説明

スイッチング素子駆動装置

【課題】ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、部品点数を削減でき、コストを抑えることができるスイッチング素子駆動装置を提供する。
【解決手段】IGBT110dのコレクタ電流が過電流状態になると、過電流判定回路122dは、過電流信号を出力する。過電流信号が入力されると、トランジスタ駆動回路122eは、MOSFET122aをオフするとともに、所定時間経過後、MOSFET112cをオンする。MOSFET112cのオン抵抗は、MOSFET122bのオン抵抗とゲート抵抗121との合成抵抗の2倍以上となるように設定されている。そのため、IGBT110dのゲート電圧は、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ緩やかに放電され、ソフトシャットダウンする。従って、ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を駆動するスイッチング素子駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチング素子を駆動するスイッチング素子駆動装置として、例えば特許文献1に開示されているIGBT駆動回路がある。このIGBT駆動回路は、IGBTのゲートに電圧を印加してIGBTをオンさせる。そして、ゲートに印加された電圧を放電してIGBTをオフさせる。さらに、IGBTのコレクタ電流が過電流状態のときには、ゲートに印加された電圧を通常状態に比べ緩やかに放電してIGBTをオフさせる。いわゆるソフトシャットダウンさせる。これにより、コレクタ電流の時間変化率が小さくなり、サージ電圧を抑えることができる。
【特許文献1】特許第3548497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、ソフトシャットダウンするための回路は、MOSFETと、抵抗とから構成されている。MOSFETがオンすると、IGBTのゲートに印加された電圧が抵抗を介して放電される。ゲートに印加された電圧を通常状態に比べ緩やかに放電するため、ゲートから流れ出す電流を制限する必要がある。そのため、高抵抗値の抵抗を付属し電流を制限しているが、部品点数が増加するという問題があった。また、それに伴ってコストが上昇してしまうという問題もあった。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、部品点数を削減でき、コストを抑えることができるスイッチング素子駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
そこで、本発明者らは、この課題を解決すべく鋭意研究し試行錯誤を重ねた結果、ソフトシャットダウン回路を構成するトランジスタの特性を利用して電流を制御することで、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧をオフ駆動回路に比べ緩やかに放電して
スイッチング素子をソフトシャットダウンできることを思いつき、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、請求項1に記載のスイッチング素子駆動装置は、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子に電圧を印加してスイッチング素子をオンさせるオン駆動回路と、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧を放電してスイッチング素子をオフさせるオフ駆動回路と、スイッチング素子の制御端子に接続されるトランジスタを有し、異常時に、トランジスタの特性を利用してスイッチング素子の制御端子から流れる電流を制御することで、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧をオフ駆動回路に比べ緩やかに放電してスイッチング素子をソフトシャットダウンさせるソフトシャットダウン回路と、を有することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、ソフトシャットダウン回路は、トランジスタの特性を利用してスイッチング素子の制御端子から流れる電流を制御する。そのため、ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
【0008】
請求項2に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項1に記載のスイッチング素子駆動装置において、トランジスタは、電界効果トランジスタであり、ソフトシャットダウン回路は、電界効果トランジスタのオン抵抗を利用してスイッチング素子の制御端子から流れる電流を制御することを特徴とする。この構成によれば、ソフトシャットダウンのために別途必要であった抵抗を確実に廃止することができる。
【0009】
請求項3に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項2に記載のスイッチング素子駆動装置において、電界効果トランジスタのオン抵抗は、電界効果トランジスタによってスイッチング素子の制御端子から流れる電流が、オフ駆動回路によってスイッチング素子の制御端子から流れる電流の1/2倍以下となるように設定されていることを特徴とする。この構成によれば、確実に、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧をオフ駆動回路に比べ緩やかに放電することができる。そのため、スイッチング素子を確実にソフトシャットダウンさせることができる。
【0010】
請求項4に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項3に記載のスイッチング素子駆動装置において、電界効果トランジスタのオン抵抗は、電界効果トランジスタのチップ面積を調整することによって設定されていることを特徴とする。この構成によれば、電界効果トランジスタのオン抵抗を確実に設定することができる。
【0011】
請求項5に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項1に記載のスイッチング素子駆動装置において、トランジスタは、バイポーラトランジスタであり、ソフトシャットダウン回路は、バイポーラトランジスタの電流増幅特性を利用してスイッチング素子の制御端子から流れる電流を制御することを特徴とする。この構成によれば、ソフトシャットダウンのために別途必要であった抵抗を確実に廃止することができる。
