説明

ジヒドロキシアントラキノンおよびそれらの使用

化学式(1)の化合物
〔化1〕


(式中、XはHもしくは-OCR1であり、YはHもしくは-OCR2であるが、ただしXとYの両方がHではなく;RはCH2OR9、CONR11R12、CN、テトラゾールもしくはCOOR17である)またはその塩は、治療的有用性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジヒドロキシアントラキノン誘導体および疾患の治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
Tリンパ球は、多くの炎症性疾患および自己免疫疾患の病因に中心的役割を果たすことが知られている。抗原提示細胞によるT細胞の活性化は炎症過程の開始における初期事象であり、それは続いて他の炎症細胞の活性化を引き起こし、次々に前炎症性サイトカイン、走化性物質およびマトリックス分解酵素の放出を引き起こす。これらの細胞種がVEGFの分泌を介した血管新生の開始および持続に必須であることもまた知られている。血管新生によって引き起こされる疾患は、癌、加齢黄斑変性症および糖尿病網膜症を含むが、それらに限定されない。
【0003】
多発性硬化症は、中枢神経系の慢性脱髄性炎症性疾患である。T細胞増殖は前炎症性サイトカイン(主にIL-2およびIFN-γ)の放出を引き起こし、炎症反応を指揮する白血球(マクロファージを含む)の動員を引き起こす。
【0004】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、CD8+ T細胞の増殖による好中球およびマクロファージの活性化が、前炎症性サイトカインの放出ならびに好中球エラスターゼ(HNE)およびメタロエラスターゼ(MMP-12)などのエラスチン分解酵素の放出を引き起こし、それが慢性かつ進行性の肺組織の破壊および最終的には呼吸機能の低下の原因となる。
【0005】
クローン病および潰瘍性大腸炎は、総称して炎症性腸疾患(IBD)として知られる腸の慢性炎症性疾患である。これらの両疾患は実際には異なる原因を有する異質の疾患群であるが、類似の持続的な刺激および共通の組織損傷経路を共有していると考えられる。また、T細胞はこの疾患群の進行にとって中心的であり、免疫細胞、間葉細胞および上皮細胞の活性化、循環エフェクター細胞の動員を引き起こし、最終的には消化管組織の損傷を引き起こす。
【0006】
乾癬では、ランゲルハンス細胞によるCD4+ T細胞への抗原の提示が、ケラチン生成細胞の増殖ならびに内皮細胞およびケラチン生成細胞による接着分子の発現を促進するサイトカインの合成を引き起こす。ケラチン生成細胞は次々に刺激され、自己分泌型および/または傍分泌型で作用し得るそれら自身のサイトカインを産生し、乾癬の過程を維持する。
【0007】
全身性紅斑性狼瘡(SLE)、ループス腎炎、糸球体腎炎、IgA腎症、歯周病、アトピー性皮膚炎、強皮症、移植片対宿主病、脱毛症(allopeicia)、シェーグレン症候群、多発性筋炎(polymyosititis)、天疱瘡(pempligus)、ブドウ膜炎(uveititis)およびアジソン病を含む多くの他の炎症性疾患において、T細胞の中心的関与に対する同様の強い論理的根拠が存在する。従って、T細胞増殖の阻害剤は強く求められており、上記に詳述された一連の炎症性疾患および自己免疫疾患の治療に有用性を有しうる。
【0008】
レイン(1,8-ジヒドロキシアントラキノン-3-カルボン酸)は、一連の炎症性疾患において有用性が認められている、よく特徴付けられた抗炎症薬である。この薬剤がT細胞増殖を阻害することは実証されていないが、ヒト変形性関節症の滑膜および軟骨細胞において前炎症性サイトカイン(IL-1βおよびTNFα)の産生を阻害すること(Martel-Pelletierら、Journal of Rheumatology, 1998, 25 (4), 753-762)、ならびにループス腎炎のモデルにおいてサイトカイン遺伝子発現を阻害すること(Lemayら、Kidney International, 1996, 50 (1), 85-93)が知られている。テトラサイクリンと同様に、レインおよびそのプロドラッグであるジアセレインはプロマトリックスメタロプロテアーゼ(プロMMP-1、-3、-9および-13)の産生を抑制するが、ウサギ関節軟骨細胞由来のメタロプロテアーゼの組織阻害剤(TIMP-1)の産生を促進することが示されている(Tamuraら、Osteoarthritis and Cartilage, 2001, 9 (3), 257-263)。
【0009】
US4346103は、関節炎および多発性硬化症におけるレインの使用を開示する。糖尿病性腎症におけるその使用は、EP0990441に開示される。これらの疾患には、IL-1βの過剰産生が特に関与している。より広範なレインの使用は、その乏しい物理化学的特性によっていくらか限定されている。この問題はよく特徴付けられたプロドラッグであるジアセレインによって完全に対処されたわけではなく、臨床環境における有用性はこの場合も同様に乏しい物理化学的特性によって限定される(P. Nicolasら、Clin. Pharmacokinet., 1998, 35 (5), 347-359)。
【0010】
発明の概要
本発明は、レインの単純な誘導体が、レイン自体および他の単純な誘導体が反応を起こさないアッセイにおいて、サイトカイン産生およびT細胞増殖を阻害できるという観察に関する。これらの薬剤は、親化合物より改善されたそれらの物理的特性のため、上述の広範な炎症性疾患および自己免疫疾患において臨床的有用性を有すると考えられる。
【0011】
本発明によれば、新規化合物は化学式(1)の化合物
【化1】

【0012】
[式中、XはHまたは-OCR1であり、YはHまたは-OCR2であるが、ただしXとYの両方がHではなく;
