説明

スイッチ装置及びその製造方法

【課題】可動端子と信号線路との安定した接触を実現しつつ、カンチレバーと接地線路の接触を回避する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るスイッチ装置1は、ベース基板10と、可動部11と、信号線路12と、一対の接地線路131,132とを具備する。可動部11は、第1及び第2のカンチレバー111,112と、可動端子113と、第1及び第2の圧電駆動部114,115とを有する。信号線路12は、第1の距離H1をおいて可動部113と対向し、上記第1の圧電駆動部による上記第1のカンチレバーの変形時に上記可動端子と接触可能な固定端子120を有する。一対の接地線路131,132は、第1の距離H1よりも大きい第2の距離H2をおいて可動部11に対向する線路部130を有し、信号線路12を挟むように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、マイクロマシン技術(MEMS:Micro Electro Mechanical System)を用いて作製された、高周波信号を通過状態と開放状態(あるいは短絡状態)に切り替えるスイッチ装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロマシン技術を用いて作製された高周波信号用のスイッチ装置として、MEMS型RFスイッチが知られている。この種のスイッチ装置は、典型的には、弾性変形可能なカンチレバーと、当該カンチレバーに設けられた可動端子と、当該可動端子に対向する信号線路(固定端子)とを有する。上記スイッチ装置は、カンチレバーの変形により可動端子が信号線路に接触する状態と、可動端子が信号線路から離間する状態とを切り替え可能に構成されている。このようなスイッチ装置においては、より高い周波数での優れた伝送性能が要求されていることから、コプレーナ型線路やマイクロストリップあるいはストリップ線路を配した構造を有する。また可動端子の駆動方式には、静電引力方式、圧電駆動方式等が知られている。
【0003】
例えば下記特許文献1,2には、静電引力によって可動電極を駆動し信号線路を電気的に開閉するスイッチにおいて、信号線路の両側に固定電極が等距離で配置されたコプレーナ型線路構造が記載されている。また下記特許文献3には、圧電膜の収縮によって可動部を変形させ、上記可動部に形成された可動コンタクト部を固定コンタクト部に接触させるスイッチング素子が記載されている。さらに下記特許文献4には、駆動アームを圧電駆動させることで上記駆動アームを信号線路に接触させるMEMSスイッチにおいて、上記信号線路を挟むように一対のグランド線を配置したコプレーナ型線路構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−113792号公報
【特許文献2】特開2009−277617号公報
【特許文献3】特開2005−293918号公報
【特許文献4】特開2009−266615号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
圧電駆動によって可動端子を信号線路に接触させる方式のスイッチ装置においては、可動端子と信号線路との間の安定した接触状態を実現するために圧電材料の駆動電圧は比較的高めに設定される場合が多い。この場合、可動端子の押圧力によって信号線路が押圧方向に変位することがある。コプレーナ型線路構造を有するスイッチ装置においては、可動端子を支持するカンチレバーが信号線路に近接配置された接地線路に接触し、これにより接地線路が変形したり、短絡等の電気的な不具合が生じたり、更に短絡によりカンチレバー上に形成された圧電体や電極が破損し駆動機能が損なわれたりするおそれがあった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、可動端子と信号線路との安定した接触を実現しつつ、カンチレバーと接地線路の接触を回避することができるコプレーナ型線路構造を有する圧電駆動方式のスイッチ装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るスイッチ装置は、ベース基板と、可動部と、信号線路と、接地線路とを具備する。
上記可動部は、第1のカンチレバーと、可動端子と、第1の圧電駆動部とを有する。上記第1のカンチレバーは、弾性変形可能であり、上記ベース基板に固定される第1の端部を有する。上記可動端子は、上記第1のカンチレバーに接続される。上記第1の圧電駆動部は、上記第1のカンチレバーを弾性変形させることで上記可動端子を上記第1の軸方向に直交する第2の軸方向へ移動させることが可能である。
上記信号線路は、上記ベース基板に接続され、上記第2の軸方向に上記可動部と対向し、上記第1の圧電駆動部による上記第1のカンチレバーの変形時に上記可動端子と接触可能な固定端子を有する。
上記接地線路は、上記ベース基板に接続され、上記固定端子よりも上記可動部から離れた位置に配置された線路部を有し、上記信号線路に並行する。
【0008】
本発明の一形態に係るスイッチ装置の製造方法は、少なくとも一端がベース基板に固定され、可動端子を含む第1の領域と圧電駆動部を含む第2の領域とを有する可動部を、上記ベース基板の面内に形成することを含む。
上記ベース基板上に、上記第1の領域を被覆し第1の高さを有する第1の犠牲層と、上記第2の領域を被覆し上記第1の高さよりも高い第2の高さを有する第2の犠牲層とが形成される。
上記ベース基板上に、上記第1の犠牲層に積層された信号線路と、上記第2の犠牲層に積層された接地線路とが形成される。
上記ベース基板から上記第1の犠牲層及び上記第2の犠牲層が除去される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1における[A1]−[A1]線方向の断面図である。
【図3】図1における[A2]−[A2]線方向の断面図である。
【図4】図1における[A3]−[A3]線方向の断面図である。
【図5】図1に示すスイッチ装置の作用を説明する断面図である。
【図6】比較例に係るスイッチ装置の概略構成を示す断面図であり、(A)はスイッチオフ状態を示し、(B)はスイッチオン状態を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す平面図である。
【図8】図7における[B1]−[B1]線方向の断面図である。
【図9】図7における[B2]−[B2]線方向の断面図である。
【図10】図7における[B3]−[B3]線方向の断面図である。
【図11】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明するベース基板の断面図である。
【図12】図11に示すベース基板の要部の断面図であり、(A)はベース基板の第1の領域を示す[B4]−[B4]線方向の断面図、(B)はベース基板の第2の領域を示す[B5]−[B5]線方向の断面図である。
【図13】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明する図であり、(A)は上記第1の領域の断面図、(B)は上記第2の領域の断面図である。
【図14】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明する図であり、(A)は上記第1の領域の断面図、(B)は上記第2の領域の断面図である。
【図15】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明する図であり、(A)は上記第1の領域の断面図、(B)は上記第2の領域の断面図である。
