説明

スイッチ及びその製造方法

【課題】構成が簡単で、安価に制作する。
【解決手段】複数の固定端子6、7a、7bを一体化され、各固定端子6、7a、7bの固定接点領域8、13a、13bが露出する露出面を有する、凹所16を形成されたベース1と、平面視円形のレバー本体23と、レバー本体23から突出するレバー部24とからなり、レバー本体23は、ベース1の凹所16にガイドされるようにしてベース16に回動可能に取り付けられ、一部に露出面を表出させる空間部28を形成された操作部材2と、操作部材2の一部に形成された空間部28を構成する部位に保持され、ベース1の露出面を摺接して固定接点領域8、13a、13bとの導通状態を切り替える複数の接点部を有する可動端子3と、ベース1に装着され、操作レバー2及び可動端子3の脱落を防止するカバー5とを備える。可動端子3は、ベース1にカバー5を装着した状態で、接点部3cを固定接点領域8、13a又は13bに圧接可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ、特に、回転操作して接点を切り替えるようにしたスイッチ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチとして、操作体を操作して復帰用ばね体の付勢力に抗して回転ハンドル体を回動させることにより、そこに取り付けた可動接触ばねで接点を切り替えるようにしたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−362979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のスイッチでは、可動接触ばねの構成が複雑であり、加工が面倒でコストアップを招来するという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、構成が簡単で、安価に制作することができるスイッチ及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、
複数の固定端子を一体化され、各固定端子の固定接点領域が露出する露出面を有する、凹所を形成されたベースと、
平面視円形のレバー本体と、該レバー本体から突出するレバー部とからなり、前記レバー本体は、前記ベースの凹所にガイドされるようにして前記ベースに回動可能に取り付けられ、一部に前記露出面を表出させる空間部を形成された操作部材と、
前記操作部材の一部に形成された空間部を構成する部位に保持され、前記ベースの露出面を摺接して固定接点領域との導通状態を切り替える複数の接点部を有する可動端子と、
前記ベースに装着され、操作部材及び可動端子の脱落を防止するカバーと、を備え、
前記可動端子は、ベースにカバーを装着した状態で、接点部を固定接点領域に圧接可能であるスイッチを提供する。
【0007】
前記可動端子の接点部は、回動中心を中心点とする点対称の位置に配置されているのが好ましい。
【0008】
前記可動端子は、前記操作部材の占有領域内からのはみ出し部分なしに前記操作部材に位置決めするのが好ましい。
【0009】
前記カバーは、前記可動端子が圧接して導通可能な共通端子部を備えるのが好ましい。
【0010】
前記操作部材を中立位置に位置決めし、回動操作されることにより前記中立位置に復帰させるように付勢する弾性復帰部材を、さらに備えるようにしてもよい。
【0011】
前記可動端子は、導電性及び弾性を有する線材からなり、中間の巻回部と、両端側の可動バネ部とで構成され、前記巻回部を弾性押圧部として機能させるのが好ましい。
【0012】
前記可動端子は、導電性及び弾性を有する長尺材からなり、中間の湾曲部と、両端側の可動バネ部とで構成され、前記湾曲部を弾性押圧部として機能させるようにしてもよい。
なお、前記長尺材は、線材又は板材で構成すればよく、板材の幅寸法は自由に設定することが可能である。
【0013】
以上の構成により、すなわち線材を屈曲させただけの簡単な構成により可動端子を、安価かつ簡単に形成することが可能となる。
【0014】
前記固定端子は、前記可動端子の一方の可動バネ部が常に電気接続される共通端子と、前記操作部材を操作して回動させることにより、前記可動端子の他方の可動バネ部が電気接続可能な複数の切換用固定端子とから構成するのが好ましい。
【0015】
この構成により、操作部材を回動操作すれば、可動端子は一方の可動バネ部を共通端子と電気接続した状態を維持しつつ、他方の可動バネ部をいずれかの切換用固定端子に切り換えることができる。
【0016】
前記操作部材は、前記ベースに回動可能に保持されるレバー本体と、該レバー本体から突出するレバー部とからなり、
前記弾性復帰部材は、中間の巻回部と、両端側のアーム部とで構成され、
前記ベースは、前記弾性復帰部材のアーム部を保持するアーム保持部を備え、
前記弾性復帰部材の巻回部の中心位置は、前記ベースでの操作部材の回動中心に対して、前記レバー部から反対側に離れた位置に配置するのが好ましい。
【0017】
この構成により、操作部材を操作して回動させる角度に対して、弾性復帰部材のアーム部の開き角度を小さくすることができる。つまり、弾性復帰部材に必要とされる弾性力を、巻回部の中心位置が操作アームの回動中心に位置する場合に比べて小さく抑えることができる。したがって、小型に形成した場合でも操作部材の操作性を悪化させることなく、スムーズなものとすることが可能となる。また、弾性復帰部材に大きな応力が作用しないので、長寿命化を実現可能となる。
【0018】
前記弾性復帰部材は、中間の巻回部と、両端側のアーム部とで構成され、
前記操作部材は、前記弾性復帰部材の巻回部が装着されるガイド部と、前記各アーム部が当接する第1及び第2当接面と、を備え、
前記ベースは、前記各アーム部が当接する第1及び第2ガイド面を備えるのが好ましい。
【0019】
この構成により、弾性復帰部材のベース及び操作部材への組付作業を容易なものとすることができる。
【0020】
前記カバーは導電性材料からなり、端子部を備え、かつ、前記可動端子に電気接続するのが好ましい。
【0021】
この構成により、カバーを共通端子として利用できるので、接点部を各固定接点領域に接離することによる導通パターンを、限られたスペースで増大させることが可能となる。
【0022】
前記固定端子は、4箇所又は6箇所の切換用固定端子からなり、
前記可動端子は、両端側に接点部を有し、
前記操作部材の回動動作により、各切換用固定端子に対して各接点部を切り換え可能とすればよい。
【0023】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、
複数の固定端子を、該固定端子の固定接点領域が露出面に露出するようにベースを形成する工程と、
