説明

ジケトピペラジン類の使用方法とジケトピペラジン類を含む組成物

【課題】 血小板活性化因子(PAF)によって仲介される疾患もしくは状態(特に炎症)を治療する方法、血小板凝集を阻害する方法及び細胞によるインターロイキン8(IL−8)の産生および放出の少なくともいずれかを阻害する方法を提供すること。
【解決手段】 PAFの作用ならびにIL−8の産生および/または放出は、本発明に従い、RおよびRが明細書中で定義される式(1)の化合物、または生理学的に許容可能なその塩並びに同化合物からなる医薬組成物によって阻害される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ある種のジケトピペラジン類を用いて血小板活性化因子の作用を阻害する方法に関する。また本発明はこれらのジケトピペラジン類を用いてインターロイキン8(IL−8)の産生および放出の少なくともいずれかを阻害する方法にも関する。最後に、本発明は該ジケトピペラジン類を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
血小板活性化因子(PAF;1−O−アルキル−2−アセチル−sn−グリセロール−3−ホスホリルコリン)は、多様な生物活性を有する強力な炎症性リン脂質メディエーターである。血小板活性化因子は、好塩基球、単球、マクロファージ、多形核白血球、好酸球、好中球、ナチュラルキラーリンパ球、血小板、および内皮細胞だけでなく、適切な免疫学的および非免疫学的刺激下にある腎組織および心組織からも産生および放出される。特許文献1を参照のこと。PAFは各種の細胞および組織に見出される特異的なPAF受容体に結合することにより生物学的応答を仲介する。PAFおよびその類縁体に関する構造活性研究により、PAFの上記受容体への結合能は構造特異的かつ立体特異的であることが示されている。特許文献1を参照のこと。
【0003】
PAFが重要な生物学的応答を仲介する一方、PAFはまた病理学的な免疫反応および炎症反応においても役割を担っていると思われる。多くの発表された研究が、関節炎、急性炎症、喘息、アレルギー反応、心血管系疾患、腫瘍性疾患、エンドトキシンショック、疼痛、乾癬、眼部炎症、虚血、胃腸潰瘍、心筋梗塞、炎症性腸疾患、急性呼吸窮迫症候群を含む疾患におけるPAFの関与の証拠を提供している。特許文献1を参照のこと。
【0004】
病理学的な炎症状態および免疫状態におけるPAFの関与が、PAF受容体アンタゴニストを同定するための十分な研究活動を促進し、様々な化学構造の多数の化合物がPAFアントゴニストとして同定されている。例えば特許文献1および特許文献2(およびこれら2つの出願で引用される参照文献)、特許文献3乃至14、非特許文献1乃至4を参照のこと。PAFによって仲介される非常に多くの病理学的な免疫反応および炎症反応を考えれば、PAF活性を阻害する新たな化合物および組成物の発見がなお必要とされている。
【0005】
ジケトピペラジン類は様々な生物活性を示すことが報告されている。例えば特許文献15(免疫調節剤)、特許文献16(免疫調節剤)、特許文献17(PAFアンタゴニスト)、特許文献18(プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の阻害剤)、特許文献19(プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の阻害剤)、特許文献20(メタロプロテアーゼ阻害剤)、特許文献21(ファルネシル−タンパク質転移酵素の阻害剤)および特許文献22(中枢神経系の損傷の治療)、特許文献23(免疫調節剤)、特許文献14(PAFアンタゴニスト)、特許文献24(免疫抑制剤)、非特許文献1(PAFアンタゴニスト)、非特許文献2(PAFアンタゴニスト)、非特許文献4(PAFアンタゴニスト)、非特許文献5(PAFアンタゴニスト)、非特許文献6(カルパイン阻害剤)を参照のこと。
【0006】
アスパラギン酸とアラニンから成るジケトピペラジン(3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸;DA−DKP)が知られている。このジケトピペラジンは、30℃を上回る温度で保存されたヒトアルブミンの分解の結果形成されることが報告されている。非特許文献7。生物活性を有するかどうかについては未知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第94/04537号
【特許文献2】国際公開第96/00212号
【特許文献3】国際公開第95/18610号
【特許文献4】国際公開第99/49865号
【特許文献5】米国特許第4,940,709号明細書
【特許文献6】米国特許第5,358,938号明細書
【特許文献7】米国特許第5,434,151号明細書
【特許文献8】米国特許第5,463,083号明細書
【特許文献9】米国特許第5,648,486号明細書
【特許文献10】米国特許第5,741,809号明細書
【特許文献11】米国特許第5,792,776号明細書
【特許文献12】米国特許第5,780,503号明細書
【特許文献13】米国特許第5,856,323号明細書
【特許文献14】特開昭63−290868号公報
【特許文献15】米国特許第4,289,759号明細書
【特許文献16】米国特許第4,331,595号明細書
【特許文献17】米国特許第4,940,709号明細書
【特許文献18】米国特許第5,700,804号明細書
【特許文献19】米国特許第5,750,530号明細書
【特許文献20】米国特許第5,990,112号明細書
【特許文献21】国際公開第97/36888号
【特許文献22】国際公開第99/40931号
【特許文献23】欧州特許出願公開第43219号明細書
【特許文献24】特開平3−176478号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Shimazaki et al.,Chem.Pharm.Bull.,35(8),3527−3530(1987)
【非特許文献2】Shimazaki et al.,J.Med.Chem.,30,1709−1711(1987)
【非特許文献3】Yoshida et al.,Prog.Biochem.Pharmacol.,22,68−80(1988)
【非特許文献4】Shimazaki et al.,Lipids,26(12),1175−1178(1991)
【非特許文献5】Yoshida et al.,Prog.Biochem.Pharmacol.,22,68−80(1988)
【非特許文献6】Alvarez et al.,J.Antibiotics,47(11),1195−1201(1994)
【非特許文献7】Chan et al.,Eur.J.Biochem.,227,524−528(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は従来技術の欠点を解決するためになされたものであり、血小板活性化因子(PAF)の作用を阻害するための方法、炎症を阻害するための方法、血小板凝集を阻害するための方法及び細胞によるインターロイキン8(IL−8)の産生および放出の少なくともいずれかを阻害するための方法、並びに同方法に用いるための医薬組成物を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、血小板活性化因子によって仲介される疾患や状態を治療する方法であって、該治療を必要とする動物に下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を有効な量投与することからなる方法:
