説明

ジヒドロフェナントレン単位を含む共役ポリマーとその使用

本発明は、式(I)の新規な構造単位を含む共役ポリマーに関する。本発明の材料は、ポリマー有機発光ダイオードにおいて用いられた際に、高められた効率とより長い駆動寿命により特徴づけられる。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
ポリマー(有機)発光ダイオード(PLED)に基づくディスプレイおよび照明要素の商品化における広範囲に渡る研究が、約12年間行われている。この開発は、EP 423283(WO 90/13148)に開示された基本となる開発により引き起こされた。最近、単純ではあるが最初の製品(フィリップスN.V.(PHILIPS N.V.)社製の電気かみそりにおける小さなディスプレイ)が、市場において入手できるようになった。しかしながら、これらのディスプレイを、目下市場を支配する液晶ディスプレイ(LCD)と真に競合させるか、またはこれよりも優れるものにするためには、かなりの改善が未だに必要とされる。とりわけ、市場の要求(最も重要なものを挙げると、効率、駆動寿命、駆動電圧)を満足させる、全ての発光色(赤、緑、青)のためのポリマーを提供することが必要である。
【0002】
種々の種類の材料が、フルカラーディスプレイのためのポリマーとして提案され、または開発されている。中でも、例えば、EP 0842208、WO 99/54385、WO 00/22027、WO 00/22026 および WO 00/46321 に開示されるポリフルオレン誘導体が、実現性がある。さらに、EP 0707020、EP 0894107 および WO 03/020790 に開示されるポリスピロビフルオレンも可能性がある。WO 02/077060 に開示される2つの上記構造要素の組み合わせを含むポリマーも提案されている。一般的に、構造要素として、ポリ−パラ−フェニレン(PPP)を含むポリマーが、このような用途のための候補である。上記した種類の他に、さらなる実現性のあるポリマーは、例えば、「はしご形PPP」(LPPP)(例えば、WO 92/18552 に開示)、ポリテトラヒドロピレン(例えば、EP 699699 に開示)、およびアンサ構造を含むPPP(例えば、EP 690086 に開示)である。
【0003】
上記の特許出願のいくつかに既に見出されるように、3つ全ての発光色を発生させるために、個々のコモノマーを適切なポリマーに共重合させることが必要である(例えば、WO 00/46321、WO 03/020790 および WO 02/077060 を参照されたい)。青色発光の基礎ポリマー(骨格)から出発して、一般的に、他の2つの原色である赤色および緑色を次に発生させることができる。
【0004】
PLEDの一般的な構造は、上記した特許出願または特許に記載されており、以下においてもより詳細に説明する。
【0005】
目下、PLEDに基づく単色のディスプレイ、および多色ディスプレイまたはフルカラーディスプレイの双方の商業化が考えられている。単色ディスプレイは、単純なコーティング技術(例えば、ドクターブレードコーティング、スピンコーティング)により製造することができ、多色ディスプレイまたはフルカラーディスプレイについては、印刷プロセス(例えば、インクジェット印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)の使用が、ほぼ確実に必要であろう。これらの方法は、全て、可溶性ポリマーを必要とする。
【0006】
上記の特許出願に記載されているいくつかのポリマーは、述べられた用途について優れた性質を有する。重要な性質は、何よりもまず、以下の通りである。すなわち、
・PLEDにおいて用いた際の、高い発光効率およびエネルギー効率
・PLEDにおいて用いた際の、長い駆動寿命
・低い駆動電圧
・PLEDにおける使用中、および適切なデバイスに導入する前の双方における良好な貯蔵安定度
・適切なコーティングプロセスをとにかく可能にするための有機溶媒中への良好な溶解度
・大量生産される製品における経済的な使用を可能にする十分な入手可能性
・フルカラーディスプレイを可能にする種々の色の達成能力
である。
【0007】
置換されたジヒドロフェナントレン単位を含む新規のポリマーが、上記の従来技術よりも優れる非常に良好な性質を示すことを驚くべきことにここに見出した。従って、これらのポリマーおよびPLEDにおけるそれらの使用が、本発明の主題である。
【0008】
無置換のポリ(ジヒドロフェナントレン)は、JP 04288322中に、およびT.ヤマモト等(Macromolecules 1992, 25, 1214-1223)により記載されている。しかしながら、9,10位における、および芳香族環上における置換基の欠如のために、これらのポリマーは、本発明のポリマーの代替となるものではない。何故なら、無置換のポリマーは不溶性であり、よって、溶液から処理することができないためである。同様に、F.アッカート(Uckert)(学位論文、マインツ大学、1998)は、オリゴ(9,9,10,10−テトラメチル−9,10−ジヒドロフェナントレン)の合成を記載している。しかしながら、これらの構築ブロックからのポリマーの合成は、低い溶解度のために、PLEDにおいては、オリゴマーの試験よりもより一層見込みがない。同じ研究には、ポリ[9,10−ジメチル−9,10−ビス(ピバロイルオキシ)−9,10−ジヒドロフェナントレン]が記載されている。これは、比較的可溶であり、原則として青色のエレクトロルミネセンスを示すが、この材料を含むPLEDにおけるエネルギー消費は、高い駆動電圧のために余りにも高く、寿命もあまりにも短く、従って、この置換基の組み合わせは、高い効率および長寿命のポリマーの合成には適していない。
【0009】
EP 1074600は、1つのアリーレン単位が、9,10−ジアルキル−9,10−ジヒドロフェナントレンであり、他が、置換されたフェニレンである交互ポリ(アリーレン−ビニレン)化合物を記載している。このポリマーの性質、とりわけエレクトロルミネセンスは、記載されておらず、従って、この例はこのポリマーのいかなる明確な利点も示さない。
【0010】
本発明は、少なくとも1モル%、好ましくは少なくとも10モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%の式(I)の単位を含むポリマーを提供する
【化7】

【0011】
(式中、用いられる記号および添え字は、以下の意味を有する:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R3)(R4)またはN(R3)であり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R5)またはNであり、
R1、R2、R3、R4は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、N(R6)、Si(R6)またはB(R6)、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の、環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、NR6、O、S、O−CO−O、CONR6、Si(R6)により置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であり、このアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R1により置換されていてもよく、2以上の基R1〜R4は、結合して環構造を形成することができ、ただし、1つの炭素原子上の2つの置換基が、同時にアルコキシ側鎖またはアリールオキシ側鎖であることはなく、全ての置換基R1〜R4が、同時にHであることはなく、または同時にメチル基であることはない、
R5は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、F、CN、N(R6)若しくはB(R6)、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、O、S、CO−O、O−CO−O、CONR6、Si(R6)により置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、また、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であり、このアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R5により置換されてもよく、複数のR5またはR5とR1〜R4は、環構造を形成することができ、
R6は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の、もしくは環状のアルキル鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、O、S、CO−O、O−CO−Oにより置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基(ここで、1以上の炭素原子は、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であって、このアリール基は、1以上の非芳香族基R6により置換されてもよい、
aは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0または1であり、
bは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0、1または2であり、
破線で示される結合は、ポリマーにおける結合を示す)(ただし、1のアリーレン単位が、9,10−ジアルキル−9,10−ジヒドロフェナントレンであるポリ(アリーレン−ビニレン)化合物は、本発明から除外される)。 これは本明細書により指摘されていることであるが、ここで、もう一度、式(I)の構造単位が、非対称的に置換され得ること、すなわち、異なる置換基R1〜R5が、1つの単位上に存在し得、またはR5は、ビアリールの両側の異なる位置に位置し得ることを明示的に述べておく。同様に、基R1〜R5は、互いに環構造も形成し得ることをもう一度明示的に述べておく。
【0012】
本発明の好ましい態様において、式(Ia)に示す通り、X=C(R3)(R4)である。
【化8】

【0013】
ここで、用いた他の記号は、式(I)で上記したものと同じ意味を有する。
【0014】
本発明の特に好ましい態様において、式(1b)に示される通り、X=C(R3)(R4)であり、およびZ=C(R5)である。
【化9】

