説明

ジヒドロインデン−1,4’−ピペリジン化合物

【課題】ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体拮抗作用剤の提供。
【解決手段】例えば、次式


1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イルビフェニル2−イルカーバメートの化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れたニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体拮抗作用を有し、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患等の治療薬として有用な化合物又はその薬理上許容される塩に関する。
【背景技術】
【0002】
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、気管支収縮、気道炎症、粘液分泌、咳嗽などが亢進している。サブスタンスPあるいはニューロキニンAが気道収縮作用、炎症作用、咳、粘液分泌に関与しており、サブスタンスPあるいはニューロキニンAの両受容体(ニューロキニンNK及びニューロキニンNK受容体)に拮抗する化合物は、上記の生理作用を抑制する可能性がある(非特許文献1、非特許文献2)。ニューロキニンNK及びニューロキニンNK両受容体に拮抗する非ペプチド性低分子化合物は開示されている(特許文献1、特許文献2)が、薬剤使用としての認可は得られていない。一方、アセチルコリンはムスカリン性M受容体に作動することにより、強い気道収縮作用を惹起する(非特許文献3)。ムスカリン性M受容体に拮抗する化合物は気管支拡張作用を有する化合物があり(特許文献3、特許文献4、特許文献5)、気管支拡張薬剤として使用されている(非特許文献4)。ムスカリン性M受容体およびニューロキニン受容体の両者を拮抗することでより、各々単独で発揮される気管支拡張作用を上回る強い気管支拡張作用を発揮することが開示されている(特許文献6)。しかしながら、ニューロキニンNK及びニューロキニンNK両受容体に拮抗する化合物が気管支喘息あるいはCOPD治療薬として上市されていないことから、単剤を併用することは出来ないという問題点がある。ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリン性Mすべての受容体を拮抗することで、強い気管支拡張作用、抗炎症作用、鎮咳去痰作用を有する単一の化合物が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US6511975号公報
【特許文献2】US7365067号公報
【特許文献3】US2004/167167号公報
【特許文献4】US2005/203131号公報
【特許文献5】US2006/281740号公報
【特許文献6】特開2006−160639号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アメリカン レビュー オブ レスピラトリー ディズィーズ,1991年,144巻,1187−1198ページ(American Review Of Respiratory Disease,1991,vol.144,pages1187−1198)
【非特許文献2】アメリカン レビュー オブ レスピラトリー ディズィーズ,1991年,144巻,1391−1399ページ(American Review Of Respiratory Disease,1991,vol.144,pages1391−1399)
【非特許文献3】ライフ サイエンス,1993年,52巻,521−527ページ(Life Sciences,1993,vol.52,pages521−527)
【非特許文献4】ヨーロピアン ジャーナル オブ ファーマコロジー,2006年,533巻,36−39ページ(European Journal of Pharmacology,2006,vol.533,pages36−39)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者等は、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体のすべてに拮抗作用を有する単一の化合物の合成とその薬理活性について長年にわたり鋭意研究を行った結果、単一ですべての受容体に拮抗作用を示し、持続的に薬効を示す化合物を見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、(1)一般式(I)
【化1】

【0007】
[式中、
は、水素原子、C−Cアルキル基又はC−Cアルコキシカルボニル基を示し、
は、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよい複素環基を示し、
は、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよい複素環基を示し、
は、単結合、C−C10アルキレン基、(C−Cアルキレン)−アミノカルボニル−(C−Cアルキレン)基又は(C−Cアルキレン)−カルボニルアミノ−(C−Cアルキレン)基を示し、
は、カルボニル基、ヒドロキシメチレン基、エステル基、式−N(R)−で表わされる基、式−N(R)−C(=O)−で表わされる基、式−C(=O)−N(R)−で表わされる基、式−N(R)−C(=O)−O−で表わされる基又は式−O−C(=O)−N(R)−で表わされる基を示し(Rは、水素原子、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基又はC−Cアルコキシ基を示す(R及びRが共にC−Cアルキル基の場合、任意の炭素原子同士で結合してもよい。)。)、
Aは、単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基、式−NH−で表わされる基、式−C(=O)−N(R)−で表わされる基又は式−N(R)−C(=O)−で表わされる基を示し(Rは、水素原子又はC−Cアルキル基を示す。)、
Eは、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至4個置換されていてもよいフェニレン基又は置換基群Aから選択される基で独立に1若しくは2個置換されていてもよいヘテロアリレン基(ただし、両側のメチレン基とは炭素原子で結合している)を示し(RがC−Cアルキル基の場合、Rの任意の炭素原子はEの任意の炭素原子と結合してもよい。)、
mは、1乃至4の整数を示し、
nは、0乃至4の整数を示し、
pは、0乃至2の整数を示し、
qは、1乃至10の整数を示し、
rは、1又は2を示し、
sは、0又は1を示し、
tは、0又は1を示し、
(但し、Lが、C−C10アルキレン基であり、Aが、式−NH−で表わされる基であり、tが、0である組み合わせを除く。)
置換基群Aは、ハロゲン原子、C−Cアルキル基、C−Cハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロゲン化アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、C−Cアルキルカルボニルオキシ基、C−Cアルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、ニトロ基及びアミノ基からなる群を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩に関する。
【0008】
本発明において、好適には、
(2) (1)において、
一般式(I)が、一般式(II)
【0009】
【化2】


