説明

ジスルフィド架橋の形成方法

本発明は、SH基を保有する物質、このましくは、ペプチドの、たとえば、分子内ジスルフィド架橋の形成によるジスルフィド架橋の形成のための改善された方法に関する。ここでは、複素環の少なくとも1つの窒素原子を有する化合物(たとえば、カフェインまたはカフェイン類似物質)が、反応の触媒として用いられる。驚くべきことに、この複素環化合物を加えると、ジスルフィド架橋保有生成物の収率および純度が上昇したことが示された。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術水準において、ジスルフィド架橋の形成方法は種々知られている。たとえば、酸化剤としてK[Fe(CN)]を加える分子内ジスルフィド架橋の形成によるペプチドの環化のための標準的な方法がある。これらの試薬は、高い収率で純粋な環化生成物を保障し、副反応が回避される。その上、酸素またはヨウ素の作用による環化も知られている。しかし、これらの方法は、遅すぎるかまたは所望されない副産物が多量に発生するという欠点を有している。別の知られたペプチドの環化方法は、酸化剤として固定したEllmann試薬(5,5’−ジチオ−ビス(2−ニトロ安息香酸)を使用することである。この方法は、たとえば直鎖ペプチドの完全な酸化を可能にし、試薬による汚染が回避された。この使用によって初めて架橋エトキシレート−アクリレート樹脂(CLEAR)キャリアが開発された。これは、有機溶性混合物および水溶性混合物に適合性である。
【0002】
さらなる技術水準において、たとえば、ペプチドの環化のような公知のジスルフィド架橋の形成方法としては、DMSOを酸化剤として使用することがある。この方法は、最終的には直鎖ペプチドの完全な酸化をもたらす。しかし、この方法は、反応が非常に遅く進行し、DMSOの過剰分をさらなる処理の前に取り除かねばならないという点において欠点を有しており、これが、この有機溶媒に関し難点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記形態から、ジスルフィド架橋の形成のためのより多くの方法が、特に、分子内ジスルフィド架橋の形成によるペプチドの環化において意味のあるものであることがわかる。この方法は、収率、反応の困難性または純度における欠点が問題である。
【0004】
したがって、本発明は、ジスルフィド架橋の形成のための別の方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、以下のジスルフィド架橋の形成の方法を提供することによって解決した:流体混合物における反応を行い、この方法において、この反応では少なくとも複素環の形成を包含し、該複素環において環のなかに少なくとも1つの窒素を有するものである。
【0006】
したがって、請求項1は、ジスルフィド架橋の形成方法に関し、ここで、この方法は、その反応が、流体媒体において行われ、ここでこの媒体は、少なくとも1つのジスルフィド架橋の形成を必要とする化合物を含み、ここで、この化合物は、以下の群より選択されるものである。
【0007】
(a)化合物であって、該化合物は、その構造において、少なくとも1つの窒素を有する飽和または不飽和の6員複素環を有し、ここで、この複素環は、その窒素原子に隣接する炭素原子において、少なくとも1つのヒドロキシ基または1つの本発明によるオキソ基(=O)を有し、ここで、好ましくは、ヒドロキシ基の場合、この複素環は不飽和である、化合物。
【0008】
(b)以下の一般式の化合物
【0009】
【化1】

【0010】
ここで、置換基Aは、水素、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたアリール基または飽和もしくは不飽和の3〜10員環でかつ1〜3個の窒素、酸素および/またはイオウのようなヘテロ原子を有する複素環であり、ここで、この複素環は、置換されていないか、または一つまたは複数がハロゲン、1〜4炭素原子のアルキル、シアノ、ニトロ、3〜6炭素原子のシクロアルキル、ヒドロキシ、1〜4炭素原子のアルコキシおよび/またはメルカプトである。
【0011】

上記定義の化合物がジスルフィド架橋の形成を促進し、したがってその反応において、触媒として働きうることが予想外に見出された。したがって、種々のSH基を保持する物質(たとえば、特にペプチド、タンパク質)におけるジスルフィド架橋の形成を促進するために、これらの化合物を反応混合物に加えることが有利である。
【0012】
1つの実施形態によれば、別の形態による化合物は、以下の基本構造を有する:
【0013】
【化2】

【0014】
ここで、複素環は、それぞれ独立して、置換基R1〜R6が選択され、飽和または不飽和であり、対応して1または複数の二重結合を有しうる。
−V、W,X、YおよびZは、それぞれ、炭素原子または窒素原子のいずれかであり、ここで、この複素環は、合計して3を超えない、好ましくは2を超えない窒素を有する。
−R1は、ヒドロキシ基または本願発明によるオキソ基(=O)のいずれかであり;
−R2およびR3は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基、必要に応じて置換された−(CHCOOX(ここで、nは0〜10であり、Xは水素、アルキルまたは電子吸引基、官能基(たとえば、特に、ヒドロキシ基、本発明の基づくオキソ基(=O)、−CONHまたはオキシム(=N−OH)である)、あるいはR2はR3と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、あるいは、R2および/R3は存在せず;
−R4およびR5は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基、電子吸引基、官能基(たとえば、特にヒドロキシ基、本発明によるオキソ基(=O),カルボキシ基、−CONHまたはオキシム(=N−OH)であるか、あるいはR4はR5と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、あるいはR5はR6と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、あるいは、R4および/R5は存在せず;
−R6は、水素または必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基であるか、あるいはR6はR5と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、R6は存在しない。
【0015】

したがって、その環における結合位置において二重結合を有する窒素が存在するとき(たとえば、化合物2,6−ジヒドロ−ピリジン−ヒドロクロリド;ウラシル−6−カルボン酸,4,6−ジヒドロキシピリミジンを参照)、上記置換基R2〜R6が欠落しうる。
【0016】
本発明の化合物の異なる実施形態の中心的な特徴は、6員の窒素含有複素環および隣接する炭素原子におけるヒドロキシまたは本発明によるオキソ基(=O)の存在である。本発明における「オキソ基」とは、環の原子を有する各々の置換基が一緒になってオキソ基を形成し、環における二重結合に対して対応する酸素原子が結合されることを意味する。
【0017】
【化3】

【0018】
このように、多数の試験がなされ、そのような官能基(ヒドロキシ基、オキソ基=O)がない化合物(たとえば、アミノピラジン、2,4−ジアミノピリミジン,メラミン,ピラジンカルボン酸およびピラジンアミド)は、ジスルフィド架橋の形成を促進する通常能力がないことが示された。
【0019】
置換基の定義から明らかなように、複素環において窒素原子のみが存在し、ジスルフィド結合の形成を促進することについて有利な作用を示す化合物が存在する。複素環において窒素原子のみおよび本発明によるオキソ基(=O)を隣接する炭素原子に有する化合物の例は、化合物N−メチル−2−ピリドンがある。
【0020】
【化4】

【0021】
複素環において窒素原子のみおよびヒドロキシ基を隣接する炭素原子に有する化合物のさらなる例は、化合物2,6−ジヒドロキシ−ピリジン−ヒドロクロリドがある。
【0022】
【化5】

【0023】
各請求項に記載されるように、複素環がヒドロキシ基で占められる場合が好ましい。試験を行うことによって、少なくともひとつの二重結合が存在する場合、触媒作用について非常に意味のあることが示された。以下に束縛されることを所望するものではないが、このことは、この構造の化合物が互変異性化しうることに帰着するものと推察される。互変異性体は、構造異性体であって、ある基(たとえば、水素)の位置および二重結合の位置のみで区別することができるものをいう。ヒドロキシ基およびオキソ基(=O)の場合、ケト−エノール互変異性体について言及される。芳香性を有する化合物(たとえば、2,6−ジヒドロ−ピリジンヒドロクロリドが互変異性化しうることが好ましいことが示された。このことは、特に、好ましくはケト形態に互変異性化しうるエノール形成の場合にそうである。したがって、所与の物質の互変異性体(異性体)の形成が本発明にしたがって包含される。
【0024】
好ましくは、6員環の複素環は、2つの窒素を有し、ここで、この2つの窒素は識別可能に存在することができる。たとえば、この構造の活性化合物として、ウラシル−6−カルボン酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチル−ピリミジン、2,4−ジメチル−6−ヒドロキシピリミジン、2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジノール、4,6−ジヒドロキシ−2−メチル−ピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン,1,2−ジヒドロ−3,6−ピリダジンジオンがある。
【0025】
【化6】

【0026】

【0027】

【0028】

【0029】

【0030】

【0031】



【0032】
R5およびR6が一緒になって環を形成する化合物の例としては、7−ヒドロキシ−5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジンがある。
【0033】
【化7】

【0034】
さらなる実施形態によれば、この化合物は、以下の構造を有する。
【0035】
【化8】

【0036】
ここで、この複素環は、それぞれ独立して、置換基R2,R3,R4およびR6が飽和または不飽和であり、そして対応して1または複数の二重結合を有することができ;ここで、
−R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、必要に応じて置換された基-(CH2)nCOOX(ここで、nは0から10であり、Xは水素またはアルキルである)、電子吸引置換基、官能基(例えば、特に、ヒドロキシ基、本発明に基づくオキソ基(=O),-CONH2またはオキシム(=N−OH))であり、あるいはR2はR3と一緒になって5員環または6員環であり、ここでこれは必要に応じてヘテロ原子を有することができ、必要に応じてさらなる置換基を有するか、あるいは、R2および/またはR3は存在せず;
−R4は、水素または必要に応じて置換されるアルキル基またはアリール基あるいはR4は存在せず;
−R6は、水素または必要に応じて置換されるアルキル基またはアリール基あるいはR6は存在しない。
【0037】
この実施形態の活性の例としては、たとえば、バルビツール酸、アロキサン−一水和物およびビオルル酸がある。
【0038】
【化9】

【0039】

【0040】

【0041】
この実施形態のさらなる例は、以下の一般式のウラシル誘導体がある。
【0042】
【化10】

【0043】
ここで、R4およびR6は、互いに独立して、水素または必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基であり、好ましくは、水素または分岐したもしくは分岐していないC1−C10アルキル基であり、特に好ましくは、C1−C4アルキル基もしくは水素である。
【0044】
よりよい活性を有する例としては、ウラシルおよび1−メチル−ウラシルがある:
【0045】
【化11】