【0015】
ここで、使用した他の記号は、式(I)で上記したものと同じ意味を有する。
【0016】
ポリマーは、共役、部分的に共役、または非共役であり得る。本発明の好ましい態様において、ポリマーは、共役するか、部分的に共役しており、本発明の特に好ましい態様において、ポリマーは、共役している。
【0017】
本発明の目的のために、共役ポリマーは、主鎖中に、主にsp−混成炭素原子を含み、これは、また、対応するヘテロ原子により置き換えられ得るポリマーである。最も単純な場合に、これは、主鎖中の二重結合と単結合の交互の存在を意味する。「主に」とは、共役の中断をもたらす自然発生的な欠陥が、「共役ポリマー」という語を無効にしないということを意味する。さらに、例えば、アリールアミン単位および/または特定の複素環(すなわち、N、OまたはS原子を介して共役)、および/または有機金属錯体(すなわち、金属原子を介して共役)が主鎖中に存在する場合に、本特許出願明細書中では、同様に、ポリマーを共役という。
【0018】
本発明の目的のために、部分的に共役したポリマーは、非共役部位により中断された比較的長い共役部位を主鎖中に有するか、主鎖中で共役していないポリマーの側鎖に比較的長い共役部位を有するかのいずれかのポリマーである。他方、単純な(チオ)エーテル橋、アルキレン鎖、エステル結合、アミド結合またはイミド結合のような単位は、非共役部位として明白に定義される。
【0019】
本発明のポリマーは、式(I)の単位に加えて、付加的な構造要素をさらに含み得る。これらは、とりわけ、上記の特許出願に開示されたものである。ここで、上記した特許出願 WO 02/077060 における比較的に包括的な列挙について言及しておく。これを、本明細書の一部として本願に援用する。これらのさらなる構造単位は、例えば、下記の種類に由来し得る。
【0020】
グループ1:ポリマーの正孔注入性および/または正孔輸送性を有意に改善する単位;
グループ2:ポリマーの電子注入性および/または電子輸送性を有意に改善する単位;
グループ3:グループ1およびグループ2のそれぞれの単位の組み合わせを含む単位;
グループ4:蛍光よりむしろリン光を得ることができるように発光特性を変える単位;
グループ5:一重項状態から三重項状態への遷移を援助する単位;
グループ6:得られるポリマーの形態または発光色に影響を与える単位;
グループ7:典型的に、骨格として用いられる単位。
【0021】
本発明の好ましいポリマーは、少なくとも1つの構造要素が電荷輸送性を有するもの、すなわち、グループ1および/またはグループ2の単位を含むものである。本特許出願の目的のために、このような構造要素は、以下の特徴を有する。すなわち、これらの構造要素が、ホモポリマーまたはホモオリゴマーを生成するために用いられる場合には、これらは、少なくとも1つの電荷キャリア、すなわち電子または正孔について、もっぱら式(I)の構造要素のみから成るポリマーの場合よりも、著しく高い電荷キャリア移動度を有するであろう。電荷キャリア移動度(cm/(Vs)で測定)は、好ましくは少なくとも10倍だけより高く、特に好ましくは少なくとも50倍だけより高い。
【0022】
正孔輸送性を有する、グループ1からの構造要素は、例えば、トリアリールアミン誘導体、ベンジジン誘導体、テトラアリーレン−パラ−フェニレンジアミン誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアントレン誘導体、ジベンゾ−p−ジオキシン誘導体、フェノキサチイン誘導体、カルバゾール誘導体、アズレン誘導体、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、フラン誘導体、および高いHOMO(HOMO=最高被占軌道)を有する、さらなるO、SまたはN含有複素環である。これらのアリールアミンおよび複素環は、ポリマーにおいて、好ましくは、5.8eV未満(真空準位に対して)、特に好ましくは5.5eV未満のHOMOをもたらす。
【0023】
グループ1の好ましい単位は、式(II)〜(XX)の単位である
【化10】

【化11】

【0024】
(式中置換基R1〜R6は、上記の通りであり、種々の式は、置換基R1により自由位置で置換されていてもよく、記号と添え字は、以下の意味を有する:
nは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0、1または2であり、
pは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0、1または2であり、好ましくは0または1であり、
oは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、1、2または3であり、好ましくは1または2であり、
Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、2〜40の炭素原子を有する芳香族環構造若しくはヘテロ芳香族環構造であり、これは、置換されているか無置換であり得、可能な置換基R1は、任意の自由位置上に位置することができ、
Ar、Arは、出現毎に同一であるか異なり、Ar、Arについて定義された各々であるか、置換または無置換のスチルベニレン単位または置換または無置換のトラニレン単位であり、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、Arについて定義された構造であるか、9〜40の芳香族原子(炭素原子またはヘテロ原子)を有する芳香族環構造若しくはヘテロ芳香族環構造であり、これらは、置換されているか無置換であり得、および少なくとも2つの縮合環を含み、可能な置換基R1は、、任意の自由位置上に位置することができる。
【0025】
電子輸送性を有する、グループ2からの構造要素は、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピラジン誘導体、アントラセン誘導体、トリアリールボラン、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナジン誘導体、アリールボランおよび低いLUMO(LUMO=最低空軌道)を有する、さらなるO、SまたはN含有複素環であり、これらの複素環は、ポリマーにおいて、好ましくは、2.7eV(真空準位に対して)を超える、特に好ましくは3.0eVを超えるLUMOをもたらす。
【0026】
グループ2の好ましい単位は、式(XXI)〜(XXXII)である
【化12】

【0027】
(種々の式は、置換基R1により、任意の自由位置で置換されていてもよい)。
【0028】
正孔移動度を高める単位および電子移動度を高める単位が、直接的に互いに結合して本発明のポリマー中に存在するグループ3からの単位が好ましい。このような単位は、とりわけ、式(XXXIII)〜(XXXXVII)の単位、またはより一般的には式(XXXXVIII)の単位であって、これらは、式(II)〜(XX)の構造の1以上、および式(XXI)〜(XXXII)の構造の1以上の双方を含み、種々の式は、置換基R1により任意の自由位置で置換されていてもよく、並びに記号R1、R2、R3、R4、R5、Ar1および添え字n、pおよびoは、上記した通りであり、Yは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、O、S、Se、N、P、SiまたはGeである。しかしながら、当然、上記の構造(II)〜(XX)または(XXI)〜(XXXII)からさらなる適切な組み合わせを合成することは、当業者にとって単純な作業であると指摘することができ、これらを、本発明のポリマーとして組み入れる。
【化13】

【化14】

【0029】
グループ4の構造単位は、一重項励起子から三重項励起子への遷移を可能にし、室温でも、三重項状態から高い効率で光を放射することができる、すなわち、電場蛍光(electrofluorescence)よりむしろ電場リン光(electrophosphorescence)を示し、これは、しばしば、エネルギー効率における向上をもたらす。
【0030】
低分子量OLEDにおけるこのような金属錯体の使用は、例えば、M.A.バルド、S.ラマンスキー、P.E.バローズ、M.E.トンプソン、S.R.フォレスト(M.A.Baldo, S.Lamansky, P.E.Burrows, M.E.Thompson, S.R.Forrest)、Appl. Phys. Lett、1999年、75、4〜6に記載されている。
【0031】
・この目的に適切な化合物の1つの類は、重原子(すなわち、36を超える原子番号を有する、元素の周期表からの原子)を含む化合物を包含する。
・上記の条件に合致する、d遷移金属およびf遷移金属を含む化合物が、この目的に特に有用である。8〜10族の元素(すなわち、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)を含むこのタイプの構造単位が、ことさら特に好ましい。
【0032】
本発明のポリマーのための適切な構造単位は、例えば、特許出願 WO 02/068435、WO 02/081488、EP 1239526およびWO 04/026886に記載されている種々の錯体である。
【0033】
対応するモノマーは、特許出願 WO 02/068435に記載されている。
【0034】
グループ4の好ましい単位は、式(XXXXIX)〜(LVI)を有する単位である
【化15】

【化16】

【0035】
(式中、この構造は置換基R1により自由位置で置換されてもよく、およびMは、RhまたはIrである)。
【0036】
グループ5の構造要素は、一重項状態から三重項状態への遷移を促進し、グループ4の構造要素を支持するために用いられ得、したがって、グループ4の構造要素のリン光性質を改善するものである。このタイプの適切な構造要素は、特に、カルバゾール単位、特に好ましくは架橋されたカルバゾール二量体単位であり、未公開の特許出願DE 10304819.7およびDE 10328627.6に記載されている。
【0037】
形態、またはポリマーの発光色に影響を及ぼすグループ6の構造要素は、式(I)および式(II)〜(LVI)の単位を含み、更に、上記のグループに分類されない、すなわち、電荷キャリア移動度にほとんど影響を与えない若しくは影響を与えない、または有機金属錯体でない、または一重項状態から三重項状態への遷移に殆ど影響を与えない若しくは影響を与えない、少なくとも1つのさらなる芳香族構造または他の共役構造を含む。
【0038】
ここでは、6〜40の炭素原子を有する芳香族構造、またはスチルベン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体若しくはトラン誘導体が好ましく、これらは、それぞれ、1以上の非芳香族基R1により置換され得る。
【0039】
ここでは、1,4−フェニレン誘導体、1,4−ナフチレン誘導体、1,4−アントラセニレン誘導体若しくは9,10−アントラセニレン誘導体、1,6−ピレニレン誘導体若しくは2,7−ピレニレン誘導体若しくは4,9−ピレニレン誘導体、3,9−ペリレニレン誘導体若しくは3,10−ペリレニレン誘導体、2,7−フェナントレニレン誘導体若しくは3,6−フェナントレニレン誘導体、4,4’−ビフェニリレン誘導体、4,4’’−テルフェニレン誘導体、4,4’−ビ−1,1’−ナフチリレン誘導体、4,4’−スチルベン誘導体、4,4’’−ビススチリルアリーレン誘導体または4,4’−トラン誘導体の取り込みが特に好ましい。
【0040】
式(LVII)〜(LXVIII)の置換された構造または無置換の構造が、ことさら特に好ましい。
【化17】

