説明

ジホスフィン配位子およびそれを用いた遷移金属錯体

【課題】ジホスフィン配位子の製造に有用なホスフィン−ボラン錯体を提供する。
【解決手段】


〔R4aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、R5aおよびR6aはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、または互いに結合した置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン−ボラン錯体を除く)。〕で表される化合物またはその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規配位子、該新規配位子を有する遷移金属錯体、および該遷移金属錯体を用いた不斉合成反応に関する。
【背景技術】
【0002】
不斉合成反応には、不斉還元、不斉異性化、不斉ヒドロシリル化等が知られ、光学活性化合物を配位子とするロジウム、ルテニウム、イリジウムなどの遷移金属錯体が主に用いられている。従来、光学活性ホスフィンとして2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(以下、BINAPと省略することもある)が汎用されているが、基質の種類によっては反応性、立体選択性、触媒効率等の点で十分ではないため、種々の光学活性ホスフィンが製造され報告されている(例えば、Handbook of Enantioselective Catalysis with Transition Metal Compounds, VCH 出版社発行,1993年参照)。また、光学活性ホスフィンのなかでも、WO03/048174号パンフレットおよびWO02/040491号パンフレットには、ジアルキルアミノ基を置換基として有する光学活性ホスフィンが記載されている。
【0003】
また、BINAPと同様に1,1'-ビナフチル骨格を持つ化合物においても、例えば、特開昭61-63690号公報には、2,2'-ビス(ジ(p-トリル)ホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを配位子としたルテニウム錯体が炭素-炭素二重結合の不斉還元において有用であることが記載されている。特開平3-255090号公報には、2,2'-ビス(ビス(3,5-ジアルキルフェニル)ホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを配位子としたルテニウム錯体が、特開2004-196793号公報には、2,2'-ビス(ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェニル)ホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを配位子としたルテニウム錯体が、β-ケトエステルの不斉還元において有用であることが記載されている。
【0004】
しかしながら、これらの遷移金属触媒を用いる反応において、反応基質によってはエナンチオ選択性または触媒効率が不十分である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO03/048174号パンフレット
【特許文献2】WO02/040491号パンフレット
【特許文献3】特開昭61−63690号公報
【特許文献4】特開平3−255090号公報
【特許文献5】特開2004−196793号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Handbook of Enantioselective Catalysis with Transition Metal Compounds, VCH 出版社発行,1993年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、新規配位子、および該配位子を用いてなる、種々の不斉合成反応において、エナンチオ選択性および触媒効率に優れ、特に触媒活性が高いことを特徴とする新規な遷移金属錯体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、式
【0009】
【化1】

【0010】
〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【0011】
【化2】

【0012】
で、式
【0013】
【化3】

【0014】
(式中、環Aは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルを除く)。〕で表される化合物(以下、化合物(I)と略記する。)またはその塩が、新規配位子として有用であり、また、化合物(I)を包含する式
【0015】
【化4】

【0016】
〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または

【0017】
【化5】

【0018】
で、式
【0019】
【化6】

【0020】
(式中、環Bは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す。〕で表される化合物(以下、化合物(II)と略記する。)を配位子とする遷移金属錯体が、不斉合成反応、特に不斉還元反応において、エナンチオ選択性および特に触媒効率に優れていることを見出し、これらに基づいて本発明を完成するに至った。
【0021】
すなわち本発明は、
〔1〕式
【0022】
【化7】

【0023】
〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【0024】
【化8】

【0025】
で、式
【0026】
【化9】

【0027】
(式中、環Aは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルを除く)。〕で表される化合物またはその塩、
〔2〕R、RおよびRがそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基である〔1〕記載の化合物、
〔3〕R、RおよびRがそれぞれ無置換のC1−6アルキル基である〔1〕記載の化合物、
〔4〕2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルまたは2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルである〔1〕記載の化合物、
〔5〕光学活性化合物である〔1〕ないし〔4〕のいずれかに記載の化合物、
〔6〕式
【0028】
【化10】

【0029】
〔式中、Rは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、RおよびRはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【0030】
【化11】

【0031】
で、式
【0032】
【化12】

【0033】
(式中、環Bは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す。〕で表される化合物を配位子とする遷移金属錯体、
〔7〕遷移金属がロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケルまたは銅である〔6〕記載の遷移金属錯体、
〔8〕遷移金属がロジウム、ルテニウムまたはパラジウムである〔6〕記載の遷移金属錯体、
〔9〕Rが水素原子または無置換のC1−6アルキル基、RおよびRがそれぞれ無置換のC1−6アルキル基である〔6〕記載の遷移金属錯体、
〔10〕下記から選択される〔6〕記載の遷移金属錯体、
(1) [Ru(OAc)2(L)];
(2) [RuCl2(L)(dmf)n];
(3) [RuCl(Ar)(L)]Cl;
(4) [Ru(2-methylallyl)2(L)];
(5) [RuCl2(L)(X)];
(6) (NH2Et2)[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3];
(7) [Rh(Y)(L)]Z;
(8) [PdCl2(L)];または
(9) [{Pd(L)}2(μ-OH)2]Z2
〔Lは2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルまたは2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、Acはアセチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミド、nは1以上の整数、Arは置換基を有していてもよいベンゼン、2-methylallylはη3-2-メチルアリル、Xはエチレンジアミン、1,2-ジフェニルエチレンジアミンまたは1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソプロピル-1,2-エチレンジアミン、Yは1,5-シクロオクタジエンまたはノルボルナジエン、Zはカウンターアニオンでトリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレート、パークロレート、ヘキサフルオロホスフェートまたはテトラフェニルボレートを示す。〕
〔11〕〔6〕記載の遷移金属錯体を含む触媒、
〔12〕式
【0034】
【化13】

【0035】
〔R4aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、R5aおよびR6aはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【0036】
【化14】

【0037】
で、式
【0038】
【化15】

【0039】
(式中、環B’は、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン−ボラン錯体を除く)。〕で表される化合物またはその塩、
〔13〕R4a、R5aおよびR6aがそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基である〔12〕記載の化合物に関する。
また、
〔14〕式
【0040】
【化16】

【0041】
〔式中、環Cは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、〔6〕記載の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことを特徴とする、式
【0042】
【化17】

【0043】
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法、
〔15〕式
【0044】
【化18】

【0045】
〔式中、環Dは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、〔6〕記載の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことを特徴とする、式
【0046】
【化19】

【0047】
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法、
〔16〕式
【0048】
【化20】

【0049】
〔式中、環Eおよび環Fはそれぞれ置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいアミノ基を示す。〕で表される化合物またはその塩を、〔6〕記載の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことを特徴とする、式
【0050】
【化21】

【0051】
〔式中、*は不斉炭素の位置を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕で表される化合物またはその塩の製造法等にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0052】
化合物(I)および化合物(II)は、(R)体、(S)体および(R)体と(S)体の混合物(両者の比率は限定しない)が含まれるが、光学活性体であるものが好ましい。
【0053】
以下、化合物(I)および化合物(II)の置換基の定義を示す。
【0054】
、R、R、R、RおよびRで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0055】
、R、R、R、RおよびRで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「置換基」とは、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0056】
としては、水素原子または無置換のC1−6アルキル基が好ましく、なかでも、水素原子、メチル、エチル、イソプロピルなどが特に好ましい。
【0057】
およびRとしては、好ましくは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、無置換のC1−6アルキル基がより好ましく、なかでも、メチル、エチルなどが特に好ましい。
【0058】
としては、水素原子または無置換のC1−6アルキル基が好ましく、なかでも、水素原子、メチル、エチル、イソプロピルなどが好ましい。
【0059】
およびRとしては、好ましくは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であり、無置換のC1−6アルキル基がより好ましく、なかでも、メチル、エチルなどが特に好ましい。
【0060】
また、式
【0061】
【化22】

【0062】
(式中、環Aは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)および

【0063】
【化23】

【0064】
(式中、環Bは、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される環Aおよび環Bは、例えば、以下の環状基があげられる。
【0065】
【化24】

【0066】
これらの環状基は置換基を有していてもよく、該置換基としては、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0067】
環Aおよび環Bとしては、
【0068】
【化25】

【0069】
が特に好ましい。
【0070】
化合物(I)としては、R、RおよびRがそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であるものが好ましく、なかでもR、RおよびRがそれぞれ無置換のC1−6アルキル基であるものが好ましい。また、Rが水素原子、RおよびRがそれぞれ無置換のエチルまたは
【0071】
【化26】

【0072】

【0073】
【化27】

【0074】
であるものも好ましい。
【0075】
化合物(I)としては、具体的には2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルおよび2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルなどが好ましく、特に2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルが好ましい。
【0076】
化合物(II)としては、Rが水素原子または無置換のC1−6アルキル基、RおよびRがそれぞれ無置換のC1−6アルキル基であるものが好ましい。また、Rが水素原子、
【0077】
【化28】

【0078】

【0079】
【化29】

【0080】
であるものも好ましい。
【0081】
化合物(II)としては、具体的には、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルおよび2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルなどが好ましく、さらには、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルおよび2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルがより好ましく、特に2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチルが好ましい。
【0082】
化合物(I)および化合物(II)の製造法を以下に示す。なお、化合物(I)は化合物(II)に包含されるため、化合物(II)の製造法のみ下記に示す。
【0083】
【化30】

【0084】
〔式中Xは臭素、ヨウ素、トリフルオロメタンスルホニルオキシ、メタンスルホニルオキシ等の脱離基を示し、その他の記号は前記と同意義である。〕
【0085】
化合物(III)は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、33巻、3690頁、1968年記載の方法に従って製造することができる。
【0086】
また、化合物(IV)は、WO2004/101580号パンフレット記載の方法、すなわち、化合物(III)をボラン試薬の存在下、溶媒中で変換することにより製造することができる。なお、化合物(IV)のうち、式
【0087】
【化31】

【0088】
〔R4aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、R5aおよびR6aはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【0089】
【化32】

