説明

ジカルコゲノベンゾジピロール化合物、該化合物の製造方法、該化合物を含む薄膜及び該薄膜を含む有機半導体デバイス

【課題】キャリア移動度がさらに向上した有機半導体デバイス、該デバイスに含まれる薄膜及び該薄膜に含まれる化合物が求められていた。
【解決手段】式(1)


(式中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、及びSOを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。)
で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジカルコゲノベンゾジピロール化合物、該化合物の製造方法、該化合物を含む薄膜及び該薄膜を含む有機半導体デバイス等に関する。
【背景技術】
【0002】
有機化合物を有機溶媒に溶解し、得られる溶液状の組成物を電極などに塗布し、該組成物中の有機溶媒を乾燥して薄膜を得、該薄膜を含む有機トランジスタなどの有機半導体デバイスは、キャリア移動度などの半導体特性を有する場合があることが知られている。具体的には、例えば、特許文献1に、下記式

で表される化合物をクロロベンゼンに溶解した溶液をゲート電極上に塗布し、クロロベンゼンを乾燥して薄膜を得、該薄膜を含む有機トランジスタは、7.4×10−2(cm/V・s)のキャリア移動度を有することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−99658号公報(実施例14)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、キャリア移動度がさらに向上した有機半導体デバイス、該デバイスに含まれる薄膜及び該薄膜に含まれる化合物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 式(1)

(式中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、及びSOを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。R〜Rからなる群から選ばれる少なくとも2つの基は、該アルキル基、該アリール基又は該ヘテロアリール基である。)
で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【0006】
<2> 前記式(1)において、X及びYが硫黄原子であることを特徴とする<1>記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
<3> 前記式(1)において、R及びRが、水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRが、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアリール基又は炭素数5〜30のヘテロアリール基(該アリール基及び該ヘテロアリール基はアルキル基又はアルコキシ基を有する。該アルキル基及び該アルコキシ基にはフッ素原子を有していてもよい。)であることを特徴とする<1>又は<2>記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
<4> 前記式(1)において、R及びRが水素原子であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
<5> 前記式(1)において、R〜Rは、水素原子又はハロゲン原子であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
<6> 前記式(1)において、R及びRがアルキル基(該アルキル基はフッ素原子を有していてもよい)を有する炭素数7〜26のアリール基であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
<7> 前記式(1)において、R及びRがフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【0007】
<8> <1>〜<7>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物を含む薄膜。
<9> <1>〜<7>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物からなる薄膜。
<10> <8>又は<9>記載の薄膜を含む有機トランジスタ。
<11> <8>又は<9>記載の薄膜を含む有機半導体デバイス。
【0008】
<12>式(2)

(式中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、及びSOを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。
〜R12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。)
と、式(3)
13−NH (3)
(式中、R13は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。)
で示されるアミン化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする式(1’)

(式中、X、Y、R〜R及びR13は、前記と同じ定義である。)
で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物の製造方法。
【0009】
<13> <1>〜<7>のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物及び有機溶媒を含むことを特徴とする組成物。
<14> <13>記載の組成物を基板又は絶縁層上に塗布する工程と、基板又は絶縁層上に塗布された塗布膜を乾燥する工程とを含むことを特徴とする薄膜の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャリア移動度がさらに向上した有機半導体デバイス、該デバイスに含まれる薄膜及び該薄膜に含まれる化合物が提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明における有機トランジスタの一つの態様を説明する断面図である。
【図2】本発明における有機トランジスタの一つの態様を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<式(1)で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物>
本発明は、式(1)

