説明

ジュークボックス玩具

【課題】音楽を純粋に楽しむことができるとともに視覚的にも楽しむことができ、団塊の世代の大人が若い頃を思い出して心を癒すことができるジュークボックス玩具を提供すること。
【解決手段】ディスク5を着脱可能に保持したディスクホルダー6と、ディスクホルダー6に保持されたディスク5をピックアップし、ターンテーブル8に移動させるピックアップアーム7と、ターンテーブル8上に移動するアーム9とを設けるとともに、上記ディスクホルダー6、ピックアップアーム7、アーム9をそれぞれ駆動する駆動機構D1、D2、D3を設け、該駆動機構D1、D2、D3は制御部100によって制御され、音楽が再生される前にディスク5をピックアップアーム7でピックアップしてターンテーブル8上に移動させた後、アーム9をディスク5の上方に移動させ、音楽の再生が終わると、ディスク5をターンテーブル8からディスクホルダー6に戻すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジュークボックス玩具、詳しくは音楽を再生するだけではなく、選択した曲の再生の前後に実際のジュークボックスと同様の動きを再現するジュークボックス玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音楽を再生する玩具として再生する音楽に同期して動作し、あたかも人形が演奏しているような状態を作る演奏動作玩具が提案されている(例えば、特許文献1)。この玩具は演奏者である動作玩具の間接的な動きを予め演奏情報内に含ませることなく、楽器を直接に演奏するための動きと間接的な動きを表現することができるようにしたものである。
【特許文献1】特開平9−94355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする問題点は、上述の玩具は再生する音楽に合わせていかにリアルに玩具を動作させるかに重点が置かれ、音楽とともに玩具の動きを楽しむことができた。しかし、近年少子化が進み玩具の対象を子供だけではなく大人も対象とした玩具が提案されてきたが、音楽を純粋に楽しみ、心を癒すことのできる玩具の提案が望まれている。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決し、音楽を純粋に楽しむことができるとともに視覚的にも楽しむことができ、団塊の世代の大人が若い頃を思い出して心を癒すことができるジュークボックス玩具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明に係るジュークボックス玩具は、以下の要件を備えることを特徴とする。
(イ)レコード盤を模したディスクを多数着脱可能に保持して回転するディスクホルダーを設け、該ディスクホルダーを駆動する駆動機構を設けたこと
(ロ)上記ディスクホルダーに保持されたディスクをピックアップし、ターンテーブルに載置するピックアップアームを設け、該ピックアップアームを駆動する駆動機構を設けたこと
(ハ)上記ターンテーブル上に載置したディスク上に移動するピックアップを模したアームを設け、該ターンテーブルとアームとを駆動する駆動機構を設けたこと
(ニ)上記駆動機構を制御する制御部を設け、該制御部は音楽を再生する前に、所定のタイミングで上記ディスクホルダーの回転を停止させ、ディスクをピックアップアームでピックアップし、ターンテーブル上に移動させると、ピックアップを模したアームをディスクの上に移動させ、音楽の再生が終わると、ピックアップ、ピックアップアームを元の状態に戻し、ディスクをディスクホルダーに戻すこと
【0006】
なお、前記ジュークボックス玩具には、コインを投入するコイン投入口を設けるとともにコインの投入を検出する検出手段を設け、前記制御部は該検出手段がコインの投入を検出したことにより、前記駆動機構を作動させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、音楽を再生しようとすると、再生する前にディスクホルダーからディスクをピックアップアームでピックアップし、ターンテーブル上に移動させると、ピックアップをディスクの上に移動させ、音楽の再生が終わると、ピックアップ、ピックアップアームを元の状態に戻し、ディスクをディスクホルダーに戻すので、実際のジュークボックスと同じような動きを再現し、ジュークボックスを実体験した世代の人には懐かしさを覚え、若い世代の人には無機質になった近年の音楽再生装置では味わえない楽しさを与えることができるジュークボックス玩具を提供することができる。
【0008】
