説明

ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬を含有する改善された医薬組成物およびその調製方法

本発明は、レルカニジピンまたはその塩など、治療上有効な量のジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬を、バイオアベイラビリティを高め溶解度を改善するAerosil(商標)などのコロイド状二酸化ケイ素と併せて含む固体剤形の製剤、および湿式造粒によるその調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤やカプセルなどの改善された剤形に、詳細には、治療上有効な量のジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬を含む、バイオアベイラビリティの高い経口投与用の製剤に、より詳細には、レルカニジピンまたはその塩、誘導体、および多形体、ならびにその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アムロピジピン、ニフェジピン、ラシジピン、及びレルカニジピンなどのジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬化合物は、高血圧症および冠状動脈疾患の治療において、数ある中でも極めて有用であることが知られている化合物である。
【0003】
レルカニジピン(メチル1,1−N−トリメチル−N−(3,3−ジフェニルプロピル)アミノエチル1,4−ジヒドロ−6−ジメチル(3−ニトロフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボキシレート)は、長時間の作用性および高い血管選択性を有する、高度に親油性のジヒドロピリジンカルシウム拮抗薬である。通常は、1日1回、10mgから20mgの用量で使用され(Zanedip(登録商標)としてイタリアで販売されている。)、最大用量は1日当たり約30mgである。レルカニジピンは、経口投与後に素早く吸収され、ピークの血漿中濃度は投与後1.5〜3時間で生ずるが、大規模な初回通過代謝を受ける。
【0004】
ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬は、その水溶性が低く、しかも活性成分の低バイオアベイラビリティをもたらす。
【0005】
水に対する溶解度が低い薬物(20℃の水中で0.1重量%未満の溶解度を有することを意味する)は、胃腸液を含めた水性媒体に溶解する速度および程度が不十分であるために、経口摂取後の全身循環への吸収が少なくなるという、さらなる配合上の問題を引き起こす。
【0006】
胃腸管からの最大吸収を可能にする薬物を含有した組成物を作製するには、胃腸液への溶解を可能にする薬物の溶解度を上昇させる特徴を、組成物に組み込むことが必要である。
【0007】
その有用な治療特性により、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩を含む、経口剤形の工業的調製について様々な方法が既に知られている。しかし従来技術は、前記活性成分の溶解度が不十分であるために、所望のバイオアベイラビリティを有する経口固体製剤の製造においてかなりの難問に直面している。
【0008】
非晶質形態の活性成分は、対応する結晶質活性化合物よりも高いバイオアベイラビリティをしばしば有することが知られている。ニカルジピン、即ちやや溶け難いジヒドロピリジンであって、溶解および吸収を高めるために非晶質形態で使用されるものを含む剤形が開示されている(例えば、特許文献1参照)。非晶質活性成分は、再結晶する傾向があり、その結果、分解産物によって、ある保存期間後に再現性がなくまたは著しく低下したバイオアベイラビリティをもたらす傾向があるので、通常、慎重に配合されるべきである。
【0009】
100ミクロン未満の粒度を有するニフェジピン組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。ニフェジピンの溶解の制御は、材料を広い比表面積のものに加工することによって実現されるが、活性成分の小さい結晶は、凝集し再形成してより大きな粒度になる傾向がある。
【0010】
溶解および吸収の速度を遅くし制御するための親水性ゲル形成ポリマーと共に、溶解度を増すために小さい結晶に微粒子化されたニフェジピンを含有する組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、従来の装置を使用してニフェジピンを微粒子化することができる最小サイズは、約1ミクロンであり、この粒度は依然として、ニフェニジピンの完全な溶解および吸収を可能にするのに十分小さくはない。
【0011】
さらに、結晶サイズは、錠剤の全てのバッチで同じになるように慎重に制御されない限り、放出特性はバッチごとに変わる可能性がある。
【0012】
界面活性剤の存在下、ポリエチレングリコール中でニフェジピンの固溶体を調製することによる、ニフェジピンの溶解および吸収の改善が開示されている(例えば、特許文献4参照)。界面活性剤を有するジヒドロピリジンが開示されている(例えば、特許文献5参照)が、大量の界面活性剤は、通常、患者の胃に刺激を引き起こす。
【0013】
さらに、界面活性剤、可溶化剤、および特定の表面を有するある賦形剤の使用は、しばしば、生成物が望ましくなくなるほど大きくなる投与形態をもたらす。嚥下を容易にするために、そのような錠剤またはカプセルは、例えば楕円体や細長い形状など特定の形にしばしば変換されるが、それでも、400mg超の重さの生成物では満足のいく結果をもはやもたらさない。より小さな生成物をより頻繁に摂取することも、満足のいく解決策ではない。
【0014】
