説明

ジヒドロキシフェニルアラニン誘導体

本発明は、ジヒドロキシフェニルアラニン誘導体、その生成、および該ジヒドロキシフェニルアラニン誘導体を含む医薬品組成物に関する。本発明は、さらに運動障害、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、片側萎縮症−片側パーキンソン症、パーキンソン症候群、レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症−認知症−筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、進行性淡蒼球萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X染色体連鎖性ジストニア(Morbus Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症、下肢静止不能症候群、ウィルソン病の治療および予防のための該ジヒドロキシフェニルアラニン誘導体の使用および医薬品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジヒドロキシフェニルアラニンの誘導体、それらの合成のための方法およびそれらの使用、およびこれらのジヒドロキシフェニルアラニンの誘導体を含む医薬品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
DOPAは、IUPAC名2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−プロピオン酸としておよび慣用名レボドパとして知られており、そして特にパーキンソン病の治療のために用いられる。
【0003】
パーキンソン病は、パーキンソン症候群としても知られており、なお不治である慢性疾患の1つである。疾患の経過は、脳の黒質(黒い物質)中にある、化学メッセンジャーであるドーパミンを含む神経細胞が、ゆっくり死滅することで特徴付けられる。したがって、化学メッセンジャーであるドーパミンの十分量の形成は、保証されない。変異(例えば、レーヴィ小体)はまた、青斑核、縫線核、マイネルトの基底核、迷走神経の核および海馬のような脳の他の部分にも見出され得る。ドーパミンは、筋骨系の制御のための必須メッセンジャーであり、そしてドーパミンの欠如は、振戦(静止振戦)、不随意筋緊張(強直)および運動の緩慢(運動低下)のような運動障害を引き起こす。進行期では、さらなる運動障害、例えば、運動開始不能性(すくみ)および転倒の高い危険度を伴う垂直姿勢維持不可能性が出現する。さらに、思考プロセスおよび記憶ならびに感情が影響を受け、うつおよび末期では認知症を発症する。
【0004】
パーキンソン病は、弧発性形態(関係のある人の95%)と血統性形態とに分けられる。後者の形態は、主として疾患危険度の遺伝性伝達によって引き起こされる。さらに、運動障害を含むいくつかの疾患が記載されている;しかし、それらの出現は他の原因によってである。それらは、2次的パーキンソン症と呼ばれる。これらの形態は、神経弛緩薬ならびにレセルピンおよびそれらの誘導体のような医薬品によって引き起こされ得る。さらに、片側パーキンソン−片側萎縮症症候群が知られている。パーキンソン症候群はまた、水頭症、酸素欠乏、脳の感染症(脳炎)、マンガン中毒、一酸化炭素(CO)中毒、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)中毒および青酸中毒と関連し得る。さらなる原因は、副甲状腺疾患、脳腫瘍、脳病変、および脳血管の多発性閉塞(梗塞)である。運動障害を伴うさらなる疾患は、アルツハイマー病、びまん性レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症/認知症/筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、淡蒼球の進行性萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X連鎖性ジストニア−パーキンソン症(Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症およびウィルソン病である。
【0005】
最初は、L−DOPAが有望な医薬品として用いられたが、すぐに長期治療の副作用が観察された。これは、ジスキネジア(異常な不随意運動)およびジストニア(疼痛性筋痙攣)から突発交替性運動およびすくみ相に及んだ。さらに、L−DOPAが脳中のドーパミン含有神経細胞の破壊を促進し得ることがわかった。
【0006】
ドイツでは、60歳を超える人口の1〜2%がパーキンソン病を被っている。したがって、パーキンソン病および他の運動障害の治療に適した医薬品を緊急に提供する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特に運動障害の治療のために用いられ得る、生理的に許容可能な物質および医薬品組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は、独立請求項の技術的教示によって解決される。さらなる好都合な実施態様、局面、および発明の詳細は、従属請求項、詳細な説明および実施例から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、一般式(I)の化合物であって、
【0010】
【化1】

【0011】
ここで、RおよびRは、互いに独立して、以下の残基:−H、−R、−R、−CO−H、−CO−CH、−CO−C、−CO−C、−CO−C、−CO−C11、−CO−C13、−CO−CH(CH、−CO−シクロ−C、−CO−CH−CH(CH、−CO−CH(CH)−C、−CO−C(CH、−CO−シクロ−C、−CO−シクロ−C、−CO−シクロ−C11、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH、−C、−C、−CH(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−C(CH、−C11、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH(CH、−C(CH−C、−CH−C(CH、−CH(C、−C−CH(CH、−C13、−C−CH(CH、−C−CH(CH)−C、−CH(CH)−C、−CF、−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−CH(CH、−CH−C(CH−C、−C(CH−C、−C(CH−CH(CH、−C−C(CH、−CH(CH)−C(CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH−CH=CH−CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−CH=CH−CH、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C11
【0012】
【化2】

【0013】
を表し;
は、残基−CHCHO−R、−H、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH、−C、−C、−CH(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−C(CH、−C11、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH(CH、−C(CH−C、−CH−C(CH、−CH(C、−C−CH(CH、−C13、−C−CH(CH、−C−CH(CH)−C、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH−CH(CH、−CH(CH)−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−CH(CH、−CH−C(CH−C、−C(CH−C、−C(CH−CH(CH、−C−C(CH、−CH(CH)−C(CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH−CH=CH−CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−CF、−C、−CH=CH−CH、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C11を表し;
【0014】
およびRは、互いに独立して、基−CO−Rまたは−CO−Rまたは−Hを表し(ここで、RおよびRは同時には−Hを表さない);および
【0015】
およびRは、互いに独立して、以下の残基:−R10、−R11、2〜25の炭素原子を有する直鎖飽和アルキル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐飽和アルキル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルケニル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルキニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニニル鎖、炭素環または複素環を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖、1以上の水酸基、アルコキシ基、チオ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基および/またはニトロ基を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖を表し;
【0016】
、R、R10およびR11は、互いに独立して、以下の残基:
−CH12、−CHR1314、−CR151617、−CH−CR181920、−CH−CHR2122、−CR2324−CR252627、−CR2829−CR3031−CR323334、−CR3536−CR3738−CR3940−CR414243;2〜25の炭素原子を有するアルキル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルキル基;2〜25の炭素原子を有するアルケニル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルケニル基;2〜25の炭素原子を有するアルキニル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルキニル基;2〜25の炭素原子を有するアルコキシ基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルコキシ基;2〜25の炭素原子を有するアリール基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアリール基;2〜25の炭素原子を有するヘテロアリール基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているヘテロアリール基;2〜25の炭素原子を有するヘテロシクリル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているヘテロシクリル基を表し、
【0017】
12〜R47は、互いに独立して、以下の残基:
−H、−OH、−OCH、−OC、−OC、−O−シクロ−C、−OCH(CH、−OC(CH、−OC、−OPh、−OCH−Ph、−OCPh、−SH、−SCH、−SC、−SC、−S−シクロ−C、−SCH(CH、−SC(CH、−NO、−F、−Cl、−Br、−I、−N、−CN、−OCN、−NCO、−SCN、−NCS、−CHO、−COCH、−COC、−COC、−CO−シクロ−C、−COCH(CH、−COC(CH、−COOH、−COCN、−COOCH、−COOC、−COOC、−COO−シクロ−C、−COOCH(CH、−COOC(CH、−OOC−CH、−OOC−C、−OOC−C、−OOC−シクロ−C、−OOC−CH(CH、−OOC−C(CH、−CONH、−CONHCH、−CONHC、−CONHC、−CON(CH、−CON(C、−CON(C、−CON(シクロ−C、−NH、−NHCH、−NHC、−NHC、−NH−シクロ−C、−NHCH(CH、−NHC(CH、−N(CH、−N(C、−N(C、−N(シクロ−C、−N[CH(CH、−N[C(CH、−SOCH、−SOC、−SOC、−SOCH(CH、−SOC(CH、−SOCH、−SO、−SO、−SO−シクロ−C、−SOCH(CH、−SOC(CH、−SOH、−SOCH、−SO、−SO、−SO−シクロ−C、−SOCH(CH、−SOC(CH、−OCF、−OC、−O−COOCH、−O−COOC、−O−COOC、−O−COO−シクロ−C、−O−COOCH(CH、−O−COOC(CH、−NH−CO−NH、−NH−C(=NH)−NH、−O−CO−NH、−O−CO−NHCH、−O−CO−NHC、−O−CO−NHC、−O−CO−NH−シクロ−C、−O−CO−N(CH、−O−CO−N(C、−O−CO−N(C、−O−CO−OCH、−O−CO−OC、−O−CO−OC、−O−CO−O−シクロ−C、−O−CO−OCH(CH、−O−CO−OC(CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CH−CHF、−CH−CHF、−CH−CF、−CH−CHCl、−CH−CHBr、−CH−CHI、−CH、−C、−C、−シクロ−C、−CH(CH、−C(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−Ph、−CH−Ph、−CPh、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH=C(CH、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH−C≡CHを表す、化合物;ならびに
上記化合物の薬理学的に許容可能な塩、溶媒化合物、水和物、錯化合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ化合物に関する。
【0018】
本発明の式(I)の化合物は、それ自体またはそれらの薬理学的活性塩の形態のいずれかで投与され得る。一般式(I)の化合物は、塩基性および酸性の両方の特性を有し得るため、これらの化合物の塩は、通常の方法にしたがって調製され得る。
【0019】
式(I)による化合物の塩の適切な例としては、酸添加塩、アルカリ金属塩、およびアミンを有する塩が挙げられる。アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、またはマグネシウム塩、カルシウム塩)、アルキルアミノ塩、またはアミノ酸塩(例えば、リジンのような塩基性アミノ酸の塩)が挙げられ得る。以下の酸は、式(I)の化合物の酸添加塩を形成する酸の中に含まれ得る:硫酸、スルホン酸、リン酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、臭化水素酸、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、シュウ酸、グルコン酸(グリコン酸、デキストロン酸(Dextronsaure))、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸(ヒドロキシマロン酸、ヒドロキシプロパン二酸)、フマル酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、ヒドロキシマレイン酸、ピルビン酸、フェニル酢酸、(o,m,p)−トルイル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、エチレンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフチルスルホン酸、ナフチルアミンスルホン酸、スルファニル酸、カンファースルホン酸、キナ酸(キニン酸)、o−メチルマンデル酸、水素−ベンゼンスルホン酸、ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール)、アジピン酸、d−o−トリル酒石酸、アミノ酸(例えば、メチオニン、トリプトファン、アルギニンおよび特にグルタミン酸またはアスパラギン酸のような酸性アミノ酸)。
【0020】
一般式(I)の化合物の種類に応じて、ベタインの形態もまた可能である。
【0021】
好ましくは、一般式(I)の化合物であって、式(V)に示すように、プロピオン酸鎖の第2位のキラル中心がS立体配置を有する化合物である:
【0022】
【化3】

