説明

ジピリジル系レベリング剤によるマイクロエレクトロニクスにおける銅の電子沈積

【課題】半導体集積回路デバイス基板におけるビア構造をメタライズするための方法を提供する。
【解決手段】半導体集積回路デバイス基板は、前面、背面、ビア構造を備え、ビア構造は、基板の前面に開口部、基板の前面を内向きに伸びる側壁部、および底部を備え、前記方法は以下からなる:
半導体集積回路デバイス基板に、(a)銅イオン源、および(b)レベラー化合物からなる電解銅沈積組成物を接触させて、前記レベラー化合物はジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応生成物からなり;
電流を電解銅沈積組成物に供給し銅金属をビア構造の底部および側壁部に沈積し、これによって銅充填ビア構造を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、電解沈積化学に用いられる添加剤および、銅および銅合金の沈積の方法に関連し、さらに詳しくは、電解沈積化学に用いられるレベラー添加剤および、半導体基板技術における相互接続を銅のメタライゼーションのための方法に関連する。
【0002】
高回路速度および高回路密度のコンピュータ・チップの如き半導体集積回路デバイスは、極超大規模集積回路(ULSI)および超大規模集積回路(VLSI)構造において、形状の小規模化を要する。小素子サイズ化および回路密度増加の傾向は、相互接続形状寸法の縮小化、密度の増加を要する。相互接続形状は、相互接続を電気的に導電性にするために金属、一般には銅を充填した誘電基板に形成されるビアやトレンチの如き形状である。銅は接続線を形成し、半導体基板を相互接続するために、アルミニウムを置換するべく導入された。銅は、銀を除く如何なる金属より高導電性を有し、銅メタル化は小型形状を許容し、通電するために少ないエネルギーしか使わない。ダマシン加工において、半導体ICデバイスの相互接続形状は、電解銅沈積を使用してメタル化される。
【0003】
半導体集積回路素子製造の関連で、基板は、例えばシリコンまたはシリコン−ゲルマニウム上のSiOまたはLow−k誘電膜の如き半導体ウエハやチップ基板上のパターン化した形状を含む。一般には、ウエハは演算子、プログラム可能の素子、メモリーデバイス等々の集積回路の層を有し、半導体基板の上に1つまたはそれ以上の誘電層に組み込まれている。集積回路(IC)素子は、誘電構造の層間(ビア)およびデバイス間(トレンチ)に電気接続を形成するサブミクロンサイズのビアおよびトレンチを包含するために製造される。これらの外観は、約200nm以下、例えば約150nm、約100nm、約100nm以下、或いは約50nm以下のオーダーの寸法を有する。
【0004】
銅の使用は、IC製造プロセスにいくつもの要求を導入する。まず、銅原子は、副電流誘導移行の如き半導体接合に拡散する傾向を有し、それによって、それらの電気的特徴を妨げる。この発生を防ぐために、窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、或いは公知技術で知られるその他の層の如きバリア層が銅メタリゼーションの前にパターン化された誘電層に塗布され、銅メタリゼーションには、銅種層沈積(一般的にはPVD法)、その後のボイドのない充填を達成するための電解銅沈積工程が含まれる。ICの構造は収縮し続けるので、この要求は満足させるのが次第に困難になることが分かる。
【0005】
一つの従来の半導体製造方法は、銅ダマシン・システムである。特にこのシステムは、基板の誘電材料に回路構造をエッチングすることによって始まる。この構造は、前述のトレンチとビアの組合せから成る。次に、基板の接合に塗布された銅層が実質的に拡散するのを妨げるために、バリア層が誘電層の上に広げられ、連続的な電気化学法のための導電性を付与するために銅種層の物理または化学蒸着を続いて行う。基板のビアおよびトレンチに充填する銅は、めっき(無電解または電解)、スパッタ、プラズマ蒸着(PVD)および化学蒸着(CVD)によって沈積される。一般的に、電気化学沈積は銅を塗布するのに最適の方法であると認識されている。それは他の沈積法よりも経済的で、相互接続構造に完璧に充填できるからである(よく、「ボトム−アップ」成長、スーパーフィリングと呼ばれる)。銅層が沈積された後、過剰の銅は誘電層の表面から化学機械研磨によって除去され、誘電層のエッチングされた相互接続構造にのみ銅が残される。最後の半導体パッケージに組み立てる前に、連続層は同様に製作される。
【0006】
銅めっき法は、半導体業界の厳しい要求に適合しなければならない。例えば、銅沈積は均一で、例えば、100nm以下の開口部のあるデバイスの小さな相互接続構造を完璧に充填する能力がなければならない。
【0007】
電解銅システムは、種々のアスペクト比の特徴(パターン)に銅を沈積する所謂「スーパーフィリング」や「ボトム−アップ成長」に依存して発展してきた。スーパーフィリングは、ボイドの原因となるつなぎ目やピンチ−オフを防ぐために全ての表面において同じ割合でよりは、ボトムから上部へパターンを充填することに関する。多重部分システムは、スーパーフィリングのために添加剤が開発されたので、抑制器、および加速器からなり、Tooらの米国特許6,776,893に記載のように、加速のための硫化物系化合物、抑制のためのポリエーテル系化合物を開示する。ボトム−アップ成長の推進力の結果として、Cu沈積は凹凸のない平面領域よりも相互接続凹凸領域でより厚い。これらの過成長領域は通常、オーバープレーティング(過めっき)、過負荷、マウンディング、バンプ、ハンプと呼ばれる。小さな凹凸は一般に、速いスーパーフィル速度のために高い過めっきハンプを形成する。大きな凹凸は一般にディンプル(凹み)形成を導き得る、遅い充填をし(アンダープレート、またはアンダープレーティングとも呼ばれる)、こうして完全な平面性を達成するために追加の銅めっきが要求される。
アンダープレーティングを修正するための追加の銅めっきは、過めっきをさらに悪化させる。過めっきは、後のCu表面を平坦化する化学機械研磨プロセスの挑戦を引き起こす。第三の有機添加剤は“レベラー(Leveler)”と呼ばれ、Commanderらの米国特許公開2003/0168343に開示のように、過成長およびその他の問題に対処するために、一般的には用いられる。
【0008】
Cuが相互接続を充填するために通過して成長する、100nmのオーダー以下の開口部を有する相互接続によって、チップ建造物が小さくなるに連れて、ボトム―アップ速度を促進するニーズがある。すなわち、Cuは、凹凸のボトムからの垂直方向の成長速度が、残りの領域の成長速度よりも“速く”なるように、充填しなければならず、従来の大きな相互接続に於けるよりももっと速くする必要がある。
【0009】
スーパーフィリングおよび過めっきの問題に加えて、相互接続の凹凸を充填するためにCuを電解沈積するときには、微細欠陥が形成されるかもしれない。発生し得る一つの欠陥は、凹凸の内部の内部ボイドの形成である。Cuは凹凸面の側壁および頂部入口に沈積されるので、側壁部と凹凸入口の沈積は、つまみ取られ、それによって、ボトム−アップ成長速度が十分に速くないと、特に小さな凹凸部(<100nm)および/または高いアスペクト比(深さ/巾)を有する凹凸部で凹凸部の深さに近づく。小さな凹凸部サイズまたは高いアスペクト比は通常、ピンチオフを防ぐためには速いボトム−アップ速度を要する。それ以上に、小サイズまたは高いアスペクト比の凹凸部は、ビア/トレンチの側壁部および底部において、薄いシード被覆率を有する傾向があり、これらの領域の不十分な銅成長の故に、ボイドがまた作られ得る。内部ボイドは当該凹凸部を介して電気的接続性を妨害する可能性がある。
【0010】
マイクロボイドは、電解沈積中または後で形成し得るもう1つのタイプの欠陥で、Cuめっきの後で例えば高温アニール・ステップの間に起こる異常なCu成長や粒子再結晶のためである。米国特許公開2003/0168343は、相互接続凹凸部の銅メタル化の総不純物(Cl,S,C,O,N)組成を増加させるレベラー添加剤からなる電解めっき化学を用いた方法を開示する。高い不純物組成を有する銅沈積は、素子の耐応力移行性の改善の如き利点を有するのに対して、あるデバイスの相互接続の凹凸部を高い不純物組成の銅沈積で充填することは必ずしも利点ではない。むしろ、あるデバイス、特に記憶デバイスではもっと純度の高い銅沈積による相互接続メタル化を要するかもしれない。そのような高純度の銅層はマイクロボイディングに対してより感度が低く、よりよい導電性及び改善された耐電子移行性を有すると信じられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の多くの観点の中で、銅または銅合金沈積のため、特に高純度銅メタリゼーションでスーパーフィリングする相互接続凹凸部のための組成物と方法が注目されよう。本発明の方法と組成物は、相互接続用凹凸部形成における高純度銅メタリゼーション沈積のために有益であり、再結晶によって引き起こされるボイド発生を抑制される。
【0012】
まとめると、よって本発明は、半導体集積回路デバイス基板が前面、背面およびビア構造からなり、ビア構造は、基板の前面開口部、基板の前面から内側へ伸びる側壁、および底部からなる、半導体集積回路デバイス基板におけるビア構造をメタライズするための方法に関する。当該方法は、(a)銅イオン源および(b)レベラー化合物からなる電解銅沈積化学(組成物)によって、半導体集積回路デバイス基板に接触することからなり、前記レベラー化合物はジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応物であり、ビア構造の底面及び側壁上に銅金属を沈積するために電解沈積組成物に電流を供給し、それによって銅充填ビア構造を作製する。
【0013】
本発明はまた、半導体集積回路デバイス基板におけるビア構造をメタライズするような種々の用途において基板をメタライズするための組成物に関し、当該組成物は、銅イオン源、レベラー化合物がジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応生成物であるレベラー化合物、並びに抑制剤からなる。
【0014】
その他の目的および特徴は、部分的に明らかであり、部分的には以下に示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、室温アニール中の抵抗値の変化のグラフである。本グラフを作成するのに用いられたデータは、実施例6の方法に基づき収集された。
【図2】図2は、室温アニール中の抵抗値の変化のグラフである。本グラフを作成するのに用いられたデータは、実施例6の方法に基づき収集された。
【図3】図3は、アンダーめっきを発揮する電気めっきされたテスト・トレンチの断面図である。本テスト・トレンチは、実施例7の方法によって充填された。
【図4】図4は、アンダーめっきを発揮する電気めっきされたテスト・トレンチの断面図である。本テスト・トレンチは、実施例7の方法によって充填された。
【図5】図5は、部分充填テスト・トレンチの断面図である。テスト・トレンチは、実施例7の方法によって充填された。
【図6】図6は、充填テスト・トレンチの断面図である。本テスト・トレンチは、実施例7の方法によって充填された。対応する参照文字は、図面の全部に渡って対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、銅および銅合金を沈積するための組成物及び方法に関する。幾つかの態様においては、本発明は、低ボイド量、高純度銅沈積で、半導体集積回路デバイス基板における相互接続構造をメタライズするための組成物及び方法に関する。半導体集積回路デバイス基板、すなわちウエハまたはダイは、前面および背面を有する。前面は、集積回路が構築される表面である。このように、相互接続構造、すなわちトレンチまたはビアは、半導体基板の前面に位置する。前記構造は、基板前面の開口部、基板前面から伸びる側壁、並びに底面を有す。従来のダマシン法では、追加の誘電層が充填構造の頂部に一般的には沈積され、追加の誘電層は、本発明の方法によってメタライズされ得るトレンチおよびビアを含む相互接続を備えるようにパターン化される。他の態様では、本発明は、シリコン貫通ビアやその他の基板のような基板をメタライズするための組成物及び異なる、非ダマシン法に関する。
【0017】
相互接続構造は、誘電性基板(トレンチ)中に構築されたデバイス間、および回路層(ビア)間に導電性を付与する金属トレースである。デバイスはトランジスタ、キャパシタ等を記憶セルおよび論理的ゲート中に含む。一般的な相互接続開口部寸法、すなわちビア開口の直径、またはトレンチの幅は、幾つかの用途で通常約350nm以下であるが、より一般的には、ダマシン系相互接続用途においては約200nmから約2nmの範囲である。開口寸法は、一般的に、約200nm以下、約100nm以下、約50nm以下、または25nm以下でさえある。通常、開口寸法は、約2nmより大、約5nmより大、約10nmより大、或いは少なくとも約15nm程度である。本発明の電解銅めっき組成物は、深さ:開口のアスペクト比が約1:1、少なくとも約2:1、通常は約5:1、約10:1、少なくとも約20:1でさえある、種々のアスペクトの相互接続構造をスーパーフィルする充填能がある。
【0018】
半導体基板は、比較的大きなサイズ(0.5〜30μm)、しかも低アスペクト比構造から成る。この点において、本発明の電解沈積化学は、著しく減少したアンダーめっきを伴なう低アスペクト比構造をメタライズする能力もある。本発明の電解銅沈積化学を用いてメタライズし得る低アスペクト比相互接続構造は、深さ:開口のアスペクト比が、少なくも約0.5:1、約0.2:1、約0.05:1でさえあるが如き約1:1未満を有する。
【0019】
これらの構造はパターン化された誘電体フィルムに存在し、該誘電体フィルムは半導体基板に存在し得る。半導体基板は、例えば半導体ウエハまたはチップであり得る。半導体ウエハは、一般的にはシリコン・ウエハまたはシリコンチップであるが、本発明の方法にはゲルマニウム、シリコン・ゲルマニウム、炭化ケイ素、砒化等その他の半導体材料も適用される。
【0020】
半導体基板は、その上に、SiO、窒化ケイ素、オキシ窒化ケイ素、カーボンドープした酸化ケイ素、low−kまたは超low−k誘電体が沈積される。誘電体膜は、半導体ウエハまたはチップの表面に通常沈積され、前述のビアおよびトレンチからなる回路パターン形成をするために、リソグラフィによってパターンされる。Low−kの誘電体は、二酸化ケイ素(誘電率=3.9)よりも低い誘電率の材料、約3.5、約3.0、約2.5、約2.2、約2.0にまで至る誘電率の材料を参照する。
Low−k誘電体材料は、そのような材料が同じ厚さのSiOに比して低い静電容量を発揮するし、増加した構造密度、速い切替速度および低い熱拡散率を可能にするから望ましい。Low−k誘電体材料は、そのタイプ(ケイ化物、フッ化ケイ化物、および有機ケイ化物、有機ポリマー等)、および沈積技術(CVD、スピン・オン)によって分類され得る。誘電率低下は、分極率低下、密度低下、または多孔質化によって達成される。
【0021】
多くの論理(ロジック)および記憶素子において、高純度銅相互接続メタライゼーションは、特に素子サイズが減少し続けるにつれ、素子密度が低下し続けるにつれて、抵抗値を下げるために望ましい。高純度銅配線は、高不純物含有銅配線よりも小さな断面において多くの電流を流す能力がある。高純度銅層はまた、単一粒子が沈積後アニールの如き高温加工ステップにおいて融合するので、ボイド形成傾向が少なくなる。低純度沈積においては、粒子が融合し、凝集し、粒界がなくなり、空隙、即ちボイドが構造の容積内に形成されるので、ボイド形成傾向が高くなる。
【0022】
したがって、本発明は、沈積中の単一粒子の融合が限定され、ボイド形成が抑制されるような高純度銅層の沈積方法に関する。そのような高純度銅膜は改善した耐腐食性、速い室温結晶化、低抵抗値、改善した耐電子移動性を発揮し、後アニール加工においてミクロ・ボイドの発生を抑えるために見出された。加えて、本発明の電解銅めっき法及び組成物は、大開口部の構造を、めっき不良を著しく改善してめっきするために、および小開口部構造のめっきを、過めっきを著しく改善して行なうために発見された。より生産性の高い銅のスーパーフィリングおよび相互接続の構造体のレベリングによって得られた利点の観点から、不均一性を緩和し、高い過負荷除去やCMP浸食を引き起こすめっき不足を含む、CMPによる問題解決を少なくする、沈積銅のめっき不良および過めっきが著しく減少した。
【0023】
本発明の方法は、特異な種類のレベラー添加剤の一つを電解銅沈積組成物に添加することによって達成され、これらのレベラー添加剤は、高純度銅層の沈積を促進するべく見つけられた。本発明の電解銅沈積化学に使用するレベラー化合物は、四級化ジピリジル類からなる。一般的に、四級化ジピリジル類は、ジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応から誘導される。そのような反応スキームは、四級化ジピリジル類の方法としてよく知られたものであるが、当該化合物のレベラーは、ジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応から誘導される反応生成物に限られないが、むしろ以下に記した機能性を有する如何なるレベラー化合物にも限定される。
【0024】
本発明のレベラーを作るために四級化され得るジピリジル類は、一般構造式D:

