説明

ジッパー付包装袋及びそれを用いた袋包装体

【課題】 筒状包装材に形成するための背貼りシール部を包装袋の一側部に位置させることによって、包装袋の表裏の表面から背貼りシール部を無くして、高級感を醸し出し且つ表面をフルに利用できる包装袋、袋包装体、並びにその製造方法及び装置を提供する。
【解決手段】 袋包装体Pは、筒状に成形されている胴部2と、胴部2の下側端部及び上側端部でヒートシールされた地エンドシール部3と、天エンドシール部4とを有する包装袋1内に、製品Aが収容されている。背貼りシール部5は、包装袋1の一方の側端縁1aに沿って位置しており、折り返されて包装袋1の外面側に重ねられている。包装袋1の表裏表面の中央部分から背貼りシール部5を無くして、高級感を醸し出し且つ表面を印刷や表示にフルに利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軟質包装材で構成され、開口部に開封・再閉鎖可能なジッパーが取り付けられているジッパー付包装袋及びそれを用いた袋包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋又は袋包装体の形態として、ピロー、ガセット、ヘム付きガセット等の各種形態があるが、これらの包装形態を有する包装袋又は袋包装体は、一般的に、ヒートシールによって背貼りシール部やエンドシール部に強いシールがされているので、これらのシール部を引き裂くことでの開封が困難である。それゆえ、引き裂き方向性を備えた特殊な包装フィルムを用いること、或いは袋の背貼りシール部やエンドシール部にIノッチやVノッチのような引き裂き開始用としての切り込みを形成することで、開封を容易にすることを図っている。しかしながら、引き裂き開始用の切り込みはその位置や深さにバラツキが生じがちであって、どの包装袋又は袋包装体でも一様な切り込みを形成できるという保証がある訳ではない。
【0003】
上記の包装形態を有する包装体は、縦型製袋充填包装機によって連続的に製造される。即ち、ウェブ状包装材は、製袋筒であるフォーマによって、その内側で且つ製袋筒の内部に配置され下方向に垂下する製品充填筒の外側を囲むように筒状に曲形されて縦方向に供給され、その途中で包装材の側縁部分が縦シールユニットによってヒートシールされることで筒状包装材に成形される。縦型製袋充填包装機は製品充填筒の下方に配置されている横シールユニットを備えており、筒状包装材は、横シールユニットのエンドシーラによって、先行して形成された袋の開口端部がエンドシールされるとともに、次に形成される袋の底となる部分にエンドシールが施されて袋の底部が形成される(ガセットタイプの場合には更にサイド部分の折り込みが行われる)。底部が形成された筒状包装材には、製品投入筒を通じて包装物である製品が投入される。製品が充填された筒状包装材を1個の袋の長さ分だけ下方に送り、底部が形成され且つ製品が投入された筒状包装材にその開口部になる位置にエンドシールを施すことを順次繰り返すことによって、背貼りシール部と両端のエンドシール部(底部と開口部)とで封鎖されたピロータイプの袋包装体が連続して製造される。
【0004】
袋の形態の一つとして、合成樹脂フィルム等の軟質包装材で構成され、開口部に樹脂製のジッパーが取り付けられて成る平ピロー袋、ガセットピロー袋等のジッパー付包装袋がある。この形態の袋は、袋の開封後に、例えば、包装されている製品を取り出す毎にジッパーによって再封鎖可能であり、バラ状の物品や食品を包装するのに好適である。
【0005】
このようなピロー形態のジッパー付包装袋の製造方法としても、上記したような縦型製袋充填包装機が利用される。この方法では、縦型製袋充填包装機に供給する前の連続したウェブ状包装材の所定位置に、雄側部材と雌側部材を互いに嵌合させた状態のジッパーが取り付けられ、そのジッパー付軟包装材を縦型製袋充填包装機に送ってジッパーを内側にした筒状包装材に成形し、重ね合わせた両側縁部分のヒートシール(背貼りシール部)と袋底部のヒートシールが行われる(ガセットタイプの場合には更にサイド部分の折り込みを行う)。製品の充填と1個の袋の長さ分だけ筒状包装材を下方に送った後、天ヒートシールと後続の袋のための底ヒートシールが行われ、同時にジッパーの雄側部材と雌側部材のそれぞれのシール用フランジがその外側に位置する包装材の内面側にヒートシールされてジッパーが確実に取り付けられる。次いで、製造された袋包装体を切り離すという作業が行われる。
【0006】
