説明

ジャイロセンサー、電子機器

【課題】小型化を図ったジャイロセンサーを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明のジャイロセンサー10は、基板50と、アンカー部12を介して前記基板50の上方に配置され、回動振動する駆動部24と、前記駆動部24に接続された検出部20と、前記基板50に配置されている駆動電極部56と、前記検出部20に平面視で対向して前記基板50に配置されている検出電極部54と、を有し、前記駆動部24には、空隙部が複数設けられ、前記駆動電極部56の少なくとも一部は、平面視で前記空隙部に重なって設けられていることを特徴とするジャイロセンサー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジャイロセンサー及びそれを用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーションシステムや、ビデオカメラの手ぶれ補正などの姿勢制御に、角速度を検出するジャイロセンサーが多く用いられている。このようなジャイロセンサーには、互いに直交するX軸,Y軸,Z軸回りの角速度を検出可能な検出素子を各軸に備えたセンサーがある。
【0003】
特許文献1に開示のセンサー構造は、駆動質量と駆動装置を備え、駆動装置が駆動質量から外部へ向かって放射状に取り付けられている。駆動装置は、櫛歯状の固定電極及び可動電極を備え、互いに所定の間隔を開けて駆動質量から放射状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−271611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の駆動質量と同一平面上に駆動装置を設けた構成では、駆動装置の占有スペースが大きくなり、デバイス全体の小型化の要請に伴うセンサー素子の更なる小型化が図れないという問題があった。また駆動装置の占有スペースを確保するため検出部の設置面積を小さくすると、検出感度が低下してしまうという問題があった。
上記従来技術の問題点を解決するため、本発明は、小型化を図ったジャイロセンサーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例として実現することが可能である。
[適用例1]基板と、アンカー部を介して前記基板の上方に配置され、回動振動する駆動部と、前記駆動部に接続された検出部と、前記基板に配置されている駆動電極部と、前記検出部に平面視で対向して前記基板に配置されている検出電極部と、を有し、前記駆動部には、空隙部が複数設けられ、前記駆動電極部の少なくとも一部は、平面視で前記空隙部に重なって設けられていることを特徴とするジャイロセンサー。
【0007】
上記構成によれば、センサー上の駆動部の占有スペースを減らすことができるので、センサー全体の小型化を図ることができる。また検出部のスペースを広くすることによって検出部の高感度化を図ることができる。
【0008】
[適用例2]前記駆動電極部は、1つの前記空隙部に対し1対配置されていることを特徴とする適用例1に記載のジャイロセンサー。
上記構成によれば、駆動部の駆動力を大きくすることができる。
【0009】
[適用例3]前記駆動部は、外形が略円形であることを特徴とする適用例1または2に記載のジャイロセンサー。
上記構成によれば、駆動部を効率良く円周運動させることができる。
【0010】
[適用例4]前記アンカー部は、前記駆動部の中心に配置されていることを特徴とする適用例1ないし3のいずれか一例に記載のジャイロセンサー。
上記構成によれば、駆動部をバランス良く円周運動させることができる。
【0011】
[適用例5]前記空隙部は、前記アンカー部を中心として点対称の位置に配置されていることを特徴とする適用例4に記載のジャイロセンサー。
上記構成によれば駆動部を効率良く円周運動させることができる。
【0012】
[適用例6]前記駆動部の内部には、前記検出部が配置されていることを特徴とする適用例1ないし5のいずれか一例に記載のジャイロセンサー。
上記構成によれば、ジャイロセンサーの小型化に寄与する。
【0013】
[適用例7]平面視で互いに交差する2つの軸を第1軸及び第2軸としたとき、前記検出部は、前記第1軸の方向に配置されている一対の第1検出部と、前記第2軸の方向に配置されている一対の第2検出部とを有することを特徴とする適用例1ないし5のいずれか一例に記載のジャイロセンサー。
【0014】
上記構成によれば、互いに直交する2軸の回りに発生する角速度を検出することができ、1素子で2軸検出を実現できる。また基板上の駆動部の占有スペースを減らして小型化を図れる。
【0015】
[適用例8]適用例1ないし7のいずれか一例に記載のジャイロセンサーを備えたことを特徴とする電子機器。