である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0010】
(3) (1)又は(2)において、
が、水素原子又はC−Cアルキル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0011】
(4) (1)又は(2)において、
が、メチル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0012】
(5) (1)乃至(4)から選択されるいずれか一項において、
が、C−Cアルキル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0013】
(6) (1)乃至(4)から選択されるいずれか一項において、
が、メチル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0014】
(7) (1)乃至(6)から選択されるいずれか一項において、
が、C−C10アルキレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0015】
(8) (1)乃至(6)から選択されるいずれか一項において、
が、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0016】
(9) (1)乃至(8)から選択されるいずれか一項において、
Aが、単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基又は式−C(=O)−NH−で表わされる基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0017】
(10) (1)乃至(9)から選択されるいずれか一項において、
Eが、1,4−フェニレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0018】
(11) (1)乃至(10)から選択されるいずれか一項において、
qが、2又は3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0019】
(12) (1)乃至(10)から選択されるいずれか一項において、
qが、3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0020】
(13) (1)において、
一般式(I)が、一般式(II)であり、Rが水素原子又はC−Cアルキル基であり、RがC−Cアルキル基であり、LがC−C10アルキレン基であり、Aが単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基又は式−C(=O)−NH−で表わされる基であり、Eが1,4−フェニレン基であり、qが2又は3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0021】
(14) (1)において、
一般式(I)が、一般式(II)であり、Rが、メチル基であり、Rが、メチル基であり、Lがテトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基であり、Aが単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基又は式−C(=O)−NH−で表わされる基であり、Eが1,4−フェニレン基であり、qが3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0022】
(15) 1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−インオイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[{6−[(4−{2−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)アミノ]−1,1−ジメチル−2−オキソエチル}フェニル)アミノ]ヘキサノイル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−(2−{[6−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−(2−{[4−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−(2−{[4−({3−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、又は、
N−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニル−N−(2−{4−[(ビフェニル2−イルカルバモイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}エチル)−N−メチルグリシナミド
である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0023】
(16) 上記(15)に記載してある化合物又はその薬理上許容される塩のうちの化合物。
【0024】
(17) 1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−インオイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、又は、
1−(2−{[6−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
である化合物又はその薬理上許容される塩。
【0025】
(18) 上記(17)に記載してある化合物又はその薬理上許容される塩のうちの化合物。
【0026】
(19) (1)乃至(18)から選択されるいずれか一項に記載の化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【0027】
(20) 医薬組成物が、気管支拡張作用及び抗炎症作用を有する(19)に記載された医薬組成物。
【0028】
(21) 医薬組成物が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0029】
(22) 医薬組成物が、呼吸器疾患、アレルギー疾患及び/又は神経系疾患の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0030】
(23) 医薬組成物が、呼吸器疾患及び/又は神経系疾患の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0031】
(24) 医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、 角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0032】
(25) 医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、過敏性腸症候群及び/又は前立腺肥大の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0033】
(26) 医薬組成物が、気管支喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療及び/又は予防のための(19)に記載された医薬組成物。
【0034】
(27) 医薬組成物が、経肺投与及び/又は点鼻投与するための、(22)乃至(26)から選択されるいずれか一項に記載された医薬組成物。
【0035】
(28) 医薬組成物を製造するための、(1)乃至(18)から選択されるいずれか一項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【0036】
(29) 医薬組成物が、気管支拡張作用及び抗炎症作用を有するための医薬組成物である(28)に記載の使用。
【0037】
(30) 医薬組成物が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0038】
(31) 医薬組成物が、呼吸器疾患、アレルギー疾患及び/又は神経系疾患の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0039】
(32) 医薬組成物が、呼吸器疾患及び/又は神経系疾患の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0040】
(33) 医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0041】
(34) 医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、過敏性腸症候群及び/又は前立腺肥大の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0042】
(35) 医薬組成物が、気管支喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療及び/又は予防のための組成物である(28)に記載の使用。
【0043】
(36) 医薬組成物が、経肺投与及び/又は点鼻投与するための医薬組成物である、(31)乃至(35)から選択されるいずれか一項に記載された使用。
【0044】
(37) (1)乃至(18)から選択されるいずれか一項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の薬理的な有効量を温血動物に投与する疾病の治療及び/又は予防方法。
【0045】
(38) 疾病が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患である(37)に記載の方法。
【0046】
(39) 疾病が、呼吸器疾患、アレルギー疾患及び/又は神経系疾患である(37)に記載の方法。
【0047】
(40) 疾病が、呼吸器疾患及び/又は神経系疾患である(37)に記載の方法。
【0048】
(41) 疾病が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍である(37)に記載の方法。
【0049】
(42) 疾病が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、過敏性腸症候群及び/又は前立腺肥大である(37)に記載の方法。
【0050】
(43) 疾病が、気管支喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患である(37)に記載の方法。
【0051】
(44) 一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩を経肺投与及び/又は点鼻投与することを特徴とする、請求項(39)乃至(43)から選択されるいずれか一項に記載された方法、
及び、
(45) 温血動物がヒトである請求項(37)乃至(44)から選択されるいずれか一項に記載の方法
を挙げることができる。
【0052】
本発明において、「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又は沃素原子である。好適には、フッ素原子又は塩素原子であり、より好適には、フッ素原子である。
【0053】
本発明において、「C−Cアルキル基」は、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルキル基である。例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、3,3−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、1,1−ジメチルブチル又は1,2−ジメチルブチル基であり、好適には、炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルキル基(C1−Cアルキル基)であり、より好適には、メチル基又はエチル基(C1−Cアルキル基)であり、更により好適には、メチル基である。
【0054】
本発明において、「C−Cハロゲン化アルキル基」は、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C−Cアルキル基」に結合した基である。例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロメチル、ジクロロメチル、ジブロモメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−ブロモエチル、2−クロロエチル又は2−フルオロエチル基であり、好適には、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C1−Cアルキル基」に結合した基(C−Cハロゲン化アルキル基)であり、より好適には、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C1−Cアルキル基」に結合した基(C−Cハロゲン化アルキル基)であり、更により好適には、トリフルオロメチル基又はフルオロメチル基である。
【0055】
本発明において、「C−Cアルコキシ基」は、前記「C−Cアルキル基」が酸素原子に結合した基であり、炭素数1乃至6個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基である。例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、2−メチルブトキシ、3−エチルプロポキシ、ネオペントキシ、ヘキシルオキシ又は2,3−ジメチルブトキシ基であり、好適には、炭素数1乃至4個の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基(C−Cアルコキシ基)であり、より好適には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基又はイソプロポキシ基(C1−Cアルコキシ基)であり、更により好適には、メトキシ基又はエトキシ基(C1−Cアルコキシ基)であり、特に好適には、メトキシ基である。
【0056】
本発明において、「C−Cハロゲン化アルコキシ基」は、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C−Cアルコキシ基」に結合した基である。例えば、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジクロロメトキシ、ジブロモメトキシ、フルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、2−クロロエトキシ、2−フルオロエトキシ又はペンタフルオロエトキシ基であり、好適には、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C−Cアルコキシ基」に結合した基(C−Cハロゲン化アルコキシ基)であり、より好適には、同一又は異なる1乃至5個の前記「ハロゲン原子」が前記「C1−Cアルコキシ基」に結合した基(C−Cハロゲン化アルコキシ基)であり、更により好適には、トリフルオロメトキシ基である。
【0057】
本発明において、「C−Cアルキルカルボニルオキシ基」は、1個の前記「C−Cアルキル基」が結合したカルボニル基が酸素原子に結合した基である。例えば、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ピバロイルオキシ、バレリルオキシ又はイソバレリルオキシ基であり、好適には、1個の前記「C−Cアルキル基」が結合したカルボニル基が酸素原子に結合した基(C−Cアルキルカルボニルオキシ基)であり、より好適には、アセトキシ又はプロピオニルオキシ基(C−Cアルキルカルボニルオキシ基)であり、更により好適には、アセトキシ基である。
【0058】
本発明において、「C−Cアルコキシカルボニル基」は、前記「C−Cアルコキシ基」がカルボニル基に結合した基である。例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル又はt−ブトキシカルボニル基であり、好適には、前記「C1−C4アルコキシ基」がカルボニル基に結合した基(C−Cアルコキシカルボニル基)であり、より好適には、メトキシカルボニル基又はエトキシカルボニル基(C−Cアルコキシカルボニル基)である。
【0059】
本発明において、「C−Cアルコキシカルボニルオキシ基」は、1個の前記「C−Cアルコキシ基」が結合したカルボニル基が酸素原子に結合した基である。例えば、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、イソプロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ、s−ブトキシカルボニルオキシ又はt−ブトキシカルボニルオキシ基であり、好適には、1個の前記「C−Cアルコキシ基」が結合したカルボニル基が酸素原子に結合した基(C−Cアルコキシカルボニルオキシ基)であり、より好適には、メトキシカルボニルオキシ又はエトキシカルボニルオキシ基(C−Cアルコキシカルボニルオキシ基)であり、更により好適には、メトキシカルボニルオキシ基である。
【0060】
本発明において、「C−Cシクロアルキル基」は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基である。好適には、シクロプロピル基である。
【0061】
本発明において、「複素環基」は、硫黄原子、酸素原子又は/及び窒素原子を1乃至3個含み、更に1又は2個の窒素原子を含有してよく、当該硫黄原子は2個の酸素原子が結合してよい4乃至7員複素環基である。例えば、フリル、チエニル、ピロリル、アゼピニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル若しくはピラジニル基のような「芳香族複素環基」、又は、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、ジオキソラニル、ジオキサニル若しくは5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン基のような「部分若しくは完全還元型の飽和複素環基」であり、上記複素環基は、ベンゼン環のような他の環式基と縮環していてもよく(「縮合二環式複素環基」)、例えば、ベンゾチエニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソベンゾフラニル、1,3−ジヒドロイソベンゾフラニル、キノリル、1,3−ベンゾジオキソラニル、1,4−ベンゾジオキサニル、インドリル、イソインドリル若しくはインドリニル基であり、好適には、ピリジル基又はピリミジニル基である。
【0062】
本発明において、「置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基」は、フェニル基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されているフェニル基である。好適には、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基であり、Rにおいては、より好適には、4−フルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基又は3−ブロモ−4−フルオロフェニル基であり、更により好適には、4−フルオロフェニル基であり、Rにおいては、より好適には、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基又は3,4,5−トリメトキシフェニル基であり、更により好適には、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である。
【0063】
本発明において、「置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよい複素環基」は、前記「複素環基」又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されている前記「複素環基」である。好適には、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよいピリジル基又はピリミジニル基である。
【0064】
本発明において、「C−C10アルキレン基」は、炭素数1乃至10個の直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素から水素2原子を取去ってできる2価の基である。例えば、メチレン、メチルメチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、3−メチルトリメチレン、ペンタメチレン又はヘキサメチレン基であり、好適には、炭素数1乃至8個の直鎖又は分枝鎖飽和炭化水素から水素2原子を取去ってできる2価の基(C−Cアルキレン基)であり、より好適には、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基であり、更により好適には、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基である。
【0065】
本発明において、「式−N(R)−で表わされる基」は、「式RNHで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、アミノ基、メチルアミノ基又はエチルアミノ基である。
【0066】
本発明において、「式−N(R)−C(=O)−で表わされる基」は、「式H−N(R)−C(=O)−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、アミノカルボニル基又はメチルアミノカルボニル基であり、より好適には、メチルアミノカルボニル基である。
【0067】
本発明において、「式−C(=O)−N(R)−で表わされる基」は、「式H−C(=O)−N(R)−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、カルボニルアミノ基又はカルボニルメチルアミノ基であり、より好適には、カルボニルメチルアミノ基である。
【0068】
本発明において、「式−N(R)−C(=O)−O−で表わされる基」は、「式H−N(R)−C(=O)−O−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、メチルアミノカルボニルオキシ基である。
【0069】
本発明において、「式−O−C(=O)−N(R)−で表わされる基」は、「式H−O−C(=O)−N(R)−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、オキシカルボニルメチルアミノ基である。
【0070】
本発明において、「式−N(R)−C(=O)−で表わされる基」は、「式H−N(R)−C(=O)−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、アミノカルボニル基である。
【0071】
本発明において、「式−C(=O)−N(R)−で表わされる基」は、「式H−C(=O)−N(R)−Hで表わされる化合物」から水素2原子を取去ってできる2価の基である。好適には、カルボニルアミノ基である。
【0072】
本発明において、「フェニレン基」は、ベンゼンから水素2原子を取去ってできる2価の基であり、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基である。好適には、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基であり、より好適には、1,4−フェニレン基である。
【0073】
本発明において、「ヘテロアリレン基」は、前記「複素環基」の「複素環」(ただし、炭素原子を2個以上含む。)の異なる2個の炭素原子からそれぞれ水素1原子を取去ってできる2価の基である。好適には、チエニレン基、チアゾリレン基、ピリジレン基、ピリミジニレン基、ピリダジニレン基又はベンゾチアゾリレン基であり、より好適には、チエニレン基、チアゾリレン基、ピリジレン基、ピリミジニレン基又はベンゾチアゾリレン基である。
【0074】
本発明において、「置換基群Aから選択される基で独立に1乃至4個置換されていてもよいフェニレン基」は、フェニレン基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至4個置換されているフェニレン基である。好適には、フェニレン基又はハロゲン原子及びC−Cアルキル基から選択される基で独立に1又は2個置換されているフェニレン基であり、より好適には、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基であり、更により好適には、1,4−フェニレン基である。
【0075】
本発明において、「置換基群Aから選択される基で独立に1若しくは2個置換されていてもよいヘテロアリレン基」は、ヘテロアリレン基又は置換基群Aから選択される基で独立に1若しくは2個置換されているヘテロアリレン基である。好適には、チエニレン基、チアゾリレン基、ピリジレン基、ピリミジニレン基、ベンゾチアゾリレン基又はハロゲン原子及びC−Cアルキル基から選択される基で1個置換されているチエニレン基、チアゾリレン基、ピリジレン基、ピリミジニレン基若しくはベンゾチアゾリレン基であり、より好適には、2,5−チエニレン基である。
【0076】
本発明において、「sが1を示す」場合は、Lは、フェニル基の2位、3位又は4位に結合するが、好適には、3位又は4位に結合する。
【0077】
本発明において、好適なRは、水素原子又はC−Cアルキル基であり、より好適なRは、メチル基である。
【0078】
本発明において、好適なRは、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基であり、より好適なRは、4−フルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基又は3−ブロモ−4−フルオロフェニル基であり、更により好適なRは、4−フルオロフェニル基である。
【0079】
本発明において、好適なRは、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基であり、より好適なRは、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基又は3,4,5−トリメトキシフェニル基であり、更により好適なRは、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基である。
【0080】
本発明において、好適なRは、C−Cアルキル基であり、より好適なRは、メチル基である。
本発明において、好適なRは、水素原子である。
本発明において、好適なLは、C−C10アルキレン基であり、より好適なLは、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基である。
本発明において、好適なLは、式−C(=O)−N(CH)−で表わされる基である。
本発明において、好適なAは、単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基又は式−C(=O)−NH−で表わされる基である。
本発明において、好適なEは、1,4−フェニレン基である。
本発明において、好適なmは、2である。
本発明において、好適なnは、0である。
本発明において、好適なpは、0である。
本発明において、好適なqは、2又は3であり、より好適なqは、3である。
本発明において、好適なrは、1である。
本発明において、好適なsは、0である。
本発明において、好適なtは、0である。
本発明において、好適な一般式(I)は、一般式(II)である。
【0081】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、全ての異性体(ケト−エノール異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、回転異性体等)を有する。
【0082】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、その分子内に不斉炭素原子が存在するので、種々の異性体を有する。本発明の化合物においては、これらの異性体およびこれらの異性体の混合物がすべて単一の式、即ち一般式(I)で示されている。従って、本発明はこれらの異性体およびこれらの異性体の任意の割合の混合物をもすべて含むものである。
【0083】
上記のような立体異性体は、光学活性な原料化合物を用いるか、又は不斉合成若しくは不斉誘導の手法を用いて本発明に係る化合物を合成するか、或いは合成した本発明に係る化合物を所望により通常の光学分割法又は分離法を用いて単離することにより得ることができる。
【0084】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、このような化合物を構成する原子の1以上に、原子同位体の非天然割合も含有し得る。原子同位体としては、例えば、重水素(H)、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)又は炭素−14(14C)などが挙げられる。また、前記化合物は、例えば、トリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)又は炭素−14(14C)などの放射性同位体で放射性標識され得る。放射性標識された化合物は、治療又は予防剤、研究試薬、例えば、アッセイ試薬、及び診断剤、例えば、インビボ画像診断剤として有用である。本発明の化合物の全ての同位体変異種は、放射性であると否とを問わず、本発明の範囲に包含されるものとする。
【0085】
「その薬理上許容される塩」とは、著しい毒性を有さず、医薬として使用され得る塩をいう。本発明の一般式(I)で表わされる化合物は、アミノ基のような塩基性の基を有する場合には酸と反応させることにより、又、カルボキシル基のような酸性基を有する場合には塩基と反応させることにより、塩にすることができる。
【0086】
塩基性基に基づく塩としては、例えば、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、燐酸塩等の無機酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなC−Cアルキルスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなアリ−ルスルホン酸塩、酢酸塩、りんご酸塩、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩等の有機酸塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
【0087】
一方、酸性基に基づく塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩等の金属塩;アンモニウム塩のような無機塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジルフェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のような有機塩等のアミン塩;及び、グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩を挙げることができる。
【0088】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、大気中に放置したり、又は、再結晶をすることにより、水分子を取り込んで、水和物となる場合があり、そのような水和物も本発明の塩に包含される。
【0089】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、他のある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があり、そのような溶媒和物も本発明の塩に包含される。
【0090】
サブスタンスPの受容体は、ニューロキニンNK受容体である。
【発明の効果】
【0091】
本発明の一般式(I)で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩は、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体に対して拮抗作用を示すので、医薬として有用であり、特に、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍の予防剤若しくは治療剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、以下に記載するA法乃至C法に従って製造することができる。
【0093】
本発明の一般式(I)で表される化合物は、一般式(III)で表される化合物乃至一般式(XXXIII)で表される化合物から選択される複数の化合物を順番に結合させて合成することができる。ただし、結合させる順番は任意であり、どの順番に結合させてもよい。また、アミノ基、ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基は、必要に応じて保護基を使用し、保護してもよい。保護・脱保護が必要な工程は、既知の方法(例えば、”Protective Groups in Organic Synthesis” (Theodora W. Greene、Peter G. M.Wuts著、 1999年、Wiley-IntersciencePublication発行)等に記載の方法)に準じて行われる。
【0094】
一般式(III)で表される化合物乃至一般式(XXXIII)で表される化合物は、公知化合物であるか、或いは公知化合物を出発原料に公知の方法又はそれに類似した方法に従って容易に製造される。例えば、一般式(III)で表される化合物は、US2005/203131号公報に従って製造される。
【0095】
【化3】

