説明

ジビニルアレーンジオキシドの製造方法

ジビニルアレーンジオキシドの製造方法であって、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンを(b)少なくとも1種のオキシダントと、(c)少なくとも1種の遷移金属錯体触媒の存在下、および(d)任意に溶媒の存在下、そして(e)任意に触媒修飾剤の存在下、ジビニルアレーンジオキシド生成物を形成する条件下で反応させることを含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、ジビニルアレーンジオキシド、特にジビニルベンゼンに由来するジビニルアレーンジオキシドの製造方法に関する。より詳細には、本発明は、ジビニルアレーンジオキシドの製造方法であって、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンを(b)少なくとも1種のオキシダントと(c)少なくとも1種の遷移金属錯体触媒の存在下で反応させることを含む方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景および関連技術の説明
ジビニルアレーンジオキシド、特にジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)およびジビニルベンゼン(DVB)由来の他のものは、一般に、エポキシ樹脂、特にジエポキシドの分類である。これらのジエポキシドは、反応性希釈剤として、または主要なエポキシ樹脂マトリクスとして、エポキシ熱硬化配合物中で使用できる。DVBDO自体は極めて低い液体粘度(例えば、液体粘度約0.02Pa・s(20センチポイズ)未満)を有し、これは、低粘度を要求するエポキシ樹脂配合物の製造においてDVBDOを特に有用にする。DVBDOから形成されるエポキシ樹脂配合物は、種々の他の製品を製造するための中間体として有用である。例えば、DVBDOから形成されるエポキシ樹脂配合物は、コーティング、コンポジット、および成形用組成物の分野における使用に好適である。
【0003】
これまで、ジビニルアレーンジオキシドを製造するための従来公知の方法は、DVBDOの高転化および高選択性を得ることに成功していない。DVBDOを製造するための従来公知の方法は、典型的には、過酸化水素(H22)または過酢酸をオキシダント反応物質として用いる。例えば、Inoueら,Bull.Chem.Soc.Jap.,1991,64,3442に記載される方法は、H22を使用する。第JP09286750号は、過酢酸およびH22を使用するDVBのエポキシ化によるDVBDOの製造方法を開示する。過酢酸を用いるDVBDOの別の製造方法は米国特許第2,982,752号に記載されている。上記の公知のDVBDOエポキシ化方法は、種々の問題(例えば低収率の製造およびDVBDOの低選択性が挙げられる)を被る。
【0004】
先行技術の方法による別の問題としては、不所望の副生成物の生成または副反応の形成が挙げられる。例えば、Worzakowska M,J.Appl.Polym.Sci.,2007,103,462は、酸化マグネシウム触媒をアセトニトリルおよびH22中で用いてDVBDOを製造し、等量のアセトアミド副生成物ならびにモノ−およびジ−エポキシドの混合物が形成されることを開示する。Ruggliら,Helvetica Chimica Acta,(1940),23,718は、ベンゼンジアルデヒドおよびジアゾメタンからDVBDOを調製することを記載する。Hopffら,Helvetica Chimica Acta,(1957),40,274および独国特許第DE1079614号は、リチウムアルミニウム水素化物でクロロアセチルベンゼンを還元し、続いてクロロヒドリンからHClを除去することによってDVBDOを製造するための複雑な3ステッププロセスを記載する。カルボニル化合物からエポキシドを製造するためのスルホニウムイリドはCoreyら,J.Am.Chem.Soc,1962,84(5),pp.867−868に記載されている。
【0005】
DVBDOはまた、p−テレフタルアルデヒドをトリメチルスルホニウムクロリドで処理することで得られ、p−DVBDOが50%収率で得られる(米国特許第3,442,912号および欧州特許第94726号に記載される通り)。米国特許第5,962,547号は、触媒なしでのアセトン−水反応混合物中での過硫酸カリウムを用いたDVBDOの製造を開示する。生成物純度またはエポキシド収率のデータは米国特許第5,962,547号には開示されていない。
【0006】
先行技術で公知の上記方法は全て、例えば、酸化剤による残留副生成物の生成の不都合を被る。残留副生成物,例えば酸(過酸がオキシダントである場合)または硫化物(スルホニウム塩がオキシダントである場合)は、所望のDVBDO生成物から分離する必要がある。加えて、種々の公知の製造は通常低収率のDVBDOを与え、または、DVBDOの収率が高い場合にはプロセスが高収率のDVBDOを形成するための不便に長い反応時間を必要とする。例えば、反応時間は4日間にもなる可能性がある。DVBDOを製造するための従来公知の先行技術の方法のいずれも、DVBDOを高収率(例えば50%超)で効率的かつ経済的に首尾よく製造できない。加えて、先行技術の方法は、不所望の副生成物(例えばアセトアミドまたは酢酸)の共生成なしではDVBDOを生成しない。DVBDOの酸感受性に起因し、酸副生成物は特に不都合である。
