説明

ジペプチジルペプチダーゼインヒビター

下記式(I)(式中、表示置換基は本出願で定義されるとおりである)を有する化合物を含む、DPP-IV及び他のS9プロテアーゼと共に使用するための医薬品、キット及び方法を提供する。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼを阻害するために使用しうる化合物、並びに該化合物の組成物及び該化合物を含むキットに関する。本発明は、ジペプチジルペプチダーゼを阻害する方法、並びに本発明の化合物を用いる治療方法にも関する。
【0002】
(関連技術の説明)
ジペプチジルペプチダーゼIV(IUBMB酵素名EC.3.4.14.5)は、DPP4、DP4、DAP-IV、FAPβ、アデノシンデアミナーゼ複合タンパク質2、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、ジペプチジルアミノペプチダーゼIV;Xaa-Pro-ジペプチジル-アミノペプチダーゼ;Gly-Proナフチルアミダーゼ;ポストプロリンジペプチジルアミノペプチダーゼIV;リンパ球抗原CD26;糖タンパク質GP110;ジペプチジルペプチダーゼIV;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;グリシルプロリンアミノペプチダーゼ;X-プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;pep X;白血球抗原CD26;グリシルプロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル-ペプチドヒドロラーゼ;グリシルプロリルアミノペプチダーゼ;ジペプチジル-アミノペプチダーゼIV;DPP IV/CD26;アミノアシル-プロリルジペプチジルアミノペプチダーゼ;T-細胞誘発分子Tp103;X-PDAPを含む多種多様の名称によって文献で引用されているタイプII膜タンパク質である。本明細書ではジペプチジルペプチダーゼIVを“DPP-IV”と称する。
DPP-IVは、ポリペプチド及びタンパク質のアミノ末端(N-末端)からXaa-Proジペプチドを除去する非古典的セリンアミノジペプチダーゼである。X-Gly又はX-Ser型のジペプチドのDPP-IV依存性遅速放出もいくつかの天然に存在するペプチドについて報告されている。
DPP-IVは、種々の異なる組織(腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮細胞及び内皮細胞上で構成的に発現され、また体液中でも見られる。DPP-IVは、循環T-リンパ球上でも発現され、細胞表面抗原、CD-26と同義であることが示されている。DPP-IVは、多くの病気状態に関係しており、そのいくつかについて後述する。
DPP-IVは、生体内での特定の内因性ペプチド(GLP-l(7-36)、グルカゴン)の代謝切断の原因であり、種々の他のペプチド(GHRH、NPY、GLP-2、VIP)に対するタンパク質分解活性が生体外で実証されている。
【0003】
GLP-l(7-36)は、小腸内でのプログルカゴンの転写後プロセシングで誘導される29アミノ酸ペプチドである。GLP-l(7-36)は生体内で複数の作用を有し、インスリン分泌の刺激、グルカゴン分泌の阻害、満腹の促進、及び胃内容排出の減速が挙げられる。その生理的プロファイルに基づき、GLP-l(7-36)の作用はII型糖尿病及び潜在的肥満の予防と治療で有益であると考えられる。例えば、糖尿病患者におけるGLP-l(7-36)の外因的投与(連続注入)が糖尿病患者集団で有効であることが分かっている。残念ながら、GLP-l(7-36)は生体内で急速に分解し、生体内寿命が短いことが示されている(t1/2=1.5分)。
遺伝学的に産まれたDPP-IVノックアウトマウスの研究及び選択的DPP-IVインヒビターによるインビボ/インビトロ研究に基づき、DPP-IVは生体内でGLP-l(7-36)の一次分解酵素であることが分かった。GLP-l(7-36)は、DPP-IVで効率的にGLP-l(9-36)に分解され、これがGLP-l(7-36)に対する生理的アンタゴニストとして作用すると推測されている。従って、生体内でDPP-IVを阻害することは、GLP-l(7-36)の内因性レベルを増強し、そのアンタゴニストGLP-l(9-36)の形成を弱めるために有用であると考えられる。従って、DPP-IVインヒビターは、DPP-IVによって媒介される状態、特に糖尿病、さらに具体的には2型糖尿病、糖尿病性ディス脂質血症(dislipidemia)、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節及び肥満の予防、進行の遅延、及び/又は治療に有用な薬剤であると考えられる。
【0004】
マイトジェン又は抗原刺激によってT-細胞内でDPP-IV発現が増加する(Mattem, T., et al., Scand. J. Immunol., 1991, 33, 737)。DPP-IVのインヒビター及びDPP-IVに対する抗体が、マイトジェン刺激及び抗原刺激されたT-細胞の増殖を用量依存様式で抑制することが報告された(Schon, E., et al., Biol. Chem., 1991, 372, 305)。サイトカイン産生、IL-2媒介細胞増殖及びB-細胞ヘルパー活性のようなT-リンパ球のいろいろな他の機能がDPP-IV活性に左右されることが示された(Schon, E., et al., Scand. J. Immunol., 1989, 29, 127)。ボロプロリン(boroProline)を基礎とするDPP-IVインヒビター(Flentke, G. R., et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 1991, 88, 1556)は不安定であるが、マウスCD4+T-ヘルパー細胞における抗原誘導リンパ球増殖及びIL-2産生の阻害に有効だった。このようなボロン酸(boronic acid)インヒビターは、免疫誘発によって誘導される抗体産生を抑制させるマウス内でインビボ効果を有することが分かっている(Kubota, T. et al., Clin. Exp. Immun., 1992, 89, 192)。Tリンパ球活性化の調節におけるDPP-IVの役割は、部分的に、膜貫通ホスファターゼ、CD45とのその細胞表面会合にも起因しうる。DPP-IVインヒビター又は不活性部位リガンドは、おそらくこのCD45-DPP-IV会合を破壊するだろう。CD45は、T-細胞信号発信器に欠くことのできない成分であることが分かっている。DPP-IVは、CD4+T-細胞におけるHIV-1及びHIV-2ウイルスの浸入及び感染に必須であると報告された(Wakselman, M., Nguyen, C., Mazaleyrat, J.-P., Callebaut, C., Krust, B., Hovanessian, A. G., Inhibition of HIV-1 infection of CD 26+ but not CD 26-cells by a potent cyclopeptidic inhibitor of the DPP-IV activity of CD 26. Abstract P.44 of the 24.sup.th European Peptide Symposium 1996)。さらに、DPP-IVは、T-細胞の表面上で酵素アデノシンデアミナーゼ(ADA)と会合することが示されている(Kameoka, J., et al., Science, 193, 26 466)。ADA欠乏は、ヒトの重症な合併型免疫不全症(combined immunodeficiency disease(SCID))を引き起こす。このADA-CD26相互作用はSCIDの病態生理学への手がかりを与えうる。その結果としてDPP-IVのインヒビターはとりわけ、臓器移植拒絶反応;炎症性腸疾患、多発性硬化症及びリウマチ性関節炎のような自己免疫疾患の治療;及びAIDSの治療に有用な免疫抑制物質(又はサイトカイン放出抑制薬)ということになる。
【0005】
肺の内皮細胞DPP-IVは肺転移性ラット乳癌及び前立腺癌細胞の接着分子であることが示された(Johnson, R. C., et al., J. Cell. Biol., 1993, 121, 1423)。DPP-IVはフィブロネクチンに結合することが分かっており、いくつかの転移性腫瘍細胞はその表面上に大量のフィブロネクチンを保有することが知られている。強力なDPP-IVインヒビターは、例えば、乳房腫瘍及び前立腺腫瘍の肺への転移を予防するための薬物として有用だろう。
高レベルのDPP-IV発現は、乾癬、リウマチ性関節炎(RA)及び扁平苔癬の患者由来のヒト皮膚線維芽細胞内でも見出された(Raynaud, F., et al., J. Cell. Physiol., 1992, 151, 378)。従って、DPP-IVインヒビターは、乾癬及び扁平苔癬のような皮膚科疾患を治療するための薬剤として有用だろう。
高いDPP-IV活性は、良性前立腺肥大症の患者由来の組織ホモジネート及びプロスタトソーム(prostatosomes)内でも見出されている。これらは精子前進運動の促進に重要な前立腺誘導細胞小器官である(Vanhoof, G., et al., Eur. J. Clin. Chem. Clin. Biochem., 1992, 30, 333)。DPP-IVインヒビターが作用して精子運動を抑制することもできるので、男性用避妊薬としても作用する。結果として、DPP-IVは、不妊症、特に卵巣嚢の肥厚化及び複数の濾胞性嚢胞の形成を特徴とする状態である、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS,スタイン-リーヴェンサール症候群)に起因するヒトの女性の不妊症の新規な治療としての意味がある。多嚢胞性卵巣症候群の結果、不妊症及び無月経となる。
DPP-IVは、種々のサイトカイン(造血細胞を刺激する)、成長因子及びニューロペプチドの分裂で役割を果たすと考えられる。
刺激された造血細胞は、造血細胞又はそのインビボ前駆体の数の減少を特徴とする障害の治療に有用である。このような状態は、例えば癌の化学療法及び/又は放射線療法の結果として免疫抑制されている患者で頻繁に起こる。ジペプチジルペプチダーゼIV型のインヒビターが、サイトカイン若しくは他の成長因子又は間質性細胞が外部から添加されない状態で、造血細胞の成長と分化を刺激するのに有用であることが発見された。この発見は、サイトカイン又はサイトカインを産生する細胞(間質性細胞)の添加が、培養内で造血細胞の成長と分化を維持かつ刺激するための必須要素であるという、造血細胞刺激の分野における定説と矛盾する(例えば、WO 94/03055として公開されたPCT国際出願番号PCT/US93/017173参照)。
ヒト血漿中のDPP-IVは、成長ホルモン放出因子からN-末端Try-Alaを切断してこのホルモンを不活性化することが分かっている。従って、DPP-IVのインヒビターは、成長ホルモン欠乏による低身長(小人症)の治療で有用であり、かつGH-依存性組織成長又は再生を促進するために有用だろう。
【0006】
DPP-IVはニューロペプチドを切断することもでき、神経活性ペプチド物質P、ニューロペプチドY及びCLIPの活性を調節することが示された(Mentlein, R., Dahms, P., Grandt, D., Kruger, R., Proteolytic processing of neuropeptide Y and peptide YY by dipeptidyl peptidase IV, Regul. Pept., 49, 133, 1993; Wetzel, W., Wagner, T., Vogel, D., Demuth, H.-U., Balschun, D., Effects of the CLIP fragment ACTH 20-24 on the duration of REM sleep episodes, Neuropeptides, 31, 41, 1997)。従って、DPP-IVインヒビターは、神経障害の調節又は正常化に有用な薬剤でもありうる。
数種の化合物がDPP-IVを阻害することが示されている。にもかかわらず、有利な効力、安定性、選択性、毒性及び/又は薬物速度論特性を有する新しいDPP-IVインヒビターに対する要望が未だに存在する。この点に関し、本発明では新分類のDPP-IVインヒビターを提供する。
【0007】
(発明の概要)
本発明は、DPP-IVを阻害する活性を有する化合物に関する。これら化合物は他のS9プロテアーゼを阻害する活性をも有するため、DPP-IVのみならず他のこれらS9プロテアーゼに対しても使用できることに注意する。本発明は、これら化合物を含む組成物、製品及びキットをも提供する。
一実施態様では、本発明のDPP-IVインヒビターを活性成分として含む医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、任意に0.001%〜100%のこの発明の1種以上のDPP-IVインヒビターを含みうる。これら医薬組成物は、例えば経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬側、鼻腔内、リポソームにより、吸入により、膣により、眼内、局所送達によって(例えば、カテーテル又はステントによって)、皮下、脂肪内(intraadiposally)、関節内、又はくも膜下腔内を含む種々多様の経路で投与又は同時投与することができる。本組成物は、徐放剤形で投与又は同時投与することもできる。
本発明はDPP-IVに関連する病気状態を治療するためのキット及び他の製品にも関する。
【0008】
一実施態様では、本発明の少なくとも1種のDPP-IVインヒビターを含んでなる組成物を使用説明書と共に含むキットが提供される。使用説明書は、該組成物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は該組成物の投与方法に関する指導を示しうる。キットは包装材料をも含みうる。包装材料は該組成物を収容するための容器を含みうる。キットは、任意に、該組成物の投与用注射器のようなさらなる成分をも含みうる。キットは単回投与形態又は複数回投与形態の組成物を含みうる。
別の実施態様では、少なくとも1種の本発明のDPP-IVインヒビターを包装材料と共に含む製品が提供される。包装材料は該組成物を収容するための容器を含みうる。容器は、任意に該組成物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は該組成物の投与方法に関する指導を示すラベルを含みうる。キットは、任意に、該組成物の投与用注射器のようなさらなる成分をも含みうる。キットは単回投与形態又は複数回投与形態の組成物を含みうる。
本発明の化合物、組成物及びキットの製造方法も提供される。例えば、本明細書に本発明の化合物を合成するためのいくつかのスキームが提供される。
本発明の化合物、組成物、キット及び製品の使用方法も提供される。
一実施態様では、本化合物、組成物、キット及び製品を用いてDPP-IVを阻害する。
別の実施態様では、本化合物、組成物、キット及び製品を用いて、DPP-IVが病気状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を有する該病気状態を治療する。
別の実施態様では、被験者に化合物を投与すると、前記被験者内のDPP-IV活性が変化し、好ましくは低減する。
別の実施態様では、化合物のプロドラッグを被験者に投与して生体内で前記化合物に変換させ、DPP-IVを阻害する。
別の実施態様では、本発明の化合物とDPP-IVを接触させることを含むDPP-IVの阻害方法が提供される。
別の実施態様では、被験者内に本発明の化合物を存在させて、生体内でDPP-IVを阻害することを含むDPP-IVの阻害方法が提供される。
別の実施態様では、被験者に、生体内でDPP-IVを阻害する第2化合物に生体内変換される第1化合物を投与することを含むDPP-IVの阻害方法が提供される。本発明の化合物は前記第1又は第2化合物でありうることに注意する。
別の実施態様では、本発明の化合物を投与することを含む治療方法が提供される。
別の実施態様では、細胞を有効量の本発明の化合物と接触させることを含む細胞増殖の阻害方法が提供される。
別の実施態様では、患者に治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む前記患者の細胞増殖の阻害方法が提供される。
別の実施態様では、DPP-IVによって媒介されることが分かっている患者の状態、又はDPP-IVインヒビターで治療されることが分かっている患者の状態の治療方法であって、前記患者に、治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法が提供される。
別の実施態様では、DPP-IVによって媒介されることが分かっている病気状態、又はDPP-IVインヒビターで治療されることが分かっている病気状態の治療用薬物を製造するための、本発明の化合物の使用方法が提供される。
別の実施態様では、DPP-IVが病気状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を有する該病気状態の治療方法であって、被験者内に前記病気状態の治療に有効な量で本発明の化合物を存在させることを含む方法が提供される。
別の実施態様では、DPP-IVが病気状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を有する該病気状態の治療方法であって、生体内で第2化合物に変換する第1化合物を被験者に投与する(前記第2化合物が前記病気状態の治療に有効な量で被験者内に存在するように)ことを含む方法が提供される。本発明の化合物は前記第1又は第2化合物でありうることに注意する。
別の実施態様では、DPP-IVが病気状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を有する該病気状態の治療方法であって、本発明の化合物が前記病気状態の治療に有効な量で被験者内に存在するように、被験者に前記化合物を投与することを含む方法が提供される。
【0009】
別の実施態様では、本発明の化合物を抗増殖薬と併用して細胞増殖性の病気状態を治療する方法であって、前記細胞を前記抗増殖薬で治療する前、該治療と同時、及び/又は該治療の後に本発明の前記化合物で治療することを含む方法(以後、本明細書では併用療法と称する)が提供される。ある薬剤の他薬剤前の治療は、それら薬剤を一緒に投与するとしても、本明細書では逐次療法と呼ぶことに注意する。併用療法は、複数の薬剤を相前後して投与する場合(逐次療法)及びそれら薬剤を同時に投与する場合を包含することを意図することに注意する。
本発明の化合物及び組成物の投与で治療しうる病気の例として、限定するものではないが、DPP-IVによって媒介される状態、特に糖尿病、さらに具体的には2型糖尿病、糖尿病性ディス脂質血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節、肥満、免疫抑制物質又はサイトカイン放出調節、自己免疫疾患(例えば、炎症性腸疾患、多発性硬化症及びリウマチ性関節炎)、AIDS、癌(例えば、乳癌及び前立腺腫瘍の肺への転移の予防)、皮膚科疾患(例えば乾癬及び扁平苔癬)、不妊症の治療、骨粗しょう症、男性の避妊及び神経障害が挙げられる。
【0010】
上記の全実施態様について、本発明は本化合物の医薬的に許容しうるイオン化形態(例えば塩)及び溶媒和物(例えば水和物)を包含することを意図していることに注意する。このことは、このようなイオン化形態及び溶媒和形態で医薬を投与することは技術的に周知なので、イオン化形態及び溶媒和物について言及しているかどうかとは無関係である。特定の立体化学を指定していない限り、化合物の列挙はすべての可能な立体異性体(例えば、キラル中心の数によってエナンチオマー又はジアステレオマー)を包含することを意図していることにも注意する。このことは、該化合物が個別の異性体又は異性体混合物として存在するかどうかとは無関係である。さらに、特に指定しない限り、化合物の列挙はすべての可能な共鳴形態及び互変異性体を包含することを意図している。請求項については、語“式を含む化合物”は、特定の請求項で具体的に指定していない限り、該化合物及びすべての医薬的に許容しうるイオン化形態及び溶媒和物、すべての可能な立体異性体、並びにすべての可能な共鳴形態及び互変異性体を包含することを意図している。
さらに、生体内で変化して本発明の化合物になるプロドラッグを投与してもよいことに注意する。本発明の化合物の種々の使用方法は、プロドラッグ送達を指定しているかどうかと関係なく、生体内で本発明の化合物に変換するプロドラッグの投与を包含することを意図している。さらに、本発明の特定化合物がDPP-IVを阻害する前に生体内で変化し、ひいてはそれ自体、別化合物のプロドラッグになりうることにも注意する。このような別化合物のプロドラッグはそれ自体独立的にDPP-IV阻害活性を有していても或いは有していなくてもよい。
【0011】
(定義)
特に言及しない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用する以下の用語は、この出願の目的では以下の意味を有するものとする。
“脂環式”は、非芳香族環構造を含む部分(moiety)を意味する。脂環式部分は飽和されていてよく、或いは1個又は2個以上の二重結合又は三重結合で部分的に不飽和でもよい。脂環式部分は、任意に窒素、酸素及びイオウのようなヘテロ原子を含んでいてもよい。窒素原子は任意に四級化又は酸化されていてもよく、イオウ原子は任意に酸化されていてもよい。脂環式部分の例として、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロヘキサン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、シクロヘプタジエン、シクロオクタン、シクロオクテン、及びシクロオクタジエンのようなC3〜C8環を有する部分が挙げられる。
“脂肪族”は、構成炭素原子の直鎖若しくは分岐鎖配列によって特徴づけされる部分を意味し、飽和されていてよく、或いは1個又は2個以上の二重結合又は三重結合で部分的に不飽和でもよい。
単独で表される“アルケニル”は、少なくとも1個の隣接炭素原子間の二重結合を有する炭素原子鎖を有する直鎖若しくは分岐した不飽和の脂肪族基を意味する。通常CXアルケニル及びCX-Yアルケニルが使用され、X及びYは鎖内の炭素原子数を示す。例えば、C2-6アルケニルは、2〜6個の炭素の鎖を有するアルケニルを含む。
“アルコキシ”は、さらにアルキル置換基を有する酸素部分を意味する。本発明のアルコキシ基は、任意に置換されていてもよい。
単独で表される“アルキル”は、炭素原子の鎖を有する直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族基を意味し、任意に、前記炭素原子間に酸素(“オキサアルキル”参照)又は窒素原子(“アミノアルキル”参照)を有することがある。通常CXアルキル及びCX-Yアルキルが使用され、X及びYは鎖内の炭素原子数を示す。例えば、C1-6アルキルは、1〜6個の炭素の鎖を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ビニル、アリル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチルアリル、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル等)を含む。別の基と共に表されるアルキルは(例えば、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルにおけるように)、指示された原子数を有する直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族二価基を意味し、或いは原子が示されないときは結合を意味する(例えば、(C6-10)アリール(C1-3)アルキルはベンジル、フェネチル、1-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-チエニルメチル、2-ピリジニルメチル等を含む)。
“アルキレン”は、特に指示されない限り、直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族二価基を意味する。通常CXアルキレン及びCX-Yアルキレンが使用され、X及びYは鎖内の炭素原子数を示す。例えば、C1-6アルキレンは、メチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、トリメチレン(-CH2CH2CH2-)、テトラメチレン(-CH2CH2CH2CH2-)、2-ブテニレン(-CH2CH=CHCH2-)、2-メチルテトラメチレン(-CH2CH(CH3)CH2CH2-)、ペンタメチレン(-CH2CH2CH2CH2CH2-)等を含む。
“アルキリデン”は、親分子に二重結合で結合している直鎖若しくは分岐した飽和若しくは不飽和脂肪族基を意味する。通常CXアルキリデン及びCX-Yアルキリデンが使用され、X及びYは鎖内の炭素原子数を示す。例えば、C1-6アルキリデンは、メチリデン(=CH2)、エチリデン(=CHCH3)、イソプロピリデン(=C(CH3)2)、プロピリデン(=CHCH2CH3)、アリリデン(=CH-CH=CH2)等を含む。
