説明

ジャンクションコンベヤ

【課題】ベルトの折り返しに摺動パイプを使用しながら、高いベルト駆動力が得られ、起動時においてベルトがスリップすることがないジャンクションコンベヤを提供することである。
【解決手段】搬送ライン100に対して搬送物を所定角度で分岐または合流させるベルト式ジャンクションコンベヤ1であって、前記搬送ライン100に近接して設置されベルト2を所定角度で折り返す摺動パイプ11と、この摺動パイプ11で折り返されたベルト2を架設したドライブローラ3とテールローラ4と、前記ドライブローラ3にベルト2を押し付けるバックアップローラ6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ラインに対して搬送物を所定の角度で分岐または合流させるためのジャンクションコンベヤに関する。このジャンクションコンベヤは、マージコンベヤと呼ばれることもある。
【背景技術】
【0002】
搬送ラインから搬送物を所定の角度(例えば30°、45°)で分岐させたり、搬送ラインから搬送物を所定の角度で合流させたりするコンベヤは、一般にジャンクションコンベヤと呼ばれる。図3(a)および(b)はそれぞれ搬送ライン100に対する分岐用および合流用のジャンクションコンベヤ101,102を示している。
【0003】
図3(a)に示す分岐用ジャンクションコンベヤ101は、搬送ライン100のコンベヤベルト104に近接して配置された摺動パイプ50で折り返したベルト51をドライブローラ52とテールローラ53間に架設している。図3(b)に示す合流用のジャンクションコンベヤ102も同様に、搬送ライン100の直線コンベヤベルト104に近接して配置された摺動パイプ50で折り返したベルト51をドライブローラ52とテールローラ53間に架設している。
ドライブローラ52はモーターなどの駆動装置(図示せず)に接続され、ベルト51を一定方向に走行させる。
【0004】
ここで、搬送物の分岐・合流位置に摺動パイプ50を使用しているのは、直線コンベヤベルト104に対してジャンクションコンベヤ101、102のベルト51を所定の角度で設置して、搬送流れの勢いで搬送物を分岐または合流を行わせるためである。
【0005】
このとき、摺動パイプ50においてベルト51の走行抵抗が増大するおそれがあるため、ドライブローラ52とテールローラ53間に架設するベルト51は、スリップしない程度のゆるい張力で張られている。しかし、搬送物を載荷した状態でジャンクションコンベヤ101、102を起動させると、ベルト51に駆動張力が作用するまでにドライブローラ52とベルト51がスリップしてしまい、そのため異音(スリップ音)の発生やベルト51の磨耗が発生する他、駆動開始から実際に搬送物が搬送されるまでの間に時間差があるため、例えば合流の場合にはジャンクションコンベヤ102からの搬送物が、搬送ライン100上の他の搬送物と衝突するおそれがあるといった問題がある。そのため、ジャンクションコンベヤ101、102上に搬送物を載荷した状態で起動停止せずに、ジャンクションコンベヤ101、102の直前または直後に待機コンベヤを設けるなどしていた。
【0006】
一方、特許文献1のように、摺動パイプ50に代えて、ベルトの折り返しをローラで行い、ベルト張力で駆動力を確保している例もある。しかし、この方法は、折り返し部におけるローラの回転方向と、ベルトの進行方向が一致していないため、ベルトの偏りが起こり、運転を停止しなければならないという不具合が生じる。
【特許文献1】特開2006−263386号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ベルトの折り返しに摺動パイプを使用しながら、高いベルト駆動力が得られ、起動時においてベルトがスリップすることがないジャンクションコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のジャンクションコンベヤは、搬送ラインに対して搬送物を所定角度で分岐または合流させるベルト式ジャンクションコンベヤであって、前記搬送ラインに近接して設置されベルトを所定角度で折り返す摺動パイプと、この摺動パイプで折り返されたベルトを架設したドライブローラとテールローラと、前記ドライブローラにベルトを押し付けるバックアップローラとを備えたことを特徴とする。
【0009】
前記バックアップローラは、弾性材によって前記ドライブローラに向かって付勢されているのがよい。また、前記バックアップローラは、前記ドライブローラの軸方向と平行に配置された支持軸に回転自在に間隔をもって配列保持された複数のベアリング式ローラであるのがよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ドライブローラにベルトを押し付けるバックアップローラを備えているので、ベルトの折り返しに摺動パイプを使用しベルトがゆるい張力で張られていても、起動時にベルトがスリップするのを抑止することができる。従って、起動時に異音(スリップ音)が発生したり、ベルトが磨耗するのを低減できると共に、ドライブローラの起動と殆ど同時にジャンクションベルトを走行させることができ、ドライブローラの起動開始からベルトの走行開始までの時間差が実質的になくなるので、例えばジャンクションコンベヤ上に搬送物を載荷したままでベルトを起動させることができる。その結果、搬送ラインとなる本コンベヤベルトとの間での搬送物の分岐・合流のタイミングが取りやすくなり、待機コンベヤを必要としなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
つぎに図面を参照しながら本発明のジャンクションコンベヤを説明する。図1は本発明の一実施形態である合流用ジャンクションコンベヤを示す概略説明図であり、図2は該ジャンクションコンベヤにおけるドライブローラとバックアップローラを示す概略側面図(a)および概略正面図(b)である。
【0012】
