説明

ジンセノサイド成分含量の多い人参果実と人参花柄の製造方法

【課題】本発明は、人参栽培の現場で廃棄されていたジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を加工処理することにより健康補助食品材にする製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、人参果実及び/又は人参花柄に光を照射して処理した後、1回以上水蒸気によって蒸熟した後乾燥する工程と、前記蒸熟及び乾燥させた人参果実及び/又は人参花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬させてジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に総称されている人参由来のサポニンであるジンセノサイド(Ginsenoside)成分を多量に含有する高麗インサム(以下、人参と略記する)の果実と人参花柄(花茎)の利用に関する。より詳細には、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb2、ジンセノサイドRc、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRe及びその他多様なジンセノサイド成分含量の多い人参果実や人参花柄の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人参(インサム)は、ウコギ科に属する多年生半陰地性植物であって、古来韓国を始め中国の多くの医書によってその滋養・強壮効能が広く知られており、昔から広く医学・保健分野において貴重な薬材として利用されていた。
特に、現代に至っては、人参に対する科学的研究の結果、人参には多量のジンセノサイド(サポニン)成分が含有されていることが究明されることによって、昔から使用された薬用材料の他にも、最近は食品に調合させて健康食品として多く使用されている。
【0003】
しかし、人参の栽培期間は通常4年以上必要とされるとともに、最高品質の人参を得るためには6年間栽培しなければならないので栽培期間が長く、また、栽培する間に各種の病虫害や自然災害などいろいろな理由によって最初の栽培量より収穫量が減少するのでコストが高くなり、特に最高品質の人参を収穫するまでには6年という長い期間を必要とする問題がある。
【0004】
人参は地表の下に根と蘆頭(ろず)があり、地表の上に茎、葉、果実部がある。より詳細には、地下の細根、支根及び主根でなる根部と、ろず、ろずから伸び上げる茎、茎から出芽する葉、茎末に実る果実部(花を含む果実)及び前記茎と果実部との間を繋ぐ細長い茎の花柄(花茎とも表記する)によって構成される(図1参照)。
【0005】
人参は植付後、3年次以上成長した後、人参の花が咲き始め、5月頃には緑色の果実が実り7月中旬になると緑色の果実が赤く爛熟して結実となる。
このとき、人参栽培農家では、人参の根が主要の栽培目的であるため、人参の生殖成長より根の成長を促進させるために、人参の果実が実り始める時期に人参果実を摘み捨てている実情である。同時に、人参栽培地の現場では果実を摘取しながら花茎の一部を切り取りながら花茎と人参果実を一緒に摘み出してそのまま廃棄している。
【0006】
ジンセノサイドは、人参に含有されているサポニン(Saponin)成分を意味し、人参には多様な種類のジンセノサイド成分が含有されている。人参の含有するジンセノサイドは、例えばPanaxadiol(PD)系、Panaxatriol(PT)系、オレアナン(Oleanane)系などがある。さらに、人参には前記ジンセノサイド成分の他にも非ジンセノサイド物質として澱粉などの炭水化物、ポリアセチレンの抗酸化性芳香族化合物、肝臓を保護するゴミシン(Gomisin N-A)、類似インシュリン作用を示す酸性ペプチドなどがある。
【0007】
ジンセノサイドの主な薬理作用は中枢神経系を始め、内分泌系、免疫系、代謝系などに影響を及ぼして身体の調節機能に多様な効能を示すことが知られている。その他にも、ジンセノサイドは、(1)脂肪分解力が大きく、栄養分の吸収と消化を促進させ、(2)細胞内の酵素活性化によって新陳代謝を促進、(3)エネルギーを増加させて元気回復及び疲労、無力感、食欲不振の改善、(4)血清タンパク質の合成を促進するなどの効能があると知られている。
【0008】
特に、本発明により生成される格段に多く含有するジンセノサイドReは、中枢神経抑制作用、DNA及びRNAの合成促進作用、プラスミン活性化作用、副腎皮質刺激ホルモンの分泌促進作用を行うことが知られており、Rdは副腎皮質ホルモンの分泌促進作用を行い、Rb2は中枢神経抑制作用、DNA及びRNA合成促進作用、プラスミン活性化作用、副腎皮質刺激ホルモンの分泌促進作用、抗糖尿作用を行うことなどが知られている。
【0009】
しかし、前記のような多様な薬理作用を有するジンセノサイドが多量に含有されている前記人参果実及び人参花柄は、人参の根を成長させるために人参から除去された後ただ廃棄されているので、人参果実、人参花柄に含有されているジンセノサイドを有効な用途に活用することができない実情である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような実情を鑑み、本発明者は、ジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb2、ジンセノサイドRc、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRe及びその他前記非ジンセノサイド成分含量の多い人参果実や人参花柄を加工処理する製造方法を提供する。
【0011】