従来のジッパー付き包装袋は、四方シール・スタンドパウチの製袋工程において袋を作り、給袋機などで給送されるパウチに充填・包装が行われている。縦型製袋充填包装機において、包装袋をピロー形態やガセット形態とする場合には、背貼りシール部が袋の左右中心に沿って延びていることが一般的である。背貼りシール部のうち、エンドシールを施す部分は互いに対向するエンドシーラによって強い圧力で挟まれて平坦にされる。背貼りシール部がその後自身の復元力でエンドシール部から立ち上がるのを防止するため、背貼りシール部をエンドシール部に溶着することがあるが、そのためには、背貼りシール部となる側縁部分にエンドシール部との溶着を可能にするパートコートを施す必要がある。また、背貼りシール部又はエンドシール部から開封を開始するには、その開始部分に開封開始用のノッチを形成する必要もある。このような対処のため、包装のコスト上昇と機構の複雑化を招いている。
【0007】
ピロー包装袋において、ヒートシールによって形成されるシール部は一般に強度が高くなるので、引き裂きがシール部である背貼りシール部に到達したときに停止する虞がある。背貼りシール部が封筒貼り方式で形成されている場合に、袋の側端部から開始した引き裂きが背貼りシール部で止まることなく進行し、簡単に開封可能とすることが提案されている(特許文献1参照)。この提案によれば、フィルムを円曲させて重ね合わされる両側端部分を封筒貼り方式でヒートシールすることで背貼りシールが形成されたピロー包装袋において、背貼りシール部となるフィルムの片側又は両端の端縁に沿って微細な切り込み又は刻み目を設けておくことにより、袋を引き裂いた際、引き裂きがこの切り込み又は刻み目から簡単に背貼りシール内を進行して横断することを可能にしている。また、端縁に沿って微細な切り込み又は刻み目が加工される背貼りシールを引き裂き開始側に向けて袋の裏面にヒートシールしておくことで、幅方向から引き裂いたときに、引き裂きが背貼りシールのところで停止することなく、切り込み又は刻み目から背貼りシール内に簡単に進行させることが提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−256159号公報(段落[0019]〜[0020]、図1)
【特許文献2】特開2004−256158号公報(段落[0015]〜[0017]、図1、図2)
【0008】
プラスチックラミネートフィルムの端を突き合わせてヒートシールすることで形成される背シール部を包装袋の側端又は側端の近傍に設け、背シール部を形成する各突き合わせた端に連なる折曲げ部に上端から下端まで延びる細幅の開封用粗面部を設けることが提案されている(特許文献3)。包装袋の一面の側端又は側端の近傍に細幅の開口を形成し、封入された内容物の一部を細幅の開口から取り出した後でも包装袋の袋形状を保つことを可能にしている。細幅の開封容易区域が背シール部に沿って形成されるので、背シール部を開封用粗面部に沿って破ることで、包装袋は開封される。
【特許文献3】特開平8−324582号公報(段落[0006]〜[0009]、図1〜図5)
【0009】
袋の本体部を、積層フィルムの左右の端縁部同士を縦方向にヒートシールして筒状に形成する際、少なくとも一方の側部を積層フィルムの折り返し部で形成し、上部の開口端を上部シール部でヒートシールすると共に、その内側の内面に一方の側部から他方の側部に向けて横方向にチャックテープを熱接着し、上部シール部とチャックテープの間に切り取り線とノッチなどの開封手段を設けて構成されたチャックテープ付き袋が提案されている(特許文献4参照)。チャックテープの熱接着は、折り返し前の積層フィルムに仮接着させ、筒状に形成後、本接着する方法で行われる。また、上部シール部とチャックテープの間にノッチを形成するために、当該部分の袋にスポットシール部を設けることが開示されている。
【特許文献4】特開2003−212248号公報(段落[0033]〜[0038]、図1)
【0010】
帯状に形成された被シール片と、この被シール片に沿って延在する開閉自在な封止部とを有する一対のジッパー片からなり、封止部の両端部が押し潰されて接合しているとともに、当該押し潰し部分が被シール片よりも膨出した形状のジッパー部材を、包装材に熱シールするためのジッパーシールブロックであって、被シール片に当接してこれを包装材に熱シールする取付けシール部と、封止部の両端押し潰し部分に当接してこれを熱シールする両端シール部と、封止部の両端に近接する部分に当接してこれを熱シールする封止部近傍シール部とを含み、両端シール部は、封止部の両端押し潰し部分を挿入する凹部形状に形成したものが提案されている(特許文献5参照)。