を有し、ここでRはピリジン環と結合する基であり、一般式(I)において、Rからピリジン環の1つに伸びる線は、R基の1つの原子およびピリジン環の5個の炭素原子の1つとの間の結合を表す。ある態様においては、Rは、1個のピリジン環からの1個の炭素原子がその他のピリジン環からの1個の炭素原子と直接結合する単結合を表す。
【0025】
幾つかの態様では、R基はアルキル鎖で、ジピリジルは一般式(Ia):

を有し、ここで、hは0〜6の整数で、RおよびRはそれぞれ独立して水素または1〜3個の炭素数を有する短いアルキル鎖から選ばれる。一般式(Ia)において、アルキル鎖中の1個の炭素からの各線は、アルキル鎖中の炭素原子とピリジン環の5個の炭素原子の1個との間の結合を表す。hが0のときの態様において、結合基は単結合で、ピリジン環の1個からの1個の炭素原子は別のピリジン環からの1個の炭素原子に直接結合する。
【0026】
幾つかの態様において、R結合基はカルボニルを含み、ジピリジルは一般式(Ib):

を有し、ここでiおよびjは0〜6の整数で、R,R,Rは各々独立して水素または1〜3この炭素原子を有する短アルキル鎖から選ばれる。一般式(Ib)において、ピリジン環の1個の結合基中の炭素原子からの各線は、結合基中の炭素原子とピリジン環の5つの炭素原子の1個との間の結合を表す。iおよびjが0のときの態様で、カルボニルの炭素原子はピリジン環の各々の中の1個の炭素原子に直接結合する。
【0027】
一般式(Ib)のジピリジル類の一般分類における、iおよびjが0のときの2つの化合物は、以下の構造式で表される2,2’−ジピリジルケトン、および4,4’−ジピリジルケトンである:

【0028】
幾つかの態様において、R結合基はアミンを含み、ジピリジルは以下の一般式(Ic)で表される:

ここで、kおよびlは0〜6の整数で、R〜R12はそれぞれ独立して水素または1〜3個の炭素原子を有する短アルキル鎖から選ばれる。一般式(Ic)において、ピリジン環の1個に結合する基中の炭素からの各線は、結合基中の炭素原子とピリジン環の5つの炭素原子の1個との間の結合を表す。kおよびlが0のときの態様は、窒素がピリジン環の各々の中の1個の炭素原子に直接結合する。
【0029】
一般式(Ic)のジピリジル類の一般分類の1つの化合物は、kおよびlが共に0で、R12が水素のときに、以下の構造を有するジピリジル−4−イルアミンである:

【0030】
幾つかの態様において、R結合基はもう1つのピリジンからなる。そのような構造は、以下の一般式(Id)を有するターピリジンである:

構造(Id)において、各ピリジン環からの各線は、一環上の1個の炭素と別の環上の別の炭素との間の結合を表す。
【0031】
構造(Id)の一般分類化合物中の1つの化合物は、以下の構造のターピリジンである:

【0032】
好ましくは、ジピリジルは一般式(Ia)のジピリジル類の一般分類から選ばれ、その中で、R,Rは各々水素である。これらのジピリジル類は、一般式(IIa)を有す:

ここで、mは0〜6の整数。構造(IIa)において、アルキル鎖の中の炭素原子からのピリジン環の1つへの各線は、アルキル鎖中の1個の炭素原子およびピリジン環の5個の炭素原子の1つの間の結合を表す。mが0のときの態様において、結合基は単結合で1個のピリジン環の1個の炭素原子は別のピリジン環の1個の炭素原子に直接結合する。
【0033】
上記一般構造式(IIa)のジピリジル類には、以下に示す2,2’−ジピリジル、3,3’−ジピリジル、4,4’−ジピリジルを各々含む:

ここで、mは0から6の整数。mが0のとき、2個のピリジン環は単結合を介して互いに直接結合する。
【0034】
2,2’−ジピリジル化合物は、2,2’−ジピリジル、2,2’−エチレンジピリジン(1,2−ビス(2−ピリジル)エタン)、ビス(2−ピリジル)メタン、1,3−ビス(2−ピリジル)プロパン、1,4−ビス(2−ピリジル)ブタン、1,5−ビス(2−ピリジル)ペンタン、および1,6−ビス(2−ピリジル)ヘキサンを含む。
【0035】
3,3’−ジピリジル化合物は、3,3’−ジピリジル、3,3’−エチレンジピリジン(1,2−ビス(3−ピリジル)エタン)、ビス(3−ピリジル)メタン、1,3−ビス(3−ピリジル)プロパン、1,4−ビス(3−ピリジル)ブタン、1,5−ビス(3−ピリジル)ペンタン、および1,6−ビス(3−ピリジル)ヘキサンを含む。
【0036】
4,4’−ジピリジル化合物は、4,4’−ジピリジル、4,4’−エチレンジピリジン(1,2−ビス(4−ピリジル)エタン)、ビス(4−ピリジル)メタン、1,3−ビス(4−ピリジル)プロパン、1,4−ビス(4−ピリジル)ブタン、1,5−ビス(4−ピリジル)ペンタン、および1,6−ビス(4−ピリジル)ヘキサンを含む。
【0037】
これらジピリジル化合物中で、4,4’−ジピリジル化合物が好ましく、何故ならば、4,4’−ジピリジルに基づく化合物は、低不純物含有、およびめっき不足および過めっきを減少する点で特に有利なレベラーであると見出されたからである。特に、(IIe)の構造を有する4,4’−ジピリジルおよび(IIf)の構造を有する4,44’−エチレンジピリジンはより好ましく、一方で(IIf)の構造を有する4,4’−エチレンジピリジンが最も好ましい。

【0038】
本発明のレベラー化合物は、四級ジピリジル塩化合物で、一般的には少なくとも1個、好ましくは2個の窒素原子がアルキル化されて調製される。アルキル化は、ジピリジル化合物をアルキル化剤で反応して起こる。幾つかの態様において、アルキル化剤は特にポリマー形成に適するタイプのものである(以下の(IIIb)および(IIIc)構造を有するアルキル化剤を参照)。幾つかの態様において、アルキル化剤は、ジピリジル化合物と反応するが、ポリマーを形成しないタイプである(以下の構造(IIIa)を参照)。
【0039】

【0040】
上記の各A基において、機能性基から生じる単一線は、A部分の原子、例えば酸素、窒素、または炭素および

のアルキレン基の炭素の間の結合を表す。追加的に、一般式(IIIa)中のA基に含まれるR〜R14は、独立して、水素、置換または非置換の炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3;置換または非置換の炭素数1〜6のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜3;または置換または非置換アリール基である。アルキル基は、1またはそれ以上の以下の置換基で置換されてもよい:ハロゲン、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリーロキシ、水酸基、保護された水酸基、ヒドロキシカルボニル、ケト、アシル、アシロキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ホスホノ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル並びにエーテルである。一般的に、種々のアルキルR基は非置換アルキル基である。
【0041】
アリール基に関しては、R〜R10の何れも隣り合うR基とそれらが結合される炭素と一緒にアリール基を形成する。即ちアリール基はナフチル基の如き縮環構造を備える。
【0042】

【0043】

【0044】

【0045】
好ましくは、一般式(IIIa)のアルキル化剤は、oは1か2、Yは塩素である。
【0046】

【0047】
上記の各B基において、機能性基から生ずる単一線は、B基中の原子、例えば酸素、窒素、炭素、

の炭素、およびアルキレン基間の結合を表す。加えて、一般式(IIIb)のB基中のR〜R14は、独立して水素;置換または非置換の炭素数1〜6のアルキル基、好ましくは炭素数1〜3;置換または非置換の炭素数1〜6のアルキレン基、好ましくは炭素数1〜3;または置換または非置換アリール基である。アルキル基は、1またはそれ以上の以下の置換基で置換されてもよい:ハロゲン、複素環、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリーロキシ、水酸基、保護された水酸基、ヒドロキシカルボニル、ケト、アシル、アシロキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ホスホノ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル並びにエーテルである。一般的に、種々のアルキルR基は水素または非置換アルキル基、より好ましくはR基は水素である。
【0048】

【0049】

【0050】
好ましくは、一般式(IIIb)アルキル化剤において、pおよびqは両方とも1または両方とも2、YとZは両方とも塩素である。
【0051】
ジピリジル化合物と反応するときにポリマー系レベラーを形成し得るアルキル化剤の他のクラスは、オキシラン環を含み、以下の一般式(IIIc)で表される:

ここで、R11,R12,R13は水素、または置換または非置換アルキル基で、1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜3この炭素原子を有す;
0は、1〜6の整数で、好ましくは1または2である;および
Yは脱離基で、当該脱離基は、以下の中から選択され、例えば塩化物、臭化物、沃化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、ジメチルスルホネート、フロロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレートまたはノシレートである。
【0052】
好ましくは、R11,R12,R13は水素で、アルキル化剤は以下の一般式を有す:

ここで、oおよびYは、一般式(IIIc)の定義と同じである。
【0053】
好ましくは、oは1、Yは塩素、一般式(IIIc)のアルキル化剤はエピクロロヒドリンである。
【0054】
反応生成物は、反応混合物にアニオンを形成するために脱離基を生成させる。塩素は通常電解銅めっき組成物に添加されるので、YおよびZは、好ましくは塩素である。その他の脱離基は、本発明の脱離化合物を形成する一方で、これらは電解めっき組成物に反対の影響を及ぼすので、好ましくない。例えば臭化物、または沃化物とチャージバランスするレベリング剤は、好ましくは、本発明の電解銅めっき組成物にレベリング剤を添加する前に塩化物とイオン交換する。
【0055】
上述の一般式(IIIa)の特異なアルキル化剤には、例えば、2−クロロエチルエーテル、塩化ベンジル、2−(2−クロロトキシ)エタノール、クロロエタノール、1−(クロロメチル)−4−ビニルベンゼン、および1−(クロロメチル)ナフタレンを含む。上記の一般式(IIIb)のアルキル化剤には、例えば1−クロロ−2−(2−クロロエチル)エタン、1,2−ビス(2−クロロエチル)エタン、1,3−ジクロロプロパン−2−オン、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、2−ジクロロエタン、1,3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,7−ジクロロヘプタン、1,8−ジクロロオクタン、1,2−ジ(2−クロロエチル)エーテル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、m−ジ(クロロメチル)ベンゼン、およびo−ジ(クロロメチル)ベンゼンである。上記一般式(IIIc)の特異なアルキル化剤は、エピクロロヒドリンである。当該アルキル化剤は、上記の塩素化アルキル化剤の臭化物、沃化物、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、ジメチルスルホネート、フロロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレートまたはノシレート誘導体であるが、塩化物イオンが一般的に電解銅めっき組成物に添加され、その他のアニオンが銅沈積を妨害するから、これらは好ましくない。
【0056】
広範囲のレベラー化合物は、一般構造(I),(Ia),(Ib),(Ic),(Id),(IIa),(IIb),(IIc),(IId),(IIe),並びに(IIf)を有するジピリジル化合物と一般構造(IIIa),(IIIb),(IIIc)を有するアルキル化剤との反応から調製される。
レベラーを調製する反応は、Nagaseらの米国特許番号5,616,317に記載された条件にて起こり、その全部の開示がその全体に規定されるがごとくここに挿入される。当該反応において、脱離基がピリジル環上の窒素原子がジハロゲン化合物のメチレン基と反応し結合するときに、置換される。好ましくは、反応は相溶性のある有機溶剤中で起こり、好ましくは高沸点を有し、エチレングリコール、プロピレングリコールが如きである。
【0057】
幾つかの態様においては、本発明のレベラー化合物はポリマーで、レベラーは選択的反応条件、即ち、温度、濃度によって調製され、およびジピリジル化合物およびアルキル化剤は重合し、ここでそのポリマーの反応ユニットは、ジピリジル化合物から誘導される1つの基およびアルキル化剤から誘導される1つの基からなる。幾つかの態様においては、ジピリジル化合物は(IIa)構造を有し、アルキル化剤は上記の(IIIb)で表記された一般構造を有す。したがって、ある態様においては、レベラー化合物は以下の一般式(IV)からなるポリマーである:

ここで、B、m、p、q、YおよびZは構造式(IIa),(IIIb)で定義したとおりであり、Xは少なくとも2である整数である。好ましくは、Xは2〜約100で、約2〜50、約2〜25、より好ましくは約4〜20であるが如きである。
【0058】
上述のように、好ましいジピリジル化合物は一般式(IId)を有し、好ましいレベラーは、4,4’−ジピリジル化合物に基づくものである。ある好ましい態様では、レベラー化合物は、一般式(IIe)の4,4’−ジピリジルおよび一般式(IIIb)のアルキル化剤の反応生成物である。
反応条件、即ち温度、相対濃度、およびアルキル化剤の選択は、4,4’−ジピリジルおよびアルキル化剤が重合することから選択され、ここで、ポリマーの繰り返し単位は、4,4’−ジピリジルから誘導される1つの基およびアルキル化剤から誘導される1つの基からなる。ある態様において、したがって、レベラー化合物は、以下の一般式(V)からなるポリマーである:

ここで、B,p,q,YおよびZは一般式(IIIb)で定義したのと同じで、Xは少なくとも2の整数で、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0059】
一般式(V)の分類における1つの特異なレベラー化合物は、4,4’−ジピリジルとアルキル化剤の反応物で、Bは酸素原子、pおよびqは両方とも2、YとZは何れも塩素、すなわち、1−クロロ−2−(2−クロロエチル)エタンである。このレベラー化合物は、以下の式(VI)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0060】
ある好ましい態様においては、レベラー化合物は、構造(IIf)の4,4’−ジピリジルと構造(IIIb)のアルキル化剤の反応物である。反応条件、即ち温度、相対濃度、およびアルキル化剤の選択は、4,4’−エチレンジピリジンと構造(IIIb)のアルキル化剤が重合したものから選ばれてもよく、ここで、ポリマーの繰り返し単位は、4,4’−エチレンジピリジンから誘導される1つの基およびアルキル化剤から誘導される1つの基からなる。ある態様においては、したがって、レベラー化合物は、以下の式(VII)からなるポリマーである:

ここで、B,p,q,YおよびZは(IIIb)で定義したとおりであり、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0061】
構造式(VII)の分類の1つの代表的なレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤から調製されたポリマーで、ここで、Bは酸素原子、pおよびqは何れも2、YとZは何れも塩素で、即ち1−クロロ−2−(2−クロロエトキシ)エタンである。このレベラー化合物は、以下の式(VIII)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数で、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは約4〜約8、約12〜約16の如き3〜約20である。構造式(VIII)の好ましいレベラーの1つは、Xが約13〜約14の平均値である。
【0062】
構造式(VII)の分類のもう1つのレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤から調製され得るポリマーであり、ここで、Bはエチレングリコール、pおよびqは何れも2であり、YおよびZは何れも塩素で、即ち、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタンである。このレベラーは、以下の式(IX)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0063】
構造式(VII)のレベラーの分類におけるもう1つのレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤から調製され得るポリマーで、ここで、Bはカルボニル、pおよびqは何れも1、YおよびZは何れも塩素で、即ち、1.3−ジクロロプロパン−2−オンである。このレベラーは、いかの構造式(X)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0064】
構造式(VII)のレベラーの分類におけるもう1つのレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤から調製され得るポリマーで、ここで、Bは水酸化メチレン、pおよびqは何れも1、Y,Zは何れも塩素、即ち、1,3−ジクロロプロパン−2−オールである。このレベラー化合物は、以下の式(XI)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0065】
構造式(VII)のレベラーの分類におけるもう1つのレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤から調製され得るポリマーであり、Bはフェニレン基、pおよびqはいずれも1で、Y,Zは塩素である、即ち、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼンである。このレベラー化合物は、以下の式(XII)からなるポリマーである:

ここで、Xは少なくとも2の整数、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50、最も好ましくは3〜約20である。
【0066】
幾つかの態様においては、レベラー化合物は、構造式(IIa)のジピリジル化合物および構造式(IIIb)で表される一般構造を有するアルキル化剤からポリマーレベラーを形成しない方法反応させて調製され得る。すなわち、レベラーは反応条件、すなわち温度、濃度を選択して調製され、アルキル化剤はジピリジル化合物およびアルキル化剤を反応させるが重合しないようにする。レベラー化合物は、以下の構造式(XIII)からなる:

ここで、B,m,p,q,YおよびZは、構造式(IIa)および(IIIb)と同様に定義される。
【0067】
上述のように、好ましいジピリジル化合物は一般構造(IId)を有し、好ましいレベラーは4,4’−ジピリジル化合物に基づく。幾つかの好ましい態様においては、レベラー化合物は、構造式(IIe)、構造式(IIIb)のアルキル化剤の反応生成物であり、以下の構造式(XIV)からなる:

ここで、B,p,q,YおよびZは、構造式(IIIb)と同様に定義される。
【0068】
レベラー構造(XIV)分類における1つの特異なレベラー化合物は、4,4’−ジピリジルおよびアルキル化剤の反応物で、Bは酸素原子、pおよびqは何れも2で、YおよびZは何れも塩素で、すなわち1−クロロ−2−(2−クロロエトキシ)エタンである。このレベラー化合物は、以下の構造(XV)からなり得る:

【0069】
幾つかの好ましい態様において、レベラー化合物は、構造(IIf)と構造(IIIb)のアルキル化剤の反応物である。幾つかの態様において、したがって、レベラー化合物は、以下の構造(XVI)からなり得る:

ここで、B,p,q,Y,Zは構造(IIIb)に関し定義したとおりである。
【0070】
構造(XVI)のレベラーの分類における1つの特異なレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤との反応物で、Bは酸素、pおよびqは何れも2、YおよびZは何れもえんそで、すなわち、1−クロロ−2−(2−クロロエトキシ)エタンである。このレベラー化合物は、以下の構造(XVII)からなり得る:

【0071】
構造(XVI)のレベラーの分類のもう1つのレベラー化合物は、4,4’−エチレンジピリジンおよびアルキル化剤の反応によって調製され得るポリマーで、Bはエチレングリコール、pおよびqは何れも2で、YおよびZは何れも塩素であり、すなわち、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタンである。このレベラー化合物は、以下の構造(XVIII)からなり得る:

【0072】
幾つかの態様において、レベラー化合物は構造(IIa)を有するジピリジル分子および構造(IIIa)において表される一般構造式を有するアルキル化剤との反応によって、調製され得る。このレベラー化合物は、以下の構造(XIX)からなり得る:

ここで、A,m,o,Iは、構造(IIa)および(IIIa)に関して定義された通りである。
【0073】
幾つかの好ましい態様において、レベラー化合物は、構造(IIf)の4,4’−ジピリジルおよび構造(IIIa)のアルキル化剤の反応物であり得る:幾つかの態様において、したがって、レベラー化合物は以下の構造(XX)からなり得る。
【0074】
幾つかの好ましい態様において、レベラー化合物は4,4’−ジピリジルと構造(XX)のアルキル化剤の反応物である。幾つかの態様において、したがって、レベラー化合物は以下の構造(XX)からなるものであり得る:

A,o,Yは、構造(IIIa)で定義したとおりである。
【0075】
構造(XX)のレベラーの分類における1つの特異なレベラーは、4,4’−エチレンジピリジルおよびアルキル化剤の反応物であり、Aはフェニル基、oは1、Yは塩素、すなわち、塩化ベンジルである。このレベラー化合物は、以下の構造(XXI)からなり得る:

【0076】
レベラー化合物は、電解銅沈積組成物に約0.1mg/L〜約400mg/Lにて添加され、例えば約1mg/L〜40mg/L、好ましくは2mg/L〜10mg/Lである。レベラーは一般に、高組成の高沸点グリコールからなる反応溶剤、例えば、エチレングリコールやプロピレングリコールの中で調製される。当該溶液は、そこで高純度水にて最終容量まで希釈される。レベラー化合物からなる一定分量(アリコート)は、上記の濃度における電解銅沈積組成物にレベラーを添加するのに使用され得る。有利には、電解銅沈積組成物は、従来のレベラー化合物に比べて本発明のレベラー化合物の比較的高い濃度に寛容であることが発見された。すなわち、電解銅めっき組成物が本発明のレベラー化合物の高濃度に対して、空隙充填に悪影響を与えず、またはスーパーフィルの抑制なしに寛容にすることで、その結果、本発明のレベラーの比較的高濃度からなる組成物は、ボイドやシーム(継ぎ目)の形成を引き起こし得る正角充填よりはむしろ小さな凹凸部をスーパーフィル(過充填)する。
【0077】
本発明の電解沈積組成物は、追加的に銅イオン源、塩素イオン、酸、促進剤、並びに抑制剤からなる。当該組成物は、湿潤剤、結晶成長抑制剤、2次漂白剤、キャリア、レベラーその他のような性質を沈積するその他の材料をも備え得る。合金が沈積される態様において、電解銅沈積組成物はさらに、錫イオン源、銀イオン源、亜鉛イオン源、マグネシウムイオン源、ジルコニウムイオン源、ビスマスイオン源、または遷移または精製イオン源の中から選ばれる合金生成金属のイオン源からなる。
【0078】
促進剤および抑制剤は、相互接続構造のボトムアップ充填を有利に促進し、正角または半正角充填を抑制する方法によって、協働する。正角めっきは、凹凸構造の全ての部分で等しい厚みを沈積することによって特徴づけられ、シームの形成を導き得る。正角めっきは、比較的等しい、側壁に沿い底面を介した銅沈積抑制から起こり、当該凹凸部の側壁と底面の両方に比較的等しい銅沈積率(割合)をもたらす。
側壁に沿った銅成長は、ビアの中心に対してある点に集中し、シーム(継ぎ目)を形成する。
【0079】
欠陥のない、すなわち、ボイドフリー、シームフリー充填を達成するために、底面の沈積速度は側壁の沈積速度を大きく超えるべきである。例えば、銅メタライゼーションの最中に、底面から伸びる銅沈積速度(つまり、ボトムアップまたは垂直成長速度)は、好ましくは側壁に沿った沈積速度(つまり、横方向または水平成長速度)よりも少なくとも1オーダー速い。
【0080】
促進剤は、有機硫黄化合物を含有し得る。有機硫黄化合物は、近年出願人らに好まれ、水溶性の二価の有機硫黄化合物である。
1つの好ましい態様では、有機硫黄化合物は以下の一般式(1)を有する:

ここで、R,R,R,R,およびRは、独立して水素、炭素数1〜4のアルキル基、複素環基、または芳香族基。好ましくは、Xは硫黄でnが2。
【0081】
構造式(1)の好ましい有機硫黄化合物は以下の一般式(2)を有する:

ここで、Mは酸素上の負電荷をバランスするに十分な電荷を有する対イオン。Mは、例えばプロトン、ナトリウム、カリウムの如きアルカリ金属イオン、アンモニウム、四級アミンの如きカチオンとバランスするその他の電荷であり得る。
【0082】
構造式(2)の有機硫黄化合物の1例は、3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホネート)で、以下の構造式(3)で表される:

【0083】
構造式(3)の有機硫黄化合物の特に好ましい例は、3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホン酸)は、以下の構造(4)を有す:

【0084】
構造(1)の有機硫黄化合物のもう1つの好ましい例は、以下の一般式(5)で表される:

【0085】
構造(5)の有機硫黄化合物の1例は、3−(ジメチルカルバモチオイルチオ)プロパン−1−スルホン酸である:

【0086】
有機硫黄化合物は、約1mg/L〜約50mg/L(ppm)の濃度で、通常は約3mg/L〜約30mg/L、約15mg/L〜25mg/Lの如きである。
好ましい態様では、有機硫黄化合物は3,3’−ジチオビス(1−プロパンスルホン酸)を約20mg/L濃度で添加される。
【0087】
抑制剤は、通常、塩基部分にポリエーテル基が共有結合してなる。適用可能な抑制剤の1分類は、アミン部分に共有結合したポリエーテル基からなる。抑制剤のもう1つの分類は、アルコール開始部分に共有結合したポリエーテル基からなる。
【0088】
アミン部分に共有結合したポリエーテル基からなる抑制剤に関し、アミンは、1級アミン、1級アミン、3級アミン或いは4級アミンの何れでもよい。1級、2級および3級アミンは弱塩基性で、酸溶液に添加するとプロトン化して正電荷を帯びる。4級アミンは4つの窒素置換基を有し、溶液のpHに拘わらず正電荷を有す。これらの1級から4級のアミン化合物は、置換または非置換アルキルアミン、置換または非置換シクロアルキルアミン、置換または非置換芳香族アミン、置換または非置換ヘテロ芳香族アミン、置換または非置換アルキルエーテルアミン、置換または非置換芳香族アルキルアミンであり得る。
【0089】
これらの抑制剤は、少なくとも1つのアミン官能基を有し、好ましくは2〜5個のアミン官能基を有す。このように、アミンは、アミン、ジアミン、トリアミン、テトラミン、ペンタアミン、またはそれ以上のアミンであり得る。アルキルアミンのアルキル基は、置換または非置換アルキル、好ましくは炭素数1〜8の短鎖長炭化水素で、分岐状でも直鎖状でもよい。
アルキルアミンの例示は、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、2−ブテン−1,4−ジアミン他である。シクロアルキルアミンのシクロアルキル基は、通常、5員−または6員−炭素環からなり、ビシクロ、トリシクロ、それ以上の多環状アミンも適用し得る。シクロアルキルアミンの例示は、置換または非置換シクロペンチルアミン類、シクロヘキシルアミン類、シクロペンチルジアミン類、シクロヘキシルジアミン類、シクロアルキルトリアミン類、それ以上のシクロアルキルアミン類である。アルキルエーテルアミン類は、好ましくはエーテル部分が炭素数1〜8の短鎖長の炭化水素で定義され、ジエチレングリコールアミン、トリエチレングリコールジアミンにて例示される。
【0090】
窒素原子は1,2また3個のPO/EOポリエーテルに共有結合する。好ましくは、窒素原子は2個のPO/EOポリエーテルと共有結合する。ポリエーテル基は繰り返し単位の鎖がエポキシモノマーの重合によって形成される、繰り返し単位からなる。好ましい態様では、エポキシモノマーは酸化エチレンモノマー、酸化プロピレンモノマーまたはそれらの組合せから選ばれる。好ましくは、ポリエーテルは酸化エチレンモノマーおよび酸化プロピレンモノマーの両者の重合によって形成される繰り返し単位の鎖からなる。こうして、ポリエーテル中の酸化エチレン(EO)繰り返し単位および酸化プロピレン(PO)繰り返し単位の比は、約1:9〜約9:1である。ある態様では、その比は約2:3〜約3:2であり、例えば約1:1である。ある態様では、ポリエーテルは約1〜約30のEO繰り返し単位および約30〜約1のPO繰り返し単位、例えば、約7〜約15のEO繰り返し単位および約15〜約7のPO繰り返し単位からなる。最近の好ましい態様は、ポリエーテルは例えば、約11のEO単位および約13のPO繰り返し単位からなる。別の好ましい態様では、ポリエーテルは、約7または8のEO繰り返し単位および約9のPO繰り返し単位からなる。こうして、ポリエーテルの分子量は、約100g/molから約3600g/molであり、好ましくは約100g/mol〜約1800g/mol、またある態様では約1200g/mol〜約1400g/molである。
【0091】
ポリエーテルは好ましくは、EO繰り返し単位およびPO繰り返し単位がランダム、交互、またはブロック配列からなる。ランダム配列では、EOおよびPO繰り返し単位は、ポリエーテル鎖に沿って認識可能な直線状のパターンを有さない。交互配列では、EOおよびPO繰り返し単位は、ある定義されたパターンによって、例えばEO−PO,PO−EO,その他の交互配列パターンである。コポリマーは、ブロック配列に配列される。ブロック配列では、ポリエーテル鎖の線状部分は、PO繰り返し単位のブロックに結合したEO繰り返し単位のブロックからなる。ポリエーテル鎖は、ジブロックからなる。すなわち、その鎖はPO繰り返し単位の第2のブロックに結合した,EO繰り返し単位の第1のブロックからなる。その代わりに、その鎖はEO繰り返し単位の第2のブロックに結合した、PO繰り返し単位の第1のブロックからなる。より複雑なブロック配列では、ポリエーテル鎖はトリブロック(EOブロック−POブロック−EOブロック、またはPOブロック−EOブロック−POブロック)、テトラブロック、ペンタブロックまたはそれ以上のブロックからなる。ブロック配列のある態様では、繰り返し単位の各ブロックは、約1〜約30の繰り返し単位からなり、より好ましくは、約7〜約15の繰り返し単位からなる。POブロック−EOブロック−POブロックのトリブロック配列に関する態様では、カチオン種に結合する第1のPOブロックは、約7〜約15のPO繰り返し単位からなり、POブロックに結合する第2のEOブロックは約7〜約15の繰り返し単位からなり、第2のEOブロックに結合する第3のPOブロックは、約1〜約5の繰り返し単位からなる。
【0092】
本発明の抑制剤化合物は、約1000〜30,000の分子量を有する。抑制剤化合物の例は、アミンに共有結合したポリエーテル基からなり、構造(A)によって示される:

ここで、n,mは夫々1〜約30。こうして、構造(A)の抑制剤化合物は、4個のPO/EOブロックコポリマー中に約4〜120総PO繰り返し単位および約4〜120の総EO繰り返し単位からなる。単一のPO/EOブロックコポリマー上のPO(疎水性単位)ブロックの分子量は、約50g/mol〜約1800g/molであり、単一のPO/EOブロックコポリマー上のEO(親水性単位)ブロックの分子量は、約40g/mol〜約1400g/molである。単一のPO/EOブロックコポリマーの分子量は、約100g/mol〜約3600g/molである。構造(A)の抑制剤化合物の例は、BASF社/Mt.Olive,New JerseyのTetronic(登録商標)704の商標で入手可能である。当該抑制剤化合物は、全4PO/EOブロックコポリマー上に総PO繰り返し単位約52に対して、PO/EOブロックコポリマー当たり約13のPO繰り返し単位を有し、全4PO/EOブロックコポリマー上に約44の総EO繰り返し単位に対して、PO/EOブロックコポリマー当たり約11のEO繰り返し単位からなる。こうして、Tetronic(登録商標)704の総分子量は、約5000g/mol〜5500g/molである。別の構造(A)ノブロックコポリマーの例は、BASF社/Tetronic(登録商標)504の商標の下に入手可能である。この抑制剤化合物は、PO/EOブロックコポリマー当たり9個のPO/EO繰り返し単位からなり、4個の総PO/EOブロックコポリマー上に36個のPO/EO繰り返し単位に相当し、PO/EOブロックコポリマー当たり7.5個のEO繰り返し単位からなり、4個の総PO/EOブロックコポリマー上に30個のPO/EO繰り返し単位に相当する。同様に、Tetronic(登録商標)504の総分子量は、約3200g/mol〜約3600g/molであり、両組成物とも構造(A)のブロックコポリマーの混合物からなる。
【0093】
上記の抑制剤化合物は、全般的な浴濃度が約10mg/L〜1000mg/L、好ましくは約50mg/L〜約200mg/Lで存在する。これらの濃度範囲内で銅めっき組成物にポリエーテル抑制剤を添加すれば、集積回路デバイス中の複雑な凹凸構造を充填するに十分で、早期のピンチ―オフ、ボトム・ボイド、側壁ボイドを減少させる利益が加えられる。
【0094】
アルコール開始部分から誘導されるエーテル基からなる開始部分に共有結合したポリエーテル基からなる抑制剤に関して、該抑制剤は少なくとも2つの異なるエーテル官能基からなる:(1)アルコールとポリエーテル鎖のランダムグリコール単位との反応から誘導されたエーテル基、および(2)ポリエーテル鎖内のランダムグリコール単位間の反応に由来するエーテル基。別の観点では、ポリエーテル鎖は開始部分を欠如していて、したがってアルコールまたは他の開始部分、およびポリエーテル鎖のランダムグリコール単位の反応から誘導されるエーテル基を欠如している。
【0095】
ポリエーテル鎖が、アルコールから誘導されるポリエーテル鎖からなる開始基からなるこれらの態様において、適するアルコールは、置換または非置換の非環式アルコール、置換または非置換の環状アルコールを含む。アルコールは、少なくとも1個の水酸基を有し、例えば約2個の水酸基〜約6個の水酸基を有する。非環式アルコールは、置換または非置換のアルキル基、好ましくは1〜約12個の炭素を有する短鎖炭化水素がよく、さらに好ましくは、約4個〜約10個の炭素数が良く、分岐状でも直鎖状でもよい。非環式アルコールの例は、取り分けn−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、ネオペンタノール、tert−アミルアルコール、エチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、およびグリセロールを含む。環状アルキル基は、通常約3〜約8の炭素環、より一般的には5−7の炭素環からなり、ビシクロ、トリシクロ、およびそれ以上の多重環アルキル基も適用可能である。環状アルコールの例は、取り分けシクロペンタノール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、シクロヘキサノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、並びにイノシトールである。
【0096】
ポリエーテルはランダムなグリコール単位の鎖からなり、ランダムなグリコール単位の鎖はエポキシドモノマーの重合によって形成され得る。好ましくは、ポリエーテルは酸化エチレンおよび酸化プロピレン両方の重合によって形成されるランダムなグリコール単位の鎖からなる。ポリエーテル中のEOグリコール単位及びPOグリコール単位の比は、約1:9〜約9:1である。ある態様において、その比は約1:3〜約3:1で、例えば約1:1である。ランダムポリエーテルは、約800EOグリコール単位までおよび約250POグリコール単位までからなり得る。ある態様では、ランダムなポリエーテルは約1〜約120EOグリコール単位、および約120〜1POグリコール単位からなり得て、例えば、約15〜60EOグリコール単位および約60〜15POグリコール単位からなり得る。好ましい態様では、ランダムなポリエーテルは約20〜25EOグリコール単位および約15〜20POグリコール単位からなる。別の好ましい態様において、ランダムなポリエーテルは約38〜約42EOグリコール単位および約28〜約32POグリコール単位からなる。さらに別の好ましい態様において、ランダムなポリエーテルは約56〜約60EOグリコール単位および約42〜約46POグリコール単位からなり得る。
【0097】
ランダムなポリエーテルの分子量は、約1000g/mol〜約90,000g/molで、好ましくは、約3,000g/mol〜約30,000g/mol、もっと好ましくは約3,000g/mol〜約12,000g/molである。
【0098】
抑制剤化合物の例は、アルコールから誘導された部分に共有結合したポリエーテル基からなり、構造(B)で示される。構造(B)はn−ブタノールから誘導された部分に共有結合されたPO/EOランダムコポリマーからなる抑制剤で、以下の構造を有す:

ここで、nは1〜約200で、mは1〜約200である。好ましくは、nは少なくとも約29で、mは少なくとも約22である。EO:PO単位の数の比は、抑制剤化合物が好ましくはEO単位が重量で45%〜55%であり、PO単位が重量で55%〜45%であり、EOおよびPO単位はポリエーテル鎖中でランダムに配列されている。抑制剤化合物の一例は、その抑制剤が約50重量%のEO単位と約50重量%のPO単位からなり、ポリエーテル鎖中でランダムに配列されている。ランダムPO/EOコポリマーのモル重量は、約1000g/mol〜約10,000g/mol、少なくとも2800g/molで、好ましくは約3000g/mol〜4000g/molである。
【0099】
構造(B)を有する抑制剤化合物の例は、ダウケミカル社 (米国ミシガン州ミッドランド在) からUCONTM 50HB 2000の商標で入手可能である。また、BASF社からPLURASAFE(プルラセーフ)WS Fluids(流体)の商標で、更にHuntsman社からWS−4000の商標で入手可能である。抑制剤のUCON表示はその組成を表している。すなわち、50HBはその分子量の約50%がEO単位に、残りの約50%がPO単位に由来する。したがって、UCONTM 50HB 2000は、PO/EOランダムコポリマー中に約22のPO単位及び約29のEO単位からなる。別の構造(B)のランダムコポリマーの例は、ダイケミカルからUCONTM 50HB 3520の商標表示で入手可能である。この抑制剤はPO/EOランダムコポリマー中に約28のPO単位及び約38のEO単位からなる。さらに別の構造(B)のランダムコポリマーの例は、やはりダウケミカルからUCONTM 50HB 5100の商標表示で入手可能で、PO/EOランダムコポリマー中に約33のPO単位及び約44のEO単位からなる。
【0100】
上記に述べたように、代替する態様において、抑制剤化合物はアルコールやアミンなどの開始剤部分を欠いているポリエーテル鎖からなり得る。したがって、PO/EOランダムコポリマーからなる抑制剤化合物は、構造(C)を有す:

ここで、nは1〜約550で、mは1〜約125である。好ましくは、nは少なくとも約200で、mは少なくとも約50である。EO:PO単位の数の比は、抑制剤化合物が好ましくは約70〜75重量%のEO単位と約30〜25重量%のPO単位からなり、EOおよびPO単位はポリエーテル鎖中でランダムに配列されている。抑制剤化合物の一例は、当該抑制剤がポリエーテル鎖中でランダムに配列されている、約75重量%のEO単位と約25重量%のPO単位からなる。ランダムPO/EOコポリマーの分子量は、少なくとも約2800g/molで、約3000〜30,000g/mol、好ましくは約11,000〜13,000g/molである。抑制剤化合物の一例は、分子量が約12,000g/molである。構造(C)を有す抑制剤はKOHの如き塩基開始剤をPOおよびEOモノマー単位と前駆体からなる溶液に添加して調製され、その溶液はPOおよびEO単位の所望比からなるランダムなポリエーテル鎖を達成するに十分な濃度における溶液として存在する。塩基開始剤はポリエーテル中に組み込まれず、ポリエーテルはランダム配列中のPOおよびEO単位のみから構成される。
【0101】
構造(C)を有す抑制剤化合物の例は、ダウケミカルからUCONTM 75H 90,000の商標表示で入手可能である。UCONTM 75H 90,000は、PO/EOランダムコポリマー中の52PO単位とPO/EOランダムコポリマー中の204EO単位からなる。
【0102】
上記の抑制剤化合物は、約10mg/L〜1000mg/L、好ましくは約100mg/L〜約300mg/Lの全浴濃度で存在するような水溶液中で十分な溶解性を有する。
【0103】
広い範囲の電解銅沈積組成物が潜在的に適用可能である。電解浴は酸浴およびアルカリ浴を含む。電解銅めっき浴の例はフッ化ホウ酸銅、ピロリン酸銅、銅シアニド、銅ホスホネート、硫酸銅、及びその他の銅メタンスルホン酸、銅ヒドロキシエチルスルホン酸の如き銅金属錯塩である。好ましい銅源は、硫酸溶液中の硫酸銅、およびメタンスルホン酸溶液中のメタンスルホン酸銅である。
【0104】
銅源が硫酸銅で、酸が硫酸である態様において、銅イオンおよび酸の濃度は広い範囲で変化し得る。例えば約4〜70g/L銅および硫酸約2〜225g/Lの範囲である。この点において、本発明の化合物は、異なった酸/銅濃度範囲の使用に適し、高濃度酸/低銅濃度系、低濃度酸/高濃度銅系、中濃度酸/高濃度銅系等である。高濃度酸/低濃度銅系において、銅濃度は4g/L〜30g/Lのオーダーであり;酸濃度は、約100g/L〜約225g/Lの硫酸量に相当し得る。一つの高濃度酸/低濃度銅系において、銅濃度は、約17g/L、硫酸濃度は約180g/Lである。ある低濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は、約35g/L〜約65g/L、例えば約38g/L〜約42g/Lである。35g/L銅イオン濃度は、約140g/LのCuSO・5HO(硫酸銅五水和物)に相当する。ある低濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は約30g/L〜約60g/Lで、例えば、35〜45g/Lである。これらの系の酸濃度は、好ましくは約100g/Lである。ある低濃度酸/高濃度銅系において、酸濃度は約5g/L〜約30g/Lで、例えば約10g/L〜約15g/Lである。低濃度酸/高濃度銅系の例において、銅イオン濃度は約40g/L、硫酸濃度は約10g/Lである。別の低濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は約55g/Lで、硫酸濃度は約25g/Lである。中濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は30g/Lオーダーから65g/Lオーダーで;酸濃度は硫酸の量で約50g/L〜約100g/Lである。1つの中濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は30g/Lのオーダーから65g/lのオーダーで;酸濃度は硫酸量で、約50〜約100g/Lである。一つの中濃度酸/高濃度銅系において、銅イオン濃度は約50g/Lで、その時硫酸量は約80g/Lである。
【0105】
その他の態様において、銅源はメタンスルホン酸銅および酸は、メタンスルホン酸である。メタンスルホン酸銅の銅源としての使用は、他の銅イオン源に比べて、電解銅沈積組成物における銅イオンの高濃度を許容する。したがって、銅イオン源は約80g/L以上、約90g/L以上、約100g/L以上、例えば110g/Lの銅イオン濃度を達成するべく添加される。好ましくは、メタンスルホン酸銅が約30〜100g/L、例えば約40〜60g/Lの銅イオン濃度達成のために添加される。高メタンスルホン酸銅の使用によって実現された銅イオン濃度は、質量移動問題、すなわち、特に深絞り構造の底部における銅イオンの局所的喪失で、それはシームやボイドの潜在的原因となり得る、を緩和する一つの方法であると考えられる。バルク溶液における高銅濃度は、凹凸部に銅の拡散を促進する急な銅濃度勾配に貢献する。
【0106】
メタンスルホン酸銅が使用される場合、酸のpH調整にメタンスルホン酸を使用するのが好ましい。これにより、電解沈積組成物に不要なアニオンが混入するのを防ぐ。メタンスルホン酸添加のとき、その濃度は、約1mL/L〜約400mL/Lである。本発明の電解沈積組成物が好ましくは低酸濃度、例えば約1mL/L〜約50mL/L、約5〜25mL/L、約10mL/Lである。
【0107】
塩素イオンは約200mg/L(約200ppm)まで、好ましくは約10〜90mg/L(約10−90ppm)、約50mg/L(約50ppm)のレベルで浴中に使用され得る。塩素イオンはその他の浴添加剤の機能を促進するべくこれらの範囲で添加される。特に、塩素イオンの添加はボイドフリーを促進することが見出された。
【0108】
合金金属イオン源は銅イオンをめっきするために組成物に添加される。合金金属イオン源は、錫イオン源、銀イオン源、亜鉛イオン源、マグネシウムイオン源、ジルコニウムイオン源、ビスマスイオン源、遷移金属または耐火金属イオン源を含む。一般的には、合金金属イオン源は銅イオン源と同じであり得る。すなわち、銅源として硫酸銅が用いられた場合、合金金属イオン源として硫酸錫と硫酸亜鉛を用いるのが好ましい。代わりに、メタンスルホン酸銅が用いられた場合、錫と亜鉛のイオン源は、これらイオンのメタンスルホン酸塩が好ましい。これらは通常約0.05〜25g/L濃度で添加される。当該濃度は、沈積銅合金中の所望の合金金属組成によって変化し得る。
【0109】
多種類の添加剤が所望の表面仕上げや銅めっき金属用の冶金を付与するために一般的にメッキ浴に用いられる。通常、所望の機能を達成するために1以上の添加剤が添加される。少なくとも2,3種の添加剤が相互接続構造のボトム・アップ充填を開始するために、同様にまた金属冶金的、物理的電気的性質(導電性、信頼性など)の改善のために用いられる。追加的な添加剤(通常有機添加剤)は、樹枝状成長の抑制、均一性の改良や欠陥の減少のための湿潤剤、結晶成長抑制剤、2次漂白剤、および偏光子(偏光剤)を含む。
【0110】
半導体基板のめっき用のめっき装置は既知であり、例えばHaydu らの米国特許 6,024,856に記載されている。めっき装置は、銅電解溶液貯蔵用の、プラスチックやその他の電解めっき液に不活性な材料の如き適当な材料でできた電解めっきタンクを備える。タンクは円筒状で、特にウエハ用はそうである。カソード(陰極)はタンク頂部に水平に配置され、トレンチやビアの如き開口部を有するシリコン・ウエハのような如何なるタイプの基板でもよい。ウエハ基板は一般には先ず遮蔽層で被覆され、遮蔽層は銅拡散防止のために窒化チタン、タンタル、窒化タンタル、またはルテニウムがよく、次にその上に銅が過充填(スーパーフィリング)めっきを開始するために、銅や他の金属のシード(種)層で被覆される。銅のシード層は、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)その他の方法によって被覆される。アノード(陽極)はウエハめっきのために好ましくは環状でもよく、アノードとカソードの間の空間を形成するタンクの低位部に水平に配置される。アノードは、通常、銅金属の如き可溶性アノードである。
【0111】
浴用添加剤は、種々の工具メーカーによって開発された膜技術の組合せで有用である。このシステムでは、アノードは膜によって有機浴添加剤から単離される。有機浴添加剤とアノードの分離の目的は、該アノード表面での浴添加剤の酸化を最小化するためである。
【0112】
カソード(陰極)基板とアノードは、配線で電気的に接続され、およびそれぞれ整流器(電源)に接続される。直流または脈流のためのカソード基板は、ネット負電荷を有し、溶液の銅イオンはカソード基板で還元され、カソード表面にめっき銅金属を形成する。酸化反応は、アノード(陽極)で行なわれる。カソードとアノードはタンク内で水平および垂直に設置される。
【0113】
電解めっきシステムの操作中に、脈流、直流、定期的逆流またはその他の適切な電流が適用される。電解溶液の温度は、加熱器/冷却器を用いて維持され、それによって電解液は貯蔵タンクから取り出され、加熱器/冷却器を通して流動し、貯蔵タンクへ戻される。
【0114】
めっきシステムが米国特許6,024,856に記載のように、所定の操作パラメータ(条件)が適合したときに当該システムから電解液の一部を除去することによって、制御されるのは当該プロセスの選択的特徴である。その際、新たな電解液が系内に同時に添加されるか、除去後に実質的に同量が追加される。新しい電解液は好ましくは電解めっき浴と系の維持に必要な全ての原料を含む単一液が良い。追加/除去システムは、一定のめっき性の如きめっき効果を促進する、定常的な一定のめっきシステムを維持する。このシステムと方法で、めっき浴は浴組成物が実質的に定常値になる定常状態に達する。
【0115】
印加電圧、電流密度、液温および流動条件の如き電解条件は、従来の電解めっき方法に本質的に同じである。例えば、浴温は通常、室温の20−27Cであるが、約40℃、またはそれ以上でもよい。電流密度は通常、約20A/dm、例えば約10A/dm、一般には約0.2〜約6A/dmである。アノード対カソード比は約1:1を用いるのが好ましいが、約1:4〜約4:1で変化させてもよい。当該方法はまた、電解めっきタンク中で混合を使用し、撹拌または好ましくはタンクを介して回収電解液の流れを循環させて供給する。
【0116】
上記のレベラー化合物からなる本発明の電解沈積組成物から沈積された銅は、高純度、高密度である。1つの観点では、銅は硫黄組成が低い。本発明のレベラー化合物、約1〜10mg/L(ppm)からなる電解沈積組成物から沈積された銅は、約10ppm未満の銅沈積中の硫黄組成を有し、好ましくは、約5ppm未満で、より好ましくは、約1ppm未満である。硫黄組成は、約0.5ppm、或いは約0.1ppmですらある。
【0117】
1つの観点では、銅は低酸素組成を有する。本発明のレベラー化合物、約1〜10mg/Lからなる電解沈積組成物から沈積した銅は、約100ppm未満、好ましくは約50ppm未満、さらに好ましくは約20ppm未満の酸素組成である。酸素組成は、約10ppm、または約1ppm位低くてもよい。
【0118】
1つの観点において、銅は低塩素組成である。本発明のレベラー化合物、約1〜10mg/Lからなる電解沈積組成物から沈積された銅は、約50ppm未満の塩素組成、好ましくは約10ppm、より好ましくは約2ppmである。塩素組成は、約0.5ppm、または約0.1ppm程度に低いのが良い。
【0119】
1つの観点においては、銅は低炭素組成である。本発明のレベラー化合物、約1〜10mg/Lからなる電解沈積組成物から沈積された銅は、約100ppm未満の炭素組成、好ましくは約50ppm未満、より好ましくは約20ppm未満である。炭素組成は、約10ppm、または約2ppm位低くて良い。
【0120】
本発明の電解銅めっき組成物から沈積される銅中の得られる高純度沈積は、室温であってさえ速いアニールを促進する。高純度銅沈積は、耐電子移行性に有益であり、デバイスの信頼性を増大すると信じられている。32nmおよび22nmノードおよびそれ以上において、電子移行性の禁止は重要で、本発明の電解銅めっき組成物および方法を、電子移行性を防止する高純度銅層沈積のために使用することによって恵まれる。
【0121】
初期沈積の際の銅メタリゼーションは、各銅粒子がサイズ的に成長するように一般的にさせ、沈積銅の抵抗性を減少させる再結晶を受ける状態にある。ウエハメーカーは、その中に銅メタリゼーションを有するウエハを、このプロセスを触媒(促進)するために約200℃,30分間の環境に曝す。本発明の電解銅めっき組成物から沈積された高純度銅が比較的速い再結晶を室温で受け、その状態で数時間の方法で銅沈積抵抗性が減少する。
【0122】
本発明を詳細に渡って記述したが、特許請求の範囲に規定された発明の範囲から逸脱しない限り変更や変動は可能であることは明白である。
【0123】
[発明を実施するための形態]
以下の非限定的実施例は本発明をさらに説明するために提供される。
【実施例1】
【0124】
[実施例1]発明に係る電解銅沈積組成物
本発明の電解銅めっき組成物は以下の成分と組成で調製された:
硫酸銅からの銅イオン(40g/L Cu2+
硫酸(10g/L)
塩素イオン(50ppm)
ビアフォーム(登録商標)極促進剤(6mL/L)
ビアフォーム(登録商標)極抑制剤(2mL/L)
構造(VIII)のレベラー,13〜14の繰り返し単位(4mg/L)
【0125】
電解銅沈積組成物は、ビアフォーム(登録商標)のメーカー、エントン・インク(コネチカット州ウエストヘイブン)の指示書によって本発明のレベラー添加剤を添加する期待をもって調製された。
【実施例2】
【0126】
[実施例2]発明に係る電解銅沈積組成物
本発明の電解銅めっき組成物は以下の成分と組成で調製された:
硫酸銅からの銅イオン(40g/L Cu2+
硫酸(10g/L)
塩素イオン(50ppm)
ビアフォーム(登録商標)極促進剤(6mL/L)
ビアフォーム(登録商標)極抑制剤(2mL/L)
構造(VIII)の5〜6繰り返し単位を有するレベラー(6mg/L)
【0127】
電解銅沈積組成物は、ビアフォーム(登録商標)のメーカー、エントン・インク(コネチカット州ウエストヘイブン)の指示書によって本発明のレベラー添加剤を添加する期待をもって調製された。
【実施例3】
【0128】
[実施例3]比較の電解銅沈積組成物
本発明の電解銅めっき組成物は以下の成分と組成で調製された:
硫酸銅からの銅イオン(40/L Cu2+
硫酸(10g/L)
塩素イオン(50ppm)
ビアフォーム(登録商標)極促進剤(6mL/L)
ビアフォーム(登録商標)極抑制剤(2mL/L)
【0129】
電解銅沈積組成物は、ビアフォーム(登録商標)のメーカー、エントン・インク(コネチカット州ウエストヘイブン)の指示書によって調製された。レベラーは無添加。
【実施例4】
【0130】
[実施例4]比較の電解銅沈積組成物
本発明の電解銅めっき組成物は以下の成分と組成で調製された:
硫酸銅からの銅イオン(40g/L Cu2+
硫酸(10g/L)
塩素イオン(50ppm)
ビアフォーム(登録商標)極促進剤(6mL/L)
ビアフォーム(登録商標)極抑制剤(2mL/L)
ビアフォーム(登録商標)極レベラー(3mL/L)
【0131】
電解銅沈積組成物は、ビアフォーム(登録商標)のメーカー、エントン・インク(コネチカット州ウエストヘイブン)の指示書によって調製された。
【実施例5】
【0132】
[実施例5]不純物含有分析
実施例1〜4の組成物はウエハ基板に銅を沈積するために使用。各沈積において、めっき条件は以下の通り:温度25℃,電流密度10mA/cm,30秒、撹拌、電流密度60mA/cm、30秒間追加撹拌。総沈積厚みは約1μm
【0133】
銅層は硫黄、酸素、塩素、および炭素をSIMS元素分析でppmの濃度決定するために分析された。以下の表Iはその結果からまとめられた。
【表1】

