説明

ジャッキ用反力発生装置

【課題】汎用性があって、据え付け現場で容易に適用でき、建屋の柱や梁の位置とは関係なく設置でき、取り付け・取り外しや取り外し後の養生等に工数や時間がかからず、重量物の移動の過程での移動、新設、取り外しも容易で、しっかりとジャッキの反力を受止めうるジャッキ用反力発生装置とそれを用いた重量物の移動方法を提供する。
【解決手段】 移動される重量物2の重力を受ける転がり運動を用いた移動装置11と、それ自体が自由に移動でき、移動装置11がその上を移動するに十分な長さと巾を有する台板12と、移動用ジャッキ3の反力を受ける、台板12に垂直に取り付けられた部材13とからなる、あるいは、さらに、移動装置11の上に設置された昇降用ジャッキ5とからなるジャッキ用反力発生装置6(1)、及び、 それらのジャッキ用反力発生装置を用いて重量物を移動する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物の移動、特に、重量物の位置調整のための移動をジャッキにより行う際のジャッキの反力を受ける装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
重量物を移動する際、特に、重量物の位置調整のための移動のように、比較的距離が短く、かつ、精度を要する移動にあっては、油圧ジャッキ、空気圧ジャッキ、あるいは、ジャッキボルト等のジャッキを用いて、重量物を押して移動させることが多い。その場合、ジャッキの反力を受け止める反力発生装置が必要である。
【0003】
特許文献1には、回転機の芯出しの際に用いられる基礎の中に埋設された型材の上に載置・固定されたジャッキポストが記載されている。また、特許文献2には、レールにストッパピンで固定されるクランプ装置を反力発生装置として、大型重量物を横引きする工法が記載されている。
【0004】
いずれの場合も、移動する回転機や重量物に合わせて設計し、事前に準備された機材を用いるものであり、重量物の据え付けの現場で、その移動が必要になったときに、すぐにその場で準備できる設備ではないし、また、他の重量物の移動に容易に転用できる汎用性を有する設備ではない。
【0005】
実際には多くの重量物の据え付け現場で、柱や梁などに取り付けた形鋼、いわゆる、ジャッキポスト、を反力発生装置として用いることが多い。しかし、建屋の構造上、必ずしも適当な位置にしっかりとした柱や梁があるとは限らないので、不適切な位置に設けたジャッキポストを用いて無理な移動をしたり、適切な位置にジャッキポストを立てるためにそれを支える構造体をわざわざ組む必要が出てくるなど、問題も多い。
【0006】
また、ジャッキで重量物を押すポイントは1点ではなく、通常は一つの重量物に対して、その前後左右の4方向にそれぞれに2点ずつ計8点が必要になるから、ジャッキポストも8基必要になる。ジャッキポストの取り付けは通常溶接で行われるが、数が多くなるとその取り付け、取り外し、取り外したあとの柱の養生等にはかなりの工数が必要になる。
【0007】
さらに、重量物の移動の過程で別の場所にジャッキポストを設置することが必要になったり、最初に設けたジャッキポストが重量物の移動の邪魔になって取り外さねばならないことも出てくる。そのたびに移動作業が中断され、据え付け作業にかかる時間と工数が増加することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平8−289512号公報
【特許文献2】特開2000−53400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、汎用性があって、いろいろな重量物の据え付け現場で容易に適用でき、建屋の柱や梁の位置とは関係なく設置でき、取り付け・取り外しや取り外し後の養生等に工数や時間がかからず、重量物の移動の過程での移動、新設、取り外しも容易で、しっかりとジャッキの反力を受止めうるジャッキ用反力発生装置とそれを用いた重量物の移動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、移動される重量物の重力を受ける転がり運動を用いた移動装置と、該移動装置がその上を移動する台板であって、該移動装置がその上を移動するに十分な長さと巾を有し、かつ、それ自体が自由に移動できる台板と、該台板に固定されて、移動用ジャッキの反力を受ける該台板に垂直に取り付けられた部材とからなるジャッキ用反力発生装置である。
