説明

ジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法

【課題】1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを触媒の存在下に気相分解させてジフルオロ酢酸フルオリドを製造するにあたり、フッ素化環境にある反応中で構造変化の少ない触媒を提供し、長期の安定操業を可能にすることを課題とする。
【解決手段】一般式CHF2CF2OR(ただし、Rは一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをリン酸塩と接触させることからなるジフルオロ酢酸フルオリド(CHF2COF)の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種反応において基礎的反応試剤として使用されるジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法としては、(1)ジフルオロ酢酸を五酸化リンや塩化チオニルなどと反応させてからフッ化カリウムなどの金属フッ化物でフッ素化させる方法、(2)CHF2CF2ORで表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを三酸化硫黄とフルオロ硫酸の存在下で分解させる方法(非特許文献1)、(3)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをハロゲン化アンチモン、ハロゲン化チタンなどの触媒存在下で反応させる方法(特許文献1)、(4)1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、金属酸化物触媒の存在下に気相反応させてジフルオロ酢酸フルオリドを製造する方法(特許文献2)が知られている。
【0003】
(1)の方法においては、クロロトリフルオロエチレンを出発物質として、これをアルキルアミン類と反応させ、次いで加水分解してクロロフルオロ酢酸アミドを得て、さらにフッ素化しジフルオロ酢酸アミドに変換した後に加水分解するという複雑な工程で製造したジフルオロ酢酸を用いるため、効率がよいとはいえない。他に、ジフルオロ酢酸の製造法として、テトラフルオロエチレンにアンモニアを付加して2,4,6−ジフルオロメチル−1,3,5−トリアジンとした後、加水分解する方法も報告されているが、やはり、容易に入手できるものではない。
また、(2)の方法は、反応の制御が困難であるうえに、反応器が腐食するおそれがある。
【非特許文献1】J.Fluorine Chem.,3,63(1973)
【特許文献1】米国特許第4357282号明細書
【特許文献2】特開平8−92162号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2の方法では、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを触媒の存在下に気相分解させてジフルオロ酢酸フルオリドを製造するにあたり、触媒として予めクロロジフルオロエタン(R12)で活性化させたγ−アルミナと用いているが、アルミナはこの例でも明らかなように有機フッ素化物により容易にフッ素化されることから反応中において触媒活性が変化することが知られており、長期間の安定な操業に不安がある。また、R12は、地球温暖化物質であるだけでなくオゾン層破壊物質でもある。それで、現在、製造販売が制限されているので、入手は困難である。
そこで、本発明では、1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを触媒の存在下に気相分解させてジフルオロ酢酸フルオリドを製造するにあたり、フッ素化環境にある反応中で構造変化の少ない触媒を提供し、長期の安定操業を可能にすることを課題とする。また、安価で入手容易なフッ素化剤を用いた触媒前処理方法をも提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の従来法(特許文献2)に代わる有利な触媒について鋭意検討を重ね、その結果、ジフルオロ酢酸フルオリドを高収率で工業的に製造でき、かつ長期間にわたり安定した活性を示す触媒を見いだした。
すなわち、本発明は、次の通りである。
[1]
一般式CHF2CF2OR(ただし、Rは一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをリン酸塩と接触させることからなるジフルオロ酢酸フルオリド(CHF2COF)の製造方法。
[2]
リン酸塩がフッ素化処理したリン酸塩である[1]に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
[3]
リン酸塩が、担体に担持されたリン酸塩である[1]または[2]に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
[4]
担体が、活性炭、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニアから選ばれた担体である[3]に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
[5]
リン酸塩が、リン酸、リン酸アルミニウム、リン酸セリウムから選ばれる一種以上からなるリン酸塩である[1]〜[4]に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
[6]
