説明

ジベンゾアントラセン誘導体、有機電界発光素子、および表示装置

【課題】発光素子の青色発光材料として好適なアントラセン誘導体の提供。
【解決手段】一般式(1)または(2)のジベンゾアントラセン誘導体。


1,X2,Xは、アリーレン基等、A,B,C,Dは、アルキル基、アリール基等、Y1〜Y12、R1は、H、ハロゲン等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子用の有機材料として好適に用いられるジベンゾアントラセン誘導体、およびこのジベンゾアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子、およびこの素子を用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光で消費電力が小さく、応答速度が高速であり、また視野角依存性の無いフラットパネルディスプレイとして、有機電界発光素子(いわゆる有機EL素子)を用いた表示装置が注目されている。
【0003】
有機電界発光素子は、陰極と陽極との間に、電流を流すことによって発光する有機発光材料を含む有機層を狭持してなる。この有機層としては、例えば、正孔輸送層、有機発光材料を含む発光層、および電子輸送層を陽極側から順に積層させた構成や、さらに電子輸送層中に発光材料を含ませて電子輸送性の発光層とした構成が開発されている。
【0004】
また、このような構成の有機電界発光素子は自発光素子であるため、この有機電界発光素子を用いて表示装置を構成する場合、有機電界発光素子の長寿命化および信頼性の確保が最も重要な課題の一つである。このため、有機電界発光素子を構成する有機材料に関する研究が取り進められている。
【0005】
なかでも、アントラセン骨格を備えた材料については、アミノ基やアリール基を有するアントラセン誘導体、ビスアントラセン誘導体、さらにはスチリル基を有するアントラセン誘導体(例えば、下記特許文献1〜5)など、多くの誘導体が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1においては、アントラセン9,10位をアリール置換した2,6アリールアントラセン化合物を、正孔輸送層を構成する材料として用いることが示されている。そして、正孔輸送層を構成する材料のうち、蛍光性を有する芳香族アミン系化合物は発光層材料として用いられるとしている。また、特許文献2においては、アントラセン9,10位をアリールアミノ基で置換した化合物が、発光材料として有効に使用することができるとして示されている。
【0007】
ところで、有機電界発光素子を用いた表示装置においてフルカラー表示を実現するために、青、緑、赤の各色に発光する有機発光材料に関して様々な検討もなされている。特に青色発光材料については色純度、発光効率および発光寿命などの点でさらなる改良が求められており、例えばスチルベン、スチリルアレン、もしくはアントラセン誘導体について改良が進められている(例えば、下記非特許文献1,2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2003−146951号公報
【特許文献2】特開平9−268284号公報
【特許文献3】特開平9−268283号公報
【特許文献4】特開2004−67528号公報
【特許文献5】特開2001−284050号公報
【非特許文献1】Materials Science and Engineering: R: Reports Volume 39、 Issues 5-6 、 Pages 143-222、 2002
【非特許文献2】Applied Physics Letters(米)1995年、第67巻、26号、p.3853-3855
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、発光効率および寿命特性を実用的に満足する、色純度の高い青色発光材料はいまだに見つかっていない。
【0010】
すなわち、非特許文献1,2に記載されている青色発光材料を用い有機電界発光素子を構成しても、充分に高い発光効率や寿命特性を得ることは困難である。また、特許文献2に記載されているアリールアミノアントラセン誘導体を発光材料として用いて有機電界発光素子を構成した場合であっても、その発光色は緑〜黄色であり青色領域の発光を得ることは困難である。
【0011】
そこで本発明は、有機電界発光素子の青色発光材料として好適に用いることが可能で、かつ発光効率が高く寿命特性に優れた有機電界発光素子を構成することが可能なジベンゾアントラセン誘導体を提供すること、およびこれを用いた有機電界発光素子およびこの素子を用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明は、有機電界発光素子を構成する有機材料として好適に用いられるジベンゾアントラセン誘導体であり、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位および14位の少なくとも一方がアミノ化合物基で置換された、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示されるジベンゾアントラセン誘導体。
【0013】
【化2】

【0014】
一般式(1)および一般式(2)中において、X1,X2,Xは、置換もしくは未置換のアリーレン基、または置換もしくは未置換の2価複素環基を表している。
【0015】
一般式(1)および一般式(2)中において、A,B,C,Dは、それぞれ独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基を表している。また、これらのA,BはたはC,Dは、互いに連結し環を形成していても良い。
【0016】
一般式(1)および一般式(2)中において、Y1〜Y12,R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換もしくは未置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは未置換のアリーレン基、または置換もしくは未置換の複素環基を表している。また、これらのY1〜Y12,R1は、隣接する基間で互いに連結して環を形成していても良い。
【0017】
尚、以上で示したアルキル基は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、環状アルキル基を含むこととする。
【0018】
また本発明は、上記一般式(1)または一般式(2)で示されるジベンゾアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子でもある。この有機電界発光素子は、一対の電極間に少なくとも発光層を有する有機層を狭持してなり、この有機層に上述した構成のジベンゾアントラセン誘導体が用いられている。特にこのジベンゾアントラセン誘導体は、発光層を構成する材料として好ましく用いられる。
【0019】
このような一般式(1)または一般式(2)で示されるジベンゾアントラセン誘導体は、後の実施形態で具体的に示すように、有機電界発光素子の発光材料や正孔輸送材料(訂正前:電子輸送材料)などに好適に用いられ、このジベンゾアントラセン誘導体を発光材料として用いた有機電界発光素子において、色純度の高い青色発光が高輝度で得られることが確認された。また、このようなジベンゾアントラセン誘導体を用いて有機層を構成した有機電界発光素子においては、輝度の減衰率も低いことが確認された。
【0020】
そして本発明は、上記構成の有機電界発光素子を用いた表示装置でもあり、特に好適には、上記構成の有機電界発光素子が青色発光素子として複数の画素のうちの一部の画素に設けられていることとする。
【0021】
このような表示装置では、上述したように、色純度および輝度が高く、かつ輝度の減衰率が低い有機電界発光素子を青色発光素子として用いた表示装置が構成されるため、他の赤色発光素子および緑色発光素子と組み合わせることで、色再現性の高いフルカラー表示が可能になる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の一般式(1)または一般式(2)で示されるジベンゾアントラセン誘導体を用いて有機電界発光素子を構成することにより、発光効率が高く、かつ減衰率が低くて寿命特性に優れた色純度の高い青色発光が実現可能となる。
そして、本発明の表示装置によれば、上述したように発光効率が高く、かつ寿命特性に優れた青色発光が可能な有機電界発光素子を青色発光素子として用いて表示装置が構成されるため、他の赤色発光素子および緑色発光素子と組み合わせることで、色再現性および信頼性の高いフルカラー表示が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
<ジベンゾアントラセン誘導体>
次に、本発明のジベンゾアントラセン誘導体のさらに具体的な例を説明する。本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、下記一般式(1)または一般式(2)で示されるように、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位のうちの少なくとも一方が、アミノ化合物基からなる。
【0025】
【化3】

