説明

ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤および抗糖尿病薬剤を含む組合せ物

【課題】ジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤(DPP-IV)仲介状態の予防、進行遅延、治療、特に糖尿病、さらに特に糖尿病2型、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース損傷状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満、骨粗しょう症において有用な組合せ物を提供すること。
【解決手段】DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物を含む組合せ物により解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物をそれぞれ含む組合せ製剤または医薬組成物などの組合せ物に関し、同時的、分離的、継続的な使用、特にジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤(DPP-IV)仲介状態の予防、進行遅延、治療における使用、特に糖尿病、さらに特に糖尿病2型、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース損傷状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満、骨粗しょう症における使用のためのものである。この抗糖尿病性化合物は、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管インスリン阻害剤、α2-アドレナリン性アンタゴニストよりなる群から選択するのが好ましい。
【0002】
本発明はさらに、前記状態の予防、進行遅延、治療における使用のための医薬製剤の製造に該組合せ物を使用すること、体重を美容的に有益に減らすために哺乳動物を処置するための該組合せ物を使用すること、DPP-IV 仲介状態を予防、進行遅延、治療する方法、温血動物の身体形を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
DPP-IV は GLP-1を不活性化する。特に、DPP-IV は GLP-1 受容体アンタゴニストをつくることにより、GLP-1 に対する生理的応答を短くする。GLP-1 は、膵臓インスリン分泌の主要な促進物質であって、グルコース処理に対して直接の有益な作用を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インスリン非依存性糖尿病 (糖尿病2型) の特徴は、末梢性インスリン抵抗性の増加と異常なインスリン分泌である。インスリン分泌について少なくとも3種の異常が認められている。第一相でインスリン分泌がなくなり、第二相でインスリンが循環グルコースレベル増加において遅延され、不適切である。いくつかの代謝性、ホルモン性、薬理学的物質が、グルコース、アミノ酸、消化管性ペプチドを含むインスリン分泌を促進することが知られている。糖尿病の管理および合併症についての試験 (DCCT) によって、グルコースが糖尿病性微血管合併症の発症および進行の低下に関連することが明らかになっている (Diabetes Control and Complications Trial Research Group; N. Engl. J. Med. 1993, 329, 977-986)。耐糖能障害(IGT)は糖尿病2型に密接に関連するグルコース・ホメオスタシスの崩壊である。両状態が大血管系の疾患に大きい危険性をもたらす。従って、ひとつの治療上の焦点は、糖尿病2型、空腹時血中グルコース異常状態、耐糖能障害(IGT)がある患者において、血糖制御をできるだけ正常および最適にすることにある。この治療目標によく適合するために、入手可能な薬剤を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤を遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物または該化合物の薬学的に許容される塩を、および選択的に少なくとも1種の薬学的に許容される担体を、同時的、分離的、継続的な使用のために含有する組合せ物に関する。
【0006】
この抗糖尿病性化合物は、タンパク質チロシンホスファターゼ (PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管阻害剤、インスリン、α2-アドレナリン性アンタゴニストまたは該化合物の薬学的に許容される塩、および選択的に少なくとも1種の薬学的に許容される担体よりなる群から選択するのが好ましい。
【0007】
この物は、同時的、分離的、継続的な使用、特に DPP-IV 仲介状態の予防、進行遅延、治療における使用、耐糖能障害(IGT)、空腹時血中グルコース損傷状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満、骨粗しょう症における使用、好ましくは糖尿病、特に糖尿病2型における使用のためのものである。該組合せ物は、好ましくは組合せ製剤または医薬組成物である。DPP-IV 阻害剤はペプチド性または非ペプチド性であり得る。好ましくは、DPP-IV 阻害剤は非ペプチド性である。
【0008】
本開示において特にことわらない限り、「低級」で示される有機基は7を越えない、好ましくは4を越えない炭素原子を含有し、以下の表示は下記の意味を有する。
【0009】
ハロゲンは、好ましくはフルオロ、クロロ、ブロモである。
低級アルキルは、特にことわらない限り、好ましくはエチルまたは、最も好ましくはメチルである。(C1-8) アルキルは、分枝、好ましくは非分枝アルキル、好ましくは 低級アルキル、例えばメチルまたはエチルである。
【0010】
低級アルキレンは、好ましくはメチレン、エチレン、プロピレンである。これは、非置換であるか、またはヒドロキシにより置換されていることがある。
低級アルコキシは、好ましくはメトキシまたはエトキシである。(C2-4) アルコキシは、例えばエトキシまたはプロポキシである。
【0011】
シクロアルキルは、例えば C3-C12シクロアルキル、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロデシル;またはビシクロヘプチルなどのシクロアルキルである。シクロアルケニルは、好ましくは 1-シクロヘキセニル、2-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、1-シクロペンテニル、1-シクロペンテニルである。
(C1-3) ヒドロキシアルキルは、例えば 3-ヒドロキシプロピル、1-ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチルである。
【0012】
1または2の低級アルキル基で置換または非置換の C4-C6-アルキレンイミノは、例えば、ピロリジニル、メチルピロリジニル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、2-メチル-1-ピペリジニル、ヘキサメチレンイミノである。好ましくは、C4-C6-アルキエンイミノは 1-ピペリジニルである。
【0013】
上記定義の任意的に置換された [3.1.1] 二環性炭素環部分は、好ましくは、任意的に 6-位 にメチルで2置換されたビシクロ[3.1.1]ヘプト-2-イル、または 2-位に1つのメチルで6-位に2つのメチルで任意的に3置換されたビシクロ[3.1.1]-ヘプト-3-イルである。上記定義の任意的に置換された [2.2.1]二環性炭素環部分は、好ましくはビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-イルである。
【0014】
アリールは、好ましくは 6 〜 12 炭素原子を含み、例えばフェニル、トリル、ナフチルであり、その夫々は低級アルキルまたはハロゲンで置換されていることがある。
【0015】
用語「ヘテロアリール」は、例えば、下記よりなる群から選択する芳香族複素環基を意味する。ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼピニル、4-ピペリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラミン、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾイル、ベンゾチエニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、ベンツイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロイソインドリル、ジヒドロキナゾリニル、テトラヒドロキナゾリニル。
【0016】
好ましい DPP-IV 阻害剤は、N−(N’−置換グリシル)-2-ベンジルシアノピロリジンであって、下記式 (I) で示される。
【化1】

【0017】
式中、R は下記である。
a) R1R1aN(CH2)m-、うち
R1 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロで任意的にモノ- または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはピリミジニル部分; または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニル ;
R1a は、水素または (C1-8)アルキル;
m は、2 または 3;
b) 1-位に (C1-3)ヒドロキシアルキルで任意的にモノ置換された(C3-12)シクロアルキル;
c) R2(CH2)n-、うち、R2 が次のいずれかである:
R2 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンまたはフェニル環がヒドロキシメチルで任意的にモノ置換されたフェニルチオで、任意的にモノ-または独立的にジ- または独立的にトリ-置換されたフェニル ; (C1-8)アルキル; (C1-8)アルキルで任意的にモノ-または多-置換された [3.1.1]二環性炭素環部分 ; 低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはナフチル部分 ; シクロヘキセン; またはアダマンチル;
n は、1 〜 3;または
R2 は、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的に ジ-置換されたフェノキシ ;
n は、2 または 3;
d) (R3)2CH(CH2)2-、うち、各 R3 は、独立的に、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニル ;
e) R4(CH2)p-、うち、R4 は 2-オキソピロリジニルまたは (C2-4)アルコキシ;
p は、2 〜 4;
f) 1-位が (C1-3)ヒドロキシアルキルで任意的にモノ置換されたイソプロピル ;
g) R5 は下記である。インダニル;ベンジルで任意的に置換されたピロリジニルまたはピペリジニル部分;(C1-8)アルキルで任意的にモノ-または多置換された [2.2.1]- または [3.1.1]-二環性炭素環部分 ; アダマンチル;ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニルで、任意的にモノ-または独立的に多-置換された (C1-8)アルキル ;
h) 置換されたアダマンチル。
これらは遊離形態または酸付加塩形態にある。
【0018】
本発明の好ましい実施態様において、N−(N’−置換グリシル)-2-シアノピロリジンは、式 (I) で示される。式中、
R は、R1R1aN(CH2)m-、うち
R1 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはピリミジニル部分 ; または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニル ;
R1a は、水素または (C1-8)アルキル;
m は、2 または 3。
これらは遊離形態または酸付加塩形態にある。
【0019】
さらに好ましくは、N-(N’−置換グリシル)-2-シアノピロリジンは、式 (I) で示される。式中、
R は、R1R1aN(CH2)m-、うち、
R1 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニル部分 ;
R1a は、水素または (C1-8)アルキル;
m は、2 または 3。
これらは遊離形態または酸付加塩形態にある。
【0020】
最も好ましくは、式(I)の N-(N’−置換グリシル)-2-シアノピロリジン は、(S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジン (DPP728) または(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジン (LAF237)である。
【0021】
別の好ましい実施態様において、DPP-IV 阻害剤は、式 II、III、IV、Vの化合物から選択する。
【化2】

