Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
ジスプロシウム集積微生物およびジスプロシウムの集積方法
説明

ジスプロシウム集積微生物およびジスプロシウムの集積方法

【課題】ランタノイドに属する希土類元素を効率よく分離する方法を提供する。
【解決手段】ジスプロシウムを集積しうる真菌、該真菌の継代培養した子孫、または該真菌に由来する突然変異体。Tolypocladium Inflatum NO-9株である前記真菌、及び、前記真菌を用いた、ジスプロシウムの集積方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジスプロシウム集積微生物およびジスプロシウムの集積方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モータ等に搭載される永久磁石としては、従来は安価なフェライト磁石が多用されていたが、モータの小型化や高性能化に伴い、より高性能な希土類磁石の使用量が年々増加している。代表的な希土類磁石としては、サマリウムコバルト磁石およびネオジム磁石が主に知られている。
【0003】
このうち、ネオジム磁石は、磁力が非常に強力であり、安価に製造でき、小型化・薄型化も可能であるという利点がある。このため、ネオジム磁石は、ハードディスクやエアコン等の電子機器など種々の製品に利用され、さらに、ハイブリッド車等に使用される各種モータやセンサなどにも採用され、その使用量が増えてきている。ネオジム磁石は、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とし、高温下での磁力向上のために、ジスプロシウムが添加剤として使用されている。
【0004】
しかしながら、希土類磁石の原料である希土類元素はその産出国が限定されているため、近い将来需要が供給を上回ることも予想され、資源的な問題を危惧する声が高まっている。このため、希土類磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびに回収製品から目的とする希土類元素を回収し、リサイクルする必要性が強く求められている。また、ネオジムやジスプロシウム等の希土類元素を効率よく集積する能力のある希土類元素集積微生物もまた報告されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、希土類磁石に用いられる希土類元素は、ネオジム、ジスプロシウムのほかにも、セリウム、プラセオジム、サマリウム、テルビウムなどがある。これらの希土類元素の分離には、イオン交換樹脂法(固−液抽出法)や溶媒抽出法(液−液抽出法)が知られている。工業的な希土類元素の精製分離には、連続的な工程により効率的に大量処理が可能であるため、主に溶媒抽出法が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−98774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溶媒抽出法は大量の有機溶剤を使用するため、この有機溶剤を分離・回収に使用する必要がある上、近年の環境保護の観点からは望ましい方法とはいえない。上記に加えて、同じランタノイドに属する希土類元素同士を効率よく分離することが困難である場合があった。
【0008】
しがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ランタノイドに属する希土類元素を効率よく分離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、ランタノイドに属する希土類元素、特にジスプロシウムを選択的に集積する微生物を単離することに成功し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、上記目的は、ジスプロシウムを集積しうる真菌によって達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の微生物は、ジスプロシウムを選択的に集積できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1において、Tolypocladium Inflatum NO-9株によるジスプロシウム及びネオジムの集積能を示すグラフである。
【図2】Tolypocladium Inflatum NO-9株のITS領域のrDNAの塩基配列を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第一は、ジスプロシウムを集積しうる真菌、該真菌の継代培養した子孫、または該真菌に由来する突然変異体(以下、特記しない限り、一括して、「本発明の微生物」とも称する)に関する。本発明の微生物は、ジスプロシウムを選択的に集積することができる。このため、本発明の微生物をジスプロシウムと他の希土類元素との混合物に作用させることにより、当該微生物はジスプロシウムを選択的に集積する。このため、作用後の混合物にはジスプロシウム以外の希土類元素が残るため、当該希土類元素を効率よく回収できる。特にジスプロシウムを添加剤として使用するネオジム磁石の場合には、ジスプロシウムとネオジムとを効率よく分離して、ネオジムを効率よくかつ容易に回収できる。また、ジスプロシウムを微生物菌体から分離・精製することによって、ジスプロシウムを回収することもできる。ゆえに、ネオジム磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、使用済みのネオジム磁石(回収製品)(以下、一括して「処理対象物」とも称する)から、目的とするネオジム及びジスプロシウム、特にネオジムをリサイクルできる。上記効果は、特にジスプロシウムを含むネオジム磁石の場合に顕著に発揮しうる。また、上記回収時に大量の有機溶剤を使用する必要はない。このため、環境への負荷を低減できる。
