説明

ジヒドロプテリジノン、その製造方法及び使用

本発明は、一般式(12)(式中、R〜RならびにL、n、及びmは、特許請求の範囲及び明細書中に与えられた意味を有する)で表される新規ジヒドロプテリジノン、その異性体、これらジヒドロプテリジノンを調製する方法、及び医薬組成物としてのその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、一般式(12)
【化1】


(式中、基R、R、R、R、R、ならびにL、n及びmは、請求項及び明細書に与えられる意味を有する)
で表される新規ジヒドロプテリジノン及び場合によりその塩、その製造方法、及び特に癌治療におけるその使用に関する。
【0002】
発明の背景
ポロ様キナーゼ(PLK)は、細胞周期におけるプロセスの調節において重要な役割を果たすセリン/トレオニンキナーゼである。当技術分野に開示されている4種のPLK、すなわち、PLK−1、PLK−2、PLK−3及びPLK−4がある。PLKは、真核生物の細胞周期の調節(例えば、哺乳類細胞における有系分裂機構の調節)において役割を果たしている。特に、PLK−1については、有糸分裂の調節に関して中心的な役割が示されている(Glover et al. 1998, Genes Dev. 12: 3777-87; Qian et al. 2001, Mol Biol Cell. 12: 1791-9)。PLK−1の過剰発現は、癌を含む新生細胞に強く関係していると考えられる(国際公開第2004/014899号)。PLK−1の過剰発現は、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌、乳癌、卵巣癌又は乳頭癌、ならびに結腸直腸癌等の様々な腫瘍の種類について記述されている(Wolf et al. 1997, Oncogene 14, pp. 543-549; Knecht et al. 1999, Cancer Res. 59, pages 2794-2797; Wolf et al. 2000, Pathol Res Pract. 196, pp. 753-759; Weichert et al. 2004, Br. J. Cancer 90, pp. 815-821; Ito et al. 2004, Br. J. Cancer 90, pp. 414-418; Takahashi et al. 2003, Cancer Sci. 94, pp. 148-152)。
【0003】
更に、プテリジノン誘導体は、先行技術、例えば以下の文書から公知である。
【0004】
国際公開第01/019825A1号は、本発明とは異なる構造を有する特定のプテリジノンを記載している。これら化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(cdk)及び成長因子媒介キナーゼの強力な阻害剤であると記載されており、細胞増殖性疾患及び障害、特に腫瘍及びウイルス疾患の処置に使用されている。
【0005】
国際公開第2004/076454A1号及び国際公開第03/020722A1号は、特定のプテリジノン、その製造及び使用方法を開示している。前記化合物は、抗増殖性活性を有すると記載されており、癌、感染症、炎症性疾患、及び自己免疫性疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物を調製するために使用されている。本発明は、国際公開第03/020722A1号に対する選択発明であり、国際公開第03/020722A1号に定義されているR置換基は、OH、OCH、Cl、F、CH、COOH、CONHCHPh、及びCONHCH−ピラジニル−CHの中から選択することができ、前記置換基は、本発明に従って請求されるジヒドロプテリジノンと比較すると完全に異なっている。
【0006】
更に、国際公開第2006/018185A2号は、癌治療におけるジヒドロプテリジノンの使用に関し、その構造は、本発明において請求する化合物とは異なっている。
【0007】
多くの種類の腫瘍の耐性が、腫瘍に対抗するための新規医薬組成物の開発を要求する。したがって、本発明の目的は、抗炎症性活性及び抗増殖性活性を有する新規化合物を開発することであり、具体的には、様々な癌疾患の処置のための化合物を提供することである。
【0008】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、一般式(12)(式中、基R〜R、ならびにL、m、及びnは、以下に与えられる意味を有する)で表される化合物が、特定の細胞周期のキナーゼの阻害剤として作用することが見出された。したがって、本発明に係る化合物は、例えば、特定の細胞周期のキナーゼの活性に関連し、そして、過度の又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患を処置するため使用されうる。
【0009】
したがって、本発明は、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、一般式(12):
【化2】


(式中、
は、水素又は場合により置換されるC−C−アルキルを意味し、
は、O−X基又はS−X基(式中、Xは、水素、場合により置換される、C−C12−アルキル、C−C12−アルケニル、C−C12−アルキニル、アミド、ハロゲン、C−C14−アリール、ヘテロアリール、又は
場合により置換される及び/又は架橋される、C−C12−シクロアルキル、C−C12−シクロアルケニル、C−C12−ポリシクロアルキル、C−C12−ポリシクロアルケニル、C−C12−スピロシクロアルキル、1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルキル、及び1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルケニルの中から選択される基の中から選択される)を意味するか、あるいは
及びRは、共に、場合により置換されるC−C12−アルケニル基を意味し、前記場合により置換されるC−C12−アルケニル基中の二重結合は、好ましくは、隣接する環系に直接結合するように位置し、
は、水素、又は場合により置換される、C−C12−アルキル、C−C12−アルケニル、C−C12−アルキニル及びC−C14−アリールの中から選択される基、又は場合により置換される及び/又は架橋される、C−C12−シクロアルキル、C−C12−シクロアルケニル、C−C12−ポリシクロアルキル、C−C12−ポリシクロアルケニル、C−C12−スピロシクロアルキル、1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルキル、及び1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルケニルの中から選択される基を意味するか、あるいは
及びRは、共に、1個のヘテロ原子を含有し得る、飽和又は不飽和のC−C−アルキル架橋を意味し、
は、水素、又は−CN、ヒドロキシ、−NR及びハロゲンの中から選択される基、又は
場合により置換される、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルホキソ及びC−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し、
Lは、場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、C−C14−アリール−C−C−アルキル、場合により架橋されるC−C12−シクロアルキル、及び1又は2個の窒素原子を含有するヘテロアリールの中から選択されるリンカーを意味し、
nは、0又は1を意味し、
mは、1又は2を意味し、
は、場合により置換される、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピペラジニルカルボニル、ピロリジニル、トロペニル(tropenyl)、ジケトメチルピペラジニル、スルホキソモルホリニル、スルホニルモルホリニル、チオモルホリニル、−NR及びアザシクロヘプチルの中から選択される基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素又はC−C−アルキルを意味し、そして、
、Rは、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基のいずれかを意味する)
で表される化合物及び場合によりその塩に関する。
【0010】
好ましい式(12)で表される化合物は、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態であり、
、R、R、R、R及びRが上に定義した通りであり、そして、
Lが、場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、C−C14−アリール−C−C−アルキル、場合により架橋されるC−C12−シクロアルキル、及び1又は2個の窒素原子を含有するヘテロアリールの中から選択されるリンカーを意味し、
nが、0又は1を意味し、
mが、1又は2を意味し、
が、場合により置換される、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、トロペニル、ジケトメチルピペラジニル、スルホキソモルホリニル、スルホニルモルホリニル、チオモルホリニル、−NR及びアザシクロヘプチルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味するもの、
及び場合によりその塩である。
【0011】
また好ましいものは、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、式(12)で表される化合物であり、ここでR、R、R、R、R、R、L、n及びmが、上に定義した通りであり、
が、場合により置換される、ピペリジニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ピペラジニルカルボニル、トロペニル、モルホリニル、及びアザシクロヘプチルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し、
及び場合によりその塩である。
【0012】
特に好ましいものは、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、式(12)で表される化合物であり、ここで、L、m、n及びR〜Rが、上に定義した通りであり、
及びRが、共に、場合により置換されるC−C−アルケニル基を意味し、前記場合により置換されるC−C−アルケニル基中の二重結合は、好ましくは、隣接する環系に直接結合するように位置し、
及び場合によりその塩である。
【0013】
また好ましいものは、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、式(12)で表される化合物であり、ここで、R、R、R、R、R、及びRが、上に定義した通りであり、
Lが、場合により置換される、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C12−アリール、C−C−アルキル−C−C12−アリール、C−C12−アリール−C−C−アルキル、及び場合により架橋されるC−C12−シクロアルキルの中から選択されるリンカーを意味し、
nが、0又は1を意味し、
mが、1を意味し、
が、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、水素、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、及びC−C10−シクロアルキルの中から選択され、
及び場合によりその塩である。
【0014】
特に好ましいものは、場合により、その水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、式(12)で表される化合物であり、ここで、R、R、R、R、R、L、n、及びmが、上に定義した通りであり、
が、O−X基又はS−X基(式中、Xは、水素、場合により置換される、C−C−アルキル及びC−C12−アルケニルの中から選択される)を意味し、
が、水素、又は場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−ヘテロシクロアルキル及びC−C14−アリールの中から選択される基を意味するか、あるいは
及びRが、共に、1又は2個のヘテロ原子を含有し得る飽和又は不飽和のC−C−アルキル架橋を意味し、
が、水素、OMe、OH、Me、Et、Pr、OEt、NHMe、NH、F、Cl、Br、O−プロパルギル、O−ブチニル、CN、SMe、NMe、CONH、エチニル、プロピニル、ブチニル及びアリルの中から選択される基を意味し、
及び場合によりその塩である。
【0015】
また、特に好ましいものは、式(12)で表される化合物であり、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、n及びmが、上に定義した通りであり、
Lが、場合により置換される、フェニル、フェニルメチル、シクロヘキシル及び場合により分岐するC−C−アルキルの中から選択されるリンカーを意味する。
【0016】
本発明は、更に、医薬組成物、特に抗増殖性活性を有する医薬組成物として使用するための式(12)で表される化合物に関する。
【0017】
また、本発明は、癌、感染症、炎症性疾患及び自己免疫疾患を治療及び/又は予防する医薬組成物を調製するための式(12)で表される化合物の使用に関する。
【0018】
本発明による特に重要なものは、抗増殖性活性を有する医薬組成物として使用するための、特に、有糸分裂調節因子としてのポロ様キナーゼを阻害することにより、ヒト又は非ヒト哺乳類の身体における異常な細胞増殖を特徴とする疾患を処置するための、式(12)で表される化合物である。
【0019】
好ましい態様では、本発明は、ポロ様キナーゼがPLK−1である本発明に係る式(12)で表される化合物の使用に関する。
【0020】
別の好ましい態様では、本発明は、前記疾患が、不適当な細胞の増殖、遊走、アポトーシス又は血管形成、好ましくは、不適当な細胞の増殖を特徴とする、本発明に係る式(12)で表される化合物の使用に関する。不適当な細胞の増殖は、不適当な細胞成長、過度の細胞分裂、加速された速度の細胞分裂、及び/又は不適当な細胞生存に起因する細胞増殖を意味する。
【0021】
別の好ましい態様では、本発明は、前記疾患が、癌腫、肉腫、黒色腫、骨髄腫、血液腫瘍、リンパ腫、及び小児癌からなる群より選択される癌である本発明に係る式(12)で表される化合物の使用に関する。
【0022】
別の好ましい態様では、本発明は、血液腫瘍が白血病である本発明に係る使用に関する。
【0023】
別の好ましい態様では、本発明は、前記疾患が、混合腫瘍、未分化腫瘍、及びこれらの転移から選択される癌である本発明に係る使用に関する。
【0024】
更なる実施形態では、本発明は、アミロイドーシス、全身紅はん性エリテマトーデス、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性硬化症(強皮症)、混合結合組織病、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、自己免疫性脈管炎、ベーチェット症候群、乾癬、自己免疫性関節炎、サルコイドーシス、及び糖尿病からなる群より選択される自己免疫障害を処置する医薬組成物を調製するための、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により薬学的に許容し得る塩の形態である、本発明に係る式(12)で表される化合物の使用に関する。
【0025】
更なる実施形態では、本発明は、カンジダ症、クリプトコックス症、アスペルギルス症、ムコール症、輪癬、皮膚糸状菌症、ヒストプラスマ症、分芽菌症、コクシジウム症、ニューモシスティスを非限定に含む真菌性疾患を処置する医薬組成物を調製するための、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により薬学的に許容し得る塩の形態である、本発明に係る式(12)で表される化合物の使用に関する。
【0026】
更なる実施形態では、本発明は、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により塩の形態である、治療上有効な量の式(12)で表される化合物を哺乳類に投与することを含む、ヒト又は非ヒト哺乳類における異常な細胞増殖を特徴とする疾患を処置する方法に関する。
【0027】
更なる実施形態では、本発明は、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により塩の形態である、治療上有効な量の式(12)で表される化合物を患者に投与することを含む、上記の1以上の疾患に罹患している患者を処置する方法に関する。
【0028】
また、本発明は、有効な量の式(12)で表される化合物を患者に与えることを特徴とする、癌、感染症、炎症性疾患及び自己免疫性疾患を予防及び/又は治療する方法に関する。
【0029】
また、本発明は、PLKの活性及び/又はPLKもしくは他のPLK異性体のうちの1つ、好ましくはPLK−1の過剰発現を制御し、調節し、結合し、又は阻害することを含む、哺乳類における有糸分裂調節因子としてのポロ様キナーゼを阻害することにより、ヒト又は非ヒト哺乳類の身体における異常な細胞増殖を特徴とする疾患を処置する方法を記載する。
【0030】
更なる実施形態では、本発明は、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により薬理学的に許容し得る塩の形態である、本発明に係る式(12)で表される化合物の使用であり、ここで前記活性成分が、経口で、経腸的に、経皮的に、静脈内に、腹腔に、又は注射により、好ましくは静脈内に投与される使用に関する。
【0031】
本発明の意味において、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合により塩の形態である、式(12)で表される化合物は、Saos−2、H4、MDA−MB−435S、MDA−MB453、MCF7、HeLa S3、HCT116、Colo205、HT29、FaDu、HL−60、K−562、THP−1、HepG2、A549、NCI−H460、NCI−H520、GRANTA−519、Raji、Ramos、BRO、SKOV−3、BxPC−3、Mia CaPa−2、DU145、PC−3、NCI−N87、MES−SA、SK−UT−1B及びA431を非限定に含む、様々なヒトの腫瘍細胞株の増殖を阻害する。
【0032】
また、本発明は、活性成分として、一般式(12)で表される1以上の化合物、又はその生理学的に許容しうるか、もしくは薬理学的に許容しうる塩、溶媒和物、水和物、多形、これらの生理学的に機能的な誘導体及びプロドラッグを含有し、場合により、通常の賦形剤、希釈剤、及び/又は担体と組み合わせられる医薬製剤に関する。
【0033】
ジヒドロプテリジノン化合物の使用に関する詳細な概念は、国際公開第2006/018185A2号から得ることができ、その全開示は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0034】
また、本発明は、一般式(12)で表される化合物を調製する方法であり、ここで、以下の7工程を別々に実施し、そして、全ての工程の生成物をそれぞれ精製してもよく、あるいは、工程を連続的な順序で組み合わせることができるように、得られた生成物を後続工程でそのまま用いてもよい方法に関する。
【0035】
工程1では、本発明に係る方法は、式(3)
【化3】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を提供し、
一般式(1)
【化4】


