説明

ジッパー付きカートン

【課題】ジッパーを指で摘みやすく、開封操作が容易なジッパー付きカートンを提供することにあるジッパー付きカートンを提供すること。
【解決手段】本発明のジッパー付きカートン1は、角筒状の本体部30の相対する2面(前面部4,後面部2)のうちの後面部2に連設された後フラップ7が連設されると共に前面部4が前フラップ9に連設されている。カートン1には、後フラップ7を前フラップ9を重ねるように接合して開封面41が形成されている。前フラップ9には、開封面41を引き裂き可能なジッパー15が形成されている。後フラップ7は、ジッパー15の開封開始端15c側の始端側側縁7c(7c’)と、ジッパー15の終端15d側の終端側側縁7gを有し、始端側側縁7c’におけるジッパー15と重なる部分7dが切り欠かれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパー付きカートンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商品の包装箱等として利用されているジッパー付きカートンとして、角筒状の本体部の相対向する2面のうちの一方の面に連設された第1フラップ上に、他方の面に連設されたジッパー付きの第2フラップを重ねた状態に接合して開封面を形成してあるものが知られている。開封面は、商品等を取り出すためにジッパーにより破断される面である。
例えば、特許文献1には、カートンの天パネル(開封面)に2本の切り込みによるジッパーを設け、該ジッパーの開始端からなる摘み部の端辺が重なる、カートンの陵線上に凹部を形成したジッパー付きカートンが記載されている(図6,7等参照)。同文献によれば、ジッパーの摘み部とカートンの凹部との間に隙間が形成されることにより、ジッパーの摘み部が摘みやすくなり、ジッパーの開封が容易となる旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4050892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のジッパー付きカートンにおいては、天パネルとその直下に重ねて配置された天下パネルとが、略同形状で、ジッパーの開始端からなる摘み部が天下パネルと重なっているため(特許文献1の図6,図7参照)、ジッパーの摘み部とその下の凹部との間に天下パネルが介在して邪魔になり、摘み部に指を掛けにくい。
【0005】
従って、本発明の課題は、ジッパーを指で摘みやすく、開封操作が容易なジッパー付きカートンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、角筒状の本体部の相対向する2面のうちの一方の面に連設された第1フラップ上に、他方の面に連設されたジッパー付きの第2フラップを重ねた状態に接合して開封面が形成されているジッパー付きカートンであって、前記ジッパーは、前記第2フラップを、その一方の側縁から他方の側縁に亘って引き裂き可能に形成されており、前記第1フラップは、前記ジッパーの開封開始端側の側縁と、該ジッパーの終端側の側縁とを有し、該開封開始端側の側縁における前記ジッパーと重なる部分が切り欠かれている、ジッパー付きカートンを提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のジッパー付きカートンは、ジッパーを指で摘みやすく、開封操作が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるジッパー付きカートンの概略斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示すジッパー付きカートンのブランクを示す平面図であり、図2(b)は、後フラップの開封開始端側の側縁近傍を示す、図2(a)の一部拡大図である。
【図3】図3は、図1に示すジッパー付きカートンの天面部(開封面)付近の構成を示す図であり、前フラップを後フラップに接合する前の状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図1のI−I線断面図である。
【図5】図5は、図1に示すジッパー付きカートンのジッパーを引き裂く様子を示す概略斜視図である。