前記ベース上に操作部材を回動可能に取り付ける工程と、
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程と、
前記ベースにカバーを装着し、可動端子の接点部を固定接点領域に圧接させる工程と、を備えたスイッチの製造方法を提供する。
【0024】
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程では、前記操作部材での前記可動端子の位置決め部位と、前記接点部とを、略同一直線上に配置するのが好ましい。
【0025】
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程では、前記可動端子は、前記操作部材の占有領域内からのはみ出し部分がないようにするのが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、可動端子を操作部材に形成した空間部に配設し、ベースにカバーを装着することにより接点部を固定接点領域に圧接可能としたので、構成を簡略化して安価かつ簡単に製作することができる。また、ベースに対して各部材を同方向から順次組み付けるだけでよいので、組立作業性を大幅に向上させることが可能となる。しかも、形成されたものは、従来のものに比べて非常に薄型である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施形態に係るスイッチの斜視図である。
【図2】図1に示すスイッチの分解斜視図である。
【図3】(a)は図2に示すベースの斜視図、(b)は固定端子の斜視図である。
【図4】図2に示す操作レバーの斜視図である。
【図5】(a)は図1のスイッチからカバーを外した状態を示す平面図、(b)はA−A線断面図、(c)はカバーを装着した状態を示す同じ位置での断面図である。
【図6】(a)は図5(a)に示す状態から操作レバーを時計回り方向に回動させた状態を示す平面図、(b)は逆に反時計回り方向に回動させた状態を示す平面図である。
【図7】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図8】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図9】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図10】(a)は図9のベースの斜視図、(b)は固定端子の斜視図である。
【図11】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図12】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図13】(a)は図12のスイッチからカバーを外した状態を示す平面図、(b)はB−B線断面図、(c)はカバーを装着した状態を示す同じ位置での断面図である。
【図14】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図15】図14のベースにインサート成形される切換用固定端子の斜視図である。
【図16】(a)は図14のスイッチのカバーを外した状態での正面図、(b)はそのA−A線断面図、(c)は(b)に示す状態からカバーを装着した状態を示す断面図である。
【図17】操作レバーを反時計回り方向に回転させた場合の可動接点バネの各位置を示すベースと可動接点バネの正面図である。
【図18】操作レバーを時計回り方向に回転させた場合の可動接点バネの各位置を示すベースと可動接点バネの正面図である。
【図19】他の実施形態に係るスイッチの分解斜視図である。
【図20】図19のベースにインサート成形される切換用固定端子の斜視図である。
【図21】(a)は図19のスイッチのカバーを外した状態での正面図、(b)はそのB−B線断面図、(c)は(b)に示す状態からカバーを装着した状態を示す断面図である。
【図22】操作レバーを反時計回り方向に回転させた場合の可動接点バネの各位置を示すベースと可動接点バネの正面図である。
【図23】操作レバーを時計回り方向に回転させた場合の可動接点バネの各位置を示すベースと可動接点バネの正面図である。
【図24】操作レバーを回転させた位置を示す正面図と、各端子の導通状態との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「側」、「端」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0029】
(構成)
図1は、本実施形態に係るスイッチを示す。このスイッチは、図2に示すように、ベース1に、操作部材の一例である操作レバー2、可動端子である可動接点バネ3、及び、弾性復帰部材であるコイルスプリング4を装着し、カバー5で覆った構成である(なお、図面からは明白ではないが、実際の製品は、高さ0.9mm、ベース幅4.0mm、ベース長さ3.9mmの外形寸法となるように形成された非常に小型のものである。)。
【0030】
ベース1は、図3(a)に示すように、共通固定端子6、及び、一対の切換用固定端子7a、7bをインサート成形した平面視略矩形状のものである。
【0031】
共通固定端子6は、図3(b)に示すように、導電性を有する金属製板材をプレス加工することにより形成される、平面視略矩形状の共通固定接点領域8と、その両側縁下方位置から延びる断面略U字形の共通端子部9a、9bとで構成されている。共通固定接点領域8には矩形状の逃がし孔10が形成され、両側縁上方位置からはベース1内に位置する第1インサート部11a、11bがそれぞれ突設されている。また、固定接点領域の下縁中央部からは、略直角方向に折り曲げられ、ベース1内に位置する第2インサート部12が突設されている。
【0032】
切換用固定端子7a、7bは、図3(b)に示すように、導電性を有する金属製板材をプレス加工することにより形成される、平面視略矩形状の切換用固定接点領域13a、13bと、その片側縁部から延びる断面略U字形の切換用端子部14a、14bとで構成されている。切換用固定接点領域13a、13bの角部が折り曲げられることにより、ベース1内に位置する第3インサート部15a、15bがそれぞれ形成されている。
【0033】
ベース1の上面中央部には、図3(a)に示すように、平面視円形の凹所16が形成されている。凹所16の底面(露出面)には支持用突部17が形成され、後述するように、コイルスプリング4のアーム部4b、4cが当接するようになっている。凹所16の底面略上半部(正確には、上半部だけでなく、凹所16の中心よりも下方側の領域も含む)には、共通固定端子6の共通固定接点領域8が露出している。そして、この状態で、共通固定端子6の逃がし孔10にベース1の支持用突部17が位置している。凹所16の底面略下半部の両側には、各切換用固定端子7a、7bの共通固定接点領域13a、13bがそれぞれ露出している。なお、各接点領域8と13a、8と13b、13aと13bの間には隙間がそれぞれ形成されている。