本発明による人参果実や人参花柄は、ジンセノサイド含量が多いため、これらを健康補助食品の製造に適用することによってジンセノサイド含量の多い健康補助食品を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、人参果実及び/又は人参花柄に光を照射して処理した後、1回以上水蒸気によって蒸熟した後乾燥する工程と、前記蒸熟及び乾燥させた人参果実及び/又は人参花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬させてジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の方法によって加工製造されたジンセノサイド含量が格段に多い人参果実や人参花柄は、今まで人参栽培地で人参根の育成のために、ただ廃棄されていたが、この人参果実や人参花柄を利用してジンセノサイド含量の多い多様な人参加工食品を得ることができる。
また、本発明による人参果実や人参花柄を適当な濃縮機によって濃縮してジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb2、ジンセノサイドRc、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドRe含量の多い人参果実や人参花柄の濃縮液を得ることができる。
【0014】
さらに、本発明は従来の人参根栽培の他、今まで廃棄されてきた人参果実・花柄から前記列記した各種ジンセノサイド成分及びその他のジンセノサイド成分が多量に含有された優秀な人参果実や人参花柄を有用に活用することができ、人参栽培農家の収益性向上にも大いに寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
先ず、本発明の製造方法は、人参果実及び/又は人参花柄に光を照射して処理した後、少なくとも1回以上水蒸気によって蒸熟した後乾燥する工程と、前記蒸熟及び乾燥させた人参果実及び/又は人参花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬する工程とを包含してなる。
以下、本発明をそれぞれの工程に沿って詳細に説明する。
【0016】
工程1.摘み取って収集した人参果実や人参花柄を一定の時間光照射した後、蒸熟及び乾燥させる工程。
前記の収集した人参果実や人参花柄を加工する工程において、ジンセノサイド成分の含量を増加させるために、人参果実や人参花柄を人参から摘取した後、一定の時間光を照射して処理することが好ましい。
【0017】
前記の光は、紫外線、可視光線、赤外線をすべて包含する太陽光線により照射して処理することができる。
また、前記の光は、紫外線、可視光線、赤外線の中から選択されるいずれか1つ以上を使用することができる。
【0018】
前記の紫外線は、10〜397nm波長帯のものを好適に使用することができる。
前記の可視光線は、380〜770nm波長帯のものを好適に使用することができる。
前記の赤外線は、0.75μm〜1000μm波長帯のものを好適に使用することができる。
【0019】
前記人参果実や人参花柄に対する光照射は、1〜24時間の間実施することができる。このとき、光の照射時間が1時間未満の場合には、人参果実や人参花柄のジンセノサイド含量の増加率が微量であり、一方、24時間超過照射の場合は、人参果実や人参花柄のジンセノサイド含量の増加に著しい累進上昇の効果がなく、かえって人参果実や人参花柄に含有されている他の栄養成分が減少するおそれがある。したがって、ジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造するためには、人参果実や人参花柄に対する光照射の処理時間を1〜24時間に制限実施することが好ましい。
【0020】
本発明において、ジンセノサイド成分が多量含有されるように人参果実及び/又は人参花柄を加工・製造するとき、ジンセノサイド成分含量の増加とともに、多様な種類のジンセノサイド成分が造成されるように、人参果実や人参花柄を蒸熟することが好ましい。
【0021】
本発明において、前記の蒸熟は例えば、90〜120℃の水蒸気によって1〜3時間ずつ数回反復実施することができる。
また、人参果実や人参花柄の蒸熟は、前記の条件で1回以上実施するとともに、この蒸熟を例えば前記の条件下で4回反復実施することもできる。これらの蒸熟条件は、いずれもジンセノサイド成分とその他の有用成分の含量を最大に保持するための条件である。
【0022】
次いで、蒸熟した人参果実及び/又は人参花柄から水蒸気を除去するために乾燥を実施する。
前記の乾燥工程において、例えば水蒸気で数回に亘って蒸熟する場合、1回の蒸熟が終った後、直ちに乾燥を実施し、さらに前記と同じ蒸熟と乾燥工程を繰り返し実施することが好ましい。
前記人参果実や人参花柄を蒸熟した後の乾燥は、65〜75℃において人参果実や人参花柄に吸着されている水蒸気を除去する程度で実施することが好ましい。
【0023】
また、前記の乾燥工程は、通常的な方法を利用して乾燥することができる。このような乾燥方法は例えば、常温下自然乾燥、熱風を利用する熱風乾燥、低温下冷凍乾燥の中から選択されるいずれか1以上の乾燥法を利用することができる。好ましくは、65〜75℃の温度において、人参果実と人参花柄に吸着されている水蒸気を除去する程の乾燥を行うことが好ましい。
【0024】
工程2.蒸熟及び乾燥させた人参の果実・花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬する工程。
人参には多様な種類のジンセノサイド成分が含有されているが、このようなジンセノサイドはそのまま人体に吸収されるものではなく、体内酵素のようなジンセノサイド分解物生成用物質によって人体内に吸収することのできる形態に変換させた後に吸収されることが知られている。
【0025】