うち、B は
【化3】

f は、1 または 2;
g は、0、1 または 2;
X は、CH2、O、S、SO、SO2、NH または NRα1 ( Rα1 は低級アルキル (C1 〜 C6);
-Y は、-N、-CH または-C= (A の -CO 基が -CH= または -CF=で置換されている場合);
Rα は、H、CN、CHO、B(OH)2、PO3H またはこれらのエステル、CC-Rα7 または CH=N-Rα8 (Rα7 は H、F、低級アルキル (C1 〜 C6)、CN、NO2、ORα9、CO29 またはCORα9);Rα9 は、低級アルキル (C1 〜 C6);Rα8 は、Ph、OH、ORα9,、OCORα9 または OBn; A は Y に結合している;
【0022】
式中、群 G1 化合物について、
(a) Rα が H であるとき、A は、シクロ脂肪族側鎖を有するα-アミノ酸から誘導されたα-アミノ-アシル基、または下記一般式の α-アミノ-アシル基:
【化4】

式中、h は 1 〜 6であり、いずれの場合も環は任意的に不飽和および/またはヘテロ原子置換を有する;
(b) Rα が CN、CC-Rα7、CH=N-α8であるとき、A は (a) に定義されたもの、およびさらに親油性側鎖を持つすべての L-α-アミノ酸から誘導され得る;
(c) Rα が CHO または B(OH)2であるとき、A は (a) に定義された α-アミノ-アシル基;
【0023】
G2 化合物について、Rα は H、CN、C=C-Rα7 または-CH=N-Rα8 であり、
A は下記:
【化5】

または

【化6】

式中、a は 1 - 5; D1 は -G-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3; G は O、NH または NMe; b は 0 - 12; q は 0 - 5; D2 はG≠OであるD1 ; Rα4 は Z-NH-(CH2)c- または NH-Z-(CH2)c- (うち、c は 1 - 12、Z は CO、CH2 または SO2); Rα3 または CO2H またはそのエステル、CONH2、CONHNH2、CONRα56、CONHNRα56、PO3H またはそのエステル、SO3H、SO2NH2、SO2NRα56、OH、ORα5、置換または非置換のアリールまたはヘテロアリール、NH2、NRα56、NHCO25、NHSO2NRα56、NHCORα5、NH-SO25、NH-CH(:NRα5)NRα56、NHCONHRα56、糖、CO-アミノ糖、NHCO-アミノ糖または NHCS-アミノ糖;Rα5 および Rα6 は、8 原子までのH、低級 アルキル、フルオロアルキル、シクロアルキル基、および11 原子までのアリール、ヘテロアリール、アルキル ヘテロアリール基から独立的に選択され、Rα5 および Rα6 は一緒になって鎖 (C3 〜 C8)を含む;または
【化7】

または

【化8】

式中、Rα10 は H または Me、環はさらにヘテロ原子を含有し得、E は J-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3、J = CO、CH2 または SO2であり、a、b、q、Rα3、Rα4 は (i) に定義されたとおりである;または
【化9】

または
【化10】

式中、Rα2 は H または Me、環は1以上のヘテロ原子を含有し得、L は (CH2)d-(CO)r-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3 または (CH2)e-NRα10-(CH2)b-(Rα4)q-Rα3 (うち、r は 0 または 1、d は 0 - 4、e は 2 - 4、b、q、Rα3、Rα4 は (i)に定義のとおりである);
【0024】
G3 化合物について、各 B は上記の定義に同じ、各 A は、共有基 -ε-ω-ε-、-ε-ε- または -ω-(εおよびωは独立的にCH2、O、NH、CO、S、SO2、Ph、NHMeから選択し得る)で置換された A 残基中に末端基 Rα3 を有するすべての群 G2 上記構造 (i)、(ii) または (iii) から選択し得る ;
【0025】
式中、群 G2 および G3 において、鎖中の少なくとも1つの CH2 基がそのバイオ等量物で置換され、群G1、G2または G3におけるA および B に結合するか、群 G2 または G3化合物 におけるA の側鎖にあるすべてのアミド基がバイオ等量物で置換され得る。
これらは遊離形態または酸付加塩形態にある。
【0026】
他の好ましい実施態様において、DPP-IV 阻害剤は下記の式 VI の化合物である:
【化11】

これは遊離形態または酸付加塩形態にある。
【0027】
DPP-IV 阻害剤は、各事例において一般的または具体的に WO 98/19998、DE 196 16 486 A1、WO 00/34241、WO 95/15309に開示されている。各事例において、特に参考例の化合物請求項および最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を、出典明示により本明細書の一部とする。DPP728 および LAF237 は、それぞれ WO 98/19998 の実施例3および WO 00/34241 の実施例1に具体的に開示されている。式 VI (上記参照)のDPP-IV 阻害剤は、Diabetes 1998, 47, 1253-1258に具体的に開示されている。DPP728 は WO 98/19998 の20頁に記載のように式示され得る。
【0028】
さらなる好ましい実施態様において、DPP-IV 阻害剤は N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルアミンまたはその薬学的に許容される塩である。アロイルは、例えば、非置換、モノ置換またはジ置換(例えば、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲンまたは好ましくはニトロで置換される)ナフチルカルボニルまたはベンゾイルである。ペプチジル部分は、好ましくは2つα-アミノ 酸、例えば、グリシン、アラニン、ロイシン、フェニルアラニン、リシン、プロリンを含み、そのうちヒドロキシルアミン窒素原子に直接結合している1つのアミノ酸はプロリンである。
【0029】
好ましくは、N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルアミンは下記式 VIIの化合物:
【化12】

式中、
j は、0、1 または 2;
1 は、天然アミノ 酸の側鎖を示し;
2 は、低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲンまたはニトロを示す、
またはその薬学的に許容される塩である。
【0030】
本発明の非常に好ましい実施態様において、N-ペプチジル-O-アロイルヒドロキシルアミンは、下記式 VIIa の化合物:
【化13】