【0046】



【0047】
より広い実施形態によれば、ジスルフィド結合の形成を必要とする化合物は、プリン誘導体であって、その基本構造は以下の一般式で表される。
【0048】
【化12】

【0049】
ここで、5員環は不飽和であり、そして対応する二重結合が存在し、さらにここで、
−R4およびR6は、互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくは必要に応じて置換されたアリール基であり、好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−C10アルキル基または必要に応じて置換されたCまたはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基または必要に応じて置換されたCアリール基であり;特に、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であり;
−R7,R8およびR9は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたアルキル基アリール基、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは0から10であり、Xは水素またはアルキルである)、または官能基であり;好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−C10アルキル基、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール基であり、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは0から10であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)であり;特に好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基、または、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは1から6であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)であり;特に好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基、または、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは1から4であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)である。
【0050】
示されるように、この環化合物は、プリン構造に基づくものでありうる。このプリン構造は、複素環ピリミジンおよびイミダゾールの両方に由来する縮合環系として理解されうる。系統的なIUPAC名は、7H−イミダゾール[4,5−d]ピリミジンである。
【0051】
この7H−プリンは、その異性体である9H−プリンとともに、互変異体性の等価物であり、ここで、本発明の文脈において、両方の互変異体の形態に基づく化合物が包含されるべきである。
【0052】
【化13】


7Hプリン 9Hプリン
ピリミジン環の置換基の選択に応じて、これは、より少ない二重結合を有しうる。
【0053】
格別好ましい実施形態において、本発明は、少なくとも基R4,R6、R7およびR9がアルキル基であり、少なくとも1つ、好ましくは2つの基R4,R6,R7およびR9は水素またはC−Cアルキル基、好ましくはメチルである。
【0054】
プリンに基づくこれらの複素環化合物の具体的な例としては、3−メチルキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、カフェイン、イソカフェイン、キサンチン、テオフィリン−7−アセテート、テオフィリン−8−ブチレートおよび3−イソブチル−1−メチルキサンチンがある。
【0055】
【化14A】

【0056】
【化14B】

【0057】
【化14C】

【0058】
【化14D】

【0059】
【化14E】

【0060】
【化14F】

【0061】
【化14G】

【0062】
【化14H】

【0063】
【化14I】

【0064】
これらの選択された例が示すように、上記7Hプリン構造の代わりに9Hプリン構造を基本構造として持つ互変異体の化合物もまた同様に包含される。
【0065】
更なる実施形態によれば、R2およびR3は、一緒になって、必要に応じて置換された6員環を形成し、この環は、必要に応じて少なくとも1つのヘテロ原子を有する。これらの実施形態において、好ましくは、基本複素環において芳香族が縮合されている化合物に関する。これは、好ましくは、2つのC原子からの架橋におけるものが好ましい。5環が縮合した例(たとえば、イミダゾール)がすでに例示された(プリン構造に基づく化合物)。縮合した環構造についてのさらなる例は、ピラジンおよびキノキサリンがある。
【0066】
縮合した6環としてベンゾールを伴う化合物についての例は1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オンである。
【0067】
【化15】

【0068】
好ましい実施形態によれば、以下の構造の化合物が提示される:
【0069】
【化16】

【0070】
ここで、置換基の選択に応じて環は不飽和であり得、そして対応する1または複数の二重結合を有し得、そして
−R1は、ヒドロキシ基または本発明によるオキソ(=O)のいずれかであり;
R4およびR6は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基または必要に応じて置換されたアリール基であるか、あるいは存在せず;好ましくは水素、必要に応じて置換された、分岐または分岐していないC−C10アルキル基であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基あるいはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基であり;特に、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であり;
−R5は、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、電子吸引置換基、官能基(たとえば、特に、ヒドロキシ基または本発明によるオキソ基(=O))であるか、あるいはRは存在せず;
−R10およびR13は、それぞれたがいに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基または必要に応じて置換されたアリール基であり、あるいはR10および/またはR13は、存在せず;好ましくは、水素、必要に応じて置換された分岐または分岐していないC−C10アルキル基であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基あるいはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であるまたはC−アリール基であるか;特に、水素または少なくとも1つのヒドロキシ基を伴うC−Cアルキル基であり;
−R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、電子吸引置換基、官能基(例えば、特に、ヒドロキシ基、本発明に基づくオキソ基(=O)、カルボキシ基、-CONH2またはオキシム(=N−OH)であり、あるいは、R11はR12と一緒になって5員環または6員環であり、ここでこの5員環または6員環は必要に応じてヘテロ原子および置換基を有することができる。
【0071】
この形式に入る化合物の格別の例は、たとえば、(−)−リボフラビン、ルマジンおよびアロキサジンがある。
【0072】
【化17】

【0073】

【0074】

【0075】
本発明の代替に基づく化合物は、環外にアミノ基を有しないことが、作用を示すことについて好ましい。したがって、好ましくは、本発明によって構成される化合物は、環外にアミノ基を有しない。
【0076】
上記置換基R2、R3、R4およびR5は、さらに互いに独立して水素、必要に応じて置換された分岐または分岐していないC−C10アルキル基であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基あるいはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であるまたはC−アリール基であるか;特に、水素またはC−Cアルキル基、特にメチルであり得る。
【0077】
R6は、好ましくは、水素またはアルキル基、C−C、好ましくはC−Cの、特に好ましくは水素またはメチル基である。
【0078】
本発明において複素環の置換基として利用可能に使用される電子吸引基または原子は(上記参照)、たとえば、置換基として対応する芳香族複素環の電子密度を低下させる電子吸引基または原子(これはまた、不活性化基としても知られる。)が用いられ得る。電子吸引基は、(−)−M−および/または(−)−l−効果を有する。この共鳴効果(M効果、メソメリズム効果)は、一般に、その基が直接不飽和の複素環系に結合されているときにのみ作用する。これは、π電子について、空間において、溶媒−分子についてあるいは好ましくはある系のσ結合について作用する電界効果(l−効果、誘導効果)と対峙して作用する。
【0079】
電子吸引効果は、誘導(すなわち、(−)−l−効果と称されているものを介する)および/またはメソメリズム(すなわち、いわゆる(−)−M−効果と称されているものを介する)のいずれかを達成することができる。(+)−l−効果および(−)−l−効果ならびに(+)−M−効果および(−)−M−効果を伴う置換基におけるこのクラスの芳香族置換基は、当業者に公知である。さらなる実施形態について、Beyer/Walter, 「Lehrbuch der Organischen Chemie」, 1998, 23. ueberarbeitete und aktualisierte Auflage,515−518頁を参照されたい。この文献は、本明細書において、その開示を本発明において援用する。
【0080】
(−)−M効果を有する基のいくつかの非限定的な例としては、−SO−,−SOO−,−OO−,−COO−,−CONH−,−CONR−,−SOR−,−CN,−NO,−CHO,−CO−,−COSH,−COS-,−SOHおよび本発明によるオキソ基(=O)がある。本明細書から明らかであるが、電子吸引基」および「官能基」との概念は、異なる。対応する基は、適用可能な置換基についての例である。
【0081】
さらなる実施形態によると、別の形態(b)による化合物は、置換基Aを有する。ここで、この置換基Aは、
−水素、必要に応じて置換されたC−C10のアルキル基、必要に応じて置換されたCまたはC10のアリール基、または飽和もしくは不飽和の3−10の環員および1つの窒素、酸素および/もしくはイオウのようなへテロ原子を有する複素環を有し、ここで、この複素環は置換されていないか、またはハロゲン、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、シアノ、ニトロ、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルキル、ヒドロキシ、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシおよび/もしくはメルカプトで1または複数が置換されており;
−好ましくは、水素、必要に応じて置換されるC−Cのアルキル基、必要に応じて置換されたCのアリール基、または5員環または6員環および1つの窒素、酸素および/もしくはイオウのようなヘテロ原子を有する飽和複素環であって、ここでこの複素環は、置換されていないかまたはハロゲン、1−4炭素原子を有するアルキル、シアノ、ニトロ、3−6炭素原子を有するシクロアルキル、ヒドロキシ、1−4個の炭素原子を有するアルコキシ、および/またはメルカプトでまたは複数が置換されており;
−特に、水素、必要に応じて置換されたC−Cのアルキル基、または5員環または6員環および1つの窒素、酸素および/もしくはイオウのようなヘテロ原子を有する飽和複素環を有し、ここで、この複素環は置換されていない;
これらのピリミジン誘導体の具体的な例は、以下の化合物がある:
【0082】
【化18】

アミネキシル

ミノキシジル
支持体物質にこの物質の結合を可能とするために、官能基は、本発明にしたがって、使用されるべき複素環化合物において有用である。したがって、さらにまた、本発明に従う格別の言及していない複素環化合物の誘導体もまた、使用されうる。
【0083】
これまでに記載された複素環化合物は、純粋な形態および種々の可能な異性体(特に立体異性体、たとえば、E異性体、Z異性体、スレオ異性体、エリスロ異性体)および光学異性体(たとえば、R異性体およびS異性体またはアトロプ異性体および互変異性体の混合物の形態として提供されうる。本願発明は、純粋な異性体およびその混合物を包含する。
【0084】
上記に定義した置換基の技術に基づいて、複素環化合物は、酸または塩基の性質を示し、そして塩、好ましくは、分子内塩を形成しうる。式(I)の化合物は、ヒドロキシ、カルボキシまたは他の酸の性質を有する誘導基を保持し、これらの化合物は、塩基を用いて塩に変換されうる。適切な塩基は、たとえば、ヒドロキシド、カルボナート、アルカリおよびアルカリ土類の金属、とくにナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムの炭酸水素塩であり、さらに(C1-C4-)アルキル基を有するアンモニア、一級アミン、二級アミンおよび三級アミン、ならびに(C1-C4-)アルカノールのモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン、トリアルカノールアミンである。式(I)の化合物は、アミノ、アルキルアミノまたは他の塩基の性質の誘導基を有し、これらの化合物は、酸を用いて塩に変換されうる。適切な酸は、たとえば、塩酸、硫酸およびリン酸などの鉱酸、酢酸または酪酸などの有機酸、およびNaHSO4およびKHSO4などの酸塩である。このような入手可能な塩は、同様に適用可能である。
【0085】
上記化合物のさらに好ましい基は、以下に議論される。
【0086】
ジスルフィド結合の形成を本発明に従って促進することが確実にすることについての、複素環の化合物についての例は、さらに以下のように記載されうる。
【0087】
【化19】

