説明

ジベンジリデンソルビトールエステルタイプの化合物、調製方法、使用、それらを含む組成物および美容処置方法

本発明は、以下の式(I)および(II)に対応する新規なジベンジリデンソルビトールエステルタイプの化合物に関する:


[式中、
- R、R'およびR''は、水素原子または-C(O)Y基(式中、Yは、C2〜C25炭化水素基または任意選択により置換されているアリール基を表す)を表し;
- R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基は、水素原子;C1〜C18アルキル基;C1〜C18アルコキシ基;フェノキシ基;任意選択により置換されているフェニル基;またはベンジル基を表し;
- 二価の基Aは、式(II)において、C1〜C52炭化水素基;任意選択により置換されているアリーレン基;またはシリコーン基を表す]。
本発明はまた、それらの調製方法、親油性媒質、特に油の構造化におけるそれらの使用、それらを含む化粧用組成物または医薬組成物およびそれらを用いる美容処置方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の対象は、新規なジベンジリデンソルビトールエステル、それらの調製方法、親油性媒質、特に油の構造化におけるそれらの使用、それらを含む化粧用組成物およびそれらを用いる美容処置方法である。
【背景技術】
【0002】
化粧用組成物は、容易な適用を可能にするために一般に増粘される。配合者は、親水性媒質および油などの親油性媒質の両方を増粘およびゲル化するための非常に多くの可能性を利用し得る。したがって、満足のいく粘稠性、長期間にわたる許容できる安定性および適した崩壊性を同時に有するスティックが得られるまで油を増粘するために、当業者は、本質的に、ポリエチレンワックス、キャンデリラロウ、カルナウバロウまたはミツロウなどのワックス、およびペースト状化合物、主にラノリンである結晶化可能な化合物を一般に使用する。一般に、50〜70%の油およびペースト状化合物で構成される混合物は、12〜20%のワックスの添加による崩壊性スティックの製造を可能にする粘稠性のレベルにすることができる。しかしながら、このようにして得られるスティックは、艶がなく容易に壊れるという不利な点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US 4 154 816
【特許文献2】US 4 743 444
【特許文献3】US 4 816 261
【特許文献4】US 5 609 855
【特許文献5】EP 0 531 224
【特許文献6】JP05025077
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は特に、親油性媒質、特に油を構造化または増粘するために用いられることができる新規な化合物を提供することによってこの不利な点を克服し、容易に壊れない光沢のあるスティックの生成をもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
多くの研究の後、出願人の会社は、驚くべきことにおよび予期しないことに、ジベンジリデンソルビトールエステルの新規なファミリーが、この目的の達成を可能にできること、特に、スティックタイプの粘稠性が得られるまで油の粘稠性を増加させることができ、前記スティックはさらに、ワックスをベースとする通常のスティックよりもはるかに柔らかくかつはるかに壊れにくく、非常に容易にくずれ、容易な、正確な、迅速なおよび努力を要しない付着を得ることを可能にできることを発見した。
【0006】
本発明によるジベンジリデンソルビトールエステルを用いて、通常用いられるワックスを完全にまたは部分的に置き換えることが可能であることが見出された。
【0007】
したがって、本発明の対象は、下記で定義される式(I)および(II)のうちの1つに対応するジベンジリデンソルビトールエステルタイプの化合物である。
【0008】
本発明の別の対象は、前記式(I)または(II)の化合物の調製方法である。
【0009】
本発明の別の対象は、生理学的に許容される媒質中に、少なくとも1種のそのような式(I)または(II)の化合物を含む化粧用組成物または医薬組成物である。
【0010】
本発明のさらに別の対象は、特に親油性媒質のための構造化剤、増粘剤またはゲル化剤としての、特に、単独でまたは混合物として、揮発性または不揮発性の、炭素を含む、炭化水素を含む、フッ素を含む、および/またはシリコーンを含む、無機物、動物、植物または合成起源の油および/または溶媒から選ばれる少なくとも1種の化合物を好ましくは含む化粧用組成物または医薬組成物における、少なくとも1種のそのような式(I)または(II)の化合物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ジベンズアルデヒドモノソルビトールアセタールまたはDBSとしても知られているジベンジリデンソルビトールは、低級アルコール(エタノール、イソプロパノール)、ジオールおよびトリオール(プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブチレングリコール、グリセロール)さらにまたは液体ポリグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール)などの一部の極性溶媒を適当に構造化することを可能にする、よく知られている化合物である。アルコール、ジオールおよび/またはポリオールをベースとする制汗スティックを得るためのその使用を提供するUS 4 154 816、US 4 743 444またはUS 4 816 261を特に挙げることができる。
【0012】
US 5 609 855において、非常に良好な安定性を有する制汗スティックを得るために、酸性媒質、ジベンジリデンアルジトール中でより安定であるDBSの置換誘導体の使用もまた提供されている。
【0013】
EP 0 531 224もまた挙げることができ、これは、ジベンジリデン-オースタイプのDBSの置換誘導体とスルホスクシネートタイプの硬化剤を合わせることによって得られるポリオールおよび水をベースとするスティックを記載している。
【0014】
JP05025077において、油を乳化するためおよびそれらを増粘するためのC10〜C22ソルビトールエーテルの使用が提供されている。
【0015】
しかしながら、上記で挙げたジベンジリデンソルビトールおよび誘導体では、適当にくずれることができる適切な粘稠性のスティックを製造することができるように油を十分に増粘することは可能ではない。
【0016】
本発明によるジベンジリデンソルビトールエステルは、それらとして、当技術分野の技術水準を構成し、艶消しの不透明なスティックをもたらすワックスおよびペースト状化合物をベースとする従来のスティックとは対照的に、半透明でもあり光沢もある口紅スティックを得ることを可能にし、本発明によるスティックは加えて、良好な安定性および優れた崩壊性の両方を示し、容易なおよび正確な付着を行うことを可能にする。
【0017】
本発明によるジベンジリデンソルビトールエステルを用いて得られたスティックは、有利には、ワックスをベースとする通常のスティックよりもはるかに透明であることもまた見出された。
【0018】
さらに、本発明による化粧用組成物は、良好な適用性および良好な伸び(coverage);爪、毛髪、睫毛、皮膚または唇のいずれにおいても良好な支持体への密着;例えば口紅の場合において、クラックを防止するための、フィルムの適切な柔らかさおよび適切な強度;ならびに優れたレベルの持続する光沢性を示す。快適性および滑り特性もまた非常に満足のいくものである。
【0019】
本記載において、「アリール」という用語は、特に、ベンジル、フェニル、トリル、キシリルまたはナフチル、および例えばフェネチル(フェニルエチル)またはメチルナフチルなどの、1つまたは複数のアルキルによって置換されているそれらの形態などの芳香環系から得られる任意の置換基を意味すると理解される。
【0020】
本発明との関連において使用することができるジベンジリデンソルビトールエステルは、以下の式(I)および(II)に相当する。
【0021】
【化1】

