説明

スイッチ装置

【課題】小型化した場合でも接点間の絶縁性が得られるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、操作軸13hを軸にして回動操作される操作部11と、操作部11に一体的に設けられた可動接点12と、可動接点12と接離する固定接点13と、操作部11の一部、可動接点12及び固定接点13を収容する収容部14aを有するケース14とを備えたスイッチ装置において、固定接点13はコモン接点13aと複数の切換接点13bとからなり、可動接点12が摺接するコモン接点13aのコモン接点部13iと可動接点12が摺接する切換接点13bの切換接点部13lとは操作軸13hを中心とした異なる同心円上に配置され、コモン接点部13iは切換接点部13lよりも操作軸13hから遠い同心円上に配置され、外部と電気的に接続可能なコモン接点13aの外部接続部13oは、外部と電気的に接続可能な前記切換接点の外部接続部13pおよび外部接続部13qの間に配置されている、という特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2方向に操作可能で、操作方向によって出力が異なるスイッチ装置に関し、特に、小型化した際に回路間の絶縁をより確実に確保することができるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
昨今、携帯電話やポータブルゲーム機器など携帯できる電気製品が増えており、なかでも、より小型で携帯しやすい電気製品が増えてきている。
【0003】
電気製品の小型化に伴って、電気機器に用いられるスイッチ部品についても従来のスイッチ装置よりも小型のスイッチ装置が求められている。
【0004】
2方向に操作可能で、操作方向によって出力が異なるスイッチ装置としては、下記の特許文献1に記載のスイッチ装置が知られている。
【0005】
以下、図11(a)および図11(b)を用いて、特許文献1に記載のスイッチ装置SWについて説明する。図11は特許文献1に記載のスイッチ装置SWを示す図であり、図11(a)はスイッチ装置SWの上面図であり、図11(b)は図11(a)の断面ZZを示す断面図である。
【0006】
特許文献1に記載のスイッチ装置SWは、略扇形に形成した基台CAの要の部分に、基台CAに回動自在に操作軸OSを枢支する。操作軸OSに一体となって連結された可動片MBは、操作軸OSの回動操作に連動し、基台CA上を操作軸OSを中心とする円周方向に移動する。共通固定接点FCを、可動片MBの移動範囲全域に亘り、操作軸OSを中心とする円周方向に並行して基台CAの表面に立設している。2つの開閉固定接点LC、RCを、共通固定接点FCに並行して互いに連続しないように基台CAの表面の同円周上に立設している。また、略U字型の共通可動接点MRと開閉可動接点MLとを接続片CCの両端に付設して電気的に接続し、可動片MBに固着している。共通可動接点MRは常に共通固定接点FCを摺接挟持する。開閉可動接点MLが開閉固定接点LC,RCを摺接挟持することにより、スイッチ装置SWのオン/オフが切り換えられる。
【0007】
また、スイッチ装置SWにおいて、共通可動接点MRと電気的に接続するとともに外部とも接続可能な外部接続端子CTと、開閉固定接点LCと電気的に接続するとともに外部とも接続可能な外部接続端子LTと、開閉固定接点RCと電気的に接続するとともに外部とも接続可能な外部接続端子RTとの配線は、概略図SSに示すように、外部接続端子CTの両側に外部接続端子LTと外部接続端子RTとが配置されている。このように配線することで、スイッチの切換精度を良くする効果がある。
【0008】
また、外部接続端子CTとの絶縁性を確保する為、外部接続端子LTと外部接続端子RTとは外部接続端子CTから遠ざかる方向へ屈曲させた引き回しになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平7−6662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載のスイッチ装置SWは、使用する上では特に問題のないスイッチ装置である。
【0011】