【特許文献5】特開2005−119209号公報(段落[0017]〜[0034]、図1〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
背貼りシール部が包装袋の左右中央に位置していると、背貼りシール部が存在している側が包装袋の裏側として定まり、印刷及び表示において包装袋の表面の利用性が制限される。また、背貼りシール部を封筒貼りではなく合掌貼りで形成した場合には、背貼りシール部を折り曲げて倒した状態では、包装袋の表裏を含めれば引き裂くべき包装材は4重になり、引き裂いて開封する際に背貼りシール部のところで大きな抵抗となり、スムーズな開封ができなくなるという問題がある。そこで、背貼りシール部の包装袋における位置と易開封手段との組合せに工夫を凝らすことにより、簡易で確実な開封を可能にする点で解決すべき課題がある。
【0012】
この発明の目的は、印刷及び表示において包装袋の表面の利用性を高めることができるとともに、表面を簡素で且つ見栄えを良くして高級感を与えることができ、更に開封の際に引き裂きが背貼りシール部をスムーズに通過して容易に開封することができる包装形態を備えた包装袋及び袋包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明による包装袋は、筒状に曲成された包装材の側縁部分同士を合掌状にシールして形成された背貼りシール部と、前記包装材の少なくとも一方の筒端部をシールして形成されたエンドシール部とを備える包装袋において、前記背貼りシール部はその内側シール縁線を折り返し線として前記包装袋の表面上に折り返されて前記包装袋の一方の側端縁に沿って置かれており、前記包装袋の前記筒端部の近傍において、折り返された前記背貼りシール部が重なる前記包装材に当該包装材の内面同士をシールするスポットシール部分が形成されており、前記スポットシール部分とそれに対応する前記背貼りシール部の整合部分とに易開封用ノッチが形成されていることから成っている。
【0014】
この包装袋によれば、背貼りシール部が包装袋の側端縁に沿って配置されているので、包装袋の二つの表面は、実質的に表裏を区別し難く、両表面は印刷や表示の点で効果的に利用可能となる。また、折り返された背貼りシール部が重なる包装材に当該包装材の内面同士をシールするスポットシール部分を形成し、そのスポットシール部分とそれに対応する背貼りシール部の整合部分とに易開封用ノッチを形成しているので、上記スポットシール部分及び背貼りシール部の整合部分に形成される易開封用ノッチの周囲はシールされている領域であるので、包装袋の内部の密封は保たれている。スポットシール部分も背貼りシール部の整合部分も包装材の内面同士がシールされて強度が高くなっているが、包装袋の開封時には、易開封用ノッチが形成されている両方のシール部分が易開封用ノッチを始点として引き裂きが開始され、容易に開封を進行させることができる。しかも、包装袋の他方の側端縁に達するまで、従来の背貼りシール部のような、重ねられ且つシールされることで強度が高まった部分を通過することがなく、両表面の二枚の包装材を引き裂くことで、容易に開封し切ることができる。易開封用ノッチは、背貼りシール部とスポットシール部とに同時に位置を合わせて形成することが好ましい。
【0015】
この包装袋において、前記背貼りシール部は、前記内側シール縁線が前記包装袋の前記側端縁に置かれて前記包装袋の前記表面上に折り返されているものとすることができる。また、前記背貼りシール部は、前記内側シール縁線が前記包装袋の前記側端縁から前記背貼りシール部の幅だけずれた位置に置かれて前記包装袋の前記側端縁側に向かって前記表面上に折り返されているものとすることができる。背貼りシール部は包装袋の表面上に折り返されて包装袋の一方の側端縁に沿って置かれておればよく、折り返し線となる内側シール縁線は、包装袋の側端縁に置いてもよく、包装袋の側端縁から背貼りシール部の幅だけずれた位置においてもよい。
【0016】