【0012】
請求項6に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項5に記載のスイッチング素子駆動装置において、ソフトシャットダウン回路は、スイッチング素子の制御端子から流れる電流が、オフ駆動回路によってスイッチング素子の制御端子から流れる電流の1/2倍以下となるようにバイポーラトランジスタのベース電流を調整することを特徴とする。この構成によれば、確実に、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧をオフ駆動回路に比べ緩やかに放電することができる。そのため、スイッチング素子を確実にソフトシャットダウンさせることができる。
【0013】
請求項7に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスイッチング素子駆動装置において、オン駆動回路は、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子に電圧を印加する第1スイッチング手段を有し、オフ駆動回路は、スイッチング素子の制御端子に接続され、スイッチング素子の制御端子に印加された電圧を放電する第2スイッチング手段を有し、第1スイッチング手段、第2スイッチング手段及びトランジスタは、IC内部に一体的に構成されていることを特徴とする。この構成によれば、IC化により、スイッチング素子駆動装置を小型化することができる。
【0014】
請求項8に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項7に記載のスイッチング素子駆動装置において、第2スイッチング手段とトランジスタは、IC内部で接続され、共通接続点がIC外部でスイッチング素子の制御端子に接続されることを特徴とする。この構成によれば、ICの端子数を削減することができる。また、IC外部における配線パターンを削減することができるため、スイッチング素子駆動装置を小型化することができる。
【0015】
請求項9に記載のスイッチング素子駆動装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のスイッチング素子駆動装置において、車両に搭載された電力変換装置を構成するスイッチング素子を駆動することを特徴とする。この構成によれば、車両に搭載された電力変換装置の部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
【0016】
なお、前述した第1及び第2スイッチング手段は、スイッチング手段を区別するために便宜的に導入したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本実施形態では、本発明に係るスイッチング素子駆動装置を、車両に搭載されたモータジェネレータ制御装置に適用した例を示す。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1を参照してモータジェネレータ制御装置の構成について説明する。ここで、図1は、第1実施形態におけるモータジェネレータ制御装置の回路図である。
【0019】
図1に示すモータジェネレータMG1は、3相交流電圧が供給されることでモータとして動作し、外部から駆動力が供給されることで3相交流電圧を発生するジェネレータとして動作する機器である。
【0020】
モータジェネレータ制御装置1(電力変換装置)は、コンバータ回路10と、インバータ回路11と、制御回路12とから構成されている。
【0021】
コンバータ回路10は、バッテリB1の出力する直流電圧を昇圧してインバータ回路11に供給する回路である。また、逆に、インバータ回路11の出力する直流電圧を降圧してバッテリB1を充電する回路でもある。コンバータ回路10は、低電圧側平滑用コンデンサ100と、コイル101と、IGBT102a、102bと、フライホイールダイオード103a、103bと、電流センス抵抗104a、104bと、高電圧側平滑用コンデンサ105とから構成されている。
【0022】
低電圧側平滑用コンデンサ100は、低電圧側の直流電圧を平滑するための素子である。低電圧側平滑用コンデンサ100は、昇圧動作のときには、バッテリB1の出力する直流電圧を平滑し、降圧動作のときには、バッテリB1を充電する降圧された直流電圧を平滑する。低電圧側平滑用コンデンサ100の正極端子及び負極端子は、バッテリB1の正極端子及び負極端子にそれぞれ接続されている。
【0023】
コイル101は、電流が流れることでエネルギーを蓄積、放出するとともに電圧を誘起する素子である。コイル101の一端は低電圧側平滑用コンデンサ100の正極端子に、他端はIGBT102a、102bに接続されている。
【0024】
IGBT102a、102bは、オン、オフすることでコイル101にエネルギーを蓄積、放出させるためのスイッチング素子である。IGBT102a、102bは、オンしたときにコレクタからエミッタに流れるコレクタ電流に比例し、コレクタ電流より小さい電流が流れる電流センス端子を備えている。IGBT102a、102bは直列接続されている。具体的には、IGBT102aのエミッタがIGBT102bのコレクタに接続されている。直列接続されたIGBT102a、102bの直列接続点は、コイル101の他端に接続されている。また、IGBT102aのコレクタは高電圧側平滑用コンデンサ105の正極端子に、IGBT102bのエミッタは低電圧側平滑用コンデンサ100及び高電圧側平滑用コンデンサ105の負極端子にそれぞれ接続されている。さらに、IGBT102a、102bのゲートは制御回路12にそれぞれ接続されている。
【0025】
フライホイールダイオード103a、103bは、IGBT102a又はIGBT102bがオフし、コイル101に蓄積されたエネルギーが放出されるときに発生するフライホイール電流を流すための素子である。フライホイールダイオード103a、103bのアノードはIGBT102a、102bのエミッタに、カソードはIGBT102a、102bのコレクタにそれぞれ接続されている。
【0026】