上記特許文献のそれぞれは、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬を含む医薬組成物に関連した不安定性の問題を克服する試みを示すが、そのような活性成分のバイオアベイラビリティの改善、特に、そのバイオアベイラビリティを絶食/摂食状態とは無関係にすることが、依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】DE−A−3024858
【特許文献2】欧州特許第0385582号明細書
【特許文献3】欧州特許第0557244号明細書
【特許文献4】英国特許第1456618号明細書
【特許文献5】欧州特許第0448091号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって本発明の目的は、従来技術の欠点を克服し、活性成分のバイオアベイラビリティを高め、そのバイオアベイラビリティを絶食/摂食状態とは無関係にする、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたはその塩を含有する経口投与のための、改善された固体の投薬製剤を提供することである。
【0017】
本発明の別の態様は、十分な保存寿命、患者の薬剤服用順守を高める良好な薬学的技術特性(pharmacotechnical property)、および可能性ある副作用が低くなった、生物的に利用可能であり効果的な、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたはその塩を含有する経口投与のための固体投薬製剤を提供することである。
【0018】
さらに、本発明の別の態様は、賦形剤および活性成分の量を比例的に調節することによって異なる強度の剤形に調製し、それによって、活性成分の溶解プロファイルおよびバイオアベイラビリティに影響を及ぼすことなく薬学的技術の直線性(pharmacotechnical linearity)をもたらすことができる、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたはその塩を含有する経口投与のための固体投薬製剤を提供することである。
【0019】
本発明の別の態様は、活性成分としてジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたはその塩を含有し、それによって、活性成分のバイオアベイラビリティを高め、長期間にわたって安定にし、組成物の薬学的技術特性を改善する、経口投与のための安定な固体投薬製剤の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の上述の目的によれば、経口投与用の医薬組成物は、活性成分としてのジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体と、バイオアベイラビリティを高める薬剤としてのAerosilなどの有効量のコロイド状二酸化ケイ素とを含むものが提供される。
【0021】
特に、本発明の好ましい目的は、レルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体と、5重量%から25重量%、好ましくは7重量%から20重量%のコロイド状二酸化ケイ素を含む、経口投与用の医薬組成物によって表される。
【0022】
説明および実施例から明らかにされるように、本発明の組成物は、現在市場で入手可能な組成物で実現可能なものよりも約15〜25%高い活性成分のバイオアベイラビリティを提供し、レルカニジピンの特定の場合では、塩酸レルカニジピンの量がそれぞれ約8mgおよび16gであるZanedip(登録商標)10mgおよびZanedip(登録商標)20mgの場合と同等な、バイオアベイラビリティを得ることが可能である。さらに、本発明の組成物は、絶食/摂食状態に対するバイオアベイラビリティの依存性を低下させまたは無くした。
【0023】
したがって本発明のその他の実施形態は、塩酸レルカニジピンのバイオアベイラビリティを好ましくは約15〜25%増加させるための、および/または、組成物が絶食または摂食条件下で患者に投与されるか否かに対する塩酸レルカニジピンの依存性を低下および/または無くすための、本発明の組成物の使用である。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体を活性成分として含有する、錠剤、カプセル、及びサッシェなどの経口投与用の固体剤形を調製するための方法が提供され、この方法は、
前記活性成分の総量、バイオアベイラビリティを高めるためのコロイド状二酸化ケイ素の総量の一部、および任意選択の結合剤を、水/EtOH溶媒に溶解するステップと、
形成された溶液に、コロイド状二酸化ケイ素の残りの部分、および希釈剤や結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、湿式造粒剤などの任意選択の賦形剤を添加するステップと、
湿潤剤を、少量の水/EtOH溶媒に溶解し、第1の溶液で混練するステップと、
湿潤塊を乾燥させるステップと、
乾燥した塊を篩にかけ、篩にかけた混合物に、結合剤、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、および/または流動促進剤などの少なくとも1種の任意選択の賦形剤の総量を添加し、均一になるまで混合するステップと、
得られた混合物を、所望の錠剤形態に圧縮することによって、またはカプセルもしくサッシェに充填することによって、固体剤形に処方するステップと
を含む。
【0025】
本発明のその他の好ましい実施形態を、従属請求項2から16に定義する。
【0026】
本発明のその他の目的および利点は、以下の詳細な説明に照らして当業者に明らかにされよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による実施例1の組成物の平均血漿値を示す図である。
