説明

ジルコニア含有ナノ粒子の製造方法

ジルコニア含有ナノ粒子の調製法、及びジルコニア含有ナノ粒子を含む複合材料の調製法が提供される。アルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンを除去するためのカルボン酸ジルコニウム塩溶液の処理方法が提供される。処理された溶液は、ジルコニア含有ナノ粒子を調製するための原材料として用い得る。更に、例えば、ジルコニア含有ナノ粒子の調製に用い得る連続的熱水反応システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ジルコニア粒子は、ポリマー材料などの有機マトリックスに、有機マトリックスの光の透過を保持しながら、屈折率又はX線に対する不透明性を増大するために加えることができる。有機マトリックスのX線に対する不透明性及び/又は屈折率が増大される範囲は、有機マトリックス中のジルコニアの充填百分率、及び結晶化百分率、結晶構造、1次粒子の寸法、及び1次粒子間の会合度などのジルコニア粒子の特性に依存する。
【0002】
結晶性ジルコニアは、通常、非晶質のジルコニウム含有材料よりも高い屈折率及びより大きなX線散乱能を有する。多くの場合、光の透過はジルコニア粒子の寸法の関数である。1次粒子の寸法が増加し、及び/又は1次粒子間の会合度が増加するにつれて、光の透過は低減され得る。有機マトリックス材料中へのジルコニア粒子のパーセント充填限界は、通常、粒子の会合の範囲、及び粒子のアスペクト比の両方の関数である。粒子の会合範囲が増加するにつれて、有機マトリックス材料中へのジルコニア粒子のパーセント充填限界は、減少する傾向がある。同様に、ジルコニア粒子のアスペクト比が増加するにつれ、有機マトリックス中のジルコニア粒子のパーセント充填限界は減少する傾向がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ジルコニア含有ナノ粒子の調製方法、及びジルコニア含有ナノ粒子を含む複合材料の調製方法が提供される。溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含む溶液の処理方法が提供される。上記処理方法は、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオン不純物を溶液から除去する。処理された溶液は、ジルコニア含有ナノ粒子を調製するための原材料、又は原材料の一部として使用し得る。更に、例えば、ジルコニア含有ナノ粒子の調製に使用し得る、連続的熱水反応システムが提供される。
【0004】
第1の態様では、ジルコニア含有ナノ粒子の調製法が提供される。この方法は溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含む原材料を調製することを含み、そのカルボン酸塩又は酸の炭素原子は4個以下である。原材料は5重量%を超える固体を有する。この方法は、原材料を単独回の熱水処理に付すことを更に含み、原材料中のジルコニウムの合計量の少なくとも90重量%が、結晶性で非会合性のジルコニア含有ナノ粒子に変換される。
【0005】
第2の態様では、複合材料の調製法が提供される。この方法は、上述のように結晶性で非会合性のジルコニア含有ナノ粒子を調製することを含む。この方法は、ジルコニア含有ナノ粒子を有機マトリックス中に懸濁又は分散させることを更に含む。
【0006】
第3の態様では、カルボン酸ジルコニウム塩の溶液の処理法が提供される。この方法は、溶液を水素型のカチオン交換樹脂と接触させることを含む。この方法は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はそれらの混合物の少なくとも50モル%を溶液からカチオン交換樹脂上に吸着させることを更に含む。
【0007】
第4の態様では、連続的熱水反応システムが提供される。この連続的熱水反応システムは、フッ素化されたポリマー材料を含む内表面を有する管状反応器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面と共に以下の本発明の様々な実施形態の詳細な説明を検討することで、本発明はより完全に理解され得る。
【図1】例示的な連続的熱水反応器システムの模式図。
【図2】ジルコニア含有ナノ粒子の1実施例及び比較例の体積分布。
【図3】例示的なジルコニア含有ナノ粒子のX線回折スキャン。
【0009】
本発明は種々の修正及び代替の形態に容易に応じるが、その細部は一例として図面に示しており、また詳しく説明することにする。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することにはないことを理解するべきである。逆にその意図は、本発明の趣旨及び範囲内にあるすべての変更例、等価物、及び代替物を網羅することにある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ジルコニア・ナノ粒子を作成する方法、及びジルコニア含有ナノ粒子を含む複合材料を作成する方法につき記載する。溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含む原材料が、単独回の熱水処理に付される。生成するジルコニア含有ナノ粒子は、典型的には結晶性で非会合性である。高い屈折率、高いX線に対する不透明性、又はその組み合わせを有する透明な、又は半透明な複合材料を提供するために、このジルコニア含有ナノ粒子は有機マトリックス中に分散又は懸濁され得る。
【0011】
本明細書で使用する時、用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの(少なくともone)」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「会合した」は、凝集及び/又は粒塊される2つ又はそれ以上の一次粒子の群を指す。同様に、用語「非会合(性)の」は凝集及び/又は集塊から実質的に免れている2つ以上の1次粒子を指す。
【0013】
本明細書において使用される、用語「凝集」は、2つ以上の1次粒子の強い会合を指す。例えば、一次粒子は、互いと化学的に結合されてもよい。凝集体のより小さい粒子(例えば一次粒子)への分割は、一般に実現するのが困難である。
【0014】
本明細書において使用される、用語「集塊」は2つ以上の1次粒子の弱い会合を指す。例えば、一次粒子は、荷電又は極性により緊密に保持されてもよい。集塊体のより小さい粒子(例えば、一次粒子)への分割は、凝集体のより小さい粒子への分割ほど困難ではない。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「一次粒子寸法」は、非会合単一結晶ジルコニア粒子の寸法を指す。本明細書に記載される方法を用いて、1次粒子の寸法を測定するために、通常はX線回折(XRD)が使用される。
【0016】
本明細書において使用される、用語「熱水の」は水性媒体を、その水性媒体の沸騰を防止するのに必要な圧力又はそれ以上の圧力において、その水性媒体の標準の沸点以上の温度に加熱する方法を指す。
【0017】
本明細書において使用される、用語「ジルコニア」は酸化ジルコニウムのさまざまな化学量論的化学式を指す。最も典型的な化学量論的化学式はZrOであり、このものは酸化ジルコニウム及び二酸化ジルコニウムとしても知られている。ジルコニアは、30重量%までの、25重量%までの、20重量%、15重量%までの、10重量%までの、若しくは5重量%までの、例えば、表面に吸着された酸化イットリウム又はさまざまな有機材料などの他の化学的構成成分を含有し得る。
【0018】
本明細書において使用される、用語「有機マトリックス」はポリマー材料又は単量体若しくはオリゴマーなどのポリマー材料の前駆体を指す。別の言い方をすれば、この有機マトリックスは重合可能な材料、重合した材料又はそれらの混合物であることができる。
【0019】
本明細書において使用される用語「〜の範囲の」は該範囲の端点を含む。例えば、1〜10インチの範囲内とは、数字1、10、及び1〜10の間の全ての数値を含む。
【0020】
第1の態様では、ジルコニア含有ナノ粒子の調製法が提供される。熱水技術は、ジルコニア含有ナノ粒子を溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含む原材料から調製するために用い得る。ジルコニア含有ナノ粒子は通常は結晶性で非会合性である。
【0021】
原材料中に存在するカルボン酸塩は4個以下の炭素原子を有する。適切なカルボン酸塩としては、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩(即ち、n−プロピオン酸塩)、酪酸塩(即ち、n−酪酸塩、iso−酪酸塩、又はその混合物)、又はそれらの混合物が挙げられる。通常は、これらのカルボン酸塩に対応するいくらかのカルボン酸が原材料内に存在してもよい。即ち、原材料中のこのカルボン酸塩及び/又はその酸は4個以下の炭素原子を有する。本明細書において使用される表現「カルボン酸塩及び/又はその酸」カルボン酸塩、そのカルボン酸塩に対応する酸、又はそれらの組み合わせを意味する。
【0022】
この原材料は、通常は4個を超える炭素原子を含むカルボン酸塩及び/又はその酸を含まないか、又は実質的に含まない。本明細書において使用される、4個を超える炭素原子を含むカルボン酸塩及び/又はその酸に関する用語「実質的に含まない」は、通常は、これらの材料が原材料に意図的に添加されないが、カルボン酸ジルコニウム塩などの別の原材料の成分に含まれる不純物として存在することを指す。通常は、カルボン酸塩及び/又はその酸の合計に基づいて1モル%未満、0.5モル%未満、0.3モル%未満、0.2モル%未満、0.1モル%未満、0.05モル%未満、0.02モル%未満、又は0.01モル%未満のこれらの材料が原材料中に存在する。即ち、原材料中の4個を超える炭素原子を有するカルボン酸塩及び/又はその酸の量は、原材料中に存在するカルボン酸塩及び/又はその酸の合計モル数に基づいて、0〜1モル%の範囲、0〜0.5モル%の範囲、0〜0.3モル%の範囲、0〜0.2モル%の範囲、0〜0.1モル%の範囲、0〜0.05モル%の範囲、0〜0.02モル%の範囲、又は0〜0.01モル%の範囲にある。
【0023】
原材料中の溶解された塩は、ハロゲン化ジルコニウム塩、オキシハロゲン化ジルコニウム塩、硝酸ジルコニウム塩、オキシ硝酸ジルコニウム塩ではなく、カルボン酸ジルコニウム塩である。原材料中のハロゲン化物及び硝酸アニオンは、より望ましい正方相又は立方相ではなく、単斜相であるジルコニア含有ナノ粒子を主にもたらす傾向がある。更に、カルボン酸塩及び/又はその酸はハロゲン化物及び硝酸塩と比較して、有機マトリックス材料に対してより相溶性がある。多くの原材料が、ハロゲン化物及び硝酸塩を含まないか、実質的に含まない。ハロゲン化物及び硝酸塩に関連して本明細書において使用される用語「実質的に含まない」とは、原材料にハロゲン化物及び硝酸塩が意図的には加えられないが、カルボン酸ジルコニウム塩などの他の成分中に不純物として含まれる可能性があることを意味する。原材料は、30ミリモル濃度以下の、20ミリモル濃度以下の、10ミリモル濃度以下の、5ミリモル濃度以下の、1ミリモル濃度以下の、又は0.5ミリモル濃度以下のハロゲン化物又は硝酸塩を含む。即ち、原材料中のハロゲン化物又は硝酸塩の濃度は0〜30ミリモル濃度の範囲、0〜20ミリモル濃度の範囲、0〜10ミリモル濃度の範囲、0〜5ミリモル濃度の範囲、0〜1ミリモル濃度の範囲、又は0〜0.05ミリモル濃度の範囲である。
【0024】
カルボン酸ジルコニウム塩は、多くの場合、酢酸ジルコニウムである。酢酸ジルコニウムは、ZrO((4−n)/2)n+(CHCOO(式中、nは1〜2の範囲である)などの式により表すことができる。ジルコニウムイオンは、例えば、原材料のpHなどに依存して、さまざまな構造で存在し得る。酢酸ジルコニウムの製造法は、例えば、W.B.Blumenthal,The Chemical Behavior of Zirconium, pp311〜338,D.Van Nostrand Company,Princeton,NJ(1958)に記載されている。適切な酢酸ジルコニウムの水溶液は、例えば、マグネシウム・エレクトロン社(Magnesium Elektron, Inc.)ニュージャージー州フレミントン(Flemington)などから市販品として入手可能であり、溶液の合計重量に基づき、最大17重量%のジルコニウム、最大18重量%のジルコニウム、最大20重量%のジルコニウム、最大22重量%、最大24重量%、最大26重量%、又は最大28重量%のジルコニウムを含む。
【0025】
さまざまな商業的に入手可能な供給源から調製されるカルボン酸ジルコニウム塩溶液は、多くの場合、いくらかのアルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はリチウムイオン)、いくらかのアルカリ土類イオン(例えば、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン、又はストロンチウムイオン)、又はそれらの混合物を含む。多くの適用においては、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方の少なくとも一部を除去することが望ましい。例えば、もしこれらのイオンが上記の原材料中に特定の低い量で存在すると、生成するジルコニア含有ナノ粒子は非会合性ではなく会合性になる傾向を持つ。驚くべきことに、カルボン酸ジルコニウム塩溶液を水素型のカチオン交換樹脂に接触させることで、これらのイオンを溶液から除去することができる。即ち、溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含む溶液は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はそれらの混合物を除去するために、水素型のカチオン交換樹脂に接触させることができる。アルカリ金属イオン、及びアルカリ土類イオンは、カチオン交換樹脂に吸着された水素イオンと交換する。これらのイオン(即ち、カチオン)は、カチオン交換樹脂からの水素イオンと置換する。
【0026】
アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はそれらの混合物が、カルボン酸ジルコニウム塩溶液から選択的に除去できることは予期されない。通常、カチオン交換樹脂は、溶液をカチオン交換樹脂上に吸着させることにより、溶液から高度に荷電したカチオンを除去する一方、低電荷を持つカチオンは溶液中に再放出させるために用いられる。カチオン交換樹脂が、溶液中で多価イオンになることができ、比較的高濃度で存在するジルコニウムイオンに比べ、比較的低濃度で存在するアルカリ金属イオン又はアルカリ土類イオンを優先的に吸着することは予期されない。即ち、カチオン交換樹脂の容量がジルコニウムイオンにより使い果たされないことは驚くべきことであり、及び溶液からのアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンを吸着するために利用できる容量があることも驚くべきことである。
【0027】
カルボン酸ジルコニウム塩溶液と水素型のカチオン交換樹脂を接触させるいくつかの方法では、カチオン交換樹脂を直接溶液に加えることができる。この溶液は熱水処理のための原材料になり得る。少なくとも一部分のアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方を除去した後、カチオン交換樹脂は溶液から分離される。例えば、カチオン交換樹脂は、濾過又は遠心分離により分離され得る。
【0028】
カルボン酸ジルコニウム塩溶液と水素型のカチオン交換樹脂を接触させる他の方法では、カチオン交換樹脂は、クロマトグラフィー用カラム内に配置されるか、又は濾過媒体の表面に配置され得る。濾過媒体は、例えば、フィルターカートリッジを設ける筐体内に配置され得る。適する濾過媒体及びフィルターカートリッジを含むシステムは、例えば米国特許第5,468,847号(ヘイルマン(Heilmann)ら)に更に記載されている。濾過媒体は、米国特許第3,058,594号(ハルトグレン(Hultgren))に記載されるもののような垂直なひだのある(vertical pleated)フィルターの形態であることができる。他の実施形態において、濾過媒体は、米国特許第4,842,739号明細書(タン(Tang)ら)に記載されたものなどの水平の複雑な放射状にひだが付いたフィルターの形態を取っている。
【0029】
カルボン酸ジルコニウム溶液中に含まれるアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方の少なくとも50モル%を除去するために、通常は、充分な水素型カチオン交換樹脂が添加される。いくつかの実施形態では、溶液をカチオン交換樹脂と接触させることで、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方の、少なくとも60モル%、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、又は少なくとも95モル%が除去される。溶液と接触させられるカチオン交換樹脂の量は、カチオン交換樹脂のイオン容量及び溶液中に溶解するアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンの合計量から計算され得る。
【0030】