RはCH2OR9、CONR11R12、CN、テトラゾールまたはCOOR17であり;ここで
R1およびR2は、R3によって置換されたC1-4アルキル、ならびにCF3、OR4、NR5R6、S(O)0-2R7、任意選択でR3によって置換されたC1-4アルキル、およびハロゲンより選択される基によって任意選択で置換された4〜7員環基(その基はまた任意選択でO、S(O)0-2およびNR9より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む)より独立に選択され;
R3はCF3、OR4、NR5R6またはS(O)0-2R7であり;または
R4、R5およびR6は独立に任意選択でR3によって置換されたC1-4アルキルであり、またはNR5R6はO、NR9およびS(O)0-2より選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含むC4-6ヘテロシクロアルキル環であり;
R7はC1-4アルキルであり;
R9はHまたはC1-4アルキルであり;
R11およびR12はH、OH、任意選択でR13によって置換されたC1-4アルキル、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、および任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルより独立に選択され;またはNR11R12は任意選択でR14によって置換され、任意選択でO、S(O)0-2およびNR15より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む4〜7員環基であり;
R13は任意選択でR14によって置換されたアリール、任意選択でR14によって置換されたヘテロアリール、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、または任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルであり;
R14はOR9、CO2R9もしくはN(R9)2であり(R9は上記に定義されたとおりである)、またはN(R9)2は任意選択でO、S(O)0-2およびNR15より選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含む4〜7員環基であり;またはN(R9)2は化学式
【化2】

【0013】
のラクタム、スクシンイミドもしくはヒダントインのような5員環基または6員環基であり;
R15はR9またはCOR16であり;
R16はC1-4アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R17は任意選択でR13によって置換されたC1-4アルキル、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、または任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルである];
あるいはその塩である。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、化学式(1)の化合物は、T細胞増殖に関連するか、または前炎症性サイトカイン、特にIL-1βもしくはIL-18によって媒介される病態の治療のための薬剤を製造するために使用される。
【0015】
従って、有効量の化学式(1)の化合物は、それを必要とする患者において、このような病態を治療する方法に使用され得る。
【0016】
好ましい実施形態の説明
本発明の化合物は1つ以上の非対称に置換された炭素原子を含み得ることが認識される。化学式(1)の化合物における1つ以上のこれらの不斉中心の存在は立体異性体を生じさせることができ、いずれの場合にも本発明は、エナンチオマーおよびジアステレオマー、ならびにそれらのラセミ混合物などの混合物を含むこのようなすべての立体異性体に及ぶことが理解されるべきである。
【0017】
「C1-4アルキル」という用語は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル部分を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert-ブチルなどを含む。
【0018】
「C4-6ヘテロシクロアルキル」という用語は、3〜6個の炭素原子ならびにN、OおよびSより選択される1つ以上のヘテロ原子を有する飽和複素環部分を指し、例えば、アゼチジニル基、オキセチジニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基などを含む。
【0019】
「4〜7員環基」という用語は、(上述のような)1つ以上のヘテロ原子を含みうる4〜7個の環原子を有する飽和もしくは不飽和の炭素環部分または複素環部分を指す。
【0020】
「アリール」および「ヘテロアリール」は同様に解釈されるべきである。それぞれ1個または2個の縮合環を有し、最大10個までの環原子を含みうる。その例は、フェニル基、ナフチル基、フリル基、ピリジル基およびチオフェニル基を含む。
【0021】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0022】
カルボキシル基は、メチル、エチル、ベンジルまたはtert-ブチルエステルなどの容易に開裂可能なエステルの形で保護され得る。
【0023】
本発明の化合物は、水和物または溶媒和物の形でありうる。
【0024】
化学式(1)の化合物の塩は、製薬上許容されうる塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩および安息香酸塩などの、無機酸または有機酸から生じる酸付加塩を含む。
【0025】