【0088】
基R1’, R2’およびR3’は、同じであるかまたは異なり、少なくともこれらの基のひとつは、アルキル基である。とくに、二重結合が存在する互変異性体は、同様に、上記式に含まれることが理解される。したがって、対応する構造異性体もまた、この式に含まれる。この化合物は、上記されるように、とくに、アミノ酸含有物質、とくにペプチドおよびタンパク質におけるいジスルフィド架橋の形成の加速のために適切である。
【0089】
R1’,R2’およびR3’のうち少なくとも1つの、好ましくは2つは、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは、水素またはC−Cアルキル基のいずれかである。特に1〜3個の炭素原子を有する短鎖アルキル基、特にメチル基が有利であることが示された。さらに、基の少なくとも1つは、官能基を有しうる。さらにまた、残りの位置において、複素環の5員環の基R’(窒素に対する)およびR’(窒素原子の間にある炭素に対する)に存在する(特に、互変異性体形態)ことが可能である。これらは、任意の形成可能な、好ましくは有機の基である。1つの実施形態によれば、これは、その物質の、たとえば、支持体に対する結合を可能にする官能基に関する。この形態は、以下により詳細に記載される。
【0090】
本発明による方法で使用するために特に適切な物質には、すでに説明したように、カフェインに加えカフェイン類似物質(たとえば、テオブロミンおよびテオフィリン)がある。
【0091】
驚くべきことに、特にペプチドおよびタンパク質、さらに特に5と100との間のアミノ酸長の、好ましくは10と50とのアミノ酸長の、特に好ましくは15と40との間のアミノ酸長のペプチドを水自身において、より高いペプチド濃度を、室温において、本発明の方法に従って、分子内のジスルフィド環化の形成がされることが示された。したがって、この方法は、分子内ジスルフィド架橋形成のために、特に適切であり、そしてさらに特に、ペプチドの環化のために適切である。さらに、ポリペプチドおよびタンパク質は、対応する方法によって環化される。さらにまた、ジスルフィド架橋が、別の構造上のSH基を有する物質において形成される。このジスルフィド架橋の形成は、特に環において、本発明の複素環化合物(たとえば、カフェイン、カフェイン類似物質(上記式を参照))を、いくつかのペプチドにおいて、近似の量で加えることによって達成される。しかし、これは、必須ではない。驚くべきことに、沖酸化剤を反応の加速のために加えることは行われていなかった(可能であるとはいえ)。なぜなら、上記特徴付けられる物質に存在する空気中の酸素がジスルフィド架橋の形成のために十分であるからである。
【0092】
試験結果によって、さらに、本発明による方法において、反応速度が、反応の過程において加速されうることが示された。本発明による上記特徴付けられた物質の添加による正の影響は、特に驚くべきことである。なぜなら、ほとんどの場合、過去の技術水準においては、加えられる物質DMSOまたはヨウ素は、酸化剤としては取り扱われていなかったからである。本発明方法において、空気中の酸素が酸化のために十分であり、ここで、反応の速度は、本発明による複素環化合物の有利な方法での添加によって増大する。反応速度の増大はまた、自己触媒機構で、必要に応じて環の生成物を通じて加速される。
【0093】
好ましくは、反応速度の増大にもかかわらず、かつ、それ自体高いペプチドの濃度の使用にもかかわらず、しばしば、まったくあるいはほとんどオリゴマー生成物が生じない。したがって、所望されない分子内ジスルフィド架橋の形成は、ペプチドの環化の場合に観察されない。しかし、設定されるペプチド濃度は、それぞれ使用されるペプチドに応じて変動し、したがって、それぞれのペプチドに応じて最適化されるべきである。
【0094】
本発明による方法は、好ましい態様では、室温にて行われる。
【0095】
この反応の明らかな自動触媒の過程は、非緩衝溶液および緩衝溶液(たとえば、リン酸緩衝液pH6−−9)において生じる。とはいうものの、反応速度は、pHの値が下がると明らかに高くなりうることが示された。したがって、好ましくは、pHの値は、pH≦7に設定すること、好ましくはpHの領域がおよそ4または5から6.5であること、特に好ましくはpHの値が6(5.5から6.5)であることが好ましい。
【0096】
特に分子内ジスルフィド架橋の形成の加速のために反応混合物に加えられる物質に関する量は、それぞれの化合物およびジスルフィド架橋が形成されるべき物質に応じて変動する。原則として、少量の触媒量で十分である。好ましくは、使用される量は、少なくとも、およそ0.0001mg/mlであり、特に好ましくは, 0.0001mg/mlから、0.001mg/mlからまたは0.01mg/mlから20mg/mlまでの範囲、0.001mg/mlからまたは0.01から15mg/mlまで、0.001mg/mlからまたは0.01mg/mlから10mg/mlまで、0.001mg/mlまたは0.01から5mg/mlまで、好ましくは、0.001mg/mlからまたは0.01mg/mlから1mg/mlまで、そして、特に好ましくは、0.03mg/mlから0.5mg/mlまでの範囲である。この量は、選択された物質(たとえば、カフェインまたはカフェイン類似物質)および使用されるペプチドまたはタンパク質に応じて変動し、したがって、各々最適化されるべきである。15から25アミノ酸の長さのペプチド(特に、EPO模倣ペプチドの場合)にとって特に適切な濃度領域は、0.05mg/mlから0.3mg/mlにある。しかし、この量は、ペプチドに応じて変動し、はるかにより高くありうる。したがって、この量は、好ましくは、それぞれのペプチド応じて最適化されるべきである。
【0097】
反応の困難性は、その反応物がさらなる酸化剤と混合されるとさらに悪くなる。たとえば、酸化形態のグルタチオンが(GSSG)がある。
【0098】
驚くべきことに、この環化は、高いペプチド濃度においても、所望されないオリゴマー化を伴うことなくまた実行されうることが示された。したがって、高いペプチド濃度は、本発明による方法において、多くのペプチドがこれまで問題がなかった。多くの場合、いくつかのペプチドにおいて、後に、本発明による方法は、環化を、高いペプチド濃度でよりよく実行させることが示された。ペプチドに応じて、適切なペプチド濃度は、およそ0.05から0.1mg/ml、あるいは0.5から5mg/mlであり、好ましくは0.7から1.5mg/mlである。正確な濃度は、おのずから、各々のペプチドに応じて、その長さおよびそのアミノ酸組成に依拠し、そしてそれに応じて変動する。したがって、この数値は、限定的に解釈されるべきではない。EPO模倣ペプチドについて、特に好ましくは、およそ0.7から1mg/mlであることが示された。これらのペプチドは、特に、カフェインの添加によって効率よく環化される。
【0099】
適切な方法は、ジスルフィド架橋が、ペプチドまたはタンパク質において、2つのシステインの間に形成される。本発明に従って、ジスルフィド架橋は、他の天然のおよび非天然のアミノ酸の間に、ジスルフィド架橋(−S−S−)の形成が適切であるこれらの対応する基が存在する限り結合されうる。チオリジン、ホモシステインおよび他のシステイン誘導体が、システインのほかに、適切なアミノ酸の例として挙げられる。ジスルフィドとの概念は、システイン架橋との概念と等価に考えるべきではなく、むしろ、何らかの天然のまたは非天然のSH含有アミノ酸または他のSH基を含む化合物との間の対応する−S−S−の結合が包含される。したがって、本発明に従う方法を用いて、ジスルフィド架橋はまた、他のSH基含有化合物、特にポリマーにおいても形成される。本発明に従う方法を用いると、多数のジスルフィド架橋もまた形成されうることは自明である。
【0100】
特に好ましくは、本発明のEPO模倣ペプチド(上記WO96/40479などをご参照)の環化のための方法に適用されうる。新規EPO模倣ペプチドは、PCT/EP2005/012075(WO 2006/050959) に記載されており、ここで公開された内容は、ペプチドが本明細書においてその内容がすべて本願明細書において参考として援用される。このPCT/EP2005/012075 (WO 2006/050959)に記載されているように、これらの新規のEPO模倣ペプチドは、プロリンをEPO模倣コンセンサスモチーフの10位に有しない(Johnson et al, 1997が示した番号付けによる)。このプロリンは、しばしば、保存的アミノ酸ではないものに対し、特に塩基性アミノ酸(たとえば、リジン)に置換される。
【0101】
PCT/EP2005/012075(WO 2006/050959)に記載されたペプチドは、好ましくは、以下の構造を有する:
【0102】
[化20]
101112131415