【0022】
これらの式において、R、R'およびR''は、互いに独立して、水素原子または-C(O)Y基(式中、Yは、
- 飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC2〜C25、好ましくはC3〜C23、さらに好都合にはC4〜C21炭化水素基;または
- 1個〜3個の飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC1〜C32、特にC2〜C12、実際さらにはC3〜C8炭化水素基によって任意選択により置換されている、5個〜14個の炭素原子を含むアリール基
のいずれかを表す)を表し;
RおよびR'は同時に水素原子を表すことはないことが理解される。
【0023】
Yが炭化水素基であるとき、Yは、好ましくはC2〜C25、好ましくはC3〜C23、さらに好都合にはC4〜C21、実際さらにはC6〜C19の、(飽和の、直鎖状または分岐状の)アルキル基;そうでなければ1個〜3個のメチルによって、または直鎖状もしくは分岐状のC2〜C8アルキル基によって任意選択により置換されているC5〜C6環状(シクロアルキル)基;あるいはさらに1個または2個の共役または非共役二重結合を含むC10〜C17アルケニル基である。
【0024】
Yがアリール基であるとき、Yは、好ましくは、フェニル基または、特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチルもしくはイソオクチルから選ばれる1個〜3個の飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC1〜C32、特にC2〜C12、実際さらにはC3〜C8炭化水素基によって置換されているフェニル基から選ばれる。
【0025】
Yには、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2-エチルプロピル、ヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、4-エチルペンチル、2-エチルヘキシル、4,5-ジメチルヘキシル、2-ヘプチルヘプチル、3,5,5-トリメチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、ノニル、イソノニル、デシル、ネオデシル、ウンデシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、ペンタデシル、パルミチル、ステアリル、イソステアリル、アラキジル、ベヘニル、ヘキサコサノイル、シクロペンチル、シクロペンチルメチル、3-シクロペンチルプロピオニル、シクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert-ブチルシクロヘキシル、n-ブチルシクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、4-シクロヘキシルブチリル、カプロレイル、ウンデシレニル、ドデシレニル、ミリストレイル、パルミトレイル、オレイル、セトレイル、リノレイル、リノレニル、トルイル、キシリル、ナフチル、フェニル、4-(tert-ブチル)フェニル、1-メチル-2-ナフチル、2-イソプロピル-1-ナフチル、ベンジルまたはフェネチル(フェニルエチル)基を特に挙げることができる。
【0026】
好ましくは、Yは、直鎖状または分岐状のC2〜C25、好ましくはC3〜C23、さらに好都合にはC4〜C21、実際さらにはC6〜C19アルキル基である。
【0027】
式(I)の本発明による化合物において、RおよびR'は同時に水素原子を表すことはないことが理解される。好ましい一実施形態において、R'=HおよびR=COYである。
【0028】
式(II)の本発明による化合物において、好ましい一実施形態において、R''=Hである。
【0029】
式(I)および(II)において、R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基は、互いに独立して、
- 水素原子;
- 直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキル基;
- 直鎖状または分岐状のC1〜C18アルコキシ基;
- フェノキシ基;
- メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルまたはtert-ブチルから選ばれる1個〜3個の基によって任意選択により置換されているフェニル基;
- ベンジル基
を表す。
【0030】
2つの連続した基が、一緒になって、シクロヘキシル環を形成することもまた可能であり、残りの基は上記に示した意味を有する。
【0031】
したがって、(R1、R2)または(R2、R3)または(R3、R4)または(R4、R5)基は、一緒になって、シクロヘキシル環を形成することができる。
【0032】
同じく、(R'1、R'2)または(R'2、R'3)または(R'3、R'4)または(R'4、R'5)基は、一緒になって、シクロヘキシル環を形成することができる。
【0033】
式(I)の化合物において、R1、R2、R3、R4およびR5基のうちの好ましくは少なくとも2つは、水素原子を表す。
【0034】
式(I)の化合物において、好ましい一実施形態において、R1、R2、R3、R4およびR5基のすべてならびに/またはR'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基のすべては、水素原子を表す。
【0035】
式(I)の化合物において、別の好ましい実施形態において、R1、R2、R3、R4およびR5基のうちの少なくとも2つ、好ましくは2つならびに/またはR'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基のうちの少なくとも2つ、好ましくは2つは、直鎖状または分岐状のC1〜C18アルキル基、好ましくはメチルを表す。
【0036】
好ましくは、式(I)において、RおよびR'が同時にベンゾイル基を表すとき、R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基のうちの少なくとも1つは、水素原子以外である。
【0037】
式(II)の化合物において、R1、R2、R3、R4およびR5基のうちの好ましくは少なくとも2つならびにR'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基のうちの少なくとも2つは、水素原子を表す。
【0038】
上記の式(II)において、二価の基Aは、
- 飽和もしくは不飽和の、直鎖状、環状もしくは分岐状の二価のC1〜C52、好ましくはC2〜C36、さらに好都合にはC3〜C36、実際さらにはC4〜C34炭化水素基;特に、C1〜C52、好ましくはC2〜C34アルキレン基(飽和の、直鎖状または分岐状);特に、飽和直鎖状C8もしくはC34アルキレン基;または
-特に、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、オクチルまたはイソオクチルから選ばれる1個〜3個の飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC1〜C32、さらに好都合にはC2〜C12、実際さらにはC3〜C8炭化水素基、特にアルキル基によって任意選択により置換されている、C6〜C14、さらに好都合にはC8〜C12二価のアリーレン基(特に、フェニレン(ベンゼンジイル)、ナフチレン(ナフタレンジイル)、キシリレンまたはビフェニレン基を特に挙げることができる);または
-式(III)の二価のシリコーン基:
【0039】
【化2】