【図2】本発明による実施例1の組成物の平均血漿値を示す図である。
【図3】本発明による実施例3の組成物の平均血漿値を示す図である。
【図4】本発明による実施例3の組成物の平均血漿値を示す図である。
【図5】非晶質塩酸レルカニジピンのX−RDスペクトルを示す図である。
【図6】本発明による実施例3の組成物のプラセボのX−RDスペクトルを示す図である。
【図7】本発明による実施例3の組成物のX−RDスペクトルを示す図である。
【図8】非晶質塩酸レルカニジピンのSEMを示す図である。
【図9】本発明による非晶質塩酸レルカニジピンおよびコロイド状二酸化ケイ素の微細分散液のSEMを示す図である。
【図10】Zanedip(登録商標)(塩酸レルカニジピン20mgを含有する)と比較した、実施例4の組成物(塩酸レルカニジピン16mgを含有する)の溶解プロファイルを示す図である。
【図11】Zanedip(登録商標)(塩酸レルカニジピン10mgを含有する)と比較した、実施例5の組成物(塩酸レルカニジピン8mgを含有する)の溶解プロファイルを示す図である。
【図12】実施例4の組成物のXRDスペクトルを示す図である。
【図13】実施例5の組成物のXRDスペクトルを示す図である。
【図14】実施例4の組成物の、模擬的絶食/摂食条件下での溶解プロファイルを示す図である。
【図15】Zanedip(登録商標)20mgの、模擬的絶食/摂食条件下での溶解プロファイルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の目的で、難溶解性活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、例えば、レルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩)を含む医薬組成物は、前記成分が、それ自体でおよび/または知られている医薬組成物中でなされる場合よりも少なくまたはよりゆっくりと分解する場合、「安定」と見なされる。さらに、活性成分のバイオアベイラビリティは、この成分が絶食状態にある患者に投与されるのかまたは摂食状態にある患者に投与されるのかに関わらず、本質的に同じ活性成分のバイオアベイラビリティをもたらす場合、絶食/摂食状態とは無関係にされると見なされる。
【0029】
剤形に含有される活性成分(ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩)は、「生物学的な利用可能性が高く」、剤形で投与した場合は剤形から放出され、吸収され、その後、同じ量の同じ活性成分を含有しかつ同じ用途が意図される市販の製品よりも、血漿中でより高い濃度レベルに到達する。
【0030】
医薬組成物は様々な形をとることができるが、好ましい固体形態は、錠剤、カプセル、およびカプレットである。
【0031】
驚くべきことに、本発明の目的は、活性成分のバイオアベイラビリティを高めるために、Aerosil(商標)などのコロイド状二酸化ケイ素を用いることによって達成されることを見出した。
【0032】
既に述べたように、塩酸レルカニジピンなどのジヒドロピリジンカルシムチャネル拮抗薬は溶解度が非常に低く、したがって、活性物質の低バイオアベイラビリティに反映されている。
【0033】
コロイド状二酸化ケイ素は、粒度が約15nmの超顕微鏡的フュームドシリカである。この物質は、軽く、結合が緩く、青白い色であり、無臭、無味の、ザラザラしない、非晶質粉末である。コロイド状二酸化ケイ素は医薬品中で広く使用されている。その小さい粒度および大きな比表面積は、乾燥粉末の流動性を改善するのに活用される、望ましい流動特性をもたらす。
【0034】
コロイド状二酸化ケイ素を本発明による医薬組成物に組み込む場合、コロイド状二酸化ケイ素の表面に活性成分の非晶質粒子がある微細分散液が形成され、その結果、一相系が得られる。前記一相系は、活性成分の溶解度を改善する。
【0035】
活性成分(レルカニジピンまたはその塩、誘導体、および多形体などのジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬)と、Aerosil(商標)などの適切な量のコロイド状二酸化ケイ素とを、微細分散液を形成するために溶媒に溶解し、その後、結合剤を混合する。コロイド状二酸化ケイ素の残りの部分および任意選択の賦形剤を、溶液に添加し、湿式造粒する。湿潤塊を乾燥し、乾燥した塊を篩にかけた後、任意の追加の賦形剤を添加する。次いで組成物を、均一になるまで混合する。次いで得られた組成物を圧縮してもよい。
【0036】
さらに、任意の賦形剤は、これら物質の低流動特性および好ましくない薬学的技術特性に関連した問題を克服するために、また、薬物の安定性および医薬生成物の保存寿命を増大させ、優れたバイオアベイラビリティを示す生成物を提供するために、組成物の活性成分に対して相溶性があることを条件として、上記組成物に任意選択で添加してもよい。
【0037】
本発明は、溶解度およびバイオアベイラビリティの問題を有する活性成分の経口または舌下投与用の錠剤、カプセル、カプレット、サッシェ、またはその他の固体剤形の製剤に適用することができる。
【0038】
さらに、同じ組成物を適切な量で使用して異なる強度の剤形を調製することが可能であり、それによって、製造コストを抑え、そして当局による製造の認可に必要な臨床研修の回数、結果としてそのコストが最小限に抑えられる。
【0039】
本発明による調製のための製造方法は、任意のその他の従来方法と比較すると、より単純で安価である。
【0040】
したがって、第1の実施形態では、本発明は、レルカニジピンまたはその塩を約0.5重量%から30重量%、およびコロイド状二酸化ケイ素を約3重量%から30重量%含む医薬組成物を提供する。レルカニジピンまたはその塩とコロイド状二酸化ケイ素との重量比は、好ましくは10:1から1:60である。
【0041】