【0011】
【化1】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、前記疾患または状態がアレルギー、喘息、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、嚢胞性線維症、呼吸器系感染、敗血症、およびショックを含むグループから選択される、ことをその要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、炎症を阻害する方法であって、該阻害を必要とする動物に下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を有効な量投与することからなる方法:
【0015】
【化2】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の方法において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
請求項10に記載の発明は、血小板を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、血小板凝集を阻害する方法:
【0018】
【化3】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項12に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0020】
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
請求項14に記載の発明は、請求項10に記載の方法において、前記接触が生体内で起きる、ことをその要旨とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、細胞を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、細胞によるインターロイキン8の産生、放出またはその両方を阻害する方法:
【0022】
【化4】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0023】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の方法において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項17に記載の発明は、請求項15に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0024】
請求項18に記載の発明は、請求項16に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
請求項19に記載の発明は、請求項15に記載の方法において、前記接触が生体内で起きる、ことをその要旨とする。
【0025】
請求項20に記載の発明は、血小板活性化因子(PAF)を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、PAFの作用を阻害する方法:
【0026】
【化5】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0027】
請求項21に記載の発明は、請求項20に記載の方法において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項22に記載の発明は、請求項20に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0028】
請求項23に記載の発明は、請求項21に記載の方法において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
請求項24に記載の発明は、請求項20に記載の方法において、前記接触が生体内で起きる、ことをその要旨とする。
【0029】
請求項25に記載の発明は、医薬として許容可能な担体および下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を含む医薬組成物:
【0030】
【化6】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである)
を提供する。
【0031】
請求項26に記載の発明は、請求項25に記載の組成物において、Rが−CHCOOHである、ことをその要旨とする。
請求項27に記載の発明は、請求項25に記載の組成物において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
【0032】
請求項28に記載の発明は、請求項26に記載の組成物において、Rがアラニンの側鎖である、ことをその要旨とする。
本発明は血小板活性化因子によって仲介される疾患または状態を治療する方法を提供する。該方法は、該治療を必要とする動物に、有効な量の下式のジケトピペラジンまたは生理学的に許容可能なその塩を投与することからなる。
【0033】
【化7】

(式中
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
本発明は炎症を阻害する方法をさらに提供する。該方法は、該阻害を必要とする動物に、有効な量の式(1)の化合物または生理学的に許容可能なその塩を投与することからなる。
【0034】
本発明は、血小板の凝集を阻害する方法も提供する。該方法は、血小板を有効な量の式(1)の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる。
加えて本発明は、細胞によるインターロイキン8の産生、放出またはその両方を阻害する方法を提供する。該方法は、細胞を有効な量の式(1)の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる。
【0035】
本発明は、血小板活性化因子(PAF)の作用を阻害する方法をさらに提供する。該方法は、PAFを有効な量の式(1)の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる。
【0036】
最後に、本発明は医薬組成物を提供する。該組成物は医薬として許容可能な担体と、式(1)の化合物または生理学的に許容可能なその塩を含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、血小板活性化因子(PAF)の作用を阻害するための方法、炎症を阻害するための方法、血小板凝集を阻害するための方法及び細胞によるインターロイキン8(IL−8)の産生および放出の少なくともいずれかを阻害するための方法、並びに同方法に用いるための医薬組成物を提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0038】
アミノ酸の「側鎖」は、上記のアミノ酸全てに共通の骨格
【0039】
【化8】

に連結しているアミノ酸の一部を意味する。例えば、グリシンの側鎖は−H、アラニンの側鎖は−CH、セリンの側鎖は−CHOHである。
【0040】
「アルキル」は、1−30の炭素原子、好ましくは1−18の炭素原子を含む直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルを意味する。「低級アルキル」とは1−6の炭素原子を含む直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルを意味する。
【0041】
