スイッチ
【課題】外部に赤外線が漏洩しない光触媒殺菌効果を有するスイッチを提供する。
【解決手段】基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構20と、スイッチ機構20上に配置され、光導波路31を有する可撓性のカバーシート30と、紫外線を含む光42を発光する発光部40と、を備え、カバーシート20の少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層35であり、前記光42が前記光導波路31に入射されるスイッチ。スイッチ機構20が押下されたとき、カバーシート30が下方に凸に撓んで窪み30aを形成し、窪み30aの形成により湾曲した光導波路31から漏洩する光41が触媒層35照射して殺菌効果を生ずる。
【解決手段】基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構20と、スイッチ機構20上に配置され、光導波路31を有する可撓性のカバーシート30と、紫外線を含む光42を発光する発光部40と、を備え、カバーシート20の少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層35であり、前記光42が前記光導波路31に入射されるスイッチ。スイッチ機構20が押下されたとき、カバーシート30が下方に凸に撓んで窪み30aを形成し、窪み30aの形成により湾曲した光導波路31から漏洩する光41が触媒層35照射して殺菌効果を生ずる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人が指で押下するスイッチ、例えば医療機関あるいは介護施設に設置された機器を操作するためのスイッチは、指が接触した部分を消毒ないし殺菌して病原菌の感染拡大を予防することが望ましい。
【0003】
従来、かかるスイッチには、例えば銀等の抗菌剤を混練した樹脂を表面に被覆したスイッチが用いられていた。しかし、抗菌剤は、菌の増殖を抑制するものの、殺菌効果はなく、また菌が生成した毒素を分解することもない。
【0004】
光触媒、とくに紫外線により励起される紫外線型光触媒は、殺菌効果も高く、加えて毒素分解作用を有することから、スイッチの消毒、殺菌用材料として注目されている。例えば、紫外線型光触媒を指が接触するスイッチ上面に配置し、スイッチが押下された後に外部から紫外線を照射するスイッチの殺菌システムが知られている。また、応力発光体または蓄光部材を混練した部材上に紫外線型光触媒を配置し、これらの部材から発生する紫外線を紫外線型光触媒に照射して、殺菌するスイッチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−318127号公報
【特許文献2】特開2007−303852号公報
【特許文献3】特開2000−068345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の抗菌剤を用いるスイッチは、殺菌作用および毒素分解作用が弱く、有効な感染拡大予防効果を期待することができない。
【0007】
また、スイッチの押下後に、外部から紫外線をスイッチ上面に設けられた紫外線型光触媒に照射して殺菌および毒素分解をする従来のスイッチの殺菌システムでは、紫外線が外部に漏洩して人体に悪影響を及ぼすおそれがある。さらに、スイッチを押下する指が紫外線を遮蔽するから、押下中はスイッチ上面に紫外線を照射することができない。このため、押下後に紫外線を一定期間照射して殺菌するまでの間、別人による押下を避けなければならない。このため、スイッチの連続操作に支障をきたす。
【0008】
紫外線を応力発光体または蓄光部材により発生する従来のスイッチでは、容易に連続操作を行うことができる。しかし、これらの発光体及び蓄光部材は、紫外線の発光強度が弱く、十分な殺菌、毒素分解作用を得難いと言う問題がある。また、応力発光体または蓄光部材の広い領域が発光するため、紫外線が外部へ漏洩し、人体へ悪影響を及ぼすおそれもある。
【0009】
本発明は、外部への紫外線の漏洩が少ない光触媒殺菌効果を有するスイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、第一の観点によれば、基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構と、前記スイッチ機構上に配置され、光導波路を有する可撓性のカバーシートと、紫外線を含む光を発光する発光部と、を備え、前記カバーシートの少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層であり、前記光が前記光導波路に入射されることを特徴とするスイッチとして提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紫外線は、押下により形成されたカバーシートの窪みから漏洩してカバーシート上面に設けられた光触媒を照射する一方、漏洩した紫外線は押下した物体、例えば指先により遮蔽されるので、外部への紫外線の漏洩が少ない光触媒殺菌効果を有するスイッチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のスイッチ断面図
【図2】本発明の第1実施形態のスイッチ平面図
【図3】本発明の第1実施形態のスイッチ組立図
【図4】本発明の第1実施形態の紫外線ビーム発生装置の構成図
【図5】本発明の第1実施形態の紫外線漏洩の説明図
【図6】本発明の第1実施形態の紫外線漏洩量の説明図
【図7】本発明の第2実施形態のスイッチ断面図
【図8】本発明の第3実施形態のスイッチ平面図
【図9】本発明の第3実施形態のスイッチ断面図
【図10】本発明の第4実施形態のスイッチ平面図
【図11】本発明の第4実施形態のスイッチ断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態は、スラブ型光導波路を構成するカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するシートスイッチに関する。
【0014】
図1は本発明の第1実施形態のスイッチ断面図であり、スイッチ1の主要な構造を表している。なお、図1(a)はスイッチ1を押下する前の状態を、図1(b)は押下した状態を表している。図2は本発明の第1実施形態のスイッチ平面図であり、スイッチ機構20の平面配置とスラブ型光導波路31内に入射された紫外線42の進路とを表している。図3は本発明の第1実施形態のスイッチ組立図であり、スイッチ1を構成する主要部材の積層構造を表している。また、図2及び図3は、紫外線42の発光源40及びコリメータ50を省略して描いている。
【0015】
図1、図2および図3を参照して、本発明の第1実施形態のスイッチ1は、基台10上に配置されたスイッチ機構20と、基台10上にスペーサ23を介して設けられた、スイッチ機構20上を被覆するカバーシート30とを備える。
【0016】
基台10は剛性を有する絶縁性の部材からなり、例えばシート状の形状を有する。そして、基台10上面に、例えば短辺が20mm、長辺が30mmの矩形の平板状の下部電極22が行列状に、例えば縦横各4行4列の行列状に形成されている。この下部電極22は、それぞれ基台上面に形成された外部引き出し用の配線(図示せず)に接続されている。
【0017】
スペーサ23は、下部電極22の全部又は一部を表出する開口23aを有する井桁状の枠体からなり、基台10上面とカバーシート30下面との間隔を所定距離に、例えば2mmの間隔に保持する。このスペーサ23は、例えば絶縁性の樹脂シートを材料として打ち抜き加工により作製することができる。また、基台10の一部として、例えばエンボス加工あるいは金型を用いた成形加工により、基台10上面に形成された突起として作製してもよい。なお、スペーサ23は、基台10上面とカバーシート30下面との隙間を所定間隔に保持することができればよく、スペーサ23の形状はとくに制限されない。
【0018】
カバーシート30は、シート状の例えば厚さ400μmのコア層32の上下を、それぞれ例えば厚さ50μmの上部クラッド層33及び下部クラッド層34で挟んだ3層構造を有し、下部クラッド層34、コア層32及び上部クラッド層33からなる紫外線42を伝播するスラブ型光導波路31を構成する。
【0019】
スラブ型光導波路31を構成するこれらコア層32、上部クラッド層33及び下部クラッド層34は、スラブ型光導波路31内で紫外線強度が減衰しないように紫外線吸収率が小さな材料により作製されることが望ましい。また、紫外線照射による材質劣化が小さな材料であることが好ましい。さらに、後述するように可撓性を備える。かかる小さな紫外線吸収率、紫外線耐性および適度な可撓性を備える材料として、シリコーン樹脂があり、とくにシリコーンゴムが適している。本第1実施形態では、コア層32、上部クラッド層33および下部クラッド層34をシリコーンゴムで作製した。
【0020】
カバーシート30の下面には、下部電極22に重畳する位置に可撓性を有する上部電極21が形成されている。この上部電極21には、カバーシート30の下面に形成された外部引き出し用の配線(図示せず)が接続され、この引き出し用配線を介して外部との電気的接続がなされる。これらの上部電極21と下部電極22とは、スペーサ23により上下に隔てられ、互いに電極面(上部電極21の下面と下部電極22の上面)を対向させて配置される。この上部電極21、下部電極22、及びスペーサ23は、スイッチ機構20を構成する。
【0021】
即ち、図1(b)を参照して、カバーシート30の上面を指60で押下すると、可撓性を有するカバーシート30は押下された部分が下方に凸に窪むように変形する。同時に、カバーシート30の下面に形成された上部電極21も下方に凸に変形し、凸に変形した上部電極21の先端(下端)が基台10上に形成された下部電極22の上面に押し付けられて、上部電極21と下部電極22とが接触し電気的に接続される。その後、指60を上方に後退させカバーシート30から離すと、カバーシート30は、図1(a)に図示するように、再び押下前の平面状に回復し、上部電極21と下部電極は離間され電気的に切断される。
