説明

スイッチの構造及びマイクスイッチの構造

【課題】スイッチの操作性を改善する。また防水型通信機用ハンディマイクのように、スイッチにゴムカバーが被っている場合でも、スイッチ操作を容易にするスイッチの構造を提供する。
【解決手段】ケース外形より内側で、ケース角部に斜めに形成された隔壁と、前記隔壁にスイッチシャフトが垂直方向になるように取り付けたプッシュスイッチと、前記ケースに接着固定され、スイッチシャフトを覆うスイッチカバーと、前記スイッチカバーの内側に貼り付けられ、前記スイッチシャフトの上部に配置されたスイッチ押し板とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチの構造に関し、詳細には通信機用ハンディマイクのスイッチ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機用ハンディマイクは、特許文献1乃至3により公知である。特許文献1乃至3は、いずれもマイクケースの側面にスイッチを取り付け、マイクケース側面方向よりスイッチを操作する構造である。
また、通信機用ハンディマイクは、屋内だけでなく、屋外でも使用されることが多いので、防水仕様とされることが多い。そのため、スイッチ取付部分から水が浸入しないようにゴムカバーが取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−44866号公報
【特許文献2】特開2001−086027号公報
【特許文献3】特開2001−222927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1乃至3は、マイクケースの側面にスイッチを取り付けるので、マイクケース側面方向からだけしかスイッチ操作できず、操作性が悪い。
また、通信機用ハンディマイクは、屋内だけでなく、屋外でも使用されることが多いので、防水仕様とされることが多い。そのため、スイッチ取付部分から水が浸入しないようにゴムカバーが取り付けられる。
マイクスイッチには、プッシュ型スイッチが使用されるが、プッシュ型スイッチは、その構造上、スイッチシャフトを軸方向に押圧しなければ、スイッチオン、またはスイッチオフ操作することができない。スイッチシャフトが見えている場合は、スイッチシャフトを意識して、スイッチシャフトの軸方向に押すことができるが、防水型通信機用ハンディマイクは、防水のためスイッチのシャフトにゴムカバーが被せられおり、シャフトが見えない。そのためスイッチシャフトの押圧方向が明確に分からないので、スイッチ操作に不便を感じることがある。
本発明は、上記のような問題を解決するものであり、スイッチの操作性を改善することを目的とする。また防水型通信機用ハンディマイクのように、スイッチシャフトにゴムカバーが被っている場合でも、スイッチ操作を容易にするスイッチの構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のスイッチの構造は、以上の課題を解決するものであり、ケース外形より内側で、ケース角部に斜めに形成された隔壁と、前記隔壁にスイッチシャフトが垂直方向になるように取り付けたプッシュスイッチと、前記ケースに接着固定され、スイッチシャフトを覆うスイッチカバーと、前記スイッチカバーの内側に貼り付けられ、前記スイッチシャフトの上部に配置されたスイッチ押し板とを備えることを特徴とする。
これにより、スイッチはケースの角部を形成する2つの面方向から操作することが可能となり、しかもスイッチシャフトの軸方向からずれた方向からスイッチ操作した場合もスイッチ押し板がスイッチシャフトの軸方向に操作力を加えるので、スイッチオンまたはスイッチオフすることができ、スイッチの操作性が向上する。
【0006】
また、本発明のスイッチの構造は、ケース内部にマイクと、マイクスイッチと、マイクに接続されるマイクコードを備え、ケース外形より内側に、ケース角部に斜めに隔壁を形成し、前記隔壁にスイッチシャフトが垂直方向になるようにマイクスイッチ取り付け、ケースにスイッチシャフトを覆うスイッチカバーを設け、前記スイッチカバーの内側で、前記スイッチシャフトの上部に配置されるスイッチ押し板を接着固定したことを特徴とする。
この特徴により、本発明は通信機用ハンディマイクとして使用することが可能になり、ケースの角部を形成する2つの面方向からスイッチを操作することができ、しかもスイッチシャフトの軸方向からずれた方向からスイッチ操作した場合もスイッチ押し板がスイッチシャフトの軸方向に操作力を加えるので、スイッチオンまたはスイッチオフすることができ、スイッチの操作性が向上する。
【0007】
