説明

ジペプチド類

【課題】 抗微生物性作用を有する薬剤の温血動物における許容性が改善されたジペプチド類を提供すること。
【解決手段】 本発明は、純粋なシクロペンタン−β−アミノ酸類と比較して向上した温血動物における許容性を有する、α−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体、ならびにシクロペンタン−β−アミノ酸及び/又はそれらの誘導体の混合物、上記のα−アミノ酸類とシクロペンタン−β−アミノ酸のジペプチド類、ならびに上記の混合物とジペプチド類の混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬学的に活性なβ―アミノ酸類の許容性が改善されたジペプチド類に関する。
【背景技術】
【0002】
シクロペンタン−及び−ペンテン−β−アミノ酸類は刊行物、特許文献1、特許文献2、特許文献3、非特許文献1から既知である。そのようなβ−アミノ酸化合物は抗微生物性、特に抗真菌性作用を有する。しかしこれらは副作用がなくはない。
【特許文献1】欧州特許出願公開第571870号明細書
【特許文献2】西独国特許出願公開第4302155号明細書
【特許文献3】特開平2−174753号公報
【非特許文献1】J.Antibiot.(1991),44(5),546−9
【発明の開示】
【0003】
驚くべきことに、今回、α−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体、ならびにシクロペンタン−β−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体の混合物、上記のα−アミノ酸類及び上記のシクロペンタン−β−アミノ酸類からのジペプチド類、ならびに上記の混合物と上記のジペプチド類の混合物がこれらの望ましくない副作用を持たない、あるいは低い程度にしか副作用を持たず、かくして温血動物における許容性(tolerability)の改善が達成されることが見いだされた。
【0004】
従って、本発明は、1種又はそれ以上のα−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体、ならびに1種又はそれ以上のシクロペンタン−β−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体を含む混合物に関する。「誘導体」という用語は、対応するアミノ酸類から誘導され、匹敵する作用を有する化合物、特に塩類を含む。
【0005】
本発明の混合物のための好ましいα−アミノ酸類は、一般式(Ia)
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、
は炭素数が3〜8のシクロアルキルを示すか、又は炭素数が6〜10のアリール又は水素を示すか、又は炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
ここでアルキルは場合によりシアノ、メチルチオ、ヒドロキシル、メルカプト、グアニジルにより又は式−NRもしくはR−OC−の基により置換されていることができ、
ここで
及びRは互いに独立して水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
はヒドロキシル、ベンジルオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は上記の基−NRを示すか、
あるいはアルキルは場合により炭素数が3〜8のシクロアルキルにより、又はそれ自身がヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、炭素数が最高8のアルコキシもしくは基−NRにより置換されていることができる炭素数が6〜10のアリールにより置換されていることができ、
ここで
及びRは上記の意味を有し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
とRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシル、炭素数が6〜10のアリールオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は基−NRを示し、
ここで
及びRは上記の意味を有する]
のα−アミノ酸類が好ましい。
【0008】
特に好ましく適しているα−アミノ酸類は、一般式(Ia)
【0009】
【化2】

【0010】
[式中、
は場合によりヒドロキシル又は、それ自身がヒドロキシルにより置換されていることができるフェニルにより置換されていることができる炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
及びRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシルを示す]
のα−アミノ酸類である。
【0011】
特別に好ましく適しているα−アミノ酸類は、一般式(Ia)
【0012】
【化3】

【0013】
[式中、
はメチルを示すか、又は式−CH(CH)CHCHの基を示し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
及びRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシルを示す]
のα−アミノ酸類である。
【0014】
挙げることができるそのようなα−アミノ酸類の例は:(S)−イソロイシン、(S)−アラニン及び(S)−プロリンである。
【0015】
本発明の混合物に適したシクロペンタン−β−アミノ酸類は、一般式(Ib)
【0016】
【化4】

【0017】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yは水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はアリールを示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類が好ましい。
【0018】
特に好ましく適しているシクロペンタン−β−アミノ酸類は、一般式(Ib)
【0019】
【化5】

【0020】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yは水素を示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類である。
【0021】
特別に好ましく適しているシクロペンタン−β−アミノ酸類は、一般式(Ib)
【0022】
【化6】

【0023】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示し、
Yは水素を示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類である。
【0024】
挙げることができるそのようなシクロペンタン−β−アミノ酸類の例は:2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸及び1,2−シス−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸である。
【0025】
本発明の好ましい混合物は、一般式(Ia)
【0026】
【化7】

