説明

ジャーポット

【課題】 出湯操作する時に、操作する人の手指に蒸気や飛びはね時の熱湯がかからないようにすること。
【解決手段】 電動ポンプにより、湯を出湯する電動出湯式のジャーポットにおいて、本体正面から見て、本体外に内容器内の液体を出す湯口13を、本体中心よりずらして位置させるとともに、電動ポンプの出湯操作部30を本体中心にて、湯口13の反対側に位置させ、湯口13と出湯操作部30の距離を離すようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内容器内の水を加熱し、湯を沸かした後に所定の温度で保温する機能を有し、電動エアーポンプまたは電動遠心ポンプなどの電気的に動作する出湯方式を有した電動出湯式のジャーポットに関する。
【0002】
【従来の技術】本体内に電気的に動作する出湯用電動エアーポンプ、または電動遠心ポンプなどを備えた電動出湯式ジャーポットにおいて、従来は、湯口は本体正面あるいは本体上面から見て中心線上に位置し、また出湯操作部はその湯口上面近傍に位置していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ジャーポットは近年コーヒーやお茶など飲料用以外に、カップ麺用や麺をゆで上げるときに鍋に多量に湯を使うなど、その用途が広がり、大容量化が進むとともに、楽に出湯できる電動出湯式のものが急増している。これら電動出湯式のジャーポットにおいては、湯口は本体正面あるいは本体上面から見てその中心線上に位置している。そのため、出湯操作時において、湯を鍋などに多量に出湯するときなどは出湯された湯の蒸気が立ち昇り、出湯操作を行っている人の手指にその蒸気が掛かり、火傷等を起こす恐れがある。また、カップ麺など、蓋を半開きにした状態で湯を注ぎ入れるときには入れづらく、入れた湯が飛び跳ねたり、湯が手指に掛かったりして、熱い思いをする事が多く、非常に使い勝手が悪いものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本体正面あるいは本体上面から見て、湯口を本体中心線上よりずらして位置させ、また出湯操作部を本体中心より、湯口と反対側に位置させることにより、湯口と出湯操作部の距離を離す構成とした。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は、湯口と出湯操作部との距離を離すようにしたもので、本体上面から見て湯口を中心線上よりずらし、かつ出湯操作部を湯口とは反対側にずらして位置させたもので、具体的には平面上で6cm以上離すようにしたものである。
【0006】そして、このような構成にしたことにより、出湯操作時において、出湯された湯から立ち昇る蒸気や、飛び跳ねた湯が、出湯操作部を操作する手に掛かることはなくなり、火傷等をする危険性を大幅に低減することが可能となる。
【0007】
【実施例】以下本発明の一実施例を図1により説明する。
【0008】図において1は本体、2は内部に水などの液体3を収容する内容器で本体1内に収納されている。4は内容器2の底面に装着された発熱体で内容器2内の液体3を加熱、保温する。5は内容器2の底面の外側中央部に装着した温度センサーである。6は内容器2の底面前部に穿設した湯流出用の穴で、この穴6に容器パイプ7を貫設し、この容器パイプ7の下流側には、順次パッキン8、出湯用の電動ポンプ9、ゲージパイプ10、転倒流水防止弁部11、湯口パイプ12が接続され、出湯経路を形成する。13は湯口であり、14は湯口13が設けられた湯口カバーである。15は本体1の上部開口部にヒンジ16を中心に回転自在に搭載した蓋体である。17は蓋体15の前方に設けた蓋体15の開閉レバーである。蓋体15の下側開口部には、裏蓋18が装着され、更に下面を覆うように内蓋19が装着固定されている。
【0009】20は蓋体15の後部上面に設けた蒸気孔であり、この蒸気孔20より裏蓋18に構成された蒸気通路を通じ蒸気が排出する。21は裏蓋18に設けた鋼球製の転倒流水防止弁で、本体の転倒時に蒸気通路を塞ぎ、本体外部への熱湯の流出を防止する。22は開閉レバー17と連動し、蓋体15の前部を本体側に係止するよう蓋体15の前方に設けたフックであり、23は本体1上部に覆設された本体リングであり、本体リング23前部上面には、操作パネル部24がある。
【0010】25はジャーポット全体を制御する制御手段であり、発熱体4、温度センサー5等と接続している。26は制御手段に覆設した防水ケース、27は本体1の底枠、28は底枠27に併設した回転台である。29は本体1に設けた持ち運び用のハンドルである。