また、本発明のスイッチの構造は、前記ケースが樹脂製マイクケースと、金属製マイクケース蓋とからなり、前記マイクケースは外形がほぼ直方体または逆三角形であり、上方角部に、外形より内側に斜めに隔壁を形成したことを特徴とする。
この特徴を有することにより、本発明は通信機用ハンディマイクとして使用することが可能になる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースの角部を形成する側面および上面の2方向から操作することが可能なスイッチの構造が提供され、スイッチの操作性が向上する。特に、通信機用など屋内または屋外で使用されるのに適した防水型通信機用ハンディマイクに本発明を適用すると、スイッチ操作が便利になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のスイッチの構造を構成するマイクケース1の外観図を示す。
【図2】本発明のスイッチの構造を構成するマイクケース蓋2の外観図を示す。
【図3】本発明のスイッチの構造を構成するマイクケース1の内側図を示す。
【図4】本発明のスイッチの構造を構成するマイクケース1の組立て状態の内側図を示す。
【図5】本発明のスイッチの構造を構成するマイクケース1の斜視図を示す。
【図6】本発明のスイッチの構造の動作を説明する図を示す。
【図7】本発明のスイッチの斜視図を示す。
【図8】本発明のスイッチにスイッチゴムカバー83、防水ゴムカバー10を取り付ける工程説明図を示す。
【図9】本発明のスイッチの操作説明図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図1〜図8を用いて、本発明のスイッチの構造を説明する。
本発明のスイッチの構造は、図1に示すように、外形がほぼ直方体、逆三角形、または卵型に形成されたマイクケース1とマイクケース蓋2とからなる。図1に示したマイクケース1、及び図2に示したマイクケース蓋2は、ともにプラスチック製であってもよいし、マイクケース1はプラスチック製、マイクケース蓋2は金属製であってもよい。マイクケース蓋2には、マイクハンガー21をネジ22及び23により固定する。
【0011】
図3は、マイクケース1の内側面を示し、マイクケース1の内側面に4本のマイクケース蓋取付用のネジボス11〜14、マイク押さえ金具取付用のネジボス65、66と、マイク取付リブ15を形成する。ネジボス11〜14、ネジボス65、66と、マイク取付リブ15は、マイクケース1と一体成型することが望ましい。
図1に示すように、マイクケース1の正面は格子状の送話口3を有し、その内側に防水シート5を介してマイクユニット6を取り付ける(図4参照)。防水シート5にはゴアテックス(商標)を使用するとよい。防水シート5は直接手で触れないよう、例えばピンセット51を使用してマイク取付リブ15の内側に嵌める。そして、図4に示すように、マイクユニット6をマイクユニットゴムカバー61に挿入して、マイク取付リブ15に嵌め込む。次に、マイクユニット6を差し渡すようにマイク押さえ金具62を配置して、その両側をネジ63、64でマイクケース1のネジボス65、66にねじ止め固定する。
【0012】
マイクケース1は、ほぼ直方体、逆三角形、または卵型に形成され、図3に示すように、その上部角部に、マイクケース1の中心線に対して、マイクケース1の外形より内側に斜めに隔壁7を形成する。この隔壁7は、マイクケース1の成型時に同時に形成されるものであり、従って、隔壁7は、図7の斜視図に示すように、マイクケース1の外形より凹んだ位置に形成される。これにより、マイクケース1の上部角部に凹所71が形成される。
隔壁7はスイッチシャフト81が挿通する透孔(図示しない)が形成されていて、図5及び図6に示すように、スイッチ8をマイクケース1の内側からスイッチシャフト81を透孔に通して、隔壁7の主面に対してスイッチシャフト81が垂直方向になるよう取り付ける。スイッチ8を隔壁7に固定する前に、マイクコード9の各端子リード線91〜96をスイッチ8の各端子及びマイク端子に半田付けする。次に、スイッチ8を隔壁7に固定するため、隔壁7のケース外側からナット82とスイッチゴムカバー83を締め付けて固定する。スイッチシャフト81にナット82とスイッチゴムカバー83を締め付ける場合、スイッチゴムカバー83の内側にナット82を予め嵌め込んでおくと作業が容易になる。その後、スイッチゴムカバー83と隔壁7の間に瞬間接着剤を塗布する。
【0013】
次に、図8に示すように、隔壁7を形成した凹所71にスイッチゴムカバー83を覆うように防水ゴムカバー10を取り付ける。図8中に防水ゴムカバー10を向きを変えて2つ描いているが、これは防水カバー10の形状をより詳細に示すものであり、防水カバー10が2つ必要であることを示すものではない。