実際的には、過剰のカチオン交換樹脂がカルボン酸ジルコニウム塩溶液と接触させられる。例えば、溶液中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンの濃度は誘導結合プラズマ発光分光法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)などの技術を用いて決定し得る。カチオン交換樹脂の容量は、多くの場合製造者から提供されるが、試料のカチオン交換樹脂の全水素イオンを、ナトリウムやカルシウムなどの別のイオンで置き換えた後に、置換された水素イオンの合計量を滴定することでも計算できる。カチオン交換樹脂の容量及びカルボン酸ジルコニウム塩溶液中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンの濃度に基づき、少なくとも10モル%過剰のカチオン交換樹脂が溶液と接触させられる。多くの実施形態において、カチオン交換樹脂は、カルボン酸ジルコニウム塩溶液中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンの合計量に基づき、少なくとも20モル%、少なくとも50モル%、少なくとも75モル%、少なくとも100モル%、又は少なくとも200モル%過剰の量で存在する。
【0031】
任意の公知の水素型のカチオン交換樹脂も用い得る。例えば、いくつかの適切なカチオン交換樹脂は、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Company)(ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia))から、AMBERLITE IR−120などのAMBERLITEの商標名のものが入手可能である。他の適切なカチオン交換樹脂は、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)(ミシガン州ミッドランド(MidlandI))からDOWEX G−26などのDOWEXの商標名のものが入手可能である。更に他の適切なカチオン交換樹脂は、ピューロライト社(Purolite Company)(ペンシルベニア州バラキンウッド(Bala Cynwyd))からPUROLITE C160HなどのPUROLITEの商標名のものが入手可能である。代替的に、ナトリウム型のカチオン交換樹脂は、希酸に接触させることで、水素型に変換できる。カチオン交換樹脂の任意の適切なメッシュ・サイズを用い得る。いくつかの実施形態では、メッシュ・サイズは16〜200メッシュの範囲、16〜100メッシュの範囲、又は16〜50メッシュの範囲である。
【0032】
多くの原材料では、カルボン酸ジルコニウム塩溶液を水素型のカチオン交換樹脂で処理しても、しなくても、アルカリ金属イオンの合計濃度は1gのジルコニウム当たり、3mg以下である。例えば、アルカリ金属イオンの合計濃度は多くの場合、1gのジルコニウム当たり2.5mg以下、1gのジルコニウム当たり2.0mg以下、1gのジルコニウム当たり1.5mg以下、1gのジルコニウム当たり1.0mg以下、1gのジルコニウム当たり0.5mg以下、1gのジルコニウム当たり0.3mg以下、1gのジルコニウム当たり0.2mg以下、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg以下である。
【0033】
多くの場合、水素型のカチオン交換樹脂によるカルボン酸ジルコニウム塩溶液の処理後、原材料中のアルカリ金属イオン合計濃度は、1gのジルコニウム当たり1mg以下、1gのジルコニウム当たり0.6mg以下、1gのジルコニウム当たり0.5mg以下、1gのジルコニウム当たり0.3mg以下、1gのジルコニウム当たり0.2mg以下、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg以下である。
【0034】
同様に、多くの原材料において、カルボン酸ジルコニウム塩溶液を水素型のカチオン交換樹脂で処理しても、しなくても、アルカリ土類イオンの合計濃度は、1gのジルコニウム当たり3mg以下である。例えば、アルカリ土類イオンの含量は多くの場合、1gのジルコニウム当たり2.5mg以下、1gのジルコニウム当たり2.0mg以下、1gのジルコニウム当たり1.5mg以下、1gのジルコニウム当たり1.0mg以下、1gのジルコニウム当たり0.5mg以下、1gのジルコニウム当たり0.3mg以下、1gのジルコニウム当たり0.2mg以下、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg以下である。
【0035】
多くの場合、水素型のカチオン交換樹脂によるカルボン酸ジルコニウム塩溶液の処理後、原材料中のアルカリ土類イオン合計濃度は、1gのジルコニウム当たり1mg以下、1gのジルコニウム当たり0.6mg以下、1gのジルコニウム当たり0.5mg以下、1gのジルコニウム当たり0.3mg以下、1gのジルコニウム当たり0.2mg以下、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg以下である。
【0036】
ジルコニア含有ナノ粒子が有機マトリックス中に懸濁又は分散される適用において、原材料中のアルカリ金属イオンの合計量が1gのジルコニウム当たり0.6mg未満であることが望ましく、及び原材料中のアルカリ土類イオンの合計量が1gのジルコニウム当たり0.6mg未満であることが望ましい。アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方の合計量がこの量を超えると、生成するジルコニア含有ナノ粒子が凝集、又は集塊する傾向が増大する。多くの実施例において、原材料中のアルカリ金属イオンの合計量は1gのジルコニウム当たり0.5mg未満、1gのジルコニウム当たり0.3mg未満、1gのジルコニウム当たり0.1mg未満であり、原材料中のアルカリ土類イオンの合計量は1gのジルコニウム当たり0.5mg未満、1gのジルコニウム当たり0.3mg未満、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg未満である。
【0037】
いくらかの原材料は、溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩に加えて溶解されたイットリウム塩を含む。カルボン酸ジルコニウム塩と同様に、通常はイットリウム塩のアニオンは、続く処理工程において除去でき、非腐食性であり、有機マトリックスに相溶性であるものが選ばれる。多くの場合、イットリウム塩は、4個以下の炭素原子を含むカルボン酸との、カルボン酸イットリウム塩である。多くの実施形態において、カルボン酸塩は酢酸塩である。多くの場合、イットリウムは、原材料中のイットリウム及びジルコニウムの合計重量に基づき最大20重量%の量で存在する。例えば、多くの場合、原材料中のイットリウム及びジルコニウムの合計重量に基づき、最大18重量%、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、最大6重量%、又は最大4重量%のイットリウムが存在する。即ち、多くの場合、原材料中のイットリウム量は、イットリウム及びジルコニウムの合計重量に基づき、0〜20重量%の範囲、1〜20重量%の範囲、1〜18重量%の範囲、1〜10重量%の範囲、又は1〜6重量%の範囲である。
【0038】
別の表現では、原材料中のイットリウムのジルコニウムに対する重量比(即ち、イットリウムのグラム数÷ジルコニウムのグラム数)は、多くの場合、最大0.25、最大0.22、最大0.20、最大0.16、最大0.12、最大0.08である。例えば、イットリウムのジルコニウムに対する重量比は、0〜0.25の範囲、0〜0.22の範囲、0.01〜0.22の範囲、0.02〜0.22の範囲、0.04〜0.22の範囲、0.04〜0.20の範囲、0.04〜0.16の範囲、又は0.04〜0.12の範囲である。
【0039】
原材料のpHは通常は酸性である。例えば、pHは通常、6未満、5未満、又は4未満である。pHは多くの場合3〜4の範囲である。
【0040】
原材料の液相は、通常は主に水(即ち、液相は、水を主成分とする媒体)である。アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はその両方の原材料への導入を最小化するために、好適にはこの水は脱イオン化されている。水混和性の有機共溶媒は、液相の重量に基づき最大20重量%が液相に含まれ得る。適切な共溶媒としては、限定はされないが、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN−メチルピロリジンが挙げられる。
【0041】
通常は原材料は溶液であり、分散又は懸濁された固体を含まない。例えば、種粒子は普通原材料中に存在しない。原材料は通常5重量%を超える固体を含み、これらの固体は通常は溶解されている。本明細書において使用される「重量%の固体」は、試料を120℃で乾燥することにより計算され、水、水混和性の共溶媒又は最大120℃の温度で蒸発することのできる別の化合物ではない原材料の部分を指す。重量%の固体は
100(湿重量−乾燥重量)÷(湿重量)に等しい。
【0042】
この等式において、用語「湿重量」は原材料試料の乾燥前の重量を指し、及び用語「乾燥重量」は例えば、120℃で、少なくとも30分間乾燥後の試料の重量を指す。もし原材料が5重量%を超える重量百分率の固体を有すると、生成するジルコニア含有ナノ粒子は通常は非会合性である。しかしながら驚くべきことに、もし原材料が5重量%以下の重量百分率の固体を有すると、生成するジルコニア含有ナノ粒子は通常は会合している。従来の非会合性の粒子形成へのアプローチは、熱水反応器に導入される反応剤の濃度を下げるものであるため、このことは予期されなかった。
【0043】
多くの実施形態において、原材料は、6重量%より多い、7重量%より多い、8重量%より多い、10重量%より多い、12重量%より多い、14重量%より多い、16重量%より多い、18重量%より多い、20重量%より多い固体、又は24重量%より多い固体を含む。いくつかの原材料は、最大47重量%を含み、これは市販品として入手し得る酢酸ジルコニウムの濃度に等しい。例えば、原材料は、最大45重量%、最大40重量%、最大36重量%、最大32重量%、最大30重量%、最大28重量%、最大25重量%、最大24重量%、最大23重量%、又は最大20重量%の固体を含み得る。いくつかの例示的な原材料は、6〜47重量%、6〜40重量%、6〜37重量%、8〜36重量%、8〜30重量%、8〜24重量%、又は8〜20重量%の固体を有する。
【0044】
別の表現では、通常、原材料は、原材料の重量に基づいて2.2重量%より多いジルコニウムを含む。いくつかの例示的な原材料は、2.6〜20.7重量%の範囲、2.6〜16.3重量%の範囲、3.5〜15.8重量%の範囲、3.5〜11.0重量%の範囲、3.5〜10.6重量%の範囲、又は3.5〜8.8重量%の範囲のジルコニウム含有量を有する。
【0045】
5重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約0.36〜0.42ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は2.2〜2.6重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当する。同様に、8重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約0.58〜0.68ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約3.5〜4.1重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。10重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約0.72〜0.84ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約4.3〜5.0重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。17重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約1.22〜1.42ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約7.3〜8.5重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。19重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約1.37〜1.6ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約8.2〜9.5重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。25重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約1.8〜2.1ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約10.8〜12.6重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。更に、45重量%の固体を含む原材料は、多くの場合、1gの溶液当たり約3.2〜3.7ミリモルのカルボン酸及び/又はそのアニオンを含み、この値は約19.4〜22.4重量%の酢酸及び/又は酢酸塩に相当し得る。
【0046】
原材料は単独回の熱水処理に付される。原材料中の溶解されたジルコニウム種は、加水分解及び縮合を受け、ジルコニア含有ナノ粒子を形成する。原材料中の、少なくとも90重量%の溶解されたジルコニウムが単独回の熱水処理により加水分解及び縮合を受ける。本明細書において使用される、表現「単独回の熱水処理」は、90重量%以下のジルコニア含有ナノ粒子に変換された中間体が加水分解及び縮合反応から単離されないことを意味する。加水分解及び縮合反応の副生物は、通常は、原材料中の少なくとも90重量%のジルコニウムがジルコニア含有ナノ粒子に変換されるまでは除去されない。いくつかの実施形態では、単独回の熱水処理中に、少なくとも92重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は100重量%の原材料中の溶解されたジルコニウムが加水分解及び縮合を受ける。
【0047】
変換率(即ち、加水分解及び縮合の程度)は、例えば、熱重量分析(TGA)を用いて計算し得る。分析下におけるジルコニア含有試料の変換率は次式により与えられる
変換率(%)=100(A−B)/(A−C)
式中、Aは原材料のパーセント重量損失、Bは分析下におけるジルコニア含有試料のパーセント重量損失、及びCは、完全に変換されたことが判明したか、又は変換されたと信じられるジルコニアを含むスタンダードのパーセント重量損失である。原材料のパーセント重量損失、分析下におけるジルコニア含有試料のパーセント重量損失、及びジルコニアを含むスタンダードのパーセント重量損失は、それぞれの試料(例えば、3〜6g)を分析前に120℃で30分間乾燥させることにより決定される。熱重量分析器中での85℃での平衡化後に、それぞれの試料は20℃/分の昇温率で200℃まで加熱される。温度は200℃で20分間保持され、20℃/分の昇温率で900℃まで増大され、900℃で20分間保持される。パーセント重量損失は、以下の式から計算することができる。
【0048】
第一の原材料、分析下のジルコニア含有試料、及びジルコニアを含むスタンダードについてパーセント重量損失=100(重量200C−重量900C)/重量900C
パーセント重量損失は、分析に用いられたそれぞれの試料中の無機酸化物ではないものに相当する。
【0049】
原材料中のいずれの任意のイットリウム種も、ジルコニウム種とともに加水分解及び縮合を受けることができる。ジルコニウム及び任意のイットリウムの加水分解及び縮合反応は、多くの場合酸性副生物の放出を伴う。即ち、この副生物は多くの場合、カルボン酸ジルコニウム塩及び任意のカルボン酸イットリウム塩のカルボン酸塩に対応するカルボン酸である。例えば、もし塩の中のカルボン酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、又は酪酸塩であれば、副生物は、通常は、それぞれギ酸、酢酸、プロピオン酸、又は酪酸である。
【0050】
単独回の熱水処理はバッチ式反応器又は連続的反応器中で行われ得る。バッチ式熱水反応器に比較して連続的熱水反応器では、通常は、加熱時間はより短く、温度はより高い。熱水処理の時間は、反応器の種類、反応器の温度、及びの原材料濃度に依存して変化する。反応器内の圧力は、自己生成性(すなわち、反応器の温度での水の蒸気圧)であることができ、水圧(すなわち、絞りに対する流体のポンピングに起因する圧力)であることができ又は窒素若しくはアルゴンなどの不活性ガスの添加に起因することができる。好適なバッチ水熱反応器は、例えば、パー・インスツルメンツ社(Parr Instruments Co.)(イリノイ州モリン(Moline))から入手できる。いくつかの適切な連続的熱水反応器は、例えば、米国特許第5,453,262号(ドーソン(Dawson)ら)、及び第5,652,192号(マトソン(Matson)ら);J.アドシリAdschiriら,Ceram.Soc.,75,1019〜1022(1992);及びドーソン(Dawson),Ceramic Bulletin,67(10),1673〜1678(1988)に記載されている。
【0051】
ジルコニア含有ナノ粒子形成に用いられる単独回の熱水処理にバッチ式反応器が用いられる場合、多くの場合、その温度は160℃〜275℃の範囲、160℃〜250℃の範囲、170℃〜250℃の範囲、175℃〜250℃の範囲、175℃〜225℃の範囲、180℃〜220℃の範囲、180℃〜215℃の範囲、又は190℃〜210℃の範囲である。原材料は、通常は、室温でバッチ式反応器内に配置される。バッチ式反応器内の原材料は、指定された温度まで加熱され、及びその温度に少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、又は少なくとも4時間保持される。この温度は、最大24時間、最大20時間、最大16時間、又は最大8時間保持される。例えば、この温度は0.5〜24時間の範囲、1〜18時間の範囲、1〜12時間の範囲、又は1〜8時間の範囲保持される。いずれのサイズのバッチ式反応器でも使用し得る。例えば、バッチ式反応器の体積は数mL〜数L以上までの範囲であってもよい。