【図16】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明する図であり、(A)は上記第1の領域の断面図、(B)は上記第2の領域の断面図である。
【図17】図7〜図10に示すスイッチ装置の製造方法を説明する図であり、(A)は上記第1の領域の断面図、(B)は上記第2の領域の断面図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す平面図である。
【図19】図18における[C1]−[C1]線方向の断面図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す断面図である。
【図21】本発明の第5の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るスイッチ装置は、ベース基板と、可動部と、信号線路と、接地線路とを具備する。
上記可動部は、第1のカンチレバーと、可動端子と、第1の圧電駆動部とを有する。上記第1のカンチレバーは、弾性変形可能であり、上記ベース基板に固定される第1の端部を有する。上記可動端子は、上記第1のカンチレバーに接続される。上記第1の圧電駆動部は、上記第1のカンチレバーを弾性変形させることで上記可動端子を上記第1の軸方向に直交する第2の軸方向へ移動させることが可能である。
上記信号線路は、上記ベース基板に接続され、上記第2の軸方向に上記可動部と対向し、上記第1の圧電駆動部による上記第1のカンチレバーの変形時に上記可動端子と接触可能な固定端子を有する。
上記接地線路は、上記ベース基板に接続され、上記固定端子よりも上記可動部から離れた位置に配置された線路部を有し、上記信号線路に並行する。
【0011】
上記スイッチ装置において、線路部は、信号線路の固定端子よりも可動部から離れた位置に配置されている。このため、第1の圧電駆動部により第1のカンチレバーを変形させた際、可動部を接地線路に接触させることなく、可動端子を固定端子に対して安定に接触させることができる。
【0012】
また、可動部からの接地線路及び信号線路各々の高さに差を設けることにより、当該高さの差に相当する距離の固定端子の変位を許容できることになる。したがって比較的高い駆動電圧で第1の圧電駆動部が駆動される場合でも、可動端子に押圧される固定端子の変位量が上記高さの差で吸収されるため、可動部と接地線路との接触が阻止される。これにより、固定端子に対する可動端子の安定した接触を実現しつつ、可動部との接触による接地線路の変形や短絡等の不具合を回避することができる。
【0013】
接地線路は、信号線路の片側のいずれか一方のみに配置されてもよいし(GS又はSG構造)、信号線路の両側に配置さてもよい(GSG構造)。また、ベース基板の反側側の面にグランド面を有するグランデッドコプレーナ構造であってもよい。
【0014】
接地線路及び信号線路は、典型的には、可動部の上方を横切るように形成される。上記スイッチ装置において信号線路は、典型的には接地線路と同一の平面上で平行に形成されるが、可動端子の直上位置においては両接地線路よりも低い位置に形成される。これにより、可動部と信号線路及び接地線路との間に、上記第2の軸方向に沿った高さの差が設けられる。
【0015】
第1の圧電駆動部は、第1のカンチレバーを上記第2の軸方向に弾性変形させることができれば、可動部のいずれの位置に設けられてもよい。典型的には、第1の圧電駆動部は、第1のカンチレバーの表面に形成される。第1の圧電駆動部は、接地線路に対向する第1のカンチレバーの表面に形成されてもよい。このような構成においても、第1の圧電駆動部を接地線路に接触させることなく、可動端子を固定端子に安定に接触させることができる。
一実施形態として、上記ベース基板は、第1の表面を有する。上記可動部は、上記第1の表面と同一の平面で形成され、上記第1の圧電駆動部及び上記可動端子が形成される第2の表面を有する。
これにより、半導体プロセス技術を用いて微小なスイッチ装置を精度よく製造することが可能となる。
【0016】
この場合、上記信号線路及び上記接地線路は、上記第1の表面に相互に平行に形成される。上記線路部は、上記第1の圧電駆動部からの高さが第1の高さである第1のアーチ形状に形成され、上記固定端子は、上記可動端子からの高さが前記第1の高さよりも低い第2の高さである第2のアーチ形状に形成される。
これにより、コプレーナ型線路構造の採用による高周波信号の伝送特性を損なうことなく、接地線路と可動部との接触を回避することができる。
【0017】
上記固定端子は、上記第1の軸方向と上記第2の軸方向とに各々交差する第3の軸方向に対向して配置され、上記可動端子と接触可能な一対の端子部を有してもよい。
これにより、通過/開放の切換モードを有するスイッチ装置を構成することができる。
【0018】
この場合、上記固定端子は、上記一対の端子部を上記可動端子側に向けて屈曲させる一対の屈曲部を有してもよい。
これにより、固定端子の変形に対する強度が高まり、可動端子からの押圧による信号線路の変位を抑制することができる。
【0019】
上記可動部は、第2のカンチレバーと、支持体と、第2の圧電駆動部とをさらに有してもよい。
上記第2のカンチレバーは、弾性変形可能であり、上記ベース基板に固定される第2の端部を有し、上記第1の軸方向に沿って延びる。
上記支持体は、上記第1のカンチレバーに接続される弾性変形可能な第1の連結部と、上記第2のカンチレバーに接続される弾性変形可能な第2の連結部と、上記可動端子を支持する支持部とを有する。
上記第2の圧電駆動部は、上記第1の圧電駆動部と同期して上記支持体を上記第2の軸方向に移動させることが可能である。
【0020】
これにより、可動端子を第2の軸方向に沿って直線的に移動させることができるので、可動端子を信号線路に対してより安定に接触させることができる。
【0021】
上記支持体は、上記支持部と上記可動端子との間に配置された中間層をさらに有してもよい。
上記構成によれば、中間層の厚みによって可動端子からの固定端子の高さを任意に調整することが可能となる。
【0022】
本発明の一実施形態に係るスイッチ装置の製造方法は、少なくとも一端がベース基板に固定され、可動端子を含む第1の領域と圧電駆動部を含む第2の領域とを有する可動部を、上記ベース基板の面内に形成することを含む。
上記ベース基板上に、上記第1の領域を被覆し第1の高さを有する第1の犠牲層と、上記第2の領域を被覆し上記第1の高さよりも高い第2の高さを有する第2の犠牲層とが形成される。
上記ベース基板上に、上記第1の犠牲層に積層された信号線路と、上記第2の犠牲層に積層された接地線路とが形成される。
上記ベース基板から上記第1の犠牲層及び上記第2の犠牲層が除去される。
【0023】
上記製造方法によれば、可動部の上に形成される第1の犠牲層及び第2の犠牲層の高さを相互に異ならせることで、可動部からの信号線路及び接地線路の各々の高さに所定の差を設けるようにしている。これにより、信号線路に対する可動端子の安定した接触を実現しつつ、可動部との接触による接地線路の変形や短絡等の不具合を回避可能なスイッチ装置を製造することができる。
【0024】
上記第1の犠牲層及び上記第2の犠牲層を形成する工程は、上記ベース基板上に、第1のレジストパターンを形成する工程と、第2のレジストパターンを形成する工程とを含んでもよい。上記第1のレジストパターンは、上記第1の領域を開口させ、上記第2の領域を被覆する。上記第2のレジストパターンは、上記第1のレジストパターンの上から上記第1の領域及び第2の領域をそれぞれ被覆する。
これにより、第1の犠牲層と第2の犠牲層との間に所望の高さの差を容易に設けることができる。
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。以下の実施形態では、スイッチ装置として、例えば携帯電話等の無線通信機器に搭載され、高周波信号を通過状態と開放状態とに切り替えるRF−MEMSスイッチを例に挙げて説明する。
