説明

スイッチング電源装置及び照明装置

【課題】放熱特性を改善し小型化可能なスイッチング電源装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スイッチング素子と、インダクタと、駆動回路と、実装基板と、絶縁基板と、を備えたスイッチング電源装置が提供される。前記スイッチング素子は、電源と照明負荷との間に接続される。前記インダクタは、前記スイッチング素子と直列に接続される。前記駆動回路は、前記スイッチング素子を制御して前記電源から供給される電圧を変換する。前記実装基板は、前記駆動回路を実装する。前記絶縁基板は、前記スイッチング素子に熱接続され、前記実装基板よりも高い熱伝導性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、スイッチング電源装置及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子を利用したスイッチング電源は、省電力・小型化に適した電源として各種の広範な用途に利用されている。その一例として、照明の電源としても用いられる。近年、照明装置においては、照明光源は白熱電球や蛍光灯から省エネルギー・長寿命の光源、例えば発光ダイオード(Light-emitting diode:LED)への置き換えが進んでいる。また、例えば、有機発光ダイオード(Organic light-emitting diode:OLED)など新たな照明光源も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−119237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、スイッチング電源は、高周波化して小型化すると、スイッチング素子などの発熱密度が増大する。
本発明の実施形態は、放熱特性を改善し小型化可能なスイッチング電源装置及び照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のスイッチング電源装置は、スイッチング素子と、インダクタと、駆動回路と、実装基板と、絶縁基板と、を備える。前記スイッチング素子は、電源と照明負荷との間に接続される。前記インダクタは、前記スイッチング素子と直列に接続される。前記駆動回路は、前記スイッチング素子を制御して前記電源から供給される電圧を変換する。前記実装基板は、前記駆動回路を実装する。前記絶縁基板は、前記スイッチング素子に熱接続され、前記実装基板よりも高い熱伝導性を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の実施形態によれば、放熱特性を改善し小型化可能なスイッチング電源装置及び照明装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する模式図であり、(a)は上面図、(b)は(a)及び(c)のA−A線断面図、(c)は下面図である。
【図2】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置のスイッチング素子近傍の拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
【図3】第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を含む照明装置を例示する回路図である。
【図4】第2の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する断面図である。
【図5】第3の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
【図6】第4の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する断面図である。
【図7】スイッチング電源装置を含む照明装置を例示する部分断面図であり,(a)は正面図、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は(a)のE−E線断面図である。
【図8】照明装置を例示する他の部分断面図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
【図9】照明装置を例示する他の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の形状と幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
まず、第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する平面図及び断面図であり、(a)は上面図、(b)は(a)及び(c)のA−A線断面図、(c)は下面図である。
【0010】