上記構成によれば、駆動部の占有スペースを小さくして小型化を図ったジャイロセンサーを備えた電子機器が得られる。またデバイス全体の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のジャイロセンサーの構成概略を示す平面図である。
【図2】図1のb−b断面図である。
【図3】図1のa−a断面の拡大図である。
【図4】(1)は図3の平面図であり、(2)は矢印aへ回動振動したときの平面図であり、(3)は矢印bへ回動振動したときの平面図である。
【図5】X軸回りに作用する角速度を検出する斜視図である。
【図6】Y軸回りに作用する角速度を検出する斜視図である。
【図7】Z軸回りの変位を検出する検出部の説明図である。
【図8】Z軸回りに作用する角速度を検出する説明図である。
【図9】空隙部の変形例の説明図である。
【図10】本発明のジャイロセンサーを備える電子機器を適用した携帯電話機の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明のジャイロセンサー、電子機器の実施形態を添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明のジャイロセンサーの構成概略を示す平面図である。なお図1は基板を省略している。図2は図1のb−b断面図である。なお各図では説明の便宜上、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、Z軸を図示している。また本実施形態ではX軸(第1軸)に平行な方向をX軸方向、Y軸(第2軸)に平行な方向をY軸方向、Z軸(第3軸)に平行な方向をZ軸方向という。
【0018】
ジャイロセンサー10は、アンカー部12と、バネ部14と、連結部16と、検出部20と、駆動フレーム22からなる駆動部24と、駆動部24の下部に配置された基板50とから構成されている。
【0019】
駆動部24は、シリコンを主材料として構成されていて、シリコン基板(シリコンウエハ)上に薄膜形成技術(例えば、エピタキシャル成長技術、化学気相成長技術等の堆積技術)や各種加工技術(例えばドライエッチング、ウェットエッチング等のエッチング技術)を用いて所望の外形形状に加工することにより、前述した各部が一体的に形成されている。或いは、シリコン基板とガラス基板を張り合わせた後に、シリコン基板のみを所望の外形形状に加工することで、前述の各部を形成することもできる。図1に示す駆動部24は平面視において円形状に形成されており、このような形状にすることにより、省スペース化と共に回動振動するセンサー全体の小型化を図れる。駆動部24の主材料をシリコンとすることにより、優れた振動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。またシリコン半導体デバイス作製に用いられる微細な加工技術の適用が可能となり、ジャイロセンサー10の小型化を図ることができる。
【0020】
アンカー部12は、駆動部24の回動中心に配置されている。アンカー部12は、基板50の支持部52上に固定される。これによりアンカー部12は駆動フレーム22の回動振動で回動することがない。
【0021】
バネ部14は、可撓性を備え、アンカー部12と連結部16を接続させている。バネ部14は、アンカー部12を中心として、互いに直交するX軸及びY軸に沿って延びている。図1に示すバネ部14は、アンカー部12を中心として略十字の方向に延びて連結部16と伸縮可能に接続させている。
【0022】
連結部16は、所定の剛性を備え、アンカー部12と駆動フレーム22を接続させている。図1に示す連結部16は、X軸及びY軸の2軸の角度を二分した対角線方向に延びて、アンカー部12と駆動フレーム22を接続させている。
【0023】
検出部20は、可動部28と軸部30から構成されている。可動部28は略扇型をなしており、軸部30を介して連結部16と接続している。このような構成の検出部20は、X軸回りの変位を検出する第1検出部20aと、Y軸回りの変位を検出する第2検出部20bから構成されている。第1検出部20aは、一対の可動部28a,28bを設けている。各可動部28a,28bは軸部30a,30bがY軸と平行となるように連結部16に取り付けている。軸部30a,30bは、各可動部28a,28bの重心からずれた位置に形成されている。軸部30a,30bは変位が加わったときにその軸回りにねじり変形させ可動部28a,28bをZ軸方向に回転させる。
【0024】
第2検出部20bは、一対の可動部28c,28dを設けている。各可動部28c,28dは軸部30c,30dがX軸と平行となるように連結部16に取り付けている。軸部30c,30dは、各可動部28c,28dの重心からずれた位置に形成されている。軸部30c,30dは変位が加わったときにその軸回りにねじり変形させ可動部28c,28dをZ軸方向に回転させる。
【0025】