「アリール」は少なくとも1つの芳香環を有する芳香族基を意味する(例えばフェニル)。
「アルキルアリール」は、アリールが連結した低級アルキルを意味する(例えば−CHまたは−CHCH(C)CH)。
【0042】
「アリールアルキル」は、低級アルキルが連結したアリールを意味する(例えば−C−CH)。
「阻害する」とは本明細書では(完全もしくは部分的に)減じること、または妨げることを意味するものとして用いられる。
【0043】
「仲介される」とは本明細書では引き起こされる、悪化される、または関与していることを意味するものとして用いられる。
「治療する」とは本明細書では、疾患や状態を治すことを含めて疾患や状態の症状を(完全もしくは部分的に)減じることや、疾患や状態を予防することを意味するものとして用いられる。
【0044】
本発明は3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸(DA−DKP)がPAF活性を阻害するという発見に基づく。該阻害作用はDA−DKPがPAFおよびPAF受容体の両方に結合することによると思われる。DA−DKPのPAFへの結合は、DA−DKPのカルボキシルとPAFのコリン部分のNとのイオン対形成によると考えられている。従って、1つまたはそれ以上のカルボキシルを有する他のジケトピペラジン類は有効なPAF阻害剤であることが期待される。実は、ポリアスパラギン酸やポリグルタミン酸のような、カルボキシルを有する他の非ジケトピペラジン化合物も有効なPAF阻害剤である可能性がある。DA−DKPがPAF受容体に結合する機構は未知であるが、DA−DKPのジケトピペラジン環構造およびDA−DKPの疎水性R側鎖の少なくともいずれかによるものとの仮説がある。
【0045】
ジケトピペラジン類を用意する方法は当該技術分野で既知であり、該方法はおそらく式(1)のジケトピペラジン類を合成するために用いられるであろう。例えば米国特許第4,694,081号および第5,817,751号、Smith et al.,Bioorg.Med.Chem.Letters,8,2369−2374(1998)を参照のこと。しかし、式(1)のジケトピペラジン類を合成するのに従来技術の方法を用いると、困難に直面したり不満足な結果を得る可能性がある(2000年8月4日出願の同時係属仮出願第60/223,075号を参照のこと)。従って、式(1)のジケトピペラジン類を、全ての内容が引用により本願に組み込まれる同時係属仮出願第60/223,075号に記載のように合成することが極めて好ましい。
【0046】
仮出願第60/223,075号に記載の合成は、当業者に良く知られている標準的な液相または固相のペプチド合成法を用いる。固相のペプチド合成法がより好ましい。
仮出願第60/223,075号に記載の合成の第1段階は、第1のアミノ酸を提供することからなる。第1のアミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択される。D−またはL−鏡像体のありうる上記のアミノ酸は、市販されており、または当業者に良く知られた方法で作製することができる(例えばウィリアムス(Williams)著「光学活性α−アミノ酸の合成」(ペルガモン(Pergammon)出版、1989年)を参照のこと)。グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、およびフェニルアラニンのような疎水性アミノ酸がより好ましい。特にアラニンが好ましい。
【0047】
第1のアミノ酸はまた、合成中の不要な副反応を防ぐため1つまたはそれ以上の保護基で保護されることが好ましい。該保護基並びにそれらを付加および除去する方法は、当該技術分野で良く知られている。例えばグリーンおよびウッツ(Wuts)著「有機化学の保護基」(ワイリー社、1992)並びにグラント著「合成ペプチド:ユーザーズガイド」(フリーマン社、1992)を参照のこと。
【0048】
第1のアミノ酸を、式中のRが低級アルキルもしくはアルキルアリールである次式NHCH(CHCOOR)COOHのアスパラギン酸誘導体または次式NHCH(CHCHCOOR)COOHのグルタミン酸誘導体と反応させる。Rはベンジル(−CH;Bz)であることが好ましい。ベンジル基は上記のアミノ酸の側鎖のカルボキシルを保護するだけでなく、ジペプチドの環化を容易にすることが知られている。さらに、ベンジルはキラル中心(R基およびR基を有する炭素)のラセミ化を防ぐ中性の条件下でジペプチドから除去することが可能である。
【0049】
該アスパラギン酸誘導体およびグルタミン酸誘導体NHCH(CHCOOR)COOHおよびNHCH(CHCHCOOR)COOHは、市販されており、または良く知られた方法で用意することができる(例えばボダンスキー(Bodansky)およびボダンスキー著「ペプチド合成の手法」、63−66頁(第2版、スプリンガーフェアラーク社、1994)を参照のこと)。アスパラギン酸誘導体およびグルタミン酸誘導体のアミノ基またはαカルボキシル基を、不要な副反応を防ぐために標準的な保護基(上記参照)で任意選択で保護することも可能である。
【0050】
上述のように、ジケトピペラジン類の合成には固相のペプチド合成法を用いることが好ましい。第1のアミノ酸またはアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体を、固相合成するためにαカルボキシルを介して固体支持体に付着させる。固体支持体は、グラントおよびアサートン(Atherton)著「固相ペプチド合成:実践の手引き」(IRL出版、1989)に記載の支持体のような、ペプチド合成に適したいかなる固体支持体でもよい。適当な固体支持体は市販されており、または標準的な方法で用意することが可能である。PCT出願国際公開第96/00391号を参照のこと。固体支持体は、第1のアミノ酸またはアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体を支持体表面に連結するリンカーまたはスペーサー分子を含んでいてもよい。様々な性質の多様なリンカーが当該技術分野でよく知られている。例えばグラント著「合成ペプチド:ユーザーズガイド」(フリーマン社、1992)およびPCT出願国際公開第96/00391号を参照のこと。リンカーは通常第1のアミノ酸またはアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体が連結される官能基を備えている。
【0051】
第1のアミノ酸を固体支持体に連結し、そしてアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体を第1のアミノ酸に連結するのに先立って、連結した第1のアミノ酸のαアミノ基の保護基を、もしあれば除去することが好ましい。しかしいかなる側鎖アミノ基の保護基の除去も避けなければならないので、側鎖アミノ基の保護基を脱保護せずにαアミノ基を脱保護するように条件を選ばなければならない。適切な脱保護の条件は当該技術分野において既知である。例えば、9−フルオレニルメチルオキシカルボニルの除去は、20〜55%の、ピペリジンのような第2級アミン塩基を用いて、ジメチルホルムアミド、塩化メチレンまたはN−メチルピロリジンのような極性の非プロトン性溶媒中で実施してもよい。脱保護中のエステル交換を防ぐためにジイソプロピルシランを加えることが好ましく、このことは大規模調製においては必須といえる。
【0052】