図1(a)及び図1(b)に表したように、スイッチング電源装置3においては、実装基板(主基板)27の第2の主面27b側に、入力コンデンサ19、チョークコイル21、平滑コンデンサ22などの相対的に大型の背の高い素子が実装されている。第2の主面27bは、部品面である。
【0011】
また、図1(b)及び図1(c)に表したように、スイッチング電源装置3においては、実装基板27の第1の主面27a側に、絶縁基板28と、スイッチング素子を集積化した半導体素子10及び駆動回路11を実装した実装基板(子基板)29と、トランス14と、整流回路20とが実装されている。実装基板27は、例えば紙フェノール基板であり、例えばガラスエポキシ基板である。第1の主面27aは、半田面であり、相対的に小型の背の低い素子が実装されている。
【0012】
絶縁基板28は、例えば酸化アルミニウム(Al)、例えば窒化アルミニウム(AlN)を含むセラミック基板である。絶縁基板28は、実装基板27、29よりも熱伝導性が高く、スイッチング素子と熱接続される。絶縁基板28は、実装基板29の第1の主面29a側に実装される。
【0013】
実装基板29は、例えば紙フェノール基板であり、例えばガラスエポキシ基板である。実装基板29には、開口部30が設けられ、開口部30において絶縁基板28が露出している。半導体素子10は、開口部30における絶縁基板28上に実装される。駆動回路11は、実装基板29の第1の主面29aと反対側の実装基板29の第2の主面29b側に実装される。
【0014】
絶縁基板28と実装基板29とは、接着層31を介して実装基板27の第1の主面27a側に実装される。接着層31は、例えば熱硬化樹脂である。また、実装基板29は、ビア32を介して、実装基板27と電気的に接続される。
【0015】
なお、図3の回路図を参照して説明するように、入力コンデンサ19、整流回路20、チョークコイル21、平滑コンデンサ22は、一対の入力端子23、24に入力される交流電圧を整流して平滑化するAC−DC変換回路を構成している。また、半導体素子10、駆動回路11、トランス14などは、平滑コンデンサ22の電圧を降下するDC−DCコンバータを構成している。
【0016】
図2は、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置のスイッチング素子近傍の拡大図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。
図2においては、スイッチング電源装置3の絶縁基板28と実装基板29において、スイッチング素子を含む半導体素子10近傍を拡大して表している。
【0017】
半導体素子10は、スイッチング素子7、定電流素子8、整流素子9を集積化した素子である。半導体素子10は、実装基板29上にベアチップ実装される。すなわち、半導体素子10に設けられたパッド35と、実装基板29上に設けられた配線層33とが、ボンディングワイヤ34により電気的に接続される。半導体素子10に集積化されたスイッチング素子7は、絶縁基板28と熱接続される。
【0018】
保護層36は、例えば樹脂層であり、半導体素子10、ボンディングワイヤ34、パッド35を保護する。なお、図1(b)、図1(c)、及び図2(a)においては、保護層36を省略している。
【0019】
なお、スイッチング素子7、定電流素子8、整流素子9は、実装基板29上にそれぞれベアチップ実装されてもよい。すなわち、スイッチング素子7、定電流素子8、整流素子9の各ベアチップ上の電極と実装基板29上の配線層33とを、ボンディングワイヤにより電気的に接続してもよい。また、ボンディングワイヤを用いず、フリップチップ実装してもよい。さらに、スイッチング素子7、定電流素子8、整流素子9は、それぞれパッケージに封入されてもよく、各素子を表面実装してもよい。以下に説明する他の実施形態においても同様である。
【0020】
スイッチング素子7及び定電流素子8は、例えば高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Tansistor:HEMT)であり、例えばGaN系HEMTである。
半導体素子10、駆動回路11、トランス14などで構成されたDC−DCコンバータは、例えば10MHz程度の高周波化が可能なため、トランス14を小型化することができる。その結果、トランス14は、相対的に小型の素子が実装される第1の主面27a側に実装することが可能となる。また、平滑コンデンサ22などの相対的に大型の素子は、第1の主面27aと反対側の第2の主面27b側に実装される。
【0021】
また、本実施形態においては、スイッチング素子7に熱接続され、実装基板27、29よりも熱伝導性の高い絶縁基板28が設けられている。その結果、スイッチング素子7の放熱性が改善され、小型化が可能になる。
【0022】