電流センス抵抗104a、104bは、IGBT102a、102bに流れるコレクタ電流を検出するための素子である。電流センス抵抗104a、104bは、電流センス端子120に流れる電流を電圧に変換する。電流センス抵抗104a、104bの一端はIGBT102a、102bの電流センス端子に、他端はIGBT102a、102bのコレクタにそれぞれ接続されている。さらに、電流センス抵抗104a、104bの両端は制御回路12にそれぞれ接続されている。
【0027】
高電圧側平滑用コンデンサ105は、高電圧側の直流電圧を平滑するための素子である。高電圧側平滑用コンデンサ105は、昇圧動作のときには、インバータ回路11に供給する昇圧された直流電圧を平滑し、降圧動作のときには、インバータ回路11の出力する直流電圧を平滑する。高電圧側平滑用コンデンサ105の正極端子はIGBT102aのコレクタに、負極端子はIGBT102bのエミッタにそれぞれ接続されている。また、高電圧側平滑用コンデンサ105の正極端子及び負極端子はインバータ回路11にそれぞれ接続されている。
【0028】
インバータ回路11は、モータジェネレータMG1がモータとして動作するとき、コンバータ回路10の出力する直流高電圧を3相交流電圧に変換して、モータジェネレータMG1に供給する回路である。また、逆に、モータジェネレータMG1がジェネレータとして動作するとき、モータジェネレータMG1の発生する3相交流電圧を直流電圧に変換して、コンバータ回路10に供給する装置でもある。インバータ回路11は、IGBT110a〜110fと、フライホイールダイオード111a〜111fと、電流センス抵抗112a〜112fとから構成されている。
【0029】
IGBT110a〜110fは、オン、オフすることで直流電圧を3相交流電圧に変換するためのスイッチング素子である。IGBT110a〜110fは、オンしたときにコレクタからエミッタに流れるコレクタ電流に比例し、コレクタ電流より小さい電流が流れる電流センス端子を備えている。IGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fはそれぞれ直列接続されている。具体的には、IGBT110a〜110cのエミッタが、IGBT110d〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。直列接続された3組のIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fは並列接続されている。IGBT110a〜110cのコレクタは高電圧側平滑用コンデンサ105の正極端子に、3つのIGBT110d〜110fのエミッタは高電圧側平滑用コンデンサ105の負極端子にそれぞれ接続されている。IGBT110a〜110fのゲートは制御回路12にそれぞれ接続されている。また、直列接続されたIGBT110a、110d、IGBT110b、110e及びIGBT110c、110fの直列接続点は、モータジェネレータMG1にそれぞれ接続されている。
【0030】
フライホイールダイオード111a〜111fは、IGBTがオフし、モータジェネレータMG1のコイルに蓄積されたエネルギーが放出されるときに発生するフライホイール電流を流すための素子である。また、モータジェネレータMG1の発生する3相交流電圧を直流電圧に変換するための素子でもある。フライホイールダイオード111a〜111fのアノードはIGBT110a〜110fのエミッタに、カソードはIGBT110a〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。
【0031】
電流センス抵抗112a〜112fは、IGBT110a〜110fに流れるコレクタ電流を検出するための素子である。電流センス抵抗112a〜112fは、電流センス端子に流れる電流を電圧に変換する。電流センス抵抗112a〜112fの一端はIGBT110a〜110fの電流センス端子に、他端はIGBT110a〜110fのコレクタにそれぞれ接続されている。さらに、電流センス抵抗112a〜112fの両端は制御回路12にそれぞれ接続されている。
【0032】
制御回路12は、モータジェネレータMG1がモータとして動作するとき、コンバータ回路10が昇圧動作をするようにIGBT102bをオン、オフするとともに、インバータ回路11が直流電圧を3相交流電圧に変換するようにIGBT110a〜110fをオン、オフする回路である。また、逆に、モータジェネレータMG1がジェネレータとして動作するとき、コンバータ回路10が降圧動作をするようにIGBT102aをオン、オフする回路でもある。電流センス抵抗104a、104b、112a〜112fの電圧に基づいてIGBT102a、102b、110a〜110fのコレクタ電流が過電流状態であるか否かを判定し、過電流状態であるときには、IGBT102a、102b、110a〜110fをソフトシャットダウンさせる。制御回路12は、IGBT102a、102b、110a〜110fのゲート及び電流センス抵抗104a、104b、112a〜112fの両端にそれぞれ接続されている。
【0033】
次に、図1及び図2を参照して制御回路内に構成されるIGBTの駆動回路部分について説明する。ここで、図2は、制御回路内に構成されるIGBTの駆動回路部分の回路図である。なお、IGBT102a、102b、110a〜110fの駆動回路部分はともに同一の回路構成である。そのため、ここでは、IGBT110dの駆動回路部分について説明する。
【0034】
図2に示すように、制御回路12は、IGBT110dの駆動回路部分として、ゲート抵抗120、121と、IGBT駆動用IC122とを備えている。
【0035】
ゲート抵抗120は、IGBT110dのゲートに電圧を印加する際に、IGBT110dのゲートに流れ込む電流を制限するための素子である。ゲート抵抗120の抵抗値は、IGBT110dのゲート電圧の立上りが遅くならないよう数Ω〜数十Ωに設定されている。ゲート抵抗120の一端はIGBT駆動用IC122に、他端はIGBT110dのゲートにそれぞれ接続されている。
【0036】
ゲート抵抗121は、IGBT110dのゲートに印加された電圧を放電する際に、IGBT110dのゲートから流れ出す電流を制限するための素子である。ゲート抵抗121の抵抗値は、IGBT110dのゲート電圧の立下りが遅くならないよう数Ω〜数十Ωに設定されている。ゲート抵抗121の一端はIGBT駆動用IC122に、他端はIGBT110dのゲートにそれぞれ接続されている。
【0037】