単独で表される“アルキニル”は、少なくとも1個の隣接炭素原子間の三重結合を有する炭素原子の鎖を有する直鎖若しくは分岐した不飽和脂肪族基を意味する。通常CXアルキニル及びCX-Yアルキニルが使用され、X及びYは鎖内の炭素原子数を示す。例えば、C2-6アルキニルは、2〜6個の炭素の鎖を有するアルキニルを含む。
“アミノ”は、さらに2個の置換基を有する窒素部分を意味し、該窒素に水素又は炭素原子が結合している。例えば、代表的なアミノ基として、-NH2、-NHCH3、-N(CH3)2、-NHC1-3-アルキル、-N(C1-3-アルキル)2等が挙げられる。特に指示しない限り、アミノ部分を含有する本発明の化合物は、その保護された誘導体を包含しうる。アミノ部分に好適な保護基として、アセチル、tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル等が挙げられる。
“アミノアルキル”は、該アルキルの炭素原子間に1個以上の置換若しくは無置換窒素原子(-N-)があることを除き、上記定義どおりのアルキルを意味する。例えば、(C2-6)アミノアルキルは、2〜6個の炭素と、その炭素原子間に位置する1個以上の窒素原子とをを含む鎖を指す。
“動物”は、ヒト、非ヒト哺乳類(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、シカ等)及び非哺乳類(例えば、トリ等)を含む。
“芳香族”は、構成原子が不飽和環系を構成し、この環系内のすべての原子がsp2混成であり、かつπ電子の総数が4n+2に等しい部分を意味する。芳香族環は環原子が炭素原子だけであるような環でよく、或いは炭素原子と非炭素原子を含んでもよい(ヘテロアリール参照)。
“アリール”は、単環式環或いは多環式環アセンブリー(各環が芳香族であるか又は1個以上の環と縮合して芳香族環アセンブリーを形成している)を意味する。1個以上の環原子が炭素でない場合(例えば、N、S)、該アリールはヘテロアリールである。通常CXアリール及びCX-Yアリールが使用され、X及びYは環内の原子数を示す。
“アリールオキシ”は、さらにアリール置換基を有する酸素部分を意味する。本発明のアリールオキシは任意に置換されていてもよい。
“ビシクロアルキル”は、飽和若しくは部分的に不飽和の縮合二環式環又は架橋多環式環アセンブリーを意味する。
“ビシクロアリール”は二環式環アセンブリーであって、環が単結合で連結され又は縮合しており、かつ該アセンブリーを構成する環の少なくとも1個が芳香族性である。通常CXビシクロアリール及びCX-Yビシクロアリールが使用され、X及びYは、二環式環アセンブリー内の該環に直接結合している炭素原子数を示す。
本明細書では、“架橋環”は別の環に結合して二環式構造(両方の環に共通の2つの環原子は相互に直接結合していない)を有する化合物を形成する環を指す。架橋環を有する一般化合物の非排他的な例として、ボルネオール、ノルボルネン、7-オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン等が挙げられる。この二環系の一方又は両方の環はヘテロ原子を含んでもよい。
“カルバモイル”は、基-OC(O)NRabを意味し、Ra及びRbは、それぞれ独立的に、水素又は炭素原子が該窒素に結合している2個のさらなる置換基である。
“炭素環”は、炭素原子から成る環を意味する。
“炭素環式ケトン誘導体”は、該環が-C(O)-部分を含有する炭素環式誘導体を意味する。
“カルボニル”は、基-C(O)-を意味する。カルボニル基は、さらに種々の置換基で置換されて異なったカルボニル基(酸、酸ハライド、アミド、エステル、及びケトンを含む)を形成しうることに注意する。
“カルボキシ”は、基-CO2-を意味する。カルボキシ部分を含有する本発明の化合物は、その保護された誘導体、すなわち酸素が保護基で置換されている誘導体を包含しうることに注意する。カルボキシ部分に好適な保護基として、ベンジル、tert-ブチル等が挙げられる。
“シアノ”は、基-CNを意味する。
“シクロアルキル”は、非芳香族の飽和若しくは部分的に不飽和の単環式環、縮合二環式環又は架橋多環式環アセンブリーを意味する。通常CXシクロアルキル及びCX-Yシクロアルキルが使用され、X及びYは該環アセンブリー内の炭素原子数を示す。例えば、C3-10シクロアルキルは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、2,5-シクロヘキサジエニル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンタン-1-イル、デカヒドロナフチル、オキソシクロヘキシル、ジオキソシクロヘキシル、チオシクロヘキシル、2-オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ-1-イル等を含む。
“シクロアルキレン”は、二価の飽和若しくは部分的に不飽和の単環式環又は架橋多環式環アセンブリーを意味する。通常CXシクロアルキレン及びCX-Yシクロアルキレンが使用され、X及びYは該環アセンブリー内の炭素原子数を示す。
“病気”は、明確に、動物又はその一部のいかなる不健康な状態をも包含し、かつ当該動物に適用した医学若しくは獣医学療法によって引き起こされ、又はそのような療法に付随する不健康な状態、すなわち該療法の“副作用”を包含する。
本明細書では、“縮合環”は別の環に結合して二環式構造(両方の環に共通の2つの環原子が相互に直接結合している)を有する化合物を形成する環を指す。一般的な縮合環の非排他的な例として、デカリン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、フラン、ベンゾフラン、キノリン等が挙げられる。縮合環系を有する化合物は、飽和、部分的に飽和、炭素環、ヘテロ環、芳香族、ヘテロ芳香族などでよい。
“ハロ”は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
単独基又はより大きい基の一部としての“ハロ-置換アルキル”は、1個以上の“ハロ”原子で置換されている“アルキル”を意味し、用語“ハロ”、“アルキル”はこの出願で定義されるとおりである。ハロ-置換アルキルとして、ハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキル、ペルハロアルキル等が挙げられる(例えばハロ-置換(C1-3)アルキルは、クロロメチル、ジクロロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジクロロエチル等を含む)。
“ヘテロアリール”は、5又は6個の環原子を有し、これら環原子の少なくとも1個がヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素である環式芳香族基を意味する。窒素原子は任意に四級化されていてもよく、イオウ原子は任意に酸化されていてもよい。この発明のヘテロアリール基として、限定するものではないが、フラン、イミダゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,3-オキサジアゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、チアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール及びテトラゾールから誘導される当該基が挙げられる。“ヘテロアリール”には、限定するものではないが、二環式環又は三環式環(該ヘテロアリール環は、アリール環、シクロアルキル環、シクロアルケニル環、及び他の単環式ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル環から成る群より独立的に選択される1又は2個の環に縮合している)も含まれる。これら二環式又は三環式ヘテロアリールとして、限定するものではないが、ベンゾ[b]フラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンズイミダゾール、イミダゾ[4,5-c]ピリジン、キナゾリン、チエノ[2,3-c]ピリジン、チエノ[3,2-b]ピリジン、チエノ[2,3-b]ピリジン、インドリジン、イミダゾ[1,2a]ピリジン、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、ナフチリジン、キノリジン、インドール、イソインドール、インダゾール、インドリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾピラゾール、ベンゾチアゾール、イミダゾ[1,5-a]ピリジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン、イミダゾ[1,2-a]ピリミジン、イミダゾ[1,2-c]ピリミジン、イミダゾ[1,5-a]ピリミジン、イミダゾ[1,5-c]ピリミジン、ピロロ[2,3-b]ピリジン、ピロロ[2,3-c]ピリジン、ピロロ[3,2-c]ピリジン、ピロロ[3,2-b]ピリジン、ピロロ[2,3-d]ピリミジン、ピロロ[3,2-d]ピリミジン、ピロロ[2,3-b]ピラジン、ピラゾロ[1,5-a]ピリジン、ピロロ[1,2-b]ピリダジン、ピロロ[1,2-c]ピリミジン、ピロロ[1,2-a]ピリミジン、ピロロ[1,2-a]ピラジン、トリアゾ[1,5-a]ピリジン、プテリジン、プリン、カルバゾール、アクリジン、フェナジン、フェノチアゼン、フェノキサジン、1,2-ジヒドロピロロ[3,2,1-hi]インドール、インドリジン、ピリド[1,2-a]インドール及び2(1H)-ピリジノンから誘導される当該ヘテロアリールが挙げられる。二環式又は三環式ヘテロアリール環は、親分子に、該ヘテロアリール基自体又は該ヘテロアリールが縮合しているアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル又はヘテロシクロアルキル基のどちらかを介して結合されていてよい。この発明のヘテロアリール基は、置換され又は無置換でよい。
“ヘテロアリールオキシ”は、さらにヘテロアリール置換基を有する酸素部分を意味する。本発明のヘテロアリールオキシ基は、任意に置換されていてもよい。
“ヘテロ原子”は炭素原子でない原子を指す。ヘテロ原子の特定例として、限定するものではないが、窒素、酸素、及びイオウが挙げられる。
“ヘテロ原子部分”は、該部分が結合している原子が炭素でない部分を含む。ヘテロ原子部分の例として、-N=、-NRc-、-N+(O-)=、-O-、-S-又は-S(O)2-が挙げられる(Rcはさらなる置換基である)。
“ヘテロビシクロアルキル”は、環内の1個以上の原子がヘテロ原子であるという条件で、この出願で定義されるとおりのビシクロアルキルを意味する。例えば、この出願で使用される場合、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキルとして、限定するものではないが、3-アザ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-イル、2-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサ-2-イル、3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサ-3-イル等が挙げられる。
“ヘテロビシクロアリール”は、環内の1個以上の原子がヘテロ原子であるという条件で、この出願で定義されるとおりのビシクロアリールを意味する。例えば、この出願で使用される場合、ヘテロ(C4-10)ビシクロアリールとして、限定するものではないが、2-アミノ-4-オキソ-3,4-ジヒドロプテリジン-6-イル、テトラヒドロイソキノリニル等が挙げられる。
“ヘテロシクロアルキル”は、環を形成する原子の1個以上が、N、O、又はSから独立的に選択されるヘテロ原子であるという条件で、この出願で定義されるとおりのシクロアルキルを意味する。ヘテロシクロアルキルの非排他的な例として、ピペリジル、4-モルフォリル、4-ピペラジニル、ピロリジニル、ペルヒドロピロリジニル、1,4-ジアザペルヒドロエピニル、1,3-ジオキサニル、1,4-ジオキサニル等が挙げられる。
“ヘテロシクロアルキレン”は、環員炭素原子の1個以上がヘテロ原子で置換されているという条件で、この出願で定義されるとおりのシクロアルキレンを意味する。
“ヒドロキシ”は基-OHを意味する。
“イミノケトン誘導体”は、部分-C(NR)-(Rは該窒素に結合している水素又は炭素原子を含む)を含む誘導体を意味する。
“異性体”は、同一の分子式を有する化合物であるが、その原子の結合の性質若しくは配列又は原子の空間配置が異なるいずれの化合物をも意味する。その原子の空間配置が異なる異性体を“立体異性体”と称する。相互に鏡像でない立体異性体を“ジアステレオマー”と称し、重ねられない鏡像である立体異性体を“エナンチオマー”と称し、“光学異性体”と呼ぶこともある。4つの同一でない置換基に結合している炭素原子を“キラル中心”と称する。1個のキラル中心がある化合物は、反対のキラリティーの2個のエナンチオマー型を有する。2個のエナンチオマー型の混合物を“ラセミ混合物”と呼ぶ。1個より多くのキラル中心を有する化合物は、2n-1個のエナンチオマー対を有する(nはキラル中心の数である)。1個より多くのキラル中心がある化合物は、個々のジアステレオマーとして存在し、或いは“ジアステレオマー混合物”と称するジアステレオマーの混合物として存在しうる。1個のキラル中心が存在する場合、立体異性体を当該キラル中心の絶対配置によって特徴づけすることができる。絶対配置は、該キラル中心に結合している置換基の空間配置を指す。エナンチオマーは、そのキラル中心の絶対配置によって特徴づけられ、Cahn、Ingold及びPrelogのR及びS順位規則によって表される。立体化学的命名法の慣例、立体化学の決定方法及び立体異性体の分離は技術的に周知である(例えば、"Advanced Organic Chemistry", 4th edition, March, Jerry, John Wiley & Sons, New York, 1992参照)。
【0012】
“ニトロ”は基-NO2を意味する。
“オキサアルキル”は、1個以上の酸素原子(-O-)がアルキルの炭素原子間にあること以外、上記定義どおりのアルキルを意味する。例えば、(C2-6)オキサアルキルは、2〜6個の炭素と、その炭素原子間にある1個以上の酸素原子を含む鎖を指す。
“オキソアルキル”は、さらにカルボニル基で置換されているアルキルを意味する。カルボニル基はアルデヒド、ケトン、エステル、アミド、酸又は酸クロライドでよい。
“医薬的に許容しうる”は、一般的に安全で無毒かつ生物学的にも他でも望ましくなくない医薬組成物の製造に有用であることを意味し、かつヒトの医薬用のみならず獣医学用の許容しうるものも包含する。
“医薬的に許容しうる塩”は、上述したような医薬的に許容しうる、かつ所望の薬理学的活性を有する本発明のインヒビターの塩を意味する。このような塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等のような無機酸;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、樟脳スルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸(glucoheptonic acid)、4,4'-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸と形成される酸付加塩が挙げられる。
医薬的に許容しうる塩は、存在する酸性プロトンが無機又は有機塩基と反応できる場合に形成されうる塩基付加塩をも包含する。許容しうる無機塩基として、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが挙げられる。許容しうる有機塩基として、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン等が挙げられる。
“プロドラッグ”は、生体内で代謝的に本発明のインヒビターに変換しうる化合物を意味する。プロドラッグ自体がDPP-IV阻害活性を有していてもよく又はそのような活性を有していなくてもよい。例えば、ヒドロキシ基を含むインヒビターをエステルとして投与して生体内での加水分解によってそのヒドロキシ化合物に変換することができる。生体内でヒドロキシ化合物に変換しうる好適なエステルとして、酢酸エステル、クエン酸エステル、乳酸エステル、酒石酸エステル、マロン酸エステル、シュウ酸エステル、サリチル酸エステル、プロピオン酸エステル、コハク酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、メチレン-ビス-b-ヒドロキシナフトエ酸エステル、ゲンチシン酸エステル、イセチオン酸エステル、ジ-p-トルオイル酒石酸エステル、メタンスルホン酸エステル、エタンスルホン酸エステル、ベンゼンスルホン酸エステル、p-トルエンスルホン酸エステル、シクロヘキシルスルファミン酸エステル、キナ酸エステル、アミノ酸のエステル等が挙げられる。同様に、生体内で加水分解によってアミン化合物に変換するアミドとして、アミン基を含むインヒビターを投与することができる。
【0013】
“保護誘導体”は、反応部位が保護基でブロックされているインヒビター誘導体を意味する。保護誘導体はインヒビターの調製で役立ち、或いはそれ自体インヒビターとして活性でありうる。好適な保護基の包括的リストはT.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999で見つけることができる。
“置換又は無置換”は、与えられた部分が、利用可能な原子価によって水素置換基だけから成るか(無置換)、該与えられた部分の名称で特に指定されていない、利用可能な原子価によって1個以上の水素以外の置換基をさらに含みうるかを意味する。例えば、イソプロピルは、エチレン部分が-CH3で置換されている例である。一般に、水素以外の置換基は、置換されると指定される該与えられた部分の原子に結合しうるいずれの置換基でもよい。置換基の例として、限定するものではないが、アルデヒド、脂環式、脂肪族、アルキル、アルキレン、アルキリデン、アミド、アミノ、アミノアルキル、芳香族、アリール、ビシクロアルキル、ビシクロアリール、カルバモイル、カルボサイクリル、カルボキシル、カルボニル基、シクロアルキル、シクロアルキレン、エステル、ハロ、ヘテロビシクロアルキル、ヘテロシクロアルキレン、ヘテロアリール、ヘテロビシクロアリール、ヘテロシクロアルキル、オキソ、ヒドロキシ、イミノケトン、ケトン、ニトロ、オキサアルキル、及びオキソアルキル部分が挙げられ、それぞれ任意に置換又は無置換でよい。
“スルフィニル”は、基-SO-を意味する。スルフィニル基はさらに種々の置換基で置換されて異なったスルフィニル基(スルフィン酸、スルフィンアミド、スルフィニルエステル、及びスルホキシドを含む)を形成しうることに注意する。
“スルホニル”は、基-SO2-を意味する。スルホニル基はさらに種々の置換基で置換されて異なったスルホニル基(スルホン酸、スルホンアミド、スルホン酸エステル、及びスルホンを含む)を形成しうることに注意する。
“治療的に有効量”は、病気を治療するために動物に投与したとき、前記病気の治療を達成するために十分な量を意味する。
“チオカルボニル”は、基-CS-を意味する。チオカルボニル基はさらに種々の置換基で置換されて異なったチオカルボニル基(チオ酸、チオアミド、チオエステル、及びチオケトンを含む)を形成しうることに注意する。
【0014】
“治療”又は“治療する”は、本発明の化合物のいずれの投与をも意味し、以下のことを包含する:
(1)その病気にかかりやすいが、まだその病気の病理学若しくは症候学を経験又は示していない動物でその病気が発症するのを防止すること、
(2)その病気の病理学若しくは症候学を経験又は示している動物の病気を阻害すること(すなわち、病理学及び/又は症候学のさらなる進展を押さえること)、又は
(3)その病気の病理学若しくは症候学を経験又は示している動物の病気を軽減すること(すなわち、病理学及び/又は症候学を逆転させること)。
本明細書で与えられるすべての定義について、これら定義は当該指定した置換基以外のさらなる置換基を含みうるという意味で無制限であると解釈すべきことに注意する。従って、C1アルキルは、1個の炭素原子があることを示すが、該炭素原子上に置換基があるものを示さない。しかし、C1アルキルは、メチル(すなわち-CH3)のみならず、-CRabc(Ra、Rb、及びRcはそれぞれ独立的に水素又は他のいずれかの置換基(該炭素に結合している原子がヘテロ原子又はシアノである)でありうる)を含む。従って、CF3、CH2OH及びCH2CNはすべてC1アルキルである。
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ジペプチジルペプチダーゼIV(本明細書ではDPP-IVと称する)を阻害するために使用しうる化合物、組成物、キット及び製品に関する。
DPP-IV(EC.3.4.14.5:DPP4、DP4、DAP-IV、アデノシンデアミナーゼ複合タンパク質2、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)又はCD26としても知られる)は、高度に特異的な膜結合非古典的セリンアミノジペプチダーゼである、766残基、240kDaのタンパク質である。DPP-IVは、最後から2番目の位置のプロリン又はアラニンでペプチドのアミノ末端からジペプチドを切断するセリンタイプの機構のプロテアーゼ活性を有する。さらにX-Gly又はX-Serタイプのジペプチドの遅い放出がいくつかの天然に存在するペプチドについて報告されている。DPP-IVは、種々の異なる組織(腸、肝臓、肺、腎臓及び胎盤)の上皮細胞及び内皮細胞上で構成的に発現され、体液中にも見られる。DPP-IVは循環T-リンパ球上でも発現され、細胞表面抗原、CD-26と同義であることが分かっている。全長DPP-IVの野生型については、GenBank受入番号NM_001935に記載されている(“腸細胞様結腸癌細胞系HT-29及びCaco-2内でのジペプチジルペプチダーゼIV(CD26)遺伝子発現。完全ヒトコード配列のクローニング及び細胞分化中のジペプチジルペプチダーゼIV mRNAレベルの変化”, Darmoul, D., Lacasa, M., Baricault, L., Marguet, D., Sapin, C., Trotot, P., Barbat, A. and Trugnan, G., J. Biol. Chem., 267 (7), 4824-4833, 1992)。
【0016】
DPP-IVは、セリンプロテアーゼのS9ファミリー、さらに詳しくはS9Bファミリーのメンバーである。S9ファミリーの他のメンバーとして、限定するものではないが、以下のメンバーが挙げられる。
サブファミリーS9A:ジペプチジル-ペプチダーゼ;オリゴペプチダーゼB(EC3.4.21.83);オリゴペプチダーゼB;プロリルオリゴペプチダーゼ(EC 3.4.21.26);
サブファミリーS9B:ジペプチジルアミノペプチダーゼA;ジペプチジルアミノペプチダーゼB ジペプチジル-ペプチダーゼIV(EC 3.4.14.5);ジペプチジル-ペプチダーゼV
線維芽細胞活性化タンパク質αサブユニット;セプラーゼ(Seprase)
サブファミリーS9C:アシルアミノアシル-ペプチダーゼ(EC 3.4.19.1)
本発明の化合物は、他のS9ファミリーメンバーの阻害活性をも有しうるので、これら他のファミリーメンバーに関連する病気状態を取り扱うために使用しうることに注意する。
【0017】
1.DPP-IVの結晶構造
最近、Syrrx, Inc.(San Diego, California)がDPP-IVの結晶構造を解明した。この結晶構造の知識を用いて本発明で提供するDPP-IVインヒビターの設計を導いた。
図1は、DPP-IVの構造のリボン概観図を示し、タンパク質の二次構造要素を強調表示している。DPP-IVは、ほぼ高さが70Åで直径が60Åの円筒形状の分子である。DPP-IVの触媒作用の三つ組残基(Ser642、Asp720及びHis752)が“球と棒”表示で図の中心に示されている[GenBank受入番号NM_001935で登録されている配列に基づくDPP-IVに関する配列ナンバリング]。アミノ酸のこの三つ組残基は、DPP-IVのペプチダーゼドメイン又は触媒ドメインにある。触媒ドメインはβ-プロペラドメインに共有結合している。DPP-IVの触媒ドメインは残基1〜67及び511〜778を含む。DPP-IVの触媒ドメインは、特徴的なα/βヒドロラーゼフォールドを採択する。このドメインの中心部は8本鎖β-シートを含み、1本を除いてすべての鎖が平行である。α-シートは有意にねじれ、一方の側面に3つのα-ヘリックスが隣接し、他方の側面に5つのα-ヘリックスが隣接している。β-鎖のトポロジーは1、2、-1x、2x及び(1x)である(J. S. Richardson:タンパク質構造の解剖学と分類;(1981) Adv. Protein Chem. 269, 15076-15084)。活性部位の形状及び電荷特性に寄与する残基の数を同定した。これら残基の知識は、本発明のDPP-IVインヒビターの設計への重要な貢献であった。
【0018】
2.DPP-IVインヒビター
一実施態様では、本発明のDPP-IVインヒビターは下記式を含む。
【化1】