【0014】
上記に加えて、本発明の微生物は真菌である。真菌は、一般的に、細菌(バクテリア)よりも要求水分量が少ない状態での生育が可能である。このため、工業利用の面から、量産化がより達成しやすい。また、本発明の微生物は、固体表面での生育が可能であるため、処理対象物が液体である必要はなく、固体であっても、直接ジスプロシウムを菌体内に集積することができる。このため、本発明の微生物は、ジスプロシウムを含むネオジム磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびに使用済みのネオジム磁石(回収製品)に直接作用させて、ジスプロシウムおよびネオジムを直接回収できる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
本発明の微生物は、ジスプロシウムを集積する真菌である。ジスプロシウムを集積する真菌としては、トリポクラジウム(Tolypocladium)属に属する微生物などが挙げられる。下記性質を有するクビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)が好ましく、Tolypocladium Inflatum NO-9株がより好ましい。なお、上記微生物において、自然的または人工的手段によって変異させて得られ、かつジスプロシウムを集積できる変異株もまた、本発明に包含される。また、以下では、トリポクラジウム(Tolypocladium)属に属する微生物について詳述するが、本発明は、ジスプロシウムを集積する他の属の真菌をも包含する。
【0017】
本発明の微生物は、以下のスクリーニング法により、神奈川県横須賀市夏島町1番地所在の、日産自動車株式会社内の花壇の土壌から採取した試料から単離した。すなわち、適当量の試料(土壌)を2mLの純水中で混濁したものを10μlずつ白金耳で、以下の方法で作製された一次スクリーニング用寒天培地(pH:7.2〜7.4)に塗抹し、この寒天培地を37℃で7〜10日間培養して、一次スクリーニングを行った。
【0018】
<一次スクリーニング用寒天培地の作製方法>
以下のようにして、ポテトデキストロース寒天培地(組成:ポテトエキス 0.4%(wet/v)、ブドウ糖 2%(wet/v)、寒天 1.5%(wet/v))(以下、「PDA寒天培地」とも称する)を調製した。脱イオン水1Lに、ポテトエキス4g及びブドウ糖20gを溶解し、この溶液を200mlずつに分けた。この溶液に、56mM、14mM、3.5mM、0.88mM、0.22mMの各濃度となるように塩化ジスプロシウムを添加し、金属濃度の希釈系列のある溶液を作製した。次に、これに、各々寒天1.5%(wet/v)を添加して、高圧滅菌したものをシャーレに15mlずつ分注して平板培地とした。
【0019】
次に、高濃度(14mM、56mM)の塩化ジスプロシウムを含有する寒天培地上に形成されたコロニーを釣菌し、56mMの塩化ジスプロシウムを含有する寒天培地に再塗抹した。この操作を数回繰り返して菌株を純化した。このような一次スクリーニングによって、高濃度ジスプロシウム存在下でも増殖可能な真菌が得られた。
【0020】
次に、以下のようにして二次スクリーニングを行った。すなわち、以下の方法で作製された、無菌処理済みの二次スクリーニング用液体培地(以下、「Dy含有培地」とも称する)(5ml)中に、上記一次スクリーニングで純化した各単離菌を白金耳で1白金耳ずつ接種し、37℃で10日間振盪培養した。さらに、以下の方法にしたがって、培養上清中に残存するジスプロシウム(Dy)濃度を測定し、培養上清中のDy濃度が初濃度(30mM)から30%以上減少した菌を候補菌として選別した。この際、選別された菌株は再度二次スクリーニング用培地に接種して同様の操作を繰り返し、Dy濃度減少に関する再現性を確認した。このようにして希土類元素を効率的に集積する菌株をスクリーニングした。その結果、ジスプロシウム(Dy)を最も選択的に集積する菌株を単離(分離)した。
【0021】
<二次スクリーニング用培地の作製方法>
脱イオン水1Lに、ポテトエキス4g及びブドウ糖20gを溶解し、ポテトデキストロース液体培地(組成:ポテトエキス 0.4%(wet/v)、ブドウ糖 2%(wet/v))(以下、「PDA液体培地」とも称する)をオートクレーブ滅菌した。次に、ジスプロシウム濃度が30mMとなるように塩化ジスプロシウムを加え、全体をろ過滅菌することによって、二次スクリーニング用培地を調製した。
【0022】