しかしながら、スイッチ装置SWは、市場の要求に従って構造を変えずに小型化していった場合に、外部接続端子LTと外部接続端子RTとが外部接続端子CTから遠ざかる方向へ屈曲した引き回しになっているため小型化しにくいという課題がある。
【0012】
また、仮に、外部接続端子LTと外部接続端子RTとが外部接続端子CTから遠ざかる方向へ屈曲した引き回しをやめて、外部接続端子LTと外部接続端子RTとを外部接続端子CTに近接する引き回しにした場合には、小型化した場合に絶縁性を確保するに十分なクリアランスを確保できず、短絡することが懸念される。
【0013】
本発明は、上述した課題を解決して、小型化した場合でも接点間の絶縁性が得られるスイッチ装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載のスイッチ装置は、操作軸を軸にして回動操作される操作部と、前記操作部に一体的に設けられた可動接点と、前記可動接点と接離する固定接点と、前記操作部の一部、前記可動接点及び前記固定接点を収容する収容部を有するケースとを備えたスイッチ装置において、前記固定接点はコモン接点と複数の切換接点とからなり、前記可動接点が摺接する前記コモン接点のコモン接点部と前記可動接点が摺接する前記切換接点の切換接点部とは前記操作軸を中心とした異なる同心円上に配置され、前記コモン接点部は前記切換接点部よりも前記操作軸から遠い同心円上に配置され、外部と電気的に接続可能な前記コモン接点の外部接続部は、外部と電気的に接続可能な前記複数の切換接点の外部接続部の間に配置されている、という特徴を有する。
【0015】
請求項2に記載のスイッチ装置は、前記複数の切換接点は第1切換接点部を有した第1切換接点と第2切換接点部を有した第2切換接点とからなり、前記コモン接点部は第1コモン接点部と第2コモン接点部とを有し、前記第1切換接点部と前記第1コモン接点部とは並んで配置されるとともに、前記第2切換接点部と前記第2コモン接点部とは並んで配置され、前記操作部の操作により前記可動接点が第1方向に移動し、前記可動接点が前記第1コモン接点部に当接したときに、前記第1コモン接点部と前記第1切換接点部とが前記可動接点を介して導通し、前記操作部の操作により前記可動接点が第2方向に移動し、前記可動接点が前記第2コモン接点部に当接したときに、前記第2コモン接点部と前記第2切換接点部とが前記可動接点を介して導通する、という特徴を有する。
【0016】
請求項3に記載のスイッチ装置は、前記操作部の操作により前記可動接点が第1方向に移動したとき、前記可動接点は前記第1コモン接点部よりも先に前記第1切換接点部に接触し、前記操作部の操作により前記可動接点が第2方向に移動したとき、前記可動接点は前記第2コモン接点部よりも先に前記第2切換接点部に接触する、という特徴を有する。
【0017】
請求項4に記載のスイッチ装置は、前記可動接点は、前記コモン接点部および前記切換接点部とそれぞれ複数個所で接触するように複数の摺接部を有する、という特徴を有する。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、複数の切換接点と切換接点との間にコモン接点を配線する必要がなくなり、スイッチ装置を小型化した場合でもコモン接点と複数の切換接点との間でショートすることのない十分な絶縁距離確保ができる、という効果を奏する。
【0019】
請求項2の発明によれば、回転中心である操作軸から遠い位置にあるコモン接点側でコモン接点と切換接点との間の電気的な導通の切換を行うことで、コモン接点と切換接点との導通の切換位置の調整が容易になり、接点切換精度が安定する、という効果を奏する。
【0020】
請求項3の発明によれば、可動接点がコモン接点に接触する前に可動接点と切換接点とを接触させることで、より確実にコモン接点側でコモン接点と切換接点との間の電気的な導通の切換を行うことができ、接点切換精度が良くなる、という効果を奏する。
【0021】
請求項4の発明によれば、コモン接点部および切換接点部に対して可動接点が複数箇所で接触することで、仮に摺動軌道上に異物が付着していたとしても、異物に乗り上げた箇所以外で確実に接触させることが可能となり、接触信頼性を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】スイッチ装置1を示す斜視図である。
