スイッチ装置
【課題】カバーのスイッチケースからの脱落を防ぐことができるスイッチ装置を提供すること。
【解決手段】開口部を有するスイッチケース3と、該スイッチケース3内に収容されたスイッチ機構と、前記スイッチケース3の開口部を覆うよう該スイッチケース3に装着された操作ノブ(カバー)8と、を備えたスイッチ装置において、前記スイッチケース3の側部に嵌入孔3jを形成し、前記操作ノブ8に、基端部を中心として屈曲可能な腕部8Cを一体に延設し、該腕部8Cの先端部に、前記スイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入可能な嵌入突起8bを突設する。
【解決手段】開口部を有するスイッチケース3と、該スイッチケース3内に収容されたスイッチ機構と、前記スイッチケース3の開口部を覆うよう該スイッチケース3に装着された操作ノブ(カバー)8と、を備えたスイッチ装置において、前記スイッチケース3の側部に嵌入孔3jを形成し、前記操作ノブ8に、基端部を中心として屈曲可能な腕部8Cを一体に延設し、該腕部8Cの先端部に、前記スイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入可能な嵌入突起8bを突設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアハンドル等に設けられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ドアのアウタパネルにはドアハンドルが取り付けられており、このドアハンドルを乗員が操作することによってドアラッチが動作し、乗員はドアを開くことができる。
【0003】
ところで、第三者によるドアの不正な開放操作を防ぐため、ドアラッチはその動作がロックされるよう構成されているが、ドアハンドルにはドアラッチをロック/アンロックするためのスイッチ装置が取り付けられている。
【0004】
而して、スイッチ装置は、ドアハンドルの取付孔に取り付けられる装置であって、ドアハンドルの内側に配設されるスイッチケースと、該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、スイッチケース内に配置された操作部材を含んで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、特許文献2には、スイッチケースへの防水カバーの装着に関して、スイッチケースの側部に凹部を形成し、防水カバーの取付時にドアパネルの開口部周縁に圧接される弾性変形可能な圧入リブを該防水カバーに形成し、該圧入リブをスイッチケースの前記凹部内に収容する構成が提案されている。これによれば、圧入リブの高さを高くすることができるため、該圧入リブの変形容量を大きくすることができ、これによってスイッチ装置のガタツキを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−104804号公報
【特許文献2】特開2008−047347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイッチ装置には、ゴム等の弾性体で構成されたカバー(操作ノブ)を別体のスイッチケースに装着するものがある。斯かるスイッチ装置におけるカバーの装着方法として圧入方式を採用する場合、カバーの圧入部の永久変形や組付性の悪化から圧入部の保持力には限界がある。このため、温度変化による内圧の上昇や横押しや引っ張り荷重によってカバーがスイッチケースから脱落する可能性がある。
【0008】
上記カバーの脱落の問題を解決するため、カバーの外周部をスイッチケースと車両側部品によって挟み込む構成が採用されることもあるが、このような構成の採用にはスペース等の車両側の組付要件の制限を受け、このような構成を必ずしも採用することができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、カバーのスイッチケースからの脱落を防ぐことができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
開口部を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、
前記スイッチケースの開口部を覆うよう該スイッチケースに装着されたカバーと、
を備えたスイッチ装置において、
前記スイッチケースの側部に嵌入孔を形成し、
前記カバーに、基端部を中心として屈曲可能な腕部を一体に延設し、該腕部の先端部に、前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入可能な嵌入突起を突設したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起を前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した状態からスイッチケースに係合によって組み付けられる被係合部材を設け、
該係合部材に、前記カバーの屈曲した腕部を外側から押さえる押さえ部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記スイッチケースの嵌入孔の近傍に係合爪を突設し、
前記被係合部材に、前記スイッチケースの係合爪が係合する係合孔を有する係合片を形成し、該係合片によって前記押さえ部を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、カバーのスイッチケースへの装着に際して腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起をスイッチケースの嵌入孔に嵌入させれば、カバーはスイッチケースをその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該カバーのスイッチケースからの脱落が確実に防がれる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、カバーをスイッチケースに被せ、該カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起をスイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した後、被係合部材をスイッチケースに係合させて組み付けると、カバーの屈曲した腕部が該被係合部材の押さえ部によって外側から押さえ込まれ、該腕部に突設された嵌入突起のスイッチケースの嵌入孔への嵌入が維持されるため、カバーのスイッチケースからの脱落が一層確実に防がれる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、被係合部材をスイッチケースに係合方式によって組み付ける際、該被係合部材の係合片がスイッチケースの係合爪に当接してその先端が開くため、カバーの腕部がスイッチケースから若干外れて浮いた状態となっていても、係合片が腕部に干渉することがなく、被係合部材をスイッチケースに作業性良く容易に取り付けることができる。そして、スイッチケースの係合爪がカバーの係合片に形成された係合孔に係合すると、押さえ部を構成する係合片が弾性によって元の状態に復元してカバーの腕部を外側から押さえ込むため、腕部を押さえ部によって押さえるための別作業が不要となり、被係合部材のスイッチケースへの取り付けと同時にカバーの腕部を押さえることができ、当該スイッチ装置の組付作業性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の平面図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の側面図である。