【0011】図2はジャーポットの上面図であり、操作パネル部24には、制御機能に関わる操作キー部、及び状態の表示ランプ等(いずれも記述省略)がある。この中で30は電動ポンプ9への駆動電源を供給制御する出湯操作部(出湯ボタン)であり、図2及び正面図の図3に記するように、本体正面あるいは本体上面より見て中心線上よりずれた位置に設けた湯口13とは、中心線をはさんで各々反対側に位置している。またこの両者は具体的には上面から見て平面上で6cm以上離れている。
【0012】次に、上記構成からなる本実施例の作用について説明する。
【0013】蓋体15の前方に設けた開閉レバー17を引き上げると本体リング23に係止しているフック22が後方に押され、係止部が外れ、蓋体15は開けられる。
【0014】内容器2内に液体である水3を入れ、蓋体15を閉じ、通電すると、温度センサー5の情報により制御手段25で制御し、発熱体4により加熱し湯沸かしを始める。
【0015】その後、次第に内容器2内の水温が上昇し、それとともに内容器2底部に取り付けられた温度センサー5の温度が上昇して所定の温度に達すると、制御手段25内に装着されたマイコン(記載せず)が沸とう検知を始める。
【0016】制御手段25内に装着されたマイコンが沸とうと判定すると、発熱体4の加熱機能を停止させ、保温状態に切り替わる。
【0017】次に、内容器2内の湯を出湯させるために操作パネル部24の出湯操作部30を押すと、出湯操作部30を押している間、出湯用の電動ポンプ9が動作し湯が流出経路を通り、湯口13より出湯する。この出湯動作において、出湯した湯の蒸気は、湯口13下方より上方に立ち昇るが、本体正面あるいは本体上面より見て、湯口13は本体中心線上からずれた位置にあり、また出湯操作部30は、本体中心線より湯口13と反対側に位置しているので、湯口13と出湯操作部30の距離は離れることとなり、出湯操作を行う人の手指に蒸気が掛かり難く、また、湯の飛び散り時にも、手指に湯が当たることはなくなり、湯操作中における火傷等の恐れは著しく低減し、安心して出湯する事が出来るものである。
【0018】また、湯口と出湯操作部の距離を平面上で6cm以上離すことにした理由は、色々な条件で実際に出湯実験を行い、湯の飛びはね等による引っ掛かり具合を検討した結果定まったものである。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明による、本体正面あるいは本体上面より見て、湯口を本体中心線上からずれて位置させ、また出湯操作部は、本体中心線より湯口と反対側に位置させることにより、湯口と出湯操作部の距離は離れることとなり、出湯操作を行う人の手指に蒸気が掛かり難く、また、飛びはね時の湯の当たるチャンスも少なく、出湯操作中における湯の蒸気による火傷等の恐れは著しく低下し、安心して給湯出来るジャーポットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すジャーポットの縦断面図である。
【図2】同じく上面図である。
【図3】同じく正面図である。
【記号の説明】
1 本体
2 内容器
9 電動ポンプ
13 湯口
30 出湯操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体内部に設けた有底筒状の内容器と、内容器の上端開口部を開閉する蓋体と、内容器内の液体を加熱する発熱体と、液体の温度を検出する温度センサーと、電気的に動作する出湯用の電動ポンプと、発熱体などを制御する制御手段を備えた電動出湯式のジャーポットにおいて、本体正面あるいは本体上面より見て、本体外に内容器(2)内の液体を出す湯口(13)を、本体中心線上よりずらして位置させ、また出湯用の電動ポンプ(9)の出湯操作部(30)を本体中心線にて、湯口(13)の反対側に位置させたことを特徴とするジャーポット。
【請求項2】 湯口(13)と出湯操作部(30)の距離を、操作面上面より見た平面上で6cm以上離したことを特徴とする請求項1記載のジャーポット。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開平10−43049
【公開日】平成10年(1998)2月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−201979
【出願日】平成8年(1996)7月31日
【出願人】(000005131)株式会社日立ホームテック (10)