【0096】
、R、R、R、R、L、m、n、p、q、s及びtは、前述したものと同意義を示し、L11及びL12は、C−Cアルキレン基を示し、Xは、脱離基を示す。
【0097】
Xの定義における「脱離基」とは、通常、求核残基として脱離する基である。例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子のようなハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシのような低級アルカンスルホニルオキシ基;トリフルオロメタンスルホニルオキシ、ペンタフルオロエタンスルホニルオキシのようなハロゲノ低級アルカンスルホニルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ、p−ニトロベンゼンスルホニルオキシのようなアリ−ルスルホニルオキシ基であり、好適には、ハロゲン原子であり、より好適には、臭素原子又はヨウ素原子である。
【0098】
下記A法乃至C法で、一般式(III)で表される化合物乃至一般式(XXXIII)で表される化合物の結合部位の結合方法を示す。
【0099】
下記A法乃至C法の各工程の反応において使用される溶媒は、反応を阻害せず、出発原料をある程度溶解するものであれば特に限定はなく、例えば、下記溶媒群より選択される。溶媒群は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテル、リグロイン、シクロヘキサンのような炭化水素類;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサメチルリン酸トリアミドのようなアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;メタノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、t-ブタノール、イソアミルアルコール、ジエチレングリコール、グリセリン、オクタノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブのようなアルコール類;ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類;スルホランのようなスルホン類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸ジエチルのようなエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、4-メチル-2-ペンタノン、メチルイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンのようなケトン類;ニトロエタン、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物類;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素のようなハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;酢酸、蟻酸、プロピオン酸、ブチリル酸、トリフルオロ酢酸のようなカルボン酸類;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、2,6−ルチジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−ジメチルアミノピリジン、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、ピペリジンのようなアミン類;水;及び、これらの混合溶媒からなる。
【0100】
下記A法乃至C法の各工程の反応において使用される塩基は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩類;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムのようなアルカリ金属炭酸水素塩類;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウムのようなアルカリ金属酢酸塩類;水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムのようなアルカリ金属水素化物類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属水酸化物類;弗化ナトリウム、弗化カリウムのようなアルカリ金属弗化物類等の無機塩基類;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム−t−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、リチウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド類;ナトリウムトリメチルシロキシド、カリウムトリメチルシロキシド、リチウムトリメチルシロキシドのようなアルカリ金属トリアルキルシロキシド類;ナトリウムチオメトキシド、ナトリウムチオエトキシドのようなメルカプタンアルカリ金属類;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ピリジン、2,6−ルチジン、4−ピロリジノピリジン、ピコリン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルピリジン、キノリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)のような有機塩基類;n−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミドのような有機金属塩基類;又は、プロリンのようなアミノ酸である。
【0101】
下記A法乃至C法の各工程の反応において使用される縮合剤は、例えば、アゾジカルボン酸ジエチルエステル−トリフェニルホスフィンのようなアゾジカルボン酸ジ低級アルキルエステル−トリフェニルホスフィン類;N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI)のようなカルボジイミド誘導体;2−クロル−1−メチルピリジニウムヨージドのような2−ハロ−1−低級アルキルピリジニウムハライド類;ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)のようなジアリールホスホリルアジド類;ジエチルホスホリルクロリドのようなホスホリルクロリド類;N,N’−カルボジイミダゾール(CDI)のようなイミダゾール誘導体;O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、(1H−ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)のようなベンゾトリアゾール誘導体である。
【0102】
下記A法乃至C法の各工程の反応において縮合剤が使用される場合、必要に応じて脱水縮合を促進、または副反応を抑制するための添加剤を加えても良い。使用される添加剤としては、一般的に知られているものであれば特に限定はないが、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシ−3,4−ジヒドロ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HOOBt)、DMAPである。
【0103】
下記A法乃至C法の各工程の反応において、反応温度は、溶媒、出発原料、試薬等により異なり、反応時間は、溶媒、出発原料、試薬、反応温度等により異なる。
【0104】
下記A法乃至C法の各工程の反応において、反応終了後、各目的化合物は常法に従って、反応混合物から採取される。例えば、反応混合物を適宜中和し、又、不溶物が存在する場合には濾過により除去した後、水と酢酸エチルのような混和しない有機溶媒を加え、目的化合物を含む有機層を分離し、水等で洗浄後、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等で乾燥、ろ過後、溶剤を留去することによって得られる。得られた目的化合物は必要に応じて、常法、例えば再結晶、再沈殿、蒸留又は通常の有機化合物の分離精製に慣用されている方法(例えば、シリカゲル、アルミナ、マグネシウムーシリカゲル系のフロリジルのような担体を用いた吸着カラムクロマトグラフィー、セファデックスLH−20(ファルマシア社製)、アンバーライトXAD−11(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンHP−20(三菱化学社製)のような担体を用いた分配カラムクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー又はシリカゲル若しくはアルキル化シリカゲルによる順相・逆相カラムクロマトグラフィー、好適には、各種高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)である。)によって分離、精製することができる。また、各工程の目的化合物は精製することなくそのまま次の反応に使用することもできる。
【0105】
A法は、アミノ基で表される化合物のアミノ基とカルボキシル基で表される化合物のカルボキシル基を結合させる方法であり、(i)、(ii)又は(iii)の工程がある。
【0106】
A法により、例えば、一般式(III)で表される化合物のアミノ基と一般式(IV)で表される化合物のカルボキシル基、一般式(XXVII)で表される化合物のアミノ基と一般式(XVIII)で表される化合物のカルボキシル基、一般式(XXI)で表される化合物のアミノ基と化合物(XXXII)のカルボキシル基等を結合させる。
【0107】
(i)本工程は、溶媒中、ハロゲン化剤あるいは酸無水物化剤等を用いて、カルボキシル基で表される化合物を酸ハロゲン化物あるいは混合酸無水物等に変換、活性化の後、塩基の存在下又は非存在下、アミノ基で表される化合物と反応させることによって行なわれる。
【0108】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ハロゲン化炭化水素類であり、より好適には、ジクロロメタンである。
【0109】
本工程において使用されるハロゲン化剤あるいは酸無水物化剤等は、例えば、塩化チオニル、塩化オキサリルのような酸ハロゲン化剤;三塩化リン、五塩化リンのようなリン酸塩化物類;クロロ蟻酸エチル、クロロ蟻酸イソブチルのようなクロロ蟻酸エステル類;塩化アセチル、塩化ピバロイルのような酸ハロゲン化物;無水酢酸、トリフルオロ酢酸無水物のような酸無水物;ジクロロトリフェニルホスホラン、ジブロモトリフェニルホスホランのようなホスホラン類であり、好適には、塩化オキサリル、クロロ蟻酸イソブチル、塩化ピバロイル、トリフルオロ酢酸無水物であり、より好適には、塩化ピバロイルである。
【0110】
本工程において使用される塩基は、好適には、有機塩基類であり、より好適には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン又はピリジンであり、更により好適には、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンである。
【0111】
本工程における反応温度は、通常、−10℃乃至60℃で行われ、好適には、0℃乃至30℃である。
【0112】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至24時間であり、好適には、1時間乃至12時間である。
【0113】
(ii)本工程は、溶媒中、縮合剤の存在下、塩基の存在下又は非存在下、添加剤の存在下又は非存在下、カルボキシル基で表される化合物とアミノ基で表される化合物を反応させることにより行なわれる。
【0114】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類、アミド類又はそれらの混合溶媒であり、より好適には、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド又はそれらの混合溶媒である。
【0115】
本工程において使用される縮合剤は、好適には、DCC、EDCI、CDI、HATU又はPyBOPであり、より好適には、EDCIである。
【0116】
本工程において使用される塩基は、好適には、有機塩基類であり、より好適には、トリエチルアミンである。
【0117】
本工程において使用される添加剤は、好適には、DMAPである。
【0118】
本工程における反応温度は、通常、−20℃乃至100℃で行われ、好適には、0℃乃至80℃、より好適には20℃乃至50℃である。
【0119】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至48時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。
【0120】
(iii)本工程は、溶媒中、縮合剤の存在下、塩基の存在下又は非存在下、カルボキシル基で表される化合物とアミノ基で表される化合物を反応させることにより行なわれる。
【0121】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ハロゲン化炭化水素類であり、より好適には、ジクロロメタンである。
【0122】
本工程において使用される縮合剤は、好適には、塩化ピバロイル、クロロ蟻酸イソブチル又はEDCIであり、より好適には、塩化ピバロイル又はEDCIである。
【0123】
本工程において使用される塩基は、好適には、有機塩基類であり、より好適には、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンであり、更により好適には、トリエチルアミンである。
【0124】
本工程における反応温度は、通常、−10℃乃至60℃で行われ、好適には、0℃乃至30℃である。
【0125】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至24時間であり、好適には、1時間乃至6時間である。
【0126】
B法は、脱離基で表される化合物の脱離基を脱離させることで、アミノ基で表される化合物のアミノ基を脱離基の隣位の炭素原子に結合させる方法であり、(i)又は(ii)の工程がある。
【0127】
B法により、例えば、一般式(IV)で表される化合物の脱離基の隣位の炭素原子と一般式(IX)で表される化合物のアミノ基、一般式(X)で表される化合物の脱離基の隣位の炭素原子と一般式(VI)で表される化合物のアミノ基、一般式(XXXIII)で表される化合物の脱離基の隣位の炭素原子と化合物(XXXII)のアミノ基等を結合させる。
【0128】
(i)本工程は、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、アミノ基で表される化合物と脱離基で表される化合物を反応させることにより行なわれる。
【0129】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ニトリル類又はアミド類であり、より好適には、アセトニトリル、イソブチルニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又はヘキサメチルリン酸トリアミドであり、更により好適には、N,N−ジメチルホルムアミド又はヘキサメチルリン酸トリアミドである。
【0130】
本工程において使用される塩基は、好適には、有機塩基類であり、より好適には、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンであり、更により好適には、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0131】
本工程における反応温度は、通常、0℃乃至150℃であり、好適には、50℃乃至100℃である。
【0132】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至48時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。
【0133】
(ii)本工程は、溶媒中、塩基の存在下又は非存在下、アミノ基で表される化合物と脱離基で表される化合物を反応させることにより行なわれる。
【0134】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ニトリル類又はアミド類であり、より好適には、アセトニトリル、イソブチルニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド又はヘキサメチルリン酸トリアミドであり、更により好適には、アセトニトリルである。
【0135】
本工程において使用される塩基は、好適には、アルカリ金属炭酸塩類であり、より好適には、炭酸水素ナトリウムである。
【0136】
本工程における反応温度は、通常、−80℃乃至150℃であり、好適には、50℃乃至100℃である。
【0137】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至24時間であり、好適には、1時間乃至8時間である。
【0138】
C法は、水酸基で表される化合物の水酸基を酸化してアルデヒド基に変換した後、そのアルデヒド基とアミノ基で表される化合物のアミノ基を結合させる工程であり、(i)〜(ii)から成る。
【0139】
C法により、例えば、一般式(V)で表される化合物の水酸基の隣位の炭素原子と一般式(XX)で表される化合物のアミノ基、一般式(XIV)で表される化合物の水酸基の隣位の炭素原子と一般式(VI)で表される化合物のアミノ基等を結合させる。
【0140】
(i)本工程は、溶媒中、水酸基で表される化合物を酸化剤と反応させることにより行なわれる。
【0141】
本工程において使用される溶媒は、好適には、ハロゲン化炭化水素類又はエーテル類であり、より好適には、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン又はそれらの混合溶媒であり、更により好適には、ジクロロメタンである。
【0142】
本工程において使用される酸化剤は、通常のアルコールの酸化反応に使用されるものであれば特に限定はなく、例えば、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)のようなクロム酸類;DCC、無水トリフルオロ酢酸、塩化チオニル、塩化オキサリル、塩素、N−クロロスクシンイミド(NCS)、三酸化硫黄−ピリジン錯体のような各種親電子剤とジメチルスルホキシドの組み合わせ;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(TEMPO)のようなオキソアンモニウム類;テトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩(TPAP)、二酸化マンガンのような金属及び金属錯体類;1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3(1H)−オン(デス・マーチン・ペルヨージナン、デス・マーチン試薬)、o−ヨードキシ安息香酸(IBX)、オキソン(TM)(Oxone:2KHSO・KHSO・KSO)のような酸化剤であり、好適には、親電子剤とジメチルスルホキシドの組み合わせ、デス・マーチン試薬又はTEMPOであり、より好適には三酸化硫黄−ピリジン錯体とジメチルスルホキシドの組み合わせである。
【0143】
本工程における反応温度は、通常、−80℃乃至100℃であり、好適には、−10℃乃至30℃である。
【0144】
本工程における反応時間は、通常、10分間乃至6時間であり、好適には、30分間乃至3時間である。
【0145】
(ii)本工程は、溶媒中、前記(i)で得られたアルデヒド化合物を、還元条件下、塩基の存在下又は非存在下、アミノ基で表される化合物と反応させることにより行なわれる。
【0146】
本工程において使用される溶媒は、好適には、アルコ−ル類、カルボン酸類、アルコ−ル類とエーテル類との混合溶媒、アルコ−ル類と水との混合溶媒又はカルボン酸類と水との混合溶媒であり、より好適には、メタノ−ル、エタノ−ル、酢酸、メタノ−ル若しくはエタノ−ルとジエチルエ−テル、テトラヒドロフラン若しくはジオキサンとの混合溶媒、メタノ−ル若しくはエタノ−ルと水との混合溶媒又は酢酸と水との混合溶媒である。
【0147】
本工程において使用される還元条件は、通常、イミン還元に使用される還元条件であれば特に限定はなく、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムのような水素化ホウ素アルカリ金属類を用いる還元;又は、水素や蟻酸アンモニウムなどとパラジウムや白金などの金属触媒を用いる接触還元であり、好適には、水素化ホウ素アルカリ金属類を用いる還元であり、より好適には、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウムを用いる還元である。また、必要に応じて、酢酸、モレキュラーシーブス、ルイス酸などを添加しても良い。
【0148】
本工程において使用される触媒としては、通常、接触還元反応に使用されるものであれば、特に限定はなく、パラジウム炭素、パラジウム黒、ラネ−ニッケル、酸化白金、白金黒、ロジウム−酸化アルミニウム、トリフェニルホスフィン−塩化ロジウム、パラジウム−硫酸バリウムであり、好適には、酸化白金又はパラジウム炭素である。
【0149】
本工程における接触還元の際の圧力は、特に限定はないが、通常1気圧乃至10気圧である。
【0150】
本工程における反応温度は、通常、0℃乃至100℃であり、好適には、20℃乃至70℃である。
【0151】
本工程における反応時間は、通常、5分間乃至48時間であり、好適には、1時間乃至24時間である。
【0152】
一般式(III)で表される化合物乃至一般式(XXXIII)で表される化合物を用いて、A法乃至C法を使用し、本発明の一般式(I)で表される化合物を製造する組合せの例を、(a)乃至(c)に示す。他の組み合わせも同様に示すことができる。
【0153】
(a):(III)−A−(V)−C−(XII)−A−(XXVII)−A−(XXXII)−B−(XXXIII)。
【0154】
上記は、一般式(III)で表される化合物の結合部位と一般式(V)で表される化合物の結合部位はA法を使用して結合させ、一般式(V)で表される化合物の結合部位と一般式(XII)で表される化合物の結合部位はC法を使用して結合させ、一般式(XII)で表される化合物の結合部位と一般式(XXVII)で表される化合物の結合部位はA法を使用して結合させ、一般式(XXVII)で表される化合物の結合部位と一般式(XXXII)で表される化合物の結合部位はA法を使用して結合させて、一般式(XXXII)で表される化合物の結合部位と化合物(XXXIII)で表される化合物の結合部位はB法を使用して結合させて、本発明の一般式(I)で表される化合物を製造することを意味する。以下の(b)又は(c)も同様のことを意味する。
【0155】
(b):(III)−A−(IV)−B−(XII)−A−(XXVII)−A−(XXXII)−B−(XXXIII)。
【0156】
(c):(III)−A−(VI)−B−(XXIX)−A−(XXXI)−A−(XXXII)−B−(XXXIII)。
【0157】
上記において、アミノ基、ヒドロキシ基及びカルボキシル基の保護基とは、加水素分解、加水分解、電気分解、光分解のような化学的方法により開裂し得る保護基をいい、有機合成化学で一般的に用いられる保護基を示す(例えば、T. W. Greeneら,Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, Inc. (1999年)参照)。
【0158】
上記において、ヒドロキシ基の保護基は、有機合成化学の分野で使用されるヒドロキシ基の保護基であれば特に限定はされないが、例えば、ホルミル基;アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、ピバロイル、バレリル、イソバレリルのようなC−Cアルキルカルボニル基、クロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチルのようなハロゲン化アルキルカルボニル基、メトキシアセチルのようなアルコキシアルキルカルボニル基、アクリロイル、プロピオロイル、メタクリロイル、クロトノイル、イソクロトノイル、(E)−2−メチル−2−ブテノイルのような不飽和アルキルカルボニル基等の「アルキルカルボニル基」;ベンゾイル、α−ナフトイル、β−ナフトイルのようなアリールカルボニル基、2−ブロモベンゾイル、4−クロロベンゾイルのようなハロゲン化アリールカルボニル基、2,4,6−トリメチルベンゾイル、4−トルオイルのようなC−Cアルキル化アリ−ルカルボニル基、4−アニソイルのようなC−Cアルコキシ化アリールカルボニル基、4−ニトロベンゾイル、2−ニトロベンゾイルのようなニトロ化アリールカルボニル基、2−(メトキシカルボニル)ベンゾイルのようなC−Cアルコキシカルボニル化アリールカルボニル基、4−フェニルベンゾイルのようなアリール化アリールカルボニル基等の「アリールカルボニル基」;前記「C−Cアルコキシカルボニル基」、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−トリメチルシリルエトキシカルボニルのようなハロゲン又はトリ−(C−Cアルキル)シリル基で置換されたC−Cアルコキシカルボニル基等の「アルコキシカルボニル基」;テトラヒドロピラン−2−イル、3−ブロモテトラヒドロピラン−2−イル、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル、テトラヒドロチオピラン−2−イル、4−メトキシテトラヒドロチオピラン−4−イルのような「テトラヒドロピラニル又はテトラヒドロチオピラニル基」;テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロチオフラン−2−イルのような「テトラヒドロフラニル又はテトラヒドロチオフラニル基」;トリメチルシリル、トリエチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、メチルジイソプロピルシリル、メチルジ−t−ブチルシリル、トリイソプロピルシリルのようなトリ−(C−Cアルキル)シリル基、ジフェニルメチルシリル、ジフェニルブチルシリル、ジフェニルイソプロピルシリル、フェニルジイソプロピルシリルのような(C−Cアルキル)ジアリールシリル又はジ−(C−Cアルキル)アリールシリル基等の「シリル基」;メトキシメチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルのような(C−Cアルコキシ)メチル基、2−メトキシエトキシメチルのような(C−Cアルコキシ)−(C−Cアルコキシ)メチル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルのような(C−Cハロゲン化アルコキシ)メチル等の「アルコキシメチル基」;1−エトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチルのような(C−Cアルコキシ)エチル基、2,2,2−トリクロロエチルのようなハロゲン化エチル基等の「置換エチル基」;ベンジル、α−ナフチルメチル、β−ナフチルメチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、9−アンスリルメチルのような1乃至3個のアリ−ル基で置換されたC−Cアルキル基、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,4,5−トリメチルベンジル、4−メトキシベンジル、4−メトキシフェニルジフェニルメチル、2−ニトロベンジル、4−ニトロベンジル、4−クロロベンジル、4−ブロモベンジル、4−シアノベンジルのようなC−Cアルキル、C−Cアルコキシ、ニトロ、ハロゲン、シアノ基でアリ−ル環が置換された1乃至3個のアリ−ル基で置換されたC−Cアルキル基等の「アラルキル基」;ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニルのような「アルケニルオキシカルボニル基」;ベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニルのような、1又は2個のC−Cアルコキシ又はニトロ基でアリ−ル環が置換されていてもよい「アラルキルオキシカルボニル基」であり、好適には、アルキルカルボニル基、シリル基又はアラルキル基である。
【0159】
上記において、カルボキシル基の保護基は、有機合成化学の分野で使用されるカルボキシル基の保護基であれば特に限定はされないが、例えば、前記「C−Cアルキル基」;エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−メチル−2−プロペニルのような「C−Cアルケニル基」;エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−メチル−2−プロピニルのような「C−Cアルキニル基」;前記「C−Cハロゲン化アルキル基」;ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチルのようなC−Cヒドロキシアルキル基;アセチルメチルのような(C−Cアルキルカルボニル)−(C−Cアルキル基);前記「アラルキル基」;又は前記「シリル基」であり、好適には、C−Cアルキル基又はアラルキル基である。
【0160】
上記において、アミノ基の保護基は、有機合成化学の分野で使用されるアミノ基の保護基であれば特に限定はされないが、例えば、前記「ヒドロキシ基の保護基」における、「アルキルカルボニル基」;「アリールカルボニル基」;「アルコキシカルボニル基」;「シリル基」;「アラルキル基」;「アルケニルオキシカルボニル基」;又は「アラルキルオキシカルボニル基」と同様な基を示すか或いはN,N−ジメチルアミノメチレン、ベンジリデン、4−メトキシベンジリデン、4−ニトロベンジリデン、サリシリデン、5−クロロサリシリデン、ジフェニルメチレン、(5−クロロ−2−ヒドロキシフェニル)フェニルメチレンのような「シッフ塩基を形成する置換されたメチレン基」であり、好適には、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基又はアルコキシカルボニル基であり、より好適には、アルコキシカルボニル基である。
【0161】
本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩の投与形態は、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤又はシロップ剤等による経口投与、或いは、注射剤又は座剤等による非経口投与であり得る。更に、本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩は、粉末、溶液又は懸濁液の形態として経肺投与することもできる。これらのための製剤は賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤などの添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0162】
賦形剤は、例えば、乳糖、白糖、ぶどう糖、マンニット若しくはソルビットのような糖誘導体、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α−デンプン、デキストリン若しくはカルボキシメチルデンプンのような澱粉誘導体、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム若しくは内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体、アラビアゴム、デキストラン、又は、プルラン等の有機系賦形剤;或いは、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム若しくはメタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体、燐酸カルシウムのような燐酸塩、炭酸カルシウムのような炭酸塩、又は、硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤であり得る。
【0163】
滑沢剤は、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;コロイドシリカ;ビーガム若しくはゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DL−ロイシン;脂肪酸ナトリウム塩;ラウリル硫酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸若しくは珪酸水和物のような珪酸類;又は、上記澱粉誘導体であり得る。
【0164】
結合剤は、例えば、ポリビニルピロリドン若しくはマクロゴール、或いは、前記賦形剤と同様の化合物であり得る。
【0165】
崩壊剤は、例えば、前記賦形剤と同様の化合物、又は、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム若しくは架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾されたデンプン・セルロース類であり得る。
【0166】
安定剤は、例えば、メチルパラベン若しくはプロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール若しくはフェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール若しくはクレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;又は、ソルビン酸であり得る。
【0167】
矯味矯臭剤は、通常使用される甘味料、酸味料若しくは香料等であり得る。
【0168】
本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩を経肺投与するための溶液又は懸濁液を製造する場合には、例えば、本発明の化合物を、水又は水と補助溶媒(例えば、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)の混合物に溶解若しくは懸濁させることにより製造することができる。そのような溶液又は懸濁液は、更に、防腐剤(例えば、塩化ベンザルコニウム)、可溶化剤(例えば、Tween 80若しくはSpan 80のようなポリソルベート、又は塩化ベンザルコニウムのような表面活性剤)、緩衝剤、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム)、吸収促進剤及び/又は増粘剤を含有していてもよい。また、懸濁液は、懸濁化剤(例えば、微結晶質セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)を更に含有していてもよい。
【0169】
上記のように製造した経肺投与するための組成物は、吸入剤の分野で一般的な手段(例えばスポイト、ピペット、カニューレ又は噴霧器を用いて)により鼻腔又は口腔に直接投与される。噴霧器を用いる場合は、本発明の化合物を、適当な噴射剤(例えば、ジクロロフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンのようなクロロフルオロカーボン、又は二酸化炭素等のガス等)と共に加圧パックの形にされたエアロゾールとして噴霧するか、ネブライザーを用いて投与することができる。
【0170】
本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩の使用量は患者(温血動物、特に人間)の症状、年齢等により異なるが、例えば経口投与の場合には、成人に対して1日あたり、下限として0.1mg(好ましくは、1mg、更に好ましくは、5mg)、上限として、1000mg(好ましくは、100mg、更に好ましくは、50mg)を1回または数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。静脈内投与の場合には、成人に対して1日当たり、下限として0.01mg(好ましくは0.1mg)、上限として、100mg(好ましくは10mg)を1回または数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
【0171】
また、本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩を経肺投与する場合の使用量は患者(温血動物、特に人間)の症状、年齢等により異なるが、例えば、成人に対して1日あたり、下限として0.1μg/kg(好ましくは0.5μg/kg)、上限として、10000μg/kg(好ましくは1000μg/kg)を1回または数回に分けて、症状に応じて投与することが望ましい。
【実施例】
【0172】
以下、実施例および試験例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0173】
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出はTLC(Thin Layer Chromatography,薄層クロマトグラフィー)による観察下に行われた。TLC観察においては、TLCプレートとしてメルク(Merck)社製のシリカゲル60F254、もしくは富士シリシア社製のTLC plates NHを、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラム用シリカゲルは同じくキシダ化学社製のシリカゲルSK−85(230〜400メッシュ)、SK−34(70〜230メッシュ)、関東化学社製のシリカゲル60N(40〜50μm)、富士シリシア社製のChromatorex NH DM1020(100〜200メッシュ)、DM2035SG(200〜350メッシュ)もしくは富士シリシア化学社製のシリカゲルFL100Bを用いた。通常のカラムクロマトグラフィーの他に、山善社の自動クロマトグラフィー装置(YFLC−prep4)とディスポーザブルカラム(モリテックス社、山善社、和光純薬社)を適宜使用した。プレパラティブTLCによる精製にはメルク社製のシリカゲル60F254、0.5mm厚、プレート20×20cmを用いた。尚、実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
mg:ミリグラム、g:グラム、mL:ミリリットル、MHz:メガヘルツ、HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N´,N´−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスファート、WSCI・HCl:1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、HOBT・HO:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物。
【0174】
以下の実施例において、核磁気共鳴(以下、1H NMR)スペクトルは、テトラメチルシランを標準物質として、ケミカルシフト値をδ値(ppm)にて記載した。分裂パターンは一重線をs、二重線をd、三重線をt、四重線をq、ブロードをbrで示した。
【0175】
質量分析(以下、MS)は、FAB(Fast Atom Bombardment) 法、EI(Electron Ionization)法、APCI(Atmospheric Pressure Chemical Ionization)もしくはESI(Electron Spray Ionization)法で行った。
【0176】
[実施例1]
1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0177】
【化4】

