説明

ジオール含有物質の添加による酵素プロセスの調節

本発明は、酵素の選択性を増加させるための方法に関し、該方法は、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される促進化合物の存在下で反応を実施させることを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素の選択性を増加させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素活性は他の分子によって影響され得、例えば阻害剤は酵素活性を減少させる一方、活性化剤は酵素活性を増大させる。更に分子はまた酵素の選択性を増加させうる。
国際公開第2005/070468号は、適当な官能基を含む化合物のペプチド中への導入を触媒するためのトランスグルタミナーゼの使用を開示しており、該官能基は続いてコンジュゲートする更なるポイントとして使用される。しかしながら、主生成物は50%より高い収率では得ることができなかった。よって、反応の経済性を増加させるために酵素の選択性を改善する方法の必要性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一態様では、酵素触媒反応の選択性及び/又は収率を向上させるための方法において、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される促進化合物の存在下で反応を実施することを含む方法が提供される。
本発明の一態様では、酵素触媒反応は、第一化合物とペプチド間の共有結合形成を含み、該方法は酵素と上記促進化合物の存在下で第一化合物をペプチドと一又は複数の工程で反応させることを含む。
本発明の一態様では、該方法によって得ることができるペプチドがまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】エチレングリコールの存在下及び不在下での酵素反応の反応プロファイルを示す。
【図2】エチレングリコールの存在下及び不在下でのhGHのアミノ基転移から得られた電気泳動図を示す。
【図3】エチレングリコールの存在下及び不在下でのTGase Activa WM及びTGase MTG P2の反応プロファイルを示す。
【図4】10〜40v/v%のエチレングリコールの存在下での酵素反応の反応プロファイルを示す。
【図5】40〜70v/v%のエチレングリコールの存在下での酵素反応の反応プロファイルを示す。
【図6】エチレングリコールの存在下及び不在下での様々な濃度のTGase MTG P2の反応プロファイルを示す。
【図7】エチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール又は1,3プロパンジオールの存在下での酵素反応の反応プロファイルを示す。
【図8】グリセロールの存在下での様々な濃度のTGase MTG P2の反応プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0005】
「トランスグルタミナーゼ」(E.C.2.3.2.13)は、またタンパク質-グルタミン-γ-グルタミルトランスフェラーゼとして知られており、次の一般反応を触媒する:

アミンアクセプターはグルタミン含有ペプチドを表し得、そのときアミンドナーは第一化合物を表す。あるいは、アミンアクセプターが第一化合物を表し得、そのときアミンドナーはリジン含有ペプチドを表す。
様々なトランスグルタミナーゼは、例えばGlnの回りのどのアミノ酸残基が、ペプチドが基質であるために必要とされるかの点で、互いに異なる。すなわち、異なったトランスグルタミナーゼは、どのアミノ酸残基がGln残基の近くにあるかに応じて基質として異なったGln含有ペプチドを有するであろう。
【0006】
有用なトランスグルタミナーゼの例には、微生物トランスグルタミナーゼ、例えばストレプトマイセス・モバレンス(Streptomyces mobaraense)、ストレプトマイセス・シナモネウム(Streptomyces cinnamoneum)及びストレプトマイセス・グリセオカルネウム(Streptomyces griseocarneum)由来のもの(出典明示によりここに援用される米国特許第5156956号に全て開示)、及びストレプトマイセス・ラベンデユラエ(Streptomyces lavendulae)由来のもの(出典明示によりここに援用される米国特許第5252469号に開示)、及びストレプトマイセス・ラダカヌム(Streptomyces ladakanum)由来のもの(出典明示によりここに援用される特開2003−199569号)が含まれる。以前のストレプトベルチシリウム(Streptoverticillium)属のメンバーは現在はストレプトマイセス属に含まれることに留意すべきである(Kaempfer, J. Gen. Microbiol. 137, 1831-1892 (1991))。他の有用な微生物トランスグルタミナーゼは、枯草菌(Bacillus subtilis)(出典明示によりここに援用される米国特許第5731183号に開示)、及び様々な粘菌類(Myxomycetes)から単離されている。有用な微生物トランスグルタミナーゼの他の例は、双方とも出典明示によりここに援用される国際公開第96/06931号(例えば、バシラス・リディカス(Bacilus lydicus)由来のトランスグルタミナーゼ)及び国際公開第96/22366号に開示されるものである。有用な非微生物トランスグルタミナーゼには、モルモット肝臓トランスグルタミナーゼ、及びカレイ類マダイ(Pagrus major)(出典明示によりここに援用される欧州特許第0555649号に開示)及び日本のカキ類エゾガキ(Crassostrea gigas)(出典明示によりここに援用される米国特許第5736356号に開示)のような様々な海洋資源由来のトランスグルタミナーゼが含まれる。
【0007】
本発明は、ある種の分子が酵素の選択性を向上させるという知見に基づいている。本発明の一態様では、酵素触媒反応の選択性及び/又は収率を向上させるための方法において、エチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される促進化合物の存在下で反応を実施することを含む方法が提供される。一実施態様では、促進化合物はエチレングリコールである。
化合物の添加は有利には反応の経済性を改善するのに役立つ。更に、促進化合物は、凍結及び沈殿を防止するので、反応混合物が貯蔵中に駄目にならないようにし;また精製をより簡単にもする。
【0008】
一実施態様では、促進化合物は、20から95%の濃度範囲で存在する。一実施態様では、促進化合物は、30から70%の濃度範囲で存在する。
促進化合物の濃度はまた酵素の濃度に依存することが理解される。酵素の量と促進化合物の量を最適化することは当業者の技量の範囲内であり、例えば要因計画を使用してなすことができる。
【0009】
一実施態様では、酵素触媒反応は、第一化合物とペプチド間の共有結合形成を含み、該方法は酵素と上記促進化合物の存在下で第一化合物をペプチドと一又は複数の工程で反応させることを含む。
【0010】
本明細書では、「ペプチド」と「タンパク質」という語は互換的に使用され、同じものを示すものである。
「ペプチド」なる用語は、ペプチド結合によって連結された2以上のアミノ酸残基を有する化合物を示すものである。構成アミノ酸は遺伝暗号によってコードされたアミノ酸群からのものであり得、またそれらは遺伝暗号によってコードされない天然アミノ酸、並びに合成アミノ酸であってもよい。遺伝暗号によってコードされない天然アミノ酸は例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタマート、オルニチン、ホスホセリン、D-アラニン及びD-グルタミンである。合成アミノ酸は、化学合成により製造されるアミノ酸、すなわち遺伝暗号によりコードされるアミノ酸のD-異性体、例えばD-アラニン及びD-ロイシン、Aib(a-アミノイソ酪酸)、Abu(a-アミノ酪酸)、Tle(tert-ブチルグリシン)、β-アラニン、3-アミノメチル安息香酸、及びアントラニル酸を含む。
また、ペプチドなる用語は、他のペプチド、糖類、脂質、又は他の有機化合物で置換された前記化合物、並びに一又は複数のアミノ酸残基が化学的に修飾されている化合物を含むものである。また該用語は、補欠分子族が結合されたペプチドを含むものである。
【0011】
一実施態様では、酵素は、トランスグルタミナーゼ、ソルターゼ、プロテアーゼ、リガーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、グリコシンターゼ、グリコペプチダーゼ、グリコシダーゼ、チロシナーゼ、リジルオキシダーゼから選択される。一実施態様では、酵素はトランスグルタミナーゼである。
ペプチドは本発明の方法に係る酵素のための基質でなければならない。例えば、酵素がトランスグルタミナーゼならば、そのペプチドはよってGln又はLys残基、特にGln残基を含んでいることが必要である。
【0012】
ある化合物が与えられた酵素の基質であるか否かは原則的には反応条件、例えば時間フレームに依存すると認められる。十分な時間があると、通常は基質とみなされない多くの化合物が実は基質になる。与えられた酵素に対して幾つかの残基が基質でありうる一方、他のものはそうではないと上に述べる場合、所望の選択性が尚も達成できる度合いで「他のものはそうではない」ことを意味するものである。長い時間にわたって酵素に接触した場合のみ、一又は複数の残基が酵素の基質であり、未結合のままであることが望まれる場合、選択性は適当な時間の後に酵素を除去し又は不活化することによって達成することができる。
与えられたペプチドが酵素の基質ではない場合、ペプチドを基質にするために一又は複数の残基を挿入することができる。Gln又はLys残基、特にGln残基をペプチド配列に付加して、ペプチドをトランスグルタミナーゼの基質にすることができる。原則的には、かかる残基は配列の任意の位置に挿入することができるが、ペプチドの治療的活性のような生理学的活性が、例えば治療的介入においてもはや有用ではない程度までは影響を受けない位置に挿入されるのが好ましい。ペプチドへのアミノ酸残基の挿入は、翻訳後化学修飾又は遺伝子組換え技術のような当業者に知られた標準的な技術によってもたらされうる。
【0013】
これまでに記載した酵素に対する基質である任意のペプチドは本発明の方法によってコンジュゲートすることができ、例えばペプチドは、限定するものではないが、酵素、ペプチドホルモン、増殖因子、抗体、サイトカイン、レセプター、リンホカイン及びワクチンアンチジーンから選択され得、特に治療用ペプチド、例えばインスリン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)、成長ホルモン、サイトカイン、トレフォイルファクターペプチド(TFF)、メラノコルチンレセプターモディファイヤー及び第VII因子化合物を挙げることができる。
