説明

ジョブ分割装置

【課題】画像形成装置毎に適切に印刷ジョブを分割する。
【解決手段】複数の画像形成装置がそれぞれ処理する単位である印刷セットを複数含む印刷ジョブを受信する受信部81と、印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する判定部82と、判定部82により分割不可能と判定された場合、分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する算出部83と、算出部83により算出された分割位置に基づいて、印刷ジョブを分割する分割部84とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像形成装置が接続されたジョブ制御装置であって、特に、画像形成装置毎に適切に印刷ジョブを分割するジョブ分割装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、印刷ジョブを生成する端末と、この端末にネットワークを介して接続され、端末から送信された印刷ジョブに基づいて各種処理する画像形成装置とを備えた画像形成システムが良く知られている。
【0003】
この画像形成装置は、印刷ジョブに基づいて印刷処理を実行する印刷部と、この印刷部に接続され、封入封緘処理等の後処理を実行する後処理部とを備えており、複数の画像形成装置がネットワークを介して端末に接続され、画像形成システムを構成する場合もある。
【0004】
このような複数の画像形成装置を備えた画像形成システムにおいては、負荷を分散するため、印刷ジョブを分割して、複数の画像形成装置に処理させる場合があった。
【0005】
例えば、特許文献1では、ネットワークに接続されたプリンタからフォント資源情報を取得し、取得したフォント資源情報に基づいてフォント指定された印刷情報を印刷する印刷装置の候補を決定し、決定された印刷装置の候補数に基づいてLAN制御部が均等ページ割りした印刷情報を該決定された印刷装置の候補先に分配転送する情報処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−26863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、印刷ジョブには、画像形成装置が処理する単位である印刷セットを複数含む場合もある。例えば、画像形成装置が印刷部と、印刷部により印刷された内容物を印刷部により印刷された封筒に封入封緘する封入封緘部とを備えている場合、封筒とこの封筒に封入封緘される内容物との組み合わせが1つの印刷セットとなる。
【0008】
このように、印刷ジョブに印刷セットが複数含まれている場合、特許文献1に記載の情報処理装置の技術を用いると、印刷ジョブに対して均等ページ割りがなされた位置が印刷セットの途中に位置することもあり、封筒と内容物とが異なる画像形成装置に出力されてしまう等の不具合が発生してしまうことがあった。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、画像形成装置毎に適切に印刷ジョブを分割するジョブ分割装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明に係るジョブ分割装置の第1の特徴は、複数の画像形成装置に接続され、これらの複数の画像形成装置がそれぞれ処理する単位である印刷セットを複数含む印刷ジョブを分割し、前記複数の画像形成装置に送信するジョブ分割装置であって、前記印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、前記印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、前記印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段により分割不可能と判定された場合、前記分割予定位置が前記セット区切り位置と一致するように、前記分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する算出手段と、前記算出手段により算出された分割位置に基づいて、前記印刷ジョブを分割する分割手段と、を備えたことにある。
【0011】
本発明に係るジョブ分割装置の第2の特徴は、前記印刷ジョブに含まれる総頁数を前記画像形成装置の接続数で除した分割予定数に基づいて、前記分割予定位置を算出する分割予定数算出手段をさらに備え、前記判定手段は、前記分割予定算出手段により算出された前記分割予定位置を用いて前記印刷ジョブの分割が可能か否かを判定し、前記算出手段は、前記判定手段により分割不可能と判定された場合、前記分割予定数算出手段により算出された前記分割予定位置が前記セット区切り位置と一致するように、前記分割予定位置を移動することにより分割位置を算出することにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るジョブ分割装置の第1の特徴によれば、印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する判定手段と、判定手段により分割不可能と判定された場合、分割予定位置が前記セット区切り位置と一致するように、分割予定位置を移動することにより分割位置を算出するので、画像形成装置毎に適切に印刷ジョブを分割することができる。