【0052】
多くの実施形態において、単独回の熱水処理のために原材料は連続的熱水反応器を通過させられる。熱水反応システム100に関連して本明細書において使用される用語「連続的」は、原材料110が連続的に導入され、及び排液が加熱された領域から連続的に除去されることを意味する。原材料の導入及び排液の除去は、通常、反応器の異なる位置で起こる。この連続的導入及び除去は一定であっても、パルス化されていてもよい。多くの場合、原材料は加熱されたときに密になってゲルを形成するために、原材料が連続的熱水反応器を通じて通過できることは驚くべきことである。広く受け入れられている知識によると、ポンプにより移動させるためには材料が密になりすぎるか、又は反応器内に栓塞の形成をもたらすために、かかる原材料は連続的熱水反応器を通じて通過させられるべきではないと言えるであろう。広く受け入れられている知識によると、10重量%、12重量%、又はそれ以上などの高い重量%の固体を含む原材料は、反応器システムを塞ぐことなくポンプにより移動させることはできないとも言えるであろうであろう。
【0053】
1つの例示的な連続的熱水反応システム100が模式的に図1に示される。原材料110は、原材料タンク115内に収納されている。原材料タンクは管又はパイプ117によりポンプ120に連結されている。同様の管又はパイプを用いて、管状反応器システムの他の構成要素を連結することができる。管又はパイプ117は金属、ガラス、セラミック又はポリマーなどの任意の適切な材料により構築され得る。管又はパイプ117は、連続的熱水反応システム100の加熱されない高圧のかからない部分において、例えば、ポリエチレン管又はポリプロピレン管であってもよい。加熱されるか、圧力がかかる任意の管は、多くの場合、金属(例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、チタン、ニッケル、又は同種のもの)で形成されるか、又は金属外部ハウジングを有する。原材料110を管状反応器130に導入するためにポンプ120が用いられる。つまり、ポンプ120を管状反応器130の入口に連結することができる。管状反応器130内の圧力に抗してポンピングする能力のある任意の種類のポンプ120が用いられ得る。このポンプは一定又はパルス状の原材料溶液の流れを管状反応器130内に提供し得る。
【0054】
本明細書において使用される用語「管状反応器」は連続的熱水反応システムの加熱される部分(即ち、加熱領域)を指す。管状反応器130は、図1では管のコイルとして示され、管状反応器は任意の適切な形状であることができる。管状反応器の形状は、多くの場合、管状反応器の所望の長さ及び管状反応器を加熱するために用いられる方法に基づいて選択されることが多い。例えば、管状反応器は、直線、U字形、又はコイル状であることができる。管状反応器の内部は空であるか、邪魔板、ボール、又は他の周知の混合手段を含み得る。
【0055】
図1に示すように、管状反応器130は、加熱媒質容器150内の加熱媒質140内に定置される。熱媒体140は、例えば、ジルコニウムの加水分解及び縮合温度より高い温度に加熱し得る、油、砂、塩、又は同種のものであってもよい。適切な油としては、例えば、ピーナツ油、カノーラ油などの植物油が挙げられる。一部の植物油は、油の酸化を防ぐ又は最低限に抑えるため、好ましくは、加熱されたとき窒素下で保持される。他の適切な油としては、デュラサーム・エクステンディッド・フルーズ(Duratherm Extended Fluids)(ニューヨーク州ルイストン(Lewiston))から「デュラサーム S(DURATHERM S)」の商標名で入手可能なものなどのポリジメチルシロキサンが挙げられる。適切な塩としては、例えば、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム又はそれらの混合物が挙げられる。熱媒体容器150は、管状反応器130に用いられる熱媒体を保持し、その温度に耐えられる任意の適切な容器であってもよい。加熱媒質容器150は、任意の適切な手段を用いて加熱することができる。多くの実施形態では、加熱媒質容器150は、電気的に加熱されたコイルの内部に位置する。代替的に、例えば、誘導加熱器、マイクロ波加熱器、燃料燃焼加熱器、加熱テープ、及び蒸気コイルなどの他の種類の加熱器を加熱容器150、熱媒体140、又はその両方の適切な場所において用い得る。
【0056】
管状反応器130は、ジルコニア・ナノ粒子調製に用いられる温度及び圧力に耐える能力のある任意の材料で形成され得る。好適には管状反応器130は、酸性環境における溶解に抵抗可能な材料により構築される。例えば、カルボン酸は、連続的熱水反応器システム内の原材料中に存在するか、反応副生物として生成され得る。いくつかの例示的な実施形態では、管状反応器はステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素を主成分とする鋼、又は同種のものにより形成される。
【0057】
他の例示的な実施形態では、管状反応器の内部表面はフッ素化されたポリマー材料を含む。このフッ素化されたポリマー材料は、例えば、フッ素化されたポリオレフィンを含み得る。いくつかの実施形態では、前記ポリマー材料は、TEFLON(登録商標)などのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であり、TEFLON(登録商標)はデュポン社(DuPont)(デラウェア州ウイルミントン(Wilmington))の商標名である。いくつかの管状反応器は、TEFLON(登録商標)などのフッ素化されたポリマー性ホースを編組ステンレス鋼ハウジングなどの金属ハウジング内に有する。フッ素化されたポリマー性表面は、原材料及び/又はカルボン酸を含む反応生成物と共に使用される場合に特に有利である。これらのカルボン酸は、ステンレス鋼で構築されたものなどの、いくつかの周知の熱水反応器から金属を浸出させることができる。
【0058】
驚くべきことに、通常は、連続的熱水条件下で原材料中のジルコニウムをジルコニア含有ナノ粒子に変換するための熱伝達は、フッ素化されたポリマー材料を通じたもので充分である。316Lステンレス鋼及びPTFEの典型的な熱伝導率の値は、各々18W/(m・K)及び0.25W/(m・K)である。管内に形成される場合の0.64センチメートル(0.25インチ)ステンレス鋼管に対する典型的な壁の厚さである0.00089mは熱水条件に耐えられる。これは、かかるステンレス鋼管に対して20,000W/(mK)の熱伝達係数をもたらす。0.64センチメートル(0.25インチ)のPTFE管の典型的な壁の厚さは0.0010mである。これは、かかる管に対して250W/(mK)の熱伝達係数をもたらす。ステンレス鋼管の値は、PTFE管の値の80倍である。PTFE管は熱水反応の圧力に耐えられないため、その圧力を封じ込めるように設計された、例えば、ステンレス鋼網材シースの中に包み込む必要がある。かかるシースは0.0023mの典型的厚さを有する。編組シースの熱伝達に対する抵抗は算出することが困難であるが、これはPTFE管自身の抵抗に追加量を加えるので、ステンレス鋼管の利点をなおいっそう大きくすることができる。したがって、この種類の複合管が管と外部環境の間でエネルギー交換を行うかなりの能力を要求する熱水反応器内で機能することは、驚くべきことである。
【0059】
管状反応器130の第2末端は、通常冷却装置160に連結している。任意の好適な冷却装置160を用い得る。いくつかの実施形態では、冷却装置160は冷水などの冷媒により満たされた外部ジャケットを有する、管又はパイプの区域を含む熱交換器である。他の実施形態では、冷却装置160は、冷却水を収容する容器内に定置された管又はパイプのコイル状部分を含む。これらのいずれの実施形態においても、管状反応器排水は、管の区域を通過させられ、この管状反応器の温度から、100℃以下、80℃以下、60℃以下、又は40℃以下の温度まで冷却される。ドライアイス又は冷蔵コイルを収容する他の冷却装置を用いることもできる。冷却後、反応器排水は製品回収容器180に排出することができる。好適には、反応器からの排液は製品回収容器180に放出される前に、その凝固点より低い温度に冷却されることはない。
【0060】
管状反応器内部の圧力は少なくとも部分的に背圧バルブ170により制御され、これは一般的に冷却装置160及び試料回収容器180の間に配置される。背圧バルブ170は連続的熱水反応システム100の出口の圧力を制御し、及び管状反応器130内部の圧力の制御を助ける。多くの場合、背圧は少なくとも0.7MPa(100ポンド/平方インチ絶対圧力)、少なくとも1.4MPa(200ポンド/平方インチ絶対圧力)、少なくとも2.1MPa(300ポンド/平方インチ絶対圧力)、少なくとも2.8MPa(400ポンド/平方インチ絶対圧力)、少なくとも3.5MPa(500ポンド/平方インチ絶対圧力)、少なくとも4.2MPa(600ポンド/平方インチ絶対圧力)、又は少なくとも4.9MPa(700ポンド/平方インチ絶対圧力)である。背圧は管状反応器内部での沸騰を防止ほど充分高くあるべきである。
【0061】
管状反応器130の寸法は変更でき、原材料の流速とともに、管状反応器内部に反応剤に適切な滞留時間を与えるように選択され得る。滞留時間及び温度が原材料中のジルコニウムをジルコニア含有ナノ粒子に変更するのに充分であるという条件のもとに、任意の適切な長さの管状反応器が用いることができる。管状反応器は、少なくとも0.5メートル、少なくとも1メートル、少なくとも2メートル、少なくとも5メートル、少なくとも10メートル、少なくとも15メートル、少なくとも20メートル、少なくとも30メートル、少なくとも40メートル、又は少なくとも50メートルの長さを有することが多い。いくつかの実施形態では管状反応器の長さは、500メートル未満、400メートル未満、300メートル未満、200メートル未満、100メートル未満、80メートル未満、60メートル未満、40メートル未満、又は20メートル未満である。
【0062】
比較的小さな内径を有する管状反応器が通常は好ましい。これらの反応器により達成される原材料の早い加熱速度のために、多くの場合、例えば、約3センチメートル以下の内径を有する管状反応器が用いられる。また、内径の小さい反応器では、内径の大きいものと比較して管状反応器の全域での温度勾配はより小さい。管状反応器の内径が大きいほど、この反応器はバッチ式反応器に類似する。しかしながら、管状反応器の内径が小さすぎると、反応器の壁に堆積する材料に起因して稼働中に反応器が詰まる、又は部分的に詰まる可能性が増加する。管状反応器の内径は、少なくとも0.1センチメートル、少なくとも0.15センチメートル、少なくとも0.2センチメートル、少なくとも0.3センチメートル、少なくとも0.4センチメートル、少なくとも0.5センチメートル、又は少なくとも0.6センチメートルであることが多い。いくつかの実施形態では、管状反応器の直径は、3センチメートル以下、2.5センチメートル以下、2センチメートル以下、1.5センチメートル以下、又は1.0センチメートル以下である。一部の管状反応器は、0.1〜0.3センチメートルの範囲、0.2〜2.5センチメートルの範囲、0.3〜2センチメートルの範囲、0.3〜1.5センチメートルの範囲、又は0.3〜1センチメートルの範囲の内径を有する。
【0063】
管状反応器の内径を増加させるのではなく、平行な様式で配置された、より小さな内径を有する複数の管状反応器を用いることが好ましい場合がある。例えば、より多い量のジルコニア含有ナノ粒子を製造するために管状反応器の内径を増すよりはむしろ、約3センチメートルの内径を有する複数の管状反応器を並列様式で稼動させることができる。
【0064】
連続的熱水反応器において、温度及び滞留時間は、管状反応器寸法とともに、単独回の熱水処理を用いて、少なくとも90重量%の原材料中のジルコニウムをジルコニア含有ナノ粒子に変換するために選択される。即ち、少なくとも90重量%の原材料中の溶解されたジルコニウムが、連続的熱水反応器システム中を単独回通過することによってジルコニア含有ナノ粒子に変換される。
【0065】
連続的熱水反応器に言及する場合の用語「滞留時間」は、原材料が連続的熱水反応器システムの加熱された部分内にある平均的な時間の長さを意味する。図1に図示された反応器では、滞留時間は原材料が管状反応器130内部にある平均的時間であり、管状反応器の体積を管状反応器を通過する原材料の流速で割ったものに等しい。管状反応器内の滞留時間は管状反応器の直径の長さを変更することと、原材料の流速を変更することによっても変化させ得る。多くの実施形態において、滞留時間は少なくとも1分間、少なくとも2分間、少なくとも4分間、少なくとも6分間、少なくとも8分間、又は少なくとも10分間である。滞留時間は、通常は240分間以下、180分間以下、120分間以下、90分間以下、60分間以下、45分間以下、又は30分間以下である。多くの実施例において、滞留時間は、1〜240分間の範囲、1〜180分間の範囲、1〜120分間の範囲、1〜90分間の範囲、1〜60分間の範囲、10〜90分間の範囲、10〜60分間の範囲、20〜60分間の範囲、又は30〜60分間の範囲である。
【0066】
滞留時間が溶解されたジルコニウムをジルコニア含有ナノ粒子に変換するために充分長ければ、管状反応器を通じる原材料の任意の適切な流速が用いられ得る。即ち、流速は、多くの場合、原材料中のジルコニウムをジルコニア含有ナノ粒子に変換するのに必要な滞留時間に基づき選択される。効率を増大させ、及び管状反応器の壁への材料の堆積を最小化するためには、より高い流速が望ましい。反応器の長さが増加したとき、又は、反応器の長さ及び直径が両方増加したとき、より多い流量を用いることができることが多い。管状反応器を通じる流れは層流又は乱流のいずれかであってもよい。
【0067】
いくつかの例示的な連続的熱水反応器では、反応器の温度は170℃〜275℃の範囲、170℃〜250℃の範囲、170℃〜225℃の範囲、180℃〜225℃の範囲、190℃〜225℃の範囲、200℃〜225℃、又は200℃〜220℃の範囲である。もし温度が約275℃より高いと、いくつかの熱水反応器システムにとり圧力は受け入れられないほど高くなる可能性がある。しかしながら、もし温度が約170℃未満で、典型的な滞留時間を用いた場合には、原材料中のジルコニウムのジルコニア含有ナノ粒子への変換は90重量%未満となる可能性がある。
【0068】
熱水処理の排液(即ち、熱水処理の生成物)はジルコニア含有ナノ粒子を含む。より具体的には、熱水処理の排液はジルコニア含有ゾルである。本明細書において使用される、用語「ゾル」は、ジルコニア含有ナノ粒子の水を主成分とする媒体中での分散物又は懸濁物を指す。
【0069】
多くの適用において、水を主成分とする媒体の少なくとも一部分はジルコニア含有ゾルから除去される。水を主成分とする媒体を除去する任意の周知の手段を用い得る。この水を主成分とする媒体は水を含み、多くの場合、溶解された原材料中に存在するか、又は熱水反応器内で生じる反応副生物であるカルボン酸及び/又はそのアニオンを含む。本明細書において使用される、用語「カルボン酸及び/又はそのアニオン」は、カルボン酸、これらのカルボン酸のカルボキシレート・アニオン又はそれらの混合物を指す。ジルコニア含有ゾルからの、これらの溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンの、少なくとも部分的な除去は、いくつかの適用において望ましい。ジルコニア含有ゾルは、蒸発、乾燥、イオン交換、溶媒交換、膜分離法、又は透析に付されることができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、熱水反応器の排液は濃縮又は乾燥処理により乾燥される。排液中に存在する水の少なくとも一部分の除去と共に、濃縮プロセスは、多くの場合、少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸の除去をもたらす。スプレー乾燥、ギャップ乾燥、又はオーブン乾燥などの任意の適切な乾燥方法を用い得る。例えば、排液は通常のオーブン中で、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、又は少なくとも120℃の温度において乾燥される。乾燥時間は、多くの場合、1時間より長く、2時間より長く、又は3時間より長い。
【0071】
他の実施形態では、熱水処理の排液は溶媒交換プロセスに付される。水より高い沸点を持つ有機溶媒を排液に加えることができる。溶媒交換法に使用するに適切な有機溶媒としては、限定はされないが、1−メトキシ−2−プロパノール及びn−メチルピロリジンが挙げられる。排液及び有機溶媒を含む混合物は、水の除去のために、例えば、蒸留、回転式エバポレーターによる濃縮、又はオーブン乾燥などを用いる方法により処理され得る。多くの場合、少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸は水と共に除去され得る。
【0072】
他の実施形態では、熱水処理の排液は透析又は膜分離法に付されることができる。透析及び膜分離法の両方とも溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンの少なくとも一部分を除去する傾向がある。透析については、排液の試料は閉鎖された膜袋内に配置され、次いで水浴内に配置され得る。カルボン酸及び/又はカルボキシレート・アニオンは、試料外の膜袋内に拡散される。即ち、これらの種は、膜袋内の濃度と水浴内の濃度とを平衡化するために、膜を通じて排液外の水浴中に拡散する。浴内の水は通常は袋内の種の濃度を低下させるために数回置換される。膜袋は通常はカルボン酸及び/又はそのアニオンの拡散を可能にするが、ジルコニア含有ナノ粒子を膜袋外に拡散させないものが選択される。