【0027】
[式中、
は炭素数が3〜8のシクロアルキルを示すか、又は炭素数が6〜10のアリール又は水素を示すか、又は炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
ここでアルキルは場合によりシアノ、メチルチオ、ヒドロキシル、メルカプト、グアニジルにより又は式−NRもしくはR−OC−の基により置換されていることができ、
ここで
及びRは互いに独立して水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
はヒドロキシル、ベンジルオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は上記の基−NRを示すか、
あるいはアルキルは場合により炭素数が3〜8のシクロアルキルにより、又はそれ自身がヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、炭素数が最高8のアルコキシもしくは基−NRにより置換されていることができる炭素数が6〜10のアリールにより置換されていることができ、
ここで
及びRは上記の意味を有し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
とRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシル、炭素数が6〜10のアリールオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は基−NRを示し、
ここで
及びRは上記の意味を有する]
のα−アミノ酸類、ならびに一般式(Ib)
【0028】
【化8】

【0029】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yは水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はアリールを示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含む。
【0030】
本発明の特に好ましい混合物は、一般式(Ia)
【0031】
【化9】

【0032】
[式中、
は場合によりヒドロキシル又は、それ自身がヒドロキシルにより置換されていることができるフェニルにより置換されていることができる炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
及びRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシルを示す]
のα−アミノ酸類、ならびに一般式(Ib)
【0033】
【化10】

【0034】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yは水素を示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含む。
【0035】
本発明の特別に好ましい混合物は、一般式(Ia)
【0036】
【化11】

【0037】
[式中、
はメチルを示すか、又は式−CH(CH)CHCHの基を示し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
及びRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシルを示す]
のα−アミノ酸類、ならびに一般式(Ib)
【0038】
【化12】

【0039】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示し、
Yは水素を示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含む。
【0040】
挙げることができるそのような混合物の例は:(S)−イソロイシンと2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸、(S)−アラニンと2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸、あるいは(S)−プロリンと1,2−シス−アミノシクロペンタン−1−カルボン酸の混合物である。
【0041】
混合物の場合、α−アミノ酸及び/又はその誘導体対シクロペンタン−β−アミノ酸及び/又はその誘導体のモル混合比は1:99〜99:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:5〜5:1、及び特別に好ましくは1:3〜3:1の範囲内にある。
【0042】
本発明の混合物は、通常、好ましくは微粉状の各成分を混合することにより得られる。
【0043】
本発明は、また、α−アミノ酸又はその誘導体、ならびにシクロペンタン−β−アミノ酸又はその誘導体を含むジペプチド類に関する。
【0044】
本発明のジペプチド類のために適したα−アミノ酸類は、好ましくは、本発明の混合物の説明において上記で挙げた一般式(Ia)のα−アミノ酸類であり、ここで式(Ia)におけるXはα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する(content)。
【0045】
本発明のジペプチド類のために適したシクロペンタン−β−アミノ酸類は、好ましくは本発明の混合物の説明において上記で挙げた一般式(Ib)のシクロペンタン−β−アミノ酸類であり、ここで式(Ib)におけるYはα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する。
【0046】
本発明は、好ましくは一般式(Ia)
【0047】
【化13】

【0048】
[式中、
は炭素数が3〜8のシクロアルキルを示すか、又は炭素数が6〜10のアリール又は水素を示すか、又は炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
ここでアルキルは場合によりシアノ、メチルチオ、ヒドロキシル、メルカプト、グアニジルにより又は式−NRもしくはR−OC−の基により置換されていることができ、
ここで
及びRは互いに独立して水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
はヒドロキシル、ベンジルオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は上記の基−NRを示すか、
あるいはアルキルは場合により炭素数が3〜8のシクロアルキルにより、又はそれ自身がヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、炭素数が最高8のアルコキシもしくは基−NRにより置換されていることができる炭素数が6〜10のアリールにより置換されていることができ、
ここで
及びRは上記の意味を有し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
とRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する]
のα−アミノ酸、ならびに一般式(Ib)
【0049】
【化14】