【0013】
本発明に係るジョブ分割装置の第2の特徴によれば、印刷ジョブに含まれる総頁数を画像形成装置の接続数で除した分割予定数に基づいて、分割予定位置を算出する分割予定数算出手段をさらに備えたので、ユーザが分割予定数を設定することなく、適切に印刷ジョブを分割することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態である画像形成システムの構成を示した構成図である。
【図2】本発明の一実施形態である画像形成システムの画像形成装置で内容物用紙等が形成されることを説明する説明図である。
【図3】本発明の一実施形態である画像形成システムの画像形成装置の模式的な正面図である。
【図4】本発明の一実施形態である画像形成システムのジョブ分割装置における分割処理手順を示したフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態である画像形成システム10のジョブ分割装置8における分割処理手順を模式的に説明した図である。(a)は、端末から受信した印刷ジョブを示しており、(b)は、予め定められた分割予定位置を示しており、(c)は、分割予定位置とセット区切り位置とを示しており、(d)は、分割予定位置の前方への移動を説明した図であり、(e)は、分割予定位置とセット区切り位置とを示しており、(f)は、分割予定位置の後方への移動を説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明の一実施形態では、印刷ジョブを生成する端末と、この端末により生成された印刷ジョブを分割するジョブ分割装置と、この分割された印刷ジョブに基づいて印刷する画像形成装置とを備えた画像形成システムを例に挙げて説明する。
【0017】
<画像形成システムの構成>
図1は、本発明の一実施形態である画像形成システムの構成を示した構成図である。
【0018】
図1に示すように、画像形成システム10は、複数の画像形成装置1A〜1Cと、端末7と、ジョブ分割装置8とを備えており、それぞれは、ネットワーク9を介して接続されている。なお、画像形成装置1A〜1Cは、それぞれ同一の構成を有しているので、総称して画像形成装置1として以下説明する。
【0019】
端末7は、パーソナルコンピュータであり、ユーザの操作に基づいて印刷ジョブを生成する。
【0020】
ジョブ分割装置8は、受信部81と、判定部82と、算出部83と、分割部84と、送信部85と、記憶部86と、操作部87とを備える。なお、分割予定数算出部88については、後述する。
【0021】
受信部81は、印刷ジョブを受信する。ここで、印刷ジョブには、複数の画像形成装置がそれぞれ処理する単位である印刷セットが複数含まれている。印刷セットの詳細は、後述する。
【0022】
判定部82は、印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する。
【0023】
算出部83は、判定部82により分割不可能と判定された場合、分割予定位置をセット区切り位置と一致させるべく、分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する。
【0024】
分割部84は、算出部83により算出された分割位置に基づいて、印刷ジョブを分割する。
【0025】
送信部85は、画像形成装置1A〜1Cで、印刷ジョブを分散処理できるように、分割部84により分割された印刷ジョブを、分割された単位で画像形成装置1A〜1Cへ送信する。
【0026】
記憶部86は、操作部87から入力された分割予定数を記憶する。ここでは、分割予定枚数は、“3”枚と設定されているものとする。
【0027】
操作部87は、有機EL(electroluminescence)ディスプレイや、液晶ディスプレイ等の出力部と、マウスなどの入力部とを備えている。ユーザにより入力部から分割予定枚数が入力されると、記憶部86に分割予定枚数が記憶される。
【0028】
<画像形成装置の構成>
本発明の一実施形態である画像形成システム10の画像形成装置1の構成について説明する。なお、説明中において、「上流」とは、内容物用紙等の搬送方向から見て上流のことをいい、「下流」とは、内容物用紙等の搬送方向から見て下流ことをいう。また、図3で、「L」は正面から見た左方向、「R」は正面から見た右方向を示す。
【0029】
図2は、本発明の一実施形態である画像形成システムの画像形成装置で内容物用紙等が形成されることを説明する説明図であり、図3は、本発明の一実施形態である画像形成システムの画像形成装置の模式的な正面図である。
【0030】