本発明による、より好ましい医薬組成物は、Aerosil(商標)などのコロイド状二酸化ケイ素を約3重量%から30重量%、より好ましくは5重量%から25重量%、最も好ましくは7重量%から20重量%含む。そのような好ましい組成物は、レルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体を3重量%から25重量%、好ましくは5重量%から10重量%、より好ましくは約8重量%含む。
【0042】
結合剤は、存在する場合、一般に5重量%から20重量%の量で、好ましくは約15重量%までの量で存在してもよく、湿潤剤は、存在する場合、一般に約5重量%までの量で、好ましくは約2.5重量%の量で存在してもよい。
【0043】
本発明の医薬組成物は、通常、40重量%から65重量%の量で、好ましくは45重量%から60重量%の量で存在してもよい希釈剤を含有する。そのような組成物は、好ましくは5重量%から15重量%の量で、より好ましくは約10重量%の量で存在する崩壊剤を含有してもよい。
【0044】
別の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、内相および外相を含み、好ましい実施形態によれば、前記外相は、ステアリン酸マグネシウムを含み、好ましくはそれからなる。
【0045】
好ましい医薬組成物は、コーティングされまたはコーティングされていない、全ての形状およびサイズにある、錠剤、カプセル、カプレット、トローチ、香錠、丸薬、およびロゼンジなどの経口または舌下投与用の固体剤形の形をとる。
【0046】
本明細書に記述される全てのパーセンテージは、他に指示しない限り、全組成物重量に対するものである。
【0047】
本発明の別の実施形態は、レルカニジピンまたはその塩、誘導体、および多形体を含有する、錠剤、カプセル、及びサッシェなどの経口投与用の固体剤形を調製するための、湿式造粒法の使用である。前記湿式造粒法は、
活性成分としてのジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬、特にレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩の総量、バイオアベイラビリティを高めるためのコロイド状二酸化ケイ素の総量の一部(好ましくは、総量に対して40から60%)、および任意選択の結合剤を、水/EtOH溶媒に溶解するステップと、
形成された溶液に、コロイド状二酸化ケイ素の残りの部分、および希釈剤や結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、湿式造粒剤などの任意選択の賦形剤を添加するステップと、
湿潤剤を、少量の水/EtOH溶媒に溶解し、第1の溶液で混練するステップと、
湿潤塊を乾燥させるステップと、
乾燥した塊を篩にかけ、篩にかけた混合物に、結合剤、湿潤剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、および/または流動促進剤などの少なくとも1種の任意選択の賦形剤の総量を添加し、均一になるまで混合するステップと、
得られた混合物を、所望の錠剤形態に圧縮することによって、またはカプセルもしくサッシェに充填することによって、固体剤形に処方するステップと
を含む。
【0048】
本発明の医薬組成物は、広く様々な賦形剤から選択された1種または複数の追加の製剤成分を含有してもよい。組成物の所望の性質によれば、任意の数の成分を、固体剤形組成物の調製で知られているそれらの用途に基づいて、単独でまたは組み合わせて選択してもよい。
【0049】
そのような成分には、限定するものではないが希釈剤、結合剤、圧縮助剤、崩壊剤、界面活性剤、湿潤剤、抗酸化剤、流動促進剤、潤滑剤、香料、水スカベンジャー(water scavenger)、着色剤、甘味料、コーティング剤、および保存剤が含まれる。
【0050】
任意選択の賦形剤は、組成物中で干渉しないように、ジヒドロピリジンカルシウムチャネル拮抗薬またはその塩に対して相溶性がなければならない。
【0051】
希釈剤は、例えば、炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、微結晶性セルロース、微結晶性ケイ化セルロース、粉末化セルロース、デキストレート、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース無水物、ラクトース一水和物、ラクトース二水和物、ラクトース三水和物、マンニトールソルビトール、デンプン、α化デンプン、スクロース、タルク、キシリトール、マルトースマルトデキストリン、マルチトールであってもよい。
【0052】
結合剤は、例えば、アラビアゴム粘液、アルギン酸、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、エチルセルロース、ゼラチン、液体グルコース、グアールガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリデキストロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプンペースト、α化デンプン、スクロースであってもよい。
【0053】
崩壊剤は、例えば、アルギン酸、二酸化炭素、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶性セルロース、粉末化セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ドキュセートナトリウム、グアールガム、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポラクリリンカリウム、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、グリシン炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、α化デンプンであってもよい。