(式中、
Aは、脱離基である)
で表される化合物と一般式(2)
【化5】


(式中、
は、上に定義した通りである)
で表される化合物とを反応させて、一般式(3)で表される化合物を得ることを特徴とする。
【0036】
工程2では、本発明に係る方法は、式(4)
【化6】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を提供し、
一般式(3)
【化7】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を、ニトロ基で適切な触媒の存在下で水素添加して、一般式(4)で表される化合物を得ることを特徴とする。
【0037】
工程3では、本発明に係る方法は、式(6)
【化8】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を提供し、
一般式(4)
【化9】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物とα−ケト酸とを反応させて、一般式(6)で表される化合物を形成することを特徴とする。
【0038】
工程4では、本発明に係る方法は、シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(7)
【化10】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を提供し、
一般式(6)
【化11】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を環化させて、シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(7)で表される化合物を形成することを特徴とする。
【0039】
工程5では、本発明に係る方法は、シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(9)
【化12】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を提供し、
シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(7)
【化13】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物をメチル化試薬と塩基の存在下で反応させて、シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(9)で表される化合物を得ることを特徴とする。
【0040】
工程6では、本発明に係る方法は、シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(11)
【化14】


(式中、
、R、R、L、m及びnは、上に定義した通りである)
で表される化合物を提供し、
シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(9)
【化15】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、Aは、脱離基である)
で表される化合物を、場合により置換される一般式(10)
【化16】


(式中、
は、上に定義した通りであり、そして、
10は、NH−L−Rであり、R、L、m及びnは、上に定義した通りである)
で表される化合物と反応させることを特徴とする。
【0041】
工程7では、本発明に係る方法は、式(12)
【化17】


(式中、
〜R、L、m及びnは、上に定義した通りである)
で表される化合物を提供し、
シスもしくはトランス化合物又はこれらの混合物の形態である式(11)
【化18】