(式中、
Yは、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR34)-、-S(O)-、及び-S(O)2-(R34は水素又は置換若しくは無置換アルキルである)から成る群より選択され;
Zは、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、-CHR1415又は-NR1415(R14は、置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C3-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択され、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)であり;
1及びR2は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択され、或いはR1とR2が一緒に環を形成し;
3は、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアミノから成る群より選択され;かつ
4は、置換若しくは無置換アミノ、アルキル、又はアルコキシカルボニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシチオカルボニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシスルホニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシスルフィニル(C1-3)アルキル;及びアミノ、アルキル、又はアルコキシイミノ(C1-3)アルキルから成る群より選択され、或いはR4がR1とR2の1つと一緒に環を形成している。)
【0019】
別の実施態様では、本発明のDPP-IVインヒビターは下記式を含む。
【化2】

(式中、
nは1、2又は3であり;
X及びYは、それぞれ独立的に、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR34)-、-S(O)-及び-S(O)2-(R34は水素又は置換若しくは無置換アルキルである)から成る群より選択され;
Zは、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、-CHR1415又は-NR1415(R14は、置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C3-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択され、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)であり;
1及びR2は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択され、或いはR1とR2が一緒に環を形成し;
3は、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアミノから成る群より選択され;
5及びR6は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロ、及びニトロから成る群より選択され、或いはR5とR6が一緒に環を形成し、或いはR5とR6の1つがR1とR2の1つと一緒に環を形成し;かつ
7は、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、置換若しくは無置換アミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、-R23、-OR23、-(C1-8)アルキレンR23、-(C1-8)アルキレンOR23及び-(C1-8)アルキレンNR2324から成る群より選択され;ここで、R23及びR24は、それぞれ独立的に水素であり、或いはそれぞれ独立的に、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される。)
1つの特定の変形では、X及びYがそれぞれ独立的にC(O)、C(NH)、S(O)、又はS(O)2のどれかである。別の特定の変形では、X及びYがそれぞれC(O)である。さらに別の特定の変形では、YがC(O)であり、XがC(O)、C(NH)、S(O)、又はS(O)2である。これら各変形によれば、nが1、2又は3でよい。別の特定の変形では、nが1でよい。
【0020】
(置換基Z)
特に指定しない場合は上述したように、Zは、置換若しくは無置換の5若しくは6員環又は-CHR1415若しくは-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルであり、R15は水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)である。5若しくは6員環は、任意に、置換若しくは無置換シクロアルキル環、ヘテロシクロアルキル環、アリール又はヘテロアリール環でよい。 図2は、置換基Zが任意に含みうる5若しくは6員環の代表的な非限定例を示す。5若しくは6員環は、該環上のいずれの位置で利用可能な原子価によってYに結合していてもよい。図2に表されるように、示した環は置換されていていない。しかし、これら各環は、利用可能な原子価によってさらに置換されていてもよいことに注意する。5員環は、該5員環と3、4、5、6若しくは7員縮合環又は架橋環が形成されるようにさらに置換されていてもよい。この3、4、5、6若しくは7員環はさらに置換され又は置換されていなくてもよく、飽和又は不飽和環でよい。これら環がさらにどのように置換されるかの非限定例は、本明細書で例示される本発明の特定化合物として提供される。
【0021】
1つの特定の変形では、ZがYに結合する原子が窒素原子である。従って、Yと5若しくは6員環をひとまとめにして考えて任意にアミノカルボニル、アミノ チオカルボニル、アミノスルホニル、及びアミノスルフィニルを形成しうる。
図2に示される5若しくは6員環は置換されていない。しかし、これら各環はさらに置換されていてもよいことに注意する。これら環がさらにどのように置換されるかの非限定例は、本明細書で例示される本発明の特定化合物として提供される。特定の置換基として、シアノ、アミノカルボニル、及びボロン酸が挙げられる。別の特定の変形では、5若しくは6員環は、3、4、5若しくは6員環がZの該5若しくは6員環に縮合するように置換される。
環は1、2、3個又はそれ以上の置換基を含みうることに注意する。一変形では、Zが該環上の2位で非-水素置換基にて置換され、前記環の1位がYに結合している。別の変形では、Zが該環上の2位でシアノにて置換され、前記環の1位がYに結合している。
Zがヘテロシクロアルキル環又はヘテロアリール環の場合、Yに結合する環原子は任意に窒素でもよい。下記式でこのような環を表すことができる。
【化3】

(式中、R8とR9をひとまとめにして考えると置換若しくは無置換の5若しくは6員環が形成される。)ヘテロシクロアルキル又はヘテロアリール環は、任意に下記式を有しうることにも注意する。
【化4】

(式中、
10、R11、R12、R13、R16及びR17は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シアノ、ボロン酸、及びニトロから成る群より選択され;かつ
J、L、及びQは、それぞれ独立的に、該環内の原子が、N、O、S、及びCから成る群より選択される部分の群から選択される。)
【0022】
Zが6員環を含む場合の1つの特定の変形では、R10、R11、R12及びR13の1つが任意的にシアノ又はボロン酸である。Zが5員環を含む場合の別の変形では、R16とR17の1つが任意的にシアノ又はボロン酸である。
1つの特定の変形では、Zは式-CHR1415又は-NR1415(式中、R14は置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルであり、R15は水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を有する部分でよい。別の変形では、R14が置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールである。さらに別の変形では、R14が置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールである。
別の特定の変形では、Zは置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルでよい。別の変形では、Zは置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールでよい。さらに別の変形では、Zは置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールでよい。別の変形では、Zは置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアルキル又はヘテロ(C8-12)ビシクロアルキルでよい。
別の特定の変形では、Zは、置換若しくは無置換-(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ハロ-置換(C1-4)アルキル、アミノ、ニトロ、-NHR16及び-(C1-8)アルキレンNHR16(式中、R16はフェニルである)から成る群より選択される1〜3個の基で、利用可能な原子を介して置換されている。任意に、これら基は-B(OH)2、-OH、-C(O)OH及び-C(O)Hから成る群より選択されうる。任意に、これら基は-SH、-S(O)H、-S(O)2H、及び-P(O)(OR17)(OR17)(式中、各R17は、ハロ-置換(C1-6)アルキル、(C6-12)アリール及びハロ-置換(C6-12)アリールから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択されうる。
さらに別の変形では、Zはシアノ又はカルバモイルで置換され又は置換されていない。任意に、Zは2-シアノ-ピロリジン-1-イル、4-フルオロ-2-シアノピロリジン-1-イル、及びチアゾリジン-3-イルから成る群より選択されうる。
【0023】
(置換基R1、R2、R5、R6
特に指定しない場合は上述したように、R1、R2、R5及びR6は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択され、或いはR5とR6をひとまとめにして考えて環を形成し、或いはR5及びR6の1つとR1及びR2の1つをひとまとめにして考えて環を形成している。
別の特定の変形では、R1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが置換若しくは無置換-(C1-8)アルキレンR23である(ここで、R23は、(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される)。
別の特定の変形では、R5及びR6の少なくとも1つが置換若しくは無置換-OR23及び置換若しくは無置換-(C1-8)アルキレンR23から成る群より選択される(ここで、R23は、(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される)。
本発明の別の特定の変形では、R1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが、(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ハロ-置換(C1-6)アルキル、-NR2020、-NR20C(O)OR20、-NR20C(O)NR2020、-NR20C(NR20)NR2020、-OR20、-SR20、-C(O)OR20、-C(O)NR2020、-S(O)2NR2020、-P(O)(OR20)OR20、-OP(O)(OR20)OR20、-NR20C(O)R20、-S(O)R20、-S(O)220、-(C1-8)アルキレンC(O)R20、-(C1-8)アルキレンNR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(NR20)NR2020、-(C1-8)アルキレンOR20、-(C1-8)アルキレンSR20、-(C1-8)アルキレンC(O)OR20、-(C1-8)アルキレンC(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンS(O)2NR2020、-(C1-8)アルキレンP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンOP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)220及び-(C1-8)アルキレンC(O)R20(ここで、各R20置換基は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択される1〜3個の基で、利用可能な原子を介して置換されている。別の変形では、これら基は、-NH2、-NHC(NH)NH2、-OH、-SH、-C(O)OH及び-C(O)NH2から成る群より選択される。
本発明の別の特定の変形では、R1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが、天然に存在するアミノ酸側鎖から成る群より選択される。
別の特定の変形では、R1及びR2が少なくとも1つが水素であるように選択され、場合によっては両方とも水素でよい。
別の特定の変形では、R5及びR6が少なくとも1つが水素であるように選択され、場合によっては両方とも水素でよい。
本発明の別の特定の変形では、R1とR2をひとまとめにして考えて環、好ましくは5若しくは6員環を形成している。
本発明の別の特定の変形では、R5とR6をひとまとめにして考えて環、好ましくは5若しくは6員環を形成している。
本発明の別の特定の変形では、R1及びR2の1つとR5及びR6の1つをひとまとめにして考えて環、好ましくは5若しくは6員環を形成している。
1、R2、R5及びR6基として使用しうる部分のさらなる例は、本明細書で例示される本発明の特定の化合物で示される。
【0024】
(置換基R3
特に指定しない場合は上述したように、R3は、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、一級アミン、及び二級アミンから成る群より選択されうる。一変形では、R3が水素である。別の変形では、R3が置換若しくは無置換(C1-10)アルキルであり、任意に置換若しくは無置換(C1-4)アルキルでよい。R3基として使用しうる部分のさらなる例は、本明細書で例示される本発明の特定の化合物で示される。
【0025】
(置換基R7
特に指定しない場合は上述したように、R7は、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、置換若しくは無置換アミノ、アルキル、及びアルコキシ部分(moiety)から成る群より選択されうる。R7がアミノ基の場合、それは-NH2であり、或いは1又は2個の非-水素置換基を含みうる。特定一実施態様では、R7は置換若しくは無置換の5若しくは6員環である。
7がアルキル基の場合、それは置換若しくは無置換アルキル基でありうる。
7がアルコキシ基の場合、該アルコキシ基は置換され、又は無置換でよい。
本発明の特定の一変形では、R7は、-R23、-OR23、-(C1-8)アルキレンR23、-(C1-8)アルキレンOR23及び-(C1-8)アルキレンNR2324から成る群より選択され;ここで、R23及びR24は、それぞれ独立的に水素であり、或いはそれぞれ独立的に、水素、及び置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される。
【0026】
本発明の1つの特定の変形では、R7は下記式を含む。
【化5】