【0007】
従って、不所望の副生成物の共生成なしでジビニルアレーンジオキシドを首尾よく製造する一方でジビニルアレーンジオキシドを高収率で経済的かつ効率的に製造する方法の開発が所望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
本発明は、ジビニルアレーンジオキシドを高収率(例えば約50%超)で先行技術の方法の問題(例えば不所望の酸性副生成物の共生成)を有さずに首尾よく製造する方法を提供する。
【0009】
本発明の一態様は、ジビニルアレーンジオキシドの製造方法であって、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンを(b)少なくとも1種のオキシダントと、(c)少なくとも1種の遷移金属錯体(complex)触媒の存在下、および(d)任意に溶媒の存在下、そして(e)任意に触媒修飾剤の存在下、ジビニルアレーンジオキシド生成物を形成する条件下で反応させることを含む、方法を対象とする。
【0010】
好ましい態様において、本発明のジビニルアレーンジオキシドの製造方法は、適切なオキシダントおよび適切な遷移金属錯体触媒を使用して、高収率のジビニルアレーンジオキシドを本発明の方法で得られるようにする。本発明の方法は、ジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO),極めて低粘度の液体エポキシ樹脂,の製造に特に好適である。
【0011】
有利には、本発明の方法は、不所望の副生成物の共生成が本質的に排除され、または少なくとも最小化される(例えば濃度約20%未満まで)ような条件下で実施する。加えて、本発明の方法は、有利には、ジビニルアレーンジオキシドを高収率で(例えば収率約50%超で)製造する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な説明
本発明は、その最も広い範囲において、オキシダント,例えばペルオキソ化合物または正の酸化状態のハロゲン化合物を、遷移金属錯体触媒,例えば遷移金属シッフ塩基錯体触媒の存在下で、そして任意に他の添加剤,例えば触媒修飾剤、および/または溶媒の存在下で用いるジビニルアレーンジオキシドの製造方法を包含する。
【0013】
一般に、本発明の方法において、ジビニルアレーン、遷移金属錯体触媒、ならびに任意に有機溶媒および/または任意に任意の他の望ましい添加剤を、酸化剤と、反応器内で接触させる。これはバッチまたは連続であることができ、反応物質を反応させて対応するジビニルアレーンジオキシドを生成させる。共生成する塩、遷移金属錯体触媒、ならびに任意に存在する溶媒および触媒修飾剤添加剤を、反応混合物中に存在するジビニルアレーンジオキシド生成物から除去して、使用可能なジビニルアレーンジオキシド生成物を得ることができる。さらに、ジビニルアレーンジオキシド生成物は任意に、例えば蒸留、結晶化、および他の公知の精製方法(当該分野で公知のもの)によって精製できる。
【0014】
本発明の一態様の例として、例えば、ジビニルアレーンジオキシド(例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO))は、ジビニルベンゼン(DVB)を、ジクロロメタン中で、オキシダント(例えば次亜塩素酸ナトリウム)を酸化剤として用いて溶解させることによって調製する。遷移金属錯体触媒,例えばMn(III)−シッフ塩基錯体(例えばN,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリドを反応混合物に添加し、次いで反応を温度約0℃〜約100℃で実施してエポキシ化反応を実施できる。エポキシ化反応が完了した後、溶媒、有機触媒修飾剤および遷移金属錯体触媒を生成物から除去し、所望であれば、生成物を公知の手段(例えば蒸留)によって精製できる。
【0015】
本発明において有用なジビニルアレーン源は、特にジビニルアレーンの製造方法で公知の、任意の公知の起源に由来できる。例えば、ジビニルアレーンは、塩または金属の廃物(アレーンからの)およびエチレンで調製できる。
【0016】
本発明の一態様において、本発明において有用なジビニルアレーンは、任意の置換または非置換のアレーン核(任意の環部位にて2つのビニル基を有するもの)を含むことができる。アレーンとしては、例えば、ベンゼン、置換ベンゼン、または(置換された)渡環(ring-annulated)ベンゼン、およびこれらの混合物を挙げることができる。一態様において、ジビニルベンゼンは、オルト、メタ、もしくはパラの異性体またはこれらの任意の混合物であることができる。追加の置換基は、酸化耐性基,例えば飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネート、またはRO−(式中、Rは飽和アルキルまたはアリールであることができる)またはこれらの混合物が挙げられる,からなることができる。渡環ベンゼンとしては、例えばナフタレン、テトラヒドロナフタレン等、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0017】