【0026】
上記一般式(1)および一般式(2)におけるX1,X2,Xは、それぞれ独立に、
(a)置換もしくは未置換の炭素数6〜28のアリーレン基、
(b)置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の2価の複素環基を表す。
【0027】
このうち(a)アリーレン基としては、例えばフェニレンや、次の芳香族炭化水素から誘導される2価基が挙げられる。ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレン、フルオランテン、ベンゾフルオランテン、ジベンゾフルオランテン、アセフェナンスリレン、アセアンスリレン、トリフェニレン、アセナフトトリフェニレン、クリセン、ペリレン、ベンゾクリセン、ナフタセン、プレイアデン、ピセン、ペンタフェン、ペンタセン、テトラフェニレン、トリナフチレン、ベンゾフェナントレン、ジベンゾナフタセン、ベンゾアントラセン、ジベンゾアントラセン、ベンゾナフタセン、ナフトピレン、ベンゾピレン、ジベンゾピレン、ベンゾシクロオクテン、アントラナフタセン、アセナフトフルオランテン等。また、(a)アリーレン基は、これらの芳香族炭化水素の組み合わせから誘導される2価基であっても良い。
【0028】
尚、これらの(a)アリーレン基においての置換位置については特に限定はない。より色純度の高い青色発光を得るための好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する芳香族炭化水素の炭素原子数が6〜18であり、より好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する芳香族炭化水素の炭素原子数が6〜14である。
【0029】
また(b)2価の複素環基としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、ベンゾキノリン、ジベンゾキノリン、イソキノリン、ベンゾイソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、アクリジン、フェナントリジン、フェナジン、フェノキサジン等から誘導される2価基であり、これらの組み合わせであってもよい。
【0030】
尚、これら(b)2価の複素環基においての置換位置については特に限定はない。色純度の高い青色発光を得るために、好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する複素環基の炭素原子数が5〜17であり、より好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する複素環基の炭素原子数が5〜13である。
【0031】
また、一般式(1),(2)におけるX1,X2,Xの構成として、上述で例示した(a)アリーレン基と(b)複素環基とを結合させた2価基であっても良い。
【0032】
そして、(a)アリーレン基や(b)2価の複素環基に対する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ化合物基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基が挙げられ、縮合環の置換位置、置換個数については特に限定はない。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0033】
次に、一般式(1),(2)におけるA,B,C,Dは、それぞれ独立に、
(c)置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、
(d)置換もしくは未置換の炭素原子数6〜28のアリール基、
(e)置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の複素環基を表す。
【0034】
このうち、(c)アルキル基は、直鎖、分岐あるいは環状の何れの形態であっても良く、例えば、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,s−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−ヘプチル基,n−オクチル基,ヒドロキシメチル基,1−ヒドロキシエチル基,2−ヒドロキシエチル基,2−ヒドロキシイソブチル基,1,2−ジヒドロキシエチル基,1,3−ジヒドロキシイソプロピル基,2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基,1,2,3−トリヒドロキシプロピル基,クロロメチル基,1−クロロエチル基,2−クロロエチル基,2−クロロイソブチル基,1,2−ジクロロエチル基,1,3−ジクロロイソプロピル基,2,3−ジクロロ−t−ブチル基,1,2,3−トリクロロプロピル基,ブロモメチル基,1−ブロモエチル基,2−ブロモエチル基,2−ブロモイソブチル基,1,2−ジブロモエチル基,1,3−ジブロモイソプロピル基,2,3−ジブロモ−t−ブチル基,1,2,3−トリブロモプロピル基,ヨードメチル基,1−ヨードエチル基,2−ヨードエチル基,2−ヨードイソブチル基,1,2−ジヨードエチル基,1,3−ジヨードイソプロピル基,2,3−ジヨード−t−ブチル基,1,2,3−トリヨードプロピル基,アミノメチル基,1−アミノエチル基,2−アミノエチル基,2−アミノイソブチル基,1,2−ジアミノエチル基,1,3−ジアミノイソプロピル基,2,3−ジアミノ−t−ブチル基,1,2,3−トリアミノプロピル基,シアノメチル基,1−シアノエチル基,2−シアノエチル基,2−シアノイソブチル基,1,2−ジシアノエチル基,1,3−ジシアノイソプロピル基,2,3−ジシアノ−t−ブチル基,1,2,3−トリシアノプロピル基,ニトロメチル基,1−ニトロエチル基,2−ニトロエチル基,2−ニトロイソブチル基,1,2−ジニトロエチル基,1,3−ジニトロイソプロピル基,2,3−ジニトロ−t−ブチル基,1,2,3−トリニトロプロピル基シクロプロピル基,シクロブチル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,4−メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0035】
そして、(d)アリール基としては、例えばフェニル基や、次の芳香族炭化水素から誘導される1価基が挙げられる。ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、フルオレン、フルオランテン,ベンゾフルオランテン,ジベンゾフルオランテン,アセフェナンスリレン,アセアンスリレン,トリフェニレン,アセナフトトリフェニレン,クリセン,ペリレン,ベンゾクリセン,ナフタセン,プレイアデン,ピセン,ペンタフェン,ペンタセン,テトラフェニレン,トリナフチレン、ベンゾフェナントレン,ジベンゾナフタセン,ベンゾアントラセン,ジベンゾアントラセン,ベンゾナフタセン,ナフトピレン,ベンゾピレン,ジベンゾピレン,ベンゾシクロオクテン,アントラナフタセン,アセナフトフルオランテン等。また、(d)アリール基は、これらの芳香族炭化水素の組み合わせから誘導される1価基であっても良い。
【0036】
尚、これらの(d)アリール基においての置換位置については特に限定はない。色純度の高い青色発光を得るために、好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する芳香族炭化水素の炭素原子数が6〜18であり、より好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する芳香族炭化水素の炭素原子数が6〜14である。
【0037】
また、(e)複素環基としては、例えば、チオフェン、ベンゾチオフェン、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、オキサジアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、キノリン、ベンゾキノリン、ジベンゾキノリン、イソキノリン、ベンゾイソキノリン、キナゾリン、キノキサリン、アクリジン、フェナントリジン、フェナジン、フェノキサジン等から誘導される1価基であり、これらの組み合わせであってもよい。
【0038】
尚、これら(e)複素環基においての置換位置については特に限定はない。色純度の高い青色発光を得るために、好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する複素環基の炭素原子数が5〜17であり、より好ましい結合形態としては、窒素原子に直接結合する複素環基の炭素原子数が5〜13である。
【0039】
また、一般式(1),(2)におけるA,B,C,Dの構成として、上述で例示した(d)アリーレン基と(e)複素環基とを結合させた1価基であっても良い。
【0040】