【図2】スイッチ装置1の構成を示す分解斜視図である。
【図3】操作部11を示す斜視図である。
【図4】可動接点12を示す図である。
【図5】固定接点13を示す図である。
【図6】固定接点13のコモン接点13aと切換接点13bとを示す図である。
【図7】ケース14を示す図である。
【図8】弾性部材15を示す斜視図である。
【図9】スイッチ装置1の内部を示す図である。
【図10】可動接点12と固定接点13との当接状態を示す図である。
【図11】特許文献1に記載のスイッチ装置SWを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下に第1実施形態におけるスイッチ装置1について説明する。
【0024】
まず始めに本実施形態におけるスイッチ装置1の構成について図1ないし図8を用いて説明する。図1はスイッチ装置1を示す斜視図である。図2はスイッチ装置1の構成を示す分解斜視図である。図3は操作部11を示す斜視図である。図4は可動接点12を示す図であり、図4(a)は可動接点12を示す斜視図であり、図4(b)は可動接点12を示す側面図である。図5は固定接点13を示す図であり、図5(a)は固定接点13を示す斜視図であり、図5(b)は固定接点13を示す側面図である。図6は固定接点13のコモン接点13aと切換接点13bとを示す図である。図7はケース14を示す図であり、図7(a)は下方向から見たケース14を示す斜視図であり、図7(b)は上方向から見たケース14を示す斜視図であり、図7(c)はケース14の内部を示す図である。図8は弾性部材15を示す斜視図である。
【0025】
スイッチ装置1は、図1および図2に示すように、外部から回動操作される操作部11と、操作部11に一体的に設けられた可動接点12と、可動接点12と接離する固定接点13と、操作部11の一部、可動接点12および固定接点13を収容する収容部14aを有するケース14と、回動操作された操作部11を初期位置に復帰させる弾性部材15と、を備えている。
【0026】
操作部11は、図3に示すように、合成樹脂材から形成されており、略円盤形状に形成された基部11aと、基部11aの側面の一部から直方体状に延出して形成されたレバー部11bと、を有する。
【0027】
また、基部11aの中心部には貫通孔である軸穴11cが設けられ、レバー部11bが設けられた側の逆側には、可動接点12を保持可能な保持部11dが形成されている。
【0028】
可動接点12は、図4(a)に示すように、金属板を板金加工して形成されており、操作部11に保持される基台部12aと、固定接点13とそれぞれ複数個所で接触する第1可動接点部12bと第2可動接点部12cと、を有する。
【0029】
基台部12aは略長方形状に形成され、第1可動接点部12bおよび第2可動接点部12cは基台部12aから延出して設けられている。
【0030】
第1可動接点部12bは、基台部12aの長手方向の一端側において、左右の端面から基台部12aに対して垂直にかつ同じ方向へ一対で帯状に延出して形成されている。基台部12aに対して垂直に延出された第1可動接点部12bの先端側は、途中から基台部12aの長手方向の他端方向に延出されるとともに、2本の第1可動接点部12bの先端が近づく方向に曲げ加工され、先端側が近接して形成されている。
【0031】
第1可動接点部12bの先端側どうしでもっとも近接している箇所には、それぞれが近づく方向に突状に形成された第1摺接部(摺接部)12dがそれぞれ設けられている。
【0032】
第2可動接点部12cは、基台部12aの長手方向の中央において、左右の端面から第1可動接点部12bと同じ方向へ一対で帯状に延出して形成されている。第1可動接点部12bと同じ方向に延出された第2可動接点部12cの先端側は、第1可動接点部12bの先端側よりも基台部12aに近い位置から基台部12aの長手方向の他端方向に延出されるとともに、2つの第2可動接点部12cの先端が近づく方向に曲げ加工され、先端側の一部が当接している。
【0033】
第2可動接点部12cの先端側の当接している箇所には、それぞれが近づく方向に突状に形成された第2摺接部(摺接部)12eがそれぞれ設けられている。
【0034】