【図6】図6(a)〜(c)は、本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1及び図3に示すように、第1実施形態のジッパー付きカートン1(以下、単にカートン1ともいう)においては、角筒状の本体部30の相相対する2面(前面部4,後面部2)のうちの一方の面である後面部2に連接された後フラップ7(第1フラップ)上に、他方の面である前面部4に連設されたジッパー付きの前フラップ9(第2フラップ)を重ねた状態に接合して開封面41が形成されている。開封面41は、カートン1の外面をなす6面のうち、カートン1内に収容した商品等を取り出すために、ジッパー15により破断される面である。
【0010】
ジッパー15は、前フラップ9(第2フラップ)に、その一方の側縁9bから他方の側縁9cに亘って引き裂き可能に形成されている。
また、後フラップ7は、ジッパー15の開封開始端15c側の始端側側縁7cと、ジッパー15の終端15d側の終端側側縁7gを有しており、そのうちの始端側側縁7cにおけるジッパー15と重なる部分7dが切り欠かれている。
なお、ジッパー15は、前フラップ9において、前フラップ9と前面部4との間に介在する折れ線22と略平行な方向(X方向と略平行な方向)に延びて形成されている。
【0011】
本実施形態のカートン1における前面部4は、内部に商品を収容した状態で、店頭に陳列される際に、消費者側に向けられる面であり、商品名や商品に関する情報、商品を目立たせるための装飾等が施されている。なお、後面部2、左側面部3、及び右側面部には、商品に関する他の情報、例えば使用方法や内容物についての説明等が表示されている。図中、X方向は、後述する折れ線20,22が延びる方向ないし折れ線20,22と平行な方向である。
【0012】
図1に示すように、ジッパー付きカートン1は、板紙からなる略直方体形状の箱体であり、断面四角形状の角筒状の本体部30と、本体部30の上端部を閉鎖する天面部40と、本体部30の下端部を閉鎖する底面部50とを有する。
本体部30は、前面部4、後面部2、左側面部3及び右側面部5からなる。前面部4と後面部2とは、略同一寸法の長方形状を有し、互いに略平行をなして相対向している。左側面部3及び右側面部5は、それぞれ、前面部4と後面部2との間を繋いでいる。左側面部3と右側面部5とは、略同一寸法の長方形状を有し、互いに略平行をなして相対向している。
【0013】
図1に示すジッパー付きカートン1は、図2(a)に示す形状のブランク31を立体状に組み立てたものである。ブランク31は、板紙を、裁断や打ち抜くことによって得られる。
より具体的に説明すると、上述した本体部30は、折れ線19,18,17,16を介して互いに連結された、右側面部5、前面部4、左側面部3、後面部2及び糊代部6からなり、糊代部6を右側面部5の裏面に接着して角筒状に組み立てることにより形成されている。
また、右側面部5の上下には、折れ線27,23を介して、下側の右フラップ14及び上側の右フラップ10が連設されている。また、前面部4の上下には、折れ線26,22を介して、下側の前フラップ13及び上側の前フラップ9が連設されている。また、左側面部3の上下には、折れ線25,21を介して、下側の左フラップ12及び上側の左フラップ8が連設されており、後面部2の上下には、折れ線24,20を介して下側の後フラップ11及び上側の後フラップ7が連設されている。
【0014】
天面部40は、図3に示すように、左側面部3及び右側面部5に対して略直角に折り曲げられた左フラップ8及び右フラップ10上に、後フラップ7を、後面部2に対して略直角に折り曲げて重ね、更に、その後フラップ7上に、前フラップ9を、前面部4に対して略直角に折り曲げて重ね、その際、後フラップ7に設けた接着剤層7aを介して、後フラップ7の上面と前フラップ9の下面とを接合することにより形成されている。
天面部40の上面が、カートン1の開封面41である。
【0015】
接着剤層7aは、後フラップ7における、ジッパー15が重なる部分よりも折れ線20側に形成されており、そのため、ジッパー15を引き裂いて、前フラップ9を折れ線22側部分と先端縁9a側部分とに分断することで、天面部40が開放され、カートン1内に収容した商品等を取り出し可能となる。
なお、本実施形態のカートン1においては、左フラップ8は、後フラップ7及び前フラップ9の何れにも接合されておらず、右フラップ10も、後フラップ7及び前フラップ9の何れにも接合されていない。但し、左フラップ8及び右フラップ10を、手で容易に引き剥がし可能な程度の弱い接着力で後フラップ7等に接合することもできる。
