説明

ジクロフェナク誘導体に基づく医薬組成物

本発明は、任意に1以上の界面活性剤と混合される薬物2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子、および第2の薬物と任意に組合せてもよい該粒子を含む新しい薬物送達組成物に関する。
さらに、本発明は、前記粒子および薬物送達組成物の製造方法ならびに薬剤の製造における該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意に1以上の界面活性剤と混合される薬物2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子、およびその粒子と任意に第2の薬物と組合せからなる新しい薬物送達組成物に関する。
さらに、本発明は、前記粒子および薬物送達組成物の製造方法ならびに薬剤の製造における該組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、そして以後NSAIDsとして略される非ステロイド性抗炎症剤は、疼痛および炎症の治療のために周知の薬物である。NSAIDsの主な欠点の一つは、それらがひどい胃腸の副作用を有することである。ナプロキセンのようなNSAIDsを用いる治療を長期間うける患者は、しばしば胃腸の副作用のせいで問題を経験する。
【0003】
酸化窒素が寄与したNSAID薬物(以下、NO-寄与NSAIDs (NO-donating NSAIDs))は、改善された副作用プロファイルを有することが見出された。例えば、WO 94/04484、WO 94/12463、WO 95/09831およびWO 95/30641参照。
【0004】
NO-寄与NSAIDsは、僅かな水溶性を有する親油性薬物である。これらの薬物の生物薬剤学的な問題は、胃腸管(GIT)からのそれらの吸収が、限定された吸収速度であり得、結果として経口投与に基づく生物学的利用能が乏しくなることである。
【0005】
低い融点を有する薬物の取扱いにおける問題に対する有利な解決は、例えばWO 01/66087に記載されているような、通常SEDDSとして公知の自己乳化性薬物送達システムを形成することである。より具体的には、SEDDSは、1以上のNO-寄与NSAID(s);1以上の界面活性剤を含み;そして任意の油または半固体油脂を含んでもよいエマルジョン予濃縮物(pre-concentrate)の形態にある経口投与に好適な医薬組成物である。この組成物は、そのままで、胃腸体液のような水性媒体との接触に基づいて水中油型エマルジョンを形成する。この予濃縮エマルジョンは、通常、従来のカプセル中に充填されている。
【0006】
エマルジョンまたは予濃縮物は、医薬業界において好ましい組成物ではない。例えば一つの欠点は、おそらくそのような製剤の安定性である。錠剤およびカプセルは、薬物送達組成物の大規模製造の観点からしばしば好まれる。
【0007】
油性、粘着性成分を含む錠剤化された組成物およびそのような組成物の製造は、WO 99/27912およびWO 99/27913に記載されている。これらの公報は、不溶性無機担持体中/上への油性の粘着性成分の吸収を記載している。
【0008】
以後、「薬物」として言及するNO-寄与NSAID、またはNO-寄与ジクロフェナク、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートは、水の中で低い溶解度および低い融点を有する。水の中での低い溶解度の理由で、胃腸管(GIT)からの薬物の吸収は、限定された溶解速度であり得る。
【0009】
この低い融点は、薬物と賦形剤との混合物の顆粒化および打錠成型のような従来の医薬組成物の製造中に問題を引き起こし得る。これは大規模生産について特に真実である。錠剤圧縮における高温は、薬物を溶融し得、次いで、錠剤打ち抜き機に張り付く。これを避ける一つの方法は、適当な賦形剤で活性な薬物を「希釈」することである。多量の賦形剤は、今度は、錠剤またはカプセルのような薬物送達組成物の受け入れがたい大きさに帰結する。
【0010】
薬物が組成物から容易に放出されるとすれば、薬物の生物学的利用能は改善される。薬物の放出は、特に、組成物中の薬物粒子の大きさに依存する。薬物粒子が小さければ小さいほど、組成物からの薬物の放出はよい。薬物が溶融し、担持体粒子中/上に、吸収/吸着され、次いで再結晶化される方法は、薬物粒子サイズの大幅な減少を導く。これは、今度は、組成物からの薬物の放出速度を増加する。
【0011】
驚くべきことに、薬物の低い融点と低い生物学的利用能に関する問題が、本発明の薬物送達組成物により克服されることが、見出された。
【0012】
本発明の詳細な説明
2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートは、僅かな水溶性と低い融点を有する親油性薬物である。この薬物は、Amidonら(Pharm. Res. 12 (1995) 第413-420頁)により提案されている生物薬剤学分類システムに従って、2つのクラスに分類され得る。このクラスの化合物は、それらの低い水溶性ではあるが、相当に十分な透過性(permeability)により特徴付けられている。これらの薬物にとっての生物薬剤学的問題は、胃腸管(GIT)からのそれらの吸収が、限定された溶解速度であり得、結果として経口投与に基づく僅かな生物学的利用能になることである。本発明の一つの目的は、満足のいく生物学的利用能を有する経口薬物送達組成物を提供することである。
