説明

スイッチ装置

【課題】位置規制構造の強度を高めるとともに、損傷が生じても迅速に発見できるスイッチ装置を提供する。
【解決手段】レバーを位置規制するための位置規制構造を、レバー1と連動して回動軸3の回動軸心を中心として回動可能な可動部12と、可動部12と当接するとレバー1の揺動が制限され回動軸3が回動を停止する位置規制受け部16とで構成し、位置規制構造をハウジング2の外部に設けることで、ハウジング2の外部からスイッチ装置の位置規制構造に損傷が生じたか否かを確認でき、スイッチ装置の使用安全性が向上する。極度の異常な外力を受けて位置規制構造に損傷が生じた場合にも、スイッチ装置全体を廃棄することなく、損傷された可動部を取り替えればよく、取り替え方法が簡単で、コストの低下に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ装置に関し、特に、レバー型リミットスイッチの位置規制構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、従来のレバー型リミットスイッチ200の外観図であり、レバー型リミットスイッチ200のレバー201が外力を受けない自由位置にある状態を示す。図15は、従来のレバー型リミットスイッチ200のトップカバー210を外した後の斜視図を示し、レバー型リミットスイッチ200のレバー201が限界位置にある状態を示す。図15に示すように、従来のレバー型リミットスイッチ200はハウジング202の内部に回動軸203が収容されている。そして、前記回動軸203の一端に樹脂カム204が装着されている。前記カム204の外周面の一部にはカム204の径方向の外側に突出し、かつ、カム204の周方向に沿って延びる伝動凸部205と位置規制突部206とが形成されている。また、前記回動軸203の他端は、ハウジング202の外部まで伸び、ネジ207でハウジングの外部に位置するレバー201の基端部に固定連結されている。前記レバー201の自由端には受力ローラ208が設けられている。このため、被制御設備などの衝撃により生じた外力が前記受力ローラ208に作用してレバー201を揺動させると、レバー201は回動軸203を回動し、回動軸203に装着されたカム204も同時に回動する。さらに伝動凸部205がカム204の下方に位置するスイッチユニット(図示せず)を駆動してスイッチユニットを動作させることにより、被制御設備などの通断電を制御する。また、回動軸203の外周面には、さらに捩りバネ220が巻き付けられており、受力ローラ208に作用する外力がなくなると、回動軸203が捩りバネ220の作用下で図14に示すような初期の自由位置に戻り、スイッチユニットを初期の通断状態に戻すことができる。
【0003】
上記位置規制突部206は、レバー201の揺動及び回動軸203の回動を位置規制するためのものである。ハウジング202の左右両側の内表面には、ハウジング202の内部に突き出した2つのボス209がそれぞれ形成されている。そして、レバー201が図15に示すような限界位置まで揺動するとき、位置規制突部206とボス209とが当接し、レバー201と回動軸203との回動を停止させる。図15では、レバー201が図14に示す自由位置から位置規制突部206と一方のボス209とが当接して位置規制される限界位置まで時計回りに揺動するときの状態を示す。そして、前記レバー201が図14に示す自由位置から位置規制突部206と他方のボス209とが当接して位置規制される限界位置まで反時計回りに揺動するときの状態はこれと類似する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、上記従来のレバー型リミットスイッチにおいて、内表面にボスを持つハウジングは通常金属ダイキャスト部品である。しかし、レバーの動作をスイッチの動作に切り換えるためのカムは樹脂材料を用いて製造されるものが多い。このため、レバー型リミットスイッチの使用過程において、前記限界位置で、前記樹脂カム上の位置規制突部とハウジングの内部の金属ボスとが直接当接して外部の動作力を受ける。そして、比較的大きな外力を受けるか、あるいは、数回繰り返し制御されると、樹脂カム、特にその位置規制突部の基部領域で破損しやすい。また、カムがレバー型リミットスイッチの内部に設けられているため、カムに損傷が生じても、発見しにくく、使用者の判断に影響を及ぼす。