【図3】本発明に係るスイッチ装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図3のA−A線断面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの斜視図、(b)は同操作ノブを裏側から見た斜視図である。
【図9】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに圧入した状態を示す斜視図、(b)は(a)のC部拡大詳細図である。
【図10】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに装着した状態を示す斜視図、(b)は(a)のD部拡大詳細図、(c)は(b)のE−E線断面図である。
【図11】(a)は本発明に係るスイッチ装置におけるハーネスカバーのスイッチケースへの組付途中の状態を示す斜視図、(b)は(a)のF部拡大詳細図である。
【図12】(a)は本発明に係るスイッチ装置のハーネスカバーをスイッチケースに組み付けた状態を示す斜視図、(b)は(a)のG部拡大詳細図、(c)は(b)のH−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るスイッチ装置の平面図、図2は同スイッチ装置の側面図、図3は同スイッチ装置を斜め上方から見た斜視図、図4は同スイッチ装置を斜め下方から見た斜視図、図5は図3のA−A線断面図、図6は図3のB−B線断面図、図7は同スイッチ装置の分解斜視図である。
【0019】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、図1及び図2に示すように、ドアハンドル2の長手方向一端に形成された略矩形の取付孔2aに取り付けられている。
【0020】
而して、スイッチ装置1は、図3〜図7に示すように樹脂にて一体成形されたスイッチケース3を備えており、このスイッチケース3の中央部には角筒状部3A(図5〜図7参照)が一体に形成されており、この角筒状部3Aの周囲には水平なフランジ部3Bが形成されている。そして、角筒状部3Aの一端(図5〜図7の上端)には前記ドアハンドル2の取付孔2aに連通する略矩形の開口部3aが形成され、他端(図5及び図6の下端)には略矩形の導出口3bが開口している。
【0021】
又、図6及び図7に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの中間高さ位置には段状の肩部3cが形成されており、フランジ部3Bの外側面の相対向する2箇所には、角筒状部3Aの内部(導出口3b)に連通する矩形の係合孔3d(図7には一方のみ図示)が形成されている。そして、スイッチケース3のフランジ部3Bの係合孔3dの両側上方には図3、図4及び図7に示すように係合爪3e(図3、図4及び図7には一方のみ図示)がそれぞれ形成されている。
【0022】
更に、図5〜図7に示すように、スイッチケース3のフランジ部3Bには角筒状部3Aの外周に沿う装着溝3fが形成されており、フランジ部3Bの一端には不図示のボルトが挿通する円孔状のボルト挿通孔3g(図3、図5及び図7参照)が形成され、他端には二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5及び図7参照)が形成されている。そして、図5に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの一部からは角柱状の保持部3Cが図5の下方に向かって一体に延設されており、この保持部3Cには嵌合溝3iが形成されている。
【0023】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部には樹脂にて門型に一体成形されたターミナルベース4が配置されている。このターミナルベース4の相対向する2箇所には、図6及び図7に示すように係合爪4a(図7には一方のみ図示)が形成されており、ターミナルベース4は、2つの係合爪4aを図6に示すようにスイッチケース3に形成された2つの前記係合孔3dにそれぞれ係合させることによってスイッチケース3に固定されている。
【0024】
そして、ターミナルベース4には、図7に示すように金属製の2つの端子5が垂直に挿通しており、各端子5のターミナルベース4の上方に突出する上端部は、直角に折り曲げられてターミナルベース4の上面に重ねられることによって固定接点5aを構成している。
【0025】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部の前記ターミナルベース4の上方には、ラバーコンタクト6を介して操作部材であるスライダ7が上下動可能に収容されており、スイッチケース3の一部及びスライダ7はカバーとしての操作ノブ8によって覆われている。
【0026】
ここで、上記操作ノブ8は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、その矩形のベース部8Aの中央部には角ボタン状の操作部8Bが一体に立設されている。そして、この操作ノブ8のベース部8Aの開口端部(図5〜図7の下端部)の内外周面には圧入リブ8a(図5及び図6参照)が全周に亘って形成されている。そして、操作ノブ8は、図5及び図6に示すようにベース部8Aをスイッチケース3に形成された前記装着溝3fに嵌め込むことによって操作ノブ8のベース部8Aの開口端部の内外周面に形成された圧入リブ8aがスイッチケース3の装着溝3fに圧着され、操作ノブ8がスイッチケース3に固定される。
【0027】
前記ラバーコンタクト6は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、矩形プレート状のベース部6Aと円柱状の作動子6B及び両者を接続する変形可能な脚部6Cによって構成されており、作動子6Bの下面(固定接点5aに対向する面)には不図示の可動接点が設けられている。ここで、ラバーコンタクト6側に設けられた不図示の可動接点と、ターミナルベース4側に設けられた前記固定接点5aとはスイッチ機構を構成している。
【0028】