【0013】
最初に薬物を溶融し、引き続き水溶性担持体粒子上および/または中に吸着/吸収させることにより、薬物の溶解速度は増大する。
担持体粒子中への薬物の吸収は、粘着性を避けるために必要とする賦形剤の量を減少できる。
さらに、水溶性粒子は胃腸管において溶解し、それによって組成物からの薬物の放出が増大する。
【0014】
活性薬物
NO寄与NSAID 2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートおよびその製造方法は、WO 95/30641に開示されている。
【0015】
薬物送達組成物
親油性薬物2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートは、この薬物を溶融し、それを水溶性担持体上/中に吸着/吸収させることにより、製剤化され得ることが見出された。薬物にとって有益な担持体は、親油性薬物が粒子上/中に吸着および/または吸収することが可能な大きな総表面積のような特性を有する担持体粒子である。また、その粒子は水中で容易に溶解もしなければならない。
【0016】
この溶融方法の長所は、吸着されおよび/または吸収され、再結晶化した薬物が、純粋な薬物と比較して非常に小さい粒子サイズを有することである。これは、今度は、溶解速度における相当な増加を導く。水溶性粒子の使用は、薬物を溶融し、水中で僅かな溶解度を有する粒子に吸着および/または吸収させたときの場合と比べて、溶解速度をさらに増加する。
【0017】
本発明の薬物送達組成物用に用いられる粒子は、多孔性または非多孔性であり得る。非多孔性粒子が用いられるとき、薬物は粒子上にのみに吸着される。多孔性粒子が用いられるとき、薬物は粒子中に吸収され、かつ粒子表面上に吸着される。
この出願を通して、用語「粒子」は、非多孔性および多孔性粒子の両方、ならびにそれらの混合物を含む。
【0018】
本発明の一つの態様は、非多孔性粒子上に吸着されている2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、多孔性粒子中および多孔性粒子上に吸収され、吸着されている2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む薬物送達組成物に関する。
【0019】
本発明のさらなる態様は、粒子中/上に吸収され/吸着されている溶融形態にある2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む薬物送達組成物に関する。
【0020】
薬物を吸着し/吸収するために用いられる粒子の材料は、マンニトールもしくは乳糖、または乳糖もしくはマンニトールと、微結晶性セルロース、セルロースもしくは澱粉との混合物のような材料から選択され得る。
本発明の一つの態様は、粒子の材料がマンニトールおよび乳糖からなる群から選択され、任意に、微結晶性セルロース、セルロースおよび澱粉からなる群から選択される1以上の物質とのの混合である本発明による薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、粒子の材料が、マンニトール、とりわけパーリトール(Pearlitol (登録商標))のような顆粒化された純粋なマンニトールである本発明による薬物送達組成物に関する。
【0021】
担持体として用いられる粒子材料は、20〜500μmの間の粒子サイズ、とりわけ50〜150μmの間のサイズを有するべきである。
したがって、本発明の組成物に用いられる粒子の95%は、上記の範囲内のサイズを有するべきである。
本発明の一つの態様は、粒子が50〜500μmの間のサイズを有する本発明による薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、粒子が100〜150μmの間のサイズを有する本発明による薬物送達組成物に関する。
【0022】
多孔性粒子の孔径は、10〜1000Åの間、とりわけ20〜750Åの間、そして最も好適には50〜500Åの間にあるべきである。
したがって、本発明の組成物に用いられる粒子の95%は、上記の範囲内に孔径を有するべきである。
本発明の一つの態様は、粒子が10〜1000Åの間の孔径を有する本発明の薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、粒子が20〜750Åの間の孔径を有する本発明の薬物送達組成物に関する。
薬物は、単独の薬物として;SEDDs製剤として;または微細な分散体もしくは溶解している薬物としてのどちらかで、溶融され、多孔性粒子上/中に吸着され/吸収され得る。
【0023】
界面活性剤