【0034】
凹所16の周囲には、図3(a)に示すように、一部(後述する操作レバー2のレバー部24が回動する上方部分)を除く略C字形の領域にガイド部18が形成されている。ガイド部18の円弧内側面19は、凹所16の開口縁部に沿っている。円弧内側面19の周端部(周方向の両端部)には、内側に突出するガイドリブ20a、20bがそれぞれ形成されている。ガイドリブ20a、20bは、後述する操作レバー2のレバー本体23の外周面をガイドし、又、操作レバー2の回動範囲を規制する。ガイド部18の3つの外側面にはガイド用段部21がそれぞれ形成され、その上端側には抜止用突部21aがそれぞれ形成されている。ベース1の底面縁部の4箇所には係止凹部22がそれぞれ形成され、後述するカバー5の各係止用爪部5bがそれぞれ係止されるようになっている。
【0035】
操作レバー2は、合成樹脂材料を成形加工することにより得られるもので、図4に示すように、レバー本体23と、その外周面から突出させたレバー部24とで構成されている。
【0036】
レバー本体23は、平面視円形状で、下端環状部が下方に突出し、前記ベース1の凹所16に配設されることにより、この部分のみが凹所16に回動可能に支持される。レバー本体23には、回転中心よりも下方側の位置を中心とする平面視円形のスプリング保持部25が形成されている。スプリング保持部25は、その外周面にコイルスプリング4の巻回部4aを保持する。また、レバー本体23には、前記スプリング保持部25を第1保持部26と第2保持部27とに分割する長穴28(空間部)が形成されている。長穴28は、前記レバー部24の突出方向とほぼ直交し、中央部の幅広部28aと、そこから両側に段違いで延びる幅狭部28bとで形成されている。各幅狭部28bには、その対向面には表裏面に延びる(紙面に垂直な方向に延びる)突条28cがそれぞれ形成され、可動接点バネ3の接点バネ部3bをガイドするようになっている。幅狭部28bの先端は幅の広がった逃がし部28dとなっている。そして、長穴28には後述する可動接点バネ3が配置されるようになっている。前記第1保持部26の基部には当接片26aが形成されている。当接片26aは、コイルスプリング4の巻回部4aを位置決めする。前記第2保持部27には、ほぼ対称な位置2箇所に係止爪27a、27bがそれぞれ形成されている。これら係止片27a、27bは、コイルスプリング4の巻回部4aに係止して、スプリング保持部25からの脱落を阻止する。
【0037】
レバー本体23の上面には、前記スプリング保持部25の上方側に扇状の凹部23aが形成されている。そして、凹部23aの底面には、前記スプリング保持部25に沿って円弧穴23bが形成されている。円弧穴23bは、前記ベース1の支持用突部17との干渉を避けるためのものである。また、前記凹部23aによって形成された円弧内側面には、レバー部24に対応する位置から内側に向かって作動用リブ29が突設されている。作動用リブ29には、レバー本体23の内周側に配設したコイルスプリング4の両端部がそれぞれ当接可能となっている。また、レバー本体23の上面には、前記スプリング保持部25の下方側に円弧状の凹部23cが形成されている。凹部23cは、前記コイルスプリング4の巻回部4aを前記スプリング保持部25に装着する際の逃がしである。
【0038】
レバー本体23の外周面には、レバー部24とは反対側にガイド突部30が形成されている。ガイド突部30は、前記ベース1の円弧内側面19を摺接する。また、レバー本体23の外周面には、前記ベース1のガイドリブ20a、20bが摺接する。これにより、操作レバー2は、1箇所のガイド突部30と、2箇所のガイドリブ20a、20bとによって3点で回動可能に支持される。
【0039】
可動接点バネ3は、図2に示すように、導電性及び弾性を有する線材を屈曲させることにより、弾性押圧部である巻回部3aと、この巻回部3aから延びる両端側の接点バネ部3bとを形成したものである。接点バネ部3bの先端は、略V字形に屈曲する接点部3cとなっている。可動接点バネ3は、図5(a)に示すように、前記操作レバー2に形成した長穴28に配置される。巻回部3aは、長穴28の幅広部28aに配置され、各接点バネ部3bは、幅広部28aから延びる幅狭部28bに配置される。また、接点部3cは逃がし部28dに配置される。逃がし部28dにより、接点部3cの曲げ方向が巻回部3aに対して多少周方向にずれていたとしても、ベース1と操作レバー2の間に噛み込むことを防止する逃がしとして機能する。なお、図2に示す可動接点バネ3は、操作レバー2の長穴28に可動接点バネ3を配設した状態で、各接点バネ部3bが巻回部3aの下方側から側方にそれぞれ延びるように形成されている。また、可動接点バネ3の表面には貴金属でメッキを施すようにするのが好ましい。この場合、可動接点バネ3は線材からなる表面積の小さな構成であるので、使用する貴金属の量を抑えることができ、経済的である。
【0040】
コイルスプリング4は、図2に示すように、弾性を有する線材を屈曲させることにより、巻回部4aと、その両端側に延びるアーム部4b、4cとを形成したものである。コイルスプリング4は、図5(a)に示すように、巻回部4aを前記操作レバー2のスプリング保持部25に、係止爪27a、27bによって抜止された状態で保持される。各アーム部4b、4cは、前記ベース1の支持用突部17と、作動用リブ29とに両側から圧接し、ベース1に対して操作レバー2を中立位置に位置決めする。そして、レバー部24を介して操作レバー2を回動させると、コイルスプリング4の一方のアーム部4bが作動用リブ29に押圧されて、操作レバー2を前記中立位置に復帰させる。つまり、コイルスプリング4は、操作レバー2を中立位置に復帰させる復帰バネとして機能する。
【0041】
カバー5は、図2に示すように、金属製板材(例えば、ステンレス鋼)をプレス加工して前記ベース1を被覆可能な略矩形状としたものである。カバー5の外周縁部の隣り合う3辺が折り曲げられて側壁5aが形成されている。側壁の下縁部には、折り曲げ可能な係合用爪部5bがそれぞれ形成されている。また、カバー5の角部(各側壁の交差部)には、係合用切欠部5cがそれぞれ形成されている。そして、ベース1に対してカバー5を装着することにより、その下面で前記可動接点バネ3をその巻回部を介して押圧し、ベース1の凹部の底面との間に圧縮状態で挟持する。
【0042】
(組立方法)
前記構成からなるスイッチは、次のようにして制作する。