前記スライダ7は、スイッチケース3の角筒状部3Aの内周形状に沿う長円柱状に成形されており、操作ノブ8の操作部8Bを操作者が押圧操作することによって上下動する。具体的には、スライダ7は、スイッチケース3の開口部3aを介してドアハンドル2の取付孔2aから外部に突出する第1位置(図2〜図6参照)とラバーコンタクト6を押圧してこれに設けられた不図示の可動接点をターミナルベース4に設けられた固定接点5aに当接させて前記スイッチ機構を操作する第2位置に選択的に移動可能に構成されている。
【0029】
ところで、図5及び図6に示すように、ターミナルベース4に挿通固定された2つの端子5には導線であるハーネス9の一端がスポット溶接やハンダ付け等によってそれぞれ接続されており、これら2本のハーネス9は、結束バンド10によって結束されて保護チューブ9Aによって被覆されている。そして、保護チューブ9Aによって被覆された2本のハーネス9は、スイッチケース3の導出口3bから外部に導出し、その端部は車両に設けられた不図示のドアラッチのアクチュエータ作動を制御するコントローラに接続されている。
【0030】
ここで、結束バンド10は、図7に示すように、矩形ブロック状のヘッド部10Aとこのヘッド部10Aから延びて矩形枠状に折り曲げられたバンド部10Bとで構成されており、バンド部10Bの自由端はヘッド部10Aを貫通して該ヘッド部10Aに固定されている。
【0031】
而して、図5及び図6に示すように、2本のハーネス9は、結束バンド10のバンド部10Bによって形成される矩形枠内に通されることによって結束され、これら2本のハーネス9と結束バンド10は、スイッチケース3に取り付けられた被係合部材であるハーネスカバー11によって覆われて保護されている。ここで、結束バンド10は、図5に示すように、そのバンド部10Bをスイッチケース3の保持部3Cに形成された嵌合溝3i(図5参照)に嵌合させることによってスイッチケース3に取り付けられており、2本のハーネス9は、結束バンド10を介してスイッチケース3に保持されている。
【0032】
上記ハーネスカバー11は、樹脂によって図7に示すように略U字状に一体成形されており、その左右両端部には二股状の係合片11Aがそれぞれ形成されている。そして、各係合片11Aには矩形の係合孔11aがそれぞれ形成されており、ハーネスカバー11は、図3及び図4に示すように、各係合片11Aに形成された係合孔11aに、スイッチケース3に形成された計4つの各係合爪3eをそれぞれ係合させることによってスイッチケース3に取り付けられている。
【0033】
而して、保護チューブ9Aによって被覆された2本のハーネス9は、図3〜図6に示すようにハーネスカバー11を貫通してスイッチ装置1の外部に延びており、その端部は不図示のドアラッチに接続されている。従って、スイッチケース3内に配置されたスイッチ機構の一部を構成する固定接点5aは、ハーネス9を経て不図示のドアラッチのアクチュエータの作動を制御するコントローラに接続されている。
【0034】
以上のように構成されたスイッチ装置1は、スイッチケース3のフランジ部3Bの一端に形成された二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5参照)をドアハンドル2に形成された不図示の嵌合凹部に嵌め込み、フランジ部3Bの他端に形成されたボルト挿通孔3g(図5及び図7参照)に挿通する不図示のボルトを締め付けることによって図1及び図2に示すようにドアハンドル2の取付孔2aに取り付けられるが、スライダ7が図5及び図6に示す第1位置にあるときには、操作ノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から突出している。又、スイッチケース3の一部とハーネスカバー11は、図2に示すように、ドアハンドル2の裏面側に突出して不図示のドア内に収容されている。ここで、スイッチ装置1がドアハンドル2に取り付けられた状態では、図6に示すように、スイッチケース3に形成された肩部3cは、カバーである操作ノブ8をドアハンドル2との間で挟み込んで固定している。
【0035】
上述のように操作ノブ8の操作部8Bがドアハンドル2の意匠面から突出する第1位置にあるときには、図5及び図6に示すようにラバーコンタクト6には力が作用せず、ラバーコンタクト6の作動子6Bは図示のようにターミナルベース4から上方へと離間しているため、該作動子6Bの下面に設けられた不図示の可動接点はターミナルベース4の固定接点5aに接触しておらず、スイッチ機構はOFF状態にあって不図示のコントローラからアクチュエータ制御信号が出力されないため、不図示のドアラッチは非導通状態を維持し、例えばロック状態が維持されて乗員はドアを開くことができない。
【0036】
上記状態から操作者が操作ノブ8の操作部8Bを操作方向(図5及び図6の下方)に押圧すると、その押圧力によってスライダ7が第2位置へと移動する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bがスライダ7によって押されるため、該ラバーコンタクト6の脚部6Cが撓み変形して作動子6Bが図5及び図6の下方へと移動してターミナルベース4の上面に密着する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bに設けられた不図示の可動接点がターミナルベース4の固定接点5aに接触し、スイッチ機構がON状態となって、コントローラからアクチュエータ制御信号が出力され、ドアラッチのアクチュエータが導通状態となり、ドアラッチがロック状態からアンロック状態に切り替えられるためにドアの開放が可能となる。尚、操作者が操作ノブ8の操作部8Bから指を離すと、スライダ7は第2位置から図5及び図6に示す第1位置へと移動し、これに伴ってノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から外部に突出する。以下、同様に操作者が操作ノブ8の操作部8Bを押圧するごとにドアラッチのロックとアンロックが交互に切り替えられる。
【0037】
次に、本発明の要旨を図7〜図12に基づいて以下に説明する。
【0038】
図8(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの斜視図、図8(b)は同操作ノブを裏側から見た斜視図、図9(a)は同スイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに圧入した状態を示す斜視図、図9(b)は図9(a)のC部拡大詳細図、図10(a)は同スイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに装着した状態を示す斜視図、図10(b)は図10(a)のD部拡大詳細図、図10(c)は図10(b)のE−E線断面図、図11(a)は同スイッチ装置におけるハーネスカバーのスイッチケースへの組付途中の状態を示す斜視図、図11(b)は図11(a)のF部拡大詳細図、図12(a)は同スイッチ装置のハーネスカバーをスイッチケースに組み付けた状態を示す斜視図、図12(b)は図12(a)のG部拡大詳細図、図12(c)は図12(b)のH−H線断面図である。