含フッ素エーテルのRがメチル基またはエチル基である[1]〜[5]のに記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法は、きわめて高い反応率と選択率を示すとともに、使用する触媒は長時間にわたり高い触媒活性を示すため安定した工業生産を可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明においては1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを、フッ素化処理したリン酸塩の触媒存在下に反応させてジフルオロ酢酸フルオリドを製造する。この反応は、以下の式で表わされる。
CHF2CF2OR → CHF2COF + RF
本発明の原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、アルコキシ基のRとしては、分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基、アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基、含フッ素アルキル基、アリール基、アラルキル基を挙げることができ、これらのうちアルキル基または含フッ素アルキル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、低級アルキル基がさらに好ましい。低級アルキル基とは、炭素数1〜4のアルキル基をいう。
【0008】
分岐を有することもある炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基を例として挙げることができる。
【0009】
アルキル基を置換基をして有することもあるシクロアルキル基としては、シクロブチル基、シクロペンチル基、2−メチルシクロペンチル基、3−メチルシクロペンチル基、2−エチルシクロペンチル基、3−エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−メチルシクロヘキシル基、3−メチルシクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、2−エチルシクロヘキシル基、3−エチルシクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、3−メチルシクロヘプチル基、4−メチルシクロヘプチル基などを挙げることができる。
【0010】
アリール基としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、3,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基などを例として挙げることができる。
【0011】
含フッ素アルキル基としては、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、ブロモフルオロメチル基、ジブロモフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、n−ヘキサフルオロプロピル基、ヘキサフルオロイソプロピル基などを例として挙げることができる。
【0012】
アラルキル基としては、フェネチル基、2−メチルフェニルメチル基、3−メチルフェニルメチル基、4−メチルフェニルメチル基、2,3−ジメチルフェニルメチル基、2,4−ジメチルフェニルメチル基、2,5−ジメチルフェニルメチル基、2,6−ジメチルフェニルメチル基、3,4−ジメチルフェニルメチル基、3,5−ジメチルフェニルメチル基、3,6−ジメチルフェニルメチル基、4−エチルフェニルメチル基、4−(n−プロピル)メチルフェニルメチル基、4−(n−ブチル)メチルフェニルメチル基などを例として挙げることができる。
【0013】
本発明の原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンは、公知の製造方法で得ることができる。
【0014】
例えば、アルコール化合物(ROH)とテトラフルオロエチレンを塩基の存在下に反応させる方法で合成できる。
【0015】
具体的には、メタノールとテトラフルオロエチレンとを水酸化カリウムの存在下に反応させる方法により1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンが合成できる(J.Am.Chem.Soc.,73,1329(1951))。
【0016】
本発明において使用できる含フッ素エーテルの具体例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−プロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−イソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(n−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(s−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(t−ブトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−トリフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ジフルオロメトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ペンタフルオロエトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−(2,2,2,3,3−ペンタフルオロプロポキシ)−1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1−ヘキサフルオロイソプロポキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンなどを挙げることができる。