さらに、損傷後の前記リミットスイッチは修理不能であるので、前記リミットスイッチ全体を廃棄するしかない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明は、位置規制構造の強度が大幅に改善されたスイッチ装置であって、前記スイッチ装置の位置規制構造に損傷が生じても、迅速に発見でき、取り替えが容易なスイッチ装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明のスイッチ装置は、スイッチユニットを内蔵するハウジングと、前記ハウジング内に軸心を中心として回動可能に支持され、一端に前記ハウジングの外部に位置する外部部品を装着でき、回動して前記スイッチユニットを駆動できる回動軸と、ハウジングの外部に位置し、前記回動軸の前記一端に装着され、かつ、前記ハウジング外の外力の作用で前記回動軸の回動軸心を中心として揺動することで、前記回動軸を回動させることが可能なレバーと、を含むスイッチ装置であって、前記ハウジングの外部に設けられ、前記レバーと連動して前記回動軸の回動軸心を中心として回動可能な可動部と、前記ハウジングの外部に固定され、前記可動部と当接すると、前記レバーの揺動が制限され、前記回動軸が回動を停止する位置規制受け部と、を有する構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明の前記スイッチ装置を採用すると、レバーを位置規制するための位置規制構造(可動部と位置規制受け部)がいずれもハウジングの外部に形成されるため、使用過程において、使用者はハウジングの外部からスイッチ装置の位置規制構造に損傷が生じたか否かを確認でき、スイッチ装置の使用安全性が向上する。極度の異常な外力を受けて損傷が生じた場合にも、スイッチ装置全体を廃棄することなく、損傷された可動部を取り替えればよく、取り替え方法が簡単で、コストの低下に寄与する。
【0008】
また、前記可動部はそれと一体に形成された環状部により前記回動軸の前記一端と前記レバーとに連結され、前記環状部は、その内周面にて前記回動軸に対して固定するように、前記回動軸の前記一端の外周面に装着され、前記レバーは脱着可能に前記環状部の外周面に装着されることが好ましい。
【0009】
また、前記レバーの基端部には連結孔部が形成されており、前記連結孔部の内周面と前記環状部の外周面の一方には、周方向に沿って等間隔に配列され軸心方向に延びる形状が同様な複数の割出凸条が形成されており、前記連結孔部の内周面と前記環状部の外周面の他方には、前記複数の割出凸条に対応する割出凹溝が形成されており、前記レバーがその連結孔部により前記環状部に装着されるとき、前記複数の割出凹溝と前記複数の割出凸条とは一対一に係合することが好ましい。
【0010】
上述のように、レバーは脱着可能に前記環状部に装着され、かつレバーと環状部の連結部位には、それぞれ割出凸条および割出凹溝を有する。このため、脱着および環状部に装入されたレバーの角度を調節することで、スイッチ装置の初始角度を調節することができ、スイッチ装置が異なるストローク要求を満たすことができる。さらに、複数の割出凸条と複数の割出凹溝とがそれぞれ環状部の外周面または連結孔部の内周面に沿って均一に配列されるため、レバーの環状部へ装着される角度は定量的に調節できる。
【0011】
また、レバーの初期位置を調節する必要のない特定の使用者については、前記可動部と前記レバーとを一体に形成してもよい。
【0012】
なお、レバーが位置規制される限界位置に到達するときに、スイッチハウジング内のスイッチユニットがすでにスイッチ動作を確実に完了していることが必要である。このため、本発明のスイッチ装置は、前記レバーが外力を受けない自由位置から前記スイッチユニットを動作させる動作位置まで回転した角度よりも、前記レバーが外力を受けない自由位置から前記可動部と前記位置規制受け部とが当接した規制位置まで回転した角度の方が大きくなるように設けられる。
【0013】
また、前記位置規制受け部は前記ハウジングと一体に形成されることが好ましい。これにより、ハウジングの鋳造過程において位置規制受け部を直接成形し、製造が容易であるだけでなく、ダイキャスト部品として、位置規制受け部の強度が比較的高い。
【0014】
また、前記位置規制受け部及び前記可動部は金属材料から製造されることが好ましい。これにより、金属材料の引張強度が比較的高いため、スイッチの位置規制構造が受け得る動作力が、より大幅に増大する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る、レバーが外力を受けず自由位置にあるときの状態を示すレバー型リミットスイッチの斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る、レバーが位置規制されて一方の限界位置にあるときの状態を示すレバー型リミットスイッチの斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る、レバーが位置規制されて一方の限界位置にあるときの状態を示すレバー型リミットスイッチのトップカバーを取り外した後の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るレバー型リミットスイッチの分解斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るレバーと回動軸との連結方式を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係るレバーの自由位置が垂直方向から30°傾いた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係るレバーの限界位置が垂直方向から120°傾いた状態を示す斜視図である。
