説明

スイッチ及びコネクタ

【課題】高電圧、直流を安全に供給することのできるスイッチを提供する。
【解決手段】固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、各々の前記固定接点と前記可動接点の間には、前記固定接点と前記可動接点との間で発生するアーク抑制するためのアーク電圧抑制部が各々設けられていることを特徴とするスイッチを提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ及びコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電気機器は、電源等より電力の供給を受け動作するものであり、電源より電力の供給を受ける際には、通常コネクタを介し電源より電気機器へ電力が供給される。この際用いられるコネクタは、特許文献1、2に開示されているように、凸状の雄型タイプのコネクタと、凹状の雌型タイプのコネクタを嵌合することにより、電気的に接続を行うものである。
【0003】
一方、近年では、地球温暖化等に対する対策の一つとして、ローカルエリアにおける送電においても、電圧変換や送電等における電力損失が少なく、ケーブルの太さも太くする必要のない、直流で高電圧の電力の供給が検討されている。特に、サーバ等の情報機器においては、大量に電力を消費するためこのような電力供給が望ましいものとされている。
【0004】
ところで、電気機器に供給される電力に関しては、電圧が高いと人体に影響を及ぼす場合や、電子部品の動作に影響を与える場合がある。
【0005】
このような高電圧の電力をサーバ等の情報機器に用いる場合、装置の設置やメンテナンスの際においては、人により作業が行われるため、電気的接続がされている部分であるコネクタは通常の交流の商用電源に用いられるコネクタとは異なるものとする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−82208号公報
【特許文献2】特開2003−31301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
また、スイッチを組み込んだ構成のコネクタでは、電源から供給される電圧が100V以上の場合、または、高電圧で直流である場合、現在使用されているスイッチをそのまま用いることはできない。例えば、電源から供給される電力が直流400Vの場合では、現在の交流100Vに用いられているスイッチでは、十分な安全性や信頼性が確保されていないため、そのまま使用することは危険である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、高性能で信頼性の高いスイッチを提供することを目的とするものであり、更には、高電圧の電力を高い性能で安全に供給することが可能なコネクタを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、各々の前記固定接点と前記可動接点の間には、前記固定接点と前記可動接点との間で発生するアーク抑制するためのアーク電圧抑制部が各々設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、各々の前記固定接点と前記可動接点の間には、抵抗とコンデンサとが直列に接続されたものが各々設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、前記電子機器と並列に、前記可動接点が前記固定接点より離れる際に、前記電子機器より生じる逆起電力を抑制するための逆起電圧抑制部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記逆起電圧抑制部は、抵抗とコンデンサとが直列に接続されたものを含むものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記逆起電圧抑制部は、バリスタを含むものであることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記逆起電圧抑制部は、ダイオードを含むものであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、前記逆起電圧抑制部は、ダイオードとツェナーダイオードとが直列に接続されたものを含むものであって、前記ダイオードのアノードと前記ツェナーダイオードのアノードとが接続されているものであることを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、一方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の一方の極に接続され、他方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の他方の極に接続され、一方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の一方の端子に接続され、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の他方の端子に接続されるものであることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、前記固定接点と前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、前記記載のスイッチと、他のコネクタにおける2つの他の接続端子と各々電気的に接続される2つの接続端子と、を有していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、一方の前記接続端子は、一方の前記接点部における前記固定接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記接点部における前記固定接点と接続されるもの、または、一方の前記接続端子は、一方の前記接点部における前記可動接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記接点部における前記可動接点と接続されるもの、であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したスイッチであって、高性能で信頼性の高いスイッチを提供することができる。また、現状の商用電源の電圧よりも高い電圧の電源、または、直流電源に対応したコネクタであって、これらの電源からの電力を高い性能で安全に供給することが可能なコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの斜視図
【図2】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの上面図
【図3】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの側面図
【図4】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの底面図
【図5】第1の実施の形態に用いられるプラグコネクタの正面図
【図6】第1の実施の形態におけるコネクタの斜視図
【図7】第1の実施の形態におけるコネクタの正面図
【図8】第1の実施の形態におけるコネクタの側面図
【図9】第1の実施の形態におけるコネクタの内部構造図
【図10】第1の実施の形態におけるスイッチ部の斜視図
【図11】第1の実施の形態におけるスイッチ部の構造図(オフ状態)
【図12】第1の実施の形態におけるスイッチ部の構造図(オン状態)
【図13】第1の実施の形態におけるスイッチ部の斜視図
【図14】第1の実施の形態におけるスイッチ部の正面図
【図15】第1の実施の形態におけるスイッチ部の側面図
【図16】第1の実施の形態におけるスイッチ部の説明図
【図17】第2の実施の形態におけるスイッチ部の説明図
【図18】第2の実施の形態における他のスイッチ部の説明図(1)
【図19】第2の実施の形態における他のスイッチ部の説明図(2)
【図20】第2の実施の形態における他のスイッチ部の説明図(3)
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明を実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本実施の形態において説明するスイッチ及びコネクタは、高電圧に対応しているものであるが、本実施の形態においては、高電圧とは、電気設備技術基準に定められている「直流750V超」や、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)による国際規定である「直流1500V以上」を意味するものではなく、安全低電圧(直流60V未満)を超える電圧、即ち、60V以上を意味するものとする。
【0023】
〔第1の実施の形態〕
(コネクタの構造)
第1の実施の形態におけるコネクタの構造について説明する。本実施の形態におけるコネクタは、図1から図5に示される他のコネクタであるプラグコネクタと接続されるものであって、図6から図8に示される構造のジャックコネクタに相当するコネクタである。尚、図1から図5に示されるプラグコネクタと、図6から図8に示されるジャックコネクタに相当するコネクタとをあわせてコネクタと称する場合もある。
【0024】
最初に、図1から図5に基づきプラグコネクタ300について説明する。尚、図1は、プラグコネクタ300の斜視図であり、図2は上面図であり、図3は側面図であり、図4は底面図であり、図5は正面図である。このプラグコネクタ300は、絶縁体等により形成されたカバー310と、他の接続端子である3本のプラグ端子321、322、323を有しており、3本のプラグ端子321、322、323が設けられている側と反対側には、電源ケーブル330が接続されている。プラグ端子321はGND端子であり、プラグ端子322、323よりも長く形成されている。プラグ端子322、323は、電気的に接続されることにより電力が供給される端子である。尚、このプラグコネクタ300には、プラグ端子321、322、323の設けられている側のカバー310部分において、プラグ端子321、322、323の一部を覆うような形状で形成された保護部311が設けられており、更には、本実施の形態におけるコネクタと接続された後に、コネクタ接続がはずれることのないようにコネクタ接続開口部312が設けられている。
