説明

ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物と甘味料との併用

【課題】優れた抗肥満効果(体脂肪減少効果及び/または体脂肪減少効果)を発揮する新規な治療もしくは予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用を提供する。
【解決手段】ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料とを組み合わせてなる医薬組成物、並びに医薬の製造におけるその使用。また、肥満の症状を有する患者に、(a)ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物及び(b)GLP−1分泌促進作用を有する甘味料を有効量投与することを特徴とする肥満の治療又は予防方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体重減少(reduction of body weight)、体脂肪減少(reduction of body fat mass)、及び/または肥満の治療もしくは予防のための方法、それらのための医薬組成物、及びそれらの使用に関する。
【0002】
より詳細には、本発明は(1)ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物と(2)GLP-1分泌促進作用を有する甘味料を併せて用いた、体重減少、体脂肪減少、及び/または肥満の治療もしくは予防のための方法、医薬組成物、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
肥満は、現代の社会において大きな社会問題となっているが、既存の肥満治療薬(オーリスタット、デキスフェンフルラミン、シブトラミン、フェンテルミン等)の効果は必ずしも十分ではなく、また副作用の問題がある。
【0004】
肥満は、それ自体によって、或いは他の病気との関係によって、多くの健康上の問題を引き起こす。肥満に関連して生命を脅かし得る疾患としては、高血圧、2型糖尿病、血漿インスリン濃度上昇、インスリン抵抗性、異常脂質血症、高脂血症、動脈硬化症、心臓病等が挙げられる。
【0005】
これらのうち、2型糖尿病と肥満との間には密接な関係がある。
2型糖尿病の成因としては、膵インスリン分泌障害と共に、インスリン抵抗性が挙げられるが、肥満において脂肪組織が肥大すると、脂肪細胞のインスリン受容体数が減少するほか、脂肪細胞からTNF−αなどのインスリン抵抗性惹起性サイトカイン分泌が亢進することなどによって、インスリン抵抗性が惹起される。
【0006】
従って、2型糖尿病患者およびそのリスクの高い人にとっては、肥満の予防が重要であり、また肥満を併発する2型糖尿病患者においては、肥満の改善が強く求められるところとなる。
【0007】
一方、ジペプチジルペプチダーゼ4(DPP4)は、ポリペプチド鎖のN末端からXaa−Pro又はXaa−Ala(Xaaはいかなるアミノ酸であってもよい)のジペプチドを特異的に加水分解するセリンプロテアーゼの1種である。
【0008】
また、GLP−1(グルカゴン様ペプチド1)は、主にグルコース依存的にインスリン分泌を増幅する働きを有するペプチドホルモンであり、主として小腸下部から食後に分泌され、膵臓で作用する。DPP4は、このGLP−1を加水分解し、不活性化するとともに、GLP−1受容体のアンタゴニストとして作用するペプチドを生じさせる。
【0009】
DPP4の酵素活性を阻害する化合物(DPP4阻害化合物)は、その阻害作用を介して内在性GLP−1の作用を高めることにより、グルコース依存的なインスリン分泌(glucose-stimulated insulin secretion)を高め、血糖降下作用を発揮するとともに、損なわれた耐糖能(impaired glucose tolerance)を改善する。
【0010】
このため、DPP4阻害化合物は、糖尿病等の予防・治療に有用であると考えられており、多くのDPP4阻害化合物が、糖尿病(特に2型糖尿病)の治療薬として、開発されている。
〔Augustyns et al., Expert Opin. Ther. Patents, 2003, 13:499-510;
Campbell, Ann. Pharmacother., 2007, 41:51-60〕
【0011】
GLP−1のアナログもまた、糖尿病の治療薬として開発されている。また、GLP−1が摂食抑制作用を有することを示唆する報告があり、GLP−1のアナログについては、ヒトでの臨床試験において、抗肥満効果が得られたとの報告が見られる。
〔Zander et al., Lancet, 2002, 359:824-830;
Iltz JL et al., Clin Ther., 2006, 28(5):652-65;
Mack et al., Int. J. Obes. 2006, 30(9):1332-40;
DeFronzo et al., Diabetes Care. 2005, 28(5):1092-100〕
【0012】
DPP4阻害化合物もまた、肥満などの治療又は予防における効果が期待されるところであるが、これまで、DPP4阻害化合物の単独投与により、有意な抗肥満効果が得られたとする前臨床または臨床の報告は見られない。
【0013】
糖類については、以下のようなことが知られている。
種々の糖類により、GLP−1のレベルが上昇することが知られている。またいくつかの糖類については、その投与により体重増加が抑制されることが知られている。
【0014】
例えば、Shimaらの文献(Acta Endocrinologica、1990、123: 464-470)には、D−グルコース、D−ガラクトース、マルトース、シュクロース、マリチトールなどの糖類の投与により、血中のGLP−1レベルが上昇することが開示されている。
【0015】
Tokunagaらの文献(J. Nutri. Sci. Vitaminol.、1986、32:111-121)及び 特公昭62−60369には、フラクトオリゴ糖(fructooligosaccharide)をラットに投与することにより、体重増加の抑制が見られたことが開示されている。
【0016】
また、Caniらの文献には、オリゴフラクトース(Oligofructose)〔ラフチロース;glucosyl-(fructosyl)n-fructose及び (fructosyl)m-fructoseの混合物;平均重合4.5〕について、これをラット又はマウスに投与することにより、血中及び腸内のGLP−1濃度が増加すること、糖負荷時の血糖レベルが低下すること、高脂肪食負荷ラットにおいて体重減少効果が得られたこと等が開示されている。
(Caniら、British Journal of Nutrition、2004、92: 521-526;
Caniら、Obesity、2005、13: 1000-1007;
Caniら、Journal of Endocrinology、2005、185: 457-465;
Caniら、Diabetes、2006、55: 1484-1490; WO2005/36990)。
【0017】
また、特開平6−65080には、L−アラビノース、D−キシロース、等を含む肥満防止用保健食が開示されており、L−アラビノースの投与によりマウスの体重増加が抑制されたことが開示されている。
【0018】
また、特開平10−290681には、キシロオリゴ糖を有効成分とする抗肥満及び/又は体脂肪減少剤などが開示されている。
【0019】
しかし、抗肥満のために、DPP4阻害化合物とともに、糖類などの甘味料を用いることについては、知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特公昭62−60369
【特許文献2】特開平6−65080
【特許文献3】特開平10−290681
【特許文献4】WO2005/36990
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Augustynsら、Expert Opin. Ther. Patents、2003、13:499-510
【非特許文献2】Campbell、Ann. Pharmacother.、2007、41:51-60
【非特許文献3】Zanderら、Lancet、2002、359:824-830
【非特許文献4】Iltz JLら、Clin Ther.、2006、28(5):652-65
【非特許文献5】Mackら、Int. J. Obes.、2006、30(9):1332-40
【非特許文献6】DeFronzoら、Diabetes Care. 2005、28(5):1092-100
【非特許文献7】Shimaら、Acta Endocrinologica、1990、123: 464-470
【非特許文献8】Tokunagaら、J. Nutri. Sci. Vitaminol.、1986、32:111-121
【非特許文献9】Caniら、British Journal of Nutrition、2004、92: 521-526
【非特許文献10】Caniら、Obesity、2005、13: 1000-1007
【非特許文献11】Caniら、Journal of Endocrinology、2005、185: 457-465
【非特許文献12】Caniら、Diabetes、2006、55: 1484-1490
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、優れた抗肥満効果〔体重減少(減量)効果 及び/または 体脂肪減少効果〕を発揮する新規な治療もしくは予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用を提供する。
【0023】
また、本発明は、前記のような優れた効果とともに、糖尿病に対する治療又は予防効果(血糖降下作用等)を発揮する方法、医薬組成物、及びそれらの使用を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者らは、鋭意研究の結果、内在性のGLP−1の分泌を促進する作用を有する甘味料をDPP4阻害化合物とともに用いることにより、優れた抗肥満効果〔体重減少(減量)効果 及び/または 体脂肪減少効果〕が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0025】
すなわち、本発明は、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料とを組み合わせてなる医薬組成物である。
【0026】
本発明はまた、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物を含有してなり、GLP−1分泌促進作用を有する甘味料と併用されることを特徴とする医薬組成物である。