請求項2の発明によれば、コインを投入することにより音楽が聴けるので、個人のユーザーが音楽を聞きながら貯金ができる貯金箱にも使用することができるし、レストランなどの店舗でテーブルに置いて顧客にコイン投入させて営業にも展開できる新しい発想の玩具を提案することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1において符号Aは、本発明に係るジュークボックス玩具の正面図を示し、このジュークボックス玩具Aは1960年代に喫茶店やレストランなどに設置されていたジュークボックスをイメージして形成されたもので、音楽記憶媒体をセットし操作ボタン1を操作することにより、液晶ディスプレイ105に選択された楽曲のタイトルなどが表示され、スピーカSP1、SP2から音楽が出力されるようになっているもので、前面上部は透明な樹脂で窓2が形成され、内部に配置された動作機構Bがこの窓2から見えるようになっている。
【0010】
なお、操作ボタン1の右側にはコインを投入するコイン投入口3が配置され、左側には音楽記憶媒体をセットするコネクタ103、イヤホンプラグを差し込むイヤホンジャック101が開閉可能なカバー4の裏側に配置されている。
【0011】
動作機構Bは、図2に示すように、基台Cの上面に、レコード盤(所謂、ドーナツ盤と呼ばれるもの)を模したディスク5が、予め収容(図面上では2枚であるが、実際には16枚が既に収容)されたディスクホルダー6と、ピックアップアーム7と、ターンテーブル8と、ピックアップを模して形成されたアーム9とが配置され、ディスクホルダー6からピックアップアーム7でディスク5をピックアップし、ピックアップしたディスク5をターンテーブル8に載せ、ピックアップを模して形成されたアーム9をターンテーブル8上に移動させて、あたかもレコード盤から音楽を再生しているような動作を行うようにしたものである。
【0012】
上記動作機構Bは、ディスクホルダー6を駆動する第1の駆動機構D1、ピックアップアーム7を駆動する第2の駆動機構D2、およびターンテーブル8とアーム9とを駆動する第3の駆動機構D3の3つの駆動機構を備え、この駆動機構は基台Cの内部に配置されている。
【0013】
第1の駆動機構D1は、図3に示すように、モータM1を駆動力とし、モータM1の回転軸に固定されたプーリ11とベルト12を介して回転するプーリ13と、プーリ13と一体の歯車13aに噛み合う遊星歯車14と、モータM1が正回転した時に遊星歯車14が噛み合う駆動歯車15および、後述するピックアップアーム7にディスク5をキャッチさせるトリガ17のラックギヤ18に噛み合っている駆動歯車19に噛み合っている伝達歯車16で構成され、伝達歯車16にはモータM1が逆転した時に遊星歯車14が噛み合うようになっている。
【0014】
なお、駆動歯車19は上下動可能に配置されスプリング20で常に上動するように付勢され、上動時にはラックギヤ18に噛み合っているが、後述するスライダ43に形成されたリセットボタン52に係合すると、強制的に下動させられ、下動時にはラックギヤ18との噛み合いが外れ、トリガ17はスプリング21に付勢されて復帰するようになっている。
【0015】
そして、ディスクホルダー6は中央が円柱状に膨出した円板で構成され、膨出部25と円板部26とにはディスク5を立てた状態で保持する保持溝27が放射状に形成され、円板部26の周面にはラックギヤ28が周設され、このラックギヤ28には上述の駆動歯車15と同軸の歯車15aが噛み合っている。
【0016】
さらに、円板部26の下面には円筒状の張り出し29が形成され、この張り出し29には上記保持溝27に対応してスリット30が形成され、このスリット30の有無はフォトセンサS1で検出できるようになっている。
【0017】
なお、トリガ17は、基台Cに形成された図示しないガイド軸に長孔17aがガイドされ、左右にスライド可能になっており、モータM1が逆転したときには駆動歯車19に駆動されてトリガ17はスプリング21に抗して移動(図面上で右に移動)し、駆動歯車19が後述するスライダ43に形成されたリセットボタン52により下動させられたときにはスプリング21で復帰移動(図面上で左に移動)するようになっており、立設したトリガ板22の先端は後述するピックアップアーム7の下アーム56の係合ピン56aに係脱するようになっている。
【0018】
第2の駆動機構D2は、図4に示すように、モータM2を駆動力とし、モータM2の回転軸に固定されたプーリ36とベルト37を介して回転するプーリ38と、プーリ38と一体の歯車38aに噛み合う歯車39と同軸の歯車40に噛み合う駆動歯車41と、この駆動歯車41が噛み合うラックギヤ42が形成されたスライダ43と、ラックギヤ42に噛み合う歯車44と、歯車44に噛み合う歯車45が設けられるとともにピックアップアーム7が取り付けられたドラム46とで構成されている。