で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物(以下、「化合物(1)」と記すことがある。)である。
【0013】
化合物(1)中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、SOを表す。
化合物(1)のX及びYは、化合物(1)の合成が容易となるので、同一であることが好ましく、いずれも硫黄原子であることがより好ましい。
【0014】
〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基、炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。
〜Rは、フッ素原子などのハロゲン原子又は水素原子であることが好ましい。
【0015】
本発明におけるアルキル基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜30のアルキル基であり、直鎖、分枝鎖、及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜30の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルキル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、n−ヘンイコシル基、n−ドコシル基、n−トリコシル基、n−テトラコシル基、n−ペンタコシル基、n−ヘキサコシル基、n−ヘプタコシル基、n−オクタコシル基、n−ノナコシル基、及びn−トリアコンチル基等の直鎖アルキル基;イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−ヘキシルデシル基等の分枝鎖アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基等;及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基等及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられ、より好ましくはエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、2−ヘキシルオクチル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、及びn−ヘキサデシル基等の炭素数2〜16のアルキル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられる。
【0016】
本発明におけるアルコキシ基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜30のアルコキシ基であり、直鎖、分枝鎖及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜30の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルコキシ基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基、n−ヘンイコシルオキシ基、n−ドコシルオキシ基、n−トリコシルオキシ基、n−テトラコシルオキシ基、n−ペンタコシルオキシ基、n−ヘキサコシルオキシ基、n−ヘプタコシルオキシ基、n−オクタコシルオキシ基、n−ノナコシルオキシ基、n−トリアコンチルオキシ基等の直鎖アルコキシ基;例えば、イソプロポキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ネオペンチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基等の分枝鎖アルコキシ基;シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等の環状アルコキシ基等;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、ポリエチレングリコキシ基;これらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
好ましくはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基、n−イコシルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基等の炭素数1〜20のアルコキシ基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられ、
より好ましくはエトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、2−ヘキシルデシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、メトキシメトキシメトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基の炭素数1〜16のアルコキシ基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられる。
【0017】
本発明におけるアルケニル基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数2〜30のアルケニル基であり、直鎖、分枝鎖及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数2〜30の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルケニル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル基、1−デケニル基、1−ウンデケニル基、1−ドデケニル基、1−トリデケニル基、1−テトラデケニル基、1−ペンタデケニル基、1−ヘキサデケニル基、1−ヘプタデケニル基、1−オクタデケニル基、1−ノナデケニル基、1−イコセニル基、1−ヘンイコセニル基、1−ドコセニル基、1−トリコセニル基、1−テトラコセニル基、1−ペンタコセニル基、1−ヘキサコセニル基、1−ヘプタコセニル基、1−オクタコセニル基、1−ノナコセニル基、1−トリアコンテニル基等の直鎖アルケニル基;例えば、1−メチル−1−プロペニル基等の分枝鎖アルケニル基;1−シクロヘキセニル基の環状アルケニル基等;これらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
好ましくはエテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル基、1−デケニル基、1−ウンデケニル基、1−ドデケニル基、1−トリデケニル基、1−テトラデケニル基、1−ペンタデケニル基、1−ヘキサデケニル基、1−ヘプタデケニル基、1−オクタデケニル基、1−ノナデケニル基、及び1−イコセニル基等の炭素数2〜20のアルケニル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられ、
より好ましくはエテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、1−オクテニル基、1−ノネニル基、1−デケニル基、1−ウンデケニル基、1−ドデケニル基、1−トリデケニル基、1−テトラデケニル基、1−ペンタデケニル基、1−ヘキサデケニル基等の炭素数2〜16のアルケニル基及び、これらの基の水素原子の一部又は全てがハロゲン原子で置き換わった基が挙げられる。
【0018】
本発明におけるアルキニル基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数2〜30のアルキニル基であり、直鎖、分枝鎖及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数2〜30の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルキニル基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−ノニニル基、1−デキニル基、1−ウンデキニル基、1−ドデキニル基、1−トリデキニル基、1−テトラデキニル基、1−ペンタデキニル基、1−ヘキサデキニル基、1−ヘプタデキニル基、1−オクタデキニル基、1−ノナデキニル基、1−イコシニル基、1−ヘンイコシニル基、1−ドコシニル基、1−トリコシニル基、1−テトラコシニル基、1−ペンタコシニル基、1−ヘキサコシニル基、1−ヘプタコシニル基、1−オクタコシニル基、1−ノナコシニル基、及び1−トリアコンチニル基等、及び、これらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
好ましくはエチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−ノニニル基、1−デキニル基、1−ウンデキニル基、1−ドデキニル基、1−トリデキニル基、1−テトラデキニル基、1−ペンタデキニル基、1−ヘキサデキニル基、1−ヘプタデキニル基、1−オクタデキニル基、1−ノナデキニル基、及び1−イコシニル基等の炭素数2〜20のアルキニル基、及び、これらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられ、
より好ましくはエチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、1−ヘプチニル基、1−オクチニル基、1−ノニニル基、1−デキニル基、1−ウンデキニル基、1−ドデキニル基、1−トリデキニル基、1−テトラデキニル基、1−ペンタデキニル基、及び1−ヘキサデキニル基等の炭素数2〜16のアルキニル基、及び、これらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられる。
【0019】
本発明におけるアルキルチオ基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜30のアルキルチオ基であり、直鎖、分枝鎖及び環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜30の直鎖、分枝鎖、もしくは環状のアルキルチオ基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−ヘプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−イコシルチオ基、n−ヘンイコシルチオ基、n−ドコシルチオ基、n−トリコシルチオ基、n−テトラコシルチオ基、n−ペンタコシルチオ基、n−ヘキサコシルチオ基、n−ヘプタコシルチオ基、n−オクタコシルチオ基、n−ノナコシルチオ基、及びn−トリアコンチルチオ基等の直鎖アルキルチオ基;s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ネオペンチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、2−ヘキシルデシルチオ基等の分枝鎖アルキルチオ基;シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロオクチルチオ基等の環状アルキルチオ基等;及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、n−ブチルチオ基、s−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、ネオペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、シクロオクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、2−ヘキシルデシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基、n−ヘプタデシルチオ基、n−オクタデシルチオ基、n−ノナデシルチオ基、n−イコシルチオ基等の炭素数1〜20のアルキルチオ基等及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられ、
より好ましくはメチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、シクロオクチルチオ基、n−ノニルチオ基、n−デシルチオ基、2−ヘキシルデシルチオ基、n−ウンデシルチオ基、n−ドデシルチオ基、n−トリデシルチオ基、2−ヘキシルオクチルチオ基、n−テトラデシルチオ基、n−ペンタデシルチオ基、及びn−ヘキサデシルチオ基等の炭素数1〜16のアルキルチオ基及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基が挙げられる。
【0020】
本発明におけるアリール基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数6〜30のアリール基である。アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
アリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。尚、これら置換基を有するアリール基の炭素数は、置換基を含めた合計で炭素数7〜30であることが好ましい。
アリール基としては、アルキル基又はアルコキシ基を有したアリール基が好ましく、例えば、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−ヘプチルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−ノニルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ウンデシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−トリデシルフェニル基及びn−テトラデシルフェニル基等の炭素数1〜24の直鎖アルキル基を有するフェニル基;例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−プロポキシフェニル基、n−ブトキシフェニル基、n−ペンチルオキシフェニル基、n−ヘキシルオキシフェニル基、n−ヘプチルオキシフェニル基、n−オクチルオキシフェニル基、n−デシルオキシフェニル基、n−ウンデシルオキシフェニル基、n−ドデシルオキシフェニル基、n−トリデシルオキシフェニル基、n−テトラデシルオキシフェニル基等の炭素数1〜24の直鎖アルコキシ基を有するフェニル基等を挙げることができる。
【0021】
本発明におけるヘテロアリール基とは、フッ素原子を有していてもよい炭素数4〜30のヘテロアリール基である。ヘテロアリール基としては、例えば、チオフェニリル基、フラニル基、セレノフェニル基、ピローリル基、オキサゾーリル基、チアゾール基、ピリジニル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基等及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
ヘテロアリール基は、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。尚、これら置換基を有するアリール基の炭素数は、置換基を含めた合計で炭素数7〜16であることが好ましい。
【0022】
〜Rのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができ、フッ素原子が好ましい。
【0023】
化合物(1)において、R及びRは、同一であることが好ましく、水素原子又はフッ素原子などのハロゲン原子であることが好ましい。
及びRは、同一であることが好ましく、水素原子又はフッ素原子などのハロゲン原子であることが好ましい。
〜Rは、いずれも水素原子であることが好ましい。
【0024】
化合物(1)において、R及びRは、いずれも、水素原子であることが好ましい。
【0025】
化合物(1)において、R及びRは、同一で、アルキル基(該アルキル基はフッ素原子を有していてもよい)を有する炭素数7〜26のアリール基であることが好ましい。
具体的には、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、n−ブチルフェニル基、n−ペンチルフェニル基、n−ヘキシルフェニル基、n−ヘプチルフェニル基、n−オクチルフェニル基、n−ノニルフェニル基、n−デシルフェニル基、n−ウンデシルフェニル基、n−ドデシルフェニル基、n−トリデシルフェニル基及びn−テトラデシルフェニル基等の炭素数1〜14の直鎖アルキル基を有するフェニル基;例えば、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n−プロポキシフェニル基、n−ブトキシフェニル基、n−ペンチルオキシフェニル基、n−ヘキシルオキシフェニル基、n−ヘプチルオキシフェニル基、n−オクチルオキシフェニル基、n−デシルオキシフェニル基、n−ウンデシルオキシフェニル基、n−ドデシルオキシフェニル基、n−トリデシルオキシフェニル基、n−テトラデシルオキシフェニル基等を挙げることができる。
【0026】
化合物(1)において、R及びRは、同一で、フッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることも好ましい。
具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、シクロオクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基等の炭素数1〜20のアルキル基等及びこれらの基の水素原子の一部又は全てがフッ素原子で置き換わった基を挙げることができる。
【0027】
化合物(1)としては、表1〜8記載の化合物を挙げることができる。
【0028】
【表1】