【0039】
図8に示すように、前記操作ノブ8のベース部8Aの相対向する短辺側の側面であって、対角線上の2箇所には厚さの薄い腕部8Cが外方に向かってそれぞれ水平に一体に形成されている。これらの腕部8Cは、基端部を中心として屈曲可能であって、その先端部には円柱状の嵌入突起8bが面に対して直角に突設されている。
【0040】
他方、図7に示すように、前記スイッチケース3のフランジ部3Bの相対向する側部であって、操作ノブ8に形成された前記腕部8Cに対応する2箇所(図7には一方のみ図示)には円孔状の嵌入孔3jがそれぞれ形成されており、この嵌入孔3jの近傍に前記係合爪3eの一方が形成されている。
【0041】
而して、操作ノブ8は、前述のようにベース部8Aに形成された圧入リブ8aをスイッチケース3に形成された装着溝3fに上方から圧入することによってスイッチケース3に固定されるが(図5及び図6参照)、このように操作ノブ8が圧入によってスイッチケース3に固定された状態では、図9に示すように該操作ノブ8に形成された2つの腕部8C(図9には一方のみ図示)は外方に向かって水平に延びている。
【0042】
上記状態から図10に示すように操作ノブ8の2つの腕部8C(図10には一方のみ図示)をその基端部を中心として下方(図10(c)の矢印方向)に直角に折り曲げ、図10(c)に示すようにスイッチケース3に形成された各嵌入孔3jにそれぞれ嵌入させる。すると、操作ノブ8はスイッチケース3をその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該操作ノブ8の上方への抜けが防がれる。
【0043】
上述のように操作ノブ8がスイッチケース3に取り付けられると、ハーネスカバー11が図11(a)に示すようにスイッチケース3に下方から嵌め込まれて取り付けられるが、該ハーネスカバー11の取付途中において4つの係合片11Aがスイッチケース3に形成された4つの係合爪3eにそれぞれ当接すると、図11(b)に示すように各係合片11Aの先端部が外側(図示矢印方向)に開く。このため、操作ノブ8の腕部8Cがスイッチケース3から若干外れて浮いた状態となっていても、係合片11Aが腕部8Cに干渉することがなく、ハーネスカバー11の取付方向によらず、ハーネスカバー11のスイッチケース3に作業性良く容易に取り付けることができる。
【0044】
そして、スイッチケース3の各係合爪3eがハーネスカバー11の各係合片11Aにそれぞれ形成された係合孔11aに係合すると、各係合片11Aが弾性によって元の状態に復元し、そのうちの2つが図12に示すように(図12には1つのみ図示)操作ノブ8の腕部8Cを外側から押さえ込む。このため、ハーネスカバー11の2つの係合片11Aはスイッチケース3の腕部3Cを外側から押さえ込む押さえ部として構成されている。この結果、スイッチケース3の屈曲した腕部3Cを押さえ部によって押さえるための別作業が不要となり、ハーネスカバー11のスイッチケース3への取り付けと同時に操作ノブ8の腕部8Cを押さえることができ、当該スイッチ装置1の組付作業性が高められる。
【0045】
以上のように、本発明に係るスイッチ装置1によれば、操作ノブ8のスイッチケース3への装着に際して該操作ノブ8の腕部8Cを基端部を中心として直角に折り曲げてその先端部に突設された嵌入突起8bをスイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入させれば、操作ノブ8はスイッチケース3をその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該操作ノブ8のスイッチケース3からの脱落が確実に防がれる。
【0046】
そして、操作ノブ8をスイッチケース3に被せ、該操作ノブ8の腕部8Cを基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起8bをスイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入させて該操作ノブ8をスイッチケース3に装着した後、ハーネスカバー11をスイッチケース3に係合させて組み付けると、操作ノブ8の屈曲した腕部8Cが該ハーネスカバー11の係合片(押さえ部)11Aによって外側から押さえ込まれ、該腕部8Cに突設された嵌入突起8bのスイッチケース3の嵌入孔3jへの嵌入が維持されるため、操作ノブ8のスイッチケース3からの脱落が一層確実に防がれる。
【0047】
尚、以上は本発明を車両のドアハンドルに設けられるスイッチ装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、同様の形態を備える他の任意のスイッチ装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 スイッチ装置
2 ドアハンドル(被取付部材)
2a ドアハンドルの取付孔
3 スイッチケース
3A スイッチケースの角筒状部
3B スイッチケースのフランジ部
3C スイッチケースの保持部
3D スイッチケースの突出部
3a スイッチケースの開口部
3b スイッチケースの導出口
3c スイッチケースの肩部
3d スイッチケースの係合孔
3e スイッチケースの係合爪
3f スイッチケースの装着溝
3g スイッチケースのボルト挿通孔
3h スイッチケースの嵌合凸部
3i スイッチケースの嵌合溝
3j スイッチケースの嵌入孔
4 ターミナルベース
4a ターミナルベースの係合爪
5 端子
5a 端子の固定接点
6 ラバーコンタクト
6A ラバーコンタクトのベース部
6B ラバーコンタクトの作動子
6C ラバーコンタクトの脚部
7 スライダ(操作部材)
8 操作ノブ(カバー)
8A 操作ノブのベース部
8B 操作ノブの操作部
8C 操作ノブの腕部
8a 操作ノブの圧入リブ
8b 操作ノブの嵌入突起
9 ハーネス
9A 保護チューブ
10 結束バンド
10A 結束バンドのヘッド部
10B 結束バンドのバンド部
11 ハーネスカバー(被係合部材)
11A ハーネスカバーの係合片(押さえ部)
11a ハーネスカバーの係合孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアハンドル等に設けられるスイッチ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両用ドアのアウタパネルにはドアハンドルが取り付けられており、このドアハンドルを乗員が操作することによってドアラッチが動作し、乗員はドアを開くことができる。
【0003】
ところで、第三者によるドアの不正な開放操作を防ぐため、ドアラッチはその動作がロックされるよう構成されているが、ドアハンドルにはドアラッチをロック/アンロックするためのスイッチ装置が取り付けられている。
【0004】