【0073】
膜分離法では、透過性膜が試料を濾過するために用いられる。フィルターの細孔の寸法が適切に選ばれる場合には、ジルコニア粒子はフィルター上に保持され得る。溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンはフィルターを通過する。フィルターを通過する任意の液体は、真水により置換される。非連続的膜分離法プロセスでは、試料は、多くの場合、所定の体積に希釈され、その後限外濾過により元の体積まで濃縮される。希釈及び濃縮工程は、カルボン酸及び/又はそのアニオンが除去されるか、許容される濃度水準に低下されるまで1回以上繰り返される。多くの場合、定体積膜分離法プロセスと称される連続的膜分離法プロセスでは液体が濾過を通じて除去されるのと同じ速度で真水が加えられる。溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは除去される液体中に存在する。
【0074】
更に別の実施形態では、熱水処理の排液は水酸基型のアニオン交換樹脂と接触させ得る。排液のpHを調整することにより、カルボン酸は塩基型(即ち、カルボキシレート・アニオン)に変換され得る。少なくともいくつかのカルボキシレート・アニオンはアニオン交換樹脂の水酸イオンを置換できる。pHが調整された排液は、アニオン交換樹脂を含むカラムか、又はアニオン交換樹脂含む濾過媒体を通過させられることができる。代替的に、アニオン交換樹脂を連続的熱水反応器の排液と混合させ得る。イオン交換後、アニオン交換樹脂は濾過により除去され得る。アニオン交換樹脂のサイズは処理済排液から容易に除去できるものが選ばれる。例えば、アニオン交換樹脂のサイズは、多くの場合、200メッシュ以上、100メッシュ以上、又は50メッシュ以上である。
【0075】
ジルコニア含有ナノ粒子は任意にイットリウムを含み得る。存在する任意のイットリウムは、通常は、酸化イットリウムの形態である。ジルコニア含有ナノ粒子中のイットリウムの存在は、通常、単斜相よりはむしろ立方相/正方相の形成を促進する。立方及び正方相は、単斜相に比較してより高い屈折率及びX線に対する不透明性を有する傾向があるため、多くの場合、好適である。これらの相は、より対称的である傾向もあり、有機マトリックスの粘度に最小の影響しか与えないために、ジルコニア含有ナノ粒子が有機マトリックス中に懸濁又は分散されるいくつかの適用において有利であり得る。更に、立方及び正方相では充填率がより高くなり得る。
【0076】
ジルコニア含有ナノ粒子中での、イットリウムのジルコニウムに対するモル比(即ち、イットリウムのモル数÷ジルコニウムのモル数)は、多くの場合、最大0.25、最大0.22、最大0.20、最大0.16、最大0.12、最大0.08である。例えば、イットリウムのジルコニウムに対するモル比0〜0.25、0〜0.22、0.01〜0.22、0.02〜0.22、0.04〜0.22、0.04〜0.20、0.04〜0.16、又は0.04〜0.12の範囲であり得る。
【0077】
酸化物としての別の表現では、ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、無機酸化物のモル数(即ち、YプラスZrO)に基づき、最大11モル%のYを含む。例えば、ジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物のモル数に基づき、最大10モル%、最大8モル%、最大6モル%、又は最大4モル%のYを含み得る。いくつかのジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物のモル数に基づき、0〜11モル%、0〜10モル%、1〜10モル%、1〜8モル%、又は2〜8モル%のYを含み得る。
【0078】
更に別の様式での表現では、多くの場合、ジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物の重量(即ち、YプラスZrO)に基づき、最大20重量%のYを含み得る。例えば、ジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物の重量に基づき、最大18重量%、最大16重量%、最大12重量%、最大10重量%、又は最大6重量%のYを含み得る。いくつかのジルコニア含有ナノ粒子は、無機酸化物の重量に基づき、0〜20重量%、0〜18重量%、2〜18重量%、2〜16重量%、又は2〜10重量%のYを含む。
【0079】
ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、無機酸化物に加え少なくともいくつかの有機材料を含む。この有機材料はジルコニア粒子の表面に付着されることができ、及び、多くの場合、原材料中に含まれるカルボン酸塩種(アニオン、酸、又は両方)に由来するか、又は加水分解及び縮合反応の副生物として形成される。即ち、この有機材料は、多くの場合、ジルコニア含有ナノ粒子の表面に吸着される。ジルコニア粒子は、多くの場合、粒子の重量に基づき、最大15重量%、最大12重量%、最大10重量%、最大8重量%、又は最大6重量%の有機材料を含む。
【0080】
ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、ナノ粒子中の1gのジルコニウム当たり、3mg未満の、ナトリウム、カリウム、又はリチウムなどのアルカリ金属を含む。例えば、アルカリ金属の量は1gのジルコニウム当たり2mg未満、1gのジルコニウム当たり1mg未満、1gのジルコニウム当たり0.6mg未満、1gのジルコニウム当たり0.5mg未満、1gのジルコニウム当たり0.3mg未満、1gのジルコニウム当たり0.2mg未満、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg未満であってもよい。
【0081】
同様に、ジルコニア含有ナノ粒子は、多くの場合、ナノ粒子中の1gのジルコニウム当たり、3mg未満の、カルシウム、マグネシウム、バリウム、又はストロンチウムなどのアルカリ土類を含む。例えば、アルカリ土類の量は1gのジルコニウム当たり2mg未満、1gのジルコニウム当たり1mg未満、1gのジルコニウム当たり0.6mg未満、1gのジルコニウム当たり0.5mg未満、1gのジルコニウム当たり0.3mg未満、1gのジルコニウム当たり0.2mg未満、又は1gのジルコニウム当たり0.1mg未満であってもよい。
【0082】
原材料中のアルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオンの影響は、熱水反応器からの排液の外観により見ることができる。原材料中のアルカリ金属イオン又はアルカリ土類イオンの量が比較的高い場合、ジルコニア含有ゾルは透明よりはむしろかすんで見える傾向がある。更に、排液から形成される複合材料でかすんで見えるものは、多くの場合、透明に見える排液から形成された複合材料に比較して、より高い相対粘度を有する。即ち、ジルコニア含有ナノ粒子の調製に用いられる原材料中のアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又は両方の存在は、複合材料の粘度に影響し得る。
【0083】
ジルコニア含有ナノ粒子は結晶である。結晶性ジルコニアは、非晶質ジルコニアに比較して、より高いより高い屈折率及びより高いX線散乱能を有する傾向がある。小粒子の立方及び正方結晶構造をX線回折を用いて分離して定量することの困難さに起因して(即ち、立方ジルコニアの(111)ピークは多くの場合正方ジルコニアの(101)ピークに重なるため)、これらの2つの結晶構造は組み合わされる。例えば、例示的なジルコニア含有ナノ粒子について図3に示されるように、これらの2つのピークの組み合わせは、X線回折パターンでは約30.5度(2θ)に現れる。もしイットリウムが存在すると、X線回折スキャンの合計ピーク領域の少なくとも70%は、立方構造、正方構造、又はそれらの組み合わせに起因し、残りは単斜構造である。例えば、いくつかのX線回折スキャンの合計ピーク領域の、少なくとも75%、少なくとも80%、又は少なくとも85%は、立方構造、正方構造、又はそれらの組み合わせに起因し、残りは単斜構造である。立方及び正方結晶構造は、電子顕微鏡下で観察したときに、立方体様の形状を有する低アスペクト比の1次粒子を形成する傾向がある。
【0084】
異なる表現では、ジルコニア・ナノ粒子の少なくとも70重量%が立方又は正方結晶構造で存在する。いくつかの実施形態では、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、又は少なくとも95重量%のジルコニア・ナノ粒子が立方又は正方結晶構造で存在する。
【0085】
ジルコニア粒子は、通常、50ナノメーター以下、40ナノメーター以下、30ナノメーター以下、25ナノメーター以下、20ナノメーター以下、以下15ナノメーター以下、又は10ナノメーター以下の1次粒子の平均寸法を有する。ジルコニア粒子の非会合の粒子寸法とみなされる、この1次粒子の寸法は、実施例の部分に記載されるようにX線回折により決定され得る。
【0086】
熱水処理の排液は、通常、非会合のジルコニア含有ナノ粒子を含む。ジルコニア含有ゾルの排液は、通常は、透明である。対照的に、集塊した又は凝集した粒子を含むジルコニア含有ゾルは、乳白色又は濁った外観を有する傾向がある。ジルコニア含有ゾルは、多くの場合、ゾル中の1次ジルコニア粒子の小さな寸法及び非会合の形態に起因して、高い光の透過性を有する。ゾルの高い光の透過性は、透明な又は半透明な複合材料の調製において望ましい。本明細書において使用される、「光の透過」は、試料(例えば、ジルコニア含有ゾル)を通過する光の量を試料に入射する光の合計量で割ったものを指す。光の透過パーセントは下式により算出し得る
100(I/I
式中、Iは試料を通過する光の強度であり、Iは試料に入射する光の強度である。光の透過は、600ナノメーターの波長と、1cmの光路長に設定された紫外/可視分光光度計を用いて決定され得る。光の透過はゾル中のジルコニア量の関数である。約1重量%のジルコニアを有するジルコニア含有ゾルに関して、光の透過は、通常は、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%である。約10重量%のジルコニアを有するジルコニア含有ゾルに関して、光の透過は、通常は、少なくとも20%、少なくとも50%、又は少なくとも70%である。
【0087】
一次粒子間の会合の程度は、流体力学粒子寸法から求めることができる。流体力学粒子寸法は、光子相関分光法を用いて測定されるが、より詳細は以下の実施例の部分に記載される。用語「流体力学粒子寸法」及び「体積平均粒子寸法」は、本明細書では交換可能に使用される。ジルコニア粒子が会合している場合、流体力学粒子寸法は、ジルコニアゾル中の一次粒子の凝集体及び/又は集塊の寸法の測定値を提供する。ジルコニア粒子が会合していない場合、流体力学粒子寸法は、一次粒子の寸法の測定値を提供する。
【0088】
ジルコニアゾル中の1次粒子間の会合度定量的測定は分散インデックスである。本明細書において使用される「分散インデックス」は流体力学粒子寸法を1次粒子の寸法で割ったものと定義される。一次粒子寸法(例えば、重量平均結晶子寸法)は、X線回折技術を使用して求められ、流体力学粒子寸法(例えば、体積平均粒子寸法)は、光子相関分光法を使用して求められる。ゾル中の1次粒子の会合が減少するにつれ、分散インデックスは1の値に接近するがいくらか、より高いか、又はより低い。ジルコニア含有ナノ粒子は、通常は、約1〜5、約1〜4、約1〜3、約1〜2.5、又は約1〜2の分散インデックスを有する。
【0089】
光子相関分光法は、ゾル中のジルコニア粒子を更に特徴づけるために使用することができる。例えば、粒子により散乱された光の強度は、粒子直径の6乗に比例する。したがって、光強度分布は、より小さい粒子よりも、より大きい粒子に対してより敏感である傾向がある。光子相関分光法により得られる強度に基づく寸法の1種類は、Z平均寸法である。これは、キュムラント解析を用いて散乱光の強度における変動から算出される。この解析は、粒子寸法分布の幅の程度である、多分散性指数と呼ばれる値も提供する。Z平均寸法及び多分散性指数の計算は、ISO国際標準文書13321:1996Eに定義されている。
【0090】
ジルコニア粒子は、70ナノメーター以下、60ナノメーター以下、50ナノメーター以下、40ナノメーター以下、35ナノメーター以下、又は30ナノメーター以下のZ平均寸法を有する傾向がある。
【0091】
多分散性指数は、多くの場合、0.5未満、0.4未満、0.3未満、0.2未満、又は0.1未満である。0.5近傍の多分散性指数は、多くの場合、幅広い粒子寸法分布を示し、一方、0.1近傍の多分散性指数は、多くの場合、幅の狭い粒子寸法分布を示す。
【0092】
Z平均寸法及び多分散性指数に加えて、光子相関分光法を用いる解析中に、完全光強度分布を得ることができる。これは、球状粒子の体積分布算出のために、更に粒子の屈折率及び懸濁媒体の屈折率と組み合わされることができる。体積分布は、所定寸法範囲の粒子に相当する粒子の合計体積の百分率を与える。体積平均寸法は、体積分布の平均に相当する粒子の寸法である。粒子の体積はその直径の3乗に比例するため、より大きな粒子に対しては、この分布は強度に基づく寸法分布よりも感度が低いである。即ち、体積平均寸法は、通常は、Z平均寸法よりも小さな値となる。ジルコニアゾルは、50ナノメートル以下、40ナノメートル以下、30ナノメートル以下、25ナノメートル以下、20ナノメートル以下又は15ナノメートル以下である体積平均寸法を典型的に有する。体積平均寸法は、分散指数の計算に使用される。
【0093】
別の態様では、複合材料の調製法が提供される。この方法は、上述のように非会合のジルコニア含有ナノ粒子を調製すること、及びその後有機マトリックス中にジルコニア含有ナノ粒子を懸濁又は分散させることを含む。当技術分野で周知の任意の適切な手段を、有機マトリックス中にジルコニア含有ナノ粒子を懸濁又は分散させるために用い得る。好適には、有機マトリックス材料中にジルコニア含有ナノ粒子を懸濁又は分散させるために用いられる任意の方法は、集塊又は凝集をもたらさない。
【0094】
いくつかの適用では、更なる表面改質を行うことなく、ジルコニア含有ナノ粒子を、有機マトリックス中に懸濁又は分散し得る。有機マトリックスは連続的熱水反応器からの排液に直接添加できる。代替的に、少なくともいくらかの水を除去する処理を行った後、少なくともいくらかのカルボン酸及び/又はそのアニオンを除去する処理を行った後、又は両方の処理後に、有機マトリックスを排液に加えることができる。添加される有機マトリックスは、多くの場合、後で重合され、及び/又は架橋されてポリマー材料を形成する、重合性組成物である。
【0095】
1実施例では、連続的熱水反応器の排液は、溶媒交換プロセスに付されることができる。水より高い沸点を有する有機溶媒が排液に加えられる。その後に水は、例えば、蒸留、回転式エバポレーターによる濃縮、オーブン乾燥、又は同種のものなどの方法により除去される。水の除去に用いられる条件に依存し、少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは除去され得る。有機マトリックスは、処理済排液に加えられることができる(即ち、溶媒交換プロセスに用いられた有機溶媒に懸濁されたジルコニア含有ナノ粒子に有機マトリックスが加えられる)。
【0096】
代替的に、水より高い沸点を有する有機マトリックスは、任意的な溶媒と共に排液に加えられることができる。水及び任意的な溶媒は、例えば、蒸留、回転式エバポレーターによる濃縮、オーブン乾燥、又は同種のものなどの方法により除去され得る。水及び任意的な溶媒を除去した条件に依存し、少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは除去され得る。
【0097】
別の実施例では、連続的熱水反応器からの排液中の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは、透析、膜分離法、又はイオン交換などのプロセスにより除去され得る。有機マトリックス及び任意的な有機溶媒は、処理済排液(例えば、透析、膜分離法、又はイオン交換により処理された排液)から、ほとんどの水を除去する前か、後のどちらかに添加され得る。有機マトリックス及び任意的な有機溶媒が水の除去前に加えられる場合、水の沸点よりも高い沸点を有する有機マトリックスが選ばれる。水は蒸留、回転式エバポレーターによる濃縮、又はオーブン乾燥などの方法を用いて除去し得る。任意的な有機溶媒は、通常は、水と共に除去される。代替的に、ジルコニア含有ナノ粒子を処理済排液から沈殿させるために処理済排液のpHを調整できる。沈殿したジルコニア含有ナノ粒子は、濾過又は遠心分離により回収され得る。いかなる残余の水も、濾過又は遠心分離されたジルコニア含有ナノ粒子と有機マトリックスを混合させる前、又は後に除去され得る。
【0098】
更に別の実施例では、ジルコニア−ゾルは、粉末を形成するために乾燥される。乾燥された粉末は水又は溶媒に懸濁又は分散される。代替的に、乾燥された粉末は任意的な溶媒を添加した、又は添加しない有機マトリックスに懸濁又は分散され得る。
【0099】