ここで、各々のアミノ酸は、天然または非天然のアミノ酸であり、そして、
はC, A, E, α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(Hoc)であり;
7はR, H, L, WもしくはYまたはSであり;
はM, F, I, ホモセリンメチルエーテル(Hsm)またはノルイソロイシンであり;
はGまたはGの保存的置換物であり;
10はプロリンの非保存的置換物であるか、またはXとX10とがひとつのアミノ酸で置換され;
11は、任意のアミノ酸でありえ;
12はTまたはAであり;
13はW, 1−nal, 2−nal, A またはFであり;
14はD, E, I, L またはVであり;
15はC, A, K, α−アミノ−γ−ブロモ酪酸またはホモシステイン(Hoc)であり、ここでXまたはX15のいずれかがHoxである。
【0103】
EPO模倣ペプチドは、環の形態において特によい活性を示す。したがって、通常は、2つのペプチドモノマー(モノマーは、結合ドメインに対応する)は、1つのEPO模倣コンセンサスを用いてそれぞれ環化され、そして1つのダイマーへと結合される。なぜなら、EPOレセプターにおけるこの形態の結合は、もっとも効率よいからである。このEPO模倣モノマーは、平均して10と25との間のアミノ酸数を有する。好ましくは、これは、PCT/EP2005/012075 (WO 2006/050959)において記載されるように、別々のダイマー化工程となるのを回避するために連続したダイマー(二価のペプチド)として合成される。
【0104】
技術水準において、種々の、EPO模倣またはTPO模倣ペプチドの環化のために分子内ジスルフィド架橋を形成させるための方法が知られている。公知の手法の核は、EPO模倣コンセンサスにおけるシステイン残基(または対応する他のSH基含有アミノ酸)の酸化である。代表的な酸化剤としては、これまでDMSOが使用されてきた。これは、しかし、はじめに示される欠点を有する。
【0105】
本発明に従う方法による環化は、技術水準において公知の方法に対して顕著な利点を有する。したがって、技術水準において公知の方法よりも、改良された開発および生成物のより高い純度が得られる。本発明に従う方法のより広い決定的な利点は、単純なHPLCによる反応生成物の本発明に従う環化試薬の単純な分離可能性である。さらなる改変によると、複素環化合物(たとえば、カフェイン)は、流体−流体抽出により分離される。たとえば、カフェインは、ペプチド水溶液についてジクロルメタンを用いた抽出を繰り返すことにより、分離される。より長いペプチドの環化において、サイズ交換クロマトグラフィー(サイズ排除クロマトグラフィー、SEC)を用いることも可能である。したがって、精製(Aufreinigung)が対応してより単純になる。
【0106】
SH基を有する物質およびペプチド、ならびに設定される反応条件に応じて、反応時間は、8時間未満にまで減らすことができる(たとえば、pH値を低下されることによる;さらなる酸化剤の選択)。通常は、反応時間は、≦24時間であり、好ましくは、20時間未満であり、特に好ましくは15時間未満であり、さらに特に好ましくは、5時間と10時間との間である。
【0107】
言及したEPO模倣ペプチドに加えて、他のペプチドも成功裏に本発明に従う方法にもとづいて環化された。とくに、オキシトシンとは逆にアミドの代わりにC末端にカルボン酸を有するオキシトシン由来ペプチド
H-CYIQNCPLG-OH
もまた、分子内システイン架橋の形成を通じて同様に環化に成功した。
【0108】
言及されるように、分子内ジスルフィド架橋は、好ましくは、2つのアミノ酸の間に形成される。これは、天然にまたは非天然のものでありえ、いくつかの条件は、SH基の反応によるジスルフィド架橋の形成を容易にすることである。システインは、周知のジスルフィド架橋を形成するアミノ酸であり、これはまた、天然において、ジスルフィド架橋の形成のために、過剰に使用されている。ジスルフィド架橋は、天然において、特に、分子内および分子間のジスルフィド架橋を形成するために存在する。ジスルフィド架橋は、たとえば、タンパク質のいくつかのポリペプチド鎖(たとえば、インスリン)を、分子間ジスルフィド架橋の形態で作用し、そしてタンパク質の内部での分子内ジスルフィド架橋により、規則的にコンフォメーションの安定化に役立つ。
【0109】
羊毛および毛髪のケラチンは、たとえば、10%をこえるシステインを含み、それがため、そこで、たくさんのジスルフィド架橋が存在する。これらのジスルフィド架橋は破壊され(たとえば、漂白、光、加熱などによる)、繊維の引っ張り強さがそがれる。したがって、本発明に従う方法はまた、繊維(天然の繊維および合成繊維)におけるジスルフィド架橋を形成するために用いられる。同様に、毛髪の処理についても、そのジスルフィド架橋は、構造の固定に大きな意味を持つ。本発明に従う方法はまた、毛髪においてジスルフィド架橋の形成のために用いられ、これにより、化粧用の用途が開かれる(たとえば、シャンプー、パーマの形成のための薬剤など)。したがって、本発明の方法は、たとえば、ジスルフィド架橋の終了のための薬剤として、パーマネント処理の過程において使用される。ここで、特に有利には、上記により詳細に特徴付けられる物質に加えて、ジスルフィド架橋形成の必要性のために、酸化剤を加える。反応速度は、これによって、顕著に上昇しうること、およびジスルフィド架橋が対応してより速く結合されることが示された。その結果、本発明に従う方法の毛髪における使用において、操作時間およびそれゆえ客の処置の時間が有利なことに短縮される。特に適切な酸化剤は、酸化グルタチオン(GSSG)である。これによって、時間による見積もりよりもより定量的にジスルフィド架橋の終了を改善することが実現され、より明確に実験の例において記載される。
【0110】
本発明は、これまで記載してきた環化化合物の化粧品調製物における使用にも関する。この化粧品調製物を用いると、たとえば、髪の毛におけるジスルフィド結合の形成が加速されうる。
【0111】
化粧用調製物は、これまで記載された複素環化合物のほかに、適切な溶剤および当該分野における処方において慣用される添加物を含みうる。これらを挙げると、たとえば、乳化剤および共乳化剤、界面活性剤(Tenside)、油体、保存剤、香料、化粧用成分および活性物質(たとえば、AHA酸、果物酸(Fruchtsauren)、セラミド、フィタントリオール、コラーゲン、ビタミンおよびプロビタミン(たとえば、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、レチノール、ビサボロール、パンテノール)、天然の光保護剤、合成の光保護剤、天然物、混濁剤(Truebungsmittel)、微小色素(たとえば、酸化チタンまたは酸化亜鉛)、過剰油化剤(Ueberfettungsmittel)、真珠光沢剤(Perlglanzwachse)、コンシステンシー付与剤(Konsistenzgeber)、濃化剤(Verdicker)、可溶化剤、複合結合剤、脂肪、ろう、シリコン化合物、ヒドロトロープ、色素、安定化剤、pH値調整剤、反射剤、タンパク質、タンパク質加水分解物、卵白加水分解物、塩、ゲル形成剤、コンシステンシー付与剤(Konsistenzgeber)、シリコーン、湿潤保持剤、再脂肪化剤(Rueckfetter )、および他の慣用される添加物がある。さらなるものとして、それぞれ所望の特徴を有するポリマーを調整のために含むことができる。
【0112】
UV光線による悪影響から毛髪を保護するために、化粧用調製物中でも、UV光線保護剤が含有されうる。
【0113】
毛髪化粧用調製物としては、以下を挙げることができる:特に、毛髪化粧調製物におけるスタイリング剤および/またはコンディショナー剤(たとえば、ヘアトリートメント、ヘアフォーム、ヘアゲル、ヘアスプレー、ヘアローション、ヘアリンス、ヘアシャンプー、ヘアエマルジョン、パーマ剤(Egalisierungsmittelfuer Dauerwellen)、毛染め剤、脱色剤、オイルローション(Festigerlotions)または類似の製品。使用される領域に応じて、毛髪化粧用調製物は、(エアゾール)スプレー、(エアゾール)フォーム、ゲル、ゲルスプレー、クリーム、ローション、ミルク、またはワックスとして適用されうる。
【0114】
好ましくは、髪の毛のための製品に関する薬剤であって、特に、毛髪洗浄剤およびリンスされるかまたはリンスされず、および洗髪、染色、脱色、パーマネントもしくは脱ウェーブ(Entkrauselung)を行う前または後での毛髪用製品に関する。
【0115】
したがって、本発明に従って、毛髪の処理のための方法が提供される。この方法は、毛髪を、少なくとも上記詳述した複素環化合物を含む化粧剤を接触させること、および必要に応じて水ですすぐことを特徴とする。複素環の化合物は、好ましくは、上記に列挙して例示した化合物および化合物クラスから選択される。
【0116】
さらに、この方法はまた、上記されるように、合成物質のジスルフィド架橋の形成のために用いられうる。この物質は、単に、対応するSH含有官能基を有するが、たとえば、アミノ酸から形成されるものではない(しかし、たとえば、有機ポリマーに由来しうる)。
【0117】
好ましくは更なる開発に従って、ジスルフィド架橋を必要とする物質の形成物の分離が相当に容易になる。この思想にしたがって、ジスルフィド架橋を必要とする物質が支持体にロードされる。この支持体は、たとえば、(親水性の)樹脂でありうる。物質がこの支持体に結合すると、その後、保持された物質が、たとえば、簡単な濾過によって分離することが可能である。したがって、有利には、上記方法において、ジスルフィド架橋の形成のために、カフェインおよびカフェイン類似物質(上記式を参照のこと)が使用されうる。この物質は、支持体に結合され、それにより分離が容易になる。
【0118】
支持体に対する物質の結合を可能にするために、その物質における官能基が補助となる。したがって、ジスルフィド架橋形成物質の誘導体もまた、使用されうる。
【0119】
適切なカフェイン誘導体の例としては以下がある:
テオフィリン−8−酪酸
【0120】
【化21】