【0050】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yはα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含むジペプチド類に関する。
【0051】
本発明のより好ましいジペプチド類は、
が場合によりヒドロキシル又は、それ自身がヒドロキシルにより置換されていることができるフェニルにより置換されていることができる炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
及びRが水素を示すか、
あるいは
及びRが一緒になって式−(CH−の基を形成し、
が水素を示し、
Xがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合の内容を示す
一般式(Ia)のα−アミノ酸、ならびに
及びRが水素を示すか、あるいは
及びRが一緒になって式=CHの基を形成し、
が水素を示すか、あるいは炭素数が最高6の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する
一般式(Ib)のシクロペンタン−β−アミノ酸を含む。
【0052】
本発明の特に好ましいジペプチド類は、
がメチルを示すか、又は式−CH(CH)CHCHの基を示し、
及びRが水素を示すか、
あるいは
及びRが一緒になって式−(CH−の基を形成し、
が水素を示し、
Xがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合の内容を示す
一般式(Ia)のα−アミノ酸、ならびに
及びRが水素を示すか、あるいは
及びRが一緒になって式=CHの基を形成し、
が水素を示し、
Yがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する
一般式(Ib)のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含む。
【0053】
以下のジペプチド類が特別に好ましい:
1,2−シス−2−(S)−イソロイシル−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸、及び
1,2−シス−2−(S)−アラニル−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸。
【0054】
本発明の混合物及びジペプチド類は本質的に純粋な立体異性体又は立体異性体混合物を含むことができる。
【0055】
上記のα−アミノ酸類、シクロペンタン−β−アミノ酸類及びジペプチド類はそれらの塩類の形態で存在することができる。一般に、有機又は無機塩基類もしくは酸類との塩類、及び分子内塩類をここで挙げることができる。
【0056】
加えることができる酸類は、好ましくは、ハロゲン化水素酸類、例えば塩酸及び臭化水素酸、特に塩酸、さらにリン酸、硝酸、硫酸、一−及び二官能基性カルボン酸類及びヒドロキシカルボン酸類、例えば酢酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、ソルビン酸及び乳酸、ならびにスルホン酸類、例えばp−トルエンスルホン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸又はカンファースルホン酸を含む。
【0057】
生理学的に許容し得る塩類は、遊離のカルボキシル基を有する本発明の化合物の金属又はアンモニウム塩類であることもできる。特に好ましいのは、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム又はカルシウム塩類、及び又、アンモニア又は有機アミン類、例えばエチレンアミン、ジ−もしくはトリエチレンアミン、ジ−もしくはトリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、アルギニン、リシン、エチレンジアミン又はフェネチルアミンから誘導されるアンモニウム塩類である。
【0058】
本発明の混合物及びジペプチド類は、例えば像と鏡像として挙動する(エナンチオマー)、又は像と鏡像として挙動しない(ジアステレオマー)立体異性体の形態で、あるいはジアステレオマー混合物として、又は純粋なシス−もしくはトランス−異性体として存在することができる。本発明は鏡像体、ラセミ体、ジアステレオマー混合物及び純粋な異性体の両方に関する。ジアステレオマーと同様に、ラセミ体は既知の方法で立体異性体的に均一な成分に分離することができる。立体異性体的に均一な化合物への分離は、例えばジアステレオマーエステル類及びアミド類を用いて、又は光学活性相上で行われる。ジアステレオマー塩類の結晶化も可能である。
【0059】
本発明に関し、基(R−N−CHR−CO−)により限定されるアミノ酸基はL−型で存在する。
【0060】
本発明は本発明のジペプチド類の製造法にも関する。
【0061】
これらは一般式(II)
【0062】
【化15】

【0063】
[式中、
及びRは上記の意味を有する]
の化合物を、最初に、溶媒中で及び塩基の存在下において、一般式(III)
【0064】
【化16】

【0065】
[式中、
及びRは上記の意味を有し、
10はアミノ保護基を示し、
11はペプチドの化学において通常の活性化保護基、好ましくはヒドロキシスクシンイミドエステル基を示すか、あるいは
10及びR11は一緒になって基
【0066】
【化17】

【0067】
を示す]
の保護されたアミノ酸類との反応により一般式(IV)
【0068】
【化18】

【0069】
[式中、
、R、R、R及びR10は上記の意味を有する]
の化合物に転化し、
最後に、アミノ保護基(R10)を切断し、
適宜、立体異性体を分離し、
エステル類(式(Ib)においてR≠H)の場合は酸を適したアルコール類と通常の方法により反応させる方法により製造することができる。
適宜、ジペプチド類を通常の方法により塩類に転化する。
【0070】
本発明はの方法を例えば以下の式により例示することができる:
【0071】
【化19】