【0040】
(式中、
- pおよびqは、互いに独立して、0または1であり、
- BおよびB'は、互いに独立して、1個〜12個の炭素原子、特に2個〜8個の炭素原子を含み、O、SおよびNから選ばれる1個または複数のヘテロ原子、特にOを任意選択により含む(特にエーテル)、飽和または不飽和の、実際さらには芳香族の、直鎖状、分岐状および/または環状の二価の炭素を含む基、特に炭化水素基;特にアルキレン基を表し;そうでなければ、BおよびB'は、独立して、x=1、2または3およびz=1〜10である式-[(CH2)xO]z-の基を表し;
- R7〜R12は、互いに独立して、1個〜20個の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、実際さらには芳香族の、直鎖状、分岐状および/または環状の、炭素を含む基、特に炭化水素基であり;
- mおよびnは、互いに独立して、0から140、特に1から120の間の整数であり、式(III)の基の重量平均分子量(Mw)が300から20000の間となるようなものである)
のいずれかを表す。
【0041】
特に、BおよびB'は、互いに独立して、a=1〜12である式-(CH2)a-の二価の基、特にメチレン、エチレンまたはプロピレン、またはフェニレン基、そうでなければx=1、2または3およびz=1〜10;特にx=2または3およびz=1〜4;さらに好都合にはx=3およびz=1である式-[(CH2)xO]z-の基を表すことができる。
【0042】
特に、R7〜R12は、互いに独立して、1個〜20個の炭素原子、特に2個〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状のアルキル基、そうでなければ5個〜20個の炭素原子、特に6個〜12個の炭素原子を含むアリール基、またはさらに5個〜20個の炭素原子、特に5個〜12個の炭素原子を含むシクロアルキル基である。
【0043】
好ましくは、R7〜R12は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルおよびオクタデシル;シクロヘキシル;フェニル、ナフチル、ベンジル、フェニルエチル、トリルまたはキシリル基から選択される。
【0044】
好ましくは、mおよびnは、式(III)の基の重量平均分子量(Mw)が400から10000の間、実際さらには800から4000の間となるようなものである。
【0045】
二価の基Aは、特に、メチレン、エタンジイル、プロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル、デカンジイル、ウンデカンジイル、ドデカンジイル、トリデカンジイル、テトラデカンジイル、ペンタデカンジイル、ヘキサデカンジイル、ヘプタデカンジイル、オクタデカンジイル、シクロヘキサンジイル、ベンゼンジイル、ナフタレンジイル、ビフェニレンまたはキシリリデン基から;ならびに、UniqemaによってPripol1006、1009、1013および1017という名称で販売されている製品などの脂肪酸二量体(特にC36二量体)から生じる基から選ばれる。
【0046】
二価の基Aはまた、ポリアルキルシロキサン、特にポリジメチルシロキサン;そうでなければポリアリールシロキサン、特にポリフェニルシロキサン;またはさらにポリアリール/アルキルシロキサン、特にポリフェニル/メチルシロキサンもしくはポリフェニル/プロピルシロキサンなどの基から選ぶこともできる。
【0047】
非常に詳細には、Aは、400から10000の間、実際さらには500から5000の間、特に800から4000の間の重量平均分子量(Mw)を特に有する二価のポリジメチルシロキサン基を表すことができる。
【0048】
特に好ましい式(I)または(II)の化合物として、以下の化合物を挙げることができる:
【0049】
【化3A】

【0050】
【化3B】

【0051】
【化3C】

【0052】
【化3D】

【0053】
【化3E】

【0054】
【化3F】

【0055】
【化3G】

【0056】
非常に明らかに、式(I)および/または式(II)の化合物の混合物が使用されてもよい。
【0057】
本発明の別の対象は、式(I)および(II)の化合物の調製方法である。
【0058】
本発明によるエステルは、当業者によって通常用いられるエステル化およびエステル交換プロセスによって調製することができる。
【0059】
式(I)の化合物の調製のための一般的な方法は、下記式(A)のジベンジリデンソルビトール誘導体を、例えば、アセトニトリル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で、例えば、第三級アミンなどの有機または無機であってよい塩基の存在下において、40℃と選ばれた溶媒の沸点の間とすることができる温度で、少なくとも1種の式Y-C(O)-Halの酸ハロゲン化物、好ましくは酸塩化物と反応させる段階を含み得る。
【0060】
式(I)の化合物において、YがY'とは異なるとき、酸ハロゲン化物の混合物が使用され、そのときこのハロゲン化物は同時におよび/または逐次的に添加することができる。
【0061】
【化4】

【0062】
式(II)の化合物の調製のための一般的な方法は、式(A)のジベンジリデンソルビトール誘導体を、アセトニトリル、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒中で、例えば、第三級アミンなどの有機または無機であってよい塩基の存在下において、40℃と選ばれた溶媒の沸点の間とすることができる温度で、酸二ハロゲン化物Hal-CO-A-CO-Hal、好ましくは酸二塩化物、および任意選択により酸ハロゲン化物Y-C(O)-Hal、好ましくは酸塩化物と反応させる段階を含み得る。
【0063】
【化5】