なお、上記方法において、培養上清中に残存するジスプロシウム(Dy)濃度は、下記測定方法に従って測定する。スクリーニングする菌株を接種、培養した後のDy含有培地 1mlを遠心式フィルタリングユニットに入れ、遠心分離(8000rpm、4℃、10分間)することによって、ろ液を得る。ろ液中のDyの定量分析を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES/エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 SPS−1700 HVR)により行った。標準直線は、誘導結合プラズマ発光分光分析用の硝酸ジスプロシウム溶液(和光純薬製)を使用して作成した。なお、この際、Ndの標準直線は、誘導結合プラズマ発光分光分析用の硝酸ネオジム溶液(和光純薬製)を使用する以外同様の操作を用いることによって作成した。
【0023】
以下、上記で単離した微生物の分類学的性質を説明する。
【0024】
当該単離した菌株について、rDNA 18Sと26Sの間の内部転写スペーサー(Internal Transcribed Spacer;ITS)領域の塩基配列(28S D1/D2の塩基配列)を決定し、当該塩基配列に基づいて、属間・種間の分類階級を調べ、分子系統解析を行った。なお、決定された単離した微生物のITS領域のrDNAの塩基配列を下記配列番号:1および図2に示す。単離した微生物のrDNA ITS領域の塩基配列と、既知の種々の微生物のrDNA ITS領域の塩基配列と、の相同性を比較した。その結果、単離した微生物は、クビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)のrDNA ITS領域の塩基配列とほぼ100%という高い相同性を示した。この結果から、上記で単離した微生物は、クビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)と非常に近縁であることが示唆された。
【0025】
【化1】

【0026】
次に、以下では、当該単離した微生物に関する、培養的・形態的性質および生理学的・化学分類学的性質を記載する。
【0027】
1.培養的・形態的性質
1−1.サブロー培地における培養的・形態的性質
【0028】
【表1】

【0029】
1−2.グルコース・ドライイースト寒天培地における培養的・形態的性質
【0030】
【表2】

【0031】
1−3.ポテト・グルコース培地における培養的・形態的性質
【0032】
【表3】

【0033】
2.生理学的・化学分類学的性質
【0034】
【表4】

【0035】
3.諸性質
ジスプロシウムを選択的に集積できる。特に、ネオジムに比べて多量のジスプロシウムを集積できる。
【0036】
従来まで、真菌、特にクビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)がジスプロシウムを集積する、特にジスプロシウムを選択的に集積するという報告はなく、上記で単離された微生物は明らかに公知の真菌とは区別される。このため、本発明の微生物は新規な微生物であると判断し、本菌株をクビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)NO−9株(以下、単に「NO−9株」とも称する)と命名した。また、このNO−9株は、平成23年4月27日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託されており、その受託番号は、NITE P−1091である。
【0037】
本発明の微生物は、ジスプロシウムを選択的に集積でき、特にネオジムに比べて多量のジスプロシウムを菌体内に集積することができる。このため、本発明の微生物をジスプロシウムとネオジムとの混合物に作用させると、ジスプロシウムとネオジムとを効率よく分離し、また、作用後の混合物にはネオジムが残り、ネオジムを効率よく回収できる。また、ジスプロシウムを微生物菌体から分離・精製することによって、ジスプロシウムもまた回収することができる。したがって、ジスプロシウムを含むネオジム磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびにネオジム磁石から、目的とするネオジムおよびジスプロシウム、特にネオジムをリサイクルできる。ここで、微生物がネオジムに比べて多量のジスプロシウムを集積する場合の、ジスプロシウム及びネオジムの集積能は、特に制限されない。具体的には、本発明の微生物は、PDA培地中で28℃で168時間培養後に、ネオジム1モルに比して、5〜40モルのジスプロシウムを集積することが好ましく、ネオジム1モルに比して、10〜30モルのジスプロシウムを集積することがより好ましい。
【0038】
上述したように、上記トリポクラジウム(Tolypocladium)属に属する分離株をはじめとしたジスプロシウムを集積しうる真菌の、継代培養した子孫または当該真菌由来の突然変異体は、ジスプロシウム集積能を有する限り、本発明に包含される。ここで、「突然変異体」とは、例えば、少なくとも1個の塩基またはアミノ酸の置換、挿入または欠失に起因して、遺伝子組成が親株のものと異なる菌株をいう。なお、上記「少なくとも1個の塩基またはアミノ酸の置換、挿入または欠失」とは、ジスプロシウム集積能に実質的に影響を及ぼさない塩基またはアミノ酸の置換、欠失、付加又は挿入を意味する。本発明の突然変異体は、自然発生的にも生成しても、あるいは、公知の方法によって生成してもよい。