またはその薬学的に許容される塩である。
【0031】
N-ペプチジル-O-アロイル ヒドロキシルアミン、例えば、式 VII または VIIa のもの、およびその製剤は、H.U. Demuth et al. in J. Enzyme Inhibition 1988, Vol. 2, 129-142頁、特に130-132頁に記載されている。
【0032】
PTPase 阻害剤は、限定でないが、U.S. 特許 6,057,316、U.S. 特許 6,001,867、WO 99/58518、WO 99/58522、WO 99/46268、WO 99/46267、WO 99/46244、WO 99/46237、WO 99/46236、WO 99/15529、および Poucheret et al : Mol. Cell Biochem. 1998, 188, 73-80 に開示のものを含む。
【0033】
「小さくない分子模倣化合物」は、限定でないが、Science 1999, 284; 974-97に開示のもの、特に L-783,281、WO 99/58127 に開示のもの、特に CLX-901を含む。
「GFAT の阻害剤」の例は、限定でないが、Mol. Cell. Endocrinol. 1997,135(1), 67-77に開示のものを含む。
【0034】
本明細書で使用される用語「G6Pase の阻害剤」は、G6Pase の活性を減少または阻害することによる肝グルコン生成を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例は、WO 00/14090、WO 99/40062、WO 98/40385、EP682024 および Diabetes 1998, 47, 1630-1636 に開示されている。
【0035】
本明細書で使用される用語「F-1,6-BPase の阻害剤」は、F-1,6-BPase の活性を減少または阻害することによる肝グルコン生成を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例は、WO 00/14095、WO 99/47549、WO 98/39344、WO 98/39343、WO 98/39342 に開示されている。
【0036】
本明細書で使用される用語「GP の阻害剤」は、GP の活性を減少または阻害することによる肝グルコン生成を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例は、EP 978279、US 特許 5998463、WO 99/26659、EP 846464、WO 97/31901、WO 96/39384、WO9639385 に開示され、特に CP-91149 は Proc. Natl. Acad Sci USA 1998, 95, 1776-1781 に記載されている。
【0037】
本明細書で使用される用語「グルカゴン受容体アンタゴニスト」は、WO 98/04528 に記載の化合物、特に BAY27-9955、Bioorg Med. Chem. Lett 1992, 2, 915-918 に記載のもの、特に CP-99,711、J. Med. Chem. 1998, 41, 5150-5157 に記載のもの、特に NNC 92-1687、J. Biol Chem. 1999, 274; 8694-8697 に記載のもの、特に L-168,049、US 5,880,139、WO 99/01423、US 5,776,954、WO 98/22109、WO 98/22108、WO 98/21957、WO 97/16442 に開示の化合物に関する。
【0038】
本明細書で使用される用語「PEPCK の阻害剤」は、PEPCK の活性を減少または阻害することによる肝グルコン生成を低下または阻害する化合物または組成物を意味する。該化合物の例は、U.S 特許 6,030,837 および Mol. Biol. Diabetes 1994, 2, 283-99 に開示されている。
【0039】
本明細書で使用される用語「PDHK の阻害剤」は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼの阻害剤を意味し、限定でないが、Aicher et al:J. Med. Chem. 42 (1999) 2741-2746 に開示の化合物を含む。
【0040】
本明細書で使用される用語「インスリン感受性エンハンサー」は、インスリンに対する組織感受性を高めるすべての薬理学的活性化合物を意味する。インスリン感受性エンハンサーは、例えば、GSK-3 の阻害剤、レチノイド X 受容体 (RXR) アゴニスト、Beta-3 AR のアゴニスト、UCP のアゴニスト、抗糖尿病性チアゾリジンジオン (グリタゾン)、非グリタゾン型 PPARγ アゴニスト、デュアル PPARγ/ PPARα アゴニスト、抗糖尿病性バナジウム 含有化合物、ビグアニド、例えばメトホルミンを含む。
【0041】
インスリン感受性エンハンサーは、好ましくは抗糖尿病性チアゾリジンジオン、抗糖尿病性バナジウム含有化合物、メトホルミンよりなる群から選択する。
ひとつの好ましい実施態様において、インスリン感受性エンハンサーはメトホルミンである。
【0042】
「GSK-3 の阻害剤」は、限定でないが、WO 00/21927 および WO 97/41854に開示のものを含む。
【0043】
「RXR アゴニスト」は、RXR ホモ二量体またはヘテロ二量体と結合したときに、RXR の複写調節活性を増加する化合物または組成物を意味する。この活性は、U.S. 特許 4,981,784、5,071,773、5,298,429、5,506,102、WO89/05355、WO91/06677、WO92/05447、WO93/11235、WO95/18380、PCT/US93/04399、PCT/US94/03795、CA 2,034,220(出典明示により本明細書の一部とする)に記載または開示の「共トランスフェクション」または「シス−トランス」アッセイを含み、これらに限定されない当業者に既知のアッセイにより測定する。これは、限定でないが、RARよりもRXR を優先的に活性化する化合物 (すなわち、RXR 特異的アゴニスト)、RXR と RARの両者を活性化する化合物 (すなわち、汎アゴニスト)を含む。これはまた、ある種の細胞内容でのみ RXR を活性化する化合物 (すなわち、部分的アゴニスト)を含む。下記の文献、特許、特許出願に記載または開示のRXR アゴニスト活性を有する化合物を、出典明示により本明細書に組み込む: U.S. 特許 5,399,586 および 5,466,861、WO96/05165、PCT/US95/16842、PCT/US95/16695、PCT/US93/10094、WO94/15901、PCT/US92/11214、WO93/11755、PCT/US93/10166、PCT/US93/10204、WO94/15902、PCT/US93/03944、WO93/21146、仮出願 60,004,897 および 60,009,884、Boehm, et al. J. Med. Chem. 38(16):3146-3155, 1994、Boehm, et al. J. Med. Chem. 37(18):2930-2941, 1994、Antras et al., J. Biol. Chem. 266:1157-1161 (1991)、Salazar-Olivo et al., Biochem. Biophys. Res. Commun. 204:157-263 (1994)、Safanova, Mol. Cell. Endocrin. 104:201-211 (1994)。RXR 特異的アゴニストは、限定でないが、LG 100268 (すなわち、2-[1-(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-シクロプロピル]-ピリジン-5-カルボン酸)、LGD 1069 (すなわち、4-[(3,5,5,8,8-ペンタメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフチル)-2-カルボニル]-安息香酸)、およびその類似体、誘導体、薬学的に許容される塩を含む。LG 100268 および LGD 1069は、Boehm, et al. J. Med. Chem. 38(16):3146-3155, 1994 (出典明示により本明細書の一部とする)汎アゴニストは、限定でないが、ALRT 1057 (すなわち、9-cis レチノン酸)、その類似体、誘導体、薬学的に許容される塩を含む。
【0044】
「 Beta-3 AR のアゴニスト」は、限定でないが、CL-316,243 (Lederle Laboratories) および WO 99/29672、WO 98/32753、WO 98/20005、WO 98/09625、WO 97/46556、WO 97/37646、U.S. 特許 5,705,515 に開示のものを含む。
【0045】
本明細書で使用される用語「UCP のアゴニスト」は、UCP-1、好ましくは UCP-2、さらに好ましくは UCP-3 のアゴニストを意味する。UCP は Vidal-Puig et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., Vol. 235(1) pp. 79-82 (1997) に開示されている。該アゴニストは、UCP の活性を増加する化合物または組成物である。
【0046】
抗糖尿病性 チアゾリジンジオン (グリタゾン) は、例えば、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン (エングリタゾン)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ダルグリタゾン)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ)-フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (シグリタゾン)、5-{[4-(2-(1-インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (DRF2189)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (BM-13.1246)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン (AY-31637)、ビス{4-[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)-メチル]フェニル}メサン (YM268)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]-ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (AD-5075)、5-[4-(1-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン (DN-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル])-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル])-2-プロピニル]-5-(4-フルオロフェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ロシグリタゾン)、5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (ピオグリタゾン)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (トログリタゾン)、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)-ナフタレン-2-イルメチル]-チアゾリジン-2,4-ジオン (MCC555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンザゾル-5-イル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (T-174)、5-(2,4-ジオキソチアゾリン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド (KRP297)である。
【0047】
好ましくは、抗糖尿病性チアゾリジンジオンは、下記式 VIII の化合物:
(VIII)
【化14】

