説明

スイッチパネル

【課題】薄型で、操作キーの配置上の問題が無く、かつ操作キーの誤動作の少ないスイッチパネルを提供する。
【解決手段】複数の操作キー11の領域を有する実質的に平板状の操作シート1と、その操作シート1の少なくとも操作キー11の領域の裏側に配置される下層部2とを備えるスイッチパネル3であって、該操作キー11の周囲の一部または全部に、該操作キー11を区分けする非平面形状の区分け部30を有し、スイッチパネル3における上記区分け部30の厚さを、スイッチパネル3における上記操作キー11の厚さよりも薄く形成したスイッチパネル3とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、電卓、パーソナルコンピュータ、リモートコントローラ、家電等の操作キーを有する電子機器に使用されるスイッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話等のスイッチパネルは、シリコーンゴム等の弾性の高い素材をスイッチパネルの下層部に使用することにより、スイッチを押した際に当該下層部が伸縮して十分なキーストロークが生じる構造となっている(第1の従来技術、例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−176696号公報(要約書等)
【0003】
近年、薄型の操作キーの要求が強く、当該要求に応えるには、できるだけ薄い操作キーを複数配置するという方法(第2の従来技術)および平面フィルム状のメンブレンキーボードを使用する方法(第3の従来技術)が行われている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のスイッチパネルには、次のような問題がある。上記第1の従来技術の場合には、高弾性を利用してキーストロークを確保しているため、該素材からなる部位に厚みが必要であり、スイッチパネルの薄型化が難しい。また、上記第2の従来技術の場合には、個別に操作キーを正確に配置することが難しい。さらに、上記第3の従来技術の場合には、薄いフィルムを使用するので、1つの操作キーを押した際に周囲の操作キーもひきずられて動くという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、薄型で、操作キーの配置上の問題が無く、かつ操作キーの誤動作の少ないスイッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の操作キーの領域を有する実質的に平板状の操作シートと、その操作シートの少なくとも操作キーの領域の裏側に配置される下層部とを備えるスイッチパネルであって、該操作キーの周囲の一部または全部に、該操作キーを区分けする非平面形状の区分け部を有し、スイッチパネルにおける区分け部の厚さを、スイッチパネルにおける操作キーの厚さよりも薄く形成したスイッチパネルとしている。
【0007】
このため、操作シート上から操作キーの実質的な突出がなく、薄型のスイッチパネルを構築できる。加えて、操作キーを個別に配置する必要がないため、配置がずれる問題も生じない。また、操作キー同士の区分け部を非平面形状とし、その部分の厚さを、操作キーの厚さよりも薄くしているので、区分け部の伸縮を利用して各操作キーの正確な押し動作を実現できる。したがって、誤動作が少なくなる。
【0008】
また、別の本発明は、先の各発明において、区分け部を、操作シートの面に対して凸形状、凹形状または波形形状としたスイッチパネルとしている。このため、区分け部の伸縮が容易となる。また、操作シート上の各操作キーの場所を指の感触で把握しやすい。また、区分け部が操作シートとその下方の下層部とから構成される場合には、かかる形状の区分け部を有する操作シートおよび下層部を、それぞれ容易に成形することができる。
【0009】
また、別の本発明は、先の各発明において、区分け部を、操作シートのみ、または操作シート上から突出する下層部のみからなるようにしたスイッチパネルとしている。より詳細には、下層部における操作キーを区分けする部分の下方を貫通溝あるいは凹部とし、操作シートのみにより区分け部を構成するようにした構造を採用したり、あるいは操作シートにおいて、操作キーを区分けする部分を下方に貫通する貫通溝とし、下層部の区分け部を当該貫通溝から操作シート側に突出させる構造を採用している。このため、下層部あるいは操作シートのいずれか一方から区分け部を構成するように、操作シートおよび下層部を成形すれば良い。
【0010】
また、別の本発明は、先の各発明において、操作シートおよび下層部を、ともに樹脂材料から構成したスイッチパネルとしている。このため、下層部に弾性の高いゴム等を用いなくても、区分け部の伸縮を利用して操作キーの押し動作が可能となる。
【0011】
本発明において、「操作キー」とは、押圧により信号を入力するための操作領域のことである。当該操作キーは、実質的に平板状の操作シート上の領域であれば、操作シートと同じ平面状である他、それよりも凹形状あるいは凸形状であってもよい。また、操作キーの表面に、シボ、ヘアライン、スピンカット、切削加工による金属調の装飾、目印や暗闇における指位置確認のための局所的な凹凸加工、シリンドリカル形状等の滑らかな凸状または凹状等を有していてもよい。
【0012】