後者の場合の方法は、特に制限されないが、例えば、突然変異体は、例えば、化学的突然変異(例えば、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)等の化学的変異剤の使用)、トランスポゾンまたは放射線もしくは紫外線照射による等の、突然変異誘発法によって得られる。さらに、本発明の変異株は、組換核酸配列を有する組み換体であってもよい。例えば、突然変異体は、別の核酸配列(例えば、形質転換されたか、形質導入されたか、または他にその親株の細胞中に挿入された配列)を保有する細菌株であり得る。上記別の核酸配列は、ジスプロシウム集積能を発揮するように発現するポリペプチドをコードしてもよい。あるいは、上記別の核酸配列は、細胞生理学を変更し得る核酸配列(例えば、アンチセンス、リボザイム、または任意の他の核酸配列)をコードしていてもよい。または、核酸は、内因性遺伝子に挿入されて上記内因性遺伝子の機能を変更(強化または破壊)するものであってもよい。例えば、挿入された核酸は、内因性遺伝子を不活化するノックアウト構築物、または内因性遺伝子の転写を増加する人工エンハンサーまたはプロモーターでありうる。
【0039】
上記に加えて、本発明の微生物は真菌である。真菌は、一般的に、細菌(バクテリア)よりも要求水分量が少ない状態での生育が可能である。このため、工業利用の面から、量産化がより達成しやすい。また、本発明の微生物は、固体表面での生育が可能であるため、処理対象物が液体である必要はなく、固体であっても、直接ジスプロシウムを菌体内に集積することができる。このため、本発明の微生物は、ジスプロシウムを含むネオジム磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびに使用済みのネオジム磁石(回収製品)に直接作用させて、ジスプロシウムおよびネオジムを直接回収できる。
【0040】
なお、本発明ではNO−9株を使用したが、この菌株に限られることなく、ジスプロシウムを集積することが可能な真菌であれば使用できる。
【0041】
本発明の微生物の培養方法は、当該微生物が生育・増殖できるものであれば、いずれのものであってよい。例えば、本発明の微生物の培養に使用する培地は、固体または液体培地のいずれでもよく、また、使用する微生物が資化しうる炭素源、適量の窒素源、無機塩及びその他の栄養素を含有する培地であれば、合成培地または天然培地のいずれでもよい。通常、培地は、炭素源、窒素源および無機物を含む。
【0042】
本発明の微生物の培養において使用できる炭素源としては、使用する菌株が資化できる炭素源であれば特に制限されない。具体的には、微生物の資化性を考慮して、グルコース、フラクトース、セルビオース、ラフィノース、キシロース、マルトース、ガラクトース、デンプン、デンプン加水分解物、糖蜜、廃糖蜜等の糖類、肉エキス、ペプトン、カゼイン、カゼイン−ペプトン、麦、米等の天然物、グリセロール、メタノール、エタノール等のアルコール類、酢酸、グルコン酸、ピルピン酸、クエン酸等の脂肪酸類などが挙げられる。上記炭素源は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。また、上記炭素源を1種または2種以上選択して使用することができる。
【0043】
また、本発明の微生物の培養において使用できる窒素源としては、肉エキス、ペプトン、ポリペプトン、酵母エキス、大豆加水分解物、大豆粉末、カゼイン、ミルクカゼイン、カザミノ酸、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等の各種アミノ酸、コーンスティープリカー、その他の動物、植物、微生物の加水分解物等の有機窒素源;アンモニア、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウムなどのアンモニウム塩、硝酸ナトリウムなどの硝酸塩、尿素等の無機窒素源などが挙げられる。上記窒素源は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。また、上記窒素源を1種または2種以上選択して使用することができる。
【0044】
本発明において使用できる無機物としては、マグネシウム、マンガン、カルシウム、ナトリウム、カリウム、銅、鉄及び亜鉛などの、リン酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物等のハロゲン化物などが挙げられる。上記無機物は、培養する微生物による資化性を考慮して適宜選択される。また、上記無機物を1種または2種以上選択して使用することができる。また、培地中に、必要に応じて、植物油、界面活性剤等を添加してもよい。
【0045】
本発明の微生物に効率よくジスプロシウムを集積させるあるいは微生物のジスプロシウム集積能を維持するためには、培地中にジスプロシウムを添加することが好ましい。ジスプロシウムの添加量は、特に制限されず、培養する微生物による集積能などを考慮して適宜選択されうる。具体的には、ジスプロシウムを、培地1L中に0.1〜60mM、より好ましくは20〜40mMの濃度で添加することが好ましい。このような添加量であれば、微生物は、高いジスプロシウム集積能を維持できる。また、他の希土類元素をさらに培地に添加してもよい。他の希土類元素の種類及び添加量は、使用する微生物の集積能などを考慮して適宜選択できる。他の希土類元素としては、例えば、イッテルビウム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム及びルテチウムなどが挙げられる。他の希土類元素の希土類元素の添加量は、特に制限されず、培養する微生物による資化性あるいは集積能を考慮して適宜選択されうる。具体的には、他の希土類元素を、培地1L中に0.1〜60mM、より好ましくは20〜40mMの濃度で添加することが好ましい。なお、上記他の希土類元素は、単独で添加してもまたは2種以上の混合物若しくは合金の形態で添加してもよい。