IGBT駆動用IC122は、外部から入力される駆動信号と電流センス抵抗112dによって検出されるIGBT110dのコレクタ電流とに基づいてIGBT110dをオン、オフするためのICである。IGBT駆動用IC122は、MOSFET122a(第1スイッチング手段)と、MOSFET122b(第2スイッチング手段)と、MOSFET122c(トランジスタ)と、過電流判定回路122dと、トランジスタ駆動回路122eとから構成されている。
【0038】
MOSFET122aは、IGBT110dのゲートにゲート抵抗120を介して電圧を印加し、IGBT110dをオンさせるトランジスタである。具体的には、pチャネルMOSFETである。MOSFET122aのオン抵抗はmΩオーダに設定されている。MOSFET122aのソースは端子T10を介して回路用電源に、ドレインは端子T11を介してゲート抵抗120の一端にそれぞれ接続されている。また、ゲートはトランジスタ駆動回路122eに接続されている。
【0039】
MOSFET122bは、IGBT110dのゲートに印加された電圧をゲート抵抗121を介して放電し、IGBT110dをオフさせるトランジスタである。具体的には、nチャネルMOSFETである。MOSFET122bのオン抵抗はmΩオーダに設定されている。MOSFET122bのドレインは端子T12を介してゲート抵抗121の一端に接続され、ソースは端子T16を介して接地されている。また、ゲートはトランジスタ駆動回路122eに接続されている。
【0040】
MOSFET122cは、IGBT110dのコレクタ電流が過電流状態のときに、IGBT110dのゲートに印加された電圧を、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ緩やかに放電し、IGBT110dをソフトシャットダウンさせるトランジスタである。具体的には、nチャネルMOSFETである。MOSFET122cのドレインは端子T13を介してIGBT110dのゲートに接続され、ソースは端子T16を介して接地されている。また、ゲートはトランジスタ駆動回路122eに接続されている。MOSFET122cは、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ緩やかに放電できるよう、オン抵抗が設定されている。具体的には、IGBT110dのゲートに印加された電圧を放電する際にゲートから流れ出す電流が、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合の1/2倍以下となるように設定されている。より具体的には、チップ面積を小さくすることにより、MOSFET122cのオン抵抗が、MOSFET122bのオン抵抗とゲート抵抗121との合成抵抗の2倍以上の数十Ω〜数百Ωとなるように設定されている。
【0041】
過電流判定回路122dは、電流センス抵抗112dの電圧に基づいてIGBT110dのコレクタ電流が過電流状態であるか否かを判定する回路である。過電流判定回路122dは、IGBT110dのコレクタ電流が過電流状態であると判定したとき、トランジスタ駆動回路122eに対して過電流信号を出力する。過電流判定回路122eは、端子T14を介して電流センス抵抗112dの一端に接続され、電流センス抵抗112dの他端は端子T15、T16を介して接地されている。また、過電流判定回路122dはトランジスタ駆動回路122eに接続されている。
【0042】
トランジスタ駆動回路122eは、外部から入力される駆動信号と過電流判定回路122dから入力される過電流信号とに基づいてMOSFET122a〜122cを駆動する回路である。トランジスタ駆動回路122eは、駆動信号に基づいてMOSFET122aをオンさせ、ゲート抵抗120を介してIGBT110dのゲートに電圧を印加する。そして、駆動信号に基づいてMOSFET122bをオンさせ、ゲート抵抗121を介してIGBT110dのゲートに印加された電圧を放電する。一方、過電流判定回路122dから過電流信号が入力された場合には、MOSFET122cをオンさせ、IGBT110dのゲートに印加された電圧を放電する。トランジスタ駆動回路122eは、MOSFET122a〜122cのゲートにそれぞれ接続されている。また、過電流判定回路122dに接続されている。
【0043】
なお、ゲート抵抗120、MOSFET122a及びトランジスタ駆動回路122eが、本発明におけるオン駆動回路に相当する。また、ゲート抵抗121、MOSFET122b及びトランジスタ駆動回路122eが、本発明におけるオフ駆動回路に相当する。さらに、MOSFET122c及びトランジスタ駆動回路122eが、本発明における
ソフトシャットダウン回路に相当する。
【0044】
次に、図1を参照してモータジェネレータ制御装置の動作について説明する。
【0045】
図1において、モータジェネレータMG1がモータとして動作するとき、制御回路12は、IGBT102bをオンしてバッテリB1からコイル101にエネルギーを蓄積させる。その後、IGBT102bをオフし、コイル101に蓄積されたエネルギーを放出させる。このとき、コイル101は、低電圧側平滑用コンデンサ100に接続される一端に対して、IGBT102a、102bに接続される他端が高電位となる。つまり、コイル101の他端がバッテリB1の電圧より高くなる。IGBT102a、102bがともにオフ状態であるため、コイル101のエネルギーの放出に伴う電流は、フライホイールダイオード103aを介して高電圧側平滑用コンデンサ105に流れ、高電圧側平滑用コンデンサ105が充電される。以降、同様の動作が繰り返され、高電圧側平滑用コンデンサ105の電圧が所定電圧に保持される。
【0046】
さらに、制御回路12は、IGBT110a〜110fを所定のタイミングでオン、オフして、高電圧側平滑用コンデンサ105に充電された直流電圧を3相交流電圧に変換し、モータジェネレータMG1に供給する。インバータ回路11から3相交流電圧が供給されると、モータジェネレータMG1は、モータとして動作しトルクを発生する。
【0047】
一方、モータジェネレータMG1がジェネレータとして動作するとき、インバータ回路11は、フライホイールダイオード110a〜110fによって構成される整流回路で、モータジェネレータMG1の発生する3相交流電圧を直流電圧に変換する。そして、変換された直流電圧によって高電圧側平滑用コンデンサ105が充電される。
【0048】