組成物からの薬物の放出速度は、1つ以上の界面活性剤の存在または非存在により影響され得る。放出特性が1つ以上の界面活性剤の添加により変化され得ることが示された。好適な界面活性剤が、薬物と一緒に薬物送達組成物中に存在すれば、放出の速度は増加され得る。
【0024】
本発明の一つの態様は、1以上の界面活性剤との混合物中にある2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子を含む薬物送達組成物に関する。
【0025】
本発明のもう一つの態様は:
a) 2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートおよび1以上の界面活性剤を含む粒子、
および
b) 界面活性剤なしに2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子、
の組合せを含む薬物送達組成物に関する。
【0026】
そのような薬物送達組成物は、例えば薬物を1以上の界面活性剤と一緒に含む粒子からの放出による最初の迅速な開始、引き続く薬物を単独で含む粒子からの遅延放出による薬物の、より促進された放出を与える。
【0027】
用語「界面活性剤」は、表面活性の両親媒性薬剤として定義されている。好適な界面活性剤は非イオン性界面活性剤であり、例えばポリエチレングリコール(PEG)鎖、とりわけポロキサマー類(poloxamers)のようなブロックコポリマー類を含むものである。
本発明の一つの態様は、界面活性剤が非イオン性界面活性剤である1以上の界面活性剤と薬物を含む薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、界面活性剤がポロキサマー(類)である1以上の界面活性剤と薬物を含む薬物送達組成物に関する。
本発明のさらなる態様は、界面活性剤の1つがポリオキシエチレン ポリオキシブチレンブロックコポリマーである1以上の界面活性剤と薬物を含む薬物送達組成物に関する。
【0028】
本発明の薬物送達組成物に用いられ得るポロキサマー類は、ポロキサマー407 (プルロニック(Pluronic) F127 (登録商標))、ポロキサマー401 (プルロニックL121 (登録商標))、ポロキサマー237 (プルロニックF87 (登録商標))、ポロキサマー338 (プルロニックF108 (登録商標))、ポロキサマー331 (プルロニックL101 (登録商標))、ポロキサマー231 (プルロニックL81 (登録商標))、エチレンジアミンの4官能性ポリオキシエチレン ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、例えばポロキサミン(Poloxamine) 908 (テトロニック(Tetronic) 908 (登録商標))、ポロキサミン1307 (テトロニック1307 (登録商標))、ポロキサミン1107、ポリオキシエチレン ポリオキシブチレンブロックコポリマー、例えばポリグリコールBM45 (登録商標)からなる群から選択され得る。このリストは、多少なりとも余すところがないものとしてまたは本発明を限定するものとして考慮されるべきではない。
【0029】
本発明の一つの態様は、界面活性剤が、ポロキサマー407、ポロキサマー401、ポロキサマー237、ポロキサマー338、ポロキサマー331、ポロキサマー231、ポロキサミン908、ポロキサミン1307、ポロキサミン1107およびポリオキシエチレン ポリオキシブチレンブロックコポリマー、またはそれらの混合物からなる群から選択される1以上の界面活性剤と薬物を含む薬物送達組成物に関する。
【0030】
上記の全ての界面活性剤は、例えばBASF、Dow ChemicalsまたはGattefosseから、市場で入手可能である。本発明の薬物送達組成物に用いられる界面活性剤の総量は、2 mg〜10 g、とりわけ20〜1000 mgの範囲内であり得る。
薬物:界面活性剤の比は、1:0.1〜1:10 (w/w)、とりわけ1:0.3〜1:3 (w/w)を変化し得る。
本発明の一つの態様は、薬物:界面活性剤の比が1:0.1〜1:10 (w/w)である薬物送達組成物に関する。
本発明のもう一つの態様は、薬物:界面活性剤の比が1:0.3〜1:3 (w/w)である薬物送達組成物に関する。
さらに、本発明の薬物送達組成物は、任意に1以上の界面活性剤と一緒でもよい、1以上の活性薬物と2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートとの組合せを含み得る。
【0031】
粒子の製造
粒子上/中への薬物の混入は、従来の公知方法により成し遂げられ得る。
【0032】
界面活性剤無しで
薬物を含む粒子は、異なった方法、例えば薬物を粒子と一緒に直接混合する、例えばモーター中、その後薬物を溶融することにより製造され得る。
あるいは、薬物は、粒子と混合する前に溶融され得る。
また、薬物は好適な溶媒にも溶解され得る。次いで、粒子を、その後薬物が吸着/吸収された粒子に加えてもよい。次いで、溶媒を蒸発させ、粒子を捕集する。
【0033】
本発明の一つの態様は、溶融形態にある2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートと粒子との混合からなる薬物を含む粒子の製造方法に関する。