【0046】
本発明の微生物の培養は、通常の方法によって行える。例えば、微生物の種類によって、好気的条件下または嫌気的条件下で、微生物を培養する。前者の場合には、微生物の培養は、振盪あるいは通気攪拌などによって行われる。また、培養条件は、培地の組成や培養法によって適宜選択され、本発明の微生物が増殖できる条件であれば特に制限されず、培養する微生物の種類に応じて適宜選択されうる。通常は、培養温度が、好ましくは20〜35℃、より好ましくは25〜32℃である。また、培養に適当な培地のpHは、好ましくは3〜8、より好ましくは4.5〜5.5である。さらに、培養時間は、特に制限されず、培養する微生物の種類、培地の量、培養条件などによって異なる。通常は、培養時間は、好ましくは150〜300時間、より好ましくは220〜250時間である。
【0047】
また、本発明の第二は、本発明の微生物を用いることを有する、ジスプロシウムを集積する方法に関する。また、本発明の第三は、本発明の微生物をネオジム及びジスプロシウムの混合物に作用させることを有する、ネオジムからジスプロシウムを分離する方法に関する。さらに、本発明の第四は、本発明の微生物を有する、ジスプロシウムを集積するためのバイオリアクターに関する。
【0048】
本発明の第二、第三および第四の方法によると、常温、常圧でのジスプロシウム、またはジスプロシウムおよびネオジムの分離・回収が可能である。また、従来のように大量の有機溶剤をジスプロシウムおよびネオジムの分離・回収に使用する必要がないため、環境面でも不可の少ない金属リサイクルシステムが達成できる。
【0049】
本発明の微生物は、2種以上の希土類元素を含む混合物からジスプロシウムを選択的に集積できる。特に、本発明の微生物は、ネオジムに比べて多量のジスプロシウムを集積することができる。このため、本発明の方法により、微生物をジスプロシウムとネオジムとの混合物(例えば、ジスプロシウムを添加剤として使用するネオジム磁石の処理対象物)に作用させると、作用後の混合物にはネオジムが残り、ネオジムを効率よく回収できる。また、ジスプロシウムを微生物菌体から分離・精製することによって、ジスプロシウムもまた回収することができる。このため、ネオジム磁石の処理対象物、特にジスプロシウムを添加剤として使用するネオジム磁石の処理対象物から、目的とするネオジムおよびジスプロシウム、特にネオジムをリサイクルできる。
【0050】
また、本発明の微生物は真菌である。真菌は、一般的に、細菌(バクテリア)よりも要求水分量が少ない状態での生育が可能である。このため、工業利用の面から、量産化がより達成しやすい。また、本発明の微生物は、固体表面での生育が可能であるため、処理対象物が液体である必要はなく、固体であっても、直接ジスプロシウムを菌体内に集積することができる。このため、本発明の方法によると、本発明の微生物を、ネオジム磁石の処理対象物、特にジスプロシウムを添加剤として使用するネオジム磁石の処理対象物に直接作用させて、ジスプロシウムおよびネオジムを直接回収できる。
【0051】
本発明の第二および第三において、上記したような好ましい培養条件によって、本発明の微生物は、ジスプロシウムを効率よくかつ選択的に集積でき、また、ネオジムからジスプロシウムを効率よく分離できる。ここで、培養液に添加される希土類元素源としては、ジスプロシウムを含むものであれば特に制限されないが、好ましくはネオジム及びジスプロシウムを少なくとも含む。このような希土類元素源としては、原鉱石またはジスプロシウムを含む加工品などが挙げられる。より具体的には、ネオジム磁石の処理対象物、特にジスプロシウムを添加剤として使用するネオジム磁石の処理対象物希土類磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびに回収製品などが好適に使用できる。これにより、目的とする希土類元素(例えば、ネオジム、ジスプロシウム)をリサイクルできる。
【0052】
なお、上記希土類元素源はそのままの形態で培養液に添加されてもよいが、必要であれば、適宜処理される。この場合の処理方法としては、特に制限されず、公知の方法があるが、例えば、スラッジ粉末を酸化し、酸溶解する方法などが挙げられる。
【0053】
ここで、希土類元素源の添加量(存在量)は特に制限されないが、通常、ジスプロシウムの培養液中の濃度が上記したような範囲になるような添加量であることが好ましい。具体的には、ジスプロシウムが、金属換算で、培養液1L中に、1×10−5〜60mM、より好ましくは20〜40mMの濃度で存在するような量で添加されることが好ましい。このような量であれば、微生物は、生育・増殖を阻害されることなく、ジスプロシウムを効率よく集積できる。また、ネオジムをはじめとする他の希土類元素の添加量(存在量)もまた特に制限されず、他の希土類元素の培養液中の濃度が上記したような範囲になるような添加量であることが好ましい。具体的には、他の希土類元素が、金属換算で、培養液1L中に、1×10−5〜60mM、より好ましくは20〜40mMの濃度で存在するような量で添加されることが好ましい。このような量であれば、生育・増殖を阻害されることがない。