この包装袋において、前記包装材の前記開封用ノッチが形成される位置よりも袋内側の位置に、嵌合可能なジッパー骨から成り繰り返して開封・閉鎖可能なジッパーを設けて、嵌合状態にある前記ジッパー骨の両端を潰しシール部分によって前記包装袋の内側に貼着することができる。開封用ノッチが形成される位置よりも袋内側の位置にジッパーを設けることにより、開封用ノッチから開封を開始して袋を開封した後も、包装袋はジッパーによって再閉鎖・再開封が可能である。ジッパーは、嵌合状態にあるジッパー骨の両端を潰しシール部分によって包装袋の内側に貼着することで、ジッパーは、ジッパー骨がその両端で開くことがなく、袋の両側端縁を傷めることがない。
【0017】
ジッパーを設けた上記包装袋において、前記スポットシール部分と前記潰しシール部分とは、一つのシール部分として形成することができる。この構成により、スポットシール部分と潰しシール部分とを互いに近づけてコンパクトなシール部分となり、包装袋本来の機能である製品を包装するスペースを可及的に広く確保することができる。また、シールの形成上、1回のシールによって、スポットシール部分と潰しシール部分とを得ることができる。
【0018】
この包装袋において、前記背貼りシール部の少なくとも前記対応背貼り部分は、折り返された状態で外側の前記側縁部分を内側の前記側縁部分よりも幅広くし、前記内側の側縁部分よりもはみ出した前記外側の側縁部分の内面側を前記包装材の表面にシール止めすることができる。外側の前記側縁部分を内側の側縁部分よりもはみ出した領域で包装材の表面にシール止めすることにより、背貼りシール部が包装材の表面から起き上がることを防止し、背貼りシール部が包装材の表面に折り倒されている状態が維持されて、包装袋に見栄えのよいスッキリした高級感を与えることができる。背貼りシール部を形成する際に、側縁部分の幅を僅かにずらすことによって、背貼りシール部を形成したときに、幅広い側の側縁部分が、その端縁側で他方の側縁部分よりもはみ出した状態が得られる。
【0019】
この発明による袋包装体は、上記の包装袋の内部に包装物としての製品が袋詰めされた状態で両端の前記筒端部が前記エンドシール部として封鎖されていることから成っている。この袋包装体によれば、袋の表裏の区別が実質的にないので、印刷や表示等、袋の両面を効果的に利用することができる。また、開封ノッチによって、袋の一側の側端縁に重ねられて置かれている背貼りシール部から開封できるので、引き裂き開封が途中で止まることなく、袋の反対側の側端縁まで容易に開封することができる。また、ジッパーを設けた場合には、再開封・再閉鎖が可能となる。
【発明の効果】
【0020】
この発明による包装袋及び袋包装体は、上記のように構成されており、背貼りシール部が包装袋の一方の側縁部に寄せられていて包装袋のいずれの表面にも背貼りシール部が中央部分に存在していない。その結果、両表面印刷及び表示において包装袋の表面の利用性を高めることができるとともに、表面が簡素で且つ見栄えが良くなるので高級感を与えることができる。更に、側縁部に寄せられている背貼りシール部に易開封手段を設けることにより、開封の際に引き裂きが背貼りシール部で止まることがなく背貼りシール部をスムーズに通過するので、容易に袋を開封をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による包装袋及びそれを用いた袋包装体の実施例を説明する。図1はこの発明による袋包装体の一実施形態を示す図であり、図1の(a)は正面図、(b)は(a)に示す袋包装体の横断面図、及び(c)は(a)に示す袋包装体の一部縦断面図である。
【0022】
図1(a)に示すように、包装袋1は、筒状に成形されている胴部2と、胴部2の下側端部でヒートシールされて袋底を形成している地エンドシール部3と、胴部2の上側端部でヒートシールされて袋上端を形成している天エンドシール部4とを有する平袋として形成されており、袋包装体P1は包装袋内に製品Aが収容された包装体である。袋包装材を筒状に形成する背貼りシール部5は、袋包装体P1を個別に製造する場合には一枚の互いの側縁部分5c,5dを、又は連続的に製造する場合にはウェブ状の包装材(後で、個別に切断される)の互いの側縁部分5c,5dをヒートシールしたシール部として形成されている。背貼りシール部5は、包装袋1の一方の側端縁1aに沿って位置しており、図1(b)に示し、また後述するように、折り返されて包装袋1の一方の表面、即ち、包装袋1を構成する包装材の外面に重ねられている。包装袋1は、背貼りシール部5によって筒状に形成された胴部2の上下の各端部を、地エンドシール部3及び天エンドシール部4によってシールすることによって、密封形成されている。背貼りシール部5は、図示の例では、互いの側縁部分5c,5dの内側面同士を合掌状にシールすることで形成されている。背貼りシール部5は、合掌状に代えて、内外面を重ねてヒートシールした封筒貼り状のシール部として形成することもできる。
