール化反応および水素添加反応させる方法が挙げられる。
【0015】
ここで、アセタール化反応と水素添加反応の順序は特に制限されず、5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを最初にアセタール化反応させて5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロールを得て、さらに水素添加反応させて目的のジオール化合物を得ても良いし、先に5−ヒドロキシメチルフルフラールを水素添加反応させて、それからグリセリンとアセタール化反応させて目的のジオール化合物を得ても良い。
【0016】
以下、アセタール化反応をさせてから水素添加反応させる順序で製造する場合について述べる。なお、本発明において、該ジオール化合物を得るためには、該アセタール化反応、該水素添加反応以外のいかなる方法で該ジオール化合物を得ても特に差し支えはないが、該アセタール化反応については、酸触媒を用いるだけで常温常圧の条件で反応を進行させられるなど、反応の簡便性や反応収率などの観点から好ましい方法である。
【0017】
アセタール化反応とは、酸触媒下で、ケトンまたはアルデヒドにアルコールを縮合させるものである。本発明のアセタール化反応において使用する酸触媒としては、硫酸やパラトルエンスルホン酸など、脱離したプロトンがアルデヒド基の酸素原子に配位してアルデヒド基の炭素原子の求電子性を高め、ヒドロキシル基の酸素原子を該炭素原子に付加しやすくさせるものであれば特に制限されず、通常のアセタール化反応において使用される酸触媒を用いることができる。またその酸触媒の添加量は、該アセタール化反応を進行させることができる量だけ含有されていれば良く、通常は原料となるアルデヒド基を有する化合物に対して0.1〜5モル%程度である。触媒量が多すぎると生成した粗製物から目的化合物を単離するのが困難となったり、原料や目的化合物に対して酸化など変性を加えてしまったりする懸念があるため好ましくない。
【0018】
先述の5−ヒドロキシメチルフルフラールは、通常試薬として入手できるものなどいかなる方法で入手したものであっても、本発明のジオール化合物を得られるものであれば特に制限はされないが、本発明の目的である、バイオマス資源より製造される新たなプラスチック材料を提供するという観点から、バイオマス由来の5−ヒドロキシメチルフルフラールを用いることが好ましい。バイオマスから該5−ヒドロキシメチルフルフラールを得る方法としては、公知のいかなる方法を用いても差し支えないが、セルロースの糖化反応で得る方法が、原料の豊富さや反応効率などの点より好ましい。セルロースの糖化反応により該5−ヒドロキシメチルフルフラールを得る方法については、例えば背景技術の項で述べた、非特許文献1、2の方法を用いることができる。
【0019】
先述のグリセリンは、通常試薬として入手できるものなどいかなる方法で入手したものであっても、本発明のジオール化合物を得られるものであれば特に制限はされないが、本発明の目的である、バイオマス資源より製造される新たなプラスチック材料を提供するという観点から、バイオマス由来のグリセリンを用いることが好ましい。バイオマスから該グリセリンを得る方法としては、公知のいかなる方法を用いても差し支えないが、生物由来油脂から例えばエステル交換などによって得る方法が、原料の豊富さや反応効率などの点より好ましい。該生物由来油脂としては、落花生油や菜種油、パーム油、オリーブ油、ひまわり油、大豆油、コメ油などの植物油や魚油、牛脂などの獣脂など様々な油脂が使用可能である。また、該生物由来油脂よりグリセリンを得る方法としては、例えば該生物由来油脂にメタノールと触媒を加えエステル交換反応を起こし、酸を加えて脂肪酸メチルエステルと共にグリセリンを得る方法などを用いることができる。
【0020】
先述のアセタール化反応において、例えば5−ヒドロキシメチルフルフラールとグリセリンとを反応させる際に、溶媒中で両者を反応させても、無溶媒下で、すなわち溶媒を用いずにそのまま両者を混合させ反応させても、いずれの方法を用いても差し支えないが、無溶媒下で反応させる方法を用いることが、溶媒の添加や留去の手間を省略できること、さらには反応収率を高めることなどのメリットを有するため、好ましい。
【0021】