名詞としての「コンジュゲート」なる用語は、修飾されたペプチド、すなわち該ペプチドの性質を改変するようにそれに結合した部分を有するペプチドを表すものである。動詞としては、該用語は、前記ペプチドの性質を改変するためにペプチドに部分を結合させるプロセスを表すものである。
【0014】
出典明示によりここに援用する国際公開第2005/070468号は、本発明によって提供される方法において特に適用可能である多くのペプチドを開示している。
本発明の方法において適用可能であるペプチド又はタンパク質の他のクラスは酵素を含む。多くの酵素が様々な産業上の目的に対して使用され、特に、ヒドロラーゼ(プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ)、オキシドレダクターゼ(ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、リポキシゲナーゼ)、トランスフェラーゼ及びイソメラーゼを挙げることができる。
本発明の方法において適用可能である他のペプチド又はタンパク質は、ACTH、コルチコトロピン放出因子、アンジオテンシン、カルシトニン、インスリン及びその断片及びアナログ、グルカゴン、IGF-1、IGF-2、エンテロガストリン、ガストリン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストリン、上皮増殖因子、セクレチン、神経成長因子、サイロトロピン放出ホルモン、ソマトスタチン、成長ホルモン放出ホルモン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリスロポエチン、視床下部放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オポイド及びそれらのアナログ、アスパラギナーゼ、アルギナーゼ、アルギニンデアミナーゼ、アデノシンデアミナーゼ及びリボヌクレアーゼを含む。
【0015】
ポリペプチドを指してここで使用される「アナログ」なる用語は、ペプチドの一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基で置換されているか、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドから欠失されているか、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基がペプチドに付加されている改変されたペプチドを意味する。アミノ酸残基のかかる付加又は欠失はペプチドのN末端及び/又はペプチドのC末端,アタは配列内部で起こりうる。光学異性体と述べられていない全てのアミノ酸はL異性体を意味するものと理解されなければならない。
かかるペプチドは天然源(例えば植物、動物又は微生物、例えば酵母、細菌、真菌又はウイルス)から単離されうるか、又はそれらは合成されうる。天然源からのペプチドはまたトランスジェニック源、例えばペプチドを発現させ又はその発現を増加させるように遺伝的に改変された供給源からのペプチドを含み、ここで、該ペプチドは、天然に存在するという意味で「天然」であり、又はヒトの介入によってのみ存在するという意味で「非天然」でありうる。
【0016】
ある実施態様では、第一化合物は、式:

によって表され、ここで、
Dは結合又は酸素を表し;
Rはリンカー又は結合を表し;
Xは、該ペプチドを構成するアミノ酸残基の何れにおいても接近可能ではない一又は複数の官能基又は潜在的な官能基を含んでなる。
かかる実施態様では、Xは、ケト、アルデヒド、−NH−NH、−O−C(O)−NH−NH、−NH−C(O)−NH−NH、−NH−C(S)−NH−NH、−NHC(O)−NH−NH−C(O)−NH−NH、−NH−NH−C(O)−NH−NH、−NH−NH−C(S)−NH−NH、−NH−C(O)−C−NH−NH、−C(O)−NH−NH、−O−NH、−C(O)−O−NH、−NH−C(O)−O−NH、−NH−C(S)−O−NH、C(O)−NH2、Ar−NH、アルキン、アジド又はニトリル−オキシドから選択され得、又はこれらに活性化されうる。
一実施態様では、第一化合物は、4−(アミノメチル)フェニルタノン、4−(2−アミノエチル)フェニルエタノン、N−(4−アセチルフェニル)2−アミノアセトアミド、1−[4−(2−アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1−[3−(2−アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1,4−ビス(アミノオキシ)ブタン、3−オキサペンタン−1,5−ジオキシアミン、1,8−ジアミノオキシ−3,6−ジオキサオクタン、1,3−ビス(アミノオキシ)プロパン−2−オール、1,11−ビス(アミノオキシ)−3,6,9−トリオキサウンデカン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、1,2−ビス(アミノオキシ)エタン、及び1,3−ビス(アミノオキシ)プロパンから選択される。
【0017】
一実施態様では、反応は6から9の間のpHに緩衝される。一実施態様では、反応は7から8.6の間のpHに緩衝される。一実施態様では、反応は15から45℃の間の温度で実施される。一実施態様では、反応は20から37℃の間の温度で実施される。
一実施態様では、該方法は、
(b) 場合によっては潜在的官能基を活性化させ;
(c) 上記官能化されたペプチドを、一又は複数の官能基を含む第二化合物と反応させ、ここで、該官能基は該ペプチドを構成するアミノ酸残基中の接近可能な官能基とは反応せず、該第二化合物中の該官能基は、該官能化ペプチドと第二化合物間に共有結合が形成されるように該第一化合物中の該官能基と反応可能である
工程を更に含む。
【0018】
一実施態様では、第二化合物は式

によって表され、ここで、Yは、X中に存在する官能基と反応し、上記ペプチド中の接近可能な官能基と反応しない一又は複数の官能基を含む基を表し;
Eはリンカー又は結合を表し;
Zはペプチドにコンジュゲートされる部分である。
X及びYに含まれる官能基間の反応が部分を形成する。該部分は原則的には最終のコンジュゲートペプチドのどの性質が所望されるかに応じて任意の種のものでありうる。ある状況では、ある後の段階で、例えばある種の酵素作用又は光分解によって切断できる不安定な結合を有していることが望ましい場合がある。他の状況では、安定なコンジュゲートペプチドが得られるように安定な結合を有していることが望ましい場合がある。特に挙げることができるものはアミン誘導体とカルボニル基の間の反応によって形成されるタイプの部分、例えばオキシム、ヒドラゾン、フェニルヒドラゾン及びセミカルバゾン部分である。
【0019】
本明細書において、「オキシム部分」なる用語は、式−C=N−O−の部分を示すことが意図される「オキシム結合」を含む部分を示す。
本明細書において、「ヒドラゾン部分」なる用語は、式−C=N−N−の部分を示すことが意図される「ヒドラゾン結合」を含む部分を示す。
本明細書において、「フェニルヒドラゾン部分」なる用語は、式:

の部分を示すことが意図される「フェニルヒドラゾン結合」を含む部分を示す。
本明細書において、「セミカルバゾン部分」なる用語は、式−C=N−N−C(O)−N−の部分を示すことが意図される「セミカルバゾン結合」を含む部分を示す。
一実施態様では、X及びYの官能基はカルボニル基、例えばケト及びアルデヒド基、及びアミノ誘導体から選択される。
【0020】
X中に含まれる官能基がカルボニル基であるならば、Y中に含まれる官能基はアミン誘導体であり、またその逆であることが理解されなければならない。殆どのペプチドには、−NH基が存在しているため、Xがケト又はアルデヒド官能基を含む場合により良好な選択性を得ることができる。
X及びY中に存在する官能基の適切な対の他の例は、反応してトリアゾール部分を形成するアジド誘導体(−N)及びアルキンである。適切な対の更に他の例は、反応してイソオキサゾリジン部分を形成するアルキン及びニトリル-オキシドである。
Xに含まれる官能基は、Y−E−Zとの反応の前に活性化されなければならないという意味で潜在性でありうることが理解されなければならない。例を挙げると、Xは、適切な試薬との反応の際にアルデヒド又はケトンに転換される部分を含みうる。
【0021】
第一化合物及び第二化合物の双方がそれぞれリンカーR及びEを含む。これらのリンカーは、互いに独立であり、不存在か又はアルカン、アルケン又はアルキンジラジカル及びヘテロアルカン、ヘテロアルケン及びヘテロアルキンジラジカルから選択され得、ここで、一又は複数の置換されていてもよい芳香族単素環バイラジカル又は複素環式化合物のバイラジカル、例えばフェニレン又はピペリジンバイラジカルが上述のバイラジカル中に挿入されうる。上記リンカーはまたヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、カルボキシル、アリール、アルキル及びヘテロアリールから選択される基による置換を含みうる。
【0022】
「アルカン」なる用語は、飽和、直鎖状、分枝状、及び/又は環状の炭化水素を示すものである。別の数の炭素原子で特定されない限り、該用語は、1から30(双方共含まれる)の炭素原子、例えば1から20(双方共含まれる)、例えば1から10(双方共含まれる)、例えば1から5(双方共含まれる);又は15から30の炭素原子(双方共含まれる)を有する炭化水素を示すものである。
「アルケン」なる用語は、少なくとも一の炭素-炭素二重結合を含む直鎖状、分枝状及び/又は環状の炭化水素を示すものである。別の数の炭素原子で特定されない限り、該用語は、2から30(双方共含まれる)の炭素原子、例えば2から20(双方共含まれる)、例えば2から10(双方共含まれる)、例えば2から5(双方共含まれる);又は15から30の炭素原子(双方共含まれる)を有する炭化水素を示すものである。
【0023】
「アルキン」なる用語は、少なくとも一の炭素-炭素三重結合を含む直鎖状、分枝状及び/又は環状の炭化水素を示すものである。別の数の炭素原子で特定されない限り、該用語は、2から30(双方共含まれる)の炭素原子、例えば2から20(双方共含まれる)、例えば2から10(双方共含まれる)、例えば2から5(双方共含まれる);又は15から30の炭素原子(双方共含まれる)を有する炭化水素を示すものである。
「ヘテロアルカン」、「ヘテロアルケン」及び「ヘテロアルキン」なる用語は、一又は複数のヘテロ原子又は基が該部分の構造中に挿入されている上で定義したアルカン、アルケン及びアルキンを示すものである。ヘテロ基及び原子の例は、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−C(O)−、−C(S)−及び−N(R*)−を含み、ここでR*は水素又はC1−C6−アルキルを表す。
【0024】
「単素環式芳香族化合物」(又は基)なる用語は、芳香族炭化水素、例えばベンゼン及びナフタレンを示すものである。
