説明

スイッチ

【課題】所望のストローク,接点圧を確保しつつ、超薄型スイッチを提供する。
【解決手段】上面外周縁部に枠部11を一体に設け、前記枠部11の内側面隅部に共通固定接点12を設けるとともに、前記共通固定接点12に対向する内側面に固定接点13を設けたベース10と、蛇腹状バネ部21の両端からそれぞれ延在した弾性腕部22,23のうち、一方の弾性腕部23の自由端部を摺動可動接点25とする一方、他方の弾性腕部22の自由端部を回動可動接点24とし、前記回動可動接点24を前記ベース10の共通固定接点12に接触するように位置決めしたバネ部材20と、前記バネ部材20の弾性腕部23に当接する操作用リブ31を備え、かつ、前記ベース10に回動可能に支持した操作レバー30と、で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスイッチ、特に、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ等の電子機器に使用される超小型の薄型スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スイッチとしては、例えば、ベースと、コイルバネからなり、かつ、一端部を前記ベースに回動可能に支持される可動接触片と、一端部を前記ベースに回動可能に支持されるとともに、前記一端部から延在した駆動部で前記可動接触片のコイル部を押圧する操作レバーと、前記ベースを被覆可能な平面形状を有し、かつ、前記コイル部を圧縮するように前記ベースに固定されるカバーと、からなり、前記操作レバーで前記可動接触片のコイル部を押圧して捩りモーメントを付与することにより、前記可動接触片がその一端部を支点として回動し、前記可動接触片のコイル部が前記ベースの底面に突設した突条の表面から露出する少なくとも1つの固定接点上を摺動するとともに、前記可動接触片の他端部が前記ベースの内側面から露出する共通固定接点上を摺動するものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4062319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のスイッチでは、コイルバネのバネ力を利用して接点圧を確保しているので、高さ寸法の低減に限界があった。また、プレス加工で複雑な形状を有する寸法精度の高いバネ部材を大量生産することは容易でなく、所望のストローク,接点圧を備えた小型のスイッチが得にくかった。
本発明は、所望のストローク,接点圧を確保しつつ、高さ寸法の低い超薄型スイッチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るスイッチは、前記課題を解決すべく、上面外周縁部に枠部を一体に設け、前記枠部の内側面隅部に共通固定接点を設けるとともに、前記共通固定接点に対向する内側面に固定接点を設けたベースと、蛇腹状バネ部の両端からそれぞれ延在した弾性腕部のうち、一方の弾性腕部の自由端部を摺動可動接点とする一方、他方の弾性腕部の自由端部を回動可動接点とし、前記回動可動接点を前記ベースの共通固定接点に接触するように位置決めしたバネ部材と、前記バネ部材の一方の弾性腕部に当接する操作用リブを備え、かつ、前記ベースに回動可能に支持した操作レバーと、からなり、前記操作レバーを回動し、前記操作用リブでバネ部材の一方の弾性腕部を押し下げることにより、前記バネ部材の蛇腹状バネ部を弾性変形させて前記摺動可動接点を前記固定接点に接離する構成としてある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、従来例のようにコイルバネを使用する必要がないので、高さ寸法の低い薄型のスイッチが得られる。また、バネ部材が蛇腹状バネ部とその両端からそれぞれ延在する弾性腕部とで形成されているので、所望のストロークおよび接点圧を備えたスイッチが得られる。
【0007】
本発明の実施形態としては、バネ部材の蛇腹状バネ部を、弾性腕部と略平行になるように形成しておいてもよい。特に、操作レバーの操作用リブでバネ部材の一方の弾性腕部を押し下げたときに、前記バネ部材の蛇腹状バネ部が伸張方向に弾性変形するようにしてもよい。
本実施形態によれば、所定のストローク,接点圧を備えたスイッチが得られる。
【0008】
本発明の他の実施形態としては、バネ部材の蛇腹状バネ部を、弾性腕部と交差する方向に形成しておいてもよい。
本実施形態によれば、所定のストローク,接点圧を備えたスイッチが得られる。特に、蛇腹状バネ部材が弾性変形しやすいので、操作感触の柔らかいスイッチが得られる。
【0009】