【0054】
また、本発明の微生物による作用(培養)条件は、特に制限されず、上記微生物の培養条件と同様の条件が適用できる。例えば、微生物の種類によって、好気的条件下または嫌気的条件下で、微生物を希土類元素源(処理対象物)に作用させる。通常は、作用温度が、好ましくは15〜40℃、より好ましくは25〜32℃である。また、培養に適当な培地のpHは、好ましくは3〜8、より好ましくは4.5〜5.5である。また、作用時間は、特に制限されず、培養する微生物の種類、希土類元素源(処理対象物)の形態や量、培養条件などによって異なる。通常は、培養時間は、好ましくは150〜300時間、より好ましくは220〜250時間である。
【0055】
上記培養後、本発明の微生物からネオジムを分離、精製する方法としては、特に制限されない。例えば、上記条件下で培養を行った後、瀘過あるいは遠心分離等によって培養液を回収し、当該培養液を培養液イオン交換樹脂法(固−液抽出法)や溶媒抽出法(液−液抽出法)等の、従来公知の方法を単独若しくは組み合わせて用いて精製する方法が挙げられる。
【0056】
または、本発明の微生物は固体表面での生育が可能であるため、ジスプロシウムを含むネオジム磁石の生産時に発生する磁石粉末、屑及び不良スクラップ、ならびに使用済みのネオジム磁石(回収製品)に直接作用させてもよい。この場合には、上記したような培養液からのネオジムの回収などが不要であり、また特殊な生産整備を必要とせずに、ジスプロシウムおよびネオジムを直接回収できるため、好ましい方法である。
【0057】
ここで、希土類元素源の添加量(存在量)は特に制限されない。具体的には、ジスプロシウムが、金属換算で、希土類元素源(処理対象物)に対して、1〜20質量%、より好ましくは2〜10質量%になるように存在することが好ましい。このような量であれば、微生物は、生育・増殖を阻害されることなく、ジスプロシウムを効率よく集積できる。また、ネオジムをはじめとする他の希土類元素の添加量(存在量)もまた特に制限されないが、他の希土類元素が、金属換算で、希土類元素源(処理対象物)に対して、1〜40質量%、より好ましくは20〜30質量%になるように存在することが好ましい。このような量であれば、生育・増殖を阻害されることは無い。
【0058】
また、本発明の微生物による作用条件は、特に制限されず、上記微生物の培養条件と同様の条件が適用できる。例えば、微生物の種類によって、好気的条件下または嫌気的条件下で、微生物を希土類元素源(処理対象物)に作用させる。通常は、作用温度が、好ましくは25〜32℃、より好ましくは20〜35℃である。また、培養に適当な培地のpHは、好ましくは3〜8、より好ましくは4.5〜5.5である。また、作用時間は、特に制限されず、培養する微生物の種類、希土類元素源(処理対象物)の形態や量、培養条件などによって異なる。通常は、作用時間は、好ましくは150〜300時間、より好ましくは220〜250時間である。
【0059】
上記作用後、本発明の微生物からネオジムを分離、精製する方法としては、特に制限されない。例えば、上記条件で作用後の希土類元素源(処理対象物)を、イオン交換樹脂法(固−液抽出法)や溶媒抽出法(液−液抽出法)等の従来公知の方法による処理を行い、ネオジムを分離、精製する。
【0060】
また、上記したように本発明の微生物を培養した後あるいは本発明の微生物を処理対象物に直接作用させた後、本発明の微生物からジスプロシウムを分離、精製してもよい。この際、分離・精製方法としては、上記培養条件下で培養を行った後あるいは処理対象物に直接作用させた後、菌体を瀘過あるいは遠心分離等によって集め、菌体を破砕し、破砕した菌体から目的とする希土類元素を精製する方法がある。ここで、菌体の破砕方法としては、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、凍結融解処理、超音波処理、加圧処理、浸透圧差処理、磨砕処理等の物理的手段またはリゾチーム等の細胞壁溶解酵素処理若しくは界面活性剤との接触処理等の化学的処理を単独または組み合わせて行うことにより菌体を破砕できる。また、破砕した菌体から目的とする希土類元素を精製する方法もまた、特に制限されず、公知の方法が使用できる。例えば、分別結晶法、分別沈殿法、イオン交換クロマトグラフィー法および溶媒抽出法等の既知の方法を単独若しくは組み合わせて用いて精製する方法が挙げられる。破砕した菌体からの希土類元素の精製法としては、手間、時間および費用の点から、溶媒抽出法、特に溶媒抽出操作を連続して行う向流多段抽出法が好ましく用いられる。
【0061】
また、第四において、本発明のバイオリアクターは、本発明の微生物を担体に固定化し、希土類元素源を含む液体などの処理対象物を通液するタンク内にこの担体を設置することによって構築することができる。また、制御装置、ポンプ、各種センサー等を設置してもよい。ここで、希土類元素源を含む液体の種類は特に制限されない。例えば、水、酸性溶液、有機溶剤などが挙げられる。また、微生物を固定化する担体としては、本発明の微生物を固定化することができるものであれば特に制限されず、一般的に微生物を固定化するのに使用される担体が同様にしてあるいは適宜修飾されて使用される。例えば、アルギン酸、ポリビニールアルコール、ゲランガム、アガロース、セルロース、デキストラン等のゲル状物質に包括固定する方法や、ガラス、活性炭、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、木材、シリカゲル等の表面に吸着固定する方法などが使用できる。