而して、スイッチ装置は、ドアハンドルの取付孔に取り付けられる装置であって、ドアハンドルの内側に配設されるスイッチケースと、該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、スイッチケース内に配置された操作部材を含んで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
又、特許文献2には、スイッチケースへの防水カバーの装着に関して、スイッチケースの側部に凹部を形成し、防水カバーの取付時にドアパネルの開口部周縁に圧接される弾性変形可能な圧入リブを該防水カバーに形成し、該圧入リブをスイッチケースの前記凹部内に収容する構成が提案されている。これによれば、圧入リブの高さを高くすることができるため、該圧入リブの変形容量を大きくすることができ、これによってスイッチ装置のガタツキを抑えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−104804号公報
【特許文献2】特開2008−047347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スイッチ装置には、ゴム等の弾性体で構成されたカバー(操作ノブ)を別体のスイッチケースに装着するものがある。斯かるスイッチ装置におけるカバーの装着方法として圧入方式を採用する場合、カバーの圧入部の永久変形や組付性の悪化から圧入部の保持力には限界がある。このため、温度変化による内圧の上昇や横押しや引っ張り荷重によってカバーがスイッチケースから脱落する可能性がある。
【0008】
上記カバーの脱落の問題を解決するため、カバーの外周部をスイッチケースと車両側部品によって挟み込む構成が採用されることもあるが、このような構成の採用にはスペース等の車両側の組付要件の制限を受け、このような構成を必ずしも採用することができないという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、カバーのスイッチケースからの脱落を防ぐことができるスイッチ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、
開口部を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、
前記スイッチケースの開口部を覆うよう該スイッチケースに装着されたカバーと、
を備えたスイッチ装置において、
前記スイッチケースの側部に嵌入孔を形成し、
前記カバーに、基端部を中心として屈曲可能な腕部を一体に延設し、該腕部の先端部に、前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入可能な嵌入突起を突設したことを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起を前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した状態からスイッチケースに係合によって組み付けられる被係合部材を設け、
該係合部材に、前記カバーの屈曲した腕部を外側から押さえる押さえ部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記スイッチケースの嵌入孔の近傍に係合爪を突設し、
前記被係合部材に、前記スイッチケースの係合爪が係合する係合孔を有する係合片を形成し、該係合片によって前記押さえ部を構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、カバーのスイッチケースへの装着に際して腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起をスイッチケースの嵌入孔に嵌入させれば、カバーはスイッチケースをその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該カバーのスイッチケースからの脱落が確実に防がれる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、カバーをスイッチケースに被せ、該カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起をスイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した後、被係合部材をスイッチケースに係合させて組み付けると、カバーの屈曲した腕部が該被係合部材の押さえ部によって外側から押さえ込まれ、該腕部に突設された嵌入突起のスイッチケースの嵌入孔への嵌入が維持されるため、カバーのスイッチケースからの脱落が一層確実に防がれる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、被係合部材をスイッチケースに係合方式によって組み付ける際、該被係合部材の係合片がスイッチケースの係合爪に当接してその先端が開くため、カバーの腕部がスイッチケースから若干外れて浮いた状態となっていても、係合片が腕部に干渉することがなく、被係合部材をスイッチケースに作業性良く容易に取り付けることができる。そして、スイッチケースの係合爪がカバーの係合片に形成された係合孔に係合すると、押さえ部を構成する係合片が弾性によって元の状態に復元してカバーの腕部を外側から押さえ込むため、腕部を押さえ部によって押さえるための別作業が不要となり、被係合部材のスイッチケースへの取り付けと同時にカバーの腕部を押さえることができ、当該スイッチ装置の組付作業性が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係るスイッチ装置の平面図である。
【図2】本発明に係るスイッチ装置の側面図である。
【図3】本発明に係るスイッチ装置を斜め上方から見た斜視図である。
【図4】本発明に係るスイッチ装置を斜め下方から見た斜視図である。
【図5】図3のA−A線断面図である。
【図6】図3のB−B線断面図である。
【図7】本発明に係るスイッチ装置の分解斜視図である。
【図8】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの斜視図、(b)は同操作ノブを裏側から見た斜視図である。
【図9】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに圧入した状態を示す斜視図、(b)は(a)のC部拡大詳細図である。
【図10】(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに装着した状態を示す斜視図、(b)は(a)のD部拡大詳細図、(c)は(b)のE−E線断面図である。
【図11】(a)は本発明に係るスイッチ装置におけるハーネスカバーのスイッチケースへの組付途中の状態を示す斜視図、(b)は(a)のF部拡大詳細図である。