【0054】
湿潤剤は、Pluronic(商標)またはPoloxamer(商標)として市販されているポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーおよびブロックコポリマー、Solulan(商標)ビタミン誘導体、例えばトコフェロールポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)などのビタミンE誘導体として市販されている、エトキシル化コレステリン、ドデシル硫酸ナトリウム、またはラウリル硫酸ナトリウム、などのビタミンE誘導体、胆汁酸またはその塩、例えばコール酸、グリコール酸、または塩であってもよい。
【0055】
流動促進剤は、例えば、ケイ酸カルシウム、粉末化セルロース、デンプン、タルク、コロイド状二酸化ケイ素であってもよい。
【0056】
潤滑剤は、例えば、ポリエチレングリコール4000、ポリエチレングリコール6000、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ベヘン酸グリセリル、硬化ヒマシ油、ステアリン酸、パルミトステアリン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ステアリルフマル酸ナトリウムであってもよい。
【0057】
別の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は固体剤形であり、各剤形は、塩酸レルカニジピンを7から9mgまたは14から18mg含有し、好ましくは塩酸レルカニジピンを約8mgまたは約16g含有する。詳細には、特に好ましい実施形態によれば、各剤形は、
・塩酸レルカニジピン約16mg、ラクトース一水和物約80mg、微結晶性セルロース約16mg、デンプングリコール酸ナトリウム約20mg、ポリビニルピロリドン約30mg、コロイド状二酸化ケイ素約31mg、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー約5mg、ステアリン酸マグネシウム約2mg、または
・塩酸レルカニジピン約8mg、ラクトース一水和物約45mg、微結晶性セルロース約8mg、デンプングリコール酸ナトリウム約10mg、ポリビニルピロリドン約10mg、コロイド状二酸化ケイ素約15.50mg、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー約2.50mg、ステアリン酸マグネシウム約1mg
を含有してもよい。
【0058】
以下の実施例は、本発明の範囲または精神を限定することなく、本発明による好ましい実施形態を例示する。
【0059】
[実施例]
実施例1:20mgレルカニジピンの錠剤(組成物1)
【0060】
【表1】

【0061】
上記処方の製剤を、以下の製造方法に従い調製した:HPCを、水/EtOH溶媒に溶解した。塩酸レルカニジピンを、Microcellac、微結晶性セルロース、Starch 1500、およびPrimojelと混合して、均質な混合物を形成した。上記混合物を、HPCの溶液で混練した。粒状塊を乾燥した。最後に、ステアリン酸Mgを、乾燥した顆粒に添加し、完全に均質になるまで混合した。得られた顆粒を錠剤に圧縮した。
【0062】
製造された錠剤を、その硬さ、脆さ、崩壊、および含水量に関して試験をした。全ての試験は、欧州薬局方5.1に従って行い、十分にその仕様の範囲内であった。
【0063】
実施例2:20mgレルカニジピンの錠剤(組成物2)
【0064】
【表2】

【0065】
上記処方の錠剤を、以下の製造方法に従い調製した:Tween 20を、水20mgに溶解した(溶液1)。ラクトース一水和物、塩酸レルカニジピン、およびPrimojetの半量を、残された量の水およびEtOHに溶解し、混合した(溶液2)。溶液1および2を合わせ、その後、微結晶性セルロース、Starch 1500、および残りの量のPrimojelの混合物を添加し、混合した。粒状塊を乾燥した。微結晶性セルロースを、乾燥した顆粒に添加し、混合した。最後に、ステアリン酸Mgを顆粒に添加し、完全に均質になるまで混合した。得られた顆粒を、圧縮して錠剤にした。
【0066】
実施例3:20mgレルカニジピンの錠剤(組成物3)
【0067】
【表3】

【0068】
上記処方の錠剤を、以下の製造方法に従って調製した:塩酸レルカニジピンおよび半量のAerosil(商標)を、水/EtOH溶媒に溶解/分散し、その後、PVPを添加した。ラクトース一水和物、およびAerosil(商標)の残りの量を混合し、先の溶液に添加し、混練した。次いでPrimojelを上記溶液に添加した。ポロキサマーを、少量の水/EtOH溶媒に溶解し、先の溶液と共に混練した。粒状塊を乾燥し、篩にかけた。最後に、ステアリン酸Mgを、乾燥した顆粒に添加し、完全に均質になるまで混合した。得られた顆粒を圧縮して錠剤にした。
【0069】
実施例4:16mgレルカニジピンの錠剤(組成物4)
【0070】
【表4】

【0071】
実施例5:8mgレルカニジピンの錠剤(組成物5)
【0072】
【表5】

【0073】
実施例4および5の組成物の錠剤を、実施例3と同じ方法を使用して製造した。これらの錠剤は、塩酸レルカニジピンが結晶形態であり(非晶質ではない)かつより少ない量で存在するので(即ち、10%ではなく8重量%)、互いに本質的に異なっており、さらに、これらの錠剤は、より少ない量のラクトース一水和物とより高いPVP含量も有する。
【0074】
比較試験
最も重要な薬学的技術試験の1つは、生成物のバイオアベイラビリティに強く相関している溶解試験である。溶解方法では、パドル装置IIを、75rpm、37℃±0.5℃で30分間作動させ、それと共に、溶解媒体として緩衝液pH=1.2を使用した。
【0075】