本発明において、「スイッチパネル」とは、操作キーを有する電子機器における操作盤のことである。このような電子機器における操作盤であれば、複数の操作キーを有する限り、その形状、設置状態、設置場所、設置目的等を問わず、本発明のスイッチパネルに含まれる。このようなスイッチパネルの例としては、携帯電話、電卓、リモートコントローラ、パーソナルディジタルアシスタンス(PDA)、ラジオ、MP3プレーヤ等の小型電子機器の操作盤、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ等のキーボードを有する電子機器の操作盤、エアーコンディショナ、インターホン等の壁面設置型の電子機器の操作盤、電子レンジ、オーブン、冷蔵庫、炊飯器、掃除機、ガスレンジ、電話機等の家電の操作盤、自動販売機、券売機等の商業用機械、管理システム等の産業用機械の操作盤を挙げることができる。
【0013】
本発明において、「操作シート」とは、本発明のスイッチパネルの表面を覆う薄肉状のシートを意味する。当該操作シートは、本発明のスイッチパネルの表面を覆う形状を有している。操作シートは、複数の操作キーの領域と、その領域を区分けする貫通溝、あるいは区分け部を構成する部位を有している。なお、当該操作シートに、操作シートの機能を表す文字、数字、記号等の印刷あるいは装飾のための印刷、蒸着、塗装、エッチング等を施しても良い。また、操作シートの表面に、帯電防止処理、ハードコートあるいは光反射防止処理を施しても良い。
【0014】
本発明の操作シートを形成する素材は、本発明の操作シートとして利用可能な限り特に限定されるものではない。本発明の操作シートを形成する素材としては、特に、熱可塑性樹脂が好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン(PB)、アイオノマー、エチレン/酢酸ビニル樹脂(E/VAC)、エチレン/ビニルアルコール樹脂(E/VAL)、ポリメチルペンテン(PMP)、環状オレフィン共重合体(COC)、塩素化ポリエチレン(PE−C)等のオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、エチレン/塩化ビニル樹脂(VC/E)、塩素化ポリ塩化ビニル(PVC−C)等の塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン(PS)、スチレン/アクリロニトリル樹脂(SAN)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、AAS樹脂、AES樹脂、ACS樹脂、MBS樹脂、スチレン/N−フェニルマレイミド樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)等のアクリル樹脂、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミドMXD6(PA MXD6)、変性ポリアミド6T、モノマーキャスティングポリアミド等のポリアミド(PA)類、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)等の熱可塑性ポリエステル類、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)等のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロポレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(E/TFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂類、液晶ポリエステル(LCP)等の液晶ポリマー、ポリアクリレート(PAR)、熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)等の熱可塑性イミド系樹脂、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリールケトン(PAEK)、脂肪族ポリケトン(APK)等のケトン系樹脂、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のスルホン系樹脂、ポリベンズイミダゾール(PBI);ポリパラバン酸(PPA)レーヨン、セロファン、セルロースエステル、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、セルロースエーテル、エチルセルロース等の多糖類、ガラス繊維強化熱可塑性プラスチック(FRTP)類を挙げることができる。
【0015】
また、本発明の操作シートを構成するその他の素材としては、例えば、熱硬化性樹脂を採用することもできる。具体的には、フェノール樹脂(PF)、ユリア樹脂(UF)、メラミン樹脂(MF)、不飽和ポリエステル(UP)、アルキド樹脂、シリコーン樹脂(SI)、エポキシ樹脂(EP)、ウレタン樹脂(PUR)、ポリビニルエステル、ポリフタル酸ジアリル(PDAP)、ポリイミド(PI)、ビスマレイミド・トリアジン樹脂(BTレジン)、フラン樹脂(FF)、キシレン樹脂、グアナミン樹脂、マレイン樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD)、熱硬化性強化プラスチック(FRP)等を挙げることができる。
【0016】