【0022】
このように、カバーシート30及び上部電極21は、指先で押下されたとき指先が接する部分が窪むように、可撓性を有する材料を用いて作製される。また、押下の圧力を除去したとき、押下前の形状に復元するだけの弾性を備えている。シリコーン樹脂とくにシリコーンゴムを基材とするカバーシート30は、かかる可撓性及び復元力を有する。なお、復元力を有しないカバーシート30を用いて、復元力をスイッチ機構20に持たせることもできる。例えば、上部電極21を金属板等の弾性を有する材料で作製する、あるいは、スイッチ機構20にバネ等の復元力を付勢する部品を組み込むことで、復元力を付加することができる。
【0023】
カバーシート30の最上層を構成する上部クラッド層33は、紫外線により励起される紫外線型光触媒、例えは酸化チタンが混練されており、紫外線型光触媒を含む触媒層35を構成している。例えば、上部クラッド層33の材料として、酸化チタンが混練されたシリコーンゴムが用いられる。従って、上部クラッド層33の表面に付着した菌及び毒素は,紫外線の照射の下で励起された紫外線型光触媒の作用により容易に殺菌及び分解される。紫外線の照射の方法については後述する。なお、上部クラッド層33の上面表層にのみ紫外線型光触媒を含ませて触媒層35としても、また、後述する第2実施形態のように、上部クラッド層33の上面に紫外線型光触媒を含む層を触媒層35として形成してもよい。
【0024】
カバーシート30の左右両端部分31aの下部クラッド層34に、紫外線42を導入するための開口34aが開設されている。この下部クラッド層34に設けられた開口34aは、カバーシート30の左右両端に沿って伸長する長方形の開口からなり、開口34a底面(図1の開口34aの上面)にコア層32を表出する。
【0025】
さらに、開口34aの開口面(図1の開口34aの下面)にコア層32よりも大きな屈折率を有する接着剤52を介してプリズム51が貼着される。紫外線42は、カバーシート30の外側斜め下方からこのプリズム51の斜面に入射され、接着層52を介してコア層32に入射される。
【0026】
図4は本発明の第1実施形態の紫外線ビーム発生装置の構成図であり、図4(a)及び図4(b)はそれぞれ紫外線ビーム発生装置45の平面図及び側面図を表している。
【0027】
図4を参照して、紫外線ビーム発生装置45は、発光源40と、ロットレンズ50a及びコリメートレンズ50bからなるコリメータ50とを備える。発光源40は、波長350nm〜400nmの紫外線を含む光(以下、「紫外線42」という。)を発生する装置であり、例えば光出力26mW、波長375nmの紫外線を発生するUV−LED(例えば、ナイトライドセミコンダクター社の商品名NS375L−ERLM)が用いられる。
【0028】
コリメータ50は、発光源40が放射する紫外線を薄い帯状の平行ビーム(紫外線42)に成形する光学系である。かかる光学系として、例えば、上下に錐状に放射される紫外線を水平面に平行なビームに変換するロットレンズ50aと、水平面内に拡がる紫外線を垂直面に平行なビームに変換するコリメートレンズ50b(例えば円筒平凸レンズ)とにより構成することができる。もちろん、他のコリメート光学系、例えば非球面レンズを用いた光学系を用いても良い。
【0029】
再び図1を参照して、帯状の平行ビームにコリメートされた紫外線42は、カバーシート30の斜め下方からプリズム51の斜面を通してカバーシート30のコア層32に入射される。図2を参照して、カバーシート30の端部31aからコア層32に入射された紫外線42は、入射端に対向する端部31aへ向けてコア層32内を進行する。
【0030】
この紫外線42は、図2を参照して、平面視したとき、帯状の紫外線42ビームの中に、カバーシート30の押下される領域、例えばスイッチの表示がされている上部電極21が含まれるように配置することが好ましい。これにより、押下した部分に紫外線42が照射されず、殺菌されないという事態を回避することができる。
【0031】
紫外線ビーム発生装置45は、行列状に配置された上部電極21の各行ごとに設置した。これにより、殺菌に十分な強度を有する紫外線42をコア層32内に伝播させることができる。この場合、隣接する紫外線42の側端(図2中の上下の端)を重畳させることで、カバーシート30全面に渡り紫外線42を伝播させることができる。もちろん、発光強度の大きな紫外線ビーム発生装置45を用いて、1個のビーム状の紫外線42がカバーシート30全面を伝播するようにしてもよい。
【0032】
次に、上述したスイッチ1の殺菌作用について説明する。
【0033】
図1(a)を参照して、カバーシート30が押下されていない平坦な状態では、光導波路31も平板状をなしている。従って、紫外線42はコア層32内を伝播し、上部クラッド層33中には漏洩しない。次いで、カバーシート30が押下されると、図1(b)を参照して、カバーシート30の押下された部分が撓み、窪み30aが形成される。その結果、コア層32中を伝播する紫外線42が上部クラッド層33中に漏洩する。上部クラッド層33中に漏洩した紫外線(漏洩光41)は、上部クラッド層33に混練された紫外線型光触媒を励起し、上部クラッド層33上面に付着した菌および毒素を殺菌および分解する。
【0034】
この紫外線42の漏洩は、以下に詳述するように、上部クラッド層33に形成された窪み30aの部分でのみ発生する。この窪み30aは押下する指60で塞がれている。このため、窪み30aから漏洩した紫外線(漏洩光41)は、指60により遮られ、外部へ放射されない。従って、紫外線の漏洩による人体への悪影響を回避することができる。
【0035】
以下、コア層32を伝播する紫外線42の漏洩について詳細に説明する。
【0036】
図5は本発明の第1実施形態の紫外線漏洩の説明図であり、図5(a)は押下前のスラブ型光導波路31(カバーシート30)の断面を、図5(b)は押下後のスラブ型光導波路31の断面を、図5(c)は図5(b)の一部を拡大した断面を表している。また、図5(d)は、図5(b)中の窪み30aの表面を直円錐面で近似した断面を表している。
【0037】
図5(a)を参照して、カバーシート30が押下される前はカバーシート30に形成されたスラブ型光導波路31は平坦であり、スラブ型光導波路31に入射された紫外線42はコア層32内を伝播する。図5(b)を参照して、カバーシート30が例えば指60で押下されスラブ型光導波路31の一部に窪み30aが形成されると、スラブ型光導波路31は窪み30aの形成部分が曲率半径Rで湾曲する。
【0038】
図5(c)を参照して、紫外線42は、平坦部分では、コア層32内を上部クラッド層33および下部クラッド層34との界面で全反射しながらコア層32内を伝播する。しかし窪み30aが形成されて湾曲した部分では、コア層32と上部クラッド層33との界面への入射角度が大きくなるためコア層32内を伝播する紫外線42の一部が上部クラッド層33中に漏洩する。
【0039】
この漏洩する紫外線42、即ち漏洩光41の光量は、コア層の厚さa、曲率半径Rのスラブ型光導波路31の伝播損失αとして、
α=〔{u2 ×ω×exp(2ω)×√(2Δ)}/
/{ν3 ×((1+ω)/ω)×(a/2)}〕×
×exp{(−4ω3 )/(3ν2 )×(RΔ)/(a/2)}・・(1)
と表される(例えば、左貝潤一著、導波光学、共立出版(2004)参照。)。さらに、式1は
α=(u2 /ν3 )×(ω2 /(1+ω))×(2/a)×(2√Δ)×
×exp(2ω)×
×exp{(−4/3)×(ω3 /ν2 )×(RΔ/(a/2)}・・・(1’)
と変形される。ここでνは規格化周波数、Δは比屈折率差であり、それぞれ、
ν=(k0 a/2)×√(n12−n22)・・・(2)
Δ=(n12−n22)/(2n12)・・・(3)
と表される。なお、n1 、n2 は、それぞれコア層32および上下部クラッド層33、34の屈折率、k0 は真空中の紫外線42の波数である。また、ωおよびuは、
ω=√{(n1 k0 )2 −(n2 k0 )2 }×(a/2)・・・(4)
u=√(ν2 −ω2 )・・・(5)
である。
【0040】
本第1実施形態のスラブ型光導波路31では、コア層32の屈折率n1 を1.42、上部および下部クラッド層33、34の屈折率n2 を1.41に調整した。かかる屈折率n1 、n2 の調整は、コア層32および上下部クラッド層33、34のシリコーンゴムの組成成分比率を制御することで容易になすことができる。
【0041】
この屈折率n1 、n2 を式3に代入して、
Δ=0.00704
を得る。また、k0 =π/λ0 (λ0 は真空中の紫外線42の波長375nm)であるから、波数k0 、屈折率n1 、n2 およびコア層32の厚さa=400×10-6mを式2および式4に代入して、
ν=282.27
ω=281.68
を得る。さらに、式5に算出された上記のνおよびωの値を代入して、
u=18.24
を得る。
【0042】
これらΔ、ν、ω、uおよびaの値を式1’の各項に代入すると、
u2 /ν3 =1.472
ω2 /(1+ω)=280.684
じあるから、
(u2 /ν3 )×(ω2 /(1+ω))×(2/a)×(2√Δ)=2.4638
2ω=563.336
および、
(−4/3)×(ω3 /ν2 )×(RΔ/(a/2))=−13164.94×R
を得る。
【0043】
従って、式1’は、
α=2.4638×exp(563.336−131.6494×R)...(6)
と表される。この式6の損失αの単位はdB/kmである。また式6では、曲率半径Rの単位をmからcmに変換している。
【0044】