【0023】
包装袋1には、背貼りシール部5が寄せられている側の側端縁1aで、且つ包装袋1の天エンドシール部4に最寄りの位置において、包装袋1を切り裂いて袋包装体P1を開封するための開封ノッチ6が形成されている。開封ノッチ6から引き裂きを開始して、天エンドシール部4の内側で且つ天エンドシール部4に沿って包装袋1を引き裂くために、包装材としては、少なくとも引き裂き方向(包装袋1の横方向)に延伸した包装フィルムを用いることができる。開封ノッチ6を形成する前又は同時に開封ノッチ6が形成される予定の領域を含む包装材の内面同士をシールしてスポットシール部7を形成し、開封ノッチ6の周囲にスポットシール部7が残るようにすることで、開封ノッチ6を形成しても袋包装体Pの密封が損なわれるのを回避することができる。また、開封ノッチ6の延長上の包装材には、引き裂きを天エンドシール部4よりも内側で切り裂いて案内する弱化線6aを形成しておくことで、引き裂き線が意図しない方向に進むことがなく真っ直ぐな開封ラインとなるように誘導することが好ましい。弱化線6aに代えて、ユーザに引き裂き方向を案内する指示線を印刷等で示しておくこともできる。開封ノッチ6から包装袋1を引き裂くことによって、袋包装体P1を開封し、製品Aにアクセスすることができる。開封ノッチ6は、図示の例では外側からV形に切り込まれた、所謂、Vノッチであるが、その他にも、Iノッチやその他、引き裂き方向を誘導する形状とすることができる。
【0024】
開封した袋包装体P1の開口部を繰り返して閉鎖可能にするために、天エンドシール部4の近傍、即ち、開封ノッチ6で切り裂き予定位置よりも更に袋中央寄りの位置に、再開封・再閉鎖可能なジッパー8が設けられている。ジッパー8は、図1(c)に示す断面図に最も良く示すように、包装袋1の内面側において、一側にシールによって貼着されている凸型ジッパー骨9と、凸型ジッパー骨9に対応して他側にシールによって貼着されている凸型ジッパー骨10とから構成されている。凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを嵌合させることで、開いていた開口部が再閉鎖可能となる。凹型ジッパー骨10は、凸型ジッパー骨9よりも幅広く形成されている。なお、ジッパー8の包装材への貼付けは、予め、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを嵌合させた状態のジッパー8を、幅広い方の凹型ジッパー骨10の延長部分S1において包装材に貼着する状態で取り付けることで包装材に位置決めしておき、包装袋1の製造時にジッパーシールにて、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10との残る部分S2,S3をそれぞれ対応する包装材の内面にヒートシールによって貼着させることができる。ジッパー8の両端部は、ジッパー潰しシール8a,8bを形成することができる。
【0025】
ジッパーシールにおいては、ジッパー8の両端部を嵌合状態で潰して潰しシール8a,8bとされる。ジッパー8を端部まで開くことができるようにしておくと、開いたときに包装袋1の両側端縁が損傷を受けやすくなり、最悪の場合、包装袋が破れる虞がある。ジッパー8の両端部に対応して潰しシール8a,8bを設けることにより、ジッパー8を開くとき、ジッパー潰しシール8a,8bでは、凸型ジッパー骨9と凹型ジッパー骨10とを分離させることができないので、そうした包装袋の損傷を未然に防止することができる。また、スポットシール部7と潰しシール8aとは連続して形成することができる。更に、ヒートシーラに、スポットシール部7と潰しシール8aとに対応する連続するシール面を持つことで、1回のシールで両方のシール部7,8aを形成することができる。
【0026】