【0023】
さらに好ましくは、RおよびRがアセチル基およびアルキル基を表すような化合物である。したがって、一般式(II)の化合物が得られる:
【0024】
【化4】

【0025】
ここで、RおよびRは、上記に示した意味を有する。ここでも、プロピオン酸鎖の第2炭素原子でのS立体配置が好ましい。
【0026】
さらに、RまたはRのいずれかが水素を表すような化合物が好ましい。Rが水素を表す場合は、一般式(III)の以下の化合物が得られる:
【0027】
【化5】

【0028】
ここで、R、RおよびRは、上記に示した意味を有する。ここでも、アミノ基を有する炭素原子がS立体配置を有することが好ましい。
【0029】
が水素を表す場合には、型(IV)の化合物が得られる:
【0030】
【化6】

【0031】
ここで、R、RおよびRは、上記に示した意味を有する。ここでも、プロピオン酸鎖の第2炭素原子でのS立体配置が好ましい。さらに、式(IV)の基RおよびRが両方とも水素またはアセチル基またはアルキル基を表すことが好ましい。
【0032】
好ましくは、基−CO−Rおよび−CO−Rは、対応する脂肪酸HOOC−RおよびHOOC−R由来の脂肪酸基を表す。この場合、残基−Rおよび−Rは、脂肪酸の炭素鎖を表す。該炭素鎖は、置換された炭素鎖の場合には2〜25および好ましくは5〜9の炭素原子からなる。脂肪酸の該炭素鎖は、飽和または不飽和であり得、分岐し得、そして特にそれらは、1以上の孤立した、共役の、または多共役の二重および/または三重結合を含み得ることが知られている。
【0033】
さらに好ましくは、特に一般式:
【0034】
【化7】

【0035】
の化合物である。
ここで、「脂肪酸」は、アシル基、特に本明細書中に記載の脂肪酸を表す。本明細書では、該脂肪酸の炭素鎖をRおよびRとも呼ぶ。
【0036】
1以上の水酸基、アルコキシ基、チオ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基および/またはニトロ基で置換されている炭素鎖または環系を含む炭素鎖の場合には、7〜25の炭素原子の数が好ましい。残基RおよびRによって表される任意の炭素鎖において、5〜24の数の炭素原子が好ましく、7〜23の炭素原子がより好ましく、9〜22の炭素原子がなおより好ましく、11〜21の炭素原子がなおより好ましく、および13〜20の炭素原子が特に好ましい。
【0037】
リポ酸残基およびジヒドロリポ酸残基は、環状または置換された炭素残基のために好ましい。
【0038】
以下に、カルボン酸残基およびそれらの命名法をさらに記載する。以下の脂肪酸は、化合物HOOC−RおよびHOOC−Rの一例である:
【0039】
【化8】

【0040】
この脂肪酸は、6,9−オクタデセニン酸またはオクタデカ−6−エン−9−イン酸と呼ばれる。残基−CO−Rまたは−CO−Rによって表されるカルボン酸残基
【0041】
【化9】

【0042】
は、6,9−オクタデセニノイルまたはオクタデカ−6−エン−9−イノイルと呼ばれる。残基−Rおよび−Rによって表されるカルボン酸の炭素鎖は以下の通りであり:
【0043】
【化10】

【0044】
そして、5,8−ヘプタデセニニルまたはヘプタデク−5−エン−8−イニルと呼ばれる。
【0045】
不飽和脂肪酸中の多重結合の位置の呼称のために、化学的および生化学的命名法が確立されている。したがって、例えば、リノール酸は、シス−9,シス−12−オクタデカジエン酸(化学的命名法)またはΔ9,12−オクタデカジエン酸またはオクタデカジエン酸(18:2)またはオクタデカジエン酸18:2(n−6)(生化学的または生理学的命名法)と呼ばれる。オクタデカジエン酸18:2(n−6)の場合には、炭素原子の数は、nによって表され、そして整数「6」は、最後の二重結合の位置を示す。したがって、18:2(n−6)は、18の炭素原子、2つの二重結合、および最後の二重結合から末端のメチル基まで6炭素原子の距離を有する脂肪酸を表す。
【0046】
本発明の化合物は、エステル結合を介して、その中間にエチレングリコール基が位置するDOPA(2−アミノ−3−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−プロピオン酸)のカルボキシレート基に連結されたカルボン酸残基(式IIIを参照のこと)を含むか、あるいはアミド結合を介して、DOPAのアミノ基に連結されたカルボン酸残基(式IVを参照のこと)を含むため、以下に列挙するカルボン酸および特に脂肪酸が、本発明にしたがって、一般式(I)の化合物の合成のために用いられ得る。対応するカルボニル基は残基−CO−Rおよび−CO−Rによって表され、そして対応するカルボン酸の炭素鎖は残基−RおよびRによって表される。
【0047】
表1は直鎖および飽和カルボン酸のリストを示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表2はモノオレフィン型脂肪酸のリストを示す。
【0050】
【表2】

【0051】
表3は多価不飽和脂肪酸のリストを示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表4はアセチレン型脂肪酸のリストを示す。
【0054】
【表4】