【0121】
および
テオフィリン−7−酢酸
【0122】
【化22】

【0123】
両方の誘導体とも、ジスルフィド架橋の形成を必要とし、それゆえ、溶液におけるペプチドの環化を必要とする。これらの物質は、官能基を、適切な支持体に共有結合し、それによって、固定された試薬を得、これをジスルフィド架橋の終了を加速する状態に置く。反応後、この試薬は、容易に反応溶液からろ過して除去することができる。これらの化合物に基づいて、明らかにされるように、本発明にしたがって、複素環の残りの位置においてもまた、基R1’からR3’までとは独立して、ここでは8−(3−カルボキシプロピル)−1,3−ジメチルキサンチンの場合のように、たとえば、支持体物質への結合のために、R5’として、官能基を配置することができる。
【0124】
本発明は、さらに、上記した複素環化合物を、ジスルフィド架橋の形成、特に、分子内および分子間のジスルフィド架橋をペプチドおよびタンパク質においてk精製するために使用することに関する。
【0125】
本発明に従って使用される物質は、分子内ジスルフィド架橋の形成を通じた、特に、ペプチド、特にEPO模倣ペプチドの環化に適している。特に好ましい例としては、N−メチル−2−ピリドン、2,6−ジヒドロキシ−ピリジンヒドロクロリド、ウラシル−6−カルボン酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリミジン、2,4−ジメチル−6−ヒドロキシピリミジン、2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジノール、4,6−ジヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、1,2−ジヒドロ−3,6−ピリダジンジオン、7−ヒドロキシ−5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、バルビツール酸、アロキサン一水和物およびビオルル酸、ウラシル、1−メチル−ウラシル、3−メチルキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、カフェイン、イソカフェイン、キサンチン、テオフィリン−7−酢酸、テオフィリン−8−酪酸、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、(−)−リボフラビン、ルマジン、アロキサジン、ミノキシジル(=6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン−3−オキシド)およびアミネキシル(=2,4−ジアミノピリミジン−3−オキシド)が挙げられる。
【0126】
これらの物質は、本発明にしたがって、特に、ジスルフィド架橋の形成のために良好に使用される。特に好ましいのは以下のとおりである。
【0127】
N-メチル−2−ピリドン、バルビツール酸、アロキサン一水和物、ビオルル酸、4,6−ジヒドロキシピリミジン、ウラシル−6−カルボン酸、ミノキシジル、3−メチルキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、カフェイン、イソカフェイン、ルマジン、アロキサジン。
【0128】
そのようなジスルフィド結合は、SH含有基の間で形成される。特に、天然のアミノ酸および非天然のアミノ酸であって、遊離のSH基を有するものが適切なジスルフィド架橋形成物である。
【0129】
ジスルフィド架橋の形成を加速する能力に基づいて、上記式の物質は、たとえば、ジスルフィド架橋の形成を加速する目的での、SH基を含有する物質および材料の処理のために使用されることができる。したがって、これらの物質は、たとえば、毛髪または繊維(天然の繊維および合成繊維)の処理のために使用される。これは、特に、システイン含有繊維に関連する。本発明に従って使用される複素環化合物は、たとえば、流体の処方物(たとえば、リンスの形態またはシャンプーの形態、あるいは、毛髪の処理剤(たとえば、パーマ剤))として、使用されうる。したがって、対応する組成物は、同様に本発明に包含される。
【0130】
本発明によって特徴付けられる複素環化合物の触媒作用に基づいて、ジスルフィド架橋の形成は、これらの、たとえば、分子内または分子間のジスルフィド架橋の形成において、ダイナミックコンビナトリアルライブラリーを製造するための触媒として用いることができる。したがって、これは、合成または天然の分子あるいは改変した天然の分子の間のジスルフィド架橋の形成の作用をすることができる。したがって、これらは、活性物質のためにダイナミックコンビナトリアルライブラリーの製造において利用することができる。ダイナミックコンビナトリアルライブラリーにおいて、いくつかのユニットが、しばしば、ジスルフィド架橋を介して高分子をネットワーク化される(図15を参照のこと)。このライブラリーについての詳細は、たとえば、“Dynamic combinatorial libraries of macrocyclic disulfides in water. S.Otto, R. L. E. Furlan and J. K. M. Sanders, J. Amer. Chem. Soc., 2000, 122,12063-12064“、"Selection andamplification of hosts from dynamic combinatorial li-braries of macrocyclicdisulfides. S. Otto, R. L. E. Furlan and J. K. M. Sanders, Science,2002, 297, 590-593”; “Drug discovery by dynamiccombinatorial libraries. Ramstrom, Lehn. Nat Rev Drug Discov. 2002“およびWO01/64605に記載されている。
【実施例】
【0131】
本発明に従う方法は、以下のいくつかの実施例に基づいて、より明確にされる。本発明に従う方法を用いた環化可能なペプチドの例として、EPO模倣ペプチドおよびオキシトシンを選択した。
[図1]
カフェイン(0.3mg/ml)の存在下での、水中で空気を伴った、室温での、以下の配列を有するEPO模倣ペプチドの
GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am(BB57)
(0.7mg/ml)の対応する環化生成物への環化の反応過程が示される。曲線が明らかに示すように、反応の過程における反応速度は増大し、この反応の自動触媒機構を進行させる。短縮形Amは、一般にアミド化を意味する。
[図2]
図1に示すように(0.7mg/ml)、同じペプチドの、カフェイン不存在下でのその環化形態への環化が示される。明らかに認識可能なように、この反応速度は、顕著に減少した。
【0132】
EPO模倣ペプチドの場合、カフェインの最適な濃度は、0.075mg/ml〜0.15mg/mlであった。総量は、10時間近くまでもが定量的である。
[図3]
図1に示されるEPO模倣ペプチドの変換速度のカフェイン濃度に対する依存性を示す。示されるように、0.03mg/ml〜0.3mg/mlの濃度範囲において、非常によい結果が得られる。最適な値は、0.06mg/ml〜それぞれ0.075mg/mlおよび0.15mg/mlの範囲にある。
[図4]
環化速度のpH値に対する依存性が示される。明らかに認識されるように、反応の自己触媒の過程は、pH値の変化が原因である。なぜなら、この効果はまた、示された緩衝溶液(リン酸緩衝液、pH6−9)中に見出されたからである。しかし、環化ペプチドの収率は、高いpH値において低下したことが示された。さらに、驚くべきことに、反応は、溶液のpH値が低くなるにしたがってより速くなることが示された。したがって、pH7よりもより低いpH、より好ましくは、<=6.5が好ましい。
[図5]
穏やかな酸化剤であるグルタチオン(酸化形態)の反応の速度に対する効果が示される。ここでは、図1において示されたペプチドの変換(0.7mg/ml HO)が、0.1mg/ml(0.5当量)グルタチオン酸化形態(GSSG)およびカフェイン(0.3mg/ml)の存在下で生じた。5から6時間の間に、反応は、完了した。ペプチドの変換は、GSSGのみを用いる(カフェインの不存在下)ではゆっくり起こったのみである。さらに、所望されない副産物が生じたことが示される(図6を参照のこと)。
[図6]
示されるのは、毎時間ごとの反応が示され、そして、使用されたEPO模倣ペプチドの0.5当量のGSSGを使用した変換が達成されたクロマトグラムである。
[図7]
本発明に従う方法が、技術水準に基づいて公知の方法と比較した形式で表での概観が示される。試験されたペプチドは、以下に示す配列を有する。
[化21]
EMP1: Ac-GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG-Am
APG1: Ac-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am
APG2: Ac-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-Am
インビトロでの実験で、異なる方法で環化されたペプチドの比較可能な活性を示した。しかし、本発明に従う方法は、他の試験した環化方法との関係で、図7に示すように、よりよい収率および純度を示す。本発明の方法のさらなる利点は、使用される環化試薬が、簡単な方法で、HPLCによって分離されうることにある。
【0133】
本発明に従う方法によって環化されたEPO模倣ペプチドのさらなる実施例は、以下のとおりである。
[化22]
Ac-C(tBu)-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-Am (APG3)
Ac-C(Mob)-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-Am (APG4)
Ac-C(tBu)-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am (APG5)
(Sama)-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-Am (APG6)
[図8]
示されるのは、二量体のEPO模倣ペプチドの環化である。二量体または多量体のペプチドの環化は、好ましくは、多くの工程において達成される。図8は、二価(二量の)EPO模倣ペプチドの合成スキームを示す。これは、2工程で、2つの分子内ジスルフィド架橋の形成によって環化されている。この方法の後、最初のジスルフィド架橋は、本発明に従う方法に基づいて形成される。2つの分子内ジスルフィド架橋は、最適なヨウ素酸化の使用によって実施された。ペプチドをポリマーキャリアに結合させるために、さらなる部分的により広いシステイン基を分子に導入した。このシステインは、適切な保護基(tBuまたはMob)で保護された。
【0134】
カフェインを用いる最初の本発明に従う環化は、好ましくは、pH6で行われ、第二の環化の間、示された例に基づいて、80%の酢酸中で行われた。合成収率は、代表的には、60%と90%との間であった。
[図9]
EPO模倣ペプチドのいくつかは、環化が非常に難しい。その一例は以下のペプチドである。
【化23】


Har=ホモアルギニン
Aad=2−アミノアジピン酸(ホモグルタミン酸)
Nal:ナフチルアラニン
この配列において、環化試薬の濃度を高めることが有利であることが示された。したがって、環化は、10mg/mlのカフェインを用いて、24時間以内に達成された。この結果は、図9に示される。その収率は、溶液中で、およそ21時間後ですでに90%を超えていた。
[図10〜12]
EPO模倣ペプチドに加えて、オキシトシンから誘導された還元ペプチドを、カフェインまたはカフェイン類似物質(上記式を参照のこと)を用いて環化された。
【0135】
反応の実施の際、オキシトシン、還元型(OyxR)、生の生成物を水(すなわち、H2O/ACN/TFA)に溶かし、種々の濃度のカフェイン(および適宜GSSG)とともに空気中に放置した。反応物は、OxyRおよび生成物オキシトシン(Oxy)について含量を確認するためにHPLCで規則的な間隔で測定した。
【0136】
図10〜12までに示す表およびそれに添付されるグラフは、結果についてまとめた概観を示す。
【0137】
認識されるように、生成物の収率は、ペプチド濃度で補正される。少量のペプチドは、オキシトシンにおいてよりよい結果をもたらす。
【0138】
OxyRの完全な変換にいたるまでの反応時間は、反応溶液中のカフェインの濃度によって補正した。0.5mg/mlカフェインの濃度までは、カフェインがより多くなると、酸化の速度は速くなる。ペプチド濃度は、単に、反応の長さに少しの影響があるだけである。
【0139】
GSSGは、速度にも収率にも影響がないようであった。
【0140】
HPLCで精製したOxyRは、自発的に「正しく」速く環化する。しかし、反応速度は、カフェインを用いると、さらに明らかに短縮される。少量のACN/TFAは、収率に少し効果があり、反応時間はいくらか長くなる。
[図13および図14]
示されるのは、ペプチドBB57の、物質ミノキシジルを用いた環化の結果である。
【化24】