【0017】
本発明にかかる触媒は、リン酸塩であり、リン酸塩は、担体に担持されたものであってもよい。
リン酸としては、オルトリン酸、ポリリン酸、メタリン酸のいずれであってもよい。ポリリン酸としては、ピロリン酸などが挙げられる。リン酸塩は、これらのリン酸の金属塩である。取り扱いが容易であるのでオルトリン酸であるのが好ましい。リン酸塩とは、これらのリン酸の金属塩をいうが、本明細書では金属が水素原子に置換した酸をも金属塩というものとする。
【0018】
リン酸塩としては、特に限定されないが、水素、アルミニウム、ホウ素、アルカリ土類金属、チタン、ジルコニウム、ランタン、セリウム、イットリウム、希土類金属、バナジウム、ニオブ、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケルからなる群より選ばれた、少なくとも1種の金属のリン酸塩が挙げれる。好ましくは、主成分であるリン酸塩はリン酸アルミニウム、リン酸セリウム、リン酸ホウ素、リン酸チタン、リン酸ジルコニウム、リン酸クロムなどである。これらは他の金属を含むことも好ましい。具体的にはセリウム、ランタン、イットリウム、クロム、鉄、コバルト、ニッケル等が好ましいが、セリウム、鉄、イットリウムがより好ましい。これらのうちで、さらに好ましくは、リン酸アルミニウム、リン酸セリウムおよびこれら二種からなるリン酸塩である。
【0019】
触媒の調製方法に特に制限はなく、市販のリン酸塩をそのまま使っても良いし、一般的な沈殿方法でも良い。沈殿方法の具体的な調製方法としては、例えば、金属の硝酸塩(複数の原料塩の場合はそれぞれの原料塩の溶液を調製する)とリン酸の混合水溶液に、希釈アンモニア水を滴下してpHを調節して沈殿させ、必要に応じて熟成放置する。その後、水洗し、洗浄水の電導度などで十分に水洗したことを確認する。場合によっては、スラリーの一部を取り含有するアルカリ金属を測定する。次いで濾過し乾燥する。乾燥する温度に特に制限はない。好ましくは80℃〜150℃がよい。さらに好ましくは100℃〜130℃である。得られた乾燥体は粉砕し粒度を揃えるか、さらに粉砕し成型する。その後、200℃〜1500℃の条件で空気や窒素雰囲気で焼成する。好ましくは400〜1300℃、さらに好ましくは500℃〜900℃で焼成を行うことがよい。
【0020】
焼成時間は温度にもよるが1時間〜50時間程度で、好ましくは2時間〜24時間程度である。焼成処理は、リン酸塩の安定化に必要な処理であるので、上記の温度範囲より低温で処理を行ったり、処理時間が短い場合は、反応初期において十分に触媒活性を示さないことがある。また、上記の温度範囲以上でまたは長時間焼成処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するだけでなく、触媒の結晶化を引き起こすことがあるので好ましくない。
【0021】
主成分以外の金属成分の添加の操作は、金属塩で行うことが好ましく、前記金属の硝酸塩、塩化物、酸化物、リン酸塩などが好ましい。中でも、硝酸塩が調製しやすく好ましい。添加量に特に制限はないが、一般にはリン1グラム原子に対し1グラム原子以下であり、好ましくは0.5グラム原子以下である。より好ましくは0.3グラム原子以下である。これらの金属成分の添加は、触媒調製時に行っても良く、また、触媒焼成後のリン酸塩に行っても良い。得られた触媒は、塩の種類及び調製方法や条件により物性が異なる。例えば本発明において用いるリン酸アルミニウムとしては、調製直後のBET表面積は10m2 /g以上、好ましくは80m2 /g以上である。X線回折(以下「XRD」と略)で観測するとアモルファスな状態で、場合により一部AlPO4 のピークを有するものでも良い。触媒は、そのまま使用してよいが、担体に担持した状態で使用することは好ましい。担体としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニア(ZrO(SO4))などの金属酸化物などの金属酸化物、炭化珪素、窒化珪素、活性炭等が挙げられるが、活性炭は特に好ましい。
【0022】
リン酸またはリン酸塩を坦持した活性炭は、リン酸に浸漬して含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。化合物を担持させる場合、担持させる化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させたものを乾燥させて調製できる。また、その化合物の溶液を含浸させ、またはスプレーにより被覆もしくは吸着させた活性炭に対し第二の化合物を作用させて活性炭表面で沈殿反応等を生じさせることで最初の化合物と異なる化合物を担持することもできる。また、先に述べた、リン酸塩の調整方法を活性炭などの担体の存在下で行うことでもリン酸塩担持触媒を調製することができる。具体例として実施例にリン酸アルミ担持活性炭を示す。
【0023】
活性炭は、木材、木炭、椰子殻炭、パーム核炭、素灰等を原料とする植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭等を原料とする石炭系、石油残滓、オイルカーボン等を原料とする石油系または炭化ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂系等のいずれのものでもよい。これら市販の活性炭から選択し使用することができ、例えば、瀝青炭から製造された活性炭(東洋カルゴン製BPL粒状活性炭)、椰子殻炭(日本エンバイロケミカル製粒状白鷺GX、SX、CX、XRC、東洋カルゴン製PCB)等が挙げられるが、これらに限定されない。形状、大きさも通常粒状で用いられるが、球状、繊維状、粉体状、ハニカム状等反応器に適合すれば通常の知識範囲の中で使用することができる。