(式中、R8とR9は、ひとまとめにして考えて置換若しくは無置換の5若しくは6員環を形成している。)この環は任意に下記式を有しうることにも注意する。
【化6】

(式中、
10、R11、R12、R13、R16及びR17は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シアノ、ボロン酸、及びニトロから成る群より選択され;
J、L、及びQは、該環内の原子がN、O、S、及びCから成る群より選択される部分からそれぞれ独立的に選択され;形成される環は、飽和、部分的に不飽和又は芳香族であり、かつJ、L、及びQは置換され、又は無置換である。)
【0027】
一変形では、R7が置換若しくは無置換の5員環である。別の変形では、R7が置換若しくは無置換の6員環である。
Zが6員環を含む特定の一変形では、R10、R11、R12及びR13の1つが任意的にシアノ 又はボロン酸である。Zが5員環を含む別の変形では、R16及びR17の1つが任意にシアノ又はボロン酸でありうる。特定の一変形では、R10及びR11の少なくとも1つ又はR16及びR17の少なくとも1つがシアノ基である。
別の特定の変形では、R7が式-CHR1415又は-NR1415(式中、R14は置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を有する部分でありうる。 別の変形では、R14は置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールである。さらに別の変形では、R14が置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールである。
別の特定の変形では、R7が置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルでありうる。別の変形では、R7が置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールでありうる。さらに別の変形では、R7が置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールでありうる。別の変形では、R7が置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアルキル又はヘテロ(C8-12)ビシクロアルキルでありうる。
【0028】
本発明の別の特定の変形では、R7は、利用可能な原子を介して、置換若しくは無置換(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ハロ-置換(C1-6)アルキル、-NR2020、-NR20C(O)OR20、-NR20C(O)NR2020、-NR20C(NR20)NR2020、-OR20、-SR20、-C(O)OR20、-C(O)NR2020、-S(O)2NR2020、-P(O)(OR20)OR20、-OP(O)(OR20)OR20、-NR20C(O)R20、-S(O)R20、-S(O)220、-(C1-8)アルキレンC(O)R20、-(C1-8)アルキレンNR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(NR20)NR2020、-(C1-8)アルキレンOR20、-(C1-8)アルキレンSR20、-(C1-8)アルキレンC(O)OR20、-(C1-8)アルキレンC(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンS(O)2NR2020、-(C1-8)アルキレンP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンOP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)220及び-(C1-8)アルキレンC(O)R20(ここで、各R20置換基は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択される1〜3個の基で置換されている。
【0029】
別の変形では、基は、-NH2、-NHC(NH)NH2、-OH、-SH、-C(O)OH及び-C(O)NH2から成る群より選択される。
任意に、基は、置換若しくは無置換-(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ハロ-置換(C1-4)アルキル、アミノ、ニトロ、-NHR26及び-(C1-8)アルキレンNHR26(R26はフェニルである)から成る群より選択されうる。
任意に、基は、-B(OH)2、-OH、-C(O)OH及び-C(O)Hから成る群より選択されうる。任意に、基は、-SH、-S(O)H、-S(O)2H、及び-P(O)(OR27)(OR27)(各R27は、ハロ-置換(C1-6)アルキル、(C6-12)アリール及びハロ-置換(C6-12)アリールから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択されうる。
さらに別の特定の変形では、R7がシアノ又はカルバモイルで置換され、又は置換されていない。
さらに別の特定の変形では、R7が、2-シアノ-ピロリジン-1-イル、4-フルオロ-2-シアノピロリジン-1-イル、チアゾリジン-3-イル、ヘニルアミノ、ピロリジン-1-イル、4,5-ジヒドロ-ピラゾール-1-イル、 ピペラジン-1-イル及び2,3-ジヒドロ-ベンゾイミダゾール-1-イルから成る群より選択される。
7基として使用しうる部分のさらに特定の例は、本明細書で例示される特定化合物として示される。
【0030】
(DPP-IVインヒビターの特定例)
本発明のDPP-IVインヒビターの特定例として、限定するものではないが、以下のものが挙げられる。
1{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-(S)-4-メチル-ペンタノイル}-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミド;
1-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル;
2-(2-オキソ-2-チアゾリジン-3-イル-エチルアミノ)-1-チアゾリジン-3-イル-エタノン;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-フェニル-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-ピリジン-4-イル-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-メトキシ-フェニル)-アセトアミド;
3-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸;
4-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-シクロヘキシル-アセトアミド;
1-[(S)-2-(2-モルフォリン-4-イル-2-オキソ-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-オキソ-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
N-ベンジル-2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセトアミド;
{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-フェニル-酢酸 メチルエステル;
2-{2-[(S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル]-2-オキソ-エチルアミノ}-N-[(R)-1-ヒドロキシメチル-2-メチル-プロピル]-アセトアミド;
1-{(S)-2-[2-((R,S)-2-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-((R)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-((S)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-シクロプロパンカルボン酸 ;
(S)-2-[2-(シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸ベンジルアミド;
(S)-1-{2-[2-モルフォリン-4-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸フェニルアミド;
(S)-1-{2-[-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミド;
(S)-1-[2-(3-ベンゼンスルホニル-プロピルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-1-[2-(2-メタンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;及び
(S)-1-[2-(2-ベンゼンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル。
【0031】
別の実施態様では、本発明は、医薬的に許容しうる塩の形態の化合物を提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、立体異性体の混合物で存在する本化合物を提供する。さらに別の実施態様では、本発明は、本化合物を単一の立体異性体として提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、活性成分として本化合物を含む医薬組成物を提供する。さらに別の変形では、本発明は、経口投与に適合した固形製剤である、医薬組成物を提供する。さらに別の特定の変形では、本発明は、錠剤である医薬組成物を提供する。別の特定の変形では、本発明は、経口投与に適合した液体製剤である医薬組成物を提供する。さらに別の特定の変形では、本発明は、非経口投与に適合した液体製剤である医薬組成物を提供する。
さらに別の特定の変形では、本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物であって、該組成物が、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬側、鼻腔内、リポソーム、吸入により、膣、眼内、局所送達によって(例えば、カテーテル又はステント)、皮下、脂肪内、関節内、及びくも膜下腔内から成る群より選択される経路での投与に適合している、医薬組成物を提供する。
【0032】
別の実施態様では、本発明は、本発明の化合物と、前記化合物を投与すべき病気状態を示すこと、前記化合物の貯蔵情報、投薬情報及び前記化合物の投与方法から成る群より選択される1種以上の形態の情報を含む使用説明書とを含んでなるキットを提供する。別の実施態様では、本発明は、複数回投与形態の前記化合物を含むキットを提供する。
別の実施態様では、本発明の化合物と、包装材料とを含んでなる製品を提供する。別の変形では、前記包装材料は前記化合物を収容するための容器を含む。さらに別の変形では、本発明は、前記容器が、前記化合物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は前記化合物の投与方法から成る群の1つ以上の情報を示すラベルを含む、前記製品を提供する。
別の変形では、本発明は、複数回投与形態で本化合物を含む製品を提供する。
別の実施態様では、本発明は、DPP-IVを本発明の化合物と接触させることを含むDPP-IVの阻害方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、DPP-IVを生体内で阻害するために被験者内に本発明の化合物を存在させることを含むDPP-IVの阻害方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、DPP-IVの阻害方法であって、
第1化合物を被験者に投与し、この第1化合物が生体内で第2化合物に変換して生体内でDPP-IVを阻害することを含む(前記第2化合物が本発明の化合物である)方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、本発明の化合物を被験者に投与することを含む治療方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、DPP-IVが病気状態の病因学及び/又は症候学に寄与する活性を有する前記病気状態の治療方法であって、前記病気状態の治療に有効な量で本発明の化合物を被験者内に存在させることを含む方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、癌の治療が必要な患者の癌の治療方法であって、前記患者に、治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、病気がI型又はII型糖尿病である、前記病気の治療方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、限定するものではないが、リウマチ性関節炎、乾癬、及び多発性硬化症のような自己免疫障害の治療が必要な患者のこれら障害の治療方法であって、前記患者に治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、治療する癌が直腸結腸癌、前立腺癌、乳癌、甲状腺癌、皮膚癌、肺癌、又は頭頚部癌である、癌の治療方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者の不十分なリンパ球若しくは造血細胞の活性化又は濃度を特徴とする状態の治療方法であって、前記患者に治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者のHIV感染の治療方法であって、前記患者に治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者の不十分なリンパ球若しくは造血細胞の活性化又は濃度を特徴とする状態の治療方法であって、前記状態が化学療法又は放射線療法の副作用である、前記方法を提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者の不十分なリンパ球若しくは造血細胞の活性化又は濃度を特徴とする状態の治療方法であって、前記状態が腎不全の結果である、前記方法を提供する。
さらに別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者の不十分なリンパ球若しくは造血細胞の活性化又は濃度を特徴とする状態の治療方法であって、前記状態が骨髄障害の結果である、前記方法を提供する。
別の実施態様では、本発明は、治療が必要な患者の免疫不全症候を特徴とする状態の治療方法であって、前記患者に治療的に有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法を提供する。
本出願で記載又は請求される実施態様、及びいずれのさらなる実施態様、変形、又は個々の化合物すべてに関し、このようなすべての実施態様、変形及び/又は個々の化合物は、別に具体的に特定されない限り、すべての医薬的に許容しうる塩形態(単一の立体異性体又は立体異性体の混合物の形態のどちらでも)を包含することを意図していることに注意する。同様に、本出願で特定又は請求されるいずれの実施態様、変形、及び/又は個々の化合物に1個以上のキラル中心が存在する可能性がある場合、別に具体的に特定されない限り、両方の可能なキラル中心を包含することを意図している。
【0033】
A.DPP-IVインヒビターの塩、水和物、プロドラッグ
本発明の化合物は、生体内で本発明の化合物に変換する塩、水和物、及びプロドラッグの形態で存在してよく、任意にそのような形態で投与すべきことを認識すべきである。例えば、技術的に周知の手順に従って本発明の化合物を種々の有機及び無機酸や有機及び無機塩基から誘導されるその医薬的に許容しうる塩形態に変換し、かつその塩形態で使用することは本発明の範囲内である。
本発明の化合物が遊離塩基形態を有する場合、該化合物の遊離塩基形態を医薬的に許容しうる無機又は有機酸と反応させて医薬的に許容しうる酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;他の鉱酸及びその対応する塩(硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩などのような);及びアルキル及びモノアリールスルホン酸塩(エタンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩及びベンゼンスルホン酸塩のような);及び他の有機酸及びその対応する塩(酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩及びアスコルビン酸塩のような)として調製することができる。本発明のさらなる酸付加塩として、限定するものではないが、アジピン酸塩、アルギニン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二水素リン酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、フマル酸塩、ガラクテル酸塩(galacterate)(粘液酸から)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタオエート(glucoheptaoate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、馬尿酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソ-酪酸塩、乳酸塩、ラクトビオネート(lactobionate)、リンゴ酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、一水素リン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩及びフタル酸塩が挙げられる。遊離塩基形態は、典型的にはそのそれぞれの塩形態とは極性溶媒中での溶解性のような物理的性質がいくらか異なるが、その他の点で、本発明の目的では、塩はそのそれぞれの遊離塩基形態に等価であると認識すべきである。
【0034】
本発明の化合物が遊離酸形態を有する場合、該化合物の遊離酸形態を医薬的に許容しうる無機又は有機塩基と反応させることによって、医薬的に許容しうる塩基付加塩を調製することができる。このような塩基の例は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム及び水酸化リチウムを含むアルカリ金属ヒドロキシド;水酸化バリウム及び水酸化カルシウムのようなアルカリ土類金属ヒドロキシド;アルカリ金属アルコキシド、例えばカリウムエタノラート及びナトリウムプロパノラート;及び水酸化アンモニウム、ピペリジン、ジエタノールアミン及びN-メチルグルタミンのような種々の有機塩基である。本発明の化合物のアルミニウム塩も含まれる。さらなる本発明の塩基塩として、限定するものではないが、銅塩、鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、マンガン塩、亜マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩及び亜鉛塩が挙げられる。有機塩基塩として、限定するものではないが、一級、二級及び三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルフォリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リジン、メグルミン、N-メチル-D-グルカミン、モルフォリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン及びトリス-(ヒドロキシメチル)-メチルアミン(トロメタミン)の塩が挙げられる。遊離酸形態は、典型的にはそのそれぞれの塩形態とは極性溶媒中での溶解性のような物理的性質がいくらか異なるが、その他の点で、本発明の目的では、塩はそのそれぞれの遊離酸形態に等価であると認識すべきである。
【0035】
塩基性窒素含有基を含む本発明の化合物は、(C1-4)アルキルハライド、例えばメチル、エチル、イソプロピル及びtert-ブチルクロライド、ブロマイド及びヨーダイド;ジ(C1-4)アルキルスルフェート、例えばジメチル、ジエチル及びジアミルスルフェート;(C10-18)アルキルハライド、例えばデシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチル及びステアリルクロライド、ブロマイド及びヨーダイド;及びアリール(C1-4)アルキルハライド、例えば塩化ベンジル及び臭化フェネチルのような物質で四級化されうる。このような塩は、本発明の水溶性及び油溶性の両化合物の調製を可能にする。
本発明の化合物のN-オキシドは、当業者に周知の方法で調製することができる。例えば、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中、約0℃で非酸化状態の本化合物を酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ-クロロペルオキシ安息香酸など)で処理することによってN-オキシドを調製することができる。或いは、適切な出発原料のN-オキシドから本化合物のN-オキシドを調製することができる。
【0036】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、本発明の化合物の置換基を改変することによって調製することができ、それら置換基は生体内で別の置換基に変換する。多くの場合、プロドラッグ自体も本発明の化合物の範囲内に包含されることに注意する。例えば、化合物をカルバミル化剤(例えば、1,1-アシルオキシアルキルカルボノクロリデート(acyloxyalkylcarbonochloridate)、パラ-ニトロフェニルカーボネートなど)又はアシル化剤と反応させてプロドラッグを調製することができる。プロドラッグの調製方法のさらなる例は、文献(Saulnier et al.(1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985)に記載されている。
本発明の化合物の保護された誘導体も調製することができる。保護基の生成とその除去に適用しうる技術の例は、文献(T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999)で見つかる。
本発明の化合物は便利に調製することができ、又は本発明の方法の間に溶媒和物(例えば水和物)として生成されうる。本発明の化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフラン又はメタノールのような有機溶媒を用いて水性/有機溶媒混合物からの再結晶によって便利に調製することができる。
【0037】
本明細書では、“医薬的に許容しうる塩”は、その塩の形態で利用される本発明のいずれの化合物をも包含することを意図しており、特にその塩が、化合物の遊離形態又は該化合物の異なる塩形態に比べて該化合物に改良された薬物速度論特性を与える場合の塩を包含する。医薬的に許容しうる塩形態は、最初に該化合物が予め有していなかった望ましい薬物速度論特性をも与え、かつ体内におけるその治療的な活性について該化合物の薬効学にさえもポジティブ効果を及ぼしうる。好ましく作用しうる薬物速度論特性の例は、化合物が細胞膜を横切って輸送され、順次該化合物の吸収、分布、生体内変換及び排出に直接的かつポジティブに作用しうる様式である。医薬組成物の投与経路が重要であり、かつ種々の解剖学的、生理学的及び病理学的因子が決定的にバイオアベイラビリティーに影響しうるが、化合物の溶解性は、通常、利用するその特定の塩形態の性質によって決まる。当業者は、本化合物の水溶液が、治療すべき被験者の体内への本化合物の最も速い吸収を与え、一方、脂質溶液及び懸濁液、並びに固体剤形は本化合物の低速吸着をもたらすことを認めるだろう。
【0038】
3.DPP-IVの調製
本発明の化合物を合成するために種々の方法を開発しうる。これら化合物を合成するための代表的な方法を実施例で提供する。しかし、本発明の化合物は、他人が工夫しうる他の合成経路によっても合成しうることに注意する。
本発明の特定の化合物が、該化合物に特定の立体化学(例えば、キラル中心)を与える他の原子に連結する原子を有することは容易に分かるだろう。本発明の化合物の合成が異なる立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の生成となりうることが分かる。特定の立体化学を指定しない限り、化合物の列挙は、異なる可能なすべての立体異性体を包含することを意図している。
異なる立体異性体の混合物を分離する種々の方法が技術的に知られている。例えば、化合物のラセミ混合物を光学活性な分割剤と反応させて1対のジアステレオマー化合物を形成することができる。次いで、このジアステレオマーを分離して光学的に純粋なエナンチオマーを回収することができる。分離できる複合体を用いてエナンチオマーを分割することもできる(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、通常、十分に異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有しており、これら相違点を利用してジアステレオマーを容易に分離することができる。例えば、典型的には、溶解度の差異に基づいてクロマトグラフィー又は分離/分割技術でジアステレオマーを分離することができる。化合物のラセミ混合物から化合物の立体異性体を分割するために使用しうる技術のさらなる詳細な説明は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981)で見つけられる。
【0039】
4.DPP-IVインヒビター使用の適応症
DPP-IVは、いくつかの異なる病気の病理学及び/又は症候学に寄与すると考えられ、阻害による被験者内のDPP-IV活性の低減を用いてこれら病気状態を治療的に取り扱うことができる。本発明のDPP-IVインヒビターを用いて治療しうる種々の病気の例は本明細書に記載されている。DPP-IVが種々の経路で果たす生物学的役割がさらに完全に理解されるようになるにつれ、本明細書で開示した病気以外のさらなる病気が後に同定されうることに注意する。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いて治療しうる1組の適応症は、糖尿病及び肥満、特に2型糖尿病、糖尿病性ディス脂質血症(dislipidemia)、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血糖異常(IFG)の状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、食欲調節及び肥満の予防及び治療を含むものである。
本発明のDPP-IVインヒビターを、とりわけ臓器移植拒絶反応;炎症性腸疾患、多発性硬化症及びリウマチ性関節炎のような自己免疫疾患;及びAIDSの治療のための免疫抑制物質(又はサイトカイン放出抑制薬)として使用することもできる。
本発明のDPP-IVインヒビターは、乳癌、肺癌及び前立腺癌を含む種々の癌の治療にも使用することができる。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いて乾癬、リウマチ性関節炎(RA)及び扁平苔癬のような皮膚科疾患を治療することもできる。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いて不妊症及び無月経を治療することもできる。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いて種々のサイトカイン(造血細胞を刺激する)、成長因子及びニューロペプチドの分裂を調節することもできる。例えば、このような状況は、例えば癌の化学療法及び/又は放射線療法の結果として、免疫抑制されている患者で頻繁に起こる。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いて、成長ホルモン-放出因子からのN-末端Try-Alaの分裂を防止又は低減することもできる。従って、これらインヒビターは、成長ホルモン欠乏による低身長(小人症)の治療で使用することができ、かつGH-依存性の組織成長又は組織再生を促進するために使用しうる。
本発明のDPP-IVインヒビターを用いてニューロペプチドの分裂に関連する病気状態を取り扱うこともできるので、神経障害の調節又は正常化に有用だろう。
【0040】
腫瘍学適用症では、望ましくない細胞増殖及び制御されない細胞増殖を阻害するための他の薬剤と共に本発明のDPP-IVインヒビターを使用することができる。本発明のDPP-IVインヒビターと共に使用しうる他の抗-細胞増殖薬の例として、限定するものではないが、レチノイド酸及びその誘導体、2-メトキシエストラジオール、ANGIOSTATINTMタンパク質、ENDOSTATINTMタンパク質、スラミン、スクアラミン(squalamine)、メタロプロテイナーゼ-Iの組織インヒビター、メタロプロテイナーゼ-2の組織インヒビター、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-2、軟骨誘導インヒビター、パクリタキセル、血小板第4因子、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(クイーンカニの甲羅から調製)、硫酸化多糖類ペプチドグリカン複合体(sp-pg)、スタウロスポリン、マトリックス代謝のモジュレーターが挙げられ、例えば、プロリン類似体(l-アゼチジン-2-カルボン酸(LACA))、シスヒドロキシプロリン、d,l-3,4-デヒドロプロリン、チアプロリン、β-アミノプロピオニトリルフマレート、4-プロピル-5-(4-ピリジニル)-2(3H)-オキサゾロン、メトトレキセート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン-血清、チンプ-3(chimp-3)、キモスタチン(chymostatin)、β-シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin);フマギリン、チオリンゴ酸ナトリウム金、d-ペニシラミン(CDPT)、β-1-抗コラゲナーゼ-血清、α2-抗プラスミン、ビサントレン(bisantrene)、ロベンザリット2ナトリウム、n-2-カルボキシフェニル-4-クロロアントロニル酸2ナトリウム(chloroanthronilic acid disodium)又は“CCA”、サリドマイド;アンゴスタティック(angostatic)ステロイド、カルボキシアミノイミダゾール;BB94のようなメタロプロテイナーゼインヒビターを含む。使用しうる他の抗-血管形成薬として、これら血管形成成長因子:bFGF、aFGF、FGF-5、VEGFイソ型、VEGF-C、HGF/SF及びAng-1/Ang-2に対する抗体、好ましくはモノクロナール抗体が挙げられる(Ferrara N.及びAlitalo, K.“血管形成成長因子とそのインヒビターの臨床用途(Clinical application of angiogenic growth factors and their inhibitors)”(1999) Nature Medicine 5:1359-1364)。
【0041】
5.DPP-IVインヒビターを含む組成物
本発明のDPP-IVインヒビターに関して種々多様の組成物と投与方法を使用しうる。このような組成物は、本発明のDPP-IVインヒビターに加え、通常の医薬賦形剤、及び他の通常の医薬的に不活性な薬剤を含みうる。さらに、組成物は本発明のDPP-IVインヒビターに加えて活性薬を含んでよい。これら追加の活性薬には、本発明のさらなる化合物、又は1種以上の他の医薬的に活性な薬剤が含まれる。
組成物は、用いる投与経路に適した様式で製剤化した気体、液体、半固体又は固体形態でよい。経口投与にはカプセル剤及び錠剤が典型的に使用される。非経口投与では、本明細書で述べるように調製した凍結乾燥粉末の再構成が典型的に使用される。
本発明のDPP-IVインヒビターを含む組成物は、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬側、鼻腔内、リポソーム、吸入により、膣、眼内、局所送達により(例えば、カテーテル又はステントによって)、皮下、脂肪内、関節内、又はくも膜下腔内投与又は同時投与することができる。本発明の化合物及び/又は組成物は、徐放剤形で投与又は同時投与することもできる。
DPP-IVインヒビター及びそれらを含む組成物は、いずれの通常の剤形でも投与又は同時投与することができる。この発明の文脈における同時投与は、臨床結果の向上を達成するための協調治療の過程において、1種より多くの治療薬(そのうちの1種はDPP-IVインヒビターを含む)の投与を意味するものとする。このような同時投与は同一時間にわたってもよく、すなわち重複する期間中に起こりうる。
【0042】
非経口、皮内、皮下、又は局所適用で使用する溶液又は懸濁液は、任意に1種以上の以下の成分を含んでよい:注射用水、食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒のような無菌希釈剤;ベンジルアルコール及びメチルパラベンのような抗菌剤;アスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)のようなキレート剤;酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液及びリン酸緩衝液のような緩衝液;塩化ナトリウム又はデキストロースのような緊張度の調整用薬剤、及び組成物の酸性度又はアルカリ性度の調整用薬剤、例えば、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、塩酸、及び有機酸(酢酸やクエン酸)のようなアルカリ性又は酸性化薬剤又は緩衝液。非経口製剤は、任意にガラス、プラスチック若しくは適宜の材料製のアンプル、使い捨て注射器、又は単回用量若しくは複数回用量バイアルに封印することができる。
本発明のDPP-IVインヒビターが不十分な溶解度を示すときは化合物を可溶化する方法を使用しうる。このような方法は当業者に周知であり、限定するものではないが、ジメチルスルホキシド(DMSO)のような共溶媒の使用、TWEENのような界面活性剤の使用、又は炭酸水素ナトリウム水溶液中の溶解が挙げられる。本化合物のプロドラッグのような本化合物の誘導体も有効な医薬組成物の調製で使用しうる。
本発明のDPP-IVインヒビターを組成物に混合又は添加すると、溶液、懸濁液、エマルジョン等が生成されうる。結果の組成物の形態は、意図した投与態様、及び選択した担体又は媒体中での該化合物の溶解度によって決まる。治療する病気を寛解させるために必要な有効濃度は経験的に決定しうる。
【0043】
本発明の組成物は、任意に、適量の化合物、特にその医薬的に許容しうる塩、好ましくはナトリウム塩を含有する錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、吸入器用乾燥散剤、顆粒剤、無菌の非経口溶液又は懸濁液、及び経口溶液又は懸濁液、及び油-水エマルジョンのような単位剤形でヒト及び動物への投与用に提供される。典型的に、医薬用の治療的に活性な化合物及びその誘導体は、単位剤形又は複数回剤形で製剤化及び投与される。本明細書では、単位剤形はヒト被験者及び動物被験者に好適な物理的に別個の単位を意味し、技術的に周知なように別々に包装される。各単位用量は、所望の治療効果を実現するために十分な所定量の治療的に活性な化合物を、必要な医薬担体、媒体又は希釈剤と共に含む。単位剤形の例としてアンプル及び注射器、個別包装錠剤又はカプセル剤が挙げられる。単位剤形をフラクションで又はその複数フラクションで投与してよい。複数回剤形は、分離した単位剤形で投与すべく単一容器内に包装された複数個の同一単位剤形である。複数回剤形の例として、錠剤若しくはカプセル剤のバイアル、ボトル又はパイント若しくはガロンのボトルが挙げられる。従って、複数回剤形は、包装するときに分離されない複数の単位用量である。
【0044】
本発明の1種以上のDPP-IVインヒビターに加え、本組成物は、ラクトース、スクロース、リン酸2ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースのような希釈剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びタルクのような潤沢剤;及びスターチ、天然ゴム(例えば、アカシアゼラチンゴム)、グルコース、糖蜜、ポリビニルピロリドン、セルロース及びその誘導体、ピロリドン、クロスポビドンのような結合剤及び他の当業者に周知のこのような結合剤を含みうる。液状の医薬的に投与すべき組成物は、例えば、上述したような活性化合物と、任意的な医薬アジュバントを、例えば水、食塩水、デキストロース水、グリセロール、グリコール、エタノールなどに溶解、分散、又は他のやり方で混合して溶液又は懸濁液を生成することによって調製することができる。所望により、投与すべき医薬組成物は、湿潤剤、乳化剤、又は可溶化剤、pH緩衝剤など、例えば、アセテート、クエン酸ナトリウム、シクロデキストリン誘導体、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン、及び他のこのような薬剤のような小量の補助物質を含んでもよい。このような剤形の実際の調製方法は技術的に周知であり、或いはこの技術の当業者には明かだろう。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 15th Edition, 1975を参照されたい。投与する組成物又は製剤は、いずれの場合にも、生体内でDPP-IV活性を減少させるために十分な量の本発明のDPP-IVインヒビターを含み、それによって被験者の病気状態を治療する。