【0043】
まず、共通固定端子6と切換用固定端子7をインサート成形することによりベース1を形成する。このとき、前述のように、ベース1の凹所16に、共通固定端子6の共通固定接点領域8と、切換用固定端子7の切換用固定接点領域13a、13bとを露出させる。また、共通固定端子6の共通端子部9a、9bと、切換用固定端子7a、7bの切換用端子部14a、14bとがそれぞれベース1の側面から突出し、図示しないプリント基板に実装可能となる。
【0044】
そして、ベース1の凹所16に操作レバー2のレバー本体23を配置する。凹所16に配置されたレバー本体23は、下端環状部を凹所16の内周縁によってガイドされ、外周面をベース1のガイドリブ20a、20bによってガイドされ、外周面のガイド突部30をベース1の円弧内側面19によってガイドされる。つまり、操作レバー2は、その下端環状部と外周の3点とを支持されただけであり、回動操作時に受ける摩擦抵抗が抑制されるようになっている。また、操作レバー2の円弧穴23bには、ベース1の支持用突部17が位置し、ベース1に対する操作レバー2の回動範囲はガイドリブ20a、20bによって規制される。
【0045】
続いて、ベース1に取り付けた操作レバー2の長穴28に可動接点バネ3を配置した後、操作レバー2のスプリング保持部25にコイルスプリング4を装着する。可動接点バネ3は、接点部3cがベース1に形成した凹所16の底面に当接し、巻回部3aと接点バネ部3bとの弾性力により、図5(b)に示すように、巻回部3aの上半部が長穴28の幅広部28aから上方に突出する。コイルスプリング4は、その巻回部4aをスプリング保持部25の外周に保持され、係止爪27aでそこからの脱落を阻止される。このとき、コイルスプリング4の各アーム部4b、4cを支持用突部17及び作動用リブ29の両側にそれぞれ位置させる。これにより、一方のアーム部4bをベース1の支持用突部17に当接させたコイルスプリング4の他方のアーム部4cにより、操作レバー2が作動用リブ29を介して付勢力を受け、図5(a)に示す中立位置に位置決めされる。
【0046】
その後、ベース1にカバー5を被せ、係止用爪部5bを折り曲げてベース1の係止凹部22に係止する。これにより、カバー5の下面によって可動接点バネ3の巻回部3aが押し下げられ、図5(c)に示すように、操作レバー2に形成した長穴28の幅広部28a内に位置する。また、接点バネ部3bが幅狭部28bに位置し、接点部3c1、3c2が逃がし部28dに位置する。そして、前記中立位置では、両接点部3c1、3c2が共通固定端子6の共通固定接点領域8に圧接する。
【0047】
このように、ベース1に対して、その上方側から、順次、操作レバー2、可動接点バネ3、コイルスプリング4、及び、カバー5を組み付けるだけでよいので、組立性に優れており、量産に適している。特に、可動接点バネ3は、操作レバー2に形成した長穴28に配設するだけでよいので、面倒な位置合わせや位置決め等が不要となり、非常に小型であったとしても、作業をスムーズに行うことが可能である。
【0048】
(動作)
前述のようにして制作されたスイッチの動作について説明する。
【0049】
すなわち、初期状態では、コイルスプリング4の付勢力により、操作レバー2は図5(a)に示す中立位置に位置し、可動接点バネ3の両端側の接点部3c1、3c2が共通固定端子6の共通固定接点領域8にそれぞれ圧接する。
【0050】
ここで、レバー部24を押圧して操作レバー2を時計回り方向に操作すると、作動用リブ29がコイルスプリング4の一方のアーム部4cを押圧する。これにより、このアーム部4cは、前記中立位置に維持しようとする巻回部4aの弾性力に抗して、ベース1の支持用突部17に当接した他方のアーム部4bに対する開き角度が徐々に大きくなる。
【0051】
そして、図6(a)に示すように、レバー部24がベース1のガイドリブ20aに当接すると、操作レバー2の長穴28に保持した可動接点バネ3の接点部3c2は共通固定端子6の共通固定接点領域8上を移動し、接点部3c1は切換用固定端子7aの切換用固定接点領域13aへと接触位置を変化させる。これにより、可動接点バネ3を介して共通固定端子6と切換用固定端子7aとの導通が図られる。
【0052】
ところで、前記操作レバー2の操作では、その回転中心に対して、コイルスプリング4の巻回部4aの中心位置がレバー部24から離れている。このため、レバー部24の回動角度に対してアーム部4bと4cの開き角度を抑えることができる。したがって、コイルスプリング4の巻回部4aの中心位置が、操作レバー2の回動中心と一致している場合に比べて、操作レバー2に作用する弾性力を抑えることができる。つまり、スイッチの小型化と、操作レバー2の良好な操作性とを実現可能となる。また、コイルスプリング4に発生する応力を抑えることができるので、疲労破壊しにくくなり、長寿命化が達成される。
【0053】
その後、レバー部24の押圧を解除すると、操作レバー2はコイルスプリング4の付勢力によって元の中立位置に復帰し、共通固定端子6と切換用固定端子7aとの導通が解除される。
【0054】
また逆に、図6(b)に示すように、レバー部24を押圧して操作レバー2を反時計回り方向に操作する場合、可動接点バネ3を介して共通固定接点領域8と、切換用固定接点領域13bとが導通する。なお、各部品の動作については、前記時計回り方向の動作とほぼ同じであるので、その説明を省略する。
【0055】
(他の実施形態)
本発明は、前記実施形態に記載の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0056】
例えば、図7から図9では、前記実施形態とは可動接点バネ3の構成が相違する(他の部品構成はほぼ同じである。)。
【0057】
すなわち、図7では、巻回部3aから両端のアーム部3b、3bが突出する位置が、前記実施形態では下方側すなわちベース1側であったのに対し、カバー5側である点で相違する。
【0058】
また、図8では、弾性押圧部が、巻回部3aではなく、上方すなわちカバー5側に向かって湾曲した湾曲部31で構成されており、可動接点バネ3を収容する操作レバー2の長穴28が真っ直ぐに形成されている点で相違する。この構成により、より一層、構造を簡略化することができ、さらに安価に制作することが可能となる。
【0059】
また、図9は、図8と比較すると、可動接点バネ3を一定の幅を有する板材を屈曲させて形成している点で相違する。この構成により、強度面での向上を図ることができる。また、板材の幅寸法を変更することにより、得られる接点圧を自由に調整することが可能となる。この場合、操作レバー2に形成する長穴28の幅寸法は、可動接点バネ3の幅寸法に応じて変更すればよい。
【0060】