式中、
M は、
ナフチル, ベンゾキサゾイル、ジヒドロベンゾピラニル、インドール、フェニル (ハロゲンで任意的に置換される)またはフェニルエチニル (ハロゲンで任意的に置換される)であり;
1 は、ハロゲンまたは基 -QRβ4であり、うち、
Q は酸素、低級アルキレン、カルボニルまたは-NH-であり得、
4
ナフチル;
非置換フェニルまたは 2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニルにより置換されたフェニル; または
非置換または下記により置換された低級アルキルまたはヒドロキシ低級アルキル:
a) インドールまたは 2,3-ジヒドロインドール、
b) ピリジル、低級アルキル-ピリジル、N-低級アルキル-N-ピリジルアミノまたはハロゲンフェニル、
c) ジヒドロベンゾピラニル(非置換またはヒドロキシおよび低級アルキルにより置換されている)、
d) オキサゾリル(非置換または低級アルキルおよびフェニルにより置換されている)、
e) シクロアルキル(非置換または低級アルキルにより置換されている)、
f) アリールシクロアルキルカルボニル;
2 は、水素またはトリフルオロメチルフェニル-低級 アルキルカルバモイル;
3 は、水素またはアリールスルホニル;
または薬学的に許容される塩である。
【0048】
好ましくは、式 VIII の化合物は、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン (エングリタゾン)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ダルグリタゾン)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ)-フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (シグリタゾン)、5-{[4-(2-(1-インドリル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (DRF2189)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (BM-13.1246)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン (AY-31637)、ビス{4-[(2,4-ジオキソ-5-チアゾリジニル)メチル]フェニル}メサン (YM268)、5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-2-ヒドロキシエトキシ]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (AD-5075)、5-[4-(1-フェニル-1-シクロプロパンカルボニルアミノ)-ベンジル]-チアゾリジン-2,4-ジオン (DN-108)、5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロ-フェニル])-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[3-(4-クロロフェニル])-2-プロピニル]-5-(4-フルオロフェニル-スルホニル)チアゾリジン-2,4-ジオン、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)ナフタレン-2-イルメチル]-チアゾリジン-2,4-ジオン (MCC555)、5-{[2-(2-ナフチル)-ベンゾキサゾイル-5-イル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (T-174)、5-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド (KRP297) またはその薬学的に許容される塩よりなる群から選択する。
【0049】
さらに好ましくは、式 VIII の化合物は、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ロシグリタゾン)、5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (ピオグリタゾン)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (トログリタゾン)、MCC555、T-174、KRP297、特にロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、またはこれらの薬学的に許容される塩よりなる群から選択する。
【0050】
グリタゾン 5-{[4-(2-(5-エチル-2-ピリジル)エトキシ)フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (ピオグリタゾン、EP 0 193 256 A1)、5-{[4-(2-(メチル-2-ピリジニル-アミノ)-エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ロシグリタゾン、EP 0 306 228 A1)、5-{[4-((3,4-ジヒドロ-6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチル-2H-1-ベンゾピラン-2-イル)メトキシ)-フェニル]-メチル}チアゾリジン-2,4-ジオン (トログリタゾン、EP 0 139 421)、(S)-((3,4-ジヒドロ-2-(フェニル-メチル)-2H-1-ベンゾピラン-6-イル)メチル-チアゾリジン-2,4-ジオン (エングリタゾン、EP 0 207 605 B1)、5-(2,4-ジオキソチアゾリジン-5-イルメチル)-2-メトキシ-N-(4-トリフルオロメチル-ベンジル)ベンザミド (KRP297、JP 10087641-A)、5-[6-(2-フルオロ-ベンジルオキシ)-ナフタレン-2-イルメチル]チアゾリジン-2,4-ジオン (MCC555、EP 0 604 983 B1)、5-{[4-(3-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-1-オキソプロピル)-フェニル]-メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (ダルグリタゾン、EP 0 332 332)、5-(2-ナフチルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン (AY-31637、US 4,997,948)、5-{[4-(1-メチル-シクロヘキシル)メトキシ)-フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (シグリタゾン、US 4,287,200) は、各物質について括弧内に示した文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に参考例の化合物請求項および最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典明示により本明細書に組み込む。DRF2189 および 5-{[4-(2-(2,3-ジヒドロインドール-1-イル)エトキシ)フェニル]メチル}-チアゾリジン-2,4-ジオン の製造は、B.B. Lohray et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1619-1630 に記載されている:実施例 2d および 3g、1627 および 1628 頁。5-[3-(4-クロロフェニル])-2-プロピニル]-5-フェニルスルホニル)-チアゾリジン-2,4-ジオン および A が本明細書で述べるフェニルエチニルである他の化合物の製造は、J. Wrobel et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1084-1091 に記載の方法により実施できる。
【0051】
特に、MCC555は、EP 0 604 983 B1 の 49 頁、30 〜 45 行に開示されている; エングリタゾンは、EP 0 207 605 B1 の 6 頁、52 行〜 7 頁、6 行に、類似体は、24 頁の実施例 27 または 28 に開示されている。ダルグリタゾンおよび 5-{4-[2-(5-メチル-2-フェニル-4-オキサゾリル)-エトキシ)]ベンジル}-チアゾリジン-2,4-ジオン (BM-13.1246) は、EP 0 332 332 B1 の 8 頁、42 〜 54 行の開示のようにつくり得る。AY-31637 は、US 4,997,948 のl32 〜 51 行、コラム4 に開示のように、ロシグリタゾンは、EP 0 306 228 A1の 9頁、32 〜 40 行に記載のように投与し得る。後者は、マレイン酸塩が好ましい。ロシグリタゾンは、例えばAVANDIA(商標)で市販されているような形態で投与し得る。トログリタゾンは、例えば ReZulin(商標)、PRELAY(商標)、ROMOZIN(商標)(英国で)または NOSCAL(商標)(日本で)で市販されているような形態で投与し得る。ピオグリタゾンは、EP 0 193 256 A1 の実施例に記載のように、モノ塩酸塩の形態で投与し得る。単一の患者の必要性に対応して、ピオグリタゾンは、ACTOS(商標)で市販されているような形態で投与し得る。シグリタゾンは、例えば US 4,287,200 の実施例13 に開示のように作り得る。
【0052】
非グリタゾン型 PPARγアゴニストは、特に N-(2-ベンゾイルフェニル)-L-チロシン類似体、例えば、GI-262570 および JTT501 である。
【0053】
本明細書で使用される用語「デュアル PPARγ/ PPARα アゴニスト」は、同時にPPARγおよび PPARα アゴニストである化合物を意味する。好ましいデュアル PPARγ/ PPARα アゴニストは、特に ω-[(オキソキナゾリニルアルコキシ)フェニル]アルカノエートおよびその類似体であり、とりわけ、WO 99/08501 に記載の DRF-554158 および Fukui in Diabetes 2000, 49(5), 759-767 に記載の NC-2100 である。
【0054】
抗糖尿病性バナジウム含有化合物は、2座配位モノプロトン性キレートの生理的に耐容性のバナジウム複合体が好ましい。該キレートは α-ヒドロキシピロンまたは α-ヒドロキシピリジノン、特に US 5,866,563 の実施例(その参考例を出典明示により本明細書の一部とする)に開示のもの、またはその薬学的に許容される塩である。
【0055】
メトホルミン (ジメチルジグアニド) およびその塩酸塩は、公知であり、Emil A. Werner and James Bell, J. Chem. Soc. 121, 1922, 1790-1794 に最初に開示された。メトホルミンは、例えば、GLUCOPHAGE(商標)で市販されているような形態で投与し得る。
【0056】
インスリン分泌エンハンサーは、膵臓 β 細胞に由来するインスリンの分泌を促進する性質を有する薬理学的に活性な化合物である。インスリン分泌エンハンサーの例として、グルカゴン受容体アンタゴニスト (上記参照)、スルホニル尿素誘導体、インクレチンホルモン、特に、グルカゴン様ペプチド-1 (GLP-1) や GLP-1 アゴニスト、β-細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト、抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体のような短期作用分泌促進性インスリン、抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体、T. Page et al in Br. J. Pharmacol. 1997, 122, 1464-1468 に記載のBTS 67582 がある。
【0057】
スルホニル尿素誘導体は、例えば、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロプロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリルリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミドまたはトルシクラミドである。好ましくは、グリメピリドまたはグリクラジドである。トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、グリボルヌリド、グリキドン、グリソキセピド、グリメピリド は、例えば、それぞれ RASTINON HOECHST(商標)、AZUGLUCON(商標)、DIAMICRON(商標)、GLUBORID(商標)、GLURENORM(商標)、PRO-DIABAN(商標)、AMARYL(商標)で市販されている形態で投与し得る。
【0058】
GLP-1 は、例えば、W.E. Schmidt et al.:Diabe to logia 28, 1985, 704-707 および US 5,705,483 に記載のインスリントロピックタンパク質である。本明細書で使用される用語「GLP-1 アゴニスト」は、特に US 5,120,712、US 5,118666、US 5,512,549、WO 91/11457、C. Orskov et al:J. Biol. Chem. 264 (1989) 12826 に記載されている GLP-1(7-36)NH2 の変異体および類似体を意味する。用語「GLP-1 アゴニスト」は、特に、GLP-1(7-37) のような化合物を含む。この化合物において Arg36 のカルボキシ末端アミド官能基が GLP-1(7-36)NH2 分子の37 位で Gly で置換されており、その変異体および類似体は、GLN9-GLP-1(7-37)、D-GLN9-GLP-1(7-37)、アセチル LYS9-GLP-1(7-37)、LYS18-GLP-1(7-37)、特に GLP-1(7-37)OH、VAL8-GLP-1(7-37)、GLY8-GLP-1(7-37)、THR8-GLP-1(7-37)、MET8-GLP-1(7-37)、4-イミダゾプロピオニル-GLP-1を含む。具体的に好ましいのは、GLP アゴニスト類似体エキセンジン-4 であって、Greig et al:Diabe to logia 1999, 42, 45-50 に記載されている。
【0059】
本明細書で使用される用語「β-細胞イミダゾリン受容体アンタゴニスト」は、WO 00/78726 および Wang et al:J. Pharmacol. Exp. Ther. 1996; 278; 82-89 に記載の化合物、例えば、PMS 812 を意味する。
【0060】
抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体は、好ましくは下記式 IX の化合物である:
【化15】

式中、
1 は、非置換ならびにC1-C3アルキルによるモノまたはジ置換の非分枝C4-C6アルキレンイミノ基 ;
2 は、水素、ハロゲン、メチルまたはメトキシ;
3 は、水素、C1-C7アルキルならびに非置換またはハロゲン、メチルまたはメトキシによる置換のフェニル;
4 は、水素、アリル、アセチル、プロピオニル、非置換またはフェニルによる置換の C1-C3アルキル;
W はメチル、ヒドロキシメチル、ホルミル、カルボキシ; 2 〜 5 炭素原子を含み、アルコキシ基のアルキル部分が非置換であるかフェニルにより置換されているアルコキシカルボニル、または薬学的に許容される塩である。
最も好ましくは、式 IX の化合物は、レパグリミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0061】
抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体は、好ましくは下記式 X の化合物:
【化16】