【0034】
本発明のもう一つの態様は:
a) 薬物を溶融し、
b) 粒子を添加し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物を含む多孔性粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子の製造方法に関する。
【0035】
本発明のさらなる態様は、:
a) 薬物を粒子と混合し、
b) 得られた混合物を溶融し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物を含む粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子の製造方法に関する。
【0036】
界面活性剤と一緒に
薬物を1以上の液体界面活性剤と混合し、次いで粒子上/中へ、吸着/吸収させる。界面活性剤は、固体または液体の形態であり得る。必要であれば、粒子の添加前の薬物と界面活性剤との均一な混合物を得るために混合する前に、材料を溶融してもよい。
【0037】
本発明の一つの態様は:
a)とb)は任意の順序で、
a) 薬物と界面活性剤を溶融し、
b) 粒子を添加し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物と界面活性剤を含む粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートと1以上の界面活性剤とを含む粒子の製造方法に関する。
【0038】
薬物は、工程の開始前に任意に予熱してもよい。
本発明の一つの態様は、工程a)における薬物が、予熱される上記の方法のいずれか一つに関する。
【0039】
薬物送達組成物の製造
界面活性剤と一緒にまたは界面活性剤なしに薬物を含む粒子は、薬物を含む粒子を界面活性剤と一緒にまたは界面活性剤なしに、増量剤、結合剤、崩壊剤のような医薬的に許容な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体と一緒に混合することにより、その後の得られる混合物の好適な薬物送達組成物中への処方により製剤化され得る。
好適な薬物送達組成物の例はカプセルおよび錠剤である。錠剤は、直接打錠によりまたは顆粒化後に得ることができる。
界面活性剤と一緒にまたは界面活性剤なしに薬物を含む粒子は、例えばサッシェ中にも使用できる。
医薬的に許容な任意の希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体との混合でもよい薬物を含む粒子は、サスペンジョンを形成させるために水溶液中に分散させてもよい。
【0040】
任意に界面活性剤と一緒にまたは界面活性剤なしに薬物を含んでもよい粒子は、好適な薬物送達組成物に製剤化される前に、第2の活性薬物と混合され得る。
【0041】
それに制限されないが、好適な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体の例は、コロイド状シリカ、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリビドン(polyvidon) XL、ポリビドンK-30のようなポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびナトリウムカルボキシメチルセルロース(NaCMC)のようなセルロース誘導体、微結晶性セルロース、マンニトールおよび乳糖である。
【0042】
本発明の一つの態様は、任意に1以上の界面活性剤との混合物中にあってもよい薬物を含む粒子が、医薬的に許容な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体と一緒に混合されている薬物送達組成物に関する。
【0043】
本発明のもう一つの態様は、任意に1以上の界面活性剤との混合物中にあってもよい薬物を含む粒子が、錠剤に製剤化されている薬物送達組成物に関する。
【0044】
本発明のもう一つの態様は、任意に1以上の界面活性剤との混合物中にあってもよい薬物を含む粒子が、カプセル中に充填されている薬物送達組成物に関する。
【0045】
本発明のさらにもう一つの態様は、任意に1以上の界面活性剤との混合物中にあってもよい薬物を含む粒子が、水溶液中に懸濁されている薬物送達組成物に関する。
【0046】
本発明のさらなる態様は:
a) 上記の方法のいずれか一つにより得られる粒子と、医薬的に許容な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体とを混合し、
b) 得られた混合物を水で顆粒化し、
c) 顆粒を乾燥し、
d) 任意に、顆粒とさらなる希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体を混合し、および
e1) カプセル中へ顆粒を充填する、
または
e2) 顆粒を錠剤へ圧縮する、
ことからなる薬物送達組成物の製造方法に関する。
【0047】
粒子、カプセルおよび錠剤は、当業者に周知の方法で被覆され得る。