試験をした各成分ごとの溶解速度の結果を、表1に示す。結果は、3つの組成物全てが、約30分以内では完全に溶解しないことを示している。
【0076】
【表6】

【0077】
溶解試験が満足のいく結果をもたらしたとしても、得てしてin vivoでの結果が予測される結果と離れていることは、低溶解度活性成分の医薬組成物に関して一般に知られている課題である。低い溶解度および高い初回通過代謝により吸収が少ない(10%よりも低い)この種の薬物では、溶解試験はそれほど判別可能とならず、したがって薬物動態試験の結果のみが、製剤に関して典型的なものとなる。
【0078】
本発明の別の目的は、安定な医薬組成物を調製することであり、前記活性成分は、分解せず、長期にわたる保存時間の間、非晶質形態のままであった。したがって、臨床試験に先駆けて、3種の組成物をPVC/PE/PVDCアルミニウムブリスターに充填し、標準状態(25℃±2℃/60%±5%RH)に曝し、現行のICH指針に従って安定性試験を加速させた(40℃±2℃/75±5%RH)。6カ月後の安定性の結果を、以下の表に示す。
【0079】
この結果は、レルカニジピンが、コロイダル状二酸化ケイ素を製剤に組み込んだ場合により安定であることを示す。
【0080】
特定の試験および結果を、安定性の表(表2)に記載する。
【0081】
【表7】

【0082】
本発明の別の態様によれば、活性物質は、圧縮後に非晶質状態のままであるべきであり、結晶形態に変換されるべきではない。
【0083】
X−RD分析による図5に示されるように、レルカニジピンは、ブロードピークのみが2θ=20度付近で最大で記録されるので、完全に非晶質である。結晶特性も、混合物をその他の賦形剤と共に医薬組成物に組み込んだ場合に、同じ条件で6カ月後も変化しないままである。任意の結晶形態のレルカニジピンに対応するピークは、調製直後または6カ月保存した後に観察されず、これは混合物が安定していることを示している。
【0084】
実施例3の組成物の錠剤は、プラセボ錠剤でも見られる(図6および7)約2θ=12.7、16.6、19.2、19.7、20.2、21.4、23.0、36.4、37.8度で得られたメインピークを有する。組成物4および5のXRDを、それぞれ図12および13に報告する。
【0085】
本発明の5種類の組成物全てのバイオアベイラビリティおよび薬物動態プロファイルは、「in vivo」単回投与試験で決定した。
【0086】
単回投与試験は、実施例1、2、および3による非晶質の塩酸レルカニジピンで調製した製剤を使用して、12名の健康な志願者で実施した。
【0087】
基準化合物は、活性成分、ラクトース、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、およびOpadry pink(組成物B)からなる20mg塩酸レルカニジピン錠剤(Carmen 20mg)、即ち、Zanedip(登録商標)20mgと同じ組成を有する錠剤であった。
【0088】
各患者に、実施例1の組成物1を、1回分の経口用量として20mg与え、時間をずらして、活性成分20mgと均等な組成物Bの錠剤を与えた。血液サンプルを、異なる時間で採取し、レルカニジピンの血漿濃度を決定した。
【0089】
実施例1による組成物1の薬物動態分析で、R−レルカニジピンおよびS−レルカニジピンを別々に測定した(キラル法)。表3は、試験から得られた主な薬物動態パラメーターを示す。
【0090】
【表8】

【0091】
上記表で:
Cmax=(ピーク濃度)は、投与後に血漿中の薬物が到達した最高濃度である;
AUC0-t=(曲線下の面積)は、時間0から最後の測定可能な濃度までの、時間−血漿濃度曲線下の合計面積であり、線形台形法によって計算されたものである;これは薬物のバイオアベイラビリティの尺度を表す。
【0092】
AUC0-inf=(曲線下の面積)は、時間0から無限大までの、時間−血漿濃度曲線下の合計面積である。AUCinfは、AUC 0−tと、最後の測定可能な血漿濃度および消失速度定数の比との和として計算される。
【0093】
これらのデータは、2種の製剤の性質が、主な薬物動態パラメーターに関して同等であることを示す。
【0094】
その結果、組成物1(20mg錠剤)は、販売されている塩酸レルカニジピン20mg錠剤に比べ、約50%の相対バイオアベイラビリティを有することがわかった(図1および2)。
【0095】
さらに、単回投与試験を、無作為二元交差試験(randomised two−way crossover study)で12名の志願者で実施し、実施例2の組成物の剤形と組成物Bの剤形とを比較した。血漿サンプルを取り出し、間隔を空けてレルカニジピンに関して試験をした。
【0096】
実施例2による組成物2の薬物動態分析では、レルカニジピンのラセミ混合物を測定した。表4は、試験で得られた主な薬物動態パラメーターを示す。
【0097】
【表9】

【0098】
その結果、組成物2(20mg錠剤)は、販売されている塩酸レルカニジピン20mg錠剤に比べ、84%の相対バイオアベイラビリティを有することがわかった。
【0099】
さらに、単回投与試験を、無作為二元交差試験で72名の志願者で実施し、実施例3の組成物の剤形と組成物Bの剤形とを比較した。血漿サンプルを取り出し、間隔を空けてレルカニジピンに関する試験をした。
【0100】
実施例3による組成物3の薬物動態分析では、R−レルカニジピンおよびS−レルカニジピンを別々に測定する(キラル法)。表5は、試験から得られた主な薬物動態パラメーターを示す。
【0101】
【表10】

【0102】
その結果、組成物3(20g錠剤)は、販売されている塩酸レルカニジピン20mg錠剤に比べ、約144%の相対アベイラビリティを有することがわかった(図3および4)。
【0103】
in vivoでの結果は、組成物1に関する血漿中の活性物質の濃度レベルが、基準製品のレベルの約50%であることを示す。組成物2は、組成物1に比べ、血漿濃度に68%の増加を示した。驚くべきことに、基準製品のレベルの約144%にある組成物3は、組成物2および1と比較してそれぞれ71%および188%の増加である。