防水ゴムカバー10の内側に、防水ゴムカバー10の上部内側の曲面に沿った曲面を有するスイッチ押し板20が、その中央部を接着剤により接着する。スイッチ押し板20は例えばステンレス製であり、弾性を有することが望ましい。従って、スイッチ押し板20は、その中央部だけが防水ゴムカバー10の上部内側に接着固定されるので、スイッチ押し板20の両端は自由端となっている。スイッチ押し板20は防水ゴムカバー10の上部内側に接着固定するのに代えて、スイッチゴムカバー83の上端部に接着固定してもかまわない。このように、スイッチシャフト81とスイッチゴムカバー83の間にスイッチ押し板20を介在させることが本発明の要点である。
このようにして、スイッチ押し板20が接着固定された防水ゴムカバー10は、防水ゴムカバー10の底端面と、底端面に近い側面部分に接着剤が塗布され、凹所71に嵌め込むことにより、防水ゴムカバー10を凹所71に取り付ける。従って、防水ゴムカバー10とスイッチゴムカバー83によりスイッチ部分の防水を行うことができる。
最後に、マイクケース蓋2をネジ24〜27によってネジボス11〜14にネジ止めする(図2参照)。なお、ネジ止めの際に、マイクケース1とマイクケース蓋2の外周囲に沿って防水ゴムパッキング4を挟み、防水構造にする。
【0014】
本発明のスイッチの構造は以上のように構成されるので、図9に示すように、スイッチはスイッチシャフト81の軸方向Aと、ケース側面の方向B及び上面の方向Cからそれぞれ操作することが可能である。即ち、軸方向Aから操作すると、スイッチシャフト81が軸方向に押されてスイッチオンまたはオフすることができる。またケース側面のB方向から操作した場合もスイッチ押し板20がスイッチシャフト81の軸方向に操作力を変えて、スイッチシャフト81を押圧するので、スイッチオンまたはオフすることができる。同様に、ケース上面のC方向から操作した場合もスイッチ押し板20がスイッチシャフト81の軸方向に操作力を変えて、スイッチシャフト81を押圧するので、スイッチオンまたはオフすることができる。
このように、スイッチシャフト81をケースの角部に取り付け、防水ゴムカバー10の内側に、またはスイッチゴムカバー83の上端部にスイッチ押し板20を接着固定しているので、スイッチシャフト81の軸方向からずれた方向BまたはCから操作した場合でもスイッチ押し板20がスイッチシャフト81の軸方向の力に変えてスイッチオンまたはオフの操作をすることができる。
【0015】
なお、以上には防水構造マイクスイッチについて説明したが、本発明は防水構造に限定されないし、また、マイクスイッチに限定されない。
【符号の説明】
【0016】
1 マイクケース
2 マイクケース蓋
3 送話口
4 防水ゴムパッキング
5 防水シート
6 マイクユニット
7 隔壁
8 スイッチ
10 防水ゴムカバー
11〜14、65,66 ネジボス
15 マイク取付リブ
20 スイッチ押し板
61 マイクユニットゴムカバー
71 凹所
81 スイッチシャフト
82 ナット
83 スイッチゴムカバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース外形より内側で、ケース角部に斜めに形成された隔壁と、前記隔壁にスイッチシャフトが垂直方向になるように取り付けたプッシュスイッチと、 前記ケースに接着固定され、スイッチシャフトを覆うスイッチカバーと、前記スイッチカバーの内側に貼り付けられ、前記スイッチシャフトの上部に配置されたスイッチ押し板とを備えることを特徴とするスイッチの構造。
【請求項2】
ケース内部にマイクと、マイクスイッチと、マイクに接続されるマイクコードを備え、ケース外形より内側に、ケース角部に斜めに隔壁を形成し、前記隔壁にスイッチシャフトが垂直方向になるようにマイクスイッチ取り付け、ケースにスイッチシャフトを覆うスイッチカバーを設け、前記スイッチカバーの内側で、前記スイッチシャフトの上部に配置されるスイッチ押し板を接着固定したことを特徴とするスイッチの構造。
【請求項3】
前記ケースが樹脂製マイクケースと、金属製マイクケース蓋とからなり、前記マイクケースは外形がほぼ直方体または逆三角形であり、上方角部に、外形より内側に斜めに隔壁を形成したことを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−48954(P2012−48954A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189628(P2010−189628)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000135368)株式会社ノボル電機製作所 (3)
【Fターム(参考)】