【0178】
[実施例1a](5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン
得られた粗製物(139.43g)、トリエチルアミン(69mL,0.495mol)、4−(ジメチルアミノ)ピリジン(5.02g、0.041mol)のジクロロメタン(1000mL)溶液に、氷冷下、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイルクロリド(100g、0.434mol)を滴下し、室温で18時間攪拌した。反応混合物を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10% 酢酸エチル/n−ヘキサン)で精製し、標記目的化合物131.76g(収率62%)を淡黄色油状物として得た。
【0179】
[実施例1b]2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エタノール
実施例1aで得た化合物(131.76g,0.254mol)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液にテトラブチルアンモニウムフロリドのテトラヒドロフラン溶液(1.0M,508mL)と酢酸(70mL,1.27mol)を加え、室温で2時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル(1000mL)を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30% 酢酸エチル/n−ヘキサン→50%)で精製して、標記目的化合物102.11g(収率99%)を無色油状物として得た。
【0180】
[実施例1c]2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル メタンスルホネート
実施例1bで得た化合物(102.11g、0.226mol)、トリエチルアミン(63mL,0.452mol),4−(ジメチルアミノ)ピリジン(2.76g、0.0273mol)のジクロロメタン(1000mL)溶液に氷冷下で塩化メタンスルホニル(26mL、0.336mol)を滴下し、氷冷下で1時間攪拌した。反応混合物を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30% 酢酸エチル/n−ヘキサン→50%)で精製して、標記目的化合物108.21g(収率90%)を白色固体として得た。
1H NMR(CDCl3, 400MHz): δ2.30-2.50(2H, m), 2.91(3H, brs), 3.80-4.21(3H, m), 4.25-4.35(1H, m), 4.90-5.10(1H, m), 5.20-5.40(1H, m), 7.11(2H, brs), 7.20-7.47(2H, m), 7.91(2H, s), 8.00(1H, s);
MS(FAB) m/z: 530(M+H)+;
IR(ATR) νmax : 1734, 1646, 1356, 1278, 1171, 1129, 957, 906, 837, 681, 527cm-1
【0181】
[実施例1d]tert−ブチル (2S)−2−(アリルオキシ)−2,3−ジヒドロ−1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ1.45 (9H, s), 1.65-1.75 (2H, m), 2.05-2.12 (1H, m), 2.95-3.25 (4H, m), 3.80-4.20 (5H, m), 5.13-5.31 (2H, m), 5.86-5.98 (1H, m), 7.11-7.25 (4H, m).
MS (FAB+) m/z: 344 ((M+H)+).
IR (liquid film): 2976,2929,1694,1479,1425,1366,1278,1237,1171,1080,759 cm-1.
【0182】
[実施例1e]tert−ブチル (2S)−2−(2−オキソエトキシ)−2,3−ジヒドロ−1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
実施例1dで得た化合物(57.15g)をアセトン(400mL)、t−ブタノール(200mL)および水(200mL)の混合溶媒に溶解し、氷冷下でN−メチルモルホリン N−オキシド(21.2g、181mmol)と四酸化オスミウム(2.5wt%t−ブタノール溶液、8.39g、0.825mmol)を加え、室温で4時間攪拌した。反応液にチオ硫酸ナトリウム水溶液(26g、100mL)を加えた後、10分間攪拌し、有機溶媒を減圧留去した。酢酸エチルを加えて抽出して無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮して粗製のtert−ブチル (2S)−2−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)−2,3−ジヒドロ−1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート 69.58gを淡黄色アモルファスとして得た。
得られた粗製物をテトラヒドロフラン(400mL)と水(400mL)の混合溶媒に溶解し、氷冷攪拌下、過ヨウ素酸ナトリウム(52.87g、247mmol)を少しずつ加えた。添加後、室温で1.5時間攪拌した。反応溶液に水(400mL)を加えて酢酸エチル(300、150、100mL)で抽出し、有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、粗製の標記目的化合物59.52gを無色アモルファスとして得た。
1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ1.50 (9H, s), 1.62-1.85 (2H, m), 2.15-2.24 (1H, m), 2.92-4.25 (10H, m), 7.19-7.26 (4H, m), 9.74 (1H, s).
MS (FAB+) m/z: 346 ((M+H)+).
IR (liquid film): 2976,2931,1686,1479,1428,1367,1239, 1010,756 cm-1.
【0183】
[実施例1f]{[(2S)−1’−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}酢酸
実施例1eで得た粗製物(59.52g)をテトラヒドロフラン(200mL)とt−ブタノール(400mL)の混合溶媒に溶解し、2−メチル−2−ブテン(87.3mL)を加えた。氷冷攪拌下、リン酸二水素ナトリウム二水和物(64.27g、412mmol)水溶液(100mL)および亜塩素酸ナトリウム(44.7g、494mmol)を順次添加し、水冷下で2.5時間攪拌した。反応液を氷冷し、4規定水酸化ナトリウム水溶液(206mL)を滴下した。水(200mL)および酢酸エチル(200mL)を加えたのち、生じている白色沈殿を濾別し、残渣を水(100mL)および酢酸エチル(100mL)で洗浄した。ろ液を氷冷し、4規定塩酸(160mL)を加えて分液抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮し、粗製の標記目的化合物59.58gを淡黄色アモルファスとして得た。得られた粗製物をジエチルエーテルとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶し、標記目的化合物50.64gを白色固体として得た。
1H NMR (CD3OD, 400MHz): δ1.48 (9H, s), 1.52-1.64 (2H, m), 1.68-1.75 (1H, m), 2,12-2.20 (1H, m), 3.00 (1H, dd, J=16.5, 3.0 Hz), 3.15 (1H, dd, J=16.5, 5.4 Hz), 3.20-3.40 (1H, m), 3.41-3.60 (1H, m), 3.86-3.99 (2H, m), 4.15-4.17 (2H, m), 4.32-4.37 (1H, m), 7.10-7.20 (4H, m).
MS (FAB+) m/z: 362 ((M+H)+).
IR (KBr): 2976,2932,1756,1690,1643,1479,1430,1366,1279,1169,1119,759 cm-1
【0184】
[実施例1g]エチル [(2S)−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イルオキシ]アセテート
実施例1fで得た化合物(28.20g、78.0mmol)のエタノール溶液(280mL)に氷冷攪拌下で塩化チオニル(12.3mL、156mol)を滴下し、2時間加熱還流した。放冷後、反応液のエタノールを減圧留去した。得られた黄色油状物に酢酸エチルを加えたのち、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を分離したのち、水層に酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残留物にトルエンを加えて溶解した後、溶媒を減圧留去し、粗製の標記目的化合物32.1gを淡黄色油状物として得た。
MS (FAB+) m/z: 290 ((M+H)+).
【0185】
[実施例1h]エチル {[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセテート
実施例1gで得た粗製物(32.1g)と実施例1cで得た化合物(37.6g、70.9mmol)のアセトニトリル溶液(160mL)に室温攪拌下、炭酸水素ナトリウム(7.15g、85.11mmol)を加え、窒素雰囲気下、14時間攪拌還流した。反応液を室温まで放冷したのち、有機溶媒を減圧留去した。得られた残渣に炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1ー0:1)を用いて精製し、標記目的化合物47.8g(収率93%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 723 ((M+H)+).
【0186】
[実施例1i]{[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}酢酸
実施例1hで得た化合物(34.1g、47.1mmol)のメタノール溶液(340mL)に、氷冷攪拌下、1規定水酸化ナトリウム水溶液(71mL、71mmol)を滴下し、室温で2時間攪拌した。氷冷攪拌下、1規定塩酸(71mL,71mmol)を加えて中和した後、メタノールを減圧留去した。残留物に水を加えた後、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチルに溶解後、セライトろ過した。ろ液を減圧留去し、標記目的化合物32.6g(収率99%)を白色アモルファスとして得た。
1H NMR (CD3OD, 400MHz): δ1.70-2.08(3H, m), 2.25-2.65(3H, m), 2.82-3.03(2H, m), 3.10-3.62(5H, m), 3.85-4.21(5H, m), 4.25-4.40(1H, m), 5.04-5.50(2H, m), 7.05-7.25(6H, m), 7.40-7.62(2H, m), 7.97-8.20(3H, m),
MS (FAB+) m/z: 695 ((M+H)+).
IR (KBr): 2935,1651,1605,1511,1432,1360,1281,1179,1138,907,682 cm-1
【0187】
[実施例1j]tert−ブチル (3−{[(4−ヒドロキシフェニル)カルボニル](メチル)アミノ}プロピル)メチルカーバメート
4−ヒドロキシ安息香酸(400mg、2.9mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、氷冷下、tert−ブチル メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カーバメート(585mg、2.9mmol)、WSCI・HCl(555mg、2.9mmol)およびトリエチルアミン(0.89mL、6.37mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で18時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、更に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール、10:1)を用いて精製、標記化合物(758mg、収率81%)を無色油状物質として得た。
MS (FAB) : m/z 323 ((M + H )+) ; (フリー体)
IR (ATR) νmax : 1605, 1482, 1435, 1395, 1365, 1274, 1230, 1160, 844, 751 cm-1.
【0188】
[実施例1k]エチル 6−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノエート
実施例1jで得た化合物(250mg、0.78mmol)をN、Nージメチルホルムアミド(5mL)に溶解し、6−ブロモヘキサン酸エチル(519mg、2.33mmol)、炭酸カリウム(214mg、1.55mmol)およびヨウ化カリウム(129mg、0.78mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で20時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、更に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1)を用いて精製、標記化合物(329mg、収率91%)を無色油状物質として得た。
MS (FAB): m/z 465 ((M + H )+)(フリー体).
IR (ATR) νmax : 1731, 1691, 1607, 1394, 1366, 1246, 1161, 1032, 841, 752 cm-1.
【0189】
[実施例1l]1−{2−[(6−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例1kで得た化合物(329mg、0.708mmol)のエタノール溶液に1規定水酸化ナトリウム水溶液(1.42mL、1.42mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に1規定塩酸水溶液(1.42mL)を加え、溶剤を減圧留去した。酢酸エチルを加えて抽出したのち、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧留去して粗製の6−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサン酸(176mg、収率58%)を得た。
得られた粗製物(176mg)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(56μL、0.403mmol)、塩化ピバロイル(0.50μL、0.0.403mmol)を加え、窒素雰囲気下、同温にて30分攪拌した。続いて氷冷下、1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(156mg、0.441mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で2.5日間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)を用いて精製し、標記化合物(235mg、収率76%)を白色固体として得た。
【0190】
[実施例1m]1−(2−{メチル[6−(4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カルバモイル}フェノキシ)ヘキサノイル]アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例1lで得た化合物(235mg、0.0.304mmol)のエタノール溶液(1.0mL)に4規定塩酸/ジオキサン溶液(4.00mL、16.0mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。酢酸エチルを加えて希釈し、1規定水酸化ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:0−10:1)を用いて精製し、標記化合物(195mg、収率95%)を得た。
【0191】
[実施例1n]1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例1iで得た化合物(170mg、0.245mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(41μL、0.294mmol)、塩化ピバロイル(30.0μL、0.245mmol)を加え、窒素雰囲気下、同温にて15分攪拌した。続いて氷冷下、実施例1mで得た化合物(195mg、0.290mmol)のジクロロメタン溶液を加え、窒素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、10:1)を用いて精製した後、逆相分取カラムクロマトグラフィー(Xterra Prep MS C18 OBD 5μm 30Φx100mm)(アセトニトリル:0.1%酢酸アンモニウム水溶液、50:50−アセトニトリル)で精製し、標記化合物(207mg、収率63%)を白色固体として得た。
MS (FAB): m/z 1348 ((M + H )+) ; (フリー体)
IR (KBr) νmax: 2933, 1731, 1643, 1513, 1359, 1281, 1175, 1138, 841, 754 cm-1
【0192】
[実施例2]
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0193】
【化5】