なお、本実施形態においては、実装基板27に、入力コンデンサ19、整流回路20、チョークコイル21、平滑コンデンサ22で構成されたAC−DC変換回路が実装された構成を例示している。しかし、半導体素子10、駆動回路11、トランス14を実装基板27に実装して、DC−DCコンバータを構成することもできる。この場合も、絶縁基板28は、スイッチング素子7に熱接続され、実装基板27よりも熱伝導性が高いため、放熱性が改善され、小型化が可能である。また、平滑コンデンサ22を実装しない場合は、トランス14を実装基板27の第2の主面27b側に実装してもよい。以下に説明する他の実施形態においても同様である。
【0023】
図3は、第1の実施形態に係るスイッチング電源装置を含む照明装置を例示する回路図である。
照明装置1は、照明負荷2と、スイッチング電源装置3と、を備えている。照明負荷2は、例えばLEDなどの照明光源4を有し、スイッチング電源装置3から電力を供給されて点灯する。
【0024】
スイッチング電源装置3は、交流電源5から供給される交流電圧を直流電圧に変換するAC−DC変換回路6、スイッチング素子7、定電流素子8、整流素子9、及びスイッチング素子7を制御し定電流素子8の定電流値を設定する駆動回路11を備えている。なお、スイッチング電源装置3からAC−DC変換回路6を除いた部分は、DC−DCコンバータを構成している。
【0025】
AC−DC変換回路6は、入力コンデンサ19、整流回路20、チョークコイル21、平滑コンデンサ22を有する。入力コンデンサ19は、一対の入力端子23、24に接続される。整流回路20は、ダイオードブリッジで構成され、一対の入力端子23、24を介して交流電源5から交流電圧が入力される。整流回路20から出力される直流電圧(脈流電圧)は、チョークコイル21と平滑コンデンサ22で構成されたローパスフィルタで平滑化される。なお、交流電源5は、例えば商用電源である。
【0026】
スイッチング素子7のドレインは、平滑コンデンサ22の一端(正極側)に接続され、スイッチング素子7のソースは、定電流素子8のドレインに接続される。スイッチング素子7のゲートは、駆動回路11の結合コンデンサ15を介して、帰還巻き線13の一端に接続される。
【0027】
定電流素子8のソースは、インダクタ12の一端と帰還巻き線13の他端とに接続され、定電流素子8のゲートは、駆動回路11の分割抵抗16、17の接続点に接続される。また、分割抵抗16、17には、バイアス抵抗を介して平滑コンデンサ22の電圧が供給されている。その結果、定電流素子8のゲートには、定電流素子8のソースに対して負極性の電位が供給される。なお、分割抵抗16は、可変抵抗であり、分割抵抗16の抵抗値を変化させて、定電流素子8の定電流値を調整することができる。
【0028】
整流素子9は、定電流素子8のソースと平滑コンデンサ22の他端(負極側)との間に、平滑コンデンサ22の他端から定電流素子8の方向を順方向として接続されている。
インダクタ12の他端は、高電位出力端子25に接続され、平滑コンデンサ22の他端は、低電位出力端子26に接続される。また、出力コンデンサ18は、高電位出力端子25と低電位出力端子26との間に接続される。
【0029】
なお、インダクタ12と帰還巻き線13とは、インダクタ12の一端から他端の方向、すなわち定電流素子8のソースまたは整流素子9のカソードから高電位出力端子25の方向に増加する電流が流れるとき、スイッチング素子7のゲートにソースに対して負極性の電圧が供給される極性で磁気結合している。また、インダクタ12と帰還巻き線13とは、トランス14を構成している。
【0030】
また、スイッチング素子7及び定電流素子8は、例えばGaN系HEMTであり、ノーマリオン形の素子である。スイッチング素子7、定電流素子8及び整流素子9は、半導体素子10として集積化されている。また、スイッチング素子7及び定電流素子8のそれぞれのゲートには、保護ダイオードが接続される。スイッチング素子7及び定電流素子8のそれぞれのゲートに接続され、ゲート電位を供給する結合コンデンサ15、分割抵抗16、17、保護ダイオードは、駆動回路11を構成している。
【0031】
照明負荷2は、高電位出力端子25と低電位出力端子26との間に、出力コンデンサ18と並列に接続される。
次に、スイッチング電源装置3の動作について説明する。
【0032】
交流電源5から電源電圧が供給されると、平滑コンデンサ22の両端には、直流電圧が生成される。
平滑コンデンサ22の両端に直流電圧が生成されるとき、スイッチング素子7及び定電流素子8は、ノーマリオン形の素子であるため、いずれもオンしている。そして、スイッチング素子7、定電流素子8、インダクタ12、出力コンデンサ18の経路で電流が流れ、出力コンデンサ18が充電される。出力コンデンサ18の両端の電圧、すなわち高電位出力端子25と低電位出力端子26との間の電圧は、スイッチング電源装置3の出力電圧として、照明負荷2の照明光源4に供給される。
【0033】
出力電圧が所定電圧に達すると、照明光源4に出力電流が流れ、照明光源4が点灯する。このとき、スイッチング素子7、定電流素子8、インダクタ12、出力コンデンサ18及び照明光源4の経路で電流が流れる。例えば、照明光源4がLEDの場合、この所定電圧は、LEDの順方向電圧であり、照明光源4に応じて定まる。
【0034】