式中、Ph はフェニルを意味し、
1 は、水素、C1 〜 C5 アルキル、C6 〜 C12 アリール、C6 〜 C12 アリールアルキル、
【化17】

-CH2CO23、-CH(CH3)-OCO-Rγ3、-CH2-OCO-C(CH3)3;
2 は、C6 〜 C12 アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル(いずれの基も1以上の置換基を有し得る)よりなる群から選択する;
3 は、水素および C1 〜 C5 アルキルより選択する(ただし、Rγ1 および Rγ3 がともに水素原子であるとき、Rγ2 は置換または非置換のフェニルまたはナフチル以外である);
またはその薬学的に許容される塩、または人体内または動物体内でそのものに転換され得る前駆物質である。
2 がヘテロアリールであるとき、Rγ2 は、好ましくはキノリニル、ピリジルまたは 2-ベンゾフラニルである。
最も好ましくは、抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体はナテグリミドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0062】
ナテグリミド (N-[(トランス-4-イソプロピルシクロヘキシル)-カルボニル]-D-フェニルアラニン、EP 196222 および EP 526171) およびレパグリニド ((S)-2-エトキシ-4-{2-[[3-メチル-1-[2-(1-ピペリジニル)フェニル]ブチル]-アミノ]-2-オキソエチル}安息香酸、EP 0 147 850 A2、特に実施例 11、61 頁、および EP 0 207 331 A1) は、各物質について括弧内に示した文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に参考例の化合物請求項および最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典明示により本明細書に組み込む。本明細書で使用される用語ナテグリミドは、EP 0526171 B1 または US 5,488,510 に記載されているような結晶性改変(ポリモルフ)を含む。この対象、特に請求項 8 〜 10 の対象を、B-型結晶性改変についての参照とともに出典明示により本明細書に組み込む。本発明において、好ましくは B- または H-型、さらに好ましくは H-型を使用する。レパグリニドは、NovoNorm(商標)で市販の形態で投与し得る。ナテグリミドは、STARLIX(商標)で市販の形態で投与し得る。
【0063】
α-グリコシダーゼ阻害剤は、非吸収性の複合炭水化物を吸収性のモノサッカライドに分解する小腸 α-グルコシダーゼ酵素を阻害する薬理学的に活性な化合物である。該化合物の例として、アカルボース、N-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロピル)バリオラミン (ボグリボース)、1-デオキシノジリマイシン誘導性ミグリトールがある。アカルボースは4”,6”-ジデオキシ-4”-[(1S)-(1,4,6/5)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-2-シクロ-ヘキセニルアミノ}マルトトリオースである。アカルボースの構造は、O-4,6-ジデオキシ-4-{[1S,4R,5S,6S]-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)-2-シクロヘキセン-1-イル]-アミノ}-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-O-α-D-グルコピラノシル-(1→4)-D-グルコピラノースとも記載できる。アカルボース (US 4,062,950 および EP 0 226 121) は、各物質について括弧内に示した文献に一般的または具体的に開示されている。各場合特に参考例の化合物請求項および最終産物において、最終産物、医薬製剤、請求項の対象を出典明示により本明細書に組み込む。単一の患者の必要性に応じて、このものは、GLUCOBAY(商標)で市販されているような形態で投与し得る。ミルリトールは、DIASTABOL 50(商標)で市販されているような形態で投与し得る。
【0064】
α-グルコシダーゼ阻害剤は、好ましくはアカルボース、ボグリボース、ミグリトールよりなる群から選択する。
【0065】
GLP-1 以外の「消化性空腹の阻害剤」は、限定でないが、J. Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 85(3), 1043-1048 に記載されているもの、特に CCK-8、Diabetes Care 1998; 21; 897-893に記載されているもの、特にアミリンおよびその類似体プラムリンチドを含む。アミリンは、O.G. Kolterman et al. in Diabe〜logia 39, 1996, 492-499 にも記載されている。
【0066】
「α2-アドレナリン性アンタゴニスト」の例は、限定でないが、Diabetes 36, 1987, 216-220 に記載されているミダグリゾールを含む。
対応する立体異性体および結晶性改変などの対応のポリモルフと同様のものが含まれる。これらは、引用の特許文献に開示されている。
【0067】
本発明の非常に好ましい実施態様において、DPP-IV 阻害剤は、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンおよび (S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジンから選択する。さらなる抗糖尿病性化合物は、ナテグリニド、レパグリニド、メトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロ-プロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリルリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド、グリクラジドまたは該化合物の薬学的に許容される塩よりなる群から選択する。
【0068】
用語「予防」は、本明細書に記載の状態の発症を防止するために、健常人に組合せ物を予防的に投与することを意味する。さらに、用語「予防」は、治療しようとする状態、特に糖尿病の前段階にある患者に組合せ物を予防的に投与することを意味する。
【0069】
本明細書で使用される用語「進行の遅延」は、治療しようとする状態、特に糖尿病の前段階にある患者(対応の状態の前段階であると診断されている)に、組合せ製剤や医薬組成物などの組合せ物を投与することを意味する。
【0070】
PTPases の阻害剤、GSK-3 の阻害剤、非小分子模倣化合物、GFAT の阻害剤、G6Pase の阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、PEPCK の阻害剤、F-1 の阻害剤、6-BPase、GP の阻害剤、RXR アゴニスト、Beta-3 AR のアゴニスト、PDHK 阻害剤、消化性空腹の阻害剤、UCP のアゴニストについての製剤および処方の例は、本明細書で掲載した物質に関する引用の特許および特許出願に記載されている。
【0071】
番号、一般名、商標名で明らかにされた活性化物質の構造は、「The Merck Index」の最新版やデーターベース、例えば Patents International (例えば、IMS World Publications)から得ることができる。それらの対応内容を出典明示により本明細書に組み入れる。当業者は、活性物質を完全に同定でき、また製造でき、医薬適用および標準的試験モデル、インビトロおよびインビボの両方での性質を試験できる。
【0072】
組合される化合物は、薬学的に許容される塩として準備し得る。これらの化合物は、例えば、少なくとも1つの塩基性中心を持っていると、酸付加塩を形成できる。対応する酸付加塩は、所望により、追加の塩基性中心を持つようにも形成し得る。酸基 (例えば COOH) を有する化合物は塩基と酸を形成し得る。例えば、組合される化合物は、ナトリウム塩、マレイン酸塩、ニ塩酸塩として準備し得る。活性成分およびその薬学的に許容される塩は、水和物の形態でも使用し、結晶化に用いられる他の溶媒を含み得る。
【0073】
抗糖尿病性化合物、好ましくはタンパク質チロシンホスファターゼ (PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管阻害剤、インスリン、α2-アドレナリン性アンタゴニストまたは該化合物の薬学的に許容される塩よりなる群から選択する抗糖尿病性化合物を、以後、本発明の組合せ相手成分を呼ぶ。
【0074】
DPP-IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1の本発明の組合せ相手成分を、また任意的に少なくとも1、すなわち1以上、例えば2の薬学的に許容される担体を、同時的、分離的、継続的な使用のために含む組合せ物は、基本的に「部分のキット」である。このことは、成分である DPP-IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1の本発明の組合せ相手成分を、独立的な使用または種々の固定された組合せの使用により、異なる成分量でもって、種々の時点または同時に投与できるとの意味である。部分のキットの部分は、同時的または経時的にずらして投与し得る。すなわち、部分のキットのいかなる部分についても、異なる時点あるいは同じまたは異なる間隔で投与し得る。好ましくは、時間間隔は、部分の組み合わせ使用において処置される疾患または状態に対する作用が、各成分のいずれかひとつのみの使用で得られるであろう作用よりも大きくなるように選択する。好ましくは、少なくとも1つの利点がある。例えば、遊離または薬学的に許容される塩の形態での DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の作用を相互に高める。追加の有益な作用は副作用の軽減である。また、追加の有益な作用は、成分の1つでは効果のない用量で組合された治療作用、特に相乗作用、例えば、遊離または薬学的に許容される塩の形態での DPP-IV 阻害剤と少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分との相加的作用以上の作用である。
【0075】
DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病、空腹時血中グルコース異常状態、耐糖能障害(IGT)の本質は、複数の要因からなる。特定の状況において、種々の作用メカニズムを持つ薬剤を組み合す。しかし、異なる作用モードを持つが同じ場で作用する薬剤の組合せは、必ずしも有益な作用を持つ組合せとならないと思われる。
【0076】
驚くべきことに、DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を組合せて投与することは、有益な、特に相乗的な治療効果をもたらすだけでなく、効果の驚くべき延長、治療処置の広い多様性、糖尿病に関連する疾患や状態、例えば体重減に対する驚くべき有益な作用などの組合せ処置から得られる追加の利点をもたらすことが実験的にわかった。
【0077】
さらなる利点は、本発明により組合された個々の薬剤の低い量を用いて、用量を下げ得ることである。例えば、投与量がしばしば低いだけでなく、頻度が少なくなり、副作用の発生を減じるために低い投与量を使用し得る。このことは、処置される患者についての所望および必要性に合致する。
【0078】
確立している試験モデルおよび特に本明細書に記載の試験モデルにより下記のことがわかる。DPP-IV 阻害剤、特に (S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジン (DPP728) または (S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジン (LAF237) および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分が、DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病、とりわけ糖尿病2型、空腹時血中グルコース異常状態、IGT 状態の効果的な予防および好ましくは治療をもたらす。
【0079】
関連分野での当業者は、関係する試験モデルを選択して、上記または下記の治療適用および有益な作用を証明できる。薬理学的活性を、例えば、下記のマウスでのインビボ試験または臨床試験の方法に基本的にしたがって明らかにし得る。
【発明の効果】
【0080】
血中グルコース調節についてマウスでのインビボ試験
ICR-CDI マウス (雄、5週令、体重:約 20 g) を 18 時間絶食させた後、試験対象として使用する。本発明の組合せ物および活性成分単独を 0.5% CMC-0.14M 塩化ナトリウム緩衝液 (pH 7.4) に懸濁する。得た溶液を一定の量で試験動物に経口投与する。予め定めた時間後に、対照群に対して低下した血中グルコースを測定する。
【0081】
食事療法のみでは適切に制御されない糖尿病2型の患者における二重盲検の無作為割付平行群の臨床試験
本試験は、本発明の組合せ製剤または医薬組成物の相乗作用を特に証明する。DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病2型に対する有益な作用を、この試験の結果により、または当業者に既知の試験方法を変えて調べることができる。
【0082】
この試験は、特に、グルコース制御に対する作用について、本発明の組合せ相手成分のみとその成分に加えたDPP-IV 阻害剤とを比較するのに適当である。
【0083】
本試験では、食事療法のみで正常な血糖状態 (HbA1c <6.8%) に達しないと診断された糖尿病2型の患者を選択する。グルコース制御に対する作用を、DPP-IV のみの療法、1つの本発明の組合せ相手成分のみの療法、および DPP-IV と1つの本発明の組合せ相手成分との組合せについて、プラセボでの制御の24週後に本試験において調べる。すべての患者は、処置の前の期間と同じ食事を続ける。グルコース制御は糖尿病の処置についての妥当性のある終了点で行う。HbA1c は、グルコース制御の検査について単独で最も信頼性の高い測定値であり (D. Goldstein et al, Tests of Glycemia in Diabetes; Diabetes Care 1995, 18(6), 896-909) 本試験で変動し得る主要な応答である。ヘモグロビンのグリコシル化が各J赤血球形成時のグルコース濃度により定まるので、HbA1c は過去3か月の平均的血中グルコースの値を提供する。
【0084】
24 週の二重盲検処置を始める前に、患者に4週間、DPP-IV 阻害剤、例えば DPP728 および LAF237 と対にしたプラセボを、朝食、昼食、夕食の前に、1以上の本発明の組合せ相手成分と対にしたプラセボを投与する(期間I)。例えば、期間Iにおいて、α-グルコシダーゼ阻害剤アカルボースを選択すると、アカルボースと対にしたプラセボを、好ましくは朝食、昼食、夕食の開始時に投与する。抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体レパグリミドを選択すると、レパグリミドと対にしたプラセボを、好ましくは朝食、昼食、夕食の後に投与する。抗糖尿病性 チアゾリジンジオン・トログリタゾンを選択すると、トログリタゾンと対にしたプラセボを、好ましくは朝食とともにのみ投与する。抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体レパグリミドを選択すると、レパグリミドと対にしたプラセボを、好ましくは朝食、昼食、夕食の後に投与する。抗糖尿病性フェニルアラニン誘導体ナテグリニドを選択すると、対にしたプラセボを、好ましくは朝食前に投与する。メトホルミンを選択すると、対にしたプラセボを、好ましくは朝食および夕食の後に投与する。
【0085】
次いで、24 週間の二重盲検試験(期間 II)のために患者を4処置群に分ける。表1〜5に示すように、DPP728 を DPP-IV 阻害剤として選択し、抗糖尿病性チアゾリジンジオン・トログリタゾン、抗糖尿病性フェニル酢酸誘導体レパグリニド、α-グルコシダーゼ阻害剤アカルボース、抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体ナテグリニド、ビグアニド・メトホルミンの内から1薬剤を組合せ相手成分として選択する。
【0086】
投与する組合せ物の例
【表1】