(式中、
〜R、L、m及びnは、上に定義した通りである)
で表される化合物を反応させて、一般式(12)で表される化合物を形成し、次いで、公知の方法、好ましくはクロマトグラフィー法に従って生成物を場合により精製することを特徴とする。
【0042】
用いられる用語の定義
他の基の一部であるアルキル基を含む用語「アルキル基」は、1〜12個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子、最も好ましくは1〜4個の炭素原子を含む分枝状及び非分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びドデシル等である。特に明記しない限り、上述の用語、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル及びドデシルは、可能な異性体を全て含む。例えば、用語プロピルは、2つの異性体の基、n−プロピル及びイソプロピルを含み、用語ブチルは、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルを含み、用語ペンチルは、イソペンチル、ネオペンチル等を含む。
【0043】
前述のアルキル基において、1以上の水素原子を場合により、他の基に置換してもよい。例えば、これらアルキル基を、ハロゲン、好ましくは、フッ素、塩素及び臭素で置換してもよい。場合により、アルキル基の水素原子を全て置換してもよい。
【0044】
用語「アルキル架橋」は、特に明記しない限り、1〜5個の炭素原子を含む分枝状及び非分枝状のアルキル基を意味し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、イソブチル、sec−ブチル、及びtert−ブチル等の架橋である。特に、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレン架橋が好ましい。上述のアルキル架橋において、1〜2個のC原子を、場合により、酸素、窒素又は硫黄の中から選択される1以上のヘテロ原子により置換してもよい。
【0045】
他の基の一部であるものを含む用語「アルケニル基」は、少なくとも1個の二重結合を有することを条件として、2〜10個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子、最も好ましくは2〜3個の炭素原子を含む分枝状及び非分枝状のアルケニル基を意味する。例は、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル等を含む。特に明記しない限り、前述の用語、プロペニル、ブテニル等は、可能な異性体の全ても含む。例えば、用語ブテニルは、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル及び1−エチル−1−エテニルを含む。
【0046】
前述のアルケニル基において、特に明記しない限り、1以上の水素原子を場合により他の基に置換してもよい。例えば、これらアルケニル基を、ハロゲン、好ましくは、フッ素、塩素及び臭素で置換してもよい。場合により、アルケニル基の水素原子を全て置換してもよい。
【0047】
他の基の一部であるものを含む用語「アルキニル基」は、少なくとも1個の三重結合を有することを条件として、2〜10個の炭素原子を有する分枝状及び非分枝状のアルキニル基を意味し、例えば、エチニル、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等、好ましくはエチニル又はプロピニルである。
【0048】
前述のアルキニル基において、特に明記しない限り、1以上の水素原子を場合により他の基に置換してもよい。例えば、これらアルキニル基を、ハロゲン、好ましくは、フッ素、塩素又は臭素で置換してもよい。場合により、アルキニル基の水素原子を全て置換してもよい。
【0049】
用語「アリール」は、特に明記しない限り、例えば以下の置換基のうちの1以上を有し得る、6〜14個の炭素原子、好ましくは6〜10個の炭素原子を有する芳香族環系、好ましくはフェニルを意味する:OH、NO、CN、OMe、−OCHF、−OCF、−NH、ハロゲン、例えば、フッ素又は塩素、C−C10−アルキル、好ましくはC−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキル、最も好ましくはメチル又はエチル、−O−C−C−アルキル、好ましくは−O−メチル又は−O−エチル、−COOH、−COO−C−C−アルキル、好ましくは−O−メチル又は−O−エチル、−CONH
【0050】
2個以下の炭素原子が1又は2個の窒素原子により置換されている「ヘテロアリール基」の例は、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピリミジンを含むが、上述のヘテロアリール環のそれぞれは、場合により、ベンゼン環に環縮合されてもよい、好ましくはベンズイミダゾールであってもよい。これら複素環は、場合により、例えば以下の置換基のうちの1以上を有してもよい:F、Cl、Br、OH、OMe、メチル、エチル、CN、CONH、NH、場合により置換されるフェニル、場合により置換されるヘテロアリール、好ましくは場合により置換されるピリジル。
【0051】
「シクロアルキル基」の例は、3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、又はシクロオクチル、好ましくは、シクロプロピル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルであるが、上述のシクロアルキル基のそれぞれは、場合により、例えば以下の1以上の置換基を有してもよい:OH、NO、CN、OMe、−OCHF、−OCF、−NH、又はハロゲン、好ましくはフッ素又は塩素、C−C10−アルキル、好ましくはC−C−アルキル、好ましくはC−C−アルキル、より好ましくはメチル又はエチル、−O−C−C−アルキル、好ましくは−O−メチル又は−O−エチル、−COOH、−COO−C−C−アルキル、好ましくは−COO−メチル又は−COO−エチル、又は−CONH。シクロアルキル基の特に好ましい置換基は、=O、OH、NH、メチル又はFである。
【0052】
「シクロアルケニル基」の例は、少なくとも1個の二重結合を有する、3〜12個の炭素原子を有するシクロアルキル基であり、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、好ましくはシクロプロペニル、シクロペンテンチル、又はシクロヘキセニルであるが、上述のシクロアルケニル基はそれぞれ、場合により、1以上の置換基を有してもよい。
【0053】
「=O」は、二重結合を介して連結される酸素原子を意味する。
【0054】
「ヘテロシクロアルキル基」の例は、特に明記しない限り、ヘテロ原子として窒素、酸素、又は硫黄等を含有してもよい、3〜12員、好ましくは5、6、又は7員の飽和又は不飽和の複素環を含み、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフラノン、γ−ブチロラクトン、アルファピラン、ガンマピラン、ジオキソラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ジヒドロチオフェン、チオラン、ジチオラン、ピロリン、ピロリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、テトラゾール、ピペリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、テトラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジアゼパン、オキサジン、テトラヒドロ−オキサジニル、イソチアゾール、ピラゾリジン、好ましくは、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン又はピペラジンであるが、前記複素環基は、場合により置換基、例えば、C−C−アルキル、好ましくはメチル、エチル又はプロピルを有してもよい。
【0055】
「ポリシクロアルキル基」の例は、場合により置換される二環式、三環式、四環式、又は五環式のシクロアルキル基であり、例えば、ピナン、2,2,2−オクタン、2,2,1−ヘプタン又はアダマンタンである。
【0056】
「ポリシクロアルケニル基」の例は、場合により架橋及び/又は置換される、好ましくは8員の二環式、三環式、四環式、又は五環式のシクロアルケニル基であり、好ましくは、二環式アルケニル基又は三環式アルケニル基であり、これらが少なくとも1個の二重結合を有する場合は、例えば、ノルボルネンである。
【0057】
「スピロアルキル基」の例は、場合により置換されるスピロ環式C−C12アルキル基である。
【0058】
一般に、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素、好ましくはフッ素、塩素又は臭素、最も好ましくは塩素を意味する。
【0059】
「脱離基A」は、例えば、−O−メチル、−SCN、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、又はp−トルエンスルホニル、好ましくは塩素等の同一又は異なる脱離基を意味する。
【0060】
本発明の好ましい態様
本発明に係る化合物は、個々の光学異性体、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー又はラセミ体の混合物、水和物、互変異性体の形態で存在してもよく、また、遊離塩基、あるいは薬理学的に許容しうる酸との対応する酸付加塩、例えば、塩酸もしくは臭化水素酸等のハロゲン化水素酸、又は例えばシュウ酸、フマル酸、ジグリコール酸もしくはメタンスルホン酸等の有機酸との酸付加塩等の形態であってもよい。また、本発明に係る化合物は、溶媒和物、水和物、多形、生理学的に機能的な誘導体、又はこれらのプロドラッグの形態で存在してもよい。
【0061】
置換基Rは、水素、あるいは場合により置換される及び/又は分岐しているC−C−アルキル、好ましくはメチル又はエチルの中から選択される基を意味し得る。
【0062】
置換基Rは、O−X基又はS−X基(式中、Xは、水素、場合により置換される及び/又は分岐しているC−C−アルキル、ならびに場合により置換される及び/又は分岐しているC−C10−アルケニルの中から選択される)、好ましくはO−X(式中、Xは水素あるいは場合により置換される及び/又は分岐しているC−C−アルキル、最も好ましくは水素である)を意味し得る。
【0063】
及びRは、共に、場合により置換されるC−C−アルケニル基であって、好ましくは前記場合により置換されるC−C−アルケニル基中の二重結合が隣接する環系に直接結合するように位置し、好ましくは、場合により置換されるC−C−アルケニル基、最も好ましくは、二重結合が、アルキレン基及び隣接する環系を直接連結するように位置する、場合により置換されるC−C−アルケニル基を意味し得る。
【0064】
置換基Rは、水素、あるいは場合により置換される及び/又は分岐しているC−C12−アルキル(好ましくはエチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル、より好ましくはプロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)、C−C12−アルケニル(好ましくはC−C−アルケニル)、C−C12−アルキニル(好ましくはC−C−アルキニル)及びC−C14−アリール(好ましくはフェニル)の中から選択される基、場合により置換される及び/又は架橋されるC−C12−シクロアルキル(好ましくはシクロペンチル又はシクロヘキシル)、C−C12−シクロアルケニル(好ましくはC−C−シクロアルケニル)、C−C12−ポリシクロアルキル、C−C12−ポリシクロアルケニル、C−C12−スピロシクロアルキル、C−C12−ヘテロシクロアルキル(好ましくは、1〜2個のヘテロ原子、好ましくは酸素又は窒素を含有する、ピラニル又はピペリニル、ピロリジニル、ピラジニル又はモルホリニル)、ならびに1〜2個のヘテロ原子、好ましくは酸素又は窒素を含有するC−C12−ヘテロシクロアルケニルの中から選択される基を意味し得る。
【0065】
最も好ましくは、置換基Rは、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、シクロペンチル、フェニル、又はシクロヘキシルを意味する。
【0066】
及びRは、共に、1個のヘテロ原子、好ましくは酸素又は窒素を含有し得る飽和又は不飽和のC−C−アルキル架橋を意味し得る。
【0067】
置換基Rは、水素、あるいは−CN、ヒドロキシ、−NR及びハロゲン、好ましくは塩素又はフッ素、より好ましくは塩素の中から選択される基、あるいは場合により置換されるC−C−アルキル、好ましくはメチル、エチル、又はプロピル、C−C−アルケニル、好ましくはエテニル又はプロペニル、C−C−アルキニル、好ましくはエチニル、プロピニル又はブチニル、C−C−アルキルオキシ、好ましくはメトキシ、エトキシル、又はプロパルギルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルホキソ及びC−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し得る。
【0068】
最も好ましくは、置換基Rは、メトキシ、メチル、エトキシ、エチル、プロパルギルオキシ、又は塩素を意味する。
【0069】
Lは、場合により置換される及び/又は分岐しているC−C−アルキル、好ましくはエチル、プロピル、ブチル又はペンチル、場合により置換されるC−C−アルケニル、場合により置換されるC−C12−アリール、好ましくはフェニル、場合により置換されるC−C−アルキル−C−C12−アリール、場合により置換されるC−C12−アリール−C−C−アルキル、好ましくはフェニルメチル、場合により架橋される及び/又は場合により置換されるC−C12−シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、ならびに1又は2個の窒素原子を含有する場合により置換されるヘテロアリールの中から選択されるリンカーを意味し得る。
【0070】
nは、0又は1を意味し、
mは、1又は2、好ましくは1を意味する。
【0071】
は、場合により置換される、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピペラジニルカルボニル、ピロリジニル、トロペニル、ジケトメチルピペラジニル、スルホキソモルホリニル、スルホニルモルホリニル、チオモルホリニル、−NR、及びアザシクロヘプチルの中から選択される基、好ましくはピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、スルホキソモルホリニル、ピペラジニル、チオモルホリニル、又はトロペニル、より好ましくはピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルを意味し得る。
【0072】
の基のヘテロ原子は、場合により、R及び/又はRで置換されてもよい。
【0073】
は、好ましくは、窒素原子を介してLに結合している基を意味する。
【0074】
基R及びRは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、好ましくはメチル又はエチルを意味し得る。
【0075】
基R及びRは、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基であってもよく、それらは同一であっても異なっていてもよく、そして、水素、あるいはC−C−アルキル、好ましくはメチル、エチル又はプロピル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、好ましくは−CH−シクロプロピル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、好ましくはフェニル、C−C−アルキル−C−C14−アリール、好ましくはベンジル、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル、及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基のいずれかを意味する。
【0076】
より好ましくは、置換基R及びRは、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し得、互いに独立して、水素、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、及びC−C10−シクロアルキルの中から選択される。
【0077】
最も好ましくは、置換基Rは、水素、メチル、エチル、又はプロピル基、あるいは−CH−シクロプロピルを意味する。
【0078】
最も好ましくは、置換基Rは、水素、メチル、エチル、又はプロピル基、あるいは−CH−シクロプロピルを意味する。
【0079】
及びRのうちの一方のみが水素を表し、そして、他方が水素とは異なるように選択される場合が有利であり得る。
【0080】
10は、NH−Lから選択される置換基であってよい。
【0081】
〜R10の定義において言及した全ての基は、場合により分岐及び/又は置換していてもよい。
【0082】
また、本発明は、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、以下の式(11):
【化19】


(式中、R、R、R、L、n及びmは、上に定義した通りである)
で表される化合物及び場合によりその塩に関する。
【0083】
また好ましいものは、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、一般式(11)に含まれる以下:
【化20】


(式中、R、R、R、L、m及びnは、上に定義した通りである)
の化合物及び場合によりその塩である。
【0084】
特に好ましいものは、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、一般式(11)に含まれる以下:
【化21】