また、図4(b)に示すように、可動接点12を図面4(a)の矢印S方向から見たとき、第1摺接部12dと第2摺接部12eとは基台部12aの長手方向に垂直に交わる同一の直線上に配置されている。
【0035】
固定接点13は、図5に示すように、金属板からなるコモン接点13aと、金属板からなる第1切換接点13cと第2切換接点13dとから形成される切換接点13bとが、合成樹脂材からなるウェハ部13eにインサート成形にて一体に形成されている。
【0036】
ウェハ部13eは、コモン接点13aの一部および切換接点13bの一部を内包するベース部13fと、ベース部13fから上方向へ延出して設けられた支持部13gとからなる。
【0037】
ベース部13fは略直方体状に形成され、前側の面および後側の面にはケース14との係止に用いるフック部13sが突出して形成されており、それぞれ左右方向に並んで2つ設けられている。支持部13gはベース部13fの後側面と面一に上方向端面の左右端をつなぐアーチ状に延出して設けられており、その中央には前側へ円柱状に突出した操作軸13hが設けられている。
【0038】
また、支持部13gの前後方向の厚さ寸法はベース部13fの前後方向の厚さ寸法よりも小さい。
【0039】
コモン接点13aと切換接点13bとは、図6に示すように、ウェハ部13e内にインサート成形されている。コモン接点13aは可動接点12が摺接する第1コモン接点部13jと第2コモン接点部13kとからなるコモン接点部13iを有し、切換接点13bは第1切換接点13cに設けられた第1切換接点部13mと第2切換接点13dに設けられた第2切換接点部13nからなる切換接点部13lを有している。
【0040】
コモン接点部13iと切換接点部13lとは操作軸13hを中心とした半径の異なる同心円上に配置され、コモン接点部13iは切換接点部13lよりも外側の同心円上に配置され、第1切換接点部13mと第1コモン接点部13jとは並んで配置されるとともに、第2切換接点部13nと第2コモン接点部13kとは並んで配置されている。
【0041】
また、外部と電気的に接続可能なコモン接点13aの外部接続部13oは、外部と電気的に接続可能な第1切換接点13cの外部接続部13pと第2切換接点13dの外部接続部13qとの間に配置されている。
【0042】
また、第1コモン接点部13jと第2コモン接点部13kとの間および第1切換接点部13mと第2切換接点部13nとの間は合成樹脂材からなる絶縁体13rが薄板状に形成されている。
【0043】
絶縁体13rは操作軸13hを中心とした略扇形状に形成されており、第1コモン接点部13jと第2コモン接点部13kとに挟まれた領域の操作軸13hを中心とした中心角度は、第1切換接点部13mと第2切換接点部13nとに挟まれた領域の操作軸13hを中心とした中心角度よりも大きい。
【0044】
ケース14は、図7(a)、図7(b)および図7(c)に示すように、合成樹脂材からなり中空の直方体状に形成されている。内部には操作部11の一部、可動接点12、固定接点13および弾性部材15を収容可能な収容部14aが形成され、下側の1面は外部接続部13o、外部接続部13pおよび外部接続部13qを露出可能な第1開口部14bが形成され、第1開口部14bに対向する上側の面には、収容部14aに収容された操作部11のレバー部11bを突出可能な第2開口部14cが形成されている。
【0045】
前側の面および後側の面には、第1開口部14b寄りのフック部13sに対応する位置に長方形状に開口したロック部14dが左右方向に並んでそれぞれ2個形成されている。
【0046】
第2開口部14cは、図7(c)に示すように、収容部14a側から外方側に向かうにしたがって左右方向の開口幅が広がるように形成されており、第2開口部14cの裏面には収容部内側壁に垂直に交わる壁面であるストッパ部14eが形成されている。
【0047】
右側の側面には、スイッチ装置1の取り付けに用いられ、貫通孔を有した取り付け部14fが後側の面と面一に形成されている。
【0048】
弾性部材15は、図8に示すように、金属線材からなるコイルバネであり、コイル状に形成された巻回部15aと巻回部15aを形成する金属線材の両端から延設して形成される腕部15bとを有し、腕部15bは巻回部15aが成す円の相反する接線方向へそれぞれ一直線状に並ぶように延設されている。
【0049】