したがって、本発明は前記のような光を照射処理する工程、水蒸気による蒸熟及び乾燥の工程を経た人参果実や人参花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬させることにより、人体への吸収が容易なジンセノサイド及び/又はその他のジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造することができる。
【0026】
前記における、ジンセノサイド分解物生成用物質としては、腸内特殊細菌である長谷川菌、α−グルコシダーゼ、α−ラムノシダーゼ、ソヤサポゲノールBの中から選択されるいずれか1種以上を使用することができる。
前記のジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液は、精製水に前記のジンセノサイド分解物生成用物質を精製水の重量対比1〜20%添加して作製することができる。
【0027】
前記ジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液において、ジンセノサイド分解物生成用物質を精製水の重量対比1%未満添加する場合には、人体吸収の容易なジンセノサイド含量及び/又はその他のジンセノサイド成分含量の増加がなく、20%超過添加する場合、人体吸収の容易なジンセノサイドの含量増加及び/又はその他のジンセノサイド成分含量の増加に格段な累進上昇の効果がないとともに、ジンセノサイドの他に人参果実と人参花柄に含有されているその他の成分に影響を及ぼすので好ましくない。したがって、本発明は、精製水にジンセノサイド分解物生成用物質を精製水の重量対比1〜20%添加した溶液に、光照射処理と水蒸気による蒸熟及び乾燥の工程を終えた人参果実及び/又は人参花柄を浸漬することが最も好適である。
【0028】
また、前記の浸漬時間は、10分〜24時間が好ましい。
本発明は、前記工程1及び工程2の処理を実施した人参果実及び/又は人参花柄に対して超音波処理、低周波処理、電界処理、磁界処理の中から選択されるいずれか1以上の処理過程をさらに実施してジンセノサイド成分含量が格段に多くなる人参果実及び/又は人参花柄を製造することができる。
【0029】
前記の超音波処理は、20kHz以上において10分以上実施することができる。
また、前記超音波処理は20〜50kHzにおいて10分〜2時間の間実施することができる。
【0030】
本発明のジンセノサイドが多量に含有された人参果実及び/又は人参花柄を製造するとき、多様な条件を適用して超音波処理を実施した結果、前記のような条件を適用して超音波処理した場合、本発明の望ましいジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造することができた。
【0031】
前記低周波処理は、10kHz以下で30分以上実施することができる。
また、前記低周波処理は、5〜10kHzで30分〜2時間の間実施することができる。
【0032】
本発明のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造するとき、前記のように多様な条件を適用して低周波処理を実施した結果、前記の条件によって人参果実及び/又は人参花柄を低周波処理するとき、本発明の望ましいジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造することができた。
【0033】
前記電界処理は、5kv以上の電界において30秒以上実施することができる。
また、前記電界処理は5〜20kvの電界において30秒〜5分の間実施することができる。
【0034】
本発明のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造するとき、前記のような多様な条件を適用して電界処理を実施した結果、前記の条件によって人参果実及び/又は人参花柄を電界処理するとき、本発明の望ましいジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造することができた。
【0035】
前記磁界処理は、5ガウス(Gauss)以上の磁界において30分以上実施することができる。
また、前記磁界処理を5〜30ガウスにおいて30分〜1時間の間実施することができる。
【0036】
本発明のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造するとき、前記のような多様な条件の磁界処理を実施した結果、前記の条件によって人参果実及び/又は人参花柄を磁界処理するとき、本発明の望ましいジンセノサイド成分含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を製造することができた。
【0037】
本発明は、以上の前記方法によって製造した人参果実と人参花柄を包含する。
本発明は、以上の前記方法によってジンセノサイド含量の多い人参果実・花柄を利用する健康補助食品を包含する。
また、前記健康補助食品は例えば、液相の飲料と固相の錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤の形態で作製することができる。
【0038】
本発明によって作製される健康補助食品の構成成分は、前記のように製造されたジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を健康補助食品の全体重量対比0.1〜10%包含することができ、その他の構成成分は賦形剤、滑沢剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤のような副材料を包含して構成される。なお、前記副材料は固相の錠剤、丸剤、散剤、カプセル剤の形態で調製する方法は、当業者が適宜選択して適用することができるので、これに対する具体的な説明は省略する。
【0039】