【0011】
ここで転がり運動を用いた移動装置とは、重量物を横移動する際に、その摩擦抵抗を低減するために転がり運動を利用したころやチルタンク等の通常用いられる移動装置である。重量物の重量、形状、および、その移動する方向がX方向のみか、X−Y方向なのか、等により、移動装置の必要とする台数やその仕様が決定される。
【0012】
配置された複数台の移動装置の上に重量物が載置され、移動装置は重量物の重量を受けて、それを支える。各移動装置はそれぞれの台板の上に設置される。台板は移動装置が移動する方向に、移動装置が移動してもその上からはみ出さない十分な長さを有し、移動装置が移動しても外れることがない十分な巾を有する。
【0013】
台板は、それ自体が人手や簡単な揚重機器によって自由に移動が出来るので、重量物の移動用ジャッキをあてがいたい場所の、重量物とその基礎や基台の間に容易に挿入される。挿入にあたっては、重量物を揚重装置でわずかに吊り上げ、基礎や基台との隙間に台板とその上を移動する移動装置を挿入する。
【0014】
その際に、重量物が移動用ジャッキにより移動する方向に台板の長さ方向を合わせて配置し、その長さ方向に合わせて移動装置を設置する。台板には移動用ジャッキの反力を受ける部材(以下「反力部材」という。)が、台板に垂直に取り付けられている。台板を重量物の下に挿入する際に、この反力部材と重量物を支える移動装置の間に移動用ジャッキを配置するように位置させる。
【0015】
台板と移動装置の配置が終わったら、重量物を吊り上げていた揚重装置を作動させて、重量物を移動装置の上に載置し、重量物を支える移動装置と反力部材との間に移動用ジャッキを配置する。なお、台板を挿入する以前に反力部材に移動用ジャッキを取り付けて配置しておいてもかまわない。移動用ジャッキとしては油圧ジャッキ、空気圧ジャッキ、ジャッキボルト等何でも使用できる。ジャッキボルトを使用するときには、反力部材に雌ねじを切るなり、反力部材にナットを固定して使用すればよい。
【0016】
この状態で移動用ジャッキを操作し、重量物の移動を行う。あらかじめ、重量物の重量、形状、および、その移動する方向等により必要なジャッキ用反力発生装置の台数と配置を考えておけば、X方向のみならず、X−Y方向の移動も容易に行える。特に、据え付けに当たっての位置調節など精度を要する重量物の移動が容易に行える。
【0017】
この際、本ジャッキ用反力発生装置は、その移動装置に掛かる重量物の荷重Wをそのまま台板に伝えるので、台板と基礎や基台との間の静止摩擦係数μに応じてμWの摩擦力が発生する。一方、重量物の移動のために移動用ジャッキを作動させることにより発生する反力が反力部材を通して台板を重量物から離れる方向にずらそうとする力となる。ころやチルタンクなどの転がり運動を用いた移動装置では、この反力はWに対応する転がり摩擦力であり、その大きさはμWに比べて極めて小さいことは周知のことであるから、移動用ジャッキの反力により台板が基礎や基台からずれて動く可能性は皆無であり、本ジャッキ用反力発生装置はしっかりと移動用ジャッキの反力を受止めることが出来る。
【0018】
本ジャッキ用反力発生装置は、汎用の移動装置と、それに合わせて鋼板や鋼材を組み合わせて作る台板と反力部材の組み合わせであるから、汎用性があって、重量物の据え付け現場でどこでも容易に準備でき、適用できる。
【0019】
また、基礎や基台の上に台板を置くだけで設置できるから、建屋の柱や梁の位置とは関係なく設置でき、建屋の柱や梁に溶接で取り付けることもないので、取り付け・取り外しや取り外し後の養生等に工数や時間がかからず、重量物の移動の過程で反力発生装置の移動、新設、取り外しの必要性が生じても、人手で、あるいは、簡単な揚重機器で本ジャッキ用反力発生装置を移動させればよいのであるから、対応は極めて容易である。
【0020】
なお、上記ジャッキ用反力発生装置で用いる移動装置としては、チルタンクを採用することが望ましい。容量、寸法、材質等各種の仕様に対して幅広くラインナップされて市販されており、その重量物の移動に適したものが容易に手にはいり、その作動も安定しているからである。
【0021】
また、本発明は、前記移動装置の上に前記重量物の昇降用ジャッキを有する請求項1記載のジャッキ用反力発生装置である。
【0022】