波線は結合手を表す。
【0029】
【表2】

波線は結合手を表す。
【0030】
【表3】

波線は結合手を表す。
【0031】
【表4】

波線は結合手を表す。
【0032】
【表5】

波線は結合手を表す。
【0033】
【表6】

波線は結合手を表す。
【0034】
【表7】

波線は結合手を表す。
【0035】
【表8】

波線は結合手を表す。
【0036】
好ましい化合物(1)を表中に示された化合物番号で表わせば、例えば、(1−1−1)、(1−1−2)、(1−1−3)、(1−1−4)、(1−1−5)、(1−1−6)、(1−1−8)、(1−1−9)、(1−1−11)、(1−1−12)、(1−1−13)、(1−1−14)、(1−1−15)、(1−1−19)、(1−1−21)、(1−1−22)、(1−1−24)、(1−1−25)、(1−1−26)、(1−1−28)、(1−1−29)、(1−1−30)、(1−1−31)、(1−1−33)、(1−1−35)、(1−1−42)、(1−1−45)、(1−1−51)、(1−1−52)、(1−1−56)、(1−1−58)、(1−1−59)、(1−1−61)、(1−1−64)、(1−1−65)、(1−1−67)、(1−1−68)、(1−2−2)、(1−2−7)、(1−3−3)、(1−3−6)、(1−4−2)、(1−5−4)、(1−5−5)、(1−5−7)、(1−5−9)、(1−5−11)、(1−5−12)等を挙げることができ、さらに好ましくは、(1−1−1)、(1−1−2)、(1−1−3)、(1−1−5)、(1−1−6)、(1−1−9)、(1−1−11)、(1−1−12)、(1−1−13)、(1−1−14)、(1−1−21)、(1−1−22)、(1−1−24)、(1−1−25)、(1−1−26)、(1−1−30)、(1−1−31)、(1−1−33)、(1−1−45)、(1−1−58)、(1−1−61)等が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物(1)は、後述するように、真空プロセスで薄膜を形成することができる。また、化合物(1)は有機溶媒への溶解性に優れることから、溶液プロセスによって薄膜を形成することができる。ここで、溶解可能な有機溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、フルオロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1’,2,2’−テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等のエーテル溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、メトキシアセトニトリル、グルタロジニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル系溶媒、ジメチルスルフォキサイド、スルフォラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒が挙げられ、中でも、トルエン、キシレン、o-ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフランが好ましい。この溶媒は2種以上を混合溶媒にして用いることもできる。
【0038】
化合物(1)を含む有機溶液における化合物(1)の濃度としては、例えば、0.001〜50重量%の範囲等を挙げることができ、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.1〜5重量%の範囲等が挙げられる。
該有機溶液には、化合物(1)を単独で使用してもよいし、後述する薄膜(有機半導体層)のキャリア移動度を著しく損なわない範囲であれば、酸化防止剤、安定剤、有機半導体材料、有機絶縁性材料などと混合してもよい。
【0039】
該有機半導体材料としては、低分子材料でもよく、高分子材料でもよく、架橋反応が可能な場合は架橋していてもよく架橋していなくてもよい。好ましくは、高分子材料が挙げられる。具体例としては、ポリアセチレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリアニリン誘導体、ポリトリアリールアミン誘導体、ポリキノリン誘導体、ペリレン誘導体、テトラセン誘導体、ペンタセン誘導体、フタロシアニン誘導体などが挙げられ、この場合、化合物(1)の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上になるように調整することがより好ましい。
【0040】
該有機絶縁性材料としては、低分子材料でもよく、高分子材料でもよく、架橋反応が可能な場合は架橋していてもよく架橋していなくてもよい。好ましくは、高分子材料が挙げられる。具体例としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ナイロン、ポリイミド、環状オレフィンコポリマー、エポキシポリマー、セルロース、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、生分解性プラスチック、フェノール系樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び各種ポリマーユニットを組み合わせたコポリマーなどが挙げられ、この場合、化合物(1)の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上になるように調整することがより好ましい。
有機溶液の調製方法としては、有機溶媒に化合物(1)を、例えば、10〜200℃の範囲等、好ましくは20〜150℃の範囲等で溶解することによって得ることができる。
【0041】
<式(1)で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物の製造方法>
本発明の化合物(1)の製造方法としては、例えば、式(2)