【0194】
[実施例2a]tert−ブチル (3−{[(4−ブロモフェニル)カルボニル](メチル)アミノ}プロピル)メチルカーバメート
4−ブロモ安息香酸(250mg、1.24mmol)をジクロロメタン(6mL)に溶解し、氷冷下、tert−ブチル メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カーバメート(251mg、1.24mmol)、WSCI・HCl(238mg、1.24mmol)およびトリエチルアミン(0.38mL、2.74mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で24時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、更に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール、5:1)を用いて精製、標記化合物(330mg、収率69%)を無色油状物質として得た。
MS (FAB) : m/z 385 ((M + H )+) ; (フリー体)
IR (ATR) νmax: 1687, 1631, 1477, 1392, 1364, 1159, 1075, 1011, 835, 754 cm-1.
【0195】
[実施例2b]7−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−イン酸
実施例2aで得た化合物(330mg、0.86mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(6mL)に溶解し、6−ヘプチン酸(358mg、2.57mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム(61mg、90μmol)、トリエチルアミン(1.2mL、8.56mmol)およびヨウ化銅(16mg、90μmol)を加え、窒素雰囲気下、80度で6時間攪拌した。反応終了後、1規定塩酸水溶液を加え、更に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)を用いて精製、標記化合物(356mg、収率97%)を茶色油状物質として得た。
MS (FAB) : m/z 431 ((M + H )+)(フリー体).
【0196】
[実施例2c]1−{2−[(7−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−インオイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例2bで得た化合物(356mg、0.83mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解し氷冷下、トリエチルアミン(0.14mL、0.99mmol)、塩化ピバロイル(0.10mL、0.83mmol)を加え、窒素雰囲気下、同温にて15分攪拌した。続いて氷冷下、1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(321mg、0.91mmol)のジクロロメタン溶液(2mL)を加え、窒素雰囲気下、室温で16時間攪拌した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、更に酢酸エチルを加えて分液した。得られた有機層を分離し、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:9)を用いて精製し、標記化合物(272mg、収率43%)を白色固体として得た。
MS (FAB) : m/z 766 ((M + H )+) ; (フリー体)
IR (ATR) νmax: 1690, 1630, 1518, 1448, 1397, 1205, 1162, 1043, 746, 702 cm-1
【0197】
[実施例2d]1−{2−[(7−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例2cで得た化合物(150mg、0.20mmol)をエタノール(6mL)に溶解し、10%パラジウム/炭素(30mg、20wt%)を加え、水素雰囲気下、室温で4時間攪拌した。反応終了後、反応液をセライトろ過し、ろ物をメタノールで洗浄し、減圧下、溶剤を留去した。残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、5:1)を用いて精製し、標記化合物(113mg、収率75%)を無色油状物質として得た。
MS (FAB) : m/z 770 ((M + H )+) ; (フリー体)
IR (ATR) νmax: 1605, 1482, 1435, 1395, 1365, 1274, 1230, 1160, 844, 751 cm-1.
【0198】
[実施例2e]1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例2dで得た化合物(113mg、0.144mmol)および実施例1iで得た化合物(100mg、0.144mmol)を用いて実施例1mおよび実施例1nに記載した方法に従い、標記目的化合物(109mg、収率56%)を白色固体として得た。
MS (FAB) : m/z 1346 ((M + H )+)(フリー体).
IR (KBr) νmax: 2930, 1733, 1644, 1513, 1359, 1281, 1180, 1139, 1064, 755 cm-1
【0199】
[実施例3]
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−インオイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0200】
【化6】