【0016】
続いて、図1〜図3を参照しつつ、ジッパー付きカートン1における後フラップ7と前フラップ9の形状について詳述する。
前フラップ9は、図1、図2(a)に示すように、略長方形状であり、折れ線22に対して略直角をなす一対の側縁9b,9cと、折れ線22と略平行な先端縁9aとを有している。
前フラップ9は、折れ線22の長さに対してわずかに短い幅と、折れ線21(又は折れ線23)の長さに対してわずかに短い長さを有し、本体部30の上端部のほぼ全体を覆う形状をしている。ここで、前フラップ9の幅とは、上記X方向における一対の側縁9b,9c間の距離を意味し、前フラップ9の長さとは、X方向に対して直交する方向における前フラップ9の先端縁9aから折れ線22までの距離を意味する。
【0017】
図3に示すように、前フラップ9のジッパー15は、前フラップ9の一方の側縁9bから他方の側縁9cに亘って形成されている。ジッパー15は、一方の側縁9bから他方の側縁9cに向かって延びる平行な二列のジッパーライン15a,15a上に、左右対称な略L字状の切り込み15a’,15a’を不連続に配列して形成されている。このジッパー15の一端15cを指で摘んで引っ張ることによって、前フラップ9が、ジッパーライン15a,15aのそれぞれに沿って破断され、開封面41が引き裂かれる。開封開始端15cは、ジッパー15における開封時に指で摘むように構成されている端部である。
【0018】
また、前フラップ9における前記側縁9b側の端部におけるジッパーライン15a,15a上には、平行な2本の切れ線15b,15bが入れられていることにより、ジッパー15の開封開始端15cが、指で摘みやすく構成されている。また、ジッパー15の切れ線15b,15bの基端には、略三角形の欠損部15e,15eが形成され、更に、開封開始端15cが一層摘み易くなっている。
【0019】
ジッパー15の開封開始端15cは、ジッパー15における開封時に指で摘むように構成されている端部であり、ジッパー15の終端15dは、ジッパー15における開封開始端15cとは反対側の端部である。
本実施形態では、ジッパーライン15a,15aの延設方向(すなわちジッパー15の開封方向)は、折れ線22と略平行な(X方向と略平行な)方向である。
なお、本実施形態におけるジッパー15は、前フラップ9における、X方向と直交する方向の略中央部に形成されているが、それに代えて、ジッパー15が、当該中央部よりも折れ線22側、或いは先端縁9a側に形成されていても良い。
【0020】
他方、後フラップ7は、図2(a)に示すように、略長方形状であり、折れ線20と略直角な一対の側縁(始端側側縁7c及び終端側側縁7g)と、折れ線20と略平行な先端縁7bを有している。図3に示すように、カートン1において、後フラップ7の始端側側縁7cは、折れ線20,22と平行な方向(X方向)において、ジッパー15の開封開始端15c側に位置する側縁であり、後フラップ7の終端側側縁7gは、ジッパー15の終端15d側に位置する側縁である。
【0021】
後フラップ7の長さL1(X方向と直交する方向の長さ、図2(a)参照)は、前フラップ9の同方向の長さよりも短い。しかし、後フラップ7の前記長さL1は、X方向と直交する方向における折れ線20からジッパー15(折れ線22側のジッパーライン15a)までの距離L2(図1参照)以上であり、該距離L2より長いことが好ましい。即ち、後フラップ7は、図1に示すように、後フラップ7が少なくともジッパー15の全体と重なる位置まで延在しており、より好ましくは、ジッパー15の全体と重なる位置より折れ線22側まで延在している。これにより、カートン1内に光やホコリ等が入ることが防止される。
後フラップ7の上述した接着剤層7aは、折れ線20近傍に設けられ、折れ線20と略平行に延びる縦長長方形状に形成されている。
【0022】
図1〜図3に示すように、後フラップ7は、始端側側縁7cにおけるジッパー15と重なる部分7dが切り欠かれている。即ち、切り欠かれていない場合に想定される後フラップの始端側側縁7c’の一部7dが欠落して、その始端側側縁7c’の位置よりX方向内側(終端側側縁7g側)に後退した位置に切り欠き縁部7eが形成されている。
切り欠かれていない場合の後フラップの始端側側縁7c’としては、折れ線20に直交する直線に対して左右対称である以外は終端側側縁7gと同形状の側縁や、X方向の最も外側に位置する、折れ線20の略直交方向に延びる側縁7cを延長した側縁7c’を想定する。