【0062】
また、微生物を担体に固定化する方法もまた特に制限されず、一般的な微生物の固定化方法が同様にしてあるいは適宜修飾されて使用される。例えば、微生物の培養液を担体に流し込むことによる固定化法、アスピレーターを用いて担体を減圧下におき、微生物の培養液を担体に流し込むことによる固定化法、および菌株の培養液を滅菌した培地と担体との混合物に流し込み、振盪培養し、上記混合物から取り出した担体を自然乾燥する方法などが挙げられる。
【0063】
本発明のバイオリアクターを用いるジスプロシウムの集積は、回分式、半回分式、連続式などの任意の様式により行うことができる。また、バイオリアクター内の液体の温度は、特に制限されないが、集積能を考慮すると、液体(処理対象物)の温度を、20〜35℃程度、より好ましくは25〜32℃程度に調整して、液体(処理対象物)を処理することが好ましい。
【実施例】
【0064】
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。
【0065】
実施例1:NO−9株の単離
神奈川県横須賀市夏島町1番地所在の、日産自動車株式会社内の花壇の土壌から採取した試料から単離した。すなわち、適当量の試料(土壌)を2mLの純水中で混濁したものを10μlずつ白金耳で、以下の方法で作製された一次スクリーニング用寒天培地(pH:7.2〜7.4)に塗抹し、この寒天培地を37℃で7〜10日間培養して、一次スクリーニングを行った。
【0066】
<一次スクリーニング用寒天培地の作製方法>
以下のようにして、ポテトデキストロース寒天培地(組成:ポテトエキス 0.4%(wet/v)、ブドウ糖 2%(wet/v)、寒天 1.5%(wet/v))(以下、「PDA寒天培地」とも称する)を調製した。脱イオン水1Lに、ポテトエキス4g及びブドウ糖20gを溶解し、この溶液を200mlずつに分けた。この溶液に、56mM、14mM、3.5mM、0.88mM、0.22mMの各濃度となるように塩化ジスプロシウムを添加し、金属濃度の希釈系列のある溶液を作製した。次に、これに、各々寒天1.5%(wet/v)を添加して、高圧滅菌したものをシャーレに15mlずつ分注して平板培地とした。
【0067】
次に、高濃度(14mM、56mM)の塩化ジスプロシウムを含有する寒天培地上に形成されたコロニーを釣菌し、56mMの塩化ジスプロシウムを含有する寒天培地に再塗抹した。この操作を数回繰り返して菌株を純化した。このような一次スクリーニングによって、高濃度ジスプロシウム存在下でも増殖可能な真菌が得られた。
【0068】
次に、以下のようにして二次スクリーニングを行った。すなわち、以下の方法で作製された、無菌処理済みの二次スクリーニング用液体培地(5ml)中に、上記一次スクリーニングで純化した各単離菌を白金耳で1白金耳ずつ接種し、37℃で10日間振盪培養した。さらに、以下の方法にしたがって、培養上清中に残存するジスプロシウム(Dy)濃度を測定し、培養上清中のDy濃度が初濃度(30mM)から30%以上減少した菌を候補菌として選別した。この際、選別された菌株は再度二次スクリーニング用培地(以下、「Dy含有培地」とも称する)に接種して同様の操作を繰り返し、Dy濃度減少に関する再現性を確認した。このようにして希土類元素を効率的に集積する菌株をスクリーニングした。
【0069】
<二次スクリーニング用培地の作製方法>
脱イオン水1Lに、ポテトエキス4g及びブドウ糖20gを溶解し、ポテトデキストロース液体培地(組成:ポテトエキス 0.4%(wet/v)、ブドウ糖 2%(wet/v))(以下、「PDA液体培地」とも称する)をオートクレーブ滅菌した。次に、ジスプロシウム濃度が30mMとなるように塩化ジスプロシウムを加え、全体をろ過滅菌することによって、二次スクリーニング用培地を調製した。
【0070】
なお、上記方法において、培養上清中に残存するジスプロシウム(Dy)濃度は、下記測定方法に従って測定する。スクリーニングする菌株を接種、培養した後のDy含有培地 1mlを遠心式フィルタリングユニットに入れ、遠心分離(8000rpm、4℃、10分間)することによって、ろ液を得る。ろ液中のDyの定量分析を誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP−AES/エスアイアイ・ナノテクノロジー社製 誘導結合プラズマ発光分光分析装置 SPS−1700 HVR)により行った。標準直線は、誘導結合プラズマ発光分光分析用の硝酸ジスプロシウム溶液(和光純薬製)を使用して作成した。なお、この際、Ndの標準直線は、誘導結合プラズマ発光分光分析用の硝酸ネオジム溶液(和光純薬製)を使用する以外同様の操作を用いることによって作成した。
【0071】
その結果、ジスプロシウム(Dy)を最も選択的に集積する菌株を単離(分離)し、その分類学的性質および培養的・形態的性質を調べたところ、上記したように、新規な微生物であると判断し、本菌株をクビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)NO−9株(以下、単に「NO−9株」とも称する)と命名し、平成23年4月27日付で、独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、受託番号 NITE P−1091にて寄託した。