また、この(d)アリール基および(e)複素環基の置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換のアミノ基、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の芳香族複素環基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基が挙げられ、縮合環の置換位置、置換個数については特に限定はない。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0041】
ここで、一般式(1),(2)におけるA,B,C,Dとして、適度に嵩高い置換基を導入することによって、素子特性に関わる結晶化の制御や二分子励起の抑制に効果があり、発光効率と発光寿命の向上をさらに図ることが可能になる。このため、これらA,B,C,Dは、(d)アリール基または(e)複素環基に対して、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、複素環基もしくはアリール基から選ばれる置換基を導入したものが好適に用いられる。
【0042】
尚、一般式(1),(2)においてAとB、またはCとDが単結合または炭素環結合などで連結した化合物は、ガラス転移温度が向上し耐熱性が優れる。
【0043】
また、一般式(1),(2)において、Y1〜Y12,R1は、それぞれ独立に、
(f)水素原子またはハロゲン、
(g)置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、
(h)炭素原子数1〜20のアルコキシ基、
(i)置換もしくは未置換の炭素原子数6〜28のアリール基、
(j)置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の複素環基を表す。
【0044】
このうち(f)水素またはハロゲンの場合、ハロゲンであれば例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0045】
また(g)アルキル基は、先に説明したA,Bにおける(c)アルキル基と同様である。
【0046】
さらに(h)アルコキシ基は−ORで表され、Rとしては、例えば、メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,s−ブチル基,イソブチル基,t−ブチル基,n−ペンチル基,n−ヘキシル基,n−ヘプチル基,n−オクチル基,ヒドロキシメチル基,1−ヒドロキシエチル基,2−ヒドロキシエチル基,2−ヒドロキシイソブチル基,1,2−ジヒドロキシエチル基,1,3−ジヒドロキシイソプロピル基,2,3−ジヒドロキシ−t−ブチル基,1,2,3−トリヒドロキシプロピル基,クロロメチル基,1−クロロエチル基,2−クロロエチル基,2−クロロイソブチル基,1,2−ジクロロエチル基,1,3−ジクロロイソプロピル基,2,3−ジクロロ−t−ブチル基,1,2,3−トリクロロプロピル基,ブロモメチル基,1−ブロモエチル基,2−ブロモエチル基,2−ブロモイソブチル基,1,2−ジブロモエチル基,1,3−ジブロモイソプロピル基,2,3−ジブロモ−t−ブチル基,1,2,3−トリブロモプロピル基,ヨードメチル基,1−ヨードエチル基,2−ヨードエチル基,2−ヨードイソブチル基,1,2−ジヨードエチル基,1,3−ジヨードイソプロピル基,2,3−ジヨード−t−ブチル基,1,2,3−トリヨードプロピル基,アミノメチル基,1−アミノエチル基,2−アミノエチル基,2−アミノイソブチル基,1,2−ジアミノエチル基,1,3−ジアミノイソプロピル基,2,3−ジアミノ−t−ブチル基,1,2,3−トリアミノプロピル基,シアノメチル基,1−シアノエチル基,2−シアノエチル基,2−シアノイソブチル基,1,2−ジシアノエチル基,1,3−ジシアノイソプロピル基,2,3−ジシアノ−t−ブチル基,1,2,3−トリシアノプロピル基,ニトロメチル基,1−ニトロエチル基,2−ニトロエチル基,2−ニトロイソブチル基,1,2−ジニトロエチル基,1,3−ジニトロイソプロピル基,2,3−ジニトロ−t−ブチル基,1,2,3−トリニトロプロピル基等があげられる。
【0047】
そして(i)アリール基は、先に説明したA,B,C,Dにおける(d)アリール基と同様である。
【0048】
また(j)複素環基は、先に説明したA,B,C,Dにおける(e)複素環基と同様である。
【0049】
以下に、一般式(1)で表されるような、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方がアミノ化合物基からなるジベンゾアントラセン誘導体の具体例として、化合物(1)-d〜化合物(46)-dを示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0050】
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【0051】
次に、一般式(2)で示されるような、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位のうちの一方のみがアミノ化合物基からなるジベンゾアントラセン誘導体の具体例として、化合物(1)-m〜化合物(42)-mを示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【0052】
尚、本発明のベンゾアントラセン誘導体は、有機電界発光素子の有機層を構成する材料として用いられるものであり、有機電界発光素子の製造プロセスに供する前に純度を高めておくことが好ましく、該純度が95%以上、より好ましくは99%以上とするのがよい。このような高純度の有機化合物を得る方法としては、有機化合物の合成後の精製である再結晶法、再沈殿法、もしくはシリカやアルミナを用いたカラム精製のほかに、昇華精製による公知の高純度化方法を用いることができる。また、これらの精製方法を繰り返し行うことや異なる精製法を組み合わせて行うことで本発明における有機発光材料中の未反応物、反応副生成物、触媒残渣、もしくは残存溶媒などの混合物を低減させ、よりデバイス特性の優れた有機電界発光素子を得ることが可能となる。
【0053】
<有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置>
次に、上述したジベンゾアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置の構成を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の有機電界発光素子およびこれを用いた表示装置を模式的に示す断面図である。
【0054】
この図に示す表示装置1は、基板2と、この基板2上に設けられた有機電界発光素子3とを備えている。有機電界発光素子3は、基板2上に、下部電極4、有機層5および上部電極6を順次積層してなり、基板2側または上部電極6側から発光を取り出す構成となっている。尚、この図においては、基板2上に1画素分の有機電界発光素子3を設けた構成を示しているが、この表示装置1は、複数の画素を備え、複数の有機電界発光素子3が各画素に配列形成されていることとする。
【0055】
次に、この表示装置1を構成する各部の詳細な構成を、基板2、下部電極4および上部電極6、有機層5の順に説明する。
【0056】
基板2は、ガラス、シリコン、プラスチック基板、さらにはTFT(thin film transistor)が形成されたTFT基板などからなり、特にこの表示装置1が基板2側から発光を取り出す透過型である場合には、この基板2は光透過性を有する材料で構成されることとする。
【0057】
また基板2上に形成された下部電極4は、陽極または陰極として用いられるものである。尚、図面においては、代表して下部電極4が陽極である場合を例示した。
【0058】
この下部電極4は、表示装置1の駆動方式によって適する形状にパターンニングされていることとする。例えば、この表示装置1の駆動方式が単純マトリックス方である場合には、この下部電極4は例えばストライプ状に形成される。また、表示装置1の駆動方式が画素毎にTFTを備えたアクティブマトリックス方である場合には、下部電極4は複数配列された各画素に対応させてパターン形成され、同様に各画素に設けられたTFTに対して、これらのTFTを覆う層間絶縁膜に形成されたコンタクトホール(図示省略)を介してそれぞれが接続される状態で形成されることとする。
【0059】
一方、下部電極4上に有機層5を介して設けられる上部電極6は、下部電極4が陽極である場合には陰極として用いられ、下部電極4が陰極である場合には陽極として用いられる。尚、図面においては、上部電極6が陰極である場合が示されている。
【0060】