【0064】
本発明による式(I)または(II)のジベンジリデンソルビトールエステルは、有利には、生理学的に許容される媒質、特に化粧品としてまたは薬学的に許容される媒質、すなわち、顔または体の皮膚、唇、毛髪、睫毛、眉毛および爪などのケラチン物質と適合性の媒質をさらに含む組成物、特に化粧用組成物または医薬組成物において使用することができる。
【0065】
これは、本発明によるジベンジリデンソルビトールエステルが、通常用いられる化粧用の油性媒質、特に植物油、C6〜C32アルカン、C8〜C32脂肪エステル、C8〜C32脂肪アルコール、C3〜C8エステルまたはシリコーン油、より特には少なくともイソドデカン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコーン、安息香酸C12〜C15アルキル、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびそれらの混合物を含む媒質を構造化することを可能にすることができることが見出されたためである。
【0066】
本発明による化合物はまた、構造化剤または増粘剤、実際さらにはゲル化剤として、塗料、ワニスおよび接着剤産業の分野に適用することができる。
【0067】
組成物中に存在する本発明による前記エステルの量は、当然ながら、流動性ゲルからスティックまで様々であり得る組成物のタイプに、および/または所望される性質に依存し、その量は、最終的な化粧用組成物または医薬組成物の総重量に対して、0.05重量%から30重量%の間、好ましくは0.1重量%から25重量%の間、特に0.2重量%から20重量%の間、実際さらには0.5重量%から18重量%の間、さらに好都合には1重量%から16重量%の間であり得る。
【0068】
本発明による組成物は、想定される適用に応じて、このタイプの組成物にとって標準的な構成要素を含み得る生理学的に許容される媒質、特に化粧品として許容される媒質をさらに含む。
【0069】
したがって、本発明による組成物は、有利には、それらが均質および安定な混合物を形成し、想定される使用に適合性である限りにおいて、単独でまたは混合物として、揮発性または不揮発性の、炭素を含む、炭化水素を含む、フッ素を含む、および/またはシリコーンを含む、無機物、動物、植物または合成起源の油および/または溶媒から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むことができる油相、特に、液体油相を含み得る。
【0070】
「揮発性の」という用語は、本発明の意味の範囲内で、ケラチン物質または唇と接触すると、周囲温度(25℃)および大気圧(1atm)で1時間未満以内に蒸発することができる任意の化合物を意味すると理解される。特に、この揮発性化合物は、周囲温度および大気圧で、特に、0.13Pa〜40000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲の、特に、1.3Pa〜13000Pa(0.01〜100mmHg)の範囲の、ゼロでない蒸気圧を有する。対照的に、「不揮発性の」という用語は、周囲温度および大気圧で少なくとも1時間、ケラチン物質または唇上に残存し、特に、10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する化合物を意味すると理解される。
【0071】
好ましくは、本発明による組成物の生理学的に許容される媒質は、単独でまたは混合物として、以下から選ばれる少なくとも1種の油および/または1種の溶媒を含むことができる:
1/ モノカルボン酸のモノアルコールおよび多価アルコールとのエステル;有利には、前記エステルは、安息香酸C12〜C15アルキルであり、または、以下の式:R'1-COO-R'2(式中、
R'1は、1つまたは複数のエチレン二重結合を任意選択により含み、任意選択により置換されている、1個〜40個の炭素原子の、好ましくは7個〜19個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、その炭化水素鎖は、NおよびOから選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子および/または1つまたは複数のカルボニル官能基によって中断されていてもよく、
R'2は、1つまたは複数のエチレン二重結合を任意選択により含み、任意選択により置換されている、1個〜40個の炭素原子の、好ましくは2個〜30個の炭素原子の、さらに好都合には3個〜20個の炭素原子の直鎖状または分岐状のアルキル基を表し、その炭化水素鎖は、NおよびOから選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子および/または1つまたは複数のカルボニル官能基によって中断されていてもよい)に相当する。
「任意選択により置換されている」という用語は、R'1および/またはR'2が、アミノ、アミン、アルコキシまたはヒドロキシルなどの、Oおよび/またはNから選ばれる1つまたは複数のヘテロ原子を含む基から例えば選ばれる1つまたは複数の置換基を保有することができることを意味すると理解される。R'1基の例は、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、オレオステアリン酸、アラキドン酸およびエルカ酸ならびにそれらの混合物からなる群から選ばれる酸から得られるものである。好ましくは、R'1は、1個〜14個の炭素原子、好ましくは4個〜10個の炭素原子を有する非置換の分岐状アルキル基であり、R'2は、2個〜15個の炭素原子、好ましくは5個〜11個の炭素原子を有する非置換の分岐状アルキル基である。
【0072】
NおよびOから選ばれる1つもしくは複数のヘテロ原子および/または1つもしくは複数のカルボニル官能基をそれらの炭化水素鎖中に任意選択により組み込んでいるC4〜C48エステル、より特には酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸アミルまたは酢酸イソアミル;Purcellin油(オクタン酸セテアリル)、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸C12〜C15アルキル、ラウリン酸ヘキシルまたはアジピン酸ジイソプロピル;アルコールまたは多価アルコールの、例えば、脂肪アルコールの、ヘキサン酸エステル、ヘプタン酸エステル、オクタン酸エステル、デカン酸エステルまたはリシノール酸エステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、またおよびN-ラウロイルサルコシンイソプロピル(特に味の素株式会社製のEldew-205SL)など;ヒドロキシル化エステル、例えば、乳酸エチル、乳酸イソステアリルまたはリンゴ酸ジイソステアリルなど;およびペンタエリトリトールエステル;分岐状C8〜C16エステル、特にネオペンタン酸イソヘキシルを特に挙げることができる。
【0073】
2/ 脂肪酸とグリセロールのエステルで構成される高含有量のトリグリセリドを含む炭化水素植物油、その脂肪酸は、C4〜C24の様々な鎖長を有することができ、鎖は直鎖状または分岐状であり、飽和または不飽和であることが可能である;これらの油は、特に、小麦胚芽油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、シア油、ヒマシ油、スイートアーモンド油、マカダミア油、アプリコット油、大豆油、菜種油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ種子油、ゴマ油、キュウリ油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、ブラックカラント種子油、月見草油、キビ油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライ麦油、ベニバナ油、ククイナッツ油、トケイソウ油、マスクローズ油、ホホバ油、パーム油もしくはカロフィルム油;または、Stearinerie Duboisによって販売されているものもしくはDynamit Nobelによって「Miglyol810(登録商標)」、「812(登録商標)」および「818(登録商標)」という名称で販売されているものなどのカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドである。
【0074】
3/ オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-ヘキシルデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノールおよびオクチルドデカノールなどのC6〜C32、特にC12〜C26アルコール、特にモノアルコール;
【0075】
4/ 5個〜100個の炭素原子を有する炭化水素油から選ぶことができる、合成または無機物起源の、揮発性または不揮発性の、直鎖状または分岐状の炭化水素油、特に、ワセリン、ポリデセン、Parleamなどの水添ポリイソブテン、スクワラン、ペルヒドロスクワレンおよびそれらの混合物。
石油起源のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)などの直鎖状、分岐状および/または環状のC5〜C48アルカン、好ましくは分岐状C8〜C16アルカン;特にデカン、ヘプタン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンまたはシクロヘキサン;またおよびイソドデカン、イソデカンまたはイソヘキサデカン;およびそれらの混合物を、さらに特に挙げることができる。
【0076】
5/ 揮発性または不揮発性のシリコーン油;
揮発性のシリコーン油として、揮発性の直鎖状または環状のシリコーン油、特に8センチストーク未満の粘度を有し、特に2個〜10個のケイ素原子を有するもの(これらのシリコーンは、1個〜22個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を任意選択により含む)、特に、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルヘキシルジメチルシロキサンおよびそれらの混合物を挙げることができる。
【0077】
本発明により使用することができる不揮発性シリコーン油は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントアルキルもしくはアルコキシ基および/またはシリコーン鎖の末端のアルキルもしくはアルコキシ基(基は2個〜24個の炭素原子をそれぞれ有する)を含むポリジメチルシロキサン、または、フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンもしくは(2-フェニルエチル)トリメチルシロキシシリケートなどのフェニル化シリコーンとすることができる。
【0078】
加えて、油相は、単独でまたは混合物として、以下から選ぶことができるさらなる油および/または溶媒を含むことができる:
- フッ素化油、例えば、ペルフルオロポリエーテル、ペルフルオロアルカンなど、例えば、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロアダマンタン、ペルフルオロアルキルホスフェートのモノエステル、ジエステルおよびトリエステルならびにフッ素化エステル油など;
- 動物起源の油;
- 周囲温度で液体である、プロピレングリコールエーテルなどの、C6〜C40エーテル、特にC10〜C30エーテル、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、またはジプロピレングリコールモノ(n-ブチル)エーテルなど;
- C8〜C32脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびそれらの混合物など;
- エステルおよび/またはアミドから選ばれる2つの官能基を含み、6個〜30個の炭素原子、特に8個〜28個の炭素原子、ならびにOおよびNから選ばれる4個のヘテロ原子を含む二官能性油(アミドおよびエステル官能基は好ましくは鎖中にある);
- 周囲温度(25℃)で液体であるケトン、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンまたはアセトンなど;
- 周囲温度で液体であるアルデヒド、例えば、ベンズアルデヒドまたはアセトアルデヒドなど。
【0079】
液体油相は、組成物の1重量%〜99重量%、特に、組成物の総重量の2重量%〜90重量%、特に5重量%〜75重量%、実際さらには10重量%〜60重量%、さらに好都合には20重量%〜55重量%に相当することができる。
【0080】
組成物はまた、ワックス、ペースト状脂肪性物質、ガムおよびそれらの混合物などの、周囲温度で固体である脂肪性物質を含むことができる。これらは、動物、植物、無機物または合成起源とすることができる。
【0081】