(式中、R及びRは、上に定義した通りである)
の化合物及び場合によりその塩である。
【0085】
特に好ましいものは、一般式(11)に含まれる以下の化合物である:
【化22】

【0086】
また、本発明は、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、以下の式(12):
【化23】


(式中、R〜R、L、n及びmは、上に定義した通りである)
で表される化合物及び場合によりその塩に関する。
【0087】
特に好ましいものは、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、一般式(12)に含まれる以下:
【化24】








(式中、R〜R、X、L、n及びmは、上に定義した通りである)
の化合物及び場合によりその塩である。
【0088】
特に好ましいものは、場合により、水和物、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー及びこれらの混合物の形態である、一般式(12)に含まれる以下:
【化25】


の化合物及び場合によりその塩である。
【0089】
本発明に係る化合物は、以下に記載する合成法により調製することができるが、一般式(1)〜(12)の置換基は、上記意味を有する。この方法は、それを本発明の発明主題に限定することなく、本発明を例示するものとして理解されるべきである。
【0090】
生成方法
工程1
式(1)で表される化合物を式(2)で表される化合物と反応させて、式(3)で表される化合物を得る(ダイアグラム1を参照されたい)。この反応は、国際公開第00/43369号又は国際公開第00/43372号に従って実施されうる。化合物(1)は、例えば、City Chemical LLC, 139 Allings Crossing Road, West Haven, CT, 06516, USAから市販されている。また、化合物(2)は、市販されているか、又は文献から公知の手順により調製されうる。
【化26】

【0091】
工程1では、約1当量の化合物(1)と、1〜1.5当量、好ましくは1.2当量の塩基、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、最も好ましくは、炭酸カリウムを、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、石油エーテル又はジオキサン、好ましくはシクロヘキサン又はジエチルエーテル中で撹拌する。0〜15℃、好ましくは、5〜10℃の温度で、場合により有機溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン又はジオキサンに溶解している式(2)で表されるアミノ化合物1当量を滴下する。反応混合物を撹拌しながら周囲温度に加温し、次いで約1〜3時間、好ましくは約1〜2時間撹拌する。反応混合物に水を添加し、次いで、酢酸エチルを添加する。有機相を分離し、そして、溶媒を減圧下で蒸発させる。また、予め精製することなく、残留物(化合物3)を工程2で使用してもよい。
【0092】
工程2
工程1で得られた化合物(3)をニトロ基で水素添加して、化合物(4)を得る(ダイアグラム2を参照されたい)。
【化27】

【0093】
工程2では、1当量のニトロ化合物(3)を、不活性溶媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、石油エーテル又はジオキサン、好ましくはテトラヒドロフランと、バナジルアセチルアセトネート又はラネーニッケルと組み合わせたPt/C等の触媒と共に、20〜50℃の温度で、30〜50psiの水素圧下にて水素添加する。次いで、触媒を除去し、溶媒を留去して、化合物(4)を得、これを通常通り後処理してもよい。クロマトグラフィー又は結晶化によって化合物(4)を精製してもよく、あるいは合成の工程3において粗生成物として使用してもよい。また、化合物(4)をその塩酸塩に変換することが有用である場合もあり、前記塩酸塩も同様に工程(3)で用いることができる。
【0094】
工程3
工程2で得られた化合物(4)をα−ケト酸(5)と反応させて、化合物(6)を得る(ダイアグラム3を参照されたい)。
【化28】


工程3では、1当量の化合物(4)及び1当量のα−ケト酸(5)を、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、石油エーテル又は、ジオキサン、好ましくは、テトラヒドロフラン又はN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶媒に、不活性ガス雰囲気下で溶解させ、氷浴で0〜15℃、好ましくは5〜10℃の温度に冷却する。次いで、通常塩酸塩の形態である、カルボジイミド、例えば1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)等のカルボキシル活性化剤約1当量を、撹拌しながら添加する。次いで、氷浴を除去し、一晩撹拌を続ける。化合物(6)の後処理は、通常通り行われうる。有機相を分離し、洗浄し、乾燥させ、蒸発させてもよい。得られた化合物(6)をクロマトグラフィー又は結晶化によって精製してもよく、あるいは合成の工程4において粗生成物として使用してもよい。
【0095】
工程4
工程3で得られた化合物(6)を環化させて、式(7)で表される化合物を形成する(ダイアグラム4を参照されたい)。
【化29】


工程4では、1当量の化合物(6)を、トルエン、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジエチルエーテル、シクロヘキサン、石油エーテル又はジオキサン、好ましくはトルエン等の有機溶媒に溶解させ、形成された水を分離しながら、一晩還流させながら加熱する。得られた反応混合物を冷却し、溶媒を蒸発させる。シス及びトランス化合物の混合物の形態で化合物(7)が得られる。シス及びトランス化合物を、有機合成化学において公知の方法を用いて分離してもよく、シス及びトランス化合物の混合物を、更に精製することなく、次の工程で用いてもよい。
【0096】
工程5
工程4で得られた化合物(7)をダイアグラム5に示す通りアルキル化して、式(9)で表される化合物を得ることができる。
【化30】


工程5では、1当量の式(7)で表されるアミド、塩基、好ましくは、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、又は炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、最も好ましくは炭酸カリウム、及び10〜15当量のメチル化試薬(8)、例えば、炭酸ジメチルを添加する。約100〜150℃で数時間撹拌しながら、反応混合物を加熱する。反応混合物を水に注ぐ。有機相を分離し、洗浄し、乾燥させ、そして、蒸発させる。得られた化合物(9)をクロマトグラフィー又は結晶化によって精製してもよく、あるいは合成の工程6において粗生成物として使用してもよい。得られたシス及びトランス化合物を、有機合成化学において公知の方法を用いて分離してもよく、シス及びトランス化合物の混合物を、更に精製することなくそのまま次の工程で用いてもよい。
【0097】
工程6
式(11)で表される化合物を得るための、工程5で得られた化合物(9)をアミノ化(ダイアグラム6)を、文献から公知の方法を用いて実施することができる。
【化31】


例えば、1〜1.5当量、好ましくは1.1当量の化合物(9)と、1当量の化合物(10)とを、酸、例えば、1〜5当量のp−トルエンスルホン酸及び4−メチル−2−ペンタノール等の高沸点の二級アルコールと共に、1〜48時間、好ましくは約5時間、還流温度で撹拌する。沈殿した生成物(11)を分離し、通常通り後処理する。得られた化合物(11)をクロマトグラフィー又は結晶化によって精製してもよく、あるいは合成の工程7において粗生成物として使用してもよい。得られたシス及びトランス化合物を、有機合成化学において公知の方法を用いて分離してもよく、シス及びトランス化合物の混合物を、更に精製することなくそのまま次の工程で用いてもよい。
【0098】
工程7
工程6において得られた化合物(11)を反応させて、式(12’)で表される化合物を形成することができる。本例では、ダイアグラム7に示す通り、酸媒介水和について記載する。
【化32】