第1のアミノ酸とアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体との間の反応は、ペプチド結合を形成しジペプチドが形成されるのに有効な条件下で起きる。前記条件は当該技術分野でよく知られている。例えば、(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,2,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム六フルオロリン酸、2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム六リン酸、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、ジイソプロピルアミン、ジシクロヘキシルカルボジイミド、のような)連結反応の触媒がジペプチドを形成するのに用いられてもよい。通常、2から10当量の範囲またはそれ以上の量の、過剰量の連結反応の触媒が用いられる。多くの場合、過剰の程度は連結される化学種の反応性によって決まる。(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジン、塩化メチレン、およびジメチルスルホキシドのような)極性の非プロトン性溶媒が好ましい。反応時間は30分から一晩まで様々でよく、温度は室温から還流まで様々でよい。
【0053】
次に、ジペプチドが固体支持体に結合していれば、当業者によく知られている標準的な手順を用いてジペプチドを固体支持体から取り外す。固体支持体からジペプチドを取り外すのに有効な条件は、選択された固体支持体とリンカーによって決まる。一般に、ペプチドはトリフルオロ酢酸のような強酸を用いた酸加水分解によって取り外される。
【0054】
次いで該ジペプチドを環化してジケトピペラジンを形成する;該ジケトピペラジンはまだエステル型のアスパラギン酸誘導体もしくはグルタミン酸誘導体の側鎖カルボキシルを有している。環化は中性の条件下でジペプチドを加熱することによって実行される。通常、ジペプチドは約80℃から約180℃、好ましくは約120℃に加熱される。溶媒は中性溶媒とする。例えば、溶媒は(ブタノール、メタノール、エタノール、および高級アルコール類のような、ただしフェノールを除く)アルコールおよび(トルエン、ベンゼン、またはキシレンのような)共沸性の共溶媒を含んでいてもよい。アルコールはブタン−2−オール、共沸性の共溶媒はトルエンであることが好ましい。加熱は反応が完了するまで継続され、その時間は実験的に決定することが可能である。通常、ジペプチドは約8−24時間、好ましくは約18時間還流することによって環化される。
【0055】
最後に、当業者に良く知られた保護基(上記参照)を外す方法によってR基がジケトピペラジンから外される。R基がベンジルのとき、R基はパラジウム炭素(Pd/C)触媒を用いた水素化によってジケトピペラジンから除かれることが好ましい。強酸(硫酸または塩酸のような無機酸)、強塩基(水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムのようなアルカリ塩基)、および強力な還元剤(例えば水素化リチウムアルミニウム)の使用は、最終化合物のキラリティーを維持するために避けるべきである。
【0056】
ひとたびR基を取り除けば、遊離酸を、望ましければ、誘導してアミドやエステルのような標準的な誘導体を形成することができる。遊離酸をアミドまたはエステルに変換するのに用いられうる方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0057】
生理学的に許容可能な式(1)のジケトピペラジン類の塩を、発明の実施に用いてもよい。生理学的に許容可能な塩には、(塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などの)無機酸、(酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アスコルビン酸などの)有機酸または(医薬として許容可能な、金属陽イオンまたはN,N−ジベンジルエチレンジアミン、D−グルコサミン、エチレンジアミン由来の有機陽イオンの水酸化物、炭酸塩または重炭酸塩のような)塩基に由来する塩のような、従来の非毒性の塩が含まれる。該塩類は従来の方法で、たとえば化合物の遊離塩基形を酸で中和することにより、用意される。
【0058】
式(1)のジケトピペラジン、または生理学的に許容可能なその塩を、PAFにより仲介される疾患や状態を治療するのに用いることができる。そうするため、式(1)のジケトピペラジンまたは生理学的に許容可能なその塩は、該治療を必要とする動物に投与される。該動物は、ウサギ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウマまたはヒトのような哺乳類であることが好ましい。本発明の種々の化合物の有効な投与形態、投与方法および投与量は実験的に決定されてもよく、そのような決定を下すことは当該技術分野の範囲内にある。投与量が、用いられるその化合物、治療される疾患または状態、疾患または状態の重篤度、投与経路、化合物の排出速度、治療期間、動物に投与される別の薬物の成分、動物の年齢、大きさおよび生物種、ならびに医学および獣医学界で知られている要因によって異なるであろうことは、当業者には当然のことである。一般に、本発明の化合物の適当な1日の用量は、治療効果をあげるのに有効な最小用量である化合物の量であろう。しかしながら、1日の用量は担当の医師または獣医師によって十分な医学的判断の範囲内で決定されるであろう。望ましければ、有効な1日の用量を2、3、4、5、6またはそれ以上に分割した用量として、1日の間に適当な間隔をおいて別々に投与してもよい。化合物の投与は、期待に沿う反応が得られるまで継続すべきである。
【0059】
本発明の化合物(すなわち式(1)のジケトピペラジン類および生理学的に許容可能なその塩)を、経口、経鼻、経腸、経膣、非経口(例えば静脈内、髄腔内、腹腔内、皮下、または筋肉内)、延髄槽内、経皮、頭蓋内、大脳内、および局所(口腔内および舌下を含む)を含む任意の適切な投与経路で、治療のために動物の患者に投与してもよい。好ましい投与経路は経口および静脈内投与である。
【0060】
本発明の化合物を単独で投与することは可能であるが、該化合物を医薬製剤(組成物)として投与することが好ましい。本発明の医薬組成物は、本発明の1つまたは複数の化合物を、1つまたはそれ以上の医薬として許容可能な担体と、任意選択で1つまたはそれ以上の他の化合物、薬剤またはその他の物質との混合剤中の活性成分として含む。各担体は製剤の他の成分と相溶性があり動物に対し有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。医薬として許容可能な担体は当該技術分野でよく知られている。選択される投与経路にかかわらず、本発明の化合物は、当業者に知られている従来の方法により医薬として許容可能な投与形態に製剤化される。例えばレミントンの薬剤学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)を参照のこと。
【0061】
経口投与に適した本発明の製剤は、各々が活性成分として本発明の1つまたは複数の化合物を予め決められた量だけ含んだ、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、散剤、顆粒剤の形態、または水性や非水性の液体中の液剤もしくは懸濁製剤すなわち水中油乳剤や油中水乳剤、またはエリキシル剤やシロップ剤、または(ゼラチンとグリセリン、もしくはショ糖とアラビアゴムのような不活性の基剤を用いた)芳香製剤、などでよい。本発明の1つまたは複数の化合物は、巨丸剤(bolus)、舐剤あるいはペースト剤として投与されてもよい。
【0062】