図2は、図1に示す袋包装体の製造の最終行程を示す図であり、(a)は背貼りシール部5の折り返し前の状態を示す部分図、(b)は背貼りシール部5の折り返し途中の状態を示す部分図、(c)は折り返し完了後の状態を示す部分図である。図2(a)に示す袋包装体P1”において、包装材の両側縁部分5c,5dを合掌状にヒートシールされた背貼りシール部5は、包装袋1の一方の側端部1aに位置している。同(b)に示す袋包装体P1’においては、背貼りシール部5は、その内側シール縁線5aを折り返し線として背貼りシール部5の幅wだけ折り返されて、包装材の表面(この例では手前側の表面)上に重ねられる。次に、同(c)に示すように、背貼りシール部5が折り返された状態で、筒状に形成された胴部2の上端部をシールして天エンドシール部4とすることによって(下端部は地エンドシール部3とすることによって)、包装体P1が密封形成される。この実施形態では、背貼りシール部5の内側シール縁線5aは、包装袋1の側端部1aに一致している。背貼りシール部5は、上下端部で天地のエンドシール3,4によって、折り返し部分がエンドシール3,4と重なるようにヒートシールされるので、背貼りシール部5の折り返しが元に戻ろうとするのを規制することができる。背貼りシール部5は、その折り返しによって、多少の折り癖が付く程度でもよく、多少は開いていても構わない。
【0027】
背貼りシール部5は、天地のエンドシール3,4以外の部分でも、例えばヒートシールによって包装材に弱く貼着することができる。この貼着を行う場合には、包装材は、背貼りシール部5とそれに重ねられる領域の包装材の外面とにヒートシール材でコーティングされる。背貼りシール部5と重ねられる領域の包装材の内面同士はシールされないようにすることで、包装袋1内部の製品収納用スペースを広く確保することができる。
【0028】

従来のピロー包装機で製造された袋包装体は、背貼りシール部を胴部の左右中央に位置しているので背貼りシール部が目立つ構造であり、ピロー包装体であることが一目瞭然であった。これに対して、本発明による袋包装体P1は、地エンドシール部3と天エンドシール部4は従来のものと同じであっても、背貼りシール部5が一方の側端部1aに位置しているので、安価に製造されるピロー包装体であるとのイメージを与えることがなく、商品価値を高めることができる。胴部2は、背貼りシール部5の倒し方向で表裏側の区別がようやく付く程度であるので、図柄や印刷において表裏両方とも同じ程度に活用することができる。
【0029】
図3は、この発明による袋包装体の別の実施形態であって、(a)は製造途中の背貼りシール部5を折り返した状態を示す斜視図であり、(b)は製造された袋包装体の一部を示す斜視図である。図3に示す実施形態では、背貼りシール部5は、内側シール縁線5aが包装袋11の側端縁11aから背貼りシール部5の幅wだけずれた位置に置かれていて、内側シール縁線5aを折り返し線として包装袋11の側端縁側11aに向かって包装袋1の表面上に折り返されている。背貼りシール部5の端縁5bは、包装袋11の側端縁11aと実質的に一致しており、背貼りシール部5は折り返されたときには、結果的に包装袋11の一方の側端縁11aに沿って置かれた状態となっている。ジッパー8の適用や、エンドシールの形成については先の実施形態と同様であるので、再度の説明を省略する。易開封用の開封ノッチ6については、包装袋11の側端縁側11aにスポットシール部7を形成し、その形成と同時又はその後に開封ノッチ6を形成することにより、開封ノッチ6の形成の際における袋包装体P2の密封が破れるのを防止している。背貼りシール部5が折り返された状態で天(底)エンドシール3(4)を行うことにより、背貼りシール部5の上下端部は天(底)エンドシール3(4)で包装袋11に付着されるので、背貼りシール部5の折り癖を維持することができる。
【0030】
図4は、この発明による袋包装体の他の実施形態であって、(a)は製造途中の背貼りシール部5を折り返した状態を示す斜視図であり、(b)は製造された袋包装体の一部を示す斜視図である。図4に示す実施形態では、背貼りシール部5は、図1に示す実施形態と同様に、内側シール縁線5aが包装袋12の側端縁12aに置かれているが、背貼りシール部5は、折り返された状態で外側の側縁部分5cを内側の側縁部分5dよりも幅広くし、内側の側縁部分5dよりもはみ出した側縁部分5eの内面側を包装材の表面にシール止めすることができる。側縁部分5eのシールは、底エンドシール3、天エンドシール4、スポットシール7及び潰しシール8aの形成時に行うことができる。背貼りシール部5のはみ出した側縁部分5eを包装袋12の表面にシール止めすることにより、背貼り部分5が包装袋12の表面から起き上がることが防止され、背貼り部分5が包装袋12の表面に折り倒されている状態が維持されて、袋包装体P3に見栄えのよいスッキリした高級感を与えることができる。背貼りシール部5を形成する際に、側縁部分5c,5dの幅を僅かにずらすことによって、はみ出した側縁部分5eを得ることができる。なお、折り返したときに内側位置を占める側端縁部分5dの一部を切り欠くことによっても、ずらしたときに生じる側縁部分5eと同様のヒートシールされる領域を形成することができる。