駆動フレーム22は、円形のリングであり、内側にアンカー部12と、バネ部14と、連結部16と、検出部20が配置されている。駆動フレーム22と連結部16は所定の剛性を有し、アンカー部12を中心としてバネ部14が伸縮して矢印A方向に回動振動することができる。また駆動フレーム22は、円周に沿ってフレームの表裏を貫通する空隙部としての開口26が形成されている。開口26はアンカーを中心として点対称となる位置に複数形成している。
【0026】
基板50は、支持部52と、検出電極部54と、駆動電極部56を備えている。基板50は材質に一例として、ガラス基板を用いることができ、表面を所定の厚みで切削することにより支持部52を形成することができる。支持部52は、アンカー部12と接着させている。
【0027】
検出電極部54a,54b,54c,54dは、可動部28a,28b,28c,28dと対向する基板50上に設けられている。検出電極部54と可動部28は、支持部52に相当する長さの隙間が形成されている。この隙間は支持部52の長さにより容易に調整することができ、隙間が小さいほど、角速度の検出感度を高精度化することができる。この他、隙間は検出電極部54の金属膜の膜厚を変えることにより調整することができる。
【0028】
このような検出電極部54a,54b,54c,54dは、可動部28a,28b,28c,28dと接近又は離間することにより静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出してX軸方向のコリオリ力又はY軸方向のコリオリ力を求めることにより、X軸回り又はY軸回りに加わる角速度を検出することができる。
駆動電極部56は開口26と対向する基板50上に設けている。
【0029】
図3は図1のa−a断面の拡大図である。図4の(1)は図3の平面図であり、(2)は矢印aへ回動振動したときの平面図であり、(3)は矢印bへ回動振動したときの平面図である。
【0030】
図示のように駆動電極部56a,56bは、1つの開口に対して一対設けている。一対の駆動電極部56a,56bは、互いに所定の間隔を開けて基板50上に取り付け、図示しない電源に接続させている。そして駆動電極部56a同士又は、駆動電極部56b同士に正負の電圧を交互に印加することにより、各駆動電極部56a,56bから静電力を発生させている。駆動電極部56と駆動フレーム22の間は隙間が小さく静電力が大きくなる。一方、駆動電極部56と開口26の間は隙間が大きく静電力が小さくなる。これにより駆動フレーム22は、アンカー部12を基点として、バネ部14が伸縮して図1の矢印Aに示すように回動振動する。
【0031】
回動振動時において、図4(2)に示すように矢印a方向に駆動フレーム22が最大限回動した場合、開口26と駆動電極部56は、Z軸を法線とする基板50の平面視で、重なるように配置させている。また図4(3)に示すように矢印b方向に駆動フレーム22が最大限回動した場合、開口26と駆動電極部56は、Z軸を法線とする基板50の平面視で、重なるように配置させている。このように、駆動フレーム22の回動振動の振幅よりも、駆動電極部56の幅が大きくなるように設定している。回動振動時において、開口と駆動電極部56とが平面視で必ず重複するように配置することにより、駆動フレームの回動振動を所定の周波数を維持しながらスムーズに振動させることができる。また駆動電極部56と駆動フレーム22は、検出電極部54と同様に支持部52に相当する長さの隙間が形成されている。この隙間は支持部52の長さにより容易に調整することができ、隙間が小さいほど、静電力が大きくなって、駆動力も大きくすることができる。この他、隙間は駆動電極部56の金属膜の膜厚を変えることにより調整することができる。なお、駆動時に駆動フレーム22が静電力により基板50側(Z軸方向)に引き寄せられる場合が考えられるが、図1のように開口26をアンカー中心として点対称に配置することにより、駆動フレーム22のZ軸方向の力が釣り合うので、駆動フレーム22が傾くことを防止できる。また他の方法として、アンカー部12を駆動フレーム22の外側に複数配置して固定すれば、駆動フレーム22の傾くことを防止できる。
【0032】
なお駆動電極部56は、1つの開口26に対して一対設ける他にも、1つの開口26に対して1つ設けるようにしてもよい。但しこの場合も、回動振動時において、開口26と駆動電極部56が平面視して重なるように配置させている。また駆動部24は、静電駆動方式、圧電駆動方式、又は磁場のローレンツ力を利用した電磁駆動方式等を適用することができる。また、検出部20は、外径を小さくした駆動フレームの外側に設けるように構成しても良い。アンカー部12は、バネ部と共に駆動フレームの外側に複数配置して、駆動フレームを回動振動自在に固定するように構成しても良い。
【0033】
上記構成による本発明のジャイロセンサー10の作用について以下説明する。
一般にコリオリ力は数式1のように表すことができる。
【数1】

【0034】