(式中、R〜R、X及びYは前記と同じ定義であり、R〜R12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、好ましくは、臭素又はヨウ素を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(2)と記すことがある)と、式(3)
13−NH (3)
(式中、R13は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数4〜20のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。)
で示されるアミン化合物(以下、単にアミン化合物と記すことがある)とを反応させる工程(以下、本工程と記すことがある)を含む方法等を挙げることができる。
【0042】
本工程に用いられる化合物(2)としては、例えば下記表の化合物が挙げられる。
【0043】
【表9】

波線は結合手を表す。
【0044】
【表10】

波線は結合手を表す。
【0045】
【表11】

波線は結合手を表す。
【0046】
【表12】

波線は結合手を表す。
【0047】
【表13】

波線は結合手を表す。
【0048】
【表14】

波線は結合手を表す。
【0049】
本工程に用いられるアミン化合物としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−ノナデシルアミン、n−イコシルアミン、n−ヘンイコシルアミン、n−ドコシルアミン、n−トリコシルアミン、n−テトラコシルアミン、n−ペンタコシルアミン、n−ヘキサコシルアミン、n−ヘプタコシルアミン、n−オクタコシルアミン、n−ノナコシルアミン、及びn−トリアコンチルアミン等の直鎖アルキルアミン等;アニリン、4−メチルアニリン、4−エチルアニリン、4−n−プロピルアニリン、4−イソプロピルアニリン、4−n−ブチルアニリン、4−n−ペンチルアニリン、4−n−ヘキシルアニリン、4−n−ヘプチルアニリン、4−n−オクチルアニリン、4−n−ノニルアニリン、4−n−デシルアニリン、4−n−ウンデシルアニリン、4−n−ドデシルアニリン、4−n−トリデシルアニリン、4−n−テトラデシルアニリン等のアルキル基を有するアニリンなどを挙げることができる。
【0050】
本工程に用いられるアミン化合物の使用量は、化合物(2)1モルに対して、例えば、1〜50モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは2〜20モルの範囲等、より好ましくは2〜15モルの範囲等が挙げられる。
【0051】
本工程は、有機溶媒中で行うことが好ましい。
上記有機溶媒としては、上記反応に不活性な有機溶媒であればよく、例えば、トルエン、キシレン、等の芳香族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン原子化芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、ジメトキシエタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン原子化脂肪族炭化水素系溶媒;メタノール、イソプロパノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;等の単独もしくは混合溶媒が挙げられ、好ましくは芳香族炭化水素系溶媒及び脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられ、より好ましくはトルエンやキシレンが挙げられる。
【0052】
本工程において、反応溶液における化合物(2)の濃度としては、有機溶媒1リットル当たり、例えば、0.0001〜20モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、例えば、0.001〜10モルの範囲、より好ましくは、例えば、0.01〜5モルの範囲等が挙げられる。
【0053】
本工程は、パラジウム触媒および塩基の存在下で行われることが好ましい。
パラジウム触媒の使用量としては、化合物(2)100モルに対して、パラジウム原子として、例えば、0.01〜50モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは0.01〜30モルの範囲等が挙げられる。
【0054】
パラジウム触媒は、配位子とパラジウム化合物とを予め有機溶媒中で接触させることにより調製したものを用いてもよいし、配位子とパラジウム化合物とを反応系内で接触させて調製したものを用いてもよい。
【0055】
上記配位子としては、パラジウムに配位可能であって有機溶媒に可溶であればよく、例えば単座ホスフィン系配位子、多座配位子、カルベン系配位子等が挙げられ、単座配位子が好ましく、単座ホスフィン系配位子がより好ましい。
単座ホスフィン系配位子としては、例えばトリ(n−ブチル)ホスフィン、トリ(t−ブチル)ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリナフチルホスフィン、ジフェニルナフチルホスフィン、及びジシクロヘキシルナフチルホスフィン等が挙げられ、トリ(t−ブチル)ホスフィンが好ましい。
【0056】
二座配位子としては、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1’−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)ジフェニルエーテル、5,5’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−4,4’−ビ(1,3−ベンゾジオキソール)等のリン原子を2つ有する二座ホスフィン系配位子;2−(N,N−ジメチルアミノ)−2’−(ジシクロヘキシルアミノ)ビフェニル等の窒素原子及びリン原子をそれぞれ1つずつ有する二座アミノホスフィン系配位子;等が挙げられる。
【0057】
かかる配位子は、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
かかる配位子の使用量は、パラジウム化合物のパラジウム原子1モルに対して、0.5〜20モルであればよい。
【0058】
上記パラジウム化合物としては、酢酸パラジウム、塩化パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、パラジウムアセチルアセトナート、ジクロロ(シクロオクタ−1,5−ジエン)パラジウム、ジブロモビス(ベンゾニトリル)パラジウム、ジ−μ−クロロビス(π−アリル)ジパラジウム、ジクロロビス(ピリジン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ−[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム・ジクロロメタン錯体等の2価のパラジウム化合物; トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム錯体、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム等の0価のパラジウム化合物;等が挙げられ、中でもトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホルム錯体が好ましい。かかるパラジウム化合物は、通常、市販されているものを用いてもよいし、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
【0059】
塩基としては、例えば、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物;炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩;リン酸リチウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等のアルカリ金属リン酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムt−ブトキシド等のアルカリ金属アルコキシド;等が挙げられ、好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシドが挙げられ、より好ましくはアルカリ金属アルコキシド、更に好ましくは炭素数1〜6のアルカリ金属アルコキシドが挙げられる。塩基は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合してもよい。
【0060】
塩基の使用量は、化合物(2)1モルに対して、例えば、0.1〜25モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは1〜20モル、更に好ましくは2〜10モルの範囲等が挙げられる。塩基の使用量が25モル以下であると、未反応のアミン化合物の割合が低減される傾向があることから好ましい。
【0061】
本工程の反応温度は、0℃から反応溶液の還流温度の範囲から選ばれるが、好ましくは40〜200℃の範囲である。反応時間は、例えば、1分から120時間の範囲等が挙げられる。
【0062】
本工程を停止させる場合は、反応液に例えば、水、希塩酸などを添加すればよい。反応停止後、例えば抽出、洗浄等の後処理操作を行うことで、化合物(1)の粗生成物を得ることができる。該粗生成物は、晶析、昇華、又は各種クロマトグラフィーなどの精製操作、若しくはこれらを組み合わせた精製操作を行うことにより精製を行ってもよい。
【0063】
<式(2)で表される化合物の製造例>
化合物(2)の製造方法としては、例えば、WO2010031480記載の方法に準拠して、一般式(4)