【0027】
また、本発明は、肥満の症状を有する患者に、(a)ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物及び(b)GLP−1分泌促進作用を有する甘味料を有効量投与することを特徴とする肥満の治療又は予防方法である。本発明の一実施形態としては、(a)の投与が(b)の投与と同時、又は(b)の投与前、又は(b)の投与後、のいずれかに行うことができる。
【0028】
さらに、本発明は、医薬の製造における、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料との配合物の使用を包含する。
【0029】
また、本発明は、有効成分として、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料を、肥満の治療又は予防のために、同時、別々または連続的に使用するための指示書と共に含む、商品包装物を包含する。
【発明の効果】
【0030】
本発明の医薬組成物、治療又は予防方法、又は使用によれば、肥満の症状を有する患者において優れた抗肥満効果(体重減少効果 及び/または 体脂肪減少効果)が得られる。
【0031】
また、本発明によれば、前記のような優れた効果とともに、糖尿病に対する治療又は予防効果(血糖降下作用等)を同時に得ることができる。従って、本発明の医薬組成物、治療又は予防方法、又は使用は、肥満の症状とともに糖尿病(特に2型糖尿病)の症状を有する患者のために、特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1には、DPP4欠損ラット(F344/DuCrlCrlj)にフラクトオリゴ糖を投与した場合の血漿中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した結果を示した。−▲−は、フラクトオリゴ糖6g/kg経口投与群、−●−は対照として精製水を投与した群(いずれもn=6)の各群における血漿中活性型GLP−1濃度(平均値±標準誤差(SEM))の経時変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図2】図2には、C57BL/6JマウスにDPP4阻害化合物(化合物A)及びフラクトオリゴ糖を投与した場合の血漿中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した結果を示した。−○−は、対照として精製水のみを投与した群、−●−はDPP4阻害化合物(化合物A)10mg/kgのみを経口投与した群、−△−はフラクトオリゴ糖6g/kgのみを経口投与した群、−▲−は、DPP4阻害化合物(化合物A)10mg/kg及びフラクトオリゴ糖6g/kgを経口投与した群(いずれもn=5)の各群における血漿中活性型GLP−1濃度(平均値±標準誤差(SEM))の経時変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図3】図3には、高脂肪食負荷したC57BL/6JマウスにDPP4阻害化合物(化合物A)及びフラクトオリゴ糖を混餌投与した場合における体重減少作用を試験した結果を示した。−○−は高脂肪食負荷していない正常マウスの群、−●−は対照として高脂肪食のみを負荷した群、−△−は高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A)10mg/100gのみを混餌投与した群、−▽−は高脂肪食負荷マウスにフラクトオリゴ糖10w/w%のみを経口投与した群、−▼−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A)10mg/100g及びフラクトオリゴ糖10w/w%の両者を混餌投与した群(いずれもn=9〜10)の各群における体重(平均値±標準誤差(SEM))の経日変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図4a】図4aには、C57BL/6Jマウスに、D−マンニトールおよびDPP4阻害化合物(化合物A’、SitagliptinまたはAlogliptin)を投与した場合の血漿中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した結果を示した。−○−は、D−マンニトール3g/kgのみを経口投与した群、−●−は、D−マンニトール3g/kg及びDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/kgを経口投与した群、−▲−は、D−マンニトール3g/kg及びDPP4阻害化合物(Sitagliptin)10mg/kgを経口投与した群、−▼−は、D−マンニトール3g/kg及びDPP4阻害化合物(Allogliptin)10mg/kgを経口投与した群(いずれもn=5)の各群における血漿中活性型GLP−1濃度(平均値±標準誤差(SEM))の経時変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図4b】図4bには、C57BL/6Jマウスに、メリビオースおよびDPP4阻害化合物(化合物A’、SitagliptinまたはAlogliptin)を投与した場合の血漿中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した結果を示した。−○−は、メリビオース6g/kgのみを経口投与した群、−●−は、メリビオース6g/kg及びDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/kgを経口投与した群、−▲−は、メリビオース6g/kg及びDPP4阻害化合物(Sitagliptin)10mg/kgを経口投与した群、−▼−は、メリビオース6g/kg及びDPP4阻害化合物(Allogliptin)10mg/kgを経口投与した群(いずれもn=5)の各群における血漿中活性型GLP−1濃度(平均値±標準誤差(SEM))の経時変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図4c】図4cには、C57BL/6Jマウスに、アセスルファムKおよびDPP4阻害化合物(化合物A’、Sitagliptin、Vildagliptin、Saxagliptinまたは化合物B)を投与した場合の血漿中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した結果を示した。−○−は、アセスルファムK 3g/kgのみを経口投与した群、−●−は、アセスルファムK 3g/kg及びDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/kgを経口投与した群、−■−は、アセスルファムK 3g/kg及びDPP4阻害化合物(Sitagliptin)10mg/kgを経口投与した群、−▼−は、アセスルファムK 3g/kg及びDPP4阻害化合物(Vildagliptin)10mg/kgを経口投与した群、−▽−は、アセスルファムK 3g/kg及びDPP4阻害化合物(Saxagliptin)10mg/kgを経口投与した群、−▲−は、アセスルファムK 3g/kg及びDPP4阻害化合物(化合物B)10mg/kgを経口投与した群、(いずれもn=5)の各群における血漿中活性型GLP−1濃度(平均値±標準誤差(SEM))の経時変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図5a】図5aには、高脂肪食負荷したC57BL/6JマウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)及びD−マンニトールを混餌投与した場合における体重減少作用を試験した結果を示した。−●−は、対照として高脂肪食のみを負荷した群、−○−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100gのみを混餌投与した群、−◇−は、高脂肪食負荷マウスにD−マンニトール5w/w%のみを経口投与した群、−◆−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100g及びD−マンニトール5w/w%の両者を混餌投与した群(いずれもn=9)の各群における体重(平均値±標準誤差(SEM))の経日変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図5b】図5bには、高脂肪食負荷したC57BL/6JマウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)及びメリビオースを混餌投与した場合における体重減少作用を試験した結果を示した。−●−は、対照として高脂肪食のみを負荷した群、−○−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100gのみを混餌投与した群、−△−は、高脂肪食負荷マウスにメリビオース5w/w%のみを経口投与した群、−▲−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100g及びメリビオースw/w5%の両者を混餌投与した群(いずれもn=9)の各群における体重(平均値±標準誤差(SEM))の経日変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【図5c】図5cには、高脂肪食負荷したC57BL/6JマウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)及びアセスルファムKを混餌投与した場合における体重減少作用を試験した結果を示した。−●−は、対照として高脂肪食のみを負荷した群、−○−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100gのみを混餌投与した群、−▽−は、高脂肪食負荷マウスにアセスルファムK5w/w%のみを経口投与した群、−▼−は、高脂肪食負荷マウスにDPP4阻害化合物(化合物A’)10mg/100g及びアセスルファムK5w/w%の両者を混餌投与した群(いずれもn=9)の各群における体重(平均値±標準誤差(SEM))の経日変化を表す。(*: p<0.05, **: p<0.01 対照群に対するダネット多重比較法に基づく有意差を表す。)
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明において、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物としては、通常、ジペプチジルペプチダーゼ4に直接作用してその酵素活性を阻害する能力を有する化合物が用いられる。該化合物は、ペプチド性または非ペプチド性のいずれであってもよいが、非ペプチド性のものが好ましい。阻害形式としては、例えば拮抗型、非拮抗型、不拮抗型、混合型の阻害が挙げられる。