【0025】
次に、図6から図8に基づき本実施の形態におけるコネクタについて説明する。尚、図6は、本実施の形態におけるコネクタの斜視図であり、図7は正面図であり、図8は側面図である。本実施の形態におけるコネクタは、全体が筐体50に覆われており、プラグコネクタ300におけるプラグ端子321、322、323が挿入されるジャック開口部21、22、23と、プラグコネクタ300における保護部311が挿入される溝部31と、プラグコネクタ300と本実施の形態におけるコネクタとが接続されている状態で、電力を供給するか否かの制御を行なうためのスライド操作部40が設けられている。スライド操作部40は、「ON」の位置または「OFF」の位置となるように、スライドさせることが可能であり、スライド操作部40をスライドさせることにより、コネクタを介し、電力を供給するか否かの制御を行なうことができる。
【0026】
より詳細に図9に基づき本実施の形態におけるコネクタの内部構造について説明する。図9は、本実施の形態におけるコネクタの内部構造を示す断面図である。本実施の形態におけるコネクタは、スライド操作部40におけるスライド操作上部40aが筐体50に設けられた開口より外側に飛び出た形状となっており、筐体50の外側よりスライド操作上部40aを矢印Aで示されるスライド方向に移動させることにより、筐体50の内部におけるスイッチ部100において、電気的な接続を行なうか否かの操作を行なうことができる。
【0027】
スライド操作部40は筐体50にスライド操作本体部40bを有しており、スライド操作本体部40bは、スライドリンク部41と接続されている。スライドリンク部41は、矢印Aで示されるスライド方向と略平行に動作するものであって、L字状の形成されており、L字状の一方の端は、コンタクトスライド部42のコンタクトスライド開口部42a内に入り込んだ構造となっている。このコンタクトスライド開口部42aは、スライドリンク部41の移動方向、即ち、矢印Aで示されるスライド方向に沿った細長い形状で形成されている。また、後述するように、コンタクトスライド部42には、矢印Aで示されるスライド方向に対し略垂直方向に伸びるコンタクトスライド接触部が設けられており、コンタクトスライド接触部の先端は、スイッチ部100におけるボタン160の上面に接触している。
【0028】
(スイッチ部)
次に、スイッチ部100について説明する。本実施の形態におけるコネクタのスイッチ部100は、電力の供給の制御を行なうためのスイッチであって、電源スイッチとも称される。図10にスイッチ部100の斜視図を示し、図11にスイッチ部100の内部構造図を示す。図11に示されるように、スイッチ部100は、固定部110における固定接点111と可動部120における可動接点121とが接触するか否かにより、電源の供給のオン、オフの制御を行なうことができるものである。
【0029】
固定部110は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、可動部120における可動接点121と接触する固定接点111が、固定バネ112の一方の端部に設けられている構造のものである。尚、固定バネ112は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、固定接点111は銀と銅の合金により形成されている。固定バネ112の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されるとともに、固定バネ112の中程において固定部支持部132において支持され固定されている。
【0030】
可動部120は、全体が金属等の導電性材料により形成されており、固定部110における固定接点111と接触する可動接点121が、可動板部122の一方の端部に設けられ、可動板部122の他方の端部と可動バネ123の一方の端部とが接続された構造のものである。尚、可動板部122及び可動バネ123は、銅又は銅を含む合金等からなる金属板等を折曲げることにより形成されており、可動接点121は銀と銅の合金により形成されている。可動バネ123の他方の端部はベースブロック130におけるベースブロック本体部131において固定されているが、可動バネ123は金属板等を折曲げることにより形成されているものであるため柔軟性を有しており、可動板部122の一方の端部に設けられた可動接点121を上下方向に動かすことが可能である。また、ベースブロック130には、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、難燃性の樹脂材料等からなる絶縁壁133が設けられており、可動バネ123は、他方の端部より絶縁壁133の周囲の一部を回り込むような形状で曲げられている。
【0031】
可動部120における可動板部122の一方の面となる上面は、カード140における第1の接触部となる上部接触部141と接触しており、可動板部122の他方の面となる下面は、カード140における第2の接触部となる下部接触部142と接触している。この状態において、カード140を、回転軸143を中心に回転させることにより、可動板部122が上部接触部141または下部接触部142と接触し力が加わり、可動接点121を上下方向に移動させることができる。尚、上部接触部141及び下部接触部142は、可動板部122において摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために上部接触部141及び下部接触部142の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。