【0055】
好ましくは、以下のカルボン酸が本発明の化合物の合成のために用いられる:リノール酸、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸、アラキドン酸、7,10,13,16−ドコサテトラエン酸、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸、α−リノレン酸、ステアリドン酸、8,11,14,17−エイコサテトラエン酸、EPA、DPA、DHA、ミード酸、エレオステアリン酸、カレンド酸、カタルピン酸、ステラヘプタエン酸(Stellaheptaensaure)、タキソール酸、ピノレン酸、シアドン酸、レチノイン酸、イソパルミチン酸、プリスタン酸、フィタン酸、11,12−メチレンオクタデカン酸、9,10−メチレンヘキサデカン酸、コロナリン酸(Coronarinsaure)、(R,S)−リポ酸、(S)−リポ酸、(R)−リポ酸、6,8−ビス(メチルスルファニル)−オクタン酸、4,6−ビス(メチルスルファニル)−ヘキサン酸、2,4−ビス(メチルスルファニル)−ブタン酸、1,2−ジチオランカルボン酸、(R,S)−6,8−ジチアンオクタン酸、(R)−6,8−ジチアンオクタン酸、(S)−6,8−ジチアンオクタン酸、タリリン酸、サンタルビン酸、ステアロール酸、6,9−オクタデセニン酸、ピルリン酸(Pyrulinsaure)、クレペニン酸、ヘイステリン酸(Heisterinsaure)、t8,t10−オクタデカジエン−12−イン酸、ETYA、セレブロン酸、ヒドロキシネルボン酸、リシノール酸、レスケロール酸(Lesquerolinsaure)、ブラシル酸およびタプシン酸。
【0056】
カルボン酸の中では、γ−リノレン酸、α−リノレン酸、EPA、DHA、(R,S)−リポ酸、(S)−リポ酸および(R)−リポ酸、6,8−ビス(メチルスルファニル)−オクタン酸、4,6−ビス(メチルスルファニル)−ヘキサン酸、2,4−ビス(メチルスルファニル)−ブタン酸、1,2−ジチオランカルボン酸が、特に好ましい。
【0057】
ドデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、テトラコサノイル、シス−9−テトラデセノイル、シス−9−ヘキサデセノイル、シス−6−オクタデセノイル、シス−9−オクタデセノイル、シス−11−オクタデセノイル、シス−9−エイコセノイル、シス−11−エイコセノイル、シス−13−ドコセノイル、シス−15−テトラコセノイル、9,12−オクタデカジエノイル、6,9,12−オクタデカトリエノイル、8,11,14−エイコサトリエノイル、5,8,11,14−エイコサテトラエノイル、7,10,13,16−ドコサテトラエノイル、4,7,10,13,16−ドコサペンタエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル、6,9,12,15−オクタデカテトラエノイル、8,11,14,17−エイコサテトラエノイル、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル、7,10,13,16,19−ドコサペンタエノイル、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル、5,8,11−エイコサトリエノイル、1,2−ジチオラン−3−ペンタノイル、6,8−ジチアンオクタノイル、ドコサヘプタデカノイル、エレオステアロイル、カレンドイル(Calendoyl)、カタルポイル(Catalpoyl)、タキソレオイル(Taxoleoyl)、ピノレノイル(Pinolenoyl)、シアドノイル(Sciadonoyl)、レチノイル、14−メチルペンタデカノイル、プリスタノイル、フィタノイル、11,12−メチレンオクタデカノイル、9,10−メチレンヘキサデカノイル、9,10−エポキシステアロイル、9,10−エポキシオクタデカ−12−エノイル、6−オクタデシノイル、t11−オクタデセン−9−イノイル、9−オクタデシノイル、6−オクタデセン−9−イノイル、t10−ヘプタデセン−8−イノイル、9−オクタデセン−12−イノイル、t7,t11−オクタデカジエン−9−イノイル、t8,t10−オクタデカジエン−12−イノイル、5,8,11,14−エイコサテトライノイル、2−ヒドロキシテトラコサノイル、2−ヒドロキシ−15−テトラコセノイル、12−ヒドロキシ−9−オクタデセノイルおよび14−ヒドロキシ−11−エイコセノイルが、残基−CO−Rおよび−CO−Rとして好ましい。さらに、上記脂肪酸残基はまた、R12〜R47と呼ぶ基から選択される1、2またはより多くの置換基で置換され得る。
【0058】
以下の基は、残基−CO−Rおよび−CO−Rとして特に好ましい:9,12−オクタデカジエノイル、6,9,12−オクタデカトリエノイル、8,11,14−エイコサトリエノイル、5,8,11,14−エイコサテトラエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル、6,9,12,15−オクタデカテトラエノイル、8,11,14,17−エイコサテトラエノイル、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル、7,10,13,16,19−ドコサペンタエノイル、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル、5,8,11−エイコサトリエノイル、1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルおよび6,8−ジチアンオクタノイル。
【0059】
本発明の化合物は、公知の手順にしたがって、L−DOPAの両方の水酸基を保護または誘導体化し、次いで、例えば、無水物によって脂肪酸またはカルボン酸とアミド結合を形成させることによって、またはL−DOPAのアミノ基を保護し、そして例えば、活性化カルボン酸(カルボン酸塩化物、カルボン酸臭化物、カルボン酸アジ化物、無水物、カルボン酸スクシンイミジルエステルなど)とエステル結合を形成させることによって得られる。その後、アミノ基は、脱保護し得、そして同じまたは異なる脂肪酸またはカルボン酸と反応させてアミド結合を形成させ得る。最終的に、水酸保護基は除去し得る。
【0060】
さらに、本発明は、少なくとも1つの本発明の化合物またはその塩を用いて製造された医薬品組成物に関する。
【0061】
一般式(I)の少なくとも1つの化合物に加えて、医薬品組成物は、薬理学的に許容可能な担体、補助剤および/または希釈剤を含む。
【0062】
医薬品組成物は、点滴剤、口腔内スプレー、鼻腔内スプレー、丸剤、錠剤、フィルムコーティング錠剤、多層錠剤、坐剤、ゲル剤、軟膏剤、シロップ剤、吸入粉剤、顆粒剤、乳剤、懸濁剤、マイクロカプセル剤、カプセル剤、注射用粉剤または溶液の形態で製造および投与され得る。さらに、本発明の医薬品組成物は、特定の投薬形態として、活性薬剤の徐放性および/または持続性放出のための多層錠剤のような製剤、およびマイクロカプセル製剤を含む。
【0063】
このような製剤はまた、吸入または静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、粘膜皮膚、経口、直腸内、経皮、局所、頬、皮内、胃内、皮内、鼻腔内、口内、経皮的または舌下投与に適している。
【0064】
例えば、乳糖、澱粉、ソルビトール、ショ糖、セルロース、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、マンニトール、エチルアルコールなどが薬理学的に許容可能な担体として用いられ得る。粉剤および錠剤は、5〜95%の程度でこのような担体が存在し得る。
【0065】
さらに、澱粉、ゼラチン、天然糖ならびに天然および合成の両方のゴム(例えば、アカシアゴムまたはグアーガム)、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールおよびロウが、結合剤として用いられ得る。ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが、滑沢剤として用いられ得る。
【0066】
さらに、崩壊剤、着色剤、着香剤および/または結合剤が医薬品組成物に添加され得る。
【0067】
液体製剤は、溶液、懸濁液、スプレーおよび乳剤、例えば、非経口注射用の水または水−プロピレングリコールを基剤とする注射液を含む。
【0068】
好ましくは、低融点のロウ、脂肪酸エステル、およびグリセリドが、坐剤の調製のために用いられる。
【0069】
カプセル剤は、例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコールまたは変性ゼラチンまたは澱粉から調製される。
【0070】
澱粉、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、天然および合成ゴム(例えば、イナゴマメガム、カラヤガム、グアーガム、トラガカントガム)および寒天ならびにセルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース)およびアルギン酸塩、粘土およびベントナイトが、崩壊剤として用いられ得る。該成分は、2〜30質量%の量で用いられ得る。
【0071】
糖、トウモロコシ、コメまたはポテト由来の澱粉、天然ゴム(例えば、アカシアゴム)、ゼラチン、トラガカントガム、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウムアンモニウム(Ammonium-Calcium-Alginat)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよび無機化合物(例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム)が、結合剤として添加され得る。該結合剤は、1〜30質量%の量で添加され得る。
【0072】
ステアリン酸塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カリウム)、ステアリン酸、高融点のロウならびに水溶性滑沢剤(例えば、塩化ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム)、ポリエチレングリコールおよびアミノ酸(例えば、ロイシン)が、滑沢剤として用いられ得る。このような滑沢剤は、0.05〜15質量%の量で用いられ得る。
【0073】
本発明の化合物および上記の医薬品組成物は、例えば、運動障害(特に早期発症薬剤誘発性ジスキネジア、静座不能、パーキンソン症の特徴ならびに特に強直および振戦のような運動障害)、さらに分節性および全身性ジストニアのような錐体外路障害、薬剤誘発性錐体外路徴候、パーキンソン病以外の原因による運動障害およびパーキンソン症候群の種々の形態(内因性、アテローム性動脈硬化、脳炎後、薬剤誘発性)、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、片側パーキンソン−片側萎縮症、パーキンソン症候群(水頭症、酸素欠乏、脳の感染症(脳炎)、マンガン中毒、一酸化炭素(CO)中毒、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)中毒および青酸中毒、副甲状腺疾患、脳腫瘍、脳病変、梗塞によるまたはこれらと関連する)、レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症/認知症/筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、淡蒼球の進行性萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X連鎖性ジストニア−パーキンソン症(Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症、下肢静止不能症候群(足関節から始まり下腿および膝を越えて大腿に及び得、またはある段階で停止し得る異常感覚(ディセスセジア)および錯感覚(パレスセジア)をいう;少数の場合であるが、腕および手に及ぶこともある)およびウィルソン病の治療および/または予防のために、あるいは治療および/または予防のための医薬品製剤の製造のために用いられる。
【0074】
運動障害という用語は、特に痙性麻痺障害、多動、ジストニア、アテトーゼ、ジスキネジア、間代性筋痙攣症候群、ウィルソン病、舞踏病様症候群、チック、トゥレット障害、バリスム、振戦症候群およびパーキンソン病をいう。
【0075】
本発明の別の局面は、少なくとも1つの本発明の化合物に加えて、運動障害、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、片側パーキンソン−片側萎縮症、パーキンソン症候群、強直、振戦、ジストニア、レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症/認知症/筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、淡蒼球の進行性萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X連鎖性ジストニア−パーキンソン症(Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症、下肢静止不能症候群、ウィルソン病の治療および/または予防に適した1、2またはそれ以上のさらなる薬理学的活性薬剤を含む医薬品組成物に関する。
【0076】
特に、ドーパミンレセプターアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン、カベルゴリン、リスリド、ジヒドロエルゴクリプチン、ドーパミンアゴニスト、エンタカポン、プラミペキソール、メシル酸ペルゴリド、ペルゴリド、ロピニロール)、NMDAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト(例えば、アマンタジンおよびブジピン)、モノアミンオキシダーゼBインヒビター(例えば、セレギリン)、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼインヒビター(例えば、エンタカポン)、抗コリン作用薬(例えば、ベンザトロピン、ビペリデン、ボルナプリン、プロシクリジン、トリヘキシフェニジル)、抗酸化剤(例えば、ビタミンCおよびビタミンE)が、上記さらなる活性薬剤の中に含まれる。
【実施例】
【0077】
実施例1
O,O’−ジアセチル−L−DOPA−エチレングリコールリポ酸エステル(ジアセチル−DOPA−エチレングリコールリポ酸エステル;化合物1)の合成
【0078】
【化11】