経口投与のための本発明の固体の投与形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、散剤、顆粒剤など)において、活性成分は、クエン酸ナトリウムや第二リン酸カルシウムのような、1つまたはそれ以上の医薬として許容可能な担体、および/または次のいずれかと混合される:(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、および/またはケイ酸のような充填剤または増量剤;(2)例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアラビアゴムのような結合剤;(3)グリセロールのような湿潤剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、炭酸ナトリウムのような崩壊剤;(5)パラフィンのような溶解遅延剤;(6)第4アンモニウム化合物のような吸収促進剤;(7)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートのような界面活性剤;(8)カオリン粘度およびベントナイト粘度のような吸着剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体のポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物のような潤滑剤;並びに(10)着色剤。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合は、医薬組成物は緩衝剤も含み得る。類似のタイプの固体の組成物を、高分子量ポリエチレングリコールなどだけでなくラクトースすなわち乳糖のような賦形剤を用いてソフトゼラチンカプセルおよびハードゼラチンカプセル中の充填剤として使用してもよい。
【0063】
錠剤を、任意選択で1つまたはそれ以上の副成分とともに、圧縮または成形によって作製してもよい。圧縮錠剤を、結合剤(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を用いて調製してもよい。成形錠剤を、湿らせた粉末状の化合物と不活性の液状希釈剤との混合物を適当な機械で成形することにより作製してもよい。
【0064】
錠剤、および糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤、顆粒剤のようなその他の本発明の医薬組成物の固体の投与形態を、任意選択で切れ目を入れてもよいし、腸溶コーティングおよびその他の医薬品製剤化業界でよく知られたコーティングのような、コーティングや殻を用いて調製してもよい。上記の投与形態を、例えば所望の放出プロファイルを提供するように比率を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマー基質、リポソームおよび/またはマイクロスフェアを用いて、投与形態中の活性成分の徐放または制御放出を提供できるように製剤化してもよい。該投与形態を、例えば細菌を通さないフィルターで濾過することにより滅菌してもよい。上記の組成物は任意選択で乳白剤を含んでもよく、活性成分のみまたは活性成分を優先的に、胃腸管の特定の部分に、任意選択で遅効方式で放出する組成物であってもよい。利用可能な包埋組成物の例には高分子物質やワックスが含まれる。活性成分をマイクロカプセル化された形態にすることも可能である。
【0065】
本発明の化合物の経口投与のための液体の投与形態には、医薬として許容可能な乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁製剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性成分に加えて、液体の投与形態は、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤、およびエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚種油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルのような乳化剤、およびそれらの混合物のような、当業界で通常使用される不活性の希釈剤を含んでもよい。
【0066】
不活性の希釈剤のほかに、経口組成物は、界面活性剤、乳化剤と懸濁剤、甘味料、調味料、着色剤、芳香剤および防腐剤のような補助剤も含みうる。
懸濁製剤は、活性化合物に加え、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールとソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天とトラガカントガム、およびそれらの混合物のような懸濁剤を含んでもよい。
【0067】
直腸投与または膣内投与のための本発明の医薬組成物の製剤は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤用ワックスもしくはサリチル酸からなる適当な非刺激性の賦形剤または担体と混合することにより調製され、室温で固体だが体温では液体で、従って直腸腔または膣腔内で溶解し活性化合物を放出する、坐剤として提示されてもよい。膣内投与に適した本発明の製剤は、当業界で妥当であることが知られている担体を含むペッサリー製剤、タンポン製剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡沫剤、または噴霧剤も含む。
【0068】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための投与形態には、散剤、噴霧剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチ剤、点滴剤および吸入剤が含まれる。活性成分を、医薬として許容可能な担体、および何らかの緩衝液または必要の可能性のある高圧ガスと無菌条件下で混合してもよい。
【0069】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、活性成分に加えて、動物性脂肪および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカントガム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはそれらの混合物のような賦形剤を含んでもよい。
【0070】
散剤および噴霧剤は、活性成分に加えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末またはこれらの物質の混合物のような賦形剤を含みうる。噴霧剤は、クロロフルオロハイドロカーボンのような慣用の高圧ガス、並びにブタンおよびプロパンのような揮発性の非置換炭化水素類をさらに含みうる。
【0071】
経皮パッチ剤は、身体への本発明の化合物の制御された送達を提供するというさらなる利点を有している。そのような投与形態は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物をエラストマー系基質素材のような適切な媒体に溶解すること、分散すること、さもなければ組み込むことによって作製されうる。皮膚を通過する化合物の流れを増やすために吸収増進剤を使用することも可能である。そのような流れの速度は、律速性の膜を備えることや、化合物をポリマー基質すなわちゲルに分散することによって制御可能である。
【0072】