本発明の別の実施形態としては、蛇腹状バネ部の湾曲部の内側に補強用リブを一体成形しておいてもよい。
本実施形態によれば、蛇腹状バネ部の湾曲部における応力集中を抑制でき、疲労破壊が生じにくくなるので、寿命の長いスイッチが得られる。
【0010】
本発明の異なる実施形態としては、蛇腹状バネ部の湾曲部を厚肉にしておいてもよい。
本実施形態によれば、蛇腹状バネ部の湾曲部における応力集中を抑制でき、疲労破壊が生じにくくなるので、寿命の長いスイッチが得られるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図A,図Bは本発明に係るスイッチの第1実施形態を示す斜視図、側面図である。
【図2】図1で示したスイッチの分解斜視図である。
【図3】図1で示したスイッチの異なる角度から視た分解斜視図である。
【図4】図A,図Bは図1で示したスイッチの動作前後を示す正面図である。
【図5】図A,図Bは本発明に係るスイッチの第2実施形態を示す動作前後の正面図である。
【図6】図A,図Bは本発明に係るスイッチの第3実施形態を示す動作前の斜視図、正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係るスイッチの実施形態を図1ないし図6の添付図面に従って説明する。
第1実施形態に係るスイッチは、図1ないし図4に示すように、ベース10と、バネ部材20と、操作レバー30と、カバー40とで構成されている。なお、説明の便宜上、図1および図4において前記カバー40は図示されていない。
【0013】
前記ベース10は、図2に示すように、略方形表面の外周縁部に略コ字形状の枠部11を一体成形したものであり、前記枠部11の内側面の隅部に共通固定接点12を設ける一方、前記共通固定接点12の斜め前方に位置する前記枠部11の内側面に固定接点13を設けてある。また、枠部11を設けていない外周縁部には、ガイド用突起14を突設してあるとともに、前記ガイド用突起14を間にして回動軸部15,位置規制用突部16を突設してある。さらに、前記ベース10は、前記枠部11の外側面の中央部に位置決め用切り欠き部17を設ける一方、その底面の外周縁部に沿って係合用凹部18を設けてある。
【0014】
バネ部材20は、電気鋳造法によって製造され、導電性を有するものであり、蛇腹状バネ部21の両端から弾性腕部22,23を延在するとともに、その先端部を回動可動接点24および摺動可動接点25としてある。特に、前記蛇腹状バネ部21は弾性腕部22,23と略平行になるように形成されている。そして、前記ベース10の枠部11内に収納することにより、自由状態では回動可動接点24が共通固定接点12に接触する一方、摺動可動接点25が枠部11の内側面に摺接するように配置される(図4)。
【0015】
操作レバー30は、延在した操作用リブ31の一端に前記回動軸部15に嵌合する軸孔32を設けてあるとともに、その中間領域に前記ガイド用突起14に嵌合するガイド用溝部33を設けてある。そして、前記操作レバー30の軸孔32を前記ベース10の回動軸部15に嵌合するとともに、ガイド用溝部33を前記ベース10のガイド用突起14に嵌合することにより、回動可能に支持される。
【0016】
カバー40は、図3に示すように、前記ベース10の表面を被覆可能な平面形状を有し、前記ベース10の切り欠き部17に嵌合する位置に折り曲げ部41を設けてあるとともに、前記ベース10の係合用凹部18に係合可能な位置に係合用爪部42を設けてある。そして、前記バネ部材20および操作レバー30を組み付けたベース10に前記カバー40を位置決めして被覆する。そして、前記ベース10の切り欠き部17および係合用凹部18に、前記カバー40の折り曲げ部41および係合爪部42をそれぞれ係合することにより、前記バネ部材20および操作レバー30が抜け止めされる。
【0017】
次に、前述の構成部材からなるスイッチの操作方法について説明する。
図4Aに示すように、操作前では、操作レバー30の操作用リブ31がバネ部材20の弾性腕部23に当接しているだけである。また、バネ部材20の回動可動接点24は共通固定接点12に接触している一方、摺動可動接点25は枠部11の内側面に当接しているだけであり、固定接点13に接触していない。
【0018】
そして、操作レバー30の自由端部を押し下げると、回動軸部15を支点として操作用リブ31が回動し、バネ部材20の弾性腕部23を押し下げる。このため、弾性腕部23、弾性腕部22が圧縮されて弾性変形するとともに、蛇腹状バネ部21が伸張方向に弾性変形する。さらに、摺動可動接点25が下降して固定接点13に接触することにより、共通固定接点12と固定接点13とがバネ部材20を介して電気接続される。
【0019】
