説明

ジョブ管理装置、ジョブ管理方法、ジョブ管理プログラム

【課題】 ライセンスに基づいて実行可能となるジョブの管理負担を軽減することのできる技術を提供する。
【解決手段】 ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理装置であって、ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知部と、前記検知部にて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部にて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理装置、ジョブ管理方法およびジョブ管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケーションのジョブをライセンスに基づいて実行可能とする技術が知られる。このように、ライセンスに基づいてジョブを実行する場合、購入するライセンス数は一般に有限であるため、あるライセンスを必要とするジョブが一時的に集中し、ライセンス数不足によってジョブが実行できなくなる事態が起こり得る。
【0003】
ライセンス数が不足する状態で投入されたあるジョブは実行待ち状態となり(待ち行列に入り)、当該ジョブは先行して待ち行列に入っているジョブが完了してゆくことにより必要なライセンス数分だけ空くまでは実行されない。
【0004】
このような問題を回避すべく、ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理に関する種々の技術が開示されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【特許文献1】特開2003−256064号公報
【特許文献2】特開2003−58266号公報
【特許文献3】特開2001−249819号公報
【特許文献4】特開平5−346851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は例えば、優先ジョブと通常ジョブとにそれぞれライセンス数を固定的に割り当て、頻繁に実行される通常ジョブの影響が優先ジョブに及びにくいようにするといった程度にとどまるものであり、例えば上述のようなライセンス数を固定的に割り当てる方法の場合、通常ジョブに割り当てられているジョブが不使用状態で余っていても、これを優先ジョブの実行に利用することはできないという無駄が生じていた。
【0006】
もちろん、ライセンス数を増やす契約を行えば、優先的に実行させたいジョブが実行できない場合があるという問題は解消することができるが、コストの面で好ましくない。
【0007】
上述のような事情から、従来のジョブ管理においては、優先的に実行させたいジョブがさほど優先順位の高くないジョブの実行完了待ちとなることを避けるため、同時に実行される複数のジョブそれぞれの優先順位の調整などを管理者が手作業で行っている。この手作業による管理には、スキルと工数を要し、管理者にとって負担となっていた。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、ライセンスに基づいて実行可能となるジョブの管理負担を軽減することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明は、ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理装置であって、ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知部と、前記検知部にて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定部と、前記判定部にて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御部とを有するものである。
【0010】
また、本発明に係るジョブ管理装置において、前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明に係るジョブ管理装置において、前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明に係るジョブ管理装置において、前記ジョブ制御部は、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とすることができる。
【0013】
また、本発明に係るジョブ管理装置において、前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明は、ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理方法であって、ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップとを有するものである。
【0015】
また、本発明に係るジョブ管理方法において、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とすることができる。
【0016】
また、本発明に係るジョブ管理方法において、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とすることができる。
【0017】
また、本発明に係るジョブ管理方法において、前記ジョブ制御ステップは、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とすることができる。
【0018】
また、本発明に係るジョブ管理方法において、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とすることができる。
【0019】
また、本発明は、ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理をコンピュータに実行させるジョブ管理プログラムであって、ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップとをコンピュータに実行させるものである。
【0020】
また、本発明に係るジョブ管理プログラムにおいて、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とすることができる。
【0021】
また、本発明に係るジョブ管理プログラムにおいて、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とすることができる。
【0022】
また、本発明に係るジョブ管理プログラムにおいて、前記ジョブ制御ステップは、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とすることができる。
【0023】
また、本発明に係るジョブ管理プログラムにおいて、前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0024】