上述のケースでは、ジャッキ用反力発生装置を設置するには、重量物を揚重装置でわずかに吊り上げ、基礎や基台との間に出来る隙間に挿入していた。重量物が所定の位置に移動した後には、再び揚重装置を作動させて重量物をわずかに吊り上げてジャッキ用反力発生装置を取り外すことになる。
【0023】
精密な位置調整を必要とする移動の場合には、ジャッキ用反力発生装置を取り外すために再度重量物を揚重装置で持ち上げると、重量物の位置が調整した位置からずれてしまう可能性があると言う問題がある。また、それほどの精度を必要としない場合であっても、その重量物を持ち上げるに必要な十分な容量を持つ揚重装置が無い場合に、わざわざこのためにクレーン等を準備するのも不経済である。
【0024】
そのような場合には、移動装置の上に重量物を直に載置するのではなく、移動装置の上に重量物の昇降用ジャッキを有するジャッキ用反力発生装置を用い、一方、重量物側には、その昇降用ジャッキを有するジャッキ用反力発生装置の上に伸びる張り出した支点を設ける。張り出した支点は常設でも、仮設でも良いが、重量物の移動用ジャッキをあてがいたい場所に設けられ、重量物の荷重を昇降用ジャッキに伝え、重量物を支持するのに十分な強度を有する必要がある。
【0025】
基礎や基台の上に載置された重量物の張り出した支点の下に、重量物の昇降用ジャッキを有するジャッキ用反力発生装置を人手や、あるいは、簡単な揚重機器を用いて配置し、昇降用ジャッキを作動させて重量物をわずかに上昇させて基礎や基盤との接触を断った状態で維持し、移動用ジャッキを作動させて位置調整を行う。位置調整が完了したら、昇降用ジャッキを作動させて重量物を基礎や基台の上に戻すことにより、位置を精密に維持したまま重量物を基礎や基台の上に設置することが出来、重量物を昇降するためのクレーン等の揚重装置を別途必要としない。
【0026】
さらに、本発明は、以上に説明したジャッキ用反力発生装置を用いて重量物を移動する方法である。
【0027】
本方法を適用するに当たって必要なものは、汎用の移動装置と、それに合わせて鋼板や鋼材を組み合わせて作る台板と反力部材の組み合わせであるから、どこの重量物の据え付け現場でも容易に適用できる。また、建屋の柱や梁の位置とは関係なく反力発生装置を設置できるので、作業計画が容易になり、最適なジャッキ作業を行うことが出来る。さらに、建て屋の柱や梁に溶接で取り付けることもないので、取り付け・取り外しや取り外し後の養生等に工数や時間がかからず、また、重量物の移動の過程で反力発生装置の移動、新設、取り外しの必要が生じても、人手で、あるいは、簡単な揚重機器でジャッキ用反力発生装置を移動させればよいのであるから、対応は極めて容易である。
【0028】
しかも、本方法を採用しても反力発生装置が従来のものから変わるだけで、ジャッキによる重量物の移動操作は変わらないから、作業員にとってあらたな負担が生じない。そして、なによりも、ジャッキ用反力発生装置はしっかりと移動用ジャッキの反力を受止めることが出来るので、安全に、かつ、確実に重量物の移動作業を行うことが出来る。
【発明の効果】
【0029】
本発明のジャッキ用反力発生装置は、汎用性があって、いろいろな重量物の据え付け現場で容易に適用でき、建屋の柱や梁の位置とは関係なく設置でき、取り付け・取り外しや取り外し後の養生等に工数や時間がかからず、重量物の移動の過程での反力発生装置の移動、新設、取り外しも容易で、しっかりと移動用ジャッキの反力を受止めることが出来る。
【0030】
また、それを用いた本発明の重量物の移動方法を採用することにより、上記に加え、作業員にとって従来同様にジャッキによる重量物の移動操作をすればよいので、あらたな負担が生ずることなく、安全に、かつ、確実に重量物の移動作業を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明のジャッキ用反力発生装置の実施例1の側面図と平面図である。
【図2】本発明のジャッキ用反力発生装置の実施例2の側面図である。
【図3】本発明の重量物を移動する方法を採用する際の準備状況の説明図である。
【図4】本発明の重量物を移動する方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明をする。なお、本発明はかかる実施の形態には限定されず、本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて良いことは言うまでもない。
【実施例1】
【0033】