【0026】
なお以下の実施形態では各部の構成に具体的な数値を挙げて説明するが、当該数値はあくまでも一例であり、これらに限定されることはない。また理解及び説明を容易にするため、図示する各部の大きさや厚みの比率は、実際とは異なる比率で描かれている。
【0027】
<第1の実施形態>
[スイッチ装置の構成]
図1〜図5は、本発明の第1の実施形態に係るスイッチ装置の概略構成を示している。図1は当該スイッチ装置の平面図、図2は図1における[A1]−[A1]線方向の断面図、図3は図1における[A2]−[A2]線方向の断面図、図4は図1における[A3]−[A3]線方向の断面図である。図5は、スイッチ装置の一動作例を示す断面図である。各図において、X軸及びY軸方向は相互に直交する水平方向を示し、Z軸方向はX軸及びY軸に直交する高さ方向を示している。
【0028】
本実施形態のスイッチ装置1は、ベース基板10と、可動部11と、信号線路12と、一対の接地線路131,132とを有する。信号線路12及び信号線路12に並行する一対の接地線路131,132は、コプレーナ型線路CPWを構成する。
【0029】
可動部11は、第1のカンチレバー111と、第2のカンチレバー112と、可動端子113と、第1の圧電駆動部114と、第2の圧電駆動部115とを有する。スイッチ装置1は、後述するように、可動端子113が信号線路12から離間した状態(図2)と、可動端子113が信号線路12と接触する状態(図5)とを切り替えるスイッチング機能を有する。
【0030】
ベース基板10は、X軸及びY軸の平行な表面101と裏面102とを有する単結晶シリコン基板で構成される。ベース基板10の表面101は、例えば熱酸化膜(シリコン酸化膜)からなる絶縁膜103で被覆されている。ベース基板10の表面101にはさらに、可動部11を収容する開口部104が形成されている。
【0031】
第1のカンチレバー111及び第2のカンチレバー112は、それぞれX軸方向に延びる弾性変形可能な材料で構成され、本実施形態では単結晶シリコンで構成される。第1及び第2のカンチレバー111,112は、それぞれ同一の長さ(X軸方向)、幅(Y軸方向)及び厚み(Z軸方向)を有し、開口部104内の同一平面上にX軸方向にそれぞれ対向するように設けられる。カンチレバー111,112各々の一端111a,112a(第1の端部、第2の端部)は、開口部104の周縁に固定され、他端111b,112bは、X軸方向に相互に対向している。
【0032】
第1及び第2のカンチレバー111,112の長さ、幅及び厚みは特に限定されず、例えば、長さ50〜750μm、幅20〜400μm、厚み0.5〜20μmであり、本実施形態では、長さ550μm、幅200μm、厚み5μmである。
【0033】
第1のカンチレバー111と第2のカンチレバー112との間には、可動端子113を支持する支持体117が設けられている。支持体117は、第1のカンチレバー111と第2のカンチレバー112と同一の平面上に形成されており、第1の連結部117aと、第2の連結部117bと、支持部117cとを有する。第1の連結部117a、第2の連結部117b及び支持部117cは、第1及び第2のカンチレバー111,112と同一の平面内において同一の厚みで形成されている。
【0034】
第1の連結部117aは第1のカンチレバー111の他端111bに接続され、弾性変形可能なヒンジ構造を有する。第2の連結部117bは第2のカンチレバー112の他端112bに接続され、弾性変形可能なヒンジ構造を有する。支持部117cは第1及び第2の連結部117a,117bを介して第1及び第2のカンチレバー111,112にそれぞれ連結され、絶縁膜103を介して可動端子113を支持する支持面を形成する。第1及び第2の連結部117a,117bは、第1及び第2のカンチレバー111,112に対する支持部117cの変形を許容できる適宜の形状に形成され、その形態は特に限定されない。
【0035】
可動端子113は、導電材料で構成され、典型的には金属材料で構成されるが、導電性酸化物等の非金属材料であってもよい。本実施形態では、Ti(チタン)とAu(金)の積層膜で可動端子113が構成される。可動端子113は、絶縁膜103を介して支持部117cの上に形成され、その厚みは特に限定されず、例えば0.2μmである。
【0036】
ベース基板10は、単一層のシリコン基板で構成されてもよいが、本実施形態では、第1のシリコン基板10Aと第2のシリコン基板10Bとの積層構造を有するSOI(Silicon On Insulator)基板で構成される。
【0037】
第1のシリコン基板10Aは、第1及び第2のカンチレバー111,112と同一の厚みで形成される。第1のシリコン基板10Aの厚みは特に限定されず、例えば5μmである。第2のシリコン基板10Bは、ベース基板10の厚みの主要部をなし、ハンドリング性を確保できるのに十分な厚みで形成される。第2のシリコン基板10Bの厚みは特に限定されず、例えば500μmである。第1のシリコン基板10Aと第2のシリコン基板10Bとは接合層10Cを介して相互に接合される。接合層10Cは、例えばシリコン酸化膜で構成される。
【0038】
第1のカンチレバー111、第2のカンチレバー112及び支持体117は、第1のシリコン基板10Aを形状加工することで形成される。本実施形態では後述するように、第1のシリコン基板10Aの表面に形成されたレジストパターンをマスクとするドライエッチング、又は、SiNやSiO2等で形成されたパターンマスクを用いたウェットエッチングを施すことによって、第1のシリコン基板10Aの面内に第1のカンチレバー111、第2のカンチレバー112及び支持体117がそれぞれ形成される。したがって、第1のカンチレバー111、第2のカンチレバー112及び支持体117の各々の表面は、ベース基板10の表面101と同一の平面で形成される。
【0039】
開口部104は、上述のエッチング加工によって形成された、第1のシリコン基板10Aを貫通するスリット104a(図1)と、第2のシリコン基板10Bに形成された凹部104b(図2)によって構成される。凹部104bは、第2のシリコン基板10Bに対してドライエッチング又はウェットエッチングを施すことによって形成される。凹部104bは、可動部11をベース基板10の裏面102側に露出させるのに十分な大きさに形成される。これにより、可動部11の開口部104内におけるZ軸方向への変形が許容される。
【0040】
第1の圧電駆動部114及び第2の圧電駆動部115は、絶縁膜103を介してベース基板10の表面101に形成される。第1及び第2の圧電駆動部114,115はそれぞれ同一の構成を有しており、図2に示すように下部電極層L1、上部電極層L2、及び、下部電極層L1と上部電極層L2との間に形成された圧電層L3の積層膜で構成される。
【0041】
下部電極層L1及び上部電極層L2の構成材料は特に限定されず、金属材料でもよいし導電性酸化物材料でもよい。本実施形態において下部電極層L1及び上部電極層L2は、TiとPt(白金)とLNO(ニッケル酸ランタン)の積層膜で構成される。厚みは特に限定されず、例えば0.2μmである。圧電層L3は、本実施形態では厚み約1.5μmのPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)で構成されるが、AlN等の他の圧電材料で構成されてもよい。圧電層L3の厚みは特に限定されず、材料や目的とする圧電性能等に応じて適宜設定可能である。
【0042】