【0024】
本発明において使用する活性炭は比表面積の大きな活性炭が好ましい。活性炭の比表面積は、市販品の規格の範囲で十分であるが、それぞれ400m2/g〜3000m2/gであり、800m2/g〜2000m2/gが好ましい。さらに活性炭を担体に用いる場合、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液に常温付近で10時間程度またはそれ以上の時間浸漬するか、活性炭を触媒担体に使用する際に通常行われる硝酸、塩酸、フッ酸等の酸による前処理を施し、予め担体表面の活性化ならびに灰分の除去を行うことが望ましい。
【0025】
また、本発明の酸化物などの担体は、金属成分と酸素以外の他の原子を含んでいてもよく、他の原子としては、フッ素原子、塩素原子等が好ましい。たとえば、部分フッ素化アルミナ、部分塩素化アルミナ、部分フッ素化塩素化アルミナ、部分フッ素化ジルコニア、部分フッ素化チタニア等であってもよい。固体触媒中の塩素原子やフッ素原子の割合は、特に限定されない。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲においては、特に限定されない限り、前記のように部分的にフッ素化、塩素化などされたアルミナ、ジルコニアなどの酸化物を「アルミナ」、「ジルコニア」などの酸化物名称で表示する。
【0027】
これらの担体としては、アルミナ(Al23)、ジルコニア(ZrO2 )、およびチタニア(TiO2 )および硫酸ジルコニアならびにこれらの部分フッ素化酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物触媒が好ましく、アルミナおよび部分フッ素化アルミナが反応性および触媒寿命の点でさらに好ましい。
【0028】
リン酸塩からなるまたはリン酸塩を担持した触媒は、通常は粒子または造粒体の形態で用いられる。粒子または造粒体の直径(いずれも、「粒径」ということがある。)は、特に限定されず、通常は、20μm〜10mm程度である。また、触媒が塩素原子やフッ素原子を含む場合、金属酸化物の表面のみに塩素原子やフッ素原子が存在していてもよい。
【0029】
本発明のリン酸塩からなるまたはリン酸塩を担持した触媒も、使用の前に予めフッ化水素、フッ素化炭化水素またはフッ素化塩素化炭化水素などの含フッ素化合物と接触させて部分フッ素化しておき、反応中の触媒の組成変化、短寿命化、異常反応などを防止することが有効である。
【0030】
特にフッ化水素で処理することで反応の活性を著しく高めることができる。フッ化水素によるフッ素化処理は、少なくとも本発明にかかる反応の反応温度よりも高い温度において、フッ化水素と接触させることで行うのが好ましい。
具体的には、リン酸塩単体の場合、200〜700℃程度であり、250〜600℃程度が好ましく、300〜550℃がより好ましい。一方、リン酸塩担持触媒の場合、200〜600℃程度であり、250〜500℃程度が好ましく、300〜400℃がより好ましい。いずれも200℃未満では処理に時間を要し、最高温度範囲を超えて処理を行うことは、過剰な加熱エネルギーを要するので好ましくない。また、処理時間は、処理温度とも関係するので限定できないが、1時間〜10日程度、好ましくは、3時間〜3日間程度である。
【0031】
リン酸を担時しない活性炭の場合、フッ化水素処理を施しても、殆ど活性を示さないが(比較例3)、リン酸処理をした活性炭にフッ化水素処理を行うと、同じ反応条件で、転化率:96.1%、選択率:98.0%という触媒活性を示した。
【0032】
さらに、反応に先立って、活性化処理を施すのが好ましい。活性化処理としては、250℃〜300℃程度の窒素気流中で充分に脱水し、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタンなどの有機フッ素化合物、またはフッ化水素、三フッ化塩素などの気体もしくは触媒処理状態で十分な蒸気圧を示す無機フッ素化合物で活性化させるのが好ましい。これらのうちフッ化水素が特に好ましい。この活性化処理によって、触媒の表面または全体に、フッ素原子を含むリン酸塩からなる活性な触媒が生成すると考えられる。
【0033】
また、反応原料である1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(CHF2CF2OR)のRが炭素数2以上の基である場合、生成したRFが反応領域において分解してフッ化水素を発生することが推定されるが、よれが触媒の活性を高める効果を示すことがある。
【0034】
本発明の方法は、気相流通連続方式が最も好ましい形式として推奨されるが、これに限定されない。反応器の形式は固定床タイプまたは流動床タイプが好ましく、反応器の寸法・形状は、反応物の量等に応じて適宜変更できる。
【0035】
本発明にかかる反応においては、当該反応条件で不活性な不活性ガスを存在させてもよい。不活性ガスとしては、窒素または希ガス類が挙げられ、扱いやすさおよび入手しやすさ等の点から、窒素またはヘリウムが好ましい。不活性ガスを存在させる場合の量は、特に限定されないが、多すぎる場合には回収率が下がる恐れがあるため、通常の場合、原料の1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンの供給速度よりも少ない量が好ましい。
【0036】
本発明の方法おける反応温度は、触媒の種類および原料によって異なる。通常100〜400℃であり、150〜350℃程度が好ましく、180〜280℃がさらに好ましい。反応温度が100℃未満では転化率が低くなる傾向があり好ましくない。反応温度が400℃を超えると反応装置に過酷な耐熱性が必要となり、過剰な加熱エネルギーを要するので経済的に好ましくない。
【0037】