【0041】
グループ7の構造要素は、6〜40の炭素原子を有する芳香族構造を含む単位であり、典型的に、ポリマー骨格として用いられる。これらは、例えば、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、スピロビフルオレン誘導体、5,7−ジヒドロジベンゾオキセピン誘導体、並びにシス−インデノフルオレン誘導体およびトランス−インデノフルオレン誘導体であり得る。
【0042】
グループ7の好ましい単位は、式(LXIX)〜(LXXVIII)を有する単位であり、種々の部位は、置換基R1により置換されてもよく、
YYは、SiまたはGeであり、および
VVは、O、S、Seである。
【化18】

【0043】
式(I)の構造単位だけでなく、同時に、グループ1〜7の中から選択される1以上の単位も含む本発明によるポリマーが、ここでは好ましい。
【0044】
同様に、1つのグループからの1を超える構造単位が同時に存在することが好ましい。つまり、グループ1、またはグループ2、またはグループ3、またはグループ4、またはグループ5、またはグループ6、またはグループ7からの少なくとも2つの構造単位が同時に存在することが好ましい。
【0045】
本発明のポリマーは、一般的に、10〜10000、好ましくは50〜5000、特に好ましくは50〜2000の繰り返し単位を有する。
【0046】
必要とされるポリマーの溶解度は、とりわけ、式(I)の単位およびその他の繰り返し単位の双方における置換基R1〜R4により確保される。置換基R5およびR6が存在する場合、これらもまた、溶解度に寄与する。十分な溶解度を確保するために、繰り返し単位当たり、平均で少なくとも2の非芳香族炭素原子が置換基中に存在することが好ましい。ここでは、少なくとも4の炭素原子が好ましく、少なくとも8の炭素原子が特に好ましい。これらの炭素原子のいくつかを、OまたはSによって置き換えることもできる。しかしながら式(I)〜(LXXVIII)および他の構造タイプの双方の繰り返し単位のある部分が、さらなる非芳香族置換基を有さないということもむろん可能である。フィルムの形態に不利に影響を与えることを回避するために、直鎖中に12を超える炭素原子を有する長鎖がないことが好ましく、8を超える炭素原子を有さない置換基が好ましく、6を超える炭素原子を有する置換基がないことが特に好ましい。
【0047】
非芳香族炭素原子は、例えば、式(I)におけるR1〜R4の記載において述べたように、適切な直鎖の、分枝のまたは環状のアルキル鎖またはアルコキシ鎖として存在する。
【0048】
ポリマー中の式(I)の単位の割合は、好ましくは少なくとも10モル%、特に好ましくは少なくとも40モル%である。これは、とりわけ、これらの単位が、ポリマー骨格として用いられる場合に当てはまる。これらの単位が、発光単位として用いられる場合は、これらの割合は、好ましくは、5〜20モル%程度である。発光単位として適切な式(I)の単位は、特に、少なくとも1つの記号aが1であり、且つ対応する記号bが1または2であるものである。
【0049】
さらにまた、以下が式(I)の単位において当てはまる本発明によるポリマーが好ましい。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R3)(R4)であり、
R1〜R4は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜10の炭素原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜14の炭素原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、N、SまたはOにより置き換えられてもよい)であり、これらアリール基、ヘテロアリール基またはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R5により置換されていてもよく、
他の記号は、式(I)において上に定義した通りである。
【0050】
さらにまた、以下が、式(I)の単位において当てはまる本発明によるポリマーが特に好ましい。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R3)(R4)であり、Zは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R5)であり、
R1〜R4は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜8の炭素原子を有する直鎖の若しくは分枝のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖、または5〜14の炭素原子を有するアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、N、SまたはOにより置き換えられてもよい)であり、これらアリール基若しくはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R5により置換されていてもよく、
bは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において0または1であり、
他の記号は、式(I)において上に定義した通りである。
【0051】
以下が、式(I)において当てはまる本発明によるポリマーが、ことさら特に好ましい。すなわち、
Xは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R3)(R4)であり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、CHであり、
R1、R3は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜8の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルキル鎖、5〜10の炭素原子を有するアリール基(ここで、1以上の炭素原子は、N、SまたはOにより置き換えられてもよい)であり、このアリール基は、1以上の非芳香族基R5により置換されていてもよく、
R2、R4は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜8の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルコキシ鎖であり、
aは、式(I)の単位がエミッタとして用いられる場合、1であり、
bは、式(I)の単位がエミッタとして用いられる場合、1であり、他の場合は、出現毎に0であり、
他の記号は、式(I)において上に定義した通りである。
【0052】
式(I)の特に好ましい構造の例が、式(LXXIX)〜(CVI)の構造であり、ここで、ポリマーにおける結合は、各々の場合において、破線として表される結合により示されるジヒドロフェナントレン単位の2、7位を介し、およびRは、1〜8の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルキル鎖である。
【化19】