「ワックス」という用語は、本発明の意味の範囲内で、周囲温度(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を示し、120℃までの範囲とすることができる25℃以上の融点を有する親油性化合物を意味すると理解される。ワックスを液体状態にする(融解)と、それを、存在し得る油と混和性にすることおよび顕微鏡下で均一な混合物を形成することが可能であるが、混合物の温度を周囲温度に戻すと、混合物の油中でのワックスの再結晶化が得られる。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、MettlerによってDSC 30の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。ワックスは、炭化水素、フッ素化および/またはシリコーンワックスとすることができ、植物、無機物、動物および/または合成起源とすることができる。特に、ワックスは、30℃を超える、さらに好都合には45℃を超える融点を示す。本発明の組成物において使用することができるワックスとして、ミツロウ、カルナウバもしくはキャンデリラロウ、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、セレシンまたはオゾケライト;ポリエチレンもしくはFischer-Tropschワックスなどの合成ワックス;または16個〜45個の炭素原子を有するアルキルもしくはアルコキシジメチコーンなどのシリコーンワックスを挙げることができる。
【0082】
ガムは、一般に高分子量のポリジメチルシロキサン(PDMS)またはセルロースガムまたは多糖であり、ペースト状物質は、一般に、ラノリンおよびそれらの誘導体などの炭化水素化合物、またはさらにPDMSである。
【0083】
「ペースト状脂肪性物質」という用語は、液体部分および固体部分を含む粘性の製品を意味すると理解される。20℃〜55℃の範囲の融点および/またはContraves TVまたはRheomat 80を用いて測定された0.1〜40Pa.s(1〜400ポイズ)の範囲の40℃での粘度を有する脂肪性物質を意味することが特に意図されている。当業者は、その一般的な知識に基づいて、試験されるペースト状化合物の粘度の測定を実行することができるように粘度測定を可能にするMS-r3およびMS-r4スピンドルから選ぶことができる。好ましくは、これらの脂肪性物質は、任意選択によりポリマータイプの炭化水素化合物(主に炭素および水素原子ならびに任意選択によりエステル基を含む)である;脂肪性物質はまた、シリコーン化合物および/またはフッ素化化合物から選ぶこともできる;脂肪性物質はまた、炭化水素化合物および/またはシリコーン化合物および/またはフッ素化化合物の混合物の形態で提供することもできる。異なるペースト状脂肪性物質の混合物の場合において、好ましくは、ペースト状炭化水素化合物が主に使用される。本発明による組成物において使用することができるペースト状化合物の中で、ラノリンおよびアセチル化ラノリンまたはオキシプロピレン化ラノリンまたはイソプロピルラノレートなどのラノリン誘導体;脂肪酸または脂肪アルコールのエステル、特に20個〜65個の炭素原子を有するもの、例えば、クエン酸トリイソステアリルまたはクエン酸セチルなど;プロピオン酸アラキル;ポリビニルラウレート;植物起源のトリグリセリドなどのコレステロールエステル、例えば、水添植物油、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)などの粘性のポリエステル、ならびにそれらの混合物を挙げることができる。植物起源のトリグリセリドとして、水添ヒマシ油誘導体を使用してもよい。シリコーンペースト状脂肪性物質、例えば、8個〜24個の炭素原子を有するアルキルまたはアルコキシタイプのペンダント鎖を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)など、例えば、ステアリルジメチコーンなどもまた挙げることができる。
【0084】
固体物質の性質および量は、力学特性および所望されるテクスチャーに依存する。示唆のために、組成物は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜50重量%のワックス、特に1重量%〜30重量%のワックスを含むことができる;組成物が、ワックスまたは固体脂肪性物質を含まない(0%)ことも可能である。
【0085】
組成物はまた、水および/または1種または複数の親水性有機溶媒、例えば、直鎖状または分岐状のC2〜C5アルコールなど、特にモノアルコール、例えば、エタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノールなど;ポリオール、例えば、グリセロール、ジグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはペンチレングリコールなど;ポリエチレングリコール、または代替としてC2エーテルおよび親水性C2〜C4アルデヒドを含む親水性媒質を含むことができる。水および/または親水性有機溶媒は、組成物の総重量に対して1重量%〜80重量%の含有量で本発明による組成物中に存在することができる。組成物はまた、無水物(0%水)とすることができる。
【0086】
本発明による組成物はまた、顔料、充填剤、真珠光沢剤およびグリッターなどの粉末状化合物、ならびに/または脂溶性または水溶性の色素から選ばれる1種または複数の着色材料を含むことができる。
【0087】
着色材料、特に粉末状着色材料は、組成物の重量に対して、0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.1重量%〜40重量%、実際さらには1重量%〜30重量%の含有量で組成物中に存在することができる。
【0088】
「顔料」という用語は、生理的媒質中に不溶性であり、組成物を着色することを目的とする、任意の形状の白色のまたは着色された無機または有機粒子を意味すると理解されるべきである。
【0089】
「真珠光沢剤」という用語は、特定の貝によってそれらの殻において特に生成される、そうでなければ合成される任意の形状の玉虫色の粒子を意味すると理解されるべきである。
【0090】
顔料は、白色または着色されていてよく、無機および/または有機であってよく、干渉性または非干渉性であってよい。無機顔料の中で、任意選択により表面処理された二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、またおよび酸化鉄または酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、クロム水和物およびフェリックブルー(ferric blue)を挙げることができる。有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、およびコチニールカルミンに基づく、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムのレーキを挙げることができる。
【0091】
真珠光沢顔料は、酸化チタンでまたはオキシ塩化ビスマスで被覆されたマイカなどの白色真珠光沢顔料、酸化鉄を含む酸化チタン被覆マイカ、特にフェリックブルーもしくは酸化クロムを含む酸化チタン被覆マイカ、または上述のタイプの有機顔料を含む酸化チタン被覆マイカなどの着色された真珠光沢顔料、およびオキシ塩化ビスマスに基づく真珠光沢顔料から選ぶことができる。
【0092】
「充填剤」という用語は、組成物にこし(body)または剛性を与え、および/または化粧品に柔らかさ、艶消し性および均一性を与えることを目的とした、無色または白色の、無機または合成の、層状または非層状の粒子を意味すると理解されるべきである。充填剤は、無機または有機、および任意の形状、小板、球状または楕円形であってよい。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロン、ポリ-β-アラニンおよびポリエチレン粉末、Teflon、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマー粉末、Expancel(Nobel Industrie)、Polytrap(Dow Corning)およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、株式会社東芝製のTospearls)などの中空ミクロスフェア、沈殿された炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos製のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックのマイクロカプセル、または8個〜22個の炭素原子、好ましくは12個〜18個の炭素原子を有する有機カルボン酸から得られる金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0093】
脂溶性色素は、例えば、Sudan赤、DC Red17、DC Green6、β-カロテン、大豆油、Sudanブラウン、DC Yellow11、DC Violet2、DC Orange5またはキノリンイエローである。脂溶性色素は、組成物の重量の0.01%〜20%、さらに好都合には0.1%〜6%に相当することができる。
【0094】
水溶性色素は、例えば、ビート根ジュースまたはメチレンブルーであり、組成物の総重量の0.01%〜6%に相当することができる。
【0095】
本発明による組成物はまた、ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、軟化剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、塩基性化または酸性化剤、防腐剤、日焼け止め剤、界面活性剤、酸化防止剤、化粧用活性成分、噴射剤、セラミド、フィルムを形成することができる追加の薬剤、ポリマー、特に、フィルム形成ポリマー、またはそれらの混合物などの、化粧料において一般に使用される成分を含むことができる。当然ながら、当業者は、本発明による組成物の有利な特性が想定される添加によって不利益な影響を受けないまたは実質的に受けないように、このまたはこれらの任意選択の追加の成分および/またはそれらの量を注意して選ぶはずである。
【0096】
本発明による組成物は、ベシクル;任意選択により増粘された、実際さらにはゲル化された、水性または油性の溶液;水中油、油中水もしくはマルチプルエマルジョン;ゲルもしくはフォーム;油性のまたは乳化されたゲル;ベシクルの、特に脂質ベシクルの分散液;2相もしくは多相ローション;スプレー;ルースパウダー、コンパクトパウダーもしくはキャストパウダー;または無水ペーストによって、懸濁液または分散液の、特に、水中油の形態で提供することができる。この組成物は、ローション、クリーム、軟膏(salve)、柔らかいペースト、軟膏(ointment)、フォーム、特にスティックの形態でまたはディッシュにおいてキャストまたは成型された固体、または圧縮された固体の外観を有することができる。
【0097】
当業者は、その一般的な知識に基づいて、一方では、使用される構成要素の性質、特に支持体中でのそれらの可溶性を、他方では、組成物について想定される適用を考慮に入れて、適切な製剤形態およびその調製方法を選ぶことができる。
【0098】
本発明による化粧用組成物は、体もしくは顔の皮膚、唇、爪、睫毛、眉毛および/または毛髪のためのケアおよび/またはメークアップ製品、日焼け止めもしくはセルフタンニング製品、または毛髪をケアする、処置する、洗浄する、コンディショニングする、成形する、メークアップするもしくは染色するための毛髪用製品の形態で提供することができる。
【0099】
したがって、本発明による化粧用組成物は、メークアップ用組成物、特に、ファンデーション、フェースパウダーもしくはアイシャドウなどの顔色のための製品;口紅、グロスもしくは唇ケア製品などの唇のための製品;コンシーラー;頬紅、マスカラもしくはアイライナー;眉毛をメークアップするための製品、リップペンシルもしくはアイペンシル;マニキュア液もしくはネイルケア製品などの爪のための製品;体をメークアップするための製品;または毛髪をメークアップするための製品(ヘアマスカラ)の形態で提供することができる。
【0100】
本発明による化粧用組成物はまた、顔の、首の、手のまたは体の皮膚のための保護、洗浄、衛生またはケア組成物、特に、抗しわ組成物;保湿または処置組成物;日焼け止めもしくは人工日焼け(セルフタンニング)組成物;または脱臭もしくは制汗組成物の形態で提供することもできる。
【0101】
本発明による化粧用組成物はまた、特に、シャンプー、ゲル、ヘアセット用ローション、ブロードライ用ローションまたはラッカーもしくはスプレーなどの固定およびスタイリング組成物などの、染色、ヘアスタイルの形態保持または毛髪の成形またはケア、毛髪の処置または洗浄のための毛髪用製品の形態で提供することもできる。
【0102】
好ましくは、本発明による化粧用組成物は、非治療的処置および/またはケア特性を任意選択により有する、体、唇、睫毛、毛髪または爪をメークアップするための製品の形態で提供される。
【0103】
より特には、本発明による化粧用組成物は、口紅もしくはリップグロス、リップバーム、フェースパウダー、アイシャドウ、ファンデーション、ボディーペインティング製品、マスカラ、アイライナー、マニキュア液、制汗剤、皮膚の人工日焼けのための製品または毛髪を染色またはケアするための製品の形態で提供される。
【0104】
本発明の別の対象は、体もしくは顔の皮膚、唇、爪、毛髪、眉毛および/または睫毛などのケラチン物質の美容処置のための方法であって、上記に定義されている化粧用組成物の前記物質への適用を含む方法である。
【0105】
好ましくは、本発明の別の対象は、皮膚、唇、睫毛、爪、眉毛および/または毛髪をメークアップするための方法である。
【0106】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【実施例1】
【0107】
Y=n-C17;R'=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のn-C18モノエステルの合成
【0108】
【化6】