図1に示す合流用ジャンクションコンベヤ1は、搬送ライン100に対して搬送物を所定角度(例えば30°、45°)で合流させるものであり、搬送ライン100に近接して設置され、無端状ジャンクションベルト2(以下、単にベルト2という)を所定角度で折り返す摺動パイプ11と、この摺動パイプ11で折り返されたベルト2を両端で架設したドライブローラ3とテールローラ4とを備える。ベルト2としては、例えば、帆布表面に樹脂層を積層した樹脂ベルトなどが使用される。
【0013】
摺動パイプ11は上下に配置された2本からなり、往き側と帰り側のベルト2をそれぞれ折り返している。摺動パイプ11は両端が固定された断面円形の丸棒または丸パイプであり、通常は軸方向が本ベルト104の搬送ライン100と平行である。
【0014】
ドライブローラ3は、ジャンクションベルト2の一端に設置され、図示しない駆動源からの駆動力を受けて回転し、ベルト2を矢印A方向走行させるものである。また、ジャンクションベルト2の他端に設置されたテールローラ4は従動ローラであって、ベルト2の走行に従動して回転する。
【0015】
図1および図2(a)に示すように、ドライブローラ3からのベルト2の往き側には、スナブローラ5が設けられている。このスナブローラ5は、ベルト2のドライブローラ3への巻き付け角度を大きく(すなわち巻き付け長さを大きく)して、摩擦による駆動力の伝達が速やかに行われるようにしている。
【0016】
さらに、ドライブローラ3には、該ドライブローラ3にベルト2を押し付けるバックアップローラ6が付設される。このバックアップローラ6は、ドライブローラ3の軸方向と平行に配置された1本の支持軸7に回転自在に間隔をもって配列保持された複数のベアリング式ローラ6aから構成される。また、バックアップローラ6によるドライブローラ3への押し付けは、スプリング10(弾性材)によって強制的に行われる。すなわち、バックアップローラ6は、スプリング10によって前記ドライブローラ3に向かって付勢されている。
【0017】
より詳細に説明すると、バックアップローラ6は、ドライブローラ3の下方に設けられた架台8の表面に、軸受け9,9によって回転自在に保持されている。このとき、軸受け9,9にはスリットを設け、このスリットに支持軸7を挿通させてドライブローラ3に向かって摺動自在となるように保持している。
【0018】
このように、バックアップローラ6が複数のベアリング式ローラ6aに分割されているため、均等な押し付けが可能となる。また、スプリング10による強制的な押し付けであるため、ベルト2の挙動が変化したり、厚みのバランスが狂ったりした場合にも、常に均等な押し付けが可能となる。そのため、ベルト2をバックアップローラ6とドライブローラ3との間で確実に挟持しているので、ゆるく張られたベルト2であっても、ドライブローラ3の起動開始とほぼ同時に走行を開始するようになり、ベルト2がスリップするのを抑止することができる。バックアップローラ6を付加することにより、おおよそ1.2倍以上駆動力が増加すると考えられる。
【0019】
以上の実施形態では、バックアップローラ6の他に、スナブローラ5を設けてベルト2のドライブローラ3への巻き付け角度を大きくしているが、バックアップローラ6のみを設け、スナブローラ5は省略してもよい。
【0020】
また、バックアップローラ6は複数のローラ6aに分割したが、1本のロールで構成してもよいことは勿論である。さらに、バックアップローラ6を付勢するスプリング10に代えて、バックアップローラをドライブローラ3の方向に押し付けることができる他の手段を用いてもよい。このような他の手段としては、例えばバックアップローラをドライブローラ3の上側に配置し、バックアップローラの自重でベルトをドライブローラ3に押し付ける手段が挙げられる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態である合流用ジャンクションコンベヤ1について説明したが、本発明は図3(a)に示すような分岐用ジャンクションコンベヤ101にも同様にして適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態である合流用ジャンクションコンベヤを示す概略説明図である。
【図2】(a)は図1に示したジャンクションコンベヤにおけるドライブローラとバックアップローラの関係を示す概略側面図および (b) はその正面図である。
【図3】(a)および(b)はそれぞれ搬送ラインに対する分岐用および合流用のジャンクションコンベヤを示す平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1:合流用ジャンクションコンベヤ、2:ジャンクションベルト、3:ドライブローラ、4:テールローラ、5:スナブローラ、6:バックアップローラ、10:スプリング(弾性材)、100:搬送ライン、101:分岐用ジャンクションコンベヤ、102:合流用ジャンクションコンベヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインに対して搬送物を所定角度で分岐または合流させるベルト式ジャンクションコンベヤであって、
前記搬送ラインに近接して設置されベルトを所定角度で折り返す摺動パイプと、この摺動パイプで折り返されたベルトを架設したドライブローラとテールローラと、前記ドライブローラにベルトを押し付けるバックアップローラとを備えたことを特徴とするジャンクションコンベヤ。
【請求項2】
前記バックアップローラは、弾性材によって前記ドライブローラに向かって付勢されている請求項1に記載のジャンクションコンベヤ。
【請求項3】
前記バックアップローラは、前記ドライブローラの軸方向と平行に配置された支持軸に回転自在に間隔をもって配列保持された複数のベアリング式ローラである請求項1または2に記載のジャンクションコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−220920(P2009−220920A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64944(P2008−64944)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】