【0019】
なお、フォトセンサS2、S3はスライダ43に形成されたスリット50、51をそれぞれ検出するもので、モータM2が正転してスライダ43が前進(図面上で右方向)したとき、フォトセンサS2がスリット50を検出すると後述する制御部100は、モータM2を停止させる。また、モータM2が逆転してスライダ43が後退(図面上で左方向)したとき、フォトセンサS3がスリット51を検出すると制御部100は、モータM2を停止させるようになっている。
【0020】
また、スライダ43の背面側に突出したものはリセットボタン52を示し、このリセットボタン52はスライダ43が前進した際、前述のトリガ17のラックギヤ18に噛み合う駆動歯車19に乗り上げるように係合して、これを押し下げることによりラックギヤ18との噛み合いを外すためのものである。
【0021】
そして、ピックアップアーム7は上アーム55と下アーム56とで構成され、上アーム55はドラム46に取り付けられ、下アーム56はスプリング57で閉じる方向に付勢されて上アーム55に上下に回動可能に軸支されている。
【0022】
なお、下アーム56の後部には係合ピン56aが突出して形成され、この係合ピン56aが上述したトリガ板22に係脱するようになっており、係合が外れたときには下アーム56はスプリング57に付勢されて上方に回動してディスク5を上アーム55と下アーム56とで挟むことができるようになっている。
【0023】
そして、ドラム46は、図5に示すように、基台Cの上面に立設した2枚の支持板60、61に支持され、一端には支軸63で軸支された歯車45が固定され、他端は開口し、この開口面には支持板61にネジで固定された円板64の前面が遊嵌し、上述した歯車44が回転するとドラム46は支軸63と円板64とで支持されて回転できるようになっている。
【0024】
なお、円板64には係合凸部65が形成され、ドラム46内部には弾性を有する係合板66が形成されており、ピックアップアーム7の支軸67には、係合凸部65に係脱する2本の駆動ピン68a、68bが形成された駆動部材68と、係合板66に係合しピックアップアーム7の位置決めをするスタビライザー69とが固定されている。
【0025】
このドラム46は、図6(a)に示すように、スライダ43が前進(図面上で右方向)すると、ドラム46は時計方向に回転を始め、駆動ピン68aが円板64の係合凸部65に係合すると、駆動ピン68aが押されて同軸のスタビライザー69が90度回転したところで係合板66に係合し、図6(b)に示すように、ディスク5を保持したピックアップアーム7はディスク5が90度回転した状態に保持されるようになり、引き続きスライダ43が前進すると、ディスク5がターンテーブル8に対応する位置になるが、この時フォトセンサS2がスリット50を検出するとスライダ43が止まるようになっている(図6(c)参照)。
【0026】
第3の駆動機構D3は、図7に示すように、モータM3を駆動力とし、モータM3の回転軸に固定されたプーリ76とベルト77を介して回転するプーリ78と、プーリ78と一体の歯車78aに噛み合う中間歯車79に噛み合いターンテーブル8を回転させる駆動歯車80と、中間歯車79に噛み合うフリクション歯車81に噛み合う歯車82に噛み合い、ピックアップを模して形成されたアーム9を駆動する駆動歯車83とで構成されている。
【0027】
上記アーム9は駆動歯車83に形成された偏心軸83aに第1のリンク84の一端が回動可能に連結され、第1のリンク84の他端には第2のリンク85の一端が回動可能に連結され、第2のリンク85の他端には基台Cに設けられた軸受87に回転可能に軸支された支軸87に固定され、この支軸87の上端にはアーム9が固定されている。
【0028】
そして、上記駆動歯車83の下面には円筒状の張り出し88が形成され、この張り出し88にはスリット89とリブ90とが形成されている。このスリット89はフォトセンサS4で検出され、後述する制御部100がモータM3を停止するタイミングを決定するもので、リブ90は基台Cに形成された2つのストッパー92a、92b(図8参照)に当接することによって駆動歯車83の回転量が制限されるようにするものである。
【0029】