【0072】
実施例2
PDA培地(組成:ポテトエキス 0.4%(wet/v)、ブドウ糖 2%(wet/v)、寒天 1.5%(wet/v))に、希土類元素源として、ジスプロシウム、ネオジムを、各25.2mMの濃度になるように、別々に添加し、高圧滅菌して、それぞれ、培養液(1)及び(2)を調製した。
【0073】
この培養液(1)及び(2)200mLに、それぞれ、斜面培地より、上記実施例1で単離したNO−9株を一白金耳接種して、28℃で72時間振盪培養することによって前培養を行い、前培養液を得た。次に、この前培養液1mLを、それぞれ、上記したように予め別に調製しておいた培養液(1)及び(2)200mLに入れ、28℃で7日間、振盪培養することによって本培養を行った。7日間培養後の培養液中に含まれる各希土類元素濃度を測定し、初濃度に対する減少率を算出し、各希土類元素の集積能を評価した。なお、各希土類金属濃度の測定は、実施例1に記載の方法に従って行った。結果を図1に示す。
【0074】
図1に示されるように、7日間培養後のジスプロシウムの減少量(すなわち、ジスプロシウムの集積能)は10mMであるのに対して、ネオジムの減少量(すなわち、ネオジムの集積能)は0.5mMであり、ほとんど減少していなかった。これから、本発明の微生物は、ネオジムに比して、ジスプロシウムを選択的に集積することが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジスプロシウムを集積しうる真菌である微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体。
【請求項2】
前記真菌がトリポクラジウム(Tolypocladium)属に属する、請求項1に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体。
【請求項3】
前記真菌がトリポクラジウム(Tolypocladium)属に属し、下記性質を有する、請求項1または2に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体:
(1)ネオジムに比べて多量のジスプロシウムを集積する;
(2)好気性である;
(3)サブロー培地において、テレオモルフ(有性時代)は未確認であり、アナモルフの形態学的性質は胞子及び隔壁の確認できず、コロニーの表面の形状はビロード状であり、コロニーの色調は白色であり、コロニーの裏面の形状は黄色を帯びた灰色である;
(4)グルコース・ドライイースト寒天培地において、テレオモルフ(有性時代)は未確認であり、アナモルフの形態学的性質は胞子及び隔壁の確認できず、コロニーの表面の形状は綿状であり、コロニーの色調は白色であり、コロニーの裏面の形状は黄色を帯びた灰色である;
(5)ポテト・グルコース培地において、テレオモルフ(有性時代)は未確認であり、アナモルフの形態学的性質は胞子及び隔壁の確認できず、コロニーの表面の形状は綿状であり、コロニーの色調は白色であり、コロニーの裏面の形状は黄色を帯びた灰色である;
(6)最適生育温度は25〜32℃である;および
(7)最適生育pHは4.5〜5.5である。
【請求項4】
PDA培地中で28℃で168時間培養後に、ネオジム1モルに比して、5〜40モルのジスプロシウムを集積する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体。
【請求項5】
クビナガクチキムシタケ(Tolypocladium Inflatum)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体。
【請求項6】
受託番号 NITE P−1091のTolypocladium Inflatum NO-9株である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体を用いることを有する、ジスプロシウムを集積する方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体をネオジム及びジスプロシウムの混合物に作用させることを有する、ネオジムからジスプロシウムを分離する方法。
【請求項9】
原鉱石またはジスプロシウムを含む加工品に前記微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体を作用させることを有する、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の微生物、該微生物の継代培養した子孫、または該微生物に由来する突然変異体を有する、ジスプロシウムを集積するためのバイオリアクター。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−244914(P2012−244914A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117337(P2011−117337)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】