【0032】
尚、固定部110及び可動部120は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設置されており、カード140は、スイッチ部ケース150に設けられたスイッチ部開口部151より外部に飛び出した形状の突起部144と、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に位置するカード本体部145とを有している。従って、スイッチ部100においては、上部接触部141または下部接触部142は、ベースブロック130とスイッチ部ケース150に囲まれた領域の内部に設けられている。また、カード140、ベースブロック130及びスイッチ部ケース150は樹脂材料等からなる絶縁体材料により形成されている。
【0033】
スイッチ部ケース150の外部には、回転軸143を中心にカード140を回転させるために、押下されるボタン160が設けられており、カード140は、カード140における突起部144の上部に設けられた接触部144aにおいて、ボタン160の内壁部161と接触している。尚、接触部144aは、内壁部161の表面を摺動するものであるため、摩擦抵抗を低減させるために内壁部161の表面には、フッ素樹脂等により形成された表面層を設けてもよい。また、スイッチ部ケース150の外部には、一方の端部がスイッチ部ケース150に接続され、他方の端部がボタン160に接続された開離バネ170が設けられている。
【0034】
(スイッチ部におけるオン、オフ動作)
スイッチ部100において、スイッチをオンにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、ボタン160を押下し、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転する。これにより、上部接触部141を介し可動部120における可動板部122に下方向に力が加えられ、可動接点121と固定接点111とが接触する。この状態を図12に示す。尚、後述するように、スイッチ部100において、この状態はコンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部により維持されるため、可動接点121と固定接点111との接触が維持され、電源から電力が供給される。
【0035】
また、スイッチ部100において、スイッチをオフにする場合には、後述するように、コンタクトスライド部42におけるコンタクトスライド接触部を移動させることにより、開離バネ170のバネ性による復元力により、ボタン160がオフの状態に戻る。即ち、図11に示されるように、ボタン160の内壁部161において接触部141が接触しているカード140が回転軸143を中心に回転し、下部接触部142を介し可動部120における可動板部122に上方向に力が加わる。このように可動板部122に加えられた上方向の力により可動接点121と固定接点111との接触を離すことができ、電源からの電力の供給を停止することができる。この際、可動接点121と固定接点111との間でアークが発生する場合があるため、磁界の力によりアークを飛ばすことができるように、可動接点121と固定接点111との接触位置の近傍には、アークの発生する方向に対して略垂直方向の磁界を発生させる永久磁石180が設けられている。尚、永久磁石180に代えて電磁石を用いてもよい。
【0036】
スイッチ部100では、電源からの電力の供給を遮断する際には、可動部120における可動バネ123等のバネの復元力を用いるのではなく、スイッチ部ケース150の外部に設けられた開離バネ170のバネの復元力によりオフ状態にするものである。このため、可動部120における可動バネ123等において復元力を有していない場合においても、電源をオフにすることができる。また、熱により可動バネ123等の一部が溶けてしまい、バネとしての機能が失われている場合においても、可動バネ123等の復元力を用いることなく、開離バネ170のバネ性により電源をオフ状態にすることができ、電源からの電力の供給を確実に遮断することができる。また、開離バネ170は、スイッチ部ケース150の外部に設置されているため、スイッチ部ケース150内部において固定部110及び可動部120が受ける可能性のある熱等の影響を受けることはない。
【0037】
また、スイッチ部100では、ベースブロック130において、固定バネ112の他方が接続されている部分と、可動バネ123の他方が接続されている部分との間には、絶縁壁133が設けられている。これにより、固定部110と可動部120との熱による溶解等が進行した場合においても、固定部110の溶解された部分と、可動部120の溶解された部分とが絶縁壁133により分離される。よって、固定部110と可動部120とが溶解し、くっついた状態のまま電流が流れ続けてしまうことを防ぐことができる。
【0038】