【0034】
ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物は、広く知られており、例えば、以下の公報に種々の化合物が開示されている。本発明で用いるジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物としては、これらに開示された化合物を適宜使用することができるが、これらに限定されない。
【0035】
田辺製薬 WO2002/30891及びこれに対応する米国特許US6849622;
田辺製薬 WO2002/30890及びこれに対応する米国特許US7138397;
Ferring WO1995/15309、WO2001/40180、WO2001/81304、WO2001/81337、WO2003/00250、WO2003/35057;
Probiodrug AG WO1997/40832、EP1082314、WO1999/61431、WO2003/015775;
Novartis WO1998/19998、WO2000/34241、WO2001/96295、US6107317、US6110949、US6172081;
GSK WO2003/002531、WO2003/002530、WO2003/002553;
BMS WO2001/68603、WO2002/83128、WO2005/012249;
Merck WO2002/76450、WO2003/004498;
Syrrx WO2005/026148、WO2005/030751、WO2005/095381、WO2004/087053、WO2004/103993;
三菱ウェルファーマ WO2002/14271、US7060722、US7074794、WO2003/24942、特開2002-265439、特開2005-170792、WO2006/88129;
大正製薬 WO2004/020407;
山之内製薬 WO2004/009544;
協和発酵 WO2002/051836;
杏林製薬 WO2005/075421、WO2005/077900、WO2005/082847;
Alantos WO2006/116157;
Glenmark WO2006/090244、WO2005/075426;
三和化学研究所 WO2004/067509;
LG lifescience WO2005/037828、WO2006/104356。
【0036】
好適なジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物としては、例えば、米国特許US6,849,622に開示された一般式〔Ia〕:
【化1】


〔式中、Aは−CH−又は−S−を表し、
は水素原子、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル又は低級アルコキシ低級アルキルを表し、
は(1)置換されていてもよい環式基であって該環式基部分が(i)単環、二環もしくは三環式炭化水素基又は(ii)単環、二環もしくは三環式複素環基である環式基、又は(2)置換されていてもよいアミノ基を表す。〕
で示される化合物又はその薬理的に許容される塩が挙げられる。
【0037】
これらのうち、より具体的には、例えば、
(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(ジメチルアミノカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン;
(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(モルホリノカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン;及び
(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(4-アセチルピペラジン-1-イルカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン;など
並びにこれらの薬理的に許容される塩が挙げられる。
【0038】
また、好適なジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物として、米国特許US7,138,397に開示された一般式〔Ib〕:
【化2】


〔式中、
Aは−CH−を表し、
は、H、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、又は低級アルコキシ低級アルキルを表し、
は、置換されていてもよいピペラジニル基を表す。〕
で示される化合物又はその薬理的に許容される塩が挙げられる。
【0039】
これらのうち、より具体的には、例えば、
(2S)-2-シアノ-1-[t-4-(4-アセチル-1-ピペラジニル)-1-メチル-r-1-シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン;及び
(2S)-2-シアノ-1-[t-4-(4-プロピオニル-1-ピペラジニル)-1-メチル-r-1-シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン;など
並びにこれらの薬理的に許容される塩が挙げられる。
【0040】
また、好適なジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物として、米国特許US7,074,794に開示された一般式:
【化3】


〔式中、
Xは:−NR
(R、Rは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルを示すか、又は互いに結合して1〜2個の窒素原子又は酸素原子をそれぞれ含んでいてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、さらに、このヘテロサイクルに置換基を有していてもよい芳香環が縮合していてもよく、また、このヘテロサイクルはスピロ環でもよい。);
−NRCOR
(R、Rは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルを示す。);
−NRCONRまたは−NRCHCHNR
(R、R、Rは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルキル、アシル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルを示すか、又はR、Rは互いに結合して1〜2個の窒素原子又は酸素原子をそれぞれ含んでいてもよいヘテロサイクルを形成してもよく、さらに、このヘテロサイクルに置換基を有していてもよい芳香環が縮合していてもよい。);
−NRSO
(R、Rは、同一又は異なっていてもよく、それぞれ独立して水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルを示す。);又は
−OR10又は−OCOR11
(R10、R11は、それぞれ水素原子、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール又はヘテロアリールアルキルを示す。)
を示す。
Yは:CH、CH−OH、S、S=O又はSOを示す。
Zは:水素原子又はシアノを示す。
なお、上記基のうち、アルキル、アリール、アリールアルキル、アリールアルケニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル及びヘテロサイクルは、それぞれ置換基を有していてもよい。〕
で示されるL−プロリン誘導体又はその薬理的に許容される塩が挙げられる。
これらのうち、より具体的には、例えば、3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-5-ピラゾリル)-1-ピペラジニル]-2-ピロリジニルカルボニル}-1,3-チアゾリジン等、並びにそれらの薬理的に許容し得る塩が挙げられ、より好ましくは、WO2006/88129に開示された3-{(2S,4S)-4-[4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル]ピロリジン-2-イルカルボニル}チアゾリジン並びにそれらの薬理的に許容し得る塩が挙げられる。
【0041】
米国特許US6,849,622、米国特許US7,138,397、米国特許US7,074,794およびWO2006/88129は、レファレンスとして本願発明に包含される。
【0042】
上記又は以下において、低級アルキル基(またはアルキル基)、低級アルキルチオ基(またはアルキルチオ基)、低級アルキルスルホニル基(またはアルキルスルホニル基)、低級アルコキシ基(またはアルコキシ基)、低級アルキルアミノ基(またはアルキルアミノ基)としては、炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられ、とりわけ炭素数1〜4のものが挙げられる。また、低級アルカノイル基(またはアルカノイル基)、低級アルカノイルアミノ基(またはアルカノイルアミノ基)としては、炭素数2〜7、とりわけ炭素数2〜5の直鎖状または分岐鎖状のものが挙げられる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。
【0043】
上記又は以下において、薬理的に許容しうる塩としては、例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩の如き無機酸塩、又は、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩又はマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物がカルボキシル基等の置換基を有する場合には、塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
【0044】
他の好適なジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物として、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
【0045】
・Sitagliptin (開発コードMK-0431、販売名Januvia)又はその等価物、すなわち、