別の態様において、ジビニルアレーンは、置換アレーン分を含有できる。置換アレーンの量および構造はジビニルアレーンの製造で用いる方法に左右される。例えば、ジエチルベンゼン(DEB)の公知の脱水素化によって得られるDVBは、エチルビニルベンゼン(EVB)およびDEBを含有できる。
【0018】
本発明の方法において用いるジビニルアレーンとしては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルビフェニル、ジビニルジフェニルエーテル、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0019】
本発明において用いるジビニルアレーンの濃度は、一般に、約1質量%(wt%)〜約100wt%、好ましくは約5wt%〜約95wt%、およびより好ましくは約10wt%〜約90wt%の範囲であることができる。
【0020】
本発明において有用な酸化剤またはオキシダントとしては、当該分野で周知の任意の酸素移動型オキシダント,例えば一般分類が(i)ペルオキソ化合物および(ii)正の酸化状態のハロゲン化合物である化合物ならびにこれらの混合物等を挙げることができる。
【0021】
本発明において用いるオキシダントの濃度は、組成物の総質量基準で約0.1wt%〜約100wt%、好ましくは約2wt%〜約80wt%、およびより好ましくは約10wt%〜約50wt%の範囲であることができる。
【0022】
一般的に、本発明の方法においてオキシダントとして用いるペルオキソ化合物の例としては、1つの酸素を失いエポキシドを二重結合とともに形成することができるO−O結合を有する化合物が挙げられる。
【0023】
好ましくは、本発明の方法においてオキシダントとして用いるペルオキソ化合物としては、例えば、ペルオキソカルボン酸、ペルオキソスルフェート、有機ヒドロペルオキシド、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0024】
ペルオキソ化合物の具体例としては、Oxone(登録商標)、ペルオキソ一硫酸カリウムまたはそのアンモニウム塩もしくはアルキルアンモニウム塩、m−クロロ−過安息香酸(MCPBA)、過酢酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0025】
一般に、本発明の方法においてオキシダントとして用いる正の酸化状態のハロゲン化合物は、酸化数例えば+1、+3、+5、または+7を有するハロゲンを含有する化合物およびこれらの混合物である。
【0026】
好ましくは、正の酸化状態のハロゲン化合物の群に属する化合物としては、例えば、次亜塩素酸塩および次亜臭素酸塩(+1)、亜塩素酸塩および亜臭素酸塩(+3)、塩素酸塩および臭素酸塩(+5)、過塩素酸塩、過臭素酸塩および過ヨウ素酸塩(+7)ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0027】
正の酸化状態のハロゲン化合物の具体例としては、過ヨウ素酸ナトリウム(+7)、次亜塩素酸ナトリウム(+1)、ヨードシルベンゼン(+3)、ヨードシルメシチレン(+3)、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
正の酸化状態のハロゲン化合物またはペルオキソ化合物を用いるジビニルアレーンジオキシドの製造は、触媒の使用で実現する。本開示で用いる触媒は、(i)キレート剤および(ii)遷移金属の錯体を含む。触媒は、本開示で「遷移金属錯体触媒」ということができる。
【0029】
本発明において用いる遷移金属錯体触媒のキレート剤またはキレート剤成分は、アミン、エーテル酸素、ヒドロキシルまたはカルボキシレート供与基,例えばポルフィリン化合物、フタロシアニン、シッフ塩基、ポリアザマクロ環化合物およびこれらの誘導体、芳香族N−複素環化合物およびこれらの誘導体、ピリジンカルボキシレート、8−ヒドロキシキノリン、サイクレンまたはサイクラムの錯体、ならびにこれらの混合物を基にすることができる。
【0030】
少なくとも1種の遷移金属錯体触媒の遷移金属としては、例えば、鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、クロム、銅、チタンおよびこれらの混合物を挙げることができる。
【0031】
遷移金属錯体触媒または遷移金属錯体触媒を形成する成分,例えばキレート剤および遷移金属成分は、市販の起源から購入できる。代替として、遷移金属錯体触媒は、例えばSynthetic Communications,31,2913,2001(参照により本明細書に組入れる)に記載されるような当該分野で公知の技術で調製できる。
【0032】