【0072】
本発明に関してアミノ−保護基(R10)はペプチドの化学において用いられる通常のアミノ−保護基である。
【0073】
これらには好ましくは:ベンジルオキシカルボニル、3,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロベンジルオキシカルボニル、2−ニトロ−4,5−ジメトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、ビニルオキシカルボニル、3,4,5−トリメトキシベンジルオキシカルボニル、フタロイル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロ−tert−ブトキシカルボニル、メチルオキシカルボニル、4−ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル−9−メトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、2−クロロアセチル、2−ブロモアセチル、2,2,2−トリフルオロアセチル、2,2,2−トリクロロアセチル、ベンゾイル、ベンジル、4−クロロベンゾイル、4−ブロモベンゾイル、4−ニトロベンゾイル、フタルイミド、イソバレロイル又はベンジルオキシメチレン、4−ニトロベンジル、2,4−ジニトロベンジル、4−ニトロベンジル又は2−ニトロフェニルスルフェニルが含まれる。Fmoc基が特に好ましい。
【0074】
適した活性化カルボキシル基(R11)は一般にカルボジイミド類、例えばN,N’−ジエチル−、N,N’−ジイソプロピル−もしくはN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩、N−シクロヘキシル−N’−(2−モルホリノエチル)カルボジイミドメト−p−トルエンスルホネート、あるいはカルボニル化合物、例えばカルボニルジイミダゾール、あるいは1,2−オキサゾリウム化合物、例えば2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェート又は2−tert−ブチル−5−メチルイソオキサゾリウム過塩素酸塩、あるいはアシルアミノ化合物、例えば2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、あるいは無水プロパンホスホン酸、あるいはイソブチルクロロホルメート、あるいはベンゾトリアゾリルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、あるいはヒドロキシスクシンイミドエステルとの付加物である。α−アミノ酸成分はさらにLeuch無水物の形態で用いることもできる(式(III)におけるR10及びR11が一緒になって基
【0075】
【化20】

【0076】
を示す。
【0077】
ヒドロキシスクシンイミドエステルが好ましい。
【0078】
適した溶媒は、反応条件下で変化しない通常の有機溶媒である。これらには好ましくはエーテル類、例えばジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテル、ジメトキシエタン、あるいは炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、あるいは石油留分又はジメチルホルムアミドが含まれる。上記の溶媒の混合物を用いることもできる。テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル及びジメトキシエタンが好ましい。さらに水又は上記の溶媒と水の混合物を用いることができる。
【0079】
さらに、例えばアルカリ金属炭酸塩類、例えば炭酸もしくは炭酸水素ナトリウムもしくはカリウム、あるいは有機塩基類、例えばトリアルキルアミン類、例えばトリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペリジン又はN−メチルモルホリンを用いることができる。N−メチルモルホリンが好ましい。
【0080】
助剤及び塩基類は、一般式(III)の化合物の1モルに対して1.0モル〜3.0モル、好ましくは1.0モル〜1.2モルの量で用いられる。
【0081】
反応は一般に0℃〜100℃の温度範囲内で、好ましくは0℃〜30℃において、及び常圧において行われる。
【0082】
反応は常圧下で、あるいは高圧又は減圧(例えば0.5〜5バール)下で行うことができ、常圧下が好ましい。
【0083】
一般にアミノ保護基はそれ自体既知の方法で、酸性又は塩基性条件下において、あるいは例えば有機溶媒、例えばテトラヒドロフラン又はジオキサンなどのエーテル類、あるいはメタノール、エタノール又はイソプロパノールなどのアルコール類中でPd/Cを用いた接触水添により還元的に切断される。
【0084】
水素化は一般に0℃〜80℃、好ましくは0℃〜40℃の温度範囲内で行われる。
【0085】
一般に水素化は2バール〜8バール、好ましくは3〜5バールの高圧下において行われる。
【0086】
塩基類、例えばピペリジン、モルホリン、ジシクロヘキシルアミン、p−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン又はピペラジンがアミノ−保護基(R10=Fmoc)の切断のために適している。ピペリジンが好ましい。
【0087】
助剤及び塩基類は一般式(IV)の化合物の1モル当たり1.0モル〜3.0モル、好ましくは1.0モル〜1.2モルの量で用いられる。
【0088】
反応は0℃〜100℃の温度範囲内、好ましくは0℃〜30℃において、及び常圧下で行われる。
【0089】
反応は常圧下で、あるいは高圧又は減圧(例えば0.5〜5バール)下で行うことができ、常圧下が好ましい。
【0090】
一般式(II)の化合物は既知である。
【0091】
一般式(III)の化合物はいくつかの場合に既知であるか、又は通常の方法により製造することができる。
【0092】
上記の製造法は単に例示のために示してある。X及びYが一緒になって共有結合を示す本発明の一般式(Ia)及び(Ib)の化合物の製造はこれらの方法に制限されず、これらの方法のいかようの修正も同じ方法で製造のために用いることができる。
【0093】
本発明の出発点は以下の機構の明確化であった。
【0094】
記載の一般式(II)のシクロペンタン−β−アミノ酸類は、アミノ酸輸送体により種々の酵母種により堆積される。β−アミノ酸類の輸送は脂肪族アミノ酸類、特にL−イソロイシン、L−ロイシン、L−アラニン、L−メチオニン及びL−バリンにより阻害され得る。β−アミノ酸類はタンパク質生合成を阻害する。この阻害は脂肪族アミノ酸類の1つにより、特にL−イソロイシン又はL−アラニンにより拮抗され得る。混合物としての、及び/又はジペプチドとして共有結合したβ−アミノ酸及び天然に存在する拮抗アミノ酸を同時に投与すると、温血動物において起こる副作用を減少させ、同時に抗真菌性作用は生体内で保持される。
【0095】
従って、本発明の化合物又は混合物は予期せぬ有用な薬理学的作用範囲を示す。
【0096】
本発明の一般式(Ia)及び(Ib)の化合物又は混合物、ならびにそれらの酸付加塩類は生体内において抗微生物性、特に有力な抗真菌性作用を有する。同時に、それらの低い毒性の故に、それらは優れた許容性を有する。それらは皮膚生菌類、例えばトリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)及びミクロスポロン・カニス(Microsporon canis)に対して、酵母菌類、例えばカンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum)に対して、ならびにカビ類、例えばアスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)及びアスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)に対して広い抗真菌性作用範囲を有する。これらの微生物の列挙は、防除することができる微生物の制限を示すものでは全くなく、単に例示的なものである。従って化合物は皮膚真菌症及び全身性真菌症の処置に適している。
【0097】
生体内活性試験
全身性マウスカンジダ症を生体内抗真菌性作用のための試験モデルとして用いた。:体重が20gの雄CFWマウスに、動物当たり3x10CFUのC.アルビカンスを注射することにより尾部静脈において感染させた。
【0098】
未処置の標準動物はすべて、腎臓における肉芽腫形成を伴う全身性カンジダ症から、感染後(p.i.)1週間以内に死亡した。活性試験のために、0.2%濃度のグルコース寒天水溶液に溶解した調剤を毎日2回、感染動物に胃管により経口的に投与した。
【0099】
1日量は体重1kg当たり(BW)2x25mg及び2x50mgであり、処置の持続期間は5日間であった。
【0100】
処置動物の生存率を感染後(p.i.)10日目まで毎日記録した。この時点で未処置標準動物のいずれの動物も生存していなかった。
【0101】
調剤に関し、投薬量当たり、及び標準群当たりにそれぞれ10個の動物を用いた。
【0102】
結果を表Aに示す。
【0103】
【表1】