剤形又は組成物は、任意に、本明細書で述べる物質のような添加物質を含んで釣り合い、0.005%〜100%(質量/質量)の範囲で1種以上の本発明のDPP-IVインヒビターを含むことができる。経口投与では、医薬的に許容しうる組成物は、任意にいずれかの1種以上の普通に利用される賦形剤、例えば医薬グレードのマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、タルカム、セルロース誘導体、ナトリウムクロスカルメロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルカムを含んでよい。このような組成物として、溶液、懸濁液、錠剤、カプセル剤、散剤、吸入器用乾燥散剤及び徐放製剤(限定するものではないが、インプラント及びマイクロカプセル化送達システムのような)、及び生分解性の生体適合性ポリマー(例えば、コラーゲン、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸など)が挙げられる。これら製剤の調製方法は当業者に知られている。本組成物は、任意に、0.01%〜100%(質量/質量)、任意に0.1〜95%、任意に1〜95%の1種以上のDPP-IVインヒビターを含有しうる。
本DPP-IVインヒビターの塩、好ましくはナトリウム塩は、時限放出製剤又はコーティングのような、体からの急速な排出に対して化合物を保護する担体と共に調製することができる。製剤は、さらに他の活性化合物を含んで所望の組合せの特性を得ることができる。
【0045】
A.経口投与用製剤
経口医薬剤形は、固体、ゲル又は液体としてでよい。固体剤形の例として、限定するものではないが、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、及びバルク散剤が挙げられる。経口錠剤のさらに具体的な例として、圧縮錠剤、咀嚼ロゼンジ剤及び腸溶性コーティング、糖コーティング又はフィルムコーティングされていてよい錠剤が挙げられる。カプセル剤の例として、硬ゼラチンカプセル剤又は軟ゼラチンカプセル剤が挙げられる。顆粒剤及び散剤は、非発泡性又は発泡性形態で提供しうる。それぞれ当業者に既知の他の成分と組み合わせてよい。
特定実施態様では、本発明のDPP-IVインヒビターは固体剤形、好ましくはカプセル剤又は錠剤として提供される。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、任意に1種以上の以下の成分、又は同様の性質の化合物:結合剤;希釈剤;崩壊剤;潤沢剤;滑剤;甘味剤;及び調味料;を含有しうる。
使用しうる結合剤の例として、限定するものではないが、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、グルコース溶液、アカシア粘液、ゼラチン溶液、スクロース及びスターチペーストが挙げられる。
使用しうる潤沢剤の例として、限定するものではないが、タルク、スターチ、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウム、石松子及びステアリン酸が挙げられる。
使用しうる希釈剤の例として、限定するものではないが、ラクトース、スクロース、スターチ、カオリン、塩、マンニトール及びリン酸2ナトリウムが挙げられる。
使用しうる滑剤の例として、限定するものではないが、コロイド二酸化ケイ素が挙げられる。
使用しうる崩壊剤の例として、限定するものではないが、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウムスターチグリコレート、アルギニン酸、コーンスターチ、ポテトスターチ、ベントナイト、メチルセルロース、寒天及びカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
使用しうる着色剤の例として、限定するものではないが、認可保証されている水溶性FD及びC染料、その混合物;及びアルミナ水和物上に懸濁した水不溶性FD及びC染料のいずれかが挙げられる。
使用しうる甘味剤の例として、限定するものではないが、スクロース、ラクトース、マンニトール及びシクラミン酸ナトリウムやサッカリンのような人工甘味剤、及びいくつかの噴霧乾燥フレーバーが挙げられる。
使用しうる調味料の例として、限定するものではないが、果実のような植物から抽出した天然フレーバー、及び心地よい感じを生じさせる化合物、例えば、限定するものではないが、ペパーミントやサリチル酸ナトリウムの合成ブレンドが挙げられる。
使用しうる湿潤剤の例として、限定するものではないが、プロピレングリコールモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
使用しうる抗催吐コーティングの例として、限定するものではないが、脂肪酸、脂肪、蝋、セラック、アンモニアと化合したセラック及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
使用しうるフィルムコーティングの例として、限定するものではないが、ヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール4000及び酢酸フタル酸セルロースが挙げられる。
【0046】
経口投与が望ましい場合、任意に、胃の酸性環境から化合物を保護する組成物で化合物の塩を提供することができる。例えば、胃内ではその統合性を維持し、かつ腸内では活性化合物を放出する腸溶性コーティング内で組成物を製剤化することができる。組成物を制酸剤又は他のこのような成分と組み合わせて製剤化してもよい。
単位剤形がカプセル剤の場合、単位剤形は、任意にさらに、脂肪油のような液状担体を含んでよい。また、単位剤形は、任意にさらに、投与単位の物理的形態を変える種々の他の物質、例えば、糖衣及び他の腸溶剤を含みうる。
本発明の化合物は、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウェーハ剤、スプリンクル剤、チューインガム等の成分として投与することもできる。シロップ剤は、任意に、活性化合物に加え、甘味剤としてスクロース及び特定の保存剤、染料や着色剤及びフレーバーを含むことができる。
本発明のDPP-IVインヒビターは、制酸剤、H2ブロッカー、及び利尿薬のような、所望作用を害さない他の活性物質、又は所望作用を補助する物質と混合してもよい。例えば、喘息又は高血圧を治療するために化合物を使用する場合、それぞれ気管支拡張薬及び抗高血圧薬と共に使用しうる。
【0047】
本発明のDPP-IVインヒビターを含む錠剤に含めてよい医薬的に許容しうる担体の例として、限定するものではないが、結合剤、潤沢剤、希釈剤、崩壊剤、着色剤、調味料、及び湿潤剤が挙げられる。腸溶性コーティング錠は、腸溶性コーティングのため、胃酸の作用に耐え、かつ中性又はアルカリ性の腸内で溶解又は崩壊する。糖衣錠は、医薬的に許容しうる物質の異なった層を適用した圧縮錠剤でよい。フィルムコーティング錠は、ポリマー又は他の適切なコーティングで被覆した圧縮錠剤でよい。多圧縮錠剤は既に述べた医薬的に許容しうる物質を利用して複数回の圧縮サイクルによって調製することができる。着色剤を錠剤に使用してもよい。調味料及び甘味剤を錠剤に使用してよく、咀嚼錠及びロゼンジ剤の形成では特に有用である。
使用しうる液体経口剤形の例として、限定するものではないが、水溶液、エマルジョン、懸濁液、非発泡性顆粒から再構成された溶液及び/又は懸濁液及び発泡性顆粒から再構成された発泡性製剤が挙げられる。
使用しうる水溶液の例として、限定するものではないが、エリキシル剤及びシロップ剤が挙げられる。本明細書では、エリキシル剤は清澄な甘くした水アルコール製剤を指す。エリキシル剤で使用しうる医薬的に許容しうる担体の例として、限定するものではないが、溶媒が挙げられる。使用しうる溶媒の特定例として、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及びシロップが挙げられる。本明細書では、シロップは糖、例えばスクロースの濃縮水溶液を意味する。シロップは、任意に、保存剤をさらに含みうる。
エマルジョンは、ある液体が別の液体全体に小球の形態で分散している二相系を意味する。エマルジョンは、任意に水中油又は油中水エマルジョンでよい。エマルジョンで使用しうる医薬的に許容しうる担体の例として、限定するものではないが、非水性液、乳化剤及び保存剤が挙げられる。
液体経口剤形に再構成される非発泡性顆粒剤で使用しうる医薬的に許容しうる物質の例として、希釈剤、甘味剤及び湿潤剤が挙げられる。
液体経口剤形に再構成される発泡性顆粒剤で使用しうる医薬的に許容しうる物質の例として、有機酸及び二酸化炭素源が挙げられる。
上記すべての剤形で任意に着色剤及び調味料を使用しうる。
使用しうる保存剤の特定例として、グリセリン、メチルパラベン及びプロピルパラベン、安息香酸、安息香酸ナトリウム及びアルコールが挙げられる。
エマルジョンで使用しうる非水性液の特定例として、鉱油及び綿実油が挙げられる。
使用しうる乳化剤の特定例として、ゼラチン、アカシア、トラガカントゴム、ベントナイト、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートのような界面活性剤が挙げられる。
使用しうる懸濁剤の特定例として、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ペクチン、トラガカントゴム、ビーゴム(Veegum)及びアカシアが挙げられる。希釈剤としてラクトース及びスクロースが挙げられる。甘味剤としてスクロース、シロップ、グリセリン及びシクラミン酸ナトリウムやサッカリンのような人工甘味剤が挙げられる。
使用しうる湿潤剤の特定例として、プロピレングリコールモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ジエチレングリコールモノラウレート及びポリオキシエチレンラウリルエーテルが挙げられる。
使用しうる有機酸の特定例として、クエン酸及び酒石酸が挙げられる。
発泡性組成物で使用しうる二酸化炭素源として、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムが挙げられる。着色剤として、認可保証されているいずれかの水溶性FDとC染料、及びその混合物が挙げられる。
使用しうる調味料の特定例として、果実のような植物から抽出した天然フレーバー、心地よい感じを生じさせる化合物の合成ブレンドが挙げられる。
固体剤形では、例えばプロピレンカーボネート、植物油又はトリグリセリド中では、溶液又は懸濁液は好ましくはゼラチンカプセルに封入される。このような溶液、その調製やカプセル化については、米国特許第4,328,245号;第4,409,239号;及び第4,410,545号に開示されている。液体剤形では、例えばポリエチレングリコール中では、投与するために容易に測定するのに十分な量の医薬的に許容しうる液状担体、例えば水で溶液を希釈することができる。
或いは、液体又は半固体経口製剤は、活性化合物又は塩を植物油、グリコール、トリグリセリド、プロピレングリセロールエステル(例えばプロピレンカーボネート)及びこのような他の担体中に溶解又は分散させ、かつこれら溶液又は懸濁液を硬ゼラチン又は軟ゼラチンカプセルシェルに封入することによって調製することができる。他の有用な製剤として米国特許第Re28,819号及び第4,358,603号で示されているものが挙げられる。
【0048】
B.注射剤、溶液及びエマルジョン
本発明は、本発明のDPP-IVインヒビターを、一般的に皮下、筋肉内又は静脈内注射を特徴とする非経口投与によって投与するために設計した組成物にも関する。注射剤は、いずれの通常の形態でも調製することができ、例えば、液状溶液又は懸濁液として、注入前の液中溶液若しくは懸濁液に好適な固体形態として、或いはエマルジョンとして調製することができる。
本発明の注射剤と併用しうる賦形剤の例として、限定するものではないが、水、食塩水、デキストロース、グリセロール又はエタノールが挙げられる。注射剤組成物は、任意に、湿潤剤又は乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、及びこのような他の薬剤のような小量の無毒の補助物質、例えば酢酸ナトリウム、ソルビタンモノオレエート、トリエタノールアミンオレエート及びシクロデキストリンを含んでもよい。一定レベルの薬用量が維持されるような徐放システム又は持続放出システムの移植も本発明で考慮される(例えば、米国特許第3,710,795号参照)。このような非経口組成物に含まれる活性化合物の割合は、その特有の性質及びその化合物の活性や被験者の必要性によって大きく左右される。
【0049】
本製剤の非経口投与として、静脈内、皮下及び筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用製剤として、注射用に整えた無菌溶液、本明細書で述べる凍結乾燥粉末のような使用直前に溶媒と併用して整える無菌乾燥可溶製品(皮下注射用錠剤を含む)、注射用に整えた無菌懸濁液、使用直前に媒体と併用して整える無菌乾燥不溶製品及び無菌エマルジョンが挙げられる。溶液は水性又は非水性でよい。
静脈内投与する場合、好適な担体の例として、限定するものではないが、生理食塩水又はリン酸緩衝食塩水(PBS)、並びに増粘剤及び可溶化剤(例えば、グルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びその混合物)を含有する溶液が挙げられる。
任意に非経口製剤で使用しうる医薬的に許容しうる担体の例として、限定するものではないが、水性媒体、非水性媒体、抗菌剤、等張剤、緩衝液、抗酸化剤、局所麻酔薬、懸濁剤及び分散剤、乳化剤、金属イオン封鎖剤又はキレート剤並びに他の医薬的に許容しうる物質が挙げられる。
任意に使用しうる水性媒体の例として、塩化ナトリウム注射剤、リンゲル注射剤、等張デキストロース注射剤、無菌水注射剤、デキストロース及び乳酸化リンゲル注射剤が挙げられる。
任意に使用しうる非水性の非経口媒体の例として、植物起源の不揮発性油、綿実油、コーン油、ゴマ油及びピーナッツ油が挙げられる。
特に製剤を複数回投与容器に詰めて、貯蔵かつ複数回分取り出すように設計する場合、非経口製剤に静菌又は静真菌濃度の抗菌剤を添加することができる。使用しうる抗菌剤の例として、フェノール又はクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチル及びプロピルp-ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウム及び塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
使用しうる等張剤の例として、塩化ナトリウム及びデキストロースが挙げられる。使用しうる緩衝液の例として、リン酸緩衝液及びクエン酸緩衝液が挙げられる。使用しうる抗酸化剤の例として硫酸水素ナトリウムが挙げられる。使用しうる局所麻酔薬の例として、塩酸プロカインが挙げられる。使用しうる懸濁剤及び分散剤の例として、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンが挙げられる。使用しうる乳化剤の例として、ポリソルベート80(TWEEN 80)が挙げられる。金属イオンの封鎖剤又はキレート剤としてEDTAが挙げられる。
医薬担体は、任意に、水混和性媒体用のエチルアルコール、ポリエチレングリコール及びプロピレングリコール、並びにpH調整用の水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸又は乳酸を含んでもよい。
非経口製剤中のDPP-IVインヒビターの濃度を調整して、注射が所望の薬理学的効果を生じさせるために十分な医薬的に有効量を投与するようにすることができる。DPP-IVインヒビターの正確な濃度及び/又は使用する薬用量は、技術的に周知なように、最終的には患者又は動物の年齢、体重及び状態によって決まる。
単位用量の非経口製剤は、アンプル、バイアル又は針付き注射器に詰めうる。非経口投与用のすべての製剤は、技術的に周知かつ実用されているように無菌でなければならい。
局所投与及び全身投与用に注射剤を設計することができる。典型的に、治療的に有効な薬用量を調製して、治療組織に対して少なくとも約0.1%w/wから約90%w/w以上まで、好ましくは1%w/wより高濃度のDPP-IVインヒビターを含める。DPP-IVインヒビターを一度に投与してもよく、或いは数回の小用量に分けて時間をおいて投与してもよい。正確な薬用量及び治療の持続期間は、該組成物を非経口投与する場所、担体及び他の変量の関数であり、既知の試験プロトコルを用いて、或いはインビボ又はインビトロ試験データから推定することによって経験的に決定しうることが分かる。濃度及び薬用量の値は治療する個体の年齢によっても変わりうることに注意する。さらにいずれの特定の被験者についても、製剤を投与し又は製剤の投与を管理する人の個々の必要性と専門的判断に応じて経時的に調整する必要がありうることを理解すべきである。従って、本明細書で述べる濃度範囲は典型例であり、請求している製剤の範囲又はプラクティスを限定することを意図していない。
任意に、DPP-IVインヒビターを微粉化若しくは他の適宜の形態で懸濁させ又は誘導体化して、より可溶性の活性生成物を生じさせ又はプロドラッグを生成することができる。結果混合物の形態は、意図した投与態様及び選択した担体又は媒体中での化合物の溶解度を含むいくつかの因子によって決まる。有効濃度は病気状態の症候を寛解させるために十分な濃度であり、経験的に決定することができる。
【0050】
C.凍結乾燥散剤
本発明のDPP-IVインヒビターは凍結乾燥散剤として調製してもよく、投与のために溶液、エマルジョン及び他の混合物として再構成することができる。凍結乾燥散剤は固体又はゲルとしても調製しうる。
無菌の凍結乾燥散剤は、本化合物をデキストロース又は他の適宜の賦形剤を含有するリン酸ナトリウム緩衝溶液に溶かすことによって調製することができる。引き続きその溶液を無菌ろ過後、当業者に既知の標準条件下で凍結乾燥して所望の製剤を得る。要するに、凍結乾燥散剤は、デキストロース、ソルビトール、フルクトース、コーンシロップ、キシリトール、グリセリン、グルコース、スクロース又は他の適切な薬剤を、通常ほぼ中性のpHのクエン酸緩衝液、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム緩衝液又は当業者に周知のこのような他の緩衝液のような適切な緩衝液に、約1〜20%、好ましくは約5〜15%溶解させて調製しうる。次に、結果混合物に、好ましくは室温より高い温度、さらに好ましくは約30〜35℃でDPP-IVインヒビターを加え、インヒビターが溶けるまで撹拌する。結果混合物に所望濃度までさらに緩衝液を加えて希釈する。結果混合物を滅菌ろ過又は滅菌処理して個々の粒子を除去して無菌性を保証し、凍結乾燥用バイアルに分配する。各バイアルは、単回用量又は複数回用量のDPP-IVインヒビターを含みうる。
【0051】
D.局所投与
本発明のDPP-IVインヒビターを局所混合物として投与してもよい。局所混合物は局所投与及び全身投与に使用しうる。結果混合物は溶液、懸濁液、エマルジョン等でよく、クリーム、ゲル、軟膏、エマルジョン、溶液、エリキシル剤、ローション、懸濁液、チンキ剤、パスタ剤、泡、エアゾール、洗浄剤、噴霧剤、座剤、包帯、経皮パッチ又は局所投与に適した他のいずれの製剤としても調製される。
DPP-IVインヒビターは、吸入によってのような局所投与用エアゾールとして調製しうる(炎症性疾患、特に喘息の治療に有用なステロイドの送達用エアゾールについて述べている米国特許第4,044,126号、第4,414,209号及び第4,364,923号を参照されたい)。気道に投与するためのこれら製剤はネブライザー用のエアゾール若しくは溶液の形態でよく、或いは単独で又はラクトースのような不活性担体と共に吸入するための微細粉末としての形態でよい。このような場合、製剤の粒子は、典型的に50ミクロン未満、好ましくは10ミクロン未満の直径を有する。
DPP-IVインヒビターは、ゲル、クリーム、及びローションの形態で、眼内におけるように、皮膚及び粘膜への局所投与用、及び眼への投与又は嚢内若しくは脊髄内投与用のような局所投与用に調製することもできる。経皮送達のため、及び眼若しくは粘膜への投与のため、又は吸入療法のためにも局所投与が考慮される。DPP-IVインヒビター単独又は他の医薬的に許容しうる賦形剤と併用した鼻用溶液も投与することができる。
E.他の投与経路用製剤
治療する病気状態によっては、局所適用、経皮パッチ、及び直腸投与のような他の投与経路も使用しうる。例えば、直腸投与用の医薬剤形は直腸座剤、全身効果用のカプセル剤及び錠剤である。本明細書では、直腸座剤は、体温で融解又は軟化して1種以上の薬理学的又は治療的に活性な成分を放出する、直腸に挿入するための固形物を意味する。直腸座剤に利用する医薬的に許容しうる物質は、基剤又は媒体と融点を上昇させるための薬剤である。基剤の例として、ココアバター(カカオ脂)、グリセリン-ゼラチン、カーボワックス、(ポリオキシエチレングリコール)並びに脂肪酸のモノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの適宜の混合物が挙げられる。種々の基剤の組合せを使用しうる。座剤の融点を上昇させるための薬剤として鯨蝋及びワックスが挙げられる。直腸座剤は、圧縮法又は成形によって調製しうる。直腸座剤の典型量は約2〜3gである。直腸投与用の錠剤及びカプセル剤は、経口投与用製剤と同一の医薬的に許容しうる物質を用いて同一の方法で製造しうる。
【0052】
F.製剤の例
以下は、本発明の化合物で任意に使用しうる経口用、静脈内注射用及び錠剤用製剤の特定例である。これら製剤は、使用する特定化合物及び該製剤を使用する予定の適応症によって変わりうることに注意する。
(経口用製剤)
本発明の化合物 10〜100mg
クエン酸一水和物 105mg
水酸化ナトリウム 18mg
調味料
水 100mLにするために適量
(静脈内注射用製剤)
本発明の化合物 0.1〜10mg
デキストロース一水和物 等張にするために適量
クエン酸一水和物 1.05mg
水酸化ナトリウム 0.18mg
注射用水 1.0mLにするために適量
(錠剤用製剤)
本発明の化合物 1%
微結晶性セルロース 73%
ステアリン酸 25%
コロイドシリカ 1%
【0053】
6.DPP-IVインヒビターを含むキット
本発明は、DPP-IVと関係する病気を治療するためのキット及び他の製品にも関する。病気は、その病理学的及び/又は症候学的状態に寄与する活性をDPP-IVが持っているすべての状態を網羅することを意図していることに注意する。
一実施態様では、少なくとも1種の本発明のDPP-IVインヒビターを含んでなる組成物を使用説明書と共に含むキットが提供される。使用説明書は、該組成物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は該組成物の投与方法に関する指導を示しうる。キットは、包装材料をも含みうる。包装材料は、組成物を収容するための容器を含みうる。キットは、任意に、組成物の投与用注射器のようなさらなるコンポーネントを含みうる。キットは、単回投与形態又は複数回投与形態で組成物を含みうる。
別の実施態様では、少なくとも1種の本発明のDPP-IVインヒビターを含んでなる組成物を包装材料と共に含む製品が提供される。包装材料は組成物を収容するための容器を含みうる。容器は、任意に、組成物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は組成物の投与方法に関する指導を表示するラベルを含みうる。キットは、任意に、組成物の投与用注射器のようなさらなるコンポーネントを含んでもよい。キットは、単回投与形態又は複数回投与形態で組成物を含みうる。
【0054】
本発明のキット及び製品で使用する包装材料は、分離ボトル又は分離箔包のような複数個の分離容器を形成しうる。容器は、医薬的に許容しうる材料製の技術的に周知な通常の形状又は形態のいずれでもよく、例えば紙若しくは厚紙箱、ガラス若しくはプラスチックボトル又はジャー、再封止可能バッグ(例えば、異なる容器に入れるための錠剤の“レフィル”を保持するため)、又は治療計画に応じてパックから押し出すための個々用量を備えたブリスターパックがある。採用する容器は、含まれる正確な剤形によって決まり、例えば、通常の厚紙箱は液状懸濁液を保持するためには一般的に使用されない。単一包装で複数個の容器を一緒に用いて単一剤形を市販できると便利である。例えば、ボトルに錠剤を収容し、それを箱に収容することができる。典型的に、キットは個別成分の投与の指図書を含む。個別成分を異なる剤形(例えば、経口、局所、経皮及び非経口)で投与することが好ましい場合、異なる投与間隔で投与する場合、或いは併用する個々の成分を処方医師が滴定することが望ましい場合、特にキット形態が有利である。
【0055】
本発明のキットの一特定例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは包装業界で周知であり、かつ医薬品の単位剤形(錠剤、カプセル剤など)の包装で広範に使用されている。ブリスターパックは、通常、好ましくは透明プラスチック材料の箔で覆われた比較的堅い材料のシートから成る。包装過程の間にプラスチック箔内に凹所を形成する。この凹所は、包装すべき個々の錠剤又はカプセル剤の大きさと形状を有し、或いは包装すべき複数個の錠剤及び/又はカプセル剤を収容するための大きさと形状を有することもある。次に、錠剤又はカプセル剤を凹所に置き、この比較的堅い材料のシートを、凹所が形成された方向と反対のプラスチック箔の面でプラスチック箔に対して封止する。結果として、プラスチック箔とシートの間の凹所内で、錠剤又はカプセル剤が所望どおりに別個に封止され或いは集合的に封止される。好ましくはシートの強度は、凹所に手で圧力を加えることによってシート内の凹所の場所に開口が形成されて、ブリスターパックから錠剤又はカプセル剤を取り出せるような強さである。そして、前記開口を介して錠剤又はカプセル剤を取り出すことができる。
キットの別の具体的態様は、その意図した使用順序で一度に1日量を調剤するように設計したディスペンサーである。好ましくは、ディスペンサーは、投与計画のコンプライアンスをさらに容易にするように、記憶補助具を備える。このような記憶補助具の例は、調剤した1日量の数を表示する機械的カウンターである。このような記憶補助具の別の例は、例えば、最後に1日量を服用した日付及び/又は次の用量を服用すべきときを気づかせる液晶表示、又は音響注意信号と連結した電池式マイクロチップメモリーである。
【0056】
(実施例)
1.DPP-IVインヒビターの調製
本発明の化合物を合成するために種々の方法を開発することができる。これら化合物を合成するための代表的な方法を実施例で提供する。しかし、本発明の化合物は、他人が工夫しうる他の合成経路によっても合成しうることに注意する。
本発明の特定の化合物は、本化合物に特定の立体化学を与える(例えば、キラル中心)他の原子に結合している原子を有することに容易に気づくだろう。本発明の化合物の合成は、種々の立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)の混合物の生成となりうることが分かる。特定の立体化学に言及しない限り、化合物の列挙は、異なる可能な立体異性体のすべてを包含することを意図している。
異なる立体異性体の混合物を分離する種々の方法が技術的に周知である。例えば、化合物のラセミ混合物を光学活性な分割剤と反応させて、1対のジアステレオマー化合物を形成しうる。このジアステレオマーを分離して光学的に純粋なエナンチオマーを回収することができる。分離できる複合体を用いてエナンチオマーを分割することもできる(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは、典型的に十分に異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これら相違点を利用して容易に分離することができる。例えば、ジアステレオマーは、典型的にクロマトグラフィー又は溶解度の差異に基づいた分離/分割法によって分離することができる。化合物の立体異性体をそのラセミ混合物から分割するために使用できる方法のさらに詳細な説明は文献(Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981))で見つけられる。
【0057】
本発明の化合物は、遊離塩基形態の本化合物を医薬的に許容しうる無機酸又は有機酸と反応させることによって、医薬的に許容しうる酸付加塩として調製することもできる。或いは、遊離酸形態の本化合物を医薬的に許容しうる無機塩基又は有機塩基と反応させることによって、化合物の医薬的に許容しうる塩基付加塩を調製することができる。化合物の医薬的に許容しうる塩の調製に好適な無機酸及び有機酸並びに無機塩基及び有機塩基は、この出願の定義セクションに示されている。或いは、出発原料又は中間体の塩を用いて本化合物の塩形態を調製することができる。
遊離酸又は遊離塩基形態の化合物は、対応する塩基付加塩又は酸付加塩形態から調製することができる。例えば、酸付加塩形態の化合物を適切な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム溶液など)で処理することによって、対応する遊離塩基に変換させることができる。塩基付加塩形態の化合物を適切な酸(例えば、塩酸など)で処理することによって、対応する遊離酸に変換させることができる。
当業者に周知の方法で本発明の化合物のN-オキシドを調製することができる。例えば、適切な不活性有機溶媒(例えば、ジクロロメタンのようなハロゲン化炭化水素)中約0℃で、非酸化状態の本化合物を酸化剤(例えば、トリフルオロ過酢酸、過マレイン酸、過安息香酸、過酢酸、メタ-クロロペルオキシ安息香酸など)で処理することによってN-オキシドを調製することができる。或いは、適切な出発原料のN-オキシドから本化合物のN-オキシドを調製することができる。
適切な不活性有機溶媒(例えば、アセトニトリル、エタノール、水性ジオキサ等)中0〜80℃で、還元剤(例えば、イオウ、二酸化イオウ、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化物など)で処理することによって、化合物のN-オキシドから非酸化状態の化合物を調製することができる。
【0058】
当業者に周知の方法で本化合物のプロドラッグ誘導体を調製することができる(例えば、さらなる詳細はSaulnier et al.(1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照されたい)。例えば、非誘導体化化合物を適切なカルバミル化剤(例えば、1,1-アシルオキシアルキルカルボノクロリダート(acyloxyalkylcarbonochloridate)、パラ-ニトロフェニルカーボネート等)と反応させることによって、適切なプロドラッグを調製することができる。
当業者に周知の方法で、本化合物の保護された誘導体を調製することができる。保護基の生成及びその除去に適用可能な技術の詳細な説明は、T.W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999で見つけることができる。
本発明の化合物は、本発明のプロセスの間に、溶媒和物(例えば、水和物)として調製、又は生成されうる。ジオキサン、テトラヒドロフラン又はメタノールのような有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒混合物からの再結晶によって都合よく本発明の化合物の水和物を調製することができる。
本化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させて1対のジアステレオマー化合物を形成し、このジアステレオマーを分離して光学的に純粋なエナンチオマーを回収することによって、その個々の立体異性体を調製することもできる。化合物の共有結合性ジアステレオマー誘導体を用いてエナンチオマーの分割を実施できるが、分離できる複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なった物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点を利用して容易に分離することができる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによって、或いは好ましくは溶解度の差に基づく分離/分割法で分離することができる。そして、ラセミ化をもたらさないであろういずれかの実用手段によって、分割剤と共に、光学的に純粋なエナンチオマーが回収される。ラセミ混合物からの化合物の立体異性体の分割に適用可能な技術のさらに詳細な説明は、文献(Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc. (1981))で見つけられる。
【0059】
本明細書では、これら方法、スキーム及び実施例で使用する記号及び慣例は、現代の科学文献、例えばJournal of the American Chemical Society又はJournal of Biological Chemistryで使用されるものと一致する。一般的に、標準的な1文字又は3文字の略語を用いてアミノ酸残基を表し、特に言及しない限り、L-配置であると仮定する。特に言及しない限り、すべての出発原料は、商業的供給業者から得、さらに精製せずに用いた。具体的には、実施例及び本明細書全体にわたって以下の略語を使用しうる:
g (グラム); mg (ミリグラム);
L (リットル); mL (ミリリットル);
μL (マイクロリットル); psi (ポンド/平方インチ);
M (モル濃度); mM (ミリモル濃度);
i.v. (静脈内); Hz (ヘルツ);
MHz (メガヘルツ); mol (モル);
mmol (ミリモル); RT (周囲温度);
min (分); h (時間);
mp (融点); TLC (薄層クロマトグラフィー);
Tr (保持時間); RP (逆相);
MeOH (メタノール); i-PrOH (イソプロパノール);
TEA (トリエチルアミン); TFA (トリフルオロ酢酸);
TFAA (無水トリフルオロ酢酸); THF (テトラヒドロフラン);
DMSO (ジメチルスルホキシド); EtOAc (酢酸エチル);
DME (1,2-ジメトキシエタン); DCM (ジクロロメタン);
DCE (ジクロロエタン); DMF (N,N-ジメチルホルムアミド);
DMPU (N,N’-ジメチルプロピレンウレア); CDI (1,1-カルボニルジイミダゾール);
IBCF (イソブチルクロロホルメート); HOAc (酢酸);
HOSu (N-ヒドロキシスクシンイミド); HOBT (1-ヒドロキシベンゾトリアゾール);
Et2O (ジエチルエーテル); EDCI (エチルカルボジイミドハイドロクロライド);
BOC (tert-ブチルオキシカルボニル); FMOC (9-フルオレニルメトキシカルボニル);
DCC (ジシクロヘキシルカルボジイミド); CBZ (ベンジルオキシカルボニル);
Ac (アセチル); atm (気圧);
TMSE (2-(トリメチルシリル)エチル); TMS (トリメチルシリル);
TIPS (トリイソプロピルシリル); TBS (t-ブチルジメチルシリル);
DMAP (4-ジメチルアミノピリジン); Me (メチル);
OMe (メトキシ); Et (エチル);
Et (エチル); tBu (tert-ブチル);
HPLC (高圧液体クロマトグラフィー);
BOP (ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロライド);
TBAF (テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオライド);
mCPBA (メタ-クロロ過安息香酸)。
【0060】
すべてのエーテル又はEt2Oはジエチルエーテルを表し;食塩水はNaClの飽和水溶液を表す。特に指定しない限り、すべての温度は度(摂氏)で表される。特に言及しない限り、すべての反応はRTで不活性雰囲気下で行った。
1H NMRスペクトルはBruker Avance 400で記録した。化学シフトは百万分率(ppm)で表される。結合定数はヘルツ単位(Hz)である。分裂パターンは見掛けの多重度を示し、s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、m(多重線)、br(ブロード)として表される。
低分解能質量スペクトル(MS)及び化合物純度データはエレクトロスプレーイオン化(ESI)源、UV検出器(220と254nm)、及び蒸発性光散乱検出器(ELSD)を備えたWaters ZQ LC/MS 単四極子システムで得た。薄層クロマトグラフィーは0.25mmのE. Merckシリカゲルプレート(60F-254)上で行い、UV光、5%のエタノール性リンモリブデン酸、ニンヒドリン又はp-アニスアルデヒド溶液で可視化した。フラッシュカラムクロマトグラフィーはシリカゲル(230-400メッシュ, Merck)上で行った。
この出願を通して引用されるすべての文書の全開示は、参照によって本明細書に取り込まれる。
【0061】
2.本発明のDPP-IVインヒビターの合成スキーム
種々の反応スキームによって本発明のDPP-IVインヒビターを合成することができる。本明細書の実施例でいくつかの例示スキームを示す。当業者は容易に他のスキームを工夫することができるだろう。
後述する反応では、反応性官能基、例えば、ヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオ又はカルボキシ基(これらは最終生成物で望まれる)を保護して、反応中の望ましくない関与を回避する必要がありうる。標準的なプラクティス(例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in "Protective Groups in Organic Chemistry" John Wiley and Sons, 1991参照)に従って通常の保護基を使用することができる。
【0062】
任意に、以下の反応スキームに従って本発明の化合物を合成することができる。
【化7】