図1、図2(b)に示すように、始端側側縁7cにおけるジッパー15と重なる部分7dとは、切り欠かれない場合の始端側側縁7c’のうちジッパー15の直ぐ下方に位置してジッパーライン15a,15a及びその間の部分と重なる部分を意味する。始端側側縁7cのジッパー15と重なる部分7dは、始端側側縁7cの切り欠かれていない部分よりも、後フラップ7のX方向内側に位置する切り欠き縁部7eが生じるように切り欠かれている。
【0023】
図2(b)等に示すのように、本実施形態における後フラップ7の始端側側縁7cは、ジッパー15と重なる部分7dだけでなく、ジッパー15と重なる部分7dから後フラップ7の先端縁7bに亘って切り欠かれている。
また、切り欠き縁部7eのうち、後述する段差部7f以外の部分は直線状に形成されている。切り欠き縁部7eにおける直線部分と、始端側側縁7cの切り欠かれていない部分(後述する段差部7より折れ線20側の部分)とは略平行であり、その間に生じる段差の幅W(X方向の寸法、図2(b)参照)は、1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上である。1mm以上とすることにより、後述の「貼りズレ」等を考慮しても、ジッパー15の開封開始端15cが後フラップ7とが重なって開封開始端15cを摘みにくくなることを抑制することができる。幅Wは、特に上限値を有しないが、始端側側縁7cが切り欠かれていない部分における後フラップ7のX方向の全長に対して、50%未満であることが好ましく、20%以下、特に10%以下であることが好ましい。なお、当該段差の幅Wは、後フラップ7の始端側側縁7cにおける切り欠き部分の幅でもある。
【0024】
また、後フラップ7の始端側側縁7c’が幅方向(X方向)内側に切り欠かれていることにより、実際の始端側側縁7cには、切り欠き縁部7eの一部である段差部7fが、後フラップ7の始端側側縁7c(7c’)におけるジッパー15と重なる部分7dの近傍に形成されている。
段差部7fの、始端側側縁7cの切り欠かれていない部分に対する角度uは、90°超であることが好ましく、100〜170°であることがより好ましい。なお、段差部7fと、切り欠き縁部7eの直線部分や始端側側縁7cの切り欠かれていない部分との接続部には、丸みを持たせることも好ましい。
【0025】
図1に示すように、段差部7fは、ジッパー15の開封開始端15cの両脇に形成された三角形状の欠損部15e,15eのうち、折れ線20側の欠損部15eとほぼ重なる位置に形成されている。
図2(a)に示すように、左フラップ8は、表面に流通時に商品の種類等を識別するためのバーコード等が印刷された略長方形状の白抜き部8aを有する。このような白抜き部分8aは色彩や仕上げを施されていない部分であり、カートン1の美観を損なわない観点から、消費者の目につかないことが好ましい。
また、本実施形態のカートン1では、後フラップ7における段差部7fから折れ線20までの距離L3は、左フラップ8における白抜き部8aから、後フラップ7側の側縁までの距離L4よりも大きい。これにより、図3に示すように、後フラップ7の始端側側縁7cの、折れ線20から段差部7fまでの切り欠かれていない部分によって白抜き部分8a全体が覆われ、商品陳列時等に白抜き部分8aが消費者の目につかないようにできる。
【0026】
次に、図3及び図4を参照しつつ、後フラップ7の始端側側縁7cにおける切り欠きの作用を説明する。
本実施形態のカートン1においては、図3に示すように、後フラップ7の接着剤層7aに前フラップ9の裏面が接着される際、後フラップ7における始端側側縁7c’のジッパー15と重なる部分7dが、X方向内側に切り欠かれていることにより、ジッパー15の開封開始端15c側に、後フラップ7と重なっていない、指で容易に摘める部分が確実に形成される。
【0027】