制御回路12は、IGBT102aをオンし、高電圧側平滑用コンデンサ105からコイル101にエネルギーを蓄積させる。その後、IGBT102aをオフし、コイル101に蓄積されたエネルギーを放出させる。このとき、コイル101は、IGBT102a、102bに接続される他端に対して、低電圧側平滑用コンデンサ100に接続される一端が高電位となる。つまり、コイル101の一端が、高電圧側平滑用コンデンサ105の電圧より低くなる。IGBT102a、102bがともにオフ状態であるため、コイル101のエネルギーの放出に伴う電流は、フライホイールダイオード103bを介してバッテリB1に流れ、バッテリB1が充電される。以降、同様の動作が繰り返され、バッテリB1の電圧が所定電圧に保持される。
【0049】
次に、図2及び図3を参照してIGBTの駆動動作について説明する。ここで、図3は、IGBTの駆動動作を説明するためのタイムチャートである。ここでは、IGBT102a、102b、110a〜110fのうち、IGBT110dの駆動動作について説明する。
【0050】
図3においてt1のとき、図2に示すトランジスタ駆動回路122eは、外部から入力される駆動信号に基づいてMOSFET122aをオンする。ゲート抵抗120によってIGBT110dのゲートに流れ出す電流が制限されるため、IGBT110dのゲート電圧は徐々に上昇し回路用電源の電圧となる。IGBT110dは、ゲートに電圧が印加されることでオンし、コレクタ電流が流れる。その後、t2のとき、トランジスタ駆動回路122eは、駆動信号に基づいてMOSFET122aをオフするとともに、所定時間経過後のt3のとき、MOSFET122bをオンする。ゲート抵抗121によってIGBT110dのゲートから流れ出す電流が制限されるため、IGBT110dのゲート電圧は徐々に下降し0Vとなる。IGBT110dは、ゲートに印加された電圧が放電して0Vとなることでオフし、コレクタ電流が遮断される。
【0051】
その後、t4のとき、トランジスタ駆動回路122eが駆動信号に基づいてMOSFET122aをオンすることで、IGBT110dにコレクタ電流が流れる。しかし、t5のとき、何らかの異常が発生してコレクタ電流が急激に上昇する。過電流判定回路122dは、電流センス抵抗112dの電圧に基づいてIGBT110dのコレクタ電流が過電流状態であるか否かを判定している。コレクタ電流が過電流閾値を越えたt6のとき、過電流判定回路122dは、トランジスタ駆動回路122eに対して過電流信号を出力する。過電流信号が入力されると、トランジスタ駆動回路122eは、MOSFET122aをオフするとともに、所定時間経過後のt7のとき、MOSFET112cをオンする。前述したように、MOSFET112cのオン抵抗は、MOSFET122bのオン抵抗とゲート抵抗121との合成抵抗の2倍以上となるように設定されている。そのため、IGBT110dのゲート電圧は、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ緩やかに放電され下降して0Vとなる。これにより、IGBT110dをソフトシャットダウンすることができる。
【0052】
次に、効果について説明する。第1実施形態によれば、MOSFET122cの特性を利用してIGBT110dのゲートから流れ出す電流を制御する。具体的には、MOSFET122cのオン抵抗を利用してIGBT110dのゲートから流れ出す電流を制御する。そのため、ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、車両に搭載されたモータジェネレータ制御装置の部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
【0053】
また、第1実施形態によれば、MOSFET112cのオン抵抗は、MOSFET122bのオン抵抗とゲート抵抗121との合成抵抗の2倍以上となるように設定されている。そのため、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ、確実に、IGBT110dのゲート電圧を緩やかに放電することができる。
【0054】
さらに、第1実施形態によれば、MOSFET112cのオン抵抗は、チップ面積を調整することによって設定されている。そのため、MOSFET112cのオン抵抗を確実に設定することができる。
【0055】
加えて、第1実施形態によれば、MOSFET122a〜122cは、IGBT駆動用IC122内に一体的に構成されている。そのため、IC化により、モータジェネレータ制御装置を小型化することができる。
【0056】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のモータジェネレータ制御装置について説明する。第2実施形態のモータジェネレータ制御装置は、第1実施形態のモータジェネレータ制御装置に対してIGBT駆動用IC内の配線を変更したものである。
【0057】
まず、図4を参照してIGBTの駆動回路部分の構成について説明する。ここで、図4は、第2実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。ここでは、第1実施形態のモータジェネレータ制御装置との相違部分であるIGBTの駆動回路部分の構成のみについて説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0058】
図4に示すように、制御回路22は、IGBT210dの駆動回路部分として、ゲート抵抗220、221と、IGBT駆動用IC222とを備えている。ゲート抵抗220、221は、第1実施形態におけるゲート抵抗120、121と同一構成である。
【0059】
IGBT駆動用IC222は、MOSFET222a(第1スイッチング手段)、MOSFET222b(第2スイッチング手段)、MOSFET222cと、過電流判定回路222dと、トランジスタ駆動回路222eとから構成されている。MOSFET220a、220b、過電流判定回路222d及びトランジスタ駆動回路222eは、第1実施形態におけるMOSFET120a、120b、過電流判定回路122d及びトランジスタ駆動回路122eと同一構成である。
【0060】