【化8】

式中、Xは-CO-であり、R7はR23O-(R23は、水素及び置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される)である。
【0063】
上記の各反応スキームにおいて、種々の置換基は、本明細書で別の方法で教示した種々の置換基の中から選択されうる。上記反応は溶媒(例えば、THF、DMFなど)中、任意に的にDMAP又はTEAと、0〜25℃の温度で作用しうることに注意する。
本発明の化合物は、任意に以下の反応スキーム(種々の置換基は、本明細書で別の方法で教示した種々の置換基の中から選択されうる)で合成することもできる。
X及びYが-CO-である本発明の化合物は、以下の方法によっても調製することができる。
【化9】

この反応は、アミノ酸カップリング剤(例えば、EDCI、DCC、PyBOP、HBTU)及び任意的に触媒(例えば、DMAP)及び必要な場合は有機塩基(例えば、DIPEA)と、15〜50℃の温度で作用しうる。
【0064】
さらに具体的な合成プロトコルを以下に述べる。一プロトコロルにより、約1当量のカップリング試薬(例えば、HOBT又はEDC)を用いて無水物をインサイツ生成する。次に、約1当量のZを加える。R7の存在下、さらに1当量のカップリング試薬によるさらなる活性化によって化合物の形成となる。
ZとR7が同じ場合、2当量のカップリング試薬と2当量のZ/R7を用いて化合物を形成することができる。
【0065】
本発明の化合物は、任意に、以下の反応スキームによって合成することもできる(種々の置換基は、本明細書で別の方法で教示した種々の置換基の中から選択されうる)。
【化10】

この反応は、活性化試薬(例えば、EDCI、DCC、PyBOP、HBTU、POCl3、SOCl2、SO2Cl2)及び任意的に触媒(例えば、DMAP)と必要な場合は有機塩基(例えば、DIPEA)と、0〜50℃の温度で作用しうる。
【0066】
本発明の化合物は、以下のスキームによって調製することもできる。
【化11】

式中、Xは-SO2-であり、かつYは-CO-である。
【0067】
上記反応スキームでは、必要ならば、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、メタノール、水など、又はそのいずれかの適切な組合せ)中、-15℃〜45℃、好ましくは周囲温度で、酸化剤(例えば、OXONE(登録商標)、メタクロロ過安息香酸、SELECTFLUORO(登録商標))で酸化工程を行うことができる。
上記反応スキームに基づいた本発明の特定化合物の合成の説明を本明細書で示す。
これら化合物の調製で使用する出発原料及び試薬は、Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI)、Bachem(Torrance, CA)、Sigma(St. Louis, MO)のような商業的供給元から入手でき、或いは、以下の標準的な参考文献に記載されている手順に従って当業者に周知の方法で調製しうる(Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, vols. 1-17, John Wiley and Sons, New York, NY, 1991; Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds, vols. 1-5 and supps., Elsevier Science Publishers, 1989; Organic Reactions, vols. 1-40, John Wiley and Sons, New York, NY, 1991; March J.: Advanced Organic Chemistry, 4th ed., John Wiley and Sons, New York, NY; and Larock: Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, New York, 1989)。
【0068】
3.DPP-IVインヒビターの実施例
本発明の特定化合物の合成を示す以下の実施例でさらに本発明を例証するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1A:1-(2-ブロモ-アセチル)-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化12】

【0069】
CH2Cl2(30mL)中のブロモアセチルブロマイド(2.0g,10.0mmol)の冷却溶液(-10℃)に、(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル(480mg,5.0mmol)及びピリジン(1.4g,210mmol)の溶液と共にCH2Cl2(10mL)中の触媒量のDMAP(50mg)を30分にわたって加えた。約10分間撹拌後、反応温度を徐々に室温に戻した。室温で撹拌を一晩続けた。残留物をCH2Cl2(60mL)で希釈し、氷水と冷却10%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄して粗生成物を得た(1.01g;収率93%)。粗生成物のカラムクロマトグラフィー精製により純粋な1-(2-ブロモ-アセチル)-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリルを得た(892mg;収率82.6%)。
【0070】
実施例1B:1-[(S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミド
【化13】

【0071】
CHCl3(15mL)中の(S)-2-tert-ブトキシカルボニルアミノ-4-メチル-ペンタン酸(230mg,1.0mmol)の溶液にPyBOP(600mg,1.15mmol)とDMAP(58mg)を加えた。反応混合物を5分間室温で撹拌後、ピロリジン-2-カルボン酸アミド(180mg,1.2mmol)とエチル-ジイソプロピル-アミン(500μL)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌してからCH2Cl2(20mL)で希釈し、水(2回)、10%のHCl水溶液及び水で洗浄した。有機相を濃縮して粗生成物を得、CH2Cl2(10mL)中の50%のTFAで30分間処理し、濃縮乾固させた。LCMSによる精製で1-[(S)-2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル]-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミドをTFA塩として得た(360mg,収率65%)。1H-NMR データ(CDCl3-CD3OD, 20:1): δ, 7.34 及び 6.02 (s, 1H それぞれ), 4.37 (t, 1H, J= 7.0 及び 7.3 Hz), 3.91 (m, 1H), 3.77 (m, 1H), 3.60 (m, 1H), 1.8-2.2 (m, 6H), 1.35 (m, 1H); MS:C11H21N3O2+Hの計算値227.2;実測値:227.2。
【0072】
実施例1:1{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-(S)-4-メチル-ペンタノイル}-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミド
【化14】

【0073】
THF(1mL)中の1-(2-ブロモ-アセチル)-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル(44mg,0.2mmol)の溶液を、THF(2mL)中の1-(2-アミノ-4-メチル-ペンタノイル)-ピロリジン-2-カルボン酸アミド(55mg,0.24mmol)の冷却溶液(-15℃)にゆっくり添加した。反応温度を徐々に室温に戻した。この温度で一晩撹拌後、残留物を濃縮かつLCMSで精製して1{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-(S)-4-メチル-ペンタノイル}-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミドを得た(54mg;62%)。この純粋生成物(20mg)をTHF(1mL)に溶かし、HClエーテル(0.1mL;2M)を加え、混合物を濃縮してHCl塩形態の1-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-(S)-4-メチル-ペンタノイル}-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミドを得た。1H-NMRデータ(CDCl3-CD3OD, 20:1): δ, 8.25及び6.25 (s, 1H それぞれ), 4.73 (m, 1H), 4.43 (t, 1H, J= 5.4 Hz), 4.2 (d, 1H, J= 14.1Hz), 4.0-3.47 (m, 7H), 2.4-1.9 (m, 10H), 1.41 (m, 1H). MS:C18H29N5O3+Hの計算値 364.2;実測値:364.2。
【0074】
実施例2:1-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化15】

【0075】
CH2Cl2(5mL)中のBoc-イミノ二酢酸(115mg,0.5mmol)と(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル(106mg,1.1mmol)の溶液に、DMAP(20mg)とEDCI(360mg,1.2mmol)を加えた。一晩室温で撹拌後、残留物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、水(2回)、10%のHCl水溶液及び水で洗浄し、濃縮した。粗生成物をCH2Cl2(5mL)中の50%のTFAで30分間室温でさらに処理し、濃縮乾固させ、LCMSで精製してTFA塩形態の1-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル(136mg)を収率70%で得た。1H-NMRデータ(CDCl3-CD3OD, 20:1): δ, 4.79 (dd, 2H, J= 5.2 及び 5.7 Hz), 4.2 (ABq, 4H, J= 6.18Hz), 3.61 (m, 2H), 3.48 (m, 2H), 2.1-2.3 (m, 8H). MS (ES) [m+H]/z C14H20N5O2+Hの計算値 290.15;実測値:290.1。
【0076】
実施例3:2-(2-オキソ-2-チアゾリジン-3-イル-エチルアミノ)-1-チアゾリジン-3-イル-エタノン
【化16】

CH2Cl2(5mL)中のBoc-イミノ二酢酸(115mg,0.5mmol)とチアゾリジン(107mg,1.2mmol)の溶液にDMAP(20mg)とEDCI(360mg,1.2mmol)を加えた。一晩室温で撹拌後、残留物をCH2Cl2(20mL)で希釈し、水(2回)、10%のHCl水溶液及び水で洗浄し、濃縮した。粗生成物をCH2Cl2(5mL)中の50%のTFAで室温で30分間さら処理し、濃縮乾固させ、LCMSで精製してTFA塩形態の2-(2-オキソ-2-チアゾリジン-3-イル-エチルアミノ)-1-チアゾリジン-3-イル-エタノンを得た(126mg;68%収率)。1H-NMRデータ(CDCl3-CD3OD, 20:1):2セットのデータ(1.5; 1):第1セット:δ, 4.57 (s, 1H), 4.14 (d, 1H, J=8.2 Hz), 3.69 (t, 1H, J= 6.2 Hz), 3.13 (t, 1H, J= 6.3 Hz)。第2セット:δ, 4.42 (s, 1H), 4.14 (d, 1H, J=8.2 Hz), 3.86 (t, 1H, J= 6.33Hz), 3.03 (t, 1H, J= 6.40 Hz)。MS (ES) [m+H]/z C10H17N3O2S2+Hの計算値 276.1;実測値:276.1。
【0077】
ジアミドインヒビターの調製の一般手順:
【化17】

DMF(10mL)中のBoc-イミノ二酢酸(932mg,4mmol)の溶液にDMAP(20mg)、HBTU(470mg,1.2mmol)及びDIEA(1.7mL,10mmol)を加えた。室温で30分間撹拌後、(S)-ピロリジン-2-カルボニトリルHCl塩(528mg,4.0mmol)を加えて2時間撹拌した。反応混合物を10本のバイアルに分け(各1.0mL)、それぞれにHBTUのDMF中1.2M溶液(0.5mL)と、選択したアミン(0.7〜1mmol)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、濃縮乾固させ、DCM(20mL)で希釈し、水洗した(3回)。有機相を濃縮し、さらにDCM中50%のTFA(1.5mL)と10分間処理した。残留物を真空中濃縮し、LC-MSで精製した。
この一般手順で化合物を調製し、物理データを以下に列挙した。
【0078】
実施例4:2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-フェニル-アセトアミド
【化18】