【0104】
したがって本発明の組成物3は、薬理学的性質に関して、現在のところ最も良く生物学的に利用可能な固体製剤であると見なすことができる。
【0105】
組成物3の高いバイオアベイラビリティは、コロイド状二酸化ケイ素と塩酸レルカニジピンとの間での、微細分散の形成に帰することができる。最適な分散液を、走査型電子顕微鏡(SEM)分析によって検証し、図8および9からわかるように、薬物物質の粒子または凝集体は観察されなかった。
【0106】
活性成分が吸収される、Aerosil(商標)の非常に広い表面は、比表面積の増加をもたらし、過剰なバイオアベイラビリティに寄与する。
【0107】
結合剤の存在は、Aerosil(商標)粒子の表面での、活性成分の均質分布を促進させる。
【0108】
他の比較試験は、Zanedip(登録商標)20mgおよび10mgに対して、それぞれ、実施例4および5の組成物の食物作用(food effect)を比較するために実施した。
【0109】
より詳細には、12名の健康な人々に、標準的な朝食をとる15分前または絶食条件下で、実施例4の組成物を水240mLと共に投与し、同じことを実施例5の組成物でも行った。Zanedip(登録商標)20mgを、同じ人数/タイプの人々に、標準的な朝食をとる15分前に水240mLと共に投与し、同じことをZanedip(登録商標)10mgでも行った。これら摂食条件下での、Zanedip(登録商標)に対する食物の作用を、間接的方法で計算した。
【0110】
全ての場合において、朝食は、バター付きイングリッシュマフィン1個、フライドエッグ1個、アメリカンチーズ1切れ、カナディアンベーコン1枚、ハッシュブラウンポテト1人前、全乳240mL、オレンジジュース180mLからなるものであった。サンプリングスケジュールは、0.333、0.75、1、1.333、1.667、2、2.333、2.667、3、3.5、4.5、6、8、10、14、18、24、30および36時間であった。結果を以下に報告する。
i)実施例4の16mg製剤に対する食物の作用は:
AUCfed/AUCfast=103.6%
Cmax fed/Cmax fast=106.9%
ii)実施例5の8mg製剤に対する食物の作用は:
AUCfed/AUCfast=125.8%
Cmax fed/Cmax fast=118.0%
iii)Zanedip(登録商標)20mgに対する食物の作用は:
AUCfed/AUCfast=125.2%
Cmax fed/Cmax fast=160.3%
iv)Zanedip(登録商標)10mgに対する食物の作用は:
AUCfed/AUCfast=163.4%
Cmax fed/Cmax fast=178.5%
そのような結果に基づけば、これらの実験条件下では、実施例4の16mg製剤には食物作用が無いのに対し、実施例5の8mg製剤の食物作用は、著しく低下した。そのような結果は、模擬的摂食および絶食状態からのin vitroデータによっても報告され、Zanedip(登録商標)20mgとして投与したときの摂食条件下では、薬物の約2倍の可溶化(191%)が示され(図15参照)、一方、同じ模擬方法の下で試験がなされた本発明による16mg製剤は、ほぼ同量の薬物が、摂食および絶食条件下で溶解することを示している(図14参照)。16mgおよび8mg製剤の両方で得られた溶解プロファイルは、Zanedip(登録商標)と比較した場合の、本発明の製剤の改善された挙動についての追加の確証を提供する(それぞれ図10および11参照)。
【0111】
志願者に同じ用量(20mg)が投与されたのか異なる用量(16/8mg)が投与されたのかに関わらず、本発明による組成物は、販売されている基準製品に比べて高いバイオアベイラビリティを示した。この事実は、基準製品よりも少ない量の活性成分を有するが同じ効果を発揮してより良好な患者のコンプライアンスおよびより少ない副作用をもたらす医薬組成物の製造を可能にする。
【0112】
本発明を特定の実施形態に関して述べてきたが、添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更および修正を加えてもよいことが当業者に明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性成分としてのレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体と、バイオアベイラビリティを高めおよび/または溶解度を改善するためのAerosil(商標)などの有効量のコロイド状二酸化ケイ素とを含むことを特徴とする経口投与用の医薬組成物。
【請求項2】
コロイド状二酸化ケイ素を5から25重量%、好ましくは7から20重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
レルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体を、3から25重量%、好ましくは5から10重量%、より好ましくは約8重量%含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
レルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩、誘導体、および多形体と、コロイド状二酸化ケイ素との重量比は、10/1から1/60であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
結合剤、好ましくはポリビニルピロリドン(PVP)を含み、前記結合剤は、5から20重量%の量で、好ましくは約15重量%までの量で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