(コネクタにおけるオン、オフ動作)
次に、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフ動作について説明する。本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ300とが接続されている状態において、本実施の形態におけるコネクタにおけるオン、オフの制御を行なうことにより、スイッチ部100のオン、オフを行なうことができ、これにより電源等からの電力の供給の制御を行なうことができる。この際、スイッチ部100がオンとなることにより、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ300のコネクタ接続開口部312に入り込み、本実施の形態におけるコネクタとプラグコネクタ300との嵌合状態が維持される。また、スイッチ部100がオフとなると、本実施の形態におけるコネクタに設けられた不図示のフックがプラグコネクタ300のコネクタ接続開口部312からはずれ、本実施の形態におけるコネクタからプラグコネクタ300を外すことができる。
【0039】
(スイッチ部の構造)
次に、本実施の形態におけるスイッチ部100についてより詳細に説明する。本実施の形態におけるスイッチ部100は、図13から図16に示すように、2つの固定部110a及び110bと、2つの可動部120a及び120bとを有しており、固定部110aと可動部120aとが接触し、固定部110bと可動部120bとが接触することにより、後述するように、電源190からの電力を電子機器191に供給することができるものである。
【0040】
固定部110aは、固定接点111a及び固定バネ112aを有しており、固定部外部端子113aが接続されている。固定部110bは、固定接点111b及び固定バネ112bを有しており、固定部外部端子113bが接続されている。可動部120aは、可動接点121a、可動板部122a及び可動バネ123aを有しており、可動部外部端子124aが接続されている。可動部120bは、可動接点121b、可動板部122b及び可動バネ123bを有しており、可動部外部端子124bが接続されている。尚、図13は本実施の形態におけるスイッチ部100の斜視図、図14は正面図、図15は側面図、図16は底面図から見た説明図である。
【0041】
また、本実施の形態におけるスイッチ部100は、固定部外部端子113aと可動部外部端子124aとの間には、抵抗211aとコンデンサ212aとが直列に接続されたアーク電圧抑制部210aが接続されており、固定部外部端子113bと可動部外部端子124bとの間には、抵抗211bとコンデンサ212bとが直列に接続されたアーク電圧抑制部210bが接続されている。
【0042】
より具体的に説明すると、アーク電圧抑制部210aとなる抵抗211aとコンデンサ212aは、固定接点111aと可動接点121aとの間に設けられており、抵抗211aの一方の端部は、可動部外部端子124aと接続されており、抵抗211aの他方の端部とコンデンサ212aの一方の端部とが接続されており、コンデンサ212aの他方の端部は、固定部外部端子113aと接続されている。また、アーク電圧抑制部210bとなる抵抗211bとコンデンサ212bは、固定接点111bと可動接点121bとの間に設けられており、抵抗211bの一方の端部は、可動部外部端子124bと接続されており、抵抗211bの他方の端部とコンデンサ212bの一方の端部とが接続されており、コンデンサ212bの他方の端部は、固定部外部端子113bと接続されている。
【0043】
電源190の正極が可動部120aの可動部外部端子124aに接続され、負極が可動部120bの可動部外部端子124bに接続され、電力が供給される電子機器191の一方に固定部110aの固定部外部端子113aが接続され、他方に固定部110bの固定部外部端子113bが接続されている。また、2つの永久磁石180a及び180bが、ともに同じ向きに磁界を発生させるように設置されている。即ち、永久磁石180aは、固定接点111a及び可動接点121aが設けられている側がS極となるように配置されており、永久磁石180bは、固定接点111b及び可動接点121bが設けられている側がS極となるように配置されている。これにより、固定接点111aと可動接点121aとの間では、永久磁石180aによる磁界が発生し、固定接点111bと可動接点121bとの間では、永久磁石180bによる磁界が発生している。尚、本実施の形態においては、永久磁石180a及び180bを用いた場合について説明するが、永久磁石に代えて電磁石を用いてもよい。
【0044】
永久磁石180aは、固定部110aと可動部120aとに対応して設けられたものであり、固定接点111aと可動接点121aとの間で発生するアークを吹飛ばす機能を有している。また、永久磁石180bは、固定部110bと可動部120bとに対応して設けられたものであり、固定接点111bと可動接点121bとの間で発生するアークを吹飛ばす機能を有している。尚、永久磁石180a及び180bは、各々のアークが吹飛ばされる方向が相互に逆となるように設置されている。
【0045】