好ましくは、遷移金属錯体触媒は、クロム、マンガンまたはニッケルのシッフ塩基錯体、マンガンまたは鉄のポルフィリン錯体、鉄またはマンガンのアミノカルボキシレート錯体、鉄またはマンガンのサイクレン錯体、鉄またはマンガンのサイクラム錯体、鉄またはマンガンのトリアザシクロノナン錯体、鉄またはマンガンのピリジンジカルボン酸錯体、およびこれらの混合物、の1種以上から選択される。遷移金属錯体触媒の1つの好ましい態様は、シッフ塩基錯体であることができる。シッフ塩基錯体は、2つの成分に由来する。第1の成分はサリチルアルデヒドであることができ、サリチルアルデヒドは以下の基:アルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、ニトロ基、または渡環ヒドロキシベンズアルデヒドの1つ以上で置換されていることができ、渡環ヒドロキシベンズアルデヒドは以下の基:アルキル基、アリール基、アミノ基、ハロゲン基、ニトロ基の1つ以上で置換されていることができる。シッフ塩基錯体の第2の成分は、アミンまたはジアミンであることができる。例えば、アミンは、ブチルアミン、ヘキシルアミン等から選択できる。ジアミンは、例えば、エチレンジアミン、o−フェニレンジアミン、1,2−シクロヘキシルジアミン等、およびこれらの混合物から選択できる。
【0033】
本発明の方法において有用なシッフ塩基錯体触媒の可能な態様の化学構造は以下の通り例示できる:
【0034】
【化1】

【0035】
(式中、上記構造A−Dにおいて、Xはアニオン,例えばハロゲン、p−トリルスルホニル、アセテート等であり、Rはアルキル、アリール、アラルキル、O−アルキル、O−アリール、N−アルキル、N−アリール、アルキルアミノ、ヒドロキシアルキル、ハロゲン、ニトロ、水素またはこれらの任意の組合せであることができる。)
【0036】
本発明において用いるシッフ塩基錯体触媒の濃度は、一般に約0.001wt%〜約15wt%、好ましくは約0.01wt%〜約10wt%、およびより好ましくは約0.1wt%〜約5wt%の範囲であることができる。
【0037】
本発明の方法においては溶媒を任意に使用できる。本発明の方法において有用な任意の溶媒としては、例えば、反応条件下でオキシダントに対して不活性である任意の不活性有機溶媒を挙げることができる。例えば、溶媒としては、ハロゲン化アルカン,例えばジクロロメタン、芳香族物質,例えばトルエン、極性有機溶媒,例えばジメチルホルムアミド、アセトニトリル、または他のもの,例えばテトラヒドロフラン、アルコール,例えばtert−アミルアルコール、tert−ブタノール、またはメタノール、フッ素化アルコール,例えばトリフルオロエタノール、またはこれらの混合物を挙げることができる。
【0038】
本発明において用いる溶媒の濃度は、一般に約0wt%〜約99wt%、好ましくは約10wt%〜約90wt%、およびより好ましくは約20wt%〜約80wt%の範囲であることができる。
【0039】
本発明の方法は、任意の触媒修飾剤,例えば有機修飾剤、無機修飾剤、またはこれらの混合物を使用できる。本発明の方法において任意に使用する有機修飾剤としては、例えばルイス塩基,例えばN含有複素環化合物,例えばピラゾール、ピリジン、ビピリジン、イミダゾールおよびこれらの誘導体、N−オキシド、およびN−オキシドのアルキル、アリールまたはシアノ−置換された類似体、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0040】
本発明において用いる有機修飾剤の濃度は、一般に約0wt%〜約30wt%、好ましくは約0.05wt%〜約20wt%、およびより好ましくは約1wt%〜約10wt%の範囲であることができる。
【0041】
別の態様において、任意の無機修飾剤としては、例えば、塩,例えばリン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、シュウ酸ナトリウムまたはシュウ酸カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリウム等、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
本発明において用いる水相中の無機修飾剤の濃度は、一般に約0wt%〜約50wt%、好ましくは約0.1wt%〜約20wt%、およびより好ましくは約1wt%〜約10wt%の範囲であることができる。
【0043】
本発明の別の態様において、有機および/または無機の修飾剤を、本発明の反応組成物中に添加して反応プロセスにおいて補助でき、および続いて所望であれば修飾剤をその使用後に除去できる。
【0044】
他の任意の添加剤の各種(例えば、他の樹脂、安定剤、フィラー、可塑剤、触媒不活性化剤等、およびこれらの混合物が挙げられる)を本発明の反応組成物に添加できる。
【0045】
本発明において用いる任意の添加剤の濃度は、一般に0wt%〜約99.9wt%、好ましくは約0.1wt%〜約99.9wt%、より好ましくは約1wt%〜約99wt%、および最も好ましくは約2wt%〜約98wt%の範囲であることができる。
【0046】
ジビニルアレーンジオキシドを不所望の副生成物の共生成なしで製造することは、例えば、(i)反応器に以下の反応物質、ジビニルアレーン、遷移金属錯体触媒、任意に有機修飾剤、任意に無機修飾剤および任意に不活性有機溶媒を添加すること、(ii)反応物質をオキシダントと接触させること、次いで(iii)反応混合物中の成分を、対応するジビニルアレーンジオキシドを製造する反応条件下で反応させること、により実現できる。
【0047】
反応条件としては、反応を、一般に約0℃〜約100℃、好ましくは約5℃〜約80℃、およびより好ましくは約20℃〜約60℃の範囲の温度で行うことが挙げられる。