また、先述のアセタール化反応における反応温度については、特に制限されないが、昇温の手間が省略できることと反応収率を高めることなどのメリットを有することから、50℃以下で反応を行うことが好ましく、室温条件で反応を行うことがさらに好ましい。50℃以上で反応を行うと、例えば5−ヒドロキシメチルフルフラール内のヒドロキシル基が酸化されカルボン酸へ変性するなど、様々な副反応が起こりやすくなるため、単離が困難となったり、着色が発生したり、反応収率が低下したりするなどの不具合が生じやすくなる。また、反応温度の下限については特に規定はされないが、冷却の手間を省略するなどの観点から、0℃以上で反応を行えば特に問題はない。
【0022】
先述のアセタール化反応の反応時間については、例えば目的物である5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロールの収率が十分に高くなる時間であれば特に差し支えはないが、反応温度や触媒濃度など他の反応条件と共に最適な時間を決定すべきである。例えば、反応温度が20℃で、触媒濃度が3モル%である場合では、反応時間は30分〜2時間の範囲が適当である。反応時間が短すぎると該アセタール化反応が十分に進行しておらず、反応収率が低いため目的物が十分に得られないという懸念があり、逆に反応時間が長すぎると、該アセタール化以外の副反応が進行してしまうなどの問題点があり、好ましくない。
【0023】
また、先述のアセタール化反応は可逆反応であるため、該アセタール化反応の進行度を上げるためには、該反応における平衡を生成物側に移動させるような反応条件を設定することで達成される。例えば、該アセタール化反応は脱水縮合反応であるため、生成する水を反応系外に取り除くことで、反応収率を上げることができると考えられる。水を反応系外に取り除く方法としては、モレキュラーシーブスや塩化カルシウムなどの脱水剤とともに反応を行うなどの方法が挙げられる。また、例えば反応原料である5−ヒドロキシメチルフルフラールかグリセリンのいずれか一方を大量に仕込むことでも平衡を生成側に移動させることができる。この場合は、原料の供給量と目的生成物の収量などを総合的に判断して反応条件を決定すればよい。
【0024】
先述のアセタール化反応によって得られた反応粗製物の中から、本発明のジオール化合物を得るための中間生成物を単離する方法については、蒸留法、再結晶法、クロマトグラフィー法など公知の種々の手法を用いることができるが、該アセタール化反応で得られた反応粗製物を、溶媒に溶解させるなど他の操作を経ることなく直接クロマトグラフィー法によって分離し、単離することが、高収率で目的化合物を得るという観点から好ましい。例えば5−ヒドロキシメチルフルフラールとグリセリンとをアセタール化反応させた際に生成する5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロールは下記式(3)〜(6)で示す4つの構造異性体が考えられ、構造式から想到される通り、該4つの構造異性体は似通った物理的、化学的性質を有するため、蒸留法や再結晶法などの方法では本発明のジオール化合物を得るための中間生成物である下記式(5)および(6)を単離することが非常に困難となる。また、通常はアセタール化反応を終了させてから、原料のグリセリンなどから目的生成物を分離するために、適当な溶媒を用いて抽出操作を行うが、該5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロールはグリセリンと相溶しない低極性溶媒への溶解度が低いため、反応粗製物より抽出操作を行ってからクロマトグラフィー法による分離を行うと、目的化合物の収率が低下してしまう。これらの理由のため、反応粗製物を他の操作を経ることなく直接クロマトグラフィー法によって分離し、本発明のジオール化合物を得るための中間生成物である下記式(5)および(6)を単離することが好ましい方法となる。
【0025】
【化3】

【0026】
【化4】

【0027】
【化5】

【0028】
【化6】

【0029】
先述のクロマトグラフィー法とは、分離したい各物質の大きさ、吸着力、疎水性などの違いを利用して、固体層の表面または内部を移動層が通過する過程で物質を成分ごとに分離する手法のことを指し、本発明においては、カラムクロマトグラフィーや吸着クロマトグラフィーなど、反応粗製物から目的化合物を単離できる方法であれば公知のいずれの方法でも用いることができるが、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いることが、簡便に操作を行うことができるなどの観点から好ましい。また、この際に用いる移動層としては、ヘキサン/酢酸エチル系やクロロホルム/メタノール系など一般的な混合溶媒系を使用することができる。
【0030】