第1及び第2の圧電駆動部114,115は、X軸方向に長手方向を有する略矩形状に形成され、第1のカンチレバー111及び第2のカンチレバー112の表面(絶縁膜103表面)にそれぞれ形成される。第1及び第2の圧電駆動部114,115は、下部電極層L1と上部電極層L2との間に所定の電圧を印加し、圧電層L3を収縮させることで、第1及び第2のカンチレバー111,112をZ軸方向に変形させる。このように第1及び第2の圧電駆動部114,115は、可動端子113が信号線路12に接触する第1の状態(本例ではスイッチオン状態)と、可動端子113が信号線路12から離間する第2の状態(本例ではスイッチオフ状態)とを切り替えることが可能に構成される。
【0043】
第1及び第2の圧電駆動部114,115は、それぞれ同期して駆動される。例えば第2の圧電駆動部115は、第1の圧電駆動部114と同期して支持体117(可動端子113)をZ軸方向に移動させるように構成される。典型的には、スイッチオン状態のときは第1及び第2の圧電駆動部114,115へ同時に駆動電圧が入力され、スイッチオフ状態のときは第1及び第2の圧電駆動部114,115への駆動電圧の入力が同時に解除される。
【0044】
なお、第1及び第2の圧電駆動部114,115は、第1及び第2のカンチレバー111,112の裏面側にそれぞれ形成されてもよい。この場合、圧電層が伸長するように各電極層に電圧を印加することで、各々のカンチレバー111,112を変形させることができる。
【0045】
下部電極層L1及び上部電極層L2は、図示しない駆動回路に接続される端子層T1,T2をそれぞれ有する。上記駆動回路は、典型的には、直流回路で構成されるが、パルス発振回路で構成されてもよい。下部電極層L1及び上部電極層L2のうち一方は、基準電位に接続され、他方に正電圧源あるいは負電圧源に接続される。基準電位は接地電位でもよいし、所定のバイアス電位であってもよい。
【0046】
スイッチ装置1の可動部11は、以上のように構成される。次に、可動部11の直上に構成されるコプレーナ型線路CPWについて説明する。
【0047】
信号線路12及び接地線路131,132は、絶縁膜103を介してベース基板10の表面101にそれぞれ形成される。信号線路12は、ベース基板10に形成された図示しない信号端子に電気的に接続され、接地線路131,132は、ベース基板10に形成された図示しない接地端子に電気的に接続される。信号線路12は、所定の無線通信帯域の高周波信号を伝送する線路として構成される。信号線路12及び接地線路131,132はそれぞれY軸方向に沿って平行に形成されている。接地線路131,132は信号線路12を挟むようにして、信号線路12に関して対称な位置にそれぞれ配置される。これにより、GSG(Ground-Signal-Ground)配線構造を有するコプレーナ線路型線路CPWが形成される。
【0048】
信号線路12は一定の線幅で形成され、その大きさは特に限定されず、例えば20〜500μmであり、本実施形態では180μmである。信号線路12は、ベース基板10の開口部104をY軸方向に跨ぐ固定端子120を有する。固定端子120は、可動部11(可動端子113)の直上にアーチ形状に形成され、可動端子113とZ軸方向に対向する。固定端子120の中央位置には、Y軸方向にそれぞれ対向する一対の端子部121,122が形成される。
【0049】
一対の端子部121,122間の間隙は、Y軸方向に沿った可動端子113の幅寸法よりも小さく、また端子部121,122各々の先端部は、ベース基板10の表面101(絶縁膜103表面)から同一の高さ位置に形成されている。すなわち、可動部11の駆動により可動端子113が信号線路12の固定端子120に向かって移動した際、可動端子113は、一対の端子部121,122に接触するように構成されている。
【0050】
可動端子113の上記幅寸法及び端子部121,122間の間隙の大きさは特に限定されず、例えば、上記幅寸法は30〜300μm、上記間隙は30〜200μmの範囲に設定することができる。本実施形態では、可動端子113の上記幅寸法は150μm、端子部121,122間の間隙の大きさは100μmである。
【0051】
接地線路131,132は、ベース基板10の開口部104をY軸方向に跨ぐ接地線路部130をそれぞれ有する。これら接地線路部130は、可動部11(第1及び第2の圧電駆動部114,115)の直上にそれぞれアーチ状に形成される。各接地線路部130は同一の形状を有し、可動部11と対向する領域が平面となるように頂部が平坦な面で形成される。
【0052】
接地線路131,132は一定の線幅で形成され、その大きさは特に限定されず、例えば100〜1500μmであり、本実施形態では400μmである。また、X軸方向に相互に対向する信号線路12と接地線路131,132との間隔の大きさも特に限定されず、例えば5〜250μmであり、本実施形態では80μmである。
【0053】
信号線路12及び接地線路131,132は、例えば、酸化等による金属表面変化が少なく、ワイヤボンディングやフリップチップボンディング等を用いた接続において、接続性を阻害しない金属材料で形成され、本実施形態ではAu(金)で構成される。信号線路12及び接地線路131,132の厚みは特に限定されず、本実施形態では約6μmである。
【0054】
本実施形態において、信号線路12及び一対の接地線路131,132は、ベース基板10の表面101(絶縁膜103表面)においてそれぞれ同一平面上に形成されるが、固定端子120と接地線路部130は、可動部11の表面(ベース基板11の表面101(絶縁膜103表面))に対してそれぞれ異なる高さ位置に形成されている。すなわち、固定端子120は、Z軸方向に第1の距離(第1の高さH1)をおいて可動端子113と対向し、接地線路部130は、Z軸方向に上記第1の距離よりも大きい第2の距離(第2の高さH2)をおいて第1及び第2のカンチレバー111,112に対向する。
【0055】
本実施形態に係るスイッチ装置1においては、接地線路部130に対向する可動部11の表面には、第1及び第2の圧電駆動部114,115が形成されている。このため本実施形態では、第1及び第2の圧電駆動部114,115各々の上部電極層L2表面から接地線路部130の底面までの高さH2を上記第2の高さとして設定される。
【0056】
第1の高さH1及び第2の高さH2の大きさは特に限定されず、「H1<H2」の関係が満たされていればよい。高さH1の大きさは、第1及び第2の圧電駆動部114,115の駆動電圧、固定端子120に対する可動端子113の押圧力等を考慮して、スイッチオン状態において固定端子120と可動端子113との間の安定した接触状態を確保できる大きさに適宜設定される。
【0057】
一方、高さH1とH2との差ΔH(ΔH=H2−H1)は、スイッチオン状態において可動端子113により押圧される固定端子120のZ軸方向(図2において上方)への最大変位量に応じて定めることができる。すなわち、ΔHは、スイッチオン状態において、第1及び第2の圧電駆動部114,115が接地線路部130に接触しない大きさに設定され、例えば1〜20μmの範囲に設定される。
【0058】
固定端子120のZ軸方向への変位量は、可動端子113と固定端子120との間のギャップ、固定端子120の変形に対する強度等に依存するものの、圧電駆動部114,115の駆動電圧(押圧力)の上昇に伴って大きくなる傾向にある。このため、これら諸条件に応じてΔHを設定することができる。
【0059】
本実施形態においては、可動端子113と固定端子120との間のギャップ(高さH1に相当)の大きさは8.4μmに設定される。本実施形態では可動端子113からの押圧力が400μNの場合に固定端子120が押圧方向へ1μm程度変位することを想定し、この状態でも可動部11が接地線路部130に接触しないような値(例えば13μm)に高さH2の大きさを設定した。
【0060】