また、図7から図9では、各固定端子6、7a、7bの固定接点領域8、13a、13bの境界部分に突出部32をインサート成形で一体的に形成することにより、インサート成形後に各固定端子6、7a、7bの角部が浮き上がるのを防止するようにしている。
【0061】
また、図8及び図9では、固定端子の構成を、図10(b)に示すように、共通固定端子6の下縁中央部に切欠き33を形成し、切換用固定端子7a、7bの角部に延設部34a、34bをそれぞれ形成することにより、突出部32を形成する位置を平面図上方側へとずらせている。これにより、図10(a)に示すように、可動接点バネ3との干渉が回避された位置に突出部32を形成することが可能となる。
【0062】
また、図11では、可動接点バネ3に代えて、剛性を有する線材からなる可動接点部材35が使用され、弾性押圧部が別体のコイルスプリング36で構成されている。可動接点部材35は、線材を両端部で直角に折り曲げ、中央部を若干屈曲させることにより、両端の折り曲げ部分を固定接点領域8、13a、13bに当接する接点部3c1、3c2としたものである。また、操作レバー2には、スプリング保持部25を筒状としてコイルスプリング36を保持可能な収容部37が形成されている。そして、ベース1に対して操作レバー2を載置し、操作レバー2の長穴28に可動接点部材35を配置し、収容部37にコイルスプリング36を収容し、ベース1にカバー5を装着すると、コイルスプリング36が、ベース1に装着したカバー5に押圧されて、可動接点部材35を付勢し、接点部3c1、3c2が固定接点領域8、13a、又は13bに圧接する。
【0063】
このようなスイッチでは、前記各実施形態と比較しても、可動接点部材35を非常に単純な構成とすることができるので、加工が非常に簡単となる。可動接点部材35に貴金属をメッキする場合でも、使用する貴金属量を必要最小限に抑えることができる。また、可動接点部材35を剛性の高いものとすることができるので、耐久性を向上させることも可能となる。また、接点圧は主にコイルスプリング36によって設定することができるので、所望の構成を容易に得ることが可能となる。
【0064】
また、図12及び図13では、コイルスプリング4のアーム部4b、4cは、図2に示すように、後にアーム部4b、4cを図5(a)に示すように交差させることができるように近傍に形成するのではなく、ある開き角度を持って形成されている。
【0065】
操作レバー2は、レバー本体23の上面に環状溝38が形成され、その内側部分(中心部)はスプリングガイド部39となっている。また、レバー部24の突出方向とは反対側の部分には略扇形の切除部40が形成され、環状溝38が側方に開放している。切除部40により第1当接面41と段部42が形成されている。第1当接面41には係止爪41aが突設されている。第1当接面41には、コイルスプリング4のアーム部4bが当接し、このアーム部4bは係止爪41aによって位置規制されるようになっている。また、段部42の上方側の側面は、コイルスプリング4のアーム部4cが当接する第2当接面43となっている。第2当接面43には係止爪43aが形成され、段部42の上面42aとでアーム部4cが位置規制されるようになっている。なお、長穴28等の他の構成については、前記実施形態と同様である。
【0066】
ベース1は、操作レバー2のレバー本体23の下端周縁部を凹所16によって回動可能に支持するが、レバー本体23の外周面は、3点支持ではなく、ガイド部18に形成される円弧内周面19の全体で支持されるようになっている。また、ガイド部18には、前記凹所16に装着した操作レバー2の切除部40に連続する扇状の凹部44が形成され、そこには、図13(a)に示す中立位置で、第1当接面41に連続する第1ガイド面44aが形成されている。また、段部42に連続する段部45が設けられ、そこには図13(a)に示す中立位置で第2当接面43に連続する第2ガイド面45aが形成されている。なお、操作レバー2の回動範囲は、ガイド部18の周端面18a、18bによって規制されるようになっている。
【0067】
前記構成のスイッチは、次のようにして組み立てる。すなわち、ベース1の凹所16に操作レバー2のレバー本体23を配置する。そして、操作レバー2の長穴28に可動接点バネ3を収容し、環状溝38にコイルスプリング4の巻回部4aを外装する。このとき、コイルスプリング4のアーム部4bを第1当接面41に当接させ、係止爪41aに係止して位置決めし、先端部分を第1ガイド面44aに当接させる。また、アーム部4cを第2当接面43に当接させ、係止爪43aと段部42の上面42aの間に挟持して位置決めし、先端部分を第2ガイド面45aに当接させる。コイルスプリング4の取付では、アーム部4b、4cを巻回部4aでの弾性力に抗して周方向に弾性変形させるだけで、簡単に所望の位置に係止することができる。したがって、前記実施形態のようにアーム部4b、4cを交差させるように弾性変形させる場合に比べて組付作業性を大幅に向上させることができる。その後、前記実施形態と同様にして、ベース1にカバー5を装着すれば、可動接点バネ3の巻回部3aが押し込まれ、接点部3c1、3c2が共通固定接点領域8、8にそれぞれ圧接する。
【0068】
このようにして組み立てられたスイッチでは、レバー部24を押圧して操作レバー2を、図13(a)中、時計回り方向に回動させ、レバー部24がガイド部18の周端面18aに当接すると、可動接点バネ3の接点部3c2は共通固定接点領域8に圧接した状態を維持し、接点部3c1は共通接点領域8から切換用接点領域13aに切り替わる。このとき、コイルスプリング4のアーム部4bがレバー本体23の第1当接面41によって押圧される。一方、コイルスプリング4のアーム部4cがベース1の第2ガイド面45aに当接した状態を維持する。これにより、コイルスプリング4から操作レバー2に対して、図13(a)に示す中立位置に復帰させようとする付勢力が作用する。したがって、レバー部24への押圧力を解除すると、操作レバー2は中立位置に自動復帰し、接点部3c1、3c2は共に共通固定接点領域8に圧接する。また、操作レバー2を、図13(a)中、反時計回り方向に回動させた場合も同様である。
【0069】
また、前記実施形態は、スイッチを採用する機器に応じて次のように変更することも可能である。
【0070】
すなわち、固定接点領域は、1箇所の共通固定接点領域8と、2箇所の変換用固定接点領域13a、13bとで構成したが、4箇所以上としてもよい。この場合、可動接点バネ3は、2箇所の接点部3c1、3c2を有する構成としたが、例えば、カバー5の下面によって押圧可能な中心部から放射状に延びる複数の接点バネ部3bに形成した3箇所以上の接点部を有する構成とすることも可能である。
【0071】