即ち、図4に示すように、後フラップ7の幅方向(X方向)において、後フラップ7の終端側側縁7g側においては、後フラップ7が、ジッパー15の終端15dまで延在しているのに対して、後フラップ7の始端側側縁7c(切り欠き縁部7e)側においては、後フラップ7の切り欠き縁部7eが、前フラップ9におけるジッパー15の開封開始端15c側の端縁(縁部9b)の位置に対してX方向内側に大きく後退した位置にある。従って、ジッパー15の開封開始端15cと左フラップ8の上面との間に隙間Sが確実に形成されると共に、その隙間SのX方向の長さL5を大きくできる。これにより、隙間Sに指を差し込んで、ジッパー15の開封開始端側を指で摘むことが容易である。指による摘み易さの向上の点から、前記隙間Sの長さL5〔X方向における切り欠き縁部7eから開封開始端15d(ジッパーのX方向最外端15d’)までの距離〕は、1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上であり、更に好ましくは3mm以上である。
【0028】
本実施形態のジッパー付きカートン1の開封方法について説明すると、カートン1を開封する際には、先ず、ジッパー15の開封開始端15cを指で摘む。このとき、図5のように、親指と人差し指で摘むのが一般的と思われる。本実施形態のカートン1においては、前述したように、ジッパー15の開封開始端15cと左フラップ8上面との間に長さL5の隙間Sが確実に形成されるので、親指又は人指し指を当該隙間Sに容易に挿入でき、ジッパー15の開封開始端15cを容易に摘むことができる。
そして、摘んだ開封開始端15cを引っ張り、ジッパー15を開封方向に引き裂いて、開封面41を破断し、引き裂く。これにより、本体部3の上端が開放されて、カートン1内の商品等を取り出すことができる。
【0029】
このように、本実施形態のジッパー付きカートン1によれば、ジッパー15の開封開始端15cを指で摘みやすく、開封操作が容易である。
【0030】
特に、本実施形態のカートン1は、角筒状の本体部30を、糊代部6と右側面部5の裏面とを接合して形成するため、本体部30を角筒状に形成する際に、折れ線16,18を鈍角の頂点に、折れ線17,19を鋭角の頂点とする略平行四辺形に歪みやすい。図3を参照して説明すると、本体部30の歪みにより前フラップ9の側縁9bは、先端に向かうにつれて折れ線21から離間するように傾斜した状態になりやすく、当該状態において後フラップ7の接着剤層7aに前フラップ9を接着してしまう「貼りズレ」が起こりやすい。
【0031】
この「貼りズレ」が起こると、図4に示すよりも、開封開始端15cの位置がX方向内側(図4中左方向)にずれてしまう。しかし、本実施形態のカートン1では、後フラップ7の始端側側縁7c’を切り欠いて切り欠き縁部7eを形成したことにより、「貼りズレ」が起きた場合でもジッパー15の開封開始端15cに後フラップ7が重ならずに、開封開始端15cと左フラップ8との間に隙間Sが確実に形成される。そのため、本実施形態のカートン1によれば、「貼りズレ」によるジッパー15の開封容易性の低下も効果的に抑制できる。
【0032】
また後フラップ7の始端側側縁7c(7c’)は、ジッパー15と重なる部分7dから後フラップ7の先端縁7bに亘って切りかかれているため、後フラップ7の始端側側縁7cのうち、段差部7fより先端縁7b側の部分には後フラップ7の幅方向外側へ突起する凸部分が形成されず、組み立て時に始端側側縁7cが別の部位に引っかかって裂けてしまう等の問題を防止できる。
【0033】
なお、上述したカートン1における底面部50は、左側面部3及び右側面部5に対して略直角に折り曲げられた左フラップ12及び右フラップ14上に、後フラップ11を、後面部2に対して略直角に折り曲げて重ね、更に、その後フラップ11上に、前フラップ13を、前面部4に対して略直角に折り曲げて重ね、その際、後フラップ11に設けた接着剤層11aを介して、後フラップ11と前フラップ13とを接合することにより形成されている。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施態様に制限されることなく、適宜変更可能である。
例えば、後フラップ7の始端側側縁7cの形状は、図2(b)で示す形状に代えて、図6(a)〜(c)に示す変形例の形状とすることもできる。
【0035】
図6(a)に示す変形例においては、後フラップ7Aは、始端側側縁7c’における、ジッパー15と重なる部分7dのみ(或いは該重なる部分7dとその近傍部分のみ)がX方向内側に切り欠かれている。そのため、当該切り欠きにより形成された切り欠き縁部7hは、その折れ線22側に上記実施形態と同じ段差部7fを有するだけでなく、先端縁7b側に段差部7iを有する。なお、切り欠き縁部7hのうち、段差部7fと段差部7iと
の間の部分は、始端側側縁7cの切り欠かれていない部分と略平行な直線状となっている。