「複素環式化合物」なる用語は、5、6又は7の環原子を含み、そのうち1、2、3又は4がN、O及び/又はSから選択されるヘテロ原子である環状化合物を示すものである。複素環式芳香族化合物の例には、チオフェン、フラン、ピラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、並びにそれらの部分的に又は完全に水素化された均等物、例えばピペリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペラジン及びモルホリンが含まれる。
「ハロゲン」なる用語は、周期律表のVIIA族の元素、例えば、F、Cl、Br及びIを示すものである。
【0025】
本明細書において、「アリール」なる用語は、環の少なくとも一が芳香族である単素環式芳香族基又は縮合単素環式環系を示すものである。典型的なアリール基には、フェニル、ビフェニリル、ナフチル、テトラリニル等が含まれる。
「基」もしくは「バイラジカル」は、それぞれ一又は二の水素原子が取り除かれた化合物を示すものである。特に言及される場合、ある基は、化合物から例えばヒドロキシルのような大きな原子群を形式的に除去して形成される部分をまた示しうる。
ここで使用される「ヘテロアリール」なる用語は、単独で又は組み合わされて、例えば5から7の環原子を有する芳香族環基、又は例えば7から18の環原子を有する縮合芳香環系基を意味し、ここで、少なくとも一の環が芳香族であり、環原子として窒素、酸素、又は硫黄ヘテロ原子から選択される一又は複数のヘテロ原子を含み、ここで、N−オキシド及び一酸化硫黄及び二酸化硫黄は、許容可能なヘテロ芳香族置換である。例には、フラニル、チエニル、チオフェニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリル、及びインダゾリル等が含まれる。
【0026】
E及びRは共に結合又はリンカーを表し、本文脈では、「リンカー」なる用語は、ZからYを、またNH−D−からXをそれぞれ分離させる手段として機能する部分を示すものである。リンカーE及びRの一機能は、ペプチドとコンジュゲート部分Zの間の結合に十分な可撓性をもたらすことにある場合がある。E及びRの典型的な例は、直鎖状、分枝状及び/又は環状のC1−10アルキレン、C2−10アルケニレン、C2−10アルキニレン、C2−10ヘテロアルキレン、C2−10ヘテロアルケニレン、C2−10ヘテロアルキニレンを含み、ここで、一又は複数の単素環式芳香族化合物バイラジカル又は複素環式化合物バイラジカルが挿入されうる。
出典明示によりここに援用される国際公開第2005/070468号は、本発明によって提供される方法において特に適用できる多くの結合及びリンカーを開示している。
【0027】
Zの特定の例は、一又は複数の標識を含む基、例えば蛍光マーカー、例えばフルオレセイン基、ローダミン基、テキサスレッド(登録商標)基及びフィコビリンタンパク質基;酵素基質、例えばp-ニトロフェノールアセテート基;及び放射性同位元素、例えばCu−64、Ga67、Ga−68、Zr−89、Ru−97、Tc−99、Rh−105、Pd−109、In−111、I−123、I−125、I−131、Re−186、Re−188、Au−198、Pb−203、At−211、Pb−212及びBi−212;有機部分、例えばPEG又はmPEG基及びそのアミノ誘導体(直鎖状及び分枝状PEG及びmPEG基を含む);直鎖状、分枝状及び/又は環状C1−22アルキル、C2−22アルケニル、C2−22アルキニル、C1−22ヘテロアルキル、C2−22ヘテロアルケニル、C2−22ヘテロアルキニルで、一又は複数の単素環式芳香族化合物バイラジカル又は複素環式化合物バイラジカルが挿入され得、該C1−22又はC2−22基はヒドロキシル、ハロゲン、カルボキシル、ヘテロアリール及びアリールから選択される一又は複数の置換基で置換されていてもよく、該アリール又はヘテロアリールはヒドロキシル、ハロゲン、及びカルボキシルから選択される一又は複数の置換基によって場合によっては更に置換されていてもよいもの;ステロイド基;脂質基;多糖類基、例えばデキストラン;ポリアミド基、例えばポリアミノ酸基;PVP基;PVA基;ポリ(1−3−ジオキサラン);ポリ(1,3,6−トリオキサン);エチレン/無水マレイン酸ポリマー;チバクロン染料、例えばチバクロンブルー3GA;出典明示によりここに援用される国際公開第00/12587号に開示された特定長さのポリアミド鎖;,及びヒドロキシアルキルデンプン、例えば双方とも出典明示によりここに援用される国際公開第03/074087号及び国際公開第02/80979号に開示されたような、例えばヒドロキシルエチルデンプンを含む。
【0028】
「PEG」なる用語は、およそ100Daとおよそ1000000Daの間の分子量のポリエチレングリコールを示すものであり、そのアナログも含まれ、例えば末端OH−基がアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基によって置換されたものも含まれる。特に、末端OH−基がメトキシ基で置換されたPEGは、mPEGと称される。
【0029】
「mPEG」(又はより適切には「mPEGyl」)なる用語は、構造

の多分散性又は単分散性基を意味しており、ここで、mは1より大きい整数である。
よって、mが90であるmPEGは、3991Da(つまり、およそ4kDa)の分子量を有している。同様に、20kDaの平均分子量を有するmPEGは、454のmの平均値を有している。mPEGを製造する方法のために、これらの分子はしばしばある分子量分布を有している。この分布は多分散度によって記述される。
【0030】
ここで使用される「多分散度」なる用語は、高分子化学の分野で知られるように(例えば“Polymer Synthesis and Characterization”, J.A. Nairn, University of Utah, 2003を参照のこと)、重量平均分子量と数平均分子量の比を意味する。
例えば、20kDaのPEG又は20kDaのmPEGが参照された場合、多分散度が1.06以下、例えば1.05以下、例えば1.04以下、例えば1.03以下、例えば1.02と1.03の間の化合物(又は実際には化合物の混合物)を示すことを意図している。
特に挙げることができるものは、C10−20アルキル、例えばC15アルキル及びC17アルキル、特に直鎖状C15アルキル及びC17アルキル、及び式

のベンゾフェノン誘導体である。
特に挙げることができるものは、以下に示されるシバクロニル(cibacronyl)基を含むZである:

【0031】
本発明に係るペプチドにコンジュゲートされるPEG又はmPEGは、任意の分子量のものでありうる。特に、分子量は、500Daと1000000Daの間、例えば500Daと500000Daの間、例えば500Daと100000Daの間、例えば500Daと60000Daの間、例えば1000Daと40000Daの間、例えば5000Daと40000Daの間でありうる。特に、10000Daと40000Daの間、例えば、20000Daと40000Daの間、例えば、20000Daと30000Daの間又は30000Daと40000Daの間の分子量のPEGが使用されうる。特に挙げることができるものは、10000、20000、30000又は40000Daの分子量のPEG又はmPEGである。
【0032】
Zは、Zが上述の標識又は基の2以上を含むように分枝されうる。例えば、mPEG40Kは、それぞれmPEG20kを含む2つのアームを持つ分枝状mPEGとして典型的には達成される。
一実施態様では、Zは、血漿タンパク質、例えば、アルブミンに結合することが知られている一又は複数の部分を含む。化合物のアルブミンに結合する能力は、出典明示によってここに援用されるJ.Med.Chem, 43, 1986-1992 (2000)に記載されているようにして決定されうる。本文脈において、化合物は、Ru/Daが0.05を超え、例えば0.10を超え、例えば0.12を超え、又は0.15以上である場合、アルブミンへ結合すると定義される。
【0033】
本発明の一実施態様では、アルブミン結合部分は、ペプチド、例えば40アミノ酸残基未満のペプチドである。アルブミン結合部分である多くの小ペプチドが、出典明示によりここに援用されるJ. Biol Chem.277(38), 35035-35043(2002)に開示されている。
出典明示によりここに援用される国際公開第2005/070468号は、本発明によって提供される方法において特に適用可能である式Y−E−Zの多くの化合物を開示している。
反応に続いて、ペプチドは当該分野でよく知られた技術によって単離され精製されうる。よって、一実施態様では、本発明は本発明の方法によって得ることができるペプチドを提供する。該ペプチドはまた、関連があれば、薬学的に許容可能な塩又はプロドラッグに転換されうる。特に、該方法は、得られたコンジュゲートペプチドを薬学的組成物として製剤化する工程をまた含みうる。
【0034】
本文脈において、「薬学的に許容可能な塩」なる用語は、患者に有害ではない塩を示すものである。かかる塩には、薬学的に許容可能な酸付加塩、薬学的に許容可能な金属塩、アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩が含まれる。酸付加塩には、無機酸並びに有機酸の塩が含まれる。適切な無機酸の代表例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸等が含まれる。適切な有機酸の代表例には、蟻酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、桂皮酸、クエン酸、フマル酸、グリコール酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、シュウ酸、ピクリン酸、ピルビン酸、サリチル酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、酒石酸、アスコルビン酸、パモン酸、ビスメチレンサリチル酸、エタンジスルホン酸、グルコン酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、EDTA、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が含まれる。薬学的に許容可能な無機もしくは有機酸付加塩の更なる例には、出典明示によりここに援用されるJ. Pharm. Sci. 1977, 66, 2に列挙された薬学的に許容可能な塩が含まれる。金属塩の例には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム塩等が含まれる。アンモニウム及びアルキル化アンモニウム塩の例には、アンモニウウム、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ヒドロキシエチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ブチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム塩等々が含まれる。
【0035】