ついで、前記操作レバー30に対する押圧力を解除すると、バネ部材20自身のバネ力によって操作レバー30の操作用リブ31が押し上げられる。このため、操作レバー30は回動軸部15を支点として逆回転し、元の位置に復帰するとともに、摺動可動接点25が固定接点13から開離する。
【0020】
本発明の第2実施形態は、図5に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点はバネ部材20の蛇腹状バネ部21が弾性腕部22,23と交差するように形成した点である。他は前述の第1実施形態とほぼ同様であるので、同一部分には同一番号を附して説明を省略する。
本実施形態に係るスイッチは、蛇腹状バネ21部がより一層、弾性変形しやすくなるので、操作感触の柔らかいスイッチが得られるという利点がある。
【0021】
本発明の第3実施形態は、図6に示すように、前述の第1実施形態とほぼ同様であり、異なる点は蛇腹状バネ部21の湾曲部の内側に補強用リブ26を一体成形した点である。
本実施形態によれば、応力集中が生じやすい蛇腹状バネ部21の湾曲部に補強用リブ26を設けてあるので、応力集中による疲労破壊を抑制でき、寿命の長いスイッチが得られるという利点がある。
【0022】
なお、湾曲部に応力集中が生じないようにするためには、蛇腹状バネ部21の湾曲部だけを厚肉にしてもよいことは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るスイッチは、携帯電話等の電子機器に適用するだけでなく、他の小型の電子機器に適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0024】
10:ベース
11:枠部
12:共通固定接点
13:固定接点
14:ガイド用突起
15:回動軸部
16:位置規制用突部
20:バネ部材
21:蛇腹状バネ部
22,23:弾性腕部
24:回動可動接点
25:摺動可動接点
30:操作レバー
31:操作用リブ
32:軸孔
33:ガイド用溝部
40:カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面外周縁部に枠部を一体に設け、前記枠部の内側面隅部に共通固定接点を設けるとともに、前記共通固定接点に対向する内側面に固定接点を設けたベースと、
蛇腹状バネ部の両端からそれぞれ延在した弾性腕部のうち、一方の弾性腕部の自由端部を摺動可動接点とする一方、他方の弾性腕部の自由端部を回動可動接点とし、前記回動可動接点を前記ベースの共通固定接点に接触するように位置決めしたバネ部材と、
前記バネ部材の一方の弾性腕部に当接する操作用リブを備え、かつ、前記ベースに回動可能に支持した操作レバーと、からなり、
前記操作レバーを回動し、前記操作用リブでバネ部材の一方の弾性腕部を押し下げることにより、前記バネ部材の蛇腹状バネ部を弾性変形させて前記摺動可動接点を前記固定接点に接離することを特徴とするスイッチ。
【請求項2】
バネ部材の蛇腹状バネ部を、弾性腕部と略平行になるように形成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項3】
操作レバーの操作用リブでバネ部材の一方の弾性腕部を押し下げたときに、前記バネ部材の蛇腹状バネ部が伸張方向に弾性変形することを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。
【請求項4】
バネ部材の蛇腹状バネ部を、弾性腕部と交差する方向に形成したことを特徴とする請求項1に記載のスイッチ。
【請求項5】
蛇腹状バネ部の湾曲部の内側に補強用リブを一体成形したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のスイッチ。
【請求項6】
蛇腹状バネ部の湾曲部を厚肉にしたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のスイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−62221(P2013−62221A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201659(P2011−201659)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【特許番号】特許第5152380号(P5152380)
【特許公報発行日】平成25年2月27日(2013.2.27)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】