【0079】
リポ酸を過剰のエチレングリコールおよびDCCによってリポ酸モノエチレングリコールエステルへ変換した。L−DOPAをFmoc−スクシンイミドによってFmoc−L−DOPAへ変換し、そして無水酢酸によってショッテン−バウマン条件下でN−Fmoc−O,O’−ジアセチル−L−DOPAへアセチル化した。上記リポ酸モノエチレングリコールエステルのDCCによる変換によって、カップリング産物であるN−Fmoc−O,O’−ジアセチル−L−DOPA−エチレングリコール−rac−リポ酸エステルを得た。Fmoc保護基をDMF中のフッ化テトラブチルアンモニウムによって切断した。
純度(HPLC)81〜85%、透明黄色油
13C−NMR(100.6MHz、d−メタノール)、δ(ppm):
20.47; 25.71; 29.74; 34.76; 35.68; 39.33; 41.07; 41.27; 57.51; 61.05; 66.47; 66.85; 121.66; 121.82; 129.52; 145.10; 146.18; 167.40; 167.63; 175.36; 176.31。
【0080】
実施例2
O,O’−ジアセチル−L−DOPA−(R,S)−リポ酸アミド(ジアセチル−DOPA−リポ酸アミド;化合物2)の合成
【0081】
【化12】

【0082】
弱塩基性反応条件下でL−DOPA−rac−リポ酸アミドを無水酢酸と反応させることによってO,O’−ジアセチル−L−DOPA−rac−リポ酸アミドを得た。
純度(HPLC)>95%、透明黄色油
13C−NMR(100.6MHz、CDCl)、δ(ppm):
20.65;25.16;28.67;34.50;35.99;36.48;38.43;40.17;52.74;56.29;123.43;124.59;127.39;134.70;141.05;141.84;168.33;168.39;173.46;173.67。
【0083】
実施例3
L−DOPA−(D,L)−リポ酸アミド(DOPA−リポ酸アミド;化合物3)の合成
【0084】
【化13】

【0085】
弱塩基性条件下で塩化リポ酸、リポ酸スクシンイミジルエステルのような活性化リポ酸誘導体でL−DopaをN−アシル化することによってL−DOPA−rac−リポ酸アミドを得た。塩化リポ酸は、リポ酸および塩化オキサリルから得、リポ酸スクシンイミジルエステルは、リポ酸、ヒドロキシスクシンイミドおよびDCCから得た。
純度(HPLC)97%、黄色、高粘性油
13C−NMR(100.6MHz、d−メタノール)、δ(ppm):
26.58;29.60;35.69;36.60;37.83;39.31;46.23;55.00;57.43;116.24;117.23;121.60;129.85;145.13;146.16;174.99;175.84。
【0086】
実施例4
L−DOPA−トリ−(D,L)−リポ酸誘導体(DOPA−トリ−リポ酸誘導体;化合物4)の合成
【0087】
【化14】

【0088】
過剰のアシル化手段であるリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルでL−Dopaを直接アシル化することによって標的化合物4を得ることを試みた。
【0089】
【表5】

【0090】
実験
アルゴン下および遮光下での反応。
4.85gのリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルを35mlの酢酸エチルおよび20mlのアセトニトリルに溶解した。該溶液を真空下で脱気し、そしてアルゴンで脱気した。0.80gのL−DOPAを20mlの水に溶解し、そして3.5mlのトリエチルアミンを添加した。該溶液を再度真空下で脱気し、そしてアルゴンで脱気した。該溶液を室温で一晩中撹拌した。さらに、0.7gのリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルを添加し、そして室温でさらに3.5時間撹拌を続けた。150mlの酢酸エチルと50mlの水とからなる混合物を激しく撹拌し、そこへ該反応混合物を添加した。この混合物を、希塩酸を用いて注意深く酸性化した。相を分離し、そして有機相を飽和NaCl溶液で2回洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。該溶液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を300mlのシリカゲルでのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル/ギ酸=8:2:0.075〜5:5:0.075)。
【0091】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:UV;IチャンバまたはKMnO溶液
=0.29
【0092】
HPLC−散乱検出器
=16.86分(81.5%)
【0093】
実際に、リポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルでアシル化することによって化合物4を得ることができた。標的化合物を得るための明らかにより効果的なアプローチは、2工程の合成にある。それにより、1.8gの標的化合物4(収率:39%)を得ることができた。
【0094】
【化15】

【0095】
【表6】

【0096】
実験
2.25gのL−DOPAを50mlの水および50mlのアセトニトリルに懸濁した。該懸濁液を真空下で脱気し、そしてアルゴンで脱気した。4.0mlのトリエチルアミンを添加した。10分後、60mlの酢酸エチル中に1.86gのリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルを含む溶液を激しく撹拌しながらすばやく添加した。30分後、60mlの水および100mlの酢酸エチルを添加した。酸性化のために、希塩酸を激しく撹拌しながら添加した。水相を分離し、そして有機相を飽和NaCl溶液で2回洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥した。該溶液を18.36gの残留物までロータリーエバポレーター(槽温度:32℃)で濃縮した。該溶液の0.705gを完全に濃縮することにより、83mgの残留物(2.08gの粗産物)を得た。該溶液を2つの等量部分に分け、さらに以下に記載のように反応させた:
【0097】
【化16】

【0098】
【表7】

【0099】
1.24gのリポ酸を40mlの乾燥塩化メチレンに溶解した。10mlの塩化メチレンに溶解させた1.20gのDCCを添加した。30秒後、該L−DOPA溶液および5mlの塩化メチレンを添加した。5分後、スパチュラの先端の量のDMAPを添加した。2時間後、TLC試料は、所望の産物のほんの微量を含んでいた。1.3mlのトリエチルアミンを添加し、そして室温で一晩中撹拌した。20mlのクエン酸溶液および10mlの希塩酸を添加し、そして該反応物を1時間激しく撹拌した。120mlの酢酸エチルおよび50mlの水を添加した後、相を分離した。有機相を最初に飽和クエン酸溶液で洗浄し、次いで飽和NaCl溶液で洗浄した。
【0100】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:UVまたはKMnO溶液
=0.78;0.67;0.63;0.54不純物
=0.26産物
【0101】
【表8】

【0102】
10mlの塩化メチレンおよび1.3mlのトリエチルアミンを粗産物の溶液(8.8g)へ添加した以外は、Iに記載のように行った。3時間後、TLC試料は、反応産物を含まなかった;次いで、120mlの酢酸エチルおよび40mlのクエン酸溶液を添加した。該混合物を一晩中激しく撹拌した。さらに、20mlの希塩酸を添加し、そして相を分離した。有機相を最初に飽和クエン酸溶液で洗浄し、次いで飽和NaCl溶液で洗浄した。
【0103】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:UVまたはKMnO溶液
=0.65不純物
=0.26産物
【0104】
TLCによれば、反応混合物IおよびIIは、ほぼ同じ量の産物を含んでいるようにみえた;次いで、それらを合わせ、真空下で濃縮し、そして残留物を300mlのシリカゲルでのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル/ギ酸=8:2:0.075〜5:5:0.075)。
【0105】
産物画分(246.34g)の5gを抽出し、そしてロータリーエバポレーターで完全に濃縮した。38mgの高分子残留物を得た。残った溶液中の産物:1.83g(用いたリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルに対して39%)。
【0106】
HPLC−散乱検出器
=18.48分(93.5%)
【0107】
化合物4についてのNMRの結果
H−NMR(400.13MHz、DMSO−D6):
δ[ppm]=1.22m(2H);1.41m(6H);1.59m(10H);1.84m(3H);2.03t(2H);2.38m(3H);m(2H);2.51m(6H);2.82m(1H);3.10m(7H);3.51m(1H);3.58m(2H);4.42m(1H);6.86〜7.12m(3H)
【0108】
13C−NMR(100.625MHz、CDOD):
δ[ppm]=24.30;24.33;24.57;25.08;28.20;28.27;33.21;33.43;34.21;35.06;35.11;36.02;38.23;38.27;39.99;40.08;53.05;56.20;123.25;124.12;126.95;127.23;136.66;140.56;141.60;163.05;170.61;170.68;172.39;173.04
【0109】
実施例5:3−ベンゼン[1,3]ジオキソール−5−イル−2−(5−[1,2]ジチオラン−3−イル−ペンタノイルアミノ)−プロピオン酸エチルエステル(化合物5)の合成
【0110】
【化17】