ここで用いられる「プロドラッグ」という用語は、治療的活性を必ずしも有していないが、投与持に体中で生じる反応によって治療的に活性な化合物に転換される化合物を示すことを意図している。典型的には、かかる反応には、加水分解、例えばエステラーゼによるもの又は酸化が含まれる。プロドラッグの例には、生加水分解性アミド及び生加水分解性エステルが含まれ、またa)そのようなプロドラッグにおける生分解性官能基が本発明に係る化合物に含まれている化合物、及びb)ある与えられた官能基において生物学的に酸化もしくは還元され、本発明に係る薬剤物質を生じる化合物も含まれる。これらの官能基の例には、1,4-ジヒドロピリジン、N-アルキルカルボニル-1,4-ジヒドロピリジン、1,4-シクロヘキサジエン、tert-ブチルなどが含まれる。
【0036】
ここで使用される場合、「生加水分解性エステル」なる用語は、
a)親物質の生物学的活性を妨げないが、作用の持続時間、作用の開始等の有利なインビボ特性をその物質に付与するか、あるいは
b)生物学的には不活性であるが、患者によってインビボで生物学的に活性な成分に容易に転化される薬剤物質(ここでは、本発明に係る化合物)のエステルである。
利点は、例えば、溶解度の増加か、生加水分解性エステルが経口的に腸から吸収され、血漿中で本発明に係る化合物に変換されることである。多くのこのような例が当該分野で知られており、例としては、低級アルキルエステル(例えばC1-C4)、低級アシルオキシアルキルエステル、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが含まれる。
【0037】
ここで使用される場合、「生加水分解性アミド」なる用語は、
a)親物質の生物学的活性を妨げないが、作用の持続時間、作用の開始等の有利なインビボ特性をその物質に付与するか、あるいは
b)生物学的には不活性であるが、患者によってインビボで生物学的に活性な成分に容易に転化される薬剤物質(ここでは、本発明に係る化合物)のアミドである。
利点は、例えば、溶解度の増加か、生加水分解性アミドが経口的に腸から吸収され、血漿中で本発明に係る化合物に変換されることである。
【0038】
本発明の方法に従ってコンジュゲートされた治療用ペプチドは治療において使用することができ、これがまた本発明の実施態様である。一実施態様では、本発明は本発明のコンジュゲートペプチドの診断における使用を提供する。
インスリンは糖尿病を治療又は予防するために使用され、一実施態様では、本発明はよって1型又は2型糖尿病を治療する方法であって、本発明に係るインスリン又はインスリン化合物コンジュゲートの治療的有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。「インスリン」なる用語はインスリン活性を持つインスリンのアナログ及び誘導体を含む。
GLP-1は、高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、肥満症、高血圧、シンドロームX、脂質代謝異常、β細胞アポトーシス、β細胞欠乏症、炎症性腸疾患、胃腸障害、認知障害、例えば認識促進、神経保護、アテローム性硬化症、冠動脈心疾患及び他の心血管障害の治療に使用されうる。
【0039】
「治療」及び「治療する」なる用語は、症状、例えば疾病又は疾患に抗することを目的として患者の管理又は世話をすることを意味する。該用語は、症状又は合併症を軽減し、疾患、疾病又は病状の進行を遅延化し、症状及び合併症を軽減又は緩和し、及び/又は疾患、疾病又は病状を治癒し又は除去するための活性な化合物の投与等、患者が被っている与えられた病状に対するあらゆる種類の治療を含むものである。治療される患者は、哺乳動物、特にヒトであるが、またイヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ及びブタ等の動物を含んでもよい。
【0040】
一実施態様では、本発明はよって上記疾患の治療方法において、本発明に係るGLP-1又はGLP-1化合物コンジュゲートの治療的有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。「GLP-1化合物」なる用語はGLP-1活性を有するGLP-1のアナログ及び誘導体を含む。
【0041】
GLP-2は腸管における栄養吸収障害に至る腸不全の治療に使用することができ、特にGLP-2は小腸症候群、炎症性腸症候群、クローン病、大腸炎、例えばコラーゲン形成大腸炎、放射線大腸炎、放射線治療後の萎縮症、非熱帯性(グルテン不耐性)及び熱帯性スプルー、血管閉塞又は外傷後の損傷組織、旅行者の下痢、脱水症、菌血症、敗血症、神経性食欲不振症、化学療法後の損傷組織、未熟児、強皮症、胃炎、例えば萎縮性胃炎、洞切除術後の萎縮性胃炎及びヘリコバクター・ピロリ胃炎、胃潰瘍、腸炎、結膜嚢、リンパ管閉塞、血管疾患及び移植片対宿主病、外科手術後の治癒、放射線治療後の萎縮症及び化学療法、及び骨粗鬆症の治療において使用されうる。
従って、上記疾患の治療方法を提供することが本発明の目的であり、該方法は、本発明に係るGLP-2又はGLP-2化合物コンジュゲートの治療的有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。「GLP-2化合物」なる用語はGLP-2活性を有するGLP-2のアナログ及び誘導体を含む。
【0042】
成長ホルモンは、成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダーウィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けた小児のHIV感染(HIV/HALS小児);SGAで出生した低身長小児;SGA以外の極少低出生時体重(VLBW)で出生した低身長症;骨格形成異常;軟骨低形成症;軟骨形成不全;特発性低身長(ISS);成人のGHD;脛骨、腓骨、大腿、上腕、橈骨、尺骨、鎖骨、中手、中足、及び指等、長骨又は内部の骨折;頭蓋骨、手の基部、及び足の基部等、海綿様骨の中又はその骨折;例えば手、膝又は肩等の腱又は靱帯の手術後の患者;仮骨延長術を受けるか又は受けた患者;人工股関節置換手術又は円板置換手術、半月板修復、脊椎固定術、又は膝、臀部、肩、肘、手首又は顎の補綴固定術後の患者;例えばネイル、スクリュー及びプレートのような骨接合術材料が固定されている患者;骨折の変形癒合又は偽関節を有する患者;例えば脛骨又は第一趾からの骨切り術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷又は関節炎に起因する膝の関節軟骨変性;ターナー症候群を患っている患者の骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症、慢性透析の成人患者(APCD);APCDにおける栄養不良関連循環器疾患;APCDにおける悪液質の逆流;APCDにおける癌;APCDにおける慢性的閉塞性肺疾患;APCDにおけるHIV;APCDの高齢者;APCDにおける慢性的な肝臓病、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能障害;HIV感染した男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連リポジストロフィー症候群(HALS):男性不妊;待機的大手術後の患者、アルコール/薬物解毒又は神経的トラウマ;加齢;虚弱な高齢者;骨関節炎;衝撃的な損傷を受けた軟骨;勃起不全;繊維筋痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;くも膜下出血;極低出生体重;メタボリックシンドローム;グルココルチコイドミオパシー;又は小児のグルココルチコイド治療による低身長症の治療に使用されうる。
【0043】
成長ホルモンはまた筋肉組織、神経組織又は創傷の治癒促進;損傷を受けた組織への血流の促進又は改善;又は損傷を受けた組織における感染率の低減のために使用されており、該方法はここに記載の治療用ペプチドの治療的有効量の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。
本発明は、よって、これらの疾患、疾病又は状態を治療するための方法を提供し、該方法は、本発明に係る成長ホルモン又は成長ホルモン化合物コンジュゲートの治療的有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む。「成長ホルモン化合物」なる用語は成長ホルモン活性を有する成長ホルモンのアナログ及び誘導体を含む。
【0044】
サイトカインは、免疫系に関与している多くの疾患の病因に関与する。特に、IL-20は乾癬とその治療に関与している可能性があり、IL-21は癌に関与し、該疾患の治療を構成する可能性があると言える。
本発明は、よって、本発明に係るIL-20又はIL-20化合物コンジュゲートの治療的有効量の投与を含むこれらの疾患、疾病又は状態を治療するための方法を提供する。「IL-20化合物」なる用語はIL-20活性を有するIL-20のアナログ及び誘導体を含む。
【0045】
TTFペプチドは、被験者における粘膜層の粘性を増加させ、例えば、唾液分泌の増加が放射線療法、抗コリン作用性又はシェーグレン症候群の治療で生じる場合に、唾液の分泌を減少させ、アレルギー性鼻炎、外傷、ショック、大手術、腎臓又は肝臓疾患、NSAID、例えばアスピリン、ステロイド又はアルコールに対して二次的なストレス誘発性胃潰瘍を治療するために使用されうる。TTFペプチドはまたクローン病、潰瘍性大腸炎、角膜結膜炎、慢性膀胱感染症、腸管性膀胱炎、乳頭腫及び膀胱癌を治療するために使用されうる。
一実施態様では、本発明はよって上記の疾患、疾病又は状態を治療するための方法を提供し、該方法は、本発明に係るTTFコンジュゲート又はTTF化合物コンジュゲートの治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む。「TTF化合物」なる用語はTTF活性を有するTTFのアナログ及び誘導体を含む。
【0046】
メラノコルチンレセプターモディファイヤー、特にメラノコルチン4レセプターアゴニストは、肥満及び関連疾患の治療及び予防に関与している。メラノコルチン4レセプターアゴニストはまたアテローム性動脈硬化症, 高血圧症, 糖尿病, 2型糖尿病, 耐糖能障害(IGT)、異脂肪血症、冠性心疾患、胆嚢疾患、胆石、骨関節炎、癌、性的不能及び早発死のリスクから選択される疾患の治療に関与している。
一実施態様では、本発明はよって上記の疾患、疾病又は状態を治療するための方法を提供し、該方法は、本発明に係るメラノコルチン4レセプターアゴニストコンジュゲート又はメラノコルチン4レセプターアゴニスト化合物コンジュゲートの治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む。「メラノコルチン4レセプターアゴニスト化合物」なる用語はメラノコルチン4レセプターアゴニスト活性を有するメラノコルチン4レセプターアゴニストのアナログ及び誘導体を含む。
【0047】