そして、この表示装置1が、単純マトリックス方である場合には、この上部電極6は例えば下部電極4のストライプと交差するストライプ状に形成され、これらが交差して積層された部分が有機電界発光素子3となる。また、この表示装置1が、アクティブマトリックス方である場合には、この上部電極6は、基板2上の一面を覆う状態で成膜されたベタ膜状に形成され、各画素に共通の電極として用いられることとする。尚、表示装置1の駆動方式としてアクティブマトリックス方を採用する場合には、有機電界発光素子3の開口率を確保するために、上部電極6側から発光を取り出す上面発光型とすることが望ましい。
【0061】
ここで、下部電極4(または上部電極6)を構成する陽極材料としては,仕事関数がなるべく大きなものがよく、たとえば、ニッケル、銀、金、白金、パラジウム、セレン、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、レニウム、タングステン、モリブデン、クロム、タンタル、ニオブやこれらの合金、酸化物、あるいは、酸化錫、ITO、酸化亜鉛、酸化チタン等が好ましい。
【0062】
一方、上部電極6(または下部電極4)を構成する陰極材料としては仕事関数がなるべく小さなものがよく、例えば、マグネシウム、カルシウム、インジウム、リチウム、アルミニウム、銀やこれらの合金が好ましい。
【0063】
ただし、この有機電界発光素子3で生じた発光を取り出す側となる電極は、上述した材料の中から光透過性を有する材料を適宜選択して用いることとし、特に、有機電界発光素子3の発光の波長領域において30%より多くの光を透過する材料が好ましく用いられる。
【0064】
例えば、この表示装置1が、基板2側から発光を取り出す透過型である場合、陽極となる下部電極4としてITOのような光透過性を有する陽極材料を用い、陰極となる上部電極6としてアルミニウムのような反射率の良好な陰極材料を用いる。
【0065】
一方、この表示装置1が、上部電極6側から発光を取り出す上面発光型である場合、陽極となる下部電極4としてクロムや銀合金のような陽極材料を用い、陰極となる上部電極6としてマグネシウムと銀(MgAg)との化合物のような光透過性を有する陰極材料を用いる。ただし、MgAgは、緑色波長領域における光透過率が30%程度であるため、次に説明する有機層5は、共振器構造を最適化して取り出し光の強度が高められるように設計されることが好ましい。
【0066】
そして、上述した下部電極4および上部電極6に狭持される有機層5は、陽極側(図面においては下部電極4側)から順に、正孔輸送層501、発光層503、電子輸送層505を積層してなる。
【0067】
このうち正孔輸送層501としては、NPB[N、N’−ビス(1−ナフチル)−N、N’−ジフェニル(1、1’-ビフェニル)−4、4’―ジアミン]、トリフェニルアミン2量体、3量体、4量体、スターバースト型アミンなどの公知の材料を単層もしくは積層して、或いは混合して用いることができる。
【0068】
そして、この正孔輸送層501上に設けられる発光層503が、本発明に特徴的な層であり、上記一般式(1)、一般式(2)、上記化合物(1)-d〜化合物(46)-d、および上記化合物(1)-m〜化合物(42)-mを用いて説明したジベンゾアントラセン誘導体を含有している。本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、高い正孔輸送性を有する。このため、このジベンゾアントラセン誘導体を単体或いは50体積%以上の高濃度で用いるか、もしくは正孔輸送性を有するその他の材料と混合して用いる場合には、後述の電子輸送層505からの発光が観測されるようになり、発光層503自体での発光効率が低下する。それ故、この場合には発光層503と電子輸送層505の間にホールブロック層を設けることが好ましい。
【0069】
より好ましくは、本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、発光層503内にゲストとして導入される。このため、発光層503中におけるジベンゾアントラセン誘導体の濃度は、50体積%未満である。また、好ましくは1体積%以上40体積%以下とすることにより、有機電界発光素子における発光輝度および半減寿命を高い値に保つことが可能になる。また1体積%以上20体積%以下、さらに好ましくは1体積%以上10体積%以下の濃度とすることにより、発光輝度および半減寿命をさらに高い値に保つことが可能になる。
【0070】
そして、上述したジベンゾアントラセン誘導体と混合して用いられるホスト材料としては、オキサジアゾール、トリアゾール、ベンゾイミダゾール、シロール、スチリルアリーレン、パラフェニレン、スピロパラフェニレン、アリールアントラセン誘導体などの公知の材料を使用することができる。尚、好適なホスト材料としては、ゲスト材料として用いるジベンゾアントラセン誘導体の吸収スペクトルとホスト材料の蛍光スペクトルの重なりが大きい材料を選択して用いることとする。これにより、ホスト材料からゲスト材料への、より効率的なエネルギー移動が起こり、発光効率の向上が図られる。
【0071】
また、この様な構成の発光層503上に設けられる電子輸送層505には、Alq3、オキサジアゾール、トリアゾール、ベンゾイミダゾール、シロール誘導体などの公知の材料を使用することができる。
【0072】
以上説明した構成の他にも、ここでの図示は省略したが、陽極となる下部電極4と正孔輸送層501との間に、正孔注入層を挿入しても良い。正孔注入層としてはPPV(ポリフェニレンビニレン)などの導電性ポリマー、フタロシアニン銅、スターバースト型アミン、トリフェニルアミン2量体、3量体、4量体などの公知の材料を単層もしくは積層して或いは混合して用いることができる。このような正孔注入層を挿入することにより正孔の注入効率が上がるため、より好ましい。
【0073】
さらに、ここでの図示は省略したが、電子輸送層505と陰極(上部電極)6の間に、電子注入層を挿入しても良い。電子注入層としては、酸化リチウム、フッ化リチウム、ヨウ化セシウム、フッ化ストロンチウムなどのアルカリ金属酸化物、アルカリ金属弗化物、アルカリ土類酸化物、アルカリ土類弗化物などを用いることができる。このような電子注入層を挿入することにより電子の注入効率が上がるため、より好ましい。
【0074】
上記述べたような材料による積層構造の有機層5の形成には、周知の方法にて合成された各有機材料を用いて、真空蒸着やスピンコートなどの周知の方法を適用することができる。
【0075】
そして、ここでの図示は省略したが、このような構成の有機電界発光素子3を備えた表示装置1においては、大気中の水分や酸素等による有機電界発光素子3の劣化を防止するために、有機電界発光素子3を覆う状態でフッ化マグネシウムや窒化シリコン膜(SiNx)からなる封止膜を基板2上に形成したり、有機電界発光素子3に封止缶を被せて中空部を乾燥した不活性ガスでパージするか真空に引いた状態にすることが望ましい。
【0076】
また、ここでの図示は省略したが、このような構成の有機電界発光素子3を備えた表示装置1においては、この有機電界発光素子3を青色発光素子とし、これと共に赤色発光素子および緑色発光素子を各画素に設け、これら画素をサブピクセルとして1画素を構成し、基板2上にこれらの画素を1組とした各画素を複数配列することで、フルカラー表示を行うものとしても良い。
【0077】
以上説明した構成の有機電界発光素子3では、上記一般式(1)、一般式(2)、上記化合物(1)-d〜化合物(46)-d、および上記化合物(1)-m〜化合物(42)-mを用いて説明したジベンゾアントラセン誘導体を発光層503に含有させたことにより、発光効率が高く、かつ減衰率が低くて信頼性の高い、色純度の良好な青色の波長領域の発光が得られる。そして、このような有機電界発光素子3を備えた表示装置1は、この有機電界発光素子3と共に、赤色発光する有機電界発光素子および緑色発光する有機電界発光素子と組み合わせることで、色表現性の高いフルカラー表示を行うことが可能になる。
【0078】
尚、以上の実施の形態においては、本発明のジベンゾアントラセン誘導体を発光層503に用いた場合を例示した。しかしながら、本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、高い正孔輸送性を有するため、このジベンゾアントラセン誘導体を正孔輸送層501や正孔注入層を構成する材料として用いても良く、これらの層に対するドーピング材料として用いても良い。
【実施例】
【0079】
次に、本発明のジベンゾアントラセン誘導体の合成例、本発明のジベンゾアントラセン誘導体を用いた本発明の有機電界発光素子の実施例について具体的に説明する。尚ここでは先ず、本発明のジベンゾアントラセン誘導体の合成例を説明し、次いでここで合成したジベンゾアントラセン誘導体を用いた有機電界発光素子および比較例の有機電界発光素子の作製手順、さらにはこれらの評価結果を説明する。
【0080】
<化合物(1)-dの合成>
先ず、下記式(1)を参照し、次のようにして目的とする化合物の前駆体である9,14−ジブロモベンズ〔a,c〕アントラセンを合成した。
【化12】