【0109】
トリエチルアミン38.0g(37.6mmol)を、アセトニトリル1600ml中のジベンジリデンソルビトール90.0g(25.1mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで塩化ステアロイル83.3g(27.5mmol)を添加し、混合物を、還流状態で6時間維持する。反応媒質を冷却した後、沈殿物の形成が観察される。沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物142gが、融点:119〜122℃を有する白色固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例2】
【0110】
Y=iso-C17;R'=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のiso-C18モノエステルの合成
【0111】
【化7】

【0112】
トリエチルアミン5.65g(55.8mmol)を、アセトニトリル350ml中のジベンジリデンソルビトール10g(27.9mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、塩化イソステアロイル8.45g(27.9mmol)を添加し、混合物を、還流状態で6時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを多量の氷冷した水中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物12.09gが、融点124℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例3】
【0113】
Y=iso-C15;R'=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のiso-C16モノエステルの合成
【0114】
【化8】

【0115】
アセトニトリル175ml中のジベンジリデンソルビトール5.0g(13.95mmol)の懸濁液を、溶解が完了するまで加熱還流し、次いで、トリエチルアミン2.82g(27.9mmol)および塩化イソヘキサデカノイル3.8g(13.95mmol)を添加し、混合物を、還流状態で5時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを多量の氷冷した水中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物6.39gが、融点162℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例4】
【0116】
Y=iso-C15、Y'=n-C17;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のジエステルiso-C16/n-C18の合成
【0117】
【化9】

【0118】
トリエチルアミン8.35g(82.26mmol)を、アセトニトリル300ml中のジベンジリデンソルビトール13.4g(37.3mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、塩化ステアロイル11.38g(37.3mmol)を添加し、混合物を、還流状態で4時間維持する。トリエチルアミン8.3g(82.02mmol)を再度、続いて塩化イソヘキサデカノイル10.31g(37.5mmol)を添加し、混合物を還流状態で終夜維持する。反応媒質を冷却した後、白色沈殿物の形成が観察される。沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水およびエタノールで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、粗製ジエステル21.18gが得られ、この生成物を、メチルエチルケトン:シクロヘキサン1:1溶離液混合物中で、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製する。予期される化合物16.8gが、融点82.9℃を有する白色固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例5】
【0119】
A=C8H16;R''=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(II)のセバシン酸エステルの合成
【0120】
【化10】

【0121】
アセトニトリル300ml中のジベンジリデンソルビトール10g(27.9mmol)の懸濁液を、溶解が完了するまで加熱還流し、次いで、トリエチルアミン3.106g(30.69mmol)および塩化セバコイル3.336g(13.95mmol)を添加し、混合物を、還流状態で10時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを多量の氷冷した水中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物8.28gが、融点170℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例6】
【0122】
下記式(II)(R''=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=H)のシリコーンエステルの合成
【0123】
【化11】