また、共通固定接点領域8をなくし、3箇所以上の固定接点領域のいずれか2箇所に切り替えるように構成するようにしてもよい。
【0072】
また、操作レバー2は、前述の中立位置に自動復帰させる構成に限らず、各接点切換位置で停止するように構成することも可能である。例えば、固定接点領域に凹部を形成する一方、可動接点バネ3の接点部に凸部を形成し、両者が係合することにより、操作レバー2を回動操作する際にクリック感が得られるようにすればよい。この場合、コイルスプリング4は不要となる。
【0073】
また、前記実施形態は、例えば、次のように構成することにより、スイッチの切換数をさらに増やすことができる。
【0074】
図14では、図7に示す構成と比較すると、ベース100とカバー110のみが相違し、他は同様な構成となっている。そこで、以下の説明では、ベース100とカバー110以外の同様な部材には同一符号を付してその説明を省略する。
【0075】
ベース100には、4つの切換用固定端子(第1〜第4切換用固定端子101〜104)がインサート成形されている。各切換用固定端子101〜104は、図15に示すように、前記同様、導電性を有する金属製板材をプレス加工することにより形成される、平面視略矩形状の第1〜第4切換用固定接点領域101a〜104aと、その片側縁部から延びる断面略U字形の第1〜第4切換用端子部101b〜104bとで構成されている。第1、第2切換用固定接点領域101a、102aは、第1インサート部101c、102cのほかに、第2インサート部101d、102dを有する。第2インサート部101d、102dは、第1、第2切換用固定接点領域101a、102aから屈曲して突出し、同一平面内には位置していない。また、第3、第4切換用固定接点領域103a、104aは、角部に斜めに屈曲された第3インサート部103c、104cが形成され、その反対側の角部が略三角形に突出する第4インサート部103d、104dが形成されている。第1〜第4切換用固定端子101〜104はベース100にインサート成形されることにより、各切換用固定接点領域101a〜104aを、ベース100の凹所16内に十字状の隙間を介してそれぞれ露出する。但し、第1、第2切換用固定接点領域101a、102aに比べて第3、第4切換用固定接点領域103a、104aの露出スペースは小さくしている。すなわち、第3、第4切換用固定接点領域103a、104aは、第1、第2切換用固定接点領域101a、102aから離され、その隙間が大きくなるように配置されている。これにより、操作レバー2を操作して可動接点バネ3を中立位置から回転させると、まず、一方の接点部3cが第1又は第2切換用固定接点領域101a又は102aに接触し、続いて、他方の接点部3cが第3又は第4切換用固定接点領域103a又は104aに接触する。つまり、2段階で導通パターンを変更することが可能となる。
【0076】
カバー110は、図14に示すように、図7に示すものとは異なり、共通端子部111を備えている。共通端子部111は、図示しないプリント基板に電気接続可能である。カバー110は、図16に示すように、ベース100に被せることにより可動接点バネ3が圧接して電気的に導通し、共通端子として機能する。なお、前記図2に示す構成と同様に、カバー110の外周縁部の隣り合う3辺が折り曲げられて側壁110aが形成されている。側壁の下縁部には、折り曲げ可能な係合用爪部110bがそれぞれ形成されている。また、カバー110の角部(各側壁の交差部)には、係合用切欠部110cがそれぞれ形成されている。
【0077】
前記構成のスイッチは、次のように動作する。
【0078】
初期状態では、図17(a)に示すように、コイルスプリング4の付勢力によって操作レバー2は中立位置に位置し、可動接点バネ3の両接点部3cは、第1切換用固定接点領域101a、第3切換用固定接点領域103a間の隙間と、第2切換用固定接点領域102a、第4切換用固定接点領域104a間の隙間とにそれぞれ位置し、共通端子111は、いずれの固定接点端子101〜104にも導通していない。
【0079】
ここで、コイルスプリング4の付勢力に抗して操作レバー2を、図17(a)中、反時計回り方向に回転させると、可動接点バネ3は、巻回部3aをカバー110に圧接させた状態を維持しながら、図17(b)に示すように、まず、一方の接点部3c1を第2切換用固定接点領域102aに圧接させる。これにより、共通端子部111と第2切換用端子部102bとが導通する。さらに、操作レバー2を反時計回り方向に回転させると、可動接点バネ3は、図17(c)に示すように、一方の接点部3c1を第2切換用固定接点領域102aに圧接させた状態を維持しつつ、残る他方の接点部3c2を第3切換用固定接点領域103aに圧接させる。これにより、共通端子部111は、第2切換用端子部102bのみならず、第3切換用端子部103bにも導通する。つまり、2段階の切換操作が可能である。また逆に、コイルスプリング4の付勢力に抗して操作レバー2を、図18(a)中、時計回り方向に回転させると、図18(b)に示すように、可動接点バネ3の一方の接点部3c2が第1切換用固定接点領域101aに圧接した後、図18(c)に示すように、この圧接状態を維持したまま他方の接点部3c1が第4切換用固定接点領域104aに圧接する。これにより、前記同様、共通端子部111と第1切換用端子部101bが導通した後、さらに第4切換用端子部104bが導通する2段階の切換操作が可能である。なお、図17(d)及び図18(d)は、操作レバー2を、反時計回り方向及び時計回り方向の限界位置まで回転させた状態での導通パターンを示す。
【0080】
このように、図14に示す構成のスイッチでは、操作レバー2を一方に回転させることにより2段階、他方に回転させることにより2段階、都合4段階の切換操作が可能である。したがって、前記スイッチを、例えば、デジタルカメラに採用して、操作レバー2を一方に回転させることにより、最初の切換操作でズームを開始し、次の切換動作でズームを加速させる用途に使用することができる。また、前記スイッチを、DVDプレーヤーやHDDプレーヤー等のリモコンの操作部分に採用して、操作レバー2を一方の回転させることにより、映像の早送りを開始し、さらに回転させることにより早送り速度を上昇させる用途にも使用することができる。また、振動等の影響を受けたとしても、接点の接触圧が安定しているので、車載用のスイッチとして採用しても動作信頼性が非常に高いものとなる。
【0081】
また、図19では、図14に示す構成からさらに固定接点端子の数を2つ増やし、操作レバーを一方に回転させることにより3段階の切換、すなわち都合6段階の切換操作が可能である。以下の説明では、図14に示す構成から改良された部分であるベース120、操作レバー130、及び可動接点バネ140と、図14に示すものと同様に、図7に示すものから改良されたカバー150のみについて説明し、他の共通部分(図7とも共通)には同一符号を付してその説明を省略する。