1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.49 (s, 1H), 7.64 (br s, 1H, J=7.9 Hz), 7.18 (br s, 1H, J= 7.6 Hz), 7.01 (br t, 1H, J= 7.2 Hz), 4.75 (br s, 1H), 4.0 (m, 4 H), 3.5-3.2 (m, 4H), 2.08 (m, 2H), 1.95 (m, 2H). MS (ES) [m+H]/z C15H18N4O2+Hの計算値 287.14、実測値 287.19
【0079】
実施例5:2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド
【化19】

1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.47 (s, 1H), 7.50 (d, 1H, J=7.9 Hz), 7.25 (br t, 1H, J= 7.6 Hz), 7.01 (br t, 1H, J= 7.2 Hz), 4.82 (br s, 1H), 4.26 (br t, J= 5.8 Hz), 3.5-3.2 (m, 4H), 2.16 (m, 2H), 2.04 (m, 2H). MS (ES) [m+H]/z C15H17FN4O2+Hの計算値 305.13、実測値 305.17
【0080】
実施例6:2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-ピリジン-4-イル-アセトアミド
【化20】

1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 9.31 (br s, 2H), 8.77 (d, 1H, J=6.4 Hz), 8.15 (d, 1H, J= 6.4 Hz), 4.87 (dd, 1H, J= 6.5, 4.6 Hz), 4.20 (m, 4H), 3.5-3.2 (m, 4H), 2.20(m, 2H), 2.19 (m, 2H). MS (ES) [m+H]/z C14H17N5O2+Hの計算値 288.14、実測値 288.15。
【0081】
実施例7:2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-メトキシ-フェニル)-アセトアミド
【化21】

1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.34 (s, 1H), 9.31 (br s, 2H), 7.29 (d, 1H, J=10.5 Hz), 6.91 (d, 1H, J= 10.3 Hz), 4.87 (dd, 1H, J= 6.1 及び 5.2 Hz), 4.12 (AB q, 2H, J= 15.1Hz), 3.95 (br s, 2H), 3.73 (s, 3H), (m, 4H), 2.20 (m, 2H), 2.09 (m, 2H). MS (ES) [m+H]/z C16H19N4O3+Hの計算値 317.15、実測値 317.11。
【0082】
実施例8:3-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸
【化22】

1H NMR (400 MHz, DMSO): δ 10.73 (s, 1H), 9.39 (br s, 2H, J=10.5 Hz), 8.24 (s, 1H), 7.79 (d, 1H, J= 7.83 Hz), 7.69 (d, 1H, J= 7.33 Hz), 7.50 (t, 1H, = 7.83 Hz), 6.86 (dd, 1H, J= 6.1 及び 5.2 Hz), 4.15 (AB q, 2H, J= 16.7 Hz), 2.28-1.98 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C16H18N4O4+Hの計算値 331.13、実測値 331.37。
【0083】
実施例9:4-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸
【化23】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 8.01 (d, 2H, J= 8.7 Hz), 7.66 (d, 2H, J= 8.7 Hz), 4.80 (dd, 1H, = 5.5 及び 3.3 Hz), 4.12 (br d, 4H, J= 5.8 Hz), 3.62 (m, 1H), 3.48 (m, 1H), 2.37-2.18 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C16H18N4O4+Hの計算値 331.13、実測値 331.37。
【0084】
実施例10:2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-シクロヘキシル-アセトアミド
【化24】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD): δ 4.78 (dd, 1H, = 5.5 及び 3.3 Hz), 4.1-3.9 (m, 4H), 3.69 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 3.48 (m, 1H), 2.33-2.18 (m, 4H), 1.87 (br d, 2H, J = 8.8 Hz), 1.75 (br d, 2H, J= 13.2 Hz), 1.64 (br d, 1H, J=12.8 Hz), 1.4-1.1 (m, 5H). MS (ES) [m+H]/z C15H24N4O2+Hの計算値 293.19、実測値 293.17。
【0085】
実施例11:1-[(S)-2-(2-モルフォリン-4-イル-2-オキソ-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化25】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.79 (dd, 1H, = 6.5 及び 3.3 Hz), 4.18-4.02 (m, 4H), 3.74 (m, 4H), 3.64 (m, 3H), 3.48 (m, 1H), 3.42-3.22 (m, 6H), 2.38-2.20 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C13H20N4O3+Hの計算値 281.15、実測値 281.06。
【0086】
実施例12:1-{(S)-2-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化26】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.80 (dd, 1H, J= 6.6 及び 3.3 Hz), 4.20 (br s, 2H), 4.07 (br s, 2H), 3.74 (m, 2H), 3.64 (m, 1H), 3.50 (m, 1H), 3.42 (m, 3H), 2.38-2.20 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C14H23N5O2+Hの計算値 294.19、実測値 294.24。
【0087】
実施例13:1-{(S)-2-[2-オキソ-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化27】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.80 (dd, 1H, J= 5.5 及び 3.3 Hz), 4.25-4.05 (m, 6H), 3.79 (m, 1H), 3.63 (m, 2H), 3.53-3.34 (m, 3H), 2.34-2.16 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C13H19N5O3+Hの計算値 294.15、実測値 294.10。
【0088】
実施例14:N-ベンジル-2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセトアミド
【化28】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 7.34-7.25 (m, 5H), 4.72 (br s, 1H), 4.40 (s, 2H), 4.04 (br s, 2H), 3.93 (br s, 2H), 3.57 (m, 1H, 3.43 (m, 1H), 2.27-2.18 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C16H20N4O2+Hの計算値 301.16、実測値 301.13。
【0089】
実施例15:{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-フェニル-酢酸メチルエステル
【化29】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 7.34 (s, 5H), 5.52 (d, 1H, J= 6.46 Hz), 4.66 (br s, 1H), 4.05 (m, 4H), 3.67 (s, 3H), 3.50 (m, 1H), 3.41 (m, 1H), 2.24-2.03 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C18H22N4O4+Hの計算値 359.16、実測値 359.20。
【0090】
実施例16:2-{2-[(S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル]-2-オキソ-エチルアミノ}-N-[(R)-1-ヒドロキシメチル-2-メチル-プロピル]-アセトアミド
【化30】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.78 (dd, 1H, J= 5.6 及び 4.4 Hz), 4.15-3.90 (m, 4H), 3.76 (m, 1H), 3.68 (dd, 1H, J= 11.6 及び 3.2 Hz), 3.61 (m, 1H), 3.55-3.40 (m, 2H), 2.30-2.16 (m, 4H), 1.79 (m, 1H), 0.94 (d, 3H, J= 6.8 Hz), 0.91 (d, 3H, J = 6.8 Hz). MS (ES) [m+H]/z C14H24N4O3+Hの計算値 297.18、実測値 297.18。
【0091】
実施例17:1-{(S)-2-[2-((R,S)-2-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化31】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.78 (dd, 1H, J= 6.8 及び 3.3 Hz), 4.20-3.40 (m, 11H), 2.4-2.20 (m, 4H), 1.80-1.65 (m, 4H), 1.4 (m, 2H). MS (ES) [m+H]/z C15H24N4O3+Hの計算値 309.18、実測値 309.15。
【0092】
実施例18:1-{(S)-2-[2-((R)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化32】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.78 (dd, 1H, J= 6.7 及び 3.3 Hz), 4.15 (m, 1H), 4.10-3.98 (m, 4H), 3.81 (dd, 1H, J= 11.6 及び 4.4 Hz), 3.65-3.60 (m, 1H), 3.57 (ddd, 1H, J = 11.9, 4.4 及び 1.6 Hz), 3.52-3.40 (m, 3H), 2.34-2.21 (m, 4H), 2.13-1.92 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C14H22N4O3+Hの計算値 295.17、実測値 295.17。
【0093】
実施例19:1-{(S)-2-[2-((S)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化33】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.78 (dd, 1H, J= 6.7 及び 3.3 Hz), 4.15 (m, 1H), 4.10-3.98 (m, 4H), 3.81 (dd, 1H, J= 11.6 及び 4.4 Hz), 3.65-3.60 (m, 1H), 3.57(ddd, 1H, J = 11.9, 4.4 及び 1.6 Hz), 3.52-3.40 (m, 3H), 2.34-2.21( m, 4H), 2.13-1.92 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C14H22N4O3+Hの計算値 295.17、実測値 295.17。
【0094】
実施例20:1-{2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-シクロプロパンカルボン酸
【化34】

1H NMR (400 MHz, CDCl3-CD3OD 10:1): δ 4.78 (m, 1H), 4.01 (s, 2H), 3.80 (s, 2H), 3.62 (m, 1H), 3.49 (m, 1H), 2.35-2.20 (m, 4H), 1.60 (m, 2H), 1.18 (q, 2H) MS (ES) [m+H]/z C13H18N4O4+Hの計算値 295.13、実測値 295.14。
【0095】
上記実施例で示したα-ブロモ-ケトンと一級アミンを変えることによって、種々多様の本発明のDPP-IVインヒビターを合成することができる。
実施例21A:2-アミノ-エタンスルホン酸ベンジルアミド
【化35】

【0096】
THF(3mL)中の2-CBZ-アミノ-エタンスルホニルクロライド(Marchand-Brynaert et al., Tetrahedron, 52, 15, 1996, 5591-5606参照)の溶液(400mg,1.44mmol)を、0℃のTHF(5mL)中のベンジルアミン(315μL,2.88mmol)の溶液に添加した。反応を3時間撹拌しながらr.tに戻した。溶液をEtOAc(20mL)で希釈し、1N HClと食塩水で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空中濃縮して499mg(99%)の2-CBZ-アミノ-エタンスルホン酸ベンジルアミドを白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.40 (m, 10H), 5.35 (br s, 1H), 5.10 (s, 2H), 4.80 (br s, 1H), 4.30 (d, 2H, J = 4.2 Hz), 3.58-3.66 (m, 2H), 3.12 (t, 2H, J = 4.2Hz)。
このCBZ-保護アミンの水素化は、10% Pd/C(200mg)の存在下、H2のバルーン下EtOAc(20mL)中で18時間行った。反応をCeliteでろ過し、真空中濃縮して290mg(95%)の2-アミノ-エタンスルホン酸ベンジルアミドをろう様の白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.26-7.35 (m, 5H), 4.27 (s, 2H), 3.11 (t, 2H, J = 4.5 Hz), 2.99 (t, 2H, J = 4.5 Hz)。
【0097】
実施例21:(S)-2-[2-(シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸ベンジルアミド
【化36】

アセトニトリル(2mL)中の(S)-1-(2-ブロモアセチル)-ピロリジン-2-カルボニトリル(126mg,0.58mmol)の溶液を、0℃のアセトニトリル(3mL)中の2-アミノ-エタンスルホン酸ベンジルアミド(290mg,1.35mmol)の溶液に添加した。DIEA(235μL,1.35mmol)を加え、反応6時間撹拌しながらr.tに戻した。溶液を真空中濃縮し、プレップ-HPLC(0.1% TFA/H2O:ACN)で精製して108mg(40%)の(S)-2-[2-(シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸ベンジルアミド、TFA塩を粘着性の白色泡として得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.17 (br s, 2H), 8.04 (t, 1H, J = 4.5 Hz), 7.28-7.39 (m, 5H), 4.85 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 3.93-4.19 (m, 4H), 3.55-3.59 (m, 1H), 3.28-3.45 (m, 5H), 1.99-2.20 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C16H22N4O3S+Hの計算値 351.15、実測値 351.03。
【0098】
実施例22A:2-モルフォリン-4-スルホニル-エチルアミン
【化37】

実施例21Aで概要を述べた手順に従い、ベンジルアミンの代わりにモルフォリンを用いて2-(モルフォリン-4-スルホニル)-エチルアミンベンジルカルバメートを調製した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.37 (m, 5H), 5.39 (br s, 1H), 5.11 (s, 2H), 3.66-3.76 (m, 6H), 3.24 (t, 4H, J = 3.3Hz), 3.11 (t, 2H, J = 4.2 Hz)。
実施例21Aの手順に従うCBZ-保護中間体の水素化によって収率95%で2-モルフォリン-4-スルホニル-エチルアミンを得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.74-3.79 (m, 4H), 3.20-3.30 (m, 6H), 3.03 (t, 2H, J = 4.2 Hz)。
【0099】
実施例22:(S)-1-{2-[2-モルフォリン-4-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化38】

実施例21で概要を述べた手順で2-モルフォリン-4-スルホニル-エチルアミンを利用して収率57%で(S)-1-{2-[2-モルフォリン-4-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、TFA塩を得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.19 (br s, 2H), 4.93 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 4.11 (q, 2H, J = 12.3 Hz), 3.15-3.68 (m, 14H), 1.98-2.24 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C13H22N4O4S+Hの計算値 331.14、実測値 331.10。
【0100】
実施例23A:2-アミノ-エタンスルホン酸フェニルアミド
【化39】

実施例21Aで概要を述べた手順に従い、ベンジルアミンの代わりにアニリンを用いて反応を6時間加熱還流させて2-CBZ-アミノ-エタンスルホン酸フェニルアミドを調製した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.59 (s, 1H), 7.16-7.34 (m, 10H), 5.61 (br s, 1H), 5.08 (s, 2H), 3.62-3.67 (m, 2H), 3.27 (t, 2H, J = 4.2 Hz)。
実施例21Aの手順に従うCBZ-保護中間体の水素化によって収率86%で2-アミノ-エタンスルホン酸フェニルアミドを得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 7.31 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 7.19 (d, 2H, J = 6.0 Hz), 7.07 (t, 1H, J = 6.0 Hz), 4.52 (br s, 2H), 3.12 (t, 2H, J = 5.1 Hz), 2.87 (t, 2H, J = 5.1 Hz)。
【0101】
実施例23:(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸フェニルアミド
【化40】

実施例21で概要を述べた手順で2-アミノ-エタンスルホン酸フェニルアミドを利用して収率65%で(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸フェニルアミド、TFA塩を調製した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 10.14 (br s, 1 H), 9.19 (br s, 2H), 7.10-7.39 (m, 5H), 4.81 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 4.08 (q, 2H, J = 12.3 Hz), 3.31-3.56 (m, 6H), 1.95-2.19 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C15H20N4O3S+Hの計算値 337.13、実測値 337.07。
【0102】
実施例24A:4-(2-アミノ-エタンスルホニル)-ピペラジン-2-オン
【化41】

実施例21Aで概要を述べた手順に従い、ベンジルアミンの代わりにピペラジン-2-オンを用いて4-(2-CBZ-アミノ-エタンスルホニル)-ピペラジン-2-オンを調製した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.41 (m, 5H), 6.12 (br s, 1H), 5.37 (br s, 1H), 5.11 (s, 2H), 3.95 (s, 2H), 3.45-3.67 (m, 6H), 3.21 (t, 2H, J = 4.2 Hz)。
実施例21の手順に従うCBZ-保護中間体の水素化によって収率66%で4-(2-アミノ-エタンスルホニル)-ピペラジン-2-オンを得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 8.10 (s, 1H), 3.73 (s, 1H), 3.16-3.39 (m, 6H), 2.88 (t, 2H, J = 5.1 Hz), 1.81 (br s, 2H)。
【0103】
実施例24:(S)-1-{2-[-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化42】

実施例21で概要を述べた手順で4-(2-アミノ-エタンスルホニル)-ピペラジン-2-オンを用いて(S)-1-{2-[-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、TFA塩を収率47%で調製した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.16 (s, 2H), 8.19 (s, 1H), 4.85 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 4.10 (q, 2H, J = 12.3 Hz), 3.78 (s, 2H), 3.55-3.61 (m, 3H), 3.26-3.45 (m, 7H), 2.00-2.21 (m, 4H). MS (ES) [m+H]/z C13H21N5O4S+Hの計算値 344.14、実測値 344.08。
【0104】
実施例25A:2-アミノ-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミド
【化43】

実施例21Aで概要を述べた手順に従い、ベンジルアミンの代わりにシクロヘキシルアミンを用いて2-CBZ-アミノ-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミドを調製した。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.30-7.38 (m, 5H), 5.46 (br s, 1H), 5.11 (s, 2H), 4.38 (br s, 1H), 3.65-3.71 (m, 2H), 3.18-3.30 (m, 3H), 0.92-1.99 (m, 10H)。
実施例21の手順に従うCBZ-保護中間体の水素化によって収率86%で2-アミノ-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミドを得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 3.26-3.37 (m, 5H), 2.73 (br s, 2H), 1.54-2.11 (m, 5H), 1.11-1.39 (m, 5H)。
【0105】
実施例25:(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミド
【化44】

実施例21で概要を述べた手順で2-アミノ-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミドを利用して(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミド、TFA塩を収率67%で得た。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.23 (s, 2H), 7.48 (d, 1H, J = 6.0 Hz), 4.84 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 4.14 (q, 2H, J = 12.3 Hz), 3.24-3.61 (m, 6H), 3.05 (br s, 1H), 1.47-2.20 (m, 9H), 1.01-1.27 (m, 5H). MS (ES) [m+H]/z C15H26N4O3S+Hの計算値 343.18、実測値 343.11。
【0106】
実施例26:(S)-1-[2-(3-ベンゼンスルホニル-プロピルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化45】

実施例21で概要を述べた手順で3-ベンゼンスルホニル-プロピルアミンを利用して(S)-1-[2-(3-ベンゼンスルホニル-プロピルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル、TFA塩を収率15%で得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 9.01 (br s, 1H), 7.54-7.94 (m, 5H), 5.02-5.83 (m, 7H), 3.35-3.65 (m, 4H), 2.13-2.50 (m, 4H)。MS (ES) [m+H]/z C16H21N3O3S+Hの計算値 336.14、実測値 336.09。
【0107】
実施例27:(S)-1-[2-(2-メタンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化46】

実施例21で概要を述べた手順で3-アミノエチル-メチルスルホンを利用して(S)-1-[2-(2-メタンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル、TFA塩を収率69%で調製した。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ 9.23 (br s, 2H), 4.85 (dd, 1H, J = 5.1, 3.6 Hz), 4.06 (q, 2H, J = 12.3 Hz), 3.36-3.59 (m, 6H), 3.11 (s, 3H), 1.96-2.21 (m, 4H)。MS (ES) [m+H]/z C10H17N3O3S+Hの計算値 260.11、実測値 260.03。
【0108】
実施例28A:[(2-ベンゼンスルホニル-エチル)-BOC-アミノ]-酢酸
【化47】

【0109】
フェニルビニルスルホン(1.0g,5.94mmol)、グリシンメチルエステル-HCl塩(750mg,5.94mmol)、及びトリエチルアミン(1.66mL,11.9mmol)をEtOH(25mL)で混ぜ合わせて54℃で2時間加熱した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(1.43g,6.53mmol)を加え、反応を1時間以上撹拌後、冷ました。溶液を真空中濃縮し、残留物をEtOAcに溶かした。有機物をH2Oと食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(25% EtOAc/ヘキサン)による精製で2.06g(97%)の[(2-ベンゼンスルホニル-エチル)-BOC-アミノ]-酢酸メチルエステルを清澄油として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.90 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 7.52-7.70 (m, 3H), 3.95 (d, 2H, J = 6.6 Hz), 3.43-3.74 (m, 7H), 1.35 (s, 9H)。
このメチルエステルを50% MeOH/H2O(10mL)中、水酸化リチウム(274mg,11.4mmol)と18時間撹拌して加水分解した。0.1N HClで溶液をpH=4に調整し、EtOAcで抽出した、有機物を食塩水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空中濃縮して1.92g(98%)の[(2-ベンゼンスルホニル-エチル)-BOC-アミノ]-酢酸を白色固体として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.91 (d, 2H, J = 5.7 Hz), 7.55-7.71 (m, 3H), 4.01 (s, 2H), 3.43-3.69 (m, 4H), 1.37 (d, 9H, J = 5.1 Hz)。
【0110】
実施例28:(S)-1-[2-(2-ベンゼンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル
【化48】