先述の水素添加反応については、公知のいかなる方法により5−ヒドロキシメチルフルフラールあるいは5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロール上のフラン環を還元してテトラヒドロ化しても差し支えないが、例えばWei−Lin Weiら、 Reactive & Functional Polymers(2004)、59、33−39.に記載された方法を用いて水素添加反応させることができ、具体的には、予め調製されたシリカ−アルギン酸−アミノ酸−白金錯体を触媒として、常温常圧下でフラン化合物と水素ガスとを反応させることで、水素添加された目的化合物を得ることができる。
【0031】
本発明の樹脂とは、上記式(2)で示されるジオール残基を含む樹脂である。該樹脂を得る方法としては、前記式(5)および(6)で示される5−ヒドロキシメチルフルフリリデングリセロールを合成し、水素添加反応させた後、さらにジカルボン酸やジイソシアネートといった分子内に重合性官能基を2以上有する化合物と重合させることで、上記式(2)で示されるジオール残基を含む高分子化合物を得る方法などが挙げられる。該分子内に重合性官能基を2以上有する化合物についても、バイオマス資源より得られる化合物を用いることが、本発明の目的である、バイオマス資源より製造される新たなプラスチック材料を提供するという観点から好ましい。
【0032】
先述の分子内に重合性官能基を2以上有する化合物としては、例えばジカルボン酸やジイソシアネートが挙げられ、それらの場合、本発明のジオール化合物と組み合わせて製造される樹脂は、それぞれポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂となる。
【0033】
本発明の樹脂の製造に用いることのできるジカルボン酸を例示すると、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、4、4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4’−ジカルボキシフェニルスルホン、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0034】
また、本発明の樹脂の製造に用いることのできるジイソシアネートを例示すると、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネートが挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0035】
本発明の樹脂を得るために、ジオール化合物とジカルボン酸とを重縮合させる方法としては、原料を高温で加熱させ重合を行う熱重合法、ジカルボン酸を反応性の高い酸塩化物としてクロロホルムやジクロロメタンなどの溶媒に溶解させ、一方ジオール化合物をアルカリ水溶液に溶かし、クロロホルム溶液との界面層で縮合させる界面重縮合法、ジカルボン酸を酸塩化物として、ジオール化合物とともにN,N−ジメチルホルムアミドやN−メチル−2−ピロリジノンなどの溶液中で縮合させる低温溶液縮合法などが挙げられるが、公知のいかなる方法を用いて本発明の樹脂を製造しても差し支えない。
【0036】
また、本発明の樹脂を得るために、ジオール化合物とジイソシアネートとを反応させる方法としては、ジオール化合物とジイソシアネートとを混合させ反応させる通常の方法のほか、カルボキシル基、アミノ基などの官能基を併用して反応させることも可能であり、また発泡剤を加えて重合させて発砲ポリウレタンを製造することもできる。
【0037】
なお、本発明の樹脂を製造する際には、本発明のジオール化合物を用いることが好ましいが、必要に応じて他のポリオール類を併用して共重合樹脂とすることも可能である。その際使用することができるポリオール類を例示すると、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられ、これらは1種類でも、複数種併用することもできる。
【0038】