さらに本実施形態の固定端子120は、端子部121,122を可動端子113側に向けて屈曲させる一対の屈曲部121a,122aを有する(図3)。屈曲部121a,122aは、固定端子120の表面が例えば可動部11側に向かって下向き傾斜となるような角度で端子部121,122を屈曲させるが、その屈曲角度は特に限定されない。屈曲部121a,122aの形成により、固定端子120の変形に対する強度が向上するため、可動端子113からの押圧による固定端子120の変位を抑制することができる。
【0061】
本実施形態のスイッチ装置1は、例えば図示しない実装基板(配線基板)と電気的に接続される外部接続端子を有する。上記外部接続端子は、信号線路12に接続される上記信号端子、接地線路131,132に接続される上記接地端子、第1及び第2の圧電駆動部114,115の端子層T1,T2等で構成されてもよいし、これらに電気的に接続される他の複数の端子であってもよい。実装方式も特に限定されず、ワイヤボンディング方式でもよいし、フリップチップ方式であってもよい。
【0062】
また本実施形態のスイッチ装置1は、図示しない制御回路によってその駆動が制御される。スイッチ装置1は、例えば上記実装基板上の配線パターンを介して上記制御回路と電気的に接続される。上記制御回路は、例えば駆動回路を含むコンピュータで構成され、当該スイッチ装置1に専用の制御回路であってもよいし、当該スイッチ装置1が搭載される通信機器の動作を全体的に制御するコントローラの一部であってもよい。
【0063】
次に、以上のように構成されるスイッチ装置1の典型的な動作について説明する。
【0064】
本実施形態のスイッチ装置1は、図2に示すスイッチオフ状態では、信号線路12の固定端子120は距離H1をおいて可動端子113と対向する。これにより、信号線路12の開放状態が維持され、信号の伝送が遮断される。
【0065】
一方、第1及び第2の圧電駆動部114,115に所定の駆動電圧が印加されることにより、可動部11に、第1及び第2のカンチレバー111,112をZ軸方向に弾性変形させる駆動力が発生する。第1及び第2のカンチレバー111,112の変形により可動端子113は固定端子120に接触し、スイッチ装置1は、図2に示すスイッチオフ状態から図5に示すスイッチオン状態に遷移する。これにより信号線路12が通過状態となり、信号線路12を介して信号が伝送される。
【0066】
本実施形態のスイッチ装置1は、信号線路12及び接地線路131,132は、上述した構成のコプレーナ型線路CPWを構成しているため、スイッチオン状態において、高周波において生じるインピーダンス不整合に起因した信号の反射を防止し、高性能な高周波伝送特性を得ることができる。
【0067】
ここで、可動部11と対向する接地線路部130は、固定端子120よりも離れた位置に配置されている。このため、第1及び第2の圧電駆動部114,115により第1及び第2のカンチレバー111,112を変形させた際、第1及び第2の圧電駆動部114,115を接地線路部130に接触させることなく、可動端子113を固定端子120に接触させることができる。
【0068】
本実施形態のスイッチ装置1を図6(A),(B)に示したスイッチ装置1Rと比較して説明する。図6(A)はスイッチ装置1Rのスイッチオフ状態を示し、図6(B)はスイッチ装置1Rのスイッチオン状態を示している。図6に示すスイッチ装置1Rは、可動端子Eの直上位置においてそれぞれ同一の高さ位置に形成された固定端子Sと一対の接地線路部G1,G2とを有する。このような構成のスイッチ装置1Rは、スイッチオン状態において固定端子Sに可動端子Eが接触したときに、固定端子Sが可動端子Eに押圧されて上方へ変位し、図6に示すように各カンチレバーCL1,CL2の表面に形成された圧電駆動部P1,P2が接地線路部G1,G2にそれぞれ接触するおそれがある。
【0069】
これに対して本実施形態のスイッチ装置1においては、可動部11からの接地線路部130及び固定端子120の各々の高さに差を設けているため、これらの高さの差ΔH(H2−H1)に相当する距離の固定端子120の変位を許容できることになる。したがって比較的高い駆動電圧で第1及び第2の圧電駆動部114,115が駆動される場合であっても、可動端子113に押圧される固定端子120の変位量が上記ΔHで吸収されることで、可動部11と接地線路部130との接触が阻止される。一方、可動端子113が固定端子120に押さえ込まれることで、第1及び第2のカンチレバー111,112が可動端子113よりもさらに上方へ変位することがあっても、上記ΔHが適切に設定されることで、可動部11と接地線路部130との接触が同様に阻止される。
【0070】
以上のように本実施形態によれば、固定端子120に対する可動端子113の安定した接触を実現しつつ、可動部11との接触による接地線路部130の変形や圧電駆動部114,115の短絡等の不具合を回避することができる。
【0071】
また、信号線路12と接地線路131,132との配線間距離や構造をどのように変更しても、可動部11と接地線路部130との接触を回避できるため、信号線路12及び接地線路131,132のレイアウト制限を少なくできる。これにより高周波特性のさらなる向上が見込めるGSG配線構造を構築することが可能となる。
【0072】
なお、可動部11の直上位置における固定端子120と接地線路部130との高さの違いは、信号線路12と接地線路131,132との配線間隔と比較して十分に小さいため、上述したようなコプレーナ型線路構造の有する信号伝送特性にはほとんど影響しない。
【0073】
また本実施形態によれば、固定端子120の端子部121,122が屈曲部121a,122aにより可動端子113に向けて屈曲形成されているため、可動端子113からの押圧による固定端子120の変形に対する強度を高めることができる。これにより可動端子113からの押圧による固定端子120の変形を抑制できるため、可動部11と接地線路部130との間に所定以上のギャップを安定に確保することができる。
【0074】
さらに本実施形態によれば、可動端子113の駆動機構に第1及び第2のカンチレバー111,112を用いているため、可動端子113をZ軸方向に沿って直線的に移動させることができる。これにより、可動端子113を固定端子120に対してより安定に接触させることができる。
【0075】
<第2の実施形態>
図7〜図10は、本発明の第2の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示している。図7は当該スイッチ装置の平面図、図8は図7における[B1]−[B1]線方向の断面図、図9は図7における[B2]−[B2]線方向の断面図、図10は図7における[B3]−[B3]線方向の断面図である。本実施形態では、第1の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0076】
本実施形態のスイッチ装置2は、可動部21の構成が上述の第1の実施形態と異なる。図8及び図9に示すように本実施形態の可動部21は、可動端子113を支持する支持体17を有し、支持体17は、支持部117cと可動端子113との間に配置された中間層117dとを有する。
【0077】
本実施形態の可動部21は、支持体17が中間層117dを有するため、可動端子113と固定端子120との間の高さを第1の実施形態よりも小さくすることができる。これにより、スイッチオフ状態からスイッチオン状態に切り替えられた際、可動端子113が固定端子120へ接触するまでのストローク量を小さくできるとともに、スイッチの切り替え速度を高めることができる。また可動端子113のストローク量を小さくできるため、可動部21と接地線路部130との接触防止構造はより一層確実となり、信頼性の高いスイッチ装置を構成することができる。