【0048】
反応の圧力は、一般に約10.13kPa〜約1013kPa(0.1気圧(atm)〜約10atm)であることができる。
【0049】
本発明の反応プロセスは、バッチまたは連続のプロセスであることができる。プロセスにおいて用いる反応器は、当業者に周知の任意の反応器および付属設備であることができる。
【0050】
ジビニルアレーンジオキシドの製造のための反応中、等量の塩化ナトリウム副生成物が反応混合物中に形成される可能性がある。形成された副生成物は、反応混合物中に形成された有機相と水相との分離、続いて有機相の適切な数の水洗により反応混合物から除去できる。本発明の方法の1つの利点は、他の不所望の酸化された副生成物および誘導体,例えばカルボニル化合物および加水分解されたエポキシ生成物が、本発明の方法を用いて何ら相当量で形成されないことである。
【0051】
本発明の反応の後、不所望の副生成物、および任意の残留有機修飾剤、触媒、および溶媒を除去して、十分量の使用可能なジビニルアレーンジオキシド生成物を回収できる。次いで、生成物は任意に、当該分野で周知の手段により,例えばクロマトグラフィ、蒸留、結晶化等により精製できる。
【0052】
本発明の方法の1つの利点は、高収率のジビニルアレーンジオキシドを本発明の方法で製造できることである。製造される高収率のジビニルアレーンジオキシドとともに、本発明の方法は、有利にも、必要とするリサイクルがより少なく廃物の生成がより少ない。
【0053】
本発明の方法で製造される「高収率」のジビニルアレーンジオキシドは、ジビニルアレーン出発物質基準で一般に約30%超、およびより好ましくは約70%〜約100%、より好ましくは約80%〜約100%、および最も好ましくは約90%〜約100%である。
【0054】
本発明の方法で製造されるジビニルアレーンジオキシド、特にジビニルベンゼンに由来する例えばジビニルベンゼンジオキシド(DVBDO)は、ジエポキシドの分類であり、これは比較的低い液体粘度を有するが、従来のエポキシ樹脂よりも高い剛直性を有する。
【0055】
本発明において有用なジビニルアレーンジオキシドは、例えば、任意の置換または非置換のアレーン核(2つのビニル基を任意の環部位にて有するもの)を含むことができる。ジビニルアレーンジオキシドのアレーン部分は、ベンゼン、置換ベンゼン、渡環ベンゼン、置換渡環ベンゼン、同族結合(homologously bonded)ベンゼン、置換同族結合ベンゼン、またはこれらの混合物を含むことができる。ジビニルアレーンジオキシドのジビニルアレーン部分はオルト、メタ、もしくはパラの異性体、またはこれらの任意の混合物であることができる。追加の置換基は、飽和アルキル、アリール、ハロゲン、ニトロ、イソシアネートもしくはRO−(ここで、Rは飽和アルキルもしくはアリールであることができる)等のH22耐性基からなることができる。渡環ベンゼンは、例えば、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン等を含むことができる。同族結合(置換)ベンゼンは、例えば、ビフェニル、ジフェニルエーテル等を含むことができる。
【0056】
本発明の方法で製造されるジビニルアレーンオキシド生成物は、一般に、以下の一般化学構造I〜IVで例示できる。
【0057】
【化2】

【0058】
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物の上記構造I,II,III,およびIVにおいて、各R1、R2、R3およびR4は、個別に水素、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基もしくはアラルキル基、またはオキシダント耐性基(例えばハロゲン基、ニトロ基、イソシアネート基、またはRO基が挙げられる)であることができ、ここでRはアルキル、アリールまたはアラルキルであることができ、xは0〜4の整数であることができ、yは2またはこれを超える整数であることができ、x+yは6またはこれ未満の整数であることができ、zは0〜6の整数であることができ、そしてz+yは8またはこれ未満の整数であることができ、そしてArはアレーンフラグメント(例えば1,3−フェニレン基が挙げられる)である。
【0059】
本発明の方法で製造されるジビニルアレーンジオキシド生成物としては、例えば、アルキル−ビニル−アレーンモノオキシド(出発物質中のアルキルビニルアレーンの存在に応じて)を挙げることができる。
【0060】
本発明の一態様において、本発明の方法で製造されるジビニルアレーンジオキシドとしては、例えば、ジビニルベンゼンジオキシド、ジビニルナフタレンジオキシド、ジビニルビフェニルジオキシド、ジビニルジフェニルエーテルジオキシド、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0061】
下記の構造Vは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の態様を例示する。
【0062】
【化3】

【0063】
下記の構造VIは、本発明において有用なDVBDOの好ましい化学構造の別の態様を例示する。
【0064】
【化4】

【0065】