【化20】

【0053】
本発明のポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれかである。本発明によるコポリマーは、式(I)の1以上の構造、または式(LXXIX)〜(CVI)の1以上の構造、および1以上のさらなる構造、例えば、(II)〜(LXXVI)の構造を含むことができる。
【0054】
本発明のコポリマーは、ランダム構造、交互構造若しくはブロック構造を有することができ、または交互に配置される複数のこれらの構造を含むことができる。ブロック構造を有するコポリマーを得ることができ、およびさらなる構造要素が、この目的のために特に好ましい方法は、例えば、未公開特許出願DE 10337077.3に詳述する。これを、本明細書の一部として本願に援用する。
【0055】
溶解度、固体状態の形態、色、電荷注入性および電荷輸送性、熱安定性、電気光学特性等の性質を、複数の異なる構造要素の使用によって設定することができる。
【0056】
式(I)の構造単位のみでなく、式(II)〜(LXXVIII)の少なくとも1つの構造単位をも含む本発明によるポリマーが好ましい。存在する場合、これらの構造要素の割合は、少なくとも1モル%、好ましくは少なくとも5モル%である。これらの構造要素の最大の割合は、好ましくは90モル%を超えず、特に好ましくは60モル%を超えない。これらの構造単位は、また、ポリマーに交互の様式で、またはブロックとして、ランダムに取り込まれ得る。
【0057】
WO 03/020790に記載されているポリスピロビフルオレンおよびWO 02/077060に記載されているポリフルオレン(直近の従来技術としてここに挙げられる)と比較して、本発明のポリマーは、以下の利点を有する。すなわち、
(1)本発明のポリマーが、使用においてより高い発光効率を有する(ポリマーが、他の点では同一の構造または類似の構造を有する場合に)ことを驚くべきことに見出した。これは青色発光を示すコポリマーに特に当てはまり、これは色位置に関して、同様に有意に改善された性質を有する。この点において、特に、電池および蓄電池により電力を供給される携帯アプリケーション(携帯電話、ポケットベル、PDA等のためのディスプレイ)について非常に重要であるが、より低いエネルギー消費で同じ輝度を得ること、または例えば、照明アプリケーションについて興味の対象となり得るが、同じエネルギー消費でより大きい輝度を得ることができるために、これは非常に重要である。
【0058】
(2)さらに、もう一度直接比較すると、本発明のポリマーは、とりわけ緑色発光PLEDおよび青色発光PLEDの場合に、より長い駆動寿命を有する。
【0059】
(3)溶解性挙動(例えば、所定の濃度におけるゲル化温度、所定の濃度における粘性)の観点から、本発明のポリマーは、また、既知のポリマーと同等であり、または時として、広範囲にわたる溶媒へのより優れた溶解性を有する。
【0060】
(4)本発明のポリマーについての入手可能性と色の達成能力は、従来技術のものと等しい。これが直接の利点でないが、本発明により使用されるモノマーが、重合におけるさらなるプロセスパラメータを変化させることなく用いられ得ることを意味し、これは、予想されることではなく、従って、驚くべきことである。
【0061】
式(II)〜(LXXVIII)の構造を取り込む方法を、これらの多くについて直接的に示してきた(例えば、式(II)〜(VI)、および式(XIV〜XX)を参照のこと)。その他の構造の場合、多くの可能性が、本発明によって包含される。しかしながら、これらの場合においても、取り込みの好ましい様式、すなわち、WO 03/020790に記載されている取り込みの様式が存在する。ここで、上記のモノマー(II)〜(LXVIII)の合成に関して、WO 03/020790における包括的な記載に単に言及し、これと、その中に挙げられる文献を、本明細書の一部として本願に援用する。
【0062】
式(XXXIII)〜(XXXXVIII)のモノマーは、WO 03/020790に記載されているように、適切な前駆体を組み合わせることによって、式(II)〜(XXXII)について与えられる情報に従って合成することができる。
【0063】
電場蛍光の代わりに電場リン光を引き起こすグループ4のモノマーの調製は、上記のWO 02/068435に記載されており、これを本明細書の一部として本願に援用する。
【0064】
一重項状態から三重項状態への遷移を援助するグループ5のモノマーの調製に関しては、この点において、上記の特許出願DE 10304819.7、およびDE 10328627.6に言及することができ、これらを本明細書の一部として本願に援用する。
【0065】
ポリマーの形態または発光色に影響を与える式(LVII)〜(LXVIII)のモノマーの調製は、特許出願WO 03/020790に記載されている。そこに述べられることとは対照的に、これらは、さらなる改変を可能にするための付加的な可能性としてのみ、本発明のポリマー中に導入される。
【0066】
得られるポリマーの骨格としての役割を果たす式(LXIX)〜(LXXVI)のモノマーを、以下の文献に記載される通りに調製することができる。式(LXIX)の構造単位を、例えば、オーエ(Oae)等、Bull Chem. Soc. Jpn. 1981、54、2374〜78により記載されている通りに調製することができる。式(LXX)の構造単位に取り込まれるモノマーを、ブラシケ(Blaschke)等、 J. Am Chem. Soc. 1970、92、3675-81により記載されるように調製することができる。特許出願WO 00/46321は、その他のコモノマーの中で、(LXXI)タイプのモノマーの合成を記載する。
【0067】
VV=0である式(LXXII)のモノマーの調製が、コステロ(Costero)等、J. Chem. Res. Miniprint 1994, 4, 761-769に記載されている。VV=0である式(LXXIII)のモノマーの合成が、例えば、ワング(Wang)等、Eur. J. Med. Chem. chim. Ther. 1999, 34, 214-224 に報告されている。式(LXXIV)において示される構造のモノマーを調製する方法は、例えば、特許出願WO 03/020790に記載されている。YY=Siであるタイプ(LXXV)の化合物が、ボールウェグ(Ballweg)等、Silicon Chemistry 2002、1、57-60により記載され、および式(LXXVI)のモノマーの合成は、VV=0については、ウィリアム(William)等、J. Chem. Soc., Chem. Commun. 1996, 2259~2260 により記載されている。タイプ(LXXVII)の化合物を、例えば、WO 04/041901に記載されているように合成することができ、タイプ(LXXVIII)の化合物を、未公開の特許出願EP 03014042.0に記載されているように合成することができる。
【0068】
本発明のポリマーにおける式(I)の構造単位をもたらすモノマーは、ジヒドロフェナントレンであるか、9、10の位置において適切に置換され、および2、7の位置上に、これらのモノマー単位をポリマー中に取り込むことを可能にする適切な官能基を有する、対応する窒素含有誘導体である。
【0069】
このようなジヒドロフェナントレン化合物の合成についての文献は、多くの方法、例えば、Ni(COD)により触媒されるo−ブロモアセトフェノン間のカスケード反応(これはピナコールをもたらす)(シェルフ(Scherf)等、J. Org. Chem. 1999、64、655-58)を示す。このようなピナコールを、同様に、グリニャール試薬、有機リチウム化合物または有機亜鉛化合物とフェナントレンキノンの二重反応(double reaction)により得ることができる。
【0070】
まず第一に、フェナントレンキノンにおいて有機金属Mg、LiまたはZn試薬との反応を行い、最後に、重合を可能にする官能基、例えばブロモ官能基を導入することが好ましい。同様に、まず第一に、例えばブロム化によって、フェナントレンキノンに官能性をもたせ、続いて、有機金属Mg、LiまたはZn試薬を用いて反応を行うことも好ましい。
【0071】
有機金属Mg、LiまたはZn試薬を用いる反応により形成されるピナコールを、さらなる可溶性の置換基を導入するためにエーテル化することができる。さらに、文献(F.アッカート(F. Uckert)、学位論文、マインツ大学、1998)に記載されているようにエステル基もまた、ここでは可能である。しかし、ポリマー中のカルボニル官能基の発生を伴うこのアプローチは、予想されるn→π遷移のための未詳の続いて起こる反応経路(例えば、ノリッシュタイプ1開裂)のために、本発明においては除外される。
【0072】
非対称性のジヒドロフェナントレン誘導体を、例えば、1当量の上記した有機Mg、LiまたはZn試薬とのフェナントレンキノンの反応、続く形成したアルコールのエーテル化、およびさらなる当量の他の有機金属Mg、LiまたはZn試薬との反応、再び、続くエーテル化により得ることができる。
【0073】
有機金属Mg、LiまたはZn試薬を用いる二重反応、および続くアルキル化の経路は、可溶性の置換基を導入するだけでなく、さらに、ビアリール軸内の正確な位置にさらなる官能基を導入する(配向効果)ことも可能にする。従って、例えば、ジブロモ誘導体を、例えば臭素元素またはNBSを用いるブロム化により生成することができ、これを、重合におけるモノマーとして直接的に使用することができ、または当業者により知られる方法により、例えばボロン酸誘導体またはスズ酸塩に変換することもでき、これは、同様に重合においてその後用いられ得る。その他の合成経路、例えば、光化学的変異体(ビニル置換されたビフェニルの照射)は、ジヒドロフェナントレンを導き(ラールホウベン(Laarhoven)等、 J. Chem. Soc. Perkin Trans. 2、1978、915-22)、これは、ダイオード操作において短い寿命をもたらすベンジル水素原子を有し、よって好ましくない。
【0074】
ポリマー中の式(I)の単位をもたらすモノマーは、新規であり、よって同様に、本発明の主題である。
【0075】
従って、本発明は、式(CVII)の二官能性のモノマー化合物をさらに提供する
【化21】

【0076】
2つの官能基AA(同一であるか異なり得る)は、C−Cカップリングの条件下で共重合することを特徴とし、他の記号は、全てのR1〜R4基が、同時にフッ素または塩素でないという条件で、式(I)と同じ意味を有する。
【0077】
AAは、好ましくは、群、Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−SOR5、B(OH)、B(OR5)およびSn(R5)の中から選択される。
【0078】
C−Cカップリング反応は、好ましくは、スズキカップリング、ヤマモトカップリングおよびスティル(STILLE)カップリングの中から選択される。
【0079】
反応後、ポリマー中に、式(LXXIX)〜(CVI)の構造単位をもたらす式(CVII)のモノマー化合物が、ここでは好ましい。
【0080】
本発明は、さらに、式(CVII)の対称性のモノマー二官能性化合物を調製するための式(CVIII)に示されるプロセス、または式(CVII)の非対称性のモノマー二官能性化合物を調製するための式(CIX)に示されるプロセスを提供し、ここで、Xは、C(R3)(R4)であり、ZはC(R5)であり、加えて、R1およびR3は、それぞれアルキル基またはアリール基であり、およびR2およびR4は、それぞれアルコキシ基であり、該プロセスは、フェナントレンキノンを、有機マグネシウム化合物、または有機リチウム化合物、または有機亜鉛化合物と反応させ、続いて、塩基条件下でアルキル化剤R−LGと反応させることを特徴とする。
【化22】