【0082】
ベース120は、6つの切換用固定端子(第1〜第6切換用固定端子121〜126)がインサート成形されている。各切換用固定端子121〜126は、前記同様、導電性を有する金属製板材をプレス加工することにより形成される、平面視略矩形状の第1〜第6切換用固定接点領域121a〜126aと、その片側縁部から延びる断面略U字形の第1〜第6切換用端子部121b〜126bとで構成されている。各切換用固定接点領域121a〜126aは、ベース120の凹所16内に隙間を介して6箇所にそれぞれ露出する。第1、第2切換用固定端子121、122は、第2インサート部が形成されていない点を除いて前記図14に示すものとほぼ同様な構成である。第3、第4切換用固定端子123、124の各切換用固定接点領域123a、124aの間に、第5、第6切換用固定端子125、126の各切換用固定接点領域125a、126aが位置し、これらの間には全て所定の隙間が形成されている。
【0083】
操作レバー130には、可動接点バネ140が配設される領域として、平面視略矩形状の凹部131が形成されている。
【0084】
可動接点バネ140は、導電性板材をプレス加工することにより、両端側がそれぞれ二股に形成されている。二股に分かれた各脚部は長さが相違し、先端部分が湾曲することにより接点部141a〜141dを構成している。可動接点バネ140は、操作レバー130の凹部131に配設される。各接点部141a〜141dは、操作レバー130を回転操作することにより、前記各切換用固定接点領域121a〜126aに接離する。
【0085】
カバー150は、図14に示すものと同様、共通端子部151を備えている。共通端子部151は、図示しないプリント基板に電気接続可能である。カバー150は、図21に示すように、ベース120に被せることにより可動接点バネ140が圧接して電気的に導通し、共通端子として機能する。なお、前記図2、図14に示す構成と同様に、カバー150の外周縁部の隣り合う3辺が折り曲げられて側壁150aが形成されている。側壁の下縁部には、折り曲げ可能な係合用爪部150bがそれぞれ形成されている。また、カバー150の角部(各側壁の交差部)には、係合用切欠部150cがそれぞれ形成されている。
【0086】
前記構成のスイッチは、次のように動作する。
【0087】
初期状態では、図22(a)に示すように、コイルスプリング4の付勢力によって操作レバー130は中立位置に位置し、可動接点バネ140の接点部141a〜141dは、第1、第2切換用固定接点領域121a、122aと、第3、第4切換用固定接点領域123a、124aの間の隙間と、第5、第6切換用固定接点領域125a、126aの間の隙間とにそれぞれ位置し、共通端子151は、いずれの固定接点端子121〜126にも導通していない。
【0088】
ここで、スプリング4の付勢力に抗して操作レバー130を、図22(a)中、反時計回り方向に回転操作すると、可動接点バネ140は、頂部141eをカバー150に圧接させた状態を維持しながら、図22(b)に示すように、まず、一端側の一方の接点部141aを第2切換用固定接点領域122aに圧接させる。これにより、共通端子部151と第2切換用端子部122bとが導通する。さらに、操作レバー130を反時計回り方向に回転させると、可動接点バネ140は、図22(c)に示すように、一端側の一方の接点部141aのみならず、他方の接点部141bをも第2切換用固定接点領域122aに圧接させながら、他端側の一方の接点部141cを第3切換用固定接点領域123aに圧接させる。これにより、共通端子部151は、第2切換用端子部122bのみならず、第3切換用端子部123bにも導通する。さらに、操作レバー130を反時計回り方向に回転させると、可動接点バネ140は、図22(d)に示すように、一端側の接点部141a、141bを第2切換用固定接点領域122aに圧接させた状態を維持しつつ、他端側の一方の接点部141cを第3切換用固定接点領域123aに圧接させ、かつ、他端側の他方の接点部141dを第5切換用固定接点領域125aに圧接させる。これにより、共通端子部151は、第2切換用端子部122b、第3切換用端子部123b及び第5切換用端子部125bに導通する。その後、操作レバー130は操作レバー130の操作範囲の限界まで回転する。
【0089】
また、逆に、操作レバー130を、図23(a)中、時計回り方向に回転操作すると、図23(b)から図23(d)に示すように、導通パターンは、共通端子部151と第1切換用端子部121b(図23(b)参照)、共通端子部151と第1切換用端子部121b及び第4切換用端子部124b(図23(c)参照)、共通端子部151と第1切換用端子部121b、第4切換用端子部124b及び第6切換用端子部126bの順で共通端子部151と第1切換用端子部121bに対して順次切り換わる。なお、図22(e)及び図23(e)は、操作レバー2を、反時計回り方向及び時計回り方向の限界位置まで回転させた状態での導通パターンを示す。
【0090】
図14に示す構成のスイッチでは一方への回転で2段階の切換操作を可能とし、図19に示す構成のスイッチでは一方への回転で3段階の切換操作を可能としたが、スペースが許す限り、4段階以上の切換操作ができるように構成することも可能である。
【0091】
また、前記各実施形態で説明した操作レバーは、レバー部24を無くしてレバー本体23のみで構成し、レバー本体23を直接回転させることも可能であり、その形態は前記各実施形態に記載したものに限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係るスイッチは、プリント基板等に実装して使用するスイッチ、例えば、携帯電話、リモコン、デジタルカメラ等の操作部分に採用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1…ベース
2…操作レバー
3…可動接点バネ
3a…巻回部(弾性押圧部)
3b…接点バネ部(可動端子)
3c1、3c2…接点部
4…コイルスプリング(弾性復帰部材)
4a、4b…アーム部
5…カバー
5a…側壁
5b…係止用爪部
5c…係合用切欠部
6…共通固定端子
7a、7b…切換用固定端子
8…共通固定接点領域
9…共通端子部
10…逃がし孔
11a、11b…第1インサート部
12…第2インサート部
13a、13b…切換用固定接点領域
14a、14b…切換用端子部
15a、15b…第3インサート部
16…凹所
17…支持用突部
18…ガイド部
19…円弧内側面
20a、20b…ガイドリブ