【0090】
で、式
【0091】
【化33】

【0092】
(式中、環B’は、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン−ボラン錯体を除く)。〕で表される化合物またはその塩、は新規化合物である。
【0093】
4a、R5aおよびR6aで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」とは、前記のR、RおよびRで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」と同様のものがあげられる。R4a、R5aおよびR6aとしては、それぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基であるものが好ましい。
【0094】
また、環B’で表される「置換基を有していてもよい3〜8員環」とは、前記の環Bで表される「置換基を有していてもよい3〜8員環」と同様のものがあげられる。
【0095】
化合物(V)は、自体公知の方法、例えばテトラへドロンレターズ,31巻,985頁,1990年、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー,58巻,1945頁,1993年等に記載の方法に従って製造できる。このようにして得られる化合物(V)は、単離せずに反応混合物として、化合物(IV)との反応に用いてもよい。
【0096】
化合物(II)は、WO2003/048174号パンフレット記載の方法、すなわち、化合物(IV)と化合物(V)とを、アミンおよびニッケル触媒存在下、溶媒中で反応させることで製造できる。
【0097】
生成物は常法に従って反応混合物から単離することもでき、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により容易に精製することができる。
【0098】
化合物(I)および化合物(IV)の塩としては、例えば無機酸(例えば,塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など)との塩、または有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマール酸、蓚酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸など)との塩などが用いられる。また、化合物(I)および化合物(IV)がカルボキシル基等の酸性基を有している場合には、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属、アンモニアなど)との塩、または有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミンなど)との塩などが用いられる。
【0099】
本発明の遷移金属錯体における「遷移金属」とは、例えば、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケル、コバルト、白金、鉄、金、銀、銅等が挙げられる。なかでもロジウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、ニッケルおよび銅が好ましく、ロジウム、ルテニウムおよびパラジウムが特に好ましい。
【0100】
本発明の遷移金属錯体は、公知の方法に従って製造することができる。
【0101】
例えば、ロジウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、第94巻、6429頁、1972年に記載の方法に従い、化合物(II)とジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)]を溶媒中で反応させることで製造することができる。また、オーガニック・シンセシス(Org.Synth.)、第67巻、33頁、1989年に記載の方法に従い、化合物(II)をジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)]と過塩素酸銀で反応させることにより製造することができる。
【0102】
例えば、ルテニウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第57巻、4053頁、1992年に記載の方法に従い、化合物(II)とジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)]とを、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中、加熱攪拌し得られたものを、メタノール中、酢酸ナトリウムの存在下、攪拌することにより製造することができる。また、テトラへドロン・アシンメトリー(Tetrahedron Asym.)、第2巻、43頁、1991年に記載の方法に従い、化合物(II)と(η22-1,5-シクロオクタジエン)ビス(η3-2-メチルアリル)ルテニウム(II)とを、ヘキサン/トルエン中で加熱攪拌することにより製造することができる。また、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第59巻、3064頁、1994年に記載の方法に従い、化合物(II)とジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)]とを、エタノール/ベンゼン中で加熱攪拌することにより製造することができる。さらに、アンゲバンテ・へミー・インターナショナル・エディション(Angew.Chem.Int.Ed.)、第37巻、1703頁、1998年に記載の方法に従って、上記の方法により得られた化合物(II)からなるルテニウム錯体とジアミンをN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)中、攪拌することにより製造することができる。
【0103】
例えば、イリジウム錯体を製造する場合、ジャーナル・オブ・オルガノメタリック・ケミストリー(J.Organomet.Chem.)、第428巻、213頁、1992年に記載の方法に従って、化合物(II)と[Ir(cod)(CH3CN)2]BF4を溶媒中で反応させることにより製造することができる。
【0104】
例えば、パラジウム錯体を製造する場合、オルガノメタリックス(Organometallics)、第12巻、4188頁、1993年に記載の方法に従って、化合物(II)と(η-アリル)(η5-シクロペンタジエニル)パラジウム(II)を反応させることにより製造することができる。また化合物(II)とジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)を反応させることにより製造することができる。得られたパラジウム錯体を、さらに、ジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティー(J.Am.Chem.Soc.)、第121巻、5450頁、1999年に記載の方法に従い、テトラフルオロほう酸銀と含水ジクロロメタン中で攪拌することによりパラジウム錯体のテトラフルオロほう酸塩を製造することができる。
【0105】
例えば、ニッケル錯体を製造する場合、日本化学会編(丸善)「第5版実験化学講座」第21巻、有機遷移金属化合物、超分子錯体、293-294頁(2004年)に記載の方法に従って、化合物(II)と無水臭化ニッケルとを、溶媒存在下に、加熱、攪拌することにより製造することができる。
【0106】
例えば、銅錯体を製造する場合、日本化学会編(丸善)「第5版実験化学講座」第21巻、有機遷移金属化合物、超分子錯体、357頁(2004年)に記載の方法に従って、化合物(II)と塩化銅(I)を反応させることにより製造することができる。また、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J.Org.Chem.)、第63巻、6090頁、1998年に記載の方法に従い、化合物(II)とテトラキス(アセトニトリル)銅(I)過塩素酸塩をジクロロメタン中で攪拌することにより製造することができる。
【0107】
ロジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる(以下の遷移金属錯体の式中、Lは本発明の化合物(II)、Arは置換基を有していてもよいベンゼン、Cp*はペンタメチルシクロペンタジエニル、Cpはシクロペンタジエニル、codは1,5-シクロオクタジエン、Tfはトリフルオロメタンスルホニル、nbdはノルボルナジエン、Phはフェニル、Acはアセチル、Etはエチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミド、2-methylallylはη3-2-メチルアリル、enはエチレンジアミン、dpenは1,2-ジフェニルエチレンジアミン、daipenは1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソプロピル-1,2-エチレンジアミン、nは1以上の整数を示す)。
【0108】
1,2-ジフェニルエチレンジアミンおよび1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソプロピル-1,2-エチレンジアミンは、(R)体、(S)体および(R)体と(S)体の混合物(両者の比率は限定しない)が含まれるが、光学活性体であるものが好ましい。
[RhCl(L)]2、[RhBr(L)]2、[RhI(L)]2、[RhCp*(L)]2、[Rh(cod)(L)]OTf、[Rh(cod)(L)]BF4、[Rh(cod)(L)]ClO4、[Rh(cod)(L)]PF6、[Rh(cod)(L)]BPh4、[Rh(nbd)(L)]OTf、[Rh(nbd)(L)]BF4、[Rh(nbd)(L)]ClO4、[Rh(nbd)(L)]PF6、[Rh(nbd)(L)]BPh4、[Rh(L)(CH3OH)2]OTf、[Rh(L)(CH3OH)2]BF4、[Rh(L)(CH3OH)2]ClO4、[Rh(L)(CH3OH)2]PF6、[Rh(L)(CH3OH)2]BPh4
【0109】
ルテニウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
[RuCl2(L)]n、[RuBr2(L)]n、[RuI2(L)]n、[Ru(OAc)2(L)]、[Ru(O2CCF3)2(L)]、(NH2Me2)[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3]、(NH2Et2)[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3]、(NH2Me2)[{RuBr(L)}2(μ-Br)3]、(NH2Et2)[{RuBr(L)}2(μ-Br)3]、(NH2Me2)[{RuI(L)}2(μ-I)3]、(NH2Et2)[{RuI(L)}2(μ-I)3]、[Ru2Cl4(L)2(NEt3)]、[RuCl2(L)(dmf)n]、[Ru(2-methylallyl)2(L)]、[RuCl(Ar)(L)]Cl、[RuCl(Ar)(L)]Br、[RuCl(Ar)(L)]I、[RuCl(Ar)(L)]OTf、[RuCl(Ar)(L)]ClO4、[RuCl(Ar)(L)]PF6、[RuCl(Ar)(L)]BF4、[RuCl(Ar)(L)]BPh4、[RuBr(Ar)(L)]Cl、[RuBr(Ar)(L)]Br、[RuBr(Ar)(L)]I、[RuI(Ar)(L)]Cl、[RuI(Ar)(L)]Br、[RuI(Ar)(L)]I、[Ru(L)](OTf)2、[Ru(L)](BF4)2、[Ru(L)](ClO4)2、[Ru(L)](PF6)2、[Ru(L)](BPh4)2、[RuH(L)2]Cl、[RuH(L)2]OTf、[RuH(L)2]BF4、[RuH(L)2]ClO4、[RuH(L)2]PF6、[RuH(L)2]BPh4、[RuH(CH3CN)(L)]Cl、[RuH(CH3CN)(L)]OTf、[RuH(CH3CN)(L)]BF4、[RuH(CH3CN)(L)]ClO4、[RuH(CH3CN)(L)]PF6、[RuH(CH3CN)(L)]BPh4、[RuCl(L)]OTf、[RuCl(L)]BF4、[RuCl(L)]ClO4、[RuCl(L)]PF6、[RuCl(L)]BPh4、[RuBr(L)]OTf、[RuBr(L)]BF4、[RuBr(L)]ClO4、[RuBr(L)]PF6、[RuBr(L)]BPh4、[RuI(L)]OTf、[RuI(L)]BF4、[RuI(L)]ClO4、[RuI(L)]PF6、[RuI(L)]BPh4、[RuCl2(L)(en)]、[RuCl2(L)(dpen)]、[RuCl2(L)(daipen)]、[RuH(η1-BH4)(L)(en)]、[RuH(η1-BH4)(L)(daipen)]、[RuH(η1-BH4)(L)(dpen)]
【0110】
前記の[RuCl2(L)(en)]、[RuCl2(L)(dpen)]および[RuCl2(L)(daipen)]中のジアミン配位子であるen、dpenおよびdaipenに相当するジアミン配位子の例として、これらの他にも、1,2-シクロヘキサンジアミン、1,2-シクロヘプタンジアミン、2,3-ジメチルブタンジアミン、1-メチル-2,2-ジフェニル-1,2-エチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジフェニル-1,2-エチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジフェニル-1,2-エチレンジアミン、1,1-ジ(4-アニシル)-2-メチル-1,2-エチレンジアミン、1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソブチル-1,2-エチレンジアミン、1,1-ジ(4-アニシル)-2-ベンジル-1,2-エチレンジアミン、1-メチル-2,2-ジナフチル-1,2-エチレンジアミン、1-イソブチル-2,2-ジナフチル-1,2-エチレンジアミン、1-イソプロピル-2,2-ジナフチル-1,2-エチレンジアミン、プロパンジアミン、ブタンジアミン、フェニレンジアミンなどを用いることができる。
【0111】
イリジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
[IrCl(L)]2、[IrBr(L)]2、[IrI(L)]2、[IrCp*(L)]2、[Ir(cod)(L)]OTf、[Ir(cod)(L)]BF4、[Ir(cod)(L)]ClO4、[Ir(cod)(L)]PF6、[Ir(cod)(L)]BPh4、[Ir(nbd)(L)]OTf、[Ir(nbd)(L)]BF4、[Ir(nbd)(L)]ClO4、[Ir(nbd)(L)]PF6、[Ir(nbd)(L)]BPh4
【0112】
パラジウム錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
[PdCl2(L)]、[PdBr2(L)]、[PdI2(L)]、[Pd(π-allyl)(L)]Cl、[Pd(π-allyl)(L)]OTf、[Pd(π-allyl)(L)]BF4、[Pd(π-allyl)(L)]ClO4、[Pd(π-allyl)(L)]PF6、[Pd(π-allyl)(L)]BPh4、[Pd(L)](OTf)2、[Pd(L)](BF4)2、[Pd(L)](ClO4)2、[Pd(L)](PF6)2、[Pd(L)](BPh4)2、[Pd(L)2]、[Pd(L)(H2O)2](OTf)2、[Pd(L)(H2O)2](BF4)2、[Pd(L)(H2O)2](ClO4)2、Pd(L)(H2O)2](PF6)2、[Pd(L)(H2O)2](BPh4)2、[{Pd(L)}2(μ-OH)2](OTf)2、[{Pd(L)}2(μ-OH)2](BF4)2、[{Pd(L)}2(μ-OH)2](ClO4)2、[{Pd(L)}2(μ-OH)2](PF6)2、[{Pd(L)}2(μ-OH)2](BPh4)2
【0113】
ニッケル錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
[NiCl2(L)]、[NiBr2(L)]、[NiI2(L)]、[Ni(π-allyl)(L)]Cl、[Ni(cod)(L)]、[Ni(nbd)(L)]
【0114】
銅錯体の具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
[CuCl(L)]、[CuBr(L)]、[CuI(L)]、[CuH(L)]、[Cu(η1-BH4)(L)]、[Cu(Cp)(L)]、[Cu(Cp*)(L)]、[Cu(L)(CH3CN)2]OTf、[Cu(L)(CH3CN)2]BF4、[Cu(L)(CH3CN)2]ClO4、[Cu(L)(CH3CN)2]PF6、[Cu(L)(CH3CN)2]BPh4
【0115】
本発明の遷移金属錯体のうち、特に好ましいものは、
(1) [Ru(OAc)2(L)];
(2) [RuCl2(L)(dmf)n];
(3) [RuCl(Ar)(L)]Cl;
(4) [Ru(2-methylallyl)2(L)];
(5) [RuCl2(L)(X)];
(6) (NH2Et2)[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3];
(7) [Rh(Y)(L)]Z;
(8) [PdCl2(L)];または
(9) [{Pd(L)}2(μ-OH)2]Z2
〔Lは2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2’-ビス〔ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ〕-1,1’-ビナフチル、2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチルまたは2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル、Acはアセチル、dmfはN,N-ジメチルホルムアミド、nは1以上の整数、Arは置換基を有していてもよいベンゼン、2-methylallylはη3-2-メチルアリル、Xはエチレンジアミン、1,2-ジフェニルエチレンジアミンまたは1,1-ジ(4-アニシル)-2-イソプロピル-1,2-エチレンジアミン、Yは1,5-シクロオクタジエンまたはノルボルナジエン、Zはカウンターアニオンでトリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボレート、パークロレート、ヘキサフルオロホスフェートまたはテトラフェニルボレートを示す。〕などである。
【0116】
上記のArで表される「置換基を有していてもよいベンゼン」の置換基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどのC1-6アルキル基が挙げられ、これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。Arとしては、ベンゼンが好ましい。
【0117】
上記のようにして得られた本発明の遷移金属錯体を触媒として使用する場合は、錯体の純度を高めてから使用してもよいが、錯体を精製することなく使用してもよい。
【0118】
また、本発明の遷移金属錯体を触媒として使用する場合は、該「遷移金属錯体」を不斉合成反応の反応系内で用時調製しても良いし、前もって調製単離した物を用いても良い。
【0119】
本発明の遷移金属錯体を不斉還元反応等の不斉合成反応に用いることにより、目的の立体を有する化合物の製造が可能である。以下、反応例を示す。
【0120】
1.ケトンの不斉還元(1)
【0121】
【化34】