インダクタ12を流れる電流は、時間とともに増加し、帰還巻き線13には、結合コンデンサ15側を高電位とする極性の起電力が誘起される。そのため、スイッチング素子7のゲートには、結合コンデンサ15を介してソースに対して正の電位が供給され、スイッチング素子7は、オンの状態を維持する。
【0035】
定電流素子8を流れる電流が定電流値を超えると、定電流素子8のドレイン・ソース間電圧は、急激に上昇する。そのため、スイッチング素子7のゲート・ソース間電圧がしきい値電圧よりも低くなり、スイッチング素子7はオフする。なお、定電流値は、定電流素子8の飽和電流値であり、分割抵抗16、17から定電流素子8のゲートに入力される電位により規定される。なお、上記のとおり、定電流素子8のゲート電位は、ソースに対して負電位のため、飽和電流値を適正値に制限することができる。
【0036】
インダクタ12は、整流素子9、出力コンデンサ18及び照明負荷2、インダクタ12の経路で電流を流し続ける。このとき、インダクタ12は、エネルギーを放出するため、インダクタ12の電流は、減少していく。そのため、帰還巻き線13には、結合コンデンサ15側を低電位とする極性の起電力が誘起される。スイッチング素子7のゲートには、結合コンデンサ15を介してソースに対して負の電位が供給され、スイッチング素子7はオフの状態を維持する。
【0037】
インダクタ12に蓄積されていたエネルギーがゼロになると、インダクタ12を流れる電流はゼロになる。帰還巻き線13に誘起される起電力の方向が再び反転し、結合コンデンサ15側を高電位とするような起電力が誘起される。これにより、スイッチング素子7のゲートにソースよりも高い電位が供給され、スイッチング素子7がオンする。これにより、上記の出力電圧が所定電圧に達した状態に戻る。
【0038】
以後、上記の動作を繰り返す。これにより、スイッチング素子7のオン及びオフへの切替が自動的に繰り返されて、照明光源4には交流電源5から供給される電源電圧を平滑化した直流電圧を降下した出力電圧が供給される。また、照明光源4に供給される電流は、定電流素子8により定電流値に制限される。そのため、照明光源4を安定に点灯させることができる。また、上記のとおり、この定電流値は、分割抵抗16の抵抗値を変化させることにより調整可能である。
【0039】
本実施形態においては、スイッチング素子7及び定電流素子8が、GaN系HEMTのため、スイッチング周波数を高周波化することができ、例えば10MHz程度にすることができる。その結果、インダクタ12、帰還巻き線13を構成するトランス14を小型化することができる。
【0040】
また、駆動回路11などの回路素子を実装する実装基板27、29よりも熱伝導性の高い絶縁基板28にスイッチング素子7及び定電流素子8を熱接続することにより、放熱性が改善される。その結果、発熱密度の増加の問題を回避して小型化及び密閉空間に収容することが可能になる。
【0041】
なお、本実施形態においては、AC−DC変換回路6を備え、交流電源5から供給される電源電圧を直流電圧に変換し、DC−DCコンバータにより直流電圧を降下して出力する構成を例示した。しかし、AC−DC変換回路6を省略して、直流電源から供給される直流電圧をDC−DCコンバータにより降下して出力する構成としてもよい。
【0042】
次に、第2の実施形態について説明する。
図4は、第2の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する断面図である。
図4に表したように、第2の実施形態は、第1の実施形態と比較して、実装基板27の構成と、絶縁基板(子基板)29が省略されている点とが異なる。すなわち、実装基板27には、開口部37が設けられている。絶縁基板28は、実装基板27の第1の主面27aに実装され、開口部37において露出している。半導体素子10は、開口部37における絶縁基板28に実装される。また、駆動回路11は、実装基板27の第2の主面27b上に実装される。これ以外の点については、本実施形態は、第1の実施形態と同様であり、スイッチング電源装置3aの回路構成についても、スイッチング電源装置3と同様ある。
【0043】
本実施形態においては、実装基板29を用いないため、構造が簡単化されコストダウンできるとともに、実装高さを低くすることができる。
また、本実施形態においても、スイッチング素子7に熱接続され、実装基板27よりも熱伝導性の高い絶縁基板28が設けられている。その結果、スイッチング素子7の放熱性が改善され、小型化が可能になる。
【0044】
また、本実施形態においても、スイッチング素子7としてGaN系HEMTを用いているため、高周波化によるインダクタ12、帰還巻き線13の小型化が可能である。その結果、インダクタ12と帰還巻き線13とで構成されたトランス14を、実装基板27の第1の主面27a側、すなわち半田面側に実装することができ、さらに小型化が可能になる。
【0045】
次に、第3の実施形態について説明する。