塩はまた、塩基とも形成されうる。このような塩は、例えば、マグネシウム塩もしくはカルシウム塩などのアルカリ金属塩、およびモルホリン塩、ピペリジン塩、ジメチルアミン塩もしくはジエチルアミン塩などの有機アミン塩のような、無機塩基または有機塩基から生じる塩を含む。
【0026】
化学式(1)の化合物は、当技術分野において既知の任意の適切な方法および/または下記に記載される過程によって調製されうる。化学式(1)の特定の立体異性体が必要とされる場合、本明細書に記載される合成過程は、適切なホモキラル出発物質および/または異性体(従来の分離技術(例えばHPLC)を用いて混合物から分離されてもよい)とともに使用されてもよいということが認識される。
【0027】
また、アミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基などの官能基は下記に記載される様々な化合物に存在するが、保持することが望ましい官能基は何らかの反応が開始される前に保護型にする必要がありうるということも認識される。このような場合、保護基の除去は特定の反応の最終段階でありうる。このような官能基に適した保護基は当業者に明確に理解されている。具体的な詳細については、"Protective Groups in Organic Synthesis", Wiley Interscience, T W Greene, PGM Wutsを参照せよ。
【0028】
Xが-OCR1でありYが-OCR2である一般化学式(1)の化合物を調製する過程は、塩基の存在下での活性化エステルの変換(ジアセレインからレインへのような)と、それに続く酸塩化物または酸無水物などの必要とされる活性化された酸との反応を含む。カルボン酸は還元されて、アルコールおよびさらに置換されるヒドロキシル基を生じ得るか、あるいはそれぞれ、適切なアミン、またはアルコールもしくはハロゲン化アルキルとカルボン酸または酸塩化物との反応によって、所望のアミドおよびエステルが形成され得る。ジアセレインおよび対応する活性化された酸は、市販されているか、または有機合成化学の当業者によって市販の物質から容易に得られる。
【0029】
XまたはYが水素である化学式(1)の化合物を調製するために、その過程は上述の過程と同様であるが、活性化された酸との反応の前に1つのヒドロキシル基を選択的に保護するさらなるステップを必要とし、これは続いて、目的化合物を得るために脱保護ステップを行わなければならない。
【0030】
得られた最終生成物あるいは中間体の任意の混合物は、構成成分の物理化学的差異に基づき、既知の方法で、例えば、クロマトグラフィー、蒸留、分別結晶化によって、またはその状況下で適切もしくは可能であれば塩の形成によって、純粋な最終生成物あるいは中間体に分離され得る。
【0031】
本発明の化学式(1)の化合物は、T細胞増殖に対してin vitroでの阻害活性を示す。本発明の化合物はまた、in vitroでの前炎症性サイトカイン放出の阻害を示す。化合物の活性は、例えば下記に記載されるような適切な細胞アッセイの使用によって測定されうる。
【0032】
本発明はまた、前述のようなT細胞増殖に起因し得る障害または疾患に苦しむ患者(ヒトおよび/あるいは乳業、食肉産業もしくは毛皮産業で、または愛玩動物として飼育される哺乳動物を含む)の治療方法、より具体的には、活性成分として化学式(I)のT細胞増殖阻害剤の投与を含む治療方法に関する。
【0033】
従って、化学式(1)の化合物は、特に、変形性関節症および関節リウマチ、乾癬、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、多発性硬化症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、ならびに潰瘍性大腸炎、クローン病を含む炎症性腸疾患、癌、糖尿病網膜症および加齢黄斑変性症の治療に使用され得る。
【0034】
上述のように、化学式(1)の化合物は、それらがT細胞増殖の阻害剤としての活性を有するため、人間医学または獣医学において有用である。従って別の態様では、本発明は、哺乳動物、特にヒトにおいてT細胞によって媒介される疾患または病態を管理(治療もしくは予防を意味する)する方法(その方法は、有効量の上記の化学式(1)の化合物または製薬上許容されうるその塩の哺乳動物への投与を含む);人間医学または獣医学における、特にT細胞によって媒介される疾患または病態の管理(治療もしくは予防を意味する)における使用のための化学式(1)の化合物;ならびにT細胞によって媒介される疾患または病態の管理(治療もしくは予防を意味する)のための薬剤の調製における化学式(1)の化合物の使用に関する。
【0035】
上述の疾患または病態は、関節リウマチ、変形性関節症、骨粗鬆症、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、歯周炎、歯肉炎、移植片対宿主反応、乾癬、強皮症、脱毛症、シェーグレン症候群、多発性筋炎、天疱瘡、ブドウ膜炎、アジソン病、アトピー性皮膚炎、喘息、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、腎症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)、癌、糖尿病網膜症および加齢黄斑変性症などの炎症性疾患ならびに自己免疫疾患を含む。
【0036】
関節リウマチ、多発性硬化症の治療のため、ならびに上記に強調されたようなT細胞の過剰な活性から生じる他の疾患および適応症において、化学式(1)の化合物は、毒性のない製薬上許容されうる担体、アジュバントおよびベヒクルを含有する投与単位製剤として、経口、局所、非経口、吸入もしくは鼻内噴霧によって、または直腸内に投与されうる。非経口という用語は、本明細書において用いられる場合、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内(intrasternal)注射または注入法を含む。マウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコなどの温血動物の治療に加えて、本発明の化合物はヒトの治療に有効である。