図1は本発明のジャッキ用反力発生装置の実施例1の側面図(a)と平面図(b)である。ジャッキ用反力発生装置1は、移動される重量物2を載置されその重量を受ける転がり運動を用いた移動装置、この実施例ではチルタンク11と、チルタンク11がその上を移動する台板12と、その台板12に固定されて、移動用ジャッキ3の反力を受ける反力部材13から構成されている。
【0034】
本図では、重量物2を図の左方に移動するようにジャッキ用反力発生装置1が設置されている。移動用ジャッキ3を作動させれば、チルタンク11は左方に移動する。チルタンク3が移動しても台板12から外れないように台板12は左方に十分の長さを有している。同様に、チルタンク11が移動しても台板12から外れないように余裕を持って台板12の巾が採られている。
【0035】
台板12は、基礎や基台4の上に単に置かれているだけであり、ボルト・ナットや溶接で固定されているわけではない。したがって、重量物2を揚重装置(図示されていない。)を用いてわずかに吊り上げて、ジャッキ用反力発生装置1は人手で、あるいは、簡単な揚重機器によって、重量物2と基礎や基台4の間にできた隙間に挿入するだけでよい。
【0036】
反力部材13は、移動用ジャッキ3の反力を確実に受止めるために、台板12に垂直に取り付けられる。図では平板13を台板12に垂直に取り付け、補強部材13aで補強した構成を示しているが、移動用ジャッキ3の反力に十分耐える強度を有するものであれば、平板13だけでも良いし、平板のかわりにH形鋼等を取り付けても良い。また、部材14は移動用ジャッキの力を確実にチルタンク11に伝えるために設けたものである。チルタンクの型式によって、適宜その取り付けの要否や形状を考えればよい。
【0037】
本ジャッキ用反力発生装置1を使用するには、まず重量物2を揚重装置(図示されていない。)でわずかに吊り上げ、基礎や基台4との間にできた隙間にジャッキ用反力発生装置を挿入する。その上にチルタンク11を配置し、揚重装置を操作して、チルタンク11の上に重量物を載置する。チルタンク3と反力部材13の間に移動用ジャッキを設置すれば、準備完了である。
【0038】
移動用ジャッキ3を作動させて、重量物2を調整すべき位置まで移動する。この際、チルタンク3に掛かる重量物2の荷重Wはそのまま台板12に伝えるので、台板12と基礎や基台4との間の静止摩擦係数μに応じてμWの摩擦力が発生する。一方、重量物2の移動のために移動用ジャッキ3を作動させることにより発生する反力が反力部材13を通して台板12を図の右方にずらそうとする力となる。チルタンクなどの転がり運動を用いた移動装置では、この反力はWに対応する転がり摩擦力であり、その大きさはμWに比べて極めて小さいので、移動用ジャッキ3の反力により台板12が基礎や基台4からずれて動く可能性は皆無であり、本ジャッキ用反力発生装置1はしっかりと移動用ジャッキ3の反力を受止めることが出来る。
【0039】
必要な移動作業が終わった後、揚重装置を操作して重量物2をわずかに吊り上げ、ジャッキ用反力発生装置1を重量物2の下から取り除き、揚重装置を操作して重量物2を基礎や基台4の上に載置すれば、作業は完了である。
【実施例2】
【0040】
図2は本発明のジャッキ用反力発生装置の実施例2の側面図である。なお、理解を容易にするため、付番に当たっては実施例1と同じ用途を有し、類似の形状を有する部材には同じ番号を付することとする。
【0041】
ジャッキ用反力発生装置6は、移動される重量物の重量を受ける転がり運動を用いた移動装置、この実施例ではチルタンク11がその上を移動する台板12と、その台板12に固定されて、移動用ジャッキ3の反力を受ける反力部材13と、チルタンク11の上に設置された重量物の昇降用ジャッキ5とから構成されている。
【0042】
図3は、この重量物を移動する方法を採用する際の準備状況の説明図である。図では、まずX方向に位置調節を行うために、重量物から張り出した4個の支点7aにそれぞれジャッキ用反力発生装置6を設置した状態を示している。この4台のジャッキ用反力発生装置6の昇降用ジャッキ5を協調させて重量物2を押し上げる。X方向の位置調節が終わったら,4個の支点7bにそれぞれジャッキ用反力発生装置6を設置して、同様に操作すればよい。なお、本図では長方形の重量物を位置調整する場合を示したが、重量物の形状や障害物があるかどうかと言った周囲の状況に合わせて、支店の位置や数を変化することがある。
【0043】