【0122】
〔式中、環Cは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基を、*は不斉炭素の位置を示す。〕
【0123】
化合物(VI)を本発明の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことにより、光学活性化合物(VII)を得ることができる。
【0124】
環Cの置換基とは、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0125】
また、環Cの置換基がそれぞれ結合してベンゼン環を形成していてもよい。
【0126】
で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0127】
で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「置換基」とは、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0128】
化合物(VI)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(VI)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
【0129】
化合物(VI)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.1MPaから5MPaである。
【0130】
化合物(VI)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にイソプロパノールが好ましい。
【0131】
化合物(VI)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
【0132】
化合物(VI)の不斉還元反応においては、塩基を添加して行うのが望ましく、該「塩基」としては、無機塩基が好ましく、なかでも、水酸化カリウム、カリウム イソプロポキシド、カリウム tert-ブトキシドなどがより好ましく、とりわけ、カリウム tert-ブトキシドが特に好ましい。該「塩基」の使用量は化合物(VI)1モルに対し、約0.001ミリモルないし約10モル、好ましくは、約1ミリモルないし約100ミリモルである。
【0133】
また、化合物(VI)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
【0134】
2.オレフィンの不斉還元(1)
【0135】
【化35】

【0136】
〔式中、環Dは置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、*は不斉炭素の位置を示す。〕
【0137】
化合物(VIII)を本発明の遷移金属錯体の存在下、還元反応(水素化反応)に付すことにより、医薬の合成中間体として有用な光学活性化合物(IX)を得ることができる。
【0138】
環Dの置換基とは、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(例えば、メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0139】
で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「C1−6アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0140】
で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」の「置換基」とは、ニトロ、ニトロソ、シアノ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)、ホルミル、C1−6アルキル−カルボニル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイルなど)、C1−6アルコキシ−カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなど)、カルボキシル、N-モノC1−6アルキル−カルバモイル基(例えば、N-メチルカルバモイル、N-エチルカルバモイル、N-プロピルカルバモイル、N-イソプロピルカルバモイル、N-ブチルカルバモイル、N-イソブチルカルバモイル、N-tert-ブチルカルバモイルなど)、N,N-ジC1−6アルキルカルバモイル基(例えば、N,N-ジメチルカルバモイル、N,N-ジエチルカルバモイル、N,N-ジプロピルカルバモイル、N,N-ジイソプロピルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルなど)などが挙げられる。これらの置換基から選ばれる1ないし3個を置換可能な位置に有していてもよい。
【0141】
化合物(VIII)および化合物(IX)の塩としては、前記の化合物(I)および化合物(IV)の塩と同様のものが用いられる。
【0142】
化合物(VIII)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(VIII)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
【0143】
化合物(VIII)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.1MPaから5MPaである。
【0144】
化合物(VIII)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にエタノールが好ましい。
【0145】
化合物(VIII)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
【0146】
また、化合物(VIII)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
【0147】
3.ケトンの不斉還元(2)
【0148】
【化36】

【0149】
〔式中、環Eおよび環Fはそれぞれ置換基を有していてもよいベンゼン環、Rは置換基を有していてもよいアミノ基、*は不斉炭素の位置を示す。〕
【0150】
化合物(X)を本発明の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことにより、光学活性化合物(XI)を得ることができる。
【0151】
環Eおよび環Fが有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有していてもよいC1−6アルキル基(メチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)を有していてもよいC1−6アルコキシ基(メトキシ、トリクロロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)等があげられる。なかでも、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)およびC1−6アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、ヘキシルオキシなど)等が好ましい。
【0152】
で表される「置換基を有していてもよいアミノ基」の「置換基」としては、C1−6アルキル基(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなど)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、C1−6アシル基(ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリルなど)、保護基(ベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニルなど)が挙げられ、置換基の数は1または2である。
【0153】
化合物(X)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(X)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
【0154】
化合物(X)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.1MPaから5MPaである。
【0155】
化合物(X)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にイソプロパノールが好ましい。
【0156】
化合物(X)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
【0157】
化合物(X)の不斉還元反応においては、塩基を添加して行うのが望ましく、該「塩基」としては、無機塩基が好ましく、なかでも、水酸化カリウム、カリウム イソプロポキシド、カリウム tert-ブトキシドなどがより好ましく、とりわけ、カリウム tert-ブトキシドが特に好ましい。該「塩基」の使用量は化合物(X)1モルに対し、約0.001ミリモルないし約10モル、好ましくは、約1ミリモルないし約100ミリモルである。
【0158】
また、化合物(X)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
【0159】
4.オレフィンの不斉還元(2)
【0160】
【化37】

【0161】
〔式中、環Gはさらに置換基を有していてもよいベンゼン環、R10は置換基を有していてもよいアミノ基、R11は水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、*は不斉炭素の位置を示す。〕
【0162】
化合物(XII)を本発明の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことにより、光学活性化合物(XIII)を得ることができる。
【0163】
10で表される「置換基を有していてもよいアミノ基」としては、上記のRで表される「置換基を有していてもよいアミノ基」と同様のものがあげられる。
【0164】
11で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」としては、上記のRで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」と同様のものがあげられる。
【0165】
化合物(XII)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(XII)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
【0166】
化合物(XII)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.1MPaから5MPaである。
【0167】
化合物(XII)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にエタノールが好ましい。
【0168】
化合物(XII)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
【0169】
また、化合物(XII)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
【0170】
5.オレフィンの不斉還元(3)
【0171】
【化38】

【0172】
〔式中、R12およびR13は同一または異なって水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、*は不斉炭素の位置を示す。〕
【0173】
化合物(XIV)を本発明の遷移金属錯体の存在下、還元反応に付すことにより、光学活性化合物(XV)を得ることができる。
【0174】
12およびR13で表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」としては、上記のRで表される「置換基を有していてもよいC1−6アルキル基」と同様のものがあげられる。
【0175】
化合物(XIV)の不斉還元反応において、本発明の遷移金属錯体の使用量は化合物(XIV)1モルに対し、約0.01ミリモルないし約1モル、好ましくは、約1ミリモルないし約10ミリモルである。
【0176】
化合物(XIV)の不斉還元反応において、水素源としては、水素ガスを用いる。反応中の水素圧は約0.1MPaないし10MPa、好ましくは約0.1MPaから5MPaである。
【0177】
化合物(XIV)の不斉還元反応は、溶媒中で行われる。用いられる溶媒としては、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、炭化水素系溶媒(例、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(例、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(例、酢酸エチル、酢酸イソプロピル)、ケトン系溶媒(例、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系溶媒(例、アセトニトリル、プロピオニトリル等)、スルホキシド系溶媒(例、ジメチルスルホキシド等)およびアミド系溶媒(例、N,N-ジメチルホルムアミド等)から選ばれる溶媒あるいはこれら二種以上の混合溶媒があげられる。なかでも、アルコール系溶媒(例、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール等)、特にエタノールが好ましい。
【0178】
化合物(XIV)の不斉還元反応における反応温度は、約0℃ないし約180℃、なかでも約20℃ないし約100℃で行うのが好ましい。
【0179】
また、化合物(XIV)の不斉還元反応は、同条件下で、本発明の遷移金属錯体以外の通常用いられる遷移金属錯体を用いて行うこともできる。本発明以外の遷移金属錯体としては、例えば、遷移金属がロジウム、ルテニウム、ニッケル、コバルトである遷移金属錯体があげられる。
【0180】
また、上記の反応の他に、β-ケトエステルの不斉フッ素化反応、オレフィンの異性化反応等に本発明の遷移金属錯体を用いることができ、医薬の合成中間体として有用な光学活性化合物の製造を可能とした。
【実施例】
【0181】
以下に実施例および参考例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本明細書中、室温は、10℃ないし35℃を示す。なお、実施例の各物性の測定には次の機器を用いた。1H核磁気共鳴スペクトル(1H-NMR):DPX300(ブルカー社製)、内部基準物質:テトラメチルシラン(TMS)、CD2Cl213C核磁気共鳴スペクトル(13C-NMR):DPX300(ブルカー社製)、内部基準物質:CDCl3、CD2Cl231P核磁気共鳴スペクトル(31P-NMR):DPX300(ブルカー社製)、外部基準物質:85%H3PO4水溶液。質量分析:JMS-700T(日本電子社製)。元素分析:vario EL(elementar社製)。融点:530(ビュッヒ社製)。旋光計:P-1030(日本分光社製)。
【0182】
TOF(moL/moL・h、触媒回転効率)については、反応により消費される水素の圧力変化を基質の変換率に換算し、一定時間に変換する基質量を触媒量で除して算出した。
【0183】
参考例1
(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル
(S)-1,1’-ビ-2-ナフトール(26.2 g, 91 mmoL)のアセトニトリル(130 mL)溶液に、ピリジン(19.5 g, 2.7 当量)を室温で加えた。ついでトリフルオロメタンスルホン酸無水物(64.2 g, 2.5 当量)を5℃で加え、5ないし10℃で2時間撹拌した。3℃で水(100 mL)を加え、ついで酢酸エチル(130 mL)を加えた後、室温で30分攪拌した。反応液を分液し、有機層を水(50 mL)で洗浄後、減圧濃縮した。残渣にジイソプロピルエーテル(150 mL)および活性炭(0.25 g)を加え60℃で30分攪拌した。活性炭をろ去し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘプタンより再結晶し、表題化合物(48.9 g,白色結晶)を得た。収率97%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 7.33 (d, 2H, J = 8.14 Hz), 7.34-7.46 (m, 2H), 7.57-7.63 (m, 2H), 7.68 (d, 2H, J = 9.09 Hz), 8.03 (d, 2H, J = 8.23 Hz), 8.16 (d, 2H, J = 9.08 Hz).
【0184】
参考例2
4-ブロモ-N,N,2,6-テトラメチルアニリン
【0185】
【化39】

【0186】
4-ブロモ-2,6-ジメチルアニリン(50 g, 0.250 moL)およびギ酸(375 g, 32.6 当量)溶液に37%ホルムアルデヒド(50.7 g, 2.5 当量)を23℃で加えた後、還流下で2時間攪拌した。溶媒を減圧留去した。酢酸エチル(200 mL)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(500 mL)を加え、分液し、有機層を水(100 mL)、5%炭酸水素ナトリウム水溶液(100 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を減圧蒸留し、表題化合物(52.0 g, 無色液体)を得た。収率91%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 2.26 (s, 6H), 2.79 (s, 6H), 7.12 (s, 2H).
【0187】
実施例1
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィンオキサイド
【0188】
【化40】

【0189】
アルゴン雰囲気下、マグネシウム(2.4 g, 0.75 当量)、少量のヨウ素および少量の1,2-ジブロモエタンのテトラヒドロフラン(15 mL)溶液を室温で1時間撹拌した。参考例2で合成した4-ブロモ-N,N,2,6-テトラメチルアニリン(31.2 g, 0.137 moL)のテトラヒドロフラン(50 mL)溶液を25℃ないし30℃で1時間かけて加えた後、40℃で1時間攪拌した。ついで亜リン酸ジエチル(4.69 g, 0.25 当量)のテトラヒドロフラン(15 mL)溶液を25℃ないし30℃で1時間かけて加えた。0℃ないし5℃で水(60 mL)を加え、ついでトルエン(100 mL)を加えた後、不溶物をろ別した。ろ液を分液し、有機層を水(30 mL)で洗浄した。ついで有機層を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 100 g、n-ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(4.6 g, 無色液体)を得た。収率40%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 2.30 (s, 12H), 2.82 (s, 12H), 7.28 (s, 2H), 7.33 (s, 2H), 7.89 (d, 1H, J = 474 Hz).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 19.32, 19.38, 126.09, 127.46, 131.00, 131.17, 132.43, 132.56, 137.09, 137.27, 153.79.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 22.51 (dquint, J = 474 Hz, 14 Hz).
【0190】
実施例2
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
【0191】
【化41】