【図8】(a)本発明の第1の実施形態に係るリミットスイッチが自由位置にある状態を示し、(b)前記リミットスイッチが動作位置にある状態を示し、(c)前記リミットスイッチが規制位置にある状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るリミットスイッチを示す分解斜視図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係るリミットスイッチの組立後を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係るレバー型リミットスイッチの分解斜視図である。
【図12】(a)幅が広くなった位置規制腕部(即ち、可動部)を示す斜視図であり、(b)位置規制腕部の幅が広くなったボス(即ち、位置規制受け部)の高さが高くなったリミットスイッチが限界位置にあるときの状態を示す斜視図である。
【図13】(a)本発明の位置規制構造を持つ調節可能なボールレバー型リミットスイッチを示す斜視図であり、(b)本発明の位置規制構造を持つ調節可能なレバー型リミットスイッチを示す斜視図である。
【図14】従来のレバーが外力を受けない自由位置にある状態を示すレバー型リミットスイッチの斜視図である。
【図15】従来のレバーが限界位置にある状態を示すレバー型リミットスイッチのトップカバーを外した状態を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照してレバー型リミットスイッチを例として、本発明の好ましい実施形態について、説明する。
(第1実施形態)
【0017】
図1,2は、本発明の第1実施形態に係るレバー型リミットスイッチ100の斜視図であり、図1はレバー1が外力を受けない自由位置にあるときの状態を示し、図2はレバー1が位置規制されて一方の限界位置にあるときの状態を示す。図3は本発明の第1実施形態に係るレバー型リミットスイッチ100を示し、特に、レバー1が位置規制されて一方の限界位置にある場合の状態にあり、かつ、前記レバー型リミットスイッチ100のトップカバー10を取り外したときの状態を示す部分斜視図である。図4はレバー型リミットスイッチ100の分解斜視図である。
図1〜4に示すように、本発明の第1の実施形態に係るレバー型リミットスイッチ100は金属材料、例えば、亜鉛合金から製造されたハウジング2を有する。このハウジング2はダイキャスト成形されたヘッド部ハウジング21とスイッチハウジング22とからなる。前記スイッチハウジング22内には被制御設備の給断電を制御するスイッチユニット(図示せず)が収容されている。そして、ヘッド部ハウジング21内には、ハウジング2に対して軸心を中心として回動することにより、前記スイッチユニットを動作させる回動軸3が収容されている。前記回動軸3の一端(以下、外端と称する)がヘッド部ハウジング21の外側に突出している。ハウジング2の外側に位置するレバー1はネジ9を介して回動軸3の前記外端に装着され、外力の作用で回動軸3の軸心を中心として回動することにより、前記回動軸3を回動できる。前記回動軸3のヘッド部ハウジング21内に位置する一端(以下、内端と称する)に樹脂カム4が組み付けられており、前記樹脂カム4は回動軸3に対して固定され、前記回動軸3とともに回動可能である。前記樹脂カム4の外周面の一部にはカムの径方向に突出し、かつ、カムの周方向に沿って延在する伝動凸部5が形成されている。そして、前記樹脂カム4が回動軸3によって回動し、伝動凸部5の外周面がカム4の下方に位置するボール14(図4を参照)に接触すると、ボール14に嵌合するスイッチ駆動プランジャー17(図4を参照)が下向きに押され、スイッチハウジング22内のスイッチユニットが開閉動作を行う(このときのレバー1の位置を動作位置という)。また、回動軸3の外周面には、捩りバネ20がさらに巻き付かれている。このため、レバー1に作用する前記外力がなくなると、回動軸3が捩りバネ20の作用下で図1に示すような初期の自由位置に戻り、カム4の伝動凸部5とボール14との接触を解除できる。この結果、スイッチ駆動プランジャー17が復帰バネ18の作用下で上向きに移動し、スイッチユニットは元の状態に戻る。