(3R)-3-アミノ-1-[9-(トリフルオロメチル)-1,4,7,8-テトラアザビシクロ[4.3.0]ノナ-6,8-ジエン-4-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン
〔英文名:(3R)-3-amino-1-[9-(trifluoromethyl)-1,4,7,8-tetrazabicyclo[4.3.0]nona-6,8-dien-4-yl]-4-(2,4,5-trifluorophenyl)butan-1-one〕
又はその薬理的に許容し得る塩(リン酸塩など)。
・Vildagliptin (開発コードLAF237、販売名Galvus)又はその等価物、すなわち、
(2S)-1-[2-[(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アミノ]アセチル]ピロリジン-2-カルボニトリル
〔英文名:(2S)-1-[2-[(3-hydroxy-1-adamantyl)amino]acetyl]pyrrolidine-2-carbonitrile〕
又はその薬理的に許容し得る塩。
・Saxagliptin (開発コードBMS-477118) 又はその等価物、すなわち、
(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-アミノ-2-(3-ヒドロキシ-1-アダマンチル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル
〔英文名:(1S,3S,5S)-2-[(2S)-2-amino-2-(3-hydroxy-1-adamantyl)acetyl]-2-azabicyclo[3.1.0]hexane-3-carbonitrile〕
又はその薬理的に許容し得る塩。
・Alogliptin (開発コードSYR-322)又はその等価物、すなわち、
6-[(3R)-3-アミノピペリジン-1-イル]-1-(2-シアノベンジル)-3-メチルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン
〔英文名:6-[(3R)-3-aminopiperidin-1-yl]-1-(2-cyanobenzyl)-3-methylpyrimidin-2,4(1H,3H)-dione〕
又はその薬理的に許容し得る塩(benzoateなど)。
・L−トレオ−イソロイシルピロリジド、L−アロ−イソロイシルチアゾリジド、L−アロ−イソロイシルピロリジドおよびそれらの薬理的に許容し得る塩。
【0046】
本発明においてDPP4阻害化合物と組み合わせて用いる甘味料は、GLP−1分泌促進作用を有する甘味料である。
本願明細書において「GLP−1分泌促進作用」とは、血中活性型GLP−1レベルを上昇させる作用を意味し、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳類の生体内に、経消化管にて(経口又は経腸的に)投与した場合に、投与しない場合と比べて、血中(血漿中等)の活性型GLP−1をより高いレベルまで上昇させる作用を意味する。
甘味料は、糖類及び非糖質系甘味料(合成甘味料等)のいずれであってもよい。
【0047】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料は、ヒト又は非ヒト哺乳類の生体内に、経消化管にて(経口又は経腸的に)投与した場合において、実質的に血糖値の上昇を生じさせないものであることが望ましい。グルコースは、その投与により顕著な血糖値の上昇が生じるため望ましくない。
【0048】
かかる観点から、GLP−1分泌促進作用を有する甘味料として、糖類を用いる場合は、非代謝性 及び/又は 難消化吸収性 の性質を有する糖類を用いることが望ましい。
【0049】
非代謝性 及び/又は 難消化吸収性の糖類としては、例えば、ヒト又は非ヒト哺乳類の生体が利用能を有しない単位糖で構成される糖類が含まれる。あるいは、ヒト又は非ヒト哺乳類の生体それ自身が有する消化酵素群〔小腸上皮粘膜層に存在する消化酵素群等(例えば、スクラーゼ、グルコアミラーゼ、イソマルターゼ、ラクターゼなどの二糖類水解酵素酵素など)〕によって分解されにくい構造を有する糖類(例えば、α−1,4結合及びβ−1,4結合以外の型の結合を含む糖類、小腸の二糖類水解酵素による分解を受けにくい単位糖を有する糖類など)が含まれる。
【0050】
合成甘味料等の非糖質系甘味料は、低カロリーのものが多く、通常、血糖値の上昇を生じさせない。
【0051】
GLP−1の分泌を促進する作用を有する甘味料(糖類)として、より具体的には、例えば、フラクトオリゴ糖(fructooligosaccaride)〔すなわち、1個のα-D-グルコピラノシルに2〜8個のフラクトフラノシルが連結した構造を含む糖(ケストース、ニストース、フラクトフラノシルニストース等)からなる混合物〕を好適に用いることができる。
【0052】
また、フラクトオリゴ糖の構成成分である、ケストース (kestose)〔glucose-1,2-fructose-1,2-fructose〕、ニストース (nistose)〔glucose-1,2-fructose-1,2-fructose-1,2-fructose〕、及びフラクトフラノシルニストース〔glucose-1,2-fructose-1,2-fructose-1,2-fructose-1,2-fructose〕等を、各々、混合物の形態ではなく単体として、実質的に純粋な形態のものを用いることができる。
これらは、いずれも非代謝性 及び/又は 難消化吸収性の性質を有する糖類である。
【0053】
あるいはまた、GLP−1の分泌を促進する作用を有する甘味料(糖類)として、キシロース(xylose)(特にそのD−体)を好適に用いることができる。
【0054】
本明細書において、オリゴ糖類とは、単糖の構成が複数個(通常2〜9個、好ましくは2〜6個)結合した構造を有する糖類又はそれらの混合物を意味する。
【0055】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料(糖類)としては、上記の他、以下のような糖類〔オリゴ糖類(二〜六糖類、オリゴ糖混合物など)及び糖アルコール類〕が挙げられる。
【0056】
・二糖類: 例えば、
メリビオース〔α-D-galactopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
イソマルトース〔α-D-glucopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
ゲンチオビオース(gentiobiose)〔β-D-グルコピラノシル-(1→6)-D-グルコース〕、
トレハロース(Trehalose)〔α-D-glucopyranosyl α-D-glucopyranoside〕、
イソトレハロース(Isotrehalose)〔β-D-glucopyranosyl β-D-glucopyranoside〕、
ネオトレハロース(Neotrehalose)〔β-D-glucopyranosyl α-D-glucopyranoside〕、
ニゲロース(Nigerose)〔α-D-glucopyranosyl-(1→3)-D-glucose〕、
マルツロース(Maltulose)〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-fructose〕、
イソマルツロース(Isomaltulose)〔α-D-glucopyranosyl-(1→6)-D-fructose 〕、
ラクチュロース(Lactulose)〔β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-fructose〕、
コウジビオース(Kojibiose)〔α-D-glucopyranosyl-(1→2)-D-glucose〕、
ソホロース(Sophorose)〔β-D-glucopyranosyl-(1→2)-D-glucose〕、
ラミナラビオース(Laminarabiose)〔β-D-glucopyranosyl-(1→3)-D-glucose〕、
セロビオース(Cellobiose)〔β-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、
セロビオン酸(Cellobionic acid)〔β-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-gluconic acid〕、
ガラクトスクロース(Galactosucrose)〔β-D-fructofuranosyl α-D-galactopyranoside;Fruf(β2-1α)Gal〕、
ラクトサミン (LacN)(Lactosamine)〔β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-glucosamine〕、
ラクトースジアミン (Lactosediamine)〔2-amino-2-deoxy-β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-glucosamine〕、
ラクトビオン酸(Lactobionic acid)〔β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-gluconic acid〕、
ネオラクトース(Neolactose)〔β-D-galactopyranosyl-(1→4)-D-altrose〕、
プリメベロース(Primeverose)〔β-D-xylopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
ルチノース(Rutinose)〔α-L-rhamnopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
シラビオース(Scillabiose)〔β-D-glucopyranosyl-(1→4)-L-rhamnose〕、
ツラノース(Turanose)〔α-D-glucopyranosyl-(1→3)-D-fructose〕、
ビシアノース(Vicianose)〔α-L-arabinopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
キシロビオース(キシロース2分子がβ−1,4結合した二糖類)など。
【0057】
・三糖類: 例えば、
ラフィノース(Raffinose) 〔galactose-1,6-glucose-1,2-fructose;
β-D-fructofuranosyl α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranoside〕、
セロトリオース(Cellotriose)