図5は、第3の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する模式図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。
図5に表したように、第3の実施形態は、第2の実施形態と比較して、半導体素子10及びトランス14の構成が異なっている。すなわち、半導体素子10は、パッケージに封入され、絶縁基板28上に表面実装されている。また、トランス14を構成するインダクタ12と帰還巻き線13とは、スパイラルインダクタであり、絶縁基板28上に形成されている。
【0046】
本実施形態においても、スイッチング素子7としてGaN系HEMTを用いているため、高周波化によりインダクタ12、帰還巻き線13をスパイラルインダクタで絶縁基板28上に実装可能である。その結果、スイッチング素子7とともに、トランス14の放熱性も改善され、さらに小型化が可能になる。また、スイッチング素子7とトランス14との間にコネクタ等を含まないので、寄生インダクタンス及び寄生容量を小さくすることができ、さらに高周波化に有利である。
【0047】
本実施形態における上記以外の構成及び効果については、第2の実施形態と同様であり、スイッチング電源装置3bの回路構成についても、スイッチング電源装置3と同様ある。
なお、トランス14を囲む強磁性体層を設けて、磁気シールドしてもよい。また、インダクタ12、帰還巻き線13は、2層に重ねて形成してもよい。また、トランス14を構成するインダクタ12と帰還巻き線13とは、絶縁基板28上において、同一平面上に形成されてもよく、また上下に積層して形成されてもよい。
【0048】
図6は、第4の実施形態に係るスイッチング電源装置を例示する断面図である。
図6に表したように、第4の実施形態は、第2の実施形態と比較して、半導体素子10が熱導電体38を介して絶縁基板28に熱接続している点が異なる。すなわち、熱導電体38は、実装基板27を貫通して設けられ、半導体素子10と絶縁基板28とに熱接続している。熱導電体38は、例えば銅(Cu)及びアルミニウム(Al)の少なくともいずれかを含む金属である。
【0049】
本実施形態においては、実装基板27に開口部37を設けないため、さらに小型化が可能である。
本実施形態における上記以外の構成及び効果については、第2の実施形態と同様であり、スイッチング電源装置3cの回路構成についても、スイッチング電源装置3と同様ある。
【0050】
図7は、スイッチング電源装置を含む照明装置を例示する部分断面図であり,(a)は正面図、(b)は(a)のD−D線断面図、(c)は(a)のE−E線断面図である。
図7(a)〜(c)に表したように、照明装置1は、ベース101、筐体102、透光シールド103、照明基板104、スイッチング電源装置3を備えている。ベース101と筐体102と透光シールド103とは、電球形状に形成されている。
【0051】
スイッチング電源装置3は、図1〜図3に例示したスイッチング電源装置3と同様であり、実装基板27の第1の主面27a側に絶縁基板28が設けられている。スイッチング素子7を集積化した半導体素子10は、絶縁基板28に熱接続している。インダクタ12及び帰還巻き線13で構成されたトランス14などの相対的に小型の背の低い素子は、実装基板27の第1の主面27a側に設けられている。また、実装基板27の第1の主面27aと反対側の第2の主面27b側に入力コンデンサ19、チョークコイル21、平滑コンデンサ22などの相対的に大型の背の高い素子が設けられている。なお、図7においては、図を見やすくするために、実装基板(子基板)29などの図示を省略し、簡略化している。
【0052】
スイッチング電源装置3は、実装基板27の第2の主面27bが、筐体102の仮想的な中心軸に平行で、中心軸から外側に距離Wだけオフセットして設けられる。また、筐体102の内部には、熱伝導性の高い絶縁体105が埋め込まれ、スイッチング電源装置3を固定するとともに、絶縁基板28を筐体102に熱接続する。なお、絶縁体105は、例えばシリコーンである。
【0053】
ベース101は、スイッチング電源装置3の一部を収納するとともに、スイッチング電源装置3の一対の入力端子23、24を交流電源に接続する。
筐体102は、例えばアルミニウム(Al)を含む金属で形成され、スイッチング電源装置3と、スイッチング電源装置3の上に設けられた照明基板104を収納する。
透光シールド103は、照明基板104上に設けられた照明光源4から放射される光を拡散して透過するとともに、照明基板104を保護する。
【0054】
本実施形態においては、スイッチング素子7が実装基板27よりも熱伝導性の高い絶縁基板28に熱接続し、さらに絶縁体105を介して筐体102に熱接続しているため、放熱性が改善される。その結果、照明装置1の小型化が可能になる。
【0055】
また、本実施形態においては、スイッチング電源装置3が小型化されているため、筐体102の長さを短くして透光シールドを大型化することができる。その結果、より広配光化することができ、透光シールド103の中心部からベース101側の方向への光出力を大きくすることができる。