(式中、R及びRは上記と同じ定義である。R14〜R17は、それぞれハロゲン原子を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(4)と記すことがある)と
一般式(5)

(式中、Xは上記と同じ定義である。R18及びR19は、それぞれハロゲン原子を表す。)
で表される化合物(以下、化合物(5)と記すことがある)とを、遷移金属触媒存在下、根岸カップリング反応に供することで製造することができる。
【0064】
<薄膜、素子及び有機半導体デバイス>
本発明の薄膜は、化合物(1)を含む薄膜であり、例えば、厚み1nm〜10μm、好ましくは厚み5nm〜1μmの薄膜である。
本発明の薄膜は発光性、半導体と同様の導電性を示す場合があり、それぞれ、発光性薄膜、導電性薄膜としても優れている。
【0065】
本発明において発光性薄膜とは、化合物(1)を含む薄膜であって、光や電気的刺激の条件下で発光する薄膜を意味する。発光性薄膜は、発光素子の材料として有用である。発光性薄膜を有する発光素子もまた、本発明の一つである。本発明の発光素子は、例えば有機発光ダイオード等の材料として有用である。
本発明において、発光素子とは該発光性薄膜を用いたデバイスのことを意味する。
【0066】
本発明において、導電性薄膜とは、光や電気的刺激の条件下で導電性を示す薄膜を意味する。半導体と同様の導電性を示す導電性薄膜を特に有機半導体薄膜と称することがある。導電性薄膜は、後述の有機半導体デバイス等の材料として有用である。
本発明の導電性薄膜及び発光性薄膜は、それぞれ、本発明の化合物(1)を材料として用いる以外は、従来公知の方法と同様に製造することができる。
【0067】
次に、有機トランジスタについて説明する。
本発明の有機トランジスタは、本発明の薄膜を含むものである。
上記該有機トランジスタは、本発明の化合物(1)を含んでいるので、キャリア移動度が高い。上記該有機トランジスは、キャリア移動度を10−6cm/Vs以上とすることができる。ここでキャリア移動度は、パラメータアナライザー等を用いて測定したドレイン電流及びゲート電圧について、下記式(a)を適用することにより測定することができる。
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt)2 ・・・(a)
(式中、Id=電気的特性の飽和領域におけるドレイン電流、L=有機トランジスタのチャネル長、W=有機トランジスタのチャネル幅、Ci=ゲート絶縁膜の単位面積当たりの容量、Vg=ゲート電圧、Vt=ゲート電圧のしきい値電圧)
【0068】
本発明の有機トランジスタとしては、有機電界効果トランジスタが挙げられる。
該有機電界効果トランジスタは、通常、ソース電極及びドレイン電極が半導体層に接しており、さらに活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
上記有機トランジスタの素子構造としては、例えば、
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/半導体層からなる構造;
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/半導体層/ソース電極・ドレイン電極からなる構造(図1参照);
(3)基板/半導体層+ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極からなる構造(図2参照);
(4)基板/ソース電極(又はドレイン電極)/半導体層+絶縁体層+ゲート電極/ドレイン電極(又はソース電極)からなる構造、
が挙げられる。
上記各構造において、半導体層は、本発明の有機半導体薄膜を有する。各構造において該半導体層が複数である場合、同一平面内に設けてもよいし、積層して設けてもよい。上記各構造において、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート電極は、それぞれ複数設けてもよい。
【0069】
有機トランジスタにおける薄膜として、化合物(1)が含まれる有機半導体層を形成する方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法などの真空プロセスでの形成法が挙げられ、好ましくは真空蒸着法が挙げられる。
真空蒸着法とは、化合物(1)などの有機半導体材料をルツボや金属ボート中で真空下、加熱し、蒸発した有機半導体材料を基板もしくは絶縁体材料に蒸着させる方法である。
蒸着時の真空度は、1×10−1Pa以下、好ましくは1×10−3Pa以下である。
蒸着時の基板温度は0℃〜300℃、好ましくは20℃〜200℃である。
蒸着速度は、0.001nm/sec〜10nm/secであり、好ましくは0.01nm/sec〜1nm/secである。上記有機半導体薄膜の膜厚は、1nm〜10μmであり、好ましくは5nm〜1μmである。
【0070】
有機トランジスタにおける薄膜として、化合物(1)が含まれる有機半導体層を形成する方法の異なる実施態様は、化合物(1)が有機溶媒に対する溶解性に優れていることから、塗布成膜加工を例示することができる。塗布成膜加工は、通常、化合物(1)を有機溶媒に溶解して得られる溶液状の組成物を調製し、該組成物を基板もしくは絶縁体層に塗布する工程と、該基板上に塗布された塗布膜を乾燥する工程を有する。塗布する工程としては、例えば、キャスティング法、ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法などの塗布法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などが挙げられる。これらの工程は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0071】
塗布する工程によって得られた塗布膜は、乾燥、すなわち、組成物に含まれる有機溶媒を除去することで、本発明の薄膜を得ることができる。乾燥方法としては、例えば、自然乾燥処理、加熱処理、減圧処理、通風処理又はこれらを組み合わせた処理等を挙げることができ、操作が簡便である点で自然乾燥処理もしくは加熱処理が好ましい。具体的には、大気下で放置もしくはホットプレートで基板加熱(例えば、40〜250℃、好ましくは、50〜200℃)する処理等が挙げられる。
【0072】
組成物としては、化合物(1)は有機溶媒に溶解していなくとも、化合物(1)を溶媒に分散させていてもよい。この場合の具体的な実施態様は、前述の組成物が、化合物(1)を溶媒に分散させた分散液であることを意味する。
有機トランジスタにおける薄膜を有機半導体層として形成する方法としては、化合物(1)を有機溶媒で溶解させて得られる組成物を用いた塗布成膜加工が好ましい。かかる薄膜から得られる有機トランジスタは優れたキャリア移動度を示す。
【0073】
本発明の有機トランジスタにおいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を構成する材料は、一般的な導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、及びリチウム/アルミニウム混合物、酸化モリブデン等が用いられるが、
特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、インジウム、ITO、炭素、及び酸化モリブデンが好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。これらの電極材料は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。
【0074】
電極の膜厚は、材料によっても異なるが、0.1nm〜10μmであればよく、好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、ゲート電極と基板を兼ねる場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
【0075】