第VII因子化合物は、凝固に関連する疾患の治療に関与しており、特に生物学的に活性な第VII因子化合物は、血友病、第VIII因子及び第IX因子に対するインヒビターを伴う血友病、血小板減少症の患者、例えばグランツマン血小板無力症血小板放出欠陥及び貯蔵プール欠乏症のような血小板症の患者、フォンウィルブランド病の患者、肝疾患及び外傷又は外科手術に関連した出血問題を伴う患者の治療に関与している。生物学的に不活性な第VII因子化合物は、過剰凝固状態の患者、例えば敗血症の患者、深部静脈血栓症、心筋感染症又は血栓性脳卒中のリスクのある患者、肺塞栓症、急性冠不全症候群の患者、冠動脈血管心疾患を経験している患者、血管形成術を受けている患者に対する心イベント及び再狭窄の予防、末梢性脈管性疾患の患者、及び急性呼吸困難症候群の治療に関与している。
一実施態様では、本発明はよって上記の疾患、疾病又は状態を治療するための方法を提供し、該方法は、本発明に係る第VII因子コンジュゲート又は第VII因子化合物コンジュゲートの治療的有効量をそれを必要とする患者に投与することを含む。「第VII因子化合物」なる用語は第VII因子活性を有する第VII因子のアナログ及び誘導体を含む。
【0048】
多くの疾患は、同時に投与されるか又は連続的に投与される一を越える医薬を治療において使用して治療する。従って、上述の疾患の一つの治療のための治療方法において上記疾患の治療において通常使用される一又は複数の他の治療的に活性な化合物と併用して本発明のペプチドコンジュゲートを使用することは本発明の範囲内にある。同様に、上記疾患の医薬の製造において、上述の疾患の一つの治療において通常使用される他の治療的に活性な化合物と併用して本発明のペプチドコンジュゲートを使用することもまた本発明の範囲内にある。
【0049】
他の目的は、10−15mg/mlから200mg/ml、例えば10−10mg/mlから5mg/mlの濃度で存在する本発明のコンジュゲートペプチド、例えばコンジュゲート成長ホルモン(GH)を含有し、2.0から10.0のpHを有する薬学的組成物を提供することである。該組成物は、緩衝系、保存料、等張化剤、キレート剤、安定剤及び界面活性剤を更に含有しうる。
本発明の一実施態様では、薬学的組成物は水性組成物、すなわち水分を含有する組成物である。このような組成物は典型的には溶液又は懸濁液である。本発明の更なる実施態様では、薬学的組成物は水溶液である。「水性組成物」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している組成物として定義される。同様に、「水溶液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している溶液として定義され、「水性懸濁液」なる用語は、少なくとも50%w/wの水分を含有している懸濁液として定義される。
【0050】
一実施態様では、薬学的組成物は凍結乾燥組成物であり、これに医師又は患者が使用前に溶剤及び/又は希釈液を添加する。
一実施態様では、薬学的組成物は、何ら事前溶解させることのない使用準備が整った乾燥組成物(例えば、凍結乾燥又は噴霧乾燥されたもの)である。
一実施態様では、本発明は、GHコンジュゲートのようなペプチドコンジュゲートの水溶液とバッファーを含有する薬学的組成物に関し、該ペプチドコンジュゲート、例えばGHコンジュゲートが0.1−100mg/ml又はそれ以上の濃度で存在し、該組成物が約2.0から約10.0のpHを有する。
【0051】
本発明の一実施態様では、組成物のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、及び10.0からなるリストから選択される。
【0052】
本発明の一実施態様では、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シトレート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、及びトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシネート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸又はそれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各一が本発明の別の実施態様を構成する。
【0053】
本発明の一実施態様では、組成物は、薬学的に許容可能な保存料を更に含有する。薬学的組成物に保存料を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、組成物は等張化剤を更に含有する。薬学的組成物に等張化剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、組成物はキレート剤を更に含有する。薬学的組成物にキレート剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
本発明の一実施態様では、組成物は安定剤を更に含有する。薬学的組成物に安定剤を使用することは、当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
【0054】
より詳細には、本発明の組成物は、治療的に活性な成分が液体薬学的組成物中での貯蔵の間に凝集体形成を呈する可能性のあるタンパク質を含む安定化された液体薬学的組成物である。「凝集体形成」とは、可溶性のままでありうるオリゴマーか、溶液から沈殿する大きな可視できる凝集体の形成を生じるタンパク質分子間の物理的相互作用のことである。「貯蔵中」とは、ひとたび調製された液体薬学的組成物又は組成物が直ぐには患者に投与されないことを意図する。むしろ調製後に、液体形態、凍結状態、又は患者への投与に適した液体形態又は他の形態へ後で再構成するための乾燥形態で貯蔵のために包装される。
【0055】
「安定化された組成物」なる用語は、物理的な安定性が増し、化学的な安定性が増し、又は物理的及び化学的安定性が増した組成物を意味する。一般に、組成物は、有効期限に達するまで、使用及び保存中に(推奨される用途及び保存条件で)安定していなければならない。
ここで使用されるタンパク質組成物の「物理的安定性」なる用語は、タンパク質が熱-機械的ストレスに暴露され、及び/又は不安定な表面及び界面、例えば疎水性表面及び界面と相互作用する結果として、タンパク質が生物学的に不活性になり及び/又は不溶性の凝集体が形成されるというタンパク質の傾向を意味する。
ここで使用されるタンパク質組成物の「化学的安定性」なる用語は、天然のタンパク質構造と比較して、免疫原性の潜在的増加及び/又は生物学的有効性の潜在的低下を伴う、化学的な分解産物の形成に至るタンパク質構造における化学的共有変化を意味する。種々の化学的な分解産物は、天然タンパク質の性質及び種類、及びタンパク質が暴露される環境に応じて形成されうる。
【0056】
「乾燥形態」とは、液体薬学的組成物又は組成物が、フリーズドライ(すなわち凍結乾燥;例えばWilliams及びPolli(1984)J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照)、スプレードライ(Masters(1991) Spray-Drying Handbook(第5版;Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), PP.491-676;Broadhead等(1992)Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206 ;及びMumenthaler等(1994) Pharm. Res. 11:12-20 を参照)、又はエアードライ(Carpenter及びCrowe(1988) Cryobiology 25:459-470;及びRoser (1991)Biopharm. 4:47-53 )の何れかによって乾燥されることを意図する。
【0057】
液体薬学的組成物の貯蔵中のタンパク質による凝集体形成は、そのタンパク質の生物活性に悪影響を及ぼし、薬学的組成物の治療効果の喪失を生じうる。更に、凝集体形成は、タンパク質含有薬学的組成物が輸液システムを用いて投与されるときのチューブ、膜、又はポンプの閉塞などの他の問題を引き起こしうる。
【0058】
本発明の製薬学的組成物は、組成物の保存中のタンパク質による凝集体形成を減少させるのに十分な量のアミノ酸塩基を更に含みうる。「アミノ酸塩基」とは、任意のあるアミノ酸がその遊離塩基形態もしくはその塩形態のどちらかで存在する、アミノ酸もしくはアミノ酸の組合せのことである。アミノ酸の組合せが用いられる場合、アミノ酸の全てがその遊離塩基形態で存在し得るか、全てがその塩形態で存在し得るか、もしくは、あるものがその遊離塩基形態で存在し得る一方、他のものはその塩形態で存在する。一実施態様では、本発明の組成物を調製する際に用いるアミノ酸は、例えば、アルギニン、リジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸のような、荷電性側鎖を有するものである。特定のアミノ酸もしくは有機塩基が、その遊離塩基形態もしくはその塩形態の何れかで存在する限り、特定のアミノ酸(メチオニン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン及びそれらの混合物)の任意の立体異性体(すなわち、LもしくはD異性体、又は、それらの混合体)、もしくはこれら立体異性体の組合せ、もしくはグリシンもしくはこれに限定されるものではないがイミダゾールのような有機塩基が、本発明の薬学的組成物中に存在し得る。一実施態様では、アミノ酸のL異性体が使用される。
【0059】
本発明の組成物はまたこれらのアミノ酸のアナログと共に製剤化されうる。「アミノ酸アナログ」とは、本発明の液体製薬学的組成物の保存中のタンパク質による凝集体形成を減少させるという所望の効果をもたらす天然に生じるアミノ酸の誘導体を意図するものである。適切なアルギニンアナログには、例えば、アミノグアニジン、オルニチン及びN-モノエチルL-アルギニンが含まれ、適切なメチオニンアナログには、エチオニン及びブチオニンが含まれ、適切なシステインアナログにはS-メチル-Lシステインが含まれる。他のアミノ酸と同様に、アミノ酸アナログは、その遊離の塩基形態もしくは塩形態で組成物中に導入される。本発明の更なる実施態様では、アミノ酸又はアミノ酸アナログは、タンパク質の凝集を防止もしくは遅延させるのに十分な濃度で使用される。
【0060】
本発明の一実施態様では、メチオニン(又は他の硫黄含有アミノ酸又はアミノ酸アナログ)は、治療剤として作用するタンパク質がそのような酸化を受けやすい少なくとも一つのメチオニン残基を含有するタンパク質である場合に、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために加えることもできる。「阻害」とは、メチオニン酸化種の経時的な蓄積を最小にすることを意味する。メチオニン酸化の阻害は、タンパク質のその適切な分子形態での保持性を高める。メチオニンの任意の立体異性体(L又はD異性体)又はそれらの組み合わせを用いることができる。加えられる量は、メチオニンスルホキシドのその量が規制機関に受け入れられるように、メチオニン残基の酸化を阻害するのに十分な量である。典型的には、これは、組成物が約10%から約30%以下のメチオニンスルホキシドしか含まないことを意味する。一般に、これは、メチオニン残基に加えられるメチオニンの割合が、約1:1から約1000:1の範囲、例えば10:1から約100:1の範囲であるようにメチオニンを加えることによって達成できる。