【0141】
これに対して、0.7mg BB57および0.3mgミノキシジル(6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン3−オキシド、Minox)を1mlの蒸留水中で溶解し、そして空気中で放置した。BB57の酸化形態BB57Cへの変換は、HPLC(216nmでのUV検出)によって観察した。結果を図13に示す。
【0142】
図13に示されるように、ミノキシジルの存在下での酸化は、およそ29時間後の終了させた(カフェインを用いた比較測定においては、およそ24時間であった)。したがって、ミノキシジルは、本発明に従うヘテロ環化化合物のさらなる因子として、同様に、ジスルフィド架橋の形成に対して正の作用を示す。ミノキシジル触媒反応の溶液中の収率は、95%を超える。触媒で行った反応について、この反応において、ミノキシジルの濃度は、実用的には減少しなかったことが示された(BB57に対する4.4当量のミノキシジルの場合減少≦2%、図14を参照のこと。)
[図15]
図15は、網化高分子の生成のためのジスルフィド架橋のための可能な結合戦略を示す。このような構成単位は、しばしば、ダイナミックコンビナトリアルライブラリーとしての用途が見出される。
[図16]
以前にパーマネント処理に関して還元された毛髪が、本発明に従う物質(ここでは、カフェイン)およびさらなる酸化剤(ここでは、酸化グルタチオンGSSG)との組み合わせで、空気の不存在下で加速酸化を終了させることを実証するために、さらに試験を行った。したがって、本発明の方法に従って有利な方法において、化粧分野で、特に理髪業の分野において、毛髪の処置のために、使用される。
【0143】
試験は、以下のように行った。
【0144】
5−6mgの毛髪を、400μlのアンモニウムチオグリコレート含有「Wellローション」の10%溶液(製品名「Poly Lock - starkeDauerwelle」Schwarzkopf &Henkel, Germany)を0.5時間、室温で処理した。この溶液を取り除き、毛髪をおよそ6倍それぞれ400μlのHOで洗浄した。このように処理した毛髪サンプルをそれぞれ、a)HOおよびb)10mg/mlカフェインの水溶液中で、3)水中の5mg/ml GSSGおよびd)10mg/mlおよび5mg/mlGSSGを室温で3日間にわたり処理した。
【0145】
遊離のまだ残るチオール基を確認するために、毛髪を、Ellmans試薬(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)、DTNB)を用いて反応溶液から分離して、変換した。さらなる参照サンプルとして、処理していない毛髪およびそれ以外はさらなる処理を受けていない還元した毛髪を使用した。これに加え、毛髪サンプルは、それぞれ200μlの100mMリン酸緩衝液pH8.0および1mM EDTAおよび300μlの1mM DTNB溶液を同じEDTA含有緩衝液に加えた。この溶液は、数分後、UV−Visスペクトルメーターで測定した。
【0146】
サンプルのUV−Visスペクトルによると、アンモニウムチオールグリコレート含有「Wellローション」を用いた毛髪の還元が成功であったことが示された(図29を参照。曲線eおよびfは、一度も処理していないおよび一度還元処理した毛髪を示す。)。これは、412nmの帯域にて認知でき、これは、遊離のチオール基についての尺度すなわちサイズである。空気の存在下での、a)HOでの、b)カフェイン含有溶液での、c)GSSG含有溶液での処理は、それぞれ一部チオール基の参加が達成される。しかし、これまでに認知されているように、カフェインは、ジスルフィド架橋の終了に正の効果を有する。d)カフェインおよび酸化剤GSSGの組み合わせは、それでもなお、毛髪におけるチオール基のほぼ定量的な酸化を実現する。したがって、この試みは、本発明の方法で、毛髪に対しても、ジスルフィド架橋の終了が成功することができることが示される。
[図17〜39]
参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【0147】
これらの試験は、これまで示されたように実施される(上記を参照すべし。)。これら試験された物質および試験された量は、それぞれ与えられたとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】カフェイン(0.3mg/ml)の存在下での、水中で空気を伴った、室温での、以下の配列を有するEPO模倣ペプチドのGGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am(BB57)(0.7mg/ml)の対応する環化生成物への環化の反応過程が示される。曲線が明らかに示すように、反応の過程における反応速度は増大し、この反応の自動触媒機構を進行させる。短縮形Amは、一般にアミド化を意味する。
【図2】図1に示すように(0.7mg/ml)、同じペプチドの、カフェイン不存在下でのその環化形態への環化が示される。明らかに認識可能なように、この反応速度は、顕著に減少した。EPO模倣ペプチドの場合、カフェインの最適な濃度は、0.075mg/ml〜0.15mg/mlであった。総量は、10時間近くまでもが定量的である。
【図3】図1に示されるEPO模倣ペプチドの変換速度のカフェイン濃度に対する依存性を示す。示されるように、0.03mg/ml〜0.3mg/mlの濃度範囲において、非常によい結果が得られる。最適な値は、0.06mg/ml〜それぞれ0.075mg/mlおよび0.15mg/mlの範囲にある。
【図4】環化速度のpH値に対する依存性が示される。明らかに認識されるように、反応の自己触媒の過程は、pH値の変化が原因である。なぜなら、この効果はまた、示された緩衝溶液(リン酸緩衝液、pH6−9)中に見出されたからである。しかし、環化ペプチドの収率は、高いpH値において低下したことが示された。さらに、驚くべきことに、反応は、溶液のpH値が低くなるにしたがってより速くなることが示された。したがって、pH7よりもより低いpH、より好ましくは、<=6.5が好ましい。
【図5】穏やかな酸化剤であるグルタチオン(酸化形態)の反応の速度に対する効果が示される。ここでは、図1において示されたペプチドの変換(0.7mg/ml HO)が、0.1mg/ml(0.5当量)グルタチオン酸化形態(GSSG)およびカフェイン(0.3mg/ml)の存在下で生じた。5から6時間の間に、反応は、完了した。ペプチドの変換は、GSSGのみを用いる(カフェインの不存在下)ではゆっくり起こったのみである。さらに、所望されない副産物が生じたことが示される(図6を参照のこと)。
【図6】示されるのは、毎時間ごとの反応が示され、そして、使用されたEPO模倣ペプチドの0.5当量のGSSGを使用した変換が達成されたクロマトグラムである。
【図7】本発明に従う方法が、技術水準に基づいて公知の方法と比較した形式で表での概観が示される。試験されたペプチドは、以下に示す配列を有する。
【0149】
[化21A]
EMP1: Ac-GGTYSCHFGPLTWVCKPQGG-Am
APG1: Ac-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am
APG2: Ac-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-Am
インビトロでの実験で、異なる方法で環化されたペプチドの比較可能な活性を示した。しかし、本発明に従う方法は、他の試験した環化方法との関係で、図7に示すように、よりよい収率および純度を示す。本発明の方法のさらなる利点は、使用される環化試薬が、簡単な方法で、HPLCによって分離されうることにある。本発明に従う方法によって環化されたEPO模倣ペプチドのさらなる実施例は、以下のとおりである。
【0150】
[化22A]
Ac-C(tBu)-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-Am (APG3)
Ac-C(Mob)-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Nal1-VCKKQRG-Am (APG4)
Ac-C(tBu)-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-GGTYSCHFGKLTWVCKKQGG-Am (APG5)
(Sama)-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-GGTYSCHFGKLT-Na1-VCKKQRG-Am (APG6)
【図8】示されるのは、二量体のEPO模倣ペプチドの環化である。二量体または多量体のペプチドの環化は、好ましくは、多くの工程において達成される。図8は、二価(二量の)EPO模倣ペプチドの合成スキームを示す。これは、2工程で、2つの分子内ジスルフィド架橋の形成によって環化されている。この方法の後、最初のジスルフィド架橋は、本発明に従う方法に基づいて形成される。2つの分子内ジスルフィド架橋は、最適なヨウ素酸化の使用によって実施された。ペプチドをポリマーキャリアに結合させるために、さらなる部分的により広いシステイン基を分子に導入した。このシステインは、適切な保護基(tBuまたはMob)で保護された。カフェインを用いる最初の本発明に従う環化は、好ましくは、pH6で行われ、第二の環化の間、示された例に基づいて、80%の酢酸中で行われた。合成収率は、代表的には、60%と90%との間であった。
【図9】EPO模倣ペプチドのいくつかは、環化が非常に難しい。その一例は以下のペプチドである。
【化23A】