図2、図3に示すように、本発明の一実施形態である画像形成装置1は、画像形成部3と、この画像形成部3の下流に隣接して接続された封入封緘部5とから構成される。画像形成部3は、複数枚の内容物用紙P1及び/又は封筒用紙P2に対し、ユーザから指示を受けた通りに印刷を行ったうえで、隣接する封入封緘部5へとこれらを受け渡す。封入封緘部5は、図2に示すように、画像形成部3から受け取った印刷済みの複数枚の内容物用紙P1から内容物Bを、封筒用紙P2から封筒Eをそれぞれ形成し、内容物Bがある場合にはこれを封筒Eに封入した状態で、封筒Eを封緘することにより、封書Mを作製する。ここで、上述したように、封書Mは内容物Bを含まない封筒Eのみからなる場合もあり得る。この場合には、封筒Eの裏面に内容物Bに印刷される内容に相当するものが印刷されることとなる。
【0031】
画像形成部3の筐体内には、内容物用紙P1及び封筒用紙P2に印刷を行うインクジェット方式の印刷部9が設けられている。この印刷部9は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクを吐出する複数のライン型のインクヘッド11A,11B,11C,11Dを備えている。また、内容物用紙P1及び封筒用紙P2を搬送するためのループ状の印刷搬送路13が印刷部9を囲むように設けられている。
【0032】
画像形成部3の筐体内における印刷部9の下側には、複数枚の内容物用紙P1を印刷部9側(印刷搬送路13側)へ順次給紙する複数の内容物用紙給紙部15が上下方向に段状に設けられている。
【0033】
また、画像形成部3の筐体内の左部には、内容物用紙P1を印刷部9側へ搬送するための給紙搬送路21が設けられており、この給紙搬送路21は、複数の内容物用紙給紙部15から給紙された内容物用紙P1を搬送する。
【0034】
画像形成部3の筐体内の左側部には、封筒用紙P2を印刷部9側(印刷搬送路13側)へ給紙する封筒用紙給紙部23が設けられている。
【0035】
また、画像形成部3の筐体内の左部には、封筒用紙P2を印刷部9側へ搬送するための給紙搬送路29が設けられており、給紙搬送路29は、封筒用紙給紙部23から給紙された封筒用紙P2を搬送する。
【0036】
印刷搬送路13の左側上部には、内容物用紙P1及び封筒用紙P2を一時的に収容するカセット31が設けられている。また、画像形成部3の筐体内の左部からカセット31内にかけて、内容物用紙P1及び封筒用紙P2を表裏反転させて印刷部9側へ搬送するためのスイッチバック搬送路33が設けられている。
【0037】
画像形成部3の筐体内の左部には、印刷搬送路13から送り出された内容物用紙P1及び封筒用紙P2を封入封緘部5側(右方向)へ搬送するための連絡搬送路35が設けられている。
【0038】
画像形成部3の筐体内の適宜位置には、画像形成コントローラ37が設けられており、この画像形成コントローラ37は、印刷部9、内容物用紙給紙部15、封筒用紙給紙部23、操作パネル39等の動作を制御するものである。
【0039】
図1及び図2に示すように、画像形成装置1における封入封緘部5は、封入封緘部筐体41(以下、適宜に装置筐体41という)を具備している。この装置筐体41内には、連絡搬送路35(画像形成部3)から送り出された印刷済みの内容物用紙P1及び封筒用紙P2を右方向へ搬送するための導入搬送路43が設けられている。
【0040】
装置筐体41内には、印刷済みの内容物用紙P1等(内容物Bを含む)を搬送するための内容物用紙搬送路45が設けられており、装置筐体41内における内容物用紙搬送路45の上側には、印刷済みの封筒用紙P2を搬送するための封筒用紙搬送路47が設けられている。
【0041】
内容物用紙搬送路45の下流端側と封筒用紙搬送路47の下流端側は封筒形成部59にて合流している。装置筐体41内における内容物用紙搬送路45と封筒用紙搬送路47の合流部の下流側(出口側)には、内容物Bを封入した状態で封筒E等(封書Mを含む)を搬送するための封筒搬送路49が設けられている。この封筒搬送路49は、装置筐体41の上部まで延びている。
【0042】
内容物用紙搬送路45の途中には、整合部51が設けられている。この整合部51は、導入搬送路43から送り出された印刷済みの複数枚の内容物用紙P1を集積して整合するものである。
【0043】
内容物用紙搬送路45における整合部51の出口側(下流側)には、内容物形成部55が設けられており、この内容物形成部55は、整合部51から送り出された整合済みの複数枚の内容物用紙P1(以下、適宜に内容物用紙P1という)を折り曲げて内容物Bを形成するものである。
【0044】
封筒用紙搬送路47の途中には、前折り部73が設けられており、この前折り部73は、連絡搬送路35から送り出された印刷済みの封筒用紙P2(以下、適宜に封筒用紙P2という)の前折りを行うものである。
【0045】
内容物用紙搬送路45と封筒用紙搬送路47の合流部には、封筒形成部59が設けられており、この封筒形成部59は、前折り部73から送り出された封筒用紙P2を折り曲げて封筒Eを形成するものである。
【0046】