次にスイッチ装置1の構造について図9と図10とを用いて説明する。図9はスイッチ装置1の内部を示す図であり、説明のためにケース14の前側の面は図示していない。図10は可動接点12と固定接点13との当接状態を示す図であり、説明の都合上、ウェハ部13eは図示していない。
【0050】
可動接点12は、図9に示すように、基台部12aが保持部11dに当接した状態で保持される。このとき、レバー部11bの幅方向の中点、軸穴11cの中心と第1摺接部12dおよび第2摺接部12eが同一直線上に並んで配置されている。
【0051】
可動接点12と一体になった操作部11は、軸穴11cに操作軸13hを挿通した状態で回動可能に配置され、弾性部材15は巻回部15aの内部に操作軸13hを挿通し腕部15bがレバー部11b側に来るように操作部11に重ねて配置される。
【0052】
このとき、可動接点12は、図9および図10に示すように、第1摺接部12dで両側から絶縁体13rを挟みこむように2箇所で接触して配置されるとともに、第2摺接部12eで両側から絶縁体13rを挟みこむように2箇所で接触して配置される。
【0053】
また、操作部11の回動に伴い、第1摺接部12dは第1コモン接点部13jおよび第2コモン接点部13kに摺接可能であり、第2摺接部12eは第1切換接点部13mおよび第2切換接点部13nに摺接可能である。
【0054】
操作部11、可動接点12および弾性部材15が配置された固定接点13は、第1開口部14bにレバー部11b側から挿入し、レバー部11bを第1開口部14cから突出させ、外部接続部13oと外部接続部13pと外部接続部13qとを第1開口部14bから露出した状態で、フック部13sとロック部14dとが係合することで収容部14aの中に保持される。
【0055】
また、このとき、弾性部材15の腕部15bはストッパ部14eに当接した状態で保持されている。
【0056】
これによりスイッチ装置1が形成される。
【0057】
次にスイッチ装置1の動作について図9を用いて説明する。
【0058】
図9に示す矢印A方向にレバー部11bを操作すると、操作部11は操作軸13hを中心に回動し、操作部11の回動に伴い、可動接点12が第1方向(矢印a方向)に移動し、可動接点12が第1コモン接点部13jに当接したときに、第1コモン接点部13jと第1切換接点部13mとが可動接点12を介して導通する。
【0059】
同様に矢印B方向にレバー部11bを操作すると、可動接点12が第2方向(矢印b方向)に移動し、可動接点12が第2コモン接点部13kに当接したときに、第2コモン接点部13kと第2切換接点部13nとが可動接点12を介して導通する。
【0060】
また、絶縁体13rは操作軸13hを中心として略扇形状に形成されており、第1コモン接点部13jと第2コモン接点部13kとに挟まれた領域の中心角度は、第1切換接点部13mと第2切換接点部13nとに挟まれた領域の中心角度よりも大きく設定している為、操作部11の操作により可動接点12が第1方向に移動したとき、可動接点12は第1コモン接点部13jよりも先に第1切換接点部13mに接触し、操作部11の操作により可動接点12が第2方向に移動したとき、可動接点12は第2コモン接点部13kよりも先に第2切換接点部13nに接触する。
【0061】
なお、例えば、矢印A方向にレバー部11bを操作した際に、矢印A方向側に配置された弾性部材15の腕部15bは操作部11の動きに連動して矢印A方向に回動するが、矢印B方向側に配置された腕部15bはストッパ部14eに当接し回動できないため、矢印A方向側に配置された腕部15bには矢印B方向に戻ろうとする弾性力が働く。
【0062】
そのため、操作を止めてレバー部11bを開放すると、弾性部材15の弾性力によりレバー部11bは操作前の位置に戻り、それに伴って可動接点12の第1摺接部12dと第2摺接部12eは絶縁体13r上に移動し、コモン接点13aと切換接点13bとの間の電気的導通は解除される。
【0063】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0064】