【0081】
(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する。すなわち、
BBは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、Hであるか、AAについて上に定義したものと同じ意味を有し、
R−LGは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、アルキル化剤であり、Rは、アルキル基であり、好ましくは1〜8の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル鎖であり、およびLGは、求核性脂肪族置換の条件下で脱離基として反応する基であり、好ましくはCl、Br、I、O−トシレートまたはO−トリフレートであり、
R1、R3は、それぞれ、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、
R2、R4は、それぞれ、アルコキシ基O−Rであるところの、Rは、上に定義した通りであり、
Halは、F、Cl、Br、Iである)。
【0082】
非対称性のモノマー化合物を合成するために、有機金属Mg、LiまたはZn試薬の添加と、続くアルキル化剤との反応を含む一続きを、連続的に2回行う。
【0083】
本発明の目的のために、有機マグネシウム化合物は、少なくとも1つのMg−C結合を有する化合物であり、グリニャール化合物である、RMgとR−Mgハライド(R=アルキル、アリール)が好ましい。有機リチウム化合物は、少なくとも1つのLi−C結合を有する化合物であり、最も簡単なものは、R−Liであって、例えば、フェニルリチウム、ブチルリチウム、メチルリチウムであり、共有結合性の多中心結合が、明確に許容される。有機亜鉛化合物は、少なくとも1つのZn−C結合を有する化合物であり、一般式RZnおよびR−Znハライド(R=アルキル、アリール)の化合物が好ましい。
【0084】
エーテル化のための適切な塩基は、好ましくは、金属水素化物(例えば水素化ナトリウム)、金属炭酸塩(例えば炭酸ナトリウム若しくは炭酸カリウム)、または金属アルコキシド(例えばナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムtert-ブトキシド)である。
【0085】
式(CVIII)または(CIX)に示されるプロセスの好ましい態様において、グリニャール化合物が、有機金属試薬として用いられる。
【0086】
本発明のポリマーは、一般的に、少なくとも1つのモノマーが、式(I)により記述され、および存在するならば、さらなるモノマーが、式(II)〜(LXXVIII)により記述される、1以上のタイプのモノマーの重合により調製される。原則として、多くの適切な重合反応が存在する。しかしながら、もっぱらC−Cカップリングをもたらすいくつかのタイプが、本目的のために特に有用であることが見出された。すなわち、
(A)スズキ重合、
(B)ヤマモト重合、
(C)スティル(STILLE)重合
である。
【0087】
これらの方法に従って、重合を行うことができる方法、およびポリマーを反応媒体から分離し、精製することができる方法は、例えば、WO 03/048225およびWO 04/022626に詳述されている。
【0088】
加えて、本発明のポリマーを、純粋な物質としてでなく、代わりに、任意のさらなる所望のポリマー物質、オリゴマー物質、樹枝状物質または低分子量物質と共に混合物(配合物)として用いることが好ましい。これらは、例えば、電子性質を改善し得、一重項状態から三重項状態への遷移に影響を与え得、またはそれ自身がエミッタであり得る。しかしながら、電子的に不活性な物質も、また、例えば、形成されるポリマーフィルムの形態に影響を与え、またはポリマー溶液の粘度に影響を与えるために適切である。従って、このような配合物もまた、本発明により提供される。
【0089】
本発明は、1以上の溶媒中に、本発明による1以上のポリマーまたは配合物を含む溶液および調剤をさらに提供する。ポリマー溶液を調製することができる方法は、例えば、WO 02/072714、WO 03/019694およびその中に挙げられた文献に記載されている。これらの溶液を用いて、例えば、領域コーティングプロセス(例えば、スピンコーティング)、または印刷プロセス(例えば、インクジェット印刷)により薄いポリマー層を生成することができる。
【0090】
本発明のポリマーは、PLEDにおいて用いることができる。PLEDを製造することができる方法は、WO 04/037887に一般的なプロセスとして包括的に記載されており、これを、個々のケースについて適切に採用することができる。
【0091】
上記したように、本発明のポリマーは、PLED、またはこのようにして製造されたディスプレイにおけるエレクトロルミネセンス材料として殊更特に有用である。
【0092】
本発明の目的のために、エレクトロルミネセンス材料は、PLEDにおける活性層として用いることができる材料である。「活性層」とは、層が、電場の適用により光を放射することができること(発光層)、並びに/または層が、正電荷および/若しくは負電荷の注入および/若しくは輸送を改善すること(電荷注入層または電荷輸送層)を意味する。
【0093】
従って、本発明はまた、PLEDにおける、とりわけエレクトロルミネセンス材料としての本発明のポリマーの使用を提供する。
【0094】
従って、本発明は同様に、少なくとも1つが本発明の1以上のポリマーを含む1以上の活性層を有するPLEDを提供する。活性層は、例えば、発光層および/または電荷輸送層および/または電荷注入層であり得る。
【0095】
本特許出願の明細書および以下のさらなる例は、PLEDおよび対応するディスプレイについての、本発明のポリマーまたは配合物の使用に関する。記載のこの限定に関わらず、当業者は、さらなる進歩性を必要とせずに、本発明のポリマーを、他の電子デバイス、例えば、いくつかの用途を挙げるのみであるが、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、有機光受容体、または有機レーザダイオード(O laser)におけるさらなる適用のために用いることができるであろう。
【0096】
対応する装置における本発明のポリマーの使用、およびこれらの装置自体も同様に、本発明の主題である。
【0097】
実施例
パートA:式(I)の単位(ジヒドロフェナントレン(=DHP)単位)のための本発明によるモノマーの合成
A1:対称性DHPモノマーの合成
A1.1:2,7置換された9,10−ジブチルr−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレンの合成
A1.1.1:9,10−ジブチル−9,10−ジヒドロフェナントレン−9,10−ジオールの合成
300mlの2.0M溶液のn−ブチルマグネシウムクロライド(0.6mol)を、800mlの乾燥THF中の41.75g(0.2mol)のフェナントレンキノンの溶液に、10℃の内部温度で、1.5時間に渡り滴下して加え、続いて、混合物を室温で6時間攪拌した。125mlの飽和NHCl溶液を用いる加水分解の後、沈殿を、吸引しながらろ別し、酢酸エチルで洗浄し、ろ液を水で2回抽出し、および有機相をNaSOにて乾燥した。溶媒の留去後に残った褐色の固体を、続いて、EtOH/HO(70:30)から2回再結晶した。60.6g(93%)の無色の針状結晶を与えた。
【0098】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.68(dd,HH=6.7Hz,HH=1.7Hz,2H)、7.55(dd,HH=6.4Hz,HH=1.7Hz,2H)、7.33(m,4H)、2.04(s,DOで交換可能,2H,OH)、1.75(m,2H,アルキル)、1.44(m,2H,アルキル)、1.32(m,2H,アルキル)、1.1(m,2H,アルキル)、1.00(m,2H,アルキル)、0.77(m,2H,アルキル)、0.73(t,HH =7.4Hz,6H,アルキル)。
【0099】
A.1.1.2 9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレンの合成
80mlの乾燥DMSO中、先に調製したジオールの26.6gを、80mlの乾燥DMSO中の10gのNaH(鉱油中60%、250mmol)の懸濁液に、約15℃の内部温度で、30分間に渡り加え、この混合物を室温でさらに30分間攪拌し、続いて16mlのMeI(250mmol)を、シリンジを用いて1時間に渡って加え、この溶液をさらに2時間攪拌した。続いて、80mlの15%のNHOHを滴下して加え、この反応混合物を酢酸エチルで2回抽出し、集めた有機層を水で3回洗浄して、NaSOにて乾燥した。減圧下で溶媒を除去するとベージュ色のオイルを与え、これは、RP−HPLCによれば、99.0%の純度を有し、さらなる精製を伴わずに、続く反応に用いた。
【0100】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.64(dd,HH=7.4Hz,HH=2.3Hz,2H)、7.51(dd,HH=6.7Hz,HH=2.3Hz,2H)、7.28(m,4H)、3.70(s,6H,OMe)、2.13(m,2H,アルキル)、1.52(m,2H,アルキル)、1.16(m,2H,アルキル)、1.08(m,2H,アルキル)、0.97(m,2H,アルキル)、0.88(m,2H,アルキル)、0.67(t,HH=7.4Hz,6H,アルキル)。
【0101】
A1.1.3:2,7−ジブロモ−9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM1)の合成
28.9g(82mmol)の9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレンを、190mlの乾燥DMF中に溶解し、17mlの臭素(0.33mmol)を、氷で冷却しながら1時間に渡り滴下して加え、続いてこの混合物を、室温で48時間攪拌した。その後、125mlの飽和NaSO溶液を添加し、この混合物を、CHClで2回抽出し、集めた有機相を、飽和NaHCO溶液で3回再抽出し、NaSOにて乾燥した。溶媒の除去後に残った黄色固体を、MeOH/i−PrOHから3回再結晶した。17.6g(42%)の無色の結晶が残り、これは、RP−HPLCによれば、>99.98%の純度を有した。
【0102】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.65(d,HH=1.7Hz,2H)、7.43(m,4H)、3.67(s,6H,OMe)、2.11(m,2H,アルキル)、1.44(m,2H,アルキル)、1.10(m,6H,アルキル)、0.67(t,HH=7.4Hz,6H,アルキル)、0.59(m,2H,アルキル)。2,7位の臭素原子は、NOE分光法によって確認した。
【0103】
A1.1.4:9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ビス(ボロン酸エチレングリコールエステル)(EM2)の合成
270mlのTHF中、4.9gのMg(203mmol)、100mgのヨウ素(0.4mmol)、0.75mlのジクロロエタン(9.5mmol)および49.3gの2,7−ジブロモ−9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(96.6mmol)から調製されるグリニャール溶液を、125mlのTHF中の30.1g(590mmol)のB(OMe)溶液に、−75℃で2時間に渡り滴下して加えた。この混合物を6時間に渡って0℃まで昇温させると、この懸濁液の粘度は、実質的に高まった。懸濁液を、100mlの酢酸エチルで希釈し、15mlの氷酢酸および35mlのHOと混合し、有機相をろ別し、1MのHClで2回洗浄して、NaSOにて乾燥した。減圧下での溶媒の除去後に残ったシロップを、175mlの乾燥トルエン中に懸濁させ、10.8mlのエチレングリコール(193mmol)を添加して、この混合物を水分離器の上で沸騰させた。この透明な溶液を減圧下で留去し、固体残渣を、酢酸エチルから1回、トルエン/ヘプタンから3回再結晶した。32g(66%)のビスボロン酸エステルが無色結晶として残り、RP−HPLCにより決定された99.97%の純度を有した。
【0104】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.96(s,2H)、7.75(d,HH=7.7Hz,2H)、7.69(d,HH=7.7Hz,2H)、4.39(s,8H,エチレン)、3.70(s,6H,OMe)、2.12(m,2H,アルキル)、1.48(m,2H,アルキル)、1.17(m,2H,アルキル)、1.03(m,2H,アルキル)、0.94(m,2H,アルキル)、0.65(t,HH=7.4Hz,6H,アルキル)、0.57(m,2H,アルキル)。
【0105】
A1.2:2,7置換された9,10−(4−tert−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレンの合成
A1.2.1:2,7−ジブロモフェナントレンキノンの合成
62.5gのフェナントレンキノン(300mmol)を750mlの濃硫酸中に溶解し、106.8gのNBS(600mmol)と室温で混合した。30分間激しく攪拌した後、この黒ずんだスラリーを2lの氷水に注ぎ、淡い赤色の沈殿を吸引しながらろ別し、水で洗浄し、およびEtOH(500ml)中で撹拌した。吸引しながら改めてろ過し、CHCl中で沸騰させると、ジブロミド(85g、77%)を、次なる反応に十分な純度(H−NMRによれば約98%)で与えた。
【0106】
H−NMR(d−DMSO):[ppm]=8.21(d,HH=8.7Hz,2H)、8.08(d,HH=2.3Hz,2H)、7.95(dd,HH=8.4Hz,HH=2.0Hz,2H)。
【0107】
A1.2.2:2,7−ジブロモ−9,10−ビス−(t−ブチルフェニル)−9,10−ジヒドロキシ−9,10−ジヒドロフェナントレンの合成
620mlの乾燥THF中、132.2gの4−tert−ブチルブロモベンゼン(621mmol)および15.1gのMg(621mmol)から調製されるグリニャール試薬を、500mlの乾燥THF中の75.5gのジブロモフェナントレンキノン(207mmol)の懸濁液に、0℃の内部温度で30分間に渡り滴下して加えた。生じた緑色の溶液を、室温で1時間攪拌し、その後、200mlの飽和NHCl溶液と混合し、生じた沈殿を吸引しながらろ別し、沈殿を酢酸エチルで洗浄し、ろ液を水で2回抽出した。集めた有機相を、NaSOにて乾燥し、溶媒を除き、残った固体をMeOH中で煮沸した。無色固体として、86.6g(66%)のジオールを与えた。
【0108】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.73(d,HH=8.4Hz,2H)、7.66(d,HH=2.3Hz,2H)、7.53(dd,HH=8.4Hz,HH=2.0Hz,2H)、7.27(m,4H)、7.22(m,4H)、2.23(s,DOで交換可能,2H,O−H)、1.24(s,18H,t−Bu)。
【0109】
A1.2.3 2,7−ジブロモ−9,10−ビス−(t−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM3)の合成
上で調製したジヒドロフェナントレンジオールの69.3gを1回に少しずつ、180mlの乾燥DMSO中のNaH(鉱油中60%の分散、328mmol)に室温で加え、この黒ずんだ溶液を室温で30分間攪拌した。その後、20.4mlのMeI(328mmol)を滴下して加え、無色の固体の生成をもたらした。3時間後、180mlの15%NHOHおよび100mlのMeOHを滴下して加えた後、結晶スラリーを、吸引しながらろ過し、固体を水とEtOHで洗浄した。この固体を、EtOH/トルエンから3回再結晶し、>99.90%(RP−HPLC)の純度を有する47g(65%)のビスエーテルを与えた。
【0110】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.77(d,HH=8.3Hz,2H)、7.58(dd,HH=8.4Hz,HH=2.0Hz,2H)、7.48(d,HH=2.0Hz,2H)、7.31(br,d,HH=8.0Hz,2H)、7.27(br,d,HH=7.9Hz,2H)、6.74(br,d,HH=8.0Hz,2H)、6.25(br,d,HH=8.1Hz,2H)、2.77(s,6H,O−Me)、1.29(s,18H,t−Bu)。2,7位の臭素原子は、NOE分光法により確認した。
【0111】
A1.2.4:9,10−ビス−(t−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ビス(ボロン酸エチレングリコールエステル)(EM4)の合成
100mlの乾燥THF中で上記のDHP二臭化物(35.6mmol)の23.6gおよび1.8gのMgから調製されるグリニャール試薬を、50mlの乾燥THF中の11.1gのB(OMe)を含む溶液に、−60℃で4時間に渡り滴下して加えた。室温にまで昇温した後、粘性のRGを、10mlの氷酢酸および50mlの水で希釈し、および酢酸エチルで3回抽出した。集めた有機相を、飽和NaCl溶液で2回洗浄し、NaSOにて乾燥した。減圧下での溶媒の除去後に残った無色の泡を、100mlのトルエン中に懸濁した後、4mlのエチレングリコール(71.2mmol)を加え、この混合物を、放出される水の量が一定になるまで、加熱して沸騰させた。続いて溶媒を留去し、残った固体を酢酸エチルから4回再結晶した。無色結晶として、17g(74%)のビスボロン酸エステルを与え、これは>99.90%(RP−HPLC)の純度を有した。
【0112】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.99(d,HH=7.7Hz,2H)、7.92(dd,HH=7.7Hz,HH=1.3Hz,2H)、7.78(d,HH=1.3Hz,2H)、7.36(br,d,HH=8.0Hz,2H)、7.22(br,d,HH=6.8Hz,2H)、6.72(br,d,HH=7.7Hz,2H)、6.24(br,d,HH=6.7Hz,2H)、4.33(m,8H,エチレン)、2.73(s,6H,O−Me)、1.29(s,18H,t−Bu)。
【0113】
A2:スピロ−DHPモノマーの合成
A2.1:スピロ[9H−2,3,6,7−テトラキス(2−メチルブチルオキシ)フルオレン−9,9’(10’H)−10’,10’−ジメチル−2,7−ジブロモフェナントレン](EM5)の調製
乾燥させた器具中、250mlの乾燥THF中で、5.3gのMg(216.3mmol)および108.3g(187.4mmol)の2−ブロモ−4,5,3’,4’−テトラキス(2−メチルブトキシ)ビフェニルからグリニャール試薬を調製し、続いて、220mlのTHF中の2,7−ジブロモ−10,10−ジメチル−10H−フェナントレン−9−オン(54.8g、144.2mmol)の溶液に、室温で滴下して加えた。この混合物を、4時間還流した。この混合物を処理するために、混合物を、500mlの氷水中の50mlのHCl中で攪拌し、酢酸エチルで抽出し、NaSOにて乾燥し、および減圧下で溶媒を除去した。残渣を、500mlの氷酢酸および10mlの濃HClに中に懸濁させ、4時間還流した。生じた沈殿を、吸引しながらろ別し、氷酢酸、水およびMeOHで洗浄して、i−PrOHから4回再結晶した。56g(45%)の無色の結晶を与え、これは、RP−HPLCにより決定された99.80%の純度を有した。
【0114】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.72(d,HH=8.4Hz,1H)、7.69(d,HH=8.4Hz,1H)、7.50(dd,HH=8.4Hz,HH=2Hz,1H)、7.44(dd,HH=8.4Hz,HH=2Hz,1H)、7.39(d,HH=1.7Hz,1H)、7.16(br,s,1H)、7.00(br,s,1H)、6.94(br,s,1H)、7.00(br,s,1H)、6.90(d,HH=1.7Hz,1H)、5.74(br,s,1H)、3.82(m,6H)、3.12(m,2H)、0.5−2.1(m,42H)。
【0115】
A3:非対称性のDHPモノマーの合成
A3.1:2,7−ジブロモ−9,10−ジメトキシ−9−メチル−10−p−トリル−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM6)の調製
鉱油中、60%濃度分散のNaHの4.52g(113mmol)を、乾燥器具に入れ、40mlの乾燥DMSOを添加し、続いて、100mlの乾燥DMSO中の36.8g(75.4mmol)の2,7−ジブロモ−10−メトキシ−10−メチル−9−p−トリル−9,10−ジヒドロフェナントレン−9−オールを滴下して添加し、この混合物を、室温で30分間攪拌した。その後、7ml(113mmol)のMeIを、氷で冷やしながら1時間に渡り滴下して加え、この混合物を室温で1時間攪拌した。混合物を処理するために、混合物を5℃まで冷やし、150mlの15%NHOHを滴下して加え、沈殿を吸引しながらろ別し、水で2回およびMeOHで2回洗浄した。さらに精製するために、EtOH/トルエンから4回再結晶した。16.7g(44%)の無色結晶を与え、RP−HPLCにより決定された99.90%の純度を有した。
【0116】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.67(d,HH=8.4Hz,1H)、7.63(d,HH=8.4Hz,1H)、7.57(d,HH=2.0Hz,1H)、7.53(m,2H)、7.37(br,s,2H)、7.28(d,HH=2.0Hz)、7.22(br,s,2H)、2.82(s,3H)、2.79(s,3H)、2.42(s,3H)、1.24(s,3H)。
【0117】
A4:DHP−OPVモノマーの合成
A4.1:2,7−ビス[2−(4−ブロモフェニル)ビニル]−9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM7)の調製
22.9g(74.7mmol)の4−ブロモベンジルホスホン酸ジエチルを、200mlのDMFに溶解し、保護ガス雰囲気下、約5℃で、14.4g(149mmol)のNaOBuと混合した。5℃で30分間撹拌した後に、13.9g(34mmol)の9,10−ジブチル−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ジカルバルデヒドを、5℃の最高温度で15分に渡り添加し、続いてこの混合物を、5℃で1時間攪拌した。この混合物を処理するために、50mlの4MのHClを滴下して加え、生じた沈殿を吸引しながらろ別し、水およびMeOHで洗浄し、乾燥させた。続いて、この固体を、EtOH/トルエンから3回再結晶して、21.1g(87%)のモノマーを与え、これは、RP−HPLCにより決定された99.8%の純度を有した。
【0118】
H−NMR(CDCl):[ppm]=7.65(m,4H)、7.47(m,6H)、7.41(d,HH=8.7Hz,4H)、7.14(d,HH=16.4Hz,2H)、7.11(d,HH=16.1Hz,2H)、3.76(s,6H)、2.17(m,2H)、1.55(m,2H)、1.18(m,6H)、0.68(m,8H)。
【0119】
パートB:ジヒドロフェナントレン単位を含むポリマーの合成
本発明のポリマー(P)のための、記載した本発明のモノマー(EM)およびさらなるモノマー(M)の構造と、比較ポリマー(C)を以下に示す。これらの化合物の合成は、上記およびWO 03/020790に報告される。9,10−ジブロモアントラセンを購入し(アルドリッチ、98%)、ジオキサンからの再結晶によりさらに精製した。
【化23】