図5(b)を参照して、指60で押下されて生ずるカバーシート30(即ちスラブ型光導波路31)の窪み30aは、指60の幅よりやや大きく、例えば窪み30aの半径rは6mm程度である。この6mmの距離の間に生ずる伝送損失αを、曲率半径Rが4.1cm〜4.2cmの範囲について式6から算出した。その結果を図6に示した。なお、コア層32中を26mWの紫外線42が伝播しているとした。
【0045】
図6は本発明の第1実施形態の紫外線漏洩量の説明図であり、スラブ型光導波路31の曲率半径と漏洩光量との関係を表している。漏洩光量は、コア層32中を伝播する26mWの紫外線が6mmの距離を進行する間の伝送損失αに相当する光量として算出した。
【0046】
図6を参照して、スラブ導波路31の曲率半径Rが4.18cmより小さくなると、漏洩光量は急に増加し始める。曲率半径Rが4.16cm付近では、漏洩光量はさらに急激に増加し、曲率半径Rが4.163で漏洩光量は6.50mw、曲率半径Rが4.162で漏洩光量は8.21mw、曲率半径Rが4.161で漏洩光量は11.78mw、そして曲率半径Rが4.160では漏洩光量は23.13mwに達する。
【0047】
曲率半径Rが4.16cm近傍における漏洩光量のこの激増は、式1’または式6にみるように、伝送損失αが曲率半径Rの指数関数であることに由来する。即ち、式1’の指数部が正のとき、即ち、
2ω+(−4/3)×ω3 /ν2 ×RΔ/(a/2)>0・・・(7)
のとき、伝送損失αはRの正の指数関数となり急激に増加する。
【0048】
式7から、指数部が正となる曲率半径Rは、
R<(3/4)×ν2 /ω3 ×(a/2)/Δ×2ω・・・(8)
となる。このRは、式6から、
R<4.28cm・・・(9)
と算出される。従って、曲率半径Rが4.28cmより小さくなると伝送損失α(即ち漏洩光量)は指数関数的に増加する。その結果、図6に示すように、伝送損失αは、曲率半径Rが4.16cm近傍で急激に増加する。
【0049】
図5(d)を参照して、折れ線HIECJEは、図5(b)に示す窪み30aの表面(の断面)を、点Eを頂点とする直円錐面として近似したときの、カバーシート30の上面を表している。ここで、直線HI及び直線CJはカバーシート30上面の平坦部分を、直線IE及び直線ECは窪み30aの表面を表している。
【0050】
即ち、直線ECは、点Gを中心とする曲率半径Rの円弧EC(図示せず)の両端を結ぶ線分として表され、曲率半径Rで湾曲する窪み30aの表面断面を近似している。この円弧ECは、カバーシート30の平坦面(直線CJ)に点Cで滑らかに接続している。従って、円弧ECの中心点Gと点Cとを結ぶ直線GCはカバーシート30の平坦面(直線CJ)に垂直に交わる。他方、円弧ECの中点を直線ECの中点Fで近似すると、直線ECは円弧ECの中点で接する接平面に平行であるから、点Fと円弧ECの中心点Gとを結ぶ直線CFは直線ECに垂直に交わる。
【0051】
従って、三角形CFGは、角Fが直角、角Gがθ/2の直角三角形をなす。ここで、θは、点Gから直線BCを見込む見込み角θである。他方、直円錐形の頂点Eから平坦なカバーシート30の上面(直線HJ)に下した垂線との交点Dと、点Cおよび点Eとが作る三角形EDCは、角Dが直角、角Cがθ/2であり、三角形CFGと相似形をなす。なお、三角形EDCの角Cと三角形CFGの角Cとの和が直角であることから、角C=θ/2となることを用いた。
【0052】
辺長DCは窪みの半径r、辺長CFはほぼ辺長DCの1/2のr/ 2、および辺長FGは曲率半径Rで近似することができる。辺長EDをhとすると、三角形の相似により、
辺長ED/辺長DC=辺長CF/辺長FGであるから、
h≒r2 /(2R)=0.43mm
を得る。なお、窪み30aの半径rとしてr=6mm、曲率半径Rとして伝送損失αが急増するR=4.16cmを用いた。
【0053】
このことは、カバーシート30の上面を指60で深さ0.43mm程度押下すると、コア層32に曲率半径Rが4.1cm程度の湾曲が発生することを示している。そして、これ以上押下すると曲率半径がより小さくなり、上述したように、漏洩光41の光量(漏洩光量)が急激に増加する。この漏洩光41は、窪み30aの斜面から主として窪み30a内に向かって放射されるので、窪み30aを押下している指60により遮蔽されカバーシート30の外部へはほとんど漏洩しない。
【0054】
漏洩光41が急増する曲率半径Rは、式8を参照して、コア層32の厚さaおよび比屈折率差Δに強く依存する。従って、漏洩光41を急増するに必要な押下距離,即ち窪み30aの深さは、コア層の厚さaおよび比屈折率差Δを調整することで容易に制御することができる。通常は、コア層の厚さaが大きく、比屈折率差Δが小さいほど、漏洩光41が急増する曲率半径Rが大きくなる。従って、少ない押下距離で紫外線42が漏洩し、紫外線型光触媒による殺菌および毒素の分解がなされる。
【0055】
本第1実施形態では、カバーシート30の両端から紫外線42をコア層32中に入射する。図5(b)を参照して、紫外線42を図5の右側のみから入射すると、紫外線42は窪み30aの入射側、即ち円Bにより示す窪み30aの右側から漏洩光41として漏洩して減衰してしまい、反対の円Aにより示す右側からは殆ど漏洩しない。このため、窪み30aの半分が、殺菌及び毒素の分解がなされない場合がある。本第1実施形態のように両端から紫外線42を入射することで、窪み30aの左右両側を殺菌、毒素分解することができる。
【0056】
さらに、図2を参照して、左右両側から紫外線42を入射するとともに、さらに、図2の紙面の上下方向からも紫外線を入射することもできる。これにより、窪み30aの4方向(左右上下方向)から紫外線42が漏洩し、より確実に殺菌、毒素分解がなされる。
【0057】
上述の本第1実施形態のスイッチ1において、紫外線42をスイッチ機構20の断続に連動して発生させてもよい。例えば、図1及び図2を参照して、押下されたスイッチ機構20の上部電極21と下部電極22の電気的接続がなされると、発光源40の電源が投入され、紫外線42を発生させる。このとき、カバーシート30内を互いに複数行に分離して進行する紫外線4の内、電気的接続がなされたスイッチ機構20直上を進行する紫外線42のみを選択して発生させることが好ましい。これにより、発光源40の消費電力が節減される。
【0058】
本発明の第1実施形態のスイッチ1では、光導波路31を構成するカバーシート30の上面を指60で押下するとその押下部分が窪むので、コア層32が湾曲して紫外線42が上部クラッド層33に漏洩する。このため、上部クラッド層33に混練された紫外線型光触媒が励起され、上部クラッド層33上面に付着した菌及び毒素を殺菌及び分解する。一方、窪み30aは指60で押下されているので、漏洩した紫外線42(漏洩光41)は押下する指60により遮蔽され、外部に漏洩して人間を照射ことが回避される。
【0059】
他方、紫外線42は押下している間、カバーシート30の内部から漏洩光41として窪み30a形成領域を照射する。このため、押下中もカバーシート30上面と指60の接触部分に紫外線(漏洩光41)が照射され続け、殺菌、毒素分解が進行する。従って、押下を終了した後、短時間で殺菌、毒素分解が終了するので,複数人による迅速な連続操作が可能となる。
【0060】
本発明の第2実施形態のスイッチ2は、上面に触媒層が形成されたカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【0061】
図7は本発明の第2実施形態のスイッチ断面図であり、カバーシートの断面構造を表している。
【0062】
図7を参照して、本第2実施形態のスイッチは、カバーシート30−2の上面に紫外線型光触媒を含有する薄膜からなる触媒層35が形成されている。本第2実施形態で用いられるカバーシート30−2は、第1実施形態のカバーシート30と同様に、スラブ型光導波路31を構成する。このカバーシート30−2が構成する光導波路31は、上部クラッド層33に光触媒が含まれない点を除き、材料及び寸法とも第1実施形態のカバーシート30が構成する光導波路31と同様である。また、本第2実施形態のスイッチの構造は、カバーシート30−2を除き、第1実施形態のスイッチ1と同様である。
【0063】
触媒層35は、紫外線型光触媒を含む薄膜であり、例えは酸化チタンの蒸着膜又はスパッタ膜を用いることができる。触媒層35は、形成された触媒層35が紫外線により励起される光触媒効果を有する限り、他の方法により形成されてもよい。
【0064】
本第2実施形態のスイッチでは、カバーシート30−2の上面が押下され、窪みが形成されると、光導波路31が湾曲し、その湾曲部分のコア層32から紫外線42が漏洩する。そして、漏洩した紫外線42(漏洩光)が、カバーシート上面に形成された触媒層35を照射するので、触媒層35に付着した菌及び毒素は殺菌及び分解される。
【0065】
上述したように、本第2実施形態では、光導波路31を構成するコア層32、上部クラッド層33及び下部クラッド層34中に光触媒が含まれない。従って、光導波路31を伝播する紫外線42の損失が少ない。
【0066】
本発明の第3実施形態は、カバーシートがドーム形状に加工された部分を有するスイッチに関する。
【0067】
図8は本発明の第3実施形態のスイッチ平面図、図9は本発明の第3実施形態のスイッチ断面図であり、一部がドーム型に成形されたカバーシート30を用いたスイッチを表している。なお、図9(a)および図9(b)は、それぞれカバーシート30を押下する前および押下したときのカバーシート30の形状を表している。
【0068】
図8および図9(a)を参照して、第3実施形態のスイッチ3は、上面に下部電極22が行列状に設けられた基台10と、下部電極22の形成領域上で上方に凸に湾曲したドーム25を形成するカバーシート30とを有する。基台10の構造および下部電極22の配置は第1実施形態と同様である。また、カバーシート30は、上部クラッド層33と、コア層32および下部クラッド層34との3層からなるスラブ型光導波路31を構成する。この上部クラッド層33は、第1実施形態と同様に、紫外線型光触媒を含有し触媒層35を兼ねている。また、光導波路31の寸法および屈折率は、第1実施形態のカバーシート30に形成される光導波路31と同様である。