内容物用紙搬送路45の途中における封筒形成部59の入口側(上流側)には、内容物送出部57が設けられており、この内容物送出部57は、内容物形成部55から送り出された内容物Bを、折り曲げ線P2bから折り曲げ中の封筒用紙P2に封入されるように封筒形成部59側へ送り出すものである。
【0047】
また、封筒搬送路49の途中には、封緘部113が設けられており、この封緘部113は、封筒形成部59から送り出された封筒Eを封緘するものである。また、封緘部113は、封筒Eを挟持して押圧する封緘ローラ対115を備えており、この封緘ローラ対115は、適宜の封緘モータ(図示省略)の駆動により回転可能である。ここで、封筒Eは、封緘ローラ対115によって挟持して押圧されることにより、封筒用紙P2に予め塗布した感圧接着剤及び/又は水糊の接着作用によって封緘されるようになっている。
【0048】
さらに、封筒搬送路49の下流側には、正常に封緘され、封筒搬送路49から送り出された封書Mを排出する封書排出部117が設けられている。
【0049】
このようにして、画像形成部3が、複数枚の内容物用紙P1及び封筒用紙P2に印刷を行い、封入封緘部5は、画像形成部3から搬送されてくる印刷済みの複数枚の内容物用紙P1及び封筒用紙P2から内容物B及び封筒Eをそれぞれ形成し、内容物Bを封入した状態で封筒Eを封緘することにより、封書Mを作製する。
【0050】
そのため、内容物用紙P1と封筒用紙P2との組み合わせが、1つの印刷セットとなり、この印刷セットは、同じ画像形成装置1で印刷処理及び封入封緘処理が実行される必要がある。
【0051】
そこで、本発明の一実施形態である画像形成システム10では、上述したように、印刷ジョブに印刷セットが複数含まれている場合、画像形成装置毎に、印刷セット単位で印刷処理及び封入封緘処理が実行されるように、適切に印刷ジョブを分割する。
【0052】
なお、本発明の一実施形態である画像形成システム10の画像形成装置1は、用紙としてどのサイズの用紙であっても適用可能である。また、以下の実施の形態では、例えば孔版印刷やインクジェットで印刷するが、他の手法で印刷してもよく、本発明では印刷形式は特に限定されない。また、封緘する印刷物の種類の数(印刷物の枚数)も特に限定されるものではない。
【0053】
<画像形成システムの作用>
次に、本発明の一実施形態である画像形成システム10における作用について説明する。
【0054】
図4は、本発明の一実施形態である画像形成システム10のジョブ分割装置8における分割処理手順を示したフローチャートである。
【0055】
図4に示すように、ジョブ分割装置8の受信部81が、印刷ジョブを受信すると(ステップS101)、判定部82は、分割予定位置での分割が可能か否かを判定する(ステップS103)。具体的には、判定部82は、記憶部86に記憶された予め定められた分割予定枚数に基づいて、分割予定位置を算出し、この算出された分割予定位置が、受信した印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置に一致した場合、分割予定位置での分割が可能であると判定する。
【0056】
図5は、本発明の一実施形態である画像形成システム10のジョブ分割装置8における分割処理手順を模式的に説明した図である。
【0057】
図5(a)は、端末7から受信した印刷ジョブを示している。ここでは、印刷ジョブに3つの印刷セットA,B,Cが含まれている。印刷セットAは、内容物用紙P1を印刷するための画像データであるA1と、封筒用紙P2を印刷するための画像データであるA2とを含んでいる。同様に、印刷セットBは、B1及びB2とを含んでおり、印刷セットCは、C1及びC2とを含んでいる。
【0058】
この場合、セット区切り位置は、内容物用紙P1と封筒用紙P2との組み合わせが、1つの印刷セットとなる位置であるので、101,102,103に示した位置となる。
【0059】
図5(b)は、予め定められた分割予定位置を示している。
【0060】
図5(b)に示すように、ここでは、分割予定数が “3”枚と設定されているので、分割予定位置は、201,202,203に示した“3”枚毎に分割する位置となる。
【0061】
ステップS103において、図5(a)で示される印刷ジョブを受信した場合、図5(b)に示した分割予定位置が、図5(a)に示したセット区切り位置に一致しているので、判定部82は、分割予定位置での分割が可能であると判定する。
【0062】
このように、判定部82は、分割予定位置がセット区切り位置に一致した場合、印刷セット単位で画像形成装置1により印刷処理及び封入封緘処理を実行することが可能となるので、分割予定位置での分割が可能であると判定する。
【0063】
一方、判定部82は、分割予定位置がセット区切り位置に一致しない場合、分割予定位置での分割が不可能であると判定する。
【0064】
図5(c)は、分割予定位置とセット区切り位置とを示している。
【0065】
図5(c)に示すように、ここでは、 “3”枚と設定されているので、分割予定位置は、201,202に示した位置となる。
【0066】
一方、図5(c)に示した印刷ジョブでは、A1及びA2の計3枚分の画像データの印刷セットAと、B1及びB2の計2枚分の画像データの印刷セットBと、C1及びC2の計3枚分の画像データの印刷セットCとを含んでいる。