【0104】
別の場合、Wisterラットについて生体内活性を試験することもできる。これらは匹敵する処置の効果を達成するために、BWのkg当たりのmgに基づいて、必要な1日量がもっと低いであろう。この場合試験は以下の通りに行われる:
8週令の、特別に病原菌を含まない、体重が200gの雄のWisterラットを外側尾部静脈を介し、0.5mlのPBS中の5x10CFUのカンジダ・アルビカンスに感染させた。これは8日以内に100%の死亡率を生ずる。感染の1日後でさえ、動物はすでに内眼角における出血を示し;腎臓に加えて脳、心臓、肝臓、脾臓、網膜及び肺などの他の臓器系が冒される。物質は感染の日に開始され、5日間毎日2回経口的に、それぞれ1mlのグルコース(5%)−寒天(0.2%)溶液中で投与される。
【0105】
本発明のジペプチド類又は混合物の優れた許容性を以下の方法で調べた。
【0106】
Wisterラットに対応する物質を毎日与え、体重パターンを記録した。単独のβ−アミノ酸、あるいは等モル量の、α−アミノ酸との対応する混合物又はジペプチドを投与した。5日間の処置期間の後、本発明のジペプチド類又は混合物が投与された場合、ラットの体重は同じままか、又はわずかに増加していたが、β−アミノ酸で処置された場合は体重が約5〜10%減少していた。
【0107】
本発明は、また、本発明の混合物及び/又はジペプチド類、ならびに無毒性不活性な製薬学的賦形剤及び助剤を含む、病気、特に真菌症の防除のための薬剤に関する。
【0108】
適宜、単一の又は複数の活性化合物は1種又はそれ以上の上記の賦形剤中にマイクロカプセル封入された形態で存在することもできる。
【0109】
挙げることができる好ましい製薬学的調剤は錠剤、被覆錠剤、カプセル、丸薬、顆粒、座薬、溶液、懸濁液及び乳液、ペースト、軟膏、ゲル、クリーム、ローション、粉末、ならびにスプレーである。
【0110】
治療的活性化合物又は混合物は上記の製薬学的調剤中で、合計混合物の約0.1〜99.5、好ましくは約0.5〜95重量%の濃度で存在しなければならない。
【0111】
上記の製薬学的調剤は、本発明の化合物に加えて他の製薬学的活性化合物も含むことができる。
【0112】
活性化合物又は薬剤は経口的又は非経口的に投与することができる。
【0113】
一般に人間の医学及び獣医学の両方において所望の結果を得るために、24時間毎に体重1kg当たり約0.5〜約500、好ましくは5〜100mgの合計量で、適宜、数回の個別の投薬量の形態で本発明の単一の又は複数の活性化合物を投与するのが有利であることが証明された。個別の投薬量は好ましくは体重1kg当たり約1〜約80、特に3〜30mgの量で本発明の単一の又は複数の活性化合物を含む。
【0114】
本発明の薬剤は、通常、病気の防除のための同時の、分離された、又はずらされた使用のための組み合わせ調剤である。
【0115】
同時の使用のための組み合わせ調剤は、本発明の混合物の各成分が物理的混合物として存在する製品である。これらには特に錠剤、被覆錠剤、カプセル、丸薬、座薬及びアンプルが含まれる。溶液、懸濁液又は乳液としてのそのような混合物の使用も考えられる。本発明の混合物の各成分は一方で、以下でα−アミノ酸成分と呼ばれるα−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体、ならびに他方で、以下でβ−アミノ酸成分と呼ばれるシクロペンタン−β−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体を含む。
【0116】
分離された使用のための組み合わせ調剤は、本発明の混合物の各成分が互いに空間的に分離された形態で存在する製品である。この要求を満たす錠剤、被覆錠剤、カプセル、丸薬及び座薬がこれに特に適している。
【0117】
ずらされた使用のための組み合わせ調剤も考えられる。これらは本発明の混合物の各成分を時間を離して順に投与することを可能にする。そのような組み合わせ調剤のずらされた使用の場合、α−アミノ酸成分をβ−アミノ酸成分の投与に関して特定のやり方で投与することが考えられる。α−アミノ酸成分をβ−アミノ酸成分と同じ投与形態で、あるいは別の通常の投与形態で投与することができ、例えばβ−アミノ酸成分を静脈内に投与することができ、α−アミノ酸成分を経口的に、又は静脈内に投与することができる。
【0118】
ずらされた使用の場合、α−アミノ酸成分の部分投薬量のみを、β−アミノ酸成分の投与に対する上記の時間的関連性で投与し、α−アミノ酸成分の合計投薬量の残りの量をβ−アミノ酸の投与の後のある時間内に1又はそれ以上の部分投薬量として投与する方法に従うこともできる。
【実施例】
【0119】
出発化合物
実施例I
(−)−1,2−シス−2−((N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−(S)−イソロイシル)−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸
【0120】
【化21】