【0031】
上記の実施形態では、製品を収容した状態で底エンドシール3及び天エンドシール4で閉じられている袋包装体P1〜P4を示したが、例えば、天エンドシール4を形成し及びジッパー8を嵌合しておき、底エンドシール3を未シールとし、製品も袋詰めしないことで包装袋を製造することができる。製品を袋詰めする際には、底エンドシール3にヒートシールを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】この発明による袋包装体の一実施形態を示す図である。
【図2】図1に示す袋包装体の製造の最終行程を示す図である。
【図3】この発明による袋包装体の別の実施形態を示す部分図である。
【図4】この発明による袋包装体の更に別の実施形態を示す部分図である。
【符号の説明】
【0033】
1 包装袋 1a 側端縁
2 胴部
3 地エンドシール部 4 天エンドシール部
5 背貼りシール部 5a 内側シール縁線
5c,5d 側縁部分 5e はみ出し側縁部分
6 開封ノッチ 6a 弱化線
7 スポットシール部
8 ジッパー 8a,8b 潰しシール部
9 凸型ジッパー骨 10 凹型ジッパー骨
11,12 包装袋 11a,12a 側端縁
P1,P2,P3 袋包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に曲成された包装材の側縁部分同士を合掌状にシールして形成された背貼りシール部と、前記包装材の少なくとも一方の筒端部をシールして形成されたエンドシール部とを備える包装袋において、前記背貼りシール部はその内側シール縁線を折り返し線として前記包装袋の表面上に折り返されて前記包装袋の一方の側端縁に沿って置かれており、前記包装袋の前記筒端部の近傍において、折り返された前記背貼りシール部が重なる前記包装材に当該包装材の内面同士をシールするスポットシール部分が形成されており、前記スポットシール部分とそれに対応する前記背貼りシール部の整合部分とに易開封用ノッチが形成されていることから成る包装袋。
【請求項2】
前記背貼りシール部は、前記内側シール縁線が前記包装袋の前記側端縁に置かれて前記包装袋の前記表面上に折り返されていることから成る請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
前記背貼りシール部は、前記内側シール縁線が前記包装袋の前記側端縁から前記背貼りシール部の幅だけずれた位置に置かれて前記包装袋の前記側端縁側に向かって前記表面上に折り返されていることから成る請求項1に記載の包装袋。
【請求項4】
前記包装材の前記開封用ノッチが形成される位置よりも袋内側の位置に、嵌合可能なジッパー骨から成り繰り返して開封・閉鎖可能なジッパーが設けられており、前記ジッパーは、嵌合状態にある前記ジッパー骨の両端が潰しシール部分によって前記包装袋の内側に貼着されていることから成る請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記スポットシール部分と前記潰しシール部分とは、一つのシール部分として形成されていることから成る請求項4に記載の包装袋。
【請求項6】
前記背貼りシール部の少なくとも前記対応背貼り部分は、折り返された状態で外側の前記側縁部分が内側の前記側縁部分よりも幅広であり、前記内側の側縁部分よりもはみ出した前記外側の側縁部分の内面側が前記包装材の表面にシール止めされていることから成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の前記包装袋の内部に包装物としての製品が袋詰めされた状態で両端の前記筒端部が前記エンドシール部として封鎖されていることから成る袋包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−341880(P2006−341880A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168930(P2005−168930)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】