工程7では、1当量の式(11)で表される化合物と、3〜5当量の酸、好ましくは塩酸、硫酸、又はリン酸、特に好ましくは硫酸とを撹拌し、数時間還流下加熱する。得られた反応混合物を塩基性化し、水で希釈し、そして、通常通り後処理する。得られた化合物(12’)を、クロマトグラフィー、特に分取HPLC等の先行技術において周知の方法に従って精製することができる。
【0099】
投与及び剤形
一般式(12)で表される化合物を、単独で使用してもよく、本発明に係る他の活性物質と併用してもよく、また、場合により他の薬理学的活性物質と併用してもよい。
【0100】
適切な製剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤、特に注射液(s.c.、i.v、i.m)及び注入液、シロップ剤、乳剤又は分散性散剤を含む。いずれの場合も、薬学的に活性のある化合物の量は、全組成物の0.1〜90重量%、好ましくは0.5〜50重量%の範囲、すなわち、以下に記載する用量域を得るのに十分な量でなければならない。必要な場合、指定された用量を1日に数回投与してもよい。
【0101】
適切な錠剤は、例えば、活性物質を公知の賦形剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、もしくはラクトース等の不活性希釈剤、トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸等の崩壊剤、デンプンもしくはゼラチン等の結合剤、ステアリン酸マグネシウムもしくはタルク等の滑沢剤、及び/又はカルボキシメチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース又はポリ酢酸ビニル等の放出を遅延させるための剤と混合することにより得ることができる。また、錠剤は、いくつかの層を含んでもよい。
【0102】
したがって、コーティング錠は、錠剤のコーティングに通常使用される物質、例えば、コリドン又はセラック、アラビアゴム、タルク、二酸化チタン、又は糖を用いて、錠剤と同様に製造されたコアをコーティングすることにより調製することができる。遅延放出させるか、又は不適合を防ぐために、コアは、多くの層からなってもよい。同様に、錠剤のコーティングは、場合により錠剤について上に言及した賦形剤を用いて、遅延放出させるために多くの層からなってもよい。
【0103】
本発明に係る活性物質又はその組合せを含有するシロップ剤又はエリキシル剤は、更に、サッカリン、シクラマート、グリセロール、又は糖等の甘味料、及び風味強化剤、例えば、バニリン又はオレンジ抽出物等の着香料を含有してもよい。また、前記シロップ剤又はエリキシル剤は、懸濁助剤、又はカルボキシルメチルセルロースナトリウム等の増粘剤、例えば脂肪族アルコールとエチレンオキシドとの縮合物等の湿潤剤、又はp−ヒドロキシ安息香酸エステル等の保存剤を含有してもよい。
【0104】
注射液及び注入液は、通常の方法で、例えば、場合により乳化剤及び/又は分散剤を用いて、p−ヒドロキシ安息香酸エステル等の保存剤、エチレンジアミン四酢酸のアルカリ金属塩等の安定剤を添加して調製されるが、希釈剤として水を使用する場合、場合により有機溶媒を可溶化剤又は補助溶媒として使用し、そして、注射用バイアル又はアンプル又は注入ボトルに移してもよい。
【0105】
1つ以上の活性物質又は活性物質の組合せを含有するカプセル剤は、例えば、活性物質をラクトース又はソルビトール等の不活性担体と混合し、そして、それをゼラチンカプセルに充填することにより調製できる。
【0106】
適切な坐剤は、例えば、中性脂肪もしくはポリエチレングリコール又はこれらの誘導体等の、この目的のために提供される担体と混合することにより作製できる。
【0107】
適切な賦形剤は、例えば、水、パラフィン(例えば石油留分)、植物起源油(例えば、落花生油又は胡麻油)、一官能性又は多官能性のアルコール(例えば、エタノール又はグリセロール)等の薬学的に許容しうる有機溶媒、例えば、天然鉱物粉末(例えば、カオリン、粘土、タルク、チョーク)、合成鉱物粉末(例えば、高度に分散したシリカ及びケイ酸塩)、糖(例えば、グルコース、ラクトース及びデキストロース)、乳化剤(例えば、リグニン、亜硫酸パルプ廃液、メチルセルロース、デンプン及びポリビニルピロリドン)、及び滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ステアリン酸及びラウリル硫酸ナトリウム)等の担体であってよい。
【0108】
製剤は、通常の方法、好ましくは経口又は経皮経路、特に好ましくは経口経路で投与される。経口で投与されるとき、錠剤は、無論、上述の担体に加えて、デンプン、好ましくはジャガイモデンプン、ゼラチン等の様々な添加剤と共に、例えば、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸二カルシウム等の添加剤を含有してもよい。また、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の滑沢剤を使用して、錠剤を形成してもよい。水性懸濁剤の場合、上述の賦形剤に加えて、様々な風味強化剤又は着色剤を活性物質と合わせてもよい。
【0109】
非経口的用途については、適切な液体担体材料を使用して、活性物質の溶液を調製してもよい。
【0110】
静脈内用途のための投薬量は、1時間当たり1〜2000mg、好ましくは1時間当たり5〜1000mgである。
【0111】
しかし、体重又は投与方法、薬剤に対する個体の反応、用いられる製剤の性質、及び投与時間又は投与間隔に依存して、場合により、指定の量から逸脱する必要がある場合もある。したがって、場合によって、上述の最低量よりも少ない量の使用で十分である場合もあり、指定の上限を上回らなければならない場合もある。大量に投与する場合、1日の間に多数の単回用量に分けて投与することが賢明であろう。
【0112】
生物学的特性
既に見出されている通り、一般式(12)で表される化合物は、治療分野における広範な用途を特徴とする。例えば、特定の細胞周期のキナーゼの阻害、特に、培養されたヒト腫瘍細胞の増殖だけではなく、内皮細胞等の他の細胞の増殖の抑制効果に関与する用途について、特に言及すべきである。
【0113】
FACS分析によって実証できたように、本発明に係る化合物によって引起される増殖の阻害は、特に細胞周期のG2/M期における細胞の停止によって媒介される。細胞は、用いられる細胞とは無関係に、プログラム細胞死が始まる前に細胞周期のこの相において特定の期間停止する。細胞周期のG2/M期における停止は、例えば、特定の細胞周期キナーゼを阻害することによって誘発される。分裂酵母(Schizosaccharomyces pomba)又はツメガエル(Xenopus)等のモデル生物における研究、あるいはヒト細胞における調査によって、G2期から有糸分裂への移行がCDK1/サイクリンBキナーゼによって調節されていることが示された(Nurse, 1990)。「有糸分裂促進因子」(MPF)としても知られているこのキナーゼは、例えば、核エンベロープの破壊、中心体の分離、有糸分裂紡錘体装置の形成、染色体の凝縮、及びゴルジ装置の破壊において重要な役割を果たす、核ラミン、キネシン様モータータンパク質、コンデンシン及びゴルジマトリクスタンパク質等の多くのタンパク質をリン酸化することによって調節する(Nigg. E., 2001)。温度感受性CDK1キナーゼの突然変異を有するマウス細胞株は、CDK1キナーゼの急速な分解、次いで、温度上昇後のG2/M期における停止を示す(Th'ng et al., 1990)。また、例えば、ブチロラクトン等のCDK1/サイクリンBに対する阻害剤によるヒト腫瘍細胞の処理が、G2/M期における停止、次いでアポトーシスに導く(Nishio, et al. 1996)。G2期及び有糸分裂期に関与する別のキナーゼは、ポロ様キナーゼ1(PIk1)であり、これは、中心体の成熟、ホスファターゼCdc25Cの活性化、ならびに後期促進複合体の活性化に関与している(Glover et al., Genes & Dev. 1998; 12: pp. 3777-3787, Qian et al. 2001, Mol Biol Cell. 12: 1791-9を参照されたい)。PIk1抗体の注入が、非形質転換細胞でのG2期における停止に導き、腫瘍細胞は有糸分裂相で停止する(Lane and Nigg, 1996)。更に、プロテインキナーゼオーロラBは、有糸分裂への移行中に重要な機能を有していると報告されている。オーロラBは、Ser11においてヒストンH3をリン酸化することにより、染色体凝縮を開始させる(Hsu, J.Y. et al., 2000)。しかし、G2/M期における特定の細胞周期の停止は、例えば、Cdc25C等の特定のホスファターゼの阻害により誘発される場合もある(Russell and Nurse, 1986)。欠陥のあるcdc25遺伝子を有する酵母は、G2期において停止するが、cdc25の過剰発現が有糸分裂相への早期移行に導く(Russell and Nurse, 1987)。しかし、G2/M期における停止は、特定のモータタンパク質、いわゆるキネシン、例えばEg5等の阻害(Mayer et al., 1999)、又は微小管を安定化もしくは脱安定化させる剤(例えば、コルチヒン、タキソール、エトポシド、ビンブラスチン、ビンクリスチン)(Schiff and Horwitz, 1980)により誘発される場合もある。
【0114】
その生物学的特性を鑑みて、本発明に係る一般式(12)で表される化合物、その異性体、及びその薬理学的に許容し得る塩は、過剰又は異常な細胞増殖を特徴とする疾患の処置に適している。
【0115】
このような疾患は、例えば:ウィルス感染(例えば、HIV及びカポジ肉腫);炎症性疾患及び自己免疫性疾患(例えば、大腸炎、関節炎、アルツハイマー病、糸球体腎炎及び創傷治癒);細菌、真菌、及び/又は寄生虫の感染;白血病、リンパ腫及び固形腫瘍;皮膚疾患(例えば、乾癬);骨疾患;心血管疾患(例えば再狭窄及び肥大)を含む。また、これらは、放射線、UV処理、及び/又は細胞増殖抑止剤処理によって引き起こされるDNAへの損傷から増殖細胞(例えば、毛髪、腸、血液、及び始原細胞)を保護するのにも適している。
【0116】
また、本発明の化合物を、同じ適応症に使用される他の活性物質、例えば、細胞増殖抑止剤と組み合わせて、上述の疾患の予防、短期又は長期の治療に用いることができる。
【0117】
本発明に係る化合物の活性を、例えば、HeLaS3細胞におけるFACS分析で決定することができる。また、前記化合物を、hERgチャネルアッセイにおいて評価することもでき、インビトロにおけるキナーゼ及び細胞増殖アッセイにおいて効力を試験してもよい。これら試験方法において、以下に論じる通り、試験した化合物は優れた活性及び/又は効力を示した。
【0118】
FACS分析
ヨウ化プロピジウム(PI)は、二本鎖DNAに化学量論的に結合するので、細胞のDNA含有量に基づいて細胞周期のG1期、S期及びG2/M期における細胞の割合を決定するのに適している。GO期及びG1期の細胞は、二倍のDNA含有量(2N)を有するが、G2期又は有糸分裂期の細胞は4NのDNA含有量を有する。
【0119】
PI染色のために、例えば、75cmの細胞培養フラスコに40万個のHeLaS3細胞を播種し、24時間後、対照として1%のDMSOを添加するか、(1% DMSO中)様々な濃度の物質を添加する。細胞を前記物質又はDMSOと共に24時間インキュベートした後、細胞を2×PBSで洗浄し、トリプシン/EDTAで剥離させる。細胞を遠心分離し(1000rpm、5分間、4℃)、そして、細胞ペレットをPBSで2回洗浄した後、細胞を0.1mLのPBSに再懸濁させる。次いで、4℃で16時間、又は−20℃で2時間、80%エタノールで細胞を固定する。固定された細胞(10細胞)を遠心分離し(1000rpm、5分間、4℃)、PBSで洗浄し、次いで、再度遠心分離する。0.25%のPBS中のトリトンX−100 2mLに細胞ペレットを再懸濁させ、氷上で5分間インキュベートした後、5mLのPBSを添加し、そして、混合物を再度遠心分離する。細胞ペレットをPI染色液(1×PBS中、0.1mg/mLのRNaseA、10μg/mLのヨウ化プロジウム)350μLに再懸濁させる。染色バッファと共に、暗条件下で20分間細胞をインキュベートした後、FACS走査用のサンプル測定容器に移す。アルゴンレーザー(500mW、放出488nm)及びDNA Cell Questプログラム(BD)を備えるBecton Dickinson FACS分析機においてDNA測定を行う。周波数選択濾波器(BP 585/42)で対数PI蛍光を決定する。Becton DickinsonのModFit LTプログラムを用いて、細胞周期における個々の期の細胞個体数を定量する。
【0120】
hERGチャネルアッセイ
HEK(ヒト胚腎臓)293細胞をhERG cDNA(University of UtahのM. Sanguinettiから供与頂いた)で安定的にトランスフェクトする。24ウェルプレートにおけるグラスカバーガラス上に、パッチクランプ実験で使用するために測定された細胞をプレーティングし、この時間中抗生物質なしで培養する。
【0121】
倒立顕微鏡のステージ上に実装された2mLの灌流チャンバの底部にカバーガラスを置く。以下を含有する(mM)浴溶液で細胞を灌流させる:NaCl(137)、KCl(4.0)、MgCl(1.0)、CaCl(1.8)、グルコース(10)、HEPES(10)、NaOHでのpH7.4。水平プラー(DMZ-Universal Puller, Zeitz-Instrumente, Martinsried, FRG)を使用し、ホウケイ酸ガラス管材料(Hilgenberg, Malsfeld, FRG)からパッチピペットを作製し、以下を含有する(mM)溶液でピペットを充填する:K−アスパラギン酸塩(130)、MgCl(5.0)、EGTA(5.0)、KATP(4.0)、HEPES(10.0)、KOHでのpH7.2。微小電極の抵抗は、2〜5MΩの範囲である。溶液用の化学製品は、分析グレードであり、SIGMA、ICN及びMerck KGを含む様々な商業的供給元から購入される。
【0122】
パッチクランプ技術の全細胞構成を使用するEPC-10又は等価なパッチクランプ増幅器(HEKA Electronics, Lambrecht, FRG)を使用して、膜電流を記録する。脱分極電位でチャネルを不活性化した後、短い過分極化パルスを使用して、hERGが媒介する不活性化テール電流を誘導する。
【0123】
4つの濃度(0.3、1、3、10μM)の本発明に係る式(12B)で表される化合物を異なる細胞に塗布する。試験物質の塗布前に、ベースライン電流の定常状態レベルを測定する。
【0124】
化合物のサンプルをDMSOに溶解させて、10mMの原液を得、これを更にDMSOで希釈して、3、1及び0.3mMを含有する原液にする。実験を始める前に、それぞれ1:1000希釈段階ずつ、細胞外バッファ中の最終希釈液をこれらの原液から新たに調製する。
【0125】
各過分極化段階でピーク電流振幅を測定する。ベースライン及び各濃度については、潅流を切り替える前の最後3つの掃引のピーク電流を平均する。実際の平均ピーク電流及び平均ベースラインピーク電流の割合として、各細胞についての残余電流(I/Io)を計算する。電流阻害は、(1−I/I)×100%として表される。全ての細胞についての電流阻害を、平均±SDとして報告する。以下の形態の対数濃度反応曲線を残余電流のデータに当てはめる:
I/I=1−1/(1+(C/IC50
C: 化合物の実際の濃度(μM)
IC50 半分阻害濃度(μM)
p ヒル傾斜
【0126】
結果:試験した化合物(12B)の残余電流は、9.5μMの値を示した。これは驚くほど高い値であり、本発明の化合物の優れた特徴及び特性を確認する。
【0127】
インビトロにおけるキナーゼ及び細胞増殖アッセイにおける効力
以下で論じるようなインビトロにおけるキナーゼアッセイ及び細胞増殖アッセイにおいて、本発明に係る式(12B)で表される化合物はその薬力学的活性について試験される。
【0128】
セリン/トレオニンキナーゼ、Plk1は、既に論じた通り、細胞周期の進行において重要な機能を果たしており、そして、有糸分裂における複数の段階の主要な調節因子である(Glover et al., Genes & Dev. 1998; 12: pp. 3777-3787, Nigg et al., Curr. Opin. Cell Biol. 1998; 10: pp. 776-783,及びDonaldson et al., J Cell Sci. 2001; 114: pp. 2357-2358を参照されたい)。Plk1は、有系分裂への移行、中心体の成熟及び分離でのCDK1の調節、二極性紡錘体形成、染色体分離、後期促進複合体及び細胞質分裂の調節に関与している。Plk1は、全ての分裂している細胞の有糸分裂において活性があるので、Plk1を阻害すれば、その臓器起源又は癌遺伝子、及び腫瘍抑制遺伝子のステータスにかかわらず、多くのヒト癌種において腫瘍の増殖を抑制すると考えられる。Plk1の過剰発現は、非小細胞肺癌、扁平上皮細胞癌腫、乳癌腫、又は結腸直腸癌等の様々な種類の腫瘍について記述されており(Wolf et al., Oncogene 1997; 14: pp. 543-549, Knecht et al., Cancer Res. 1999; 59: pp. 2794-2797, Wolf et al., Pathol Res Pract. 2000, 196: pp. 753-759,及びTakahashi et al., Cancer Sci. 2003; 94: pp. 148-152)、そして、特定の癌の種類において予後のマーカとして役立つ。
【0129】
本研究の目的は、Plk1酵素のキナーゼ活性について、式(12B)で表される化合物の阻害効果を評価することである。更に、NCI-H460ヒト非小細胞肺癌細胞及びヒトHCT 116結腸癌腫細胞の増殖速度について、この化合物の阻害効果を評価する。
【0130】
バキュロウイルス発現系で生成された完全長組換え型Plk1酵素及び基質としてウシの乳由来のカゼインを用いてキナーゼアッセイを行う。結果は、デュープリケートで測定された各データ点を用いる、2つの独立した実験の平均を表す。Alamer Blue(商標)に基づく増殖アッセイにおいて、NCI-H460ヒト非小細胞肺癌及びHCT 116ヒト結腸癌腫細胞株を使用する。結果は、デュープリケートで測定された各データ点を用いる、各細胞株についての3つの用量滴定の平均を表す。2つの独立したキナーゼアッセイ実験を行って、Plk1酵素について、化合物(12B)の阻害活性を決定する。7つの濃度の化合物(12B)を使用し、各濃度をデュープリケート測定で試験する。
【0131】
各細胞株について、増殖アッセイ実験を実施して、トリプリケートでEC50値を決定する。12つの濃度の各化合物を使用し、各濃度をデュープリケート測定で試験する。
【0132】
10mMの濃度のDMSOに化合物を溶解させる。増殖アッセイ及び第1のキナーゼアッセイについては、新たに化合物を溶解させる。第2のキナーゼアッセイについては、10mMのDMSO原液を使用する。
【0133】
バキュロウイルス発現系を使用して、アッセイ用の完全長組換え型Plk1酵素を生成する。基質としてウシの乳由来のカゼインを使用する。他の全ての試薬は、最高級の純度の市販品である。
【0134】
Plk1低酵素阻害アッセイ
ヒトPlk1酵素の完全長コード領域(残基1〜603)をグルタチオン−Sトランスフェラーゼ(GST)バキュロウイルス発現ベクター(pAcG2T;BD Biosciences)にサブクローニングし、N末端にGSTタグを有する活性酵素(GST-Plk1)をSf21昆虫細胞で発現させる。組み換えバキュロウイルスストックと共に3日間細胞をインキュベートし、集菌の3時間前に、オカド酸(最終濃度0.1μM、Calbiochem)を細胞に添加する。グルタチオンセファロースビーズと共に溶解産物をインキュベートし、そして、バッファB(100mMのトリス/HCl pH8、120mMのNaCl、20mMの還元グルタチオン、10mMのMgCl、1mMのDTT)で酵素を溶出することにより、バッファA(50mMのHEPES pH7.5、10mMのMgCl、1mMのDTT、5μg/mLのロイペプチン、5μg/mLのアプロチニン、100μMのNaF、100μMのPMSF、10mMのβ−グリセリンリン酸、0.1mMのNaVO、30mMの4−ニトロフェニル−ホスフェート)で溶解させた後の細胞からGST-Plk1を抽出する。
【0135】
連続希釈した阻害剤の非存在下又は存在下で酵素活性アッセイを行う。基質として、バッファC(15mMのMgCl、25mMのMOPS pH7.0、1mMのDTT、1.7mMのEGTA、20mMのβ−グリセリンリン酸)に溶解させたウシの乳由来のカゼイン(Sigma)を使用する。ネガティブコントロールとして、キナーゼの非存在下でインキュベーションを行う。ポジティブコントロールとして、任意の試験化合物の非存在下で反応を行う。最終濃度7.5μMのATP、1%のDMSO(v/v)、基質としてのカゼイン10μg、ウイルスで発現させ、そして精製したGST-Plk1タンパク質約0.02μg、及び希釈された試験化合物(10μM〜10pMの範囲)を含有する最終体積60μLのギ酸塩で、96ウェルポリスチレンマイクロタイタープレートにおいてキナーゼアッセイを行う。まず、試験化合物(10mMのDMSO原液)をDMSOで1:10に希釈する。(1%の最終アッセイ濃度を得るために)0.5mg/mLのカゼイン及びDMSOを含有するアッセイバッファ(15mMのMgCl、25mMのMOPS pH7.0、1mMのDTT)で試験化合物を更に希釈する。0.5mg/mLのカゼイン及び6%のDMSOを含有するアッセイバッファ中の)化合物の様々な希釈物10μL、更なるカゼイン(0.25mg/mL)20μL、及びGST−Plk1(アッセイバッファ20μL中溶出液0.02μL)20μLを混合する。10μLのATPミックス(30μCiのγ−33P−ATPと混合し、そして、アッセイバッファ中、最終体積を1mLに調節したアッセイバッファ中の1mMのアデノシン−5’トリホスフェート45μL)を添加することにより反応を開始させ、30℃及び650rpmで45分間インキュベートする。インキュベートした後、プレートを氷上に置き、氷冷5% TCAを1ウェル当たり125μL添加することによりタンパク質を沈殿させる。氷上で15分間後、MultiScreen(商標)混合エステルセルロースフィルタープレート(Millipore)に沈殿物を移し、吸引濾過によって収集し、そして、1%のTCA(室温)250μLで4回洗浄する。フィルタープレートを60℃で乾燥させ、次いで、Ultima Gold(商標)シンチレーション液(Packard)を1ウェル当たり25μL添加し、テープでプレートを密封し、1時間後にMicro-Beta Scintillation counter (Wallac)で計数する。全てのデータ点をデュープリケートで測定する。
【0136】
可変ヒル傾斜を用いるS字状曲線解析プログラム(Graph Pad Prismバージョン3.03)を使用して、反復計算によりデータを当てはめる。
【0137】
PLK1についての効力
以下の表1に示す通り、化合物(12B)がPlk1を阻害することを示すことができた。
【表1】