電源190と電子機器191とが電気的に接続されている状態、即ち、固定接点111aと可動接点121aとが接続されており、かつ、固定接点111bと可動接点121bとが接続されている状態では、電源190より供給された電流は、電源190の正極より、可動部外部端子124a、可動部120a、可動接点121a及び固定接点111aを介し、固定部110a、固定部外部端子113a、電子機器191、固定部外部端子113b、固定部110b、固定接点111b及び可動接点121bを介し、可動部120b、可動部外部端子124bの順に流れ、更に、電極190の負極に流れる。
【0046】
この後、固定接点111aと可動接点121aとの接触が離れ、固定接点111bと可動接点121bとの接触が離れることにより、電源190と電子機器191との電気的な接続が解除される。この際、固定接点111aと可動接点121aとの間及び固定接点111bと可動接点121bとの間において、通常ではアーク放電が発生する。
【0047】
しかしながら、本実施の形態におけるスイッチ部100では、固定接点111aと可動接点121aとの間に抵抗211a及びコンデンサ212aからなるアーク電圧抑制部210aが接続されており、固定接点111bと可動接点121bとの間に抵抗211b及びコンデンサ212bからなるアーク電圧抑制部210bが接続されている。これにより、アーク放電を発生させる電気的なエネルギーは、抵抗211aを介しコンデンサ212aに流れ込み、また、抵抗211bを介しコンデンサ212bに流れ込み、アーク放電の発生を抑制することができる。
【0048】
このように、アーク電圧抑制部210a及び210bを設けることにより、アーク放電の発生を抑制することができ、固定接点111a及び可動接点121a、また、固定接点111b及び可動接点121bにおける耐久性及び信頼性を向上させることができ、更には、スイッチ部及びコネクタの耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態とは異なる構造のスイッチ部及びコネクタである。
【0050】
図17に基づき、本実施の形態におけるスイッチ部について説明する。本実施の形態におけるスイッチ部は、抵抗221とコンデンサ222とが直列に接続された逆起電圧抑制部220を電子機器191に並列に接続したものである。言い換えれば、逆起電圧抑制部220を固定部外部端子113aと固定部外部端子113bとの間に接続した構成のものである。
【0051】
このような固定部外部端子113aと固定部外部端子113bとの間に、抵抗221とコンデンサ222とが直列に接続された逆起電圧抑制部220を設けることにより、固定接点111aと可動接点121aとの接続及び固定接点111bと可動接点121bとの接続が離れる際に生じる電子機器191により生じる逆起電力の発生を抑制することができ、固定接点111a及び可動接点121a、固定接点111b及び可動接点121bにおける耐久性及び信頼性を向上させることができ、更には、スイッチ部及びコネクタの耐久性及び信頼性を向上させることができる。
【0052】
(他の構成1)
また、本実施の形態におけるスイッチ部は、図18に示されるように、逆起電圧抑制部220としてバリスタ231を設けたものである。即ち、電子機器191に並列に逆起電圧抑制部220となるバリスタ231を接続したものであり、より具体的には、バリスタ231の一方の端子を固定部外部端子113aに接続し、他方の端子を固定部外部端子113bに接続した構成のものである。
【0053】
(他の構成2)
また、本実施の形態におけるスイッチ部は、図19に示されるように、逆起電圧抑制部220としてダイオード241を設けたものである。即ち、電子機器191に並列に逆起電圧抑制部220となるダイオード241を接続したものであり、具体的には、ダイオード241のカソードを固定部外部端子113aに接続し、アノードを固定部外部端子113bに接続した構成のものである。
【0054】
(他の構成3)
また、本実施の形態におけるスイッチ部は、図20に示されるように、逆起電圧抑制部220としてダイオード251とツェナーダイオード252を直列に接続したものを設けたものである。即ち、ダイオード251のアノードとツェナーダイオード252のアノードとが接続された逆起電圧抑制部220を電子機器191に並列に接続したものであり、ダイオード251のカソードを固定部外部端子113aに接続し、アノードを固定部外部端子113bに接続した構成のものである。
【0055】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。また、本実施の形態のスイッチ部を用いることにより第1の実施の形態と同様にコネクタを作製することができる。
【0056】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0057】
21 ジャック開口部
22 ジャック開口部
23 ジャック開口部
31 溝部
40 スライド操作部
40a スライド操作上部
40b スライド操作本体部
41 スライドリンク部
42 コンタクトスライド部
42a コンタクトスライド開口部
42b コンタクトスライド接触部
50 筐体
61 ジャック端子
62 ジャック端子
63 ジャック端子
70 フック
110、110a、110b 固定部
111、111a、111b 固定接点