【0061】
本発明の一実施態様では、組成物は、高分子量ポリマーもしくは低分子化合物の群から選択される安定剤を更に含む。本発明の更なる実施態様では、安定剤は、ポリエチレングリコール(例えばPEG3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ/ヒドロキシセルロースもしくはその誘導体(例えば、HPC、HPC-SL、HPC-L及びHPMC)、シクロデキストリン、例えばモノチオグリセロール、チオグリコール酸及び2-メチルチオエタノールのような硫黄含有物質、及び様々な塩(例えば塩化ナトリウム)から選択される。これらの特定の安定剤の各一が本発明の別の実施態様を構成する。
薬学的組成物はまたその中の治療的に活性なタンパク質の安定性を更に向上させる付加的な安定化剤を含んでいてもよい。本発明にとって特に関心のある安定化剤には、これに限定されるものではないが、メチオニンの酸化からタンパク質を保護するメチオニン及びEDTA、及び凍結融解もしくは機械的剪断に伴う凝集からタンパク質を保護する非イオン性界面活性剤が含まれる。
【0062】
本発明の一実施態様では、組成物は界面活性剤を更に含有する。薬学的組成物中における界面活性剤の使用は当業者によく知られている。簡便には、Remington:The Science and Practice of Pharmacy, 第20版, 2000が参照される。
【0063】
その他の成分が本発明の薬学的組成物中に存在することもありうる。そのような更なる成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、充填剤、張度調節剤、キレート剤、金属イオン、油性ビヒクル、タンパク質(例えばヒト血清アルブミン、ゼラチン又はタンパク質)及び双性イオン(例えばベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジン及びヒスチジンのようなアミノ酸)が含まれうる。そのような付加的な成分は、当然ながら、本発明の薬学的組成物の全体の安定性に悪影響を及ぼしてはならない。
本発明に係るペプチドコンジュゲート、例えばGHコンジュゲートを含む薬学的組成物は、そのような治療を必要とする患者の幾つかの部位に投与され得、例えば局所的部位、例えば皮膚及び粘膜部位、吸収をバイパスする部位、例えば動脈、静脈、心臓への投与、及び吸収を含む部位、例えば皮膚、皮下、筋肉又は腹部への投与である。
【0064】
本発明に係る薬学的組成物の投与は、幾つかの投与経路、例えば経口、直腸、経鼻、肺、局所(口腔及び舌下)、経皮、嚢内、腹腔内、膣内及び非経口(皮下、筋肉内、くも膜下腔、静脈内及び皮内を含む)経路によってなされうる。好ましい経路は、処置される患者の一般的状態及び年齢、処置される症状の性質及び選択される活性成分に依存することが理解される。
本発明の組成物は、幾つかの投薬形態、例えば溶液、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、多相エマルション、フォーム、膏薬、ペースト、プラスター、軟膏、錠剤、コート錠剤、リンス、カプセル、例えば硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセル、坐薬、直腸用カプセル、ドロップ、ゲル、スプレー、粉剤、エアゾール、吸入剤、点眼剤、眼軟膏、眼用リンス、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注射液、インサイツ形質転換溶液、例えばインサイツゲル化、インサイツ硬化、インサイツ沈殿、インサイツ結晶化のもの、輸液、及び移植片として投与されうる。
【0065】
本発明の組成物は、GHコンジュゲートの安定性を更に高め、生物学的利用能を増加させ、溶解度を高め、副作用を低減させ、当業者によく知られている時間療法を達成し、また患者のコンプライアンスを高め、又はそれらの任意の組合せのために、例えば共有的、疎水的及び静電気的相互作用を介して、薬剤担体、薬剤デリバリー系及び先端薬剤デリバリー系に更に配合され、又は結合されうる。担体、薬剤デリバリー系及び先進薬剤デリバリー系の例には、限定されるものではないが、ポリマー、例えばセルロース及び誘導体、多糖類、例えばデキストラン及び誘導体、デンプン及び誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレート及びメタクリレートポリマー、ポリ乳酸及びポリグリコール酸及びそれらのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、担体タンパク質、例えばアルブミン、ゲル、例えばサーモゲル化系、例えば当業者によく知られているブロックコポリマー系、ミセル、リポソーム、ミクロスフィア、ナノ粒子、液晶及びそれらの分散液、脂質-水系における相挙動の当業者によく知られているL2相とそのディスパージョン、ポリマーミセル、多相エマルション、自己乳化、自己マイクロ乳化、シクロデキストリン及びその誘導体、及びデンドリマーが含まれる。
【0066】
本発明の組成物は、全てが当業者によく知られた装置である例えば定量吸入器、乾燥パウダー吸入器及びネブライザーを使用し、GHコンジュゲートのようなペプチドコンジュゲートを肺に投与するための固形物、半固形物、パウダー及び溶液の組成物に有用である。
本発明の組成物は、制御された徐放性、持続性、遅延及び持続放出薬物デリバリー系の組成物に特に有用である。より詳細には、限定されるものではないが、組成物は、当業者によく知られている非経口用の制御放出及び徐放系(双方の系は、投与数を何倍も低下させる)組成物に有用である。更により好ましくは、皮下投与される制御放出及び徐放系である。本発明の範囲を限定するものではないが、有用な制御放出系及び組成物の有用な例は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマーミセル、ミクロスフィア、ナノ粒子である。
【0067】
本発明の組成物に有用な徐放系の製造方法は、限定されるものではないが、結晶化、凝縮、共結晶化、沈殿、共沈殿、乳化、分散、高圧ホモジナイズ、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、ミクロスフィアを製造するための溶媒蒸発、押出及び超臨界流体プロセスを含む。一般的には、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release(Wise, D.L.編 Marcel Dekker, New York, 2000)及びDrug and the Pharmaceutical Sciences vol.99:Protein Composition and Delivery(MacNally, E.J.編 Marcel Dekker, New York, 2000)を参照のこと。
【0068】
非経口投与は、シリンジ、場合によってはペン状シリンジによる皮下、筋肉内、腹膜内又は静脈内注射によって実施することができる。あるいは、非経口投与は輸液ポンプにより実施することができる。更なる選択肢は、鼻用又は肺用スプレーの形態でGHコンジュゲートのようなペプチドコンジュゲートを投与するための溶液又は懸濁液であってもよい組成物にある。更なる選択肢としては、本発明のGHコンジュゲートのようなペプチドコンジュゲートを含む薬学的組成物を、例えば針のない注射、又はイオン導入パッチであってよいパッチによる経皮投与、又は頬等の経粘膜投与用に適合させることもできる。
【0069】
本発明の一実施態様では、コンジュゲートを含有する薬学的組成物は、6週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の一実施態様では、コンジュゲートを含有する薬学的組成物は、4週間を越える使用の間、また3年を越える貯蔵の間である。
本発明の一実施態様では、コンジュゲートを含有する薬学的組成物は、4週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
本発明の一実施態様では、コンジュゲートを含有する薬学的組成物は、2週間を越える使用の間、また2年を越える貯蔵の間、安定している。
【0070】
コンジュゲートペプチド又はその組成物は、意図される結果を達成するのに有効な量で、例えば治療される特定の疾患を治療又は予防するのに有効な量で一般に使用される。化合物は治療的恩恵を達成するために治療的に投与されうる。治療的恩恵とは、治療される根本的な疾患の根絶又は改善、及び/又は根本的な疾患に関係する系の一又は複数の根絶又は改善を意味する。治療的恩恵は、改善が実現されるかどうかにかかわらず、疾患の進行を停止させ又は遅延させることをまた含む。
【0071】
精確な投薬量は、投与の頻度及び態様、処置される患者の性別、年齢、体重及び一般的状態、処置される状態の性質及び重篤度及び処置されるあらゆる合併症及び当業者に明らかな他の因子に依存する。適切な投薬量の決定は、値のマトリックスを作成し、マトリックスの種々の点で試験することにより、常套的な実験を使用して達成することができることが理解され、これは、訓練を受けた医師又は獣医の通常の技量の範囲内である。
【0072】
コンジュゲートペプチド又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物又はプロドラッグが、同じ病状に対して活性な第二治療剤と組合せて使用される場合、各化合物の用量は、化合物が単独で使用される場合とは異なりうる。適切な用量は、当業者には容易に理解される。
【0073】
ここに引用した刊行物、特許出願及び特許を含む全ての文献は、各文献が個々にかつ特に出典明示により援用され、その全体がここに記載されているのと同じ程度に(法律が許容する最大の範囲で)、出典明示によりここに援用される。
全ての表題及び副題は、ここでは便宜的にのみ使用されており、決して本発明を限定するものとは解してはならない。
ここに提供される任意かつ全ての例、又は例示的言語(例えば「等」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることを意図しており、特に別段の記載がない限り、本発明の範囲に限定をもたらすものではない。明細書中の如何なる語句も、請求項に記載していない要素が本発明の実施に必須であることを示しているものと解してはならない。
ここでの特許文献の引用及び援用は単に便宜上なされているもので、そのような特許文献の有効性、特許性、及び/又は権利行使性についての見解を反映させるものではない。