他の適用では、しかしながら、ジルコニア含有ナノ粒子は、有機マトリックス材料との相溶性を更に向上させるために、更に表面改質剤により処理される。表面改質剤は、化学式A−Bにより表されることができ、A基はジルコニア含有ナノ粒子の表面に付着する能力があり、及びBは相溶性基である。A基は、吸着、イオン結合の形成、共有結合の形成、又はそれらの組合せによって表面に付着することが可能である。B基は反応性でも、非反応性でもよく、多くの場合、有機溶媒、有機マトリックス材料、又は両方への相溶性(即ち、混和性)の特性をジルコニア含有ナノ粒子に与える傾向がある。例えば、溶媒が無極性である場合、通常はB基もまた無極性であるように選択される。好適なB基は、芳香族、脂肪族、又は芳香族と脂肪族の両方である直鎖又は分枝鎖炭化水素を含む。表面改質剤としては、限定はされないが、カルボン酸及び/又はそのアニオン、スルホン酸及び/又はそのアニオン、リン酸及び/又はそのアニオン、ホスホン酸及び/又はそのアニオン、シラン、アミン、及びアルコールが挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、表面改質剤jは、カルボン酸及び/又はそのアニオンであり、及び相溶性のB基はジルコニア含有ナノ粒子に極性の特性を与え得る。例えば、表面改質剤はポリアルキレンオキシド基カルボン酸及び/又はそのアニオンであってもよい。いくつかの実施形態では、カルボン酸の表面改質剤は以下の化学式のものである。
【0101】
C−[O−(CH−Q−COOH
この化学式中、Qは2価の有機連結基、xは1〜10の範囲の整数、及びyは1〜4の範囲の整数である。Q基は、多くの場合、アルキレン基、アルケニレン基、アリーレン、オキシ、チオ、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、又はそれらの組み合わせである。この化学式の代表的な例には、限定はされないが、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸(MEEAA)及び2−(2−メトキシエトキシ)酢酸(MEAA)が含まれる。他の代表的な例は、脂肪族又は芳香族無水物及びコハク酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、マレイン酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステル、及びグルタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルなどのポリアルキレンオキシドモノエーテルとの反応生成物である。
【0102】
更に他のカルボン酸表面改質剤は、無水フタル酸と水酸基を有する有機化合物との反応生成物である。適切な例としては、例えば、フタル酸モノ−(2−フェニルスルファニル−エチル)エステル、フタル酸モノ−(2−フェノキシ−エチル)エステル、又はフタル酸モノ−[2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチル]エステルが挙げられる。いくつかの実施例においては、水酸基を有する有機化合物は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、又はヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである。例としては、限定はされないが、コハク酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、マレイン酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、グルタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、フタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル、及びフタル酸モノ−(2−アクリロイル−ブチル)エステルが挙げられる。更に他のものとしては、モノ−(メタ)アクリルオキシポリエチレングリコールコハク酸エステル及び無水マレイン酸、無水グルタル酸、及び無水フタル酸から形成されるその同族体が挙げられる。
【0103】
他の実施例では、表面改質剤は、ポリカプロラクトン及び無水コハク酸との反応生成物である。
【0104】
他の実施形態では、表面改質剤はカルボン酸及び/又はそのアニオンであり、相溶性B基はジルコニア含有ナノ粒子に非極性の特性を与え得る。例えば、表面改質剤は、直鎖若しくは分枝状の芳香族基又は脂肪族炭化水素基を有するカルボン酸及び/又はそのアニオンであることができる。代表的な例としては、オクタン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0105】
更にほかの実施形態では、表面改質剤は、カルボン酸及び/又はそのアニオンであり、相溶性B基は重合性有機マトリックスに対して反応性であり得る(例えば、B基は重合性基を含む)。反応性カルボン酸表面改質剤(例えば、重合性基を持つカルボン酸)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、モノ−2−(メタクリルオキシエチル)サクシネート、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ジルコニア含有ナノ粒子に極性と反応性の両方の特性を与えられる有用な表面改質剤はモノ(メタクリルオキシポリエチレングリコール)サクシネートである。この材料は、照射硬化性アクリレート及び/又はメタクリレートの有機マトリックス材料に添加するのに特に好適である。
【0106】
例示的なシランとしては、限定はされないが、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、イソオクチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、及びヘキシルトリメトキシシランなどのアルキルトリアルコキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、及び3−(メタクリルオキシ)プロピルトリエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルトリアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、及び3−(アクリルオキシプロピル)メチルジメトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルアルキルジアルコキシシラン、3−(メタクリルオキシ)プロピルジメチルエトキシシランなどのメタクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン又はアクリルオキシアルキルジアルキルアルコキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトアルキルトリアルコキシルシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、及びp−トリルトリエトキシシランなどのアリールトリアルコキシシラン、ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリ−t−ブトキシシラン、ビニルトリス(イソブトキシ)シラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、及びビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シランなどのビニルシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどの3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、n−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG3TES)、n−(3−トリエトキシシリルプロピル)メトキシエトキシエトキシエチルカーバメート(PEG2TES)、及びSILQUEST A−1230などのポリエーテルシラン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0107】
ジルコニア含有ナノ粒子に表面改質剤を添加する任意の周知の方法を用い得る。表面改質剤は、ジルコニア含有ゾルから、少なくとも一部分のカルボン酸及び/又はそのアニオンが除去される前に又は後に添加できる。表面改質剤は、ジルコニア含有ゾルからの水の除去前に又は後に添加できる。有機マトリックスは表面改質後に又は表面改質と同時に添加され得る。
【0108】
1つの例示的な方法では、連続的熱水反応器の排液は、溶媒交換プロセスに付され得る。水よりも高い沸点を有する有機溶媒が排液に添加される。水は、例えば、蒸留、回転式エバポレーターによる蒸発、オーブン乾燥、又は同種のものなどの方法により除去され得る。水を除去するのに用いられた条件に依存し、少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンも除去され得る。表面改質剤は水の除去工程の前又は後に添加され得る。表面改質剤は、溶媒交換プロセスを用いるジルコニア含有ナノ粒子の有機溶媒への抽出を促進するように選択され得る。通常は、有機マトリックスは水の除去後に添加される。溶媒交換プロセスに用いられる有機溶媒は、多くの場合、有機マトリックスの添加後に、蒸留、回転式エバポレーターによる蒸発、オーブン乾燥、又は同種のものなどの方法を用いて除去される。代替的に、有機マトリックス、有機溶媒、及び付加的な表面改質剤は、連続的熱水反応器の排液に同時に加えられることができる。
【0109】
別の実施例では、粉末を形成するために連続的熱水反応器の排液は乾燥されることができる。乾燥された粉末は、表面改質剤が加えられた有機溶媒又は水中に懸濁又は分散されることができる。表面改質剤は液体媒体中へのジルコニア含有ナノ粒子の分散を促進するように選択される。
【0110】
代替的な実施例では、連続的熱水反応器の排液は、粉末を形成するために乾燥される前に表面改質剤により処理され得る。表面改質剤連続的熱水反応器の排液に添加され得る。表面改質剤はジルコニア含有ナノ粒子の有機マトリックス中での分散を促進するように選択される。処理済排液はその後粉末まで乾燥される。乾燥された粉末は有機マトリックス中に懸濁又は分散され得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、水を主成分とする媒体の少なくとも一部分を除去するために、熱水反応器からの排液は濃縮される(しかし粉末までは乾燥されない)。この濃縮プロセスは、多くの場合、少なくとも一部分のカルボン酸及び/又はそのアニオンを除去する。任意に、濃縮物中の追加的な溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは透析、膜分離法、又はイオン交換などの処理により除去し得る。濃縮され、及び任意に処理されたジルコニア含有ゾルは、表面改質剤及び任意的な有機溶媒と混合され得る。表面処理後、表面が改質されたジルコニア含有ナノ粒子は有機マトリックスと混合され得る。任意的な有機溶媒及び残存する水は、有機マトリックスの添加前又は後に除去され得る。代替的に、濃縮されたジルコニア含有ゾルは、任意的な有機溶媒の存在下に有機マトリックス及び表面改質剤の両方と混合され得る。任意的な有機溶媒及び残存する水は表面改質後に除去され得る。
【0112】
別の実施形態では、水を主成分とする媒体の少なくとも一部分を除去するために、熱水反応器からの排液は濃縮される(しかし粉末までは乾燥されない)。この濃縮プロセスは、多くの場合、少なくとも一部分のカルボン酸及び/又はそのアニオンを除去する。任意に、濃縮物中の追加的な溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは透析、膜分離法、又はイオン交換などの処理により除去し得る。濃縮され、及び任意に処理されたジルコニア含有ゾルは、表面改質剤及び任意的な有機溶媒と混合され得る。表面処理後、粉末を形成するために混合物は乾燥され得る。この表面が改質されたジルコニア含有ナノ粒子粉末は有機マトリックスと混合され得る。
【0113】
更に別の実施例では、連続的熱水反応器からの排液中の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンは、透析、膜分離法、又はイオン交換などのプロセスにより除去され得る。表面改質剤は処理済排液(例えば、イオン交換、膜分離法、又は透析を用いて処理された排液)に直接添加され得る。任意に、表面改質剤の水相への溶解性を増加させるために、極性共溶媒を加え得る。適切な極性共溶媒としては、例えば、1−メトキシ−2−プロパノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、N,N−ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン、又は同種のものなどの水混和性の有機化合物が挙げられる。有機マトリックスは、ほとんどの水及び任意的な極性共溶媒の除去前又は後のどちらかに添加できる。水及び任意的な極性共溶媒は、有機マトリックスがより高い沸点を有する場合には、例えば、蒸留、回転式エバポレーターによる蒸発、又はオーブン乾燥により除去し得る。pHを調整することにより、表面が改質されたジルコニア含有ナノ粒子を沈殿させて水及び任意的な極性共溶媒を除去することもできる。代替的に、表面改質剤はジルコニア含有ナノ粒子の極性を変化させて、表面が改質されたジルコニア含有ナノ粒子の沈殿をもたらすことができる。沈殿したジルコニア含有ナノ粒子は、液相から濾過又は遠心分離により分離できる。任意の残余の水及び任意的な共溶媒は、濾過又は遠心分離されたジルコニア含有ナノ粒子と有機マトリックスの混合の前又は後のどちらかに除去できる。
【0114】
表面改質反応は室温(例えば、20℃〜25℃)又はより高い温度(例えば、最大約95℃)で生じることができる。表面改質剤がカルボン酸などの酸の場合、ジルコニア含有ナノ粒子は、通常は室温で表面改質され得る。表面改質剤がシランの場合、ジルコニア含有ナノ粒子は、通常は室温より高い温度で表面改質される。
【0115】
有機マトリックスは、通常はポリマー材料又は重合性基を有する単量体若しくはオリゴマーなどのポリマー材料の前駆体を含む。任意の適切な技術が、ジルコニア含有ナノ粒子と有機マトリックスの混合に使用できる。例えば、有機マトリックスがポリマー材料の前駆体の場合、ジルコニア含有ナノ粒子は重合反応に先立って添加できる。ポリマー材料が熱可塑性材料の場合、ポリマー材料及びジルコニア含有ナノ粒子は、プロセス射出、製粉、又はブラベンダー混合(Brabender mixing)などのプロセスを用いて混合できる。多くの場合、前駆体ポリマー材料を含む複合材料は、重合の前に成形又は被覆される。
【0116】
モノマーの代表的な例としては、限定はされないが、(メタ)アクリレート、スチレン、エポキシドなどが挙げられる。反応性オリゴマーの代表的な例としては、限定はされないが、(メタ)アクリレート化されたポリエステル、(メタ)アクリレート化されたポリウレタン、又はアクリリックが挙げられる。ポリマー材料の代表的な例としては、限定はされないが、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、及びポリイミドが挙げられる。
【0117】
有機マトリックス中にジルコニア含有ナノ粒子懸濁又は分散させるための1つの例示的なプロセスは、蒸留又は回転式エバポレーターによる蒸発などの方法を用いて熱水反応器からの排液を約40%固体まで濃縮することを含む。その後共溶媒及び表面改質剤が濃縮物に添加される。有機マトリックスの添加後、共溶媒、水、及び少なくとも一部分の溶解されたカルボン酸及び/又はそのアニオンが除去される。より具体的な実施例では、表面改質剤はポリアルキレンオキシド基を有するカルボン酸などのカルボン酸であり、及び有機マトリックスは少なくとも1つの(メタ)アクリレートの反応生成物である。
【0118】
有機マトリックス中にジルコニア含有ナノ粒子を懸濁又は分散させるいくつかのより特定の方法では、ジルコニア含有ナノ粒子はシラン表面改質剤により処理される。シラン表面改質剤(複数のものを含む)の添加に先立ち、通常は、ゾル中のカルボン酸及び/又はそのアニオンは、水による希釈に次いで、イオン交換、透析、膜分離法、又は濃縮(乾燥)などの方法により減少させられるか又は除去される。シラン表面改質剤はゾルの形状のジルコニア含有ナノ粒子と混合される。いくつかの方法では、2つ以上のシラン表面改質剤が添加される。ジルコニア含有ゾルは、多くの場合、範囲2〜5の範囲のpHを有し、任意的に混和可能な有機溶媒が存在してよい。生成する混合物は、多くの場合、3〜16時間、80℃〜90℃で加熱されるが、他の時間及び温度も用いることができる。
【0119】
冷却後、混合物は希釈されたアンモニア水溶液に加えられる。他の塩基性材料をアンモニア溶液の代替物として使用できる。塩基への混合物の添加は、通常はジルコニア含有ナノ粒子の沈殿をもたらす。この塩基は、シランにより処理されたジルコニア含有ナノ粒子表面から、付着している(例えば、吸着された)カルボン酸及び/又はそのアニオンの除去を促進すると考えられる。それに次ぐ固体の濾過及び洗浄は、更なる酸及び/又はそのアニオンの除去を可能とする。濾過に次いで、シランにより処理されたジルコニア含有ナノ粒子は溶媒中に分散され、次いで溶媒交換を経て樹脂内に包含される。代替的に、濾過により得られる固体は、粉末まで乾燥された後に、樹脂中に分散又は懸濁される。
【実施例】
【0120】
これらの実施例は、例示のためだけのものであり、及び添付の特許請求の範囲を限定することを意味しない。本明細書の実施例及びその他の部分におけるすべての部、百分率、比などは特に注記がない限り、重量による。使用される溶媒及び他の試薬は特に断りのない限り、シグマ−アルドリッチ社(Sigma-Aldrich Company);(ウイスコンシン州ミルウオーキー(Milwaukee))から入手された。
【0121】
【表1−1】