【図12】(a)は本発明に係るスイッチ装置のハーネスカバーをスイッチケースに組み付けた状態を示す斜視図、(b)は(a)のG部拡大詳細図、(c)は(b)のH−H線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係るスイッチ装置の平面図、図2は同スイッチ装置の側面図、図3は同スイッチ装置を斜め上方から見た斜視図、図4は同スイッチ装置を斜め下方から見た斜視図、図5は図3のA−A線断面図、図6は図3のB−B線断面図、図7は同スイッチ装置の分解斜視図である。
【0019】
本実施の形態に係るスイッチ装置1は、図1及び図2に示すように、ドアハンドル2の長手方向一端に形成された略矩形の取付孔2aに取り付けられている。
【0020】
而して、スイッチ装置1は、図3〜図7に示すように樹脂にて一体成形されたスイッチケース3を備えており、このスイッチケース3の中央部には角筒状部3A(図5〜図7参照)が一体に形成されており、この角筒状部3Aの周囲には水平なフランジ部3Bが形成されている。そして、角筒状部3Aの一端(図5〜図7の上端)には前記ドアハンドル2の取付孔2aに連通する略矩形の開口部3aが形成され、他端(図5及び図6の下端)には略矩形の導出口3bが開口している。
【0021】
又、図6及び図7に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの中間高さ位置には段状の肩部3cが形成されており、フランジ部3Bの外側面の相対向する2箇所には、角筒状部3Aの内部(導出口3b)に連通する矩形の係合孔3d(図7には一方のみ図示)が形成されている。そして、スイッチケース3のフランジ部3Bの係合孔3dの両側上方には図3、図4及び図7に示すように係合爪3e(図3、図4及び図7には一方のみ図示)がそれぞれ形成されている。
【0022】
更に、図5〜図7に示すように、スイッチケース3のフランジ部3Bには角筒状部3Aの外周に沿う装着溝3fが形成されており、フランジ部3Bの一端には不図示のボルトが挿通する円孔状のボルト挿通孔3g(図3、図5及び図7参照)が形成され、他端には二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5及び図7参照)が形成されている。そして、図5に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの一部からは角柱状の保持部3Cが図5の下方に向かって一体に延設されており、この保持部3Cには嵌合溝3iが形成されている。
【0023】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部には樹脂にて門型に一体成形されたターミナルベース4が配置されている。このターミナルベース4の相対向する2箇所には、図6及び図7に示すように係合爪4a(図7には一方のみ図示)が形成されており、ターミナルベース4は、2つの係合爪4aを図6に示すようにスイッチケース3に形成された2つの前記係合孔3dにそれぞれ係合させることによってスイッチケース3に固定されている。
【0024】
そして、ターミナルベース4には、図7に示すように金属製の2つの端子5が垂直に挿通しており、各端子5のターミナルベース4の上方に突出する上端部は、直角に折り曲げられてターミナルベース4の上面に重ねられることによって固定接点5aを構成している。
【0025】
又、図5及び図6に示すように、スイッチケース3の角筒状部3Aの内部の前記ターミナルベース4の上方には、ラバーコンタクト6を介して操作部材であるスライダ7が上下動可能に収容されており、スイッチケース3の一部及びスライダ7はカバーとしての操作ノブ8によって覆われている。
【0026】
ここで、上記操作ノブ8は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、その矩形のベース部8Aの中央部には角ボタン状の操作部8Bが一体に立設されている。そして、この操作ノブ8のベース部8Aの開口端部(図5〜図7の下端部)の内外周面には圧入リブ8a(図5及び図6参照)が全周に亘って形成されている。そして、操作ノブ8は、図5及び図6に示すようにベース部8Aをスイッチケース3に形成された前記装着溝3fに嵌め込むことによって操作ノブ8のベース部8Aの開口端部の内外周面に形成された圧入リブ8aがスイッチケース3の装着溝3fに圧着され、操作ノブ8がスイッチケース3に固定される。
【0027】
前記ラバーコンタクト6は、ゴム等の弾性体によって袋状に一体成形されており、図5〜図7に示すように、矩形プレート状のベース部6Aと円柱状の作動子6B及び両者を接続する変形可能な脚部6Cによって構成されており、作動子6Bの下面(固定接点5aに対向する面)には不図示の可動接点が設けられている。ここで、ラバーコンタクト6側に設けられた不図示の可動接点と、ターミナルベース4側に設けられた前記固定接点5aとはスイッチ機構を構成している。
【0028】
前記スライダ7は、スイッチケース3の角筒状部3Aの内周形状に沿う長円柱状に成形されており、操作ノブ8の操作部8Bを操作者が押圧操作することによって上下動する。具体的には、スライダ7は、スイッチケース3の開口部3aを介してドアハンドル2の取付孔2aから外部に突出する第1位置(図2〜図6参照)とラバーコンタクト6を押圧してこれに設けられた不図示の可動接点をターミナルベース4に設けられた固定接点5aに当接させて前記スイッチ機構を操作する第2位置に選択的に移動可能に構成されている。
【0029】
ところで、図5及び図6に示すように、ターミナルベース4に挿通固定された2つの端子5には導線であるハーネス9の一端がスポット溶接やハンダ付け等によってそれぞれ接続されており、これら2本のハーネス9は、結束バンド10によって結束されて保護チューブ9Aによって被覆されている。そして、保護チューブ9Aによって被覆された2本のハーネス9は、スイッチケース3の導出口3bから外部に導出し、その端部は車両に設けられた不図示のドアラッチのアクチュエータ作動を制御するコントローラに接続されている。
【0030】
ここで、結束バンド10は、図7に示すように、矩形ブロック状のヘッド部10Aとこのヘッド部10Aから延びて矩形枠状に折り曲げられたバンド部10Bとで構成されており、バンド部10Bの自由端はヘッド部10Aを貫通して該ヘッド部10Aに固定されている。
【0031】
而して、図5及び図6に示すように、2本のハーネス9は、結束バンド10のバンド部10Bによって形成される矩形枠内に通されることによって結束され、これら2本のハーネス9と結束バンド10は、スイッチケース3に取り付けられた被係合部材であるハーネスカバー11によって覆われて保護されている。ここで、結束バンド10は、図5に示すように、そのバンド部10Bをスイッチケース3の保持部3Cに形成された嵌合溝3i(図5参照)に嵌合させることによってスイッチケース3に取り付けられており、2本のハーネス9は、結束バンド10を介してスイッチケース3に保持されている。
【0032】