【0081】
すなわち先ず、窒素雰囲気下において、ジベンゾ〔a,c〕アントラセン10.0gをクロロホルム1Lに加え、冷却下、反応系内に臭素10gを4回に分けて滴下した。滴下終了後、一昼夜室温攪拌し、析出した結晶をろ取した。得られた結晶を水洗浄、アセトン洗浄した後、トルエンで再結晶を行うことにより淡黄色固体、9,14−ジブロモベンズ〔a,c〕アントラセン12.5gを得た。構造は1H−NMR、13C−NMR、およびFD−MSにて確認した。
【0082】
次に、得られた9,14−ジブロモベンズ〔a,c〕アントラセン3.0gと、下記芳香族ホウ酸エステル(A1)5.8g、水酸化ナトリウム1.5g、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム2.0gを200mlの乾燥キシレンに加え、窒素雰囲気下において100℃で6時間反応させた。反応終了後、生成した沈殿を濾別し、水洗浄、熱アセトン懸洗し、黄色粉末状の化合物(1)-dを2.8g得た。質量分析にてm/z=764で目的物と一致した。図2には、得られた化合物(1)-dについての、ジオキサン溶液中における蛍光スペクトルs1と吸収スペクトルs2とを示す。また図3に示した1H−NMRの結果からも、目的とする化合物(1)-dが得られたことが確認された。
【化13】