【0192】
アルゴン雰囲気下、実施例1で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィンオキサイド(4.6 g, 14 mmoL)のトルエン(30 mL)溶液に室温でボラン-テトラヒドロフラン溶液(71 mL, 5.4 当量)を2時間かけて加えた。ついでシリカゲル(8.7 g, 10.8 当量)を加えた後、室温で1.5時間攪拌した。ついでシリカゲルをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 20 g、トルエン)で精製した。残渣をn-ヘキサンより再結晶し、表題化合物(3.0 g, 白色結晶)を得た。収率65%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.30-1.75 (m, 3H), 2.28 (s, 12H), 2.81 (s, 12H), 5.44-5.51 (m, 0.5H), 6.70-6.76 (m, 0.5H), 7.23 (s, 2H), 7.28 (s, 2H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 19.70, 42.69, 121.39, 122.17, 133.62, 133.75, 137.76, 137.9, 153.46.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -2.5- -1.5 (m), 0.2-1.2 (m).
【0193】
実施例3
(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0194】
【化42】

【0195】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(0.17 g, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(1.76 g, 3.21 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(2.14 g, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(25 mL)に、実施例2で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(2.52 g, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで105℃で96時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(1.86 g, 白色結晶)を得た。収率64%。融点 265℃。旋光度:[α]D = -76.5°(25℃, c = 1.00, CHCl3)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 2.04 (s, 12H), 2.07 (s, 12H), 2.74 (s, 24H), 6.63 (s, 2H), 6.66 (s, 2H), 6.73 (s, 1H), 6.76 (s, 1H), 6.84 (s, 2H), 6.86 (s, 3H), 7.27-7.33 (m, 3H), 7.54-7.58 (m, 2H), 7.78 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.86 (s, 1H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 19.01, 19.03, 42.43, 42.52, 125.03-137.14(m), 148.94, 149.87.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -15.52 (s).
質量分析 (EI-MS)
実測値; 905 [M-H]+
【0196】
参考例3
4-ブロモ-2,6-ジエチル-N,N-ジメチルアニリン
【0197】
【化43】

【0198】
4-ブロモ-2,6-ジエチルアニリン(30 g, 0.131 moL)およびギ酸(196 g, 4.27 moL)溶液に37%ホルムアルデヒド(26.7 g, 2.5 当量)を37℃で加えた後、還流下で3時間攪拌した。0℃でトルエン(100 mL)、8M 水酸化ナトリウム水溶液(150 mL)を加え、分液し、有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(50 mL)、水(50 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を減圧蒸留し、表題化合物(29.4 g, 微黄色液体)を得た。収率88%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.21 (t, 6H, J= 7.5Hz), 2.62 (q, 4H, J= 7.5Hz), 2.80 (s, 6H), 7.16 (s, 2H).
【0199】
実施例4
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィンオキサイド
【0200】
【化44】

【0201】
アルゴン雰囲気下、マグネシウム(2.8 g, 1.0 当量)、少量のヨウ素および少量の1,2-ジブロモエタンのテトラヒドロフラン(15 mL)溶液を室温で30分間撹拌した。参考例3で合成した4-ブロモ-2,6-ジエチル-N,N-ジメチルアニリン(29.4 g, 0.115 moL)のテトラヒドロフラン(50 mL)溶液を20℃ないし25℃で1時間かけて加えた後、40℃で1時間攪拌した。ついで亜リン酸ジエチル(4.01 g, 0.25 当量)のテトラヒドロフラン(8 mL)溶液を20℃ないし25℃で1時間かけて加えた。5℃ないし10℃で水(90 mL)を加え、ついで酢酸エチル(100 mL)を加えた。分液し、ついで有機層を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 100 g、n-ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、表題化合物(8.34 g, 無色液体)を得た。収率72%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.20 (t, 12H, J= 8Hz), 2.67 (q, 8H, J= 8Hz), 2.83 (s, 12H), 7.38 (d, 4H, J= 14Hz), 7.98 (d, 1H, J= 474Hz).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 15.18, 15.31, 25.01, 43.31, 43.40, 126.84, 127.01, 128.37, 129.35, 129.51, 131.00, 144.24, 144.42, 152.93, 152.97.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 22.70 (dquint, J = 474 Hz, 14 Hz).
質量分析 (EI-MS)
実測値; 400 [M]+
【0202】
実施例5
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
【0203】
【化45】

【0204】
アルゴン雰囲気下、実施例4で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィンオキサイド(8.12 g, 20 mmoL)のトルエン(48 mL)溶液に25℃ないし30℃でボラン-テトラヒドロフラン溶液(68 mL, 3.5 当量)を2時間かけて加えた。ついでシリカゲル(8.3 g, 7.0 当量)を加えた後、室温で1時間攪拌した。ついでシリカゲルをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 50 g、トルエン)で精製し、表題化合物(5.1 g, 無色オイル)を得た。収率64%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.32-1.65 (m, 3H), 1.20 (t, 12H, J= 8Hz), 2.66 (q, 8H, J= 8Hz), 2.82 (s, 12H), 6.20 (dq, 1H, J= 376Hz, J= 7Hz), 7.34 (d, 4H, J= 12Hz).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 15.24, 24.99, 25.59, 43.33, 67.91, 121.94, 122.71, 131.57, 131.70, 144.44, 144.58, 152.12, 152.16.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -2.6- -1.5 (m), 0.2-1.2 (m).
【0205】
実施例6
(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0206】
【化46】

【0207】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(0.28 g, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(2.93 g, 5 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(3.61 g, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(30 mL)に、実施例5で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(4.79 g, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで105℃で96時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(4.30 g, 帯黄白色粉末)を得た。収率84%。旋光度:[α]D= -32.2°(25℃, c = 1.01, CHCl3)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.00 (s, 24H), 2.43‐2.45 (m, 16H), 2.74-2.76 (m, 24H), 6.46-8.01 (m, 20H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 15.48, 24.86, 24.97, 43.62, 43.75, 125.22-148.94(m).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -14.44 (s).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 1017 [M-H]+, 1019 [M+H]+, 1057 [M+K]+
【0208】
参考例4
4-ブロモ-2,6-ジイソプロピル-N,N-ジメチルアニリン
【0209】
【化47】

【0210】
2,6-ジイソプロピルアニリン(25 g, 0.141 moL)のトルエン(25 mL)溶液にジメチルスルホキシド (12.1 g, 1.1 当量)を加えた後、90℃に加熱した。同温度で48% 臭化水素酸水溶液 (26.1 g, 1.1 当量)を30分間で滴下した。ついで86℃で3時間攪拌し、100℃で2時間攪拌した。0℃で水(20 mL)を加えた後、1M 水酸化ナトリウム水溶液(30 mL)を滴下した。分液し、有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(50 mL)で洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣を減圧蒸留し、4-ブロモ-2,6-ジイソプロピルアニリン(29.4 g, 薄黄色液体)を得た。上記で合成した4-ブロモ-2,6-ジイソプロピルアニリンおよびギ酸(189 g, 4.11 moL)溶液に37%ホルムアルデヒド(23.1 g, 2.5 当量)を32℃で加えた後、還流下で2時間攪拌した。0℃でトルエン(100 mL)、8M 水酸化ナトリウム水溶液(150 mL)を加え、分液し、有機層を1M 水酸化ナトリウム水溶液(50 mL)、水(50 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー精製し、表題化合物(35.0 g, 無色固体)を得た。収率95%。
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.20 (d, 12H, J= 6.9Hz), 2.82 (s, 6H), 3.31(septet, 2H, J= 6.9Hz), 7.20 (s, 2H).
【0211】
実施例7
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィンオキサイド
【0212】
【化48】

【0213】
アルゴン雰囲気下、マグネシウム(2.4 g, 0.75 当量)、少量のヨウ素および少量の1,2−ジブロモエタンのテトラヒドロフラン(15 mL)溶液を室温で1時間撹拌した。参考例4で合成した4-ブロモ-2,6-ジイソプロピル-N,N-ジメチルアニリン(34.9 g, 0.123 moL)のテトラヒドロフラン(80 mL)溶液を25℃ないし35℃で1時間かけて加えた後、40℃で1時間攪拌した。ついで亜リン酸ジエチル(4.23 g, 0.25 当量)のテトラヒドロフラン(10 mL)溶液を20℃ないし25℃で1時間かけて加えた。5℃ないし10℃で水(30 mL)を加え、ついで酢酸エチル(50 mL)を加えた後、不溶物をろ別した。ろ液に水(30 mL)を加え、ついで酢酸エチル(100 mL)を加えて分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ついで有機層を減圧濃縮した。残渣をn-ヘキサンより再結晶し、表題化合物(8.95 g, 白色固体)を得た。収率63%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.19 (dd, J = 7Hz, 1Hz, 24H), 2.84 (s, 12H), 3.35 (septet, J = 6Hz, 4H), 7.40 (d, J = 14Hz, 4H), 8.02 (d, 1H, J = 474 Hz).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 24.14, 24.32, 28.34, 43.71, 43.92, 126.65, 126.81, 127.92, 129.27, 149.89, 150.06, 151.45, 151.49.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 22.93 (dquint, J = 474 Hz, 14 Hz).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 457 [M+H]+, 495 [M+K]+.
【0214】
実施例8
ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
【0215】
【化49】

【0216】
アルゴン雰囲気下、実施例7で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィンオキサイド(8.08 g, 18 mmoL)のトルエン(48 mL)溶液に25℃ないし30℃でボラン-テトラヒドロフラン溶液(60 mL, 3.3 当量)を2時間かけて加えた。ついでシリカゲル(7.0 g, 6.3 当量)を加えた後、室温で1時間攪拌した。ついでシリカゲルをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をn-ヘキサンより再結晶し、表題化合物(5.5 g, 白色結晶)を得た。収率67%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.45-1.75 (m, 3H), 1.18 (dd, J = 7Hz, 2Hz, 24H), 2.83 (s, 12H), 3.33 (septet, J = 7Hz, 4H), 5.57-5.64 (m, 0.5H), 6.82-6.89 (m, 0.5H), 7.34 (d, J = 12Hz, 4H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 24.14, 24.32, 28.34, 43.71, 43.92, 126.65, 126.81, 127.92, 129.27, 149.89, 150.06, 151.46, 151.49.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -2.6- -1.5 (m), 0.5-1.5 (m).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 453 [M-H]+, 493 [M+K]+.
【0217】
実施例9
(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0218】
【化50】

【0219】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(0.25 g, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(2.63 g, 5.0 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(3.25 g, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(26 mL)に、実施例8で合成したビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(5.03 g, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで105℃で96時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(2.26 g, 帯赤白色結晶)を得た。収率41%。融点 265℃。旋光度:[α]D = -2.7°(25℃, c = 1.00, CHCl3)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.97-1.19 (m, 48H), 2.74-2.85 (m, 24H), 3.10-3.32 (m, 8H), 6.63-7.85 (m, 20H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 24.07, 24.20, 28.13, 28.31, 44.09, 44.25, 127.52-147.94 (m).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -14.90 (s).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 1129 [M-H]+, 1131 [M+H]+, 1169 [M+K]+.
【0220】
実施例10
ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィンオキサイド
【0221】
【化51】