モータM3が正回転すると、駆動歯車80に噛み合う歯車91と一体のターンテーブル8が回転するとともに駆動歯車83が反時計方向に回転し、図8(a)に示すように、第1のリンク84に連結された第2のリンク85が支軸86を時計方向に回転させ、この支軸86の先端に固定されたアーム9は支軸86を中心に時計方向に回転し、アーム9の先端はターンテーブル8に乗っているディスク5の上方に移動する。この時、駆動歯車83のリブ90がストッパー92aに当接して駆動歯車83の回転が止められるので、アーム9はそれ以上移動せずにディスク上で停止した状態になっている。この状態でも、モータM3は回転を続けているので、フリクション歯車81bは回転できないが、歯車81aは継続して回転できるので、ターンテーブル8は止まることなく回転する。
【0030】
この状態で、モータM3が逆回転すると、駆動歯車83も逆転(時計方向に回転)し、アーム9は支軸86を中心に反時計方向に回転し、先端がターンテーブル8上から退避する方向に移動を始め、駆動歯車83のリブ90がストッパー92bに当接すると駆動歯車83の回転が強制的に止められるので、図8(b)に示すように、アーム9はターンテーブル8上から確実に退避するとともに基台Cから外れることなく停止することができる。この状態では、ディスク5を保持したピックアップアーム7はアーム9に邪魔されず復帰動作を行うことができるようになっている。
【0031】
この時は、駆動歯車83が下面に形成された張り出し88のスリット89がフォトセンサS4に対応する位置まで逆転しているので、フォトセンサS4がスリット89を検出することができ、モータM3は停止させられるのでターンテーブル8の回転も止まる。
【0032】
図9は、ジュークボックス玩具の電気的構成を説明するブロック図を示し、制御部100であるMPUには、入力として操作パネルに配置された操作ボタン1(電源ONボタン1a、電源OFFボタン1b、曲リストUPボタン1c、曲リストDOWNボタン1d、ボリュームUPボタン1e、ボリュームDOWNボタン1f、PLAYボタン1g、PAUSE1h)(図1参照)に対応したスイッチSW1〜SW8、図示しないリモートコントローラからの制御信号を受信するIRセンサ101、音楽データを記憶した記憶媒体(例えば、SDカード)102をセットするためのコネクタ103、玩具の動作状態を監視するフォトセンサS1〜S4、コイン投入口にコインが投入されたことを検出する検出手段であるスイッチSW9、玩具全体を制御する制御プログラムや効果音などを記憶したメモリ104が接続され、出力として情報を文字で表示するための液晶ディスプレイ105、音楽や効果音を出力する右スピーカSP1、左スピーカSP2、視覚的効果を生み出すシングルカラーのLED106、マルチカラーのLED107、第1の駆動機構D1を駆動するモータM1、第2の駆動機構D2を駆動するモータM2、第3の駆動機構D3を駆動するモータM3がそれぞれドライバDRVを介して接続されている。
【0033】
次に、上記構成のジュークボックス玩具の動作態様の概要を、図10のフローチャート図に基づいて説明する。
【0034】
音楽データの記憶された記憶媒体102をコネクタ103にセットし、電源ONボタン1aを押すと、液晶ディスプレイ105にタイトルなどの曲情報が表示されるので、曲リストUPボタン1c、曲リストDOWNボタン1dを押して聴きたい曲を選択し、PLAYボタン1gを押すと、制御部100は選択された曲を再生する前に、モータM1を正回転させ(ステップST1)、ディスクホルダー6を回転させる。ディスクホルダー6にはスリット30が形成され、このスリット30はフォトセンサS1で検出され(ステップST2)、ランダムに設定されたカウント数にスリット30の検出数が一致すると(ステップST3)、制御部はモータM1を停止させるので、ディスクホルダー6はピックアップアーム7の下にディスク5が対応する位置で停止する。この後、制御部100はモータM1を一定時間逆回転させる(ステップST4)。
【0035】
モータM1が逆回転すると遊星歯車14が駆動歯車15から離れて伝達歯車16に噛み合うので、伝達歯車16を介して駆動歯車19が時計方向に回転し、トリガ17をスプリング21に抗してピックアップアーム7の下アーム56の係合ピン56aから外れる方向に移動させるので、下アーム56はスプリング57に付勢されて上方に回動し、上アーム55に下アーム56でディスク5を押し上げるようにして挟み、ディスク5をホールドすることになる(ステップST5)。
【0036】
制御部100は、モータM1を停止させた後、ステップST6に進んで、モータM2を正回転させる。モータM2が正回転すると、プーリ36、38、歯車39、40を介して駆動歯車41が回転するので、スライダ43が前進する(ステップST7)。スライダ43のラックギヤ42には、図4(a)に示すように、駆動歯車44が噛み合っているので、ドラム46が時計方向に回転を始め、ディスク5をホールドした状態のピックアップアーム7も前方に回転を始める(図6(a)参照)。