本発明において、「下層部」とは、上記操作シートの裏面に配置され、上記操作シートと一体になって本発明のスイッチパネルを構成する部材を意味する。下層部は、少なくとも操作シートの操作キーの裏側にある。操作シートに区分け部の構成部位を形成している場合には、その構成部位の下方にも下層部が配置される。
【0017】
本発明の下層部を形成する素材は、本発明の下層部として利用可能な限り、特に限定されるものではない。例えば、本発明の下層部を形成する材料としては、上記で挙げた操作シートの材料と同様に、ABS樹脂等の多種多様の材料を用いることができる。
【0018】
さらに、本発明の下層部を構成する素材としては、例えば、ポリオレフィン系ポリマーアロイ、ポリスチレン系ポリマーアロイ、ポリ塩化ビニル系ポリマーアロイ、ポリフェニレンエーテル系ポリマーアロイ、ポリカーボネート系ポリマーアロイ、ポリアミド系ポリマーアロイ、ポリブチレンテレフタレート系ポリマーアロイ、ポリアセタール系ポリマーアロイ、ポリフェニレンスルフィド系ポリマーアロイ等のポリマーアロイ、天然ゴム、イソプレンゴム(IR)、スチレン/ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン/プロピレンゴム(EPR&EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、シリコーンゴム、多硫化ゴム、ブチルゴム(IIR)、フッ素ゴム、熱可塑性エラストマー(TPE)等のゴムを挙げることができる。
【0019】
本発明における区分け部は、各操作キーを区分けする部分であって、操作シートの一部と下層部の一部から構成される部分あるいは下層部若しくは操作シートの一部からのみ構成される部分である。このような区分け部の形状としては、例えば、半円形、台形、三角形、四角形、半楕円形等の凸形状、凹形状、波形形状、W字型の線等を挙げることができる。また、本発明における区分け部は、操作キーの周囲の一部または全部を囲むように配置され、操作キー同士が隣り合う場合には、当該隣り合う操作キー同士の境界線を構成する。
【0020】
本発明に係るスイッチパネルを構成する操作シート及び下層部は、好適には射出成形によって製造される。「射出成形」とは、金型内に溶融状態の樹脂を射出した後に金型を外して、所望形状の樹脂成形体を製造する方法である。本発明に係るスイッチパネルを製造するには、例えば、所定形状に予め加工した操作シートを射出成形用の金型の中に装填し、下層部を形成するための樹脂を当該金型の内部に射出し、操作シートと下層部とを一体化させると良い。この場合、所定形状の操作シートは、必要に応じて、下記のような真空成形により、予め立体的な形状に成形しておくことができる。また、外形、スリット、穴などを抜き金型などを使用して切断して、操作シートを製造しても良い。
【0021】
また、本発明に係るスイッチパネルを構成する操作シート及び下層部を真空成形にて製造することもできる。「真空成形」とは、軟化状態の樹脂を金型に配置して、その樹脂と金型との間の空間を真空にすることによって、樹脂を金型に吸い付けて成形する方法をいい、金型への樹脂の供給方法は問わない。したがって、シート形状の樹脂を金型に配置したり、あるいは溶融状態の樹脂を金型に吐出しても良い。真空成形の例としては、雌型を用いるストレート法、雄型によるドレープ法、樹脂シートを半球状にふくらませてその中に雄型を入れて成形するエアスリップ法、エアスリップ法で用いられる雄型の代わりに雌型を用いるリバースドロー法、雌型上にクランプした樹脂シートをプラグで雌型に突き降ろし、樹脂シートを予張して真空にひく補助プラグ法などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、真空成形以外に、樹脂側から金型方向にガス圧を及ぼして成形する圧空成形、当該圧空成形と真空成形の両方を組み合わせた圧空真空成形によって製造することもできる。また、真空成形、圧空成形、圧空真空成形以外の成形方法を採用しても良い。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、薄型で、操作キーの配置上の問題が無く、かつ操作キーの誤動作の少ないスイッチパネルを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るスイッチパネルの好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、本発明はかかる実施の形態に限定されない。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係るスイッチパネル3を、最表面側の操作シート1とその下方に配置される下層部2とに分解した状態を示す分解斜視図である。また、図2は、第1の実施の形態に係るスイッチパネル3の斜視図である。
【0025】
本発明の第1の実施の形態に係るスイッチパネル3は、略同一外形を有する操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。操作シート1と下層部2は、共に、ABS樹脂で構成されている。ただし、操作シート1と下層部2とを別の種類の樹脂で構成しても良い。操作シート1と下層部2との貼り合わせは、接着剤、熱融着あるいは両面テープ等を好適に用いて実現できる。操作シート1上には、「0」から「9」、アスタリスク(*)およびシャープ(#)用の合計12個の操作キー11aと、その上部に配置される略円形状の上下左右操作用の操作キー11bと、操作キー11bの左右にそれぞれ上下に分かれて配置される操作キー11cと、操作キー11bの中心部に配置される操作キー11dとからなる操作キー11が配置されている。以後、操作キー11a,11b,11c,11dを総称する際には、「操作キー11」という。