本発明の樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、充填剤を添加することができる。充填剤としては一般に樹脂用フィラーとして用いられる公知のものが用いられ、本発明の樹脂の強度、剛性、耐熱性、寸法安定性などを改良できる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維、ワラステナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填材を2種類以上用いることも可能である。また、これらの充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で処理して使用してもよい。また、モンモリロナイトについては、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いてもよい。該樹脂を補強するには、前記充填材の中でも、特にガラス繊維、炭素繊維が好ましい。
【0039】
さらに本発明の樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、離型剤および滑剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、難燃剤を任意の時点で添加することができる。
【0040】
本発明の樹脂は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形など任意の成形方法により、所望の形状に成形でき、繊維、フィルム、容器類、および電気電子部品、自動車部品などの各種製品として使用することができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。なお、実施例では、特に記載がない限り以下の各種溶媒、シリカゲルを用い、化合物の同定には、日本電子社製核磁気共鳴装置「超伝導FT−NMR EX−270(270MHz)」を用いて23℃にてプロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトルを測定して行った。なお、その際の内部標準物質にはテトラメチルシランを用いた。
アルギン酸ナトリウム:和光純薬工業株式会社、一級
L−グルタミン酸:和光純薬工業株式会社、特級
1M塩酸:和光純薬工業株式会社、容量分析用
ヘキサクロロ白金(IV)六水和物:和光純薬工業株式会社、特級
エタノール:ナカライテスク株式会社、特級
5−ヒドロキシメチルフルフラール:東京化成工業株式会社、一級
グリセリン:和光純薬工業株式会社、特級
硫酸:和光純薬工業株式会社、特級
n−ヘキサン:ナカライテスク株式会社、特級
酢酸エチル:ナカライテスク株式会社、特級
DMSO−d6:Cambridge Isotope Laboratories,Inc.、99.9%(0.05v/v% TMS含有)
N−メチル−2−ピロリジノン:和光純薬工業株式会社、特級
テレフタル酸クロリド:東京化成工業株式会社、特級
ジクロロメタン:ナカライテスク株式会社、特級
ヘキサメチレンジイソシアネート:東京化成工業株式会社、特級
シリカゲル:メルク社製、シリカゲル60、粒径0.063−0.200mm
(参考例1)
20.0gのアルギン酸ナトリウムを200mlの蒸留水中に溶解させ、別の容器で10.0gのL−グルタミン酸を100mlの蒸留水中に溶解させた。両者を混合後、30.0gのシリカゲルを加え、続いて60mlの1M塩酸を加えて沈殿物を生成させた。沈殿物を熱して粉砕し、pHが7になるまで蒸留水で洗浄した後乾燥し、白色粉末状のシリカ−アルギン酸−グルタミン酸リガンド58.0gを得た。
【0042】
(参考例2)
撹拌機および還流冷却器を備えた反応容器中に、参考例1で得たシリカ−アルギン酸−グルタミン酸リガンドを10.0g、ヘキサクロロ白金(IV)六水和物を1.04g、エタノール100mlを加え、窒素雰囲気下で攪拌しながら24時間加熱還流を行った。反応終了後、反応生成物を濾別後乾燥し、灰色粉末状のシリカ−アルギン酸−グルタミン酸−白金錯体10.0gを得た。
【0043】
(実施例1)
撹拌機を備えた500mlの反応容器に、5−ヒドロキシメチルフルフラールを50.0g(0.396mol)、グリセリンを73.0g(0.792mol)と硫酸1.17g(11.9mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で2時間攪拌を行った。得られた反応粗製物について、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカゲル:3.7kg、移動層:n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1(v/v)、n−ヘキサン/酢酸エチル=1/4(v/v)、酢酸エチル)の濃度勾配で順次溶出後、濃縮し、褐色液体の溶出画分1(34.30g)、白色結晶性固体の溶出画分2(5.65g)、薄黄色液体の溶出画分3(9.50g)、薄黄色液体の溶出画分4(5.60g)を得た。各溶出画分について、DMSO−d6を測定溶媒としてH−NMRスペクトルを測定した。