【0037】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性の粉末もしくは顆粒、乳剤、硬カプセルもしくは軟カプセル、またはシロップもしくはエリキシル剤のような経口用に適した剤型でありうる。経口用の組成物は、医薬組成物の製造のために当技術分野において既知の任意の方法に従って調製され、このような組成物は、製薬上洗練された口当たりのよい製剤を提供するために、甘味剤、矯味剤、着色剤および保存剤より選択される1つ以上の物質を含みうる。錠剤は、錠剤の製造に適した毒性のない製薬上許容されうる賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸などの造粒剤および崩壊剤;例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴムなどの結合剤;ならびに、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクなどの滑沢剤でありうる。錠剤は被覆されなくてもよく、またはそれらは、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間に渡る持続作用をもたらすために、既知の技術によって被覆されてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質が使用されうる。それらはまた、制御放出のための浸透圧性治療用錠剤を形成するために、US4256108、US4166452およびUS4265874に記載される技術によって被覆されてもよい。
【0038】
経口用の製剤はまた、活性成分が固体の不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、あるいは活性成分が水または油性溶媒、例えばラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとしても提供されうる。
【0039】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性物質を含む。このような賦形剤は、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムなどの懸濁化剤であり;例えばレシチンなどの天然のリン脂質、もしくはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレンなど)、もしくはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールなど)、もしくはポリオキシエチレンと脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物のようなエチレンオキシドと脂肪酸およびヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートなど)のような分散剤または湿潤剤である。水性懸濁液はまた、例えばp-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1つ以上の保存剤、1つ以上の着色剤、1つ以上の矯味剤、およびショ糖またはサッカリンなどの1つ以上の甘味剤を含有しうる。
【0040】
油性懸濁液は、活性成分を、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油もしくはココヤシ油などの植物油、または流動パラフィンなどの鉱油に懸濁することによって調製されうる。油性懸濁液は、例えばミツロウ、固形パラフィンまたはセチルアルコールのような増粘剤を含有しうる。口当たりのよい経口用製剤を提供するために、上述のような甘味剤、および矯味剤が添加されうる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤の添加によって保存されうる。
【0041】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性の粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1つ以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は例示され、例えば甘味剤、矯味剤および着色剤もまた存在しうる。
【0042】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型乳剤の剤型でありうる。その油相は、植物油、例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油、または鉱油、例えば流動パラフィン、またはそれらの混合物でありうる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えばアラビアゴムもしくはトラガカントゴム、天然のリン脂質、例えばダイズレシチン、ならびに脂肪酸および無水ヘキシトールに由来するエステルまたは部分エステル、例えばソルビタンモノオレアート、および前記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートでありうる。乳剤はまた、甘味剤および矯味剤を含有しうる。
【0043】