MOSFET222cは、IGBT210dのコレクタ電流が過電流状態のときに、IGBT210dをソフトシャットダウンさせるトランジスタである。具体的には、nチャネルMOSFETである。MOSFET222cのドレインは端子T22を介してゲート抵抗221の一端に接続され、ソースは端子T26を介して接地されている。また、ゲートはトランジスタ駆動回路222eに接続されている。MOSFET222cは、MOSFET222bによってゲート抵抗221を介して放電する場合に比べ緩やかに放電できるよう、オン抵抗が設定されている。具体的には、IGBT210dのゲートに印加された電圧を放電する際にゲートから流れ出す電流が、MOSFET222bによってゲート抵抗221を介して放電する場合の1/2倍以下となるように設定されている。より具体的には、チップ面積を小さくすることにより、MOSFET222cのオン抵抗とゲート抵抗221との合成抵抗が、MOSFET222bのオン抵抗とゲート抵抗221との合成抵抗の2倍以上の数十Ω〜数百Ωとなるように設定されている。
【0061】
なお、ゲート抵抗220、MOSFET222a及びトランジスタ駆動回路222eが、本発明におけるオン駆動回路に相当する。また、ゲート抵抗221、MOSFET222b及びトランジスタ駆動回路222eが、本発明におけるオフ駆動回路に相当する。さらに、MOSFET222c及びトランジスタ駆動回路222eが、本発明におけるソフトシャットダウン回路に相当する。
【0062】
次に、図4を参照して動作について説明する。IGBTのコレクタ電流が過電流状態となったときの動作以外は、第1実施形態におけるモータジェネレータ制御装置と同一である。ここでは、IGBT210dのコレクタ電流が過電流状態となったときの動作についてのみ説明する。
【0063】
図4において、トランジスタ駆動回路222eは、駆動信号に基づいてMOSFET222aをオンし、IGBT210dにコレクタ電流が流れる。IGBT210dのコレクタ電流が過電流状態になると、過電流判定回路222dは、トランジスタ駆動回路222eに対して過電流信号を出力する。過電流信号が入力されると、トランジスタ駆動回路222eは、MOSFET222aをオフするとともに、所定時間経過後、MOSFET212cをオンする。前述したように、MOSFET212cのオン抵抗とゲート抵抗221の合成抵抗は、MOSFET222bのオン抵抗とゲート抵抗221との合成抵抗の2倍以上となるように設定されている。そのため、IGBT210dのゲート電圧は、MOSFET222bによってゲート抵抗221を介して放電する場合に比べ緩やかに放電され下降して0Vとなる。これにより、IGBT210dをソフトシャットダウンすることができる。
【0064】
次に、効果について説明する。第2実施形態によれば、図4に示すように、第1実施形態におけるIGBT駆動用IC122に対して、IGBT駆動用IC222の端子数を削減することができる。それに伴って、IGBT駆動用IC222の外部における配線パターンを削減することができるため、モータジェネレータ制御装置を小型化することができる。
【0065】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のモータジェネレータ制御装置について説明する。第3実施形態のモータジェネレータ制御装置は、第1実施形態のモータジェネレータ制御装置においてソフトシャットダウンに用いていたMOSFETをバイポーラトランジスタに変更したものである。
【0066】
まず、図5を参照してIGBTの駆動回路部分の構成について説明する。ここで、図5は、第3実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。ここでは、第1実施形態のモータジェネレータ制御装置との相違部分であるIGBTの駆動回路部分の構成のみについて説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0067】
図5に示すように、制御回路32は、IGBT310dの駆動回路部分として、ゲート抵抗320、321と、IGBT駆動用IC322とを備えている。ゲート抵抗320、321は、第1実施形態におけるゲート抵抗120、121と同一構成である。
【0068】
IGBT駆動用IC322は、MOSFET322a(第1スイッチング手段)と、MOSFET322b(第2スイッチング手段)と、バイポーラトランジスタ322c(トランジスタ)と、過電流判定回路322dと、トランジスタ駆動回路322eとから構成されている。MOSFET320a、320b及び過電流判定回路322dは、第1実施形態におけるMOSFET120a、120b及び過電流判定回路122dと同一構成である。
【0069】
バイポーラトランジスタ322cは、IGBT310dのコレクタ電流が過電流状態のときに、IGBT310dのゲートに印加された電圧を、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合に比べ緩やかに放電し、IGBT310dをソフトシャットダウンさせるトランジスタである。バイポーラトランジスタ322cは、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合に比べ緩やかに放電できるよう、電流増幅特性が設定されている。バイポーラトランジスタ322cのコレクタは、端子T33を介してIGBT310dのゲートに接続され、エミッタは端子T36を介して接地されている。また、ベースはトランジスタ駆動回路322eに接続されている。
【0070】
トランジスタ駆動回路322eは、外部から入力される駆動信号と過電流判定回路322dから入力される過電流信号とに基づいてMOSFET322a、322b及びバイポーラトランジスタ322cを駆動する回路である。トランジスタ駆動回路322eは、駆動信号に基づいてMOSFET322aをオンさせ、ゲート抵抗320を介してIGBT310dのゲートに電圧を印加する。そして、駆動信号に基づいてMOSFET322bをオンさせ、ゲート抵抗321を介してIGBT310dのゲートに印加された電圧を放電する。一方、過電流判定回路322dから過電流信号が入力された場合には、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合に比べ緩やかに放電できるよう、バイポーラトランジスタ322c駆動する。具体的には、IGBT310dのゲートに印加された電圧を放電する際にゲートから流れ出す電流、つまり、バイポーラトランジスタ322cのコレクタ電流が、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合の1/2倍以下となるように、バイポーラトランジスタ322cのベース電流を調整する。トランジスタ駆動回路322eは、MOSFET322a、322bのゲート及びバイポーラトランジスタ322cのベースにそれぞれ接続されている。また、過電流判定回路322dに接続されている。