【表2】


【表3】


【表4】


【表5】

【0087】
DPP728 錠は該化合物 50 mg を含有するか、対のプラセボである。ナタグリニド錠はその 120 mg を含有するか、対のプラセボである。トログリタゾン 200 mg 錠、レパグリニド 1 mg 錠、アカルボース 50 mg 錠、メトホルミン 500 mg 錠は、市販品を購入でき、対のプラセボカプセルと対になるようにし得る。
【0088】
次いで、表1に示すように 24 週間の二重盲検試験(期間 II)のために患者を4処置群に分ける。約 170 人の患者を処置群ごとに無作為に割り付ける。各患者につき前処理期間を含み全期間は 28 週間である。統計処理を当業者に既知の方法で行う。
【0089】
予定検査のための来院日には、朝の薬剤および朝食を取らないように患者に指示する。朝の服用はすべての空腹時サンプル採取後およびすべての試験処置後に自宅でなされる。来院は、期間II では2 週間ごとに、期間III では 4 〜 8 週間ごとに行われる。臨床検査のためにすべての血液サンプルは 7:00 AM から 10:00 AM の間に採取する。すべての試験を当分野の Good Laboratory Practice にしたがって行う。
【0090】
HbA1c を高性能液体クロマトグラフィー (HPLC) で Bio-Rad Diamat 検査機のイオン交換法を用いて測定する。ヘモグロビン変異体またはヘモグロビン分解ピークを認めると、バックアップ親和性法を用いる。
【0091】
さらに調べる検査項目は、空腹時血中グルコース(FPG)、空腹時脂質 (全、HDL (高密度リポタンパク質)、LDL (低密度リポタンパク質)-コレステロール、トリグリセリド)、体重である。FPG はヘキソキナーゼ法を用いて測定し、LDL-コレステロールはトリグリセリドが< 400 mg/dL (4.5 mmol/l)であると Friedewald 式を用いて計算する。
【0092】
上記の本試験についての種々の検査項目を、本明細書に記載の特定の疾患や適用のための投与を最適にするために改変でき、試験中の耐容性の問題に対処したり、少ない労力で類似または同じ結果を得ることができる。例えば、異なる患者集団をこの臨床試験に含め得る。例えば、食事のみで正常血中グルコース (HbA1c <6.8%) にほぼ達していると診断される糖尿病2型の患者、他の代謝性障害などの糖尿病以外の疾患をもつ患者、年齢や性別などの他の評価基準により選択する患者である。患者数を各処置群につき 70 〜 150、特に 100 または 120に減らし得る。処置群 (表1に例示した)を省略し得る。すなわち、例えば、DPP-IV 阻害剤と少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分との組合せを、DPP-IV 阻害剤のみと比較する試験を実施し得る。プラセボ処理期間 (期間 I) を変え得る。例えば、伸ばしたり、短くしたり、無くしたりできる。来院間隔を長くできる。例えば、10、12、14 週後にできる。来院時の指示を変え得る。例えば、臨床検査のための採血を 7:00 AM と10:00 AM に行うとの予定を変え得る。HbA1c を他の方法で測定できる。上記の試験期間に測定されるべき検査項目の1以上を変更できる。例えば、FPG または空腹時脂質を除外し、追加(下記参照)の項目を加え得る。
【0093】
追加の検査項目を試験中に、例えば追加試験によって測定し得る。このような追加試験には次のものが含まれる。下記の検査項目の量および数を調べるための体液の分析があり、例えば、投与の活性成分の耐容性を調べる目的に役立つ。すなわち、ヘマトクリットやヘモグロビン、血小板数、赤血球数、全および個々の白血球数(好塩基球、好酸球、リンパ球、単球、分節好中球、全好中球);アルブミン、アルカリホスファターゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ (血中グルタミンピルビン酸トランスアミナーゼ)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (血中グルタミンオキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、血中尿素窒素または尿素、炭酸水素酸塩、カルシウム、塩素、全クレアチニンホスホキナーゼ (CPK)、クレアチニンホスホキナーゼ筋−脳分画 ( CPK が上昇すると)、ビリルビン自体、クレアチニン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、カルシウム、ナトリウム、全ビリルビン、全タンパク質、尿酸についての血液中値の測定;ビリルビン、グルコース、ケトン体、pH、タンパク質、特定比重についての患者尿中値の測定;体重、血圧 (収縮期および拡張期、座って 3 分後)、脈拍 (座って 3 分後)の測定。
【0094】
試験結果から明らかなように、本発明の組合せ物は、DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病2型の予防および好ましくは治療に使用し得る。本発明の組合せ物は、DPP-IV 仲介の他の状態の予防および好ましくは治療に使用し得る。
【0095】
さらに、開示の多くの組合せ物において、成分の1つでは認められるような副作用が驚くべきことに組合せ物の適用では蓄積しない。
【0096】
好ましくは、医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、少なくとも1つのさらなる医薬活性化合物とともに同時的、分離的、継続的にいかなる順番でもまたは固定された組合せでも投与する。
【0097】
DPP-IV 仲介状態は、好ましくは糖尿病、空腹時血中グルコース障害、耐糖能障害(IGT)、代謝性のアシドーシス、ケトーシス、関節炎、肥満、骨粗しょう症よりなる群から選択する。非常に好ましくは、DPP-IV 仲介状態は糖尿病2型である。
【0098】
本発明の1つの目的は下記の量を含む医薬組成物を提供することである。DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病、さらに特に糖尿病2型、空腹時血中グルコース障害、IGT の状態に対する医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤またはその薬学的に許容される塩 (i) および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分および少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む。
【0099】
本発明の医薬組成物は、方法自体既知の方法でつくり得る。この物は、経口や経直腸などの経腸または非経腸でヒトを含む哺乳動物(温血動物)に投与するのに適しており、医療上有効な量の薬理学的活性化合物を単独で、または経腸または非経腸での適用に適した1以上の薬学的に許容される担体とともに含有する 。
【0100】
この新規の医薬製剤は、約 10 % 〜約 100 %、例えば、80% または 90 %、好ましくは 約 20 % 〜約 60 % の活性成分を含有する。経腸または非経腸のための本発明の医薬製剤は、糖衣錠、錠、カプセル、座剤、さらにアンプルなどの単位用量形態にある。この物は、既知の方法、例えば、通常の混合、顆粒化、糖衣、溶解、凍結乾燥法により行う。すなわち、経口使用の医薬製剤を得るには、活性成分を固体の担体と混合し、所望により得た混合物を顆粒化し、所望または必要に応じて錠芯または糖衣錠芯をつくるのに適した賦形剤を加えた後に、混合物または顆粒をつくる。
【0101】
この組成物において、成分 (i) および (ii) を一緒にまたは別個に1つの組合せた単位用量形態でまたは2つの別個の単位用量形態で投与し得る。本発明のひとつの実施態様において、単位用量形態は固定された組合せである。ひとつの好ましい実施態様において、成分 (i) および (ii) を単一錠や単一浸剤などの単一製剤の形態で投与する。
【0102】