本発明は、適用される法律によって許容される、ここに添付した特許請求の範囲に記載された主題事項のあらゆる変形例及び均等物を含む。
【実施例】
【0074】
本発明を、次の実施例を参照して更に記載する。本発明の範囲を逸脱することなく、材料と方法の双方に対して多くの変形例を実施することができることは当業者には明らかであろう。
【0075】
略語
TGase:
(a)味の素のTGase Activa WM、20mMのリン酸塩バッファーpH8.5中に60mg/ml。ストレプトベルチシリウム・モバレンス由来のActiva WM酵素はマルトデキストリン中に乾燥形態で処方され、1%w/wのタンパク質(6.7μl)を含む);又は
(b)発現系として大腸菌を使用して可溶型で発現されたストレプトベルチシリウム・モバレンス由来のTGase MTG P2を、2mMのDTT及び5w/v%のマルトデキストリンと共に20mMのリン酸ナトリウムバッファー、pH6.0で処方した。酵素濃度は0.7から4.5mg/mlの間であった。
【0076】
分析方法
キャピラリー電気泳動
キャピラリー電気泳動(CE)を、Agilent Technologies 3D−CEシステム(Agilent Technologies)を使用して実施した。データ獲得及びシグナル処理はAgilent Technologies 3DCE ChemStationを使用して実施した。キャピラリーは64.5cm(有効長56.0cm)内径50μm「Extended Light Path Capillary」(Agilent製)であった。UV検出は200nmで実施した(16nm Bw,Reference 380nm及び50nm Bw)。流す電解質はリン酸バッファー50mM、pH7.0であった。キャピラリーは、3分間0.1MのNaOHで、ついで2分間Milli-Q水で、3分間電解質で条件調整した。
各操作後、キャピラリーにmilli-Q水を2分、ついでリン酸を2分、milli-Q水を2分流した。水圧注入を50mbarで4.0秒実施した。電圧は+25kVであった。キャピラリー温度は30℃で操作時間は10.5分であった。
【0077】
hGHのコンジュゲーションのためのスキーム例
Nε141-[2-(4-(4-(40KDa mPEGyl)ブタノイル)-アミノ-ブチルオキシイミノ)-エチル]hGHは次のスキームに従って合成した:

【0078】
TGase触媒工程の方法
トリエタノールアミン20mM、pH8.6のバッファー(14μl)中の1,3-ジアミノ-1-プロパノールの1M溶液に、トリエタノールアミン20mM、pH8.6のバッファー(20.6μl)、エチレングリコール(53.6μl)(40%w/v))、及びトリエタノールアミン20mM、pH8.6バッファー(40μl)中のヒト成長ホルモン(50mg/ml)の溶液を加えた。TGase MTG P2溶液(0.35mg/ml,5.8μl)を添加して反応を開始させた。反応混合物を室温でインキュベートし、CEで続けた。
【0079】
実施例1
エチレングリコールの存在下及び不在下でのhGHのアミノ基転移
次の濃度を使用し、上記方法と同様にして反応を実施した:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−エチレングリコール 40%(v/v)
− [TGase MTG P2]=0.39μM
全容量:134μl
室温
図1に示された結果は、所望されるpos.141−hGHの75%の最大収率が4時間の反応時間後に得られたことを証明している。
所望の生成物が最大収率であったとき、すなわちエチレングリコールなしの反応混合物に対して4時間と40%v/vエチレングリコールを含む反応混合物に対して11時間の、反応時間で得た反応混合物から電気泳動図を得た。結果を図2に示す。
【0080】
実施例2
10から40%v/vのエチレングリコールの存在下でのhGHのアミノ基転移
次の濃度を使用し、上記方法と同様にして反応を実施した:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−エチレングリコール 40%(v/v)
− [TGase MTG P2]=0.39μM又は[TGase Activa WM]=1.95μM
全容量:134μl
室温
図1に示された結果は、双方の酵素の反応プロファイルが非常に類似していることを証明している。
【0081】
実施例3
10から40%v/vのエチレングリコールの存在下でのhGHのアミノ基転移
次の濃度を使用し、上記方法と同様にして反応を実施した:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−エチレングリコール 10−40%(v/v)
− [TGase MTG P2]=0.39μM
全容量:134μl
室温でインキュベーション
図4に示された結果は、エチレングリコールの濃度を増加させると、pos.141TA−hGHの収量増加が得られたことを明らかにしている。
【0082】
実施例4
40から70%v/vのエチレングリコールの存在下でのhGHのアミノ基転移
5時間の反応時間後に多くの酵素を添加した点を除いて、上記方法と同様にして反応を実施した。反応では次の濃度を用いた:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−エチレングリコール 40−70%(v/v)
− [TGase MTG P2]=0.39μM、ついで0.78μM、5時間
全容量:134μl
室温
結果は図5に示す。
【0083】
実施例5
様々な濃度のTGase MTG P2を使用したエチレングリコールの効果の比較
次の濃度を使用し、上記方法と同様にして反応を実施した:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−エチレングリコール 40%(v/v)
− [TGase MTG P2]=0.39μM又は0.16μM
室温
図6に示された結果は、0.39μMのMTG P2酵素及び40%エチレングリコールが最も高い生成物収率を与えたことを証明している。
【0084】
実施例6
関連した構造の化合物の効果の比較
次の濃度を使用し、上記方法と同様にしてエチレングリコール、グリセロール、プロピレングリコール及び1,3プロパンジオールを用いて反応を実施した:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− +/−促進化合物 7.18M
− [TGase MTG P2]=0.39μM
全容量:134μl
室温
図7に示された結果は、エチレングリコールが最も高い収率を与えたことを証明している。プロピレングリコールは次に高い収率をもたらした。グリセロールは生成される副産物(pos.40-TA-hGH及びジアミノ基転移hGH)の量を低減させることが見出され、よってグリセロールは反応の選択性をまた改善した。
1,3プロパンジオールは反応を完全に阻害した。
【0085】
実施例7
様々な濃度のTGase MTG P2を使用したグリセロールの効果の比較
5時間の反応時間後に多くの酵素を添加した点を除いて、上記方法と同様にしてグリセロールを用いて反応を実施した。反応では次の濃度を用いた:
− [hGH]=0.67mM (最終濃度14.9mg/ml)
− [1,3-ジアミノ2-プロパノール]=300mM
− バッファー:20mMのトリエタノールアミン pH8.6
− グリセロール 7.18M
− [TGase MTG P2]=0.39μM、ついで1.17μM、5時間
全容量:134μl
室温
図8に示された結果は、多くの酵素を反応混合物に加えると、グリセロールで得られる収率を増加させることができることを証明している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスグルタミナーゼ触媒反応であって第一化合物とペプチド間の共有結合形成を含むトランスグルタミナーゼ触媒反応の選択性及び/又は収率を向上させるための方法において、上記トランスグルタミナーゼと促進化合物の存在下で第一化合物をペプチドと一又は複数の工程で反応させることを含み、該促進化合物がエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される方法。
【請求項2】
ペプチドが、インスリン、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、グルカゴン様ペプチド2(GLP-2)、プロラクチン、成長ホルモン、インターロイキン、サイトカイン、抗体、TFF、メラノコルチンレセプターモディファイヤー、凝固因子及び第VII因子化合物から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ペプチドが成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモンである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
成長ホルモンコンジュゲートを調製する方法であって、トランスグルタミナーゼの存在下で第一化合物を成長ホルモンと一又は複数の工程で反応させることを含み、該反応は促進化合物の存在下で実施され、上記促進化合物がエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される方法。
【請求項5】
ヒト成長ホルモンの141位に対応する位置のグルタミン酸残基に共有結合された第一化合物を有する成長ホルモンの収率が増加させられる請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
促進化合物がエチレングリコールである請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
第一化合物が、式:

(上式中、
Dは結合又は酸素を表し;
Rはリンカー又は結合を表し;
Xは、ケト、アルデヒド、−NH−NH、−O−C(O)−NH−NH、−NH−C(O)−NH−NH、−NH−C(S)−NH−NH、−NHC(O)−NH−NH−C(O)−NH−NH、−NH−NH−C(O)−NH−NH、−NH−NH−C(S)−NH−NH、−NH−C(O)−C−NH−NH、−C(O)−NH−NH、−O−NH、−C(O)−O−NH、−NH−C(O)−O−NH、−NH−C(S)−O−NH、C(O)−NH2、Ar−NH、アルキン、アジド又はニトリル−オキシドから選択されるか、又はこれらに活性化されうる)
によって表される請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
第一化合物が、上記ペプチドを構成するアミノ酸残基の何れにおいても接近可能ではない一又は複数の官能基又は潜在的な官能基を含み、更に、
(b) 場合によっては潜在的官能基を活性化させ;
(c) 上記官能化されたペプチドを、一又は複数の官能基を含む第二化合物と反応させ、ここで、該官能基は該ペプチドを構成するアミノ酸残基中の接近可能な官能基とは反応せず、該第二化合物中の該官能基は、該官能化ペプチドと第二化合物間に共有結合が形成されるように該第一化合物中の該官能基と反応可能である