〔β-D-glucopyranosyl-(1→4)-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、
カコトリオース(Chacotriose)
〔α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-[α-L-rhamnopyranosyl-(1→4)]-D-glucose〕、
ゲンチアノース(Gentianose)
〔β-D-fructofuranosyl β-D-glucopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranoside〕、
イソマルトトリオース(Isomaltotriose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
イソパノース(Isopanose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-[α-D-glucopyranosyl-(1→6)]-D-glucose〕、
マルトトリオース(Maltotriose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、
マンニノトリオース(Manninotriose)
〔α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-galactopyranosyl-(1→6)-D-glucose〕、
メレジトース(Melezitose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→3)-β-D-fructofuranosyl α-D-glucopyranoside〕、
パノース(Panose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、
プランテオース(Planteose)
〔α-D-galactopyranosyl-(1→6)-β-D-fructofuranosyl α-D-glucopyranoside〕、
ソラトリオース(Solatriose)
〔α-L-rhamnopyranosyl-(1→2)-[β-D-glucopyranosyl-(1→3)]-D-galactose〕、
ウンベリフェロース(Umbelliferose)
〔β-D-fructofuranosyl α-D-galactopyranosyl-(1→2)-α-D-galactopyranoside〕など。
【0058】
・四糖類:
スタキオース(Stachyose)
〔β-D-fructofuranosyl α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranoside〕、
リコテトラオース(Lycotetraose)
〔β-D-glucopyranosyl-(1→2)-[β-D-xylopyranosyl-(1→3)]-β-D-glucopyranosyl-(1→4)-β-D-galactose〕、
マルトテトラオース(Maltotetraose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕など。
【0059】
・五糖類: 例えば、
マルトペンタオース(Maltopentaose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、
ベルバスコース(Verbascose)
〔β-D-fructofuranosyl α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-galactopyranosyl-(1→6)-α-D-glucopyranoside〕、など。
【0060】
・六糖類: 例えば、
マルトヘキサオース(Maltohexaose)
〔α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-α-D-glucopyranosyl-(1→4)-D-glucose〕、など。
【0061】
・オリゴ糖混合物: 例えば、
オリゴトース〔マルトース、マルトトリオース等の混合物〕、
マルトオリゴ糖、
イソマルトオリゴ糖、
グルコオリゴ糖、
ビートオリゴ糖(甜菜抽出物、ラフィノースを含有)、
ガラクトオリゴ糖、
ゲンチオオリゴ糖、
ニゲロオリゴ糖、
イヌロオリゴ糖、
乳果オリゴ糖(ラクトスクロースを主成分とする混合物)、
大豆オリゴ糖、
キシロオリゴ糖など。
【0062】
・糖アルコール類: 例えば、
トレイトール(特にそのD体)、
エリスリトール、
キシリトール、
アラビニトール(特にそのD体)、
リビトール、
ソルビトール(sorbitol) 〔別名:ソルビット (sorbit) またはグルシトール (glucitol)〕、
マンニトール(特にそのD体)、
アリトール、
ガラクチトール(Galactitol) 〔別名: ズルシトール(Dulcitol)〕、
イジトール(特にそのD体)、
タリトール(アルトリトール)(特にそのD体)、
ラクチトール(Lactitol)〔β-D-ガラクトピラノシル-(1→4)-D-グルシトール〕、
パラチニット(Palatinit)、
マルチトール(Maltitol)〔α-D-グルコピラノシル-(1→4)-D-グルシトール〕、など。
【0063】
GLP−1分泌促進作用を有するオリゴ糖類(非代謝性 及び/又は 難消化吸収性のもの)としては、例えば、以下の「単位糖群」から選択される同一もしくは異なる複数個(通常2〜9個、好ましくは2〜6個)の単位糖が結合した構造を有する糖類(但し、単位糖の全てがD−グルコピラノースである場合は除く。)又はそれらの混合物が挙げられる。かかる糖類において好ましくは、α−1,4グリコシド結合及びβ−1,4グリコシド結合以外の型の結合を含む糖類が挙げられる。
単位糖群:
D−グルコピラノース(グルコース);
D−フラクトフラノース(フラクトース);
キシロピラノース(キシロース);及び
D−ガラクトピラノース(ガラクトース)。
【0064】
GLP−1分泌促進作用を有する糖アルコール類(非代謝性 及び/又は 難消化吸収性のもの)としては、例えば、炭素数4〜6のアルドース〔D−グルコース、D−マンノース、D−エリトロース、D−ガラクトース、D−トレオース、L−トレオース、D−リボース、D−アラビノース、D−キシロース、D−アロース、D−イドース、D−タロース等が挙げられる。これらのうち、D−体が好ましい。〕の還元体である糖アルコール、または炭素数4〜6のアルドースを単位糖とする二〜三糖類の還元体である糖アルコールが挙げられる。
【0065】
GLP−1分泌促進作用を有する非糖質系の甘味料としては、
アセスルファムK〔Acesulfame K (Acesulfame potassium)〕、
スクラロース(Sucralose)、
アスパルテーム(フェニルアラニンのメチルエステルと、アスパラギン酸とがアミド結合した構造を有する合成甘味料)、
ステビア(ステビオシド、ステビア原葉の抽出・精製物)など
を用いることができる。
【0066】
本発明において用いるGLP−1分泌促進作用を有する甘味料としては、好ましいものとして以下の(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)が挙げられる。
(1)フラクトオリゴ糖、ケストース、ニストース または フラクトフラノシルニストース;
(2)キシロース(特にD−キシロース);
(3)メリビオース、ラフィノース、イソマルトース、キシロビオース、キシロオリゴ糖などのオリゴ糖類;
(4)マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトール、キシリトール などの糖アルコール類; 及び
(5)アセスルファムK、スクラロースなどの非糖質系甘味料。
また、これらのうち、より好ましいものとしては、メリビオース、マンニトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖類 及び アセスルファムKなどの非糖質系甘味料 等が挙げられる。
また、これらのうち、さらに好ましいものとしては、糖類としてメリビオースおよびマンニトールが挙げられ、非糖質系甘味料としてアセスルファムKが挙げられる。
【0067】
甘味料(糖類及び非糖質系甘味料)は、液状、粉末状のいずれの形態で用いることもできる。
【0068】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料は、例えば、後記の実験例1又は2に記載の方法により、そのGLP−1分泌促進作用を確認することができる。
DPP4阻害化合物の投与条件下において、各甘味料のGLP−1分泌促進作用を試験してもよいが、後記の実験例1に記載のように、DPP4欠損動物を用いることにより、より簡便にGLP−1分泌促進作用を確認することができる。
日本チャールスリバー社のF344ラット(F344/DuCrlCrlj)は、DPP4欠損であることが知られており、このような試験のために好適である。
【0069】
DPP4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料の併用の形態は、特に限定されない。
例えば、DPP4阻害化合物 及び GLP−1分泌促進作用を有する甘味料の両者を同一の製剤中に配合する配合剤の形態であってもよい。
あるいは、DPP4阻害化合物 及び GLP−1分泌促進作用を有する甘味料の各々を別々の製剤とし、それら製剤を同時に投与する形態であってもよい。
あるいはまた、DPP4阻害化合物 及び GLP−1分泌促進作用を有する甘味料を、別々の製剤とし、それら製剤を(この順、又は逆の順で)順次、又は連続的に投与する形態であってもよい。
【0070】
本発明において、DPP4阻害化合物 及び GLP−1分泌促進作用を有する甘味料は、各々、投与方法に応じた不活性な担体とともに用い、慣用の医薬製剤として製剤化して用いることができる。かかる担体としては、例えば、一般的な医薬において許容される結合剤(アラビアゴム、ゼラチン、ソルビット、ポリビニルピロリドン等)、賦形剤(乳糖、砂糖、コーンスターチ等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール等)、崩壊剤(バレイショデンプン等)などが挙げられる。注射剤や点滴剤とする場合は、注射用蒸留水、生理的食塩水、ブドウ糖水溶液などを用いて製剤化することができる。
【0071】
製剤の剤形は、特に限定されず、例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、溶液、懸濁液、乳液、注射剤、点滴剤等の慣用の剤形を適用できる。