【0138】
増殖アッセイ:
Alamer Blue(商標)に基づく増殖アッセイにおいて、HCT 116ヒト結腸直腸癌腫細胞(ATCC CCL 247)及びNCI-H460ヒト肺癌(ATCC HTB-177)細胞を使用する。
【0139】
Alamer Blue(商標)細胞増殖アッセイ
Alamer Blue(商標)アッセイは、生細胞における代謝活性の検出に基づく蛍光分析/比色分析的成長指標を組込むことにより、定量的に細胞増殖を測定するように設計される。
【0140】
10%のFCS及び2mMのL−グルタミンを含有するIMDM培地中でHCT 116及びNCI-H460細胞を成長させる。これらを、分割比1:5で、湿潤雰囲気において37℃及び5%COで維持する。96ウェルフォーマットにおける増殖アッセイについては、ペニシリンの最終濃度が100u/mL、ストレプトマイシンの最終濃度が100μg/mLでペニシリン−ストレプトマイシンを培地に添加する。
【0141】
実験1日目に、180μLの培地中1000個の細胞を、96ウェルの滅菌平底プレートの各ウェルに播種する。インキュベータにおいてプレートを一晩維持する。1000μMの濃度でDMSOに化合物を溶解させる。実験の2日目に、0.1%のDMSOを含有する培地中で、化合物の12個の連続希釈物(1:3)を調製する。20μLの希釈物を各ウェルに添加して、1ウェル当たりの最終体積を200μLにする。対照として、指定のウェルに0.1%のDMSOを含有する培地を添加する。次いで、細胞を72時間インキュベートする。このインキュベート時間後、各ウェルにAlamer Blue(商標)を20μL添加する。6時間インキュベートした後、蛍光分光光度計(励起531nm、放射595nm、スリット15、統合時間0.1)でプレートを測定する。全てのデータ点をデュープリケートで測定する。
【0142】
デュープリケートから平均値を求め、バックグラウンドを減じる。「0.1%のDMSOの値」(細胞と0.1%のDMSOを含有する培地とを含有するウェルから得られた平均値)を「100%の対照」とする。可変ヒル傾斜を用いるS字状曲線解析プログラム(Smiley−Graph Pad Prismに基づくプログラム)を使用して、反復計算によりデータを当てはめる。
【0143】
増殖アッセイにおける有効性(NCI-H460及びHCT 116)
以下の表に結果を要約する。
【表2】