【0083】
<化合物(2)-dの合成>
上述した<化合物(1)-dの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A1)を、下記芳香族ホウ酸エステル(A2)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(2)-dを2.5g得た。質量分析にてm/z=904で目的物と一致した。
【化14】

【0084】
<化合物(6)-dの合成>
上述した<化合物(1)-dの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A1)を、下記芳香族ホウ酸エステル(A3)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の2,6−ビス{4−(N-(1-ナフチル)−N−フェニルアミノ)フェニル}アントラセン〔化合物(6)-d〕を3.4g得た。質量分析にてm/z=864で目的物と一致した。
【化15】

【0085】
<化合物(9)-dの合成>
上述した<化合物(1)-dの合成>において、芳香族ホウ酸エステル(A1)を下記芳香族ホウ酸エステル(A4)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の2,6−ビス{3−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル)フェニル}アントラセン〔化合物(9)-d〕を2.5g得た。質量分析にてm/z=764で目的物と一致した。
【化16】

【0086】
<化合物(16)-dの合成>
上述した<化合物(1)-dの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A1)を、下記芳香族ホウ酸エステル(A5)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(16)-dを2.5g得た。質量分析にてm/z=916で目的物と一致した。
【化17】

【0087】
<化合物(25)-dの合成>
上述した<化合物(1)-dの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A1)を、下記芳香族ホウ酸エステル(A6)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(25)-dを2.5g得た。質量分析にてm/z=916で目的物と一致した。
【化18】

【0088】
<化合物(2)-mの合成>
先ず、上記式(1)を用いて説明したと同様にして、化合物の前駆体である9,14−ジブロモベンズ〔a,c〕アントラセンを合成した。
【0089】
次に、得られた9,14−ジブロモベンズ〔a,c〕アントラセン3.0gと、下記芳香族ホウ酸エステル(A7)3.0g、水酸化ナトリウム0.5g、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム0.05gを100mlの乾燥キシレンに加え、窒素雰囲気下において100℃で3時間反応させた。反応終了後、有機層を分液し、水洗浄を2回、飽和食塩水洗浄を1回行った。無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行うことにより、黄色粉末状の下記中間体(1)1.6gを得た。質量分析にてm/z=599で目的物と一致した。
【化19】

【0090】
次に、得られた中間体(1)1.6gと、下記芳香族ホウ酸エステル(A8)0.8g、水酸化ナトリウム0.2g、テトラキス(トリフェニルフォスフィノ)パラジウム0.05gを100mlの乾燥キシレンに加え、窒素雰囲気下において100℃で6時間反応させた。反応終了後、有機層を分液し、水洗浄を2回、飽和食塩水洗浄を1回行った。無水硫酸ナトリウム乾燥後、減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製を行うことにより、黄色粉末状の化合物(2)-mを1.1g得た。質量分析にてm/z=647で目的物と一致した。
【化20】

【0091】
<化合物(5)-mの合成>
上述した<化合物(2)-mの合成>において、芳香族ホウ酸エステル(A8)を下記芳香族ホウ酸エステル(A9)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(5)-mを2.5g得た。質量分析にてm/z=773で目的物と一致した。
【化21】

【0092】
<化合物(17)-mの合成>
上述した<化合物(2)-mの合成>において、芳香族ホウ酸エステル(A8)を下記芳香族ホウ酸エステル(A10)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(17)-mを2.5g得た。質量分析にてm/z=673で目的物と一致した。
【化22】

【0093】
<化合物(23)-mの合成>
先ず、上述した<化合物(2)-mの合成>における中間体(1)の合成において、芳香族ホウ酸エステル(A7)を下記芳香族ホウ酸エステル(A11)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の中間体(2)を2.0g得た。質量分析にてm/z=675で目的物と一致した。
【化23】

【0094】
そして、<化合物(2)-mの合成>において、中間体(1)を中間体(2)とし、芳香族ホウ酸エステル(A8)を下記芳香族ホウ酸エステル(A12)としたこと以外は同様の手順で合成を行い、黄色粉末状の化合物(23)-mを1.7g得た。質量分析にてm/z=749で目的物と一致した。
【化24】

【0095】
<実施例1>
上述した合成手順によって得られた化合物(1)-dを用い、以下のように透過型の有機電界発光素子(図1参照)を作製した。
【0096】
先ず、ガラス基板2上に、膜厚190nmのITO透明電極(陽極)を下部電極4として形成したITO基板を作製し、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。このITO基板を乾燥後、さらにUV/オゾン処理を10分間行った。次いで、このITO基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を1.4×10-4 Paに減圧した。
【0097】
そして先ず、ITO透明電極上に、下記N、N’−ビス(1−ナフチル)−N、N’−ジフェニル[1、1’-ビフェニル]−4、4’―ジアミン(α−NPD)を、蒸着速度0.2nm/secで65nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層501を形成した。
【化25】

【0098】
次いで、下記9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(ADN)をホストとし、下記化合物(1)-dをゲストとし、それぞれを異なる蒸着源から全蒸着速度約0.2nm/secで35nmの厚さに共蒸着し、ゲスト濃度が10体積%の発光層503を形成した。
【化26】

【0099】
次に、下記Alq3を蒸着速度0.2nm/secで18nmの厚さに蒸着し、電子輸送層505を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を0.1nmの厚さに蒸着し、さらにマグネシウムと銀を蒸着速度約0.4nm/secで70nmの厚さに共蒸着(原子比Mg:Ag=95:5)して陰極(上部電極6)を形成し、下部電極4側から発光光を取り出す透過型の有機電界発光素子3を作製した。
【化27】

【0100】
作製した有機電界発光素子を電流密度25mA/cm2で直流電流駆動したところ、a)駆動電圧は5.7Vであり、発光効率は3.8cd/A、電力効率は2.0lm/Wであった。また、b)発光輝度=1050cd/m2、c)発光ピーク471nmの青色発光が確認された。また、この発光素子を初期輝度1500cd/m2で定電流駆動したところ、d)半減寿命(輝度が半減するまでの寿命)は1200時間であった。
【0101】
<実施例2〜9>
上述した実施例1の有機電界発光素子の作製手順において、発光層503中における化合物(1)-dのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲストに換えて、下記表1に記載した各化合物をゲスト材料と用いたこと以外は、実施例1と同様にして透過型の有機電界発光素子3を作製した。尚、各発光層503におけるゲスト濃度は10体積%とした。
【表1】