電極膜の形成方法としては、公知の種々の方法が挙げられる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法などが挙げられる。成膜時又は成膜後に、パターニングを必要に応じて行うことが好ましい。パターニングの方法としても、種々の方法を用いることができる。具体的には、フォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法などが挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷などの印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法などのソフトリソグラフィーの手法なども挙げられる。これらの手法は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合してパターニングを行うことも可能である。
【0076】
絶縁層としては、無機酸化物や有機化合物皮膜などの種々の絶縁膜を用いることができる。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられ、好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物が挙げられる。有機化合物皮膜としては、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、シアノエチルプルランなどが挙げられ、好ましくは、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコールが挙げられる。
これらの絶縁層材料は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。絶縁層の膜厚は、材料によっても異なるが、通常0.1nm〜100μmであり、好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
【0077】
絶縁層の形成方法としては、公知の種々の方法を用いることができる。具体的には、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティングなどの塗布法、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェットなどの印刷法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコンの熱酸化膜のように金属上に酸化物膜を形成する方法などが挙げられる。
【0078】
基板としては、ガラス、紙、石英、セラミック、又はフレキシブルな樹脂の基板材料から構成された板又はシートなどが挙げられる。樹脂フィルムとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などが挙げられる。基板の厚さとしては1μm〜10mmが好ましく、5μm〜5mmがさらに好ましい。
【0079】
有機半導体層と接触する絶縁体層や基板の部分において、絶縁体層や基板上に表面処理を行ってもよい。半導体層が積層される絶縁体層上に表面処理を行うことにより、素子のトランジスタ特性を向上させることができる。表面処理としては、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシランなどによる疎水化処理、塩酸、硫酸、過酸化水素水などによる酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどによるアンモニア処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴンなどのプラズマ処理、ラングミュラー・ブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体等や半導体の薄膜の形成処理、機械的処理、コロナ放電などの電気的処理、繊維などを利用したラビング処理などが挙げられ、2種類以上を処理法を組み合わせて使用してもよい。
表面処理を行う方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法などが挙げられる。
半導体層上に樹脂もしくは無機化合物からなる保護膜を設けてもよい。保護膜の形成により、外気の影響を抑制してトランジスタの駆動を安定化することができる。
【0080】
本発明の有機トランジスタは、例えば、液晶表示素子、有機電界発光素子、電子ペーパー、センサー、RFIDs(radio frequency identification cards)などの有機半導体デバイスに使用することができる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例により更に詳しく説明する。
なお、反応の進行の確認は高速液体クロマトグラフィー(LC)分析を用いた。
1.高速液体クロマトグラフィー分析
装置 島津LC10AT
カラム 化学物質評価機構製、L−column ODS、内径4.6mm、長さ15cm
リサイクル分取高速液体クロマトグラフィー精製は以下の装置、カラムを用いた。
装置 LC−250HS(日本分析工業社製)
カラム 日本分析工業社製、JAIGEL−ODS−AP−50L、内径50mm、長さ25cm
また、各実施例において生成物の同定は以下の装置により測定によって決定した。
1.H−NMR:EX270(日本電子株式会社製)
2.LC−HRMS:装置 QSTAR XL(Applied Biosystems社製)カラム 化学物質評価機構製、L−column ODS、内径4.6mm、長さ15cm
【0082】
[製造例1:1、4−ビス(3−ブロモチオフェン−2−イル)−2、5−ジブロモベンゼン(化合物番号(2−1−1))の製造]
1、4−ビス(3−ブロモチオフェン−2−イル)−2、5−ジブロモベンゼンは、WO2010031480を参考に以下の通り調製した。なお、原料である1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンは1,4−ジブロモベンゼンをヨウ素と反応させることで調製した(J.Org.Chem.、1985年、3104頁参照)。
攪拌子、温度計、コンデンサー、滴下ロートを取り付けた1000mL4つ口フラスコに2、3−ジブロモチオフェン(東京化成製、22.3g、92.3mmol)を仕込み、系内を窒素置換し、脱水テトラヒドロフラン240mlを室温(約25℃)にてシリンジにより加えた。溶液を−78℃まで冷却し、イソプロピルマグネシウムブロミド(東京化成製、1.00M)を含むテトラヒドロフラン溶液(92.3ml、92.3mmol)を同温にて滴下ロートより1時間かけて加え、同温で30分間攪拌した。溶液に塩化亜鉛(アルドリッチ製、1.00M)を含むジエチルエーテル溶液(92.3ml、92.3mmol)を−78℃にて滴下ロートより1時間かけて加え、同温で10分間攪拌した。溶液を室温まで徐々に昇温した後、溶媒を減圧下で留去して白色結晶を得た。この結晶に1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼン(15.0g、30.8mmol)、テトラキストリフェニルホスフィン(東京化成製、3.5g、3.1mmol)を仕込み、系内を窒素置換し、脱水テトラヒドロフラン240mlをシリンジにより加え、還流下、7時間攪拌した。溶液を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。濃縮残渣に10%塩化アンモニウム水溶液(重量比)及びトルエンを加えて分液し、得られたトルエン層を、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物にヘキサンを加えて10分間還流後、室温まで冷却し、混合物を濾過し、濾上物を減圧下で乾燥した。乾燥した濾上物にクロロホルムを加えて10分間還流後、室温まで冷却し、混合物を濾過し、濾上物を減圧下で乾燥することで、1、4−ビス(3−ブロモチオフェン−2−イル)−2、5−ジブロモベンゼン(12.3g、22.0mmol)の白色結晶を1,4−ジブロモ−2,5−ジヨードベンゼンに対する収率71%で得た。なお、その構造式を下記に示す。