【0134】
表Iから従来の商業的に入手可能のレベラーを比較例4の電解銅めっき組成物に添加すると、銅層の沈積は比較例3のレベラー無添加の電解銅めっき組成物に比し、各成分のかなり高い不純物濃度を有することが分かった。
【0135】
実施例1および2の電解銅めっき組成物は、発明に係るレベラーが添加され、不純物濃度が比較例4の従来のレベラーから沈積された銅層よりも著しく少ないことが分かる。それ以上に、発明に係るレベラーが添加された実施例1および2の膜純度は、レベラー無添加の比較例3の膜純度と同等である。特に、実施例1および2は最も低い塩素量で、レベラーのない比較例3の如き銅めっき組成物のそれよりも1オーダー低い。
【実施例6】
【0136】
[実施例6]本発明の電解銅沈積組成物から沈積された銅の沈積後アニール
実施例1および2の電解銅沈積組成物から沈積された銅層で種々のレベラー濃度を用い、沈積後室温アニールに付された。その結果を図1および図2に示した。
図1および図2は、フレッシュ銅沈積(RsO)の初期耐性、その耐性の変化を約3日間のコースに渡って測定して得た。
【0137】
図1を作成するために、4つの銅層が実施例1の電解銅沈積組成物から沈積され(構造(VIII)のレベラーで13−14の繰り返し単位)、レベラー濃度は、0mL/L,0.5mL/L,1.0mL/L,1.5mL/L,2mL/Lであった。初期耐性(RsO)は各々測定され、耐性(Rs)は室温で約70時間のコースに渡って測定。Y軸データは初期耐性によって各時間単位のRs測定を分割して得られた。図1は、70時間室温アニールに渡って耐性において減少を示した。本発明のレベラーの含有は、銅層の沈積において、塩素組成が少ないためにその耐性がレベラー無添加の場合より早い速度で減少する結果となった。
【0138】
図2を作成するために、4つの銅層が実施例2の電解銅沈積組成物から沈積され(構造(VIII)のレベラーで5〜6の繰り返し単位)、レベラー濃度は、0mL/L,4mL/L,6mL/L,8mL/Lで行なわれた。初期耐性(RsO)は各々測定され、耐性(Rs)は室温で約70時間のコースに渡って測定。Y軸データは初期耐性によって各時間単位のRs測定を分割して得られた。図2は、70時間の室温アニールのコースに渡って、耐性の減少が示された。本発明のレベラーの含有は、銅層の沈積において、塩素組成が少ないためにその耐性がレベラー無添加の場合より早い速度で減少する結果となった。
【実施例7】
【0139】
[実施例7]発明に係る電解銅沈積組成物を用いた大凹凸部メタリゼーション
大凹凸部からなる基板はレベラー無添加の電解銅沈積組成物で、実施例2の電解銅沈積を用いてメタライズされた(構造(VIII)のレベラーで5〜6の繰り返し単位)。凹凸部は1μm深さと5μm開口部(アスペクト比1:5)。図3のSEM画像は時比較例3のレベラーなしの組成物から得られた。図4および図6のSEMは、実施例2の組成物で得られ、構造(VIII)のレベラーで5−6繰り返し単位を用いた。図5のSEMは、比較例4の従来のレベラーを添加した組成物で得られた。実施例2の組成物から得られた低アスペクト比で沈積された凹凸部は、レベラー無添加の組成物や従来のレベラー添加の組成物に比し、著しくアンダーめっきが少なかったことがこれらの凹凸部から明らかである。
【0140】
本発明や好ましい態様における成分の記載において、不定冠詞、定冠詞または「前記」の記載は、1つまたはそれ以上の成分があることを意味する。「からなる」「含む」「含有する」「有する」の記載は、記載された要素以外にも追加の要素が合存在し得ることを意図している。
【0141】
上記の観点から、本発明の幾つかの目的は達成され、その他の有利な結果が得られている。
【0142】
上記の組成物や方法には本発明の範囲を逸脱しない限り、種々の変更を加え得るので、上記の明細書の記載事項及び付帯する図面は例示的に解釈され、限定的な意味に解釈されないことを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体集積回路デバイス基板におけるビア構造をメタライズするための方法であって、半導体集積回路デバイス基板は、前面、背面、ビア構造を備え、ビア構造は、基板の前面に開口部、基板の前面を内向きに伸びる側壁部、および底部を備え、前記方法は以下からなる:
半導体集積回路デバイス基板に、(a)銅イオン源、および(b)レベラー化合物からなる電解銅沈積組成物を接触させて、前記レベラー化合物はジピリジル化合物およびアルキル化剤の反応生成物からなり;
電流を電解銅沈積組成物に供給し銅金属をビア構造の底部および側壁部に沈積し、これによって銅充填ビア構造を得る。
【請求項2】
前記ジピリジル化合物が、以下の構造式(I)からなる請求項1の方法:

ここで、Rはピリジン環と結合する部分。
【請求項3】
前記ジピリジル化合物が以下の構造式(Ia)からなる請求項1の方法:

ここで、hは0〜6の整数、RおよびRは各々独立して水素または炭素数1〜3の短鎖アルキルから選ばれる。
【請求項4】
およびRが水素、ジピリジル化合物が構造式(IIa)からなる請求項3の方法:

ここで、mは0〜6の整数。
【請求項5】
ジピリジル化合物が以下の構造式(IIb)〜(IId)の何れかからなる請求項1の方法:

ここで、mは0〜6の整数。
【請求項6】
ジピリジル化合物が、以下の構造式(IIe)または(IIf)からなる請求項1の方法:

【請求項7】
ジピリジル化合物が以下の構造式(IIf)からなる請求項1の方法:

【請求項8】
ジピリジル化合物が以下の構造式(Ib)からなる請求項1の方法:

ここで、iおよびjは0〜6の整数、R、R、R、Rは各々独立して水素または炭素数1〜3の短鎖アルキルから選ばれる。
【請求項9】
iおよびjが0、ジピリジル化合物が以下の構造式の何れかからなる請求項8の方法:

【請求項10】
ジピリジル化合物が、以下の構造式(Ic)からなる請求項1の方法:

ここで、kおよびlは0〜6の整数、R,R,R10,R11は各々独立して水素または炭素数1〜3の短鎖アルキルから選ばれる。
【請求項11】
ジピリジル化合物が、以下の構造式(Id)からなる請求項1の方法:

【請求項12】

【請求項13】

【請求項14】

【請求項15】

【請求項16】
アルキル化剤が、2−クロロエチルエーテル、塩化ベンジル、2−(2−クロロエトキシ)エタノール、クロロエタノール、1−(クロロメチル)−4−ビニルベンゼン、および1−(クロロメチル)ナフタレンから構成される群から選ばれる、請求項12の方法。
【請求項17】
レベラー化合物が以下の構造式(XIX)からなる請求項12の方法:

ここで、A,o,Yは構造式(IIIa)で定義されたと同じ;およびmは1〜6の整数。
【請求項18】
レベラー化合物が、以下の構造式(XX)からなる請求項12の方法:

ここで、A,o,Yは構造式(IIIa)の定義に同じである。
【請求項19】
レベラー化合物が以下の構造式(XXI)からなる請求項12の方法:

【請求項20】

【請求項21】

【請求項22】

【請求項23】
アルキル化剤が、1−クロロ−2−(2−クロロエトキシ)エタン)、1,2−ビス(2−クロロエトキシ)エタン、1,3−ジクロロプロパン−2−オン、1,3−ジクロロプロパン−2−オール、1,2−ジクロロエタン、1.3−ジクロロプロパン、1,4−ジクロロブタン、1,5−ジクロロペンタン、1,6−ジクロロヘキサン、1,7−ジクロロヘキサン、1,8ジクロロオクタン、1,2−ジ(2−クロロエチル)エーテル、1,4−ビス(クロロメチル)ベンゼン、m−ジ(クロロメチル)ベンゼン、および0−ジ(クロロメチル)ベンゼンからなる群から選ばれる請求項20の方法。
【請求項24】
レベラー化合物が以下の構造式(IV)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,Y,およびZは構造式(IIIb)に関し、定義された通り、mは1〜6の整数で、Xは少なくとも2以上の整数である。
【請求項25】
レベラー化合物が以下の構造式(V)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,YおよびZは、構造式(IIIb)に関するものと同じ定義であり、Xは2以上の整数である。
【請求項26】
レベラー化合物が以下の構造式(VI)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、Xは2以上の整数である。
【請求項27】
レベラー化合物が以下の構造式(VII)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,YおよびZが構造式(IIIb)に関し定義したのと同じであり、Xは2以上の整数である。
【請求項28】
レベラー化合物が以下の構造式(VIII)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、Xは2以上の整数である。
【請求項29】
レベラー化合物が以下の構造式(IX)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、Xは2以上の整数である。
【請求項30】
レベラー化合物が以下の構造式(X)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

Xは2以上の整数である。
【請求項31】
レベラー化合物が以下の構造式(XI)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここでXは2以上の整数である。
【請求項32】
レベラー化合物が以下の構造式(XII)からなるポリマーからなる請求項20の方法:

ここで、Xは2以上の整数である。
【請求項33】
レベラー化合物が以下の構造式(XIII)からなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,YおよびZは構造式(IIIb)に関し定義したとおりであり、mは1〜6の整数である。
【請求項34】
レベラー化合物が以下の構造式(XIV)からなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,YおよびZは構造式(IIIb)に関し定義したのと同じである。
【請求項35】
レベラー化合物が以下の構造式(XV)からなる請求項20の方法:

【請求項36】
レベラー化合物が以下の構造式(XVI)からなる請求項20の方法:

ここで、B,p,q,YおよびZは、構造式(IIIb)に関し定義したのと同じである。
【請求項37】
レベラー化合物が以下の構造式(XVII)からなる請求項20の方法:

【請求項38】
レベラー化合物が以下の構造式(XVIII)からなる請求項20の方法:

【請求項39】
アルキル化剤が、以下の構造式(IIIc)からなる化合物である請求項20の方法:

ここで、R11,R12,R13は水素、炭素数が1〜6の置換または非置換アルキル基、oは1〜6の整数、およびYは塩素、臭素、ヨウ素、トシル、トリフレート、スルホネート、メシレート、ジメチルスルホネート、フロロスルホネート、メチルトシレート、ブロシレート、ノシレートから選ばれた脱離基である。
【請求項40】
アルキル化剤が以下の構造式からなる請求項39の方法:

ここで、oとYは構造式(IIIc)で定義したとおりである。
【請求項41】
アルキル化剤が、エピクロルヒドリンからなる請求項39の方法。
【請求項42】
半導体回路デバイス基板のビア凹凸体をメタライズするための組成物で、以下からなる:
(a)銅イオン源;
(b)ジピリジル化合物とアルキル化剤との反応物であるレベラー化合物;
(c)促進剤;および
(d)抑制剤

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−510179(P2012−510179A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−538634(P2011−538634)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/US2009/065053
【国際公開番号】WO2010/062822
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(501407311)エントン インコーポレイテッド (36)
【Fターム(参考)】