【0144】
【表3】

【0145】
要約すると、式(12B)で表される化合物は、8nMのIC50でPlk1キナーゼ活性を阻害した。試験した式(12B)で表される化合物は、酵素アッセイにおける強力な活性に加えて、細胞アッセイでも効力を示す。関連する可能性のあるインビボ活性は、この化合物の薬物動態及び生物分散に依存する。式(12B)で表される化合物は、273nM及び430nMのEC50値でHCT 116細胞及びNCI-H460細胞の増殖を阻害した。結果として、式(12B)で表される化合物は、Plk1キナーゼ活性を阻害し、そして、細胞増殖を阻害する。
【0146】
以下の製剤例は、本発明の範囲を限定することなく本発明を例証する:
【0147】
医薬製剤の例:
A) 錠剤
錠剤1個当たり
活性物質 100mg
ラクトース 140mg
トウモロコシデンプン 240mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
合計 500mg
【0148】
微粉化した活性物質、ラクトース、及びトウモロコシデンプンの一部を混合する。混合物をふるい、次いで、ポリビニルピロリドンの水溶液で湿潤させ、混練し、湿式造粒し、そして乾燥させる。顆粒剤、残りのトウモロコシデンプン、及びステアリン酸マグネシウムをふるい、そして、混合する。混合物を圧縮して、適切な形状及び大きさの錠剤を作製する。
【0149】
B) 錠剤
錠剤1個当たり
活性物質 80mg
ラクトース 55mg
トウモロコシデンプン 190mg
微結晶性セルロース 35mg
ポリビニルピロリドン 15mg
ナトリウム−カルボキシメチルデンプン 23mg
ステアリン酸マグネシウム 2mg
合計 400mg
【0150】
微粉化した活性物質、トウモロコシデンプンの一部、ラクトース、微結晶性セルロース、及びポリビニルピロリドンを混合し、混合物をふるい、そして、残りのトウモロコシデンプン及び水で処理して、顆粒を形成し、これを乾燥させ、そして、ふるう。ナトリウムカルボキシメチルデンプン及びステアリン酸マグネシウムを添加し、混合し、そして、混合物を圧縮して、適切な大きさの錠剤を形成する。
【0151】
C) アンプル溶液
活性物質 50mg
塩化ナトリウム 50mg
注射水 5mL
【0152】
活性物質を、それ自体のpH又は場合によりpH5.5〜6.5で水に溶解させ、塩化ナトリウムを添加して等張にする。得られた溶液を濾過して発熱物質を除き、無菌状態で濾液をアンプルに移し、次いで、滅菌し、そして、融着により密封する。アンプルは5mg、25mg及び50mgの活性物質を含有する。
【0153】
D) 注射溶液
実施例1
【表4】

【0154】
実施例2
【表5】

【0155】
実施例3
【表6】

【0156】
実施例4
【表7】

【0157】
実施例5
【表8】

【0158】
実施例6
【表9】

【0159】
実施例7
【表10】

【0160】
実施例8
【表11】

【0161】
完全を期すために、化合物(12B)の製造方法を以下に記載する。この方法は、本発明の発明主題を限定することなく、本発明の例示として理解されるべきである。
【0162】
合成例
略語:
CH シクロヘキサン
DCM ジクロロメタン
EA 酢酸エチル
MeOH メタノール
H−NMR プロトン核磁気共鳴
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
MPLC 中圧液体クロマトグラフィー
TLC 薄層クロマトグラフィー
【0163】
化合物(12B)の合成
工程1
【化33】


化合物(1a)、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(100g、0.52mol)を1.0Lのシクロヘキサンに溶解させ、炭酸カリウム(83g、0.60mol)を添加する。得られた懸濁液を5〜15℃の温度で撹拌し、化合物(2a)、イソプロピルアミン(44.2mL、0.52mol)をゆっくり添加する。添加が完了した後、反応混合物を室温に加温しながら撹拌を続ける。水(400mL)を添加する(注意:発熱反応)。反応混合物を濾過する。濾液に酢酸エチル(400mL)を添加する。有機相を分離し、乾燥させ、そして、蒸発させる。
収量:褐色の結晶性固体としての化合物(3a)90.9g(理論値81%)。
H−NMRにより、化合物(3a)の構造を確認した。
【0164】
工程2
【化34】


化合物(3a)(90.9g、0.420mol)、テトラヒドロフラン(840mL、無水)、Pt/C 5%(9.0g、42mmol)及びバナジルアセチルアセトネート(4.5g、16mmol)をParr装置に添加し、ニトロ基の還元が完了するまで数時間20〜40℃で50psiの水素圧にて振盪する(TLC対照:シリカゲル、CH:EE=1:1)。触媒を除去し、そして、溶媒を減圧下で蒸発させる。テトラヒドロフラン(100mL)及びイソプロパノール(120mL)の混合物に粗生成物を溶解させ、三つ口フラスコへ移す。トリメチルクロロシラン(54mL)を滴下すると、塩酸塩が沈殿する。懸濁液を16時間撹拌する。沈殿物を吸引濾過し、そして、乾燥させる。収量:褐色の結晶性固体としての化合物(4a)54.8g(理論値59%)。
【0165】
工程3
【化35】


化合物(4a)(10.0g、45mmol)及び化合物(5a)、2−ケト酪酸(4.7g、46mmol)のn−メチル−2−ピロリドン(80mL)溶液に、不活性ガス雰囲気下及び氷浴冷却下で1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(8.7g、45mmol)を添加する。溶解が完了した後、氷浴を除去し、そして、16時間撹拌を継続する。更なる2−ケト酪酸(462mg、4mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド(860mg、4mmol)を添加し、そして、室温で約2〜3時間反応混合物を撹拌する。冷却下で反応混合物を水(50mL)に注ぐ。酢酸エチル(150mL)を添加する。有機相を分離し、水(50mL)及び飽和塩化ナトリウム溶液(2×25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして、濾過する。減圧下で溶媒を蒸発させる。MPLC(シリカゲル、CH:EE=2:1)を介して粗生成物を精製する。
収量:ピンク色の結晶性固体としての化合物(6a)6.65g(理論値55%)。
【0166】
工程4
【化36】


トルエン(150mL)中の化合物(6a)(6.65g、24.6mmol)を、16時間水分離装置内で還流下、加熱する。TLC(シリカゲル、DCM:MeOH=9:1+NH)により、出発物質が消失していることが確認された。減圧下で溶媒を蒸発させる。収量:ベージュ色の結晶性固体としての化合物(7a)5.6g(理論値90%)。
H−NMRにより、異性体の混合物の存在を確認した。
【0167】
工程5
【化37】


化合物(7a)(5.6g、22mmol)、炭酸カリウム粉末(4.6g、33mmol)及び化合物(8a)、すなわち炭酸ジメチル(22.4mL、0.266mol)を数時間オートクレーブ内で130℃に加熱する。TLC(シリカゲル、CH:EE=1:2)により、反応の完了を確認する。水(脱塩、50mL)及び酢酸エチル(50mL)を添加する。有機相を分離し、塩化ナトリウム溶液(25mL)で洗浄する(2×)。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして、濾過する。減圧下で溶媒を蒸発させる。MPLC(シリカゲル、DCM:MeOH=100:1)を介して粗生成物を精製する。
収量:褐色の油状物としての化合物(9a)5.14g(理論値87%)。
H−NMRにより、異性体の混合物の存在を確認した。
【0168】
工程6
【化38】


4−メチル−2−ペンタノール(100mL)の中の化合物(9a)(4.7g、17.6mmol)、化合物(10a)(6.45g、16.7mmol)及びp−トルエンスルホン酸水和物(8.05g、41.7mmol)を6時間還流下で加熱する。反応混合物を室温まで冷却する。酢酸エチル及び水を添加する。酢酸エチル相を分離し、そして、少量の水で再抽出する。合わせた水相にジクロロメタンを添加する。NaOH(1N)を添加して、水相をアルカリ性にする。ジクロロメタン相を分離し、アルカリ性の水相をジクロロメタンで一度再抽出する。合わせたジクロロメタン相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして、濾過する。減圧下で溶媒を蒸発させる。
MPLC(シリカゲル、DCM:MeOH:NH=9:1:0.1)を介して粗生成物を精製する。
収量:黄色の固体としての化合物(11a)5.04g(理論値49%)。
H−NMRにより、異性体の混合物の存在を確認した。
【0169】
工程7
【化39】