カプセル内への充填、錠剤への圧縮および被覆は、投与後に薬物送達組成物の放出特性に実質的に影響を及ぼさないそのような方法で、好ましくは行なわれる。
【0048】
製造された粒子、カプセルおよび錠剤は、体裁を改善するために、従来のフィルム膜または糖衣で被覆することができる。フィルム膜用の好適な層化材料は、それに限定されることはないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースもしくはエチルセルロースのようなセルロースの誘導体およびアクリル酸をベースとするポリマー類である。
糖衣は、粒子、カプセルまたは錠剤に対するショ糖をベースとする溶液の連続的な適用を含む。
【0049】
本発明の一つの態様は、被覆されているカプセルおよび錠剤の形態にある薬物送達組成物に関している。
【0050】
小腸において薬物の放出が所望されるとき、任意に1以上の界面活性剤との混合物中にあってもよい薬物を含む粒子は、腸溶性被覆され得る。
【0051】
本発明のもう一つの態様は、分割可能な薬物送達組成物、例えば分割可能な錠剤に関する。
【0052】
本発明の薬物送達組成物に用いられる薬物の総量は、単位投与量当たり20 mg〜1 gの間、とりわけ25〜600 mgの間、より具体的には50〜200 mgの間であり得る。
【0053】
使用
本発明の一つの態様は、疼痛および/または炎症の治療における使用のための本発明の薬物送達組成物に関する。
【0054】
本発明のもう一つの態様は、疼痛および/または炎症の治療用医薬の生産のための本発明による薬物送達組成物の使用に関する。
【0055】
本発明のさらなる態様は、本発明による薬物送達組成物を、疼痛および/または炎症の治療を必要とする患者への投与を含む疼痛および/または炎症の治療方法に関する。
【0056】
本明細書の文脈において、用語「治療上」および「治療」は、それとは反対に特定の指示がない限り、防止および予防を含む。
【実施例】
【0057】
薬物、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む可溶性粒子を含む散剤は、以下のように薬物を粒子と一緒に混合して作製した。
【0058】
A) 薬物 / パーリトール(登録商標) 100 SD 1/3
薬物 1 g
パーリトール(登録商標) 3 g
薬物を75℃で溶解し、均一な粉末が得られるまでパーリトール(登録商標)と混合する。粉末混合物を撹拌する間に冷却する。続いて、その粉末を硬ゼラチンカプセル内に充填した。
【0059】
B) 薬物 / パーリトール(登録商標) 100 SD 1/2.8
薬物 10.5 g
パーリトール(登録商標) 29.5 g
微結晶性セルロース 0.62 g
ポリビドンXL 0.63 g
ポリビドンK-30 0.41 g
コロイド状シリカ 0.38 g
フマル酸ステアリルナトリウム 0.20 g
精製水 11.2 g
【0060】
薬物とパーリトール(登録商標)とを強力ミキサー中で混合した。その混合物を、薬物が完全に溶融するまで連続的な混和下で75℃に加熱した。その混合物を室温に冷却し、得られた粉末を0.355 mm篩を通して篩にかけた。篩にかけた粉末37.8 gを強力ミキサー中、微結晶性セルロース、ポリビドンXLおよびポリビドンK-30と一緒に混合した。その粉末を少量の水を用いて湿式造粒した。その粒状物を45℃で一夜乾燥した。乾燥した粒状物にコロイド状シリカを加え、粉末を5分間混合した。その混合物にフマル酸ステアリルナトリウムを加え、1分間撹拌した。その造粒物を硬ゼラチンカプセル内に充填した。
【0061】
結果
溶解速度をUSP (米国薬局方、パドル法)に従ってモニターした。溶解媒体は37℃の温度を有していた。用いられた媒体は、臭化セチルトリメチルアンモニウム8.8 mg/リットルを含む0.01 M HCl(水性)であった。吸収の増加は薬物送達組成物からの薬物の放出に対応していた。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子上/中に、吸着/吸収されている溶融形態にある2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む薬物送達組成物。
【請求項2】
粒子の材料がマンニトールおよび乳糖からなる群から選択され、任意に、微結晶性セルロース、セルロースおよび澱粉からなる群から選択される1以上の物質との混合である請求項1に記載の薬物送達組成物。
【請求項3】
粒子が50〜500μmの間のサイズを有する請求項1または2のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項4】
粒子が100〜150μmの間のサイズを有する請求項3に記載の薬物送達組成物。
【請求項5】
粒子が10〜1000Åの間の孔径を有する請求項1〜4のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項6】
粒子が20〜750Åの間の孔径を有する請求項5に記載の薬物送達組成物。
【請求項7】