【0222】
窒素気流下、マグネシウム(5.3 g, 1.00 当量)、少量のヨウ素および少量の1,2−ジブロモエタンのテトラヒドロフラン(30 mL)溶液を室温で30分間撹拌した。4-ブロモ-N,N-ジエチルアニリン(49.7 g, 0.217 moL)のテトラヒドロフラン(100 mL)溶液を25℃ないし35℃で1時間かけて加えた後、40℃で40分間攪拌した。ついで亜リン酸ジエチル(9.20 g, 0.30 当量)のテトラヒドロフラン(20 mL)溶液を20℃ないし25℃で15分間かけて加えた。3℃ないし15℃で6M 塩酸(30 mL)及び水(30 mL)を加え、ついで酢酸エチル(100 mL)を加えた後、分液し有機層を水(30 mL)、5%-炭酸水素ナトリウム水溶液(30 mL)、飽和食塩水(30 mL)の順で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ついで有機層を減圧濃縮した。残渣をn-ヘプタンより再結晶し、表題化合物(19.82 g, 白色結晶)を得た。収率87%。融点129.1℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.16 (t, J = 7 Hz, 12H), 3.28 (q, J = 7 Hz, 8H), 6.67 (dd, J = 2 Hz, 6 Hz, 4H), 7.47 (dd, J = 13 Hz, 9 Hz, 4H), 7.93 (d, J = 468 Hz, 1H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 12.82, 44.71, 111.20, 111.37, 116.02, 117.51, 132.79, 132.96, 150.66, 150.68.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 22.70 (dquint, J = 468 Hz, 13 Hz).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 345 [M+H]+, 367 [M+Na]+, 383 [M+K]+.
【0223】
実施例11
ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
【0224】
【化52】

【0225】
窒素気流下、実施例10で合成したビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィンオキサイド(3.76 g, 10 mmoL)のテトラヒドロフラン(35 mL)溶液に25℃ないし30℃でボラン-テトラヒドロフラン溶液(35 mL, 3.3 当量)を2時間かけて加えた。ついでシリカゲル(6.3 g, 9.7 当量)を加えた後、室温で3時間攪拌した。ついでシリカゲルをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル(1/1)より再結晶し、表題化合物(1.8 g, 白色結晶)を得た。収率49%。融点108.5℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.50-1.50 (m, 3H), 1.14 (t, J = 7 Hz, 12H), 3.34 (q, J = 7 Hz, 8H), 5.53-5.59 (m, 0.5H), 6.62-6.66 (m, 4H), 6.77-6.84 (m, 0.5H), 7.41-7.48 (m, 4H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 12.42, 44.28, 109.64, 110.52, 111.27, 111.42, 134.12, 134.26, 149.62.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -7.7- -4.7 (m), -4.6- -1.7 (m).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 341 [M-H]+, 343 [M+H]+, 365 [M+Na]+. 381 [M+K]+.
【0226】
実施例12
(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0227】
【化53】

【0228】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(0.13 g, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(1.31 g, 2.3 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(1.60 g, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(15 mL)に、実施例11で合成したビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(1.86 g, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで105℃で114時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(0.49 g, 濃灰色粉末)を得た。収率23%。旋光度:[α]D = -22.8°(25℃, c = 0.20, CHCl3)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.07-1.16 (m, 24H), 3.21-3.36 (m, 16H), 6.30-7.92 (m, 28H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 13.10, 13.13, 44.66, 111.68, 112.09, 125.42, 125.85, 127.74, 127.99, 128.19, 130.84, 133.34, 133.94, 134.72, 134.85, 135.00, 136.17, 136.32, 136.48, 148.02.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -17.86 (s).
質量分析 (EI-MS)
実測値; 906 [M+], 905 [M-H]+.
【0229】
参考例5
N-(4-ブロモフェニル)ピロリジン
【0230】
【化54】

【0231】
N-フェニルピロリジン(73.8 g, 0.501 moL)のテトラヒドロフラン溶液(500 mL)にN-ブロモスクシンイミド(124.8 g, 1.4 当量)を20℃ないし30℃で加え、同温度で4時間撹拌した。27℃で1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(300 mL)を加え、分液し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をメタノールより再結晶し、表題化合物(97.4 g, 褐色結晶)を得た。収率86%。融点88.1℃。
1H-NMR (300MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.94-2.02 (m, 4H), 3.19-3.26 (m, 4H), 6.39(d, J= 8 Hz, 2H), 7.25(d, J= 8 Hz, 2H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 25.95, 48.14, 113.66, 132.15.
質量分析 (EI-MS)
実測値; 225 [M]+, 224 [M-H]+.
【0232】
実施例13
ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィンオキサイド
【0233】
【化55】

【0234】
窒素気流下、マグネシウム(9.7 g, 1.0 当量)、少量のヨウ素および少量の1,2−ジブロモエタンのテトラヒドロフラン(60 mL)溶液を室温で30分間撹拌した。参考例5で合成したN-(4-ブロモフェニル)ピロリジン(90.5 g, 0.400 moL)のテトラヒドロフラン(200 mL)溶液を20℃ないし40℃で1時間かけて加えた後、40℃で40分間攪拌した。ついで亜リン酸ジエチル(16.80 g, 0.30 当量)のテトラヒドロフラン(40 mL)溶液を20℃ないし30℃で15分間かけて加えた。-15℃ないし10℃で6M 塩酸(60 mL)及び水(60 mL)を加え、ついで酢酸エチル(200 mL)及びアセトン(100 mL)を加えた後、分液し有機層を飽和食塩水(60 mL)で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、自然ろ過し、ついで有機層を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルより再結晶し、表題化合物(2.91 g, 淡黄白色結晶)を得た。収率7%。融点199.0℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.98-2.02 (m, 8H), 3.28-3.32 (m, 8H), 6.54-6.57 (m, 4H), 7.44-7.51 (m, 4H), 7.95 (d, J = 468 Hz, 1H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 25.84, 47.84, 111.64, 111.82, 116.26, 117.76, 132.68, 132.85, 150.57.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 23.28 (dquint, J = 468 Hz, 13 Hz).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 340 [M]+, 339 [M-H]+.
【0235】
実施例14
ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィン-ボラン錯体
【0236】
【化56】

【0237】
窒素気流下、実施例13で合成したビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィンオキサイド(2.50 g, 7.34 mmoL)のテトラヒドロフラン溶液(25 mL)に25℃ないし30℃でボラン-テトラヒドロフラン溶液(29 mL, 3.9 当量)を2.4時間かけて加えた。ついでシリカゲル(10.0 g, 22.6 当量)を加えた後、室温で1時間攪拌した。ついでシリカゲルをろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 25 g、ジクロロメタン)で精製し、表題化合物(0.7 g, 白色結晶)を得た。収率27%。融点178.3℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.35-1.55 (m, 3H), 1.90-2.03 (m, 8H), 3.23-3.30 (m, 8H), 5.55-5.61 (m, 0.5H), 6.52-6.55 (m, 4H), 6.79-6.86 (m, 0.5H), 7.42-7.48 (m,4H).
13C-NMR (75MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 25.43, 47.42, 110.01, 110.89, 111.69, 111.84, 133.97, 134.11, 149.61.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -6.7- -4.7 (m), -3.1- -1.1 (m).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 338 [M]+, 337 [M-H]+.
【0238】
実施例15
(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0239】
【化57】

【0240】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(34.3 mg, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(358.9 mg, 0.65 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(440.5 mg, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(4 mL)に、実施例14で合成したビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィン-ボラン錯体(512.0 mg, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで105℃で127時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(367.0 mg, 濃灰色粉末)を得た。収率62%。旋光度:[α]D = -185°(25℃, c = 0.20, CHCl3)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 1.91-2.00 (m, 16H), 3.20-3.30 (m, 16H), 6.26-7.83 (m,28H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3, CDCl3) δ: 25.90, 47.88, 111.80, 111.85, 111.99, 125.69, 126.13, 127.91, 128.18, 131.03, 133.44, 134.48, 134.62, 134.76, 136.12, 147.56, 148.18.
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -17.45 (s).
質量分析 (FAB-MS)
実測値; 898 [M]+, 897 [M-H]+.
【0241】
実施例16
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)-N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](100.9 mg, 0.202 mmoL)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(379.5 mg, 0.418 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(4 mL)を加えて150℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.52 g, 赤褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 26.3(s), 27.0(s), 34.1(d, J=28Hz), 44.8(d, J=28Hz), 48.2(d, J=36Hz), 64.2(s), 71.5(s).
【0242】
実施例17
ジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)の合成
[Ru(OAc)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例16で合成したジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)-N,N-ジメチルホルムアミド錯体(502.2 mg, 0.435 mmoL)に酢酸ナトリウム(637.3 mg, 7.77 mmoL)のメタノール(6 mL)溶液を加えて、超音波を照射し20分間反応した。反応液にトルエン(6 mL)及び水(6 mL)を加え分液し、さらに有機層に水(6 mL)を加え分液後、有機層の溶媒を留去し、残渣にトルエン/n-へキサン混合溶媒を加えて再結晶して、表題化合物(256 mg, 橙色粉末)を得た。収率62%。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ: 1.77 (s, 12H), 1.85 (s, 6H), 2.34 (s, 12H), 2.52 (s, 12H), 2.90 (s, 12H), 6.6-6.7 (m, 4H), 6.7-6.8 (m, 2H), 6.9-7.1 (m, 2H), 7.2-7.3 (m, 2H), 7.3-7.4 (m, 2H), 7.5-7.6 (m, 2H), 7.6-7.7 (m, 2H).
13C-NMR (75 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ: 13.8, 18.7, 19.4, 22.6, 23.2, 31.5, 42.2, 124.5, 126.1, 126.6, 127.2, 127.3, 127.6, 128.1, 128.2, 128.6, 128.9, 129.8, 130.1, 130.4, 132.8, 133.0, 134.0, 134.1, 134.2, 135.4, 135.5, 135.6, 135.7, 138.2, 149.8, 150.9, 187.2.
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:61.4 (s).
【0243】
実施例18
η6-ベンゼン クロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)塩化物の合成
[RuCl(benzene)(L)]Cl L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](99.1 mg, 0.198 mmoL)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(365.6 mg, 0.403 mmoL)にエタノール(45 mL)およびベンゼン(6 mL)を加えて55℃で1時間攪拌した。ついで室温まで冷却後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧留去し、表題化合物(430 mg, 褐色の粉末)を得た。収率93%。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 27.3 (d, J= 62.2Hz), 34.5 (d, J= 62.4Hz).
【0244】
実施例19
{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ビス(η3-2-メチルアリル)ルテニウム(II)の合成
[Ru(2-methylallyl)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、(η22-1,5-シクロオクタジエン)ビス(η3-2-メチルアリル)ルテニウム(II)(160.8 mg, 0.503 mmoL)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(452.4 mg, 0.499 mmoL)にトルエン(2 mL)を加えて110℃で5時間攪拌した。ついで室温まで冷却後、反応液を減圧留去した。残渣をトルエン(1 mL)およびn-ヘキサン(5 mL)で洗浄すると、表題化合物(80 mg, 黄色の粉末)を得た。収率14%。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ: 1.51 (s, 2H), 1.70 (s, 12H), 2.17 (s, 6H), 2.23 (s, 12H), 2.27 (s, 4H), 2.30-2.50 (m, 14H), 2.82 (s, 12H), 6.2-6.3 (m, 4H), 7.1-7.3 (m, 4H), 7.3-7.4 (m, 2H), 7.5-7.6 (m, 10H).
13C-NMR (75 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ: 13.7, 18.8, 18.9, 24.1, 37.4, 41.5, 41.9, 42.2, 93.7, 124.3, 125.3, 125.4, 127.1, 128.1, 130.2, 132.2, 132.6, 132.9, 134.1, 134.7, 136.2, 137.0, 143.2, 148.8, 149.5.
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:34.5 (s).
【0245】
実施例20
1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-エタノンの不斉水素化
【0246】
【化58】