化合物(11a)(4.75g、7.70mmol)の0.5モル濃度の硫酸(62mL、31.0mmol)溶液を数時間還流下で加熱する。TLC(シリカゲル、DCM:MeOH=4:1+NH)を介して反応の進行を管理する。水(脱塩、100mL)で反応混合物を希釈し、氷浴で冷却下、1モル濃度のNaOH(62mL、62mmol)の水(脱塩、100mL)溶液に滴下する。沈殿物を濾過し、水、次いで石油エーテルで洗浄する。湿潤粗生成物をDCMに溶解させ、そして、相を分離する。減圧下で有機相を蒸発させる。MPLC(シリカゲル、DCM:MeOH:NH=9:1:0.1)を介して粗生成物を精製する。
収量:黄色がかった固体としての化合物(12a)2.6g(理論値53%)。
更に分取HPLCを介して生成物を精製してもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、一般式(12):
【化40】


(式中、
は、水素又は場合により置換されるC−C−アルキルを意味し、
は、O−X基又はS−X基(式中、Xは、水素、場合により置換される、C−C12−アルキル、C−C12−アルケニル、C−C12−アルキニル、アミド、ハロゲン、C−C14−アリール、ヘテロアリール、又は
場合により置換される及び/又は架橋される、C−C12−シクロアルキル、C−C12−シクロアルケニル、C−C12−ポリシクロアルキル、C−C12−ポリシクロアルケニル、C−C12−スピロシクロアルキル、1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルキル、及び1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルケニルの中から選択される基の中から選択される)を意味するか、あるいは
及びRは、共に、場合により置換されるC−C12−アルケニル基を意味し、前記場合により置換されるC−C12−アルケニル基中の二重結合は、好ましくは、隣接する環系に直接結合するように位置し、
は、水素、又は場合により置換される、C−C12−アルキル、C−C12−アルケニル、C−C12−アルキニル及びC−C14−アリールの中から選択される基、又は場合により置換される及び/又は架橋される、C−C12−シクロアルキル、C−C12−シクロアルケニル、C−C12−ポリシクロアルキル、C−C12−ポリシクロアルケニル、C−C12−スピロシクロアルキル、1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルキル、及び1〜2個のヘテロ原子を含有するC−C12−ヘテロシクロアルケニルの中から選択される基を意味するか、あるいは
及びRは、共に、1個のヘテロ原子を含有し得る、飽和又は不飽和のC−C−アルキル架橋を意味し、
は、水素、又は−CN、ヒドロキシ、−NR、及びハロゲンの中から選択される基、又は
場合により置換される、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C−アルキニル、C−C−アルキルオキシ、C−C−アルケニルオキシ、C−C−アルキニルオキシ、C−C−アルキルチオ、C−C−アルキルスルホキソ及びC−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し、
Lは、場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、C−C14−アリール−C−C−アルキル、場合により架橋されるC−C12−シクロアルキル、及び1又は2個の窒素原子を含有するヘテロアリールの中から選択されるリンカーを意味し、
nは、0又は1を意味し、
mは、1又は2を意味し、
は、場合により置換される、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピペラジニルカルボニル、ピロリジニル、トロペニル、ジケトメチルピペラジニル、スルホキソモルホリニル、スルホニルモルホリニル、チオモルホリニル、−NR及びアザシクロヘプチルの中から選択される基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rは、同一であっても異なっていてもよく、水素又はC−C−アルキルを意味し、そして、
、Rは、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基のいずれかを意味する)
で表される化合物及び場合によりその塩。
【請求項2】
、R、R、R、R及びRが上に定義した通りであり、そして、
Lが、場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−アルケニル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、C−C14−アリール−C−C−アルキル、場合により架橋されるC−C12−シクロアルキル、及び1又は2個の窒素原子を含有するヘテロアリールの中から選択されるリンカーを意味し、
nが、0又は1を意味し、
mが、1又は2を意味し、
が、場合により置換される、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、トロペニル、ジケトメチルピペラジニル、スルホキソモルホリニル、スルホニルモルホリニル、チオモルホリニル、−NR及びアザシクロヘプチルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1に記載の一般式(12)で表される化合物及び場合によりその塩。
【請求項3】
、R、R、R、R、R、L、n及びmが、上に定義した通りであり、
が、場合により置換される、ピペリジニル、ピペラジニル、ピペラジニル、ピロリジニル、ピペラジニルカルボニル、トロペニル、モルホリニル、及びアザシクロヘプチルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、これらは、同一であっても異なっていてもよく、そして、水素又はC−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C14−アリール、C−C−アルキル−C−C14−アリール、ピラニル、ピリジニル、ピリミジニル、C−C−アルキルオキシカルボニル、C−C14−アリールカルボニル、C−C−アルキルカルボニル、C−C14−アリールメチルオキシカルボニル、C−C14−アリールスルホニル、C−C−アルキルスルホニル及びC−C14−アリール−C−C−アルキルスルホニルの中から選択される基を意味し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項4】
L、m、n及びR〜Rが、上に定義した通りであり、
及びRが、共に、場合により置換されるC−C−アルケニル基を意味し、前記場合により置換されるC−C−アルケニル基中の二重結合は、好ましくは、隣接する環系に直接結合するように位置し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項5】
、R、R、R、R、及びRが、上に定義した通りであり、
Lが、場合により置換される、C−C−アルキル、C−C−アルケニル、C−C12−アリール、C−C−アルキル−C−C12−アリール、C−C12−アリール−C−C−アルキル、及び場合により架橋されるC−C12−シクロアルキルの中から選択されるリンカーを意味し、
nが、0又は1を意味し、
mが、1を意味し、
が、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、及びC−C10−シクロアルキルの中から選択され、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項6】
、R、R、R、R、L、n、及びmが、上に定義した通りであり、
が、O−X基又はS−X基(式中、Xは、水素、場合により置換される、C−C−アルキル及びC−C12−アルケニルの中から選択される)を意味し、
が、水素、又は場合により置換される、C−C10−アルキル、C−C10−シクロアルキル、C−C10−ヘテロシクロアルキル及びC−C14−アリールの中から選択される基を意味するか、あるいは
及びRが、共に、1又は2個のヘテロ原子を含有し得る、飽和又は不飽和のC−C−アルキル架橋を意味し、
が、水素、OMe、OH、Me、Et、Pr、OEt、NHMe、NH、F、Cl、Br、O−プロパルギル、O−ブチニル、CN、SMe、NMe、CONH、エチニル、プロピニル、ブチニル、及びアリルの中から選択される基を意味し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項7】
、R、R、R、R、L、n、及びmが、上に定義した通りであり、
が、−OH基を意味し、
が、C−C−アルキル及びC−C−シクロアルキルの中から選択される基を意味し、
が、水素、OMe、OH、Me、Et、Pr、OEt、NHMe、NH、F、Cl、Br、O−プロパルギル、O−ブチニル、CN、SMe、NMe、CONH、エチニル、プロピニル、ブチニル及びアリルの中から選択される基を意味し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項8】
、R、R、R、R、R、R、R、R、n及びmが、上に定義した通りであり、
Lが、場合により置換される、フェニル、フェニルメチル、シクロヘキシル及び場合により分岐しているC−C−アルキルの中から選択されるリンカーを意味し、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項9】
、R、R及びRが、上に定義した通りであり、
が、エチル基を意味し、
が、水素、OH、OMe及びOEtの中から選択される基を意味し、
Lが、C−C−シクロアルキルから選択されるリンカーを意味し、
nが、0又は1を意味し、
mが、1を意味し、
が、ピペリジニル及びピペラジニルの中から選択される、窒素原子を介してLに結合している基を意味し、Rの基のヘテロ原子は、場合によりR及び/又はRで置換されてもよく、
、Rが、Rの基のヘテロ原子において置換されていない置換基を意味し、C−C−アルキル、C−C−アルキル−C−C10−シクロアルキル、及びC−C10−シクロアルキルの中から選択され、
場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物及び場合によりその塩。
【請求項10】
医薬組成物、好ましくは抗増殖性活性を有する医薬組成物として使用するための、場合によりその互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態であり、そして、場合によりこれらの塩の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(12)で表される化合物。
【請求項11】
癌、感染症、炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療及び/又は予防のための医薬組成物を調製するための、場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合によりこれらの塩の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(12)で表される化合物の使用。
【請求項12】
好ましくは、ポロ様キナーゼがPLK−1である場合、有糸分裂調節因子としてのポロ様キナーゼを阻害することによりヒト又は非ヒト哺乳類の身体における異常な細胞増殖を特徴とする疾患の処置のための医薬組成物を調製するための、場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合によりこれらの塩の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の式(12)で表される化合物の使用。
【請求項13】
−特に、アミロイドーシス、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症、全身性硬化症(強皮症)、混合結合組織病、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎、自己免疫性脈管炎、ベーチェット症候群、乾癬、自己免疫性関節炎、サルコイドーシス、及び糖尿病からなる群より選択される自己免疫障害、あるいは
−特に、カンジダ症、クリプトコックス症、アスペルギルス症、ムコール症、輪癬、皮膚糸状菌症、ヒストプラスマ症、分芽菌症、コクシジウム症、及びニューモシスティスからなる群より選択される真菌性疾患、あるいは
−癌腫、肉腫、黒色腫、骨髄腫、白血病等の血液腫瘍、リンパ腫、及び小児癌からなる群より選択される癌
の処置のための医薬製剤を調製するための、場合により、その互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合によりこれらの塩の形態である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
活性物質として、請求項1〜9のいずれか一項に記載の一般式(12)で表される1以上の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を、場合により通常の賦形剤及び/又は担体と組み合わせて含有する医薬製剤。
【請求項15】
場合により、互変異性体、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、及びこれらの混合物の形態である、及び場合によりこれらの塩の形態である、治療上有効な量の請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物を患者に投与することを含む、請求項9〜11のいずれか一項に記載の1以上の疾患に罹患している患者を処置する方法。
【請求項16】
式(11)で表される化合物:
【化41】


(式中、
は、上に定義した通りであり、
は、上に定義した通りであり、そして、
、n、m及びLは、請求項1〜9に定義した通りである)。

【公表番号】特表2013−519704(P2013−519704A)
【公表日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−553296(P2012−553296)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052280
【国際公開番号】WO2011/101369
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】