図4を用いて、このジャッキ用反力発生装置6を用いた重量物の移動方法を説明する。重量物2には、あらかじめ移動用ジャッキ3を適用したい場所に張り出した支点7を設けられている。張り出した支点7は常設でも、仮設でも良いが、重量物2の荷重を昇降用ジャッキ5に伝え、それを支持するのに十分な強度を有する必要がある。
【0044】
張り出した支点の下にジャッキ用反力発生装置6を図4(a)に示すように挿入する。この際、基礎や基台4の上に台板12を置くだけで良く、溶接等により固定する必要はない。
【0045】
続いて、昇降用ジャッキ5を作動させてそのロッド5aを伸長させ、重量物2を押し上げて基礎や基台4との間に隙間8を作る。図4には1台のジャッキ用反力発生装置6のみ示しているが、実際には図3に示したように一つの重量物2に対して複数台のジャッキ用反力発生装置6が設けられ、それらの昇降用ジャッキ5を協調させて重量物2を図4(b)の高さまで押し上げる。
【0046】
次に、移動用ジャッキ3を作動させ、そのロッド3aを伸長させて重量物2を左方に移動する。図4(b)では、重量物2が(a)の位置より距離Lだけ移動し所定の位置に至った状態を示している。ここで、昇降用ジャッキ5を作動して、そのロッド5aを縮小し重量物2を基礎や基台4の上におろせば、この方向への重量物2の位置の調整は完了である。これらの操作においても、複数台のジャッキ用反力発生装置6の移動用ジャッキ3や昇降用ジャッキ5を協調させて行う。
【0047】
X方向の位置調節が終わったら,図4の4個の支点7bにそれぞれジャッキ用反力発生装置6を設置して、同様に操作すればY方向の位置調節を行うことが出来、X−Y方向の位置調節が終了する。
【0048】
この実施例でも、台板12と基礎や基台4との間の静止摩擦係数μに応じて生じうるμWの摩擦力に比べて、重量物2の移動のために移動用ジャッキ3を作動させることにより発生する反力が極めて小さいので、移動用ジャッキ3の反力により台板12が基礎や基台4からずれて動く可能性は皆無であり、本ジャッキ用反力発生装置6はしっかりと移動用ジャッキ3の反力を受止めることが出来る。
【0049】
以上、実施例2のジャッキ用反力発生装置6を用いた重量物の移動方法を説明したが、実施例1のジャッキ用反力発生装置1を用いた場合も、前述のように、昇降用ジャッキ5と重量物から張り出した支点7を用いて重量物2の昇降を行うのに替えて別途クレーン等の揚重装置を用いて重量物2の昇降を行う以外は、基本的に同じ要領で重量物の移動が行える。
【産業上の利用可能性】
【0050】
重量物の移動、特に、重量物の位置調整のための移動をジャッキにより行う際に、いろいろな現場で広く適用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 ジャッキ用反力発生装置(実施例1)
2 重量物
3 移動用ジャッキ
3a 同 ロッド
4 基礎または基台
5 昇降用ジャッキ
5a 同 ロッド
6 ジャッキ用反力発生装置(実施例2)
7、7a、7b 支点
11 移動装置(チルタンク)
12 台板
13 反力部材
13a 同 補強部材
14 部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動される重量物の重力を受ける転がり運動を用いた移動装置と、該移動装置がその上を移動する台板であって、該移動装置がその上を移動するに十分な長さと巾を有し、かつ、それ自体が自由に移動できる台板と、該台板に固定されて移動用ジャッキの反力を受ける該台板に垂直に取り付けられた部材とからなるジャッキ用反力発生装置。
【請求項2】
前記移動装置の上に前記重量物の昇降用ジャッキを有する請求項1記載のジャッキ用反力発生装置。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2のいずれかのジャッキ用反力発生装置を用いて重量物を移動する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−168348(P2011−168348A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31203(P2010−31203)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(593162361)日本建設工業株式会社 (9)