【0111】
標的化合物5の合成を以下の5工程の反応スキームにしたがって行った:
【0112】
【化18】

【0113】
反応の詳細な説明:
2.1gのL−DOPA(10.6mmol)を90mlのエタノールに懸濁した。2.0mlの塩化チオニルを液滴で添加した;このプロセスの間に、L−DOPAを溶解した(HClの形成)。該混合物を還流下で2時間加熱した。揮発性成分を除去した(1.ロータリーエバポレーター;2.高真空)。50mlの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、50mlのアセトニトリル、3.0gの炭酸水素ナトリウムおよび2.54g(11.64mmol)のBocOを該非結晶残留物(L−DOPA−エチルエステル塩酸塩)に添加した。該混合物を室温で30分間撹拌し、そして50〜55℃(水槽)で1.5時間撹拌した(COの形成)。該時間後、COの形成は終結した。クエン酸溶液を酸性化のために用いた;抽出を酢酸エチルによって行い、有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。粗産物(N−Boc−L−Dopa−エチルエステル)を30mlのDMFにアルゴン下で溶解した。3.21g(12mmol)のジヨードメタンおよび6.52g(25mmol)の炭酸セシウムを添加した。該混合物を80℃に3日間加熱し、次いで該混合物を水とメチルt−ブチルエーテルとで振盪することによって抽出した。有機相を水で2回洗浄し、そして飽和NaCl溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を450mlのシリカゲル60でのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:ヘキサン:酢酸エチル=20:1〜3:1)。0.82g(用いたL−Dopaに対して23%)のメチレン架橋化合物を無色油の形態で得た。該油を40mlのエタノールに溶解し、そして10mlの6モル濃度の塩酸を添加した(TLCによる反応制御)後、該溶液を1時間、50〜55℃の温度に加熱した。揮発性成分をロータリーエバポレーターで除去した。残留物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液と酢酸エチルとで振盪することによって抽出した。有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてほぼ40mlの体積までロータリーエバポレーターで濃縮した。残った溶液を遮光下で脱気し、そして0.91g(3mmol)のリポ酸ヒドロキシスクシンイミジルエステルおよび1.5mlのトリエチルアミンと混合した。室温での4時間の撹拌後、該溶液をロータリーエバポレーターで大部分(完全にではなく)濃縮し、そして残留物を150mlのシリカゲル60でのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:塩化メチレン:酢酸エチル=5:0〜5:1)。80gの産物画分を得た。該溶液の0.8gを真空下で濃縮した;得られた残留物は、6mgの無色油からなり、これはすぐに固化した。これにより600mgの収量(用いたL−DOPAに対して13%)を得た。NMR分析のために、該溶液の10mlを0.6mlのd6−DMSOと混合し、そしてより揮発性の成分をロータリーエバポレーターで除去した。
【0114】
H−NMR(400.13MHz、DMSO−D6):
δ[ppm]=1.15t(3H);1.23m(2H);1.56m(4H);1.72m(1H);1.81m(1H);2.05t(2H);2.51m(2H);2.82m(1H);3.51m(1H);3.58m(2H);4.09t(2H);4.43m(1H);5.98s(2H);6.86〜7.12m(3H)
【0115】
13C−NMR(100.625MHz、DMSO−D6):
δ[ppm]=13.98;24.34;25.09;28.25;33.42;35.07;36.06;38.24;53.02;56.20;60.8;101.13;112.56;115.87;123.45;133.34;146;10;149.04;170.62;172.40
【0116】
実施例6:O,O’−ジプロピオニル−L−DOPA−オレイン酸アミド(化合物6)の合成
【0117】
【化19】

【0118】
最初に、オレイン酸を塩化オキサリルによって対応する酸塩化物へ変換した。L−Dopaとの反応によって、クロマトグラフィーによる精製後にN−アセチル化誘導体の中程度の収率(23%)を得た。無水プロピオン酸とのさらなる反応によって、化合物6を得た(収率:93%)。
【0119】
【化20】

【0120】
【表9】

【0121】
実験
1.43gのオレイン酸を25mlの塩化メチレンに溶解し、そして0.423mlの塩化オキサリルと混合した。2滴のDMFを添加した後、HClの活性形成を観察できた。該溶液を2.5時間室温で撹拌した。揮発性成分をロータリーエバポレーターで濃縮した(槽温度:室温)。残留物を20mlの酢酸エチルに溶解し、そして25mlの水、30mlのアセトニトリルおよび2mlのトリエチルアミンの中に1.00gのL−Dopaを含む溶液へ、アルゴン下および氷槽で冷却しながら、液滴でゆっくり添加した。該混合物を氷槽で冷却しながら30分間撹拌し、そして室温で1時間撹拌した。100mlの酢酸エチルを添加した。該混合物を希塩酸で酸性化した。相を分離し、そして有機相を飽和NaCl溶液で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物(2.145g)を220mlのシリカゲルでのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:1. 400mlの塩化メチレン/酢酸エチル/酢酸=5:5:0.2;2. 500mlの塩化メチレン/酢酸エチル/ギ酸=5:5:0.075)。0.53g(23%)の無色の高粘性油を得た。産物(粗産物6a)をさらなる反応へ直接供した。
【0122】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:UV;IまたはKMnO溶液
=0.69;0.40;0.36不純物
=0.25産物
【0123】
【表10】

【0124】
実験
530mgの粗産物6aを10mlのアセトニトリルおよび10mlの酢酸エチルに溶解し、そして10mlの水と混合した。該溶液を真空下で脱気し、そしてアルゴンで脱気した。氷槽で冷却する間に、1.5mlのトリエチルアミンを添加した。次いで、7mlの酢酸エチル中に850mgの無水プロピオン酸を含む溶液を液滴で添加した。該混合物を0℃で1時間そして室温で一晩中撹拌した。100mlの酢酸エチルを添加し、そして激しく撹拌しながら該混合物を希塩酸で注意深く酸性化した。相を分離し、そして有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物中の揮発性成分を高真空下で2日にわたって除去した。610mg(93%)の無色のロウ様物質の残留物を得た。
【0125】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:I−チャンバまたはKMnO溶液
=0.33
【0126】
HPLC−散乱検出器
=27.15分(95.9%)
【0127】
化合物6に関するNMR分析:
H−NMR(400.13MHz、CDOD):
δ[ppm]=0.87t(3H);1.26m(26H);1.56m(2H);2.00m(4H);2.18t(2H);2.53m(4H);3.15m(2H);4.87m(1H);5.33m(2H);6.27m(1H);6.86〜7.12m(3H);10.26s(1H)
【0128】
13C−NMR(100.625MHz、CDOD):
δ[ppm]=9.00;13.99;22.58;25.49;27.15;27.38;29.10;29.17;29.24;29.44;29.69;31.82;36.27;36.44;52.80;123.27;124.55;127.20;129.67;129.89;134.57;141.08;141.85;171.66;171.71;173.86;174.03
【0129】
実施例7:O,O’−ジブタノニル−L−DOPA−DHA−アミド(化合物7)およびブタノニル−L−DOPA−ジ−DHA誘導体(化合物7Aおよび7B)の合成
【0130】
【化21】

【0131】
L−Dopaをn−ブタノールおよび塩化チオニルによってn−ブチルエステルへ変換した。次いで、脂肪酸DHAをクロロギ酸イソブチルエステルによって混合「活性エステル」へ、−10℃の温度で変換し、そしてL−Dopa−n−ブチルエステルと反応させた。塩化ブチリルとのさらなる反応によって、2つの産物を得、これらをクロマトグラフィーによって分離した。極性化合物を23%の収率で得、そしてこれは、NMR分析によれば所望の標的化合物であった。極性が低い化合物を34%の収率で得、そしてNMRによれば、それは、2つのDHA脂肪酸残留物を含んでいた。この場合、第2のDHA脂肪酸が、パラ位置のフェノール基またはメタ位置のフェノール基のいずれに結合しているかどうかは不明である。
【0132】
【化22】