【0121】
600mlのジメトキシエタン中のN−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−(S)−イソロイシンヒドロキシスクシンイミドエステル(89.2g、0.198モル)の溶液を、480mlの水中の(−)−1,2−シス−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸(35.1g、0.198モル)及び重炭酸ナトリウム(33.36g、0.397モル)の溶液に室温で滴下する。混合物を室温で終夜撹拌する。次いで反応バッチを希塩酸を用いてpH2に酸性化し、ジエチルエーテルで数回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮する。生成物をジエチルエーテル/石油エーテル上で結晶化させる。
収量:70g(理論値の74%)
融点:207℃
[α]20=−24.1(クロロホルム中でc=1.15)
H−NMR(250MHz、CDCl):δ=0.88(cm,6H);0.98−1.15,1.40−1.51,1.52−1.80(3m,3H);2.40−2.84(m,4H);3.12(cm,1H);4.10−4.48(m,4H);4.61(cm,1H);4.90(cm,2H);5.84(d,1H);7.20−7.80(3m,9H)
2832(476.6)
実施例II
1,2−シス−2−(N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)−(S)−アラニル)アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸
【0122】
【化22】

【0123】
標題化合物を実施例Iの指示と同様にして、(−)−1,2−シス−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸(2.27g、16.1ミリモル)、N−(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−(S)−アラニンヒドロキシスクシンイミドエステル(7.0g、17.2ミリモル)及び重炭酸ナトリウム(1.49g、17.7ミリモル)から製造する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(トルエン/エタノール、9:1)により精製する。
収量:5.7g(理論値の81%)
H−NMR(500MHz,CDOD):δ=1.30(d,3H),2.43−2.79(m,4H),3.10(cm,1H),4.12,4.21,4.34,4.50(4cm,5H),4.91(br.s.,2H),7.30,7.39,7.66,7.79(4cm,8H)
2526(434.5)
製造実施例
実施例1
(+)−1,2−シス−2−(S)−イソロイシル−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸
【0124】
【化23】