反応時間(接触時間)は通常0.1〜300秒であり、0.5〜200秒が好ましく、1〜60秒がより好ましい。反応時間が短すぎる場合にも、転化率が低くなる恐れがあり、一方、長すぎると生産性が低下するのでそれぞれ好ましくない。反応圧力は、特に限定されず、常圧、減圧、または加圧のいずれであってもよい。0.05〜0.5MPa(0.5〜5気圧)程度が好ましく、通常は、操業が容易な大気圧近傍の圧力が好ましい。
【0038】
本発明にかかる触媒は、経時的にコーキングが発生することがあり、触媒の活性が低下することがある。活性の低下した触媒は、200℃〜1200℃、好ましくは、400℃〜800℃において、酸素と接触させることで容易に活性を再生させることができる。酸素処理は反応管に装填したまま又は外部の装置に装填して行うのが簡便である。そこへ酸素を流通させて行う。酸素の流通方法としては他のガスが共存してもよく、酸素、空気、窒素希釈酸素などが使用できるが、窒素で希釈した空気または空気が経済的に好ましい。また、塩素、フッ素等の酸化力のある気体も使用できる。

本発明の方法にかかる反応においては、目的とするジフルオロ酢酸フルオリドの他に、副生成物としてフッ化アルキル(RF)が生成する。したがって、反応で得られた粗生成物は、通常の場合、精製処理をするのが好ましい。
【0039】
粗生成物の処理は、他の処理をせず直接蒸留により分離することができる。さらに、ジフルオロ酢酸の誘導体を目的とする場合では、アルコール類と反応させてジフルオロ酢酸エステルとしてからフッ化アルキルや未反応の1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンを分離することもできる。多くの反応では、このジフルオロ酢酸エステルはジフルオロ酢酸フルオリドの等価な反応試剤として利用できる。
【0040】
本発明にかかる反応は、きわめて高い反応率を示し、反応収率の再現性にも優れる。また、実施例で示すように長時間にわたり触媒活性の低下が無く、安定したジフルオロ酢酸フルオリドの生産が可能である。コーキング等が発生した場合でも、空気を流通させることによって、容易に触媒の活性を再生できる。さらに、本発明の製造方法は、気相流通連続系で反応させるため、効率的であり、生産性の点でも優れた反応である。
【0041】
本発明の方法により得られるジフルオロ酢酸フルオリドは、各種反応の触媒、医農薬の中間体、および機能性材料の中間体等に用いられるきわめて有用な化合物である。
【実施例】
【0042】
以下に本発明の例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。
【0043】
〔触媒の調製1〕
85%リン酸(H3PO4) 30gを300ccの水で希釈したリン酸水溶液へ日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X 100gを浸漬し、よく攪拌した後3日間静置した。その後、ロータリーエバポレーターで乾燥し、次いで、電気炉で窒素気流中、350℃で5時間焼成して、リン酸担持活性炭触媒を調製した。
【0044】
〔触媒の調製2〕
硝酸アルミニウム9水塩(Al(NO33・9H2O) 30.75gを水300gに溶かし、85%リン酸(H3PO4) 9.86gを添加してよく攪拌した。その溶液に日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X 100gを加え、よく攪拌した後1日間静置した。攪拌しながら、チューブポンプで10%アンモニア水を添加した。10%アンモニア水を52.14g添加したとき、PH=8.18を示し、添加を終了した。次いで、6時間放置した後、濾過し、300gの水を3回用いて水洗し、その後、ロータリーエバポレーターで乾燥し、電気炉で窒素気流中、350℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム担持活性炭触媒を調製した。
【0045】
〔触媒の調製3〕
アルドリッチ製リン酸アルミニウム(Aluminum phosphate)を5mmφ×5mmLのペレットに打錠成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム触媒を調製した。
【0046】
〔触媒の調製4〕
硝酸アルミニウム9水塩(Al(NO33・9H2O) 1000g(2.666mol)と硝酸セリウム6水塩(Ce(NO33・6HO) 128.6g(0.296mol)を5300ccの純水で溶かし、さらに85%リン酸306g(3.12mol)を加えて攪拌した。この状態で、透明な溶液であった。これに1Lの大型滴下ロートにより10%アンモニア水(約3000cc)を約10時間かけて滴下して塩基性にした。固形分濃度が高く、滴下途中から攪拌機では攪拌不能となったので、ステンレス製のスコップで手攪拌した。生成した白色沈殿物を、一晩静置し、吸引濾過し、5回水洗浄を行った。この白色固体を、ステンレスパッドに移し、180℃の乾燥機で一晩乾燥した。乳鉢ですりつぶし、篩い分けし、打錠器にて5mmφ×5mmLのペレットに成形し、窒素気流中700℃で5時間焼成して、リン酸アルミニウム・リン酸セリウム触媒を調製した。
【0047】
[実施例1]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例1で調製したリン酸担持活性炭触媒(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、フッ化水素(HF)を0.6g/分で気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入し、反応温度が300℃で定常状態になったときに、生成ガスをガスクロマトグラフィー(FID検出器)で分析した結果、転化率:96.1%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:98.0%(メチル基に基づくCH3Fなどの副生成物を除外して求めた面積%。以下同じ。)であった。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