シロップおよびエリキシル剤は、甘味剤、例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはショ糖とともに調製されうる。このような製剤はまた、粘滑剤(demulcent)、保存剤ならびに矯味剤および着色剤を含有しうる。医薬組成物は、滅菌注射用水性懸濁液または油性懸濁液の剤型でありうる。この懸濁液は既知の技術に従って、上述された適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製されうる。滅菌注射用製剤はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液のような、毒性のない非経口的に許容されうる希釈剤または溶媒中の滅菌注射用溶液または懸濁液でありうる。許容されうるベヒクルおよび溶媒のうち、使用されうるものは、水、リンゲル液および生理食塩液である。加えて、滅菌した固定油は、溶媒または懸濁溶剤として従来使用されている。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無菌性の固定油が使用されうる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸は、注射用製剤における用途を見いだす。
【0044】
化学式(1)の化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐薬の剤型でも投与されうる。これらの組成物は、常温で固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸で融解して薬物を放出する適切な無刺激性の賦形剤と薬物とを混合することによって調製され得る。このような物質はカカオ脂およびポリエチレングリコールである。
【0045】
局所使用のために、化学式(1)の化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液または懸濁液が使用されうる。本出願の目的では、局所使用は洗口剤およびうがい薬を含む。
【0046】
体重1キログラムあたり1日あたり約0.05 mg〜約140 mg程度の投与量レベルが、上記の病態の治療に有用である(患者あたり1日あたり約2.5 mg〜約7 g)。例えば、炎症は体重1キログラムあたり1日あたり約0.01〜50 mg(患者あたり1日あたり約0.5 mg〜約3.5 g)の化合物の投与によって効果的に治療されうる。
【0047】
単回投与剤型を調製するために担体物質と組み合わされうる活性成分の量は、治療される患者(host)および特定の投与方法に応じて異なる。例えば、ヒトの経口投与用の製剤は、全組成物の約5〜約95パーセントまで変化しうる。投与単位剤型は通常、約1 mg〜約500 mgの活性成分を含有する。
【0048】
しかし、任意の特定の患者に対する特定の投与量レベルは、用いられる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与期間、投与経路、排出速度、薬物の組合せおよび治療を受ける特定の疾患の重症度を含む様々な要因に依存することが理解される。
【0049】
下記の実施例は本発明を説明する。実施例1、2および4の出発物質(4,5-ジテトラヒドロピラノイルオキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸)は、WO2005/085170に記載されるように調製された。
【実施例】
【0050】
実施例1
1,8-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-3-(モルホリン-4-カルボニル) -9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン
【化3】

【0051】
マグネティックスターラーを備えた100 mLフラスコに、4,5-ジテトラヒドロピラノイルオキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸(2.00 g、3.9×10-3 mol)を加え、窒素下、DCM(50 mL)中で撹拌した。EDCI(0.90 g、4.7×10-3 mol)およびHOBt(0.65 g、4.7×10-3 mol)を添加し、溶液を15分間撹拌した。固体懸濁液は溶解してDCM溶液となった。その後、モルホリン(0.54mL、5.9×10-3 mol)を添加し、溶液を30分間撹拌した。
【0052】
反応混合物を30OmLのDCM中に希釈した。有機層を200 mLの飽和NaHCO3溶液、および200 mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。有機層を分離し、減圧下で蒸発乾固した。その結果生じた残渣を水中で粉砕、ろ過し、高減圧下で乾燥させて、黄色固体として目的とする生成物を得た(1.95g、87%)。
1H NMR (500MHz, DMSO)δ= 8.1 (d, 1H, Ar)、8.0 (s, 1H, Ar)、7.9 (t, 1H, Ar)、7.7 (s, 1H, Ar)、7.6 (d, 1H, Ar)、3.9 (d, 4H, THP基)、3.6 (broad, 4H, モルホリン) 、3.5 (broad, 2H, モルホリン)、3.4 (t, 4H, THP基)、3.0 (m, 2H, モルホリン)、2.5 (s, 2H, THP基)、2.0 (d, 4H, THP基)、1.8 (q, 4H, THP基)。
【0053】
実施例2
1,8-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-3-エチルカルバモイル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン
【化4】

【0054】
マグネティックスターラーを備えた100 mLフラスコに、4,5-ジテトラヒドロピラノイルオキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸(2.00 g、3.9×10-3 mol)を加え、窒素下、DCM(50 mL)中で撹拌した。EDCI(0.90 g、4.7×10-3 mol)およびHOBt(0.65 g、4.7×10-3 mol)を添加し、溶液を15分間撹拌した。固体懸濁液は溶解してDCM溶液となった。その後、エチルアミン(3.0OmL、5.9×10-3 mol)を添加し、溶液を15分間撹拌した。