また、ドライシロップ、シロップ、チュアブル錠、発泡錠などとして製剤化しても良い。これら剤形のうち、顆粒剤、散剤、ドライシロップ、シロップ、チュアブル錠、発泡錠が好ましい。
【0072】
本発明の治療又は予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用は、肥満の治療又は予防のために適用することができる。本発明の治療又は予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用は、また、体重減少又は体脂肪減少のために適用することができる。本発明の治療又は予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用は、さらに、肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のために適用することができる。本発明の治療又は予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用は、また、2型糖尿病及び肥満の症状を併発している患者に適用することができる。本発明の治療又は予防方法、医薬組成物、及びそれらの使用は、また、2型糖尿病及び肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のために適用することができる。
【0073】
本発明の医薬組成物は、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物及びGLP−1分泌促進作用を有する甘味料のほかに、少なくとも1種類の医薬的に許容される担体または賦形剤を含んでいてもよい。また、本発明の医薬組成物は、同時、別々、順次または連続的に使用するための組合せ製剤とすることができる。
【0074】
本発明の医薬組成物 及び 治療又は予防方法を、医薬用途に適用する場合の投与方法は、特に限定されず、一般的な経口もしくは非経口的な方法(静脈内、筋肉内、皮下、経皮、経鼻、その他経粘膜、経腸など)を適用することができる。
【0075】
DPP4阻害化合物の投与量は、有効成分とする化合物のポテンシーや特性に応じ、薬効を発現するのに十分な有効量の範囲で、適宜設定すればよい。
DPP4阻害化合物の投与量は、投与方法、投与対象(患者等)の年令、体重、状態によっても異なるが、一般的な投与量に設定され、例えば1日当たり、通常、0.001〜300mg/kg体重の範囲で適切な量に設定される。
DPP4阻害化合物の投与量は、投与を受ける生体内におけるジペプチジルペプチダーゼ4の酵素活性を通常、投与後24時間にて30%以上、好ましくは、60%以上、より好ましくは90%以上阻害するために必要な量を設定すればよい。
【0076】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料の投与量は、用いる糖のポテンシーや特性に応じ、DPP4阻害化合物と組み合わせた場合に薬効を発現するのに十分な有効量の範囲で、適宜設定すればよい。
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料の投与量は、投与方法、投与対象(患者等)の年令、体重、状態によっても異なるが、例えば1日当たり、通常、0.001〜5.0g/kg体重の範囲で適切な量に設定される。
【0077】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料(特に、非代謝性及び/又は難消化吸収性の糖類)は、大量に投与した場合、下痢などの消化管症状を呈しやすい。
【0078】
従って、甘味料の投与量は、できるだけ少量とし、DPP4阻害化合物との組み合わせにより薬効を発現するのに必要な量のみを投与することが望ましい。
非代謝性及び/又は難消化吸収性の糖類は、消化管症状の回避の観点からは、通常、3g/kg体重以下、好ましくは1g/kg体重以下、より好ましくは、0.3g/kg体重以下の範囲で設定される。
また、一方、薬効発現のための必要性の観点から、甘味料(例えばマンニトール、ソルビトールなど)は、好ましくは0.01g/kg体重以上、より好ましくは、0.03g/kg体重以上の範囲で設定される。
なお、マンニトール、ソルビトールなどの糖類は、不活性担体として製剤化に用いられる場合があるが、そのように糖類を不活性担体として、DPP4阻害化合物とともに用いることは、本件発明には包含されない。
【0079】
本発明において、DPP4としては、ヒト又は非ヒト哺乳類のDPP4が挙げられる。
本発明において、医薬、医薬組成物、並びに治療又は予防方法の適用対象としては、ヒト又は非ヒト哺乳類(とりわけ好適にはヒト)が挙げられる。
【0080】
抗肥満作用(体重減少作用 及び/又は 脂肪減少作用)は、既知の動物モデルを用いたインビボ試験により確認できる。
かかる試験方法としては例えば、高脂肪食負荷により作製したDIO(diet-induced obesity)マウス、正常ラット(SDラット)、高脂肪食負荷により作製したDIO(diet-induced obesity)ラット等を用いる方法(Int. J. Obes.、2006、30:1332-1340、Obesity Res.、2005、13、1000-1007 等)が挙げられ、もしくはそれらと同等の方法が挙げられる。
より詳細には、例えば、後記実施例3に記載の方法と同様にして試験を実施できる。
【実施例】
【0081】
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0082】
実施例1 DPP4欠損ラット(F344DucrlCrlj)における甘味料のGLP−1分泌促進作用(血中活性型GLP−1レベル上昇作用):
(1)試験方法:
試験動物には、雄性 F344DucrlCrlj ラット(日本チャールスリバー)(使用時7〜10週齢)を用いた。F344DucrlCrlj ラットは、自然発生的にDPP4遺伝子欠損を有する系統のラットであることが知られている(Watanabeら、Experientia、1987、43: 400-401)。
【0083】
これら試験動物は、前夜より絶食後、体重を指標にグループ分けをして用いた。これら動物に被験甘味料の溶液(又は対照として精製水)を経口投与(10mL/kg)し、0、30、60、180、360分後に尾部先端より血液サンプルを採取した。これらサンプルについて、血漿中活性型GLP-1濃度を測定した。
【0084】
血漿中活性型GLP-1濃度の測定は、以下のように行なった。採取した血液を遠心処理(4℃、3000 rpm、10分間)して血漿を採取した。血漿中GLP-1濃度は、Bio-Plex suspension Array System (Rat Endocrine LINCOplex kit; LINCO Research社製)、またはGlucagon-Like Peptide-1(Active) ELISA KIT(商品名)(LINCO Research社製、活性型GLP-1測定キット)を用いて測定した。
【0085】
測定結果については、甘味料負荷群とコントロール群との比較をダネット型多重比較(両側検定)で実施し、群間の有意差を検定した。なお、有意水準は5%とし、解析には統計解析ソフトウェア(生物実験データ統計解析システム:EXSAS、株式会社アームシステックス)を用いた。
【0086】
(2) 試験結果:
甘味料を投与した場合と対照とについて、前記(1)の方法にて血中活性型GLP-1レベル上昇作用を試験した。
被験甘味料としてフラクトオリゴ糖(明治製菓(株)製)を用い、6g/kg/10mLを経口投与した。対照としては精製水を投与した。その結果、フラクトオリゴ糖6g/kgを投与した群では、投与後30、60、180、360分後のいずれにおいても対照群と比べて血漿中活性型GLP-1のレベルは有意に高い値を示した。
結果を、図1に示した。
【0087】
また、被験甘味料として、キシロース 及び キシリトールを用い、これら各3〜6 g/kg/10mLを経口投与して同様に試験した。その結果、これら糖類を投与した群では、対照群と比べて血漿中活性型GLP-1のレベルは著しく高い値を示した。
【0088】
実施例2 DPP4阻害化合物と甘味料との併用によるGLP−1分泌促進作用(血中活性型GLP−1レベル上昇作用)(1):
(1)試験方法:
試験には、雄性SD(CD)/Crj ラット(日本チャールスリバー)(使用時6週齡) 又は雄性C57BL/6J マウス(日本クレア)(使用時9週齡)を用いた。
【0089】
これら試験動物は、あらかじめ体重を指標にグループ分けをして用いた。これら動物に被験DPP4阻害化合物(又は対照として精製水)を、経口投与(10mL/kg)した。その投与30分後に被験甘味料の溶液(又は対照として精製水)を経口投与(10mL/kg)し、0、30、60、180、300分後に血液サンプルを採取した。これらサンプルについて、血漿中活性型GLP−1濃度を測定した。
【0090】
血漿中活性型GLP−1濃度の測定は、前記実施例1の(1)と同様に行なった。
測定結果については、甘味料負荷群とコントロール群との比較をダネット型多重比較(両側検定)で実施し、群間の有意差を検定した。なお、有意水準は5%とし、解析には統計解析ソフトウェア(生物実験データ統計解析システム:EXSAS、株式会社アームシステックス)を用いた。
【0091】
(2) 試験結果:
DPP4阻害化合物及び甘味料を併用した場合と、各々単独で投与した場合について、前記(1)の方法にて、血中活性型GLP−1レベル上昇作用を試験した。
試験動物として、C57BL/6J マウスを用いた。
DPP4阻害化合物として、(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(ジメチルアミノカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン 塩酸塩 (以下、化合物Aと称する。)10mg/kgを経口投与(10mL/kg)した。対照としては精製水を経口投与(10mL/kg)した。
また甘味料として、フラクトオリゴ糖(明治製菓(株)製)6g/kgを経口投与(10mL/kg)した。対照としては精製水を経口投与(10mL/kg)した。
【0092】
その結果、化合物A(10mg/kg)及びフラクトオリゴ糖(6g/kg)の両者を投与した群では、投与後30、60、180、300分後のいずれにおいても対照群と比べて血漿中活性型GLP-1は有意に高い値を示し、活性型GLP-1レベルが持続的に高いレベルで維持されることがわかった。一方、化合物A(10mg/kg)のみ又はフラクトオリゴ糖(6g/kg)のみを投与した群では、血漿中活性型GLP-1のレベルの上昇は認められなかった。結果を、図2に示した。
【0093】