1以上の界面活性剤との混合で2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子を含む請求項1〜6のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項8】
a) 2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートと1以上の界面活性剤を含む粒子、および
b) 界面活性剤なしに、2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子
の組み合わせからなる請求項1〜6のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項9】
界面活性剤が非イオン性界面活性剤である請求項7および8に記載の薬物送達組成物。
【請求項10】
界面活性剤がブロックコポリマーである請求項9に記載の薬物送達組成物。
【請求項11】
界面活性剤がポロキサマーである請求項9に記載の薬物送達組成物。
【請求項12】
薬物:界面活性剤の比が1:0.1〜1:10 (w/w)である請求項7および8に記載の薬物送達組成物。
【請求項13】
任意に1以上の界面活性剤との混合で薬物を含む粒子が、医薬的に許容な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体と混合されている請求項1〜12のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項14】
薬物を含む粒子が錠剤に製剤化されている請求項1〜13のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項15】
薬物を含む粒子が、カプセル中に充填されている請求項1〜13のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項16】
薬物を含む粒子が水溶液中に懸濁されている請求項1〜13のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項17】
被覆されている請求項14および15に記載の薬物送達組成物。
【請求項18】
疼痛および/または炎症の治療における使用のための請求項1〜17のいずれか一つに記載の薬物送達組成物。
【請求項19】
疼痛および/または炎症の治療用医薬の製造のための請求項1〜17のいずれか一つに記載の薬物送達組成物の使用。
【請求項20】
請求項1〜17のいずれか一つに記載の薬物送達組成物を、疼痛および/または炎症の治療を必要とする患者への投与を含む疼痛および/または炎症の治療方法。
【請求項21】
溶融形態にある薬物と粒子との混合とからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子の製造方法。
【請求項22】
a) 薬物を溶融し、
b) 粒子を添加し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物を含む多孔性粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子の製造方法。
【請求項23】
a) 薬物を粒子と混合し、
b) 得られた混合物を溶融し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物を含む粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートを含む粒子の製造方法。
【請求項24】
a)とb)は任意の順序で、
a) 薬物と界面活性剤を溶融し、
b) 粒子を添加し、
c) 得られた混合物を撹拌し、
d) 薬物と界面活性剤を含む粒子を回収する、
ことからなる2-[2-(ニトロオキシ)エトキシ]エチル [2-[(2,6-ジクロロフェニル)アミノ]フェニル]アセテートと1以上の界面活性剤とを含む粒子の製造方法。
【請求項25】
工程a)における薬物が、予熱されている請求項22〜24のいずれか一つに記載の方法。
【請求項26】
a) 請求項21〜25の方法のいずれか一つに記載により得られる粒子と、医薬的に許容な希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体とを混合し、
b) 得られた混合物を水で顆粒化し、
c) 顆粒を乾燥し、
d) 任意に、顆粒とさらなる希釈剤、賦形剤および/または不活性担持体を混合し、および
e1) カプセル中へ顆粒を充填する、
または
e2) 顆粒を錠剤へ圧縮する、
ことからなる請求項14または15に記載の薬物送達組成物の製造方法。

【公表番号】特表2007−521267(P2007−521267A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517054(P2006−517054)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001017
【国際公開番号】WO2004/112753
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】