【0120】
B1:ポリマーP3の合成
50mol%の9,10−ビス(t−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン−2,7−ビス(ボロン酸エチレングリコールエステル)(EM4)、20mol%の2,7−ジブロモ−9,10−ビス(t−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM3)、10mol%のN,N’−ビス(4−ブロモフェニル)−N,N’−ビス(4−tert−ブチルフェニル)ベンジジン(M3)および20%の1−(2−エチルヘキシルオキシ)−4−メトキシ−2,5−ビス(4−ブロモ−2,5−ジメトキシスチリル)ベンゼン(M4)の共重合
1.2888g(2.0mmol)のEM4、0.5300g(0.8mmol)のEM3、0.3035g(0.2mmol)のM3、0.5748g(0.8mmol)のM4、2.0300g(8.8mmol)のKPO・HO、6mlのトルエン、19mlのジオキサンおよび12.5mlの水を、30分間この混合物中にアルゴンを通すことにより脱気した。続いて、3.65mg(12μmol)のトリス−o−トリルホスフィンおよび0.45mg(2μmol)のパラジウムアセテートを、保護ガス雰囲気下で添加した。この懸濁液を、アルゴン雰囲気下、87℃の内部温度(穏やかな還流)で激しく攪拌した。20分後、粘性が高いので、さらに15mlのトルエンを加えた。30分後、12mgの3,4−ビス(2−メチルブチルオキシ)ベンゼンボロン酸を加えた。さらに60分間加熱した後、20mgの3,4−ビス(2−メチルブチルオキシ)ブロモベンゼンを添加し、この混合物を、さらに60分間還流した。反応溶液を、5%濃度の水溶性のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム三水和物溶液と共に、65℃で4時間撹拌した。有機相をHOで3回洗浄し、200mlのメタノール中に有機相を滴下して導入することにより沈殿を生じた。ポリマーを120mlのトルエンに溶解し、セライトを通してろ過し、200mlのMeOHにより沈殿させ、洗浄し、一定の重量にまで減圧下で乾燥した。2.1g(95%)のポリマーP3を、黄色がかった固体として与えた。
【0121】
HNMR(CDCl):[ppm]8.1−6.8(m,12.8H,DHP,TAD芳香族);6.3(br,s,1.4H,DHP);4.1−3.6(3×m,3.4H,OCH,OCH);3.0−2.5(3×m,4.2H,OCH,DHP);1.9−0.7(m,17.4アルキルH,1.3にt−ブチルを含む)。
【0122】
GPC:THF;1ml/分、PLゲル 10μm mixed−B 2×300×7.5mm、35℃、RI検出。
【0123】
=207000g/mol、M=58000g/mol。
【0124】
B2:ポリマーP4の合成
ヤマモト法(WO 04/022626に記載)による、2,7−ジブロモ−9,10−ビス(t−ブチルフェニル)−9,10−ジメトキシ−9,10−ジヒドロフェナントレン(EM3)の重合
触媒溶液の調製
マンガン(0.11g、2mmol)を、5mlのDMF中に溶解させたNiBr(200mg、0.9mmol)と室温で混合した。15mlのトルエン中に溶解させた150mg(0.96mmol)のビピリジンおよび0.12ml(1.0mmol)のCODを含む配位子溶液を、ゆっくり添加した。5〜10分後、溶液は、深いスミレ色になった。混合物を、室温で12時間激しく撹拌した。マンガン(350mg、6.4mmol)および触媒溶液(2ml)を、50℃、アルゴン雰囲気下で10分間撹拌した。混合物は、安定な青紫色のままであった。その後、モノマー(1.06g、1.6mmol)EM3を、16mlのトルエン中の溶液として加えると、この反応混合物は赤色に変化し、引き続き混合物を50℃で5日間攪拌した。混合物を、室温にまで冷却し、10mlのトルエンで希釈し、セライトを通してろ過した。有機相を、HCl(50ml)で3回およびHOで3回洗浄し、500mlのメタノール中に有機相を滴下して導入することにより沈殿を生じた。このポリマーを50mlのトルエンに溶解させ、500mlのMeOHにより沈殿させ、洗浄し、減圧下で乾燥した。ポリマーを、THF/MeOH=1:1の混合物を用いて、ソックスレー抽出器内で48時間抽出し、50mlのトルエン中に溶解させ、500mlのMeOHで再び沈殿させ、吸引しながらろ別し、一定の質量まで乾燥した。0.6g(75%)のP4を薄黄色の固体として与えた。
【0125】
HNMR(CDCl):[ppm]8.1−6.9(m,12H);6.7(br s,2H);2.9−2.5(m,6H,OCH);1.4−1.1(m,18アルキルH)。
【0126】
GPC:THF;1ml/min、Plgel 10μl Mixed−B 2×300×7.5mm、35℃、RI検出。
【0127】
=135000g/mol、M=30000g/mol。
【0128】
さらなるコモノマーを、同様に取り入れ、さらなる赤色、緑色および青色を放射するポリマーを調製した。式(I)の単位の代わりに、スピロビフルオレン単位を含む比較ポリマー(以下、Cと示す)を、同様に合成した。
【0129】
全てのこれらのポリマーを、PLEDにおける使用について試験した。これらのPLEDは、各々の場合において二層系、すなわち、基板//ITO//PEDOT//ポリマー//陰極であった。
【0130】
PEDOTは、ポリチオフェン誘導体である(H.C.シュタルク(Stark)、ゴスラー)。全ての場合において、Ba/Agを陰極として用いた。PLEDを製造することができる方法は、WO 04/037887およびその中に挙げられる文献中に包括的に記載されている。
【0131】
本発明のポリマーの最も重要なデバイス特性(色、効率、駆動電圧、寿命)を、表1に示し、式(I)のいかなる単位をも含まない比較ポリマーと比較する。
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1モル%の式(I)の単位を含むことを特徴とするポリマー
【化1】