【0069】
カバーシート30のドーム25形成領域の下面に、下部電極22と対向する上部電極21が設けられている。カバーシート30のドーム25以外の部分、即ちのドーム25の外側に延在するカバーシート30は、基台10上面に密接して固定されている。従って、上部電極21と下部電極22との間は、ほぼドーム25の高さ分の隙間が保持される。
【0070】
図9(b)を参照して、ドーム25の中央部分が指60により押下されると、カバーシート30は下に凸に湾曲しドーム25中央に窪み30aが生ずる。その結果、上部電極21はカバーシート30とともに下に凸に湾曲し、上部電極21と下部電極22とが接触して電気的接続がなされる。押下する指60を除去すると、ドーム25は図9(a)に示す押下前の形状を回復する。このように、ドーム25、上部電極21および下部電極22は、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構20を構成する。なお、本第3実施形態では、カバーシート30は可撓性とともに、押下前のドーム25形状を回復することができる回復力を備える。かかる回復力は、カバーシート30以外の部材に担わせてもよい。例えば、上部電極21にバネ性を付与する、あるいは押下に対して付勢する機構をスイッチ機構20に組み込むこともできる。
【0071】
本第3実施形態のスイッチは、さらに基台10の下面にヒータ71を備える。このヒータ71はドーム25の上面を加熱し、光触媒による殺菌・分解作用を促進するために用いられる。ヒータ71は、ドーム25毎にドーム25直下に設けてもよく、また、基台10の下面全面に設けてもよい。なお、このようなヒータ71は、第1および第2実施形態のスイッチに設けることもできる。
【0072】
本第3実施形態では、カバーシート30の押下部分がドーム25状に形成されており、ドーム25の周辺部は高い曲げ強度を有する。従って、ドーム25を指で押下すると、ドーム25の中央部分、即ち上部電極21の中央部分のみが窪み、周辺部はあまり変形しない。このため、窪み30aの発生により形成される光導波路31の湾曲は、平坦なカバーシート30の場合に比べて曲率が大になり、曲率半径が小さなものとなる。その結果、コア層32から漏れる漏洩光41の光量が大きくなり、殺菌・毒素分解がより確実になされる。
【0073】
本発明の第4実施形態は平行に延在する埋め込み型光導波路が形成されたカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【0074】
図10は本発明の第4実施形態のスイッチ平面図であり、カバーシートを表している。図11は本発明の第4実施形態のスイッチ断面図であり、図10中のAA’断面を表している。
【0075】
図10および図11を参照して、本第4実施形態のスイッチ4に用いられるカバーシート30−4は、シート状のクラッド層36と、そのクラッド層36の中に埋め込まれ平行線状、例えば平行直線状に延在する複数のコア層32−4とからなる埋め込み型光導波路31−4を構成する。
【0076】
クラッド層36として、例えば厚さ500μm、屈折率が1.41のシリコーンゴムを用いた。また、コア層32−4として、屈折率1.42のシリコーンゴムを辺長400μmの正方形断面を有する紐状に加工したものを、クラッド層36の厚さの中央を通る平面にそって互いに400μmの間隔をおいて平行に並設した。なお、クラッド層36は、紫外線型光触媒として酸化チタンが混練され、触媒層35を構成している。また、カバーシート30−4の下面に、第1実施形態と同様の上部電極21が設けられる。
【0077】
本第4実施形態のスイッチ4は、第1実施形態のカバーシート30に代えてカバーシート30−4を用いたもので、他は第1実施形態と同様に構成される。従って、カバーシート30−4の上面が指で押下されると、カバーシート30−4に図5に示すような第1実施形態と同様の窪み30aが形成される。その結果、第1実施形態と同様に、窪み30aの形成により湾曲したコア層32−4から紫外線が漏洩し、窪み30aの内面に付着する菌及び毒素が殺菌され、分解される。
【0078】
本第4実施形態で用いた埋め込み型光導波路31−4では、光導波路31−4が曲率半径Rで湾曲したとき、湾曲部分の伝送損失αは、
2α=Kexp{(−4√2/3)×ν/√(2Δ)×(R/a)×
×(bΔ−1/(R/a))3/2 }・・・・(10)
と表される(例えば、末松、安晴、伊藤健一著、光ファイバ通信入門、オーム社(2006年参照。)。ここでKは定数、aはコア層32−4の厚さ(コア層32−4の断面を半径aの円形と近似した。)、νは式2で表される規格化周波数、Δは式3で表される比屈折率差である。bは規格化伝播定数であり、ここではb=(ω/ν)2 として求めた。
【0079】
伝送損失αは、式10の指数部が正になるとき、即ち、
bΔ−1/(R/a)<0・・・・(11)
のとき、曲率半径Rの減少(曲率の増加)とともに指数関数的に急増する。
【0080】
伝送損失αが急増し始める曲率半径Rは、曲率半径Rが式11を満たすとき、即ち、 R<a/(bΔ)・・・・(12)
のときである。
【0081】
コア層32−4の屈折率n1 =1.42、クラッド層36の屈折率n2 =1.41を式3に代入し、Δ=0.00704を得る。また、式2及び式4からν=282.27およびω=281.68を得る。なお、k0 =π/λ0 (λ0 は真空中の紫外線42の波長375nm)を用いた。さらに、b=(ω/ν)2 =0.9958と算出される。
【0082】
これらの数値を式12に代入して、
R<a/(bΔ)≒0.06m=6cm・・・・(13)
を得る。式13は、第4実施形態で用いれるカバーシート30−4では、カバーシート30−4の湾曲部の曲率半径Rが6cm以下になると、伝送損失α、即ち漏洩光量が指数関数式に急増することを示している。
【0083】
図5(d)を参照して、窪み30aの深さr及びカバーシート30の曲率半径Rから、窪み30aの深さh(即ち、スイッチ機構20の押下距離)を、
h≒r2 /(2R)・・・(13)
として求める第1実施形態と同様の方法を用い、r=6mm、R=6cmを代入し、
h≒0.3mm
と求めた。このように、本第4実施形態では、カバーシート30−4がほぼ0.3mm以上押下されると紫外線42が急激に漏洩し始め、殺菌・毒素分解がなされる。
【0084】
上述の伝送損失αは、コア層32−4からの紫外線42の漏洩を意味する。押下されたとき、確実に殺菌、毒素の分解がなされるためには、僅かな押下距離(窪みの深さh)でも伝送損失αを大きくして漏洩光量を多くする必要がある。従って、スイッチが押下されたとき生ずる僅かな湾曲により、言い換えれば大きな曲率半径Rの湾曲で、多くの漏洩光を漏出させることが望ましい。このため、コア層32−4の厚さaを厚く、かつ、比屈折率差Δを小さくすることが好ましい。他方、押下されていない平坦な領域からは紫外線42が漏洩しないように、過度に大きな曲率半径の部分、例えば曲率半径Rが0.3mm以上の領域においては、伝送損失αは小さいことが望ましい。従って、コア層32−4の厚さaおよび比屈折率差Δは、スイッチ機構の押下距離(窪み30aの深さhに等しい)との関係を考慮して、スイッチを押下したとき、曲率半径Rが確実に式12を満たすとともに、押下距離が短い、例えば完全に押下したときの半分以下の場合は、曲率半径Rがa/(bΔ)より十分に大きくなるように選定することが望ましい。
【0085】
上述した本第4実施形態では、紫外線42は、線状に延在するコア層32−4内を伝播する。このため、コア層32−4に入射された紫外線42は、コア層32−4内をコア層32−4の延在する線に沿って拡散することなく伝播する。このため、スラブ型光導波路を用いる第1実施形態のように、カバーシート30−4の面内方向への広がりを抑制するために、紫外線を導波路31−4の面内方向でコリメートする必要がない。従って、コリメータの光学系を簡易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明を医療又は介護に関する施設内で使用され、多くの人に押下されるスイッチに適用することで、人体に有害な紫外線の外部への漏洩が少ない紫外線励起型の光触媒殺菌効果を有するスイッチが提供される。
【符号の説明】
【0087】
1、3、4 スイッチ
10 基台
20 スイッチ機構
21 上部電極
22 下部電極
23 スペーサ
25 ドーム
30、30−2、30−4 カバーシート
30a 窪み
31、31−4 光導波路
31a 端部
32、32−4 コア層
33 上部クラッド層
34 下部クラッド層
34a、23a 開口
35 触媒層
36 クラッド層
40 発光源
41 漏洩光
42 紫外線
45 紫外線ビーム発生装置
50 コリメータ
50a ロッドレンズ
50b コリメートレンズ
51 プリズム
52 接着剤
60 指
71 ヒータ
【技術分野】
【0001】
本発明は光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人が指で押下するスイッチ、例えば医療機関あるいは介護施設に設置された機器を操作するためのスイッチは、指が接触した部分を消毒ないし殺菌して病原菌の感染拡大を予防することが望ましい。
【0003】
従来、かかるスイッチには、例えば銀等の抗菌剤を混練した樹脂を表面に被覆したスイッチが用いられていた。しかし、抗菌剤は、菌の増殖を抑制するものの、殺菌効果はなく、また菌が生成した毒素を分解することもない。
【0004】