本実施形態のスイッチ装置1では、操作軸13hを軸にして回動操作される操作部11と、操作部11に一体的に設けられた可動接点12と、可動接点12と接離する固定接点13と、操作部11の一部、可動接点12及び固定接点13を収容する収容部14aを有するケース14とを備えたスイッチ装置1において、固定接点13はコモン接点13aと複数の切換接点13bとからなり、可動接点12が摺接するコモン接点13aのコモン接点部13iと可動接点12が摺接する切換接点13bの切換接点部13lとは操作軸13hを中心とした異なる同心円上に配置され、コモン接点部13iは切換接点部13lよりも操作軸13hから遠い同心円上に配置され、外部と電気的に接続可能なコモン接点13aの外部接続部13oは、外部と電気的に接続可能な複数の切換接点13bの外部接続部13pと外部接続部13qとの間に配置されている、構造とした。
【0065】
これにより、第1切換接点13cと第2切換接点13dとの間にコモン接点13aを配線する必要がなくなり、スイッチ装置を小型化した場合でもコモン接点13aと複数の切換接点13bとの間でショートすることのない十分な絶縁距離確保ができる、という効果を奏する。
【0066】
また、従来、コモン接点13aが配線されていた領域分を詰めて第1切換接点13cと第2切換接点13dとを配置することができ、スイッチ装置をさらに小型化することができる、という効果を奏する。
【0067】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、複数の切換接点13bは第1切換接点部13mを有した第1切換接点13cと第2切換接点部13nを有した第2切換接点13dとからなり、コモン接点部13iは第1コモン接点部13jと第2コモン接点部13kとを有し、第1切換接点部13mと第1コモン接点部13jとは並んで配置されるとともに、第2切換接点部13nと第2コモン接点部13kとは並んで配置され、操作部11の操作により可動接点12が第1方向に移動し、可動接点12が第1コモン接点部13jに当接したときに、第1コモン接点部13jと第1切換接点部13mとが可動接点12を介して導通し、操作部11の操作により可動接点12が第2方向に移動し、可動接点12が第2コモン接点部13kに当接したときに、第2コモン接点部13kと第2切換接点部13nとが可動接点12を介して導通する、構造とした。
【0068】
これにより、回転中心である操作軸13hから遠い位置にあるコモン接点13a側でコモン接点13aと切換接点13bとの間の電気的な導通の切換を行う。回転中心に近い位置ほど単位回転角度あたりの回転移動距離が短いため、回転中心に近い位置でコモン接点13aと切換接点13bとの導通の切換を行うと、構成部品の寸法精度や構成部品の組込精度などによるバラツキを短い距離の中で管理しなければならない。したがって、操作軸13hから遠い位置にあるコモン接点13a側でコモン接点13aと切換接点13bとの導通の切換を行うと切換位置の調整が容易になり、接点切換精度が安定する、という効果を奏する。
【0069】
本実施形態のスイッチ装置1では、操作部11の操作により可動接点12が第1方向に移動したとき、可動接点12は第1コモン接点部13jよりも先に第1切換接点部13mに接触し、操作部11の操作により可動接点12が第2方向に移動したとき、可動接点12は第2コモン接点部13kよりも先に第2切換接点部13nに接触する、構造とした。
【0070】
これにより、可動接点12がコモン接点13aに接触する前に可動接点12と切換接点13bとを接触させることで、より確実にコモン接点13a側でコモン接点13aと切換接点13bとの間の電気的な導通の切換を行うことができ、接点切換精度が良くなる、という効果を奏する。
【0071】
また、本実施形態のスイッチ装置1では、可動接点12は、コモン接点部13iおよび切換接点部13lとそれぞれ複数個所で接触するように複数の第1摺接部12dおよび第2摺接部12eを有する、構造とした。
【0072】
これにより、コモン接点部13iおよび切換接点部13lに対して可動接点12が複数箇所で接触することで、仮に摺動軌道上に異物が付着していたとしても、異物に乗り上げた箇所以外で確実に接触させることが可能となり、接触信頼性を向上させることができる、という効果を奏する。
【0073】
以上のように、本発明の実施形態に係るスイッチ装置1を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0074】