(式中、用いられる記号および添え字は、以下の意味を有する:
Xは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R3)(R4)またはN(R3)であり、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、C(R5)またはNであり、
R1、R2、R3、R4は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、CN、N(R6)、Si(R6)またはB(R6)、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の、環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、NR6、O、S、O−CO−O、CONR6、Si(R6)により置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であり、このアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R1により置換されていてもよく、2以上の基R1〜R4は、結合して環構造を形成することができ、ただし、1つの炭素原子上の2つの置換基が、同時にアルコキシ側鎖またはアリールオキシ側鎖であることはなく、全ての置換基R1〜R4が、同時にHであることはなく、または同時にメチル基であることはない、
R5は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、F、CN、N(R6)若しくはB(R6)、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の若しくは環状のアルキル鎖若しくはアルコキシ鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、O、S、CO−O、O−CO−O、CONR6、Si(R6)により置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基(ここで、1以上の炭素原子は、また、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であり、このアリール基、ヘテロアリール基若しくはアリールオキシ基は、1以上の非芳香族基R5により置換されてもよく、複数のR5またはR5とR1〜R4は、環構造を形成することができ、
R6は、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、H、1〜22の炭素原子を有する直鎖の、分枝の、もしくは環状のアルキル鎖(ここで、1以上の非隣接の炭素原子は、また、O、S、CO−O、O−CO−Oにより置き換えられてもよく、1以上の水素原子は、フッ素により置き換えられてもよい)、5〜40の炭素原子を有するアリール基(ここで、1以上の炭素原子は、O、SまたはNにより置き換えられてもよい)であって、このアリール基は、1以上の非芳香族基R6により置換されてもよい、
aは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0または1であり、
bは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、0、1または2であり、
破線で示される結合は、ポリマーにおける結合を示す)(ただし、1のアリーレン単位が、9,10−ジアルキル−9,10−ジヒドロフェナントレンであるポリ(アリーレン−ビニレン)化合物は、本発明から除外される)。
【請求項2】
式(Ia)に示す通り、前記Xが、C(R3)(R4)であることを特徴とする請求項1に記載のポリマー。
【化2】