【0102】
また、以上のようにして作製した実施例2〜9の有機電界発光素子について、実施例1と同様の測定を行った結果a)〜d)を、上記の表1に合わせて示した。
【0103】
尚、各化合物(ジベンゾアントラセン誘導体)は、上述した<化合物(1)-dの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A1)を、ジベンゾ〔a,c〕アントラセン誘導体の9,14位に結合させたい芳香族ホウ酸エステル(アミノ化合物のホウ酸エステル)に置き換えることによって合成した。
【0104】
<比較例1>
上述した実施例1の有機電界発光素子の作製手順において、発光層503中における化合物(1)-dのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲストに換えて、非特許文献2において青色発光用のゲスト材料として示された、下記BCzVBiを用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機電界発光素子を作製した。尚、ゲスト濃度は5体積%とした。
【化28】

【0105】
作製した比較例1の有機電界発光素子について、実施例1と同様の測定を行った結果a)〜d)を、上記の表1に合わせて示した。
【0106】
≪評価結果1≫
以上表1に示したように、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方をアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体〔化合物(1)-d他〕を発光材料として用いた実施例1〜19の有機電界発光素子は、青色の発光が得られることが確認された。また、発光輝度も950cd/m2を上回る値を示し、半減寿命も1050時間を上回る値を示した。
【0107】
これに対して、非特許文献2において青色発光用のゲスト材料として示された、下記BCzVBiを発光材料として用いた比較例1の有機電界発光素子では、青色の発光は得られるものの、特に半減寿命が390時間と短かった。
【0108】
以上から、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方をアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、有機電界発光素子における青色発光材料として、発光効率および寿命特性ともに優れた材料であることが確認できた。
【0109】
<実施例10〜14>
上述した実施例1の有機電界発光素子の作製手順において、発光層503中における化合物(1)-dのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲスト濃度を、1体積%、10体積%、20体積%、40体積%、50体積%としたこと以外は、実施例1と同様にして透過型の有機電界発光素子3を作製した。
【0110】
作製した各有機電界発光素子について、実施例1と同様にa)駆動電圧、b)発光輝度、c)発光色、d)半減寿命を測定した結果を、下記表2に示す。尚、表2には、上記比較例1の結果も合わせて示す。
【表2】

【0111】
≪評価結果2≫
表2に示した結果から、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方をアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体の、発光層503中における濃度を、1体積%以上40体積%以下とすることで、b)発光輝度およびd)半減寿命を、比較例1よりも高い値に保つことが可能であることがわかる。また好ましくは1体積%を越えて20体積%以下、さらに好ましくは10体積%程度の濃度とすることにより、b)発光輝度およびd)半減寿命をさらに高い値に保つことが可能であることが確認された。
【0112】
<実施例15>
本実施例15においては、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方をアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体を用いて上面発光型の有機電界発光素子を作製した。
【0113】
ガラス基板2上に、膜厚190nmのAg合金上を介して膜厚11nmのITO透明電極(陽極)を下部電極4として積層形成し、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。乾燥後、更にUV/オゾン処理を10分間行った。この基板を蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を1×10-6Torrに減圧した。
【0114】
この状態で、先ず、ITO透明電極上に、上記α−NPDを、蒸着速度0.2nm/secで24nmの厚さに蒸着して正孔注入輸送層501を形成した。次いで、上記ADNをホスト、上記化合物(1)-dをゲストとし、それぞれを異なる蒸着源から全蒸着速度約0.2nm/secで35nmの厚さに共蒸着し、ゲスト濃度が10体積%の発光層503を形成した。次に、上記Alq3を蒸着速度0.2nm/secで18nmの厚さに蒸着し、電子輸送層505を形成した。その上に、フッ化リチウム(LiF)を0.1nmの厚さに蒸着し、さらにマグネシウムと銀を蒸着速度約0.4nm/secで12nmの厚さに共蒸着(原子比Mg:Ag=95:5)して陰極(上部電極6)を形成し、上部電極6側から発光光を取り出す上面発光型の有機電界発光素子3を作製した。
【0115】
作製した有機電界発光素子を電流密度25mA/cm2で直流電流駆動したところ、a)駆動電圧は4.6V、発光効率は2.0cd/A、電力効率は2.1lm/Wであった。また、b)発光輝度687cd/m2、c)発光ピーク468nmの青色発光が確認された。この結果、上面発光の有機電界発光素子であっても、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の両方をアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体を発光材料として用いることで、青色の発光が得られることが確認された。
【0116】
<実施例16〜24>
上述した実施例1の有機電界発光素子の作製手順において、発光層503中における化合物(1)-dのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲストに換えて、下記表3に記載したアミノ化合物基を1つのみ備えた各化合物(ジベンゾアントラセン誘導体)をゲスト材料と用いたこと以外は、実施例1と同様にして透過型の有機電界発光素子3を作製した。尚、各発光層503におけるゲスト濃度は10体積%とした。
【表3】

【0117】
また、以上のようにして作製した実施例16〜24の有機電界発光素子について、実施例1と同様の測定を行った結果a)〜d)を、上記の表3に合わせて示した。尚、表3には、上記比較例1の結果も合わせて示した。
【0118】
尚、各化合物(ジベンゾアントラセン誘導体)は、上述した<化合物(2)-mの合成>において用いた芳香族ホウ酸エステル(A7),(A8)を、ジベンゾ〔a,c〕アントラセン誘導体の9,14位に結合させたい各芳香族ホウ酸エステル(一方はアミノ化合物のホウ酸エステル)に置き換えることによって合成した。
【0119】
≪評価結果3≫
以上表3に示したように、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の一方のみアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体〔化合物(2)-m他〕を発光材料として用いた実施例16〜24の有機電界発光素子は、青色の発光が得られることが確認された。また、発光輝度も890cd/m2を上回る値を示し、半減寿命も860時間を上回る値を示した。これらの値は、比較例1の結果を上回る値であった。
【0120】
以上から、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の一方のみをアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体は、有機電界発光素子における青色発光材料として、発光効率および寿命特性ともに優れた材料であることが確認できた。
【0121】
<実施例25〜29>
上述した実施例16の有機電界発光素子の作製手順において、発光層503中における化合物(2)-mのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲスト濃度を、1体積%、10体積%、20体積%、40体積%、50体積%としたこと以外は、実施例16と同様にして透過型の有機電界発光素子3を作製した。
【0122】
作製した各有機電界発光素子について、実施例1と同様にa)駆動電圧、b)発光輝度、c)発光色、d)半減寿命を測定した結果を、下記表4に示す。尚、表4には、上記比較例1の結果も合わせて示す。
【表4】