21…ガイド用段部
21a…抜止用突部
22…係止凹部
23…レバー本体
23a…凹部
23b…円弧穴
23c…凹部
24…レバー部
25…スプリング保持部
26…第1保持部
26a…当接片
27…第2保持部
27a…係止爪
28…長穴(空間部)
28a…幅広部
28b…幅狭部
28c…逃がし部
29…作動用リブ
30…ガイド突部
31…湾曲部(弾性押圧部)
32…突出部
33…切欠き
34…延設部
35…可動接点部材
36…コイルスプリング
37…収容部
38…環状溝
39…スプリングガイド部
40…切除部
41…第1当接面
41a、41b…係止爪
42…段部
42a…上面
43…第2当接面
43a…係止爪
44…凹部
44a…第1ガイド面
45…段部
45a…第2ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の固定端子を一体化され、各固定端子の固定接点領域が露出する露出面を有する、凹所を形成されたベースと、
平面視円形のレバー本体と、該レバー本体から突出するレバー部とからなり、前記レバー本体は、前記ベースの凹所にガイドされるようにして前記ベースに回動可能に取り付けられ、一部に前記露出面を表出させる空間部を形成された操作部材と、
前記操作部材の一部に形成された空間部を構成する部位に保持され、前記ベースの露出面を摺接して固定接点領域との導通状態を切り替える複数の接点部を有する可動端子と、
前記ベースに装着され、操作部材及び可動端子の脱落を防止するカバーと、を備え、
前記可動端子は、ベースにカバーを装着した状態で、接点部を固定接点領域に圧接可能であることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記可動端子の接点部は、回動中心を中心点とする点対称の位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
前記可動端子は、前記操作部材の占有領域内からのはみ出し部分なしに前記操作部材に位置決めしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチ。
【請求項4】
前記カバーは、前記可動端子が圧接して導通可能な共通端子部を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記操作部材を中立位置に位置決めし、回動操作されることにより前記中立位置に復帰させるように付勢する弾性復帰部材を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記可動端子は、導電性及び弾性を有する線材からなり、中間の巻回部と、両端側の可動バネ部とで構成され、前記巻回部を弾性押圧部として機能させたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記可動端子は、導電性及び弾性を有する長尺材からなり、中間の湾曲部と、両端側の可動バネ部とで構成され、前記湾曲部を弾性押圧部として機能させたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項8】
前記固定端子は、前記可動端子の一方の可動バネ部が常に電気接続される共通端子と、前記操作部材を操作して回動させることにより、前記可動端子の他方の可動バネ部が電気接続可能な複数の切換用固定端子とからなることを特徴とする請求項6又は7に記載のスイッチ。
【請求項9】
前記操作部材は、前記ベースに回動可能に保持されるレバー本体と、該レバー本体から突出するレバー部とからなり、
前記弾性復帰部材は、中間の巻回部と、両端側のアーム部とで構成され、
前記ベースは、前記弾性復帰部材のアーム部を保持するアーム保持部を備え、
前記弾性復帰部材の巻回部の中心位置は、前記ベースでの操作部材の回動中心に対して、前記レバー部から反対側に離れた位置に配置したことを特徴とする請求項4又は請求項4に従属する請求項6から8のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項10】
前記弾性復帰部材は、中間の巻回部と、両端側のアーム部とで構成され、
前記操作部材は、前記弾性復帰部材の巻回部が装着されるガイド部と、前記各アーム部が当接する第1及び第2当接面と、を備え、
前記ベースは、前記各アーム部が当接する第1及び第2ガイド面を備えたことを特徴とする請求項4又は請求項4に従属する請求項6から9のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項11】
前記カバーは導電性材料からなり、端子部を備え、かつ、前記可動端子に電気接続したことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項12】
前記固定端子は、4箇所又は6箇所の切換用固定端子からなり、
前記可動端子は、両端側に接点部を有し、
前記操作部材の回動動作により、各切換用固定端子に対して各接点部を切り換え可能としたことを特徴とする請求項11に記載のスイッチ。
【請求項13】
複数の固定端子を、該固定端子の固定接点領域が露出面に露出するようにベースを形成する工程と、
前記ベース上に操作部材を回動可能に取り付ける工程と、
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程と、
前記ベースにカバーを装着し、可動端子の接点部を固定接点領域に圧接させる工程と、を備えたことを特徴とするスイッチの製造方法。
【請求項14】
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程では、前記操作部材での前記可動端子の位置決め部位と、前記接点部とを、略同一直線上に配置することを特徴とする請求項13に記載のスイッチの製造方法。
【請求項15】
前記操作部材に対して可動端子を位置決めして取り付ける工程では、前記可動端子は、前記操作部材の占有領域内からのはみ出し部分がないようにすることを特徴とする請求項13又は14に記載のスイッチの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−110127(P2013−110127A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22533(P2013−22533)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2008−281753(P2008−281753)の分割
【原出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】