【0122】
【表1−2】

【0123】
試験方法
光子相関分光法(PCS)
粒子寸法測定は、633ナノメーターの波長を有する赤色レーザーを有するように装備されたZeta Sizer−Nano Series、Model ZEN3600装置を用いて行われた。この装置はマルバーン・インスツルメンツ社(Malvern Instruments Inc.)(マサチューセッツ州ウエストボロー(Westborough))から市販品として入手可能である。調製されたままに分析される試料は、使い捨ての1センチメーター四方のポリスチレン・クベットの中に、10〜15mmmの液体深さまで流し込まれた。クベットは装置内に収納され、25℃で平衡化された。装置のパラメーターは以下のとおりである:分散性屈折率1.330、分散性粘度0.8872mPa−秒、材料屈折率2.10、及び材料吸収値0.10ユニット。その後自動寸法測定操作が実行される。粒子寸法の最良の測定を得るために、装置は自動的にレーザー光の位置及び減衰器の設定を調整する。
【0124】
ZEN3600装置は、レーザーで試料を照射し、粒子から散乱された光の強度変動を173度の角度で解析した。光子相関分光法(PCS)の方法が装置により粒子寸法算出のために使用された。PCSは液体中の粒子のブラウン運動の測定のために変動する光強度を用いる。その後、測定された速度で運動する球体の直径である粒子寸法が算出された。
【0125】
粒子から散乱された光の強度は、粒子直径の6乗に比例する。Z平均寸法又はキュムラント平均は強度変動から計算される平均であり、この計算は粒子が単峰性、単分散性、及び球状であるという仮定に基づいている。変動する光強度から計算される関連する関数は、強度分布及びその平均である。強度分布の平均は粒子が球状であるという仮定に基づき計算される。Z平均寸法及び強度分布平均の両方とも、より小さい粒子に対するよりも、より大きな粒子に対して、より敏感である。
【0126】
体積分布は、所定寸法範囲の粒子に相当する粒子の合計体積の百分率を与える。体積平均寸法は、体積分布の平均に相当する粒子の寸法である。粒子の体積直径の3乗に比例するため、この分布はより大きな粒子に対しては、Z平均寸法よりも感度が低い。したがって体積平均寸法は、通常は、Z平均寸法よりも小さな値となる。
【0127】
結晶構造及び寸法(XRD解析)
乾燥されたジルコニア試料を瑪瑙乳鉢及び乳棒を用いて手ですりつぶした。へらにより無制限量の試料を、顕微鏡のスライド・ガラスの両面接着テープの張られている部分に塗布した。へらの刃により試料を接着剤に対して強圧することにより試料はテープ上の接着剤に押し付けられた。へら刃の縁部で試料領域をこすることにより過剰の試料を除去し、粒子の薄い層を接着剤に付着させた。こすった後に残る軽く接着された材料は、顕微鏡のスライドを硬い表面に力強くコツコツ叩くことにより除去された。同様の様式で、鋼玉石(リンデ(Linde)1.0μmアルミナ磨き粉、ロット番号C062、ユニオン・カーバイド(Union Carbide)(インディアナ州インディアナポリス、(Indianapolis))が調製され、X線回折計の計器広がりの較正に用いられた。
【0128】
X線回折スキャンは、反射配置、銅Kα照射及び散乱照射の比例検出器レジストリを有するフィリップス(Philips)垂直回折計を用いて得られた。回折計に、可変入射ビームスリット、固定回折ビームスリット、及びグラファイト回折ビームモノクロメータを取り付けた。調査スキャンは0.04度の刻み幅及び8秒間のドゥエル時間を用いて25〜55度2θ(2θ)まで記録された。X線発生器の設定は、45kV及び35mAを用いた。鋼玉石標準のデータは、いくつかの個別の鋼玉石のスライドの3つの別々の領域で収集された。同様に、データは薄層試料のスライドの3つの別々の領域で収集された。
【0129】
観察された回折ピークは、回折データ国際センター(International Center for Diffraction Data(ICDD))の粉末回折データベース(sets 1〜47、ICDD、ペンシルベニア州ニュートン・スクエア(Newton Square))に収納された参照回折パターンとの比較により同定された。試料の回折ピークは、ジルコニアの立方/正方(C/T)か、又は単斜(M)形態のいずれかに帰属された。立方相の(111)ピーク及び正方相の(101)ピークは分離できなかったため、これらの相は一緒に記録された。各ジルコニア形態の量は、相対的に評価され、最も強い回折ピークを有するジルコニアの形態には100の相対強度値が割り当てられた。残った結晶性ジルコニア形態の最強の線は、最も強い線を基準としてスケール変更され、1〜100の値が与えられた。
【0130】
鋼玉石により観察された回折最大のピーク幅は、プロファイル適合により測定された。平均鋼玉石ピーク幅及び鋼玉石ピーク位置(2θ)の間の関係は、鋼玉石のテスト範囲内の任意のピーク位置における計器幅の評価に用いられる連続的関数を生成させるために、多項式をこれらのデータに適合させて決定された。ジルコニアに起因して観察された回折極大値のピーク幅は観察された回折ピークのプロファイル適合により測定された。以下のピーク幅は、存在することが認められたジルコニア相に基づき評価した。
【0131】
立方晶系/正方晶系(C/T):(111)
単斜晶系(M):(−111)、及び(111)
α1及びKα2波長成分に伴うピアソン(Pearson)VIIピーク形状モデル、及び線形バックグラウンドモデルが全ての測定に用いられた。幅は、度の単位を有するピークの半値全幅(FWHM)として算出された。プロファイルあてはめは、JADE回折ソフトウェア一式の機能を使用して達成した。試料ピーク幅は、同じ薄さの層試料マウントについて得られた3つの異なるデータ収集に対して評価された。
【0132】
試料のピークは、鋼玉石機器較正からの機器幅値の補間により機器の広がりに対して補正され、ラジアンの単位に変換されたピーク幅を補正した。シェラー(Scherrer)式が、一次結晶寸法を計算するために使用された。
【0133】
晶子寸法(D)=Kλ/β(cosθ)
シェラー(Scherrer)式において、Kは形態因子(ここでは0.9)、λは波長(1.540598Å)、βは計器幅について補正後の算出されたピーク幅(ラジアン単位)、及びθはピーク位置の半値(散乱角)に等しい。βは[算出されたピークFWHM−計器幅](ラジアンに変換されている)に等しく、ここでFWHMは半値全幅である。立方/正方(C/T)平均晶子寸法は、(111)ピークを用いた3回の測定の平均として測定された。即ち、
C/T平均晶子寸法=[D(111)領域1+D(111)領域2+D(111)領域3]/3。
【0134】
単斜(M)晶子寸法は、(−111)ピークを用いる3回の測定及び(111)ピークを用いる3回の測定の平均として測定された。
【0135】
M平均晶子寸法=[D(−111)領域1+D(−111)領域2+D(−111)領域3+D(111)領域1+D(111)領域2+D(111)領域3]/6
立方晶系/正方晶系(C/T)及び単斜晶相(M)の重量平均を計算した。
【0136】
重量平均=[(%C/T)(C/T寸法)+(%M)(M寸法)]/100
この式において、%C/TはZrO粒子の立方及び正方晶子含有率が寄与する結晶化度の百分率に等しく;C/T寸法は立方及び正方晶子の寸法に等しく、%MはZrO粒子の単斜晶子が寄与する結晶化度の百分率に等しく、及びM寸法は単斜晶子の寸法に等しい。
【0137】
分散インデックス
分散インデックスは、光子相関分光法を用いて測定された体積平均寸法をXRDにより測定された加重平均晶子寸法で割ったものに等しい。
【0138】
多分散性指数
多分散性指数は、粒子寸法分布の幅の量であり、光子相関分光法を用いる強度分布のキュムラント解析においてZ平均寸法と共に算出される。0.1以下の多分散性指数の値に対しては、分布の幅は狭いと見なされる。0.5を超える値に関しては、分布の幅は広いと見なされ、粒子寸法を完全に特徴付けるためにZ平均寸法を信頼することは思慮が足りないことになる。代わりに、強度又は体積分布などの分布分析を用いて粒子を特徴付けるべきである。Z平均寸法及び多分散性指数の計算はISO国際標準文書13321:1996Eに定義されている。
【0139】
固体重量%
固体重量%は、3〜6グラムの重量の試料を120℃で30分間乾燥することにより求めた。固体重量%は次式を用いて湿潤試料の重量(即ち、乾燥前の重量、重量湿潤)及び乾燥試料の重量(即ち、乾燥後の重量、重量乾燥)から算出できる。
【0140】
固体重量%=100(重量乾燥)/重量湿潤
熱重量分析法(TGA)
ジルコニウムを含む中間体のパーセント転化率と無機酸化物の重量パーセントは、TAインスツルメント(TA Instruments)(デラウェア州ニューカッスル(New Castle))からの型式2950 TGAを使用し熱重量分析法により求めた。
【0141】
分析下でのジルコニウムを含む試料の変換率は、以下の式により与えられる
%変換=100(A−B)/(A−C)
ここでAは原材料のパーセント重量損失、Bは分析下でのジルコニウムを含む試料のパーセント重量損失、及びCは完全に変換されことが判明しているか、そう信じられる、ジルコニア含有標準材料のパーセント重量損失である。
【0142】
パーセント重量損失を決定するために、原材料の試料、分析下でのジルコニア含有試料の試料、及びジルコニア含有標準材料のそれぞれがオーブン中で、120℃で30分間乾燥された。それぞれの試料は3〜6gの範囲であった。それぞれの乾燥された試料(例えば、30〜60mg)はTGA中で85℃で平衡化された。その後、温度は20℃/分の速度で200℃まで昇温され、200℃で20分間保持され、20℃/分の速度で900℃まで昇温され、及び900℃で20分間保持された。有機材料を200℃〜900℃で揮発させ、ZrO及びYなどの無機酸化物だけを残した。パーセント重量損失は、以下の式を使用して計算した。
【0143】
%重量損失=100(%−重量200C−%−重量900C)/%−重量900C
%−重量200Cは、各試料の200℃での重量(重量200C)及び分析に用いられた各乾燥試料の重量(重量乾燥)(例えば、分析前に120℃で乾燥された試料)から計算された。
【0144】
%重量200C=100(重量200C)/重量乾燥
%−重量900Cは、各試料の900℃での重量(重量900C)及び分析に用いられた各乾燥試料の重量(重量乾燥)(例えば、分析前に120℃で乾燥された試料)から計算された。
【0145】
%重量900C=100(重量900C)/重量乾燥
無機酸化物重量%は、900℃での固体重量%及び酸化物重量%から計算された。すなわち、無機酸化物重量パーセントは、以下の式を使用して計算することができる。
【0146】
無機酸化物重量%=(固体重量%)(%重量900C)/100
屈折率
屈折率は、ミルトンロイ社((Milton Roy Co.)、ペンシルベニア州イビランド(Ivyland))から市販のアッベ屈折計(Abbe refractometer)を使用して測定した。
【0147】
粘度測定:バブル時間法
試料がビーズ様の縁を持つPyrex試験管(13×100mmダウ・コーニング(Dow Corning)9800 13)に加えられた。この管には5.05cm(2インチ)離れた2つの位置に印がつけられていた。最初の印は管の底部から3.725cm(1.25インチ)の位置にあり、及び2番目の印は管の底部から8.255cm(3.25インチ)の位置にあった。試料は管の2番目の印に等しい高さまで注ぎ込まれた。次いで管はコルク(#3)、次いでビニル絶縁テープにより密封された。試料を含む管は40℃(104°F)に設定された水浴に入れられ、水浴の温度に平衡化された。平衡化後、管は水浴から取り除かれ、泡を管の底部にもたらすために上下を反転させた。次いで、2度目の管の反転を行った。ストップ・ウオッチを用いて、泡が1番目の印から2番目の印の間を通過する時間の長さを測定した。時間を記録後に、平衡化のために管を試料と共に水浴に入れた。測定は3回繰り返され平均が算出された。より長い時間は、より高い粘度に対応する。
【0148】
誘導結合プラズマ発光分光法
原材料及びさまざまな他の試料のナトリウム及びカルシウム量の測定に誘導結合プラズマ発光分光法が用いられた。液体試料が、脱溶媒、脱会合、及び励起が生じる高温アルゴン・プラズマ内に吸入された。各元素は、励起状態からの発光に伴う、確立した及び特徴的な波長を有する。発光強度は、通常は、元素の濃度に比例する。元素の濃度は、その放射の強度を既知の濃度の標準溶液の発光と比較することにより、計算された。
【0149】
酢酸ジルコニウム溶液(0.20〜0.3g)を遠心分離管内に正確に秤量した。脱イオン水(40mL)及び塩酸(EMD OMNITRACEの2mLの濃塩酸(37−38%))が加えられた。次いで、溶液は50mLの合計体積まで脱イオン水で希釈された。それぞれの試料は2通り調製された。塩酸及び水のみを含む2つのブランクも調製された。試料及びブランクはICP発光分光器(パーキン・エルマー・オプチマ(Perkin Elmer Optima)4300(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)、コネチカット州シェルトン(Shelton)より入手)により分析された。装置は、少なくともナトリウム及びカルシウムを含む、複数元素標準材料を用いて較正された。ハイ・ピューリティー・スタンダーズ(High Purity Standards)、サウスカロライナ州チャールストン(Charleston)から入手できる溶液から得られたこの標準材料は、0.2ppm、0.5ppm、及び1.5ppm(ミリリットル当たりミリグラム)の濃度を有していた。結果は出発材料の酢酸ジルコニウム溶液中のジルコニウム量に正規化された。
【0150】
熱水反応器システム
熱水反応器A
この反応器は206℃に加熱されたピーナッツ油の浴に浸漬された30メートル(100フィート)のステンレス鋼管(0.64cm(0.25インチ)の外部直径、及び0.089cm(0.035インチ)の管厚を有する)から調製された。材料を冷却するための、氷水浴に浸漬された追加的な約3m(10フィート)のステンレス鋼管のコイルが反応器管に続いている。このステンレス鋼管は0.64cm(0.25インチ)の外部直径、及び0.089cm(0.035インチ)の管厚を有する。2758kPa(400psi)の出口圧を維持するために背圧調整弁を用いた。
【0151】
熱水反応器B
この反応器は15m(50フィート)のステンレス鋼の編組円滑管ホース(Braided Smooth Tube Hose)(サンゴバン・パフォーマンス。プラスチックス(Saint-Gobain Performance Plastics)、ミシガン州ビーバートン(Beaverton)から入手したDuPont T62 Chemfluor PTFE,0.64cm(1/4インチ)I.D.,管壁厚0.102cm(0.040インチ))から調製した。即ち、反応器の内部はPTFEである。この管、206℃に加熱されたピーナッツ油の浴に浸漬された。材料を冷却するための、氷水浴に浸漬された追加的な約3m(10フィート)のステンレス鋼管のコイルが反応器管に続いている。このステンレス鋼管は0.64cm(0.25インチ)の外部直径及び0.089cm(0.035インチ)の管厚を有する。2758kPa(400psi)の出口圧を維持するために背圧調整弁を用いた。
【0152】
準備実施例1−フタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステル(HEAP)
無水フタル酸(112.1g)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(87.9g)、及びトリエチルアミン(0.44g)を丸底フラスコ中で混合した。液体反応混合物を通じて少量の乾燥空気を泡立てた。反応混合物を混合し、75℃に加熱し、同温度で6時間保持した。生成物を室温まで冷却した。生成物がフタル酸モノ−(2−アクリロイルオキシ−エチル)エステルであることを確認するためにNMRを用いた。時間が経つにつれ生成物は部分的に結晶化した。生成物を1−メトキシ−2−プロパノールと混合して50重量%の溶液を得た。
【0153】
準備実施例2−マスター・バッチ1
イットリウム酢酸塩(96.6g)を酢酸ジルコニウム溶液(溶液A)(3500g)中に溶解して酢酸ジルコニウム及びイットリウム酢酸塩のマスター・バッチを作成した。このマスター・バッチは37.4重量%の固体(16.61重量%のZr及び0.736重量%のY)を含んでいた。
【0154】
(実施例1)
マスター・バッチ1(1000g)及び脱イオン水(2000g)を混合し12重量%の固体の原材料(5.33重量%のZr、0.236重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aをへ送り込まれた。透明な結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。実施例1のXRDスキャンが図3に示されている。体積分布は光子相関分光法を用いて決定され、図2(ダイアモンド)に示されている。
【0155】
(実施例2)
マスター・バッチ1(777.8g)及び脱イオン水(2722g)を混合し8重量%の固体の原材料(3.55重量%のZr、0.157重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。かすかに濁った、結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。
【0156】
(実施例3)
酢酸ジルコニウム(溶液A)(645.5g)及び脱イオン水(2354.5g)を混合して8重量%の固体の原材料(3.55重量%のZr、0.0重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。かすかに濁った、結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。
【0157】
(実施例4)
マスター・バッチ1(1000g)及び脱イオン水(2000g)を混合し12重量%の固体の原材料(5.33重量%のZr、0.236重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。透明な結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。
【0158】
(実施例5)
脱イオン水(1294g)を酢酸ジルコニウム(溶液A)(900g)と混合した。イットリウム酢酸塩(24.2g)を加え、及び混合物を約12時間撹拌し、15重量%の固体の原材料(6.66重量%のZr、0.295重量%のY)を調製した。原材料は13.77mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Bへ送り込まれた。透明な結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。
【0159】
(実施例6)
脱イオン水(1378.2g)を酢酸ジルコニウム(溶液A)(1500g)と混合した。イットリウム酢酸塩(40.35g)を加え、及び混合物を約12時間撹拌し、19重量%の固体の原材料(8.44重量%のZr、0.374重量%のY)を調製した。原材料は13.77mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Bへ送り込まれた。透明な結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。
【0160】
比較例1
マスター・バッチ1(486g)及び脱イオン水(3014g)を混合し5重量%の固体の原材料(2.22重量%のZr、0.098重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。白色結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。大きな凝集寸法が沈降した沈殿にも生じた。体積分布は光子相関分光法を用いて決定され、図2(正方形)に示されている。
【0161】
比較例2
マスター・バッチ1(486g)及び脱イオン水(3014g)を混合し5重量%の固体の原材料(2.22重量%のZr、0.098重量%のY)を得た。原材料は14.9mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。白色結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。大きな凝集寸法が沈降した沈殿にも生じた。
【0162】
比較例3
マスター・バッチ1(208.3g)及び脱イオン水(2791g)を混合し2.5重量%の固体の原材料(1.11重量%のZr、0.049重量%のY)を得た。原材料は18.6mL/分の流速で、ポンプにより熱水反応器Aへ送り込まれた。濁った結晶性ZrOを含むゾルが生じた(表1、2、及び3を参照のこと)。大きな凝集寸法が沈降した沈殿にも生じた。
【0163】
【表2】