【0037】
ピックアップアーム7が直立する状態に近づくと、本体に固定されている円板64に形成された係合凸部65にピックアップアーム7の支軸67に固定されている駆動ピン68aが係合し(図5参照)、図6(b)に示すように、ピックアップアーム7は90度時計方向に回転した状態になる。
【0038】
さらに、スライダ43が前進し、図6(c)に示すように、スライダ43に形成されたスリット50をフォトセンサS2が検出すると(ステップ8)、制御部100はピックアップアーム7がターンテーブル8上に移動したと判断し、モータM2を停止する(ステップST9)。
【0039】
なお、この時、スライダ43のリセットボタン52は駆動歯車19に係合する位置に到達しており、これをスプリング20に抗して押し下げるので、駆動歯車19とトリガ17のラックギヤ18との噛み合いが外れるので、トリガ17はスプリング21に付勢されて復帰移動し、トリガ板22は下アーム56の係合ピン56aに係合する位置で待機状態に入る。
【0040】
制御部100はモータM2を停止させた後、ステップST10に進んで、モータM3を正回転させる。モータM3が回転を始めると、プーリ75、76、中間歯車79を介して駆動歯車80が回転するのでターンテーブル8が回転を始める。同時に、中間歯車79はフリクション歯車81に噛み合っているので、歯車82を介して駆動歯車83を反時計方向に回転させる。駆動歯車83が回転すると、図8(a)に示すように、第1のリンク84に連結された第2のリンク85が支軸86を時計方向に回転させ、この支軸86の先端に固定されたアーム9は支軸86を中心に時計方向に回転し、アーム9の先端はターンテーブル8に乗っているディスク5の上方に移動する(ステップST11)。
【0041】
アーム9がディスク5の上に到達すると、ステップST12に進んで、制御部100は音楽の再生を開始し、スピーカSP1、SP2から効果音(例えば、音楽が始まる前にレコードの溝を針が移動する「プチプチ」音)に引き続き音楽を出力する。
【0042】
音楽の再生が終了すると(ステップST13)、ステップST14に進んで、制御部100は、モータM3を逆回転させる。モータM3が逆回転すると、図8(b)に示すように、駆動歯車83も逆転(時計方向に回転)し、アーム9は支軸86を中心に反時計方向に回転して先端がターンテーブル8上から退避するので、ディスク5を保持したピックアップアーム7はアーム9に邪魔されず復帰動作を行うことができるようになる。この時、駆動歯車83が下面に形成された張り出し88のスリット89をフォトセンサS4が検出すると(ステップST15)、制御部100はアーム9がレストポジションに戻ったと判断し、モータM3を停止させる(ステップST16)。
【0043】
制御部100はモータM3を停止させた後、ステップST17に進んで、モータM2を逆回転させる。モータM2が逆回転すると、駆動歯車41が逆回転してスライダ43が後退するのでドラム46が逆回転(図6(c)上で反時計方向)し、ピックアップアーム7が直立する状態に近づくと、本体に固定されている円板64に形成された係合凸部65にピックアップアーム7の支軸67に固定されている駆動ピン68bが係合し(図5参照)、ピックアップアーム7は90度逆回転(図6(b)上で反時計方向)した後、さらにドラム46はスライダ43の後退とともに回転する。スライダが後退し、図6(a)に示すように、スライダ43に形成されたスリット51をセンサS3が検出すると(ステップST18)、制御部100はピックアップアーム7がディスクホルダー6の上に位置した状態になったと判断し、ステップST19に進んでモータM2を停止させる。
【0044】
そして、トリガ板22が下アーム56の係合ピン56aに係合する位置で待機状態にあるので、モータM2が停止する直前のドラム46の回転で、ピックアップアーム7が停止する直前に、下アーム56の係合ピン56aがトリガ板22に当接するので下アーム56は下方に回動し、ディスク5のホールドを開放するので、ディスク5はディスクホルダー6の保持溝27内に落下してディスクホルダー6に保持されることになり、一連の動作は終了することになる。
【0045】