【0247】
実施例16で合成したジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)-N,N-ジメチルホルムアミド錯体(2.2 mg, 0.00195 mmoL)、(2S)-(+)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-3-メチル-1,2-ブタンジアミン(2.4 mg, 0.0078 mmoL)およびカリウム tert-ブトキシド(1.7 mg, 0.0156 mmoL)の2-プロパノール(1 mL)溶液に1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-エタノン(0.05 g、0.195 mmoL)の2-プロパノール(1 mL)溶液を加えた。水素圧1.0 MPa、25℃で12時間水素化を行った。反応混合物をGC(カラム:CHIRASIL-DEX CB、0.32mm×25 m)にて測定し、変換率 99.6%、光学純度 94.6%ee(R)であった。
【0248】
比較例1
1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-エタノンの不斉水素化
【0249】
【化59】

【0250】
実施例16と同様の方法で合成したジクロロ[(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]ルテニウム(II)-N,N-ジメチルホルムアミド錯体(1.7 mg, 0.00195 mmoL)、(2S)-(+)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-3-メチル-1,2-ブタンジアミン(2.4 mg, 0.0078 mmoL)およびカリウム tert-ブトキシド(1.7 mg, 0.0156 mmoL)の2-プロパノ-ル(1 mL)溶液に1-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)-エタノン(0.05 g、0.195 mmoL)の2-プロパノール(1 mL)溶液を加えた。水素圧1.0 MPa、25℃で12時間水素化を行った。反応混合物をGC(カラム:CHIRASIL-DEX CB、0.32mm×25 m)にて測定し、変換率 60.8%、光学純度 62.9%ee(R)であった。
【0251】
実施例21
2-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-N,N-ジメチル-アセタミドの不斉水素化
【0252】
【化60】

【0253】
実施例17で合成したジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)(9.2 mg, 0.00817 mmoL)、2-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-N,N-ジメチル-アセタミド(5.0114 g、20.42 mmoL)のエタノール(40 mL)溶液を室温で10分間攪拌した。水素圧1.0 MPa、25℃で水素化を行った。TOF(moL/moL・h、触媒回転効率)は、1538であった。反応混合物をHPLC(カラム:CHIRALCEL-OD、4.6mm×25 cm)にて測定し、変換率 99.9%、光学純度 98.1%ee(+)であった。
【0254】
比較例2
2-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-N,N-ジメチル-アセタミドの不斉水素化
【0255】
【化61】

【0256】
実施例17と同様の方法で合成したジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)(10.2 mg, 0.01069 mmoL)、2-(6-メトキシ-3,4-ジヒドロ-ナフタレン-2-イル)-N,N-ジメチル-アセタミド(5.0332 g、20.52 mmoL)のエタノール(40 mL)溶液を室温で10分間攪拌した。水素圧1.0 MPa、25℃で水素化を行った。TOF(moL/moL・h、触媒回転効率)は、844であった。反応混合物をHPLC(カラム:CHIRALCEL-OD、4.6mm×25 cm)にて測定し、変換率 99.9%、光学純度 98.4%ee(+)であった。
【0257】
参考例6
ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィンオキサイド
【0258】
【化62】

【0259】
アルゴン雰囲気下、マグネシウム(3.0 g, 1.0 当量)および少量のヨウ素のテトラヒドロフラン(30 mL)溶液を室温で1時間撹拌した。4-ブロモ-N,N-ジメチルアニリン(25 g, 0.125 moL)を45℃で加えた後、5℃で1時間攪拌した。ついで5℃で亜リン酸ジエチル(8.63 g, 0.50 当量)を加えた後、5℃で1時間撹拌した。3℃で水(30 mL)を加え、ついでトルエン(60 mL)、6M 塩酸(30 mL)を加えた後、室温で30分間攪拌した。反応液を分液し、水層を水酸化ナトリウムで中和しテトラヒドロフラン(30 mL)で抽出した。ついで合わせた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をジイソプロピルエーテルより再結晶し、表題化合物(9.53 g, 微褐白色結晶)を得た。収率52.9%。融点152.1℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 3.01 (s, 12H), 6.71 (d, 2H, J = 8.94 Hz), 6.72 (d, 2H, J = 8.94 Hz), 7.48 (d, 2H, J = 8.91 Hz), 7.52 (d, 2H, J = 8.88 Hz), 7.96 (d, 1H, J = 470.1 Hz).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: 22.78 (dquint, J = 469.2 Hz, 12.7 Hz).
元素分析 C16H21N2OPとして
計算値; C: 66.65, H: 7.34, N:9.72, P:10.74.
実測値; C: 66.56, H: 7.43, N:9.57, P:10.79.
【0260】
参考例7
ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン-ボラン錯体
【0261】
【化63】

【0262】
アルゴン雰囲気下、塩化セリウム(7.69 g, 3.0 当量)のテトラヒドロフラン(25 mL)溶液を室温(25℃)で30分間攪拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.22 g, 3.1 当量)を加えた後、室温で1時間攪拌した。ついで5℃にて参考例6で合成したビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィンオキサイド(3.0 g, 10.4 mmoL)および水素化リチウムアルミニウム(0.47 g, 1.2 当量)を順次加えた後、室温で3時間攪拌した。3℃で水(20 mL)を加え、ついでトルエン(40 mL)、6M 塩酸(10 mL)を加えた後、室温で30分間攪拌した。反応液を水酸化ナトリウムで中和し、分液した。水層をテトラヒドロフラン(50 mL)で抽出した。合わせた有機層を5%食塩水(20 mL)で順次洗浄した。ついで有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、自然ろ過し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル 5 g、n-ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製した。残渣をn-ヘプタンより再結晶し、表題化合物(0.61 g, 白色結晶)を得た。収率20.5%。融点142.6℃。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 0.43-1.33 (m, 3H), 3.03 (s, 12H), 6.26 (dq, 1H, J = 375.1 Hz, 6.57 Hz), 7.51 (d, 4H, J = 8.81 Hz), 7.54 (d, 4H, J = 8.81 Hz).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -6.40- -4.73 (m), -3.33- -1.66 (m).
【0263】
参考例8
(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
【0264】
【化64】