1、4−ビス(3−ブロモチオフェン−2−イル)−2、5−ジブロモベンゼンの物性は以下の通りであった。
H−NMR(δ、CDCl):7.09(d、2H)、7.42(d、2H)、7.71(s、2H)
【0083】
[実施例1:化合物(1−1−26)の製造例]
攪拌子、温度計、コンデンサーを取り付けた500mL4つ口フラスコに化合物(2−2−1) 10.00g(17.92mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(3.28g、3.69mmol)、トリtert−ブチルホスフィン(1.45g、7.17mmol)、パラ−ドデシルアニリン(18.74g、71.69mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(10.33g、107.54mmol)及び脱水トルエン300mlを窒素雰囲気下で仕込み、窒素雰囲気下で80℃に昇温して同温で24時間攪拌した。得られた反応マスを室温まで冷却した後、水及びトルエンを加えて分液し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧下で留去し、固体を得た。該固体についてトルエンを用いて再結晶を2回繰り返した後、得られた結晶をテトラヒドロフランに溶解し、該溶解液に活性炭を加え、室温で30分間攪拌した後、濾過した。得られた濾液から溶媒を減圧下で留去し、得られた結晶についてトルエンを用いて再結晶することで、式(1−1−26)

で表される化合物(4.29g、5.67mmol、以下、化合物(1−1−26)と記すことがある。尚、この番号は表2の化合物番号に対応する。)の白黄色結晶を収率32%で得た。
【0084】
化合物(1−1−26)の物性は以下の通りであった。
H−NMR(δ、テトラヒドロフラン−d):0.90(t、6H)、1.23〜1.53(m、40H)、2.75(t、4H)、7.11(d、2H)、7.42(d、2H)、7.45(d、4H)、7.62(d、4H)、7.69(s、2H)
LC−HRMS(APPI+):calcd for C5065、757.4583;found 757.457
【0085】
[実施例2:化合物(1−1−14)の製造例]
攪拌子、温度計、コンデンサーを取り付けた300mL4つ口フラスコに、化合物(2−2−1) 5.00g(8.96mmol)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.64g、1.79mmol)、ラセミ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(2.23g、3.59mmol)、ドデシルアミン(6.64g、35.85mmol)、ナトリウムtert−ブトキシド(5.17g、53.77mmol)及び脱水トルエン150mlを窒素雰囲気下で仕込み、窒素雰囲気下で還流するまで昇温して同温で8時間攪拌した。得られた反応マスを室温まで冷却した後、水及びトルエンを加えて分液し、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧下で留去し、固体を得た。得られた固体を、容積比0.2%のトリエチルアミンを添加したヘキサン及びトルエン混合溶媒を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにて分離精製し、得られた混合物をヘキサン及びトルエン混合溶媒で再結晶した。得られた結晶を更にリサイクル分取高速液体クロマトグラフィー(移動層;テトラヒドロフラン、アセトニトリル混合溶媒)で精製することで、式(1−1−14)