光触媒、とくに紫外線により励起される紫外線型光触媒は、殺菌効果も高く、加えて毒素分解作用を有することから、スイッチの消毒、殺菌用材料として注目されている。例えば、紫外線型光触媒を指が接触するスイッチ上面に配置し、スイッチが押下された後に外部から紫外線を照射するスイッチの殺菌システムが知られている。また、応力発光体または蓄光部材を混練した部材上に紫外線型光触媒を配置し、これらの部材から発生する紫外線を紫外線型光触媒に照射して、殺菌するスイッチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−318127号公報
【特許文献2】特開2007−303852号公報
【特許文献3】特開2000−068345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来の抗菌剤を用いるスイッチは、殺菌作用および毒素分解作用が弱く、有効な感染拡大予防効果を期待することができない。
【0007】
また、スイッチの押下後に、外部から紫外線をスイッチ上面に設けられた紫外線型光触媒に照射して殺菌および毒素分解をする従来のスイッチの殺菌システムでは、紫外線が外部に漏洩して人体に悪影響を及ぼすおそれがある。さらに、スイッチを押下する指が紫外線を遮蔽するから、押下中はスイッチ上面に紫外線を照射することができない。このため、押下後に紫外線を一定期間照射して殺菌するまでの間、別人による押下を避けなければならない。このため、スイッチの連続操作に支障をきたす。
【0008】
紫外線を応力発光体または蓄光部材により発生する従来のスイッチでは、容易に連続操作を行うことができる。しかし、これらの発光体及び蓄光部材は、紫外線の発光強度が弱く、十分な殺菌、毒素分解作用を得難いと言う問題がある。また、応力発光体または蓄光部材の広い領域が発光するため、紫外線が外部へ漏洩し、人体へ悪影響を及ぼすおそれもある。
【0009】
本発明は、外部への紫外線の漏洩が少ない光触媒殺菌効果を有するスイッチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、第一の観点によれば、基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構と、前記スイッチ機構上に配置され、光導波路を有する可撓性のカバーシートと、紫外線を含む光を発光する発光部と、を備え、前記カバーシートの少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層であり、前記光が前記光導波路に入射されることを特徴とするスイッチとして提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、紫外線は、押下により形成されたカバーシートの窪みから漏洩してカバーシート上面に設けられた光触媒を照射する一方、漏洩した紫外線は押下した物体、例えば指先により遮蔽されるので、外部への紫外線の漏洩が少ない光触媒殺菌効果を有するスイッチが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態のスイッチ断面図
【図2】本発明の第1実施形態のスイッチ平面図
【図3】本発明の第1実施形態のスイッチ組立図
【図4】本発明の第1実施形態の紫外線ビーム発生装置の構成図
【図5】本発明の第1実施形態の紫外線漏洩の説明図
【図6】本発明の第1実施形態の紫外線漏洩量の説明図
【図7】本発明の第2実施形態のスイッチ断面図
【図8】本発明の第3実施形態のスイッチ平面図
【図9】本発明の第3実施形態のスイッチ断面図
【図10】本発明の第4実施形態のスイッチ平面図
【図11】本発明の第4実施形態のスイッチ断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態は、スラブ型光導波路を構成するカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するシートスイッチに関する。
【0014】
図1は本発明の第1実施形態のスイッチ断面図であり、スイッチ1の主要な構造を表している。なお、図1(a)はスイッチ1を押下する前の状態を、図1(b)は押下した状態を表している。図2は本発明の第1実施形態のスイッチ平面図であり、スイッチ機構20の平面配置とスラブ型光導波路31内に入射された紫外線42の進路とを表している。図3は本発明の第1実施形態のスイッチ組立図であり、スイッチ1を構成する主要部材の積層構造を表している。また、図2及び図3は、紫外線42の発光源40及びコリメータ50を省略して描いている。
【0015】
図1、図2および図3を参照して、本発明の第1実施形態のスイッチ1は、基台10上に配置されたスイッチ機構20と、基台10上にスペーサ23を介して設けられた、スイッチ機構20上を被覆するカバーシート30とを備える。
【0016】
基台10は剛性を有する絶縁性の部材からなり、例えばシート状の形状を有する。そして、基台10上面に、例えば短辺が20mm、長辺が30mmの矩形の平板状の下部電極22が行列状に、例えば縦横各4行4列の行列状に形成されている。この下部電極22は、それぞれ基台上面に形成された外部引き出し用の配線(図示せず)に接続されている。
【0017】
スペーサ23は、下部電極22の全部又は一部を表出する開口23aを有する井桁状の枠体からなり、基台10上面とカバーシート30下面との間隔を所定距離に、例えば2mmの間隔に保持する。このスペーサ23は、例えば絶縁性の樹脂シートを材料として打ち抜き加工により作製することができる。また、基台10の一部として、例えばエンボス加工あるいは金型を用いた成形加工により、基台10上面に形成された突起として作製してもよい。なお、スペーサ23は、基台10上面とカバーシート30下面との隙間を所定間隔に保持することができればよく、スペーサ23の形状はとくに制限されない。
【0018】
カバーシート30は、シート状の例えば厚さ400μmのコア層32の上下を、それぞれ例えば厚さ50μmの上部クラッド層33及び下部クラッド層34で挟んだ3層構造を有し、下部クラッド層34、コア層32及び上部クラッド層33からなる紫外線42を伝播するスラブ型光導波路31を構成する。
【0019】
スラブ型光導波路31を構成するこれらコア層32、上部クラッド層33及び下部クラッド層34は、スラブ型光導波路31内で紫外線強度が減衰しないように紫外線吸収率が小さな材料により作製されることが望ましい。また、紫外線照射による材質劣化が小さな材料であることが好ましい。さらに、後述するように可撓性を備える。かかる小さな紫外線吸収率、紫外線耐性および適度な可撓性を備える材料として、シリコーン樹脂があり、とくにシリコーンゴムが適している。本第1実施形態では、コア層32、上部クラッド層33および下部クラッド層34をシリコーンゴムで作製した。
【0020】
カバーシート30の下面には、下部電極22に重畳する位置に可撓性を有する上部電極21が形成されている。この上部電極21には、カバーシート30の下面に形成された外部引き出し用の配線(図示せず)が接続され、この引き出し用配線を介して外部との電気的接続がなされる。これらの上部電極21と下部電極22とは、スペーサ23により上下に隔てられ、互いに電極面(上部電極21の下面と下部電極22の上面)を対向させて配置される。この上部電極21、下部電極22、及びスペーサ23は、スイッチ機構20を構成する。
【0021】
即ち、図1(b)を参照して、カバーシート30の上面を指60で押下すると、可撓性を有するカバーシート30は押下された部分が下方に凸に窪むように変形する。同時に、カバーシート30の下面に形成された上部電極21も下方に凸に変形し、凸に変形した上部電極21の先端(下端)が基台10上に形成された下部電極22の上面に押し付けられて、上部電極21と下部電極22とが接触し電気的に接続される。その後、指60を上方に後退させカバーシート30から離すと、カバーシート30は、図1(a)に図示するように、再び押下前の平面状に回復し、上部電極21と下部電極は離間され電気的に切断される。
【0022】
このように、カバーシート30及び上部電極21は、指先で押下されたとき指先が接する部分が窪むように、可撓性を有する材料を用いて作製される。また、押下の圧力を除去したとき、押下前の形状に復元するだけの弾性を備えている。シリコーン樹脂とくにシリコーンゴムを基材とするカバーシート30は、かかる可撓性及び復元力を有する。なお、復元力を有しないカバーシート30を用いて、復元力をスイッチ機構20に持たせることもできる。例えば、上部電極21を金属板等の弾性を有する材料で作製する、あるいは、スイッチ機構20にバネ等の復元力を付勢する部品を組み込むことで、復元力を付加することができる。
【0023】
カバーシート30の最上層を構成する上部クラッド層33は、紫外線により励起される紫外線型光触媒、例えは酸化チタンが混練されており、紫外線型光触媒を含む触媒層35を構成している。例えば、上部クラッド層33の材料として、酸化チタンが混練されたシリコーンゴムが用いられる。従って、上部クラッド層33の表面に付着した菌及び毒素は,紫外線の照射の下で励起された紫外線型光触媒の作用により容易に殺菌及び分解される。紫外線の照射の方法については後述する。なお、上部クラッド層33の上面表層にのみ紫外線型光触媒を含ませて触媒層35としても、また、後述する第2実施形態のように、上部クラッド層33の上面に紫外線型光触媒を含む層を触媒層35として形成してもよい。
【0024】
カバーシート30の左右両端部分31aの下部クラッド層34に、紫外線42を導入するための開口34aが開設されている。この下部クラッド層34に設けられた開口34aは、カバーシート30の左右両端に沿って伸長する長方形の開口からなり、開口34a底面(図1の開口34aの上面)にコア層32を表出する。
【0025】
さらに、開口34aの開口面(図1の開口34aの下面)にコア層32よりも大きな屈折率を有する接着剤52を介してプリズム51が貼着される。紫外線42は、カバーシート30の外側斜め下方からこのプリズム51の斜面に入射され、接着層52を介してコア層32に入射される。
【0026】