医薬製剤は、吸入もしくはガス注入による投与、または経鼻投与もしくは眼内投与に適した製剤を含む。吸入により上方(鼻の)または下方の気道に投与するためには、ガス注入器、ネブライザーもしくは加圧包装、またはその他のエアロゾル噴霧を送るのに便利な手段を用いて、本発明の化合物が便利に送られる。加圧包装は、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適した気体のような適当な高圧ガスを含んでよい。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、定量を送るためのバルブを備えることにより決定されてもよい。
【0073】
吸入もしくはガス注入により投与するためのもう1つの方法として、組成物は乾燥粉末の形態、例えば1つまたはそれ以上の本発明の化合物とラクトースまたはデンプンのような適当な粉末基剤との粉末混合であってもよい。粉末組成物は、粉末が吸入器、ガス注入器または定量吸入器を補助に用いて投与される、例えばカプセルもしくはカートリッジ、または例えばゼラチンもしくはブリスター包装中に単位投与形態として提示されてもよい。
【0074】
経鼻投与するために、本発明の化合物を、点鼻剤、またはプラスチックボトルの噴霧器もしくは定量吸入器を用いるような液体噴霧剤を用いて投与してもよい。典型的な噴霧器はミストメーター(Mistometer)(ウィントロップ(Wintrop)社)およびメジヘラー(Medihaler)(リカー(Riker)社)である。
【0075】
点眼剤や点鼻剤のような点滴剤を、1つまたはそれ以上の分散剤、可溶化剤または懸濁剤も含んだ水性または非水性の基剤を用いて製剤化してもよい。液体噴霧剤は加圧包装から便利に送られる。点滴剤は、単純な点眼用の蓋付きボトルを用いて、または特殊な形状の閉じ口により液状内容物を滴下して送るように調節されたプラスチックボトルを用いて送達されうる。
【0076】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、1つまたはそれ以上の本発明の化合物と、1つまたはそれ以上の医薬として許容可能な無菌で等張の水溶液もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、さもなければ使用直前に無菌の注射用液または分散液中で再構成される、酸化防止剤、緩衝剤、製剤を投与対象者の血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含む無菌の散剤とを組み合わせて成る。
【0077】
本発明の医薬組成物に用いられる適当な水性および非水性の担体の例には、水、エタノール、(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのような)ポリオール、および適当なそれらの混合物、オリーブ油のような植物性油脂、ならびにオレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルが含まれる。適正な流動性を、例えばレシチンのようなコーティング素材を用いて、分散液の場合に必要な粒子の大きさを維持することによって、および表面活性剤を用いて維持することが可能である。
【0078】
上記組成物は、界面活性剤、乳化剤および分散剤のような補助剤を含んでもよい。組成物中に糖類、塩化ナトリウムなどの等張化剤を含むことも望ましい。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅らせる物質を含むことにより、注射可能な医薬としての形態の持続的な吸収を実現してもよい。
【0079】
場合によっては、薬剤の効果を持続させるため、皮下注射または筋肉内注射によって薬剤の吸収を遅くすることが望ましい。このことは、水溶性に乏しい結晶性物質または非結晶性物質の懸濁液を用いることにより達成される可能性がある。その結果、薬剤の吸収速度は薬剤の溶解速度によって変化し、薬剤の溶解速度は今度は結晶の大きさおよび結晶性形状によって変化する。もう1つの方法として、非経口投与された薬剤の遅延吸収は、薬剤を油性の媒体に溶解または懸濁することにより達成される。
【0080】
注射可能な持続性薬剤の形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドのような生分解性ポリマー中に薬剤のマイクロカプセル化物を作製することによって作られる。薬剤のポリマーに対する比率、および使用されるそのポリマーの性質によって、薬剤放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルソエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。持続性薬剤の注射可能な製剤は、体内組織と相性のよいリポソームまたはマイクロエマルジョンに薬剤を取り込むことによっても用意される。注射可能な物質は、例えば細菌を通さないフィルターで濾過することにより滅菌可能である。
【0081】
製剤は、単位用量または複数用量の密封容器、例えばアンプルやバイアル中に入った状態であってもよく、使用直前に無菌の液状担体、例えば注射用水を添加することだけを要する凍結乾燥状態で保存されてもよい。即席の注射溶液および懸濁液は、上記のタイプの無菌の散剤、顆粒剤および錠剤から用意されてもよい。
【0082】
上述のように、PAFは種々の疾患および状態において役割を担っていることが報告されている。これらの疾患および状態には急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、関節炎、喘息、自己免疫疾患、気管支炎、心血管系疾患、クローン病、嚢胞性線維症、気腫、胃腸の潰瘍形成、炎症、炎症性腸疾患、虚血、多臓器不全症候群、心筋梗塞、新生物性疾患、眼部炎症、疼痛、乾癬、呼吸器感染、敗血症、ショック、潰瘍性大腸炎が含まれる。PAFは血小板凝集も仲介する。式(1)のジケトピペラジン類は上記の疾患および状態、並びにPAFが役割を担う他のいかなる疾患や状態のいずれを治療するためにも使用可能である。本発明の化合物は、ある疾患または状態のための他の標準的な治療と組み合わせて与えられることが可能である。
【0083】
PAFはインターロイキン8(IL−8)の産生と分泌を誘導すると報告されている(下記の実施例3の考察を参照のこと)。IL−8は、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー、関節炎、喘息、自己免疫疾患、気管支炎、がん、クローン病、嚢胞性線維症、気腫、心内膜炎、胃炎、炎症性腸疾患、虚血再潅流、多臓器不全症候群、腎炎、膵炎、呼吸器系ウイルス感染、敗血症、ショック、潰瘍性大腸炎およびその他の炎症性疾患を含む多くの疾患および状態の病因において役割を担うと報告されている炎症誘発性サイトカインである。式(1)のジケトピペラジン類は、PAFに誘導されたIL−8の産生および放出の少なくともいずれかを阻害することが知られている。予備的データは該化合物がPAFの非存在下においてもIL−8の産生および放出の少なくともいずれかを阻害することを示す。特に、正常ヒト気管支上皮細胞によるリポ多糖(LPS)誘導のIL−8の産生および/または放出が、阻害されることが知られている(データは示さない)。よって、本発明のジケトピペラジン類は2つの異なったメカニズムで作用するように思われ、PAF同様IL−8に仲介される疾患や状態を治療するのに使用できる可能性がある。
【実施例】
【0084】
(実施例1:3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸(5)の調製)
