説明

ジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置

【課題】伸縮可能範囲、現在位置の確認を容易に行うことができるジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置を提供する。
【解決手段】ジャッキ装置1は、ジブクレーンの支持脚35の先端に装着される。ジャッキ装置1は、ベース部材2、ねじ棒3、支持ケース4、目盛棒5、カバー筒6を具備する。ねじ棒3は、下端でベース部材2に回転自在に支持されて垂直に立ち上がり、下部外周に工具を掛ける回転操作部を有する。支持ケース4は、底壁にねじ棒3を螺挿させるナット12を有し、側壁には観察窓13と、支持脚35の接続部14とを有する。目盛棒5は、ねじ棒3の上端に固着され、上方へ垂直に伸びる。カバー筒6は支持ケース4内に固着され、それのふた17を目盛棒5が自由に貫通する。目盛棒5には、ジャッキの伸縮度示す目盛15が付され、ふた17を貫通する位置の目盛を支持ケースの観察窓13から目視確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、主として据え付け面に高低差のある場所に設置して使用されるジブクレーンに係り、ジブクレーンの支持部が設置される地形の傾斜度に対応できるように、支持脚の先端に結合して用いられるジャッキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送電線鉄塔等を地形の平坦でない場所、例えば山岳地帯や丘陵地に建設するに際しては、鉄塔構築資材などを運び上げるためにジブクレーンが使用されている。このようなジブクレーンは、傾斜地においても地面の掘削範囲を最小にして据え付けられるように考案されている(例えば特許文献1参照)。このジブクレーンにおいては、ブームを支持する旋回機構を搭載している支持基台から放射状に配される複数の支持脚の先端に、上下方向に取付位置を変更可能にジャッキ装置が装着される。ジャッキを伸縮調整して傾斜面での支持脚の支持高さを決定できる構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−277677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置においては、ねじ棒の過度な突出による部材応力負担増大に伴うネジの破損、これによるクレーンの転倒等の防止を図るため、安全上許容される伸縮範囲の確認が必要である。許容伸縮範囲の確認は、ねじ棒に刻印されたポンチ穴や切欠部の相対位置を目視確認すること等により行われる。このポンチ穴や切欠部は、小さくて見えにくい上に、ねじ棒の回転によって、常時一方向から確認することは不可能である。
したがって、この出願に係る発明は、許容伸縮範囲内にあるか否かの確認を容易に行うことができるジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、添付図面の符号を参照して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
上記課題を解決するための、この出願に係る発明のジャッキ装置1は、ブーム32を支持する旋回機構33を搭載している支持基台34から放射状に配される複数の支持脚35の先端に、上下方向に取付位置を変更可能に装着される。ジャッキ装置1は、ベース部材2と、ねじ棒3と、支持ケース4と、目盛棒5と、カバー筒6とを具備する。ベース部材2は、直接または間接に据え付け面上に配置される。ねじ棒3は、下端においてベース部材2上に回転自在に支持されて、ベース部材2から垂直に立ち上がる。支持ケース4は、底壁8と、それの周囲を囲んで内側にねじ棒3の受け入れ空間11を形成する側壁10とを有し、底壁8にねじ棒3を螺挿させるナット12を具備する。側壁10は、内部を目視観察できる観察窓13と、支持脚35を上下方向に位置変更可能に接続するための接続部14とを有する。目盛棒5は、支持ケース4内にあるねじ棒3の上端に下端が固着され、上方へ垂直に伸び、垂直方向の目盛15を有する。カバー筒6のような指示部材が、支持ケース4の受け入れ空間11内に固着され、それが目盛の一点を指示することにより、支持ケース4と目盛棒5との相対位置を示す。指示部材が指示する目盛値は、支持ケース4の側壁10の観察窓13から目視確認可能に構成される。
【発明の効果】
【0006】
この出願に係る発明の装置によれば、ジャッキが許容伸縮範囲内にあるか否か、残余の伸長許容量の確認を容易かつ確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ジブクレーンの正面図である。
【図2】図1のジブクレーンにおける支持脚の要部の拡大正面図である。
【図3】図1のジブクレーンにおける支持脚用ジャッキ装置の断面図である。
【図4】図3のジャッキ装置の反対側断面図である。
【図5】図3のジャッキ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。
ジブクレーン31は、ブーム32を支持する旋回機構33を搭載している支持基台34から放射状に複数の支持脚35が延出する。各支持脚35の先端に、据えつけ面の高さに応じて上下方向に取付位置変更可能に、ジャッキ装置1が装着される。
【0009】