以上に詳述したように本発明によれば、ライセンスに基づいて実行可能となるジョブの管理負担を軽減することのできる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態によるジョブ管理装置について説明するためのシステム構成図である。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態によるジョブ管理装置1は、LAN等の電気通信回線およびネットワークHUB61および62を介して、ライセンスサーバ2、ジョブ入力ファイル作成マシン31および32、ジョブ実行マシン41〜43および計算結果ファイルサーバ(ファイルデータベース)5と通信可能に接続されている。
【0028】
ジョブ入力ファイル作成マシン31および32は、例えばPC(Personal Computer)等から構成され、ジョブ実行マシン41〜43にて処理を行うアプリケーションへの入力ファイル(処理対象となるファイル等)を作成する。そして、ジョブ入力ファイル作成マシン31および32は、作成した入力ファイルをジョブ実行マシン41〜43にて処理させるべく、当該入力ファイルをジョブ実行命令と共にジョブ管理装置1に対して送信する。なお、ここでのジョブ実行マシン41〜43にて処理を行うアプリケーションとしては、例えば構造解析用のアプリケーション等が挙げられる。
【0029】
ジョブ実行マシン41〜43は、例えばPC(Personal Computer)等から構成されている。本実施の形態では、ジョブが複数の計算機上で実行される例を挙げているが、これに限られるものではなく、例えば1台の計算機上で複数のジョブを並列に処理する構成とすることもできる。
【0030】
ライセンスサーバ2は、ジョブ実行マシン41〜43におけるジョブの実行状況に応じて、ライセンスがどのように使用されているかの管理を行っている。このようにライセンスの管理を行うことで、現在いくつのライセンスが使用状態であるか、トータルでいくつのライセンスを管理しているか、を把握することができる。
【0031】
計算結果ファイルサーバ(ファイルデータベース)5は、HDD等から構成され、ジョブ実行マシン41〜43におけるジョブの実行結果に関するデータ(計算結果など)を格納するデータベースとしての役割を有している。
【0032】
図2は、本実施の形態によるジョブ管理装置について説明するための機能ブロック図である。本実施の形態によるジョブ管理装置1は、検知部101、判定部102、ジョブ制御部103、CPU104およびMEMORY105を備えてなる構成となっている。
【0033】
検知部101は、ライセンスサーバ2にて管理されているライセンスに関する情報を収集することにより、ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する役割を有している。
【0034】
判定部102は、検知部にて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する役割を有している。
【0035】
ジョブ制御部103は、実行対象であるジョブに対して予め設定されている優先度を把握する、ジョブを実行させる、ジョブを中断させる、および中断させていたジョブを再開させるといった機能を有している。またジョブ制御部101は、タイマ等により、各ジョブ実行マシンにおける任意のジョブの連続実行時間をモニタリングすることも可能となっている。さらに、ジョブ制御部101は、任意のジョブに対して予め設定されている優先度を認識し、所定のルールに基づいて、当該優先度を変更することも可能となっている。この他、ジョブ制御部101は、任意のジョブを実行するために利用するCPU数を変更することができ、必要に応じて、あるジョブの実行に利用されているCPUの数を増減させることも可能となっている。
【0036】
このような構成のジョブ制御部103は、判定部にて不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させる役割を有している。
【0037】
CPU104は、ジョブ管理装置1における各種処理を行う役割を有しており、またMEMORY105に格納されているプログラムを実行することにより種々の機能を実現する役割も有している。MEMORY105は、例えばROMやRAM等から構成されており、ジョブ管理装置1において利用される種々の情報やプログラムを格納する役割を有している。
【0038】
本実施の形態によるジョブ管理装置1は、上述のような構成によりライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行う。
【0039】
図3は、本実施の形態によるジョブ管理装置における処理(ジョブ管理方法)の流れについて説明するためのフローチャートである。
【0040】
まず、検知部101は、ジョブ実行マシン41〜43におけるジョブの実行状態(ライセンス消費状態)を自動監視し、ライセンス(トークン)の使用状態に基づいて不使用のライセンス数を検知する(検知ステップ)(S101)。各ジョブは、ライセンスサーバ2からトークンを取得してから実行され、そのジョブを実行するのに必要なトークン数がライセンスサーバ2に残っていない場合、そのジョブは実行待ち行列に入る。
【0041】
具体的に、検知部101は、不使用ライセンスの数を、ライセンス契約数からライセンス使用数を引いた値として算出する。例えば、契約ライセンス数が80(トークンが80個)である場合に、すでに76トークン分のジョブが実行中であるときは、不使用ライセンスの数は、「4」となる。
【0042】
なお、ジョブの実行によるライセンスの使用数(トークン消費量)は、その実行内容により異なる。例えば、静解析を行うジョブの場合4トークンの消費、動解析を行うジョブの場合5トークンの消費となる。また、そのジョブを実行するために使用するCPU数が1個増す毎に1トークン追加消費される(例えば、1CPU=5トークン消費、2CPU=6トークン消費、3CPU=7トークン消費)。検知部101は、このようにして現在実行されているジョブによる使用ライセンス数を監視している(S102)。
【0043】
続いて、検知部101は、ジョブ入力ファイル作成マシン31または32から、新たなジョブが投入されていないかを監視する(S103)。ここで、新たなジョブの投入がない場合(S103,No)、不使用ライセンス数の監視に戻る。
【0044】
一方、新たなジョブが投入された場合(S103,Yes)、その新たなジョブに対して設定されている優先度がどのようなものであるかを認識する(S104)。
【0045】
ここで、ジョブに設定されている優先度とは、ユーザにより任意に設定可能なもの(例えば、優先度A>優先度B>優先度Cという関係の優先度A,B,C等)であり、ジョブ入力ファイル作成マシンからジョブ入力ファイルがジョブ管理装置1に対して投入される際に、ジョブ入力ファイルと共に投入される。
【0046】
あるジョブで使用されるCPU数、設定されている優先度、そのジョブの種類(静解析か動解析か等)は、ジョブ管理装置1に対する投入コマンドラインから判断することができる。又、投入されたジョブが消費するライセンス数は、投入コマンドラインの内容から判断できる。なお、本実施の形態では、優先度が設定されていないジョブは実行されない構成としている。