前記において健康補助食品の構成成分に包含される人参果実及び/又は人参花柄は、粉末(powder)、搾汁液、熱水抽出物、有機溶媒抽出物などの中から選択されるいずれか1つ以上の形態で作製することができる。
【0040】
前記の粉末は、粉砕機によって人参果実及び/又は人参花柄を粉末化作製して使用することができる。
前記の搾汁液は、搾汁機によって人参果実及び/又は人参花柄を搾汁作製して使用することができる。
前記の熱水抽出物は、人参果実及び/又は人参花柄をその重量対比3〜10倍量の精製水に入れ、80〜120℃で最初精製水の含量が10〜50%になるまで抽出した後、ろ過したろ過物及び/又は前記ろ過物を濃縮した濃縮物にして使用することができる。
【0041】
前記有機溶媒抽出物は、人参果実及び/又は人参花柄をその重量対比2〜5倍量の有機溶媒に入れ、65〜75℃で1時間〜24時間の間抽出した後、ろ過したろ過物及び/又は前記ろ過物を濃縮した濃縮物にして使用することができる。このとき、前記ろ過物から有機溶媒を除去する工程を追加実施することによりろ過物から有機溶媒を除去することができる。
前記人参果実及び/又は人参花柄の有機溶媒抽出物を作製する時に使用する有機溶媒は、炭素数が1〜20個であるアルコール溶媒を使用することができる。
【0042】
また、前記人参果実及び/又は人参花柄の有機溶媒抽出物を作製する時に使用する有機溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールの中から選択されたいずれか1種を使用することができる。
【0043】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためであって、本発明がこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【実施例】
【0044】
[実施例1−1]
下記の工程順によってジンセノサイド成分含量の多い人参果実を製造した。
1)人参から採取した人参果実を波長100μmの赤外線を10時間の間照射した。
2)前記の赤外線照射が終った人参果実1kgを95℃の水蒸気で1時間の間蒸熟した後70℃の温度で乾燥した。
3)前記蒸熟及び乾燥の工程を4回反復実施した後、人参果実1kgをジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に入れて30分間浸漬した。
【0045】
前記のジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液は、ジンセノサイド分解物生成用物質としてα−グルコシダーゼを精製水に精製水の重量対比10%添加して作製したものを使用した。
【0046】
[実施例1−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他には、前記実施例1−1と同様な方法によって使用してジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0047】
[実施例2−1]
人参果実を波長100nmの紫外線で5時間の間照射する他は、前記実施例1−1と同様な方法によって人参果実を製造した。
【0048】
[実施例2−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例2−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0049】
[実施例3−1]
人参果実を波長500nmの可視光線で7時間の間照射する他は、前記実施例1−1と同様な方法によって人参果実を製造した。
【0050】
[実施例3−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例3−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0051】
[実施例4−1]
1)人参から採取した人参果実を波長100μmの赤外線を10時間の間照射した。
2)前記の赤外線照射が終った人参果実1kgを95℃の水蒸気で1時間の間蒸熟した後70℃の温度で乾燥した。
3)前記蒸熟及び乾燥の工程を4回反復実施した後、人参果実1kgをジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に入れて30分間浸漬した。
4)前記の浸漬処理が終った人参果実1kgを40kHzにおいて1時間の間超音波処理を実施した。
【0052】
前記においてジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液は、ジンセノサイド分解物生成用物質としてα−グルコシダーゼを精製水に精製水の重量対比10%を添加して作製したものを使用した。
【0053】
[実施例4−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例4−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0054】
[実施例5−1]
超音波処理の代わりに人参果実を7kHzにおいて1時間の間低周波処理を実施する他は、前記実施例4−1と同様な方法によって人参果実を製造した。
【0055】
[実施例5−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例5−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0056】
[実施例6−1]
超音波処理の代わりに人参果実を15kvにおいて3分間の間電界処理を実施する他は、前記実施例4−1と同様な方法によって人参果実を製造した。
【0057】
[実施例6−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例6−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0058】