【0164】
【表3】

【0165】
【表4】

【0166】
上記のデータは、高濃度の溶解された酢酸ジルコニウムを含む原材料の熱水処理が凝集しないZrO粒子をもたらし、低濃度では凝集するという予期されない結果を示している。X線データ(表3)は、全ての濃度が6〜10nmの範囲のジルコニア結晶をもたらすことを確認した。イットリウム(4重量%の酸化物)を含む全ての濃度も80%以上が立方/正方相であるジルコニアをもたらした。
【0167】
X線データは実施例及び比較例の両方が同様の晶子寸法(1次粒子の寸法)を持つことを示している。実施例1のXRDスキャンは図3に示される。低濃度の比較例における凝集度はゾルの外観から確認された(表1)。比較例は大きな凝集体寸法に起因して濁って白色である。比較例1、2及び3は、再び大きな凝集体寸法に起因して顕著な量の沈降固体を有する。表2は比較例1、2、及び3では、より高い固体濃度で形成された実施例のものよりも、Z平均粒子寸法がはるかに高いことを示している。凝集は図2に示される粒子寸法分布において更に見られる。体積平均分布は、実施例1(ダイアモンド)に比較して比較例1(正方形)での凝集を明白に示す。
【0168】
(実施例7A〜7D)
ジルコニア含有ゾルが異なる量のナトリウムを用いて作成された。実施例5に用いられた原材料はさまざまな量のNaClでスパイクされた。2.5重量%の固体を含む溶液を調製するためにNaClは脱イオン水に溶解された。加えられた2.5重量%NaCl溶液の量は表4に示される。実施例5のナトリウム含量は、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP)を用いて測定された。実施例7A〜7Dのナトリウム含量は、加えられたナトリウムの量に基づいて計算された。ナトリウム含量は、各試料中のナトリウムのミリグラム数をジルコニウムのグラム数で割ったものとして表される。ICPの検出限界は1gのジルコニウム当たり0.023ミリグラムのナトリウムである。
【0169】
熱水反応の原材料は15重量%の固体(6.66重量%のZr、0.295重量%のY)を含んでいた。ジルコニア含有ゾルは、実施例5と同様の操作手順を用い、以下の表4に示される分量により、熱水反応器B内で207℃温度及び35分間の滞留時間を用いて作成された。
【0170】
【表5】

【0171】
加熱前に原材料に添加されるナトリウムカチオン量が増すほど、生成するジルコニア含有ゾル(表5にまとめられている)の粒子寸法が増大することを示している。ゾル水溶液の透明度も、原材料に添加されるナトリウムカチオンにより影響を受ける。ナトリウム量が少ないほど透明度はより高くなる。
【0172】
【表6】

【0173】
(実施例8A〜8E)
実施例5及び7(実施例5、実施例7A、実施例7B、実施例7C、及び実施例7D)で得られたジルコニア含有ゾル(28.78重量%のZr、1.27重量%のY)は回転式エバポレーターによる濃縮により40.5重量%ジルコニアまで濃縮された。ジルコニア粒子は表面処理され、以下の実施例8A〜8Eに述べられるように、53重量%ZrO2が硬化性樹脂に組み込まれた。
【0174】
実施例8Aは実施例5から調製された。実施例5(50.01g、41.89重量%ZrO2)からのジルコニア含有ゾル、MEEAA(2.46g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(35g)が500mLの丸底フラスコ内に、記載された順で充填された。準備実施例1からのHEAP(50重量%HEAPの1−メトキシ−2−プロパノール溶液で4.26g含まれる)、マレイン酸(0.067g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(6.01g)が互いに混合され、マレイン酸を溶解させるために混合物が加熱された。次いで、この溶液は上記のフラスコに充填された。PROSTABB 5198(5重量%の脱イオン水に0.29g)及びResin 1(13.98g、1.535の屈折率)が、次いでフラスコに充填された。揮発性材料は回転式エバポレーターによる蒸発により除去され、約53重量%のZrOを含む硬化性アクリレート樹脂混合物が得られた。
【0175】
試料8B〜8Eはそれぞれ実施例7A〜7Dのジルコニア含有ゾルから出発して同様の方法で作成された。それぞれのゾルについて、そのナトリウム含量は上記の通りであり、及び樹脂混合物の粘度はバブル時間法により測定された。
【0176】
表6は実施例8A〜8Eの屈折率を示している。屈折率は非充填樹脂(即ち、ジルコニアなし)の1.535から、充填樹脂(即ち、ジルコニアを含む)の約1.645まで増加した。表6はZrO樹脂分散の粘度が原材料中のナトリウムカチオン量に依存することも示している。即ち、粘度はナトリウムカチオンの濃度とともに増加した。
【0177】
【表7】

【0178】
(実施例9A〜9D)
ジルコニア含有ゾルが異なる水準のカルシウムで作成された。実施例5で用いられた原材料さまざまな量のCaClでスパイクされた。2.5重量%の固体の溶液を調製するためにCaClが脱イオン水に溶解された。添加された2.5重量%CaCl溶液の量は表7に示されている。
【0179】
熱水反応器内の反応には15重量%の固体(6.66重量%のZr、0.295重量%のY)を含む原材料が用いられた。ジルコニア含有ゾルは実施例5と同様の操作手順で、以下の表7の分量により、熱水反応器B内で207℃の温度で、35分間の滞留時間で行われた。実施例9Aのカルシウム含量はICPにより測定されたが、検出限界である1gのジルコニウムに対して0.052mgのカルシウム以下であった。この量は表7では0と記載されている。実施例9B〜9Dのそれぞれのカルシウム含量は、添加された量に基づいて算出された。
【0180】
【表8】

【0181】
生成するゾルは、加熱前に原材料に添加されたカルシウムカチオンの量が増加するほど、より大きな粒子寸法を示した(表8)。ゾル水溶液の粘度と透明度も、原材料へのカルシウムカチオンの添加により影響された。より低いカルシウム水準は、より低い水溶液粘度、及びより高い透明性をもたらした。
【0182】
【表9】

【0183】
(実施例10A〜10D)
実施例9A〜9Dのジルコニア含有ゾルが回転式エバポレーターにより40.5重量%ジルコニア(28.78重量%のZr、1.27重量%のY)にまで濃縮された。ジルコニア粒子は表面処理され、以下の実施例10A〜10Dに記載されるように53重量%のZrO2として硬化性樹脂に組み込まれた。
【0184】
実施例10Aは実施例5から調製された。実施例5から濃縮されたジルコニア含有ゾル(50.01g、41.89重量%のZrO2)、MEEAA(2.46g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(35g)が500mLの丸底フラスコに記載されている順で充填された。準備実施例1よりのHEAP(4.26g、50重量%1−メトキシ−2−プロパノール溶液)、マレイン酸(0.067g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(6.01g)が混合されマレイン酸を溶解させるために加熱された。次いでこの溶液が上記のフラスコに充填された。次いでPROSTABB 5198(0.29g、5重量%脱イオン水溶液)及びResin 1(13.98g、1.535の屈折率)がこのフラスコに充填された。回転式エバポレーターによる濃縮により揮発性材料を除去して、約53重量%のZrOを含む硬化性アクリレート樹脂混合物が得られた。
【0185】
試料10B〜10Dはそれぞれ実施例9B〜9Dのジルコニア含有ゾルから出発して同様の方法で作成された。樹脂混合物の粘度はバブル時間法により測定された。
【0186】
表9は、全試料の屈折率が、非充填樹脂の1.535から充填システムの約1.645まで増加したことを示している。表9は、ZrO樹脂分散の粘度が原材料中のカルシウムカチオン量に依存することも示している。
【0187】
【表10】