【0047】
具体的に、優先度の高いジョブ(例えば優先度Aのジョブ)の一例としては、後に行う予定のジョブの準備としてのエラーチェックや簡単なテスト演算を行うためのジョブ等が挙げられる。このようなジョブは、一般に短時間で完了するものが多く、作業効率の観点からもできるだけ実行待ち時間を少なくする必要がある。なお、上述の優先度は、例えばNICE値で設定可能(例えば、優先度AはNICE値「55」、優先度BはNICE値「50」、優先度CはNICE値「45」など)である。ここでは、優先度Aのジョブは12トークン消費し、優先度Bのジョブは5トークン消費し、優先度Cのジョブは4トークン消費するものとする。
【0048】
新たに投入されたジョブに設定されている優先度がAである場合(S104,Yes)、判定部102は、検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブ(優先度A)の実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する(判定ステップ)(S105)。
【0049】
例えば、優先度Aのジョブが1つ投入されている場合、12トークン消費することになる。しかし、上述のように、不使用ライセンスの数(不使用トークン数)が「4」である場合、あと8トークンなければ当該ジョブを実行することはできない(不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさない)(S105,Yes)。
【0050】
この場合、ジョブ制御部103は、該実行すべきジョブ(優先度A)に設定された優先度よりも低い優先度(ここでは優先度Bまたは優先度C)が設定されているジョブにより使用されているライセンス(トークン)の内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分(上述の例では8トークン分)を未使用状態にする(ジョブ制御ステップ)(S106)。
【0051】
ここでは、ジョブ制御部103は、実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度(優先度Bまたは優先度C)が設定されているジョブの実行を中断させることにより、ライセンスを未使用状態にする。よって、現在実行されている優先度Cのジョブの内最も後で投入されたものを中断させることにより、4トークン分のライセンスを不使用状態とすることで、実行すべき優先度Aのジョブの実行が可能な状態となる。
【0052】
なお、新たに投入されたジョブの消費ライセンス数が多く、優先度Cのジョブを中断させるだけでは必要な数のライセンスを確保することができない場合、優先度Bのジョブを中断させる。優先度Cおよび優先度Bのジョブ全てを中断させても必要なだけのライセンス数を確保することができない場合は、複数のCPUを使用している優先度Aのジョブの使用CPU数を自動的に削減してライセンス数を確保する。
【0053】
もちろん、ジョブ制御部103は、足りないライセンス数が例えば「1」である場合など、ジョブ自体を中断させるほどの不足分ではない場合、実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度(優先度Cや優先度B)が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、ライセンスを未使用状態にすることも可能である。
【0054】
ジョブ制御部103は、上述のようにして、新たに投入された優先度Aのジョブの実行のために中断されたジョブの情報およびCPU数が削減されたジョブの情報をMEMORY105に記憶する(S107)。
【0055】
その後、これら中断されたジョブを中断時点から再実行させるためのスクリプトを自動生成し(S108)、これら中断されたジョブが実行可能なライセンス数だけ空くまで待機する(S109、S111)。
【0056】
ジョブ制御部103は、実行すべきジョブが完了し、中断させていたジョブを実行するのに十分なライセンス数が空いた場合、これら中断させていたジョブの実行を再開させる(S110)。
【0057】
一方、新たに追加された優先度Aのジョブを実行するのに必要なライセンス数が空いている場合(S105,No)、ジョブ制御部103は当該新たに投入されたジョブを実行させる(S112)。
【0058】
さらにジョブ制御部103は、所定の優先度(例えば優先度A)が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を所定の優先度よりも低い優先度(例えば優先度B)に変更して実行待機状態とする(S113、S114)。このようにすることで、ユーザが緊急を要しないジョブに対して優先度Aを多用することを抑制することができる。
【0059】
上述のジョブ管理装置1での処理(ジョブ管理方法)における各ステップは、MEMORY105に格納されているジョブ管理プログラムをCPU104に実行させることにより実現されるものである。
【0060】
なお、上述したジョブ管理プログラムは、コンピュータにより読取り可能な記録媒体に記憶させることによって、通信端末および通信制御装置を構成するコンピュータに実行させることが可能となる。なお、上記コンピュータにより読取り可能な記録媒体としては、CD−ROMやフレキシブルディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの半導体記憶装置等の可搬型記憶媒体、コンピュータに実装されるROM、RAMや磁気記録装置等の固定型記憶装置や、コンピュータプログラムを保持するデータベース、或いは、他のコンピュータ並びにそのデータベースや、更に回線上の伝送媒体をも含むものである。
【0061】
なお、本実施の形態では、複数の実行計算機にそれぞれ別々のジョブ(例えば、商用アプリケーションのコマンドなど)が実行される場合を例に示したが、これに限られるものではなく、1台の実行計算機上で種類の異なる複数のジョブが実行される場合にも適用可能であることは言うまでもない。
【0062】
さらに、ジョブ実行マシン41〜43のいずれかにおける処理負荷が例えば95%以上となった場合には、優先度の低いジョブを中断させることにより、ジョブ実行マシンにおける処理負担を軽減した後、優先度の高いジョブを投入するよにすることもできる。これにより、ジョブ実行マシンにおけるジョブの実行(特に、優先度の高いジョブの実行)の処理効率の向上に寄与することができる。
【0063】
以上のように、本実施の形態によれば、商用アプリケーションのライセンスサーバ等によりライセンス数が管理されているジョブが一時的に集中してライセンス不足が発生した状態でも、設定したルールにより優先度をコマンドラインに付加して投入することにより、優先投入されたジョブはすぐに実行させることが可能となる。これにより、計算機側の処理能力が余っているにも拘らず、ライセンス数が足りないことが理由で、ジョブを実行できないといった処理能力の無駄の発生も回避することができる。
【0064】
本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