【0055】
その後、反応混合物を30OmLのDCM中に希釈した。有機層を200 mLの飽和NaHCO3溶液、および200 mLの飽和NaCl溶液で洗浄した。有機層を分離し、減圧下で蒸発乾固した。その結果生じた残渣を水中で粉砕、ろ過し、高減圧下で乾燥させて、黄色固体として目的とする生成物を得た(1.56g、75%)。
1H NMR (500MHz, DMSO) は構造と一致し、
δ=9.0 (s, 1H, N-H)、8.5 (t, 1H, Ar)、8.1 (d, 1H, Ar)、8.0 (s, 1H, Ar)、7.9 (t, 1H, Ar)、7.6 (d, 1H, Ar)、3.9 (d, 4H, THP基)、3.4 (t, 4H, THP基)、2.9 (q, 2H, CH2)、2.5 (s, 2H, THP基)、2.0 (d, 4H, THP基)、1.8 (q, 4H, THP基)、1.2 (t, 3H, CH3)。
【0056】
実施例3
4,5-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸2-メトキシエチルエステル
【化5】

【0057】
マグネティックスターラー、ディーン・スターク装置を備えた250 mLフラスコに、窒素下、2-メトキシエタノール(300 mL)および4,5-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソアントラセン-2-カルボン酸(3.00 g、10.6×10-3 mol)を0.1 mLのH2SO4とともに加えた。混合物を24時間還流させた(外部油浴温度:145℃)。その後、反応混合物を室温に冷却した。
【0058】
その結果生じた固体をろ過し、10 mLの冷却したEt2Oで洗浄した。4,5-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソアントラセン-2-カルボン酸2-メトキシエチルエステルを黄色固体として単離した(2.9 g、81%)。
【0059】
1H NMR分析は目的とする生成物と一致し、(500MHz, DMSO)δ=8.1 (s, 1H, Ar)、7.8 (t, 1H, Ar)、7.7 (s, 1H, Ar)、7.7 (d, 1H, Ar)、7.4 (d, 1H, Ar)、4.4 (t, 2H, COOCH2)、3.7 (t, 2H, CH2OCH3)、3.3 (s, 3H, CH2OCH3)であった。
【0060】
マグネティックスターラー、還流冷却器、等圧滴下漏斗を備えた250 mLフラスコに、窒素下、4,5-ジヒドロキシ-9,10-ジオキソアントラセン-2-カルボン酸2-メトキシエチルエステル(2.7Og、7.88×10-3 mol)を加え、続いてピリジン(85 mL)を加えた。すべての出発物質が溶解した時、テトラヒドロピラン-4-カルボン酸塩化物(4.53 g、31.52×10-3 mol)を滴下し、溶液を室温で48時間撹拌した。TLC分析80:20(DCM: MeOH)は、出発物質が存在しないことを示した。
【0061】
水(250 mL)を加え、酢酸エチルによって抽出した(4×400 mL)。有機層を混合し、水(2×300 mL)および飽和NaCl溶液(2×300 mL)で洗浄した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、ろ過し、減圧下で蒸発乾固した。その後、その結果生じた固体をEt2O中で粉砕、ろ過し、減圧下で乾燥させて、黄色固体として4,5-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸2-メトキシエチルエステルを得た(3.17g、71%)。
1H NMRは構造と一致し(500MHz, DMSO)、
δ=8.8 (s, 1H, Ar)、8.2 (d, 1H, Ar)、8.0 (s, 1H, Ar)、7.7 (t, 1H, Ar)、7.3 (d, 1H, Ar)、4.5 (t, 2H, COOCH2)、4.0 (t, 4H, THP基)、3.7 (t, 2H, CH2OCH3)、3.5 (m, 4H, THP基)、3.4 (s, 3H, CH2OCH3)、2.9 (m, 2H, THP基)、2.1 (m, 4H, THP基)、2.0 (m, 4H, THP基)。
【0062】
実施例4
4,5-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸エチルエステル
【化6】

【0063】
4,5-ジテトラヒドロピラノイルオキシ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸(5 g、9.8 mmol)をDMF(200 ml)に溶解し、室温で水素化ナトリウム(432 mg、10.8 mmol)を加えた。その結果生じた黄色沈殿物を30分間室温で撹拌し、その後、ヨウ化エチル(0.94 ml、11.8 mmol)を加えた。混合物を50℃で48時間撹拌し、水(300 ml)上に注いだ。水層を酢酸エチル(3×200 ml)によって抽出し、有機層を乾燥し(MgSO4)、蒸発乾固して褐色固体を得た。これをジエチルエーテル(40 ml)中で粉砕し、橙色の固体を得た(2.4 g、45%)。