本発明のさらなる態様は、DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を、それぞれ遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態で含む。その形態は、DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病、さらに特に糖尿病2型、空腹時血中グルコース障害、IGT の状態に対する予防または治療のための医薬製剤の製造のためである。
【0103】
医療上有効な量の本発明の組合せ物の各成分を同時的、継続的にいかなる順番でも、また、各成分を分離的にまたは固定された組合せでも投与できる。例えば、本発明の処置方法は、(i) DPP-IV 阻害剤の遊離またはその薬学的に許容される形態での投与、および (ii) 少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の投与を同時または継続的にいかなる順番でも、組合された医療上有効な量で、好ましくは相乗的に有効な量で、例えば、上記の比率に対応する1日用量で行うことを含む。
【0104】
対応の活性成分またはその薬学的に許容される塩は、水和物の形態でも使用でき、結晶化に用いられる他の溶媒を含み得る。
【0105】
さらに、用語「投与する」は、インビボで選択的な抗糖尿病性薬剤に転換するプロドラッグの使用も含む。従って、本発明は、このようなすべての、同時的または異なる時点での処置を包含すると理解されるものであって、用語「投与する」はその意味に解されるべきである。
【0106】
組合せ物がナテグリニドを含むときは、ナテグリニドのみを含む組成物、特に医薬組成物は、水の存在で顆粒を形成せしめ、それを乾燥し、任意的に顆粒をスクリーニング、例えば、線メッシュスクリーニングにより行う方法で作り得る。組成物のすべての成分を顆粒化の間または後に添加できる。あるいは、1以上の成分のすべてまたは一部を、顆粒化の終了後に加えることができる。例えば、抗接着剤(例えば、シリカ)のすべてまたは一部、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)のすべてまたは一部、崩壊剤(クロスカルメロースまたはそのいずれの塩)すべてまたは一部を顆粒化の後に加え得る。本発明のひとつの態様において、ステアリン酸マグネシウムおよびコロイド性シリカ以外のすべての成分を顆粒機に充填して後から添加できる。本組成物、特に医薬組成物を製造する方法は、微粉化工程の必要なしに実施できる。本明細書において、用語「微粉化」および「微粉にする」は、粒子を砕きまたは切断し、粒子の大きさを小さくすることを含むいずれの方法も意味する。組成物、特に医薬組成物は、顆粒化工程と乾燥および/または顆粒を錠にするのに用いる圧縮工程との間に、顆粒を微粉にせずに製造できる。本発明のひとつの好ましい実施態様において、ナテグリニドを B-型または H-型の結晶修飾に使用する。
【0107】
本発明は、組合された医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分とともに、また DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病、さらに特に糖尿病2型、空腹時血中グルコース障害、IGT 症状の処置における使用説明書とともに含む市販用の包装物に関する。
【0108】
本発明の別の態様は、DPP-IV 仲介状態、特に糖尿病2型を処置する方法である。この方法は、組合された医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分とともに、温血動物に投与することを含む。好ましくは、この処置方法において、同時的、継続的にいかなる順番でもまたは分離的または固定された組合せでも投与する。このような方法のひとつの好ましい実施態様において、組合された医療上有効な量のジペプチジルペプチダーゼ - IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を、組合せ物として提供する。
【0109】
さらに、本発明は、グルコース耐容性障害および空腹時血中グルコース障害の状態を処置する方法を提供する。この方法は、組合された医療上有効な量のジペプチジルペプチダーゼ - IV 阻害剤を遊離または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分を温血動物に投与することを含む。
【0110】
さらに、本発明は、哺乳動物の身体形を改善する方法に関する。この方法は、ヒトを含む該哺乳動物に、特に代謝性障害、とりわけ糖尿病2型の患者に、上記の組合せ製剤または医薬組成物を、グルコース代謝の増加または減少に影響する量で、または他の代謝による体重に影響する量で、体重の美容的に有益な減少が得られるまで繰り返して経口投与することを含む。本明細書に記載の該組合せ物は、さらなる体重増加を、そのような増加を経験しているヒトにおいて美容の目的で、予防するのにも使用できる。さらに、本発明は、哺乳動物、特にヒトの身体形を改善するのに有用な本明細書に記載の組合せ物、および哺乳動物、特にヒトの身体形を改善するための該組合せ物の使用に関する。体重過剰は、代謝性異常、特に糖尿病2型を起こすひとつの危険因子であり、同時にかかる代謝性異常、特に糖尿病2型の結果でもある。さらに、多くの抗糖尿病性剤が体重増加を起こすことが知られている。このように、代謝性障害、特に糖尿病2型の患者は、しばしば体重増加に悩まされる。従って、体重の美容的に有益な減少は、糖尿病2型などの代謝性障害の患者において効果的である。本明細書に記載の組合せ物は、さらなる体重増加を美容的理由で予防するために糖尿病2型の患者が服用する抗糖尿病薬剤に代わり、またはそれを補充して使用できる。
【0111】
DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分の組合せ物の用量範囲は、当業者に既知の因子に依存的である。その因子には、温血動物の種類、体重や年齢、処置しようとする状態の性質および重篤度、投与の様式、使用する具体的な物質がある。特に別記しない限り、DPP-IV 阻害剤および少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分は、好ましくは1日1〜4回に分けて投与する。
【0112】
DPP728 もしくは LAF237 またはその薬学的に許容される塩の、少なくとも1つのさらなる本発明の組合せ相手成分に対する重量比は、特に、処置される温血動物の必要性に応じて広い範囲で変り得る。
【0113】
本発明のひとつの実施態様において、DPP728 もしくは LAF237 またはその薬学的に許容される塩の、1つの表示したさらなる本発明の組合せ相手成分に対する下記の重量比で、相乗作用を得るためにこれらの成分を投与すべきである。
【0114】
【表6】

【0115】
本発明のさらに好ましい実施態様において、DPP728 もしくは LAF237 またはその薬学的に許容される塩の、1つの表示したさらなる本発明の組合せ相手成分に対する下記の重量比で、相乗作用を得るためにこれらの成分を投与すべきである。
【0116】
【表7】

【0117】
温血動物が約体重 70 kg のヒトの場合、少なくとも1つのさらなる医薬活性化合物の用量は、好ましくは下記の通りである。
【0118】
【表8】


【表9】


【表10】

【0119】
下記の実施例は上記の本発明を表すものであるが、いかなる場合でも発明の範囲を制限する意図を有しない。
【実施例】
【0120】
実施例 1: ナテグリニド錠
各錠が120 mg の ナテグリニドを含有する108,000 錠を下記のように製造する:
【表11】

【0121】
製造方法:微結晶性セルロース、ポビドン、ナトリウム・クロスカルメロースの一部、ナテグリニド、ラクトースを高速裁断混合機で混合し、その後に精製水で顆粒化する。湿顆粒を液床乾燥機で乾燥し、スクリーンを通す。コロイド状二酸化ケイ素および残りのナトリウム・クロスカルメロースを混合し、スクリーンを通し、乾燥顆粒と V-攪拌機中で混合する。ステアリン酸マグネシウムをスクリーンに入れ、V-攪拌機から混合物と混合し、全量を錠に圧縮する。オパドライ黄を精製水に懸濁させ、錠を被覆液で被覆する。
【0122】
実施例 2:ナテグリニド製剤 No. 1
【表12】