【0078】
中間層117dは、導電体であってもよいし絶縁体であってもよい。ベース基板10の表面101に形成される各種機能層(導電層、誘電体層)の構成材料で中間層117dが形成されてもよい。また、中間層117dは単層構造に限られず、積層構造であってもよい。さらに中間層117dの厚みは、特に限定されず、スイッチオフ状態における可動端子113と固定端子120との間に設定されるギャップ(高さH1に相当)の大きさに応じて適宜設定可能である。
【0079】
本実施形態では、中間層117dは、第1及び第2の圧電駆動部114,115と同一の積層体で構成される。この場合、中間層117dは、第1及び第2の圧電駆動部114,115と同時に形成される。これにより中間層117dの形成工程を別途設ける必要がなくなるため、工程数増による生産性の低下を招かない。中間層117dは、第1及び第2の圧電駆動部114,115と電気的に接続されることはなく、支持部117c上に独立して形成される。このため、第1及び第2の圧電駆動部114,115の駆動時に中間層117dの変形は生じず、可動端子113と固定端子120との間の安定した接触状態を確保することができる。
【0080】
[スイッチ装置の製造方法]
次に、以上のように構成される本実施形態のスイッチ装置2の製造方法について図11〜図17を参照して説明する。以下の説明では、主として、ベース基板10上に信号線路12及び接地線路131,132の形成方法について説明する。
【0081】
図11は、圧電駆動部114,115及び可動端子113が形成されたベース基板10を示す平面図、図12(A)は図11における[B4]−[B4]線方向の拡大断面図、図12(B)は図11における[B5]−[B5]線方向の断面図である。また、図13(A),(B)〜図17(A),(B)は、固定端子120及び1つの接地線路部130の形成工程を説明する図12(A),(B)に対応する各部位の拡大断面図である。なお他の一つの接地線路部は当該1つの接地線路部130と同一の工程で同時に形成されるので、その図示は省略する。
【0082】
まずベース基板10として、第1のシリコン基板10Aと第2のシリコン基板10Bとが接合層10Cを介して接合されたSOI基板を準備する。接合層10Cは例えば厚み約1μmのシリコン酸化膜で構成される。このベース基板10は当初、所定の大きさのウェーハ基板で構成され、当該ウェーハ基板上で複数個の素子(スイッチ装置1)を一括的に形成した後、ダイシング工程あるいはダイシングラインのドライエッチングにより所定の素子サイズに切り出される。
【0083】
ベース基板10は、熱酸化炉等において熱処理されることで、その表面101及び裏面102を含む全面に熱酸化膜が所定の厚み(例えば0.8μm)で形成される。なお各図においては、ベース基板10の表面101に形成された熱酸化膜(絶縁膜103)のみ図示している。
【0084】
ベース基板10の表面101には、図11に示すように、絶縁膜103を介して圧電駆動部114,115、中間層117d及び可動端子113がそれぞれ形成される。圧電駆動部114,115、中間層117d及び可動端子113は、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて所定領域にパターン形成される。
【0085】
圧電駆動部114,115及び中間層117dは、下部電極層L1、圧電層L3及び上部電極層L2が順に積層される。下部電極層L1及び上部電極層L2は、厚み約10nmのTi層と、厚み約0.2μmのPt層との積層膜で構成される。Ti層及びPt層は例えばスパッタ法で形成されるが、成膜方法はこれに限られない。圧電層L3は、厚み約1.5μmのPZT膜で構成され、例えば、ゾルゲル法、スパッタ法、MOCVD法等で成膜される。圧電駆動部114,115及び中間層117dの形成に際しては、それぞれ下層側の膜から順に成膜され、成膜後、上層側の膜から順にパターニングされる。
【0086】
可動端子113は中間層117dの上に形成される。可動端子113は、例えば厚み約10nmのTi層と、厚み約0.2μmのAu層との積層膜で構成される。Ti層及びAu層は例えばスパッタ法で形成されるが、成膜方法はこれに限られない。
【0087】
続いて図7に示すように、第1のシリコン基板10Aにその厚み方向に貫通するスリット104aを形成することで、第1及び第2のカンチレバー111,112、支持体117(第1及び第2の連結部117a,117b、支持部117c)の外形あるいは輪郭を形成する。スリット104aは、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてベース基板10上の絶縁膜103表面にスリット104aの形成部位が開口するレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをマスクとするドライエッチングによって絶縁膜103及び第1のシリコン基板10Aを順次エッチングすることで形成される。このとき接合層10Cは、スリット104aのエッチングストッパ層として機能する。
【0088】
図12(A)は、可動端子113を含む領域(第1の領域Z1)におけるベース基板10の概略断面図、図12(B)は、第1の圧電駆動部114を含む領域(第2の領域Z2)におけるベース基板10の概略断面図である。図12(A)に示すように、スリット104aを挟んで可動端子113の形成領域に隣接するベース基板10の表面には、後工程において信号線路12と接続される信号端子12tが形成されている。また図12(B)に示すように、スリット104aを挟んで第1の圧電駆動部114の形成領域に隣接するベース基板10の表面には、後工程において接地線路131と接続される接地端子13tが形成されている。
【0089】
次に、信号線路12及び接地線路131,132を形成するために、ベース基板10の表面に第1の領域Z1を被覆する第1の犠牲層W1と、第2の領域Z2を被覆する第2の犠牲層W2をそれぞれ形成する。第1及び第2の犠牲層W1,W2の形成工程は、第1及び第2の下層レジストパターンW11,W21の形成工程と、第1及び第2の上層レジストパターンW12,W22の形成工程とを有する。
【0090】
まず図13(A),(B)に示すように、ベース基板10の表面に第1の液状レジストをスピンコート法、スプレーコート法、シートレジストを用いたラミネート工法等により形成した後、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第1及び第2の領域Z1,Z2上に第1及び第2の下層レジストパターンW11,W21をそれぞれ形成する。
【0091】
第1の下層レジストパターンW11は、第1の領域Z1を開口させるように、可動端子113の両側に形成されたスリット104aの底部から所定の高さで形成される。第2の下層レジストパターンW21は、第2の領域Z2を被覆するように、圧電駆動部114,115の両側に形成されたスリット104aの底部から所定の高さで形成される。第1及び第2の下層レジストパターンW11,W21は同一の高さで形成され、本実施形態では約12μmである。
【0092】
次に、図14(A),(B)に示すように、ベース基板10の表面に第2の液状レジストをスピンコート法、スプレーコート法、シートレジストを用いたラミネート工法等により形成した後、公知のフォトリソグラフィ技術を用いて、第1及び第2の領域Z1,Z2上に第1及び第2の上層レジストパターンW12,W22をそれぞれ形成する。第2の液状レジストは、第1の液状レジストと同一でもよいし異なっていてもよい。
【0093】