【0123】
≪評価結果4≫
表4に示した結果から、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の一方のみアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体の、発光層503中における濃度を、1体積%以上40体積%以下とすることで、b)発光輝度およびd)半減寿命を、比較例1よりも高い値に保つことが可能であることがわかる。また好ましくは1体積%を越えて20体積%以下、さらに好ましくは10体積%程度の濃度とすることにより、b)発光輝度およびd)半減寿命をさらに高い値に保つことが可能であることが確認された。
【0124】
<実施例30>
本実施例30においては、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の一方のみアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体を用いて上面発光型の有機電界発光素子を作製した。
【0125】
ここでは、実施例15の有機電界発光素子の作製手順において発光層503中における化合物(1)-dのジベンゾアントラセン誘導体からなるゲストに換えて、化合物(7)-mをゲスト材料と用いたこと以外は、実施例15と同様にして上面発光型の有機電界発光素子3を作製した。尚、各発光層503におけるゲスト濃度は10体積%とした。
【0126】
作製した有機電界発光素子を電流密度25mA/cm2で直流電流駆動したところ、a)駆動電圧は4.6V、発光効率は2.0cd/A、電力効率は2.1lm/Wであった。また、b)発光輝度687cd/m2、c)発光ピーク467nmの青色発光が確認された。この結果、上面発光の有機電界発光素子であっても、ジベンゾ[a,c]アントラセン骨格の9位と14位の一方のみをアミノ化合物基で置換した本発明のジベンゾアントラセン誘導体を発光材料として用いることで、青色の発光が得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の有機電界発光素子の構成を説明する断面図である。
【図2】ジオキサン溶液中における化合物(1)-dの蛍光吸収スペクトルである。
【図3】合成によって得られた化合物(1)-dのNMRスペクトルである。
【符号の説明】
【0128】
1…表示装置、3…有機電界発光素子、4…下部電極、5…有機層、6…上部電極、501…正孔輸送層、503…発光層、505…電子輸送層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジベンゾ〔a,c〕アントラセン骨格の9位および14位の少なくとも一方がアミノ化合物基で置換された、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示されるジベンゾアントラセン誘導体。
【化1】

[一般式(1)および一般式(2)中において、
1,X2,Xは、それぞれ独立に、置換もしくは未置換のアリーレン基、または置換もしくは未置換の2価複素環基を表し、
A,B,C,Dは、それぞれ独立に、置換もしくは未置換のアルキル基、置換もしくは未置換のアリール基、置換もしくは未置換の複素環基を表し、隣接する基間で互いに連結し環を形成していても良く、
1〜Y12、R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換もしくは未置換のアルキル基、アルコキシ基、置換もしくは未置換のアリール基、または置換もしくは未置換の複素環基を表し、隣接する基間で互いに連結して環を形成していても良い。
【請求項2】
請求項1記載のジベンゾアントラセン誘導体を表す前記一般式(1)および一般式(2)中において、
1,X2,Xは、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜28のアリーレン基、または置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の2価複素環基を表し、
A,B,C,Dは、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜28のアリール基、または置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の複素環基を表し、隣接する基間で互いに連結し環を形成していても良く、
1〜Y12,R1は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン、置換もしくは未置換の炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数1〜20のアルコキシ基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜28のアリール基、または置換もしくは未置換の炭素原子数5〜21の複素環基を表し、隣接する基間で互いに連結して環を形成していても良い、
ことを特徴とするジベンゾアントラセン誘導体。
【請求項3】
請求項1記載のジベンゾアントラセン誘導体を表す前記一般式(1)および一般式(2)中において、
1,X2,Xは、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜18のアリーレン基、はたは置換もしくは未置換の炭素原子数5〜17の2価複素環基を表し、
A,B,C,Dは、それぞれ独立に、置換もしくは未置換の直鎖、分岐あるいは環状の炭素原子数1〜20のアルキル基、置換もしくは未置換の炭素原子数6〜18のアリール基、置換もしくは未置換の炭素原子数5〜17の複素環基を表し、隣接する基間で互いに連結し環を形成していても良い、
ことを特徴とするジベンゾアントラセン誘導体。
【請求項4】
請求項1記載のジベンゾアントラセン誘導体を表す前記一般式(1)および一般式(2)中において、
1,X2,Xは、置換もしくは未置換のフェニレン基である
ことを特徴とするジベンゾアントラセン誘導体。
【請求項5】
請求項1記載のジベンゾアントラセン誘導体を表す前記一般式(1)および一般式(2)中において、
1〜Y12,R1が水素原子である
ことを特徴とするジベンゾアントラセン誘導体。
【請求項6】
一対の電極間に、少なくとも発光層を有する有機層を狭持してなる有機電界発光素子において、
前記有機層が、上記請求項1に記載のジベンゾアントラセン誘導体を用いて構成されている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項7】
請求項6記載の有機電界発光素子において、
前記ジベンゾアントラセン誘導体は、前記発光層を構成する材料として用いられている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項8】
請求項7記載の有機電界発光素子において、
前記ジベンゾアントラセン誘導体は、発光材料として用いられている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項9】
請求項8記載の有機電界発光素子において、
前記ジベンゾアントラセン誘導体は、青色発光材料として用いられている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項10】
請求項8記載の有機電界発光素子において、
前記発光層には、前記ジベンゾアントラセン誘導体が40体積%以下の割合で含まれている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項11】
請求項6記載の有機電界発光素子において、
前記ジベンゾアントラセン誘導体は、正孔注入材料または正孔輸送材料として前記有機層に用いられている
ことを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項12】
陽極と陰極の間に少なくとも発光層を有する有機層を挟持してなる有機電界発光素子を、基板上に複数配列形成してなる表示装置において、
前記有機電界発光素子として、前記請求項6記載の有機電界発光素子が少なくとも1つ用いられている
ことを特徴とする表示装置。
【請求項13】
請求項12記載の表示装置において、
前記請求項6記載の有機電界発光素子が、青色発光素子として複数の画素のうちの一部の画素に設けられている
ことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−112729(P2007−112729A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−304047(P2005−304047)
【出願日】平成17年10月19日(2005.10.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】