【0026】
操作キー11aは、波線状の凸部10aでそれぞれ隣り合う操作キー11aと仕切られている。凸部10aは、操作キー11aを完全に囲まず、部分的に接するように配置されている。操作キー11bは、円形線状の凸部10bで囲まれるように仕切られている。操作キー11bの中心部には、凸部10bより小さい円形破線状の凸部10dが形成されている。凸部10dの内部には、操作キー11dが配置されている。操作キー11bの左右に位置する操作キー11cは、いずれも直線状の凸部10cで仕切られている。以後、凸部10a,10b,10c,10dを総称する際には、「凸部10」という。
【0027】
下層部2における操作シート1と貼り合わせる側の面(表側の面)には、操作シート1上の凸部10a、10b、10cおよび10dにそれぞれ対応する位置で、かつそれぞれに対応する形状にて表側の面に突出する凸部20a、20b、20cおよび20dを有する。以後、凸部20a,20b,20c,20dを総称する際には、「凸部20」という。また、下層部2における操作シート1上の各操作キー11と対応する部位には、裏面側に突出する押圧伝達部21を有する。各押圧伝達部21は、各操作キー11の押し動作を下方に伝達させ、下層部2の裏側に配置されるスイッチを押すための部位である。
【0028】
図3は、図2に示すスイッチパネル3をA−A線(一点鎖線)にて切断した際の断面図である。また、図4は、図3の一点鎖線で囲った部分Bの拡大図である。なお、図3以降の図では、見やすさを考慮して、操作シート1の領域を白抜きで示し、斜線で示す下層部2と区別しやすくしている。
【0029】
操作シート1と下層部2とを貼り合わせた状態では、凸部10と凸部20も貼り合わせた状態になり、区分け部30となる。図4に示すように、下層部2において、凸部20の厚さは、操作キー11の下方の部位の厚さに比べて薄い。一方、操作シート1は、部位を問わず、ほぼ同じ厚さである。このため、凸部10と凸部20とから構成される区分け部30の厚さt1は、操作キー11の部位の厚さt2よりも薄い。
【0030】
したがって、操作キー11を押した際に、操作キー11の厚さよりも薄い区分け部30が歪み、他の操作キー11を引っ張って誤動作させることなく、スイッチのオン/オフを行うことができる。
【0031】
操作キー11における操作シート1と下層部2とを合わせた厚みt2(ただし、押圧伝達部21の部位を除く)は、0.5mm以上1.5mm以下の範囲とするのが好ましい。0.5mm以上の厚みとすると、操作キー11が撓みにくく、操作感が良くなる。また、指による操作を繰り返しても、へこみや傷が付きにくくなる。また、1.5mm以下の厚みとすると、薄型化を図る上で有利となる。
【0032】
また、区分け部30における操作シート1と下層部2とを合わせた厚みt1は、0.1mm以上0.4mm以下の範囲とするのが好ましい。0.1mm以上の厚みとすると、区分け部30が切れにくくなる。また、0.4mm以下の厚みとすると、操作キー11の押し動作が容易になる。
【0033】
図5は、操作キー11の押し動作前後の区分け部30周辺の状態を模式的に拡大して示す図である。太実線で示す状態は操作キー11を押す前の状態であり、太点線で示す状態は矢印Cで示す方向に操作キー11を押した後の状態である。
【0034】
図5に示すように、ある区分け部30の湾曲している部分の長さをY、当該区分け部30の幅をX、当該区分け部30に隣接する操作キー11の押し込み長さをaとする。操作キー11を矢印Cの方向に押し込むと、当該区分け部30は、(X+a1/2という距離の部分へと変形移動する。この場合、Yが(X+a1/2以上の長さになるように区分け部30を形成すると、操作キー11の押し動作によって、隣接する操作キー11まで引っ張って誤動作を生じさせる危険性が低くなる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0036】
図6は、第2の実施の形態に係るスイッチパネル4を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0037】
第2の実施の形態に係るスイッチパネル4は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。操作シート1には、操作キー11を区分けするための凹部12が設けられている。また、下層部2には、凹部12と対応する位置に、かつ対応する大きさの凹部22が形成されている。操作シート1と下層部2とを貼り合わせた状態において、凹部12と凹部22も貼り合わせられ、区分け部32を形成する。
【0038】
スイッチパネル4において、第1の実施の形態に係るスイッチパネル3と異なる点は、区分け部32の形状が、区分け部30と異なり、裏側にへこんでいることである。図6に示すように、区分け部32が凹形状であっても、操作キー11の押し動作の際に歪み、隣接する操作キー11を引っ張って誤動作に至る危険性は低くなる。
【0039】