【0067】
セット区切り位置は、内容物用紙P1と封筒用紙P2との組み合わせが、1つの印刷セットとなる位置であるので、301,302,303に示した位置となる。
【0068】
ステップS103において、図5(c)で示される印刷ジョブを受信した場合、図5(b)に示した分割予定位置が、図5(a)に示したセット区切り位置に一致していないので、判定部82は、分割予定位置での分割が不可能であると判定する。
【0069】
このように、判定部82は、分割予定位置がセット区切り位置に一致しない場合、分割予定位置での分割が不可能であると判定する。
【0070】
ステップS103において、分割予定位置での分割が不可能と判定された場合(NOの場合)、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を前方へ移動する(ステップS105)。
【0071】
図5(d)は、分割予定位置の前方への移動を説明した図である。ここで、前方とは、印刷ジョブに含まれる画像の順位が先のものを前方とする。
【0072】
図5(d)に示すように、分割予定位置は202が、セット区切り位置302に一致しないので、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を前方へ移動して、新しい分割予定位置402を算出する。
【0073】
次に、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致したか否かを判定する(ステップS107)。
【0074】
ステップS107において、分割予定位置がセット区切り位置と一致したと判定された場合(YESの場合)、算出部83は、分割位置を設定する(ステップS115)し、分割部84は、算出部83により設定された分割位置に基づいて、印刷ジョブを分割する(ステップS117)。
【0075】
次に、判定部82は、印刷ジョブの更なる分割が可能か否かを判定し(ステップS119)、印刷ジョブの更なる分割が不可能である場合、処理を終了する。
【0076】
一方、ステップS107において、分割予定位置がセット区切り位置と一致しないと判定された場合(NOの場合)、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を後方へ移動する(ステップS109)。
【0077】
図5(e)は、分割予定位置とセット区切り位置とを示しており、図5(f)は、分割予定位置の後方への移動を説明した図である。
【0078】
図5(e)に示すように、ここでは、 “3”枚と設定されているので、分割予定位置は、201,202に示した位置となる。
【0079】
一方、図5(e)に示した印刷ジョブでは、A1及びA2の計3枚分の画像データの印刷セットAと、B1及びB2の計4枚分の画像データの印刷セットBと、C1及びC2の計2枚分の画像データの印刷セットCとを含んでいる。
【0080】
セット区切り位置は、内容物用紙P1と封筒用紙P2との組み合わせが、1つの印刷セットとなる位置であるので、501,502に示した位置となる。
【0081】
ステップS101において、図5(e)で示される印刷ジョブを受信した場合、分割予定位置が、セット区切り位置に一致していないので、判定部82は、分割予定位置での分割が不可能であると判定する。そして、分割予定位置を前方へ移動しても、分割予定位置がセット区切り位置と一致しないので、ステップS107において、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致しないと判定し、図5(f)に示すように、分割予定位置202がセット区切り位置502と一致するように、分割予定位置を後方へ移動して、新しい分割予定位置602を算出する。
【0082】
次に、算出部83は、分割予定位置がセット区切り位置と一致したか否かを判定する(ステップS111)。
【0083】
ステップS111において、分割予定位置がセット区切り位置と一致しないと判定された場合(ステップS113)、分割部84は、操作部87にエラー表示を表示させる(ステップS113)。
【0084】
以上のように、本発明の一実施形態である画像形成システム10によれば、印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、受信した印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する判定部82と、判定部82により分割不可能と判定された場合、分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する算出部83と、算出部83により算出された分割位置に基づいて、印刷ジョブを分割する分割部84とを備えるので、画像形成装置1毎に適切に印刷ジョブを分割することができる。
【0085】