【0124】
アセトニトリル25ml中のジベンジリデンソルビトール1.03g(2.88mmol)およびGoldschmidtによってTegomer C-Si 2342の名称で販売されているα,ω-ジカルボキシシリコーン4.02gの懸濁液を、75ワットの電力で130℃で30分間、電子レンジ中に置く。混合物を冷まし、次いで、水を得られたゲルに添加する。白色沈殿物が形成される。これを焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物3.16gが、融点191℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例7】
【0125】
Y=n-C9;R'=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のn-C10モノエステルの合成
【0126】
【化12】

【0127】
トリエチルアミン5.8g(41.7mmol)を、アセトニトリル180ml中のジベンジリデンソルビトール10.0g(27.9mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、カプリン酸塩化物3.25g(30.6mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物6gが、融点123℃を有する白色固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-DMSO)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例8】
【0128】
Y=Y'=n-C17;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のn-C18/n-C18ジエステルの合成
【0129】
【化13】

【0130】
トリエチルアミン37.2g(368mmol)を、アセトニトリル1000ml中のジベンジリデンソルビトール30.0g(83.7mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、ステアリン酸塩化物55.8g(184mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物73.6gが、融点103℃を有する白色固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例9】
【0131】
A=C34H68二量体;R''=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(II)のエステルの合成
【0132】
【化14】

【0133】
トリエチルアミン18.7g(180mmol)を、アセトニトリル1000ml中のジベンジリデンソルビトール47.6g(130mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、Pripol1009塩化物40.0g(66mmol)を添加し、混合物を、還流状態で17時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物54.4gが、融点178℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例10】
【0134】
Y=n-C15;R'=H;R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4、R'5=Hである式(I)のn-C16モノエステルの合成
【0135】
【化15】

【0136】
トリエチルアミン12.2g(120.6mmol)を、アセトニトリル400ml中のジベンジリデンソルビトール18.0g(50.3mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。パルミチン酸塩化物15.2g(55.3mmol)を添加し、混合物を、還流状態で22時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを多量の氷冷した水中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水で十分に洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物28gが、融点115℃を有する白色固体の形態で得られる。
1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例11】
【0137】
Y=n-C17;R'=H;R1、R2、R4、R5、R'1、R'2、R'4、R'5=H;R3=R'3=プロピルである式(I)のn-C18モノエステルの合成
【0138】
【化16】

【0139】
ジイソプロピルエチルアミン10.9g(84.5mmol)を、アセトニトリル200ml中のn-プロピルジベンジリデンソルビトール25.0g(56.5mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。ステアリン酸塩化物18.8g(63.1mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物19.3gが、融点51℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
【実施例12】
【0140】
Y=n-C17;R'=H;R1、R2、R4、R5、R'1、R'2、R'4、R'5=H;R3=R'3=イソプロピルである式(I)のn-C18モノエステルの合成
【0141】
【化17】

【0142】
ジイソプロピルエチルアミン10.9g(84.5mmol)を、アセトニトリル200ml中のイソプロピルジベンジリデンソルビトール25.0g(56.5mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。ステアリン酸塩化物18.8g(63.1mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物32.3gが、融点126℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
【実施例13】
【0143】
Y=n-C17;R'=H;R1、R2、R4、R5、R'1、R'2、R'4、R'5=H;R3=R'3=イソブチルである式(I)のn-C18モノエステルの合成
【0144】
【化18】

【0145】
ジイソプロピルエチルアミン10.3g(79.7mmol)を、アセトニトリル200ml中のイソブチルジベンジリデンソルビトール25.0g(53.1mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。次いで、ステアリン酸塩化物17.7g(58.4mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物8.7gが、融点117℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
【実施例14】
【0146】
Y=Y'=n-C17;R1、R2、R4、R5、R'1、R'2、R'4、R'5=H;R3=R'3=プロピルである式(I)のn-C18/n-C18ジエステルの合成
【0147】
【化19】

【0148】
ジイソプロピルエチルアミン14.6g(113mmol)を、アセトニトリル300ml中のn-プロピルジベンジリデンソルビトール20.0g(45.2mmol)の懸濁液に添加し、混合物を、溶解が完了するまで加熱還流させる。ステアリン酸塩化物28.8g(94.9mmol)を添加し、混合物を、還流状態で18時間維持する。反応媒質を冷却した後、これを氷冷した水1リットル中に注ぐ。得られた沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、エタノール500mlで洗浄する。減圧下で40℃で乾燥した後、予期される化合物24.3gが、融点70℃を有するベージュ色の固体の形態で得られる。
【実施例15】
【0149】
Y=n-C17;R2、R3、R'2、R'3=CH3;R'=H;R1、R4、R5、R'1、R'4、R'5=Hである式(I)のn-C18モノエステルの合成
【0150】
【化20】

【0151】
ジイソプロピルエチルアミン9.4g(72.4mmol)を、アセトニトリル400ml中の3,4-ジメチルベンジリデンソルビトール20g(48.3mmol)の懸濁液に添加し、混合物を1時間加熱還流させる;生成物は分散したままである。塩化ステアロイル16.1g(53.1mmol)を添加し、混合物を、還流状態で24時間維持する。反応媒質を冷却した後、沈殿物の形成が観察される。沈殿物を焼結ガラスフィルターで濾去し、次いで、水(4×250ml)で、次いで、無水エタノール(4×250ml)で十分に洗浄する。減圧下で60℃で乾燥した後、予期される化合物23.4gが、融点108℃を有する白色固体の形態で得られる。1Hおよび13C(d6-ピリジン)NMRスペクトルは、予期される構造と一致する。
【実施例16】
【0152】
以下の3つの口紅スティックを調製した:
スティック番号1
- 実施例1の化合物 12.5%
- DC Red7 5%
- Parleam 適量で100%とする
スティック番号2
- 実施例1の化合物 12.5%
- 酸化鉄 5%
- Parleam 適量で100%とする
スティック番号3
- 実施例1の化合物 12.5%
- 真珠光沢剤-グリッター 5%
- Parleam 適量で100%とする
【0153】
3つのスティックは光沢があり非常に容易にくずれることが見出される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II)のジベンジリデンソルビトールエステルタイプの化合物:
【化1】

[式中、
- R、R'およびR''は、互いに独立して、水素原子または-C(O)Y基(式中、Yは、
- 飽和もしくは不飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC2〜C25炭化水素基;または
- 1個〜3個の飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC1〜C32炭化水素基によって置換されていてもよい、5個〜14個の炭素原子を含むアリール基
のいずれかを表す)を表し;
RおよびR'が同時に水素原子を表すことはないことが理解され;
- R1、R2、R3、R4、R5、R'1、R'2、R'3、R'4およびR'5基は、互いに独立して、水素原子;直鎖状もしくは分岐状のC1〜C18アルキル基;直鎖状もしくは分岐状のC1〜C18アルコキシ基;フェノキシ基;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルもしくはtert-ブチルから選ばれる1個〜3個の基によって置換されていてもよいフェニル基;またはベンジル基を表し;ならびに/あるいは
2つの連続した基が、一緒になって、シクロヘキシル環を形成し、残りの基は上記に示した意味を有し;
- 二価の基Aは、式(II)において、
(i)飽和または不飽和の、直鎖状、環状または分岐状の二価のC1〜C52炭化水素基;
(ii)1個〜3個の飽和または不飽和の、直鎖状、分岐状および/または環状のC1〜C32炭化水素基によって置換されていてもよい二価のC6〜C14アリーレン基;
(iii)式(III)の二価のシリコーン基:
【化2】