DVBDOを本発明の方法によって製造する場合、オルト、メタ、およびパラの3つの可能な異性体の1つを得ることが可能である。従って、本発明は、上記構造の任意の1つを個別にまたはこれらの混合物として例示されるDVBDOを包含する。上記の構造VおよびVIはメタ(1,3−DVBDO)およびDVBDOのパラ異性体をそれぞれ示す。オルト異性体は稀であり、通常、DVBDOの混合物は殆ど、約2:1のメタ(構造V)対パラ(構造VI)で製造される。よって、本発明は好ましくは、2:1比の構造V対構造VIを一態様として包含する。
【0066】
本発明の方法で製造されるジビニルアレーンジオキシドの粘度は、一般に約0.01Pa・s〜約0.1Pa・s、好ましくは約0.01Pa・s〜約0.05Pa・s、およびより好ましくは約0.01Pa・s〜約0.025Pa・sの範囲(25℃にて)である。一態様において、本発明の方法は、DVBDO、液体エポキシ樹脂であって液体粘度約0.02Pa・s未満を有するものの製造に特に好適である。
【0067】
本発明のジビニルアレーンジオキシドの有用性は、中程度の温度(例えば、温度約100℃〜約200℃)で最大数時間(例えば、少なくとも2時間以上)の、ジビニルアレーンジオキシドの、オリゴマー化またはホモポリマー化を伴わない配合または加工を可能にする熱安定性を必要とする。配合または加工の間のオリゴマー化またはホモポリマー化は、粘度の実質的な増大(例えば50倍超)またはゲル化(架橋)によって明らかである。本発明のジビニルアレーンジオキシドは、ジビニルアレーンジオキシドが前記の中程度の温度での配合または加工の間に粘度の実質的な増大またはゲル化を被らない十分な熱安定性を有する。
【0068】
本発明のジビニルアレーンジオキシド生成物は、エポキシ樹脂組成物または配合物の製造に有用であり、これは更に、熱硬化物または硬化生成物(コーティング、フィルム、接着剤、ラミネート、コンポジット、エレクトロニクス製品等の形で)の製造に有用である。
【0069】

以下の例および比較例は本発明を詳細に更に例示するがその範囲の限定と解釈すべきではない。以下の例において製造される生成物混合物は標準的なガスクロマトグラフィ(GC)分析装置および方法で分析した。例における以下の調製の各々について、80%ジビニルベンゼン(DVB)を用い、これは20%エチルビニルベンゼン(EVB)を含有していたが、収率および最終組成はDVBを意味する。ラセミシッフ塩基キレート剤およびそのMn−錯体を、Ivica Cepanecら,Synthetic Communications,2001,31,2913;およびAna Rosa Silvaら,New Journal of Chemistry,2004,28,253(各々参照により本明細書に組入れる)に記載される手順で調製した。反応物質:R,R−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド、キラル錯体および全ての他の反応物質はAldrichから購入した。
【0070】
例1
ジビニルベンゼン(DVB)(7.68mmol,1.00g),N,N’−ビス−サリチリデン−1,2−エタン−ジアミノマンガン(III)クロリド(0.4mmol,137mg)およびピリジンN−オキシド(1.9mmol,137mg)を、滴下漏斗および磁気撹拌器を備える三口フラスコ内に移した。ジクロロメタン(10mL)をフラスコに添加し、撹拌を開始した。オキシダント、次亜塩素酸ナトリウム(30.7mmol,11.9%,8.3mL)を、得られる溶液中に25℃で滴下した。得られる反応混合物をこの温度で追加時間更にインキュベートした。次いで、反応混合物を濾過し、ブラインで3回洗浄し、NaHSO3溶液(1M,pH=7)で2回洗浄し、次いで3回水洗した。得られるジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムによって乾燥させた。蒸発乾固により、0.99gの生成物を得た。生成物をGC分析で分析した。生成物DVBDO収率は、DVB基準で97%であった。
【0071】
例2
DVB(1mmol,130mg),R,R−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(0.05mmol,32mg)およびピリジンN−オキシド(0.25mmol,21mg)を、磁気撹拌器を備えるバイアル中に移した。ジクロロメタン(1.00mL)をバイアルに添加し、撹拌を開始した。オキシダント、次亜塩素酸ナトリウム(4mmol,11.9%,1.08mL)を、得られる溶液中に25℃で滴下した。得られる反応混合物をこの温度で3時間更にインキュベートした。次いで、得られる有機相をGCで分析した。DVBDO収率は、DVB基準で98%であった。
【0072】
例3