図5はX軸回りに作用する角速度を検出する斜視図である。駆動フレーム22は矢印A方向に回動振動している。第1検出部20aはY軸方向へ振動させた状態で、また第2検出部20bはX軸方向へ振動させた状態で、X軸回りの角速度(Ωx)が加わると、Y軸方向に振動する第1検出部20aにZ軸方向のコリオリ力が作用する。このようなコリオリ力が加わると、第1検出部20aは、可動部28a,28bが軸部30a,30b回りに回転し、可動部28a,28bと検出電極部54a,54bの間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出してZ軸方向のコリオリ力を求めることにより、X軸回りに加わる角速度(Ωx)を検出することができる。
【0035】
図6はY軸回りに作用する角速度を検出する斜視図である。駆動フレーム22は矢印A方向に回動振動している。第1検出部20aはY軸方向へ振動させた状態で、また第2検出部20bはX軸方向へ振動させた状態で、Y軸回りの角速度(Ωy)が加わると、X軸方向に振動する第2検出部20bにZ軸方向のコリオリ力が作用する。このようなコリオリ力が加わると、第2検出部20bは、可動部28c,28dが軸部30c,30d回りに回転し、可動部28c,28dと検出電極部54c,54dの間の静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出してZ軸方向のコリオリ力を求めることにより、Y軸回りに加わる角速度(Ωy)を検出することができる。
【0036】
このようなジャイロセンサー10によれば、開口26の下に駆動電極部56を設けた構成によって、センサー上の占有スペースを減らすことができるので、センサー全体の小型化を図ることができる。検出部のスペースを広くすることによって検出部の高感度化を図ることができる。また開口26と駆動電極部56の隙間を小さくすることができ、駆動力を大きくすることができる。
【0037】
図7はZ軸回りに加わる角速度を検出可能な第3検出部の構成概略を示す平面図である。
Z軸回りに加わる角速度を検出可能な第3検出部20cは、図7に示すように枠部70と、バネ部72と、検出部77から構成されている。
【0038】
枠部70は、Z軸を法線とする平面視にて略矩形の枠体であり、連結部16が延びる方向(以下対角線方向という。)の駆動フレーム22にバネ部72を介して設けている。このような駆動フレーム22の外側のスペースを用いることにより、センサー全体の小型化を図ることができる。
【0039】
バネ部72は、第1バネ部74及び第2バネ部76から構成されている。第1バネ部74は、対角線方向の直交方向に往復しながら対角線方向に延在する形状をなしている。また、第2バネ部76の構成は、対角線に対して、第1バネ部74と対称的に設けられている。このような構成の第1バネ部74及び第2バネ部76は、検出方向であるアンカー部12を中心とする放射方向にスムーズに枠部70を伸縮させることができる。
【0040】
検出部77は、可動電極78と固定電極79から構成されている。可動電極78は回動振動する矢印A方向に沿って両端を枠部70に接続させている。この他、隣接する電極同士が所定の間隔を開けるように複数設けてもよい。固定電極79は、可動電極78と枠部70の隙間で回動振動する矢印A方向に沿って設け、端部を基板(不図示)に固定させている。このような可動電極78と固定電極79は、交互に配置された櫛歯状に形成されている。上記構成による検出部77は、電源(不図示)によって、電極に電圧を印加することにより、各可動電極78と各固定電極79との間に静電力が発生する。枠部70がアンカー部12を中心とする放射方向に変位すると、可動電極78が固定電極79に接近又は離間することにより静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出して放射方向の変位量を求めることができる。
【0041】
図8はZ軸回りに加わる角速度を検出する斜視図である。駆動フレーム22は矢印A方向に回動振動している。第3検出部20cは、駆動フレーム22の接線方向に振動させた状態で、Z軸方向の軸回りに角速度(Ωz)が加わると、コリオリ力はアンカー部12を中心とする放射方向、換言すれば、駆動フレーム22の接線方向と直交する方向に作用する(矢印F)。接線方向にコリオリ力が作用すると、検出部77は、可動電極78が固定電極79に接近又は離間することにより静電容量が変化する。この静電容量の変化を検出して放射方向のコリオリ力を求めることにより、Z軸回りに加わる角速度(Ωz)を検出することができる。なお、駆動フレーム22は、角速度の検出時において、常に矢印A方向に回動振動している。この回動振動によって検出部77の可動電極が放射方向に変位して第3検出部の検出値として検出されてしまう虞がある。回動振動は所定の周波数で振動させているため、一定の値として検出される。そこで第3検出部20cでは、この一定の検出値の差分をとるなどの信号処理によってZ軸回りに加わる角速度(Ωz)を検出すればよい。
【0042】