(式中、
- pおよびqは、互いに独立して、0または1であり、
- BおよびB'は、互いに独立して、1個〜12個の炭素原子を含み、O、SおよびNから選ばれる1個または複数のヘテロ原子を含んでもよい、飽和または不飽和の、実際さらには芳香族の、直鎖状、分岐状および/または環状の二価の炭素を含む基を表し;そうでなければBおよびB'は、独立して、式-[(CH2)xO]z-の基(式中、x=1、2または3およびz=1〜10である)を表し;
- R7〜R12は、互いに独立して、1個〜20個の炭素原子を含む、飽和または不飽和の、実際さらには芳香族の、直鎖状、分岐状および/または環状の炭素を含む基であり;
- mおよびnは、互いに独立して、0から140の間の整数であり、式(III)の基の重量平均分子量(Mw)が300から20000の間となるようなものである)を表す]。
【請求項2】
Yが、
(i)C2〜C25、好ましくはC3〜C23、さらに好都合にはC4〜C21、実際さらにはC6〜C19の、(飽和の、直鎖状または分岐状)アルキル基;
(ii)1個〜3個のメチルによって、または直鎖状もしくは分岐状のC2〜C8アルキル基によって置換されていてもよいC5〜C6環状(シクロアルキル)基;
(iii)1個または2個の共役または非共役二重結合を含むC10〜C17アルケニル基;
(iv)フェニル基、または1個〜3個の飽和の、直鎖状、分岐状および/もしくは環状のC1〜C32、特にC2〜C12、実際さらにはC3〜C8炭化水素基によって置換されているフェニル基
から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、直鎖状または分岐状のC2〜C25、好ましくはC3〜C23、さらに好都合にはC4〜C21、実際さらにはC6〜C19アルキル基である、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
式(II)において、BおよびB'が、互いに独立して、a=1〜12である式-(CH2)a-の二価の基またはフェニレン基、そうでなければx=1、2もしくは3およびz=1〜10である式-[(CH2)xO]z-の基を表す、請求項1から3の一項に記載の化合物。
【請求項5】
式(II)において、二価の基Aが、メチレン、エタンジイル、プロパンジイル、ブタンジイル、ペンタンジイル、ヘキサンジイル、ヘプタンジイル、オクタンジイル、ノナンジイル、デカンジイル、ウンデカンジイル、ドデカンジイル、トリデカンジイル、テトラデカンジイル、ペンタデカンジイル、ヘキサデカンジイル、ヘプタデカンジイル、オクタデカンジイル、シクロヘキサンジイル、ベンゼンジイル、ナフタレンジイル、ビフェニレンまたはキシリリデン基;ポリアルキルシロキサンなどの基、特にポリジメチルシロキサン;そうでなければポリアリールシロキサン、特にポリフェニルシロキサン;またはさらにポリアリール/アルキルシロキサン、特にポリフェニル/メチルシロキサンもしくはポリフェニル/プロピルシロキサンから選ばれる、請求項1から4の一項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の化合物:
【化3A】

【化3B】

【化3C】

【化3D】

【化3E】

【化3F】

【化3G】

から選ばれる、請求項1から5の一項に記載の化合物。
【請求項7】
下記式(A)のジベンジリデンソルビトール誘導体を、塩基の存在下において非プロトン性溶媒中で、少なくとも1種の式Y-C(O)-Halの酸ハロゲン化物、好ましくは酸塩化物と反応させる段階を含む、請求項1から6の一項に記載の式(I)の化合物の調製方法。
【化4】

【請求項8】
式(A)のジベンジリデンソルビトール誘導体を、塩基の存在下において非プロトン性溶媒中で、酸二ハロゲン化物Hal-CO-A-CO-Hal、好ましくは酸二塩化物と反応させる段階を含む、請求項1から6の一項に記載の式(II)の化合物の調製方法。
【化5】

【請求項9】
生理学的に許容される媒質中に、請求項1から6の一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物を含む、化粧用組成物または医薬組成物。
【請求項10】
式(I)または(II)の化合物が、単独でまたは混合物として、最終的な化粧用組成物または医薬組成物の総重量に対して、0.05重量%から30重量%の間、好ましくは0.1重量%から25重量%の間、特に0.2重量%から20重量%の間、実際さらには0.5重量%から18重量%の間、さらに好都合には1重量%から16重量%の間の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
揮発性または不揮発性の、炭素を含む、炭化水素を含む、フッ素を含む、および/またはシリコーンを含む、無機物、動物、植物または合成起源の油および/または溶媒;動物、植物、無機物または合成起源のワックス、ペースト状脂肪性物質またはガム;水;直鎖状または分岐状C2〜C5アルコール、特にモノアルコール;ポリオール;ポリエチレングリコール;C2エーテル;親水性C2〜C4アルデヒド、着色材料;ビタミン、増粘剤、ゲル化剤、微量元素、軟化剤、金属イオン封鎖剤、芳香剤、塩基性化もしくは酸性化剤、防腐剤、日焼け止め剤、界面活性剤、酸化防止剤、化粧用活性成分、噴射剤、セラミド、フィルムを形成することができる助剤、またはポリマー、特にフィルム形成ポリマーから選ばれる少なくとも1種の成分を含む、請求項9または10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
体もしくは顔の皮膚、唇、爪、睫毛または眉毛のためのケア、衛生またはメークアップ製品;日焼け止めまたはセルフタンニング製品;あるいは毛髪用製品の形態で提供される、請求項9から11の一項に記載の組成物。
【請求項13】
体もしくは顔の皮膚、唇、爪、毛髪、眉毛および/または睫毛などのケラチン物質の美容処置の方法であって、請求項9から12の一項に記載の化粧用組成物の、前記ケラチン物質への適用を含む方法。
【請求項14】
特に親油性媒質のための構造化剤、増粘剤またはゲル化剤としての、請求項1から6の一項に記載の式(I)または(II)の少なくとも1種の化合物の使用。
【請求項15】
単独でまたは混合物として、揮発性または不揮発性の、炭素を含む、炭化水素を含む、フッ素を含む、および/またはシリコーンを含む、無機物、動物、植物または合成起源の油および/または溶媒から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む化粧用組成物または医薬組成物における、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
化粧用組成物または医薬組成物が、植物油、C6〜C32アルカン、C8〜C32脂肪エステル、C8〜C32脂肪アルコール、C3〜C8エステルまたはシリコーン油から選ばれる少なくとも1種の化合物、より特には、少なくともイソドデカン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、Parleam、イソノナン酸イソノニル、オクチルドデカノール、フェニルトリメチコーン、安息香酸C12〜C15アルキル、酢酸エチル、酢酸ブチルおよびそれらの混合物を含む媒質を含む、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2013−521242(P2013−521242A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555371(P2012−555371)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2011/052821
【国際公開番号】WO2011/107403
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】