【0071】
なお、ゲート抵抗320、MOSFET322a及びトランジスタ駆動回路322eが、本発明におけるオン駆動回路に相当する。また、ゲート抵抗321、MOSFET322b及びトランジスタ駆動回路322eが、本発明におけるオフ駆動回路に相当する。さらに、バイポーラトランジスタ322c及びトランジスタ駆動回路322eが、本発明におけるソフトシャットダウン回路に相当する。
【0072】
次に、図5を参照して動作について説明する。IGBTのコレクタ電流が過電流状態となったときの動作以外は、第1実施形態におけるモータジェネレータ制御装置と同一である。ここでは、IGBT310dのコレクタ電流が過電流状態となったときの動作についてのみ説明する。
【0073】
図5において、トランジスタ駆動回路322eは、駆動信号に基づいてMOSFET322aをオンし、IGBT310dにコレクタ電流が流れる。IGBT310dのコレクタ電流が過電流状態になると、過電流判定回路322dは、トランジスタ駆動回路322eに対して過電流信号を出力する。過電流信号が入力されると、トランジスタ駆動回路322eは、MOSFET322aをオフする。そして、所定時間経過後、IGBT310dのゲートに印加された電圧を放電する際にゲートから流れ出す電流が、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合の1/2倍以下となるように、バイポーラトランジスタ322cのベース電流を調整する。そのため、IGBT310dのゲート電圧は、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合に比べ緩やかに放電され下降して0Vとなる。これにより、IGBT310dをソフトシャットダウンすることができる。
【0074】
次に、効果について説明する。第3実施形態によれば、バイポーラトランジスタ322cの特性を利用してIGBT310dのゲートから流れ出す電流を制御する。具体的には、バイポーラトランジスタ322cの電流増幅特性を利用してIGBT310dのゲートから流れ出す電流を制御する。より具体的には、バイポーラトランジスタ322cとトランジスタ駆動回路322eとによってIGBT310dのゲートから流れ出す電流を直接制御する。そのため、ソフトシャットダウンのための抵抗を別途設ける必要がなく、車両に搭載されたモータジェネレータ制御装置の部品点数を削減でき、コストを抑えることができる。
【0075】
また、第3実施形態によれば、バイポーラトランジスタ322cのコレクタ電流が、MOSFET322bによってゲート抵抗321を介して放電する場合の1/2倍以下となるように調整される。そのため、MOSFET122bによってゲート抵抗121を介して放電する場合に比べ、確実に、IGBT110dのゲート電圧を緩やかに放電することができる。
【0076】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態のモータジェネレータ制御装置について説明する。第4実施形態のモータジェネレータ制御装置は、第3実施形態のモータジェネレータ制御装置に対してIGBT駆動用IC内の配線を変更したものである。
【0077】
まず、図6を参照してIGBTの駆動回路部分の構成について説明する。ここで、図6は、第4実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。ここでは、第3実施形態のモータジェネレータ制御装置との相違部分であるIGBTの駆動回路部分の構成のみについて説明し、共通する部分については必要とされる箇所以外説明を省略する。
【0078】
図6に示すように、制御回路42は、IGBT410dの駆動回路部分として、ゲート抵抗420、421と、IGBT駆動用IC422とを備えている。ゲート抵抗420、421は、第3実施形態におけるゲート抵抗320、321と同一構成である。
【0079】
IGBT駆動用IC422は、MOSFET422a(第1スイッチング手段)と、MOSFET422b(第2スイッチング手段)と、バイポーラトランジスタ422c(トランジスタ)と、過電流判定回路422dと、トランジスタ駆動回路422eとから構成されている。MOSFET420a、420b、過電流判定回路422d及びトランジスタ駆動回路422eは、第3実施形態におけるMOSFET320a、320b、過電流判定回路322d及びトランジスタ駆動回路322eと同一構成である。
【0080】
バイポーラトランジスタ422cは、IGBT410dのコレクタ電流が過電流状態のときに、IGBT410dをソフトシャットダウンさせるトランジスタである。バイポーラトランジスタ422cは、MOSFET422bによってゲート抵抗421を介して放電する場合に比べ緩やかに放電できるよう、電流増幅特性が設定されている。バイポーラトランジスタ422cのコレクタは、端子T42を介してゲート抵抗421に接続され、エミッタは端子T46を介して接地されている。また、ベースはトランジスタ駆動回路422eに接続されている。
【0081】
なお、ゲート抵抗420、MOSFET422a及びトランジスタ駆動回路422eが、本発明におけるオン駆動回路に相当する。また、ゲート抵抗421、MOSFET422b及びトランジスタ駆動回路422eが、本発明におけるオフ駆動回路に相当する。さらに、バイポーラトランジスタ422c及びトランジスタ駆動回路422eが、本発明におけるソフトシャットダウン回路に相当する。
【0082】
動作については、第3実施形態におけるモータジェネレータ制御装置と同一であるため、説明を省略する。
【0083】
次に、効果について説明する。第4実施形態によれば、図7に示すように、第3実施形態におけるIGBT駆動用IC322に対して、IGBT駆動用IC422の端子数を削減することができる。それに伴って、IGBT駆動用IC422の外部における配線パターンを削減することができるため、モータジェネレータ制御装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第1実施形態におけるモータジェネレータ制御装置の回路図である。
【図2】制御回路内に構成されるIGBTの駆動回路部分の回路図である。
【図3】IGBTの駆動動作を説明するためのタイムチャートである。
【図4】第2実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。