ジャッキ装置1は、ベース部材2、ねじ棒3、支持ケース4、目盛棒5、カバー筒6を具備する。
【0010】
ベース部材2は、直接または継脚36を介して間接に据え付け面上に水平に配置される。
【0011】
ねじ棒3は、下端においてベース部材2上に軸周り回転自在に支持されて、ベース部材2から垂直に立ち上がる。ねじ棒3は、下部外周に、回転操作用工具を掛けるための回転操作部7を有する。
【0012】
支持ケース4は、ほぼ直方体箱状で、底壁8、天壁9、これら両壁8,9の周囲を囲む側壁10を有し、内側にねじ棒3の受け入れる空間11を形成する。底壁8の中央に、ねじ棒3を螺挿させるナット12が設けられる。側壁10には、内部を目視観察できる観察窓13と、ピンを貫通させて支持脚35を上下方向に位置変更可能に接続する接続部14とを有する。
【0013】
目盛棒5は、棒状体で、支持ケース4内にあるねじ棒3の上端に下端が固着され、上方へ垂直に伸びる。目盛棒5には目盛15が付される。図示の実施形態において、目盛15は、ジャッキの伸縮許容範囲(ねじ棒3と支持ケース4との許容される相対変位幅)を上下方向に5つに区分して色分けして表示する。すなわち、例えば、中央の「黒」、その上下に隣接する「緑」、さらにその上下に隣接する「赤」の3色で5区分に色分けされ、「黒」が「中間部」、「緑」が「安全部」、「赤」が「注意部」を意味する。
【0014】
カバー筒16は、支持ケース内4に螺挿されたねじ棒3を受け入れるように、支持ケースの底壁8に下端が固着され、受け入れ空間11内を垂直に伸びる。カバー筒16は、上端にふた17を具備する。ふた17は、中央に、目盛棒5を自由に貫通させる挿通孔16を有する。したがって、ねじ棒3と支持ケース4との上下方向の相対変位に伴い、ねじ棒3のふた17から突出する長さが変化する。そして、ふた17が、目盛棒5の目盛の一点を指示する。ふたが指示する目盛値を読むことにより、ジャッキ装置の伸縮の度合いを確認することができる。この場合、カバー筒16が、目盛の指示部材となる。指示部材の具体的構成は、カバー筒16の形態に限定されるものではない。支持ケース4の受け入れ空間11内に固着され、目盛棒5の目盛の一点を指示することにより、支持ケース4と目盛棒3との相対位置を示す構成であれば足りる。
【0015】
目盛棒5における、カバー筒6のふた17が指示する目盛値を支持ケース4の観察窓13から目視確認することにより、ジャッキ装置1が伸縮許容範囲内にあるか、また残余の伸縮許容量がどれ程あるか、を容易に確認することができる。このため、確認誤りが生じにくく、ねじ棒3の伸縮調整範囲を逸脱した状態でクレーンを設置することを防止でき、ねじ部にかかる応力の増大に伴うねじの破損、これに伴うクレーンの転倒が防止できる。
【符号の説明】
【0016】
1 ジャッキ装置
2 ベース部材
3 ねじ棒
4 支持ケース
5 目盛棒
6 カバー筒(指示部材)
7 回転操作部
8 底壁
9 天壁
10 側壁
11 空間
12 ナット
13 観察窓
14 接続部
15 目盛
16 挿通孔
17 ふた
31 ジブクレーン
32 ブーム
33 旋回機構
34 支持基台
35 支持脚
36 継脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームを支持する旋回機構を搭載している支持基台から放射状に配される複数の支持脚の先端に、上下方向に取付位置変更可能に装着されるジャッキ装置であって、
直接または間接に据え付け面上に配置されるベース部材と、
下端において前記ベース部材上に回転自在に支持されてベース部材から垂直に立ち上がるねじ棒と、
底壁と、底壁の周囲を囲んで内側に前記ねじ棒の受け入れ空間を形成する側壁とを有し、底壁に前記ねじ棒を螺挿させるナットを具備し、側壁には内部を目視観察できる観察窓と前記支持脚が上下方向に位置変更可能に接続される接続部を有する支持ケースと、
この支持ケース内にある前記ねじ棒の上端に下端が固着され、上方へ垂直に伸び垂直方向の目盛を具備する目盛棒と、
前記支持ケースの受け入れ空間内に固着され、前記目盛棒の目盛の一点を指示することにより支持ケースと目盛棒との相対位置を示す指示部材と、を具備し、
前記指示部材が指示する目盛値を支持ケース側壁の観察窓から目視確認可能に構成されることを特徴とするジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置。
【請求項2】
前記ねじ棒は、下部外周に回転操作部を有し、
前記支持ケースは、底壁と、天壁と、これら両壁の周囲を囲んで内側に前記ねじ棒の受け入れ空間を形成する側壁とを有し、底壁に前記ねじ棒を螺挿させるナットを具備し、側壁には内部を目視観察できる観察窓と前記支持脚が上下方向に位置変更可能に接続される接続部とを有し、
前記支持ケースと前記目盛棒との相対位置を示す前記指示部材は、支持ケース内に螺挿された前記ねじ棒を受け入れるように、前記支持ケースの受け入れ空間内に固着され、目盛棒を自由に貫通させるふたを上端に具備するカバー筒からなり、ふたが目盛棒の目盛の一点を指示することにより支持ケースと目盛棒との相対位置を示すことを特徴とする請求項1に記載のジブクレーンの支持脚用ジャッキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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