【0201】
実施例2cで得た化合物(120mg、0.157mmol)および実施例1iで得た化合物(120mg、0.16mmol)を用いて実施例1mおよび実施例1nに記載した方法に従い、標記化合物(102mg、収率56%)を白色固体として得た。
MS (FAB) : m/z 1342 ((M+H)+) (フリー体).
IR (KBr) νmax 2933, 1732, 1643, 1512, 1359, 1281, 1138, 1045, 847, 757 cm-1
【0202】
[実施例4]
1−{2−[{6−[(4−{2−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)アミノ]−1,1−ジメチル−2−オキソエチル}フェニル)アミノ]ヘキサノイル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0203】
【化7】

【0204】
[実施例4a]tert−ブチル メチル(3−{メチル[2−メチル−2−(4−ニトロフェニル)プロパノイル]アミノ}プロピル)カーバメート
2−メチル−2−(4−ニトロフェニル)プロパン酸(200mg,0.956mmol)およびtert−ブチル メチル[2−(メチルアミノ)エチル]カーバメート(193mg,0.956mmol)をジクロロメタン(10mL)に溶解し、WSCI・HCl(220mg,1.15mmol)、及び、4−ジメチルアミノピリジン(6mg,0.0478mmol)を加え、室温にて4.5時間撹拌した。減圧下、溶剤を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)を用いて精製し、標記目的化合物(159mg,収率42%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.44 (6H, s), 1.58 (9H, s), 1.72-1.79 (2H, m), 2.45-2.62 (3H, m), 2.79-2.91 (4H, m), 3.24 (1.5H, brs), 3.34 (1.5H, brs), 7.40 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.22 (2H, d, J = 8.6 Hz).
MS (APCI) m/z: 293 (M+H)+ : (脱Boc体).
【0205】
[実施例4b]tert−ブチル (3−{[2−(4−アミノフェニル)−2−メチルプロパノイル](メチル)アミノ}プロピル)メチルカーバメート
実施例4aで得た化合物(159mg、0.404mmol)のメタノール溶液(4mL)に10%パラジウム−炭素(dry,16mg)加え、系内を水素雰囲気に置換した後、室温にて30分間撹拌した。系内を窒素雰囲気に置換した後、セライトを用いて反応液をろ過した。減圧下、溶剤を留去し、標記化合物(146mg,収率99%)を無色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.44 (9H, s), 1.49 (6H, s), 1.70-1.77 (2H, m), 2.51-2.67 (3H, m), 2.83-2.87 (4H, m), 3.23 (1.7H, brs), 3.31 (1.3H, brs), 3.61 (2H, s), 6.65 (2H, d, J = 8.6 Hz), 6.99 (2H, d, J = 8.6 Hz).
MS (APCI) m/z: 364 (M+H)+.
【0206】
[実施例4c]1−{2−[(6−ヒドロキシヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート
1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(5.00g,14.1mmol)を塩化メチレン(141mL)に溶解し、氷冷下、トリエチルアミン(2.35mL,16.9mmol)及び6−ブロモヘキサノイル クロリド(2.32mL,15.6mmol)を加え、室温にて20分撹拌した。溶剤を減圧留去して得られた残渣に水を加え、酢酸エチル(×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶剤を減圧留去して得られた残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(47mL)に溶解し、酢酸カリウム(2.08g,21.2mmol)及び18−クラウン−6(373mg,1.41mmol)を加え、60℃にて15.5時間攪拌した。反応液にメタノール(47mL)及び炭酸カリウム(5.85g,42.3mmol)を加え、室温にて2時間攪拌した。塩化メチレンで希釈した後、水及び飽和食塩水を加え、塩化メチレン(×3)にて抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶剤を減圧留去して得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0−20:1)を用いて精製し、標記目的化合物(5.93g,収率90%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 468 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2929, 1723, 1627, 1530, 1359, 1282, 1232, 1058, 1045, 746, 707 cm-1
【0207】
[実施例4d]1−{2−[メチル(6−オキソヘキサノイル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート
実施例4cで得た化合物(2.50g,5.35mmol)、ジメチルスルホキシド(3.80mL,53.5mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4.58mL,26.7mmol)を塩化メチレン(54mL)に溶解し、氷冷下、三酸化硫黄・ピリジン錯体(4.17g,26.7mmol)を加え、室温にて1時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチル(×3)で抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶剤を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=30:0−10:1)を用いて精製し、標記目的化合物(2.32g,収率93%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 400MHz): δ 1.66-1.69 (6H, m), 1.90-1.94 (2H, m), 2.24-2.35 (4H, m), 2.44-2.49 (4H, m), 2.68-2.73 (2H, m), 2.93 (1H, s), 3.00 (2H, s), 3.37 (1H, t, J = 7.1 Hz), 3.47 (2H, t, J = 7.1 Hz), 4.70-4.75 (1H, m), 6.58-6.59 (1H, m), 7.11-7.15 (1H, m), 7.21-7.23 (1H, m), 7.33-7.40 (3H, m), 7.41-7.43 (1H, m), 7.47-7.52 (2H, m), 8.09-8.11 (1H, m), 9.77 (1H, s).
MS (FAB) m/z: 466 (M+H)+.
【0208】
[実施例4e]1−{2−[{6−[(4−{1−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)アミノ]−2−メチル−1−オキソプロパン−2−イル}フェニル)アミノ]ヘキサノイル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例4dで得た化合物(187mg,0.402mmol)、実施例4bで得た化合物(146mg,0.402mmol)、及び、10%パラジウム−炭素(dry,15mg)をエタノール(4mL)に懸濁し、系内を水素雰囲気に置換した後、50℃にて22.5時間攪拌した。系内を窒素雰囲気に置換した後、反応液を酢酸エチルで希釈し、セライトを用いてろ過した。減圧下、溶剤を留去して得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=50:1)を用いて精製し、標記目的化合物(267mg,収率82%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 813 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2932, 1694, 1631, 1522, 1450, 1397, 1304, 1206, 1045, 748 cm-1
【0209】
[実施例4f]1−{2−[メチル(6−{[4−(2−メチル−1−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}−1−オキソプロパン−2−イル)フェニル]アミノ}ヘキサノイル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例4eで得た化合物(180mg,0.221mmol)を2N 塩酸−メタノール(2.21mL,4.43mmol)に溶解し、室温にて2時間攪拌した。反応液にトルエンを加え、溶剤を減圧留去して得られた残渣を酢酸エチルに溶解し、1N 水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10にした。酢酸エチル(×2)で抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧留去して得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=100:0−塩化メチレン:メタノール=10:1)を用いて精製し、標記目的化合物(152mg,収率96%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 713 (M+H)+.
IR(ATR) νmax: 2930, 1721, 1614, 1519, 1448, 1222, 1043, 824, 747, 702 cm-1.
【0210】
[実施例4g]1−{2−[{6−[(4−{2−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)アミノ]−1,1−ジメチル−2−オキソエチル}フェニル)アミノ]ヘキサノイル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例1iで得た化合物(155mg,0.224mmol)、トリエチルアミン(36μL,0.256mmol)、塩化ピバロイル(27μL,0.222mmol)、及び、実施例4fで得た化合物(152mg,0.213mmol)を用いて、実施例1nに記載した方法に従い、標記目的化合物(219mg,収率70%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 1389 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2929, 1735, 1644, 1521, 1449, 1359, 1281, 1181, 1139, 754 cm-1
【0211】
[実施例5]
1−(2−{[6−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0212】
【化8】

【0213】
[実施例5a]tert−ブチル メチル(3−{メチル[(4−ニトロフェニル)カルボニル]アミノ}プロピル)カーバメート
tert−ブチル メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カーバメート(300mg、1.48mmol)のジクロロメタン溶液(14mL)にトリエチルアミン(225μL、1.62mL)を加えたのち、4−ニトロベンゾイルクロリド(250mg、1.35mmol)を室温で加え、2時間撹拌した。1規定塩酸水溶液を加えたのち酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し、溶剤を減圧留去し、粗製の標記化合物(517mg)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.38 and 1.47 (total 9H, each brs), 1.76-1.79 (1H, m), 1.91-1.93 (1H, m), 2.70-2.74 (1H, m), 2.90 and 2.94 (total 3H, each brs), 3.08-3.12 (3H, m), 3.20 (1H, t, J = 7.5 Hz), 3.31-3.35 (1H, m), 3.56 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.54-7.60 (2H, m), 8.23-8.32 (2H, m).
MS (APCI) m/z: 252 (M+H)+(脱Boc体).
【0214】
[実施例5b]tert−ブチル (3−{[(4−アミノフェニル)カルボニル](メチル)アミノ}プロピル)メチルカーバメート
実施例5aで得た粗製物(517mg)の酢酸エチル溶液(15mL)に10%パラジウムー炭素を加え、水素雰囲気下、室温で1.5時間撹拌した。不溶物を、セライトを用いてろ去し、ろ液を減圧留去し、標記化合物(482mg、定量的(2工程))を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.44 (9H, s), 1.80-1.86 (2H, m), 2.80-2.86 (3H, m), 3.03 (3H, s), 3.16-3.25 (2H, m), 3.40-3.46 (2H, m), 6.65 (2H, d, J = 8.6 Hz), 7.25 (2H, d, J = 8.6 Hz).
MS (APCI) m/z: 322 (M+H)+.
【0215】
[実施例5c]メチル 6−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノエート
実施例5bで得た化合物(482mg、1.47mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)にトリエチルアミン(245μL、1.76mmol)を加えたのち、メチル 6−クロロ−6−オキソヘキサノエート(276mg、1.54mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)を滴下し、室温で3.5時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えたのち、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)を用いて精製し、標記化合物(640mg、収率94%)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.41-1.45 (9H, m), 1.71-1.79 (5H, m), 1.86-1.90 (1H, m), 2.38-2.41 (4H, m), 2.72-2.76 (1H, m), 2.86-2.90 (2H, m), 2.98-3.08 (4H, m), 3.27-3.32 (2H, m), 3.49-3.54 (1H, m), 3.36 (3H, s), 7.33-7.39 (2H, m), 7.57 (1H, brs), 7.58 (2H, d, J = 8.6 Hz).
MS (APCI) m/z: 464 (M+H)+
【0216】
[実施例5d]1−(2−{[6−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例5cで得た化合物(120mg、0.259mmol)のメタノール溶液(3mL)に4規定水酸化ナトリウム水溶液(194μL、0.777mmol)を加え、室温で1日撹拌した。反応液に1規定塩酸水溶液(0.777mL)を加え、ジクロロメタンで抽出した(2回)。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶剤を減圧留去した。得られた残渣にトルエンを加えて共沸し、粗製の6−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサン酸を得た。
得られた粗製物をジクロロメタン(2.5mL)に溶解し、1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(83mg、0.235mmol)およびWSCI・HCl(54mg、0.282mmol)を加え、室温で2.5日間撹拌した。反応液を減圧留去し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=50:1−30:1)を用いて精製し、標記化合物(136mg、収率74%)を淡黄色油状物として得た。
MS (APCI) m/z: 785 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2937, 1693, 1627, 1525, 1400, 1306, 1222, 1165, 1045, 749 cm-1.
【0217】
[実施例5e]1−[2−(メチル{6−[(4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カルバモイル}フェニル)アミノ]−6−オキソヘキサノイル}アミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例5dで得た化合物(135mg、0.172mmol)に2規定塩酸/メタノール溶液(1.72mL、3.44mmol)を加え、室温で2.5時間撹拌した。酢酸エチルを加えて希釈し、1規定水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=10:1→ジクロロメタン:メタノール=10:1)を用いて精製し、標記化合物(66mg、収率56%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.61-1.68 (2H, m), 1.73-1.78 (2H, m), 1.80-1.84 (1H, m), 1.89-1.96 (2H, m), 2.26-2.29 (2H, m), 2.40-2.51 (6H, m), 2.61-2.77 (4H, m), 2.96-3.05 (6H, m), 3.31-3.41 (4H, m), 3.50-3.54 (2H, m), 3.58-3.61 (2H, m), 3.82-3.84 (2H, m), 4.69-4.75 (2H, m), 6.59-6.67 (2H, m), 7.11-7.15 (2H, m), 7.20-7.25 (2H, m), 7.34-7.38 (2H, m), 7.40-7.44 (1H, m), 7.46-7.52 (2H, m), 7.71-7.74 (2H, m), 8.08-8.11 (2H, m).
MS (APCI) m/z: 685 (M+H)+.
【0218】
[実施例5f]1−(2−{[6−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例5eで得た化合物(65mg、0.0949mmol)および実施例1iで得た化合物(69mg、0.0997mmol)を用いて、実施例1nに記載した方法に従い、標記化合物(44mg、収率34%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 1361 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2935, 1643, 1524, 1359, 1281, 1138, 1045, 848, 754, 702 cm-1
【0219】
[実施例6]
1−(2−{[4−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0220】
【化9】