第1の上層レジストパターンW12は、第1の下層レジストパターンW11の上から第1の領域Z1(可動端子113)を被覆する。第2の上層レジストパターンW22は、第2の下層レジストパターンW21の上から第2の領域Z2(圧電駆動部114)を被覆する。第1及び第2の上層レジストパターンW12,W22は所定の厚みで形成され、本実施形態では、W12は、周縁のW11上で約1〜2μm、中央の可動端子113上で約8〜9μmであり、W22は約6μmである。
【0094】
第1の下層レジストパターンW11は、第1の領域Z1を開口するように形成されているため、第1の上層レジストパターンW12は、第1の領域Z1上において所定深さの凹所Vを有する。一方、第2の下層レジストパターンW21は、第2の領域Z2を被覆するように形成されているため、第2の上層レジストパターンW22は、第2の領域Z2上においてほぼ平坦に形成される。その結果、第1の上層レジストパターンW12の凹所Vの底部と、第2の上層レジストパターンW22の上面との間には、所定の高低差H3が発生する。
【0095】
高低差H3は、図8に示したように圧電駆動部114,115から接地線路部130までの高さH2と、可動端子113から固定端子120までの高さH1との差ΔHに相当する。なお、可動端子113を被覆する第1の上層レジストパターンW12の厚みは上記高さH1に相当し、圧電駆動部114,115を被覆する第2の下層レジストパターンW21の厚みと第2の上層レジストパターンW22の厚みの総和は上記高さH2に相当する。
【0096】
ここで、凹所Vのテーパ角θは、第1の下層レジストパターンW11の高さによって調整することが可能である。凹所Vのテーパ角θは、後の固定端子120の形成工程において、端子部121,122を屈曲させる屈曲部121a,122aの屈曲角に対応する。したがって、例えば当該屈曲角を大きくする場合は、第1の下層レジストパターンW11は比較的高く形成される。
【0097】
以上のようにして、第1の領域Z1及び第2の領域Z2に第1の犠牲層W1及び第2の犠牲層W2がそれぞれ形成される。次に、固定端子120及び接地線路部130の形成方法について説明する。
【0098】
図15(A),(B)に示すように、ベース基板10の表面に、第1及び第2の犠牲層W1,W2の上からめっき用のシード層M1を形成する。本実施形態においてシード層M1は、厚み約5nmのTi層と厚み約200nmのAu層との積層膜で構成され、それぞれスパッタ法あるいは蒸着法、めっき法等で成膜される。
【0099】
次に図16(A),(B)に示すように、シード層M1の上にめっき層M2を形成する。この際、第1の領域Z1には、固定端子120の端子部121,122を形成するためのレジストパターンPRを形成しておく。本実施形態において、めっき層M2は、厚み約6μmの金めっきで構成される。シード層M1及びめっき層M2は、ウェットエッチング又はドライエッチングプロセスによってパターニングされることで、シード層M1及びめっき層M2の積層体からなる信号線路12及び接地線路131,132が形成される。
【0100】
続いて図17(A),(B)に示すように、第2のシリコン基板10Bに、スリット104aと連通する凹部104bが形成されることで、ベース基板10に可動部21を収容する開口部104が形成される。本実施形態において凹部104bは、第2のシリコン基板10Bに対するドライエッチングプロセスによって形成される。この後、接合層10Cが除去される。接合層10Cは、CHF3やC48等のガスを用いたドライエッチング、BHFやHFを用いたウェットエッチングにより除去される。
【0101】
凹部104bの形成後、第1及び第2の犠牲層W1,W2がそれぞれ除去される。第1及び第2の犠牲層W1,W2の除去工程は、レジスト剥離液にベース基板10を浸漬し、開口部104を介して第1及び第2の犠牲層W1,W2を溶出させる。
【0102】
以上のようにして、本実施形態のスイッチ装置2が製造される。本実施形態によれば、ベース基板10の表面を加工することで可動部21を形成するようにしているので、半導体プロセス技術を用いることで微小のスイッチ装置を精度よく製造することができる。
【0103】
また本実施形態によれば、レジストパターンの形成工程を2回に分けて実施するようにしているので、可動部21からの高さが各々異なる固定端子120及び接地線路部130を容易に形成することができる。また、固定端子120及び接地線路部130の高低差を任意の値に容易に調整することができる。これにより、固定端子120に対する可動端子113の安定した接触を実現しつつ、可動部11との接触による接地線路部130の変形や短絡等の不具合を回避できるスイッチ装置2を製造することができる。
【0104】
<第3の実施形態>
図18及び図19は、本発明の第3の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示している。図18は当該スイッチ装置の平面図、図19は図18における[C1]−[C1]線方向の断面図である。本実施形態では、第1の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0105】
本実施形態のスイッチ装置3は、可動部31の構成が上述の第1の実施形態と異なる。図18及び図19に示すように本実施形態の可動部31は、単一のカンチレバー311と、このカンチレバー311の表面にそれぞれ形成された圧電駆動部114及び可動端子113とを有する。
【0106】
可動部31は、ベース基板10の開口304に収容されており、カンチレバー311の表面は、ベース基板10の表面101と同一の平面で形成されている。カンチレバー311の一端311aは開口部104の周縁に固定され、他端311bは自由端として構成されている。カンチレバー311は、X軸方向に延びる弾性変形可能なシリコン基板で形成され、本実施形態においても第1のシリコン基板10Aを形状加工することで形成される。
【0107】
可動端子113は、カンチレバー311の他端311b側の表面に形成される。可動端子113は、信号線路12の固定端子120に対してZ軸方向に第1の高さH1を介して対向している。一方、圧電駆動部114は、接地線路131の接地線路部130に対してZ軸方向に第2の高さH2を介して対向するように、カンチレバー311の表面に形成されている。第2の高さH2は、第1の実施形態と同様に第1の高さH1よりも大きく形成されている。
【0108】
以上のように構成される本実施形態のスイッチ装置3においては、圧電駆動部114に所定の駆動電圧が印加されることにより、可動部31に、カンチレバー311をZ軸方向に弾性変形させる駆動力が発生する。カンチレバー311の変形により可動端子113は固定端子120に接触し、スイッチ装置3は、図2に示すスイッチオフ状態からスイッチオン状態に遷移する。
【0109】
本実施形態においても上述の第1の実施形態と同様の作用効果を有する。すなわち、可動部31と対向する接地線路部130は、固定端子120よりも離れた位置に配置されているため、圧電駆動部114によりカンチレバー311を変形させた際、圧電駆動部114を接地線路部130に接触させることなく、可動端子113を固定端子120に接触させることができる。
【0110】
<第4の実施形態>
図20は、本発明の第4の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。本実施形態では、第3の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0111】
本実施形態のスイッチ装置4は、接地線路の構成が上述の第3の実施形態と異なる。すなわち本実施形態のスイッチ装置4は、信号線路12の片側(可動部311側)にのみ接地線路131が配置されたGS構造を有し、これら信号線路12及び接地線路131によってコプレーナ型線路を形成する。このような構成によっても上述の第3の実施形態と同様の高性能な高周波伝送特性を得ることができる。