【0018】
図5は、本実施形態に係るレバー1と回動軸3との連結状態を示す分解斜視図である。図5に示すように、本実施形態において、レバー1は係止ボタン11を介して回動軸3に連結され、前記係止ボタン11は金属材料、例えば、亜鉛合金を用いて製造され、位置規制腕部12(即ち、可動部)と、環状ギア部13(即ち、環状部)とを有する。位置規制腕部12は限界位置において後述の位置規制受け部16に当接してレバー1を位置規制することに用いられ、環状ギア部13はレバー1と回動軸3とを連結させる。
【0019】
係止ボタン11の環状ギア部13は、その内周面を回動軸3の前記外端の外周面に固定されるように装着され、レバー1は前記環状ギア部13の外周面に脱着可能に装着される。レバー1は係止ボタン11、回動軸3を一体に回動させることができる。
【0020】
図5に示すように、環状ギア部13の外周面には、周方向に沿って等間隔に配列され、かつ、軸心方向に沿って延びる同様な形状の複数の割出凸条131が形成されている。レバー1の基端部には連結孔部15が形成されており、前記連結孔部15の内周面には、前記複数の割出凸条131に対応する割出凹溝151が形成されている。このため、レバー1が前記連結孔部15を介して環状ギア部13に脱着可能に装着されると、複数の前記割出凸条131と複数の前記割出凹溝151とが一対一に係合する。そして、連結孔部15の孔底部を貫通する回動軸3の外端に形成された内ネジにネジ9を螺合することにより、回動軸3の外端にレバー1が固定される。
【0021】
また、係止ボタン11の位置規制腕部12は、環状ギア部13の一部の周縁から径方向に沿って起立した後、軸心方向のうち、ヘッド部ハウジング21に向かって延在するアーム状に形成されている。また、ヘッド部ハウジング21のレバー1に対向する外表面に、レバー1と回動軸3とを位置規制するための2つのボス(即ち、位置規制受け部)16が形成されている。図2、3に示すように、位置規制腕部12の側面と、2つのボス16,16のいずれか一方の上表面とが当接すると、レバー1の揺動が制限され、回動軸3が回動を停止する。換言すれば、2つのボス16において、レバー1が最大ストロークに達し、限界位置におかれる。
【0022】
図1〜4に示すように、本実施形態において、レバー1が外力を受けない自由状態で、垂直方向に沿って上向きに立ち上がり(以下、0°角位置にあるという)、係止ボタン11の位置規制腕部12も0°角位置にある。すなわち、斜視図によると、位置規制腕部12と回動軸3との軸心が重なり合い、2つのボス16がそれぞれ0°角位置を中心として時計回りまたは反時計回りに90°傾いた位置に形成される。したがって、前述の状態で、レバー1は自由位置、即ち0°角位置から時計回りまたは反時計回りに90°揺動したとき、係止ボタン11の位置規制腕部12は一方のボス16に当接して位置規制される。このとき、レバー1、回動軸3は係止ボタン11に連結,固定されているため、レバー1と回動軸3とは揺動または回動の限界位置に達して移動を停止する。換言すれば、図1〜4に示すレバー1、係止ボタン11、ボス16の配置関係により、レバー1の揺動範囲は0°角位置を中心として時計回りに90°から反時計回りに90°までの範囲であり、同様に、回動軸3の回動範囲も0°角位置を中心として時計回りに90°から反時計回りに90°までの範囲である。
【0023】
なお、環状ギア部13の外周面に形成された割出凸条131およびレバー1の連結孔部15の内周面に形成された割出凹溝151により、係止ボタン11に対するレバー1の装着角度、即ちレバー1の自由位置(以下、リミットスイッチ100の初期位置と称する)を定量調整可能であり、レバー1の限界位置も定量調整できる。
具体的には、例えば、図6に示すように、位置規制腕部12が0°角位置にある状態で係止ボタン11が回動軸3(図5を参照)に固定連結され、かつ、ヘッド部ハウジング21上のボス16が90°角位置に形成された場合に、レバー1を装着すると、レバー1が0°角位置から時計回りに30°傾いた状態(即ち、リミットスイッチ100の初期位置を垂直方向から時計回りに30°傾いた位置に設定する)で、割出凸条131と割出凹溝151(図5を参照)とが一対一で係合する。このため、レバー1を環状ギア部13の外周面に装着すると、図7に示すように、レバー1の時計回りの限界位置は0°角位置(垂直方向)から時計回りに120°傾いた位置となり、レバー1の反時計回りの限界位置は0°角位置(垂直方向)から反時計回りに60°傾いた位置となる(図示略)。
【0024】