【0221】
[実施例6a]メチル 4−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾエート
実施例5bで得た化合物(456mg、1.35mmol)およびテレフタル酸モノメチルエステル(268mg、1.49mmol)のジクロロメタン溶液(14mL)に4−ジメチルアミノピリジン(165mg、1.35mmol)およびWSCI・HCl(342mg、1.78mmol)を加え、室温で22時間撹拌した。溶剤を減圧濃縮して酢酸エチルで希釈し、1規定塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち溶剤を減圧留去し、得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2)を用いて精製し、標記化合物(503mg、収率77%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.41-1.46 (9H, m), 1.77-1.81 (1H, m), 1.87-1.91 (1H, m), 2.72-2.75 (1H, m), 2.89-2.90 (2H, m), 2.99-3.03 (2H, m), 3.28-3.32 (2H, m), 3.51-3.55 (1H, m), 3.97 (3H, s), 7.38-7.43 (2H, m), 7.68 (2H, d, J = 8.0 Hz), 7.97 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.16 (2H, d, J = 8.6 Hz), 8.17-8.22 (1H, m).
MS (APCI) m/z: 484 (M+H)+.
【0222】
[実施例6b]1−{2−[{[4−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)フェニル]カルボニル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例6aで得た化合物(100mg、0.207mmol)のテトラヒドロフラン溶液(3mL)に1規定水酸化ナトリウム水溶液(414μL、0.414mmol)を加え、室温で8.5時間撹拌した。反応液に1規定塩酸水溶液(414μL)を加え、溶剤を減圧乾固した。得られた残渣にトルエンを加えて共沸し、粗製の4−({4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)安息香酸を得た。
得られた粗製物をジクロロメタン(2mL)に溶解し、1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(67mg、0.188mmol)およびWSCI・HCl(43mg、0.226mmol)を加え、室温で13時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去した。得られた残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:メタノール=50:1)を用いて精製し、標記化合物(109mg、収率72%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 805 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2933, 1691, 1624, 1525, 1401, 1320, 1234, 1046, 850, 750 cm-1
【0223】
[実施例6c]1−{2−[メチル({4−[(4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カルバモイル}フェニル)カルバモイル]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例6bで得た化合物(109mg、0.135mmol)を用いて、実施例5eに記載した方法に従い、標記化合物(78mg、収率80%)を淡黄色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 705 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2939, 1720, 1621, 1525, 1404, 1320, 1236, 1045, 849, 749 cm-1.
【0224】
[実施例6d]1−(2−{[4−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例6cで得た化合物(78mg、0.111mmol)および実施例1iで得た化合物(81mg、0.116mmol)を用いて、実施例1nに記載した方法に従い、標記化合物(65mg、収率42%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 1381 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2931, 1638, 1524, 1359, 1281, 1181, 1139, 1073, 848, 756 cm-1
【0225】
[実施例7]
1−(2−{[4−({3−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
【0226】
【化10】

【0227】
[実施例7a]tert−ブチル メチル(3−{メチル[(3−ニトロフェニル)カルボニル]アミノ}プロピル)カーバメート
tert−ブチル メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カーバメート(300mg、1.48mmol)および3−ニトロベンゾイルクロリド(250mg、1.35mmol)を用いて、実施例5aに記載した方法に従い、粗製の標記化合物(478mg)を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.37 and 1.48 (total 9H, each s), 1.80-1.82 (1H, m), 1.92-1.94 (1H, m), 2.71-2.73 (1H, m), 2.91 and 2.99 (total 3H, each s), 3.12 (3H, s), 3.22-3.25 (1H, m), 3.33-3.35 (1H, m), 3.57 (1H, t, J = 6.9 Hz), 7.62 (1H, t, J = 8.0 Hz), 7.72-7.78 (1H, m), 8.26-8.30 (2H, m).
MS (APCI) m/z: 252 (M+H)+(脱Boc体).
【0228】
[実施例7b]tert−ブチル (3−{[(3−アミノフェニル)カルボニル](メチル)アミノ}プロピル)メチルカーバメート
実施例7aで得た粗製物(478mg)を用いて実施例5bに記載した方法に従い、標記化合物(420mg、収率97%(2工程))を淡黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.41 and 1.47 (total 9H, each s), 1.55-1.61 (2H, m), 1.75-1.78 (1H, m), 1.86-1.90 (1H, m), 2.71-2.75 (2H, m), 2.89 and 2.95 (total 3H, each brs), 3.05-3.53(total 5H, m), 6.69-6.74 (3H, m), 7.16 (1H, t, J = 8.0 Hz).
MS (APCI) m/z: 322 (M+H)+.
【0229】
[実施例7c]メチル 4−({3−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾエート
実施例7bで得た化合物(420mg、1.31mmol)およびテレフタル酸モノメチルエステル(446mg、1.44mmol)を用いて、実施例6aに記載した方法に従い、標記化合物(503mg、収率70%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.36 and 1.47 (total 9H,each brs), 1.82-1.90 (2H, m), 2.74 and 2.89 (total 3H, each brs), 2.99-3.01 (2H, m), 3.07-3.13 (3H, m), 3.25-3.32 (2H, m), 3.51-3.55 (1H, m), 3.96 (3H, s), 7.18 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.41 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.58-8.51 (total 6H, m).
MS (APCI) m/z: 384 (M+H)+(脱Boc体)。
【0230】
[実施例7d]1−{2−[{[4−({3−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)フェニル]カルボニル}(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例7cで得た化合物(100mg、0.207mmol)および1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(67mg、0.188mmol)を用いて、実施例6bに記載した方法に従い、標記化合物(136mg、収率90%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 805 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2944, 1692, 1632, 1547, 1482, 1401, 1305, 1255, 1046, 750 cm-1.
【0231】
[実施例7e]1−{2−[メチル({4−[(3−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カルバモイル}フェニル)カルバモイル]フェニル}カルボニル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例7dで得た化合物(136mg、0.170mmol)を用いて、実施例5eに記載した方法に従い、標記化合物(93mg、収率78%)を淡黄色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 705 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2943, 1721, 1622, 1547, 1481, 1404, 1304, 1224, 1045, 750 cm-1.
【0232】
[実施例7f]1−(2−{[4−({3−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}カルバモイル)ベンゾイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
実施例7eで得た化合物(93mg、0.132mmol)および実施例1iで得た化合物(96mg、0.139mmol)を用いて、実施例1nに記載した方法に従い、標記化合物(108mg、収率59%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 1381 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2934, 1731, 1639, 1512, 1449, 1359, 1281, 1139, 753, 702 cm-1
【0233】
[実施例8]
N−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニル−N−(2−{4−[(ビフェニル2−イルカルバモイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}エチル)−N−メチルグリシナミド
【0234】
【化11】