【0133】
反応工程1:
2gの2,3−ジヒドロキシフェニルアラニンを10mlのn−ブタノールに溶解し、そして0.5mlの塩化チオニルとゆっくり混合した。次いで、室温でさらに2時間撹拌を続けた。その後、該反応溶液を50mlの2N HCl溶液および50mlの酢酸エチルエステルと混合した。次いで、水相を酢酸エチルエステルでさらに3回抽出した。CO形成をもはや観察できなくなるまで水相をKCOと混合した。酢酸エチルエステルでのさらなる3抽出を行った。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、そして濃縮した。
0.9gの2,3−ジヒドロキシフェニルアラニン−n−ブチルエステルを得た。
【0134】
反応工程2:
1.35gのDHAを30mlのジクロロメタンに溶解し、そして−10℃の温度に冷却した。次いで、604μlのクロロギ酸イソブチルエステルおよび634μlのトリエチルアミンを添加し、そして該混合物を該温度で10分間撹拌した。該混合物へ、5mlのジクロロメタンと5mlのテトラヒドロフランとの混合物に溶解させた0.90gの2,3−ジヒドロキシフェニルアラニン−n−ブチルエステルをほぼ2分間液滴で添加した。該反応溶液を0℃でさらに2時間撹拌した。次いで、該混合物を−10℃に冷却した。1087μlのトリエチルアミンおよび817μlの酪酸塩化物を添加した。添加後、該混合物を室温にゆっくり加熱し、そしてさらに2時間撹拌を続けた。次いで、有機相を水で抽出した。乾燥および濃縮の後、シリカゲル(400ml)でクロマトグラフィーを行った。(酢酸エチルエステル1:ヘキサン5)。
0.63gの1(23%)および1.13gの2(34%)を得た。
【0135】
化合物7に関するNMR分析:
H−NMR(400.13MHz、CDOD):
δ[ppm]=0.7〜1.11m(12H);1.33m(2H);1.55m(2H);1.74m(4H);2.05m(2H);2.24m(2H);2.36m(2H);2.48m(4H);2.83m(10H);3.09m(2H);4.08m(2H);4.83m(1H);5.36m(12H);6.05m(1H);6.86〜7.12m(3H)
【0136】
13C−NMR;DEPT;COSY H/13C(100.625MHz、CDOD):
δ[ppm]=13.49;14.12;18.28;18.66;18.92;20.43;23.06;25.43;25.53;30.33;35.76;36.00;37.15;52.82;65.40;123.23;124.41;126.94;126.97;127.97;127.78;128.00;128.03;128.11;128.14;128.44;129.22;131.88;134.50;141.07;141.90;170.55;170.64;171.30;171.87
【0137】
HPLC(純度):
94.2%(230nm−DAD);溶媒:ヘプタン/酢酸エチルエステル90/10イソ;R=5.07分
【0138】
化合物7Aおよび7Bに関するNMR分析:
H−NMR(400.13MHz、CDOD):
δ[ppm]=0.7〜1.11m(12H);1.32m(2H);1.58m(2H);1.74m(2H);2.07m(4H);2.25m(2H);2.39m(2H);2.49m(4H);2.57m(2H);2.84m(20H);3.11m(2H);4.10m(2H);4.85m(1H);5.38m(24H);6.01m(1H);6.86〜7.12m(3H)
【0139】
13C−NMR;DEPT;COSY H/13C(100.625MHz、CDOD):
δ[ppm]=13.52;13.56;14.17;18.53;18.98;20.48;22.58;23.10;25.48;25.58;30.38;33.86;35.84;36.06;37.21;52.86;65.48;123.24;123.29;124.40;124.47;126.96;126.98;127.02;127.34;127.79;127.83;127.98;128.05;128.10;128.17;128.19;128.20;128.23;128.38;128.50;128.51;129.29;129.74:131.94;134.60;141.07;141.91;170.19;170.57;171.34;171.91
【0140】
HPLC(純度):
97.8%(230nm−DAD);溶媒:ヘプタン/酢酸エチルエステル90/10イソ;R=4.29分
【0141】
実施例8:L−DOPA−ジアセチル酸誘導体(化合物8Aおよび8B)およびL−DOPA−トリアセチル酸誘導体(化合物8)の合成
【0142】
【化23】

【0143】
L−Dopaを過剰のアセチルサリチル酸塩化物と反応させた。クロマトグラフィーによる精製後、単離した産物は、純粋な物質ではないが、トリアシル化化合物8とジアシル化化合物(8Aおよび8B)との混合物であることがわかった。NMRスペクトルおよびHPLCクロマトグラムは、標的化合物が、ジアシル化成分に対して2:1:1の比で存在することを示す。
【0144】
【化24】

【0145】
【表11】

【0146】
実験
3.36gの炭酸水素ナトリウムと共に1.0gのL−DOPAを35mlのNaHCO溶液および25mlのアセトニトリルの中に入れた。該懸濁液を水流真空下で脱気し、そしてアルゴンで脱気した。20mlのアセトニトリル中に3.97gのアセチルサリチル酸塩化物を含む溶液を45分間内に液滴で添加した。該混合物を室温で一晩中撹拌した。130mlの酢酸エチルおよび50mlの水を添加した後、相を激しく撹拌しながら希塩酸で酸性化した。相を分離し、そして有機相を飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そしてロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を300mlのシリカゲル60でのクロマトグラフィーで分析した(溶離液:塩化メチレン/酢酸エチル/ギ酸=8:2:0.075〜4:6:0.075)。産物画分をロータリーエバポレーターで濃縮し、そして残った溶媒成分を高真空下で除去した。1.05g(30.7%)の非結晶の泡を得た。
【0147】
TLC条件
溶媒:CHCl/酢酸エチル/HCOH=5:5:0.075;検出:UV;IチャンバまたはKMnO溶液
=0.32
【0148】
HPLC−散乱検出器
=4.25分(20.7%);4.48分(21.8%);5.25分(46.9%)
【0149】
化合物8に関するNMR分析:
H−NMR(400.13MHz、CDOD):
δ[ppm]=2.14s(3H);2.21s(3H);2.25s(3H);3.27m(1H);3.40m(1H);5.09m(1H);6.80〜8.2m(15H)
【0150】
13C−NMR(100.625MHz、CDOD):
δ[ppm]=20.40;20.75;20.94;36.39;53.55;111.19;117.85;119.63;121.51;123.33;123.84;124.59;125.86;125.98;126.10;127.20;127.83;128.15;130.13;132.42;134.71;135.14;136.71;140.65;141.24;142.03;148.33;161.87;165.09;167.60;168.32;168.97;169.01;170.00
【0151】
薬理学的効果の説明
驚くべきことに、L−DOPA誘導体(以下の説明の化合物1、化合物2、化合物3をいう)そしてまた該化合物の塩は、本発明にしたがって、例えば、パーキンソン病および他の運動障害(2次的パーキンソン症候群)の予防および/または治療のために用いられ得ることがわかった。
【0152】
上記化合物の有効性を証明するために、ラットの脳の部分(線条体)および血漿の中のドーパミン、その代謝産物であるジヒドロキシフェニル酢酸(DOPAC)、ホモバニリン酸(HVA)および3−メトキシチラミン(3−MT)、ならびに5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT、セロトニンとしても知られている)およびその代謝産物である5−ヒドロキシインドール酢酸(5−HIAA)の濃度に対する該化合物の効果を調べる実験を行った。
【0153】
血中の試験化合物の分解を低下させ、したがって脳中に十分な濃度のドーパミンおよびα−リポ酸を提供するために、芳香族アミノ酸デカルボキシラーゼのインヒビターであるベンセラジドでラットを前処理した。30分後、L−DOPA(パーキンソン病のための標準治療薬)またはL−DOPAと等価な投薬量の化合物1、化合物2、化合物3を腹腔の中へ注射した(腹腔内、ip)。さらに90分後、血液および脳組織(線条体)を採取した。L−DOPAについて、より低い投薬量(25mg/kg体重)およびより高い投薬量(50mg/kg体重)を選択した。
【0154】
【表12】

【0155】
表5は、L−DOPAおよび化合物1、2および3の低投薬量は脳の部分(線条体)の中のドーパミンの濃度の増大をもたらさないことを示す。しかし、代謝産物であるDOPACおよびHVAは、L−DOPA、化合物3(HVAのみ)、化合物2および化合物1の投与後増大している。これは、神経細胞での化学メッセンジャーであるドーパミンの変換がこの処置によって増大することを示す。さらに、該結果は、調べた脳の部分で、化学メッセンジャーであるドーパミンが、L−DOPA、化合物3(いくつか)、化合物2および化合物1から増大した量で形成されることを示す。L−DOPA、化合物3および2のより高い投薬量は、調べた脳の部分でのドーパミンの濃度の増大をもたらした。また、ドーパミンの代謝産物、すなわちDOPACおよびHVAの濃度は、L−DOPA、化合物1、2および3の投与後増大した;実際に、ほとんどすべての場合に、該増大は、より低い投薬量の投与後に観察されたものを上回った。これは、用いたすべての物質が、ドーパミン含有神経細胞でのドーパミンの変換の増大をもたらすことを示す。さらに、該結果は、L−DOPAについても知られているように、化合物1、2および3が、ドーパミンを含む神経細胞の中のドーパミンの不足を補うことが可能であることを示唆する。このような不足は、パーキンソン病における運動障害についての公知の原因である。化合物2は、5−HTの濃度もまた増大させた。パーキンソン病においては、5−HTを含む脳中の神経細胞は、破壊されたドーパミン含有神経細胞の代替物として作用すると思われているので、このことは興味深い。
【0156】
【表13】