さらに、レバー1が位置規制される限界位置に達するときにスイッチハウジング22内のスイッチユニットがスイッチ動作をすでに確実に完了していることを確保する必要がある。このため、リミットスイッチ100は、レバー1が外力を受けない自由位置からスイッチユニットを動作させる動作位置に回動する角度よりも、レバー1が外力を受けない自由位置から位置規制腕部12とボス16とが当接した規制位置まで回転された角度が大きくなるように設けられる。特に、図8にはリミットスイッチが自由位置、動作位置、および規制位置にあるとき、レバーの回動角度との関係を図示している。すなわち、図8(a)はリミットスイッチが自由位置にある状態を示し、図8(b)はリミットスイッチが動作位置にある状態を示し、図8(c)はリミットスイッチが規制位置にある状態を示す。
【0025】
本発明の前記実施形態において、位置規制過程で衝突する両方、即ち係止ボタン11の位置規制腕部12と、ダイキャスト成形によってヘッド部ハウジング21に一体成形されたボス16とはいずれも金属部材である。従来の技術においては、樹脂カム204に一体に形成され、かつ、衝突を位置規制する一方側の位置規制突部206は樹脂部材である一方、ハウジング202の内表面に一体に形成され、衝突する他方側のボス209は金属部材であった。したがって、本発明の前記実施形態における金属部材間で受け得る外力は、従来技術における樹脂部材と金属部材とで受け得る外力より明らかに大きい。具体的には、本発明の前記実施形態において、前記係止ボタン11は引張強度が283N/mm以上のZDC2(亜鉛合金ダイキャスト2種)を用いて製造される。しかし、従来技術において、位置規制突部206が形成されているカム204は一般にPOM(ポリオキシメチレン樹脂)を用いて製造され、前記樹脂材料の引張強度は58N/mm程度にすぎない。このため、応力解析および実験により、本発明の前記実施形態のレバーの位置規制構造は、従来製品の少なくとも3倍の負荷を受けても損傷しないことが判る。
【0026】
本発明の前記実施形態を用いて、レバー1を位置規制するための位置規制腕部12とボス16とがいずれもハウジング2の外部に形成されている。このため、使用過程において、使用者は、ハウジング外部からリミットスイッチの位置規制構造に損傷が生じたかどうかを確認でき、リミットスイッチの使用安全性が向上する。極度の異常な外力を受けて損傷が生じた場合でも、取り替え方法が簡単であり、損傷した係止ボタン11のみを取り替えれば、リミットスイッチ全体を廃棄する必要がなく、コストの低下に寄与する。
【0027】
また、本発明の前記実施形態を用いて、限界位置において、位置規制力が係止ボタン11に直接作用し、回動軸3に直接作用しない。このため、リミットスイッチ100を長期間使用しても、回動軸3の捩れ変形よる動作特性に与える影響を小さくでき、製品の使用寿命をある程度伸ばすことができる。
【0028】
また、本発明の前記実施形態を用いて、レバー1は脱着可能に係止ボタン11に装着され、かつ、係止ボタン11とレバー1との連結部位には割出凸条131および割出凹溝151をそれぞれ有する。このため、脱着およびレバー1の係止ボタン11への装入角度を調節することにより、レバー1が自由位置にあるときのハウジングに対する角度を調節でき、リミットスイッチが異なるストロークの要求を満たすことができる。
さらに、複数の割出凸条131が環状ギア部13の外周面に沿って均一に配列され、かつ、複数の割出凹溝151が連結孔部15の内周面に沿って均一に配列される。このため、レバー1の係止ボタン11への装入角度を定量的に調節できる。
【0029】
また、本発明の前記実施形態において、位置規制腕部12を含む係止ボタン11と、ボス16を含むヘッド部ハウジング21とはいずれも一体に成形されるダイキャスト部品である。このため、製造が容易であるだけでなく、位置規制腕部12とボス16との強度がいずれも比較的高い。
(第2実施形態)
【0030】
図9は本発明の第2実施形態に係るリミットスイッチ101を示す分解斜視図である。図10は本発明の第2の実施形態に係るリミットスイッチ101の組立後を示す斜視図である。本発明の第1の実施形態と比べ、本発明の第2の実施形態に係るリミットスイッチ101は係止ボタンとレバーとを一体構造に製造し、即ち係止ボタンを単独に設けずに位置規制構造の1つとしての位置規制腕部12(可動部)をレバー1の遥動アームの内表面に直接形成してある。
【0031】
リミットスイッチの初期位置を調節する必要のない特定の使用者については、本発明の前記第2の実施形態のリミットスイッチ101を用いれば、部品数を減らし、製品の構造を簡単にし、コストを低下できる。なお、このような可動部とレバーとを一体化した位置規制構造の強度は、両方を別個に設けた場合の強度よりも大きい。
(第3実施形態)
【0032】