【図5】第3実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。
【図6】第4実施形態におけるIGBTの駆動回路部分の回路図である。
【符号の説明】
【0085】
1・・・モータジェネレータ制御装置(電力変換装置)、10・・・コンバータ回路、100・・・低圧側平滑用コンデンサ、101・・・コイル、102a、102b・・・IGBT、103a、103b・・・フライホイールダイオード、104a、104b・・・電流センス抵抗、105・・・高圧側平滑用コンデンサ、11・・・インバータ回路、110a〜110f、220d、320d、420d・・・IGBT、111a〜111f・・・フライホイールダイオード、112a〜112f、212d、312d、412d・・・電流センス抵抗、12、22、32、42・・・制御回路、120、220、320、420・・・ゲート抵抗(オン駆動回路)、121、221、321、421・・・ゲート抵抗(オフ駆動回路)、122、222、322、422・・・IGBT駆動用IC、122a、222a、322a、422a・・・MOSFET(オン駆動回路、第1スイッチ手段)、122b、222b、322b、422b・・・MOSFET(オフ駆動回路、第2スイッチ手段)、122c、222c・・・MOSFET(ソフトシャットダウン回路、トランジスタ)、122d、222d、322d、422d・・・過電流判定回路、122e、222e、322e、422e・・・トランジスタ駆動回路(オン駆動回路、オフ駆動回路、ソフトシャットダウン回路)、322c、422c・・・バイポーラトランジスタ(ソフトシャットダウン回路、トランジスタ)、T10〜T16、T20〜T22、T24〜T26、T30〜T36、T40〜T42、T44〜T46・・・端子、B1・・・バッテリ、MG1・・・モータジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチング素子の制御端子に接続され、前記スイッチング素子の前記制御端子に電圧を印加して前記スイッチング素子をオンさせるオン駆動回路と、
前記スイッチング素子の前記制御端子に接続され、前記スイッチング素子の前記制御端子に印加された電圧を放電して前記スイッチング素子をオフさせるオフ駆動回路と、
前記スイッチング素子の前記制御端子に接続されるトランジスタを有し、異常時に、前記トランジスタの特性を利用して前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流を制御することで、前記スイッチング素子の前記制御端子に印加された電圧を前記オフ駆動回路に比べ緩やかに放電して前記スイッチング素子をソフトシャットダウンさせるソフトシャットダウン回路と、
を有することを特徴とするスイッチング素子駆動装置。
【請求項2】
前記トランジスタは、電界効果トランジスタであり、
前記ソフトシャットダウン回路は、前記電界効果トランジスタのオン抵抗を利用して前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流を制御することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項3】
前記電界効果トランジスタのオン抵抗は、前記電界効果トランジスタによって前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流が、前記オフ駆動回路によって前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流の1/2倍以下となるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項4】
前記電界効果トランジスタのオン抵抗は、前記電界効果トランジスタのチップ面積を調整することによって設定されていることを特徴とする請求項3に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項5】
前記トランジスタは、バイポーラトランジスタであり、
前記ソフトシャットダウン回路は、前記バイポーラトランジスタの電流増幅特性を利用して前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流を制御することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項6】
前記ソフトシャットダウン回路は、前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流が、前記オフ駆動回路によって前記スイッチング素子の前記制御端子から流れる電流の1/2倍以下となるように前記バイポーラトランジスタのベース電流を調整することを特徴とする請求項5に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項7】
前記オン駆動回路は、前記スイッチング素子の前記制御端子に接続され、前記スイッチング素子の制御端子に電圧を印加する第1スイッチング手段を有し、
前記オフ駆動回路は、前記スイッチング素子の前記制御端子に接続され、前記スイッチング素子の前記制御端子に印加された電圧を放電する第2スイッチング手段を有し、
前記第1スイッチング手段、前記第2スイッチング手段及び前記トランジスタは、IC内部に一体的に構成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項8】
前記第2スイッチング手段と前記トランジスタは、前記IC内部で接続され、共通接続点が前記IC外部で前記スイッチング素子の前記制御端子に接続されることを特徴とする請求項7に記載のスイッチング素子駆動装置。
【請求項9】
車両に搭載された電力変換装置を構成するスイッチング素子を駆動することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のスイッチング素子駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−62934(P2010−62934A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227254(P2008−227254)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】