【0265】
アルゴン雰囲気下、[1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)-エタン]ジクロロニッケル(48 mg, 0.1 当量)と参考例1で合成した(S)-2,2'-ビス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)-1,1'-ビナフチル(507 mg, 0.92 mmoL)および1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(620 mg, 6.0 当量)のN,N-ジメチルホルムアミド溶液(5 mL)に、参考例7で合成したビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン-ボラン錯体(606 mg, 2.3 当量)を室温で加えた後、室温で30分間攪拌した。ついで110℃で129時間攪拌した。N,N-ジメチルホルムアミドを減圧留去し、残渣にメタノールを加えて、表題化合物(461 mg, 黄白色結晶)を得た。収率62.9%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3, TMS) δ: 2.88 (s, 24H), 6.43 (d, 4H, J = 6.79 Hz), 6.50-6.59 (m, 4H), 6.77-7.03 (m, 12H), 7.18-7.26 (m, 2H), 7.51 (d, 2H, J = 7.13 Hz), 7.78 (d, 2H, J = 7.56 Hz), 7.83 (d, 2H, J = 8.28 Hz).
31P-NMR (121 MHz, CDCl3, 85%H3PO4) δ: -18.00 (s).
【0266】
実施例22
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](99.9 mg, 0.1997 mmoL)及び参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(319.2 mg, 0.4015 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えて120℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.485 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 44.4(s), 63.4(s), 73.5(s), 74.4(s).
【0267】
実施例23
ジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)の合成
[Ru(OAc)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例22で合成したジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体(105.9 mg, 0.102 mmoL)に酢酸ナトリウム(320.1 mg, 3.9 mmoL)のメタノール(5 mL)溶液を加えて、超音波を照射し20分間反応した。反応液にトルエン(5 mL)及び水(5 mL)を加え分液し、水層にトルエン(5 mL)を加え分液した。全ての有機層に水(5 mL)を加え分液し、有機層の溶媒を留去した。トルエン/n-ヘキサン(10 mL)から再結晶化し、表題化合物(40.2 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:60.6 (s).
【0268】
実施例24
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](152.2 mg, 0.3043 mmoL)及び実施例6で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(616.0mg, 0.604 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えて120℃で3.5時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.7905 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 31.7(s), 39.9(d, J=26.1Hz), 46.2(d, J=26.5Hz), 50.2(q), 51.2(s), 66.7(s), 68.1(s).
【0269】
実施例25
ジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)の合成
[Ru(OAc)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例24で合成したジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル} ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体(128.6 mg, 0.102 mmoL)に酢酸ナトリウム(318.3 mg, 3.880 mmoL)のメタノール(5 mL)溶液を加えて、超音波を照射し20分間反応した。反応液にトルエン(5 mL)及び水(5 mL)を加え分液し、水層にトルエン(5 mL)を加え分液した。全ての有機層に水(5 mL)を加え分液し、有機層の溶媒を留去し、表題化合物(116.2 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:63.9 (s).
【0270】
実施例26
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](66.5 mg, 0.1330 mmoL)及び実施例9で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(300.5 mg, 0.2656 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えて120℃で3時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.3792 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 34.5(s), 44.0(s).
【0271】
実施例27
ジアセタト{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)の合成
[Ru(OAc)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例26で合成したジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体(146.5 mg, 0.1046 mmoL)に酢酸ナトリウム(322.6 mg, 3.933 mmoL)のメタノール(5 mL)溶液を加えて、超音波を照射し20分間反応した。反応液にトルエン(5 mL)及び水(5 mL)を加え分液し、水層にトルエン(5 mL)を加え分液した。全ての有機層に水(5 mL)を加え分液し、有機層の溶媒を留去し、表題化合物(152.3 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:65.5 (s).
【0272】
実施例28
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](26.6 mg, 0.0532 mmoL)及び実施例12で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(97.7 mg, 0.1077 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(6 mL)を加えて120℃で2時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.140 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 51.2(s).
【0273】
実施例29
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル)ルテニウム(II)−N,N-ジメチルホルムアミド錯体の合成
[RuCl2(L)(dmf)n] L=(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ)-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](27.0 mg, 0.054 mmoL)及び実施例15で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(97.3 mg, 0.1082 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(5 mL)を加えて120℃で2時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し、表題化合物(145 mg)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 52.6(s).
【0274】
実施例30
{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ビス(η3-2-メチルアリル)ルテニウム(II)の合成
[Ru(2-methylallyl)2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下(η22-1,5-シクロオクタジエン)ビス(η3-2-メチルアリル)ルテニウム(II)(19.4 mg,0.0607 mmoL)及び参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(55.0 mg ,0.0692 mmoL)にトルエン(2 mL)を加えて110℃で 14 時間攪拌した。ついで室温まで冷却後、ろ過し、ろ液を減圧留去し、表題化合物(68 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:38.2 (s).
【0275】
実施例31
6-ベンゼン)クロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)塩化物の合成
[RuCl(benzene)(L)]Cl L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](50.9 mg, 0.102 mmoL)及び参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(161.4 mg, 0.203 mmoL)にエタノール(5 mL)および塩化メチレン(5 mL)を加えて50℃で1時間攪拌した。ついで室温まで冷却後、ろ液を減圧留去し、表題化合物(225.4 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 26.0(d, J= 63.3Hz), 33.1 (d, J= 62.7Hz).
【0276】
実施例32
{トリ-μ-クロロビス[クロロ[(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル]ルテニウム(II)]}酸ジエチルアンモニウムの合成
(NH2Et2)[{RuCl(L)}2(μ-Cl)3] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例31で合成した(η6-ベンゼン)クロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ルテニウム(II)塩化物(100.6 mg, 0.097 mmoL)及びジエチルアミン塩酸塩(11.6 mg, 0.106 mmoL)にテトラヒドロフラン(20 mL)を加えて80℃で20時間攪拌した。ついで室温まで冷却後、ろ液を減圧留去し、表題化合物(150.8 mg, 褐色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 47.3(d, J=37.5Hz), 52.4 (d, J= 38.8Hz).
【0277】
実施例33
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}[(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)の合成
[RuCl2(L)(X)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル, X=(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](21.2 mg, 0.042 mmoL)及び参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(70.3 mg, 0.088 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)を加えて120℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し得られた化合物に(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(18.8 mg, 0.089 mmoL) の2-プロパノール(5 mL)溶液を加えて室温で90分間攪拌し、表題化合物(53.1 mg, 黄土色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 42.6(s).
【0278】
実施例34
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}[(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)の合成
[RuCl2(L)(X)] L=[(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル, X=(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](50.4 mg, 0.101 mmoL)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(191.1 mg, 0.211 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(3 mL)を加えて120℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し得られた化合物に(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(44.4 mg, 0.209 mmoL)の2-プロパノール(7 mL)溶液を加えて室温で6時間攪拌し、表題化合物(276.7 mg, 黄土色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 42.6(s).
【0279】
実施例35
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}[(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン]ルテニウム(II)の合成
[RuCl2(L)(X)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル, X=(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](13.8 mg, 0.028 mmoL)及び実施例6で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(57.9 mg, 0.057 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)を加えて120℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し得られた化合物に(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(6.1 mg, 0.029 mmoL)の2-プロパノール(5 mL)溶液を加えて室温で90分間攪拌し、表題化合物(75.9 mg, 黄土色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 45.0(s).
【0280】
実施例36
ジクロロ{(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}[(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン] ルテニウム(II)の合成
[RuCl2(L)(X)] L(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル, X=(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η6-ベンゼン)クロロルテニウム(II)](19.8 mg, 0.040 mmoL)及び実施例9で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(90.8 mg, 0.080 mmoL)にN,N-ジメチルホルムアミド(2 mL)を加えて120℃で1時間攪拌した。ついで溶媒を減圧留去し得られた化合物に(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン(19.0 mg, 0.090 mmoL)の2-プロパノール(5 mL)溶液を加えて室温で90分間攪拌し、表題化合物(115.4 mg, 黄土色の粉末)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 47.7(s).
【0281】
実施例37
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩の合成
[Rh(cod)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)](48.0 mg, 0.0973 mmoL)及び過塩素酸銀(43.4 mg, 0.209 mmoL)にアセトン(7.5 mL)を加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過し、ろ液を参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(156.1 mg, 0.196 mmoL)に加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.2312 g)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ:2.8(s, 12H), 3.1(s, 12H), 4.6(m, 2H), 4.9(m, 2H), 5.9(d, 4H, J=7.6Hz), 6.5(d, 2H, J=8.5Hz), 6.8(d, 4H, J=8.6Hz), 6.9(m, 2H), 7.1(m, 4H), 7.3-7.5(m,6H), 7.6-7.7(m, 4H), 7.8-7.9(m, 2H).
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:21.6(s), 22.8(s).
【0282】
実施例38
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩の合成
[Rh(cod)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)](101.6 mg, 0.206 mmoL)及び過塩素酸銀(86.7 mg, 0.418 mmoL)にアセトン(20 mL)を加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過し、ろ液を実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(375.1 mg, 0.413 mmoL)に加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.5427 g)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2) δ:1.9(s, 12H), 2.3(s, 12H), 2.2-2.5(m, 8H), 2.6(s, 12H), 2.9(s, 12H), 4.61(mb, 2H), 4.9(mb, 2H), 6.5(d, 2H, J=8.6Hz), 6.9-7.0(m, 4H), 7.0-7.1(m, 2H), 7.1-7.2(m, 4H), 7.3-7.4(m, 2H), 7.7-7.9(m, 6H).
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:22.9(s), 24.1(s).
【0283】
実施例39
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩の合成
[Rh(cod)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)](47.2 mg, 0.0957 mmoL)及び過塩素酸銀(40.0 mg, 0.193 mmoL)にアセトン(10 mL)を加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過し、ろ液を実施例6で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(198.8 mg, 0.195 mmoL)に加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.27 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4)δ:25.2(s), 26.4(s).
【0284】
実施例40
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩の合成
[Ru(cod)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)](25.2 mg, 0.0511 mmoL)及び過塩素酸銀(21.3 mg, 0.103 mmoL)にアセトン(5 mL)を加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過し、ろ液を実施例9で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジイソプロピルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(122.2 mg, 0.108 mmoL)に加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過後、溶媒を減圧留去し、表題化合物(0.151 g)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4)δ:26.2(s), 27.4(s).
【0285】
実施例41
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) トリフルオロメタンスルホン酸塩の合成
[Rh(cod)(L)]OTf L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホン酸塩(49.3 mg, 0.1053 mmoL)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(95.5 mg, 0.1053 mmoL)にテトラヒドロフラン(10 mL)を加えて40℃で1時間攪拌し、溶媒を減圧留去し、表題化合物(134 mg)を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:22.9(s), 24.1(s).
【0286】
実施例42
(π-アリル){(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチルパラジウム(II)過塩素酸塩の合成
[Pd(π-allyl)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(π-アリル)パラジウム(II)](13.15 mg, 0.05 mmol)及び実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(90.7 mg, 0.1 mmol)にメタノール(2 mL)を加え、室温で20分攪拌し、メタノール(2 mL)を追加し、室温で50分攪拌する操作を2回繰り返した。この中に過塩素酸リチウム三水和物(16 mg, 0.1 mmol)のメタノール(2 mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。水(12 mL)を加え、表題化合物(87 mg)を得た。収率75.2%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ:1.81 (d, J = 8.0 Hz, 12 H), 2.34 (d, J = 5.8 Hz, 12 H), 2.56 (d, J = 4.1 Hz, 12 H), 2.87 (d, J = 3.7 Hz, 12 H), 2.94-3.02 (m, 1 H), 3.93-4.25 (m, 3 H), 5.67-5.79 (m, 1 H), 6.42 (d, J = 8.5 Hz, 1 H), 6.50 (d, J = 12.7 Hz, 2 H), 6.61 (d, J = 8.7 Hz, 1 H), 6.76 (d, J = 12.9 Hz, 2 H), 6.98-7.11 (m, 2 H), 7.25-7.42 (m, 8 H), 7.60-7.67 (m, 4 H).
13C-NMR (75 MHz, CDCl3) δ:19.1, 19.7, 42.2, 42.4, 126.0, 126.2, 126.5, 126.6, 126.9, 127.1, 127.3, 127.6, 127.8, 128.2, 133.4, 133.7, 133.9, 134.1, 135.1, 135.4, 135.6, 135.8, 136.0, 137.0, 137.1, 137.2, 152.3
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ:20.0 (d, J = 49.3 Hz), 22.6 (d, J = 49.1 Hz).
MS (FAB), m/z = 1053 (M+).
【0287】
実施例43
ジクロロ{(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル}パラジウム(II)の合成
[PdCl2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(104 mg, 0.40 mmol)のベンゼン(4 mL)の溶液に実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(363 mg, 0.40 mmol)のベンゼン(4 mL)溶液を加え、室温で17時間攪拌し、溶媒留去して、表題化合物(440 mg)を得た。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ:1.83 (s, 12 H), 2.29 (s, 12 H), 2.57 (s, 12 H), 2.82 (s, 12 H), 6.59 (d, J = 8.5 Hz, 2 H), 7.04-7.50 (m, 14 H), 7.58-7.63 (m, 4 H).
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ 28.5 (s).
MS (FAB), m/z = 1081 (M-H+), m/z = 1047 (M-Cl+).
【0288】
実施例44
{ジ-μ-ヒドロキソビス[[(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル]パラジウム(II)]}ビステトラフルオロほう酸塩の合成
[{Pd(L)}2(μ-OH)2](BF4)2 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、実施例43で合成したジクロロ{(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル}パラジウム(II)(108.4 mg, 0.10 mmol)をジクロロメタン (10.8 mL)、水(1 mL)、テトラフルオロほう酸銀(38.9 mg, 0.20 mmol)、モレキュラーシーブス4A(1.5 g)とともに、室温で29時間攪拌後、不溶物をろ去し、ろ液の溶媒を留去し、表題化合物(67 mg) を得た。収率60.0%。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ:-2.88 (s, 2 H), 1.98 (br s, 24 H), 2.08 (s, 24 H), 2.45 (s, 24 H), 2.63 (s, 24 H), 6.26 (d, J = 8.6 Hz, 4 H), 6.98-7.12 (m, 20 H), 7.28-7.39 (m, 8 H), 7.73 (d, J = 8.2 Hz, 4 H), 7.83 (d, J = 8.7 Hz, 4 H).
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ:28.4 (s).
【0289】
実施例45
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}イリジウム(I) テトラフルオロほう酸塩の合成
[Ir(cod)(L)]BF4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロほう酸塩(9.9 mg, 0.020 mmoL)、参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(15.7 mg, 0.020 mmoL)にジクロロメタン(1 mL)を加えて室温で攪拌し、表題化合物を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 12.8(s).
【0290】
実施例46
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}イリジウム(I) テトラフルオロほう酸塩の合成
[Ir(cod)(L)]BF4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロほう酸塩(10.9 mg, 0.022 mmoL)、実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(20.1 mg, 0.022 mmoL)にジクロロメタン(1 mL)を加えて室温で攪拌し、表題化合物を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 14.1(s).
【0291】
実施例47
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}イリジウム(I) テトラフルオロほう酸塩の合成
[Ir(cod)(L)]BF4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロほう酸塩(10.7 mg, 0.022 mmoL)、実施例6で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジエチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(22.0 mg,0.022 mmoL)にジクロロメタン(1 mL)を加えて室温で攪拌し、表題化合物を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 15.4(s).
【0292】
実施例48
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}イリジウム(I) テトラフルオロほう酸塩の合成
[Ir(cod)(L)]BF4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロほう酸塩(9.5 mg, 0.019 mmoL)、実施例12で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(17.4 mg, 0.019 mmoL)にジクロロメタン(1 mL)を加えて室温で攪拌し、表題化合物を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 12.5(s).
【0293】
実施例49
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}イリジウム(I) テトラフルオロほう酸塩の合成の合成
[Ir(cod)(L)]BF4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)イリジウム(I)テトラフルオロほう酸塩(5.2 mg, 0.011 mmoL)、実施例15で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス[4-(ピロリジン-1-イル)フェニル]ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(13.3mg, 0.011 mmoL)にジクロロメタン(1 mL)を加えて室温で攪拌し、表題化合物を得た。
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ: 13.1(s).
【0294】
実施例50
{(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル}ビス(アセトニトリル)銅(I)過塩素酸塩の合成
[Cu(L)(CH3CN)2]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)過塩素酸塩(163 mg, 0.50 mmol)、実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(454 mg, 0.50 mmol)、ジクロロメタン(25 mL)を加え、室温で40分攪拌した。25℃で減圧濃縮後、室温で真空乾燥し、表題化合物(565 mg)を得た(黄色結晶、収率98.1%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ:1.76 (s, 12 H), 2.29 (s, 6 H), 2.35 (s, 12 H), 2.52 (s, 12 H), 2.86 (s, 12 H), 6.59-6.63 (m, 6 H), 6.99-7.04 (m, 2 H), 7.16-7.32 (m, 4 H), 7.46-7.61 (m, 8 H).
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ:-2.04 (s).
【0295】
実施例51
{(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル}ビス(アセトニトリル)銅(I)過塩素酸塩の合成
[Cu(L)(CH3CN)2]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、テトラキス(アセトニトリル)銅(I)過塩素酸塩(163 mg, 0.50 mmol)、参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(397 mg, 0.50 mmol)、ジクロロメタン(25 mL)を加え、室温で30分攪拌した。25℃で減圧濃縮後、室温で真空乾燥し、表題化合物(523 mg)を得た(黄色結晶、収率100.5%)。
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ:-3.0 (s).
【0296】
実施例52
ジクロロ{(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル}パラジウム(II)の合成
[PdCl2(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム(II)(52 mg, 0.20 mmol)、参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(159 mg, 0.20 mmol)、ベンゼン(24 mL)を加え、室温で24時間攪拌した。不溶物をろ去し、ろ液を25 ℃で減圧濃縮後、室温で真空乾燥し、表題化合物115 mgを得た(橙色結晶、収率59.1%)。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ:2.7 (s, 12 H), 3.0 (s, 12 H), 5.9 (d, J = 7.8 Hz, 4 H), 6.7 (d, J = 7.5 Hz, 4 H), 6.8 (d, J = 8.6 Hz, 2 H), 7.1 (t, J = 7.4 Hz, 2 H), 7.3-7.5 (m, 10 H), 7.6 (d, J = 8.1 Hz, 2 H), 7.6-7.7 (m, 4 H).
31P-NMR (121.5 MHz, CDCl3) δ:27.4 (s).
MS(FAB) m/z=969(M-H+), m/z=935(M-Cl+).
【0297】
実施例53
2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノンの不斉水素化
【0298】
【化65】