図4は本発明の第1実施形態の紫外線ビーム発生装置の構成図であり、図4(a)及び図4(b)はそれぞれ紫外線ビーム発生装置45の平面図及び側面図を表している。
【0027】
図4を参照して、紫外線ビーム発生装置45は、発光源40と、ロットレンズ50a及びコリメートレンズ50bからなるコリメータ50とを備える。発光源40は、波長350nm〜400nmの紫外線を含む光(以下、「紫外線42」という。)を発生する装置であり、例えば光出力26mW、波長375nmの紫外線を発生するUV−LED(例えば、ナイトライドセミコンダクター社の商品名NS375L−ERLM)が用いられる。
【0028】
コリメータ50は、発光源40が放射する紫外線を薄い帯状の平行ビーム(紫外線42)に成形する光学系である。かかる光学系として、例えば、上下に錐状に放射される紫外線を水平面に平行なビームに変換するロットレンズ50aと、水平面内に拡がる紫外線を垂直面に平行なビームに変換するコリメートレンズ50b(例えば円筒平凸レンズ)とにより構成することができる。もちろん、他のコリメート光学系、例えば非球面レンズを用いた光学系を用いても良い。
【0029】
再び図1を参照して、帯状の平行ビームにコリメートされた紫外線42は、カバーシート30の斜め下方からプリズム51の斜面を通してカバーシート30のコア層32に入射される。図2を参照して、カバーシート30の端部31aからコア層32に入射された紫外線42は、入射端に対向する端部31aへ向けてコア層32内を進行する。
【0030】
この紫外線42は、図2を参照して、平面視したとき、帯状の紫外線42ビームの中に、カバーシート30の押下される領域、例えばスイッチの表示がされている上部電極21が含まれるように配置することが好ましい。これにより、押下した部分に紫外線42が照射されず、殺菌されないという事態を回避することができる。
【0031】
紫外線ビーム発生装置45は、行列状に配置された上部電極21の各行ごとに設置した。これにより、殺菌に十分な強度を有する紫外線42をコア層32内に伝播させることができる。この場合、隣接する紫外線42の側端(図2中の上下の端)を重畳させることで、カバーシート30全面に渡り紫外線42を伝播させることができる。もちろん、発光強度の大きな紫外線ビーム発生装置45を用いて、1個のビーム状の紫外線42がカバーシート30全面を伝播するようにしてもよい。
【0032】
次に、上述したスイッチ1の殺菌作用について説明する。
【0033】
図1(a)を参照して、カバーシート30が押下されていない平坦な状態では、光導波路31も平板状をなしている。従って、紫外線42はコア層32内を伝播し、上部クラッド層33中には漏洩しない。次いで、カバーシート30が押下されると、図1(b)を参照して、カバーシート30の押下された部分が撓み、窪み30aが形成される。その結果、コア層32中を伝播する紫外線42が上部クラッド層33中に漏洩する。上部クラッド層33中に漏洩した紫外線(漏洩光41)は、上部クラッド層33に混練された紫外線型光触媒を励起し、上部クラッド層33上面に付着した菌および毒素を殺菌および分解する。
【0034】
この紫外線42の漏洩は、以下に詳述するように、上部クラッド層33に形成された窪み30aの部分でのみ発生する。この窪み30aは押下する指60で塞がれている。このため、窪み30aから漏洩した紫外線(漏洩光41)は、指60により遮られ、外部へ放射されない。従って、紫外線の漏洩による人体への悪影響を回避することができる。
【0035】
以下、コア層32を伝播する紫外線42の漏洩について詳細に説明する。
【0036】
図5は本発明の第1実施形態の紫外線漏洩の説明図であり、図5(a)は押下前のスラブ型光導波路31(カバーシート30)の断面を、図5(b)は押下後のスラブ型光導波路31の断面を、図5(c)は図5(b)の一部を拡大した断面を表している。また、図5(d)は、図5(b)中の窪み30aの表面を直円錐面で近似した断面を表している。
【0037】
図5(a)を参照して、カバーシート30が押下される前はカバーシート30に形成されたスラブ型光導波路31は平坦であり、スラブ型光導波路31に入射された紫外線42はコア層32内を伝播する。図5(b)を参照して、カバーシート30が例えば指60で押下されスラブ型光導波路31の一部に窪み30aが形成されると、スラブ型光導波路31は窪み30aの形成部分が曲率半径Rで湾曲する。
【0038】
図5(c)を参照して、紫外線42は、平坦部分では、コア層32内を上部クラッド層33および下部クラッド層34との界面で全反射しながらコア層32内を伝播する。しかし窪み30aが形成されて湾曲した部分では、コア層32と上部クラッド層33との界面への入射角度が大きくなるためコア層32内を伝播する紫外線42の一部が上部クラッド層33中に漏洩する。
【0039】
この漏洩する紫外線42、即ち漏洩光41の光量は、コア層の厚さa、曲率半径Rのスラブ型光導波路31の伝播損失αとして、
α=〔{u2 ×ω×exp(2ω)×√(2Δ)}/
/{ν3 ×((1+ω)/ω)×(a/2)}〕×
×exp{(−4ω3 )/(3ν2 )×(RΔ)/(a/2)}・・(1)
と表される(例えば、左貝潤一著、導波光学、共立出版(2004)参照。)。さらに、式1は
α=(u2 /ν3 )×(ω2 /(1+ω))×(2/a)×(2√Δ)×
×exp(2ω)×
×exp{(−4/3)×(ω3 /ν2 )×(RΔ/(a/2)}・・・(1’)
と変形される。ここでνは規格化周波数、Δは比屈折率差であり、それぞれ、
ν=(k0 a/2)×√(n12−n22)・・・(2)
Δ=(n12−n22)/(2n12)・・・(3)
と表される。なお、n1 、n2 は、それぞれコア層32および上下部クラッド層33、34の屈折率、k0 は真空中の紫外線42の波数である。また、ωおよびuは、
ω=√{(n1 k0 )2 −(n2 k0 )2 }×(a/2)・・・(4)
u=√(ν2 −ω2 )・・・(5)
である。
【0040】
本第1実施形態のスラブ型光導波路31では、コア層32の屈折率n1 を1.42、上部および下部クラッド層33、34の屈折率n2 を1.41に調整した。かかる屈折率n1 、n2 の調整は、コア層32および上下部クラッド層33、34のシリコーンゴムの組成成分比率を制御することで容易になすことができる。
【0041】
この屈折率n1 、n2 を式3に代入して、
Δ=0.00704
を得る。また、k0 =π/λ0 (λ0 は真空中の紫外線42の波長375nm)であるから、波数k0 、屈折率n1 、n2 およびコア層32の厚さa=400×10-6mを式2および式4に代入して、
ν=282.27
ω=281.68
を得る。さらに、式5に算出された上記のνおよびωの値を代入して、
u=18.24
を得る。
【0042】
これらΔ、ν、ω、uおよびaの値を式1’の各項に代入すると、
u2 /ν3 =1.472
ω2 /(1+ω)=280.684
じあるから、
(u2 /ν3 )×(ω2 /(1+ω))×(2/a)×(2√Δ)=2.4638
2ω=563.336
および、
(−4/3)×(ω3 /ν2 )×(RΔ/(a/2))=−13164.94×R
を得る。
【0043】
従って、式1’は、
α=2.4638×exp(563.336−131.6494×R)...(6)
と表される。この式6の損失αの単位はdB/kmである。また式6では、曲率半径Rの単位をmからcmに変換している。
【0044】
図5(b)を参照して、指60で押下されて生ずるカバーシート30(即ちスラブ型光導波路31)の窪み30aは、指60の幅よりやや大きく、例えば窪み30aの半径rは6mm程度である。この6mmの距離の間に生ずる伝送損失αを、曲率半径Rが4.1cm〜4.2cmの範囲について式6から算出した。その結果を図6に示した。なお、コア層32中を26mWの紫外線42が伝播しているとした。
【0045】
図6は本発明の第1実施形態の紫外線漏洩量の説明図であり、スラブ型光導波路31の曲率半径と漏洩光量との関係を表している。漏洩光量は、コア層32中を伝播する26mWの紫外線が6mmの距離を進行する間の伝送損失αに相当する光量として算出した。
【0046】
図6を参照して、スラブ導波路31の曲率半径Rが4.18cmより小さくなると、漏洩光量は急に増加し始める。曲率半径Rが4.16cm付近では、漏洩光量はさらに急激に増加し、曲率半径Rが4.163で漏洩光量は6.50mw、曲率半径Rが4.162で漏洩光量は8.21mw、曲率半径Rが4.161で漏洩光量は11.78mw、そして曲率半径Rが4.160では漏洩光量は23.13mwに達する。
【0047】
曲率半径Rが4.16cm近傍における漏洩光量のこの激増は、式1’または式6にみるように、伝送損失αが曲率半径Rの指数関数であることに由来する。即ち、式1’の指数部が正のとき、即ち、
2ω+(−4/3)×ω3 /ν2 ×RΔ/(a/2)>0・・・(7)
のとき、伝送損失αはRの正の指数関数となり急激に増加する。
【0048】
式7から、指数部が正となる曲率半径Rは、
R<(3/4)×ν2 /ω3 ×(a/2)/Δ×2ω・・・(8)
となる。このRは、式6から、
R<4.28cm・・・(9)
と算出される。従って、曲率半径Rが4.28cmより小さくなると伝送損失α(即ち漏洩光量)は指数関数的に増加する。その結果、図6に示すように、伝送損失αは、曲率半径Rが4.16cm近傍で急激に増加する。
【0049】
図5(d)を参照して、折れ線HIECJEは、図5(b)に示す窪み30aの表面(の断面)を、点Eを頂点とする直円錐面として近似したときの、カバーシート30の上面を表している。ここで、直線HI及び直線CJはカバーシート30上面の平坦部分を、直線IE及び直線ECは窪み30aの表面を表している。
【0050】