また、被験甘味料として、キシロースを用い、キシロース6g/kgを化合物A(10mg/kg)とともに経口投与して同様に試験した。その結果、キシロースを化合物Aとともに投与した群では、対照群と比べて血漿中活性型GLP-1のレベルの著しい上昇が見られた。
【0094】
実施例3 DPP4阻害化合物と甘味料との併用による体重減少作用(1):
(1)試験方法
〔DIO(diet-induced obesity)マウスを用いた体重減少作用試験〕:
試験には、高脂肪食負荷した雄性C57BL/6Jマウス(DIOマウス)を用いた。
高脂肪食の負荷は、3週齡の雄性C57BL/6Jマウス(日本クレア)に、飼料として、脂肪含量37.2 w/w%、5.578kcal/gの高脂肪食(オリエンタル酵母社製)を自由摂取させて実施した。正常食対照マウスには、CRF-1(脂肪含量5.7 w/w%、3.59kcal/g、オリエンタル酵母社製)を自由摂取させた。
このように高脂肪食負荷して39週齡まで飼育したマウスを試験に供した。
【0095】
試験動物は、あらかじめ体重および血糖値を指標に、群分けを行った。
これら動物に被験DPP4阻害化合物 及び被験甘味料を、経口投与 又は 混餌投与した。
【0096】
経口投与の場合は、被験物質〔被験DPP4阻害化合物(又は対照として精製水)及び被験甘味料の溶液(又は対照として精製水)〕10mL/kgを1日2回経口投与し、最長2週間反復投与した。
混餌投与の場合、被験物質(被験DPP4阻害化合物及び被験甘味料)は、めのう乳鉢を用いて細粉化して飼料(高脂肪食、オリエンタル酵母社製)に添加し、最長2週間混餌投与した。
【0097】
被験物質の投与開始後、経時的に体重及び摂餌量を測定した。
さらに、体重減少作用が認められた場合、ペントバルビタール麻酔下(70mg/kg, i.p.)にて、実験マウス専用エックス線体脂肪率測定装置(PIXImus2, GE Medical System社)を用いて、体組成を測定した。
【0098】
測定結果については、甘味料負荷群とコントロール群との比較をダネット型多重比較(両側検定)で実施し、群間の有意差を検定した。なお、有意水準は5%とし、解析には統計解析ソフトウェア(生物実験データ統計解析システム:EXSAS、株式会社アームシステックス)を用いた。
【0099】
(2) 試験結果:
DPP4阻害化合物及び甘味料を併用した場合と、各々単独で投与した場合について、前記(1)の方法にて、体重減少作用を試験した。
DPP4阻害化合物として、(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(ジメチルアミノカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン 塩酸塩 (以下、化合物Aと称する。)10mg/100gを混餌投与した。
また甘味料として、フラクトオリゴ糖(明治製菓(株)製)10 w/w%を混餌投与した。
【0100】
その結果、化合物A(10mg/100g)及びフラクトオリゴ糖(10 w/w%)の両者を投与した群では、投与後2日〜14日後のいずれにおいても対照群と比べて体重が有意に低下し、体重減少作用が認められた。一方、化合物A(10mg/100g)のみでは対照群と比べて体重は変わらなかった。また、フラクトオリゴ糖(10 w/w%)のみを投与した群では、やや体重が低下する傾向は見られたが対照群と比べて有意な差はなかった。結果を、図3に示した。
【0101】
また、投与15日後に体組成を測定した結果、化合物A(10mg/100g)及びフラクトオリゴ糖(10 w/w%)の両者を投与した群では、除脂肪重量(lean mass)(g)は、対照群と比べて変化がなく、脂肪重量(fat mass)(g)のみ対照群と比べて有意に減少していた。このことから、化合物A及びフラクトオリゴ糖の両者の投与により、体脂肪減少作用が得られたと考えられた。
【0102】
実施例4 DPP4阻害化合物と甘味料との併用によるGLP-1分泌促進作用(血中活性型GLP-1レベル上昇作用)(2):
(1)試験方法:
試験には、雄性C57BL/6J マウス(日本クレア)(使用時7週齡)を用いた。
試験動物は、前夜より絶食後、体重を指標にグループ分けをして用いた。これら動物に被験DPP4阻害化合物(又は対照として精製水)を、経口投与(10mL/kg)した。その投与30分後に被験甘味料の溶液(又は対照として精製水)を経口投与(10mL/kg)し、0、30、60、180、300分後に血液サンプルを採取した。これらサンプルについて、血漿中活性型GLP-1濃度を測定した。
血漿中活性型GLP-1濃度の測定および測定結果の分析・検定は、前記実施例1の(1)と同様に行なった。
【0103】
(2) 試験結果:
甘味料として、フラクトオリゴ糖(明治製菓(株)製)、ケストース(明治製菓(株)製、GF2)、ラフィノース(和光純薬(株)製)、メリビオース(和光純薬(株)製)、キシロオリゴ糖(サントリー(株)製)、キシロース(和光純薬(株)製)、キシリトール(和光純薬(株)製)、ソルビトール(和光純薬(株)製)、D-マンニトール(和光純薬(株)製)、エリスリトール(和光純薬(株)製)、マルチトール((株)林原生物化学研究所製)、スクラロース(三栄源FFI(株)製)またはアセスルファムK(和光純薬(株)製)を用い、6g/kg、3g/kgまたは1g/kgを経口投与(10mL/kg)した。
また、DPP4阻害化合物として、(2S)-2-シアノ-1-[トランス-4-(ジメチルアミノカルボニル)シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン ベンゼンスルホン酸塩 (以下、化合物A’と称する。)10mg/kg(対照としては精製水)を用い、これを経口投与(10mL/kg)した。
【0104】
これら種々の甘味料とDPP4阻害化合物を併用した場合について、前記(1)の方法にて、血中活性型GLP-1レベル上昇作用を試験した(各群n=4〜5)。
【0105】
結果を表1に示した。各種甘味料(6g/kg、3g/kgまたは1g/kg)と化合物A’(10mg/kg)の両者を投与した群における血中活性型GLP-1濃度(投与後1時間)は、フラクトオリゴ糖(6g/kg)と化合物A’を投与した群における血中活性型GLP-1濃度(投与後1時間)に対する相対値で表した。
【0106】
表1の各種甘味料(6g/kg、3g/kgまたは1g/kg)と化合物A’を投与した各群において、活性型GLP-1レベルの上昇が認められ、その上昇は、フラクトオリゴ糖(6g/kg)と化合物A’(10mg/kg)を投与した群におけるものと同程度かより大きい上昇が得られた。
【0107】
【表1】

【0108】
実施例5 DPP4阻害化合物と甘味料との併用によるGLP-1分泌促進作用(血中活性型GLP-1レベル上昇作用)(3):
(1)試験方法:
前記実施例4の(1)と同様にして試験を行った。
血漿中活性型GLP-1濃度の測定および測定結果の分析・検定は、前記実施例1の(1)と同様に行なった。
【0109】
(2) 試験結果:
DPP4阻害化合物として、Sitagliptin (MK-0413) 10mg/kg、Alogliptin (SYR-322) 1 mg/kg、Vildagliptin (LAF237) 10mg/kg、Saxagliptin (BMS-477118) 3mg/kg、化合物A’ 10mg/kg、または化合物B〔(2S)-2-シアノ-1-[t-4-(4-プロピオニル-1-ピペラジニル)-1-メチル-r-1-シクロヘキシルアミノ]アセチルピロリジン〕10mg/kgを用い、これらを経口投与(10mL/kg)した。対照としては精製水を経口投与(10mL/kg)した。
【0110】
また甘味料として、D-マンニトール(和光純薬(株)製)3g/kg、メリビオース(和光純薬(株)製)6g/kg、またはアセスルファムK(和光純薬(株)製)3g/kgを用い、これらを経口投与(10mL/kg)した。対照としては精製水を経口投与(10mL/kg)した。
【0111】
これら種々のDPP4阻害化合物及び種々の甘味料を併用した場合について、前記(1)の方法にて、血中活性型GLP-1レベル上昇作用を試験した(各群n=5)。
【0112】
結果を、図4a、図4b、図4cおよび表2に示した。
図4a、図4b、図4cに示された通り、各種甘味料と種々のDPP4阻害化合物を投与した群における血漿中活性型GLP-1のレベルは、投与後30、60、180、360分後のいずれにおいても対照群(各種甘味料のみを投与した群)と比べて高い値を示した。
【0113】
また、表2に示された通り、各種甘味料とDPP4阻害化合物を投与した群における血漿中活性型GLP-1レベルの上昇(AUC増加量)は、対照群(各種甘味料のみ または DPP4阻害化合物のみを投与した群)と比べて有意に高い値を示した。
【0114】
【表2】

【0115】
実施例6 DPP4阻害化合物と甘味料との併用による体重減少作用(2):
(1)試験方法
〔DIO(diet-induced obesity)マウスを用いた体重減少作用試験〕:
前記実施例3の(1)と同様にして試験を行った。試験には、高脂肪食負荷して14〜22週齡まで飼育した雄性 C57BL/6Jマウスを用いた。
【0116】
試験動物は、あらかじめ体重および血糖値を指標に、群分けを行った。
これら動物に被験DPP4阻害化合物及び被験甘味料を、最長15日間、混餌投与した。
【0117】
被験物質の投与開始後、経時的に体重及び摂餌量を測定した。測定結果の検定および解析を、前記実施例3の(1)と同様にして行った。
また、体重減少作用が認められた場合、前記実施例3の(1)と同様にして、体組成を測定した。
【0118】
(2) 試験結果:
甘味料として、D-マンニトール(和光純薬(株)製)、メリビオース(和光純薬(株)製)またはアセスルファムK(和光純薬(株)製)を用い、各々5w/w%を混餌投与した。また、DPP4阻害化合物としては、化合物A’を10mg/100g混餌投与した。
これら種々の甘味料とDPP4阻害化合物を併用した場合について、前記(1)の方法にて、体重減少作用を試験した(各群n=9)。
【0119】
結果を、図5a、図5b、図5c、表3−a、表3−b、及び表3−cに示した。
図5a、図5bおよび図5cに示された通り、各種甘味料(D-マンニトール、メリビオース または アセスルファムK)とDPP4阻害化合物の両者を投与した群では、投与後2日から13日後(又は12日後)のいずれにおいても対照群と比べて体重が有意に低下し、体重減少作用が認められた。
【0120】
一方、化合物A’のみでは、対照群と比べて体重は変わらなかった。
また、各種甘味料(D-マンニトール、メリビオース または アセスルファムK)のみを投与した群では、対照群と比べて有意な差はなかった。
【0121】
投与後13日後(又は12日後)のデータは、表3(a)、表3(b)、及び表3(c)に示した通りである。