DVB(10mmol,1.30g),N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(0.5mmol,318mg)およびピリジンN−オキシド(2.5mmol,238mg)を、凝縮器、滴下漏斗および磁気撹拌器を備える三口フラスコ内に移した。ジクロロメタン(10mL)をフラスコに添加し、撹拌を開始した。オキシダント、次亜塩素酸ナトリウム(25mmol,11.9%,12.4mL)を、得られる溶液中に25℃で滴下した。得られる反応混合物をこの温度で更に2時間更にインキュベートした。次いで、反応混合物を濾過し、ブラインで3回洗浄し、NaHSO3溶液(1M,pH=7)で2回洗浄し、次いで3回水洗した。得られるジクロロメタン溶液を硫酸ナトリウムによって乾燥させた。蒸発乾固により、1.87gの生成物(この例で用いた遷移金属錯体触媒は分離していない)を得た。生成物をGC分析で分析した。生成物DVBDO収率は98%であった。
【0073】
例4
例2で調製したDVBDO生成物をこの例4で用いた。DVBDOからの、遷移金属錯体触媒、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリドの分離は、シリカゲル(Merck 35−70メッシュ)固定相、ならびにジクロロエタンおよびヘキサンの1.25/1 w/w混合物の移動相にて、カラムクロマトグラフィを用いて実施した。シリカゲルの使用はDVBDO損失を生じさせなかった。混合物を減圧蒸留した。減圧蒸留により、10%DVBDO損失が生じ、95%純粋DVBDOおよび5%EVBOが得られた。
【0074】
例5
DVB(1mmol,130mg)、R,R−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(0.05mmol,32mg)およびN−メチルモルホリンN−オキシド(0.25mmol,29mg)を、磁気撹拌器を備えるバイアルに移した。ジクロロメタン(1.00mL)をバイアルに添加し、撹拌を開始した。オキシダント、次亜塩素酸ナトリウム(4mmol,11.9%,0.426mL)を、得られる溶液中に25℃で滴下した。得られる反応混合物をこの温度で追加時間更にインキュベートした。次いで、得られる有機相をGCで分析した。DVBDO収率は、DVB基準で54%であり、DVBDO生成物は6%DVBMOを含有していた。
【0075】
例6
DVB(2mmol,260mg)、R,R−N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノマンガン(III)クロリド(0.05mmol,63mg)およびN−メチルモルホリン(0.4mmol,41mg)を、磁気撹拌器を備えるフラスコに移した。ジクロロメタン(5.00mL)をフラスコに添加し、撹拌を開始した。フラスコの内容物を氷浴中で5℃まで冷却した。オキシダント、m−クロロ過安息香酸(6mmol,1.11g)(ジクロロメタン溶液(20mL)中)を、得られる溶液中に25℃で滴下した。得られる反応混合物を5℃で1時間更にインキュベートした。次いで、得られる有機相をNaHSO3溶液(1M)中に注ぎ入れ、室温で15分間撹拌した。得られる有機相をGCで分析した。反応混合物は1%DVB、21%DVBMOおよび66%DVBDOを含有することが分かった。
【0076】
比較例A
この比較例Aは、反応混合物に遷移金属錯体触媒を添加しなかった他は上記の例1でのように実施した。エポキシド生成物の形成は実現されなかった。
【0077】
本発明の方法は、上記の具体例(これらが参照する表を含む)に限定されるべきではなく、これらの例およびそれらが参照する表は本発明の方法の例示である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジビニルアレーンジオキシドの製造方法であって、(a)少なくとも1種のジビニルアレーンを(b)過酸化水素以外の少なくとも1種のオキシダントと、(c)少なくとも1種の遷移金属錯体触媒の存在下、ジビニルアレーンジオキシド生成物を形成する条件下で反応させることを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1種のオキシダントが、酸素移動剤を含み、該酸素移動剤が、正の酸化状態のハロゲン化合物またはペルオキソ化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
正の酸化状態のハロゲン化合物が、次亜塩素酸ナトリウム、次亜臭素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、ヨードシルベンゼン、ヨードシルメシチレンおよびこれらの混合物を含む群から選択され、ペルオキソ化合物が、ヒドロペルオキシド、ペルオキソスルフェート、ペルオキソカルボン酸およびこれらの混合物を含む群から選択され、あるいは、ペルオキソ化合物が、m−クロロ過安息香酸、過酢酸、ペルオキソ一硫酸カリウムまたはペルオキソ一硫酸アンモニウム塩もしくはペルオキソ一硫酸ホスホニウム塩、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドおよびこれらの混合物を含む群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1種のジビニルアレーンがジビニルベンゼンであり、形成されるジビニルアレーンジオキシドがジビニルベンゼンジオキシドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