なお、本発明の一実施形態である画像形成システム10では、入力部から入力され、記憶部86に記憶された分割予定枚数に基づいて、分割予定位置を算出したが、これに限らず、印刷ジョブに基づいて、総頁数を画像形成装置1の接続数で除した数を分割予定数として算出し、この分割予定数に基づいて、分割予定位置を算出する分割予定数算出部88を、さらに備える構成としてもよい。
【0086】
例えば、画像形成システム10は、3台の画像形成装置1A〜1Cを備え、印刷ジョブの総頁数が“900”枚である場合、分割予定数算出部88は、分割予定数を“300”枚として算出し、印刷ジョブのうち先頭から分割予定数を“300”枚毎に区切り、“300”枚、“600”枚の位置を、分割予定位置として算出する。
【0087】
そして、判定部82は、分割予定算出部88により算出された分割予定位置を用いて印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する。算出部83は、判定部82により分割不可能と判定された場合、分割予定数算出部88により算出された分割予定位置がセット区切り位置と一致するように、分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する。
【0088】
これにより、ユーザが分割予定数を設定することなく、適切に印刷ジョブを分割することができる。
【0089】
さらに、分割位置を決定するにあたり、接続されている複数の画像形成装置1の個々の生産性を加味することも考えられる。ここで、生産性とは、画像形成部3が単位時間あたりに印刷処理できる印刷枚数や、封入封緘部5が単位時間あたりに封入封緘処理できる封書数等から算出される値であり、個々の画像形成装置1に固有のものである。このように、生産性を加味することにより、複数の画像形成装置1に対して、より効率的に分散処理を実行させることができるので、より高い分散効果を得ることができる。
【0090】
なお、本発明の一実施形態である画像形成システム10では、操作部87の入力部から入力された分割予定数を記憶部86に記憶したが、これに限らず、ユーザにより端末7の入力操作により、分割予定数をネットワーク9を介して受信し、受信した分割予定数を記憶部86に記憶するようにしてもよい。
【0091】
また、本発明の一実施形態である画像形成システム10では、端末7から受信した印刷ジョブを分割したが、これに限らず、ジョブ分割装置内で印刷ジョブを生成するようにしてもよい。
【0092】
さらに、本発明の一実施形態である画像形成システム10に備える3台の画像形成装置1A〜1Cは、ライン単位で印刷を行うインクジェット方式のラインカラープリンタを例に挙げて説明したが、これに限らず、シリアルインクジェット方式、レーザ方式、又は孔版印刷方式等の印刷装置であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
1A〜1C…画像形成装置
3…画像形成部
5…封入封緘部
7…端末
8…ジョブ分割装置
9…ネットワーク
10…画像形成システム
81…受信部
82…判定部
83…算出部
84…分割部
85…送信部
86…記憶部
87…操作部
88…分割予定算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像形成装置に接続され、これらの複数の画像形成装置がそれぞれ処理する単位である印刷セットを複数含む印刷ジョブを分割し、前記複数の画像形成装置に送信するジョブ分割装置であって、
前記印刷ジョブの分割予定の位置を示す分割予定位置と、前記印刷ジョブに含まれる印刷セットのセット区切り位置とに基づいて、前記印刷ジョブの分割が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により分割不可能と判定された場合、前記分割予定位置が前記セット区切り位置と一致するように、前記分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された分割位置に基づいて、前記印刷ジョブを分割する分割手段と、
を備えたことを特徴とするジョブ分割装置。
【請求項2】
前記印刷ジョブに含まれる総頁数を前記画像形成装置の接続数で除した分割予定数に基づいて、前記分割予定位置を算出する分割予定数算出手段をさらに備え、
前記判定手段は、前記分割予定算出手段により算出された前記分割予定位置を用いて前記印刷ジョブの分割が可能か否かを判定し、
前記算出手段は、前記判定手段により分割不可能と判定された場合、前記分割予定数算出手段により算出された前記分割予定位置が前記セット区切り位置と一致するように、前記分割予定位置を移動することにより分割位置を算出する
ことを特徴とする請求項1記載のジョブ分割装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−105242(P2013−105242A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247359(P2011−247359)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】