112、112a、112b 固定バネ
113a、113b 固定部外部端子
120、120a、120b 可動部
121、121a、121b 可動接点
122、122a、122b 可動板部
123、123a、123b 可動バネ
124a、124b 固定部外部端子
130 ベースブロック
131 ベースブロック本体部
132 固定部支持部
133 絶縁壁
140 カード
141 上部接触部(第1の接触部)
142 下部接触部(第2の接触部)
143 回転軸
144 突起部
144a 接触部
145 カード本体部
150 スイッチ部ケース
151 スイッチ部開口部
160 ボタン
161 内壁部
170 開離バネ
180 永久磁石
180a、180b 永久磁石
190 電源
191 電子機器
210a、210b アーク電圧抑制部
211a、211b 抵抗
212a、212b コンデンサ
300 プラグコネクタ
310 カバー
311 保護部
312 コネクタ接続開口部
321 プラグ端子
322 プラグ端子
323 プラグ端子
330 電源ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、
前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、
各々の前記固定接点と前記可動接点の間には、前記固定接点と前記可動接点との間で発生するアーク抑制するためのアーク電圧抑制部が各々設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、
前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、
各々の前記固定接点と前記可動接点の間には、抵抗とコンデンサとが直列に接続されたものが各々設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項3】
固定接点と可動接点とを有する接点部を2組有し、
前記可動接点または前記固定接点のうち、一方は電源が接続され、他方は電子機器が接続されるものであって、
前記電子機器と並列に、前記可動接点が前記固定接点より離れる際に、前記電子機器より生じる逆起電力を抑制するための逆起電圧抑制部が設けられていることを特徴とするスイッチ。
【請求項4】
前記逆起電圧抑制部は、抵抗とコンデンサとが直列に接続されたものを含むものであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ。
【請求項5】
前記逆起電圧抑制部は、バリスタを含むものであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ。
【請求項6】
前記逆起電圧抑制部は、ダイオードを含むものであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ。
【請求項7】
前記逆起電圧抑制部は、ダイオードとツェナーダイオードとが直列に接続されたものを含むものであって、
前記ダイオードのアノードと前記ツェナーダイオードのアノードとが接続されているものであることを特徴とする請求項3に記載のスイッチ。
【請求項8】
一方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の一方の極に接続され、他方の前記接点部における前記固定接点は、前記電源の他方の極に接続され、
一方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の一方の端子に接続され、他方の前記接点部における前記可動接点は、前記電子機器の他方の端子に接続されるものであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項9】
前記固定接点と前記可動接点との間に磁界を発生させる磁石を有することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のスイッチ。
【請求項10】
請求項1から9に記載のスイッチと、
他のコネクタにおける2つの他の接続端子と各々電気的に接続される2つの接続端子と、
を有していることを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
一方の前記接続端子は、一方の前記接点部における前記固定接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記接点部における前記固定接点と接続されるもの、
または、一方の前記接続端子は、一方の前記接点部における前記可動接点と接続され、他方の前記接続端子は、他方の前記接点部における前記可動接点と接続されるもの、
であることを特徴とする請求項10に記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2013−41692(P2013−41692A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176406(P2011−176406)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】