【0122】
これらの結果から、各種甘味料(D-マンニトール、メリビオース または アセスルファムK)とDPP4阻害化合物により、体重減少の相乗的な効果が得られると考えられた。
【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
また、甘味料としてD-マンニトールおよびアセスルファムKを用いた群において、投与15日後に体組成を測定した結果、化合物A’とD-マンニトール又はアセスルファムKの両者を投与した群では、除脂肪重量(lean mass) (g) は、対照群と比べて変化がなく、脂肪重量(fat mass)(g)のみ対照群と比べて有意に減少していた。
【0127】
実施例7 DPP4阻害化合物と甘味料との併用による体重減少作用(3):
(1)試験方法
〔DIO(diet-induced obesity)マウスを用いた体重減少作用試験〕:
前記実施例3の(1)と同様にして試験を行った。試験には、高脂肪食負荷して16週齡まで飼育した雄性 C57BL/6Jマウスを用いた。
試験動物は、あらかじめ体重を指標に、群分けを行った。
これら動物に被験DPP4阻害化合物及び被験甘味料を、最長15日後まで、混餌投与した。被験物質の投与開始後、経時的に体重及び摂餌量を測定した。
【0128】
(2) 試験結果:
甘味料として、ソルビトール(和光純薬(株)製)またはエリスリトール(和光純薬(株)製)を用い、各々5w/w%を混餌投与した。また、DPP4阻害化合物としては、化合物A’を10mg/100g 混餌投与した。これら種々の甘味料とDPP4阻害化合物を併用した場合について、前記(1)の方法にて、体重減少作用を試験した(各群n=7)。
【0129】
結果を、表4に示した。
表4に示された通り、各種甘味料(ソルビトール または エリスリトール)とDPP4阻害化合物の両者を投与した群では、対照群と比べて体重の低下が認められた。
なお、別途行った試験で、各種甘味料(ソルビトール または エリスリトール)のみを投与した場合に、対照群と比べて体重の低下は認められなかった。
【0130】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0131】
本発明の医薬組成物、治療又は予防方法、又は使用は、肥満の症状を有する患者における体重減少 及び/または 体脂肪減少のために有用であり、肥満の治療又は予防において有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料とを組み合わせてなる医薬組成物。
【請求項2】
ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物を含有してなり、GLP−1分泌促進作用を有する甘味料と併用されることを特徴とする医薬組成物。
【請求項3】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、非代謝性及び/又は難消化吸収性の糖類である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項4】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、非糖質系甘味料である請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項5】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、以下の(1)、(2)、(3)、(4)及び(5)から選択される甘味料である、請求項1又は2記載の医薬組成物:
(1)フラクトオリゴ糖、ニストース、ケストース 及び フラクトフラノシルニストースから選択される糖類;
(2)キシロース;
(3)メリビオース、ラフィノース、イソマルトース、キシロビオースおよびキシロオリゴ糖から選択されるオリゴ糖類;
(4)マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールおよびキシリトールから選択される糖アルコール類;並びに
(5)アセスルファムK 及び スクラロースから選択される非糖質系甘味料。
【請求項6】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、フラクトオリゴ糖、ニストース、ケストース 及び フラクトフラノシルニストースから選択される糖類である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項7】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、メリビオース、ラフィノース、イソマルトース、キシロビオースおよびキシロオリゴ糖から選択されるオリゴ糖類である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項8】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール、マルチトールおよびキシリトールから選択される糖アルコール類である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項9】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、アセスルファムK 及び スクラロースから選択される非糖質系甘味料である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項10】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、メリビオース、マンニトール、ソルビトール、エリスリトール 及び アセスルファムK から選択される甘味料である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項11】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、メリビオース、マンニトール 及び アセスルファムK から選択される甘味料である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項12】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、メリビオース 又は マンニトール である、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項13】
GLP−1分泌促進作用を有する甘味料が、アセスルファムKである、請求項1又は2記載の医薬組成物。
【請求項14】
肥満の治療又は予防のために使用されるものである請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項15】
体重減少又は体脂肪減少のために使用されるものである請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項16】
肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のために使用されるものである請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項17】
2型糖尿病および肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のために使用されるものである請求項1〜13のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項18】
ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料のほかに、少なくとも1種類の医薬的に許容される担体または賦形剤を含んで成る、請求項1〜17のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項19】
同時、別々、順次または連続的に使用するための組合せ製剤である、請求項1〜18のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項20】
肥満の症状を有する患者に、(a)ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物及び(b)GLP−1分泌促進作用を有する甘味料を有効量投与することを特徴とする肥満の治療又は予防方法。
【請求項21】
当該患者の体重減少又は体脂肪減少のための請求項20又は21記載の治療又は予防方法。
【請求項22】
肥満の症状を有する患者が、2型糖尿病を併発している患者である、請求項20又は21記載の治療又は予防方法。
【請求項23】
(a)の投与が(b)の投与と同時、又は(b)の投与前、又は(b)の投与後、のいずれかに行われるものである、請求項20〜22のいずれか1項記載の治療又は予防方法。
【請求項24】
医薬の製造における、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料との配合物の使用。
【請求項25】
当該医薬が肥満の治療又は予防のための医薬である、請求項24記載の使用。
【請求項26】
当該医薬が体重減少又は体脂肪減少のための医薬である、請求項24記載の使用。
【請求項27】
当該医薬が肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のための医薬である、請求項24記載の使用。
【請求項28】
当該医薬が2型糖尿病および肥満の症状を有する患者における体重減少又は体脂肪減少のための医薬である、請求項24記載の使用。
【請求項29】
有効成分として、ジペプチジルペプチダーゼ4阻害化合物とGLP−1分泌促進作用を有する甘味料を、肥満の治療又は予防のために、同時、別々または連続的に使用するための指示書と共に含む、商品包装物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公開番号】特開2012−236849(P2012−236849A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174860(P2012−174860)
【出願日】平成24年8月7日(2012.8.7)
【分割の表示】特願2009−507560(P2009−507560)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000002956)田辺三菱製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】