[実施例2]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例2で調製したリン酸アルミニウム担持活性炭触媒(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、フッ化水素(HF)を0.6g/分で気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入し、窒素の供給を停止した。反応温度が200℃で定常状態になったときに、生成ガスをガスクロマトグラフィー(FID検出器)で分析した結果、転化率:99.2%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:98.1%であった。生成したガスを−78℃に冷却したメタノール中に吸収させた結果、回収率は99.3%であった。また、35時間反応を継続したが、触媒活性劣化は認められなかった。結果を表1に示す。
【0050】
[実施例3]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例2で調製したリン酸アルミニウム担持活性炭触媒(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、HFを0.6g/分の速度で、気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−エトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−374pc−f)を0.5g/分の速度で、気化器を通して導入し、反応温度が200℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:99.1%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:98.6%であった。また、65時間反応を継続したが、触媒活性劣化は認められなかった。結果を表1に示す。
【0051】
[実施例4]
外部に電気炉を備えたJIS呼び径32A(内径37.1mm)、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例3で調製したリン酸アルミニウム触媒(200cc)を仕込み、窒素を50cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、徐々に気化器を通してHFの供給を始め、1.2g/分まで増加させた。そのままHFを1.2g/分で流通させたまま、350℃までゆっくりと昇温し、24時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を6g/分の速度で、気化器を通して導入すると共に窒素の供給を停止した。反応温度が210℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:99.5%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:99.7%であった。結果を表1に示す。
【0052】
[実施例5]
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)の供給速度を8g/分に変更した以外、実施例4と同様に反応を実施した。その結果、転化率:98.2%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:99.4%であった。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例6]
1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)の供給速度を10g/分に変更した以外、実施例4と同様に反応を実施した。その結果、転化率:96.2%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率選択率:99.1%あった。結果を表1に示す。
【0054】
[実施例7]
実施例4の条件で、160時間反応を継続したところ、転化率が93.1%に低下した。窒素を200cc/分で供給すると同時に、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)の供給を停止した。30分後、窒素に加えて空気を200cc/分で供給しながら、反応器の温度を500℃までゆっくりと昇温した。500℃にて、窒素の供給を停止し、空気を300cc/分で流通させ、5時間保持した。次いで、窒素を200cc/分で供給すると同時に空気の供給を停止し、触媒床の温度が210℃になるまで自然冷却した。30分後、HFE−254pcを6g/分の速度で気化器を通して流通させると同時に、窒素の供給を停止した。触媒床の温度が210℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:99.6%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:99.8%であった。その後、30時間反応を継続したが、触媒劣化は認められなかった。結果を表1に示す。
【0055】