[実施例7−1]
超音波処理の代わりに人参果実を20ガウスの磁界において40分間の間磁界処理を実施する他は、前記実施例4−1と同様な方法によって人参果実を製造した。
【0059】
[実施例7−2]
人参から採取した人参花柄を使用する他は、前記実施例7−1と同様な方法によってジンセノサイド成分含量が増加された人参花柄を製造した。
【0060】
[比較例1]
前記実施例1−1、2−1、3−1、4−1、5−1、6−1及び7−1によって製造した人参果実を人参果実の重量対比5倍量の精製水に入れ、100℃で最初精製水の含量が30%になるまで、熱水抽出して作製した人参果実のエキスを実験区とした。
【0061】
一方、市販の人参根を前記実験区と同様の熱水抽出条件で熱水抽出して得た人参エキスを対照区とした。
前記のようにして得られた実験区と対照区における人参果実エキスのジンセノサイド含量をそれぞれ測定し、その結果を下記表1に示した。
【0062】
【表1】

【0063】
[比較例2]
前記実施例1−2、2−2、3−2、4−2、5−2、6−2及び7−2によって製造した人参花柄を人参花柄の重量対比5倍量の精製水に入れ、100℃で最初精製水の含量が25%になるまで、熱水抽出して作製した人参花柄のエキスを実験区とした。
【0064】
一方、人参栽培時に摘取したままの人参花柄を前記実験区の熱水抽出条件と同様にして熱水抽出して得た人参花柄エキスを対照区とした。
前記のようにして得られた実験区と対照区における人参花柄エキスのジンセノサイド含量をそれぞれ比較例1と同様な方法で測定し、その結果を下記表2に示した。
【0065】
【表2】

【0066】
[比較例3]
韓国の中部大学 生命科学分析センタに前記実施例1−1のようにして製造した人参果実と、従来の韓国特許第10-0543862から得た黒参根、黒参尾、紅参根、紅参尾に対するそれぞれのジンセノサイド含量の分析を依頼し、その結果を下記表3に示した。
【0067】
【表3】

【0068】
前記表3に示した結果の通り、本発明の実施例1−1のようにして製造した人参果実に含有されたジンセノサイド成分含量と、従来の韓国特許第10‐0543862号によって得られた黒参根、黒参尾、紅参根、紅参尾にそれぞれ含有されているジンセノサイド成分含量を対比してみるとき、本発明によって製造した人参果実には、殊にジンセノサイドRb1、ジンセノサイドRb2、ジンセノサイドRc、ジンセノサイドRd、ジンセノサイドReの含量が格段に多いことを確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によるジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄は、従来の人参根の他の部分でもサポニン含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を得ることができるので、前記ジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄それ自体、又は前記ジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄を加工して得られる健康補助食品材の加工品などによって人参栽培農家の収益向上に大いに寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】一定時間成長した人参の果実、葉、茎、根の構成を示した図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人参果実及び/又は人参花柄に光を照射して処理した後、1回以上水蒸気によって蒸熟した後乾燥する工程と、
前記蒸熟及び乾燥させた人参果実及び/又は人参花柄をジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬させる工程とを包含するジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄の製造方法。
【請求項2】
前記の光は、赤外線、可視光線、紫外線の中から選択されるいずれか1種以上の光線であることを特徴とする請求項1に記載のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄の製造方法。
【請求項3】
前記蒸熟及び乾燥させた人参果実及び/又は人参花柄を、長谷川菌(Prevotella Oris)という腸内細菌、α−グルコシダーゼ、α−ラムノシダーゼ、ソヤサポゲノールBの中から選択されるいずれか1種以上のジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬することを特徴とする請求項1に記載のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄の製造方法。
【請求項4】
前記人参果実及び/又は人参花柄を前記ジンセノサイド分解物生成用物質を含有する溶液に浸漬した後、人参果実及び/又は人参花柄に超音波処理、低周波処理、電界処理、磁界処理の中から選択されるいずれか1以上の処理工程をさらに追加実施することを特徴とする請求項1に記載のジンセノサイド含量の多い人参果実及び/又は人参花柄の製造方法。



【図1】
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【公開番号】特開2008−100999(P2008−100999A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−269591(P2007−269591)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(507344612)
【Fターム(参考)】