即ち、直線ECは、点Gを中心とする曲率半径Rの円弧EC(図示せず)の両端を結ぶ線分として表され、曲率半径Rで湾曲する窪み30aの表面断面を近似している。この円弧ECは、カバーシート30の平坦面(直線CJ)に点Cで滑らかに接続している。従って、円弧ECの中心点Gと点Cとを結ぶ直線GCはカバーシート30の平坦面(直線CJ)に垂直に交わる。他方、円弧ECの中点を直線ECの中点Fで近似すると、直線ECは円弧ECの中点で接する接平面に平行であるから、点Fと円弧ECの中心点Gとを結ぶ直線CFは直線ECに垂直に交わる。
【0051】
従って、三角形CFGは、角Fが直角、角Gがθ/2の直角三角形をなす。ここで、θは、点Gから直線BCを見込む見込み角θである。他方、直円錐形の頂点Eから平坦なカバーシート30の上面(直線HJ)に下した垂線との交点Dと、点Cおよび点Eとが作る三角形EDCは、角Dが直角、角Cがθ/2であり、三角形CFGと相似形をなす。なお、三角形EDCの角Cと三角形CFGの角Cとの和が直角であることから、角C=θ/2となることを用いた。
【0052】
辺長DCは窪みの半径r、辺長CFはほぼ辺長DCの1/2のr/ 2、および辺長FGは曲率半径Rで近似することができる。辺長EDをhとすると、三角形の相似により、
辺長ED/辺長DC=辺長CF/辺長FGであるから、
h≒r2 /(2R)=0.43mm
を得る。なお、窪み30aの半径rとしてr=6mm、曲率半径Rとして伝送損失αが急増するR=4.16cmを用いた。
【0053】
このことは、カバーシート30の上面を指60で深さ0.43mm程度押下すると、コア層32に曲率半径Rが4.1cm程度の湾曲が発生することを示している。そして、これ以上押下すると曲率半径がより小さくなり、上述したように、漏洩光41の光量(漏洩光量)が急激に増加する。この漏洩光41は、窪み30aの斜面から主として窪み30a内に向かって放射されるので、窪み30aを押下している指60により遮蔽されカバーシート30の外部へはほとんど漏洩しない。
【0054】
漏洩光41が急増する曲率半径Rは、式8を参照して、コア層32の厚さaおよび比屈折率差Δに強く依存する。従って、漏洩光41を急増するに必要な押下距離,即ち窪み30aの深さは、コア層の厚さaおよび比屈折率差Δを調整することで容易に制御することができる。通常は、コア層の厚さaが大きく、比屈折率差Δが小さいほど、漏洩光41が急増する曲率半径Rが大きくなる。従って、少ない押下距離で紫外線42が漏洩し、紫外線型光触媒による殺菌および毒素の分解がなされる。
【0055】
本第1実施形態では、カバーシート30の両端から紫外線42をコア層32中に入射する。図5(b)を参照して、紫外線42を図5の右側のみから入射すると、紫外線42は窪み30aの入射側、即ち円Bにより示す窪み30aの右側から漏洩光41として漏洩して減衰してしまい、反対の円Aにより示す右側からは殆ど漏洩しない。このため、窪み30aの半分が、殺菌及び毒素の分解がなされない場合がある。本第1実施形態のように両端から紫外線42を入射することで、窪み30aの左右両側を殺菌、毒素分解することができる。
【0056】
さらに、図2を参照して、左右両側から紫外線42を入射するとともに、さらに、図2の紙面の上下方向からも紫外線を入射することもできる。これにより、窪み30aの4方向(左右上下方向)から紫外線42が漏洩し、より確実に殺菌、毒素分解がなされる。
【0057】
上述の本第1実施形態のスイッチ1において、紫外線42をスイッチ機構20の断続に連動して発生させてもよい。例えば、図1及び図2を参照して、押下されたスイッチ機構20の上部電極21と下部電極22の電気的接続がなされると、発光源40の電源が投入され、紫外線42を発生させる。このとき、カバーシート30内を互いに複数行に分離して進行する紫外線4の内、電気的接続がなされたスイッチ機構20直上を進行する紫外線42のみを選択して発生させることが好ましい。これにより、発光源40の消費電力が節減される。
【0058】
本発明の第1実施形態のスイッチ1では、光導波路31を構成するカバーシート30の上面を指60で押下するとその押下部分が窪むので、コア層32が湾曲して紫外線42が上部クラッド層33に漏洩する。このため、上部クラッド層33に混練された紫外線型光触媒が励起され、上部クラッド層33上面に付着した菌及び毒素を殺菌及び分解する。一方、窪み30aは指60で押下されているので、漏洩した紫外線42(漏洩光41)は押下する指60により遮蔽され、外部に漏洩して人間を照射ことが回避される。
【0059】
他方、紫外線42は押下している間、カバーシート30の内部から漏洩光41として窪み30a形成領域を照射する。このため、押下中もカバーシート30上面と指60の接触部分に紫外線(漏洩光41)が照射され続け、殺菌、毒素分解が進行する。従って、押下を終了した後、短時間で殺菌、毒素分解が終了するので,複数人による迅速な連続操作が可能となる。
【0060】
本発明の第2実施形態のスイッチ2は、上面に触媒層が形成されたカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【0061】
図7は本発明の第2実施形態のスイッチ断面図であり、カバーシートの断面構造を表している。
【0062】
図7を参照して、本第2実施形態のスイッチは、カバーシート30−2の上面に紫外線型光触媒を含有する薄膜からなる触媒層35が形成されている。本第2実施形態で用いられるカバーシート30−2は、第1実施形態のカバーシート30と同様に、スラブ型光導波路31を構成する。このカバーシート30−2が構成する光導波路31は、上部クラッド層33に光触媒が含まれない点を除き、材料及び寸法とも第1実施形態のカバーシート30が構成する光導波路31と同様である。また、本第2実施形態のスイッチの構造は、カバーシート30−2を除き、第1実施形態のスイッチ1と同様である。
【0063】
触媒層35は、紫外線型光触媒を含む薄膜であり、例えは酸化チタンの蒸着膜又はスパッタ膜を用いることができる。触媒層35は、形成された触媒層35が紫外線により励起される光触媒効果を有する限り、他の方法により形成されてもよい。
【0064】
本第2実施形態のスイッチでは、カバーシート30−2の上面が押下され、窪みが形成されると、光導波路31が湾曲し、その湾曲部分のコア層32から紫外線42が漏洩する。そして、漏洩した紫外線42(漏洩光)が、カバーシート上面に形成された触媒層35を照射するので、触媒層35に付着した菌及び毒素は殺菌及び分解される。
【0065】
上述したように、本第2実施形態では、光導波路31を構成するコア層32、上部クラッド層33及び下部クラッド層34中に光触媒が含まれない。従って、光導波路31を伝播する紫外線42の損失が少ない。
【0066】
本発明の第3実施形態は、カバーシートがドーム形状に加工された部分を有するスイッチに関する。
【0067】
図8は本発明の第3実施形態のスイッチ平面図、図9は本発明の第3実施形態のスイッチ断面図であり、一部がドーム型に成形されたカバーシート30を用いたスイッチを表している。なお、図9(a)および図9(b)は、それぞれカバーシート30を押下する前および押下したときのカバーシート30の形状を表している。
【0068】
図8および図9(a)を参照して、第3実施形態のスイッチ3は、上面に下部電極22が行列状に設けられた基台10と、下部電極22の形成領域上で上方に凸に湾曲したドーム25を形成するカバーシート30とを有する。基台10の構造および下部電極22の配置は第1実施形態と同様である。また、カバーシート30は、上部クラッド層33と、コア層32および下部クラッド層34との3層からなるスラブ型光導波路31を構成する。この上部クラッド層33は、第1実施形態と同様に、紫外線型光触媒を含有し触媒層35を兼ねている。また、光導波路31の寸法および屈折率は、第1実施形態のカバーシート30に形成される光導波路31と同様である。
【0069】
カバーシート30のドーム25形成領域の下面に、下部電極22と対向する上部電極21が設けられている。カバーシート30のドーム25以外の部分、即ちのドーム25の外側に延在するカバーシート30は、基台10上面に密接して固定されている。従って、上部電極21と下部電極22との間は、ほぼドーム25の高さ分の隙間が保持される。
【0070】
図9(b)を参照して、ドーム25の中央部分が指60により押下されると、カバーシート30は下に凸に湾曲しドーム25中央に窪み30aが生ずる。その結果、上部電極21はカバーシート30とともに下に凸に湾曲し、上部電極21と下部電極22とが接触して電気的接続がなされる。押下する指60を除去すると、ドーム25は図9(a)に示す押下前の形状を回復する。このように、ドーム25、上部電極21および下部電極22は、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構20を構成する。なお、本第3実施形態では、カバーシート30は可撓性とともに、押下前のドーム25形状を回復することができる回復力を備える。かかる回復力は、カバーシート30以外の部材に担わせてもよい。例えば、上部電極21にバネ性を付与する、あるいは押下に対して付勢する機構をスイッチ機構20に組み込むこともできる。
【0071】
本第3実施形態のスイッチは、さらに基台10の下面にヒータ71を備える。このヒータ71はドーム25の上面を加熱し、光触媒による殺菌・分解作用を促進するために用いられる。ヒータ71は、ドーム25毎にドーム25直下に設けてもよく、また、基台10の下面全面に設けてもよい。なお、このようなヒータ71は、第1および第2実施形態のスイッチに設けることもできる。
【0072】
本第3実施形態では、カバーシート30の押下部分がドーム25状に形成されており、ドーム25の周辺部は高い曲げ強度を有する。従って、ドーム25を指で押下すると、ドーム25の中央部分、即ち上部電極21の中央部分のみが窪み、周辺部はあまり変形しない。このため、窪み30aの発生により形成される光導波路31の湾曲は、平坦なカバーシート30の場合に比べて曲率が大になり、曲率半径が小さなものとなる。その結果、コア層32から漏れる漏洩光41の光量が大きくなり、殺菌・毒素分解がより確実になされる。