【0056】
またさらに、本実施形態においては、実装基板27の第2の主面27bが、筐体102の中心軸から距離Wだけオフセットしているため、平滑コンデンサ22などの相対的に大型の背の高い素子を実装することが容易になり、さらに小型化が可能になる。
【0057】
図8は、照明装置を例示する他の部分断面図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のF−F線断面図である。
図8に表したように、照明装置1aは、照明装置1と比較して、スイッチング電源装置3の構成が異なる。すなわち、照明装置1aは、照明装置1におけるスイッチング電源装置3がスイッチング電源装置3aに置き換えられている。
【0058】
スイッチング電源装置3dは、スイッチング電源装置3と比較して、実装基板27及び絶縁基板28の形状が異なる。すなわち、スイッチング電源装置3dにおいては、実装基板27dの平面形状が長方形に形成され、絶縁基板28dの平面形状は、筐体102に接触するように形成されている。その結果、スイッチング素子7の筐体102への放熱性が改善される。また、絶縁基板28dにより筐体102の内部が分割され、絶縁体105を実装基板の第1の主面27a側のみに充填する場合、充填量を少なくすることができる。なお、絶縁体105は、絶縁基板28dにより分割された筐体102の内部における第1の主面27a側と第2の主面27b側の両方に充填してもよい。
【0059】
図9は、照明装置を例示する他の部分断面図である。
図9に表したように、照明装置1bは、ベース101a、筐体102a、透光シールド103a、照明光源4、スイッチング電源装置3aを備えている。ベース101aと筐体102aと透光シールド103aとは、円筒形状に形成されている。
【0060】
スイッチング電源装置3aは、図4に例示したスイッチング電源装置3aと同様であり、円環状の実装基板27の第1の主面27a側に絶縁基板28が設けられている。スイッチング素子7を集積化した半導体素子10は、絶縁基板28に熱接続している。インダクタ12及び帰還巻き線13で構成されたトランス14などの相対的に小型の背の低い素子は、実装基板27の第1の主面27a側に設けられている。また、実装基板27の第1の主面27aと反対側の第2の主面27b側に入力コンデンサ19、チョークコイル21、平滑コンデンサ22などの相対的に大型の背の高い素子が設けられている。なお、図9においては、図を見やすくするために、第2の主面27b側における平滑コンデンサ22以外の素子の図示を省略し、簡略化している。
【0061】
スイッチング電源装置3aは、実装基板27の第2の主面27bが、筐体102aの仮想的な中心軸に垂直に設けられる。また、筐体102aの内部には、熱伝導性の高い絶縁体105が埋め込まれてもよい。絶縁基板28は、筐体102aに接触して熱接続してもよい。また、絶縁基板28は、絶縁体105を介して、筐体102aに熱接続してもよい。なお、絶縁体105は、例えばシリコーンである。
【0062】
ベース101aは、例えばアルミニウム(Al)を含む金属で円板形状に形成された口金部106と、導電体107とを有する。口金部106は、筐体102aの上部に設けられ、照明装置本体(図示せず)に設けられた放熱体と熱接続する。導電体107は、筐体102aの上部に複数設けられ、スイッチング電源装置3aの一対の入力端子23、24を、照明装置本体を介して交流電源に接続する。
【0063】
筐体102aは、例えばアルミニウム(Al)を含む金属で形成され、周辺部にスイッチング電源装置3aを収納し、中央部に照明光源4を収納する。照明光源4は、口金部106と熱接続している。照明光源4は、スイッチング電源装置3aの照明負荷2として、スイッチング電源装置3aから電力を供給されて点灯する。
【0064】
透光シールド103aは、円板形状に形成され、筐体102aの下部、すなわち筐体102aのベース101aと反対側に照明光源4を覆って設けられる。透光シールド103aは、照明光源4から放射される光を透過するとともに、照明光源4を保護する。
【0065】
本実施形態においても、スイッチング素子7が実装基板27よりも熱伝導性の高い絶縁基板28に熱接続し、さらに照明光源4とともに筐体102aに熱接続しているため、放熱性が改善される。その結果、照明装置1bの光出力を大出力化しつつ小型化が可能になる。
【0066】
以上、具体例を参照しつつ実施形態について説明したが、それらに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、スイッチング電源装置におけるDC−DCコンバータの構成は、図3に表しものに限定されない。直流電圧を降圧できればよく他の構成でもよい。
【0067】