【0299】
アルゴン雰囲気下、ジクロロ(η22-1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(II)119.7 mg(0.43 mmol)、実施例3で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(429.8 mg, 0.47 mmol)にトルエン(7.5 mL)、トリエチルアミン(0.35 mL)を加えて、135℃で3時間加熱攪拌し、減圧下、溶媒を留去したもの(24.3 mg, 10.71 μmol)及び、(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン((S,S)-DPEN)(49.0 mg, 68.8 μmol)に2-プロパノール/テトラヒドロフラン(14/11)混合液(15 mL)を加えて、1時間攪拌したものを2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(6.25 g, 21.42 mmol)、水酸化カリウム(47.7 mg, 0.85 mmol)に加えて、水素圧 1MPa, 23℃で水素化を行った。TOF(mmoL/μmoL・h、触媒回転効率)は、29.0×10-3であった。反応混合物をHPLC(カラム:CHIRALCEL OJ-RH、4.6mm×15cm)にて測定し、光学純度 96.0%ee(S)であった。
【0300】
比較例3
2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノンの不斉水素化
【0301】
【化66】

【0302】
アルゴン雰囲気下、ジクロロ(η22-1,5-シクロオクタジエン)ルテニウム(II)(149.6 mg, 0.53 mmol)、(S)-2,2'-ビス[ビス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(433.7 mg, 0.59 mmol)にトルエン(9 mL)、トリエチルアミン(0.45 mL)を加えて、135℃で3時間加熱攪拌し、減圧下、溶媒を留去したもの(20.6 mg, 10.71 μmol)及び、(1S,2S)-(-)-1,2-ジフェニルエチレンジアミン((S,S)-DPEN)(49.0 mg, 68.8 μmol)に2-プロパノール/テトラヒドロフラン(14/11)混合液(15 mL)を加えて、1時間攪拌したものを2−アミノ−5−クロロ−2’,3’−ジメトキシベンゾフェノン(6.25 g, 21.42 mmol)、水酸化カリウム(47.7 mg, 0.85 mmol)に加えて、水素圧 1MPa, 23℃で水素化を行った。TOF(mmoL/μmoL・h、触媒回転効率)は、10.0×10-3であった。反応混合物をHPLC(カラム:CHIRALCEL OJ-RH、4.6mm×15cm)にて測定し、光学純度 96.0%ee(S)であった。
【0303】
実施例54
(Z)−3−アセチルアミノ−3−フェニル−アクリル酸エチルエステルの不斉水素化
【0304】
【化67】

【0305】
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.1 mg, 0.0023 mmol)、実施例12で合成した (S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジエチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル3.0 mg(0.0033 mmol)にメタノール(2 mL)を加えて30分間攪拌した溶液を、(Z)−3−アセチルアミノ−3−フェニル−アクリル酸エチルエステル(37.4 mg, 0.160 mmol)にメタノール(0.5 mL)を加えた溶液に、水素圧 1MPa, 25℃で15時間反応させた。得られた反応液を液体クロマトグラフ(カラム:CHIRALCEL OJ-H)で分析したところ、光学純度 50.9%ee(R)であった。転化率は1H-NMRで分析したところ、100%であった。
【0306】
実施例55−58
実施例54の方法に準じて、実施例3、6、15、参考例8の光学活性配位子にて反応を行った。その結果を表1に示した。
【0307】
【表1】

【0308】
比較例4
(Z)−3−アセチルアミノ−3−フェニル−アクリル酸エチルエステルの不斉水素化
【0309】
【化68】

【0310】
実施例54の方法に準じて、配位子に(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(BINAP)を用いて反応を行った。その結果、光学純度 36.9%ee (R)を示した。転化率は1H-NMRで分析したところ、100%であった。
【0311】
実施例59
イタコン酸の不斉水素化
【0312】
【化69】

【0313】
アルゴン雰囲気下、ビス(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)トリフルオロメタンスルホン酸塩(1.0 mg, 0.0021 mmol)、参考例8で合成した(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(4.6 mg, 0.0058 mmol)にメタノール(4 mL)を加えて30分間攪拌した溶液を、イタコン酸(21.8 mg, 0.168 mmol)にメタノール(1 mL)を加えた溶液に加えた後、水素圧 1MPa, 25℃で15時間水素化させた。この反応液2 mLを量り、硫酸を加えて、85℃で1時間還流させてメチル化させた溶液をガスクロマトグラフ(カラム:βDEX-225(0.25 mm i.d. × 30m, 0.25μm))で分析したところ、転化率 100%、光学純度 56.2%eeであった。
【0314】
実施例60−63
実施例59の方法に準じて、実施例3、6、12、15の光学活性配位子にて反応を行った。その結果を表2に示した。
【0315】
【表2】

【0316】
比較例5
イタコン酸の不斉水素化
【0317】
【化70】

【0318】
実施例57の方法に準じて、配位子に(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(BINAP)を用いて反応を行った。その結果、転化率 100%、光学純度 6.9%ee (R)を示した。
【0319】
実施例64
N,N-ジエチルネリルアミンの不斉異性化
【0320】
【化71】

【0321】
実施例38で合成した(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩(25.9 mg, 0.0213 mmoL)、N,N-ジエチルネリルアミン(480 mg、2.296 mmoL)をテトラヒドロフラン(5 mL)に溶解し、40℃で異性化を行った。TOF(moL/moL・h、触媒回転効率)は、131.9であった。反応混合物をガスクロマトグラフ(カラム:Inert Cap CHIRAMIX、0.32mm×30m)で分析したところ、変換率 100%、光学純度 100%ee(S)であった。
【0322】
参考例9
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩の合成
[Rh(cod)(L)]ClO4 L=(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジ-μ-クロロビス[(η22-1,5-シクロオクタジエン)ロジウム(I)](310.5 mg, 0.630 mmoL)及び過塩素酸銀(267.5 mg, 1.290 mmoL)にアセトン(60 mL)を加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過し、ろ液を(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル((S)-BINAP)(784.9 mg, 1.206 mmoL)に加えて室温で1時間攪拌し、不溶物をろ過後、溶媒を減圧留去し、アセトンとジエチルエーテルから再結晶化し、表題化合物(0.65 g)を得た。収率55%。
1H-NMR (300 MHz, CD2Cl2, CD2Cl2)δ:2.1-2.6(m, 8H), 4.6(m, 2H), 4.9(bs, 2H), 6.52(d, 2H), 6.7(t, 4H), 6.8(t, 2H), 7.0(t, 2H), 7.4(m, 6H), 7.55(m, 10H), 7.6-7.7(d,2H), 7.7-7.8(d, 2H), 7.8-7.9(m, 2H).
31P-NMR (121 MHz, CD2Cl2, 85%H3PO4) δ:25.2(s), 26.4(s).
【0323】
比較例6
N,N-ジエチルネリルアミンの不斉異性化
【0324】
【化72】

【0325】
参考例9で合成した(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ジフェニルホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ロジウム(I) 過塩素酸塩(27.0 mg, 0.0289 mmoL)、N,N-ジエチルネリルアミン(546.2 mg、2.609 mmoL)をテトラヒドロフラン(5 mL)に溶解し、40℃で異性化を行った。TOF(moL/moL・h、触媒回転効率)は、78.1であった。反応混合物をガスクロマトグラフ(カラム:Inert Cap CHIRAMIX、0.32mm×30m)で分析したところ、変換率 100%、光学純度 100%ee(S)であった。
【0326】
実施例65
2-メチル-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸 tert-ブチルエステルの不斉フッ素化
【0327】
【化73】

【0328】
アルゴン雰囲気下、実施例44で合成した{ジ-μ-ヒドロキソビス[[(S)-2,2’-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1’-ビナフチル]パラジウム(II)]}ビステトラフルオロほう酸塩(22.4 mg, 0.01 mmoL)、エタノール(0.3 mL)、2-メチル-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸 tert-ブチルエステル(46.9 mg、0.2 mmoL)、N-フルオロベンゼンスルホンイミド(95 mg、0.3 mmol)を加えて室温で48時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(2 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL)で抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製(酢酸エチル/n-ヘキサン)し、化合物を得た。高速液体クロマトグラフ(カラム:CHIRALPAK AD-H、4.6mm×15cm、n-ヘキサン/2-プロパノール=200/1)から光学純度 72.5%ee(S)であった。
【0329】
参考例10
{ジ-μ-ヒドロキソビス[[(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]パラジウム(II)]}ビステトラフルオロほう酸塩の合成
[{Pd(L)}2(μ-OH)2](BF4)2 L=(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ジクロロ{(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル}パラジウム(II)(100 mg, 0.125 mmol)をジクロロメタン(10 mL)、水(1 mL)、テトラフルオロほう酸銀(48 mg, 0.25 mmol, 2 当量)、モレキュラーシーブス4A(1.5 g)とともに、室温で28時間攪拌した。不溶物をろ去し、ろ液の溶媒を留去し、表題化合物(59 mg)を得た。収率48.4%。
【0330】
比較例7
2-メチル-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸 tert-ブチルエステルの不斉フッ素化
【0331】
【化74】

【0332】
アルゴン雰囲気下、参考例10で合成した{ジ-μ-ヒドロキソビス[[(S)-2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル]パラジウム(II)]}ビステトラフルオロほう酸塩(19.5 mg, 0.01 mmoL)、エタノール(0.3 mL)、2-メチル-3-オキソ-3-フェニル-プロピオン酸 tert-ブチルエステル(46.9 mg、0.2 mmoL)、N-フルオロベンゼンスルホンイミド(95 mg、0.3 mmol)を加えて室温で48時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液(2 mL)を加え、酢酸エチル(20 mL)で抽出し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラム精製(酢酸エチル/n-ヘキサン)し、化合物を得た。高速液体クロマトグラフ(カラム:CHIRALPAK AD-H、4.6mm×15cm、n-ヘキサン/2-プロパノール=200/1)から光学純度 58.1%ee(S)であった。
【0333】
実施例66
(η22-1,5-シクロオクタジエン){(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル}ニッケル(0)の合成
[Ni(cod)(L)] L=(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル
アルゴン雰囲気下、ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)(48.3 mg, 0.1756 mmol)、(S)-2,2'-ビス[ビス(4-ジメチルアミノ-3,5-ジメチルフェニル)ホスフィノ]-1,1'-ビナフチル(175.3 mg, 0.1932 mmol)をトルエン(2 mL)中、60℃で10分間攪拌後、室温で15時間反応させた。反応液をろ過後、減圧溶媒留去し、表題化合物(198.0 mg)を得た。濃紫色の粉末。
31P-NMR(121 MHz, C6D6, 85%H3PO4):δ 30.6(s).
【産業上の利用可能性】
【0334】
本発明の化合物(II)を配位子とする遷移金属錯体を不斉合成反応(特に、不斉還元)に用いることにより、目的とする絶対配置の化合物を効率的に得ることができる。
【0335】
本出願は、日本で出願された特願2005−272599を基礎としており、その内容は本明細書に包含されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


〔R4aは水素原子または置換基を有していてもよいC1−6アルキル基、R5aおよびR6aはそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基または式
【化2】


で、式
【化3】


(式中、環B’は、置換基を有していてもよい3〜8員環を示す)で表される基を示す(但し、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ホスフィン−ボラン錯体を除く)。〕で表される化合物またはその塩。
【請求項2】
4a、R5aおよびR6aがそれぞれ置換基を有していてもよいC1−6アルキル基である請求項1記載の化合物。

【公開番号】特開2012−214484(P2012−214484A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137155(P2012−137155)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2007−536595(P2007−536595)の分割
【原出願日】平成18年9月20日(2006.9.20)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】