【0073】
本発明の第4実施形態は平行に延在する埋め込み型光導波路が形成されたカバーシートを用いた光触媒殺菌効果を有するスイッチに関する。
【0074】
図10は本発明の第4実施形態のスイッチ平面図であり、カバーシートを表している。図11は本発明の第4実施形態のスイッチ断面図であり、図10中のAA’断面を表している。
【0075】
図10および図11を参照して、本第4実施形態のスイッチ4に用いられるカバーシート30−4は、シート状のクラッド層36と、そのクラッド層36の中に埋め込まれ平行線状、例えば平行直線状に延在する複数のコア層32−4とからなる埋め込み型光導波路31−4を構成する。
【0076】
クラッド層36として、例えば厚さ500μm、屈折率が1.41のシリコーンゴムを用いた。また、コア層32−4として、屈折率1.42のシリコーンゴムを辺長400μmの正方形断面を有する紐状に加工したものを、クラッド層36の厚さの中央を通る平面にそって互いに400μmの間隔をおいて平行に並設した。なお、クラッド層36は、紫外線型光触媒として酸化チタンが混練され、触媒層35を構成している。また、カバーシート30−4の下面に、第1実施形態と同様の上部電極21が設けられる。
【0077】
本第4実施形態のスイッチ4は、第1実施形態のカバーシート30に代えてカバーシート30−4を用いたもので、他は第1実施形態と同様に構成される。従って、カバーシート30−4の上面が指で押下されると、カバーシート30−4に図5に示すような第1実施形態と同様の窪み30aが形成される。その結果、第1実施形態と同様に、窪み30aの形成により湾曲したコア層32−4から紫外線が漏洩し、窪み30aの内面に付着する菌及び毒素が殺菌され、分解される。
【0078】
本第4実施形態で用いた埋め込み型光導波路31−4では、光導波路31−4が曲率半径Rで湾曲したとき、湾曲部分の伝送損失αは、
2α=Kexp{(−4√2/3)×ν/√(2Δ)×(R/a)×
×(bΔ−1/(R/a))3/2 }・・・・(10)
と表される(例えば、末松、安晴、伊藤健一著、光ファイバ通信入門、オーム社(2006年参照。)。ここでKは定数、aはコア層32−4の厚さ(コア層32−4の断面を半径aの円形と近似した。)、νは式2で表される規格化周波数、Δは式3で表される比屈折率差である。bは規格化伝播定数であり、ここではb=(ω/ν)2 として求めた。
【0079】
伝送損失αは、式10の指数部が正になるとき、即ち、
bΔ−1/(R/a)<0・・・・(11)
のとき、曲率半径Rの減少(曲率の増加)とともに指数関数的に急増する。
【0080】
伝送損失αが急増し始める曲率半径Rは、曲率半径Rが式11を満たすとき、即ち、 R<a/(bΔ)・・・・(12)
のときである。
【0081】
コア層32−4の屈折率n1 =1.42、クラッド層36の屈折率n2 =1.41を式3に代入し、Δ=0.00704を得る。また、式2及び式4からν=282.27およびω=281.68を得る。なお、k0 =π/λ0 (λ0 は真空中の紫外線42の波長375nm)を用いた。さらに、b=(ω/ν)2 =0.9958と算出される。
【0082】
これらの数値を式12に代入して、
R<a/(bΔ)≒0.06m=6cm・・・・(13)
を得る。式13は、第4実施形態で用いれるカバーシート30−4では、カバーシート30−4の湾曲部の曲率半径Rが6cm以下になると、伝送損失α、即ち漏洩光量が指数関数式に急増することを示している。
【0083】
図5(d)を参照して、窪み30aの深さr及びカバーシート30の曲率半径Rから、窪み30aの深さh(即ち、スイッチ機構20の押下距離)を、
h≒r2 /(2R)・・・(13)
として求める第1実施形態と同様の方法を用い、r=6mm、R=6cmを代入し、
h≒0.3mm
と求めた。このように、本第4実施形態では、カバーシート30−4がほぼ0.3mm以上押下されると紫外線42が急激に漏洩し始め、殺菌・毒素分解がなされる。
【0084】
上述の伝送損失αは、コア層32−4からの紫外線42の漏洩を意味する。押下されたとき、確実に殺菌、毒素の分解がなされるためには、僅かな押下距離(窪みの深さh)でも伝送損失αを大きくして漏洩光量を多くする必要がある。従って、スイッチが押下されたとき生ずる僅かな湾曲により、言い換えれば大きな曲率半径Rの湾曲で、多くの漏洩光を漏出させることが望ましい。このため、コア層32−4の厚さaを厚く、かつ、比屈折率差Δを小さくすることが好ましい。他方、押下されていない平坦な領域からは紫外線42が漏洩しないように、過度に大きな曲率半径の部分、例えば曲率半径Rが0.3mm以上の領域においては、伝送損失αは小さいことが望ましい。従って、コア層32−4の厚さaおよび比屈折率差Δは、スイッチ機構の押下距離(窪み30aの深さhに等しい)との関係を考慮して、スイッチを押下したとき、曲率半径Rが確実に式12を満たすとともに、押下距離が短い、例えば完全に押下したときの半分以下の場合は、曲率半径Rがa/(bΔ)より十分に大きくなるように選定することが望ましい。
【0085】
上述した本第4実施形態では、紫外線42は、線状に延在するコア層32−4内を伝播する。このため、コア層32−4に入射された紫外線42は、コア層32−4内をコア層32−4の延在する線に沿って拡散することなく伝播する。このため、スラブ型光導波路を用いる第1実施形態のように、カバーシート30−4の面内方向への広がりを抑制するために、紫外線を導波路31−4の面内方向でコリメートする必要がない。従って、コリメータの光学系を簡易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明を医療又は介護に関する施設内で使用され、多くの人に押下されるスイッチに適用することで、人体に有害な紫外線の外部への漏洩が少ない紫外線励起型の光触媒殺菌効果を有するスイッチが提供される。
【符号の説明】
【0087】
1、3、4 スイッチ
10 基台
20 スイッチ機構
21 上部電極
22 下部電極
23 スペーサ
25 ドーム
30、30−2、30−4 カバーシート
30a 窪み
31、31−4 光導波路
31a 端部
32、32−4 コア層
33 上部クラッド層
34 下部クラッド層
34a、23a 開口
35 触媒層
36 クラッド層
40 発光源
41 漏洩光
42 紫外線
45 紫外線ビーム発生装置
50 コリメータ
50a ロッドレンズ
50b コリメートレンズ
51 プリズム
52 接着剤
60 指
71 ヒータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構と、
前記スイッチ機構上に配置され、光導波路を有する可撓性のカバーシートと、
紫外線を含む光を発光する発光部と、を備え、
前記カバーシートの少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層であり、前記光が前記光導波路に入射されることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記カバーシートの押下により前記カバーシートが撓み、前記光導波路に入射された前記光が前記触媒層に照射される、ことを特徴とする請求項1記載のスイッチ。
【請求項3】
前記光導波路が、コア層と、前記コア層を挟むクラッド層とを含み、
前記クラッド層の一部、あるいは全部が触媒層である、ことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ。
【請求項4】
前記光が、前記光導波路の対向する両端部から入射されることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスイッチ。
【請求項5】
前記紫外線は、スラブ型光導波路からなり、
前記光は、前記スラブ型導波路のの対向する両端部、及び前記対向する両端部と直交して対向する前記スラブ型光導波路の両端部から入射されることを特徴とする請求項3記載の光触媒殺菌効果を有するスイッチ。
【請求項1】
基台上に設けられ、押下により電気的接続がなされるスイッチ機構と、
前記スイッチ機構上に配置され、光導波路を有する可撓性のカバーシートと、
紫外線を含む光を発光する発光部と、を備え、
前記カバーシートの少なくとも一表層が光触媒を含む触媒層であり、前記光が前記光導波路に入射されることを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
前記カバーシートの押下により前記カバーシートが撓み、前記光導波路に入射された前記光が前記触媒層に照射される、ことを特徴とする請求項1記載のスイッチ。
【請求項3】
前記光導波路が、コア層と、前記コア層を挟むクラッド層とを含み、
前記クラッド層の一部、あるいは全部が触媒層である、ことを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ。
【請求項4】
前記光が、前記光導波路の対向する両端部から入射されることを特徴とする請求項1、2又は3記載のスイッチ。
【請求項5】
前記紫外線は、スラブ型光導波路からなり、
前記光は、前記スラブ型導波路のの対向する両端部、及び前記対向する両端部と直交して対向する前記スラブ型光導波路の両端部から入射されることを特徴とする請求項3記載の光触媒殺菌効果を有するスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−134015(P2012−134015A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285187(P2010−285187)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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