図11は本発明の第3実施形態に係るレバー型リミットスイッチ102を示す分解斜視図である。第1、第2の実施形態と異なる点は、レバーと回動部との位置規制構造として、本発明の第3の実施形態に係るレバー型リミットスイッチ102はハウジングの外に位置規制腕部12およびボス16とを設ける以外に、依然として従来製品における樹脂カム4上の位置規制突部6とハウジング内部に形成されたボス8とを維持している。さらに、ハウジング外に製作された位置規制構造、即ち位置規制腕部12とボス16とに限定されるレバーの揺動範囲は、ハウジング内の位置規制構造、即ちカム4上の位置規制突部6とハウジング内に形成されたボス8とにより限定されるレバーの揺動範囲以上である。しかし、位置規制腕部12とボス16とにより限定されるレバーの揺動範囲が、カム4上の位置規制突部6とハウジング内に形成されたボス8とにより限定されるレバーの揺動範囲より大きい場合、位置規制腕部12とボス16とに限定されるレバーの揺動範囲は、カム4上の位置規制突部6が限界位置に達する場合の最大弾性変形範囲を超えない。
【0033】
このような状態で、レバー型リミットスイッチ102が正常使用される場合、ハウジング内部の位置規制突部6とボス8によりレバー1と回動軸3とのストロークを制限する。一方、レバー1が極度の異常な外力(即ち、過負荷)を受けてハウジング内部の位置規制突部6が損傷し、機能を失った場合、ハウジング外部の位置規制構造、即ち位置規制腕部12とボス16とが2次ストローク位置を制限し、保護作用を果たすことができる。
【0034】
位置規制腕部12およびボス16が過負荷であっても、前記制限および保護作用を実現するために、第1、第2の実施形態に比べて、位置規制腕部12とボス16との構造を最適化することにより、その強度を強化するようにする。図12(a)は位置規制腕部12の幅サイズが広くなった位置規制腕部を示す斜視図であり、図12(b)は位置規制腕部12の幅サイズが広くなり、ボス16の高さが高くなったリミットスイッチが限界位置にあるときの状態を示す斜視図である。図12に示すように幅サイズを変えて強度を高める場合、位置規制腕部12とボス16とはより大きい荷重を受けることができ、レバー1に作用する外部動作力が前述の荷重以下である場合、レバー1の揺動と回動軸3の回動とは限界位置で確実に強制的に終了する。
【0035】
また、位置規制腕部12の強度を高めるために、その幅を広くする以外に、さらに応力の集中を分散させるように、図12(a)に示すように位置規制腕部12と環状ギア部13の連結部分の面取り角Rを大きくすることもできる。
【0036】
本発明の第3の実施形態に係るレバー型リミットスイッチを用いると、従来製品における樹脂カムを引き続き使用して生産できるとともに、リミットスイッチのハウジング外部に位置する二次的な位置規制構造が増設される。このため、過負荷の場合にリミットスイッチに対して二次的な保護作用を果たすことができる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で様々な変形が可能である。
【0038】
例えば、前記実施形態において、ハウジング2はヘッド部ハウジング21とスイッチハウジング22とからなるが、これに限らず、ヘッド部ハウジング21とスイッチハウジング22は一体に形成されてもよく、即ちリミットスイッチが1つのハウジング2を用いてすべての内蔵部品を収容してもよい。
【0039】
また、前記実施形態において、回動軸3のレバーを装着するための一端はヘッド部ハウジング21から外に張り出しているが、これに限らず、回動軸の一端とハウジング外部とが連通され、レバーを装着することができさえすればよい。例えば、レバーに前記レバーと垂直なハウジング内に挿入可能な連結軸を設け、前記連結軸によりハウジング内に引き込んでいる回動軸の一端と固定連結してもよい。
【0040】
また、前記実施形態において、リミットスイッチの初期位置を調整するための割出凸条131が環状ギア部13の外周面上に形成され、割出凹溝151がレバー1の連結孔部15の内周面上に形成されているが、これに限らず、連結孔部15の内周面上に割出凸条を形成し、環状ギア部13の外周面上に割出凹溝を形成してもよい。
【0041】
また、前記実施形態において、位置規制腕部12を含む係止ボタン11またはレバー1、およびボス16を含むヘッド部ハウジング21はいずれも一体に成形されたダイキャスト部品であるが、必ずしもこれに限らず、位置規制腕部12とボス16との支持強度が作用する負荷に耐えうるように、溶接などの他の固定方式で各々のベースに固定してもよい。
【0042】