1H NMR (400 MHz, DMSO):1.38 (3H, t J=7.2 Hz)、1.76-1.89 (4H, m)、2.00-2.04 (4H, m)、2.95-2.99 (2H, m)、3.45 (4H, t J=11.2 Hz)、3.94-3.96 (4H, m)、4.42 (2H, q J=7.2 Hz)、7.65 (1H, dd J=8.4, 1.2 Hz)、7.96 (1H, t J=8.4 Hz)、8.08 (1H, d J=2 Hz)、8.15 (1H, dd J=8.4, 1.2 Hz)、8.54 (1H, d J=2 Hz)。13C NMR (100 MHz, DMSO):14.62、28.75、28.82、62.58、66.71、125.38、125.70、126.02、128.91、130.73、131.35、134.66、135.22、135.72、136.06、150.11、150.39、164.11、172.69、172.75、180.71、181.29;LC-MS:537 (M + H+)。
【0064】
下記の化合物は同様の方法で得られた。
実施例5
4a,9,9a,10-テトラヒドロ-4,5-ビス(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-オキソエチル)-9,10-ジオキソアントラセン-2-ニトリル
実施例6
4a,9,9a,10-テトラヒドロ-4,5-ビス(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-オキソエチル)-9,10-ジオキソアントラセン-2-(1H-テトラゾール-5-イル)
【0065】
LPSマウスアッセイ
7週齢のBalb C ByJマウス(24〜28 g)に、経口(10 ml/kg)投与によって、ベヒクルまたは試験物質のいずれかを投与した。30分後、これらの動物に1 mg/kg LPSの腹腔内注射を行った。LPS投与の2時間後、軽度のイソフルラン麻酔下で眼窩後穿刺によって通常のチューブに血液サンプルを採取した。サンプルを室温で凝血させ、その後、600Og、4℃で3分間遠心分離した。血清は使用するまで-20℃で保存した。血清中TNFαレベルおよびIL-10レベルをELISA法によって二連で分析した。
【0066】
30 mg/kgの実施例1の化合物はマウスにおけるLPS誘導性TNFα分泌に影響を及ぼしたが、一方3、10および30 mg/kgは同一のLPS刺激に由来するIL-1βレベルを低下させた。これは、主としてIL-1βに対する作用を介した、刺激された先天性の免疫系に対する複数のサイトカインの作用を示す。
【0067】
10 mg/kgの実施例2の化合物は、LPS誘導性TNFα分泌を阻害した。これは、刺激された先天性の免疫系に対するTNFαの作用を示す。
【0068】
30 mg/kg用量の実施例3の化合物は、LPS誘導性TNFα分泌に影響を及ぼした。これは、刺激された先天性の免疫系に対するTNFα作用分子を示す。
【0069】
カラギーナン肢アッセイ(Carrageenan Paw Assay)
絶食させた(18時間)オスのWistarラット(105〜130 g)を体重測定し、肢を脛骨足根骨関節まで水銀に浸すことによって、右後肢の水銀足容積測定装置での基礎測定値を測定した。その後、ベヒクル、参照物質および試験物質を強制経口投与(10 ml/kg)によって投与した。処理の30分後、0.9%生理食塩水中2%のカラギーナン0.1 mlを、右後肢の足底部に注射した。カラギーナン投与後1、2、3、4および5時間目に再度、足容積測定装置で右肢を測定した。
【0070】
実施例1および4の化合物(0.3〜30 mg/kg)は、足底内カラギーナン誘導性肢浮腫モデルの炎症において用量依存的な効果を及ぼした。これは、LPSマウスアッセイにおいて見られたサイトカイン調節効果が機能的な抗炎症活性につながることを実証する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式(1)の化合物
【化1】

[式中、XはHまたは-OCR1であり、YはHまたは-OCR2であるが、ただしXとYの両方がHではなく;
RはCH2OR9、CONR11R12、CN、テトラゾールまたはCOOR17であり;ここで
R1およびR2は、R3によって置換されたC1-4アルキル、ならびにCF3、OR4、NR5R6、S(O)0-2R7、任意選択でR3によって置換されたC1-4アルキル、およびハロゲンより選択される基によって任意選択で置換された4〜7員環基(その基はまた任意選択でO、S(O)0-2およびNR9より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む)より独立に選択され;
R3はCF3、OR4、NR5R6またはS(O)0-2R7であり;または
R4、R5およびR6は独立に任意選択でR3によって置換されたC1-4アルキルであり、またはNR5R6はO、NR9およびS(O)0-2より選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含むC4-6ヘテロシクロアルキル環であり;
R7はC1-4アルキルであり;
R9はHまたはC1-4アルキルであり;
R11およびR12はH、OH、任意選択でR13によって置換されたC1-4アルキル、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、および任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルより独立に選択され;またはNR11R12は任意選択でR14によって置換され、任意選択でO、S(O)0-2およびNR15より選択される1つ以上のヘテロ原子を含む4〜7員環基であり;
R13は任意選択でR14によって置換されたアリール、任意選択でR14によって置換されたヘテロアリール、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、または任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルであり;
