説明

ジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は高水準言語処理プログラム,利用者プログラム等のプログラムの障害発生時に再処理のために行われるファイルの復旧処理に関し、特にジャーナル無し順処理ファイル(ジャーナルがとられていない順データセットをいう。以下同様)でなる入力ファイルおよび出力ファイルの復旧処理を自動的に行うジャーナル無し処理ファイルのロールバック方式に関する。
〔従来の技術〕
従来、ジャーナル無し順処理ファイルでなる入力ファイルの復旧処理では、プログラム自身で入力ファイルに対するレコード位置の位置付け(入力ファイルのVTOC(Volume Table Of Contents)中のファイル位置ポインタの回復)を行うことにより、入力ファイルのロールバックを行っていた。
また、ジャーナル無し順処理ファイルでなる出力ファイルの復旧処理では、出力ファイルに対してはレコード位置の位置付け(出力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタの回復)ができなかったので、プログラムの実行を最初からやり直していた。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した従来のジャーナル無し順処理ファイルでなる入力ファイルの復旧処理では、入力ファイルに対するレコード位置の位置付けをプログラム自身で行っていたので、プログラムにおける処理が煩雑になるという欠点がある。
また、従来のジャーナル無し順処理ファイルでなる出力ファイルの復旧処理では、出力ファイルに対するレコード位置の位置付けができなかったので、出力ファイルのロールバックができないという致命的な欠点がある。
本発明の目的は、上述の点に鑑み、ジャーナル無し順処理ファイルでなる入力ファイルおよび出力ファイルのロールバックを自動的に行えるようにしたジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明のジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式は、ジャーナル無し順処理ファイルである入力ファイルから少なくとも1レコードのデータを入力し必要な処理を施してジャーナル無し順処理ファイルである出力ファイルに出力するトランザクションに障害が発生した場合に前記入力ファイルおよび前記出力ファイルを該トランザクションの実行前の状態にロールバックするジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式において、VTOC中の前記入力ファイルのファイル内レコード位置を示すファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル内レコード位置を示すファイル位置ポインタを更新するVTOC情報更新手段と、プログラムのトランザクション処理の開始時に、その時点での前記入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを渡して前記VTOC情報更新手段を呼び出し、VTOC中の前記入力ファイルのファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル位置ポインタを更新させるとともに、その時点での前記入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを退避エリアに退避するファイル位置ポインタ退避手段と、プログラムの障害発生時に、前記退避エリアに退避されている入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを渡して前記VTOC情報更新手段を呼び出し、VTOC中の前記入力ファイルのファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル位置ポインタを回復させるファイル位置ポインタ回復手段とを有する。
〔作用〕
本発明のジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式では、VTOC情報更新手段が入力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタおよび出力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタを更新し、ファイル位置ポインタ退避手段がプログラムのトランザクション処理の開始時にその時点での入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを渡してVTOC情報更新手段を呼び出し入力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタおよび出力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタを更新させるとともにその時点での入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを退避エリアに退避し、ファイル位置ポインタ回復手段がプログラムの障害発生時に退避エリアに退避されている入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを渡してVTOC情報更新手段を呼び出し入力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタおよび出力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタを回復させる。
〔実施例〕
次に、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
第1図は、本発明の一実施例に係るジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式の構成を示すブロック図である。本実施例のジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式は、プログラム1と、ジャーナル無し順処理ファイルでなる入力ファイル2と、ジャーナル無し順処理ファイルでなる出力ファイル3と、実行プログラムモニタ4と、退避エリア5とから、その主要部が構成されている。
実行プログラムモニタ4は、ファイル位置ポインタ退避手段41と、ファイル位置ポインタ回復手段42と、VTOC情報更新手段43とを含んで構成されている。
次に、このように構成された本実施例のジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式の動作について説明する。