(第3の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
図7は、第3の実施の形態に係るスイッチパネル5を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0041】
第3の実施の形態に係るスイッチパネル5は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。操作シート1には、操作キー11を区分けするための波形部13が設けられている。また、下層部2には、波形部13と対応する位置に、かつ対応する大きさの波形部23が形成されている。操作シート1と下層部2とを貼り合わせた状態において、波形部13と波形部23も貼り合わせられ、区分け部33を形成する。
【0042】
スイッチパネル5において、第1の実施の形態に係るスイッチパネル3および第2の実施の形態に係るスイッチパネル4と異なる点は、区分け部33の形状が、区分け部30,32と異なり、凹凸のある波形の形状であることである。図7に示すように、区分け部33が波形の形状であっても、操作キー11の押し動作の際に歪み、隣接する操作キー11を引っ張って誤動作に至る危険性は低くなる。
【0043】
(第4の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第4の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図8は、第4の実施の形態に係るスイッチパネル6を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0045】
第4の実施の形態に係るスイッチパネル6は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。下層部2には、操作キー11を区分けするための凸部24が設けられている。また、操作シート1には、凸部24を貫通させるための貫通溝14が形成されている。操作シート1と下層部2とを貼り合わせた状態において、貫通溝14から凸部24が突出し、区分け部34となる。すなわち、区分け部34は、凸部24のみから形成されており、この点は、第4の実施の形態が第1から第3の各実施の形態と異なる点である。
【0046】
図8に示すように、区分け部34が凸部24のみから形成されていても、操作キー11の押し動作の際に歪み、隣接する操作キー11を引っ張って誤動作に至る危険性は低くなる。なお、凸部24の天面は、貫通溝14の表面から突出せずに、操作シート1の厚みの途中の位置にあっても良い。区分け部34としての好適な厚さは、第1の実施の形態と同様の範囲である。
【0047】
(第5の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第5の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0048】
図9は、第5の実施の形態に係るスイッチパネル7を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0049】
第5の実施の形態に係るスイッチパネル7は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。操作シート1に設けられた操作キー15は、ヘアラインの形状の加工溝が入ったキーである。ヘアラインの凹凸の高低差は、50μm以下とするのが好ましいが、これに限定されない。また、操作キー15の表面に、シボ、スピンカット、切削加工による金属調の装飾等を施しても良い。かかる形態以外については、スイッチパネル7は、第4の実施の形態に係るスイッチパネル6と共通する。
【0050】
(第6の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第6の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0051】
図10は、第6の実施の形態に係るスイッチパネル8を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0052】
第6の実施の形態に係るスイッチパネル8は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。下層部2には、操作キー17を区分けするための凸部26が設けられている。凸部26の天面は、凹形状である。また、操作シート1には、凸部26を貫通させるための貫通溝16が形成されている。操作シート1と下層部2とを貼り合わせた状態において、貫通溝16から凸部26が突出し、区分け部36となる。すなわち、区分け部36は、凸部26のみから形成されており、この点は、第4および第5の各実施の形態と共通する。
【0053】
スイッチパネル8が第4および第5の各実施の形態と異なる点は、凸部26の天面がへこんでいることと、操作シート1および下層部2が表側に凸となる形状を有していることである。凸部26の天面がへこんでいても、操作キー17の押し動作によって歪み、隣接する操作キー17を引っ張って誤動作に至る危険性は低くなる。加えて、操作キー17同士をそのへこみによって区別することができる。また、操作シート1および下層部2が表側に凸の形状であっても、スイッチパネル8は、複数の操作キー17をパネルの領域に有する以上、略平板状と解釈するものとする。