工程を含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
第一化合物が、4−(アミノメチル)フェニルタノン、4−(2−アミノエチル)フェニルエタノン、N−(4−アセチルフェニル)2−アミノアセトアミド、1−[4−(2−アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1−[3−(2−アミノエトキシ)フェニル]エタノン、1,4−ビス(アミノオキシ)ブタン、3−オキサペンタン−1,5−ジオキシアミン、1,8−ジアミノオキシ−3,6−ジオキサオクタン、1,3−ビス(アミノオキシ)プロパン−2−オール、1,11−ビス(アミノオキシ)−3,6,9−トリオキサウンデカン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、1,2−ビス(アミノオキシ)エタン、及び1,3−ビス(アミノオキシ)プロパンから選択される請求項1から8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
第一化合物とペプチド間の共有結合形成を含むトランスグルタミナーゼ触媒反応の選択性及び/又は収率を向上させるための方法であって、増加させられる収率が、ヒト成長ホルモンの141位に対応する位置にコンジュゲートした成長ホルモンの収率である方法において、上記トランスグルタミナーゼの存在下で第一化合物を成長ホルモンと一又は複数の工程で反応させることを含み、上記トランスグルタミナーゼの存在下での成長ホルモンとの第一化合物の反応が促進化合物の存在下で生じ、該促進化合物がエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールの一つから選択される方法。
【請求項11】
反応が6から9の間のpHに緩衝される請求項1から10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応が7から8.6の間のpHに緩衝される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
反応が15から45℃の間の温度で実施される請求項1から12の何れか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応が20から37℃の間の温度で実施される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
促進化合物が20から95%の濃度範囲で存在している請求項1から14の何れか一項に記載の方法。
【請求項16】
促進化合物が30から70%の濃度範囲で存在している請求項16に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16の何れか一項に記載の方法によって得ることができるペプチド。
【請求項18】
請求項17に記載のペプチドを含有する薬学的組成物。
【請求項19】
成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダーウィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けた小児のHIV感染(HIV/HALS小児);SGAで出生した低身長小児;SGA以外の極少低出生時体重(VLBW)で出生した低身長症;骨格形成異常;軟骨低形成症;軟骨形成不全;特発性低身長(ISS);成人のGHD;脛骨、腓骨、大腿、上腕、橈骨、尺骨、鎖骨、中手、中足、及び指等、長骨又は内部の骨折;頭蓋骨、手の基部、及び足の基部等、海綿様骨の中又はその骨折;例えば手、膝又は肩等の腱又は靱帯の手術後の患者;仮骨延長術を受けるか又は受けた患者;人工股関節置換手術又は円板置換手術、半月板修復、脊椎固定術、又は膝、臀部、肩、肘、手首又は顎の補綴固定術後の患者;例えばネイル、スクリュー及びプレートのような骨接合術材料が固定されている患者;骨折の変形癒合又は偽関節を有する患者;例えば脛骨又は第一趾からの骨切り術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷又は関節炎に起因する膝の関節軟骨変性;ターナー症候群を患っている患者の骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症、慢性透析の成人患者(APCD);APCDにおける栄養不良関連循環器疾患;APCDにおける悪液質の逆流;APCDにおける癌;APCDにおける慢性的閉塞性肺疾患;APCDにおけるHIV;APCDの高齢者;APCDにおける慢性的な肝臓病、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能障害;HIV感染した男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連リポジストロフィー症候群(HALS):男性不妊;待機的大手術後の患者、アルコール/薬物解毒又は神経的トラウマ;加齢;虚弱な高齢者;骨関節炎;衝撃的な損傷を受けた軟骨;勃起不全;繊維筋痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;くも膜下出血;極低出生体重;メタボリックシンドローム;グルココルチコイドミオパシー;又は小児のグルココルチコイド治療による低身長症;筋肉組織、神経組織又は創傷の治癒促進;損傷を受けた組織への血流の促進又は改善;又は損傷を受けた組織における感染率の低減の治療方法において、請求項17に記載の化合物の治療的有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項20】
成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダーウィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けた小児のHIV感染(HIV/HALS小児);SGAで出生した低身長小児;SGA以外の極少低出生時体重(VLBW)で出生した低身長症;骨格形成異常;軟骨低形成症;軟骨形成不全;特発性低身長(ISS);成人のGHD;脛骨、腓骨、大腿、上腕、橈骨、尺骨、鎖骨、中手、中足、及び指等、長骨又は内部の骨折;頭蓋骨、手の基部、及び足の基部等、海綿様骨の中又はその骨折;例えば手、膝又は肩等の腱又は靱帯の手術後の患者;仮骨延長術を受けるか又は受けた患者;人工股関節置換手術又は円板置換手術、半月板修復、脊椎固定術、又は膝、臀部、肩、肘、手首又は顎の補綴固定術後の患者;例えばネイル、スクリュー及びプレートのような骨接合術材料が固定されている患者;骨折の変形癒合又は偽関節を有する患者;例えば脛骨又は第一趾からの骨切り術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷又は関節炎に起因する膝の関節軟骨変性;ターナー症候群を患っている患者の骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症、慢性透析の成人患者(APCD);APCDにおける栄養不良関連循環器疾患;APCDにおける悪液質の逆流;APCDにおける癌;APCDにおける慢性的閉塞性肺疾患;APCDにおけるHIV;APCDの高齢者;APCDにおける慢性的な肝臓病、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能障害;HIV感染した男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連リポジストロフィー症候群(HALS):男性不妊;待機的大手術後の患者、アルコール/薬物解毒又は神経的トラウマ;加齢;虚弱な高齢者;骨関節炎;衝撃的な損傷を受けた軟骨;勃起不全;繊維筋痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;くも膜下出血;極低出生体重;メタボリックシンドローム;グルココルチコイドミオパシー;又は小児のグルココルチコイド治療による低身長症;筋肉組織、神経組織又は創傷の治癒促進;損傷を受けた組織への血流の促進又は改善;又は損傷を受けた組織における感染率の低減の治療のための医薬の製造における請求項17に記載の化合物の使用。
【請求項21】
成長ホルモン欠損症(GHD);ターナー症候群;プラダーウィリ症候群(PWS);ヌーナン症候群;ダウン症候群;慢性腎臓病、若年性関節リウマチ;嚢胞性線維症、HAART治療を受けた小児のHIV感染(HIV/HALS小児);SGAで出生した低身長小児;SGA以外の極少低出生時体重(VLBW)で出生した低身長症;骨格形成異常;軟骨低形成症;軟骨形成不全;特発性低身長(ISS);成人のGHD;脛骨、腓骨、大腿、上腕、橈骨、尺骨、鎖骨、中手、中足、及び指等、長骨又は内部の骨折;頭蓋骨、手の基部、及び足の基部等、海綿様骨の中又はその骨折;例えば手、膝又は肩等の腱又は靱帯の手術後の患者;仮骨延長術を受けるか又は受けた患者;人工股関節置換手術又は円板置換手術、半月板修復、脊椎固定術、又は膝、臀部、肩、肘、手首又は顎の補綴固定術後の患者;例えばネイル、スクリュー及びプレートのような骨接合術材料が固定されている患者;骨折の変形癒合又は偽関節を有する患者;例えば脛骨又は第一趾からの骨切り術後の患者;移植片植え込み後の患者;外傷又は関節炎に起因する膝の関節軟骨変性;ターナー症候群を患っている患者の骨粗鬆症;男性における骨粗鬆症、慢性透析の成人患者(APCD);APCDにおける栄養不良関連循環器疾患;APCDにおける悪液質の逆流;APCDにおける癌;APCDにおける慢性的閉塞性肺疾患;APCDにおけるHIV;APCDの高齢者;APCDにおける慢性的な肝臓病、APCDにおける疲労症候群;クローン病;肝機能障害;HIV感染した男性;短腸症候群;中心性肥満;HIV関連リポジストロフィー症候群(HALS):男性不妊;待機的大手術後の患者、アルコール/薬物解毒又は神経的トラウマ;加齢;虚弱な高齢者;骨関節炎;衝撃的な損傷を受けた軟骨;勃起不全;繊維筋痛;記憶障害;鬱病;外傷性脳損傷;くも膜下出血;極低出生体重;メタボリックシンドローム;グルココルチコイドミオパシー;又は小児のグルココルチコイド治療による低身長症;筋肉組織、神経組織又は創傷の治癒促進;損傷を受けた組織への血流の促進又は改善;又は損傷を受けた組織における感染率の低減の治療のための請求項17に記載のペプチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−518838(P2010−518838A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550704(P2009−550704)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052069
【国際公開番号】WO2008/101957
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】