反応を温度約5℃〜約80℃の範囲内で行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1種の遷移金属錯体触媒が、少なくとも1種のキレート剤成分および少なくとも1種の遷移金属成分で形成され、遷移金属錯体触媒中の遷移金属成分が、ニッケル、クロム、バナジウム、鉄、マンガン、チタンおよびこれらの混合物を含む群から選択され、遷移金属錯体触媒のキレート剤成分がシッフ塩基を含み、該シッフ塩基がアルデヒド成分およびアミン成分で形成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
アルデヒド成分が、サリチルアルデヒド;アルキル、アリール、O−アルキル、O−アリール、N−アルキル、N−アリール、アルキルアミン、ニトロまたはハロゲンで置換されたサリチルアルデヒド;渡環ヒドロキシベンズアルデヒド;アルキル、アリール、O−アルキル、O−アリール、N−アルキル、N−アリール、アルキルアミン、ニトロまたはハロゲンで置換された渡環ヒドロキシベンズアルデヒド;およびこれらの混合物;を含む群から選択され、アミン成分が、モノアミン;アルキルアリールまたはハロゲンで置換されたモノアミン;ジアミン;アルキルアリールまたはハロゲンで置換されたジアミン;およびこれらの混合物;を含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
モノアミンが、ブチルアミン、ヘキシルアミンまたはこれらの混合物を含み、ジアミンが、エチレンジアミン、1,2−シクロヘキシルジアミン、1,2−フェニレンジアミンまたはこれらの混合物を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
遷移金属錯体触媒が、固体支持体上に固定化されており、該固体支持体が、ゼオライト、シリカおよび有機ポリマーを含む群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1種のジビニルアレーンの濃度が約1質量%〜約100質量%の範囲であり、少なくとも1種のオキシダントの濃度が約0.1質量%〜約99質量%の範囲であり、少なくとも1種の遷移金属錯体触媒の濃度が約0.001質量%〜約5質量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
溶媒を含み、該溶媒が、塩素化炭化水素、芳香族炭化水素、極性溶媒、エーテル、アルコール、フッ素化アルコール、またはこれらの混合物を含み、該溶媒の濃度が、約0.1質量%〜約99質量%の範囲である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
塩素化炭化水素がジクロロメタンもしくはジクロロエタンを含み、芳香族炭化水素がベンゼンもしくはトルエンを含み、極性溶媒がジメチルホルムアミド、アセトニトリルもしくはアセトンを含み、エーテルがテトラヒドロフランもしくはジオキサンを含み、アルコールがメタノール、tertブタノール、i−アミルアルコールを含み、またはフッ素化アルコールがトリフルオロエタノールを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
有機触媒修飾剤を含み、該有機触媒修飾剤がルイス塩基を含み、該ルイス塩基がピラゾール、ピリジン、ピロリジン、ビピリジン、イミダゾールもしくはこれらのアルキルおよびアリールで置換された類似体、もしくはこれらの混合物を含み、または該有機触媒修飾剤がN−オキシドを含み、該N−オキシドがピリジン−N−オキシド、N−メチルモルホリン−N−オキシド、もしくはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
触媒修飾剤が、固体支持体上に固定化されており、該固体支持体が、有機ポリマー、ゼオライトおよびシリカを含む群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、シュウ酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩等およびこれらの混合物を含む群から選択される無機触媒修飾剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ジビニルアレーンジオキシド反応生成物を残留遷移金属錯体触媒および/または残留触媒修飾剤から分離法によって分離し、該分離法が、クロマトグラフィ、沈殿、抽出、濾過、および/または蒸留を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
ジビニルアレーンジオキシド反応生成物を蒸留によって精製する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2013−510087(P2013−510087A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−536863(P2012−536863)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/052766
【国際公開番号】WO2011/056381
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】