【0235】
[実施例8a]メチル N−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニネート
4−[(3−メトキシ3−オキソプロピル)アミノ]安息香酸(1.21g、5.44mmol)、tert−ブチル メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カーバメート(1.00g、4.95mmol)およびトリエチルアミン(1.03mL、7.43mmol)のジクロロメタン溶液(55mL)にWSCI・HCl(1.14g、5.94mmol)を加え、室温で24時間撹拌した。反応液を減圧濃縮したのち酢酸エチルで希釈し、1規定塩酸水溶液および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:2−0:1)を用いて精製し、標記化合物(1.27g、収率63%)を淡黄色油状物として得た。
MS (APCI) m/z: 408 (M+H)+.
【0236】
[実施例8b]エチル N−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニルグリシネート
実施例8aで得た化合物(1.27g、3.12mmol)のメタノール溶液(31mL)に1規定水酸化ナトリウム水溶液(9.35mL、9.35mmol)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液に1規定塩酸水溶液(9.35mL)を加え、溶剤を減圧留去した。水を加え、ジクロロメタンで抽出した(2回)のち、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶剤を減圧留去したのち、得られた残渣にトルエンを加えて共沸し、粗製のN−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニンを淡黄色油状物として得た。
得られた粗製物をジクロロメタン(34mL)に溶解し、トリエチルアミン(651μL、4.68mmol)、グリシンエチルエステル塩酸塩(479mg、3.43mmol)およびWSCI・HCl(718mg、3.74mmol)を加え、室温で12時間撹拌した。反応を減圧濃縮したのち酢酸エチルで希釈し、1規定塩酸水溶液、および飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶剤を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)を用いて精製し、標記化合物(299mg、収率20%)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl3, 500MHz): δ 1.29 (3H, t, J = 7.5 Hz), 1.42 (9H, brs), 1.77-1.84 (2H, m), 2.53 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.67-2.83 (3H, m), 3.03 (3H, s), 3.16-3.22 (2H, m), 3.35-3.44 (2H, m), 3.52-3.55 (2H, m), 4.02 (2H, d, J = 5.2 Hz), 4.22 (2H, q, J = 7.5 Hz), 4.55 (1H, brs), 6.07 (1H, brs), 6.60 (2H, t, J = 8.0 Hz), 7.22-7.28 (2H, m).
MS (APCI) m/z: 479 (M+H)+
【0237】
[実施例8c]N−{4−[{3−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニル−N−(2−{4−[(ビフェニル2−イルカルバモイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}エチル)−N−メチルグリシナミド
実施例8bで得た化合物(148mg、0.309mmol)および1−[2−(メチルアミノ)エチル]ピペリジン−4−イル ビフェニル−2−イルカーバメート(99mg、0.218mmol)を用いて、実施例6bに記載した方法に従い、標記化合物(206mg、収率93%)を白色固体として得た。
MS (APCI) m/z: 786 (M+H)+.
IR(ATR) νmax: 2936, 1609, 1521, 1484, 1449, 1398, 1222, 1176, 1045, 750 cm-1.
【0238】
[実施例8d]N−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}−β−アラニル−N−(2−{4−[(ビフェニル2−イルカルバモイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}エチル)−N−メチルグリシナミド
実施例8cで得た化合物(56mg、0.0712mmol)に2規定塩酸/メタノール溶液(1.42mL)を加え、室温で5.5時間撹拌した。反応液にトルエンを加えたのち、減圧乾固して、粗製のN−(4−{メチル[3−(メチルアミノ)プロピル]カルバモイル}フェニル)−β−アラニル−N−(2−{4−[(ビフェニル2−イルカルバモイル)オキシ]ピペリジン−1−イル}エチル)−N−メチルグリシナミド 三塩酸塩を得た。
得られた粗製物、トリエチルアミン(61μL、0.441mmol)および実施例1iで得た化合物(52mg、0.0748mmol)を用いて、実施例1nに記載した方法に従い、標記化合物(108mg、収率59%)を白色固体として得た。
MS (FAB) m/z: 1362 (M+H)+.
IR(KBr) νmax: 2937, 1648, 1513, 1438, 1359, 1281, 1179, 1139, 838, 759 cm-1
【0239】
(試験例1)
[モルモットサブスタンスP受容体への結合試験]
肺粗膜標本の作製および当該標本への被験物質の結合試験は、欧州特許出願公開0336230A2号公報記載の方法に準じて行った。
被験物質のサブスタンスP受容体への結合作用は、50%結合薬用量(IC50)およびサブスタンスP受容体に対する[3H]substance Pの親和性(Kd)より、被験物質のサブスタンスP受容体への親和性(Ki)として算出した。
結果を表1に示す。
【0240】
(表1)
−−−−−−−−−−−−−−
実施例 Ki(nM)
−−−−−−−−−−−−−−
1 2.2
2 3.8
3 2.2
4 1.5
−−−−−−−−−−−−−−。
上記の結果から、本発明の化合物は、優れたサブスタンスP受容体への結合作用を有する。
【0241】
(試験例2)
[モルモットNK2受容体結合試験]
モルモット粗膜標本より受容体結合試験を実施できる。すなわちNK2受容体高発現部位である回腸組織を摘出後粗膜標本を作製し、[3H]SR 48968またはneurokinin Aと被験物質を粗膜標本液とともに反応させた後、膜成分回収後放射活性を測定することにより、被験物質のモルモットNK2受容体への親和性を算出できる。
【0242】
(試験例3)
[モルモットM3受容体結合試験]
モルモット粗膜標本より受容体結合試験を実施できる。すなわちM3受容体高発現部位である顎下腺組織を摘出後粗膜標本を作製し、[N-methyl-3H]-(-)-Scopolamine methyl chlorideと被験物質を粗膜標本液とともに反応させた後、膜成分回収後放射活性を測定することにより、被験物質のモルモットM3受容体への親和性を算出できる。
【0243】
(試験例4)
[ヒトNK1受容体結合試験]
ヒト型NK1受容体発現細胞由来粗膜標本より受容体結合試験を実施できる。すなわちヒト型NK1受容体発現COS細胞より調製した粗膜標本に対して、[3H]substance Pと被験物質を粗膜標本液とともに反応させた後、膜成分回収後放射活性を測定することにより、被験物質のヒトNK1受容体への親和性を算出できる。
【0244】
(試験例5)
[ヒトNK2受容体結合試験]
(a)粗膜標本の作製
ヒト型NK2受容体発現COS細胞の凍結保存細胞液を緩衝液(0.04% bovine serum albumin (BSA)を含む50 mMトリス−塩酸, pH7.4)で希釈して5.0x105 cells/mLとし、粗膜標本として用いた。
(b)受容体結合試験
[3H]SR 48968(GEヘルスケア・ジャパン(株))を50 mMトリス−塩酸(pH7.4)、6 mM塩化マンガン4水和物、800 μg/mL BSA、8 μg/mLキモスタチン、8 μg/mL ロイペプチン、80 μg/mL バシトラシン、20 μg/mL ホスホラミドン混合液で希釈した。この混合液250 μLに、被験物質と粗膜標本液250 μLを加え、室温で、35分インキュベートした([3H]SR 48968は、最終濃度1 nM)。反応後、自動濾過装置(Brandel , Biomedical Research and Development Laboratories, Inc.)を用いて、GF/Bガラス繊維濾紙(Whatman , Biomedical Research and Development Laboratories, Inc.)上に膜成分を回収した。なお、ガラス繊維濾紙は、非特異結合を低く抑えるため、0.1%ポリエチレンイミン液で、4時間以上前処理して用いた。膜成分回収フィルターを、ピコフロー3 mLを含むミニプラスチックバイアルに移し、液体シンチレーション・カウンター(Perkin Elmer, Tri-Carb 2900TRあるいは2300TR)にて放射活性を測定した。
NK2 受容体結合作用は、50%結合薬用量(IC50)およびNK2受容体に対する[3H]SR 48968の親和性(Kd)より、被験物質のNK2受容体への親和性(Ki)として算出した。
結果を表2に示す。
【0245】
(表2)
−−−−−−−−−−−−−−
実施例 Ki(nM)
−−−−−−−−−−−−−−
1 0.81
2 0.88
3 1.1
4 0.80
5 0.50
6 1.1
7 1.3
8 1.0
−−−−−−−−−−−−−−。
上記の結果から、本発明の化合物は、優れたニューロキニンNK受容体結合作用を有する。
【0246】
(試験例6)
[ヒトM3 受容体結合試験]
(a)粗膜標本の作製
ヒト型M3受容体発現CHO細胞の凍結保存細胞液を緩衝液(0.5 mM EDTAを含む50 mMトリス−塩酸, pH7.4)で希釈して5.0x105 cells/mLとし、粗膜標本として用いた。
(b)受容体結合試験
[N-methyl-3H]-(-)-Scopolamine methyl chloride(GEヘルスケア・ジャパン(株))を0.5 mM EDTAを含む 50 mMトリス−塩酸(pH7.4)で希釈し、その混合液250 μLに被験物質と粗膜標本液250 μLを加え、室温で、60分インキュベートした。反応後、自動濾過装置(Brandel, Biomedical Research and Development Laboratories, Inc.)を用いて、GF/Bガラス繊維濾紙(Whatman , Biomedical Research and Development Laboratories, Inc.)上に膜成分を回収した([N-methyl-3H]-(-)-Scopolamine methyl chlorideは、最終濃度0.5 nM)。なお、ガラス繊維濾紙は、非特異結合を低く抑えるため、0.1%ポリエチレンイミン液で、4時間以上前処理して用いた。膜成分回収フィルターを、ピコフロー3 mLを含むミニプラスチックバイアルに移し、液体シンチレーション・カウンター(Perkin Elmer, Tri-Carb 2900TRあるいは2300TR)にて放射活性を測定した。
M3 受容体結合作用は、50%結合薬用量(IC50)およびM3受容体に対する[N-methyl-3H]-(-)-Scopolamine methyl chlorideの親和性(Kd)より、被験物質のM3受容体への親和性(Ki)として算出した。
結果を表3に示す。
【0247】
(表3)
−−−−−−−−−−−−−−
実施例 Ki(nM)
−−−−−−−−−−−−−−
1 0.85
2 1.5
3 1.4
4 1.3
5 0.39
−−−−−−−−−−−−−−。
上記の結果から、本発明の化合物は、優れたムスカリンM受容体結合作用を有する。
【0248】
表1乃至表3の結果から、本発明の化合物は、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体のすべてに対して優れた拮抗作用を有し、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び潰瘍からなる群から選ばれる疾患の治療剤及び/又は予防剤として有用である。
【0249】
製剤例
製剤例1 散剤
実施例1の化合物 5g、乳糖 895gおよびトウモロコシデンプン 100gをブレンダーで混合することにより、散剤が得られる。
【0250】
製剤例2 顆粒剤
実施例1の化合物 5g、乳糖 865gおよび低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 100gを混合した後、10%ヒドロキシプロピルセルロース水溶液 300gを加えて練合する。これを押し出し造粒機を用いて造粒し、乾燥すると顆粒剤が得られる。
【0251】
製剤例3 錠剤
実施例1の化合物 5g、乳糖 90g、トウモロコシデンプン 34g、結晶セルロース 20gおよびステアリン酸マグネシウム 1gをブレンダーで混合した後、錠剤機で打錠することにより、錠剤が得られる。
【0252】
製剤例4 吸入用液剤1
実施例1の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニウムが0.04%(W/W)、フェネチルアルコールが0.40%(W/W)、精製水が89.56%(W/W)となるように液剤を調製する。
【0253】
製剤例5 吸入用液剤2
実施例2の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニウムが0.04%(W/W)、ポリエチレングリコールが10%(W/W)、プロピレングリコールが30%(W/W)、精製水が39.96%(W/W)となるように液剤を調製する。
【0254】
製剤例6 吸入用散剤
実施例2の化合物が40%(W/W)、ラクトースが60%(W/W)となるように散剤を調製する。
【0255】
製剤例7 エアゾール剤
実施例2の化合物が10%(W/W)、レシチンが0.5%(W/W)、フロン11が34.5%(W/W)、フロン12が55%(W/W)となるようにエアゾール剤を調製する。
【産業上の利用可能性】
【0256】
本発明の一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩は、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及びムスカリンM受容体のすべてに対して拮抗作用を示し、毒性が少なく、体内動態が優れているので、医薬として有用であり、特に、呼吸器疾患、アレルギー疾患及び/又は神経系疾患の予防剤若しくは治療剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


[式中、
は、水素原子、C−Cアルキル基又はC−Cアルコキシカルボニル基を示し、
は、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよい複素環基を示し、
は、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至5個置換されていてもよいフェニル基又は置換基群Aから選択される基で独立に1乃至3個置換されていてもよい複素環基を示し、
は、単結合、C−C10アルキレン基、(C−Cアルキレン)−アミノカルボニル−(C−Cアルキレン)基又は(C−Cアルキレン)−カルボニルアミノ−(C−Cアルキレン)基を示し、
は、カルボニル基、ヒドロキシメチレン基、エステル基、式−N(R)−で表わされる基、式−N(R)−C(=O)−で表わされる基、式−C(=O)−N(R)−で表わされる基、式−N(R)−C(=O)−O−で表わされる基又は式−O−C(=O)−N(R)−で表わされる基を示し(Rは、水素原子、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基又はC−Cアルコキシ基を示す(R及びRが共にC−Cアルキル基の場合、任意の炭素原子同士で結合してもよい。)。)、
Aは、単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基、式−NH−で表わされる基、式−C(=O)−N(R)−で表わされる基又は式−N(R)−C(=O)−で表わされる基を示し(Rは、水素原子又はC−Cアルキル基を示す。)、
Eは、置換基群Aから選択される基で独立に1乃至4個置換されていてもよいフェニレン基又は置換基群Aから選択される基で独立に1若しくは2個置換されていてもよいヘテロアリレン基(ただし、両側のメチレン基とは炭素原子で結合している)を示し(RがC−Cアルキル基の場合、Rの任意の炭素原子はEの任意の炭素原子と結合してもよい。)、
mは、1乃至4の整数を示し、
nは、0乃至4の整数を示し、
pは、0乃至2の整数を示し、
qは、1乃至10の整数を示し、
rは、1又は2を示し、
sは、0又は1を示し、
tは、0又は1を示し、
(但し、Lが、C−C10アルキレン基であり、Aが、式−NH−で表わされる基であり、tが、0である組み合わせを除く。)
置換基群Aは、ハロゲン原子、C−Cアルキル基、C−Cハロゲン化アルキル基、ヒドロキシ基、C−Cアルコキシ基、C−Cハロゲン化アルコキシ基、シアノ基、カルボキシル基、C−Cアルキルカルボニルオキシ基、C−Cアルコキシカルボニルオキシ基、カルバモイル基、ニトロ基及びアミノ基からなる群を示す。]で表わされる化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項2】
請求項1において、一般式(I)が、一般式(II)
【化2】


である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項3】
請求項1又は2において、Rが、水素原子又はC−Cアルキル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項4】
請求項1又は2において、Rが、メチル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項5】
請求項1乃至4から選択されるいずれか一項において、Rが、C−Cアルキル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項6】
請求項1乃至4から選択されるいずれか一項において、Rが、メチル基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項7】
請求項1乃至6から選択されるいずれか一項において、Lが、C−C10アルキレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項8】
請求項1乃至6から選択されるいずれか一項において、Lが、テトラメチレン基、ペンタメチレン基又はヘキサメチレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項9】
請求項1乃至8から選択されるいずれか一項において、Aが、単結合、酸素原子、式−C三C−で表わされる基又は式−C(=O)−NH−で表わされる基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項10】
請求項1乃至9から選択されるいずれか一項において、Eが、1,4−フェニレン基である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項11】
請求項1乃至10から選択されるいずれか一項において、qが、2又は3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項12】
請求項1乃至10から選択されるいずれか一項において、qが、3である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項13】
1−{2−[(6−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェノキシ}ヘキサノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプタノイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、
1−{2−[(7−{4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−{[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]カルボニル}−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}ヘプト−6−インオイル)(メチル)アミノ]エチル}ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート、又は、
1−(2−{[6−({4−[{3−[({[(2S)−1’−{2−[(5R)−3−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゾイル]−5−(4−フルオロフェニル)−1,3−オキサゾリジン−5−イル]エチル}−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−2−イル]オキシ}アセチル)(メチル)アミノ]プロピル}(メチル)カルバモイル]フェニル}アミノ)−6−オキソヘキサノイル](メチル)アミノ}エチル)ピペリジン−4−イル ビフェニル2−イルカーバメート
である化合物又はその薬理上許容される塩。
【請求項14】
請求項1乃至13から選択されるいずれか一項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項15】
医薬組成物が、気管支拡張作用及び抗炎症作用を有する請求項14に記載された医薬組成物。
【請求項16】
医薬組成物が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患の治療及び/又は予防のための請求項14に記載された医薬組成物。
【請求項17】
医薬組成物が、呼吸器疾患、アレルギー疾患及び/又は神経系疾患の治療及び/又は予防のための請求項14に記載された医薬組成物。
【請求項18】
医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、 角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍の治療及び/又は予防のための請求項14に記載された医薬組成物。
【請求項19】
医薬組成物が、気管支喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患の治療及び/又は予防のための請求項14に記載された医薬組成物。
【請求項20】
医薬組成物が、経肺投与及び/又は点鼻投与するための、請求項17乃至19から選択されるいずれか一項に記載された医薬組成物。
【請求項21】
医薬組成物を製造するための、請求項1乃至13から選択されるいずれか一項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の使用。
【請求項22】
医薬組成物が、気管支拡張作用及び抗炎症作用を有するための医薬組成物である請求項21に記載の使用。
【請求項23】
医薬組成物が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患の治療及び/又は予防のための組成物である請求項21に記載の使用。
【請求項24】
医薬組成物が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、 角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍の治療及び/又は予防のための組成物である請求項21に記載の使用。
【請求項25】
医薬組成物が、経肺投与及び/又は点鼻投与するための医薬組成物である、請求項24に記載された使用。
【請求項26】
請求項1乃至13から選択されるいずれか一項に記載された化合物又はその薬理上許容される塩の薬理的な有効量を温血動物に投与する疾病の治療及び/又は予防方法。
【請求項27】
疾病が、ニューロキニンNK、ニューロキニンNK及び/又はムスカリンM受容体が介在する疾患である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
疾病が、気管支喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、咳嗽、喀痰過分泌、鼻炎、痛み、不安、うつ、痙攣、パーキンソン、尿失禁、過敏性腸症候群、前立腺肥大、嘔吐、消化性潰瘍、網膜検査、急性虹彩炎、角膜炎、縮瞳、麻酔薬による過剰の唾液分泌、気道分泌及び/又は潰瘍である請求項26に記載の方法。
【請求項29】
一般式(I)を有する化合物又はその薬理上許容される塩を経肺投与及び/又は点鼻投与することを特徴とする、請求項28に記載された方法。
【請求項30】
温血動物がヒトである請求項26乃至29から選択されるいずれか一項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−126656(P2012−126656A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277096(P2010−277096)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(307010166)第一三共株式会社 (196)
【Fターム(参考)】