【0188】
実施例11A〜11C及び11A−IER〜11C−IER
実施例11Aは、酢酸ジルコニウム溶液Bを用いてイオン交換処理なしで調製した。脱イオン水(1213g)を酢酸ジルコニウム溶液B(900g)に加えて、15重量%の固体の原材料を得た。イットリウム酢酸塩(24.03g)を加え、混合物を約12時間撹拌した。溶液をポンプにより13.77mL/分の流速で熱水反応器Bを通過させた。管状反応器206℃に加熱された浴に浸漬した。透明な、結晶ZrO2ゾルが生成された。
【0189】
実施例11A−IERは酢酸ジルコニウム溶液Bを用いてイオン交換処理を行って調製した。脱イオン水(1000g)を酢酸ジルコニウム溶液B(900g)に加えた。イオン交換樹脂(水素型のAMBERLITE IR120)(25g)を加えた。この混合物を一晩撹拌した。イオン交換樹脂は濾過により除去された。イットリウム酢酸塩(24.21g)及び脱イオン水(285g)を加え混合物約12時間撹拌した。溶液をポンプにより13.77mL/分の流速で熱水反応器Bを通過させた。管状反応器206℃に加熱された浴に浸漬した。透明な、結晶ZrO2ゾルが生成された。
【0190】
実施例11B及び11B−IERは酢酸ジルコニウム溶液Cから出発し、実施例11C及び11C−IERは酢酸ジルコニウム溶液Aから出発して同様の操作手順が用いられた。データは以下の表10に与えられている。各原材料中のナトリウム及びカルシウムの測定にはICPを用いた。表10は、イオン交換樹脂がナトリウム及びカルシウムイオンを除去することを示している。これは酢酸ジルコニウム溶液B及びCからの原材料の調製にイオン交換が用いられる場合に、生成するゾルの粒子寸法が減少することも示している。出発原料のジルコニウム溶液Aが高い量の不純物を含まず、したがって大きな差が期待されないことに注意すべきである。
【0191】
【表11】

【0192】
実施例12A〜12C及び12A−IER〜12C−IER
実施例11A、11A−IER、11B、11B−IER、11C、及び11C−IERのジルコニア含有ゾルが回転式エバポレーターにより40.5重量%ジルコニアにまで濃縮された。ジルコニア粒子は表面処理され、以下に記載される硬化性樹脂に53重量%のZrO2として組み込まれた。
【0193】
実施例12Aは実施例11Aから調製された。実施例11Aから濃縮されたZrOゾル(50.06g、42.14重量%ZrO)、MEEAA(2.48g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(35g)が500mLの丸底フラスコに記載されている順で充填された。準備実施例1からのHEAP(4.29g、50重量%の1−メトキシ−2−プロパノール溶液)、マレイン酸(0.067g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(6.01g)が混合され、マレイン酸を溶解させるために加熱された。次いで、この溶液が上記のフラスコに充填された。次いで、PROSTABB 5198(0.30g、5重量%脱イオン水溶液)及びResin 1(14.01g)がこのフラスコに充填された。回転式エバポレーターによる濃縮により揮発性材料を除去して、約53重量%のZrOを含む硬化性アクリレート樹脂混合物が得られた。
【0194】
実施例12A−IER、12B、12B−IER、12C、及び12C−IERそれぞれは、実施例11A−IER、11B、11B−IER、11C、及び11C−IERから同一の操作手順を用いて調製された。
【0195】
表11は、全試料の屈折率が、非充填樹脂の1.535から充填システムの約1.645にまで増加したことを示している。粘度は上記のバブル時間法により測定された。ZrO樹脂分散の粘度はゾル作成前の原材料からのイオン交換樹脂によるナトリウム及びカルシウムカチオンの除去により顕著に低下される。
【0196】
【表12】

【0197】
(実施例13A〜13C)
実施例13Aは実施例5に記載されているように調製された。実施例13Bを調製するために、塩化ナトリウムが実施例13Aの1部分に加えられ、実施例13Cを調製するために、実施例13Aの1部分に硝酸ナトリウムが加えられた。粒子寸法は光子相関分光法により測定された。表12に示されるように、ナトリウムイオンの存在はゾルの粒子寸法に影響しない。
【0198】
【表13】

【0199】
実施例14A及び14B
実施例14Aを提供するために実施例13Aは回転式エバポレーターにより41.04重量%ジルコニアにまで濃縮された。実施例14Bを提供するために、塩化ナトリウムがこのゾルの1部分に加えられた。両方のゾルの1部分中のジルコニア粒子は表面処理され、硬化性樹脂に53重量%ZrOとして取り込まれた。
【0200】
実施例14Aは実施例13Aから、更に塩化ナトリウムを加えることなく調製された。実施例13Aのジルコニア含有ゾル(50.01g、41.04重量%ZrO)、MEEAA(2.42g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(35.07g)が500mLの丸底フラスコに記載順に充填された。予備的実施例1よりのHEAP(4.18g、50重量%1−メトキシ−2−プロパノール溶液)、マレイン酸(0.065g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(6.07g)が混合されマレイン酸を溶解させるために加熱された。次いで、混合物は上記のフラスコに充填された。次いで、PROSTABB 5198(0.29g、5重量%脱イオン水溶液)及びResin 1(13.64g)がフラスコに充填された。回転式エバポレーターにより揮発性材料を除去して、約53重量%のZrOを含む硬化性アクリレート樹脂混合物が得られた。
【0201】
実施例14Bは実施例13Aから、更に塩化ナトリウムを加えて調整された。実施例13Aのジルコニア含有ゾル(200g、41.04重量%ZrO)及びNaCl(11.48g、2.5重量%溶液)が混合された。このスパイクされたジルコニア含有ゾル(50.01g、38.81重量%ZrO)、MEEAA(2.29g)及び1−メトキシ−2−プロパノール(35.4g)を記載順に500mLの丸底フラスコに充填した。予備的実施例1よりのHEAP(3.95g、50重量%1−メトキシ−2−プロパノール溶液)、マレイン酸(0.0618g)、及び1−メトキシ−2−プロパノール(6.0g)が混合されマレイン酸を溶解させるために加熱された。次いで、混合物は上記のフラスコに充填された。次いで、PROSTABB 5198(0.28g、5重量%脱イオン水溶液)及びResin 1(12.90g)がフラスコに充填された。回転式エバポレーターによる濃縮により揮発性材料を除去して、約53重量%のZrOを含む硬化性アクリレート樹脂混合物が得られた。
【0202】
実施例14A及び14Bの粘度はバブル時間法を用いて測定された。表13の結果は完成されたゾルへのナトリウムイオの添加は樹脂粘度に影響しないことを示している。
【0203】
【表14】

【0204】
実施例15A〜15B及び比較例15A〜15D
6つの原材料溶液が3つの異なるジルコニウム源を使用して調製された。
【0205】
実施例15Aは酢酸ジルコニウム溶液A(16.3重量%ジルコニウム)を脱イオン水で希釈して調製され、5.32重量%のZrを含む原材料が得られた。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0206】
実施例15Bは酢酸ジルコニウム溶液A(16.3重量%ジルコニウム)を脱イオン水で希釈して調製され、1.10重量%のZrを含む原材料が得られた。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0207】
比較例15Aは塩化酸化ジルコニウム八水和物(25重量%ジルコニウム)溶液及びイットリウム酢酸塩を脱イオン水で希釈して5.32重量%のZrを含む原材料を調製した。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0208】
比較例15Bは塩化酸化ジルコニウム八水和物(25重量%ジルコニウム)溶液及びイットリウム酢酸塩を脱イオン水で希釈して1.10重量%のZrを含む原材料を調製した。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0209】
比較例15Cはジルコニウムオキシ硝酸塩(31.78重量%ジルコニウム)及びイットリウム酢酸塩を脱イオン水で希釈して5.32重量%のZrを含む原材料を調製した。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0210】
比較例15Dはジルコニウムオキシ硝酸塩(31.78重量%ジルコニウム)及びイットリウム酢酸塩を脱イオン水で希釈して1.10重量%のZrを含む原材料を調製した。最終的なジルコニアが約4重量%の酸化イットリウムを含むようになる量のイットリウム酢酸塩が加えられた。
【0211】
それぞれの原材料は、Teflonカップ(Parr型番4749)を有する汎用酸分解容器(acid digestion bomb)に収納された。酸分解容器は200℃の強制空気オーブンに4時間入れられた。オーブンは冷却された後に開かれた。高濃度の酢酸塩ゾル(実施例15)だけが透明なゲルを生成した。塩化物及び硝酸塩のゾルは乳白色材料を生成し、正方相を生成しなかった。
【0212】
これらの実施例の組成物は表14にまとめられており、そのXRDデータは表15にまとめられている。
【0213】
【表15】

【0214】
【表16】

【0215】
実施例16A〜16K及び比較例16A〜16C
原材料の変換率は、上述のように熱重量分析により算出された。原材料のパーセント重量損失に等しいAの値は52.71%でその標準偏差は1.12であった。Aの値は8個のロットの酢酸ジルコニウムの平均である。完全に変換されたと信じられるジルコニア含有標準材料のパーセント重量損失に等しいCの値、は8.71%であった。分析下の試料パーセント重量損失に等しいBの値は、表8に上記の各種の実施例及び比較例の変換率と共に示されている。実施例及び比較例の全てが、ジルコニア含有材料に100%近く変換された。
【0216】
【表17】

【0217】
(実施例17)
脱イオン水(1929g)を酢酸ジルコニウム(溶液A、2100g)と混合した。イットリウム酢酸塩(56.49g)を加え、混合物を約12時間撹拌し19重量%の固体の原材料(8.44重量%のZr、0.374重量%のY)を調製した。原材料をポンプにより11.5mL/分の流速で熱水反応器Bを通過させた。透明な、結晶ZrOを含むゾルが生成された。
【0218】
スペクトラム・ラボズ(Spectrum Labs)(カリフォルニア州ランチョ・ドミンゲス(Rancho Domoingeus))から入手したSPECTROPOR Membrane(MWCO 12〜14,000)を用いて生成したゾルを脱イオン水に対して約20時間透析した。水は多数回変えられた。この工程は酢酸を除去した。生成するゾルは回転式エバポレーターにより32.74重量%のZrOまで濃縮された。
【0219】
濃縮されたゾル(200g)は16オンスのジャーに充填された。SILQUEST A1230(9.62g)、1−メトキシ−2−プロパノール(225g)、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(14.38g)及びPROSTABB 5198(5重量%の固体の脱イオン水溶液として0.25g)がゾルに対してこの順序で加えられた。混合物を混合し、次いでジャーを90℃で4時間加熱した。生成する混合物(446.53g)を1000mLの丸底フラスコに充填し、223.26gまで濃縮した。
【0220】
2000mLにビーカーに脱イオン水(450g)及び濃アンモニア(7.05g)を入れた。上記の表面改質されたZrO2ゾルをアンモニア水溶液に注ぎ、10分間ゆっくり撹拌した。これにより白色沈殿がもたらされた。沈殿をブフナー・ロートにより単離した(Whatman #4濾紙)。沈殿を100mLの脱イオン水で2回洗浄した。次いで、生成された湿った固体(245g)を1−メトキシ−2−プロパノール(253g)に溶解した。この混合物(453.6g)を回転式エバポレーターにより207.6gにまで濃縮した。これによりゾル66.8重量%の表面処理されたZrO粒子が生成された。
【0221】
濃縮されたZrOゾル(50g、66.8重量%の固体)、ヒドロキシエチルメタクリレート(15.6g)及びSR 603(6.7g)を100mLの丸底フラスコに充填した。回転式エバポレーターによる除去し、試料を55.4gにまで濃縮した。生成する試料は硬化性メタクリレート樹脂中のZrOで処理されたシランの半透明の低粘度のゾルであった。1.564の屈折率は、非充填樹脂(1.4555)のものよりかなり高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジルコニア・ナノ粒子を作成する方法において、
5重量%を超える固体を有する原材料を調製することを含み、前記原材料は溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含み、前記原材料中の前記カルボン酸塩又はその酸は以下4個以下の炭素原子を有し、及び
前記原材料を単独回の熱水処理に付すことを含み、前記熱水処理により前記原材料中のジルコニウムの合計量の少なくとも90重量%が非会合性のジルコニア含有ナノ粒子に変換される、ジルコニア・ナノ粒子の作成方法。
【請求項2】
前記カルボン酸ジルコニウム塩が酢酸ジルコニウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記原材料が少なくとも8重量%の固体を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記原材料がカルボン酸イットリウム塩を更に有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記原材料の調製がカルボン酸ジルコニウム溶液を水素型カチオン交換樹脂と接触させること、を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記接触させることが、前記原材料中の任意のアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はそれらの組み合わせの少なくとも50モル%を除去する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記原材料が、1gのジルコニウム当たり3mg以下のアルカリ金属イオンを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記原材料が、1gのジルコニウム当たり3mg以下のアルカリ土類イオンを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記原材料が、1gのジルコニウム当たり0.6mg以下のアルカリ金属イオン及び1gのジルコニウム当たり0.6mg以下のアルカリ土類イオンを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
連続的熱水反応器が前記単独回の熱水処理のために用いられる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記連続的熱水反応器が加熱された管状反応器を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記管状反応器がフッ素化されたポリマーを含む内表面を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記管状反応器が、フッ素化されたポリオレフィンを含む内表面を有する請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱水反応器の排液が透明である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
複合材料を作成する方法において、
5重量%を超える固体を有する原材料を調製することを含み、前記原材料は溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含み、前記原材料中の前記カルボン酸塩又はその酸は4個以下の炭素原子を有し、
前記原材料を単独回の熱水処理に付すことを含み、前記熱水処理により前記原材料中のジルコニウムの合計量の少なくとも90重量%が非会合性のジルコニア含有ナノ粒子に変換され、及び
前記ジルコニア含有ナノ粒子を有機マトリックス中に分散又は懸濁させること、を含む、作成方法。
【請求項16】
前記熱水処理の排液が、水性媒体中に前記ジルコニア含有ナノ粒子を含むジルコニア含有ゾルを含み、及び前記方法が少なくとも一部分の前記水性媒体を除去することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ジルコニア含有ナノ粒子を表面改質剤で処理することを更に含む請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
原材料の調製がカルボン酸ジルコニウム塩の溶液を水素型のカチオン交換樹脂で処理することを含む、請求項15〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
連続的熱水反応器が前記単独回の熱水処理のために用いられる、請求項15〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
溶液を処理する方法において、
溶液を水素型のカチオン交換樹脂と接触させることを含み、前記溶液は溶解されたカルボン酸ジルコニウム塩を含み、及び
アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、又はそれらの混合物の少なくとも50モル%を前記溶液から前記カチオン交換樹脂に吸着させることを含む、処理方法。
【請求項21】
前記溶液中の前記アルカリ金属イオンの少なくとも50モル%が前記カチオン交換樹脂に吸着される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記アルカリ土類イオンの少なくとも50モル%が前記カチオン交換樹脂に吸着される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
管状反応器を含む連続的熱水反応システムにおいて、前記管状反応器の内表面がフッ素化されたポリマー材料を含む、連続的熱水反応システム。
【請求項24】
前記フッ素化されたポリマー材料がフッ素化されたポリオレフィンを含む、請求項23に記載の連続的熱水反応システム。
【請求項25】
前記フッ素化されたポリマー材料がポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項23又は24に記載の連続的熱水反応システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−508721(P2011−508721A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540795(P2010−540795)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/087385
【国際公開番号】WO2009/085926
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】