また、前記実施形態においては、ボールレバー型リミットスイッチを例としてレバー型リミットスイッチの位置規制構造を説明したが、必ずしもこれに限らず、当業者であれば、本発明を他の類型、例えば調節可能なボールレバー型、調節可能なレバー型のリミットスイッチに適用することを容易に想到でき、いずれも位置規制構造の強度を高めて、その損傷を容易に発見できるという効果を達成できる。また、本発明の位置規制構造を持つ調節可能なボールレバー型リミットスイッチとしては図13(a)に示す通りであり、本発明の位置規制構造を持つ調節可能なレバー型リミットスイッチとしては図13(b)に示す通りである。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上、レバー型リミットスイッチを例として本発明の具体的な実施形態を説明したが、レバー型リミットスイッチの他に、本発明は各種の外部動作力をスイッチ信号に変換し、内部のスイッチユニットに伝達してスイッチ動作を行うスイッチ装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0044】
100、101、102、200 レバー型リミットスイッチ
1、201 レバー
2、202 ハウジング
21 ヘッド部ハウジング
22 スイッチハウジング
3、203 回動軸
4、204 カム
5、205 伝動凸部
6、206 位置規制突部
9、207 ネジ
10、210 トップカバー
11 係止ボタン
12 位置規制腕部
13 環状ギア部
131 割出凸条
14 ボール
15 連結孔部
151 割出凹溝
16、8、209 ボス
17 スイッチ駆動プランジャー
18 復帰バネ
20、220 捩りバネ
208 受力ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチユニットを内蔵するハウジングと、
前記ハウジング内に軸心を中心として回動可能に支持され、一端に前記ハウジングの外部に位置する外部部品を装着でき、回動して前記スイッチユニットを駆動できる回動軸と、
ハウジングの外部に位置し、前記回動軸の前記一端に装着され、かつ、前記ハウジング外の外力の作用で前記回動軸の回動軸心を中心として揺動することで、前記回動軸を回動させることが可能なレバーと、
を含むスイッチ装置であって、
前記ハウジングの外部に設けられ、前記レバーと連動して前記回動軸の回動軸心を中心として回動可能な可動部と、
前記ハウジングの外部に固定され、前記可動部と当接すると、前記レバーの揺動が制限され、前記回動軸が回動を停止する位置規制受け部と、
をさらに有することを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記可動部は、それと一体に形成された環状部により前記回動軸の前記一端と前記レバーとに連結され、前記環状部が、その内周面にて前記回動軸に対して固定するように、前記回動軸の前記一端の外周面に装着され、前記レバーが、脱着可能に前記環状部の外周面に装着されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記レバーの基端部には連結孔部が形成されており、前記連結孔部の内周面と前記環状部の外周面の一方には、周方向に沿って等間隔に配列されかつ軸心方向に延びる形状が同様な複数の割出凸条が形成されており、前記連結孔部の内周面と前記環状部の外周面の他方には、前記複数の割出凸条に対応する割出凹溝が形成されており、前記レバーがその連結孔部により前記環状部に装着された場合に、前記複数の割出凹溝と前記複数の割出凸条とが一対一に係合することを特徴とする請求項2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記可動部は前記レバーと一体に形成されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記レバーが外力を受けない自由位置から前記スイッチユニットを動作させる動作位置まで回転された角度よりも、前記レバーが外力を受けない自由位置から前記可動部と前記位置規制受け部とが当接した規制位置まで回転された角度の方が大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記位置規制受け部は前記ハウジングと一体に形成されることを特徴とする請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
前記位置規制受け部及び前記可動部は金属材料から製造されることを特徴とする請求項6に記載のスイッチ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−45769(P2013−45769A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−181615(P2012−181615)
【出願日】平成24年8月20日(2012.8.20)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】