(1)本実施形態において、第1摺接部12dおよび第2摺接部12eはコモン接点部13iおよび切換接点部13lを両面から挟みながら摺接させ複数箇所で接触する構造としたが、耐久性や弾性などに問題のない範囲で第1可動接点部12bおよび第2可動接点部12cの先端を分割してさらに接触箇所を増やしても良い。接触箇所を増やすことでより安定した接触安定性を確保することができる。
【0075】
(2)本実施形態において、弾性部材15をコイルバネとしたが、コイルバネに限定するものではなく、板バネなどでも良い。
【符号の説明】
【0076】
1 スイッチ装置
11 操作部
11a 基部
11b レバー部
11c 軸穴
11d 保持部
12 可動接点
12a 基台部
12b 第1可動接点部
12c 第2可動接点部
12d 第1摺接部(摺接部)
12e 第2摺接部(摺接部)
13 固定接点
13a コモン接点
13b 切換接点
13c 第1切換接点
13d 第2切換接点
13e ウェハ部
13f ベース部
13g 支持部
13h 操作軸
13i コモン接点部
13j 第1コモン接点部
13k 第2コモン接点部
13l 切換接点部
13m 第1切換接点部
13n 第2切換接点部
13o 外部接続部
13p 外部接続部
13q 外部接続部
13r 絶縁体
13s フック部
14 ケース
14a 収容部
15 弾性部材
15a 巻回部
16b 腕部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作軸を軸にして回動操作される操作部と、前記操作部に一体的に設けられた可動接点と、前記可動接点と接離する固定接点と、前記操作部の一部、前記可動接点及び前記固定接点を収容する収容部を有するケースとを備えたスイッチ装置において、
前記固定接点はコモン接点と複数の切換接点とからなり、
前記可動接点が摺接する前記コモン接点のコモン接点部と前記可動接点が摺接する前記切換接点の切換接点部とは前記操作軸を中心とした異なる同心円上に配置され、前記コモン接点部は前記切換接点部よりも前記操作軸から遠い同心円上に配置され、
外部と電気的に接続可能な前記コモン接点の外部出力部は、外部と電気的に接続可能な前記複数の切換接点の外部接続部の間に配置されていることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記複数の切換接点は第1切換接点部を有した第1切換接点と第2切換接点部を有した第2切換接点とからなり、
前記コモン接点部は第1コモン接点部と第2コモン接点部とを有し、
前記第1切換接点部と前記第1コモン接点部とは並んで配置されるとともに、前記第2切換接点部と前記第2コモン接点部とは並んで配置され、
前記操作部の操作により前記可動接点が第1方向に移動し、前記可動接点が前記第1コモン接点部に当接したときに、前記第1コモン接点部と前記第1切換接点部とが前記可動接点を介して導通し、
前記操作部の操作により前記可動接点が第2方向に移動し、前記可動接点が前記第2コモン接点部に当接したときに、前記第2コモン接点部と前記第2切換接点部とが前記可動接点を介して導通することを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記操作部の操作により前記可動接点が第1方向に移動したとき、前記可動接点は前記第1コモン接点部よりも先に前記第1切換接点部に接触し、
前記操作部の操作により前記可動接点が第2方向に移動したとき、前記可動接点は前記第2コモン接点部よりも先に前記第2切換接点部に接触することを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動接点は、前記コモン接点部および前記切換接点部とそれぞれ複数個所で接触するように複数の摺接部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−45506(P2013−45506A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180334(P2011−180334)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】