【0054】
(第7の実施の形態)
次に、本発明に係るスイッチパネルの第7の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分については、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
図11は、第7の実施の形態に係るスイッチパネル9を、図2で示すA−A線と同様の線で切断した断面図である。
【0056】
第7の実施の形態に係るスイッチパネル9は、操作シート1と下層部2とを貼り合わせた構造を有している。下層部2には、操作キー11を区分けするための区分け部38の構成部が設けられておらず、そこには貫通溝28のみが設けられている。また、操作シート1には、その表面側に突出する凸部18が設けられている。すなわち、操作キー11を区分けする区分け部38は凸部18のみから構成されている。この点は、下層部2の凸部24のみから区分け部34を構成する第4の実施の形態に係るスイッチパネル6と異なる。
【0057】
図11に示すように、区分け部38が凸部18のみから形成されていても、操作キー11の押し動作の際に歪み、隣接する操作キー11を引っ張って誤動作に至る危険性は低くなる。なお、凸部18の天面は、凹形状であっても良い。区分け部38としての好適な厚さは、第1の実施の形態と同様の範囲である。
【0058】
以上、本発明に係るスイッチパネルの好適な各実施の形態について説明したが、本発明はかかる形態に限定されることなく、種々変形を施した形態にて実施可能である。
【0059】
操作キーを区分けする区分け部は、凸形状、凹形状、波形形状の他に、波形以外の凹凸形状としても良い。また、下層部2をゴムで構成し、操作シート1を樹脂で構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係るスイッチパネルは、操作キーを有する各種電子機器における操作盤として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るスイッチパネルの第1の実施の形態の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るスイッチパネルの第1の実施の形態の斜視図である。
【図3】図2のスイッチパネルをA−A線で切断した際の断面図である。
【図4】図3の断面図において一点鎖線で囲った部分Bの拡大図である。
【図5】図4に示す操作キーの押し動作前後の区分け部周辺の状態を模式的に拡大して示す図である。
【図6】本発明に係るスイッチパネルの第2の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【図7】本発明に係るスイッチパネルの第3の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【図8】本発明に係るスイッチパネルの第4の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【図9】本発明に係るスイッチパネルの第5の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【図10】本発明に係るスイッチパネルの第6の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【図11】本発明に係るスイッチパネルの第7の実施の形態の一部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 操作シート
2 下層部
3 スイッチパネル
4 スイッチパネル
5 スイッチパネル
6 スイッチパネル
7 スイッチパネル
8 スイッチパネル
9 スイッチパネル
11 操作キー
15 操作キー
17 操作キー
30 区分け部
32 区分け部
33 区分け部
34 区分け部
36 区分け部
38 区分け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作キーの領域を有する実質的に平板状の操作シートと、その操作シートの少なくとも上記操作キーの領域の裏側に配置される下層部とを備えるスイッチパネルであって、該操作キーの周囲の一部または全部に、該操作キーを区分けする非平面形状の区分け部を有し、スイッチパネルにおける上記区分け部の厚さを、スイッチパネルにおける上記操作キーの厚さよりも薄く形成していることを特徴とするスイッチパネル。
【請求項2】
前記区分け部は、前記操作シートの面に対して凸形状、凹形状または波形形状であることを特徴とする請求項1に記載のスイッチパネル。
【請求項3】
前記区分け部は、前記操作シートのみ、または前記操作シート上から突出する前記下層部のみからなることを特徴とする請求項1または2に記載のスイッチパネル。
【請求項4】
前記操作シートおよび前記下層部は、ともに樹脂材料から構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−134100(P2007−134100A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324356(P2005−324356)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】