【0112】
なお上述のように接地線路を信号線路12の可動部311側に配置する構造に代えて、信号線路12の可動部311側とは反対側に接地線路を配置したSG構造が採用されてもよい。このような構成によっても上述と同様の高性能な高周波伝送特性を得ることができる。
【0113】
<第5の実施形態>
図21は、本発明の第5の実施形態に係るスイッチ装置の構成を示す断面図である。本実施形態では、第2の実施形態の構成および作用と同様な部分についてはその説明を省略または簡略化し、第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0114】
本実施形態のスイッチ装置5は、ベース基板10の裏面102側に、信号線路12及び接地線路131,132と対向するグランド層133を備えている。グランド層133がベース基板10上の接地端子に接続されることにより、グランデッドコプレーナ構造が構成される。このような構成によっても、上述の第2の実施形態と同様の高性能な高周波伝送特性を得ることができる。
【0115】
グランド層133は、接地線路131,132を構成する材料と同一の材料で形成される。また、グランド層133は、図示するようにベース基板10の開口部104の底部を形成する例に限られず、グランド層133に開口部104を開放させる開口が別途形成されてもよい。
【0116】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0117】
例えば以上の実施形態では、固定端子120を一対の端子部121,122の分割構造とし、スイッチオン/オフで信号の通過/開放を切り替えるスイッチ装置について説明した。これに代えて、固定端子を上記のように分割構造とせず、スイッチオン/オフで信号の短絡/通過を切り替えるスイッチ装置にも本発明は適用可能である。
【0118】
また以上の実施形態では、固定端子120と接地線路部130との高低差を形成するのに、ベース基板10上に領域ごとに高さの異なる第1及び第2の犠牲層W1,W2を形成した。これに代えて、ハーフトーンマスク等を用いてレジスト層の露光量を領域ごとに異ならせることで、高さの異なる犠牲層をそれぞれ形成するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0119】
1,2,3,4,5…スイッチ装置
10…ベース基板
11,21,31…可動部
12…信号線路
104,304…開口部
111,311…第1のカンチレバー
112…第2のカンチレバー
113…可動端子
114…第1の圧電駆動部
115…第2の圧電駆動部
117…支持体
117a…第1の連結部
117b…第2の連結部
117c…支持部
117d…中間層
120…固定端子
121,122…端子部
121a,122a…屈曲部
130…接地線路部
131,132…接地線路
133…グランド層
W1…第1の犠牲層
W2…第2の犠牲層
Z1…第1の領域
Z2…第2の領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板と、
前記ベース基板に固定される第1の端部を有し第1の軸方向に沿って延びる弾性変形可能な第1のカンチレバーと、前記第1のカンチレバーに接続された可動端子と、前記第1のカンチレバーを弾性変形させることで前記可動端子を前記第1の軸方向に直交する第2の軸方向へ移動させることが可能な第1の圧電駆動部と、を有する可動部と、
前記ベース基板に接続され、前記第2の軸方向に前記可動部と対向し、前記第1の圧電駆動部による前記第1のカンチレバーの変形時に前記可動端子と接触可能な固定端子を有する信号線路と、
前記ベース基板に接続され、前記固定端子よりも前記可動部から離れた位置に配置された線路部を有し、前記信号線路に並行する接地線路と
を具備するスイッチ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスイッチ装置であって、
前記ベース基板は、第1の表面を有し、
前記可動部は、前記第1の表面と同一の平面で形成され、前記第1の圧電駆動部及び前記可動端子が形成される第2の表面を有する
スイッチ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のスイッチ装置であって、
前記信号線路及び前記接地線路は、前記第1の表面に相互に平行に形成され、
前記固定端子は、前記可動端子からの高さが第1の高さである第1のアーチ形状に形成され、
前記線路部は、前記第1の圧電駆動部からの高さが前記第1の高さよりも高い第2の高さである第2のアーチ形状に形成される
スイッチ装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスイッチ装置であって、
前記固定端子は、前記第1の軸方向と前記第2の軸方向とに各々交差する第3の軸方向に対向して配置され、前記可動端子と接触可能な一対の端子部を有する
スイッチ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスイッチ装置であって、
前記固定端子は、前記一対の端子部を前記可動端子側に向けて屈曲させる一対の屈曲部を有する
スイッチ装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載に記載のスイッチ装置であって、
前記可動部は、
前記ベース基板に固定される第2の端部を有し前記第1の軸方向に沿って延びる弾性変形可能な第2のカンチレバーと、
前記第1のカンチレバーに接続される弾性変形可能な第1の連結部と、前記第2のカンチレバーに接続される弾性変形可能な第2の連結部と、前記可動端子を支持する支持部とを有する支持体と、
前記第1の圧電駆動部と同期して前記支持体を前記第2の軸方向に移動させることが可能な第2の圧電駆動部と、をさらに有する
スイッチ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のスイッチ装置であって、
前記支持体は、前記支持部と前記可動端子との間に配置された中間層をさらに有する
スイッチ装置。
【請求項8】
少なくとも一端がベース基板に固定され、可動端子を含む第1の領域と圧電駆動部を含む第2の領域とを有する可動部を、前記ベース基板の面内に形成し、
前記ベース基板上に、前記第1の領域を被覆し第1の高さを有する第1の犠牲層と、前記第2の領域を被覆し前記第1の高さよりも高い第2の高さを有する第2の犠牲層とを形成し、
前記ベース基板上に、前記第1の犠牲層に積層された信号線路と、前記第2の犠牲層に積層された接地線路とを形成し、
前記ベース基板から前記第1の犠牲層及び前記第2の犠牲層を除去する
スイッチ装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載のスイッチ装置の製造方法であって、
前記第1の犠牲層及び前記第2の犠牲層を形成する工程は、
前記ベース基板上に、前記第1の領域を開口させ、前記第2の領域を被覆する第1のレジストパターンを形成し、
前記ベース基板上に、前記第1のレジストパターンの上から前記第1の領域及び第2の領域をそれぞれ被覆する第2のレジストパターンを形成することを含む
スイッチ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−114755(P2013−114755A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256894(P2011−256894)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)