R14はOR9、CO2R9もしくはN(R9)2であり(R9は上記に定義されたとおりである)、またはN(R9)2は任意選択でO、S(O)0-2およびNR15より選択される1つ以上のさらなるヘテロ原子を含む4〜7員環基であり;またはN(R9)2は化学式
【化2】

のラクタム、スクシンイミドもしくはヒダントインのような5員環基または6員環基であり;
R15はR9またはCOR16であり;
R16はC1-4アルキル、アリールまたはヘテロアリールであり;
R17は任意選択でR13によって置換されたC1-4アルキル、任意選択でR14によって置換されたC3-6シクロアルキル、または任意選択でR14によって置換されたC4-6ヘテロシクロアルキルである];
あるいはその塩。
【請求項2】
Xが-OCR1であり、Yが-OCR2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが-OCR1であり、YがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがHであり、Yが-OCR2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
R1およびR2がそれぞれ4-テトラヒドロピラニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
1,8-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-3-(モルホリン-4-カルボニル)-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン、
1,8-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-3-エチルカルバモイル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン、
4,5-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-9,10-ジオキソ-9,1O-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸2-メトキシエチルエステル、
4,5-ビス(テトラヒドロピラン-4-カルボニルオキシ)-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-カルボン酸エチルエステル、
4a,9,9a,10-テトラヒドロ-4,5-ビス(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-オキソエチル)-9,10-ジオキソアントラセン-2-ニトリル、または
4a,9,9a,10-テトラヒドロ-4,5-ビス(2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2-オキソエチル)-9,10-ジオキソアントラセン-2-(1H-テトラゾール-5-イル)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
治療に使用するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物および製薬上許容されうる希釈剤または担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
T細胞増殖に関連する病態、または前炎症性サイトカイン、特にIL-1βもしくはIL-18によって媒介される病態の治療のための薬剤を製造するための、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
前記病態が関節リウマチ、変形性関節症または骨粗鬆症などの慢性退行性疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記病態が多発性硬化症などの慢性脱髄疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項12】
前記病態が喘息または慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項13】
前記病態が潰瘍性大腸炎またはクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)である、請求項9に記載の使用。
【請求項14】
前記病態が乾癬、強皮症またはアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項15】
前記病態が歯周病または歯肉炎などの歯の疾患である、請求項9に記載の使用。
【請求項16】
前記病態が糖尿病性腎症、ループス腎炎、IgA腎症または糸球体腎炎である、請求項9に記載の使用。
【請求項17】
前記病態が全身性紅斑性狼瘡(SLE)である、請求項9に記載の使用。
【請求項18】
前記病態が移植片対宿主病である、請求項9に記載の使用。
【請求項19】
前記病態が血管新生を特徴とする、請求項9に記載の使用。
【請求項20】
前記病態が癌である、請求項9に記載の使用。
【請求項21】
前記病態が糖尿病網膜症または加齢黄斑変性症である、請求項9に記載の使用。

【公表番号】特表2009−504625(P2009−504625A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525642(P2008−525642)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002999
【国際公開番号】WO2007/017695
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507303376)ソーセイ アールアンドディ リミテッド (16)
【Fターム(参考)】