当該変形例では、カートン1の組み立て時に段差部7iが他の部位に引っかかる等して
組み立ての障害になる恐れがあるものの、上記実施形態と同様の効果を得られる。なお、図6(a)のように、段差部7iの角7Iを鈍角に構成することにより、当該引っかかり
等はある程度防止可能である。
【0036】
図6(b)に示す変形例においては、後フラップ7Bは、始端側側縁7c’が、ジッパー15と重なる部分7dから折れ線20近傍に掛けて切り欠かれている。そのため、当該切り欠きによる切り欠き縁部7jは、折れ線20近傍に段差部7kを有する。切り欠き縁部7hの段差部7iと段差部7kの間に挟まれた部分は、始端側側縁7cの切り欠かれて
いない部分と略平行な直線状に形成されている。
図6(b)に示す変形例では、カートン1の組み立て時に段差部7iが他の部位に引っ
かかって組み立ての障害になる恐れがあり、また切り欠き部分が白抜き部8aと重なるため、白抜き部分8aが一部露出してしまう可能性があるものの、上記実施形態と同様の効果を得られる。
【0037】
また図6(c)に示す変形例においては、後フラップ7Cは、始端側側縁7c’の、後フラップ7の先端縁7bから折れ線20近傍までの部分が切り欠かれている。実際の始端側側縁7cにおいて、当該切り欠きによる切り欠き縁部7mは、折れ線20近傍に段差部7kを有する。切り欠き縁部7mのうち、段差部7kよりも先端縁7b側の部分は折れ線20と略直交する直線状に形成されている。図6(b)に示す変形例では、切り欠き部7lが白抜き部8aと重なるため、白抜き部8aが一部露出してしまう可能性があるものの、上記実施形態と同様の効果を得られる。
【0038】
また、実施形態では切り欠き縁部のうち段差部以外の部分は切り欠かれていない部分と略平行な直線状に形成されていたが、必ずしもその必要はなく、切り欠かれていない部分に対し一定程度傾斜した直線でもよいし、曲線状であってもよい。
また、実施形態では、前フラップや後フラップの側縁は折れ線に略直交する直線状に形成されているが、折れ線に対し一定程度傾斜していてもよい。
また、本発明におけるジッパーは、開封面を一定方向に引き裂き可能なものであれば、例えば切り込み15aの形状等、変更可能であり、実施形態で示す形状に限定されない。
また、本発明における開封面は必ずしも天面部に設けられる必要はなく、前面部等に設けられていてもよい。
上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 ジッパー付きカートン
2 後面部
3 左側面部
4 前面部
5 右側面部
7,7A〜7C 後フラップ(第1フラップ)
7c 始端側側縁
7d 始端側側縁の切り欠かれた部分
7g 終端側側縁
7d ジッパーと重なる部分
7e,7h,7j 切り欠き縁部
7f,7k 段差部
8 左フラップ
9 前フラップ(第2フラップ)
9b 側縁(一方の側縁)
9c 側縁(他方の側縁)
10 右フラップ
15 ジッパー
15c 開封開始端
15d 終端
20,22 折れ線
30 本体部
40 天面部
41 開封面
50 底面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状の本体部の相対向する2面のうちの一方の面に連設された第1フラップ上に、他方の面に連設されたジッパー付きの第2フラップを重ねた状態に接合して開封面が形成されているジッパー付きカートンであって、
前記ジッパーは、前記第2フラップを、その一方の側縁から他方の側縁に亘って引き裂き可能に形成されており、
前記第1フラップは、前記ジッパーの開封開始側端側の側縁と、該ジッパーの終端側の側縁とを有し、該開封開始端側の側縁における前記ジッパーと重なる部分が切り欠かれている、ジッパー付きカートン。
【請求項2】
前記開封開始端側の側縁は、前記前記ジッパーと重なる部分から前記第1フラップの先端縁に亘って切り欠かれている、請求項1記載のジッパー付きカートン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−121589(P2012−121589A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272461(P2010−272461)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】