また、スイッチング素子7及び定電流素子8はGaN系HEMTには限定されない。例えば、半導体基板に炭化珪素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)やダイヤモンドのようなワイドバンドギャップを有する半導体(ワイドバンドギャップ半導体)を用いて形成した半導体素子でもよい。ここで、ワイドバンドギャップ半導体とは、バンドギャップが約1.4eVのヒ化ガリウム(GaAs)よりもバンドギャップの広い半導体をいう。例えば、バンドギャップが1.5eV以上の半導体、リン化ガリウム(GaP、バンドギャップ約2.3eV)、窒化ガリウム(GaN、バンドギャップ約3.4eV)、ダイアモンド(C、バンドギャップ約5.27eV)、窒化アルミニウム(AlN、バンドギャップ約5.9eV)、炭化ケイ素(SiC)などが含まれる。このようなワイドバンドギャップ半導体素子は、耐圧を等しくする場合、シリコン半導体素子よりも小さくできるために寄生容量が小さく、高速動作が可能なため、スイッチング周波数を高くすることができ、インダクタなどの巻線部品やコンデンサなどの小形化が可能となる。
【0068】
また、照明光源4はLEDに限らず、OLEDなどでもよく、照明負荷2には、複数個の照明光源4が直列又は並列に接続されていてもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態および実施例を説明したが、これらの実施形態または実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態または実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態または実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1、1a、1b…照明装置、 2…照明負荷、 3、3a、3b、3c、3d…スイッチング電源装置、 4…照明光源、 5…交流電源、 6…AC−DC変換回路、 7…スイッチング素子、 8…定電流素子、 9…整流素子、 10…半導体素子、 11…駆動回路、 12…インダクタ、 13…帰還巻き線、 14…トランス、 15…結合コンデンサ、 16、17…分割抵抗、 18…出力コンデンサ、 19…入力コンデンサ、 20…整流回路、 21…チョークコイル、 22…平滑コンデンサ、 23、24…入力端子、 25…高電位出力端子、 26…低電位出力端子、 27、27d…実装基板、 27a…第1の主面、 27b…第2の主面、 28、28d…絶縁基板、 29…実装基板(子基板)、 29a…第1の主面、 29b…第2の主面、 30、37…開口部、 31…接着層、 32…ビア、 33…配線層、 34…ボンディングワイヤ、 35…パッド、 36…保護層、 38…熱導電体、 101、101a…ベース、 102、102a…筐体、 103、103a…透光シールド、 104…照明基板、 105…絶縁体、 106…口金部、 107…導電体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と照明負荷との間に接続されるスイッチング素子と、
前記スイッチング素子と直列に接続されたインダクタと、
前記スイッチング素子を制御して前記電源から供給される電圧を変換する駆動回路と、
前記駆動回路が実装された実装基板と、
前記スイッチング素子に熱接続され、前記実装基板よりも熱伝導性の高い絶縁基板と、
を備えたスイッチング電源装置。
【請求項2】
前記実装基板における前記インダクタが設けられた第1の主面側と反対側の第2の主面上に設けられた平滑コンデンサを有し、前記電源から供給される交流電圧を直流電圧に変換するAC−DC変換回路をさらに備えた請求項1記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記絶縁基板は、前記第1の主面側に設けられている請求項1または2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記スイッチング素子は、前記絶縁基板上に実装される請求項1〜3のいずれか1つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項5】
前記スイッチング素子は、前記実装基板上に実装され、前記実装基板に設けられた開口を介して、前記絶縁基板と熱接続される請求項1〜4のいずれか1つに記載のスイッチング電源装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のスイッチング電源装置と、
前記スイッチング電源装置の負荷回路として接続された照明負荷と、
前記スイッチング電源装置を収容する筐体と、
を備えた照明装置。
【請求項7】
前記絶縁基板は、前記筐体と熱接続している請求項6記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106469(P2013−106469A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249832(P2011−249832)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】