【0044】
溶出画分1については、高磁場側から、4.49(2H,d)、5.23(1H,t)、6.60(1H,d)、7.48(1H,d)、9.59(1H,s)の各ppm付近にピークが検出されたため、該化合物は5−ヒドロキシメチルフルフラールだと同定した。
【0045】
溶出画分2については、高磁場側から、3.43(2H,t)、3.68(1H,m)、4.07(2H,q)、4.34(2H,d)、5.21(1H,d)、5.23(1H,t)、5.44(1H,s)、6.22(1H,d)、6.33(1H,d)の各ppm付近にピークが検出されたため、該化合物は上記式(6)のジオールだと同定した。
【0046】
溶出画分3については、高磁場側から、3.4−4.2(10H,m)、4.35(4H,d)、4.91(2H,t)、5.22(2H,t)、5.78(1H,s)、5.89(1H,s)、6.23(2H,d)、6.43(1H,d)、6.46(1H,d)の各ppm付近にピークが検出されたため、該化合物は上記式(3)のジオールと上記式(4)のジオールとの混合物だと同定した。
【0047】
溶出画分4については、高磁場側から、3.70(1H,m)、3.85−4.00(4H,q)、4.35(2H,d)、4.96(1H,d)、5.21(1H,t)、5.55(1H,s)、6.23(1H,d)、6.33(1H,d)の各ppm付近にピークが検出されたため、該化合物は上記式(5)のジオールだと同定した。
【0048】
続いて、撹拌機を備え、シリンダー目盛り付きの水素注入管を接続した5Lの反応容器に、参考例2で得たシリカ−アルギン酸−グルタミン酸−白金錯体を5.00g、先に得た溶出画分2のジオール化合物を4.50g(22.5mmol)、同じく溶出画分4のジオール化合物を4.50g(22.5mmol)、エタノール500mlを加え、30℃、1気圧の水素気圧下で、水素の脱気と注入を交互に100回繰り返した。反応終了後、錯体を濾別して取り除き、水素添加された本発明のジオール化合物5.57g(27.5mmol)を収率61.2%で得た。
【0049】
(実施例2)
撹拌機および滴下漏斗を備えた200mlの反応容器に、実施例1で得た水素添加されたジオール化合物5.05g(25.0mmol)とN−メチル−2−ピロリジノン50mlを投入し、完全に溶解させた後、窒素雰囲気下氷浴中で、予め調製したテレフタル酸クロリド5.07g(25.0mmol)をジクロロメタン20mlに溶解させた溶液を、攪拌しながら1時間かけて滴下し、その後2時間攪拌を続けた。次に、得られた反応溶液を濾過した後、蒸留水1L中に投入して再沈殿し、濾取後乾燥して、樹脂粉末6.01g(収率71.9%)を得た。
【0050】
(実施例3)
撹拌機を備えた50mlの反応容器に、実施例1で得た実施例1で得た水素添加されたジオール化合物5.05g(25.0mmol)とヘキサメチレンジイソシアネート4.21g(25.0mmol)を投入し、窒素雰囲気、室温で3時間攪拌を行い、固形状樹脂9.03g(収率97.4%)を得た。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明より得られるジオール化合物および樹脂によって、バイオマス資源より製造される新たなプラスチック材料を提供できる。該プラスチック材料は繊維、フィルム、容器類、および電気電子部品、自動車部品などの各種製品に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で示されるジオール化合物。
【化1】

【請求項2】
請求項1に記載のジオール化合物の製造方法であって、5−ヒドロキシメチルフルフラールおよびグリセリンを原料として、アセタール化反応および水素添加反応させて製造することを特徴とするジオール化合物の製造方法。
【請求項3】
前記アセタール化反応を無溶媒下で反応させることを特徴とする請求項2に記載のジオール化合物の製造方法。
【請求項4】
下記式(2)で示されるジオール残基を含む樹脂。
【化2】


【公開番号】特開2009−286728(P2009−286728A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140755(P2008−140755)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】