また枠部70、可動電極78、固定電極79を駆動フレーム22の外周に沿って、円弧状に形成することにより、更なる省スペース化を図り、センサー全体の小型化を図ることができる。
【0043】
図9は空隙部の変形例の説明図である。変形例の空隙部は、図1〜図4に示す開口26に替えて薄肉部80を備えている。なお、本願発明において、空隙部とは開口26、薄肉部80の両方を含むものとする。また駆動電極部56a,56bの構成は同様である。薄肉部80は、開口と同様に駆動電極部56a,56bと対向する駆動フレーム22aの裏面に設けている。また薄肉部80と駆動電極部56a,56bは、回動振動時において、Z軸を法線とする基板50の平面視で、必ず重複するように配置させている。薄肉部80はシリコン基板を切削することにより形成できる。薄肉部80の切削量をbとし、駆動電極部56a,56bと駆動フレーム22aの隙間をaとした場合、a<bの関係となるように薄肉部80を設定している。このような構成によれば、駆動電極部56a,56bと駆動フレーム22aの間は静電力が大きくなり、駆動電極部56a,56bと薄肉部80の間は静電力が小さくなる。これにより駆動フレーム22aは、アンカー部12を基点として、バネ部14が伸縮して回動振動することができる。なお第1検出部ないし第3検出部20a,20b,20cの測定については同様に検出することができる。
【0044】
図10は本発明のジャイロセンサーを備える電子機器を適用した携帯電話機の説明図である。図示のように携帯電話機500は、複数の操作ボタン502、受話口504、および送信口506を備え、操作ボタン502と受話口504との間には、表示部508が配置されている。このような携帯電話機500には角速度検出手段として機能するジャイロセンサー10が内蔵されている。
【符号の説明】
【0045】
10………ジャイロセンサー、12………アンカー部、14………バネ部、16………連結部、20………検出部、20a………第1検出部、20b………第2検出部、20c………第3検出部、22………駆動フレーム、24………駆動部、26………開口、28,28a,28b,28c,28d………可動部、30,30a,30b,30c,30d………軸部、50………基板、52………支持部、54,54a,54b,54c,54d………検出電極部、56,56a,56b………駆動電極部、70………枠部、72………バネ部、74………第1バネ部、76………第2バネ部、77………検出部、78………可動電極、79………固定電極、80………薄肉部、500………携帯電話機、502………操作ボタン、504………受話口、506………送信口、508………表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
アンカー部を介して前記基板の上方に配置され、回動振動する駆動部と、
前記駆動部に接続された検出部と、
前記基板に配置されている駆動電極部と、
前記検出部に平面視で対向して前記基板に配置されている検出電極部と、を有し、
前記駆動部には、空隙部が複数設けられ、
前記駆動電極部の少なくとも一部は、平面視で前記空隙部に重なって設けられていることを特徴とするジャイロセンサー。
【請求項2】
前記駆動電極部は、1つの前記空隙部に対し1対配置されていることを特徴とする請求項1に記載のジャイロセンサー。
【請求項3】
前記駆動部は、外形が略円形であることを特徴とする請求項1または2に記載のジャイロセンサー。
【請求項4】
前記アンカー部は、前記駆動部の中心に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のジャイロセンサー。
【請求項5】
前記空隙部は、前記アンカー部を中心として点対称の位置に配置されていることを特徴とする請求項4に記載のジャイロセンサー。
【請求項6】
前記駆動部の内部には、前記検出部が配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のジャイロセンサー。
【請求項7】
平面視で互いに交差する2つの軸を第1軸及び第2軸としたとき、
前記検出部は、前記第1軸の方向に配置されている一対の第1検出部と、前記第2軸の方向に配置されている一対の第2検出部とを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のジャイロセンサー。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載のジャイロセンサーを備えたことを特徴とする電子機器。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−7622(P2013−7622A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139690(P2011−139690)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】