【0111】
[(2-ベンゼンスルホニル-エチル)-BOC-アミノ]-酢酸(288mg,0.84mmol)と(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル(111mg,0.84mmol)をCH2Cl2(10mL)中0℃で混ぜ合わせた。EDCI(192mg,1.0mmol)とトリエチルアミン(280μL,2.0mmol)を加え、反応を3時間撹拌しながらr.t.に戻した。溶液を0.1N HClと食塩水で洗浄s、乾燥させ(Na2SO4)、真空中濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(75% EtOAc/ヘキサン)で精製して188mg(53%)の(S)-1-[2-(2-ベンゼンスルホニル-エチル-BOC-アミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリルを白色泡として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 7.91 (t, 2H, J = 4.8 Hz), 7.54-7.69 (m, 3H), 4.69-4.79 (m, 1H), 4.17 (t, 1H, J = 12.0 Hz), 3.87 (t, 1 H, J = 12.0 Hz), 3.40-3.77 (m, 6H), 2.12-2.32 (m, 4H), 1.39 (d, 9H, J = 5.1 Hz)。MS (ES) [m+H]/z C20H27N3O5S+Hの計算値 422.17、実測値 422.10。
BOC-保護中間体(160mg,0.38mmol)を乾燥ジオキサン(2mL)に溶かした。ジオキサン中HClの溶液(4N,4mL,16mmol)を加え、反応を3時間撹拌した。溶液を真空中濃縮し、プレップ-HPLC(0.1% TFA/H2O:ACN)で精製して70.2mg(42%)の(S)-1-[2-(2-ベンゼンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリルを白色泡として得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 10.11 (br s, 1H), 9.50 (br s, 1H), 7.57-8.07 (m, 5H), 4.92 (br s, 1 H), 3.94-4.35 (m, 4H), 3.47-3.72 (m, 4H), 2.06-2.30 (m, 4H)。MS (ES) [m+H]/z C15H19N3O3S+Hの計算値 322.12、実測値 322.17。
【0112】
3.インビトロアッセイの実施例
試験化合物によるプロテアーゼ活性及びその阻害を測定するための適切なインビトロアッセイは知られているので、当業者に周知の方法で容易にDPP-IVインヒビターのプロテアーゼ阻害活性を決定することができる。プロテアーゼ阻害活性及び選択性を測定するめに使用しうるアッセイの実施例について以下に述べる。
(DPP-IVアッセイ)
濃度を変えた(≦10mM 最終濃度)試験化合物の溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製してから、20mM Tris、pH 7.4;20mM KCl;及び0.1mg/mL BSAを含むアッセイ緩衝液に希釈した。希釈物にヒトDPP-IVを加え(最終濃度0.1nM)、周囲温度で10分間予備インキュベートした後、A-P-7-アミド-4-トリフルオロメチルクマリン(AP-AFC;最終濃度10μM)で反応を開始させた。反応混合物の総体積は、用いたアッセイ形式(384又は96ウェルプレート)によって10〜100μLだった。反応を5〜10分間動力学的に続け(励起λ=400nm;発光λ=505nm)、又は10分後に終点を測定した。標準数学的モデルを用いて酵素進行曲線から阻害定数(IC50)を計算した。
(FAPαアッセイ)
濃度を変えた(≦10mM 最終濃度)試験化合物の溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製してから、20mM Tris、pH 7.4;20mM KCl;及び0.1mg/mL BSAを含むアッセイ緩衝液に希釈した。希釈物にヒトFAPαを加え(最終濃度2nM)、周囲温度で10分間予備インキュベートした後、A-P-7-アミド-4-トリフルオロメチルクマリン(AP-AFC;最終濃度40μM)で反応を開始させた。反応混合物の総体積は、用いたアッセイ形式(384又は96ウェルプレート)によって10〜100μLだった。反応を5〜10分間動力学的に続け(励起λ=400nm;発光λ=505nm)、又は10分後に終点を測定した。標準数学的モデルを用いて酵素進行曲線から阻害定数(IC50)を計算した。
(PREPアッセイ)
濃度を変えた(≦10mM 最終濃度)試験化合物の溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製してから、20mM リン酸ナトリウム、pH 7.4;0.5mM EDTA;0.5mM DTT;及び0.1mg/mL BSAを含むアッセイ緩衝液に希釈した。希釈物にPREPを加えた(EC3.4.21.26、フラボバクテリウムメニンゴセプチクム(Flavobacterium meningosepticum)由来;最終濃度0.2nM)。PREPと化合物を周囲温度で10分間予備インキュベートした後、Z-G-P-AMC(10μM 最終濃度)で反応を開始させた。反応混合物の総体積は、用いたアッセイ形式(384又は96ウェルプレート)によって10〜100μLだった。反応を10分間動力学的に続け(励起λ=375nm;発光λ=460nm)、又は10分後に終点を測定した。標準数学的モデルを用いて酵素進行曲線から阻害定数(IC50)を計算した。
【0113】
(トリプターゼアッセイ)
濃度を変えた(≦10mM 最終濃度)試験化合物の溶液をジメチルスルホキシド(DMSO)中で調製してから、100mM Hepes、pH 7.4;0.01% Brij35;及び10%グリセロールを含むアッセイ緩衝液に希釈した。希釈物にトリプターゼ(rhLungβ;最終濃度0.1nM)を加え、周囲温度で10分間予備インキュベートした。25μMのZ-lys-SBzl及び400μMのDTNBで酵素反応を開始させた。反応混合物の総体積は、Costar A/2 96ウェルプレート中100μLだった。反応を比色定量的(λ=405nm)に10分間続けた。標準数学的モデルを用いて酵素進行曲線から阻害定数(IC50)を計算した。
プロテアーゼ阻害についての上記アッセイに従って本発明の化合物を試験し、選択的DPP-IV阻害活性を示すことを観察した。例えば、本発明の化合物は、FAPαのプロテアーゼ活性の等活性の阻害を生じさせるために必要な当該濃度の少なくとも50倍少ない濃度でDPP-IV活性を阻害することが分かった。本発明の化合物のDPP-IVに対する見掛けの阻害定数(Ki)は、約10-9M〜約10-5Mの範囲内だった。
【0114】
当業者には、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、本発明の化合物、組成物、キット、及び方法に種々の修正及び変更を生じさせうることは明かだろう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲及びその均等範囲内に入る限り、この発明の修正及び変更を包含することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】DPP-IVの構造のリボン概観図を示し、該タンパク質の二次構造要素を強調表示している。
【図2】Z置換基が任意に含みうる種々の5若しくは6員環を示し、この5若しくは6員環は、該環上のいずれの位置で利用可能な原子価によってYに連結されてもよく、図中に示される環は置換されていてないが、これら環は、任意に1個以上の置換基でさらに置換されていてもよいことに注意する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式を含む化合物。
【化1】

(式中、
Yは、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR34)-、-S(O)-、及び-S(O)2-(R34は水素又は置換若しくは無置換アルキルである)から成る群より選択され;
Zは、置換若しくは無置換の5若しくは6員環又は-CHR1415若しくは-NR1415(R14は、置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C3-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択され、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)であり;
1及びR2は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択され、或いはR1とR2が一緒に環を形成し;
3は、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアミノから成る群より選択され;かつ
4は、置換若しくは無置換アミノ、アルキル、又はアルコキシカルボニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシチオカルボニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシスルホニル(C1-3)アルキル;アミノ、アルキル、又はアルコキシスルフィニル(C1-3)アルキル;及びアミノ、アルキル、又はアルコキシイミノ(C1-3)アルキルから成る群より選択され、或いはR4がR1とR2の1つと一緒に環を形成している。)
【請求項2】
下記式を含む化合物。
【化2】

(式中、
nは1、2又は3であり;
X及びYは、それぞれ独立的に、-C(O)-、-C(S)-、-C(NR34)-、-S(O)-及び-S(O)2-(R34は水素又は置換若しくは無置換アルキルである)から成る群より選択され;
Zは、置換若しくは無置換の5若しくは6員環又は-CHR1415若しくは-NR1415(R14は、置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C3-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択され、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)であり;
1及びR2は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アリール及びヘテロアリールから成る群より選択され、或いはR1とR2が一緒に環を形成し;
3は、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、及びアミノから成る群より選択され;
5及びR6は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロ、及びニトロから成る群より選択され、或いはR5とR6が一緒に環を形成し、或いはR5とR6の1つがR1とR2の1つと一緒に環を形成し;かつ
7は、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、置換若しくは無置換アミノ、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、-R23、-OR23、-(C1-8)アルキレンR23、-(C1-8)アルキレンOR23及び-(C1-8)アルキレンNR2324から成る群より選択され;ここで、R23及びR24は、それぞれ独立的に水素であり、或いはそれぞれ独立的に、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される。)
【請求項3】
X及びYが、それぞれ独立的に、C(O)、C(NH)、S(O)及びS(O)2から成る群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
YがC(O)であり、XがC(O)、C(NH)、S(O)及びS(O)2から成る群より選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
nが1である、請求項2〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
7が、置換若しくは無置換の5若しくは6員環、置換若しくは無置換アミノ、アルキル及びアルコキシ部分から成る群より選択される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
7が置換若しくは無置換の5若しくは6員環である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
7が、-R23、-OR23、-(C1-8)アルキレンR23、-(C1-8)アルキレンOR23及び-(C1-8)アルキレンNR2324から成る群より選択され;ここで、R23及びR24は、それぞれ独立的に水素であり、或いはそれぞれ独立的に、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
7が、利用可能な原子を介して、置換若しくは無置換(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ハロ-置換(C1-6)アルキル、-NR2020、-NR20C(O)OR20、-NR20C(O)NR2020、-NR20C(NR20)NR2020、-OR20、-SR20、-C(O)OR20、-C(O)NR2020、-S(O)2NR2020、-P(O)(OR20)OR20、-OP(O)(OR20)OR20、-NR20C(O)R20、-S(O)R20、-S(O)220、-(C1-8)アルキレンC(O)R20、-(C1-8)アルキレンNR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(NR20)NR2020、-(C1-8)アルキレンOR20、-(C1-8)アルキレンSR20、-(C1-8)アルキレンC(O)OR20、-(C1-8)アルキレンC(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンS(O)2NR2020、-(C1-8)アルキレンP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンOP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)220及び-(C1-8)アルキレンC(O)R20(ここで、各R20置換基は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択される1〜3個の基で置換されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
7が置換若しくは無置換5員環である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
7が置換若しくは無置換6員環である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
7が下記式を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【化3】

(式中、R8とR9が一緒に置換若しくは無置換の5若しくは6員環を形成している。)
【請求項13】
7が下記式を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【化4】

(式中、
10、R11、R12、R13、R16及びR17は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シアノ、ボロン酸、及びニトロから成る群より選択され;かつ
J、L、及びQは、それぞれ独立的に、該環内の原子が、N、O、S、及びCから成る群より選択される部分の群から選択される。)
【請求項14】
10とR11の少なくとも1つ、又はR16とR17の少なくとも1つがシアノ基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
10とR11の少なくとも1つ、又はR16とR17の少なくとも1つがシアノ又はボロン酸置換基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
7が、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキルであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
7が、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換ヘテロ(C3-12)シクロアルキルであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
7が、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
7が、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
7が、2-シアノ-ピロリジン-1-イル、4-フルオロ-2-シアノピロリジン-1-イル、チアゾリジン-3-イル及びフェニルアミノから成る群より選択される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項21】
Zが置換若しくは無置換5員環である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項22】
Zが置換若しくは無置換6員環である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項23】
Zが置換若しくは無置換5員ヘテロアリール環である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項24】
Zが置換若しくは無置換5員ヘテロシクロアルキル環である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項25】
Yに結合しているZの原子が窒素原子である、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項26】
Yが、置換基Zの5若しくは6員環と一緒にアミノカルボニルを形成している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項27】
Yが、置換基Zの5若しくは6員環と一緒にアミノスルホニルを形成している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項28】
Yが、置換基Zの5若しくは6員環と一緒にアミノスルフィニルを形成している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項29】
Yが、置換基Zの5若しくは6員環と一緒にアミノイミノを形成している、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項30】
Zが、環上の2位にて非-水素置換基で置換されている(前記環の1位はYに結合している)、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項31】
Zが、環上の2位にてシアノで置換されている(前記環の1位はYに結合している)、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
前記置換基Zが下記式を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【化5】

(式中、
10、R11、R12、R13、R16及びR17は、それぞれ独立的に、水素、置換若しくは無置換(C1-10)アルキル、アルコキシ、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基、スルフィニル基、シアノ、ボロン酸、及びニトロから成る群より選択され;かつ
J、L、及びQは、それぞれ独立的に、該環内の原子が、N、O、S、及びCから成る群より選択される部分の群から選択される。)
【請求項33】
10とR11の少なくとも1つ、又はR16とR17の少なくとも1つがシアノ基である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
10とR11の少なくとも1つ、又はR16とR17の少なくとも1つがシアノ又はボロン酸置換基である、請求項32に記載の化合物。
【請求項35】
Zが、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C3-12)シクロアルキル又はヘテロ(C3-12)シクロアルキルであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項36】
Zが、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C6-12)アリール又はヘテロ(C5-12)アリールであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項37】
Zが、式-NR1415(R14は置換若しくは無置換(C9-12)ビシクロアリール又はヘテロ(C8-12)ビシクロアリールであり、R15は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より選択される)を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項38】
Zが、2-シアノ-ピロリジン-1-イル、4-フルオロ-2-シアノピロリジン-1-イル、及びチアゾリジン-3-イルから成る群より選択される、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項39】
1とR2が一緒に環を形成している、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項40】
5とR6が一緒に環を形成している、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項41】
1とR2の1つが、R5とR6の1つと一緒に環を形成している、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが置換若しくは無置換-(C1-8)アルキレンR23である(ここで、R23は、(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される)、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
5とR6の少なくとも1つが、置換若しくは無置換-OR23及び置換若しくは無置換-(C1-8)アルキレンR23から成る群より選択される(ここで、R23は、(C1-10)アルキル、(C3-12)シクロアルキル、ヘテロ(C4-12)シクロアルキル、(C6-12)アリール、ヘテロ(C5-12)アリール、(C9-12)ビシクロアルキル、ヘテロ(C9-12)ビシクロアルキル、(C9-12)ビシクロアリール及びヘテロ(C8-12)ビシクロアリールから成る群より選択される)、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが、利用可能な原子を介して、(C1-6)アルキル、シアノ、ハロ、ニトロ、ハロ-置換(C1-6)アルキル、-NR2020、-NR20C(O)OR20、-NR20C(O)NR2020、-NR20C(NR20)NR2020、-OR20、-SR20、-C(O)OR20、-C(O)NR2020、-S(O)2NR2020、-P(O)(OR20)OR20、-OP(O)(OR20)OR20、-NR20C(O)R20、-S(O)R20、-S(O)220、-(C1-8)アルキレンC(O)R20、-(C1-8)アルキレンNR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンNR20C(NR20)NR2020、-(C1-8)アルキレンOR20、-(C1-8)アルキレンSR20、-(C1-8)アルキレンC(O)OR20、-(C1-8)アルキレンC(O)NR2020、-(C1-8)アルキレンS(O)2NR2020、-(C1-8)アルキレンP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンOP(O)(OR20)OR20、-(C1-8)アルキレンNR20C(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)R20、-(C1-8)アルキレンS(O)220及び-(C1-8)アルキレンC(O)R20(ここで、各R20置換基は、水素及び置換若しくは無置換(C1-8)アルキルから成る群より独立的に選択される)から成る群より選択される1〜3個の基で置換されている、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
1、R2、R5及びR6の少なくとも1つが、利用可能な原子を介して、-NH2、-NHC(NH)NH2、-OH、-SH、-C(O)OH及び-C(O)NH2から成る群より選択される1〜3個の基で置換されている、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
1とR2の少なくとも1つが水素である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
1とR2が両方とも水素である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項48】
5とR6の少なくとも1つが水素である、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項49】
5とR6が両方とも水素である、請求項2〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項50】
3が水素である、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項51】
3が置換若しくは無置換(C1-10)アルキルである、請求項1〜38のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項52】
下記化合物から成る群より選択される化合物:
1{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-(S)-4-メチル-ペンタノイル}-(S)-ピロリジン-2-カルボン酸アミド;
1-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-(S)-ピロリジン-2-カルボニトリル;
2-(2-オキソ-2-チアゾリジン-3-イル-エチルアミノ)-1-チアゾリジン-3-イル-エタノン;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-フェニル-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-フルオロ-フェニル)-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-ピリジン-4-イル-アセトアミド;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-(4-メトキシ-フェニル)-アセトアミド;
3-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸;
4-{(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-安息香酸;
2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-N-シクロヘキシル-アセトアミド;
1-[(S)-2-(2-モルフォリン-4-イル-2-オキソ-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-オキソ-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
N-ベンジル-2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセトアミド;
{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-フェニル-酢酸メチルエステル;
2-{2-[(S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル]-2-オキソ-エチルアミノ}-N-[(R)-1-ヒドロキシメチル-2-メチル-プロピル]-アセトアミド;
1-{(S)-2-[2-((R,S)-2-ヒドロキシメチル-ピペリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-((R)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{(S)-2-[2-((S)-2-ヒドロキシメチル-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
1-{2-[(S)-2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-アセチルアミノ}-シクロプロパンカルボン酸 ;
(S)-2-[2-(シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸 ベンジルアミド;
(S)-1-{2-[2-モルフォリン-4-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸フェニルアミド;
(S)-1-{2-[-2-(3-オキソ-ピペラジン-1-スルホニル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-2-[2-(2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-エタンスルホン酸シクロヘキシルアミド;
(S)-1-[2-(3-ベンゼンスルホニル-プロピルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;
(S)-1-[2-(2-メタンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル;及び
(S)-1-[2-(2-ベンゼンスルホニル-エチルアミノ)-アセチル]-ピロリジン-2-カルボニトリル。
【請求項53】
該化合物が医薬的に許容しうる塩の形態である、請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項54】
該化合物が立体異性体の混合物で存在する、請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項55】
該化合物が単一の立体異性体を含む、請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項56】
活性成分として請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項57】
該組成物が経口投与に適合した固体製剤である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
該組成物が錠剤である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項59】
該組成物が経口投与に適合した液体製剤である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項60】
該組成物が非経口投与に適合した液体製剤である、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項61】
該組成物が、経口、非経口、腹腔内、静脈内、動脈内、経皮、舌下、筋肉内、直腸、経頬側、鼻腔内、リポソームにより、吸入により、膣により、眼内、局所送達によって(例えば、カテーテル又はステントによって)、皮下、脂肪内、関節内、及びくも膜下腔内から成る群より選択される経路による投与に適合している、請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項62】
請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物;及び
前記化合物を投与すべき病気状態を示すこと、前記化合物の貯蔵情報、投薬情報及び前記化合物の投与方法に関する指導から成る群より選択される1又は複数の形態の情報を含む使用説明書;
を含んでなるキット。
【請求項63】
該キットが複数回投与形態で前記化合物を含む、請求項62に記載のキット。
【請求項64】
請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物;及び
包装材料;
を含んでなる製品。
【請求項65】
前記包装材料が、前記化合物を収容するための容器を含む、請求項64に記載の製品。
【請求項66】
前記容器が、前記化合物を投与すべき病気状態、貯蔵情報、投薬情報及び/又は前記組成物の投与方法に関する指導から成る群の1又は複数の情報を示すラベルを含む、請求項65に記載の製品。
【請求項67】
該製品が複数回投与形態で前記化合物を含む、請求項65に記載の製品。
【請求項68】
請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物とDPP-IVを接触させることを含む、DPP-IVの阻害方法。
【請求項69】
請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を被験者内に存在させて、生体内でDPP-IVを阻害することを含む、DPP-IVの阻害方法。
【請求項70】
生体内で第2化合物に変換する第1化合物を被験者に投与することを含み(前記第2化合物は生体内でDPP-IVを阻害する)、前記第2化合物が請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物である、DPP-IVの阻害方法。
【請求項71】
被験者に、請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、治療方法。
【請求項72】
DPP-IVが病気状態の病理学及び/又は症候学に寄与する活性を有する該病気状態を治療する方法であって、前記病気の治療的に有効な量で請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を被験者内に存在させることを含む、前記治療方法。
【請求項73】
癌の治療が必要な患者の癌の治療方法であって、前記患者に、治療的に有効な量の請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、前記治療方法。
【請求項74】
前記病気がI型又はII型糖尿病である、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
リウマチ性関節炎、乾癬、及び多発性硬化症のような(これらに限定されない)自己免疫障害の治療が必要な患者における前記自己免疫障害の治療方法であって、前記患者に、治療的に有効な量の請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項76】
治療される癌が、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌、甲状腺癌、皮膚癌、肺癌、又は頭頚部癌である、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
不十分なリンパ球若しくは造血細胞の活性化又は濃度を特徴とする状態の治療が必要な患者における前記状態の治療方法であって、前記患者に治療的に有効な量の請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項78】
HIV感染の治療が必要な患者における前記HIV感染の治療方法であって、前記患者に治療的に有効な量の請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項79】
前記状態が化学療法又は放射線療法の副作用である、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
前記状態が腎不全の結果である、請求項77に記載の方法。
【請求項81】
前記状態が骨髄障害の結果である、請求項77に記載の方法。
【請求項82】
免疫不全症候を特徴とする状態の治療が必要な患者における前記状態の治療方法であって、前記患者に治療的に有効な量の請求項1〜52のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−511467(P2007−511467A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533088(P2006−533088)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/015211
【国際公開番号】WO2004/103993
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(504344266)タケダ サン ディエゴ インコーポレイテッド (29)
【Fターム(参考)】