9−フルオレニルメチルオキシカルボニル保護されたアラニン(Ala−Fmoc)が付加されたWangレジン(3グラム(g)、2.52ミリモル、1当量、ノババイオケム(NovaBiochem)社)を清潔な丸底の100mLフラスコに入れ、ジメチルホルムアミド(DMF;18mL)中のピペリジン(12mL)溶液をフラスコ中の樹脂に加えた。溶液を1時間回転させ、そして樹脂を焼結ガラス漏斗中に単離した。樹脂をDMF(3×30mL)、次にジクロロメタン(DCM;3×30mL)で洗浄し、真空中で5分間乾燥させた。
【0085】
上記の部分的に乾燥した樹脂を清潔な丸底の100mLフラスコに入れ、DMF(10mL)を加えた。次いでBoc−Asp(OBz)OH(3.25g、10.07ミリモル、4当量)を加え、その後ジイソプロピルアミン(2.83mL、2.04g、20.19ミリモル、8当量)および2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,2,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロホウ酸(TBTU;3.24g、10.09ミリモル、4当量、アクロス社)を加えた。スラリーを嫌気条件下で12時間をこえる時間反応させた。この反応時間の最後に、樹脂は共役反応の完了を示す、陰性のニンヒドリンテスト結果を示した。樹脂を吸引濾過し、DMF(3×30mL)、DCM(3×30mL)で洗浄した。樹脂を清潔な丸底の100mLフラスコに移す前に、室温で真空中で10分間乾燥させた。
【0086】
トリフルオロ酢酸(TFA;16.5mL)を乾燥樹脂に加えたが、添加の際樹脂は赤色に変化した。さらに30分間樹脂を回転させた後、濾過によりTFAを除き、樹脂をDCM(4×20mL)で洗浄した。有機成分を集め、トルエン(20mL)を加えた。混合された有機物質を真空中で蒸発乾固した。残存TFAをトルエンの添加と蒸発により除去した。全てのTFAが除かれるまでこの手順を繰り返した。上記の処置の結果、淡黄色の油として産物を得たが、そのNMRおよび質量分析のデータは下記に示す構造(3)の所望のジペプチドベンジルエステルと一致した。
【0087】
ジペプチド3をブタン−2−オール(40mL)に溶解し、トルエン(60mL)で希釈した。該溶液を24時間還流させた。還流期間の最後に溶液を室温まで冷却させた。次いで温度を50℃に保ちながら回転式蒸発器で濃縮した。濃縮により白色の固体が沈殿し、該沈殿物を濾過により除去した。沈殿物をトルエン(10mL)で洗浄し乾燥させた。残渣(0.650g)は陰性のニンヒドリンテスト結果を示した。次に、残渣を温メタノールを用いて結晶化した。結晶化産物の分光分析および解析結果からその構造が所望の化合物、下記(4)のAsp−Alaジケトピペラジンベンジルエステルであることが確認された。
【0088】
上記化合物(400mg)をメタノール(250mL)に溶解し、パラジウム炭素触媒(Pd/C;10%、0.4g)を慎重に加えた。フラスコを水素でパージし、水素で陽圧の状態を維持した。溶液を前記の雰囲気に少なくとも4時間維持した。触媒を濾過助剤(セライト)で除き、メタノールで洗浄した。メタノール洗液を合一し、そして溶媒を除去した(収量200mg)。質量分析計およびNMR分析から、遊離酸Asp−Alaジケトピペラジン(3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸、5)が交差汚染を伴わずに形成されたことが示された。
【0089】
【化9】

(実施例2:Asp−Alaジケトピペラジンアミド(6)の調製)
【0090】
【化10】

3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸(0.151g、0.81ミリモル、1当量、実施例1に記載の調製物、5)のDMF(2.5mL)中の溶液にカルボニルジイミダゾール(0.26g、1.60ミリモル、2当量、アルドリッチ社)を加えた。室温で1時間撹拌した後、固体状の酢酸アンモニウム(0.63g、8.17ミリモル、10当量、アルドリッチ社)を加えた。室温での撹拌を一晩続け、反応物を水(20mL)と酢酸エチル(10mL)に分けた。水層を別の酢酸エチル(10mL)で洗浄し、次いで減圧下で蒸発乾固させた(61℃)。残存DMFを水および次いでトルエンを用いたさらなる共蒸発によって除去し、白色の固体を得た(362mg)。これを最小容量のDCM中のメタノール(20:80 v/v)に溶解した。溶出した溶媒を分画し、適当な分画を集めて減圧下(40℃)で蒸発させて白色の固体を得た。次いで該産物をメタノールを用いて再結晶し所望の産物を得た(0.116g、収率76%、6)。
(実施例3:IL−8放出の阻害)
インターロイキン8(IL−8)は炎症誘発性サイトカインであり、好中球の強力な走化性因子および活性化剤である。IL−8はTリンパ球や好酸球の強力な走化性因子および活性化剤であることも報告されている。IL−8は免疫細胞(リンパ球、好中球、単球、マクロファージを含む)、線維芽細胞および上皮細胞によって生産される。呼吸器系ウイルス感染、喘息、気管支炎、気腫、嚢胞性線維症、急性呼吸窮迫症候群、敗血症、多臓器不全症候群、およびその他の炎症性疾患の病因におけるIL−8の重要な役割が報告により示されている。
【0091】
PAFがヒト肺線維芽細胞においてIL−8の転写および分泌を誘導することが報告されている。Roth et al.,J.Exp.Med.,184,191−201(1996)。またPAFがリポ多糖(LPS)に応答したヒト単核細胞によるIL−8の産生を増強するが、PAF単独ではこれらの細胞によるIL−8の生産を弱く誘導するだけであることも報告されている。Arbabi et al.,Archives Surgery,134,1348−1353(1999)。上記の著者はPAFが先天性免疫システムを「準備(prime)」し、さもなければ炎症反応を誘発するのに不十分であろう第2の炎症性刺激に応答して一層大量の炎症誘発性メディエーターを産生するようにしていると仮定している。彼らはさらに上記の準備が全身性であれば有害であると考えている。そのような場合、準備されていない先天性免疫システムに軽微なものと認識されるであろう第2の刺激が積極的、発散的、非集中的な炎症性メディエーターの放出を誘導し、おそらく多臓器不全症候群を招くであろう。
【0092】
NHBE 6122正常ヒト気管支上皮細胞(クロネティクス社、カリフォルニア州サンディエゴ)を24ウェル組織培養プレート(ファルコン社、現BDバイオサイエンス社、ニュージャージー州フランクリンレイク)に20,000個/ウェルとなるように撒き、BEGM(気管支上皮成長培地;クロネティクス社)にエピネフリンを含んだ(完全培地)中で37℃、5%COで一晩(16−18時間)付着させた。付着後、細胞をエピネフリンを含まないBEGM培地で2回洗浄した。次いで細胞を完全培地または20μMの3−メチル−2,5−ジケトピペラジン−6−酢酸(DA−DKP;実施例1に記載の調製物、5;HEPES緩衝生理食塩水(HBSS;クロネティクス社)中の4mMの保存溶液)を含む完全培地中で37℃、5%COで20分間インキュベートした。次いでジメチルスルホキシド(DMSO;組織培養グレード;シグマ社、ミズーリ州セントルイス)に溶解した血小板活性化因子(PAF;シグマ社、ミズーリ州セントルイス)を終濃度100nMまたは500nMとなるように加え、細胞を37℃、5%COでさらに6時間インキュベートした。DMSOおよびHBSSを含む培地を対照として用いた。
【0093】