崩壊剤、好ましくはデンプングリコール酸ナトリウムを含み、前記崩壊剤は、5から15重量%、好ましくは約10重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
湿潤剤、好ましくはポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー(ポロキサマー)を含み、前記湿潤剤は、5重量%まで、好ましくは約2.5重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項8】
希釈剤、好ましくは微結晶性セルロースおよび/またはラクトース、より好ましくはその一水和物形態を含み、前記希釈剤は、40から65重量%、好ましくは45から60重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項9】
内相および外相を含むことを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記外相は、ステアリン酸マグネシウムを含み、好ましくはステアリン酸マグネシウムからなることを特徴とする請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項11】
レルカニジピンは、塩酸塩形態で、好ましくは結晶で存在することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
塩酸レルカニジピン、ラクトース一水和物、微結晶性セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化ケイ素、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマー、ステアリン酸マグネシウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
錠剤、カプセル、またはサッシェなどの固体剤形であることを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
各固体剤形は、塩酸レルカニジピンを7から9mg、または14から18mg、好ましくは塩酸レルカニジピンを約8mgまたは約16mg含有することを特徴とする請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
塩酸レルカニジピンを約16mg、ラクトース一水和物を約80mg、微結晶性セルロースを約16mg、デンプングリコール酸ナトリウムを約20mg、ポリビニルピロリドンを約30mg、コロイド状二酸化ケイ素を約31mg、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを約5mg、ステアリン酸マグネシウムを約2mg含有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
塩酸レルカニジピンを約8mg、ラクトース一水和物を約45mg、微結晶性セルロースを約8mg、デンプングリコール酸ナトリウムを約10mg、ポリビニルピロリドンを約10mg、コロイド状二酸化ケイ素を約15.50mg、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーを約2.50mg、ステアリン酸マグネシウムを約1mg含有することを特徴とする請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
レルカニジピン、好ましくは塩酸レルカニジピンのバイオアベイラビリティを、好ましくは15〜25%増加させるための、請求項1から16のいずれか一項に記載の製剤の使用。
【請求項18】
活性成分としてのレルカニジピンまたは製薬上許容可能なその塩と、バイオアベイラビリティを高めるための有効量のAerosil(商標)などのコロイド状二酸化ケイ素とを含有する錠剤、カプセル、またはサッシェなどの経口投与用の固体剤形を調製するための方法であって、
前記活性成分の総量、前記コロイド状二酸化ケイ素の総量の一部、および結合剤を、水/EtOH溶媒に溶解するステップと、
形成された溶液に、コロイド状二酸化ケイ素の残りの部分、ならびに希釈剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤、潤滑剤、および湿式造粒剤などの任意の賦形剤を添加するステップと、
ポロキサマーなどの湿潤剤を、少量の水/EtOH溶媒に溶解し、第1の溶液と共に混練するステップと、
湿潤塊を乾燥させるステップと、
乾燥した塊を篩にかけ、篩にかけた混合物に、結合剤、希釈剤、崩壊剤、潤滑剤、および/または流動促進剤などの少なくとも1種の任意の賦形剤の総量を添加し、均一になるまで混合するステップと、
得られた混合物を、所望の錠剤形態に圧縮することによって、またはカプセルもしくサッシェに充填することによって、固体剤形に処方するステップと
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−534220(P2010−534220A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517393(P2010−517393)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059645
【国際公開番号】WO2009/013306
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510023115)ファーマゼン エスエー (1)
【出願人】(507061708)レコルダーティ アイルランド リミテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】RECORDATI IRELAND LIMITED
【Fターム(参考)】