Har=ホモアルギニン
Aad=2−アミノアジピン酸(ホモグルタミン酸)
Nal:ナフチルアラニン
この配列において、環化試薬の濃度を高めることが有利であることが示された。したがって、環化は、10mg/mlのカフェインを用いて、24時間以内に達成された。この結果は、図9に示される。その収率は、溶液中で、およそ21時間後ですでに90%を超えていた。
【図10】EPO模倣ペプチドに加えて、オキシトシンから誘導された還元ペプチドを、カフェインまたはカフェイン類似物質(上記式を参照のこと)を用いて環化された。反応の実施の際、オキシトシン、還元型(OyxR)、生の生成物を水(すなわち、H2O/ACN/TFA)に溶かし、種々の濃度のカフェイン(および適宜GSSG)とともに空気中に放置した。反応物は、OxyRおよび生成物オキシトシン(Oxy)について含量を確認するためにHPLCで規則的な間隔で測定した。図10〜12までに示す表およびそれに添付されるグラフは、結果についてまとめた概観を示す。認識されるように、生成物の収率は、ペプチド濃度で補正される。少量のペプチドは、オキシトシンにおいてよりよい結果をもたらす。OxyRの完全な変換にいたるまでの反応時間は、反応溶液中のカフェインの濃度によって補正した。0.5mg/mlカフェインの濃度までは、カフェインがより多くなると、酸化の速度は速くなる。ペプチド濃度は、単に、反応の長さに少しの影響があるだけである。GSSGは、速度にも収率にも影響がないようであった。HPLCで精製したOxyRは、自発的に「正しく」速く環化する。しかし、反応速度は、カフェインを用いると、さらに明らかに短縮される。少量のACN/TFAは、収率に少し効果があり、反応時間はいくらか長くなる。
【図11】EPO模倣ペプチドに加えて、オキシトシンから誘導された還元ペプチドを、カフェインまたはカフェイン類似物質(上記式を参照のこと)を用いて環化された。反応の実施の際、オキシトシン、還元型(OyxR)、生の生成物を水(すなわち、H2O/ACN/TFA)に溶かし、種々の濃度のカフェイン(および適宜GSSG)とともに空気中に放置した。反応物は、OxyRおよび生成物オキシトシン(Oxy)について含量を確認するためにHPLCで規則的な間隔で測定した。図10〜12までに示す表およびそれに添付されるグラフは、結果についてまとめた概観を示す。認識されるように、生成物の収率は、ペプチド濃度で補正される。少量のペプチドは、オキシトシンにおいてよりよい結果をもたらす。OxyRの完全な変換にいたるまでの反応時間は、反応溶液中のカフェインの濃度によって補正した。0.5mg/mlカフェインの濃度までは、カフェインがより多くなると、酸化の速度は速くなる。ペプチド濃度は、単に、反応の長さに少しの影響があるだけである。GSSGは、速度にも収率にも影響がないようであった。HPLCで精製したOxyRは、自発的に「正しく」速く環化する。しかし、反応速度は、カフェインを用いると、さらに明らかに短縮される。少量のACN/TFAは、収率に少し効果があり、反応時間はいくらか長くなる。
【図12】EPO模倣ペプチドに加えて、オキシトシンから誘導された還元ペプチドを、カフェインまたはカフェイン類似物質(上記式を参照のこと)を用いて環化された。反応の実施の際、オキシトシン、還元型(OyxR)、生の生成物を水(すなわち、H2O/ACN/TFA)に溶かし、種々の濃度のカフェイン(および適宜GSSG)とともに空気中に放置した。反応物は、OxyRおよび生成物オキシトシン(Oxy)について含量を確認するためにHPLCで規則的な間隔で測定した。図10〜12までに示す表およびそれに添付されるグラフは、結果についてまとめた概観を示す。認識されるように、生成物の収率は、ペプチド濃度で補正される。少量のペプチドは、オキシトシンにおいてよりよい結果をもたらす。OxyRの完全な変換にいたるまでの反応時間は、反応溶液中のカフェインの濃度によって補正した。0.5mg/mlカフェインの濃度までは、カフェインがより多くなると、酸化の速度は速くなる。ペプチド濃度は、単に、反応の長さに少しの影響があるだけである。GSSGは、速度にも収率にも影響がないようであった。HPLCで精製したOxyRは、自発的に「正しく」速く環化する。しかし、反応速度は、カフェインを用いると、さらに明らかに短縮される。少量のACN/TFAは、収率に少し効果があり、反応時間はいくらか長くなる。
【図13】示されるのは、ペプチドBB57の、物質ミノキシジルを用いた環化の結果である。
【化24A】


これに対して、0.7mg BB57および0.3mgミノキシジル(6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン3−オキシド、Minox)を1mlの蒸留水中で溶解し、そして空気中で放置した。BB57の酸化形態BB57Cへの変換は、HPLC(216nmでのUV検出)によって観察した。結果を図13に示す。図13に示されるように、ミノキシジルの存在下での酸化は、およそ29時間後の終了させた(カフェインを用いた比較測定においては、およそ24時間であった)。したがって、ミノキシジルは、本発明に従うヘテロ環化化合物のさらなる因子として、同様に、ジスルフィド架橋の形成に対して正の作用を示す。ミノキシジル触媒反応の溶液中の収率は、95%を超える。触媒で行った反応について、この反応において、ミノキシジルの濃度は、実用的には減少しなかったことが示された(BB57に対する4.4当量のミノキシジルの場合減少≦2%、図14を参照のこと。)
【図14】示されるのは、ペプチドBB57の、物質ミノキシジルを用いた環化の結果である。
【化24B】


これに対して、0.7mg BB57および0.3mgミノキシジル(6−(1−ピペリジニル)−2,4−ピリミジンジアミン3−オキシド、Minox)を1mlの蒸留水中で溶解し、そして空気中で放置した。BB57の酸化形態BB57Cへの変換は、HPLC(216nmでのUV検出)によって観察した。結果を図13に示す。図13に示されるように、ミノキシジルの存在下での酸化は、およそ29時間後の終了させた(カフェインを用いた比較測定においては、およそ24時間であった)。したがって、ミノキシジルは、本発明に従うヘテロ環化化合物のさらなる因子として、同様に、ジスルフィド架橋の形成に対して正の作用を示す。ミノキシジル触媒反応の溶液中の収率は、95%を超える。触媒で行った反応について、この反応において、ミノキシジルの濃度は、実用的には減少しなかったことが示された(BB57に対する4.4当量のミノキシジルの場合減少≦2%、図14を参照のこと。)
【図15】図15は、網化高分子の生成のためのジスルフィド架橋のための可能な結合戦略を示す。このような構成単位は、しばしば、ダイナミックコンビナトリアルライブラリーとしての用途が見出される。
【図16】以前にパーマネント処理に関して還元された毛髪が、本発明に従う物質(ここでは、カフェイン)およびさらなる酸化剤(ここでは、酸化グルタチオンGSSG)との組み合わせで、空気の不存在下で加速酸化を終了させることを実証するために、さらに試験を行った。したがって、本発明の方法に従って有利な方法において、化粧分野で、特に理髪業の分野において、毛髪の処置のために、使用される。試験は、以下のように行った。5−6mgの毛髪を、400μlのアンモニウムチオグリコレート含有「Wellローション」の10%溶液(製品名「Poly Lock - starkeDauerwelle」Schwarzkopf &Henkel, Germany)を0.5時間、室温で処理した。この溶液を取り除き、毛髪をおよそ6倍それぞれ400μlのHOで洗浄した。このように処理した毛髪サンプルをそれぞれ、a)HOおよびb)10mg/mlカフェインの水溶液中で、3)水中の5mg/ml GSSGおよびd)10mg/mlおよび5mg/mlGSSGを室温で3日間にわたり処理した。遊離のまだ残るチオール基を確認するために、毛髪を、Ellmans試薬(5,5’−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)、DTNB)を用いて反応溶液から分離して、変換した。さらなる参照サンプルとして、処理していない毛髪およびそれ以外はさらなる処理を受けていない還元した毛髪を使用した。これに加え、毛髪サンプルは、それぞれ200μlの100mMリン酸緩衝液pH8.0および1mM EDTAおよび300μlの1mM DTNB溶液を同じEDTA含有緩衝液に加えた。この溶液は、数分後、UV−Visスペクトルメーターで測定した。サンプルのUV−Visスペクトルによると、アンモニウムチオールグリコレート含有「Wellローション」を用いた毛髪の還元が成功であったことが示された(図29を参照。曲線eおよびfは、一度も処理していないおよび一度還元処理した毛髪を示す。)。これは、412nmの帯域にて認知でき、これは、遊離のチオール基についての尺度すなわちサイズである。空気の存在下での、a)HOでの、b)カフェイン含有溶液での、c)GSSG含有溶液での処理は、それぞれ一部チオール基の参加が達成される。しかし、これまでに認知されているように、カフェインは、ジスルフィド架橋の終了に正の効果を有する。d)カフェインおよび酸化剤GSSGの組み合わせは、それでもなお、毛髪におけるチオール基のほぼ定量的な酸化を実現する。したがって、この試みは、本発明の方法で、毛髪に対しても、ジスルフィド架橋の終了が成功することができることが示される。
【図17】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図18】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図19】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図20】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図21】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図22】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図23】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図24】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図25】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図26】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図27】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図28】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図29】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図30】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図31】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図32】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図33】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図34】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図35】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図36】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図37】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図38】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。
【図39】参照ペプチドBB57を種々の物質を用いて環化した結果を示す。ここでは、本発明にしたがって、ジスルフィド架橋の形成が促進されうる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジスルフィド結合の形成の方法であって、該方法において、ジスルフィド架橋の形成に必要とされる少なくとも1つの化合物を含む流体媒体における反応を実施する工程を特徴とし、ここで、該化合物は、以下の群から選択される:
(a) 化合物であって、該化合物は、その構造において、少なくとも1つの窒素原子を有する飽和または不飽和の6員複素環を有し、ここで該複素環は、該窒素原子の隣の炭素原子に少なくとも1つのヒドロキシ基もしくは本発明によるオキソ基(=O)を有し、ここで、該複素環は、ヒドロキシ基が存在する場合不飽和である、化合物;および
(b)以下の一般式を有する化合物:
【化101】


ここで、該置換基Aは、水素、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたアリール基または3〜10員環でかつ1〜3個の窒素、酸素および/またはイオウのようなヘテロ原子を有する飽和または不飽和の複素環であり、ここで、該複素環は置換されていないか、または一つまたは複数がハロゲン、1〜4炭素原子のアルキル、シアノ、ニトロ、3〜6炭素原子のシクロアルキル、ヒドロキシ、1〜4炭素原子のアルコキシおよび/またはメルカプトである、化合物、
であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記化合物は、別の形態によるに基づく:
(a)以下の構造
【化102】


ここで、複素環は、それぞれ独立して、置換基R1〜R6が選択され、飽和または不飽和であり、対応して1または複数の二重結合を有し得;
−V、W,X、YおよびZは、それぞれ、炭素原子または窒素原子のいずれかであり、ここで、この複素環は、合計して3を超えない、好ましくは2を超えない窒素を有し;
−R1は、ヒドロキシ基または本願発明によるオキソ基(=O)のいずれかであり;
−R2およびR3は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基、必要に応じて置換された-(CH2)nCOOX(ここで、nは0〜10であり、Xは水素、アルキルまたは電子吸引基、官能基(たとえば、特に、ヒドロキシ基、本発明の基づくオキソ基(=O)、-CONH2またはオキシム(=N−OH)である)、あるいはR2はR3と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、あるいは、R2および/R3は存在せず;
−R4およびR5は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基、電子吸引基、官能基(たとえば、特にヒドロキシ基、本発明によるオキソ基(=O),カルボキシ基、-CONH2またはオキシム(=N−OH)であるか、あるいはR4はR5と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、あるいはR5はR6と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、あるいは、R4および/R5は存在せず;
−R6は、水素または必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基であるか、あるいはR6はR5と一緒になって、5または6員環であり、この環は必要に応じてヘテロ原子を有しうるものであり、必要に応じてさらに置換基を有するか、R6は存在しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記化合物は、以下の構造を含む:
【化103】