【0125】
ピペリジン(200ml)中の実施例1からの化合物(24.0g、0.050モル)の溶液を室温で1時間撹拌する。反応が終了したら、ピペリジンを真空中で蒸留する。残留物を水に取り上げる。ジエチルエーテルで数回抽出した後、トルエンを加えながら水相を真空中で濃縮する。生成物をイソプロパノール/ジエチルエーテルから結晶化させる。
収量:8.5g(理論値の67%)
融点:198℃
[α]20=+23.9(水中でc=1.08)
H−NMR(250MHz,DO):δ=0.70−0.88(m,6H);0.91−1.18,1.19−1.43,1.53−1.72(3m,3H);2.23−2.67(m,4H);2.88(cm,1H);3.28(d,1H);4.30(cm,1H);4.85(cm,2H)
1322(254.3)
実施例2
(+)−1,2−シス−2−(S)−アラニル−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸
【0126】
【化24】

【0127】
標題化合物を実施例1の指示と同様にして、実施例II(5.7g、13.1ミリモル)から製造する。生成物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(メチレンクロリド/メタノール、1:1)により精製し、メタノール/イソプロパノール/アセトンから結晶化させる。
収量:0.7g(理論値の25%)
融点:218℃
[α]20=+5.4(メタノール中でc=0.64)
H−NMR(500MHz,DO):δ=1.49(d,3H),2.45(cm,1H),2.55−2.75(m,3H),3.04(cm,1H),4.01(q,1H),4.49(cm,1H),5.00(br,d,2H)
1016(212.3)
実施例3
(1R,2S)−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸x(S)−イソロイシン
【0128】
【化25】

【0129】
(−)−(1R,2S)−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸(25.0g、177ミリモル)及び(S)−イソロイシン(23.2g、177ミリモル)を沸点において水(250ml)及びエタノール(100ml)中に溶解する。溶液を室温に冷まし、溶媒を真空中で60℃において蒸留する。
収量:48.2g(理論値の100%)
融点:230℃(分解)
H−NMR(DO):δ=0.95(t,3H),1.00(d,3H),1.18−1.35,1.40−1.56(2m,2H),1.99(cm,1H),2.52−2.67,2.73−2.88(2m,4H);3.09(cm,1H),3.69(d,1H),3.88(cm,1H),5.09(cm,2H)
1324(272.3)
実施例4
(−)−(1R,2S)−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸(14.1g、100ミリモル)及び(S)−イソロイシン(26.2g、200ミリモル)を微粉化し、次いで粉末形態で混合する。
実施例5
(−)−(1R,2S)−2−アミノ−4−メチレンシクロペンタン−1−カルボン酸(14.1g、100ミリモル)及び(S)−イソロイシン(65.5g、500ミリモル)の混合物を実施例4の指示と同様にして製造する。
【0130】
本発明の主たる特徴及び態様は以下の通りである。
1. 1種又はそれ以上のα−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体、ならびに1種又はそれ以上のシクロペンタン−β−アミノ酸類及び/又はそれらの誘導体を含む混合物。
2. 一般式(Ia)
【0131】
【化26】

【0132】
[式中、
は炭素数が3〜8のシクロアルキルを示すか、又は炭素数が6〜10のアリール又は水素を示すか、又は炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
ここでアルキルは場合によりシアノ、メチルチオ、ヒドロキシル、メルカプト、グアニジルにより又は式−NRもしくはR−OC−の基により置換されていることができ、
ここで
及びRは互いに独立して水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
はヒドロキシル、ベンジルオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は上記の基−NRを示すか、
あるいはアルキルは場合により炭素数が3〜8のシクロアルキルにより、又はそれ自身がヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、炭素数が最高8のアルコキシもしくは基−NRにより置換されていることができる炭素数が6〜10のアリールにより置換されていることができ、
ここで
及びRは上記の意味を有し、
及びRは水素を示すか、
あるいは
とRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
は水素を示し、
Xはヒドロキシル、炭素数が6〜10のアリールオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は基−NRを示し、
ここで
及びRは上記の意味を有する]
のα−アミノ酸類を含むことを特徴とする上記1項に記載の混合物。
3. 一般式(Ib)
【0133】
【化27】