【0157】
血漿分析から得られた値(表6)は、ドーパミンが、L−DOPAからその低い投薬量およびより高い投薬量の両方の投与後で形成されることを証明する。ドーパミンはまた、両方の投薬量の投与では、化合物1および2からも形成される。したがって、まず該化合物が切断され、次いで、このように放出されたL−DOPAからドーパミンが形成される。ほとんどの場合、ドーパミンの代謝産物、すなわちDopac、HVAおよび3−MTの濃度も増大する。これらの結果は、血中で、調べたすべての化合物からドーパミンが形成されるという仮定を確認している。
【0158】
さらに、意識のあるかつ自由に運動するラットのインビボマイクロ透析の方法によって、ドーパミン含有神経細胞の密な神経支配を伴う脳の一部である側座核でのドーパミンの産生および放出が、L−DOPAまたは化合物1の投与で増大するかどうかを調べる実験を行った。該方法の利点は、メッセンジャーであるドーパミンの活性神経細胞からの放出の時間経過が、意識のあるかつ自由に運動するラットで観察され得るということにある。図1〜4からわかるように、ドーパミンは、投薬量依存的様式で放出される。より高い投薬量のL−DOPAの投与では、ドーパミンの濃度は、急激に増大し、そしてその濃度は比較的非常に高い(図1)。該急激な増大および高い濃度は望ましくない。なぜなら、ドーパミンの分解の間に形成されるドーパミンの数種の分解産物および酸素ラジカルが、神経細胞に対して損傷効果を有するからである。化合物1は、2ピークの最大値および勾配がより低い増大ならびにより長く持続する効果を有する(図3および4)。
【0159】
L−DOPAのα−リポ酸に対するカップリングは、抗酸化効果を有する(α−リポ酸は、有害な酸素ラジカルに結合し、そしてそれらを不活性化する)。ドーパミンの分解の間に大量に形成される有毒な酸素ラジカルは、ドーパミン作用性神経細胞を破壊する。それらは、ドーパミン作用性神経細胞の死滅の主な原因である。したがって、L−DOPAの投与後のドーパミンの短期間の高い濃度は破壊的である。これらの結果は、好都合なα−リポ酸が、ドーパミン作用性神経細胞の近傍でまたは直接ドーパミン作用性神経細胞内で、化合物1から放出され、そしてその本来の位置で、すなわち、損傷を与える酸素ラジカルが形成されるドーパミン含有神経細胞内で、その保護効果を生じ得ることを示唆する。これにより、脳中のドーパミン含有神経細胞のさらなる損失が遅くなり、または停止する可能性さえある。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1A】ベンセラジド(10mg/kg体重、ip)の投与から30分後にL−DOPA(25mg/kg体重)を注射(ip)した、自由に運動するラットの側座核でのマイクロ透析の結果を示すグラフである。
【図1B】ベンセラジド(10mg/kg体重、ip、0.9%NaCl中)の投与から30分後にL−DOPA(50mg/kg体重)を注射(ip)した、自由に運動するラットの側座核でのマイクロ透析の結果を示すグラフである。
【図2】ベンセラジド(10mg/kg体重、ip、0.9%NaCl中)の投与から30分後にソルトールを注射(ip)した、自由に運動するラットの側座核でのマイクロ透析(コントロール)の結果を示すグラフである。
【図3】ベンセラジド(10mg/kg体重、ip、0.9%NaCl中)の投与から30分後にジアセチル−DOPA−エチレングリコールα−リポ酸(25mg/kg体重L−DOPAと等モルの投薬量)を注射(ip)した、自由に運動するラットの側座核でのマイクロ透析の結果を示すグラフである。
【図4】ベンセラジド(10mg/kg体重、ip)の投与から30分後にジアセチル−DOPA−エチレングリコールα−リポ酸(50mg/kg体重L−DOPAと等モルの投薬量)を注射(ip)した、自由に運動するラットの側座核でのマイクロ透析の結果を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物であって、
【化1】

ここで、RおよびRは、互いに独立して、以下の残基:−H、−R、−R、−CO−H、−CO−CH、−CO−C、−CO−C、−CO−C、−CO−C11、−CO−C13、−CO−CH(CH、−CO−シクロ−C、−CO−CH−CH(CH、−CO−CH(CH)−C、−CO−C(CH、−CO−シクロ−C、−CO−シクロ−C、−CO−シクロ−C11、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH、−C、−C、−CH(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−C(CH、−C11、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH(CH、−C(CH−C、−CH−C(CH、−CH(C、−C−CH(CH、−C13、−C−CH(CH、−C−CH(CH)−C、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH−CH(CH、−CF、−C、−CH(CH)−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−CH(CH、−CH−C(CH−C、−C(CH−C、−C(CH−CH(CH、−C−C(CH、−CH(CH)−C(CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH−CH=CH−CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−CH=CH−CH、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C11
【化2】

を表し;
は、残基−CHCHO−R、−H、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH、−C、−C、−CH(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−C(CH、−C11、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH(CH、−C(CH−C、−CH−C(CH、−CH(C、−C−CH(CH、−C13、−C−CH(CH、−C−CH(CH)−C、−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−C、−CH(CH)−CH−CH(CH、−CF、−C、−CH(CH)−CH(CH)−C、−CH−CH(CH)−CH(CH、−CH−C(CH−C、−C(CH−C、−C(CH−CH(CH、−C−C(CH、−CH(CH)−C(CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH−CH=CH−CH、−CH=CH、−CH−CH=CH、−CH=CH−CH、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C、−シクロ−C11を表し;
およびRは、互いに独立して、基−CO−Rまたは−CO−Rまたは−Hを表し、ここで、RおよびRは同時には−Hを表さず、および、ここで、Rが水素の場合、Rは−CHCHO−Rを表し;および
およびRは、互いに独立して、以下の残基:−R10;−R11;2〜25の炭素原子を有する直鎖飽和アルキル鎖;2〜25の炭素原子を有する分岐飽和アルキル鎖;2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルケニル鎖;2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキニル鎖;2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニル鎖;2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルキニル鎖;2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニニル鎖;炭素環または複素環を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖;1以上の水酸基、アルコキシ基、チオ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基および/またはニトロ基を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖を表し;
、R、R10およびR11は、互いに独立して、以下の残基:
−CH12、−CHR1314、−CR151617、−CH−CR181920、−CH−CHR2122、−CR2324−CR252627、−CR2829−CR3031−CR323334、−CR3536−CR3738−CR3940−CR414243;2〜25の炭素原子を有するアルキル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルキル基、2〜25の炭素原子を有するアルケニル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルケニル基;2〜25の炭素原子を有するアルキニル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルキニル基、2〜25の炭素原子を有するアルコキシ基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアルコキシ基、2〜25の炭素原子を有するアリール基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているアリール基、2〜25の炭素原子を有するヘテロアリール基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているヘテロアリール基、2〜25の炭素原子を有するヘテロシクリル基であって、該基がR12〜R43の1以上の残基で置換されているヘテロシクリル基を表し、
12〜R47は、互いに独立して、以下の残基:
−H、−OH、−OCH、−OC、−OC、−O−シクロ−C、−OCH(CH、−OC(CH、−OC、−OPh、−OCH−Ph、−OCPh、−SH、−SCH、−SC、−SC、−S−シクロ−C、−SCH(CH、−SC(CH、−NO、−F、−Cl、−Br、−I、−N、−CN、−OCN、−NCO、−SCN、−NCS、−CHO、−COCH、−COC、−COC、−CO−シクロ−C、−COCH(CH、−COC(CH、−COOH、−COCN、−COOCH、−COOC、−COOC、−COO−シクロ−C、−COOCH(CH、−COOC(CH、−OOC−CH、−OOC−C、−OOC−C、−OOC−シクロ−C、−OOC−CH(CH、−OOC−C(CH、−CONH、−CONHCH、−CONHC、−CONHC、−CON(CH、−CON(C、−CON(C、−CON(シクロ−C、−NH、−NHCH、−NHC、−NHC、−NH−シクロ−C、−NHCH(CH、−NHC(CH、−N(CH、−N(C、−N(C、−N(シクロ−C、−N[CH(CH、−N[C(CH、−SOCH、−SOC、−SOC、−SOCH(CH、−SOC(CH、−SOCH、−SO、−SO、−SO−シクロ−C、−SOCH(CH、−SOC(CH、−SOH、−SOCH、−SO、−SO、−SO−シクロ−C、−SOCH(CH、−SOC(CH、−OCF、−OC、−O−COOCH、−O−COOC、−O−COOC、−O−COO−シクロ−C、−O−COOCH(CH、−O−COOC(CH、−NH−CO−NH、−NH−C(=NH)−NH、−O−CO−NH、−O−CO−NHCH、−O−CO−NHC、−O−CO−NHC、−O−CO−NH−シクロ−C、−O−CO−N(CH、−O−CO−N(C、−O−CO−N(C、−O−CO−OCH、−O−CO−OC、−O−CO−OC、−O−CO−O−シクロ−C、−O−CO−OCH(CH、−O−CO−OC(CH、−CHF、−CHF、−CF、−CHCl、−CHBr、−CHI、−CH−CHF、−CH−CHF、−CH−CF、−CH−CHCl、−CH−CHBr、−CH−CHI、−CH、−C、−C、−シクロ−C、−CH(CH、−C(CH、−C、−CH−CH(CH、−CH(CH)−C、−Ph、−CH−Ph、−CPh、−CH=CH、−CH−CH=CH、−C(CH)=CH、−CH=CH−CH、−C−CH=CH、−CH=C(CH、−C≡CH、−C≡C−CH、−CH−C≡CHを表す、化合物;ならびに
該化合物の薬理学的に許容可能な塩、溶媒化合物、水和物、錯化合物、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ化合物。
【請求項2】
一般式(VI)の、請求項1に記載の化合物であって:
【化3】