ここで、該複素環は、それぞれ独立して、置換基R2,R3,R4およびR6が飽和または不飽和であり、そして対応して1または複数の二重結合を有することができ;ここで、
−R2およびR3は、それぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、必要に応じて置換された基-(CH2)nCOOX(ここで、nは0から10であり、Xは水素またはアルキルである)、電子吸引置換基、官能基(例えば、特に、ヒドロキシ基、本発明に基づくオキソ基(=O),-CONH2またはオキシム(=N−OH))であり、あるいはR2はR3と一緒になって5員環または6員環であり、ここでこれは必要に応じてヘテロ原子を有することができ、必要に応じてさらなる置換基を有するか、あるいは、R2および/またはR3は存在せず;
−R4は、水素または必要に応じて置換されるアルキル基またはアリール基あるいはR4は存在せず;
−R6は、水素または必要に応じて置換されるアルキル基またはアリール基あるいはR6は存在しない、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記化合物は、以下の一般式のウラシル誘導体である:
【化104】


ここで、R4およびR6は、互いに独立して、水素または必要に応じて置換されたアルキル基もしくはアリール基であり、好ましくは、水素または分岐したもしくは分岐していないC1−C10アルキル基であり、特に好ましくは、C1−C4アルキル基もしくは水素である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記化合物は以下の一般式でその基本構造が表されるプリン誘導体の化合物に関するものであって、
【化105】


ここで、5員環は不飽和であり、そして対応する二重結合が存在し、さらにここで、
−R4およびR6は、互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基もしくは必要に応じて置換されたアリール基であり、好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−C10アルキル基または必要に応じて置換されたCまたはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基または必要に応じて置換されたCアリール基であり;特に、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であり;
−R7,R8およびR9は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたアルキル基アリール基、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは0から10であり、Xは水素またはアルキルである)、または官能基であり;好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−C10アルキル基、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール基であり、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは1から10であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)であり;より好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基、必要に応じて置換されたCアリール基であり、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは1から6であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)であり;特に好ましくは、水素、必要に応じて置換されたC−Cアルキル基、または、必要に応じて置換された基-(CHCOOX(ここで、nは0から4であり、Xは水素またはC−Cアルキルである)である、
ことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記R2およびR3は一緒になって、必要に応じて少なくとも1つのヘテロ原子を有する6員環を形成する、請求項1〜3のいずれかの項に記載の方法。
【請求項7】
前記化合物は、以下の基本構造を有し:
【化106】


ここで、置換基の選択に応じて環は不飽和であり得、そして対応する1または複数の二重結合を有し得、そして
−R1は、ヒドロキシ基または本発明によるオキソ(=O)のいずれかであり;
R4およびR6は、それぞれ互いに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基または必要に応じて置換されたアリール基であるか、あるいは存在せず;好ましくは水素、必要に応じて置換された、分岐または分岐していないC−C10アルキル基であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基あるいはC10アリール基であり;特に、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であり;
−R5は、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、電子吸引置換基、官能基(たとえば、特に、ヒドロキシ基または本発明によるオキソ基(=O))であるか、あるいはRは存在せず;
−R10およびR13は、それぞれたがいに独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基または必要に応じて置換されたアリール基であり、あるいはR10および/またはR13は、存在せず;好ましくは、水素、必要に応じて置換された分岐または分岐していないC−C10アルキル基であるか、あるいは必要に応じて置換されたC−アリール基あるいはC10アリール基であり;特に好ましくは、水素または必要に応じて置換されたC−Cアルキル基であるまたはC−アリール基であるか;特に、水素または少なくとも1つのヒドロキシ基を伴うC−Cアルキル基であり;
−R11およびR12は、それぞれ独立して、水素、必要に応じて置換されたアルキル基またはアリール基、電子吸引置換基、官能基(例えば、特に、ヒドロキシ基、本発明に基づくオキソ基(=O)、カルボキシ基、-CONH2またはオキシム(=N−OH)であり、あるいは、R11はR12と一緒になって5員環または6員環であり、ここで該5員環または6員環は必要に応じてヘテロ原子および置換基を有することができる、
ことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
(b)の前記化合物が以下の置換基Aを有する:
水素、必要に応じて置換されたアルキル基、必要に応じて置換されたアリール基または飽和もしくは不飽和の3〜10員環でかつ1個のヘテロ原子(たとえば、窒素、酸素および/またはイオウ)を有する複素環であり、ここで、この複素環は、置換されていないか、またはひとつまたは複数がハロゲン、1〜4炭素原子のアルキル、シアノ、ニトロ、3〜6炭素原子のシクロアルキル、ヒドロキシ、1〜4炭素原子のアルコキシおよび/またはメルカプトであり、
好ましくは、水素、必要に応じて置換されるC−Cのアルキル基、必要に応じて置換されたCのアリール基、または5員環または6員環および1つの窒素、酸素および/もしくはイオウのようなヘテロ原子を有する飽和複素環であって、ここでこの複素環は、置換されていないかまたはハロゲン、1−4炭素原子を有するアルキル、シアノ、ニトロ、3−6炭素原子を有するシクロアルキル、ヒドロキシ、1−4個の炭素原子を有するアルコキシ、および/またはメルカプトでまたは複数が置換されており;
−特に、水素、必要に応じて置換されたC−Cのアルキル基、または5員環または6員環および1つの窒素、酸素および/もしくはイオウのようなヘテロ原子を有する飽和複素環を有し、ここで、この複素環は置換されていない、
ことを特徴とする1〜7のいずれかの項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかの項に記載の方法であって、以下の構造のジスルフィド架橋を形成する構造の形成に必要な化合物を有することを特徴とする、方法:
【化107】


ここで、R1’, R2’, R3は、同じであるか異なっており、そして少なくとも1つのR1’, R2’, R3の基は、アルキル基である。
【請求項10】
R1,R2およびR3は、同じかまたは異なっており、そして水素またはC1-Cのアルキル基であり、特にC1-C3アルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である、請求項1〜9のいずれかの項に記載の方法。
【請求項11】
前記化合物は、N−メチル−2−ピリドン、2,6−ジヒドロキシ−ピリジンヒドロクロリド、ウラシル−6−カルボン酸、2,4−ジヒドロキシ−6−メチルピリミジン、2,4−ジメチル−6−ヒドロキシピリミジン、2−イソプロピル−6−メチル−4−ピリミジノール、4,6−ジヒドロキシ−2−メチルピリミジン、4,6−ジヒドロキシピリミジン、1,2−ジヒドロ−3,6−ピリダジンジオン、7−ヒドロキシ−5−メチル[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、バルビツール酸、アロキサン一水和物およびビオルル酸、ウラシル、1−メチル−ウラシル、3−メチルキサンチン、テオブロミン、テオフィリン、カフェイン、イソカフェイン、キサンチン、テオフィリン−7−酢酸、テオフィリン−8−酪酸、3−イソブチル−1−メチルキサンチン、1,2,3−ベンゾトリアジン−4(3H)−オン、(−)−リボフラビン、ルマジン、アロキサジン、ミノキシジルおよびアミネキシルからなる群より選択される、請求項1〜10のいずれかの項に記載の方法。
【請求項12】
アミノ酸含有物質、特にペプチドおよびタンパク質において、少なくとも分子内ジスルフィド架橋が形成され、ここで、前記反応は、水性媒体において行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかの項に記載の方法。
【請求項13】
2つのSH基を有するアミノ酸、好ましくはシステイン基の間に分子内ジスルフィド架橋が形成されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかの項に記載の方法。
【請求項14】
前記反応混合物に対して、酸化剤、好ましくは酸化形態のグルタチオンが加えられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項に記載の方法。
【請求項15】
前記ペプチドは、5アミノ酸と100アミノ酸との間、5アミノ酸と50アミノ酸との間、好ましくは10アミノ酸と40アミノ酸との間、さらに好ましくは15アミノ酸と25アミノ酸との間の長さを有する、請求項1〜14のいずれかの項に記載の方法。
【請求項16】
前記物質が、支持体に結合されて存在する、請求項1〜15のいずれかの項に記載の方法。
【請求項17】
前記物質が、官能基を介して前記支持体に結合される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1〜12のいずれかの項に記載の複素環化合物の、ジスルフィド架橋の形成のための使用。
【請求項19】
前記複素環化合物は、ペプチドおよび/またはタンパク質の環化のために使用され、ここで、該ペプチドは、好ましくは、5アミノ酸と250アミノ酸との間、5アミノ酸と100アミノ酸との間、5アミノ酸と50アミノ酸との間、好ましくは、10アミノ酸と40アミノ酸との間、さらに好ましくは15アミノ酸と25アミノ酸との間の長さを有する、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記物質は、サイトカイン模倣ペプチドの環化、特にEPO模倣またはTPO模倣ペプチドの環化のために使用される、請求項18または19に記載の使用。
【請求項21】
少なくとも2つのSH基を有するアミノ酸の間の分子内ジスルフィド架橋の形成のために、請求項18〜20のいずれかの項に記載の使用。
【請求項22】
ジスルフィド架橋の形成のためのSH基保有物質および製品の処理のための、請求項18〜21のいずれかの項に記載の使用。
【請求項23】
毛髪および/または繊維、特にシステイン含有繊維の処理のための、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
ジスルフィド架橋の形成および/または加速のための請求項1〜11の1項または複数項に記載の複素環化合物を含む組成物。
【請求項25】
毛髪および/または繊維の処理のための、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ダイナミックコンビナトリアルライブラリーの製造のための、分子間または分子内ジスルフィド架橋の形成における触媒のための、請求項1〜11のいずれかの項に記載の複素環化合物の使用。
【請求項27】
ジスルフィド架橋の形成の加速のための化粧剤であって、該化粧剤は複素環化合物を含み、該化合物は、少なくとも2つの窒素原子を有し、請求項1〜12のいずれかの項に記載されたものである、化粧剤。
【請求項28】
毛髪の処理の方法であって、該毛髪は、請求項27に記載の化粧剤と接触され、そして必要に応じて水ですすがれる、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【公表番号】特表2009−520739(P2009−520739A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546290(P2008−546290)
【出願日】平成18年12月23日(2006.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/012526
【国際公開番号】WO2007/076993
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(507151180)アプラゲン ゲーエムベーハー (4)
【Fターム(参考)】