プログラム1は、トランザクション処理(入力ファイル2から単数または複数のレコードからなる1処理単位のデータ(以下、トランザクションという)を入力し必要な処理を施して出力ファイル3に出力する一連の処理をいう。以下同様)の開始時に、実行プログラムモニタ4中のファイル位置ポインタ退避手段41を呼び出す。
ファイル位置ポインタ退避手段41は、入力ファイル2に関するファイルコントロールブロック(図示せず)および出力ファイル3に関するファイルコントロールブロック(図示せず)等から入力ファイル2のファイル位置ポインタ(以下、入力ファイル位置ポインタという)および出力ファイル3のファイル位置ポインタ(以下、出力ファイル位置ポインタという)を得、得られた入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを渡してVTOC情報更新手段43を呼び出す。
VTOC情報更新手段43は、渡された入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタによって入力ファイル2のVTOC中のファイル位置ポインタおよび出力ファイル3のVTOC中のファイル位置ポインタをそれぞれ更新し、その時点までに行われた入力ファイル2からの入力処理および出力ファイル3に対する出力処理を有効とする。
また、ファイル位置ポインタ退避手段41は、得られた入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを退避エリア5に退避する。
あるトランザクションの処理中にプログラム1に障害が発生すると、当該トランザクションの処理をやり直す必要があるので、プログラム1は、実行プログラムモニタ4中のファイル位置ポインタ回復手段42を呼び出す。
ファイル位置ポインタ回復手段42は、退避エリア5に退避されている入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを取り出し、取り出した入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを渡してVTOC情報更新手段43を呼び出す。
VTOC情報更新手段43は、渡された入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを入力ファイル2のVTOC中のファイル位置ポインタおよび出力ファイル3のVTOC中のファイル位置ポインタにそれぞれ回復することにより、障害発生時点で処理中のトランザクション処理の開始時における入力ファイル2のレコード位置および出力ファイル3のレコード位置にそれぞれ位置付ける。
以上のようにして、入力ファイル2および出力ファイル3のロールバック処理が自動的に行われる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明は、プログラムのトランザクション処理の開始時に入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタの更新処理および退避処理を行い、プログラムの障害発生時に入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタの回復処理を行うようにしたことにより、プログラムにおいて入力ファイルのレコード位置の位置付けを意識して入力ファイルのロールバックを行う煩雑さを解消することができるという効果がある。
また、プログラムのトランザクション処理の開始時に出力ファイルのVTOC中のファイル位置ポインタの更新処理がかならず行われるので、出力ファイルのロールバック処理が可能になるとともに、プログラムにおいて出力ファイルのレコード位置の位置付けを意識して出力ファイルのロールバックを行う必要はないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式の構成を示すブロック図である。
図において、
1……プログラム、
2……入力ファイル、
3……出力ファイル、
4……実行プログラムモニタ、
5……退避エリア、
41……ファイル位置ポインタ退避手段、
42……ファイル位置ポインタ回復手段、
43……VTOC情報更新手段である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】ジャーナル無し順処理ファイルである入力ファイルから少なくとも1レコードのデータを入力し必要な処理を施してジャーナル無し順処理ファイルである出力ファイルに出力するトランザクションに障害が発生した場合に前記入力ファイルおよび前記出力ファイルを該トランザクションの実行前の状態にロールバックするジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式において、VTOC中の前記入力ファイルのファイル内レコード位置を示すファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル内レコード位置を示すファイル位置ポインタを更新するVTOC情報更新手段と、プログラムのトランザクション処理の開始時に、その時点での前記入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを渡して前記VTOC情報更新手段を呼び出し、VTOC中の前記入力ファイルのファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル位置ポインタを更新させるとともに、その時点での前記入力ファイルの入力ファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルの出力ファイル位置ポインタを退避エリアに退避するファイル位置ポインタ退避手段と、プログラムの障害発生時に、前記退避エリアに退避されている入力ファイル位置ポインタおよび出力ファイル位置ポインタを渡して前記VTOC情報更新手段を呼び出し、VTOC中の前記入力ファイルのファイル位置ポインタおよび前記出力ファイルのファイル位置ポインタを回復させるファイル位置ポインタ回復手段とを有することを特徴とするジャーナル無し順処理ファイルのロールバック方式。

【第1図】
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【特許番号】第2972223号
【登録日】平成11年(1999)8月27日
【発行日】平成11年(1999)11月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−105997
【出願日】平成1年(1989)4月27日
【公開番号】特開平2−285438
【公開日】平成2年(1990)11月22日
【審査請求日】平成5年(1993)5月25日
【審判番号】平8−589
【審判請求日】平成8年(1996)1月18日
【出願人】(999999999)日本電気株式会社
【合議体】
【参考文献】
【文献】特開 昭61−13328(JP,A)