ここで、脂肪酸は、残基−CO−Rを表し、かつ、残基R、RおよびRは、請求項1に示した意味を有し、および
は、以下の残基:2〜25の炭素原子を有する直鎖飽和アルキル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐飽和アルキル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルケニル鎖、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルキニル鎖、2〜25の炭素原子を有する多価不飽和分岐または不分岐アルケニニル鎖、炭素環または複素環を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖、1以上の水酸基、チオ基および/またはメルカプト基を含み、2〜25の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖を表す、化合物。
【請求項3】
一般式(VII)の、請求項1に記載の化合物であって:
【化4】

ここで、脂肪酸は、残基−CO−Rを表し、かつ、残基R、R、RおよびRは、請求項1に示したものと同じ意味を有する、化合物。
【請求項4】
前記化合物が、プロピオン酸鎖の第2炭素原子でS立体配置を有する、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項5】
またはRが、水素を表す、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項6】
およびRが、互いに独立して、1以上の水酸基、アルコキシ基、チオ基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、カルボニル基、カルボキシル基および/またはニトロ基を含み、5〜9の炭素原子を有する分岐または不分岐アルキル鎖を表す、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項7】
前記RおよびRの分岐または不分岐、置換または不置換および飽和または不飽和の炭素残基が、互いに独立して、5〜24の炭素原子を含む、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項8】
前記RおよびRの分岐または不分岐、置換または不置換および飽和または不飽和の炭素残基が、互いに独立して、7〜23の炭素原子を含む、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
前記RおよびRの分岐または不分岐、置換または不置換および飽和または不飽和の炭素残基が、互いに独立して、9〜22の炭素原子を含む、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
およびRが、互いに独立して、以下の基:ドデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、テトラコサノイル、シス−9−テトラデセノイル、シス−9−ヘキサデセノイル、シス−6−オクタデセノイル、シス−9−オクタデセノイル、シス−11−オクタデセノイル、シス−9−エイコセノイル、シス−11−エイコセノイル、シス−13−ドコセノイル、シス−15−テトラコセノイル、9,12−オクタデカジエノイル、6,9,12−オクタデカトリエノイル、8,11,14−エイコサトリエノイル、5,8,11,14−エイコサテトラエノイル、7,10,13,16−ドコサテトラエノイル、4,7,10,13,16−ドコサペンタエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル、6,9,12,15−オクタデカテトラエノイル、8,11,14,17−エイコサテトラエノイル、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル、7,10,13,16,19−ドコサペンタエノイル、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル、5,8,11−エイコサトリエノイル、1,2−ジチオラン−3−ペンタノイル、6,8−ジチアンオクタノイル、ドコサヘプタデカノイル、エレオステアロイル、カレンドイル(calendoyl)、カタルポイル(catalpoyl)、タキソレオイル(taxoleoyl)、ピノレノイル(pinolenoyl)、シアドノイル(sciadonoyl)、レチノイル、14−メチルペンタデカノイル、プリスタノイル、フィタノイル、11,12−メチレンオクタデカノイル、9,10−メチレンヘキサデカノイル、9,10−エポキシステアロイル、9,10−エポキシオクタデカ−12−エノイル、6−オクタデシノイル、t11−オクタデセン−9−イノイル、9−オクタデシノイル、6−オクタデセン−9−イノイル、t10−ヘプタデセン−8−イノイル、9−オクタデセン−12−イノイル、t7,t11−オクタデカジエン−9−イノイル、t8,t10−オクタデカジエン−12−イノイル、5,8,11,14−エイコサテトライノイル、2−ヒドロキシテトラコサノイル、2−ヒドロキシ−15−テトラコセノイル、12−ヒドロキシ−9−オクタデセノイルおよび14−ヒドロキシ−11−エイコセノイルを表す、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項11】
およびRが、互いに独立して、以下の基:9,12−オクタデカジエノイル、6,9,12−オクタデカトリエノイル、8,11,14−エイコサトリエノイル、5,8,11,14−エイコサテトラエノイル、9,12,15−オクタデカトリエノイル、6,9,12,15−オクタデカテトラエノイル、8,11,14,17−エイコサテトラエノイル、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル、7,10,13,16,19−ドコサペンタエノイル、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル、5,8,11−エイコサトリエノイル、1,2−ジチオラン−3−ペンタノイルおよび6,8−ジチアンオクタノイルを表す、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
薬理学的活性物質として使用するための、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物。
【請求項13】
運動障害、早期発症薬剤誘発性ジスキネジア、静座不能、パーキンソン症の特徴、強直、振戦、錐体外路機能障害、分節性ジストニア、全身性ジストニア、薬剤誘発性錐体外路徴候、パーキンソン症候群の種々の形態、内因性パーキンソン症候群、アテローム性動脈硬化パーキンソン症候群、脳炎後パーキンソン症候群、薬剤誘発性パーキンソン症候群、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、片側パーキンソン−片側萎縮症、パーキンソン症候群、レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症−認知症−筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、淡蒼球の進行性萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X連鎖性ジストニア−パーキンソン症(Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症、下肢静止不能症候群、ウィルソン病の治療および/または予防のための、前記請求項のいずれかの項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
一般式(I)による少なくとも1つの化合物および/またはその薬理学的に許容可能な塩ならびに薬理学的に許容可能な担体、補助剤および/または希釈剤を含む医薬品組成物。
【請求項15】
点滴剤、口腔内スプレー、鼻腔内スプレー、丸剤、錠剤、フィルムコーティング錠剤、多層錠剤、坐剤、ゲル剤、軟膏剤、シロップ剤、吸入粉剤、顆粒剤、乳剤、懸濁剤、マイクロカプセル剤、カプセル剤、注射用粉剤または溶液の形態の、請求項14に記載の医薬品組成物。
【請求項16】
吸入または静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、粘膜皮膚、経口、直腸内、経皮、局所、頬、皮内、胃内、皮内、鼻腔内、口内、経皮的または舌下投与に適している、請求項14または15に記載の医薬品組成物。
【請求項17】
運動障害、神経変性疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、片側パーキンソン−片側萎縮症、パーキンソン症候群、レーヴィ小体病、前頭側頭型認知症、Lytico−Bodig病(パーキンソン症/認知症/筋萎縮性側索硬化症)、線条体黒質変性症、シャイ−ドレーガー症候群、弧発性オリーブ橋小脳変性症、淡蒼球の進行性萎縮症、進行性核上性麻痺、ハレルフォルデン−スパッツ病、ハンチングトン病、X連鎖性ジストニア−パーキンソン症(Lubag)、線条体壊死を伴うミトコンドリア細胞変性、神経有棘赤血球症、下肢静止不能症候群、ウィルソン病の治療および/または予防に適したさらなる薬理学的薬剤が存在する、請求項14〜16のいずれかの項に記載の医薬品組成物。
【請求項18】
前記さらなる薬理学的薬剤が、ブロモクリプチン、カベルゴリン、リスリド、ジヒドロエルゴクリプチン、ドーパミンアゴニスト、エンタカポン、ロピニロール、プラミペキソール、メシル酸ペルゴリド、ペルゴリド、NMDAグルタミン酸レセプターアンタゴニスト、アマンタジン、ブジピン、モノアミンオキシダーゼBインヒビター、セレギリン、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼインヒビター、抗コリン作用薬、ベンザトロピン、ビペリデン、ボルナプリン、プロシクリジン、トリヘキシフェニジル、抗酸化剤、ビタミンCおよびビタミンE:を含む群から選択される、請求項17に記載の医薬品組成物。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−540465(P2008−540465A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510404(P2008−510404)
【出願日】平成18年5月14日(2006.5.14)
【国際出願番号】PCT/DE2006/000830
【国際公開番号】WO2006/119758
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(507374505)エルノイロックス リミテッド (1)
【Fターム(参考)】