上記ハーネスカバー11は、樹脂によって図7に示すように略U字状に一体成形されており、その左右両端部には二股状の係合片11Aがそれぞれ形成されている。そして、各係合片11Aには矩形の係合孔11aがそれぞれ形成されており、ハーネスカバー11は、図3及び図4に示すように、各係合片11Aに形成された係合孔11aに、スイッチケース3に形成された計4つの各係合爪3eをそれぞれ係合させることによってスイッチケース3に取り付けられている。
【0033】
而して、保護チューブ9Aによって被覆された2本のハーネス9は、図3〜図6に示すようにハーネスカバー11を貫通してスイッチ装置1の外部に延びており、その端部は不図示のドアラッチに接続されている。従って、スイッチケース3内に配置されたスイッチ機構の一部を構成する固定接点5aは、ハーネス9を経て不図示のドアラッチのアクチュエータの作動を制御するコントローラに接続されている。
【0034】
以上のように構成されたスイッチ装置1は、スイッチケース3のフランジ部3Bの一端に形成された二股状の嵌合凸部3h(図3〜図5参照)をドアハンドル2に形成された不図示の嵌合凹部に嵌め込み、フランジ部3Bの他端に形成されたボルト挿通孔3g(図5及び図7参照)に挿通する不図示のボルトを締め付けることによって図1及び図2に示すようにドアハンドル2の取付孔2aに取り付けられるが、スライダ7が図5及び図6に示す第1位置にあるときには、操作ノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から突出している。又、スイッチケース3の一部とハーネスカバー11は、図2に示すように、ドアハンドル2の裏面側に突出して不図示のドア内に収容されている。ここで、スイッチ装置1がドアハンドル2に取り付けられた状態では、図6に示すように、スイッチケース3に形成された肩部3cは、カバーである操作ノブ8をドアハンドル2との間で挟み込んで固定している。
【0035】
上述のように操作ノブ8の操作部8Bがドアハンドル2の意匠面から突出する第1位置にあるときには、図5及び図6に示すようにラバーコンタクト6には力が作用せず、ラバーコンタクト6の作動子6Bは図示のようにターミナルベース4から上方へと離間しているため、該作動子6Bの下面に設けられた不図示の可動接点はターミナルベース4の固定接点5aに接触しておらず、スイッチ機構はOFF状態にあって不図示のコントローラからアクチュエータ制御信号が出力されないため、不図示のドアラッチは非導通状態を維持し、例えばロック状態が維持されて乗員はドアを開くことができない。
【0036】
上記状態から操作者が操作ノブ8の操作部8Bを操作方向(図5及び図6の下方)に押圧すると、その押圧力によってスライダ7が第2位置へと移動する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bがスライダ7によって押されるため、該ラバーコンタクト6の脚部6Cが撓み変形して作動子6Bが図5及び図6の下方へと移動してターミナルベース4の上面に密着する。すると、ラバーコンタクト6の作動子6Bに設けられた不図示の可動接点がターミナルベース4の固定接点5aに接触し、スイッチ機構がON状態となって、コントローラからアクチュエータ制御信号が出力され、ドアラッチのアクチュエータが導通状態となり、ドアラッチがロック状態からアンロック状態に切り替えられるためにドアの開放が可能となる。尚、操作者が操作ノブ8の操作部8Bから指を離すと、スライダ7は第2位置から図5及び図6に示す第1位置へと移動し、これに伴ってノブ8の操作部8Bは図2及び図6に示すようにドアハンドル2の意匠面から外部に突出する。以下、同様に操作者が操作ノブ8の操作部8Bを押圧するごとにドアラッチのロックとアンロックが交互に切り替えられる。
【0037】
次に、本発明の要旨を図7〜図12に基づいて以下に説明する。
【0038】
図8(a)は本発明に係るスイッチ装置の操作ノブの斜視図、図8(b)は同操作ノブを裏側から見た斜視図、図9(a)は同スイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに圧入した状態を示す斜視図、図9(b)は図9(a)のC部拡大詳細図、図10(a)は同スイッチ装置の操作ノブをスイッチケースに装着した状態を示す斜視図、図10(b)は図10(a)のD部拡大詳細図、図10(c)は図10(b)のE−E線断面図、図11(a)は同スイッチ装置におけるハーネスカバーのスイッチケースへの組付途中の状態を示す斜視図、図11(b)は図11(a)のF部拡大詳細図、図12(a)は同スイッチ装置のハーネスカバーをスイッチケースに組み付けた状態を示す斜視図、図12(b)は図12(a)のG部拡大詳細図、図12(c)は図12(b)のH−H線断面図である。
【0039】
図8に示すように、前記操作ノブ8のベース部8Aの相対向する短辺側の側面であって、対角線上の2箇所には厚さの薄い腕部8Cが外方に向かってそれぞれ水平に一体に形成されている。これらの腕部8Cは、基端部を中心として屈曲可能であって、その先端部には円柱状の嵌入突起8bが面に対して直角に突設されている。
【0040】
他方、図7に示すように、前記スイッチケース3のフランジ部3Bの相対向する側部であって、操作ノブ8に形成された前記腕部8Cに対応する2箇所(図7には一方のみ図示)には円孔状の嵌入孔3jがそれぞれ形成されており、この嵌入孔3jの近傍に前記係合爪3eの一方が形成されている。
【0041】
而して、操作ノブ8は、前述のようにベース部8Aに形成された圧入リブ8aをスイッチケース3に形成された装着溝3fに上方から圧入することによってスイッチケース3に固定されるが(図5及び図6参照)、このように操作ノブ8が圧入によってスイッチケース3に固定された状態では、図9に示すように該操作ノブ8に形成された2つの腕部8C(図9には一方のみ図示)は外方に向かって水平に延びている。
【0042】
上記状態から図10に示すように操作ノブ8の2つの腕部8C(図10には一方のみ図示)をその基端部を中心として下方(図10(c)の矢印方向)に直角に折り曲げ、図10(c)に示すようにスイッチケース3に形成された各嵌入孔3jにそれぞれ嵌入させる。すると、操作ノブ8はスイッチケース3をその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該操作ノブ8の上方への抜けが防がれる。
【0043】
上述のように操作ノブ8がスイッチケース3に取り付けられると、ハーネスカバー11が図11(a)に示すようにスイッチケース3に下方から嵌め込まれて取り付けられるが、該ハーネスカバー11の取付途中において4つの係合片11Aがスイッチケース3に形成された4つの係合爪3eにそれぞれ当接すると、図11(b)に示すように各係合片11Aの先端部が外側(図示矢印方向)に開く。このため、操作ノブ8の腕部8Cがスイッチケース3から若干外れて浮いた状態となっていても、係合片11Aが腕部8Cに干渉することがなく、ハーネスカバー11の取付方向によらず、ハーネスカバー11のスイッチケース3に作業性良く容易に取り付けることができる。