で表される化合物(0.67g、1.11mmol。尚、この番号は表1の化合物番号に対応する。)の白黄色結晶を収率12%で得た。
【0086】
前記式(1−1−14)で表される化合物の物性は以下の通りであった。
H−NMR(δ、テトラヒドロフラン−d):0.88(t、6H)、1.20〜1.45(m、36H)、1.84〜1.98(m、4H)、4.38(t、4H)、7.15(d、2H)、7.38(d、2H)、7.71(s、2H)
LC−HRMS(APPI+):calcd for C3857、605.3957;found 605.3944
【0087】
[実施例3:化合物(1)の導電性薄膜を有機半導体層とする有機半導体トランジスタの製造例]
ガラス基板上に、リフトオフプロセスまたはフォトリソグラフィを用いて、クロム、金の順に蒸着して、ソース及びドレイン電極を設置した。この時のクロム層の厚さは5nm、金層の厚さは40nmであった。電極設置後、基板をアセトン、イソプロピルアルコールの順で超音波洗浄を行い、乾燥後、酸素プラズマにてクリーニングを行った後、脱水操作のために80℃で5分間加熱した。この時のチャネル幅は2mm、チャネル長は100μmであった。チャネル部分にフェネチルトリクロロシラン処理を、電極部分にペンタフルオロベンゼンチオール処理を行った後、窒素雰囲気下にて、実施例1で製造した化合物(1−1−26)の0.4wt%のo−キシレン溶液を滴下し、スピンコート法により有機層を、次に有機層の上に、フッ素系ポリマーを含有する溶液を滴下し、スピンコート法により絶縁層を形成した。この時の化合物(1−1−26)の膜厚は25nm、絶縁層の膜厚は300nmであった。絶縁層の上にシャドーマスクを用いて、クロム、アルミニウムの順に蒸着してゲート電極を設置し、図2に示すような有機トランジスタを得た。この時のクロム層の厚さは5nm、アルミニウム層の厚さは200nmであった。
【0088】
次に、得られた有機トランジスタの電気特性を測定した。化合物(1−1−26)の薄膜を有機半導体層にもつ有機トランジスタは、p型の有機トランジスタであることを確認することができた。さらに、有機トランジスタのキャリアの飽和電界効果移動度μは、有機トランジスタの電気的特性の飽和領域におけるドレイン電流Idを表す式
Id=(W/2L)μCi(Vg−Vt) ・・・( a )
を用いて算出した。ここで、L及びWは、それぞれ、有機トランジスタのゲート長及びゲート幅であり、Ciは、ゲート絶縁膜の単位面積当たりの容量であり、Vgは、ゲート電圧であり、Vtは、ゲート電圧のしきい値電圧である。式(a)を用いて、製造した薄膜を有機半導体層にもつ有機トランジスタのキャリア移動度μを計算した結果、キャリア移動度は0.25(cm/V・s)であった。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明によれば、キャリア移動度がさらに向上した有機半導体デバイス、該デバイスに含まれる薄膜及び該薄膜に含まれる化合物が提供可能である。
【符号の説明】
【0090】
11 基板
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 有機半導体層
21 基板
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 ゲート絶縁膜
25 ゲート電極
26 有機半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、及びSOを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。)
で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項2】
前記式(1)において、X及びYが硫黄原子であることを特徴とする請求項1記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項3】
前記式(1)において、R及びRが、水素原子又はハロゲン原子であり、R及びRが、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数7〜30のアリール基又は炭素数5〜30のヘテロアリール基(該アリール基及び該ヘテロアリール基はアルキル基又はアルコキシ基を有する。該アルキル基及び該アルコキシ基にはフッ素原子を有していてもよい。)であることを特徴とする請求項1又は2記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項4】
前記式(1)において、R及びRが水素原子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項5】
前記式(1)において、R〜Rが水素原子又はハロゲン原子であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項6】
前記式(1)において、R及びRがアルキル基(該アルキル基はフッ素原子を有していてもよい)を有する炭素数7〜26のアリール基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項7】
前記式(1)において、R及びRがフッ素原子を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物を含む薄膜。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物からなる薄膜。
【請求項10】
請求項8又は9記載の薄膜を含む有機トランジスタ。
【請求項11】
請求項8又は9記載の薄膜を含む有機半導体デバイス。
【請求項12】
式(2)

(式中、X及びYは、それぞれ独立して、硫黄原子、酸素原子、セレン原子、テルル原子、及びSOを表す。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜30のアリール基又は炭素数4〜30のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。
〜R12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子を表す。)
と、式(3)
13−NH (3)
(式中、R13は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数1〜30のアルコキシ基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数1〜30のアルキルチオ基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロアリール基を表す。該アリール基及び該ヘテロアリール基には、フッ素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アルキニル基又はアルキルチオ基を有していてもよい。該アルキル基、該アルコキシ基、該アルケニル基、該アルキニル基又は該アルキルチオ基には、フッ素原子を有していてもよい。)
で示されるアミン化合物とを反応させる工程を含むことを特徴とする式(1’)

(式中、X、Y、R〜R及びR13は、前記と同じ定義である。)
で表されるジカルコゲノベンゾジピロール化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか記載のジカルコゲノベンゾジピロール化合物及び有機溶媒を含むことを特徴とする組成物。
【請求項14】
請求項13記載の組成物を基板又は絶縁層上に塗布する工程と、基板又は絶縁層上に塗布された塗布膜を乾燥する工程とを含むことを特徴とする薄膜の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−167031(P2012−167031A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26888(P2011−26888)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】