細胞の上清中のIL−8濃度をヒトIL−8適合ペア抗体(エンドゲン(Endogen)社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)を用いたELISAにより測定した。ELISAはマサチューセッツ州ケンブリッジのエンドゲン社製のELISAキットを用い、以下の点を除き取扱説明書にしたがって実施した:(1)コーティング抗体は1μg/ml;(2)検出抗体は30ng/ml;ストレプトアビジンHRPは1:32,000に希釈。
【0094】
結果を下記の表1−3に示す。表にみられるように、NHBE 6122細胞におけるPAFによって誘導されるIL−8の分泌は、細胞をDA−DKPとともに予めインキュベートすることにより阻害された。DA−DKPはPAF、PAF受容体、またはその両方に結合しIL−8を産生(放出)するシグナルを阻止するものと仮定される。
【0095】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
血小板活性化因子によって仲介される疾患や状態を治療する方法であって、該治療を必要とする動物に下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を有効な量投与することからなる方法。
【化1】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項2】
が−CHCOOHである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がアラニンの側鎖である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
がアラニンの側鎖である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記疾患または状態がアレルギー、喘息、急性呼吸窮迫症候群、気管支炎、気腫、嚢胞性線維症、呼吸器系感染、敗血症、およびショックを含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
炎症を阻害する方法であって、該阻害を必要とする動物に下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を有効な量投与することからなる方法。
【化2】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項7】
が−CHCOOHである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
がアラニンの側鎖である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
がアラニンの側鎖である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
血小板を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、血小板凝集を阻害する方法。
【化3】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項11】
が−CHCOOHである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
がアラニンの側鎖である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
がアラニンの側鎖である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記接触が生体内で起きる、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
細胞を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、細胞によるインターロイキン8の産生、放出またはその両方を阻害する方法。
【化4】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項16】
が−CHCOOHである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
がアラニンの側鎖である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
がアラニンの側鎖である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記接触が生体内で起きる、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
血小板活性化因子(PAF)を有効な量の下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩と接触させることからなる、PAFの作用を阻害する方法。
【化5】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項21】
が−CHCOOHである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
がアラニンの側鎖である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
がアラニンの側鎖である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記接触が生体内で起きる、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
医薬として許容可能な担体および下式の化合物または生理学的に許容可能なその塩を含む医薬組成物。
【化6】

(式中、
は−CHCOR、または−CHCHCORであり;
はグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、スレオニン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、リシン、ヒドロキシリシン、ヒスチジン、アルギニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、チロキシン、システイン、メチオニン、ノルバリンおよびオルニチンを含むグループから選択されるアミノ酸の側鎖であり;
は−OH、−NH、−OR、−NHR、または−NRであり;
各Rは独立にアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアリールアルキルである。)
【請求項26】
が−CHCOOHである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
がアラニンの側鎖である、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
がアラニンの側鎖である、請求項26に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−176980(P2012−176980A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−129131(P2012−129131)
【出願日】平成24年6月6日(2012.6.6)
【分割の表示】特願2002−517014(P2002−517014)の分割
【原出願日】平成13年8月2日(2001.8.2)
【出願人】(502113644)ディーエムアイ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド (14)
【氏名又は名称原語表記】DMI BIOSCIENCES,INC.
【Fターム(参考)】