【請求項3】
式(1b)に示す通り、前記Zが、C(R5)であることを特徴とする請求項2に記載のポリマー。
【化3】

【請求項4】
共役していることを特徴とする請求項1〜3の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項5】
正孔注入性および/または正孔輸送性を有意に改善する付加的な単位をさらに含むことを特徴とする請求項1〜4の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項6】
前記正孔輸送性を有する単位が、構造要素であるトリアリールアミン誘導体、ベンジジン誘導体、テトラアリーレン−パラ−フェニレンジアミン誘導体、フェノチアジン誘導体、フェノキサジン誘導体、ジヒドロフェナジン誘導体、チアントレン誘導体、ジベンゾ−p−ジオキシン誘導体、フェノキサチイン誘導体、カルバゾール誘導体、アズレン誘導体、チオフェン誘導体、ピロール誘導体、フラン誘導体、および高いHOMOを有する、さらなるO、SまたはN含有複素環から選択されることを特徴とする請求項5に記載のポリマー。
【請求項7】
電子注入性および/または電子輸送性を有意に改善する付加的な単位をさらに含むことを特徴とする請求項1〜6の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項8】
前記電子輸送性を有する単位が、構造要素であるピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピラジン誘導体、アントラセン誘導体、トリアリールボラン、オキサジアゾール誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナジン誘導体、アリールボランおよび低いLUMOを有する、さらなる、O、SまたはN含有複素環であることを特徴とする請求項7に記載のポリマー。
【請求項9】
請求項5および7に記載した個々の単位の組み合わせを包含する単位を含むことを特徴とする請求項1〜8の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項10】
電場蛍光(electrofluorescence)の代りに電場リン光(electrophophorescence)を得ることができるように発光特性を変える単位を含むことを特徴とする請求項1〜9の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項11】
一重項励起子から三重項励起子への遷移を可能にし、室温でも、三重項状態から高い効率で光を放射することができる前記単位が、36を超える原子番号を有する重原子を含む化合物から選択されることを特徴とする請求項10に記載のポリマー。
【請求項12】
前記重原子が、8〜10族の元素(すなわち、Ru、Os、Rh、Ir、Pd、Pt)から選択されることを特徴とする請求項11に記載のポリマー。
【請求項13】
一重項状態から三重項状態への遷移を援助する付加的な単位を含むことを特徴とする請求項1〜12の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項14】
一重項状態から三重項状態への遷移を援助する前記構造単位が、カルバゾールおよび架橋されたカルバゾール二量体から成る群から選択されることを特徴とする請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
得られるポリマーの形態または発光色に影響を与え、および6〜40の炭素原子を有する芳香族構造並びにスチルベン誘導体、ビススチリルアリーレン誘導体およびトラン誘導体(これらは、それぞれ、1以上の非芳香族R1基により置換されていてもよい)から選択されるさらなる単位が用いられることを特徴とする請求項1〜14の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項16】
前記構造要素が、1,4−フェニレン誘導体、1,4−ナフチレン誘導体、1,4−アントラセニレン誘導体若しくは9,10−アントラセニレン誘導体、1,6−ピレニレン誘導体若しくは2,7−ピレニレン誘導体若しくは4,9−ピレニレン誘導体、3,9−ペリレニレン誘導体若しくは3,10−ペリレニレン誘導体、2,7−フェナントレニレン誘導体若しくは3,6−フェナントレニレン誘導体、4,4’−ビフェニリレン誘導体、4,4’’−テルフェニレン誘導体、4,4’−ビ−1,1’−ナフチリレン誘導体、4,5−ジヒドロピレン誘導体、4,5,9,10−テトラヒドロピレン誘導体、フルオレン誘導体、スピロフルオレン誘導体、5,7−ジヒドロベンザオキセピン誘導体、シス−インデノフルオレン誘導体、トランス−インデノフルオレン誘導体、4,4’−スチルベン誘導体、4,4’−ビススチリルアリーレン誘導体または4,4’−トラン誘導体から選択されることを特徴とする請求項15に記載のポリマー。
【請求項17】
繰り返し単位当たり、平均で少なくとも2の非芳香族炭素原子が、前記置換基中に存在することを特徴とする請求項1〜16の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項18】
長鎖中に、12を超える炭素原子を有する長鎖置換基が存在しないことを特徴とする請求項1〜17の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項19】
式(I)の記号に対して以下が当てはまる、すなわち、
Xは、出現毎にC(R3)(R4)であり、
Zは、出現毎にCHであり、
R1、R3は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜8の炭素原子を有する直鎖の、もしくは分枝のアルキル鎖、または5〜10の炭素原子を有するアリール基(ここで、1以上の炭素原子は、N、Sおよび/またはOにより置き換えられてもよい)であり、前記アリール基は、また、1以上の非芳香族R5基により置換されていてもよい、
R2、R4は、出現毎に同一であるか異なり、それぞれ、1〜8の炭素原子を有する直鎖のまたは分枝のアルコキシ鎖であり、
aは、前記式(I)の単位がエミッタとして用いられる場合には、出現毎に1であり、
bは、前記式(I)の単位がエミッタとして用いられる場合には、出現毎に1であり、他の場合は、出現毎に0であり、および
他の記号は、請求項1に定義した通りである
ことを特徴とする請求項1〜18の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項20】
前記式(I)の構造単位が、式(LXXIV)〜(CVI)の単位から選択されることを特徴とする請求項1〜19の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項21】
少なくとも40モル%の前記式(I)の単位を含むことを特徴とする請求項1〜20の一項またはそれ以上に記載のポリマー。
【請求項22】
請求項1〜21の一項またはそれ以上に記載の1以上のポリマーを含む配合物(混合物)。
【請求項23】
1以上の溶媒中に、請求項1〜22の一項またはそれ以上に記載の1以上のポリマーまたは配合物を含む溶液。
【請求項24】
式(CVII)
【化4】

のモノマー二官能性化合物であって、同一であるか異なり得る2つの官能基AAが、C−Cカップリング条件下で共重合し、並びに、全てのR1〜R4基が、同時にフッ素または塩素であることはないという条件で、記号X、ZおよびR1〜R6は、請求項1に記載したものと同じ意味を有することを特徴とするモノマー二官能性化合物。
【請求項25】
前記AAが、群Cl、Br、I、O−トシレート、O−トリフレート、O−SOR5、B(OH)、B(OR5)およびSn(R5)の中から選択され、R5は、請求項1において定義したものであることを特徴とする請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記C−Cカップリング反応が、スズキカップリング、ヤマモトカップリングおよびスティル(STILLE)カップリングの中から選択されることを特徴とする請求項24および/または25に記載の化合物。
【請求項27】
前記式(CVII)のモノマー化合物が、ポリマー中に式(LXXIX)〜(CVI)の構造単位をもたらすことを特徴とする請求項24〜26の一項またはそれ以上に記載の化合物。
【請求項28】
フェナントレンキノンを、有機マグネシウム化合物または有機リチウム化合物または有機亜鉛化合物と反応させ、続いて、塩基条件下でアルキル化剤R−LGと反応させることを特徴とする、XがC(R1)(R2)であり、ZがC(R5)である式(CVII)の対称性のモノマー二官能性化合物を調製するための式(CVIII)に示されるプロセス。
【化5】

(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する:
BBは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合においてHであるか、請求項25のAAについて記載したものと同じ意味を有し、
R−LGは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、アルキル化剤であり、Rは、アルキル基であり、LGは、求核性脂肪族置換の条件下で、脱離基として反応する基であり、好ましくは、Cl、Br、I、O−トシレートまたはO−トリフレートであり、
R1は、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、
R2は、アルコキシ基O−Rであり、Rは上に定義した通りであり、
Halは、F、Cl、Br、Iである)。
【請求項29】
フェナントレンキノンを、有機マグネシウム化合物または有機リチウム化合物または有機亜鉛化合物を反応させ、続いて、塩基条件下でアルキル化剤R−LGと反応させ、およびこの反応の連続を反復することを特徴とする、XがC(R3)(R4)であり、ZがC(R5)である式(CVII)の非対称性のモノマー二官能性化合物を調製するための式(CIX)に示されるプロセス。
【化6】

(式中、用いられる記号は、以下の意味を有する:
BBは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合においてHであるか、上のAAについて定義したものと同じ意味を有し、
R−LGは、出現毎に同一であるか異なり、各々の場合において、アルキル化剤であり、Rは、アルキル基、好ましくは1〜8の炭素原子を有する直鎖の若しくは分枝のアルキル鎖であり、およびLGは、求核性脂肪族置換の条件下で脱離基として反応する基であり、
R1、R3は、それぞれ、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基であり、
R2、R4は、それぞれ、アルコキシ基O−Rであり、Rは、上に定義した通りであり、
Halは、F、Cl、Br、Iである)。
【請求項30】
前記脱離基LGが、Cl、Br、I、O−トシレートまたはO−トリフレートであることを特徴とする請求項28および/または29に記載のプロセス。
【請求項31】
金属水素化物、アルコキシドまたは炭酸塩を、塩基として用いることを特徴とする請求項28〜30の一項またはそれ以上に記載のプロセス。
【請求項32】
グリニャール試薬を、有機金属化合物として用いることを特徴とする請求項28〜31の一項またはそれ以上に記載のプロセス。
【請求項33】
有機電子デバイスにおける請求項1〜22の一項またはそれ以上に記載のポリマーの使用。
【請求項34】
エレクトロルミネセンス材料としての請求項1〜22の一項またはそれ以上に記載のポリマーの使用。
【請求項35】
1以上の活性層を含み、これらの活性層の少なくとも1つが、請求項1〜22の一項またはそれ以上に記載の1以上のポリマーを含む有機電子デバイス。
【請求項36】
ポリマー発光ダイオード(PLED)、有機集積回路(O−IC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機太陽電池(O−SC)、有機光受容体または有機レーザダイオード(O−laser)であることを特徴とする請求項35に記載の有機電子デバイス。

【公表番号】特表2007−501884(P2007−501884A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522983(P2006−522983)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/009019
【国際公開番号】WO2005/014689
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】