【0134】
[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成し、
は水素を示すか、あるいは炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
Yは水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はアリールを示す]
のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含むことを特徴とする上記1又は2項に記載の混合物。
4. 上記2項に記載のα−アミノ酸類及び上記3項に記載のシクロペンタン−β−アミノ酸類を含む上記1項に記載の混合物。
5. α−アミノ酸又はその誘導体、及びシクロペンタン−β−アミノ酸又はその誘導体を含むジペプチド。
6. 式(Ia)におけるXがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する、上記2項に記載の一般式(Ia)のα−アミノ酸を含む上記5項に記載のジペプチド。
7. 式(Ib)におけるYがα−アミノ酸とシクロペンタン−β−アミノ酸の共有結合に関与する、上記3項に記載の一般式(Ib)のシクロペンタン−β−アミノ酸を含む上記5又は6項に記載のジペプチド。
8. 一般式(II)
【0135】
【化28】

【0136】
[式中、
及びRは上記の意味を有する]
の化合物を、最初に、溶媒中で及び塩基の存在下において、一般式(III)
【0137】
【化29】

【0138】
[式中、
及びRは上記の意味を有し、
10はアミノ保護基を示し、
11はペプチドの化学において通常の活性化保護基、好ましくはヒドロキシスクシンイミドエステル基を示すか、あるいは
10及びR11は一緒になって基
【0139】
【化30】

【0140】
を示す]
の保護されたアミノ酸類との反応により一般式(IV)
【0141】
【化31】

【0142】
[式中、
、R、R、R及びR10は上記の意味を有する]
の化合物に転化し、
最後に、アミノ保護基(R10)を切断し、
適宜、立体異性体を分離し、エステル類(式(Ib)においてR≠H)の場合は酸を適したアルコール類と通常の方法により反応させ、そして適宜、ジペプチド類をそれらの塩類に転化することを特徴とする上記5〜7項の1つに記載のジペプチド類の製造法。
9. 病気、特に真菌症の処置のための上記1〜4項の1つに記載の混合物及び/又は上記5〜7項の1つに記載のジペプチド類。
10. 病気、特に真菌症の防除のための上記1〜4項の1つに記載の混合物及び/又は上記5〜7項の1つに記載のジペプチド類を含む薬剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−アミノ酸又はその誘導体、及びシクロペンタン−β−アミノ酸又はその誘導体を含んでなるジペプチド。
【請求項2】
一般式(II)
【化1】

[式中、
及びRは水素を示すか、あるいは
及びRは一緒になって式=CHの基を形成する]
の化合物を、最初に、溶媒中で及び塩基の存在下において、一般式(III)
【化2】

[式中、
は炭素数が3〜8のシクロアルキルを示すか、又は炭素数が6〜10のアリール又は水素を示すか、又は炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキルを示し、
ここでアルキルは場合によりシアノ、メチルチオ、ヒドロキシル、メルカプト、グアニジルにより又は式−NRもしくはR−OC−の基により置換されていることができ、
ここで
及びRは互いに独立して水素、炭素数が最高8の直鎖状もしくは分枝鎖状アルキル又はフェニルを示し、
はヒドロキシル、ベンジルオキシ、炭素数が最高6のアルコキシ又は上記の基−NRを示すか、
あるいはアルキルは場合により炭素数が3〜8のシクロアルキルにより、又はそれ自身がヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、炭素数が最高8のアルコキシもしくは基−NRにより置換されていることができる炭素数が6〜10のアリールにより置換されていることができ、
ここで
及びRは上記の意味を有し、
は水素を示すか、
あるいは
とRは一緒になって式−(CH−の基を形成し、
10はアミノ保護基を示し、
11はペプチドの化学において通常の活性化保護基、好ましくはヒドロキシスクシンイミドエステル基を示すか、あるいは
10及びR11は一緒になって基
【化3】

を示す]
の保護されたアミノ酸類との反応により一般式(IV)
【化4】

[式中、
、R、R、R及びR10は上記の意味を有する]
の化合物に転化し、
最後に、アミノ保護基(R10)を切断し、
適宜、立体異性体を分離し、エステル類(式(Ib)においてR≠H)の場合は酸を対応するアルコール類と通常の方法により反応させ、そして適宜、ジペプチド類をそれらの塩類に転化することを特徴とする請求項1に記載のジペプチド類の製造法。
【請求項3】
病気、特に真菌症の処置のための請求項1に記載のジペプチド類。
【請求項4】
病気、特に真菌症の防除のための請求項1に記載のジペプチド類を含む薬剤。

【公開番号】特開2007−56026(P2007−56026A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263475(P2006−263475)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【分割の表示】特願平8−206410の分割
【原出願日】平成8年7月18日(1996.7.18)
【出願人】(591063187)バイエル アクチェンゲゼルシャフト (67)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−51368 Leverkusen,Germany
【Fターム(参考)】