【0123】
実施例 3:ナテグリニド製剤 No. 2
【表13】

【0124】
実施例 4:ナテグリニド錠
各錠が120 mg の ナテグリニドを含有する108,000 錠を下記のように製造する:
【表14】

【0125】
製造方法:微結晶性セルロース、ポビドン、ナトリウム・クロスカルメロースの一部、ナテグリニド、ラクトースをコレット・グラル顆粒機で精製水を加えて顆粒化する。湿顆粒を液床乾燥機で乾燥し、スクリーンを通す。コロイド状二酸化ケイ素および残りのナトリウム・クロスカルメロースを混合し、スクリーンを通し、乾燥顆粒と V-攪拌機中で混合する。ステアリン酸マグネシウムをスクリーンに入れ、V-攪拌機から混合物と混合し、全量を錠に圧縮する。オパドライ黄を精製水に懸濁させ、錠を被覆液で被覆する。
【0126】
この方法の変法としては、コロイド性シリカおよびナトリウム・クロスカルメロースを乾燥後の第二顆粒機充填に加え、一緒にスクリーニングし、バッチ毎3顆粒機/乾燥機充填に合わせる。
【0127】
実施例 5: ナテグリニド (120 mg) の医薬組成物
【表15】

【0128】
米国特許、ヨーロッパ特許、国際特許およびこれらの出願を含み、本明細書で引用したすべての文献は、その全文を記載したのと同様に出典明示により本明細書の一部とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP-IV)阻害剤を遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態で、および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物または該化合物の薬学的に許容される塩を、および任意的に少なくとも1つの薬学的に許容される担体を含む、同時的、分離的、継続的な使用のための組合せ物。
【請求項2】
さらなる抗糖尿病性化合物が、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌 エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管インスリン阻害剤、α2-アドレナリン性アンタゴニストよりなる群または該化合物の薬学的に許容される塩から選択される、請求項1の組合せ物。
【請求項3】
組合せ製剤または医薬組成物である、請求項1または2の組合せ物。
【請求項4】
DPP-IV 仲介状態の予防、進行遅延、治療における同時的、分離的、継続的な使用のための組合せ製剤である、請求項3の組合せ物。
【請求項5】
DPP-IV 阻害剤が、下記式 (I) の N-(N’-置換グリシル)-2-ベンジルシアノピロリジンであり:
【化1】

{式中、 R は下記:
a) R1R1aN(CH2)m- 、うち
R1 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、トリフルオロメチル、シアノまたはニトロで任意的にモノ- または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはピリミジニル部分; または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニル ;
R1a は、水素または (C1-8)アルキル;
m は、 2 または 3;
b) 1-位に (C1-3)ヒドロキシアルキルで任意的にモノ置換された(C3-12)シクロアルキル;
c) R2(CH2)n- 、うち、R2 が次のいずれかである:
R2 は、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲンまたは フェニル環がヒドロキシメチルで任意的にモノ置換されたフェニルチオで、任意的にモノ-または独立的にジ- または独立的にトリ-置換されたフェニル ; (C1-8)アルキル; (C1-8)アルキルで任意的にモノ-または多-置換された [3.1.1]二環性炭素環部分 ; 低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたピリジニルまたはナフチル部分 ; シクロヘキセン; またはアダマンチル;
n は、1 〜 3;または
R2 は、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的に ジ-置換されたフェノキシ ;
n は、2 または 3;
d) (R3)2CH(CH2)2- 、うち、各 R3 は、独立的に、低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニル ;
e) R4(CH2)p- 、うち、R4 は 2-オキソピロリジニルまたは (C2-4)アルコキシ;
p は、2 〜 4;
f) 1-位が (C1-3)ヒドロキシアルキルで任意的にモノ置換されたイソプロピル ;
g) R5 は下記である。インダニル;ベンジルで任意的に置換されたピロリジニルまたはピペリジニル部分;(C1-8)アルキルで任意的にモノ-または多置換された [2.2.1]- または [3.1.1]-二環性炭素環部分 ; アダマンチル;ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、または低級アルキル、低級アルコキシまたはハロゲンで任意的にモノ-または独立的にジ-置換されたフェニルで、任意的にモノ-または独立的に多-置換された (C1-8)アルキル ;
h) 置換されたアダマンチル}
、遊離形態または酸付加塩形態にある、請求項1〜4の組合せ物。
【請求項6】
DPP-IV 阻害剤が、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンおよび(S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジンよりなる群から選ばれる式 I の化合物であり、遊離形態または酸付加塩形態にある、請求項5の組合せ物。
【請求項7】
インスリン感受性エンハンサーが、抗糖尿病性チアゾリジンジオンおよび抗糖尿病性バナジウム含有化合物よりなる群から選ばれる、請求項2〜4の組合せ物。
【請求項8】
インスリン分泌エンハンサーが、スルホニル尿素誘導体、抗糖尿病性 フェニル酢酸誘導体、抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体よりなる群から選ばれる、請求項4の組合せ物。
【請求項9】
抗糖尿病性 D-フェニルアラニン誘導体が、下記式 X の化合物:
【化2】

[式中、Ph はフェニルを意味し、
1 は、水素、C1 〜 C5 アルキル、C6 〜 C12 アリール、C6 〜 C12 アリールアルキル、
【化3】

-CH2CO23、-CH(CH3)-OCO-Rγ3、-CH2-OCO-C(CH3)3;
2 は、C6 〜 C12 アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル(いずれの基も1以上の置換基を有し得る)よりなる群から選択する;
3 は、水素および C1 〜 C5 アルキルより選択する(ただし、Rγ1 および Rγ3 がともに水素原子であるとき、Rγ2 は置換または非置換のフェニルまたはナフチル以外である)]
、その薬学的に許容される塩、または人体内または動物体内でそのものに転換され得る前駆物質である、請求項8の組合せ物。
【請求項10】
DPP-IV 阻害剤が、(S)-1-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル-2-シアノ-ピロリジンおよび (S)-1-{2-[5-シアノピリジン-2-イル)アミノ]エチル-アミノアセチル}-2-シアノ-ピロリジンから選択され、さらなる抗糖尿病性化合物が、ナテグリニド、レパグリニド、メトホルミン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、グリソキセピド、グリブリド、グリベンクラミド、アセトヘキサミド、クロロ-プロパミド、グリボルヌリド、トルブタミド、トラザミド、グリルリピジド、カルブタミド、グリキドン、グリヘキサミド、フェンブタミド、トルシクラミド、グリメピリド、グリクラジドまたは該化合物の薬学的に許容される塩から選択される、請求項1の組合せ物。
【請求項11】
DPP-IV 仲介状態を処置する方法であって、処置を必要とする温血動物に、合わせて医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤を遊離状態または薬学的に許容される塩の状態で、および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性化合物(好ましくは、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管インスリン阻害剤、α2-アドレナリン性アンタゴニストよりなる群から選ばれる)または該化合物の薬学的に許容される塩を投与することを含む方法。
【請求項12】
哺乳動物の身体形を改善する方法であって、該哺乳動物に、合わせて医療上有効な量の DPP-IV 阻害剤を遊離状態または薬学的に許容される塩の状態で、および少なくとも1つのさらなる抗糖尿病性 化合物(好ましくは、タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)阻害剤、非小分子模倣 化合物、グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ (GFAT)阻害剤のようなインスリン情報伝達モジュレーター、グルコース-6-ホスファターゼ (G6Pase)阻害剤、フルクトース-1,6-ビスホスファターゼ (F-1,6-BPase)阻害剤、グリコーゲンホスホリラーゼ (GP)阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、ピルビン酸ホスホエノール・カルボキシキナーゼ (PEPCK)阻害剤、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ・キナーゼ (PDHK) 阻害剤のような異常調節された肝グルコース産生に影響する化合物、インスリン感受性エンハンサー、インスリン分泌エンハンサー、α-グルコシダーゼ阻害剤、空消化管インスリン阻害剤、α2-アドレナリン性アンタゴニストよりなる群から選ばれる)または該化合物の薬学的に許容される塩を、グルコース代謝に影響を与え、体重の美容的に有益な減少に作用するのに有効な量で投与することを含む方法。
【請求項13】
DPP-IV 仲介状態に対する合わせて医療上有効な量の、請求項1〜10の組合せ物、および少なくとも1つの薬学的に許容される塩である量を含む医薬組成物。
【請求項14】
DPP-IV 仲介状態の予防、進行遅延、治療のための薬剤の製造における、請求項1〜10の組合せ物の使用。
【請求項15】
体重の美容的に有益な減少に作用するために、哺乳動物の美容的処置における、請求項1〜10の組合せ物の使用。
【請求項16】
活性物質として請求項1〜10の組合せ物を、DPP-IV 仲介状態の予防、進行遅延、治療における、および哺乳動物の身体形の改善の方法における同時的、分離的、継続的な使用のための説明書とともに含む市販用包装物。

【公開番号】特開2011−116772(P2011−116772A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45331(P2011−45331)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2006−189416(P2006−189416)の分割
【原出願日】平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】