[実施例8]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例4で調製したリン酸アルミニウム・リン酸セリウム活性炭担持触媒(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、HFを0.6g/分の速度で、気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入し、反応温度が200℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:99.6%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:99.8%であった。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例9]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に調製例3で合成したリン酸アルミニウム担持活性炭触媒(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が200℃に達した時に、原料である1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入した。反応温度200℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:69.8%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:33.7%であった。また、高沸のタール分の生成が認められた。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X(50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が200℃に達した時に、原料である1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入した。反応温度250℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率0.9%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:88.4%であった。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
反応温度を300℃とする以外、比較例1と同様にして反応を行った結果、転化率:2.6%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:89.4%であった。結果を表1に示す。
【0059】
[比較例3]
外部に電気炉を備えた内径23mm、長さ500mmのステンレス製反応管に日本エンバイロケミカルズ株式会社製の粒状活性炭G2X (50cc)を仕込み、窒素を15cc/分で流しながら電気炉で加熱した。触媒の温度が50℃に達した時に、HF(0.6g/分)を、気化器を通して導入した。HFを流通させたまま、300℃までゆっくりと昇温し、5時間保持した。HFの流通を止め、窒素流量を200cc/分に増やして2時間保持後、窒素流量を15cc/分に変更し、1−メトキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFE−254pc)を0.4g/分の速度で、気化器を通して導入した。反応温度300℃で定常状態になったときに、生成ガスを分析した結果、転化率:2.8%、ジフルオロ酢酸フルオリド選択率:90.3%であり、リン酸で処理を行っていない活性炭にHF処理を行っても、効果が効果があまり認められなかった。結果を表1に示す。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の方法により得られるジフルオロ酢酸フルオリドは、各種反応の触媒、医農薬の中間体、および機能性材料の中間体等に用いられるきわめて有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式CHF2CF2OR(ただし、Rは一価の有機基を表す。)で表される1−アルコキシ−1,1,2,2−テトラフルオロエタンをリン酸塩と接触させることからなるジフルオロ酢酸フルオリド(CHF2COF)の製造方法。
【請求項2】
リン酸塩がフッ素化処理したリン酸塩である請求項1に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
【請求項3】
リン酸塩が、担体に担持されたリン酸塩である請求項1または2のいずれかに記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
【請求項4】
担体が、活性炭、アルミナ、チタニア、ジルコニア、硫酸ジルコニアから選ばれた担体である請求項3に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
【請求項5】
リン酸塩が、リン酸、リン酸アルミニウム、リン酸セリウムから選ばれる一種以上からなるリン酸塩である請求項1〜4のいずれか1項に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。
【請求項6】
含フッ素エーテルのRがメチル基またはエチル基である請求項1〜5のいずれか1項に記載のジフルオロ酢酸フルオリドの製造方法。

【公開番号】特開2010−64999(P2010−64999A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234853(P2008−234853)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】