上述したように、音楽を聴こうと思ってPLAYボタン1gを押すと、音楽が再生される前に、ディスクホルダー6が回転し、回転が止まるとピックアップアーム7がレコード盤を模したディスク5をピックアップし、ピックアップしたディスク5をターンテーブル8上に移動させると、ピックアップを模したアーム9がターンテーブル8(ディスク5)の上方に移動すると、自分の選択した音楽の再生が始まり、再生が終わると、アーム9が元の位置に戻り、ターンテーブル8上のディスク5はピックアップアーム7によってディスクホルダー6に戻されるので、ユーザーが自分の選択した曲のレコード盤が選択され、選択したレコード盤がターンテーブルに乗せられ、ピックアップがレコード盤の溝をレコード針で検出して曲が演奏され、演奏が終わると、レコード盤がターンテーブルから元の位置に戻される実際のジュークボックスと同様の動きをみることができるので、音楽を耳で楽しむだけではなく、レコード盤を模したディスク5の動きを目で楽しむことができるので、単に音楽を再生するだけの再生装置では味わうことのできない懐かしさや郷愁を楽しむことができるジュークボックス玩具を実現することができる。
【0046】
なお、コイン投入口3にコインを投入したことにより、操作ボタンが操作可能になるようにしてもよい。この場合、投入口3の内側に配置されたスイッチSW9がコインの投入を検出すると、制御部100は効果音「チャリーン」を出力するとともに、操作ボタン1をイネーブルにすれば良い。このことにより、喫茶店やレストランのテーブルにジュークボックス玩具を置いておけば、顧客がコインを購入し、購入したコインを投入することにより自分の選択した曲が聞けるようにすることができる。この時、顧客が手持ちのイヤホンをイヤホンジャック101に差し込めば、店内に流れているBGMではなく自分の聴きたい曲を目と耳で楽しむことも可能になり、ユーザーが個人で購入して楽しむだけではなく、営業にも展開できる新しい発想の玩具を提案することができる。
【0047】
もちろん、投入口3から硬貨を投入すれば個人のユーザーが貯金箱として活用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】ジュークボックス玩具の正面図
【図2】動作機構の構成を説明する斜視図
【図3】第1の駆動機構の構成を説明する分解斜視図
【図4】第2の駆動機構の構成を説明する分解斜視図
【図5】ドラムの分解斜視図
【図6】(a)〜(c)はピックアップアームの作動態様の説明図
【図7】第3の駆動機構の構成を説明する分解斜視図
【図8】(a)(b)はピックアップの作動態様の説明図
【図9】電気的構成を説明するブロック図
【図10】ジュークボックス玩具の作動態様を説明するフローチャート図
【符号の説明】
【0049】
1 操作ボタン
2 窓
3 コイン投入口
4 カバー
5 ディスク
6 ディスクホルダー
7 ピックアップアーム
8 ターンテーブル
9 アーム
A ジュークボックス玩具
B 動作機構
D1 第1の駆動機構
D2 第2の駆動機構
D3 第3の駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の要件を備えることを特徴とするジュークボックス玩具。
(イ)レコード盤を模したディスクを多数着脱可能に保持して回転するディスクホルダーを設け、該ディスクホルダーを駆動する駆動機構を設けたこと
(ロ)上記ディスクホルダーに保持されたディスクをピックアップし、ターンテーブルに載置するピックアップアームを設け、該ピックアップアームを駆動する駆動機構を設けたこと
(ハ)上記ターンテーブル上に載置したディスク上に移動するピックアップを模したアームを設け、該ターンテーブルとアームとを駆動する駆動機構を設けたこと
(ニ)上記駆動機構を制御する制御部を設け、該制御部は音楽を再生する前に、所定のタイミングで上記ディスクホルダーの回転を停止させ、ディスクをピックアップアームでピックアップし、ターンテーブル上に移動させると、ピックアップを模したアームをディスクの上に移動させ、音楽の再生が終わると、ピックアップ、ピックアップアームを元の状態に戻し、ディスクをディスクホルダーに戻すこと
【請求項2】
前記ジュークボックス玩具には、コインを投入するコイン投入口を設けるとともにコインの投入を検出する検出手段を設け、前記制御部は該検出手段がコインの投入を検出したことにより、前記駆動機構を作動させるようにした、請求項1記載のジュークボックス玩具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−165567(P2009−165567A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5083(P2008−5083)
【出願日】平成20年1月12日(2008.1.12)
【出願人】(508013674)株式会社セガトイズ・プラス (1)
【出願人】(000132633)株式会社センテクリエイションズ (21)
【Fターム(参考)】