【0044】
そして、スイッチケース3の各係合爪3eがハーネスカバー11の各係合片11Aにそれぞれ形成された係合孔11aに係合すると、各係合片11Aが弾性によって元の状態に復元し、そのうちの2つが図12に示すように(図12には1つのみ図示)操作ノブ8の腕部8Cを外側から押さえ込む。このため、ハーネスカバー11の2つの係合片11Aはスイッチケース3の腕部3Cを外側から押さえ込む押さえ部として構成されている。この結果、スイッチケース3の屈曲した腕部3Cを押さえ部によって押さえるための別作業が不要となり、ハーネスカバー11のスイッチケース3への取り付けと同時に操作ノブ8の腕部8Cを押さえることができ、当該スイッチ装置1の組付作業性が高められる。
【0045】
以上のように、本発明に係るスイッチ装置1によれば、操作ノブ8のスイッチケース3への装着に際して該操作ノブ8の腕部8Cを基端部を中心として直角に折り曲げてその先端部に突設された嵌入突起8bをスイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入させれば、操作ノブ8はスイッチケース3をその両側部から挟み込む形(コの字型)となるため、該操作ノブ8のスイッチケース3からの脱落が確実に防がれる。
【0046】
そして、操作ノブ8をスイッチケース3に被せ、該操作ノブ8の腕部8Cを基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起8bをスイッチケース3の嵌入孔3jに嵌入させて該操作ノブ8をスイッチケース3に装着した後、ハーネスカバー11をスイッチケース3に係合させて組み付けると、操作ノブ8の屈曲した腕部8Cが該ハーネスカバー11の係合片(押さえ部)11Aによって外側から押さえ込まれ、該腕部8Cに突設された嵌入突起8bのスイッチケース3の嵌入孔3jへの嵌入が維持されるため、操作ノブ8のスイッチケース3からの脱落が一層確実に防がれる。
【0047】
尚、以上は本発明を車両のドアハンドルに設けられるスイッチ装置に対して適用した形態について説明したが、本発明は、同様の形態を備える他の任意のスイッチ装置に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0048】
1 スイッチ装置
2 ドアハンドル(被取付部材)
2a ドアハンドルの取付孔
3 スイッチケース
3A スイッチケースの角筒状部
3B スイッチケースのフランジ部
3C スイッチケースの保持部
3D スイッチケースの突出部
3a スイッチケースの開口部
3b スイッチケースの導出口
3c スイッチケースの肩部
3d スイッチケースの係合孔
3e スイッチケースの係合爪
3f スイッチケースの装着溝
3g スイッチケースのボルト挿通孔
3h スイッチケースの嵌合凸部
3i スイッチケースの嵌合溝
3j スイッチケースの嵌入孔
4 ターミナルベース
4a ターミナルベースの係合爪
5 端子
5a 端子の固定接点
6 ラバーコンタクト
6A ラバーコンタクトのベース部
6B ラバーコンタクトの作動子
6C ラバーコンタクトの脚部
7 スライダ(操作部材)
8 操作ノブ(カバー)
8A 操作ノブのベース部
8B 操作ノブの操作部
8C 操作ノブの腕部
8a 操作ノブの圧入リブ
8b 操作ノブの嵌入突起
9 ハーネス
9A 保護チューブ
10 結束バンド
10A 結束バンドのヘッド部
10B 結束バンドのバンド部
11 ハーネスカバー(被係合部材)
11A ハーネスカバーの係合片(押さえ部)
11a ハーネスカバーの係合孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、
前記スイッチケースの開口部を覆うよう該スイッチケースに装着されたカバーと、
を備えたスイッチ装置において、
前記スイッチケースの側部に嵌入孔を形成し、
前記カバーに、基端部を中心として屈曲可能な腕部を一体に延設し、該腕部の先端部に、前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入可能な嵌入突起を突設したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起を前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した状態からスイッチケースに係合によって組み付けられる被係合部材を設け、
該係合部材に、前記カバーの屈曲した腕部を外側から押さえる押さえ部を形成したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチケースの嵌入孔の近傍に係合爪を突設し、
前記被係合部材に、前記スイッチケースの係合爪が係合する係合孔を有する係合片を形成し、該係合片によって前記押さえ部を構成したことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【請求項1】
開口部を有するスイッチケースと、
該スイッチケース内に収容されたスイッチ機構と、
前記スイッチケースの開口部を覆うよう該スイッチケースに装着されたカバーと、
を備えたスイッチ装置において、
前記スイッチケースの側部に嵌入孔を形成し、
前記カバーに、基端部を中心として屈曲可能な腕部を一体に延設し、該腕部の先端部に、前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入可能な嵌入突起を突設したことを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記カバーの腕部を基端部を中心として屈曲させてその先端部の嵌入突起を前記スイッチケースの嵌入孔に嵌入させて該カバーをスイッチケースに装着した状態からスイッチケースに係合によって組み付けられる被係合部材を設け、
該係合部材に、前記カバーの屈曲した腕部を外側から押さえる押さえ部を形成したことを特徴とする請求項1記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記スイッチケースの嵌入孔の近傍に係合爪を突設し、
前記被係合部材に、前記スイッチケースの係合爪が係合する係合孔を有する係合片を形成し、該係合片によって前記押さえ部を構成したことを特徴とする請求項2記載のスイッチ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−97953(P2013−97953A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238480(P2011−238480)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000138462)株式会社ユーシン (241)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]