(付記1)ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理装置であって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知部と、
前記検知部にて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部にて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御部
とを有するジョブ管理装置。
(付記2)付記1に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理装置。
(付記3)付記2に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とするジョブ管理装置。
(付記4)付記1に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とするジョブ管理装置。
(付記5)付記1に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理装置。
(付記6)ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理方法であって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップ
とを有するジョブ管理方法。
(付記7)付記6に記載のジョブ管理方法において、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理方法。
(付記8)付記7に記載のジョブ管理方法において、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とするジョブ管理方法。
(付記9)付記6に記載のジョブ管理方法において、
前記ジョブ制御ステップは、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とするジョブ管理方法。
(付記10)付記6に記載のジョブ管理方法において、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理方法。
(付記11)ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理をコンピュータに実行させるジョブ管理プログラムであって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップ
とをコンピュータに実行させるジョブ管理プログラム。
(付記12)付記11に記載のジョブ管理プログラムにおいて、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理プログラム。
(付記13)付記12に記載のジョブ管理プログラムにおいて、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とするジョブ管理プログラム。
(付記14)付記11に記載のジョブ管理プログラムにおいて、
前記ジョブ制御ステップは、所定の優先度が設定されているジョブが所定時間以上継続して実行されている場合に、該ジョブの実行を中断させるとともに該ジョブの優先度を前記所定の優先度よりも低い優先度に変更して実行待機状態とすることを特徴とするジョブ管理プログラム。
(付記15)付記11に記載のジョブ管理プログラムにおいて、
前記ジョブ制御ステップは、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブが複数のCPUを使用するジョブである場合に、該ジョブで使用するCPU数を減少させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理プログラム。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本実施の形態によるジョブ管理装置について説明するためのシステム構成図である。
【図2】本実施の形態によるジョブ管理装置について説明するための機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態によるジョブ管理装置における処理(ジョブ管理方法)の流れについて説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0066】
101 検知部、102 判定部、103 ジョブ制御部、104 CPU、105 MEMORY。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理装置であって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知部と、
前記検知部にて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定部と、
前記判定部にて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御部
とを有するジョブ管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブの実行を中断させることにより、前記ライセンスを未使用状態にすることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のジョブ管理装置において、
前記ジョブ制御部は、前記実行すべきジョブが完了した場合に、中断させていたジョブの実行を再開させることを特徴とするジョブ管理装置。
【請求項4】
ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理を行うジョブ管理方法であって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップ
とを有するジョブ管理方法。
【請求項5】
ライセンスに基づいて実行されるジョブの管理をコンピュータに実行させるジョブ管理プログラムであって、
ライセンスの使用状態に基づいて不使用のライセンスの数を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにて検知された不使用のライセンス数が、実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たすか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにて前記不使用のライセンス数が実行すべきジョブの実行に必要なライセンス数を満たさないと判定された場合に、該実行すべきジョブに設定された優先度よりも低い優先度が設定されているジョブにより使用されているライセンスの内の少なくとも該実行すべきジョブの実行に不足しているライセンス数分を未使用状態にし、該実行すべきジョブを実行させるジョブ制御ステップ
とをコンピュータに実行させるジョブ管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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